JPH1077542A - 衣 服 - Google Patents

衣 服

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JPH1077542A
JPH1077542A JP8231711A JP23171196A JPH1077542A JP H1077542 A JPH1077542 A JP H1077542A JP 8231711 A JP8231711 A JP 8231711A JP 23171196 A JP23171196 A JP 23171196A JP H1077542 A JPH1077542 A JP H1077542A
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JP
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yarn
sec
garment
weave
fineness
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JP8231711A
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English (en)
Inventor
Setsuo Taguchi
節男 田口
Kazuyoshi Okamoto
三宜 岡本
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軽くて、通気性が良好であると同時に、優れた
防透け性とシルエット性さらには高級外観を有する夏用
衣服を提供する。 【解決手段】衣服を構成する表地が、50メートル番手
以上の獣毛繊維よりなる糸と10〜60デニールの常圧
可染型ポリエステル繊維を主として有する糸との交撚糸
であって、該交撚糸は撚係数が40〜90、繊度が11
0〜220デニール、繊度の標準偏差が12〜23であ
り、その交撚糸を主として含む織編物から構成され、目
付が80〜200g/m2 、その開口率が6〜36%で
あることを特徴とする衣服。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽くて、高通気性
を有し、かつ、良好な防透け性とシルエット性さらには
高級外観を有する清涼衣服に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、夏用の衣服の生地あるいは副
資材としては、清涼性を得るために、できる限り薄手で
目の開いた素材を用いたり、通気部分を設けるなどによ
り通気しやすくする試みが種々なされてきた。
【0003】夏涼しく着用できる衣料の提案として、肩
部の通気量を規制した清涼ジャケット(実開昭63−9
8310号)、メッシュ布帛を使用したもの(実開平1
−149486号)、袖口から袖丈の約半部の長さをチ
ャックで開閉できるようにした夏用背広(特開平3−8
2802号)、上着に通気口を設けたもの(実開昭55
−4086号)などが開示されている。
【0004】しかし、これまでの提案では、軽くて、通
気性の良好なものを得んとすれば、透けやすくなるこ
と、保形性が乏しく形崩れしやすくなること、の宿命的
欠点があり、満足できるものは得られていない。これら
の相反する性能を両立することは極めて困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、軽くて、通
気性が良好であると同時に、優れた防透け性とシルエッ
ト性さらには高級外観を有する夏用衣服を提供せんとす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成する本
発明は、次の通りの構成をとるものであり、その骨子は
下記のとおりである。すなわち、衣服を構成する表地
が、50メートル番手以上の獣毛繊維よりなる糸と10
〜60デニールの常圧可染型ポリエステル繊維を主とし
て有する糸との交撚糸であって、該交撚糸は撚係数が4
0〜90、繊度が110〜220デニール、繊度の標準
偏差が12〜23であり、その交撚糸を主として含む織
編物から構成され、目付が80〜200g/m2 、その
開口率が6〜36%であることを特徴とする衣服であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、さらに詳しく本発明につい
て説明をする。
【0008】本発明は、従来のものに比べて格段に軽く
て通気性が高く、かつ高級外観を有する快適衣服に関す
るものである。従来から、夏用の衣服として、薄地で目
の開いた通気性の良好な生地や副資材を用いる試みが多
くなされてきているが、軽量で高通気性を得んとすれ
ば、目の開いた部分から光が透過し、下着や身体が透け
て見える「透け」という問題が顕在化してくる。これは
外観上見苦しく、品格に劣るため、衣服としての価値が
著しく低下してしまう。特に、スーツなどフォーマルな
席では甚だしく不向きなものとなってしまう。また、衣
服を軽くしようとすれば、衣服を構成する材料の使用量
を減らす以外に手段はなく、そうすると保形性が劣り、
形崩れしやすく(低シルエット性)なって、これまた衣
服としての価値を低下してしまい好ましくない。衣服に
おいて、軽量性、高通気性と防透け性、保形性、外観品
位の相反する二つ性能を両立することは極めて困難であ
った。
【0009】そこで、本発明者らは、衣服を構成する材
料を徹底的に解析し総合的に検討した結果、縫製して衣
服としたとき、軽さ、涼しさと防透け性、保形性、外観
品位に対して大きな影響を与えるのは、衣服の外部を構
成する表地であり、この表地がある限られた特性値を有
する範囲においてのみ、上記した宿命的な問題を解決で
きることを見出し、本発明に到達したものである。
【0010】本発明は特定の性能を有する表地を用いる
ことを基本とするものである。また、本発明は上着を主
体に説明するが、ズボン(スラックスあるいはパンツ)
においても同様に適用可能である。
【0011】本発明の特定の性能を有する表地とは、
50メートル番手以上の細番手の獣毛繊維糸と10〜6
0デニールの常圧可染型ポリエステル繊維糸を主として
有する交撚糸、交撚糸の撚係数が40〜90、交撚
糸の繊度が110〜220デニールであって、かつそ
の繊度の標準偏差が12〜23、その繊維を主として
含む織編物であって、目付が80〜170g/m2
その開口率が10〜36%、であることを要件とするも
のである。
【0012】以下その要件について具体的に説明を加え
る。
【0013】まず、本発明の衣服を構成する表地は、5
0メートル番手以上の細番手の獣毛繊維糸と10〜60
デニールの常圧可染型ポリエステル繊維糸を主として有
する交撚糸を用いることを要件とする。これはポリエス
テルなど合繊100%素材であると、合繊特有の欠点で
あるテカリ、色に深みが乏しい、均一すぎて立体感とか
自然観が得にくくなどにより安っぽい品位のものとなっ
てしまうこと。一方、獣毛繊維のみであると、軽量、高
通気性を得るためには、使用する繊維を少なくし、目の
粗い生地とすることは避けられず脆弱でタラタラの風合
いのものとなってしまい実用に供し得ない。かかること
から本発明は獣毛繊維とポリエステル繊維との交撚糸の
形態をとることを基本とするものである。
【0014】ここで獣毛繊維とは、ウール、モヘア、カ
シミヤ、キャメル、アルパカ、アンゴラなどであり、5
0メートル番手以上の細い紡績糸であることが好まし
く、特に60番手以上であることが好ましい。しかる
に、その糸を構成する単繊維は直径が24ミクロン以下
の細いものであることが好ましく、特に、直径22ミク
ロン以下の細繊維を用いることにより好ましく達成され
る。
【0015】一方、ポリエステル繊維は常圧下での染色
が可能なものであり、そのポリマ成分は分子量が500
〜3000のPEG、好ましくは800〜1500のP
EGを2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%共重
合したポリエチレンテレフタレートとすることにより達
成することができる。このように、常圧可染型ポリエス
テルを用いることにより、100℃以下の温度で分散染
色することが可能であり、高温染色による獣毛繊維のタ
ッチや風合いの性能を低下させることなく、獣毛繊維の
特徴を活かすことができる。また、細繊度の獣毛繊維の
低強力を補うことができ、また、獣毛繊維との同時染色
も可能である。常圧可染型ポリエステル繊維は、フィラ
メント糸であることが好ましいが、紡績糸であってもよ
い。
【0016】従来であれば、獣毛繊維とポリエステルの
混合繊維を染色するには、性能を犠牲にして130℃程
度の高温で処理するか、獣毛成分とポリエステル成分を
別々に染色した後、混紡したり交撚したりする必要があ
り、色の点で制約されていた。また、かかる常圧可染型
ポリエステルを用いる理由の一つとして後述する獣毛繊
維との交撚により好ましい繊度斑を発生することができ
ることも、本発明の特筆すべき効果である。
【0017】また、ポリエステル繊維糸の繊度は10〜
60デニールであり、好ましくは20〜40デニールで
ある。この繊度は獣毛繊維糸の番手にも関係するが、獣
毛繊維(W)とポリエステル(P)の混合割合はW/P
=80/20〜20/80であることが好ましい。交撚
糸としての繊度は、110〜220デニールであり、特
に、130〜180デニールであることが好ましい。こ
の範囲より低繊度であると、薄っぺらく、透けやすい、
ハリコシ不足、低外観品位などの点で好ましくない。ま
た、この範囲より高繊度であると、重く、低通気性、斑
感不足などの点で好ましくない。
【0018】かかるW/P糸をある特定範囲で交撚する
と獣毛繊維糸の長手方向に繊度斑が発生し、これが表地
に見た目に優しい自然観を発現し高級感を付与すること
および目ずれや透けを少なくすることができる。上述の
獣毛繊維とポリエステル繊維の構成はこの効果をもたら
す重要な要件となるものである。
【0019】かかる繊度斑の程度は交撚糸の長手方向の
バラツキすなわち繊度の標準偏差値で表すことができ
る。好ましい性能を得るための標準偏差値は12〜23
であり、特に15〜20であることが好ましい。その測
定法は、特に限定するものではないが、我々は交撚糸を
5〜20cmに連続的に切断採取し、10〜20サンプ
ルの繊度を測定した。この繊度斑は繊維長さにおいて1
mm未満のミクロな単位の斑ではなく、少なくとも繊維
長さにおいて1mm以上、好ましくは2mm以上のマク
ロな単位の斑のことである。
【0020】また、撚糸の程度は撚り係数が40〜90
となる強撚とするのが好ましく、特に50〜80である
ことが好ましい。
【0021】ここで、撚り係数とは、K=T×N0.5 ×
10-2の式で表されるものであり、Kは撚係数、Tは1
m当たりの撚り数である。
【0022】撚り数は、本発明では、交撚糸を構成する
主たる成分の糸の下撚りとそして交撚時の上撚りを加え
た撚り数と定義する。Nは繊度(テックス)である。こ
の撚り係数がこの範囲より小さいと織物のハリ、コシが
不足し、さらには、好ましい繊度斑が発現しにくく自然
観のある高級感が得難いものとなる。逆にこの範囲より
大きいと、硬く、ゴアゴアとした風合い、厚く、重たい
ものとなり好ましくない。
【0023】また、撚り方向は、下撚りと上撚りで撚り
方向が異なることにより繊度斑を効率よく発現すること
およびハリコシの点で好ましい。
【0024】また、表地の開口率は6〜36%であるこ
とを要件とする。好ましくは8〜20%であり、特に好
ましくは10〜14%である。この値と特定するのは、
もちろん他の部材との関係にもよるが、表地として、衣
服内に滞留する熱気や湿気を放出し、外部から新鮮な空
気を取り入れて良好な清涼性を得ることができるからで
ある。この値より小さいと衣服の通気性が劣り良好な清
涼性が得にくい。また、この値より大きいと、透けが著
しくなり、生地のボリューム感が乏しく、保形性が劣っ
たり目ずれやひっかき損傷がおきやすくなり好ましくな
い。
【0025】開口率の測定は、織物サンプルを拡大装置
で50〜100倍程度(真上からの陰影と、陰影のない
部分)に拡大して開口部分の面積の割合、すなわち、開
口率(%)=(繊維の存在しない部分の面積/全体の面
積)×100、の値を測定することにより行われる。具
体的な測定法をあげると、スカラ株式会社製ビデオマイ
クロスコープ(VMS−1000S型)を用いて写真を
とり、拡大写真の開口部分の面積と全体の面積を測定す
ることにより求められる。
【0026】また、目付は80〜200g/m2 の織編
物で構成されることを要件とし、好ましくは90〜18
0g/m2 であり、特に好ましく100〜170g/m
2 である。この目付の値が上記の要件と同時に満足する
ことにより、高通気性を有し、軽量でかつ優れた保形性
をもたらすことができる。この値より小さいものであれ
ば風合いがタラタラとなり衣服としてのボリューム感が
乏しくなり、この値より大きいものであれば重くなり通
気性が低下し、本発明の目的から外れることになる。
【0027】このように、本発明は上記の要件を同時に
満足して初めて、衣服の表地としての基本性能を有し、
かつ、良好な軽量性と清涼性を得ることができる。
【0028】また、加えて、本発明の衣服は図1(スー
ツ上着、ジャケット上着、背広上着など)に示す該指定
部位のいずれかの通気量を満足することが好ましく、該
指定部位の全ての通気量を同時に満足するものであるこ
とがより好ましい。この要件を達成することにより、本
発明の目的をより好ましく達成することができる。
【0029】 (イ)胸部ポケット下部:30〜100cc/cm2 ・sec (ロ)胸部ポケット上部:30〜120cc/cm2 ・sec (ハ)肩パット部 :30〜100cc/cm2 ・sec (ニ)背中上部 :50〜200cc/cm2 ・sec (ホ)背中下部 :100〜300cc/cm2 ・sec 加えて、衣服が上記した表地を用い、かつ胸増芯あるい
はつくり芯において、通気量150cc/cm2 ・se
c以上、開口率20〜40%、かつヨコ/タテ方向剛軟
度(ガーレ式剛軟度法:JIS−L−1018)比が2
〜10倍のメッシュ型台芯、および貫通孔を有する肩パ
ットを併用することにより、衣服としての通気性を高
め、表地の性能を発揮することになり好ましいことであ
る。特に、本発明は軽量・高通気性を目的とし、低目付
の表地が用いられることが好ましく、芯地のヨコ方向の
ハリ・コシは衣服の形態を良好に保つために極めて重要
であり、メッシュ構造であってかつタテ方向とヨコ方向
における剛軟度の異方性(ヨコ方向の剛軟度が大)が2
〜10倍であることが好ましく、特に4〜8倍であるこ
とが好ましい。
【0030】本発明は、その他の部材については、特定
の材料を要求するものではないが、本発明の目的である
高通気性、軽量性の特徴を極端に妨げる部材の適用は、
上記指定部位の性能達成のために、当然ながら避けるの
が望ましいことはいうまでもない。
【0031】本発明の表地組織は、特に限定するもので
はないが、平織、綾織、朱子織、模紗織、はち巣織、ハ
ック織、なし地織あるいはこれらの混合組織などが適用
できる。この中でも、織物の目が粗くても形態がしっか
りしており、良好な保型性の発揮できる模紗織、ハック
織、なし地織が好ましく用いられる。
【0032】本発明の構成は、紳士、婦人のスーツ、コ
ート、制服、ワーキングウエアなどのあらゆる衣服に適
用可能である。特に、品格や外観が重要視され、夏季で
あっても正装として要求されるスーツ類に好ましく適用
できる。
【0033】本発明の構成を知った後の者にとっては、
本発明における衣服を他の物に展開することは容易なこ
とであろう。
【0034】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。
【0035】実施例1 表地として、ウール糸が72メートル番手で下撚がZ撚
690T/m、ポリエステル糸が分子量1000のPE
Gを7.5重量%共重合させたポリエチレンテレフタレ
ート繊維20デニール12フィラメントで下撚がZ撚3
0T/mの2種類の糸を上撚810T/mで交撚して、
トータル撚数1500T/mのウール/ポリエステルの
交撚糸を作製した。この糸を用いて平織に製織した後、
酸性染料と分散染料の混合浴中で95℃で30分染色し
た。得られた染色布は織密度がタテ97本/インチ、ヨ
コ66/インチ、目付112g/m2 であり、撚係数が
59.1、織物から解舒した糸の繊度が140デニール
(15.5テックス)であり、その標準偏差は18であ
った。織物の開口率は11.1%であり、通気量は19
0cc/cm2 ・secであった。
【0036】芯地として、紗織りからなるメッシュ生地
(開口率31.4%、ヨコ剛軟度66mg、タテ剛軟度
16mgのタテ/ヨコ剛軟度比4.1、目付147g/
2、通気量356cc/cm2 ・sec)を台芯とし
て用いてつくり芯を用い、裏地として、市販の軽量タイ
プ裏地を用いて、夏季用メンズスーツを縫製した。ズボ
ンには同様の表地と裏地を用いて縫製した。
【0037】得られた紳士用スーツは、透けが少なく、
目ずれは問題とならなかった。また、外観は高級感があ
った。縫製品特に上着は体の線によく沿い、美しいシル
エットを表現できるスーツに仕上がった。スーツ上着重
量はA−6サイズで521gであり、従来の夏用スーツ
上着重量の605gに比べて84gも軽量であった。ま
た、図1に示す部分の通気量をJIS−L1096(フ
ラジール法)により測定したところ、次のとおりであ
り、高通気性を示した。
【0038】 (イ)胸部ポケット下部:63cc/cm2 ・sec (ロ)胸部ポケット上部:72cc/cm2 ・sec (ハ)肩パット部 :45cc/cm2 ・sec (ニ)背中上部 :90cc/cm2 ・sec (ホ)背中下部 :185cc/cm2 ・sec かかるスーツを着用し、人工気象室において、28℃、
65%RHの環境下で高さ20cmの台を80回/分×
3分間昇降する運動と停止3分間を4回繰り返し行い、
背中上部の湿度と温度を測定した。比較品として市販の
夏季用スーツを用いた。結果は従来のスーツに比べて、
衣服内の湿度と温度は明らかに低く、また、被験者の体
感においても清涼効果が認められた。
【0039】実施例2 表地として、組織が模紗織、タテ糸、ヨコ糸がともにウ
ール72メートル番手(125デニール)/ポリエステ
ル20デニールの145デニール(62.1メートル番
手)交撚糸、下撚はウールがS撚で690T/m、ポリ
エステルが無撚、上撚はZ撚810T/m、織密度がタ
テ97本/インチ、ヨコ76本/インチ、目付140g
/m2 の生地を製織した。この糸を用いて製織した後、
酸性染料と分散染料の混合浴中で95℃で30分染色し
た。この織物の撚係数は59.6、織物から解舒した糸
の繊度が142デニール(15.8)であり、その標準
偏差は18であった。織物の開口率は12.3%であ
り、通気量は169cc/cm2 ・secであった。
【0040】かかる表地と、芯地と裏地は実施例1と同
じ生地を用いて、夏季用メンズスーツを縫製した。ズボ
ンには同様の表地と裏地を用いて縫製した。
【0041】得られた縫製品は、夏季用スーツとして、
透けの目立たない高級の外観品位と良好なシルエットを
有するものであった。スーツ上着重量はA−6サイズで
515gであった。また、図1に示す部分の通気量をJ
IS−L1096(フラジール法)により測定したとこ
ろ、次のとおりであり、実施例1に比べて若干低いもの
の好ましい範囲のものであった。
【0042】 (イ)胸部ポケット下部:85cc/cm2 ・sec (ロ)胸部ポケット上部:92cc/cm2 ・sec (ハ)肩パット部 :55cc/cm2 ・sec (ニ)背中上部 :127cc/cm2 ・sec (ホ)背中下部 :181cc/cm2 ・sec かかるスーツを着用し、人工気象室において、28℃、
65%RHの環境下で高さ20cmの台を80回/分×
3分間昇降する運動と停止3分間を4回繰り返し行い、
背中上部の湿度と温度を測定した。実施例1と同様に、
市販の夏季スーツに比べて、衣服内の湿度と温度は明ら
かに低く、また、被験者の体感においても清涼感の高い
ものであった。
【0043】比較例 表地として、組織が模紗織、タテ糸、ヨコ糸がともにウ
ール75/ポリエステル25の180デニール(20テ
ックス)交撚糸、撚係数は70.4、下撚はウールがZ
撚で25T/m、ポリエステルが無撚、上撚はZ撚15
50T/m、トータル撚数1575T/m、繊度の標準
偏差値が10、織密度がタテ91本/インチ、ヨコ98
本/インチ、目付172g/m2 、開口率4.5%の生
地を作製した。この表地は、通気量は87cc/cm2
・secであった。
【0044】かかる表地と、芯地は市販の軽量高通気タ
イプのつくり芯を用い、裏地は市販の軽量タイプ生地を
用いて、夏季用メンズスーツを縫製した。ズボンには同
様の表地と裏地を用いて縫製した。
【0045】得られた縫製品は、市販の夏季用スーツに
近い外観品位のものであり、スーツ上着重量はA−6サ
イズで605gであった。また、図1に示す部分の通気
量をJIS−L1096(フラジール法)により測定し
たところ、次のとおりであり、実施例1および2に比べ
て明らかに低通気性であった。
【0046】 (イ)胸部ポケット下部:21cc/cm2 ・sec (ロ)胸部ポケット上部:22cc/cm2 ・sec (ハ)肩パット部 :10cc/cm2 ・sec (ニ)背中上部 :25cc/cm2 ・sec (ホ)背中下部 :127cc/cm2 ・sec かかるスーツを着用し、人工気象室において、28℃、
65%RHの環境下で高さ20cmの台を80回/分×
3分間昇降する運動と停止3分間を4回繰り返し行い、
背中上部の湿度と温度を測定した。実施例1および実施
例2と比較して、衣服内の湿度と温度は高く、また、被
験者の体感においても明らかに蒸し暑さを感じるもので
あった。
【0047】
【発明の効果】本発明の衣服は、特定の性能を有する表
地を用いることにより、良好な軽量性と通気性を有し、
かつ、透けが少なく、しっかりとした形態と美しいシル
エットを有する外観品位とすることができる。特に、こ
れまでにない清涼性と快適性を有する夏季用衣服とする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる衣服(スーツを例として)の通
気量の測定部位を示す概略図である。
【符号の説明】
イ:ポケット下部 ロ:ポケット上部 ハ:肩パット部 ニ:背中上部 ホ:背中下部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】衣服を構成する表地が、50メートル番手
    以上の獣毛繊維よりなる糸と10〜60デニールの常圧
    可染型ポリエステル繊維を主として有する糸との交撚糸
    であって、該交撚糸は撚係数が40〜90、繊度が11
    0〜220デニール、繊度の標準偏差が12〜23であ
    り、その交撚糸を主として含む織編物から構成され、目
    付が80〜200g/m2 、その開口率が6〜36%で
    あることを特徴とする衣服。
  2. 【請求項2】請求項1を満足する表地から構成された衣
    服であって、かつ、該衣服の下記指定部位(イ)〜
    (ハ)のいずれかあるいは全てが下記通気量を有するこ
    とを特徴とする衣服。 (イ)胸部ポケット下部:30〜100cc/cm2 ・sec (ロ)胸部ポケット上部:30〜120cc/cm2 ・sec (ハ)肩パット部 :30〜100cc/cm2 ・sec (ニ)背中上部 :50〜200cc/cm2 ・sec (ホ)背中下部 :100〜300cc/cm2 ・sec
  3. 【請求項3】表地が、平織、綾織、朱子織、模紗織、は
    ち巣織、ハック織、なし地織、あるいはこれらの混合組
    織から選ばれた織物からなるものであることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の衣服。
  4. 【請求項4】表地を構成する糸が、下撚りと上撚りで撚
    り方向が異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の衣服。
  5. 【請求項5】表地を構成する獣毛繊維が、ウール、モヘ
    ア、カシミヤ、キャメル、アルパカあるいはアンゴラか
    ら選ばれたものであることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかに記載の衣服。
  6. 【請求項6】表地を構成する常圧可染型ポリエステル繊
    維が、分子量500〜3000のPEGを2〜30重量
    %共重合してなるポリエチレンテレフタレートであるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣服。
  7. 【請求項7】衣服がスーツ、背広、ジャケット、あるい
    はコートから選ばれたものであることを特徴とする請求
    項1〜6のいずれかに記載の衣服。
  8. 【請求項8】衣服が、胸増芯あるいはつくり芯において
    通気量150cc/cm2 ・sec以上、開口率20〜
    40%、かつヨコ/タテ方向剛軟度比が2〜10倍のメ
    ッシュ型台芯、および貫通孔を有する肩パットを併用し
    てなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載
    の衣服。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000328080A (ja) * 1999-03-12 2000-11-28 Shin Etsu Chem Co Ltd シートベルト用低摩擦化処理剤
JP2008075232A (ja) * 2006-08-22 2008-04-03 Dooko Kk ズボン
JP2008121157A (ja) * 2006-11-14 2008-05-29 Mitsubishi Rayon Co Ltd 部分的に異なる通気度を有する布帛、その布帛を用いた衣類、および布帛の製造方法

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