JPH1076823A - タイヤ空気圧低下検出方法および装置 - Google Patents

タイヤ空気圧低下検出方法および装置

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JPH1076823A
JPH1076823A JP23450296A JP23450296A JPH1076823A JP H1076823 A JPH1076823 A JP H1076823A JP 23450296 A JP23450296 A JP 23450296A JP 23450296 A JP23450296 A JP 23450296A JP H1076823 A JPH1076823 A JP H1076823A
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tire
vehicle
low
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Mikao Nakajima
実香夫 中島
Hiroto Horie
洋人 堀江
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】警報の誤発生/誤消去を防止できるタイヤ空気
圧低下検出装置を提供すること。 【解決手段】タイヤ空気圧低下検出装置では、低速判定
処理が実行された後、車両が高速駆動走行をしているか
否かが判別され、その結果高速駆動走行をしていると判
別された場合には、さらに、高速判定処理が実行され
る。低速判定処理において、空気圧が低下しているタイ
ヤがあると所定時間にわたって判別された場合に、速度
カウンタのカウント値SRSCNTがしきい値N以上か否かが
判別される(T9)。その結果、しきい値N以上であれば、
車両は所定時間にわたって低速走行をしていると判断さ
れ、この場合に限って低速警報信号の出力を禁止させる
(T10) 。この場合、さらに、高速警報信号の出力も禁止
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば4輪車両
に装着されている4つのタイヤの空気圧が低下している
か否かを判定し、空気圧が低下している場合に、警報を
発生させるための警報発生信号を出力するタイヤ空気圧
低下検出方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、乗用車やトラックなどの4輪車両
の安全装置の1つとして、タイヤの空気圧低下を検出す
る装置(DWS)の開発が行われ、一部では実用化され
ている。タイヤの空気圧低下の検出方法の1つに、たと
えば車両に装着されている4つのタイヤW1 ,W2 ,W
3 ,W4 の各回転周波数F1 ,F2 ,F3 ,F4 の違い
を利用する方法がある。この方法は、回転周波数Fi (i
=1,2,3,4)がタイヤWiの空気圧の状況に応じて変化す
ることを利用したものである。すなわち、いずれかのタ
イヤWi の空気圧が低下すると、当該タイヤWi の有効
ころがり半径が減少し、その結果当該タイヤWi の回転
周波数Fi は速くなる。そのため、回転周波数Fi の違
いに基づけば、タイヤWi の空気圧低下を判定できる。
【0003】なお、有効ころがり半径とは、荷重がかか
った状態で自由転動しているタイヤWi が1回転により
進んだ距離を2πで割った値である。回転周波数Fi
違いに基づいてタイヤWi の空気圧低下を検出する際に
用いられる判定式は、たとえば下記(1) 式に示すような
ものである(特開昭63-305011 号公報、特開平4-212609
号公報など参照。)
【0004】
【数1】
【0005】タイヤWi の有効ころがり半径が仮にすべ
て同一であるとすれば、各回転周波数Fi はすべて同一
となる(F1 =F2 =F3 =F4 )。したがって、判定
値Dは0である。そこで、しきい値DTH1 ,DTH2 (た
だし、DTH1 ,DTH2 >0)が設定される。そして、下
記(2) 式に示す条件が満足された場合は、空気圧が低下
しているタイヤWi があると判定される。この条件が満
足されなかった場合には、タイヤWi はすべて正常内圧
であると判定される。
【0006】 D<−DTH1 または D>DTH2 ‥‥(2) この判定の結果、空気圧が低下しているタイヤWi があ
ると判定された場合には、警報信号の出力が開始され、
当該警報信号は表示器に与えられる。その結果、表示器
では表示ランプが点灯し、空気圧が低下しているタイヤ
i があることが報知される。一方、タイヤWi がすべ
て正常内圧であると判定された場合には、警報信号の出
力は停止される。そのため、表示器のランプは点灯せず
に、タイヤWi はすべて正常内圧であることが報知され
る。
【0007】ところで、上記(1) ,(2) 式による空気圧
低下判定だけでは、車両の走行状態によっては、誤判定
するおそれがあるという問題がある。たとえば、駆動力
が伝達される前左右タイヤW1 ,W2 のうちいずれか一
方の空気圧が低下している場合、車両が比較的高速で減
速せずに走行しているとき(以下、このような走行を
「高速駆動走行」という。)には、誤判定するおそれが
ある。
【0008】すなわち、高速駆動走行時には、空気圧が
低下しているタイヤWi のスリップ率Rsの低下によっ
て回転周波数Fi の増加傾向が抑制され、また遠心力に
よって空気圧が低下しているタイヤWi は正常内圧に比
べて有効ころがり半径が増加するために、正常内圧のタ
イヤWi の回転周波数と空気圧が低下しているタイヤW
i の回転周波数との差がほとんどなくなるからである。
その結果、判定値Dは、空気圧が低下しているタイヤW
i があるにもかかわらず、図7に示すように、車両の速
度Vが上昇するにつれて2次関数的に0に近づいてい
き、上記(2) 式の条件を満足しなくなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】これに対処するため、
本出願人は、特願平8−92311号において、車両の
速度Vには無関係に上記(1) ,(2) 式による空気圧低下
判定(以下「低速判定」という。)を行った後、車両が
高速駆動走行をしているか否かを判別し、その結果、高
速駆動走行をしている場合には、さらに、高速判定を行
う技術を提案している。
【0010】高速判定では、高速駆動走行時に算出され
る判定値Dに基づいて図7のような判定値Dの変化に対
応する2次曲線を仮定し、この2次曲線に最小2乗法を
適用して、タイヤWi の空気圧の状態を忠実に反映して
いる車両の速度Vが0の状態における判定値CrosP
を推定し、この推定された判定値CrosPについて上
記(2) 式のような判定式を満足するか否かを判定する。
【0011】その結果、判定値CrosPが判定式を満
足すると判定された場合は、低速警報信号とは独立した
信号であって、かつ警報を発生するための高速警報信号
の出力を開始し、判定値CrosPが判定式を満足しな
いと判定された場合には、高速警報信号の出力を停止す
る。これにより、空気圧が低下しているタイヤWi があ
る状態で車両が高速駆動走行をしている場合でも、空気
圧が低下しているタイヤWi があることを検出できる。
【0012】しかしながら、上記提案技術では、低速判
定と高速判定とを特に関連付けていないために、警報の
誤発生/誤消去を招くという問題があることが判明し
た。たとえば、空気圧が低下しているタイヤWi がある
状態で車両が低速走行している場合には、低速判定のみ
が行われる。図7にも示されているように、低速走行時
には判定値Dは比較的大きな値となるから、低速判定で
は空気圧が低下しているタイヤWi があることが検出さ
れ、これに伴って低速警報信号の出力が許容される。
【0013】ここで、車両が速度を上昇させて高速駆動
走行に移行した場合、低速判定および高速判定の両方が
行われるが、車両が高速駆動走行をしているときには、
図7にも示されているように、判定値Dは0に近づいて
いく。したがって、高速判定において判定結果が出る前
に、低速判定においてタイヤWi はすべて正常内圧であ
ると誤判定されるおそれがある。この場合には、空気圧
が低下しているタイヤWi があるにもかかわらず、低速
警報信号の出力が停止され、その結果表示ランプが誤っ
て消灯することになる。
【0014】さらに、その後に高速判定において空気圧
が低下しているタイヤWi があると判定されることは十
分に予想され、このときには、高速警報信号の出力が開
始され、表示ランプは再度点灯することになる。この場
合には、表示ランプが点灯したり消灯したりしてドライ
バを困惑させることにもつながる。また、高速走行時に
タイヤWi の空気圧が低下した結果高速警報信号の出力
が開始され、表示ランプが点灯している状態において、
車両を停止させ当該タイヤWi に空気を補充し正常内圧
に戻した場合、本来なら、高速警報信号の出力を停止し
て表示ランプを消灯させる必要がある。
【0015】しかし、タイヤWi に空気を補充した後車
両を低速走行させた場合には、高速判定処理が行われる
ことはないから、高速警報信号はそのまま継続して出力
される。その結果、タイヤWi はすべて正常内圧である
のに表示ランプは点灯したままとなる。そこで、本発明
の目的は、上述の技術的課題を解決し、警報の誤発生/
誤消去を防止できるタイヤ空気圧低下検出方法を提供す
ることである。
【0016】また、本発明の他の目的は、このようなタ
イヤ空気圧低下検出方法を実施できるタイヤ空気圧低下
検出装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の請求項1記載の発明は、車両に装着されているタイヤ
の回転周波数を検出するステップ、この検出された回転
周波数に基づいて、タイヤの空気圧が低下しているか否
かを判定するステップ、この判定の結果、タイヤの空気
圧が低下していると判定された場合、警報を発生させる
ための低速警報信号の出力を開始し、タイヤの空気圧が
低下していないと判定された場合には、車両の速度が所
定時間にわたって予め定めるしきい値未満であるか否か
を判別し、その結果、車両の速度が所定時間にわたって
上記しきい値未満であると判別された場合には、低速警
報信号の出力を停止するステップ、車両の速度が上記し
きい値以上であって、かつ車両が駆動状態であるとき
に、上記検出された回転周波数に基づいて、タイヤの空
気圧が低下しているか否かを判定するステップ、および
この判定の結果、タイヤの空気圧が低下していると判定
された場合、警報を発生させるための高速警報信号の出
力を開始し、タイヤの空気圧が低下していないと判定さ
れた場合には、高速警報信号の出力を停止するステッ
プ、を含むことを特徴とするタイヤ空気圧低下検出方法
である。
【0018】この請求項1記載のタイヤ空気圧低下検出
方法は、たとえば請求項3記載の発明にかかるタイヤ空
気圧低下検出装置によって実施することができる。すな
わち、請求項3記載の発明は、車両に装着されるタイヤ
の回転周波数を検出するための回転周波数検出手段と、
車両の速度を検出するための車速検出手段と、車両が駆
動状態であるか否かを判別するための駆動状態判別手段
と、上記回転周波数検出手段で検出された回転周波数に
基づいて、タイヤの空気圧が低下しているか否かを判定
するための低速判定手段と、この低速判定手段での判定
の結果、タイヤの空気圧が停止していると判定された場
合、警報を発生させるための低速警報信号の出力を開始
するための第1低速制御手段と、上記低速判定手段での
判定の結果、タイヤの空気圧が低下していないと判定さ
れた場合には、車両の速度が所定時間にわたって予め定
めるしきい値未満であるか否かを判別し、その結果、車
両の速度が所定時間にわたって上記しきい値未満である
と判別された場合には、低速警報信号の出力を停止する
ための第2低速制御手段と、上記車速検出手段で検出さ
れた車両の速度が上記しきい値以上であって、かつ上記
駆動状態判別手段で車両は駆動状態であると判別された
ときに、上記回転周波数検出手段で検出された回転周波
数に基づいて、タイヤの空気圧が低下しているか否かを
判定するための高速判定手段と、この高速判定手段での
判定の結果、タイヤの空気圧が低下していると判定され
た場合、警報を発生させるための高速警報信号の出力を
開始するための第1高速制御手段と、上記高速判定手段
での判定の結果、タイヤの空気圧が低下していないと判
定された場合には、高速警報信号の出力を停止するため
の第2高速制御手段とを含むことを特徴とするタイヤ空
気圧低下検出装置である。
【0019】本発明では、車両の速度が所定時間にわた
ってしきい値未満である場合に、低速警報信号の出力が
停止される。したがって、たとえば空気圧が低下してい
るタイヤがあって低速警報信号の出力が開始されている
状態において、車両が低速走行から高速駆動走行に移行
した場合、低速判定においてタイヤはすべて正常内圧で
あると誤って判定されるような状態になった場合でも、
低速警報信号の出力は出力されたままとなる。すなわ
ち、低速警報信号の誤消去はされないことになる。
【0020】また、高速駆動走行に移行してから所定時
間が経過すれば、高速判定においてタイヤの空気圧は低
下していると正確に判定されることは十分に予想され、
この場合には高速警報信号の出力が開始される。しかし
ながら、本発明では、低速警報信号は出力されたままで
あるから、結局、警報の発生状態が継続されるだけであ
る。
【0021】なお、同じ高速走行であっても制動状態で
はない駆動状態の場合にのみ空気圧低下判定を行うよう
にしているのは、制動状態の場合には低速判定手段にお
いて正確に判定を行うことができるからである。すなわ
ち、高速制動走行時には、空気圧が低下しているタイヤ
のグリップ率が小さいために、収縮したことで増加する
当該タイヤの回転周波数がさらに増加することになる。
したがって、この場合には、正常内圧のタイヤの回転周
波数との差が低速走行時のように大きくなるから、結
局、低速判定において空気圧低下を正確に判定できる。
【0022】請求項2記載の発明は、上記低速警報信号
の出力を開始または停止するステップは、低速警報信号
の出力を禁止するときには、さらに、高速警報信号の出
力を停止することを含むことを特徴とする請求項1記載
のタイヤ空気圧低下検出方法である。請求項2記載の発
明にかかるタイヤ空気圧低下検出方法は、たとえば請求
項4記載の発明にかかるタイヤ空気圧低下検出装置によ
って実施することができる。すなわち、請求項4記載の
発明は、上記第2低速制御手段は、さらに、高速警報信
号の出力を禁止させるものであることを特徴とする請求
項3記載のタイヤ空気圧低下検出装置である。
【0023】本発明では、低速警報信号の出力を禁止す
るときには高速警報信号の出力も禁止される。したがっ
て、たとえば空気圧が低下しているタイヤがあって高速
警報信号が出力されている状態において、タイヤに空気
が補充されて正常内圧に戻った後低速走行をする場合で
も、高速警報信号の出力を確実に停止させることができ
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下では、本発明の実施の形態
を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発
明の一実施形態が適用されるタイヤ空気圧低下検出装置
の構成を示す概略ブロック図である。このタイヤ空気圧
低下検出装置は、4輪車両に装着された4つのタイヤW
1 ,W2 ,W3 ,W4 の空気圧が低下しているか否かを
検出する。タイヤW1 ,W2 はそれぞれ前左右タイヤに
対応する。また、タイヤW 3 ,W4 はそれぞれ後左右タ
イヤに対応する。
【0025】各タイヤW1 ,W2 ,W3 ,W4 にそれぞ
れ関連して、車輪速センサ1が備えられている。車輪速
センサ1の出力は制御ユニット2に与えられる。制御ユ
ニット2には、表示器3が接続されている。表示器3
は、空気圧が低下したタイヤWi (i=1,2,3,4)を知らせ
るためのもので、たとえば液晶表示素子、プラズマ表示
素子またはCRTなどで構成される。
【0026】制御ユニット2にはまた、初期化スイッチ
4が接続されている。初期化スイッチ4は、タイヤWi
の初期差異の影響を排除するための初期補正係数A,B
を算出する際にユーザが操作するためのものである。初
期差異とは、各タイヤWi 間に生じる規格内での有効こ
ろがり半径のばらつきのことである。図2は、タイヤ空
気圧低下検出装置の電気的構成を示すブロック図であ
る。制御ユニット2は、I/Oインタフェース2a、C
PU2b、ROM2cおよびRAM2dを含むマイクロ
コンピュータで構成されたものである。
【0027】I/Oインタフェース2aは、車輪速セン
サ1や初期化スイッチ4などの外部装置との信号の受渡
しのためのものである。CPU2bは、ROM2cに格
納された制御動作プログラムに従い、種々の演算処理を
実行するものである。RAM2dは、CPU2bが制御
動作を行う際にデータなどが一時的に書込まれたり、そ
の書込まれたデータなどが読出されたりするものであ
る。RAM2dの記憶領域の一部は、カウンタとして利
用されている。具体的には、RAM2dには、速度カウ
ンタ2e,低速カウンタ2f,高速カウンタ2g、分類
個数カウンタ2hおよび領域カウンタ2iが備えられて
いる。これら各カウンタ2e〜2iは、後述する低速判
定処理および高速判定処理において用いられるものであ
る。したがって、これら各カウンタ2e〜2iの機能に
ついては、各判定処理の説明ととともに説明することに
する。
【0028】車輪速センサ1は、タイヤWi の回転数に
対応したパルス信号(以下「車輪速パルス」という。)
を出力する。CPU2bでは、車輪速センサ1から出力
される車輪速パルスに基づいて、所定の判定周期ΔT
(たとえばΔT=1(sec))ごとに、各タイヤWi の回転
周波数Fi が算出される。図3は、タイヤ空気圧低下検
出装置におけるタイヤ空気圧低下検出処理を説明するた
めのフローチャートである。この処理は、CPU2bが
ROM2cに格納された所定のプログラムに従って動作
することによって、制御ユニット2によって判定周期Δ
Tごとに実行される。なお、以下の説明では、対象車両
がFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車であ
ることを前提とする。
【0029】この処理では、先ず、各車輪速センサ1か
ら出力される車輪速パルスに基づいて、各タイヤWi
回転周波数Fi が算出される(ステップS1)。タイヤ
i は、上述のように、初期差異が含まれて製造され
る。したがって、各タイヤWi の有効ころがり半径は、
すべてのタイヤWi がたとえ正常内圧であっても、同一
とは限らない。そのため、算出される各タイヤWi の回
転周波数F i はばらつくことになる。一方、タイヤWi
の空気圧が低下しているか否かの判定は、すべてのタイ
ヤWi が正常内圧である場合に各タイヤWi の回転周波
数F i がほぼ等しいことを前提として実行される。した
がって、算出される回転周波数Fi から初期差異の影響
を排除する必要がある。
【0030】そこで、算出された回転周波数Fi から初
期差異の影響を排除すべく、回転周波数Fi に対して初
期補正が施される(ステップS2)。具体的には、下記
(3)ないし(6) 式に従う補正が行われる。 F11 =F1 ‥‥(3) F12 =A×F2 ‥‥(4) F13 =F3 ‥‥(5) F14 =B×F4 ‥‥(6) 初期補正係数A,Bは、たとえば車両を初めて走行させ
るとき、タイヤWi の空気圧を補充したとき、またはタ
イヤWi を交換したときに取得され、制御ユニット2の
ROM2cに予め記憶されている。
【0031】初期補正係数Aは、前左右タイヤW1 ,W
2 間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正する
ためのものである。初期補正係数Aは、たとえば車両が
直線走行していることを条件として算出された回転周波
数Fi に基づいて、下記(7)式のようにして取得され
る。初期補正係数Bは、後左右タイヤW3 ,W4 間の初
期差異による有効ころがり半径の差を補正するためのも
のである。初期補正係数Bは、たとえば車両が直線走行
していることを条件として算出された回転周波数Fi
基づいて、下記(8)式のようにして取得される。
【0032】 A=F1 /F2 ‥‥(7) B=F3 /F4 ‥‥(8) ところで、上記回転周波数Fi は、車両の旋回半径R、
車両の速度V、車両の横方向加速度LAおよび各タイヤ
i の前後方向加速度FRAi の大きさによっては、誤
差を含むことがある。
【0033】すなわち、旋回半径Rが相対的に小さい場
合には、タイヤWi が横すべりするおそれがあるので、
算出される回転周波数Fi に誤差が含まれる可能性が高
い。また、車両の速度Vが極低速である場合には、車輪
速センサ1の検出精度が著しく悪くなるので、算出され
る回転周波数Fi に誤差が含まれる可能性が高い。さら
に、車両の横方向加速度LAが相対的に大きい場合に
は、タイヤWi が横すべりするおそれがあるので、算出
される回転周波数Fi に誤差が含まれる可能性が高い。
さらにまた、各タイヤWi の前後方向加速度FRAi
相対的に大きい場合には、たとえば車両が急加速/急減
速することによるタイヤWi のスリップまたはフットブ
レーキの影響が考えられるので、算出される回転周波数
i に誤差が含まれる可能性が高い。
【0034】このように、回転周波数Fi に誤差が含ま
れている可能性が高い場合には、その回転周波数Fi
空気圧低下の検出に採用せずにリジェクト(排除)する
方が好ましい。そこで、次に、旋回半径R、車両の速度
V、横方向加速度LAおよび各タイヤWi の前後方向加
速度FRAi が算出される(ステップS3)。
【0035】旋回半径Rは、下記(9) 式に示すように、
駆動力が伝達されていない従動タイヤW3 ,W4 の速度
V13 ,V14 、および従動タイヤW3 ,W4 の間の距
離であるトレッド幅Twに基づいて算出される。
【0036】
【数2】
【0037】この(9) 式における従動タイヤW3 ,W4
の速度V13 ,V14 は、初期補正後の回転周波数F1
3 ,F14 に基づいて、下記(10),(11)式のようにして
算出されるものである。ただし、下記(10),(11)式にお
いて、rはROM2cに予め記憶されているタイヤWi
の半径である。 V13 =2πr×F13 ‥‥(10) V14 =2πr×F14 ‥‥(11) 車両の速度Vは、各タイヤWi の速度V1i に基づいて
算出される。各タイヤWi の速度V1i は、下記(12)式
に従って算出される。
【0038】 V1i =2πr×F1i ‥‥(12) この算出された各タイヤWi の速度V1i に基づき、車
両の速度Vが下記(13)式によって算出される。 V=(V11 +V12 +V13 +V14 )/4 ‥‥(13) 車両の横方向加速度LAは、この算出された車両の速度
Vを利用して、下記(14)式によって算出される。
【0039】 LA=V2 /(R×9.8 ) ‥‥(14) 各タイヤWi の前後方向加速度FRAi は、1周期ΔT
前のサンプリング時点において算出された各タイヤWi
の速度をBV2i とすると、下記(15)式によって算出さ
れる。 FRAi =(V1i −BV2i )/(ΔT×9.8) ‥‥(15) なお、上記(14)式および(15)式において、分母に9.8
が挿入されているのは、横方向加速度LAおよび前後方
向加速度FRAi をG(重力加速度)換算するためであ
る。
【0040】また、上記車両の速度V、横方向加速度L
Aおよび各タイヤWi の前後方向加速度FRAi は、セ
ンサを用いてこれらを直接的に検出することによって求
められてもよい。次いで、このようにして算出された旋
回半径R、車両の速度V、各タイヤWiの前後方向加速
度FRAi および車両の横方向加速度LAに基づき、今
回のサンプリング時点で算出された回転周波数Fi をリ
ジェクトするか否かが判別される(ステップS4)。具
体的には、次に示す〜の4つの条件のうち、いずれ
か1つでも該当した場合には、回転周波数Fi がリジェ
クトされる。
【0041】|R|<RTH(たとえばRTH=30(m) ) V<VTH(たとえばVTH=10(km/h)) MAX{|FRAi |}>ATH (たとえばATH=0.1g:g=9.8(m/sec2) ) |LA|>GTH(たとえばGTH=0.4g) ステップS4での判別の結果、回転周波数Fi をリジェ
クトしない場合には、当該判定周期ΔTにおける車両が
低速走行しているのか高速走行しているのかが調べられ
る(ステップS5〜S7)。
【0042】すなわち、車両の速度Vが所定のしきい値
TH(たとえばVTH=120(km/h) )未満であるか否かが
判別される(ステップS5)。その結果、車両の速度V
がしきい値VTH未満であると判別されると、車両は低速
走行であると判断され、速度カウンタ2eのカウント値
SRSCNTがインクリメントされる(ステップS
6)。一方、車両の速度Vがしきい値VTH以上であると
判別されると、車両は高速走行であると判断され、カウ
ント値SRSCNTはクリアされる(ステップS7)。
【0043】次いで、判定値Dが下記(16)式によって算
出される(ステップS8)。
【0044】
【数3】
【0045】ところで、ステップS3における車両の速
度V、横方向加速度LAおよび各タイヤWi の前後方向
加速度FRAi の算出では、初期補正が施された回転周
波数F1i が用いられている。一方、タイヤWi の回転
周波数Fi は、初期差異だけでなく、横方向加速度LA
および前後方向加速度FRAによっても変動する。した
がって、ステップS8で求められる判定値Dには、横方
向加速度LAおよび前後方向加速度FRAを含む変動要
因の影響が作用している。
【0046】そこで、ステップS8で算出された判定値
Dに対して、上記変動要因の影響を排除するための補正
が施される(ステップS9)。具体的には、下記(17)式
により補正値Cが求められる。そして、下記(18)式に示
すように、判定値Dから補正値Cが差し引かれる。これ
により、上記変動要因の影響が排除された新たな判定値
D′が取得される。
【0047】 C=α1×LA−α2×LA×FRA ‥‥(17) D′=D−C ‥‥(18) 上記(17)式において、α1およびα2はROM2cに予
め記憶されている係数である。係数α1およびα2は、
各タイヤWi が正常内圧であるとわかっているときに試
験走行を行って求められるものである。
【0048】その後、低速判定処理が実行される(ステ
ップS10)。また、車両が高速駆動走行をしているか
否かを判別され(ステップS11)、その結果車両は高
速駆動走行をしていると判別された場合には、さらに、
高速判定処理が実行される(ステップS12)。このよ
うに、車両が高速駆動走行をしている場合に2段階にわ
たって判定処理を実行するのは、「発明が解決しようと
する課題」の項でも説明したように、車両が高速駆動走
行をしているときには、たとえ空気圧が低下しているタ
イヤWiがあっても、判定値D′がほぼ0となってタイ
ヤWi はすべて正常内圧であると誤判定されるおそれが
あるからである。逆に言えば、高速駆動走行でない走行
である高速制動走行をしている場合には、判定値D′は
低速走行時のように比較的大きな値となり、低速判定処
理において空気圧低下を正確に判定できるからである。
【0049】低速判定処理は、車両の速度Vに無関係に
実行されるもので、算出された判定値D′に基づいてタ
イヤWi の空気圧が低下しているか否かを判定し、その
結果に応じて警報を発生させるための低速警報信号の出
力を許容または禁止する処理である。高速駆動状態であ
るか否かは、車両の速度Vおよび車両の前後方向加速度
FRAに基づいて判別される。すなわち、車両の速度V
が所定のしきい値VTH(たとえばVTH=120(km/h) )以
上であって、かつ車両の前後方向加速度FRAが所定の
しきい値ATH(たとえばATH=0g)以上である場合
に、車両は高速駆動走行をしていると判別される。
【0050】高速判定処理は、車両が高速駆動走行をし
ていると判別された場合にのみ実行されるもので、算出
された判定値D′を高速判定用に修正した判定値Cro
sPに基づいてタイヤWi の空気圧が低下しているか否
かを判定し、その結果に応じて警報を発生させるための
高速警報信号の出力を許容または禁止する処理である。
【0051】低速警報信号および高速警報信号は、表示
器3に与えられる。表示器3には、たとえば図2に示す
ように、4つのタイヤW1 ,W2 ,W3 ,W4 に対応す
る表示ランプが備えられている。表示ランプは通常消灯
されている。表示器3は、低速警報信号または高速警報
信号が与えられると、これに応答していずれかのタイヤ
に対応する表示ランプを点灯させる。
【0052】図4は、低速判定処理を説明するためのフ
ローチャートである。低速判定処理では、図3のステッ
プS9で算出された判定値D′に基づいて、下記(19)式
が満足されるか否かが判別される(ステップT1)。た
だし、下記(19)式において、DTH1 =DTH2 =0.1 であ
る。 D′<−DTH1 または D′>DTH2 ‥‥(19) この結果、判定値D′が上記(19)式を満足していると判
別されると、空気圧が低下しているタイヤWi があると
判断され、空気圧低下カウント処理に移行する(ステッ
プT2,T3)。空気圧低下カウント処理では、低速カ
ウンタ2fのカウント値C1 が上限値L1 未満であるこ
とを条件にしてインクリメントされる。上限値L1 を設
定しているのは、車両の走行状態や路面状態によって空
気圧が低下していると誤判定されている場合に、誤警報
の発生を迅速に停止させるとの観点から、カウント値C
1 を無限に増加させないためである。
【0053】一方、上記ステップT1での判別におい
て、判定値D′が上記(19)式を満足していないと判別さ
れると、タイヤWi はすべて正常内圧であると判断さ
れ、正常内圧カウント処理に移行する(ステップT4,
T5)。正常内圧カウント処理では、低速カウンタ2f
のカウント値C1 が下限値L2 よりも大きいことを条件
にしてデクリメントされる。下限値L2 を設定している
のは、車両の走行状態や路面状態によってタイヤWi
すべて正常内圧であると誤判定されている場合に、警報
を迅速に発生させるとの観点から、カウント値C1 を無
限に減少させないためである。
【0054】このように、低速カウンタ2fのカウント
値C1 は、空気圧が低下しているタイヤWi があると判
定された場合には増加し、タイヤWi はすべて正常内圧
であると判定された場合には減少する。したがって、当
該カウント値C1 に基づけば、タイヤWi の空気圧の状
況を的確に把握することができる。その後、低速判定処
理では、低速カウンタ2fのカウント値C1 が警報発生
しきい値N1 (たとえばN1 =L1 )以上であるか否か
が判別される(ステップT6)。その結果、カウント値
1 が警報発生しきい値N1 以上である場合には、空気
圧が低下しているタイヤWi は確実に存在すると判断さ
れ、低速警報信号の出力が許容される(ステップT
7)。
【0055】一方、カウント値C1 が警報発生しきい値
1 未満であれば、さらに、カウント値C1 が警報停止
しきい値N2 (たとえばN2 =L2 )以下であるか否か
が判別される(ステップT8)。その結果、カウント値
1 が警報停止しきい値N2よりも大きければ、空気圧
が低下しているか否かは不明であると判断され、処理は
終了する。一方、カウント値C1 が警報停止しきい値N
2 以下であれば、タイヤWi はすべて正常内圧であると
判断される。そのため、警報を停止させるために、無条
件に、低速警報信号の出力を禁止するようにすることが
考えられる。しかし、空気圧が低下しているタイヤWi
があっても、高速走行時には判定値D′が0近傍の値と
して求められる場合が多く、この場合にはタイヤWi
すべて正常内圧であると誤判定され、カウント値C1
警報停止しきい値N2 以下になっている場合がある。
【0056】そこで、この実施形態では、車両が所定時
間にわたって低速走行をしている場合にのみ低速警報信
号の出力を禁止させるようにしている。具体的には、速
度カウンタ2eのカウント値SRSCNTが所定のしき
い値N以上であるか否かが判別され(ステップT9)、
カウント値SRSCNTが上記しきい値N以上である場
合にのみ低速警報信号の出力が禁止される(ステップT
10)。
【0057】上記所定時間は、たとえば、車両が高速駆
動走行から低速走行に移行してから判定値D′がタイヤ
i の空気圧の状態をほぼ正確に表すようになるのに必
要な時間に設定される。すなわち、高速駆動走行から低
速走行に移行した直後には、車両の速度Vの影響が判定
値D′に強く残っており、空気圧が低下しているタイヤ
i があるのにタイヤWi はすべて正常内圧であると誤
判定するおそれがあるからである。
【0058】さらに、この実施形態では、この低速警報
信号とともに、高速警報信号の出力も禁止される(ステ
ップT10)。すなわち、高速判定処理において高速警
報信号の出力が許容された後タイヤWi に空気が補充さ
れ空気圧が低下していたタイヤWi が正常内圧に戻って
いる場合があり、このような場合に車両が低速走行をし
たとき、警報を確実に停止させる必要がある。
【0059】図5および図6は、高速判定処理を説明す
るためのフローチャートである。高速判定処理は、上述
のように、高速駆動走行時にのみ行われる。したがっ
て、高速判定処理が行われるときに算出された判定値
D′は、車両が高速駆動走行をしているときの値であ
る。高速判定処理は、図7に示すように、車両の速度V
が低いほど判定値D′はタイヤWi の空気圧の状況を正
確に反映した値となることに着目し、高速駆動状態で算
出された判定値D′に基づいて車両の速度Vが0である
場合における判定値CrosPを推定する。
【0060】そのための手法としては、最小2乗法が適
用される。この場合、図7に示すように算出された判定
値D′が多ければ多いほど、判定値CrosPを高精度
に推定することができる。しかし、推定に必要な判定値
D′を保持するためのRAM2dの容量を効率的に利用
することを考えれば、保持する判定値D′は極力少ない
方が好ましい。
【0061】そこで、本実施形態では、しきい値VTH
上の速度を所定の速度幅ΔV(たとえばΔV=10(km/
h))で区切って形成された複数の速度領域が設定され、
1つの速度領域に対して1つの代表値を取得するように
している。より具体的には、図5において、高速判定処
理では、算出された車両の速度Vに基づいて当該速度V
が属する速度領域が特定され、この特定された速度領域
に車両の速度Vおよび判定値D′が分類される(ステッ
プU1)。分類された車両の速度Vおよび判定値D′
は、従前までに分類されている速度Vおよび判定値D′
に累積加算される(ステップU2)。さらに、当該速度
領域に対応付けて備えられている分類個数カウンタ2h
のカウント値VCp がインクリメントされ(ステップU
3)、当該速度領域に分類された判定値D′の総数が記
録される。
【0062】その後、領域カウンタ2iのカウント値A
ddがクリアされ(ステップU4)、各速度領域の分類
個数カウンタ2hのカウント値VCp に基づいて、平均
値を算出し得る数の判定値D′を有する速度領域がいく
つあるかが調べられる(ステップU5〜U8)。すなわ
ち、任意の速度領域の分類個数カウンタ2hのカウント
値VCp が6以上であるか否かが判別される(ステップ
U5)。その結果、カウント値VCp が6未満であれ
ば、ステップU8にジャンプし、すべての速度領域を対
象としたか否かが判別される。その結果、未だ対象とし
ていない速度領域があれば、ステップU5に再度戻る。
【0063】一方、カウント値VCp が6以上であれ
ば、当該速度領域は、平均値を取得するのに必要な数の
判定値D′を有する速度領域であると判断され、当該速
度領域における車両の速度Vおよび判定値D′の平均値
がそれぞれ算出される(ステップU6)。これにより、
代表値が求められる。さらに、領域カウンタ2iのカウ
ント値Addがインクリメントされ(ステップU7)、
判定値D′の平均値が算出された速度領域の総数が記録
される。
【0064】その後、領域カウンタ2iのカウント値A
ddが3以上である否かが判別される(図6のステップ
U9)。その結果、カウント値Addが3未満であれ
ば、最小2乗法を適用するにはデータ不足であると判断
され、処理は終了する。一方、カウント値Addが3以
上であれば、最小2乗法を適用するのに十分な数のデー
タが取得されたと判断され、各速度領域に対応する判定
値D′の平均値に基づいて最小2乗法が適用される(ス
テップU10)。その結果、車両の速度Vが0の場合に
おける判定値CrosPが取得される。
【0065】より具体的には、カウント値Addが3で
ある場合、判定値D′の平均値の分布は、横軸(x軸)
を車両の速度、縦軸(y軸)を判定値とすれば、たとえ
ば図8に示すようになる。そこで、このような3点に回
帰処理を施すとともに最小2乗法を適用する。すなわ
ち、2次曲線y=ax2 +bと各点からy軸に平行にな
るように引いた半直線との間のそれぞれの長さの2乗の
和が最小になるような係数a,bを求める。このうち係
数bが判定値CrosPに相当する。
【0066】その後、この取得された判定値CrosP
に基づいて、空気圧低下の判定が行われる(ステップU
11〜U19)。具体的には、まず、下記(20)式を満足
するか否かが判別される(ステップU11)。ただし、
下記(20)式において、DHTH1=0.1 である。 |CrosP|≧DHTH1 ‥‥(20) その結果、上記(20)式を満足すると判別されると、空気
圧が低下しているタイヤWi があると判断され、低速判
定処理の場合と同様に、空気圧低下カウント処理に移行
する(ステップU12,U13)。すなわち、高速カウ
ンタ2gのカウント値C2 が上限値L3 (たとえばL3
=L1 )未満であることを条件にしてインクリメントさ
れる。一方、上記ステップU11での判別において、判
定値D′が上記(20)式を満足していないと判別される
と、タイヤWi はすべて正常内圧であると判断され、正
常内圧カウント処理に移行する(ステップU14,U1
5)。すなわち、高速カウンタ2gのカウント値C2
下限値L4 (たとえばL4 =L2 )よりも大きいことを
条件にしてデクリメントされる。
【0067】その後、高速判定処理では、高速カウンタ
2gのカウント値C2 が警報発生しきい値N3 (たとえ
ばN3 =L3 )以上であるか否かが判別される(ステッ
プU16)。その結果、カウント値C2 が警報発生しき
い値N3 以上である場合には、空気圧が低下しているタ
イヤWi は確実に存在すると判断され、低速警報信号の
出力が許容される(ステップU17)。
【0068】一方、カウント値C2 が警報発生しきい値
3 未満であれば、さらに、カウント値C2 が警報停止
しきい値N4 (たとえばN4 =L4 )以下であるか否か
が判別される(ステップU18)。その結果、カウント
値C2 が警報停止しきい値N 4 よりも大きければ、空気
圧が低下しているか否かは不明であると判断され、処理
は終了する。一方、カウント値C2 が警報停止しきい値
4 以下であれば、タイヤWi はすべて正常内圧である
と判断され、高速警報信号の出力が禁止される(ステッ
プU19)。
【0069】以上のように本実施形態にかかるタイヤ空
気圧低下検出装置によれば、車両が所定時間にわたって
低速走行している場合に限って、低速警報信号の出力の
禁止処理を行うようにしているから、低速走行時に空気
圧低下が検出された後に高速駆動状態に移行して判定値
D′が0近傍の値になったとしても、低速警報信号の出
力は禁止されずに許容されたままとなる。したがって、
空気圧が低下しているのに表示ランプが消灯するという
警報の誤消去を確実に防止できる。そのため、タイヤW
i の空気圧の状態をより正確にドライバに提供できる。
【0070】また、高速駆動走行から低速走行に移行し
た直後も判定値D′は0近傍の値にあるから誤判定しや
すい状況であるが、本実施形態では、低速走行に移行し
てから所定時間が経過するまで低速判定処理における警
報を消去させることはないから、警報の誤消去を防ぐこ
とができる。さらに、低速警報信号の出力を禁止すると
きには高速警報信号の出力も禁止するようにしているか
ら、たとえば高速判定処理で高速警報信号の出力が許容
されて表示ランプが点灯している状態において、タイヤ
i に空気が補充されて正常内圧に戻った後低速走行さ
せた場合でも、表示ランプを確実に消灯させることがで
きる。したがって、警報の誤発生を確実に防止できるか
ら、タイヤWi の空気圧の状態をより正確にドライバに
提供できる。
【0071】本発明の実施の一形態の説明は以上のとお
りであるが、本発明は上述の実施形態に限定されるもの
ではない。たとえば上記実施形態では、速度カウンタ2
eのカウント値SRSCNTは、車両の速度Vがしきい
値VTH未満であれば無制限にインクリメントされるよう
にされているが、たとえばカウント値SRSCNTがし
きい値Nに達した後は、たとえ車両の速度Vがしきい値
TH未満であっても、インクリメントしないようにして
もよい。すなわち、速度カウンタ2eのカウント値SR
SCNTが参照される低速判定処理では、カウント値S
RSCNTがしきい値N以上であるか否かがわかればそ
れで十分だからである。この構成によれば、速度カウン
タ2eに必要な記憶容量を0〜N−1だけカウントでき
る容量に抑えることができるから、RAM2dの容量を
節約できる。
【0072】その他、本発明の特許請求の範囲に記載さ
れた範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0073】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、車両が所
定時間にわたって低速走行している場合にのみ低速警報
信号の出力が停止されるから、たとえば空気圧が低下し
ているタイヤがある状態で車両が低速走行から高速駆動
走行に移行した場合、低速判定においてタイヤはすべて
正常内圧であると誤判定される場合でも、低速警報信号
は出力されたままとなる。したがって、警報の誤消去を
防止できる。そのため、タイヤの空気圧の状態をドライ
バに正確に提供できる。
【0074】また、低速警報信号の出力を停止するとき
には高速警報信号の出力も停止されるから、たとえば高
速判定処理で高速警報信号の出力が許容されている状態
において、タイヤに空気が補充されて正常内圧に戻った
後低速走行させた場合でも、高速警報信号の出力を確実
に禁止できる。したがって、警報の誤発生を防止でき
る。そのため、タイヤの空気圧の状態をより正確にドラ
イバに提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のタイヤ空気圧低下検出装
置の構成を示すブロック図である。
【図2】制御装置の内部の電気的構成を示すブロック図
である。
【図3】タイヤ空気圧低下検出処理を説明するためのフ
ローチャートである。
【図4】低速判定処理を説明するためのフローチャート
である。
【図5】高速判定処理を説明するためのフローチャート
である。
【図6】高速判定処理の続きを説明するためのフローチ
ャートである。
【図7】駆動タイヤの空気圧が低下している場合におけ
る車両の速度と判定値との関係を示すグラフである。
【図8】最小2乗法を適用して判定値CrosPを求め
る処理を説明するための図である。
【符号の説明】
1 車輪速センサ 2 制御装置 2b CPU 2c ROM 2d RAM 2e 速度カウンタ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両に装着されているタイヤの回転周波数
    を検出するステップ、 この検出された回転周波数に基づいて、タイヤの空気圧
    が低下しているか否かを判定するステップ、 この判定の結果、タイヤの空気圧が低下していると判定
    された場合、警報を発生させるための低速警報信号の出
    力を開始し、タイヤの空気圧が低下していないと判定さ
    れた場合には、車両の速度が所定時間にわたって予め定
    めるしきい値未満であるか否かを判別し、その結果、車
    両の速度が所定時間にわたって上記しきい値未満である
    と判別された場合には、低速警報信号の出力を停止する
    ステップ、 車両の速度が上記しきい値以上であって、かつ車両が駆
    動状態であるときに、上記検出された回転周波数に基づ
    いて、タイヤの空気圧が低下しているか否かを判定する
    ステップ、およびこの判定の結果、タイヤの空気圧が低
    下していると判定された場合、警報を発生させるための
    高速警報信号の出力を開始し、タイヤの空気圧が低下し
    ていないと判定された場合には、高速警報信号の出力を
    停止するステップ、を含むことを特徴とするタイヤ空気
    圧低下検出方法。
  2. 【請求項2】上記低速警報信号の出力を開始または停止
    するステップは、低速警報信号の出力を禁止するときに
    は、さらに、高速警報信号の出力を停止することを含む
    ことを特徴とする請求項1記載のタイヤ空気圧低下検出
    方法。
  3. 【請求項3】車両に装着されるタイヤの回転周波数を検
    出するための回転周波数検出手段と、 車両の速度を検出するための車速検出手段と、 車両が駆動状態であるか否かを判別するための駆動状態
    判別手段と、 上記回転周波数検出手段で検出された回転周波数に基づ
    いて、タイヤの空気圧が低下しているか否かを判定する
    ための低速判定手段と、 この低速判定手段での判定の結果、タイヤの空気圧が停
    止していると判定された場合、警報を発生させるための
    低速警報信号の出力を開始するための第1低速制御手段
    と、 上記低速判定手段での判定の結果、タイヤの空気圧が低
    下していないと判定された場合には、車両の速度が所定
    時間にわたって予め定めるしきい値未満であるか否かを
    判別し、その結果、車両の速度が所定時間にわたって上
    記しきい値未満であると判別された場合には、低速警報
    信号の出力を停止するための第2低速制御手段と、 上記車速検出手段で検出された車両の速度が上記しきい
    値以上であって、かつ上記駆動状態判別手段で車両は駆
    動状態であると判別されたときに、上記回転周波数検出
    手段で検出された回転周波数に基づいて、タイヤの空気
    圧が低下しているか否かを判定するための高速判定手段
    と、 この高速判定手段での判定の結果、タイヤの空気圧が低
    下していると判定された場合、警報を発生させるための
    高速警報信号の出力を開始するための第1高速制御手段
    と、 上記高速判定手段での判定の結果、タイヤの空気圧が低
    下していないと判定された場合には、高速警報信号の出
    力を停止するための第2高速制御手段とを含むことを特
    徴とするタイヤ空気圧低下検出装置。
  4. 【請求項4】上記第2低速制御手段は、さらに、高速警
    報信号の出力を停止させるものであることを特徴とする
    請求項3記載のタイヤ空気圧低下検出装置。
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