JPH1076305A - 圧延用リングロール - Google Patents

圧延用リングロール

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JPH1076305A
JPH1076305A JP23240996A JP23240996A JPH1076305A JP H1076305 A JPH1076305 A JP H1076305A JP 23240996 A JP23240996 A JP 23240996A JP 23240996 A JP23240996 A JP 23240996A JP H1076305 A JPH1076305 A JP H1076305A
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広之 木村
Yoshito Seto
良登 瀬戸
Hiroaki Katayama
博彰 片山
Takashi Shikata
敬 志方
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧延用リングロールにおけるリングの割れ防
止。 【構成】 ロール本体1に該本体の外周面に表面を露出
させて硬質リング2を装着した圧延用リングロールであ
って、硬質リング2は、外層3は超硬合金、内層4は鋳
鋼又は鋳鉄にて形成された2層構造であって、硬質リン
グの軸心を含み軸心に沿う断面において、硬質リング内
層4の断面積は硬質リングの全断面積の10〜50%であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、鉄鋼線材、棒材等の圧
延に使用されるリングロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】線材、
棒材等の圧延に用いられるロールとして、超硬合金を環
状に形成した硬質リングをロール本体に嵌めて機械的に
組み立てたリングロールが実施されている。
【0003】硬質リング全体を超硬合金で製作すること
は以下の問題がある。 超硬合金製リングは高価であり、コスト高を招来す
る。 超硬合金製リングは重量が嵩み、ロール本体への装着
作業性が悪い。 超硬合金製リングは靭性がないために、耐衝撃性に乏
しく、使用中の破損事故を招来する。 超硬合金製リングは焼嵌めによるロール本体への取付
けができない。 本発明は、硬質リングを2層構造とすることにより、上
記問題を解決できる圧延用リングロールを明らかにする
ものである。
【0004】
【課題を解決する為の手段】本発明の圧延用リングロー
ルは、ロール本体(1)の外周面に硬質リング(2)を装着
した圧延用リングロールであって、硬質リング(2)は外
層(3)と内層(4)の2層構造であって、外層(3)は超硬
合金にて形成され、内層(4)は硬質リングの軸心を含み
軸心に沿う断面において、硬質リングの全断面積の10〜
50%であり且つ全伸びが0.4%での引張応力が外層(3)
の破壊強度以下である鋳鋼又は鋳鉄にて形成されている
ことを特徴とする。
【0005】
【作用及び効果】硬質リングは、圧延材と接しないリン
グ内層(4)が超硬合金よりも安価な鋳鋼又は鋳鉄にて形
成されているため、リング全体を超硬合金にて形成した
ものよりも安価に製造でき、リングロール全体の製造コ
ストを低減できる。鋳鋼又は鋳鉄は超硬合金よりも軽量
であるため、リング全体を超硬合金にて形成したものよ
り軽量化が画れ、ロール本体(1)への装着作業性を向上
できる。鋳鋼又は鋳鉄は超硬合金に比べると靭性があ
り、リングに対する耐衝撃性を向上でき、使用中の破損
事故を防止できる。リング内層(4)は、鋳鋼又は鋳鉄で
あるから焼嵌めによるロール本体(1)への組込が可能と
なる。
【0006】内層(4)の断面積を硬質リング(2)の全断
面積の50%以下としたのは、この種リングは、通常肉
厚の1/2に摩耗するまで使用するため、50%以上とす
ると使用範囲にかかるためである。尚、リング外層(3)
の超硬合金は内層(4)の鋳鋼又は鋳鉄に比べて熱膨張係
数が小さいため、超硬合金を鋳込んでリングを製造する
際、冷却工程中に、外層(3)と内層(4)の熱膨係数の差
によって応力が発生し、内層(4)と外層(3)の境界部か
ら外層(3)に割れが生じる。例えば、硬質リング(2)の
軸心を含み軸心に沿う断面において、超硬合金製のリン
グ外層(3)と鋳鋼製のリング内層(4)の断面積が、50
%づつとすると、境界部に発生する剪断応力は約620MPa
(後記する計算式及び図4の表を参照)となる。超硬合金
の引張強度は600MPa以下であるため、この発生応力では
超硬合金製のリング外層(3)は破壊してしまう。
【0007】本発明では、硬質リング(2)の軸心を含み
軸心に沿う断面において、リング内層(4)の断面積は前
記理由によりリングの全断面積の50%以下とし、外層
(3)と内層(4)の熱膨張係数の差から得た全歪み量に対
応する内層(4)の全伸びが0.4%での発生応力が外層
(3)の超硬合金の材料強度を超えない様に、内層(4)の
材質を選択することにより、リングの破壊を防止でき
た。リング内層(4)の断面積がリングの全断面積の10%
以下となると、前記経済効果、軽量化等の効果が生じ難
い。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例につき、
図面に沿って詳述する。図1は、ロール本体(1)の外周
に複数の硬質リング(2)を嵌込み機械的に固定したリン
グロールの一例を示している。図2は、硬質リング(2)
の軸心を含み軸心に沿う断面を示している。
【0009】本発明の特徴は、硬質リング(2)は外層
(3)と内層(4)の2層構造であり、外層(3)は超硬合金
にて形成され、図2の断面において、内層(4)は硬質リ
ングの全断面積の10〜50%であり且つ全伸びが0.4%で
の引張応力が超硬合金の破壊強度以下になる鋳鋼材又は
鋳鉄材にて形成されている点である。
【0010】
【実施例】
[硬質リング] 寸法:外径φ210mm、内径φ120mm、幅長さ72mm 重量:19.5kg 製造条件: 外層(超硬合金製リング部材)に厚み10〜20μmのN
iメッキ(予熱加熱時の酸化防止のため) 外層を650℃に予備加熱(溶湯鋳造時の熱衝撃による
外層の割れ防止のため) 外層に対して溶融内層材料を鋳込んで静置鋳造し、
外層と内層を複合一体化、溶湯鋳込み温度は1640℃(外
層の超硬合金は1320℃付近で液相が発生するため、外層
との溶着のためには鋳込み温度は1400℃程度は必要)
【0011】[リング外層] 成分:WC75%+バインダー金属25% バインダー金属組成:Co 12%、Ni 12%、Cr 1%
(単位;重量%) 寸法:外径φ210mm、内径φ160mm 熱膨張係数:7×10-6(℃-1) 但し室温から600℃までの
平均熱膨張係数 引張強度:538MPa(圧裂試験) 重量:14.5kg
【0012】[リング内層] 寸法:外径φ160mm、内径φ120mm 熱膨張係数:14×10-6(℃-1) 但し室温から600℃まで
の平均熱膨張係数 引張強度:551MPa 塑性伸び:1.3% 全伸び0.4%の時の発生応力:415MPa 重量:5kg
【0013】
【参考例】
硬質リングを全て上記超硬合金にて形成した場合 引張強度:538MPa 重量:23.5kg
【0014】リング外層(3)の超硬合金は内層(4)の鋳
鋼又は鋳鉄に比べて熱膨張係数が小さいため、超硬合金
を鋳込んでリングを製造する際、冷却工程中に、外層
(3)と内層(4)の熱膨係数の差によって応力が発生し、
内層(4)と外層(3)の境界部から外層(3)に割れが生じ
る。
【0015】本発明では、以下の計算によって上記応力
を求め、硬質リング(2)の軸心を含み軸心に沿う断面に
おいて、リング内層(4)の断面積はリングの全断面積の
50%以下とし、全伸びが0.4%での引張応力が超硬合
金の破壊強度以下になる鋳鋼材又は鋳鉄材にて形成する
ことにより、内層(4)と外層(3)の境界部に発生する剪
断応力を外層(3)の破壊強度以下にでき、以てリングの
割れを防止できるものである。
【0016】[超硬合金と鋳鋼材の複合化に伴う応力発
生の計算]超硬合金と鋳鋼材を高温で複合一体化した
後、熱膨張差により冷却中に発生する応力を計算する。
超硬合金よりも鋳鋼材の方が熱膨張係数が大きいため、
冷却過程で超硬合金には圧縮、鋳鋼材には引張りの応力
が発生する。
【0017】鋳鋼材は600〜700℃でパーライト変態に伴
う膨張があるため、600℃以下での超硬合金と鋳鋼材と
の熱膨張差が問題となる。ここでΔT=600℃とする。
超硬合金と鋳鋼材の常温から600℃の間の平均熱膨張率
の差をΔα=7×10-5-1とすると全歪み量は ε=Δα・ΔT=0.42% (内層の材質の全伸び0.4%の
根拠)
【0018】今、軸方向の応力を求める。図3に示す様
に、常温になった時点での 超硬合金および鋳鋼材に発生する応力をσ,σ21は圧縮応力,σ2は引張応力) 超硬合金側および鋳鋼側の歪み量をε1,ε2 超硬合金および鋳鋼材のヤング率をE1,E2 超硬合金および鋳鋼材の断面積をS1,S2とすると、
【0019】
【数1】
【0020】上記の如く、本発明の圧延用リングロール
の硬質リングは、圧延材と接しないリング内層(4)が超
硬合金よりも安価な鋳鋼又は鋳鉄にて形成されているた
め、リング全体を超硬合金にて形成したものよりも安価
に製造でき、リングロール全体の製造コストを低減でき
る。鋳鋼又は鋳鉄は超硬合金よりも軽量であるため、リ
ング全体を超硬合金にて形成したものより軽量にでき、
ロール本体(1)への装着作業性を向上できる。鋳鋼又は
鋳鉄は超硬合金に比べると靭性があり、リングに対する
耐衝撃性を向上でき、使用中の破損事故を防止できる。
リング内層(4)は、鋳鋼又は鋳鉄であるから焼嵌めによ
るロール本体(1)への組込が可能となる。本発明は、上
記実施例の構成に限定されることはなく、特許請求の範
囲に記載の範囲で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】リングロールの一部を断面で表した正面図であ
る。
【図2】硬質リングの断面図である。
【図3】硬質リング内層と外層に発生する応力計算の説
明図である。
【図4】硬質リング内層と外層の断面積比率による剪断
応力の計算表である。 (1) ロール本体 (2) 硬質リング (3) 外層 (4) 内層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志方 敬 兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社ク ボタ尼崎工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロール本体(1)の外周面に硬質リング
    (2)を装着した圧延用リングロールであって、硬質リン
    グ(2)は外層(3)と内層(4)の2層構造であって、外層
    (3)は超硬合金にて形成され、内層(4)は硬質リングの
    軸心を含み軸心に沿う断面において、硬質リングの全断
    面積の10〜50%であり且つ全伸びが0.4%での引張応力
    が外層(3)の破壊強度以下である鋳鋼又は鋳鉄にて形成
    されていることを特徴とする圧延用リングロール。
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