JPH1073583A - 洗浄液の評価方法、濃度測定方法、および管理方法 - Google Patents

洗浄液の評価方法、濃度測定方法、および管理方法

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JPH1073583A
JPH1073583A JP8247241A JP24724196A JPH1073583A JP H1073583 A JPH1073583 A JP H1073583A JP 8247241 A JP8247241 A JP 8247241A JP 24724196 A JP24724196 A JP 24724196A JP H1073583 A JPH1073583 A JP H1073583A
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cleaning liquid
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liquid
detergent
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JP8247241A
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Kazuichi Aoki
和一 青木
Takuo Sakagami
卓穂 坂上
Yukihiro Saeki
幸弘 佐伯
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗浄液の洗浄能力を短時間で、かつ正確に評
価できる方法を提供する。 【解決手段】 洗浄液のpHを洗浄操作の前後で測定
し、それらの差ΔpHを指標値として洗浄液の洗浄能力
を評価する。洗浄液の洗浄能力の評価は、指標値ΔpH
と、洗浄液の総アルカリ度Mと活性アルカリ度Pとの比
であるアルカリ比M/Pの洗浄操作の前後における差Δ
M/Pとの相関関係に基づいて行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば食品工業や
医薬工業、紙パルプ工業など各種産業における生産設備
を洗浄するために使用される洗浄液の洗浄能力を評価す
る方法に関する。本発明によれば、洗浄液の洗浄能力を
正確に評価することによって、洗剤の添加時期や洗浄液
の交換時期を適格に判断でき、洗浄液を有効に管理する
ことができるようになる。
【0002】
【従来の技術】食品工業や医薬工業、紙パルプ工業など
の各種産業に用いられる生産設備は、原料貯蔵設備、搬
送設備、加熱設備、冷却設備、加圧設備、加工処理設
備、充填設備、これらを結合する配管設備などで構成さ
れている。これらの設備を稼働して製品を製造すると
き、製品の加熱による成分の変性や灰分の付着、堆積や
加熱による焦げつき、気泡の混入、流動変動など各種の
要因により設備内に汚れが生じる。そして、この汚れは
設備の能力低下や製品の細菌汚染などの原因となるた
め、定期的な洗浄操作が一般に行われている。
【0003】設備が小規模であれば各機器を分解して人
為的に洗浄できるが、設備が大規模である場合は、洗浄
作業の効率化のため、設備内に洗浄液を循環させて洗浄
が行われている。この場合、使用される洗浄液としては
アルカリ洗剤液、酸洗剤液、中性洗剤液などが代表的で
ある。
【0004】洗浄液の循環による洗浄は、洗剤を溶解し
た洗浄液を設備内に循環させることによって、汚れを洗
浄液に接触させて管路内壁などから剥離させ、その汚れ
を洗浄液中に混入させて回収することにより、生産設備
の洗浄を行う。このため、洗浄液を溜めておく貯留タン
クなどを備えた洗浄設備が生産設備と結合して別個に配
置されている。そのような設備は、一般にはCIP設備
と称されている。CIPとはCleaning in
P1ace(定置洗浄)の略である。CIPは、タン
ク、パイプ、プロセスラインなどを分解したり取り外し
たりすることなしに、設置した状態のままで洗浄液を循
環させて設備を洗浄することを意味している。
【0005】一般に、食品を製造するCIP設備の洗剤
としては、酸性洗浄液とアルカリ性洗浄液が組み合わせ
て用いられ、それら酸性洗浄液とアルカリ性洗浄液を設
備内に交互に循環させている。そのため、洗浄液の貯留
タンクは複数配置される。また、洗浄後に設備内に残っ
た洗浄液を濯ぐために(リンス洗浄のために)、設備内
に清水を導入する清水ラインや清水タンクも設置され
る。通常は、洗浄液は循環して再利用させるが、清水は
設備内を濯いだ後に排水されるか、もしくは、一定以上
に汚染するまで再利用された後排水される。この排水を
洗浄液の原水として利用する場合もある。
【0006】通常、CIP設備では各洗浄液の循環時間
などは経験的に把握されており、所定の時間洗浄に使用
された洗浄液は、洗浄液貯留タンク内に静置され、これ
により、洗浄液中の汚れ分が沈殿して洗浄液貯留タンク
下部に堆積する。このままでは次回の洗浄に際して汚れ
を生産設備内に持ち込んでしまうので、貯留タンク下部
から汚れの濃い部分を排出し、清水を添加し、洗浄効果
が補償される一定の濃度まで洗剤を追加溶解している。
また特に、洗浄液の活性が低下し、洗浄能力が消失した
と判断される場合には、洗浄液を新しいものに全部交換
することが行われる。
【0007】洗浄液の洗浄能力は製造設備の洗浄効果に
も影響し、ひいては製品の品質にも影響するので大変重
要である。CIP設備では、洗浄効果の信頼性を維持
し、一方で洗浄液を有効利用するために、頻繁に洗浄液
の洗浄能力を測定し、その評価を行っている。その具体
的方法として、従来、洗浄液の光透過度を指標として汚
れ成分の混入具合を判定する方法、洗浄液の電導度を指
標として洗浄液の汚れ具合を測定する方法などが知られ
ている。
【0008】特にアルカリ洗浄液の洗浄能力を評価する
方法としては、従来から洗剤として有効なアルカリ成分
の量(活性アルカリ度P)と洗浄液中の全アルカリ成分
の量(総アルカリ度M)を測定して、比率(アルカリ比
M/P)を求め、このアルカリ比M/Pを洗浄力の指標
値とする方法が知られている。
【0009】しかし、活性アルカリ度Pや総アルカリ度
Mの測定は、作業員が手作業で試薬を用いながら行って
いた。このため、測定の信頼性を確保するには分析回数
が増え、また、測定に長時間を要するものであった。
【0010】ここで、特開平5−18937号公報に開
示された「洗剤のサンプリング方法」は、塩素系有機溶
剤の劣化をpH値測定で知る方法である。具体的には、
この方法は、劣化度合いの測定時に溶剤温度が測定結果
を不安定にすることを解決するために、サンプリングし
た洗剤を希釈することを特徴としている。この発明は、
洗剤の劣化度合いの評価方法にpH値を使用している。
【0011】また、特開平6−34621号公報に開示
された「洗浄評価法」は、洗浄した処理物の表面に洗剤
が残留していないかどうかを、pH指示薬のアルコール
溶液と水で構成される検査液を処理物に塗布して比色法
によって検査する方法である。この方法は、洗浄液の残
留を発見する方法であって、洗浄液の劣化や洗浄力を評
価する方法ではないが、pHの変化を視覚的に利用して
いる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、CIP洗浄
では洗浄液を循環使用するために汚れの溶解や混入によ
る洗浄能力の低下は避けられない。また、汚れ成分は循
環されることによって設備内に再付着し、細菌汚染や機
器能力の低下の要因となり、製品の品質に悪影響を及ぼ
すため、洗浄液の洗浄能力を正確に管理して洗浄液を常
に調整しておく必要がある。また、適宜洗浄液を交換し
なければならない。この交換時期は、製造する製品によ
って異なるが、その他、地域の水の成分や利用する洗浄
液の種類、製造機器の運転条件などによって異なる。そ
して、従来一般的には一定回数循環使用した洗浄液は交
換している。
【0013】しかし、洗浄液は洗浄能力がある限り再利
用して、洗剤の有効利用をはかることが好ましい。ま
た、交換時期が長くなればそれだけ清水の使用量も減
り、コスト低減となる。更に、排水設備の負荷を軽減で
き、廃水処理も少なくて済むようになる。
【0014】本発明の目的は、洗浄液の洗浄能力を短時
間で、かつ正確に評価できる方法を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、洗浄
液のpHを洗浄操作の前後で測定し、それらの差ΔpH
を指標値として洗浄液の洗浄能力を評価する方法であ
る。この方法において、請求項2に記載したように、洗
浄液の洗浄能力の評価は、前記指標値ΔpHと、洗浄液
の総アルカリ度Mと活性アルカリ度Pとの比であるアル
カリ比M/Pの洗浄操作の前後における差ΔM/Pとの
相関関係に基づいて行うことができる。また、請求項3
に記載したように、洗浄液は、例えばアルカリ洗剤であ
る。
【0016】また、請求項4の発明は、洗剤溶解洗浄液
の導電率を洗浄操作の前後で測定し、その差をΔ導電率
という指標値とし、洗浄操作後の洗浄液に混入する汚れ
成分の影響による導電率の変化を利用して洗浄液の濃度
が洗浄に使用可能な濃度範囲にあることを判定する洗浄
液の濃度測定方法である。
【0017】請求項5の発明は、洗浄溶解洗浄液の貯留
槽にpH測定器と導電率測定装置を配置し、洗浄操作の
たびに請求項2記載の方法により洗浄液の洗浄力を評価
し洗浄力回復のための洗浄液の調整を必要に応じて行な
い、洗浄操作の回数が一定以上に達した時請求項4の方
法で洗浄液の濃度を測定しその濃度が使用可能な範囲外
に達した時、洗浄液を全量更新する洗浄液の管理方法で
ある。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形
態にかかる評価方法を実施する一例としての、牛乳の加
熱殺菌機1に対する洗浄システムを示している。
【0019】加熱殺菌機1は、ヒータープレート2に面
して形成された流路3を備えており、この流路3内に牛
乳を通過させ、ヒータープレート2で加熱することによ
り、牛乳を殺菌することができる。流路3の入口4に
は、三方弁5の切換操作によって回路6から牛乳が導入
されるようになっている。また、流路3の出口7から出
た殺菌済みの牛乳は、三方弁8の切換操作によって回路
9に導入されるようになっている。
【0020】また、三方弁5と三方弁8には、回路10
と回路11がそれぞれ接続されている。回路10の最も
上流側はタンク12の底部に開口している。このタンク
12内には洗浄液13が入れられている。洗浄液13
は、例えばアルカリ洗剤などである。一方、回路11の
最も下流側はタンク12の上方において開口している。
【0021】タンク12の側面には、洗浄液のpHを測
定するためのpHセンサ15と、洗浄液の導電率を測定
するための導電率センサ16が装着されている。また、
回路10には、ポンプ17、流量計18、温度計19、
加温装置20、温度計21が流れの順に従って配置され
ている。
【0022】そして、加熱殺菌機1において牛乳を殺菌
する場合は、三方弁5、8の切換操作によって回路6か
ら流路3の入口4に牛乳を導入し、流路3の出口7から
出た牛乳を回路9に導入する状態にする。これにより、
流路3内を通過させる間にヒータープレート2で加熱す
ることにより、牛乳を殺菌することができる。
【0023】一方、このような牛乳の殺菌を長時間行う
と、流路3の内壁において牛乳の付着、焦げつき、など
といった各種の要因により汚れが生じる。かかる汚れを
放置したのでは、加熱殺菌機1の能力低下や牛乳の細菌
汚染などの原因となる。そこで、定期的に加熱殺菌機1
を洗浄しなければならない。
【0024】この洗浄を行う場合は、先ず三方弁5、8
の切換操作によって流路3の入口4に回路10を連通さ
せ、流路3の出口7に回路11を連通させた状態にす
る。そしてポンプ17を稼働させて、タンク12内の洗
浄液13を回路10から加熱殺菌機1の流路3内に導入
し、洗浄を開始する。また、流路3内を通過した洗浄液
13は回路11を経て、再びタンク12内に戻す。こう
してタンク12内の洗浄液13を流路3内に一定の時間
循環させることによって、流路3の内壁に付着した牛乳
成分や焦げつきなどの各種の汚れを除去した後、ポンプ
17の稼働を停止する。更に、図示しない供給手段によ
って流路3内に清水を供給して濯ぎを行い、洗浄操作を
終了する。この洗浄操作の終了後、再び三方弁5、8の
切換操作によって回路6から流路3の入口4に牛乳を導
入し、流路3の出口7から出た牛乳を回路9に導入する
ことにより、ヒータープレート2の加熱で牛乳を殺菌す
る。
【0025】さて本発明の実施の形態にあっては、以上
のような工程に従って加熱殺菌機1を洗浄するに際し、
洗浄液13の洗浄能力を評価して洗浄液の交換の時期を
正確に把握しておくことにより、洗剤の有効利用をはか
る。ここで、特にアルカリ洗浄液などの洗浄能力を評価
する方法としては、従来から活性アルカリ度Pと総アル
カリ度Mを測定して求めたアルカリ比M/Pを洗浄力の
指標値とする方法が知られている。例えば洗浄操作の前
後において測定されるアルカリ比の差ΔM/Pによって
洗浄能力を評価することにより、洗浄液13の交換の時
期を正確に把握することが可能である。しかし、このア
ルカリ比M/Pを求める方法は測定が容易でなく、また
長時間を要する。
【0026】ここで、後に示すように、本発明者らは、
洗浄操作の前後で測定される洗浄液13のpHの差であ
る指標値ΔpHが、アルカリ比の差ΔM/Pと一定の相
関関係を有することを見い出した。そこで本発明では、
洗浄操作の前後においてpHセンサ15により洗浄液1
3のpHを測定してこの指標値ΔpHを求め、その相関
関係に基づいて差ΔM/Pを求めて洗浄液13の洗浄能
力を評価する。具体的には、タンク12に装着したpH
センサ15を用いて洗浄液13のpHを洗浄操作の前後
で測定する。そして、洗浄操作を開始する前に測定した
洗浄液13のpHと洗浄操作を終了した後に測定した洗
浄液13のpHとの差ΔpHを指標値とし、この指標値
ΔpHとアルカリ比の差ΔM/Pとの相関関係に従って
求めたアルカリ比の差ΔM/Pから、洗浄液13の洗浄
能力を評価する。
【0027】かかる方法によれば、洗浄液13のpHは
pHセンサ15によって短時間で容易に測定することが
できるので、従来のアルカリ比M/Pを測定する方法に
比べて極めて短時間で、かつ簡単に洗浄液13の洗浄能
力を評価することが可能となる。なお、洗浄液13の成
分や環境、特に生産設備で生産する製品の違いやその土
地における水の成分の違いなどによって、この指標値Δ
pHとアルカリ比の差ΔM/Pとの相関関係は変化する
ので、実際に洗浄を行う前に両者の相関関係を調べてお
くことが好ましい。適切なM/P比は、通常は洗浄液1
3の劣化を表すBOD値、COD値、不溶解物濃度など
の測定値も加味して決定される。また、pHの測定は、
アルカリ洗剤の場合には汚れ成分がCO3の状態で存在
し、pH値と炭酸の一般的な形態から汚れ成分が洗剤の
pHを低下させるように働くことから、洗剤のpHは汚
れ度合いと関係しており、指標値として利用できること
が分かる。
【0028】例えば洗浄操作を開始する前にアルカリ比
M/Pが1であった洗浄液13が、洗浄操作を終了した
後にアルカリ比M/Pが1.1になった時に(差ΔM/
Pが0.1になった時に)洗浄液13を交換すると判断
する場合であれば、指標値ΔpHに基づいてアルカリ比
の差ΔM/Pが0.1になった時を交換時期と判断す
る。
【0029】通常、洗浄操作を数回行うと汚れや油分な
どが洗浄液13中に混入するため、洗浄液13の濃度は
次第に高くなっていく傾向にある。特に、図示のように
回路10、11や加熱殺菌機1の流路3内に洗浄液13
を循環させて洗浄を行う場合は、バルブや機器の形状に
よって洗浄液13が停滞する箇所が生じやすい。そのよ
うに停滞した洗浄液13は製品の品質劣化に結び付くの
で、洗浄液13の濃度が高くなることは好ましくない。
そこで、洗浄液13の洗浄能力の評価とは別に洗浄液1
3の濃度も併せて管理することが望ましい。
【0030】洗浄液13の濃度を測定する方法としては
種々の方法が考えられるが、図示の形態では、タンク1
2に装着した導電率センサ16を用いて洗浄液13の導
電率を測定し、その測定した導電率に基づいて洗浄液1
3の濃度を予測している。洗浄液13の導電率から濃度
を直接的に求めることはできないが、洗浄液13の導電
率に基づいて濃度の変化の推移を計測することは可能で
ある。洗浄液13の濃度があまり高くなると、洗剤を添
加しても洗浄液13の活性を回復できないことも考えら
れる。従って、導電率を測定して濃度を管理することが
好ましい。
【0031】洗浄液13の濃度の変化の推移は、洗浄液
13の生成時に測定した導電率と、洗浄操作を行った後
に測定した導電率との差を用いて間接的に推測すること
もできるが、洗浄操作の前後に測定した洗浄液13の濃
度の差である△導電率を求めて、その値から洗浄操作毎
の濃度変化を推測することもできる。洗浄液13は、洗
浄操作のたびに押し出し水や洗い水の混入して濃度が低
く変化する場合もあり、機器によっては洗浄液13中の
水分が蒸発して濃度が高く変化する場合もある。このよ
うに洗浄液13は種々の要因で濃度変化を起こしやす
く、一方で洗浄液13の濃度は、人間の視覚や触感では
判断しにくい。洗浄液13の濃度を簡単に測定する方法
があれば、洗浄液13への汚れ成分の異常な混入による
機器への汚れ再付着を防止でき、細菌汚染などといった
事故を防止することができるようになる。
【0032】なお後に図3において示すように、導電率
は洗浄液13の活性力とは関係がなく、洗浄液13中へ
の汚れ成分の混入度合いと関係して変化していることが
理解される。このように導電率は、洗浄液13中への汚
れ成分の混入に伴う濃度変化によって変化しているの
で、洗浄液13の濃度変化を推測する指標値として利用
する。一般的には濃度が高くなっても、まだ洗浄活性力
がある場合は希釈して濃度を低下させれば洗浄液13を
継続して使用できる。しかし、洗浄液13中に洗剤を添
加しても洗浄活性力の回復が小さく、しかも、洗浄液1
3の濃度が一定範囲以上に低くなったり高くなったりし
た場合は、もはや洗浄液13の全量交換時期と判断する
のが妥当である。
【0033】本発明では、洗浄剤や水の成分など地域に
よる差の影響を加味して、地域ごとに洗浄液13の活性
力の低下状況との関係から経験的に判定される洗浄回数
限界を、洗浄液13の濃度に基づいて最も適当な時期に
判断することを目的としている。本発明における洗浄液
13の濃度検出は、通常行われている濃度測定の意味と
は異なり、洗浄液13を全量交換する時期を判断するた
めのものであり、先に説明したアルカリ比M/Pと同時
に洗浄液13の濃度を調べて、洗浄液13の状態を総合
的に判断するのがよい。
【0034】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって説明する。
【0035】洗浄液の一例として、苛性ソーダ、重合リ
ン酸塩、界面活性剤、有機キレート剤を成分とする強ア
ルカリ洗浄液(製品名:エクリン110F)を用いて実
験を行った。この洗浄液に汚れ成分として乳酸を添加
し、アルカリ比M/Pの異なる洗浄液を作成し、それぞ
れの洗浄液を用いて汚れを洗浄し、各洗浄液についてp
Hと導電率を測定した。汚れは、面積100cm2のス
テンレス板上に低脂肪乳を45ml焦げ付かせて作り出
した。この板上に温度68℃の洗浄液を流量5リットル
/分で20分間循環させて洗浄した。そして、洗浄の前
後におけるpHと導電率とアルカリ比M/Pを測定し、
それぞれの差ΔpH、Δ導電率およびΔM/Pを求め
た。なお、pHと導電率は一般に市販されている測定装
置で測定した。
【0036】図2に、各洗浄液におけるΔpHとΔM/
Pの関係を示す。ΔpHとΔM/Pの間には比例関係が
あることが分かる。この実施例では、ΔpHとΔM/P
との関係は、 ΔpH = 0.908ΔM/P + 0.084 の近似式で表せることが分かった。相関係数rは、0.
97となった。
【0037】この実施例により、ΔpHとΔM/Pには
一定の相関性があり、従って、ΔpHを測定するだけで
ΔM/Pを求めることができて洗浄液の洗浄能力を把握
できことが証明された。
【0038】図3に、各洗浄液におけるΔ導電率とΔM
/Pの関係を示す。この図3から分かるように、洗浄操
作の前後で洗浄液のΔM/Pが変化しているのに対し、
Δ導電率の変化は見られない。これは、Δ導電率は洗浄
操作の前後における洗浄液中の溶解物の総体的な濃度を
測定してしまうためと考えられる。
【0039】次に、実際のCIP洗浄設備における実施
例を説明する。
【0040】図4に、実施例に使用したCIP設備(食
品加工設備)30の概略を示す。このCIP設備30
は、4m3容量の洗浄液タンク31から、切換バルブ3
2を介して配管33で接続される送液ポンプ34の動力
によって洗剤液35を食品加工機器36に送液し、通常
は洗浄後の洗剤液35は切換バルブ37を介して洗浄液
タンク31に戻して循環する。この洗剤液35の循環に
よって、食品加工機器36の汚れが洗剤液35中に剥
離、溶解する。一方、配管40にて導入される清水を、
切換バルブ32および配管33を介して食品加工機器3
6に送液することも可能である。この清水の供給によっ
て、蒸発などによる水分の損失などを補充したり、ま
た、食品加工機器36と配管33などにおける洗剤液3
5の残留を除去するための清水押し出しを行うことがで
き、更に、洗剤液35の全量入れ替え時には、新しい洗
剤液35を作成するために洗浄液タンク31への水補給
に利用される。サブタンク41は洗剤液35を廃棄する
際のアキュムレータとして機能するほか、洗剤液35の
廃棄時における排水設備負荷軽減のための保留タンクで
もあり、廃棄時は一度に廃棄して排水処理設備の生物を
死滅させないよう徐々に廃棄するため洗剤液35を一旦
保留しておく。排液ライン42は洗剤液35が配管33
中に残留しないように清水押し出しをした際に、余分に
なった押し出し水が洗剤液タンク31に入ることを防止
するためのものである。
【0041】洗浄液タンク31には導電率計45とpH
計46が設けてある。導電率計45は洗浄液タンク31
の自由な位置に取り付けて良いが、pH計46は計測部
分の汚れを洗浄して計測値の誤差を防止できるように、
取り外し可能な位置に取り付けるのがよい。洗剤液35
は、例えば理工協産製のエクリン110号Fなどを水に
溶解させて4%溶液としたアルカリ洗剤液があげられる
が、生産設備の種類や加工食品の種類によって洗剤の種
類も濃度も経験的に変えているのが一般的である。ま
た、酸洗剤液など他の洗剤を循環洗浄に使用する場合も
ある。
【0042】実施例では、このCIP設備30におい
て、酸洗剤洗浄を20分実施し、清水押し出ししてアル
カリ洗剤洗浄を30分行い、清水押し出しして洗浄を終
了した。なお、この洗剤の順番や循環時間は設備や加工
食品の種類によって経験的に異なるものである。この2
0分間の酸洗剤洗浄、清水押し出し、30分間のアルカ
リ洗剤洗浄、清水押し出し、からなる洗浄サイクルを洗
浄液35の使用回数1回と数え、洗浄液35の使用回数
と劣化の関係を調べたところ、表1に示す関係が得られ
た。
【0043】
【表1】
【0044】4回目と9回目に洗浄液35のM/P比の
回復が見られるのは、その間に洗剤の補充などの調整が
行われたためである。
【0045】また、洗浄回数が4回、14回、25回の
時点においてpHとΔ導電率を求めたところ表2のごと
くなった。
【0046】
【表2】
【0047】△M/P比は、使用回数0のときのM/P
比との差を100倍した値で示したが、1回当たりの汚
れ度合いを知りたい場合は、循環洗浄前の値との差を使
用してもよい。
【0048】この結果は、先に図2、3で示した相関係
数に近い状況で測定できたものだが、14回目の洗浄液
は△M/P比率から考察してM/P比は1.052以上
に達しており、汚れ度合いが進行しているが、導電率が
低いことからまだ洗浄能力は存在していると判断でき
た。しかし、25回目になると△M/P比が1.4にな
りM/P比は1.055以上に達していることが解った
ほか、導電率も60を超えて洗浄能力が評価できないほ
ど低下したことを示している。また、洗浄液の濃度が総
合的に上昇し、他の洗浄液の評価要因であるCODやB
ODも悪化していることが予測でき、全量交換の時期と
判断された。なお、CODやBODは洗浄液の洗浄力を
総合的に判断するときに測定されるもので、特に洗浄液
の悪化を示す基準はないが、経験的にそれらの値の低下
や上昇から、洗浄液中での汚れ成分の増加による洗浄力
の低下を示すものとして利用されている。
【0049】この実施例の結果から、Δ導電率は洗浄液
の濃度管理に役立つことが解る。なお、ΔpHとΔ導電
率およびΔM/Pの間に以上に示したような関係がある
理由は、pHの変動は酸消費量に依存し、導電率の変動
はイオンの変動に依存しているからであり、洗浄液中に
汚れ成分が混入することによって酸消費や陰イオン増加
による変動が生じるためと考えられる。洗浄液の洗浄能
力が低下した場合は洗剤を添加すればよいが、あまり大
量の洗剤を添加すると洗浄液の濃度が高くなり過ぎて不
都合が生じるので、洗浄液の濃度をΔ導電率で管理する
ことが好ましい。
【0050】その他、pH計や導電率計はCIP設備の
洗浄液タンク内に設けてバッチ的に測定する方法でもか
まわないが、洗浄液の送り管と戻り管に設けてリアルタ
イムに管理することもできる。また、測定値を自動的に
判断して警報を出したり、洗浄剤を自動添加するように
構成することも可能である。特に本発明方法を用いれば
洗浄液の遠隔監視や遠隔調整が可能になる。
【0051】なお、洗浄液の調整は人為的方法として、
洗浄液タンクに直接洗剤を添加する方法と、予備に高濃
度の溶解洗剤液を生成し、これを適量添加する方法があ
る。一般には後者の方法がとられる。その場合、添加量
は経験則によっている。
【0052】従来、洗浄液を人為的に管理していたころ
は洗浄液の色の変化によって判断していた。その後、M
/P比を利用して洗浄液の活性力を測定する方法が採用
されるようになって、洗浄液は20回前後繰り返し使用
されるようになった。これが更に、汚れ成分の分離技術
を併用すると60〜80回まで利用できることが最近に
なって判明している。地域や洗浄を目的とする設備の状
況によって洗浄液の全量交換が必要な洗浄液の利用回数
は異なるものである。本発明によれば、洗浄液の利用回
数、洗浄液の活性力、および濃度によって総合的に判定
し、洗浄液を交換する必要があるか、希釈調整して再利
用が可能か、等を判断する。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、洗浄液の洗浄能力を洗
浄液のpHを測定するだけで評価できる。洗浄液のpH
は、総アルカリ度Mや活性アルカリ度Pに比べて容易に
かつ短時間で測定できるので、洗浄液の洗浄能力を著し
く簡単に把握できるようになる。このため洗浄液の節
減、洗浄水の節減、排水処理設備への負荷低減などとい
った省力化メリットが多大である。なお、本発明の評価
方法を最良に実現しえる洗浄液はアルカリ洗浄液である
が、酸性洗浄液や中性洗浄液においても有利な効果があ
ると考えられる。また、本発明によれば、洗浄液の濃度
変化を知ることによりその交換時期を知ることができ
る。更に本発明によれば、洗浄液の管理を機械化するこ
とも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】牛乳の加熱殺菌機に対する洗浄システムの説明
図である。
【図2】洗浄液におけるΔpHとΔM/Pの関係を示す
グラフである。
【図3】洗浄液におけるΔ導電率とΔM/Pの関係を示
すグラフである。
【図4】実施例に使用したCIP設備の概略図である。
【符号の説明】
1 加熱殺菌機 2 ヒータープレート 3 流路 4 入口 5、8、10、11 三方弁 6、9 回路 7 出口 12 タンク 13 洗浄液 15 pHセンサ 16 導電率センサ 17 ポンプ 18 流量計 19、21 温度計 20 加温装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 洗浄液のpHを洗浄操作の前後で測定
    し、それらの差ΔpHを指標値として洗浄液の洗浄能力
    を評価する方法。
  2. 【請求項2】 洗浄液の洗浄能力の評価は、前記指標値
    ΔpHと、洗浄液の総アルカリ度Mと活性アルカリ度P
    との比であるアルカリ比M/Pの洗浄操作の前後におけ
    る差ΔM/Pとの相関関係に基づいてなされる請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 洗浄液は、アルカリ洗浄液である請求項
    1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 洗剤溶解洗浄液の導電率を洗浄操作の前
    後で測定し、その差をΔ導電率という指標値とし、洗浄
    操作後の洗浄液に混入する汚れ成分の影響による導電率
    の変化を利用して洗浄液の濃度が洗浄に使用可能な濃度
    範囲にあることを判定する洗浄液の濃度測定方法。
  5. 【請求項5】 洗浄溶解洗浄液の貯留槽にpH測定器と
    導電率測定装置を配置し、洗浄操作のたびに請求項2記
    載の方法により洗浄液の洗浄力を評価し洗浄力回復のた
    めの洗浄液の調整を必要に応じて行ない、洗浄操作の回
    数が一定以上に達した時請求項4の方法で洗浄液の濃度
    を測定しその濃度が使用可能な範囲外に達した時、洗浄
    液を全量更新する洗浄液の管理方法。
JP8247241A 1996-08-29 1996-08-29 洗浄液の評価方法、濃度測定方法、および管理方法 Withdrawn JPH1073583A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016080597A (ja) * 2014-10-20 2016-05-16 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 W/oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法、およびw/oマイクロエマルション型洗浄剤の管理装置
WO2022039116A1 (ja) * 2020-08-21 2022-02-24 ファナック株式会社 監視装置および監視方法

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