JP2016080597A - W/oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法、およびw/oマイクロエマルション型洗浄剤の管理装置 - Google Patents

W/oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法、およびw/oマイクロエマルション型洗浄剤の管理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易かつ正確にW/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水の状態を判定できるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法および管理装置を提供する。【解決手段】W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法は、使用中の前記W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率を測定し、得られた導電率と、未使用のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率とにより相対導電率Rを算出し、算出した前記W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の前記相対導電率が0.30以上で洗浄を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の洗浄方法に関し、特に、自動車、機械、精密機器、電気、電子、光学等の各種工業分野において扱われる部品に付着した、極性の低い汚れと極性の高い汚れが複合した汚れを洗浄して除去することができるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法に関する。
自動車、機械、精密機器、電気、電子、光学等の各種工業分野において扱われる部品(以下、「部品」という)は、その加工の際に、(i)鉱物油等を主体とする非水溶性加工油、鉱物油等に界面活性剤を加えて水に乳化させた水溶性加工油等、極性の低いものから極性の高いものまで様々な加工油、(ii)微粒子などが使用される。特に、切削や研削加工などを中心に水溶性加工油が多く使用されており、また、複数の加工工程を経て製造される部品には、工程毎に使用される加工油も異なるため、極性の低いものから極性の高いものまで様々な汚れが複合して付着する場合が多い。
このような極性の低いものから極性の高いものまで様々な汚れが複合して付着した部品を洗浄する用途に、水と溶剤と界面活性剤から成る洗浄剤が開発されている(例えば、特許文献1及び2)。
特許文献2に記載されるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤において、水と界面活性剤は1〜100nm程度の平均粒径の逆ミセルを形成して溶剤中に分散し(以下、「可溶化」という)、全体として透明な液体状を成しており、長期間放置しても層分離することがない熱力学的に安定な系(以下、「マイクロエマルション」という)となっている。
特許文献2に記載されるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤において、極性の低い汚れは溶剤に溶解し、極性の高い汚れは逆ミセルを形成している水に溶解すると考えられる。W/Oマイクロエマルション型洗浄剤に汚れが蓄積されるに連れて、逆ミセルは大粒径化して白濁し(以下、「乳化」という)、終には逆ミセルを形成していた水は沈降して層分離する。W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水が乳化、または分離したW/Oマイクロエマルション型洗浄剤は、持ち込まれる汚れを可溶化することができず、洗浄不良を引き起こすおそれがある。したがって、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の初期の洗浄力を維持するためには、逆ミセル、すなわち、可溶化されている水の状態を監視することが重要である。
上記用途に使用される洗浄剤には引火を防止する観点から水が添加されるものが多く、これらの洗浄剤は、使用に伴い水分が少なくなると引火の危険性が高くなり、水分が高くなると洗浄性能が低下する。したがって、持ち込まれる汚れ成分を管理するとともに水分量を管理する方法がいくつか提案されている(例えば、特許文献3〜10)。
例えば、特許文献4および5では、静電容量センサーを用いて油中の水分量を測定する方法が提案されているが、洗浄剤中の水の状態、すなわち洗浄剤中に水が可溶化されているか否かにより洗浄性能を判定し、洗浄剤を管理する方法は見当たらない。
特開平6−346094号公報 特開2013−117008号公報 特開2000−51577号公報 特開平8−136492号公報 特開2012−145438号公報 特開平7−280728号公報 特開平7−248299号公報 特開平5−45280号公報 特開平7−151676号公報 特開平7−147265号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易かつ正確にW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の洗浄性能を確認することにより、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤を管理する方法および管理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率を測定することによって、洗浄剤中に多種多様な汚れ物質が持ち込まれた場合においても、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中に水が可溶化されているか否か、すなわち初期の洗浄性能を有するか否かを判断して、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤を管理しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法であって、使用中の前記W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率を測定し、得られた導電率に基づき、下記式(1)
R=[使用中のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率]÷[未使用のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率]・・・式(1)
により相対導電率Rを算出し、算出した前記相対導電率が0.30以上で洗浄を行うことを特徴とする。
また、本発明は、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理装置であって、使用中の前記W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率を測定する導電率測定部と、未使用の前記W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率を記憶し、前記導電率測定部が測定した導電率を使用し、下記式(1)に基づき相対導電率Rを算出する算出部と、
R=[使用中のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率]÷[未使用のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率]・・・式(1)
前記算出部が算出した相対導電率Rが0.30未満であるか否かを判定する判定部と、前記判定部により相対導電率が0.30未満であると判定された場合、前記W/Oマイクロエマルション型洗浄剤を補充、または交換する旨出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
本発明は、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中に持ち込まれる汚れ成分の如何に関わらず、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率を測定することにより、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤に水が可溶化されているか否かを判定して、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の洗浄性能を管理できるという効果を奏する。
図1は、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中のソリューション型水溶性切削油濃度と導電率の関係を示す図である。 図2は、本実施の形態にかかるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理装置のブロック図である。
従来、水を含む洗浄剤の性能管理の方法として、静電容量、比重、または赤外線吸光度等により洗浄剤中の水分量を測定するとともに、濁度、比重、赤外線吸光度により汚れ成分の量を測定しているが、洗浄剤、特にW/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水の状態、すなわち、水が可溶化されているか、否かにより洗浄性能を判定する方法については何ら検討されていなかった。
本発明者らは、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水の状態を判定するに当たり、逆ミセルの状態と導電率の関係に着目した。鋭意研究した結果、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中への汚れ成分の持ち込み量と導電率の関係は汚れ成分の種類により異なるものの、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中に可溶化している水が、各種汚れ成分の持ち込みにより、乳化し、そして、層分離して、洗浄性能が低下する過程を導電率で簡易に追跡できることを見出した。
W/Oマイクロエマルション型洗浄剤に汚れが持ち込まれた際の汚れ成分の持ち込み量と導電率の関係について、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤として“NSクリーン”(登録商標)100M(JX日鉱日石エネルギー(株)製)、汚れ成分としてソリューション型水溶性切削油であるユニソルブルCS(JX日鉱日石エネルギー(株)製)を使用した場合について図1を使用して説明する。図1は、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中のソリューション型水溶性切削油濃度と導電率の関係を示す図である。図1の導電率は、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤に汚れ成分を所定量添加し、手で容器を振り混ぜて30秒間静置後の上層の25℃における導電率であり、ハンディ導電率計HEC−110型(東亜化学計測(株)製)にて測定した。図1に示すように、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中へのソリューション型水溶性切削油の添加濃度が増えるに連れて、水が可溶化されている透明な状態から不透明な乳化状態へ移行するとともに導電率が急上昇し、更にソリューション型水溶性切削油の添加濃度が増加すると導電率が急降下して水が層分離する。一方、鉱物油を主体とする非水溶性加工油やエマルション型水溶性切削油は、ソリューション型水溶性切削油とは異なり、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤への添加濃度が増えるにつれて、導電率は徐々に低下する。
汚れ成分の持ち込み量と導電率の関係は汚れ成分の種類により異なるため、導電率から混合した汚れ成分の混入量を評価することは難しい。しかしながら、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の洗浄性能は、持ち込まれた汚れ成分の混入量より、洗浄剤中の水の状態、すなわち水が可溶化されているか否かに影響される。本願発明は、汚れや水の混入量ではなく、水が可溶化されているか否かを導電率により判定して、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の洗浄性能を管理するものである。本願発明によれば、汚れ成分の種類を問わず、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中に水が可溶化されているか否かを判断し、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤を管理することが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態にかかるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法について詳細に説明する。
本発明の実施の形態にかかるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法は、使用中のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率を測定し、得られた導電率に基づき、下記式(1)
R=[使用中のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率]÷[未使用のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率]・・・式(1)
により相対導電率Rを算出し、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の相対導電率Rが0.30以上で洗浄を行うことを特徴とする。
本発明の実施の形態において、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤は、水、溶剤および界面活性剤から主としてなる洗浄剤であることが好ましい。
W/Oマイクロエマルション型洗浄剤は、W/Oマイクロエマルションを形成するものであれば、洗浄剤中の水分量は問わないが、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水分量は、1質量%以上50質量%未満であることが好ましい。W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水分量は、1質量%〜50質量%である限り、以下で説明する本発明の方法により管理が可能である。W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の水分量は、使用により各種汚れ成分が持ち込まれた後においても、1質量%〜50質量%の範囲であることが好ましい。本発明の管理方法が適用されるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の水分量は、1質量%〜20質量%であるものが好ましく適用され、1質量%〜15質量%がより好ましく、1質量%〜10質量%が特に好ましく適用される。
W/Oマイクロエマルション型洗浄剤に使用する溶剤の25℃における導電率は、0.001μS/cm未満が好ましく、0.0001μS/cm未満がより好ましい。溶剤の25℃における導電率が0.001μS/cm以上であると、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率との差が小さくなり、W/Oマイクロエマルション型洗浄液に各種の汚れ物質が混入したときの水の状態の判定が難しくなる。ここで、導電率は任意の温度で測定した値を25℃の値に換算したものでもよい。
W/Oマイクロエマルション型洗浄剤に使用される溶剤としては、たとえば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、テルペンなど工業用洗浄剤の基材として使用されている有機溶剤から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノルマルオクタン、ノルマルノナン、ノルマルデカン、ノルマルウンデカン、ノルマルドデカン、イソオクタン、イソノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、メチルシクロヘキサン、インデン、インダン、デカリン、テトラリン、炭素数8〜18のオレフィン、アルキルシクロペンタン、アルキルシクロヘキサン、アルキルベンゼン、炭素数10〜18のアルキルインデン、アルキルインダン、炭素数11〜18のアルキルデカリン、アルキルテトラリン、アルキルナフタレン、ミルセン、セレン、オシメン、ピネン、リモネン、カンフェン、テルピノーレン、トリシクレン、テルピネン、フェンチェン、フェランドレン、シルベストレン、サピアン、p−メンテン−1、p−メンテン−3、p−サイメン、p−メンタン、ナフサ、ケロシンなどが挙げられる。これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、W/Oマイクロエマルションを安定して形成できれば、その他の溶剤を配合して使用してもよい。
W/Oマイクロエマルション型洗浄剤に使用される界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪酸モノカルボン酸塩、N−アシロイルグルタミン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、スルホこはく酸ジアルキルエステル、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸アルキル塩、アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、N,N−ジメチル−N−アルキルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等の界面活性剤が挙げられる。これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の界面活性剤の配合量は、W/Oマイクロエマルションを形成するものであれば制限されるものではないが、20質量%以下であることが好ましい。
本実施の形態において、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理は、未使用のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率と、使用中のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤(A)の25℃における導電率の相対比(以下、「相対導電率」という)Rにて行う。以下に、相対導電率Rの計算式(1)を示す。
R=[使用中のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率]÷[未使用のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率]・・・式(1)
Rが0.30以上である場合、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水が可溶化状態であり、洗浄可能と評価される。Rが0.30未満では、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤は、水が層分離を起こしているために洗浄不良を起こす可能性がある。W/Oマイクロエマルション型洗浄剤にソリューション型水溶性切削油のみが持ち込まれた場合、導電率は極大値を持つが(図1参照)、他の非水溶性切削油、エマルション型水溶性切削油やソリュブル型水溶性切削油とともに混入する場合、導電率は、非水溶性切削油とソリューション型水溶性切削油の中間の性質を備えたエマルション型水溶性切削油が添加された場合と類似の挙動を示すため、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の相対導電率Rが0.30以上となるよう管理すればよい。なお、汚れ成分としてソリューション型水溶性切削油のみ洗浄する場合、相対導電率Rが50を超える場合がある。相対導電率Rが50を超える場合、洗浄剤は乳化状態にあり洗浄不良を起こす可能性がある。したがって、汚れ成分としてソリューション型水溶性切削油を単独で洗浄する場合は、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の相対導電率Rが0.30以上50以下、好ましくは、0.30以上30以下で使用することが好ましい。
W/Oマイクロエマルション型洗浄剤において、水が可溶化された状態を維持できなくなった時に洗浄力が低下し始め、水が層分離すると汚れの除去が困難となる。本発明では、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中に水が可溶化されているか否かを簡易、かつ正確に監視することができるため、水が可溶化された状態を維持できなくなる兆候が認められれば、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の交換や補充により、洗浄不良を防止することができる。
上記したW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の市販品としては、例えば、“NSクリーン”(登録商標)100M、220M(JX日鉱日石エネルギー(株))が例示される。
また、本発明にかかるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤には、水を実質的に含まないが、汚れ成分由来の水分を洗浄剤中に混和し、W/Oマイクロエマルションを形成、すなわち、洗浄剤中に水を可溶化可能な洗浄剤も含まれる。
水を実質的に含まないが、汚れ成分由来の水分を洗浄剤中に可溶化可能な洗浄剤としては、溶剤と界面活性剤から主としてなる洗浄剤が例示される。かかる洗浄剤で使用する溶剤と界面活性剤は、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤で使用する溶剤と界面活性剤と同様のものを使用することができる。
汚れ成分由来の水分を洗浄剤中に可溶化可能な洗浄剤の市販品としては、例えば、“NSクリーン”(登録商標)100W、220W(JX日鉱日石エネルギー(株))が例示される。
また、本発明の実施の形態にかかるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤には、上記した成分から主としてなるものであれば、各種の添加剤などを含有しても良い。なお、本明細書において、「主としてなる」とは、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の例示した成分の割合が、90.0質量%以上であることを意味する。
添加剤としては、防錆剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、アルカリ剤、漂白剤、着臭剤等が挙げられる。防錆剤は、例えば、ペンタエリスリトールモノエステル、ソルビタンモノオレート等の脂肪酸エステル系防錆剤、アミン、アミン塩等のアミン系防錆剤、芳香族カルボン酸、アルケニルコハク酸、ナフテン酸塩等のカルボン酸系防錆剤、石油スルホネート等の有機スルホン酸系防錆剤、有機リン酸エステル系防錆剤、酸化パラフィン系防錆剤等が例示される。
W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率の測定は、温度補償機能を有していれば、市販のいずれの導電率計や電導度計も使用可能である。また、導電率は体積抵抗率の逆数であるため、体積抵抗率計も使用可能である。本明細書においては、ハンディ導電率計HEC−110型(東亜化学計測(株)製)を使用したが、これに限定されるものではない。
本発明にかかるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法は、各種の導電率計を用いて相対導電率を算出し、マニュアルで使用可能か判定してもよいが、図2に示すような管理装置により管理することも可能である。図2は、本発明の実施の形態にかかるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理装置10の概略をブロック図に示したものである。図2に示すように、管理装置10は、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率を測定する導電率測定部1と、未使用のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率を記憶し、導電率測定部1が測定した導電率を使用し、上記式(1)に基づき相対導電率Rを算出する算出部2と、算出部2が算出した相対導電率Rが0.30未満であるか否かを判定する判定部3と、判定部3により相対導電率が0.30未満であると判定された場合、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤を補充、または交換するように出力する出力部4と、各部を制御する制御部5とを備える。
また、洗浄装置のライン上に管理装置10を取り付けることにより、判定部3により相対導電率が0.30未満と判定された場合には、洗浄装置に接続された洗浄液供給ラインからW/Oマイクロエマルション型洗浄剤を洗浄装置に自動的に供給することもできる。
さらに、洗浄装置のライン上に管理装置10に加え水分測定装置を取り付けて、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水分量と水の状態を同時に監視してもよい。W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中に多量の水が持ち込まれると、相対導電率Rが0.30未満となる場合がある。W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中への多量の水の持ち込みにより、相対導電率Rが0.30未満となる場合、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤を加熱したり、超音波照射することによってW/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水分量を低減することで、正常な状態(洗浄可能な状態)に戻すことができる。W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水分量と水の状態を管理装置10と水分測定装置により監視し、相対導電率Rが0.30未満、かつ水分量が20質量%を超える場合は、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤を加熱または超音波照射し、水分量を10質量%程度まで低減することによって、相対導電率Rが0.30以上の正常な状態に戻すことができる。水分量を10質量%以下としても相対導電率が0.30以上とならない場合には、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の洗浄力が低下していると判断され、使用中のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤を新しい液に交換することが望ましい。
以下に実施例により本発明の実施態様を例示するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例)
導電率が3×10−11μS/cmである脂肪族炭化水素に界面活性剤と水(3質量%)とを配合したW/Oマイクロエマルション型洗浄剤である“NSクリーン”(登録商標)100M(JX日鉱日石エネルギー(株)製、試料No.1)に、表1に示す各種汚れ成分を添加した試料(No.2〜No.22)を調製し、超音波(28kHz)を5分間照射して一昼夜静置した後の上澄み液の25℃における導電率を測定した。導電率は、ハンディ導電率計HEC−110型(東亜化学計測(株)製)にて測定した。表1には、導電率を測定した液の外観、墨汁テストの結果も併記した。ここで、墨汁テストとは、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中に添加した墨汁(微粒子)の分散性を調べることによって、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水の可溶化の状態を簡易に評価することができる試験法である。墨汁テストは、約70gの試料に対して一滴の墨汁を加えて手で振り混ぜ、1分間静置後の墨汁の分散性を評価する。墨汁が試料全体に分散していれば〇、墨汁が沈降していれば×とした。総合評価は、墨汁テストおよび液の外観に基づく評価である。総合評価の○は洗浄可能、×は洗浄不可である。
Figure 2016080597
汚れ成分として非水溶性加工油であるスーパーマルパスDX150を使用した場合、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の汚れ成分量が40質量%以上であるNo.6〜No.9で相対導電率が0.30未満となった。No.6〜No.9では、墨汁テストは○となったが、液は不透明または層分離しているため、総合評価は×である。
汚れ成分としてエマルション型水溶性加工油であるユニソルブルEMを使用した場合、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の汚れ成分量が80質量%であるNo.18で相対導電率が0.30未満となった。No.18の墨汁テストは○であるが、液は不透明であった。No.18では、汚れ成分の混入により粘性が高くなり、1分以内に墨汁が沈降しなかったため、墨汁テストが○となったと考えられる。No.18の総合評価は×である。
汚れ成分としてソリューション型水溶性加工油であるユニソルブルCSを使用した場合、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の汚れ成分量が10質量%以上であるNo.20〜No.22で相対導電率が0.30未満となった。No.20〜22の墨汁テストは×であり、層分離した。No.20〜22の総合評価は×である。
以上の結果より、相対導電率Rが0.30以上で総合評価○となり、相対導電率Rにより、汚れの種類と量、そして、粘性に影響されることなく、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水の状態を簡易に管理できることが示された。なお、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中に汚れとして研磨剤が混入した場合であっても、導電率は変化しないことが確認された。これにより、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中に汚れとして研磨剤が混入する場合にも、相対導電率Rを管理するだけでW/Oマイクロエマルション型洗浄剤を管理することができる。
(比較例1)
実施例1の試料(No.1〜No.26)の上澄み液の25℃における濁度と20℃における屈折率を測定した。濁度は携帯用濁度計2100P型(セントラル科学(株)製)にて測定した。屈折率は自動屈折計RX−5000α(アタゴ(株)製)にて測定した。表2には、前述の墨汁テスト、液の外観、総合評価も併記した。
Figure 2016080597
W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中への汚れの混入量が増えるにつれ濁度は上昇する。No.20〜22では、汚れの混入量が増えても濁度は増加せず、逆に低下しているが、これは懸濁物が沈降しているためであり、超音波照射後ただちに測定すれば濁度は高くなる。
一方、屈折率は、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中へ持ち込まれる汚れの種類により、汚れの混入量に伴い上昇、または下降する。濁度および屈折率とも、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤中の水が可溶化されているか否かを判定することはできないことが確認された。
以上のように、本発明にかかるW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法および管理装置は、汚れ成分の持ち込みによって洗浄性能が変動するW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理に適している。

Claims (5)

  1. W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法であって、
    使用中の前記W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率を測定し、得られた導電率に基づき、下記式(1)
    R=[使用中のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率]÷[未使用のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率]・・・式(1)
    により相対導電率Rを算出し、算出した前記相対導電率Rが0.30以上で洗浄を行うことを特徴とするW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法。
  2. 前記W/Oマイクロエマルション型洗浄剤は、水、溶剤および界面活性剤から主としてなる洗浄剤であることを特徴とする請求項1に記載のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法。
  3. 前記溶剤の25℃における導電率は0.001μS/cm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法。
  4. 前記W/Oマイクロエマルション型洗浄剤で洗浄する汚れ成分は、非水溶性および/または水溶性の加工油であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理方法。
  5. W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理装置であって、
    使用中の前記W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率を測定する導電率測定部と、
    未使用の前記W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の導電率を記憶し、前記導電率測定部が測定した導電率を使用し、下記式(1)に基づき相対導電率Rを算出する算出部と、
    R=[使用中のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率]÷[未使用のW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の25℃における導電率]・・・式(1)
    前記算出部が算出した相対導電率Rが0.30未満であるか否かを判定する判定部と、
    前記判定部により前記相対導電率が0.30未満であると判定された場合、前記W/Oマイクロエマルション型洗浄剤を補充、または交換する旨出力する出力部と、
    を備えることを特徴とするW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の管理装置。
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