JPH1072272A - 被覆粒状肥料及びその製造方法 - Google Patents

被覆粒状肥料及びその製造方法

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JPH1072272A
JPH1072272A JP8247007A JP24700796A JPH1072272A JP H1072272 A JPH1072272 A JP H1072272A JP 8247007 A JP8247007 A JP 8247007A JP 24700796 A JP24700796 A JP 24700796A JP H1072272 A JPH1072272 A JP H1072272A
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elution
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JP8247007A
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Masazumi Uchino
野 正 純 内
Michiyuki Ashihara
原 通 之 芦
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Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 肥料芯材とその肥料成分の溶出を制御す
る被覆層とを有する被覆粒状肥料において、この被覆層
中における熱可塑性樹脂に対する水膨潤性物質の含有率
を被覆層の内側から外側に向かって連続的に減少させた
分布A、B又はC(図3参照)。上記の被覆粒状肥料を製
造する為に、肥料芯材粒子の表面に水膨潤性物質を含有
する熱可塑性樹脂と溶媒とからなる被覆液を噴霧しなが
ら、被覆液中の水膨潤性物質の熱可塑性樹脂に対する含
有率を外側に向けて連続的に減少させて被覆層を形成さ
せた。 【効果】 長期間保存後にも、被覆層の劣化が少なく、
肥料成分の溶出を依然として高精度で制御できた。加里
肥料芯材を被覆しても前記の効果を収め得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は肥料成分からなる芯
材粒子の表面に、芯材粒子を形成する肥料成分の溶出を
制御する被覆層が施された被覆粒状肥料及びこの被覆粒
状肥料を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】植物の生育に不可欠な肥料
成分は窒素、リン酸及び加里であり、さらに土壌中にお
けるイオンなどのバランスを調整する為にCa、Mg、
S、Fe、Clなどを含有する肥料を施与する必要があ
る。この種の成分は作物が生育する全期間にわたってそ
の施与量を制御管理することが必要である。従って、こ
の種の肥料は植物の生育に合わせて適時に施肥する必要
がある。しかしながら、こうした肥料成分は多く水溶性
のものであることから、頻繁に施肥する必要がある。即
ち、水溶性肥料はその施肥直後には非常に高濃度に達す
るが、比較的短時間で流出する結果、必要な濃度を所定
時間保つことが困難である。
【0003】処が、頻繁に施肥する場合において例え
ば、肥料成分が過剰であると、作物は徒長草又は枯死を
生じてしまうことから、所定期間にわたり適切な濃度で
施肥を行なう為のタイミング選定が非常に難しい。
【0004】このように従来の肥料には、施肥の回数を
多くする外は無く、しかもその施肥のタイミング選定に
困難が伴う。この従来の肥料に対する改良として、施肥
回数を減らし得ると共に、容易に適切なタイミングで肥
料成分を溶出させる様な肥料を提供することを目的とし
て、被覆粒状肥料が既に提案されている。この被覆粒状
肥料とは、肥料成分から少なくとも形成された芯材粒子
の表面に肥料成分の溶出の制御を目的とする被覆層が形
成された溶出制御肥料である。
【0005】被覆粒状肥料におけるこの被覆層は被覆粒
状肥料の外部から芯材への水分の到達を制御すると共
に、芯材に到達した水分によって芯材の肥料成分が搬送
(溶出)されることを制御するように作用する。従って
被覆層の組成及び厚さの少なくとも一方を変えることに
よって、芯材へ水分が到達する速さ及び芯材の肥料成分
が溶出する速さを共に制御することができる。
【0006】ここで、芯材の肥料成分が溶出する速さの
みを制御する場合には、所謂溶出速度調節型の被覆粒状
肥料を調製すればそれに対応でき、中でも肥料成分の溶
出速度を遅くすることによって長期間にわたって肥料成
分を溶出させ続けることができる。その結果、この溶出
速度調節型の被覆粒状肥料を施肥に使用すると、栽培期
間内における施肥の回数を減らすことが可能になる。
【0007】一方、芯材へ水分が到達する速さ及び芯材
の肥料成分がの溶出する速さの双方を制御すれば、所謂
「時限溶出型」の被覆粒状肥料即ち、「施肥後所定期間
は肥料成分が溶出せずに、その所定期間が経過した後に
なって溶出を開始する型」の被覆粒状肥料が得られる。
この時限溶出型の被覆粒状肥料を使用すると、作物の生
育状況に合わせて肥料成分を溶出させ得るので、溶出速
度調節型肥料に比べて一層、作物に適した施肥を行うこ
とが可能になる寄与で、施肥の回数をさらに減少させる
ことができる。従って、最近では時限溶出型肥料の需要
の方が多くなっている。
【0008】一方、時限溶出型の被覆粒状肥料の芯材を
構成する肥料成分中には、上述のように窒素がある。
般に肥料の中で窒素肥料はその臨界湿度も低く、水に溶
解し易いが、加里肥料はこれに比して高い臨界湿度を示
し、水にも溶解しにくい。従って、このような加里肥料
成分を被覆粒状肥料の芯材として使用する場合には、水
に溶解しにくい加里肥料成分を溶出し易くする必要があ
る。その為には、その被覆層の水分透過性を少しでも高
めることが有益である。この目的で被覆層の水分透過性
を向上させる為には、被覆層を薄くしたり、その組成を
変えたりする方策が挙げられる。
【0009】水分透過性被膜を用いた時限溶出型の被覆
粒状肥料に関しては、例えば被覆層が樹脂中に吸湿性の
糖重合体を分散させた被覆層である時限溶出肥料[特願
平4−237651号明細書(特開平6−87684号
公報)]、被覆層がオレフィン系樹脂と水可溶あるいは
水膨潤性物質からなる第1層とオレフィン系樹脂からな
る第2層とで構成された時限溶出肥料[特願平1−20
0256号明細書(特開平5−29634号公報)]、
被覆層が高吸水膨潤性物質からなる第1層とオレフィン
系樹脂からなる第2層とで構成された時限溶出肥料[特
願平2−333822号明細書(特開平4−20207
9号公報)]等が公開されている。
【0010】しかしながら、特願平4−237651号
明細書(特開平6−87684号公報)に記載の方法は
被覆層が吸湿性の糖重合体を含んでおり、この吸湿性の
糖重合体が被覆層の表面にも分散していることから、こ
の肥料を長期にわたって保存した場合には被覆層中の糖
重合体が空気中の水分を吸収してしまう結果として、肥
料成分が溶出を開始するまでの期間(以下、「誘導期
間」と称することがある)及び肥料成分が溶出を開始し
てから溶出を終了するまでの期間(以下、「溶出期間」
と称することがある)の少なくとも何れかが著しく変化
してしまうとの問題が伴った。
【0011】特に、被覆粒状肥料の芯材として高い臨界
湿度を備え、水に溶解しにくい加里肥料成分が用いられ
た場合には、加里肥料成分の溶出を容易にする為に被覆
層の水分透過性が高く設定されているので、保存中に空
気中の水分を吸収し易く、窒素肥料成分及びリン酸肥料
成分に比較して著しく長期保存性が低下するとの問題が
生じた。それに加えて、加里肥料成分の溶出の誘導期間
及び溶出期間の少なくとも何れかを短くする目的で被覆
層の水分透過性を高く設定すると、更に長期保存性の低
下を来たすという問題も生じた。
【0012】次に、特願平1−200256号明細書
(特開平5−29634号公報)及び特願平2−333
822号明細書(特開平4−202079号公報)に記
載の方法では、その被覆層が第1層として水膨潤性樹脂
又は水溶性樹脂のように極性の大きな物質からなる層
と、第2層として透水性の小さな樹脂のように極性の小
さい物質からなる層との積層体で形成されている。それ
に起因して両層が乖離し易いことから、長期保存中にこ
の両層間に乖離が生じて肥料成分の誘導期間及び溶出期
間の少なくとも何れかが著しい変化を来たすという問題
点が伴った。
【0013】特に加里肥料成分を芯材として使用した場
合には、被覆層の水分透過性が意図的に高く設定されて
いることから、加里肥料の保存中に被覆層が空気中の水
分を吸収し易いと共に、それを構成する両層の組成が大
きく異なることに起因して両層が乖離し易い傾向を示す
と共に、被覆された肥料成分の溶出を制御する精度に大
幅な低下を来たすという問題点が生じた。
【0014】上記に開示された従来の被覆粒状肥料はそ
の溶出特性の長期確保が困難という問題があった。特に
加里肥料成分を芯材として使用した場合には、加里以外
の肥料成分を芯材として使用した場合よりも長期保存が
困難であり、さらに加里肥料成分の溶出の誘導期間及び
溶出期間の少なくとも何れかを短くする為に被覆層の水
分透過性を高く設定することを試みても、長期保存性を
低下させるという二律背反的な問題が立ち塞がった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】第1に、本発明の目的
は長期間の保存後にも肥料成分の溶出制御が依然として
高精度に保たれる被覆粒状肥料を提供することにある。
【0016】第2に、本発明の目的は長期間の保存後に
も肥料成分の溶出制御が高精度に保たれる被覆粒状肥料
を製造する方法を提供することにある。第3に、本発明
の目的は加里肥料成分のように高い臨界湿度を示し、水
に溶けにくい肥料成分を芯材とした被覆肥料の場合にも
長期間の保存が可能であり、更に、長期保存性が充分で
あってかつ加里肥料成分の溶出の誘導期間を短縮するこ
と及び溶出速度を所定域に制御することの少なくとも何
れかを実現可能な被覆粒状肥料及びその製造方法を提供
することにある。
【0017】
【課題を解決する為の手段】本発明の被覆粒状肥料は肥
料成分からなる芯材粒子と、該芯材粒子の表面に該芯材
粒子から少なくとも構成される肥料成分の溶出を制御す
る被覆層とを有する被覆粒状肥料であって、該被覆層が
水膨潤性物質を含有する熱可塑性樹脂から形成されてお
り、かつ該被覆層中における熱可塑性樹脂に対する水膨
潤性物質の含有率が被覆層の内側から外側に向かって連
続的(無段に)に減少していることを特徴としている。
【0018】この被覆粒状肥料は肥料成分からなる芯材
粒子の表面に、水膨潤性物質を含有する熱可塑性樹脂と
溶媒とからなる被覆液を、被覆液中の水膨潤性物質の熱
可塑性樹脂に対する含有率を連続して経時的に減少させ
ながら噴霧して被覆層を形成する方法により製造するこ
とができる。
【0019】また、前記芯材粒子が加里肥料成分から少
なくとも形成されている場合には被覆肥料が長期間の保
存に耐えることに加えて、加里肥料成分溶出の誘導期間
及び溶出期間の少なくとも何れかが短縮された被覆粒状
肥料を得ることができる。
【0020】本発明の被覆粒状肥料を製造するには、前
記芯材粒子の表面に被覆液を噴霧して該芯材粒子の表面
に被覆層を形成することによって被覆粒状肥料を製造す
るに際して、水膨潤性物質を含有する熱可塑性樹脂と溶
媒とから少なくとも構成される被覆液中の水膨潤性物質
の熱可塑性樹脂に対する含有率を連続的に減少させなが
ら被覆液を噴霧する製造方法が最も重要である。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の被覆粒状肥料及びこの被
覆粒状肥料を製造する方法について具体的に説明する。
【0022】本発明の被覆粒状肥料は概念的には芯材粒
子とその表面に形成された被覆層とから少なくとも形成
されている。本発明の被覆粒状肥料を形成する芯材粒子
は肥料成分から少なくとも形成されている。植物の育成
に必須な肥料成分は窒素、リン酸及び加里であり、窒素
肥料成分としては、尿素、硫安(硫酸アンモニウム)、
塩安(塩化アンモニウム)、石灰窒素、燐安(リン酸ア
ンモニウム)及び硝加(硝酸カリウム)を挙げることが
できる。またリン酸肥料成分としては、燐安(リン酸ア
ンモニウム)、リン酸石灰及び過石(過燐酸石灰)等を
挙げることができ、また加里肥料成分としては、硝加
(硝酸カリウム)、塩加(塩化カリウム)及び硫加(硫
酸カリウム)を挙げることができる。なお、上記に例示
された肥料成分の中で、例えばリン酸アンモニウムはリ
ン酸肥料であると同時に窒素肥料でもあり、また、硝酸
加里は窒素肥料であると同時に加里肥料でもあることに
留意することを要する。
【0023】これらの肥料の中で、加里肥料成分は窒素
肥料成分に比べて一般的に高い臨界湿度を示し、水に溶
解しにくい。それに起因して、加里肥料成分を芯材粒子
とした場合には被覆層の水分透過性を高くし、それによ
って肥料成分の誘導期間及び溶出期間の少なくとも何れ
かを制御することが有益である。被覆層の水分透過性を
高くする手段としては、この加里肥料成分が高い臨界湿
度を示し、水に溶解しにくい性質を考慮して、窒素肥料
成分等に比べて被覆層の厚さを薄くするか又はその組成
を変える等を例示することができる。ここで、施肥後か
ら肥料成分が溶出を開始するまでの期間(「誘導期
間」)及び溶出を開始してから溶出が終了するまでの期
間(「溶出期間」)の少なくとも何れかを制御する必要
がある。
【0024】ところが、このように被覆層の水分透過性
を高くした場合には、肥料の保存期間中に被覆層が空気
中の水分を徐々に吸収することに起因して、施肥後の誘
導期間が製造直後におけるよりも短くなっており、それ
が長期保存性に問題を生じさせる場合がある。それに起
因して、加里肥料成分を芯材粒子として用いた場合に
は、被覆層の水分透過性を高く設定することによって肥
料成分の誘導期間及び溶出期間の少なくとも何れかを短
くすることは困難であった。
【0025】本発明の被覆粒状芯材を形成する肥料成分
としては、上記の窒素肥料成分、リン酸肥料成分及び加
里肥料成分の何れをも使用可能である。特に上述のよう
に、芯材が加里肥料成分を主要な肥料成分として含有す
る場合に本発明の被覆粒状肥料が高い有効性を発揮し得
る。
【0026】本発明の被覆粒状肥料を構成する被覆層は
長期保存性に優れている寄与で肥料成分の溶出誘導期間
及び溶出期間の少なくとも何れかを短縮できるので、特
に加里肥料成分のような一般的に高い臨界湿度を示し、
水に溶解しにくい肥料成分をも、窒素肥料成分又はリン
酸肥料成分と同様に芯材粒子として十分に使用すること
ができる。
【0027】さらに、本発明で使用される肥料成分は上
記のような肥料成分の他に、土壌中におけるイオンなど
のバランスの調整又は土壌改良などの為に用いられるC
a、Mg、S、Fe、Clなどを含有する肥料であってもよ
い。さらに、近時使用量が増加している所謂有機肥料で
あってもよい。本発明において、これらの肥料成分は単
独でも、2種以上の組合わせでも使用可能である。
【0028】また、本発明においては上記肥料成分に、
除草剤、殺虫剤、殺菌剤等の農薬活性成分を含むもので
あっても良い。更に、特公平1−38102号公報に開
示された様な溶融造粒法はそれによって得られる造粒物
(粒状体)が球状であってその表面も平滑なものである
ことから、好ましい造粒法であると言える。
【0029】さらに、上記の肥料成分の他に、芯材とな
る肥料成分の圧縮成形を容易にする為に、シリカなどの
無機粉末及び肥料粒子を相互に結合するバインダーなど
の少なくとも何れかを配合することも可能である。
【0030】本発明において芯材粒子の大きさ(平均粒
径)は通常の肥料粒子としての大きさであり、通常1〜
10mm、好ましくは2〜5mmのものが用いられる。この
芯材粒子の製造には、通常の造粒法即ち、転動造粒法、
混合造粒法、押出し造粒法、圧縮造粒法又は破砕造粒法
等が適宜採用される。この際に、芯材粒子の表面を平滑
化することは芯材粒子からの肥料成分の溶出を均一にす
る上で好ましい。
【0031】本発明の被覆粒状肥料には、上記のような
芯材粒子の表面に肥料成分の溶出を制御する被覆層が形
成されている。本発明の被覆層は水膨潤性物質を含有す
る熱可塑性樹脂から形成されており、この被覆層中にお
ける基材である熱可塑性樹脂に対する混在物である水膨
潤性物質の含有率が被覆層の内側から外側に向かって連
続的に(無段に)減少していることをその特徴とする。
即ち、被覆層の内側から外側に向かって、熱可塑性樹脂
に対する水膨潤性物質の濃度が低下する形で濃度勾配が
設定されている。
【0032】本発明の被覆層を形成する熱可塑性樹脂と
しては、所望の誘導期間及び溶出期間が得られる樹脂で
あれば何れでも用いられ得るが、施肥後初期の肥料成分
の溶出を確実に抑制する為には、樹脂中を水分(水蒸
気)が透過し難いこと即ち、樹脂が水分(水蒸気)透過
性の低いものであることが好ましい。ここで水分透過性
とは水蒸気の透過性を言う。この種の熱可塑性樹脂とし
ては、1-オレフィン(α-オレフィン)の単独重合体及
び共重合体(一括して、「オレフィン(共)重合体」と表
記することがある)、塩化ビニリデンの(共)重合体等を
挙げることができる。オレフィン(共)重合体(PO)とし
ては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エ
チレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共
重合体(EVA)、エチレン−一酸化炭素共重合体(EC
O)、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体(EV
ACO)、エチレン−アクリレート共重合体、エチレン
−メタクリル酸共重合体、熱可塑性エラストマー(ゴム
系樹脂)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレ
ート(PMMA)等を挙げることができる。また、これら
の樹脂は単独でも、その2種以上を適宜組み合わせて用
いてもよい。これらの樹脂の中でも好ましく用いられる
ものはオレフィン(共)重合体(PO)であり、特に好まし
く用いられるものはポリエチレン(PE)、中でも低密度
ポリエチレンであって、その密度0.90〜0.935g
/cc、好ましくは0.910〜0.930g/cc及びその
MI(190℃;21.2N)1〜100g/10min、好ましくは5〜
30g/10minのものである。
【0033】本発明の被覆粒状肥料における水膨潤性物
質とは、吸水によって膨潤する性質を持つ物質であり、
この性質を持つ物質であれば何れでも使用できるが、吸
水膨潤時においてもゲル状に留まって溶解又は溶出しな
いものが好ましい。その理由は吸水による膨潤時に被覆
層から水膨潤性物質が溶解又は溶出すると、被覆層の溶
出制御機能が所定の制御機能を安定した水準で発揮し得
なくなることに求められる。
【0034】それに加えて肥料の溶出期間を短くする為
には、被覆層が大きな亀裂を生ずること又は大幅に破壊
されることが望ましいので、水膨潤性物質として好まし
いものは吸水によって膨潤した際にできる限り高い膨潤
圧を発現するものである。
【0035】この種の水膨潤性物質としては、イソブチ
レン系重合体、アクリル酸−ビニルアルコール共重合
体、ポリエチレンオキサイド架橋物、アクリル酸ナトリ
ウム塩及びカリウム塩重合体の1種以上、澱粉グラフト
重合体、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボ
キシメチルセルロース金属塩及びベントナイト等を挙げ
ることができる。上記の澱粉グラフト重合体としては例
えば、澱粉・アクリロニトリルグラフト共重合体ケン化
物、澱粉・アクリル酸重合体等を挙げることができる。
【0036】イソブチレン系重合体としては、イソブチ
レン系共重合体等を含有する物質であって、例えば[商
品名:KIゲル−201K、KIゲル201K-F2、KIゲル溶
液システム、KIゲルME-10及びKIゲルコンパウンド
(何れもクラレ社製)]を使用することができる。
【0037】ポリエチレンオキサイド架橋物としては、
例えば商品名「スミカゲルSタイプ、スミカゲルLタイ
プ、スミカゲルRタイプ(何れも住友化学社製)」を使
用することができる。
【0038】本発明において用いられる水膨潤性物質の
1例であるアクリル酸金属塩の重合体例えば、アクリル
酸ナトリウム(塩)、アクリル酸カリウム、アクリル酸カ
ルシウム及びアクリル酸亜鉛並びに2種以上の金属が同
一分子中に金属塩として併存するもの及び相互に異なる
金属を含有する2種以上のアクリル酸金属塩の混合物を
挙げることができ、それらの少なくとも何れかの重合体
としては、例えば商品名「スミカゲルNタイプ(住友化
学社製)」を挙げることができる。
【0039】本発明の被覆粒状肥料の被覆層は水膨潤性
物質を含有する熱可塑性樹脂から形成されており、この
被覆層中における熱可塑性樹脂に対する水膨潤性物質の
含有率が被覆層の内側から外側に向かって連続的に(無
段に)減少していることが本発明の必須構成要件であ
る。
【0040】水膨潤性物質が熱可塑性樹脂中に含有され
る形態としては、水膨潤性物質が熱可塑性樹脂と相互溶
解(相溶)せずに粉末状で分散されていてもよく、また
水膨潤性物質が熱可塑性樹脂中に相溶状態で均一になっ
ていてもよい。しかし好ましい状態は水膨潤性物質が粉
末状で熱可塑性樹脂のマトリックス(基材)中に分散さ
れている状態である。その理由は熱可塑性樹脂中での水
膨潤性物質の含有比率の設定が容易なことに求められ
る。
【0041】水膨潤性物質が粉末状である場合には、粉
末の平均粒径は被覆層の厚さよりも小さいことが好まし
く、粉末の平均粒径はそれよりも更に小さい方が一層好
ましい。具体的には、粉末の平均粒径が被覆層の厚さの
1/2以下であり、好ましくは1/4以下である。水膨
潤性物質の粉末の平均粒径が被覆層の厚さに対して比較
的に大きな場合には、被覆層内での熱可塑性樹脂に対す
る水膨潤性物質の含有率に連続的な変化を付与しにくく
なることに起因して、誘導期間及び溶出期間の少なくと
も何れかの設定が困難になることに加えて、被覆層の強
度を減少させるという問題が伴う。別な問題として、肥
料成分が膨潤した物質を展開剤として徐々に流出する事
態も生じ得る。他方、水膨潤性物質の粉末の平均粒径が
被覆層の厚さに対して比較的に小さな場合には、誘導期
間及び溶出期間の少なくとも何れかの設定が容易になる
ことに加えて、被層の強度を保つことができる。その理
由は被覆層内での水膨潤性物質の含有率に連続的な変化
を付与し易いことに求められる。
【0042】本発明の被覆粒状肥料の被覆層における、
熱可塑性樹脂に対する水膨潤性物質の含有率の連続的な
変化を付与するには、水膨潤性物質の熱可塑性樹脂に対
する分散状態を変化させることが実際的である。即ち、
水膨潤性物質の分散状態を変化させることによって、被
覆粒状肥料の誘導期間及び溶出期間の少なくとも何れか
を任意に設定することができる。
【0043】本発明において、肥料成分溶出の誘導期間
は被覆層中の熱可塑性樹脂の水分透過性、被覆層中の水
膨潤性物質の量及び被覆層の最外部における水膨潤性物
質の量によって決定される。被覆層を形成する熱可塑性
樹脂の水分透過性が小さくなるに伴って、被覆層中の水
膨潤性物質の量が少なくなるに伴って、また、被覆層最
外部の水膨潤性物質の量がゼロに近づくに伴って、被覆
粒状肥料の誘導期間は長くなる。その理由は被覆粒状肥
料外部からの水分の侵入が困難になることにあると説明
される。
【0044】他方、誘導期間は被覆層中の水膨潤性物質
の濃度分布状況によっても変化する。被覆層中の水膨潤
性物質の大部分が芯材に近い部分に集中して被覆層の最
外部にほとんど存在しない場合には、被覆粒状肥料外部
からの水分の侵入が困難になることに起因して被覆肥料
の誘導期間が長くなる。逆に、被覆層内でその半径方向
に水膨潤性物質の濃度勾配が形成されていて、しかも水
膨潤性物質が芯材に近い位置から被覆層最外部に近い位
置にまで比較的多量に分散している場合には、被覆粒状
肥料外部からの水分の侵入が分散している水膨潤性物質
の媒介によって比較的容易になる寄与で、誘導期間を短
い側へ寄せることができる。
【0045】本発明において、被覆肥料の肥料成分の溶
出期間は水膨潤性物質の量とその膨潤圧(膨圧)とによ
って決定される。水膨潤性物質の量が多くなるに伴っ
て、また、その膨潤圧が大きくなるに伴って、被覆粒状
肥料外部から侵入した水分によって被覆層中の水膨潤性
物質が膨張して被覆層に亀裂を生じる度合いが大きくな
るので溶出期間を短くすることができる。他方、被覆肥
料からの肥料成分の溶出期間は誘導期間と同様に、被覆
層中の水膨潤性物質の量及び濃度分布によっても変化す
る。被覆層中の水膨潤性物質の大部分を芯材に近い部分
に集中させると、芯材から水膨潤性物質への溶出が集中
して行われるので、水膨潤性物質を芯材に近い部分から
被覆層最外部に近い部分にまで広く分散させた場合に比
べて溶出期間を短くすることができる。
【0046】本発明においては、上記のように熱可塑性
樹脂の水分透過性、水膨潤性物質の量と粉末等の形状及
び被覆層内の濃度分布(濃度勾配)の1以上を適宜に変
えることによって、被覆粒状肥料の誘導期間及び溶出期
間の少なくとも何れかを任意に設定することができる。
【0047】さらに、本発明の被覆粒状肥料では、上記
のように被覆層中における熱可塑性樹脂に対する水膨潤
性物質の含有率が被覆層の内側から外側に向かって連続
的に(無段に)減少していることから、被覆粒状肥料の
保存中には被覆粒状肥料外部から水分が侵入し難いの
で、本発明の被覆粒状肥料は長期保存性に優れている。
【0048】本発明の被覆粒状肥料の長期保存性を高め
る為には、被覆層中における熱可塑性樹脂に対する水膨
潤性物質の含有率の変化が段階的ではなく、連続して
(無段に)変化することが好ましい。この含有率の変化
が段階的であると、熱可塑性樹脂含有量の高い部分と水
膨潤性物質含有量の高い部分とが肥料の保存中に乖離
(剥離)し易くなることに起因して、誘導期間及び溶出
期間の変動が起き易くなる結果として、長期保存性低下
が生ずる。
【0049】本発明の被覆粒状肥料においては、被覆層
中の水膨潤性物質の濃度が連続して(無段に)変化して
いる寄与で、被覆粒状肥料の表面に近い位置即ち、被覆
層の最外位置(外面)では水膨潤性物質の層が形成され
ていない。その結果、被覆粒状肥料が高い保存安定性を
備えることができた。
【0050】上記のように、本発明の被覆粒状肥料は長
期保存性に優れているので、被覆層の水分透過性を向上
させることによって肥料成分の誘導期間及び溶出期間の
少なくとも何れかを短く設定することも可能である。特
に、水に溶解しにくい加里肥料成分を芯材粒子として使
用した場合においてさえも、被覆粒状肥料の長期保存性
を良好に保った侭で、肥料成分の誘導期間及び溶出期間
の少なくとも何れかを短く設定することができる。
【0051】なお、本発明においては、上記の熱可塑性
樹脂及び水膨潤性物質で構成された被覆層に、それらに
加えてフィラー(充填剤;填料)又はフィラーとその他
の添加成分等を添加しても構わない。フィラーを添加す
ることによって、誘導期間及び溶出期間の少なくとも何
れかの微調整が可能となることに加えて、被覆粒状肥料
全体のコストダウンを可能とする一助として、低コスト
のフィラーを選択使用することは大いに有益である。
【0052】このフィラーである無機充填材としては、
タルク、クレイ、ケイソウ土、シリカ(二酸化珪素)、
炭酸カルシウム(炭カル)、ゼオライト、金属酸化物例
えば二酸化チタン(チタニア)、硫黄の粉末等を挙げる
ことができるが、これらの中で好ましいものはタルクで
ある。
【0053】その他の添加成分としては、界面活性剤を
挙げることができる。ここで界面活性剤としては、ノニ
オン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及びカチオン
系界面活性剤の少なくとも何れかを使用することができ
るが、好ましくはポリエチレンオキサイド及びポリエチ
レングリコールの少なくとも何れかである。
【0054】本発明の被覆粒状肥料の被覆層は上記のよ
うな種々の成分によって形成されており、被覆粒状肥料
の特性を時限溶出型又は溶出速度調節型に設定するかに
応じて、又は使用される肥料成分の特性によって、被覆
層の組成が変更される。通常は、被覆層100重量部中
に熱可塑性樹脂10〜80重量部、水膨潤性物質1〜4
0重量部、フィラー20〜80重量部、必要に応じてそ
の他の添加成分0.1〜30重量部が含有される量で各
成分を配合することによって、被覆粒状肥料からの肥料
成分の溶出特性を調整する。
【0055】本発明における「時限溶出」とは、施肥後
に一定期間内は溶出が抑制され、その一定期間経過後に
は速やかに溶出を開始する機能の意味である。施肥後の
一定期間であって溶出が抑制される期間を「誘導期間」
と称し、溶出開始から溶出終了までに要する期間を「溶
出期間」と称する。具体的には、施肥後から被覆肥料
(カプセル内肥料)分の10wt%の肥料分が溶出するま
でに要する期間を「誘導期間」と規定し、この10wt%
溶出から80wt%溶出までに要する期間を「溶出期間」
と規定する。本発明の被覆粒状肥料に対する「時限溶
出」を更に具体的に規定する場合には、誘導期間(TI)
/溶出期間(TE)の比率(TI/TE=γ)で表わし
て、0.2≦γの溶出パターンを示すものが本発明の被
覆粒状肥料であるということができる。
【0056】本発明の被覆層は例えば上記の被覆層形成
成分の中で、水膨潤性物質及びフィラーに、必要に応じ
て添加され得るその他の成分に加えて、下記の被覆液
(A)及び被覆液(B)を用いて作製することができる。被
覆液(A)は溶媒又は分散媒として、熱可塑性樹脂、フィ
ラー、これに必要に応じて添加され得るその他の成分の
何れをも溶解又は分散させ得るが、芯材粒子を浸食しな
い溶媒又は分散媒に前記各成分を溶解又は分散させた被
覆液である。
【0057】他方、被覆液(B)は溶媒又は分散媒であっ
て熱可塑性樹脂、フィラー(無機フィラー)、これに必
要に応じて添加され得るその他の成分の何れをも溶解又
は分散させ得るが、芯材粒子を浸食しない溶媒又は分散
媒に前記各成分を溶解又は分散させた被覆液である。
【0058】この際に、被覆層を形成する為の被覆液
(A)及び被覆液(B)中における固形分(水膨潤性物質、
フィラー等)の濃度は被覆液(A)においては通常0.1
〜20重量%、好ましくは1〜10重量%に調整され、
被覆液(B)においても20重量%以下、好ましくは1
〜10重量%に調整される。
【0059】なお、本発明における被覆層形成の為の被
覆液は1種類である必要はなく、水膨潤性物質を異なる
濃度で含有する複数の被覆液を調製してこれらを必要に
応じて順次又は適宜に用いることもできる。
【0060】<図面に基づく説明>本発明では例えば、
図1に示された噴流塔を使用して肥料芯材の表面に被覆
層を形成させることが好ましい。なお、図において「上
下左右前奥」等の語句は説明の便宜上の表現である。
【0061】図1において、1は噴流塔であって、円筒
部(1u)とその下端から下方へ向けて縮径された円錐部
(1d)及び後者(1u)の下端に接続されて下方へ伸びる有
底円筒部(21)で構成されている。円錐部(1u)の側壁
下段にに芯材粒子供給口(2)が設けられ、円錐部(1u)
側壁上部に排気口(3)が設けられた噴流塔(1)に芯材粒
子供給口(2)から芯材粒子が投入される。
【0062】この噴流塔(1)下半の円錐部(1d)下端部
には有底円筒(21)が接続されており、この有底円筒
(21)の底部には製品の被覆粒状肥料等を取出す為に開
閉可能な肥料取出し口(7)が設けられている。
【0063】さらに、この有底筒状体(21)の底部近傍
には、噴流ガスを送り込むブロアー(10)、ブロアー
(10)からの噴流ガスの流量を測定すると共に調整する
オリフィス流量計(9)、このオリフィス流量計(9)によ
って流量が調整された噴流ガスの温度を調整する熱交換
器(8)からなる噴流ガス供給部に連結した接続管(22)
が接続されている。
【0064】一方、噴流塔(1)の下半部である円錐部
(1d)下端にに接続された有底円筒(21)との接合部近
傍には、有底円筒部(21)の横断面中央部に流体供給ノ
ズル(4)(フルコン型;開口:0.8mm)が配置されてお
り、この流体供給ノズル(41)は移送管(51)経由で被
覆液タンク(11)から送られて来た被覆液(13)(前記
の「被覆液A」)、被覆液(14)(前記の「被覆液
B」)又は被覆液混合物[被覆液(13)+被覆液(1
4)]が前記流体供給ノズル(41)から加圧下に噴射さ
れる為に加圧する被覆液圧送ポンプ(61)に連結されて
いる。
【0065】この被覆液圧送ポンプ(61)は移送管(5
1)及び、直交二方活栓の管路切替弁(V)によって移送
管(51)へ合流された移送管(52)経由で被覆液タンク
(12)からの被覆液(14)を共に加圧しながら流体供給
ノズル(41)へ圧送する。他方、被覆液タンク(12)に
収容された被覆液(14;B)は移送管(52)経由で、管
路切替弁(V)の作動によって圧送ポンプ(62)へ送られ
て加圧され、再び移送管(52)経由で有底円筒(21)内
へ導入されて流体供給ノズル(41)と併存する流体供給
ノズル(42)から噴出されて、粒状芯材の表面に付着す
る。
【0066】ここで、流体供給ノズル(41)と流体供給
ノズル(42)との併存態様は並列管方式でも、多重管方
式でも目的に応じて適宜選択され得る。直交二方活栓の
管路切替弁(V)の内部では管路は略「L」字型に交差し
て、この切替弁の管路が正立のL位置にある場合には、
被覆液(B;14)は移送管(52)経由で移送管(51)に
合流する。この場合には作動するノズルは流体供給ノズ
ル(41)だけである。他方、管路切替弁(V)の内部の管
路が倒立「L」即ち、「Γ」型の位置にある場合には、
被覆液(B;14)は移送管(52)だけを経由して流体供
給ノズル(42)から噴出されて、粒状芯材の表面に付着
することになる。
【0067】ここで、移送管(51)と被覆液タンク(1
1)との間には被覆液タンク(11)からの被覆液供給量
の制御の為のバルブ(V1)が設置されており、また、移
送管(52)と被覆液タンク(12)との間には被覆液タン
ク(12)からの被覆液供給量の制御の為のバルブ(V2)
が設置されている。これらバルブ(V1)とバルブ(V2)と
の開閉の調整によって、移送管(51)及び(52)には、
被覆液(13)又は被覆液(14)の何れか一方又は両被覆
液の間で任意の混合割合に調製された混合被覆液を流体
供給ノズル(41)及び(42)の何れか一方又は双方共が
同時に又は交互に間欠的に噴出するという様な態様を実
現することができる。
【0068】その結果、流体供給ノズル(41)及び(4
2)の一方又は双方から、上記のような任意の混合割合
に調製された被覆液を噴流塔(1)の下半部に位置する円
錐部(1d)内に噴射することができる。
【0069】被覆液タンク(11)及び被覆液タンク(1
2)には、それに収容された被覆液を調製する際又は調
製した後の被覆液を均一に保つ為に撹拌装置及び蒸気な
どによる保温又は昇温装置が備えられており、移送管
(51)及び(52)には、送液中に被覆液の温度低下など
を防止する為に蒸気などによる保温対策が施されてい
る。
【0070】上記の噴流塔(1)に例えば窒素ガスなどの
不活性ガスからなる噴流ガスを熱交換器(8)で加熱し
て、好ましくは被覆液を形成する有機溶媒の沸点付近の
温度に昇温する。こうして噴流ガスを噴流塔(1)の下方
から供給すると共に、流体供給ノズル(41)及び(42)
の何れか又はそれらの双方からそれぞれ、上記のように
被覆液(13)及び被覆液(14)の何れか一方又は被覆液
(13)と被覆液(14)との間で任意の混合割合に調製さ
れた被覆液混合物を噴霧状に噴射させる。
【0071】噴流塔1の内部では、下から吹き上げられ
る噴流ガスによって、芯材粒子が浮遊した状態にあり、
ここにバルブ(V1)、バルブ(V2)及びバルブ(V)のそれ
ぞれの開閉によって調整された任意組成の被覆液を流体
供給ノズル(41)及び(42)の少なくとも一方から噴霧
状に噴射することによって、芯材粒子の表面に被覆液が
付着し、それが噴流ガスから熱エネルギーを得て含有有
機溶媒又は分散媒が気化し、気化した有機溶媒は噴流ガ
スと共に排気口(3)から排出される。
【0072】<被覆液の噴霧操作>ここで、被覆液の噴
霧は次のようにして行われる。即ち、まず芯材粒子へ噴
霧の開始に当って、バルブ(V2)を全開にしておき、水
膨潤性物質を含む被覆液(14)[前記被覆液(B)]を加
圧ポンプ(61)で加圧後に、移送管(51)経由で流体供
給ノズル(4)から噴流塔(1)内へ噴霧する。次いで、被
覆液(14)の噴霧の開始と略同時に、バルブ(V1)を徐
々に開放すると共に、バルブ(V2)を徐々に閉鎖して、
流体供給ノズル(41)から噴霧される被覆液を被覆液
(14)と被覆液(13)[前記被覆液(A)]の混合液に移
行させて、被覆液中の水膨潤性物質の熱可塑性樹脂に対
する割合を噴霧開始から時間の経過と共に徐々に減少す
るように各原液の供給量を調整する。この操作によっ
て、流体供給ノズル(41)から噴霧される被覆液中の水
膨潤性物質の熱可塑性樹脂に対する割合がゼロになるま
で被覆液を噴霧し、さらに被覆層が所定の被覆量(被覆
率)に達したら流体供給ノズル(41)からの噴霧を終了
する。次に、ブロアー(10)を止めると、噴流塔(1)の
内部に浮遊していた被覆された芯材粒子(被覆粒状肥
料)は有底円筒(21)内に落下する。ここで被覆液の噴
霧は噴霧される被覆液中の水膨潤性物質の熱可塑性樹脂
に対する割合がゼロになり、芯材粒子が所定の被覆量に
達した時点で終了するが、バルブ(V1)及びバルブ(V2)
の開閉操作によって、所定の被覆量に達すると同時にこ
の割合をゼロにすることもできるし、所定の被覆量に達
する前にこの割合をゼロにすることもできる。
【0073】前者のように被覆液を噴霧した場合には水
膨潤性物質は被覆層の最外面近辺まで含まれ、後者のよ
うに噴霧した場合は水膨潤性物質は被覆層の最外面近辺
までは含まれずに被覆層内側から被覆層の中央部付近ま
でに含まれるようになる。最後に有底円筒(21)下端部
の製品肥料取出し口(7)を開口して製造された本発明の
被覆粒状肥料を取り出す。
【0074】なお、上記のように被覆液を貯蔵するタン
ク(11)及びタンク(12)には、撹拌機が備えられてお
り、被覆液が例えば、タルク又は一部の水膨潤性物質等
のように有機溶媒に溶解しない成分を含む場合であって
も、被覆液を撹拌しながら分散液の形態で噴流塔(1)内
に均一な被覆液を安定した状態で供給することができ
る。
【0075】また、これらの被覆液(11)及び(12)は
流体供給ノズル(41)及び(42)から噴射させる前に加
熱しておくことが好ましい。例えば、溶媒としてパーク
ロロエチレンを使用する場合には、パークロロエチレン
の沸点以下である100℃程度に加熱すると、噴流塔
(1)内での有機溶媒の除去が容易になる。
【0076】図2は図1に示された噴流塔被覆装置(噴
流カプセル化装置)の簡略形であって、被覆液タンク及
びそれに収容された被覆液はそれぞれ被覆液タンク(1
5)及び被覆液(16)だけである。従って、被覆液を移
送する管路も移送管(5)だけである。図2の装置を用い
ても、図1に示された噴流塔被覆装置におけると同様な
条件、溶媒等を用いて同様に運転操作を行なうことによ
って本発明の被覆粒状肥料を製造することができる。
【0077】しかし、図2の装置では被覆液タンク(1
5)の中に被覆液(16)の原料を全て装入する外は無い
ことから、大規模生産に適用するには大型の被覆液タン
ク(15)を設置する必要を生ずる。しかし、それでは通
常の小規模又は中規模の生産には大型の被覆液タンク
(15)が一部分しか稼働しない形態になる。この形態は
生産効率及び設備の投資効率の双方に欠ける。しかし、
図2の装置は比較的小規模又は他品種を次々と切り替え
て生産する形態に対しては却って効率的と見ることがで
きる。
【0078】図3は上記のようにして調製された被覆粒
状肥料における被覆層中の被覆層内側(膜内側)から被
覆層外側(膜外側)に向かう層厚(L)と熱可塑性樹脂に
対する水膨潤性物質の含有率(S)との関係をを表わした
関係図の1例である。図3においては、横軸が左端の被
覆層の内側(In;L=0)から層中央(Med)を経て右端の層外
側(Ex)へ到る層断面の厚さを示し、縦軸は下端の不含
(含有率;S=0)から上方へ向けて含有率50%を経て上端
の含有率100%を表わす。
【0079】図3において曲線Aは本発明の実施例1、
2及び3における被覆層に形成されている層厚(L)と熱
可塑性樹脂に対する水膨潤性物質の含有率(S)との関係
(分布A)を示し、曲線Bは本発明の実施例4における
被覆層に形成されている層厚(L)と熱可塑性樹脂に対す
る水膨潤性物質の含有率(S)との関係(分布B)を示
す。また、曲線Cは従来技術として比較例1〜5に例示
されたものにおける類似の関係(分布C)を示す。
【0080】図4は本発明の実施例1〜4において得ら
れた各被覆粒状肥料の溶出試験の結果を示す。図4にお
いて横軸は溶出の日数を示し、左端の0日から右端の2
50日までの期間が設定されており、縦軸は溶出結果を
累積溶出率として下端の0%から上段の80%を越えて
示している。図から看取できるように、各実施例の溶出
曲線は比較的に類似の傾向を示している。
【0081】図5は比較例として行なわれた実験例1〜
5において得られた各被覆粒状肥料の溶出試験の結果を
示す。図4において横軸は溶出の日数を示し、左端の0
日から右端の250日までの期間が設定されており、縦
軸は溶出結果を累積溶出率として下端の0%から上段の
80%を越えて示している。得られた各曲線の中で比較
例1、3および4の曲線[それぞれ1、3及び4]は比
較的に類似の傾向を示しているが、比較例2の曲線(曲
線2)及び比較例5の曲線(曲線5)は何れも他の曲線と
は全く異なった傾向を示している。
【0082】以上のようにして得られた本発明の被覆粒
状肥料は被覆層を形成する成分の組成、量及びその被覆
層中における水膨潤性物質の濃度勾配並びに被覆層の総
括厚さなどによって、時限溶出型肥料とすることもで
き、溶出速度調節型肥料とすることもできるが、中でも
好ましい使用形態は時限溶出型肥料としての使用であ
る。
【0083】さらに、芯材粒子を加里肥料成分である時
限溶出型肥料として使用した場合には、従来の製法によ
る加里肥料成分の被覆粒状肥料に比較して誘導期間及び
溶出期間を双方共短縮でき、また誘導期間の変動率及び
溶出期間の変動率を共に極めて小さくすることができ
る。
【0084】従って、本発明の被覆粒状肥料を使用する
ことによって、施肥回数を減らすことができ、さらに、
それを時限溶出型肥料として使用すれば、予め本発明の
被覆粒状肥料を施肥して育苗を行なった場合であって
も、発芽時期には溶出する肥料成分の量が抑制され、そ
れに続く肥料成分が最も必要な苗の生育時期に充分な肥
料成分を供給することができる。
【0085】
【発明の効果】本発明の被覆粒状肥料は被覆層が水膨潤
性物質を含有する熱可塑性樹脂から形成されていて、こ
の被覆層中における熱可塑性樹脂に対する水膨潤性物質
の含有率が、被覆層の内側から外側に向かって連続的に
減少していることの寄与によって、下掲の諸効果を奏す
ることができる: (1)加里肥料成分等のように高い臨界湿度を示し、水に
溶解しにくい肥料成分を芯材として使用した場合であっ
ても、長期間の保存が可能である(長期保存による溶出
パターンの変動が殆ど無い)と共に、(2)肥料成分溶出
の誘導期間及び溶出期間の少なくとも何れかを任意に短
くすることができる。
【0086】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて、有用な
比較例をも参照して、具体的に説明する。しかし、本発
明はこれらの実施例によって何等制約されない。 [保存試験]下記操作によって実施例1〜4で製造され
た各被覆粒状肥料を各試験区で10kgずつポリエチレン
製の肥料袋に収容し、次にそれらを屋内に温度35℃×
湿度70%(RH)で1年間放置した。得られたサンプル
(試料)を本明細書では「保存処理サンプル」と称する。
一方、上記[被覆粒状肥料の調製]によって製造された
被覆粒状肥料であって保存処理を行なっていないサンプ
ルを本明細書では「無処理サンプル」と称する。 [溶出試験]後記の項[被覆粒状肥料の調製]で得られ
た実施例1の無処理サンプル(被覆粒状肥料)を10g
採取し、これを200mlの水に浸漬して25℃で静置し
た。所定期間後に、この被覆粒状肥料と水とを分離し、
水中に溶出した肥料成分の量を定量分析によって求め
た。水から一旦分離された被覆粒状肥料に新たに200
mlの水を加えて再び25℃で静置し、上記と同様にして
所定期間後に、被覆粒状肥料と水とを分離して溶出肥料
の量を定量分析によって求めるという操作を繰り返し
た。
【0087】この操作を繰り返して水中に溶出した肥料
の累積溶出率(AS)と日数(T)との関係をグラフ化する
ことによって溶出速度曲線(図4又は図5)を作成し
た。この溶出速度曲線を用いて、最初の浸漬開始から肥
料成分量の10%が溶出するに要した日数を求め、これ
を「誘導期間」(TI)とした。また肥料成分量の10%
が溶出するに至った日から肥料成分量の80%が溶出す
るに至るまでの日数を求め、これを「溶出期間」(TE)
とした。この無処理サンプルにおける誘導期間(TI0)
及び溶出期間(TE0)の測定結果を表2に示すと共に、
その中で実施例の結果を図4に、比較例の結果を図5に
選別して示す。
【0088】上記の操作を実施例1の保存処理サンプル
(被覆粒状肥料)についても同様に行なって、保存処理
サンプル(被覆粒状肥料)における誘導期間(TI1)及
び溶出期間(TE1)を求めた。
【0089】次いで、無処理サンプルにおける誘導期間
(TI0)及び溶出期間(TE0)並びに保存処理サンプルに
おける誘導期間(TI1)及び溶出期間(TE1)を用いて下
記の計算式「数1」及び「数2」から誘導期間変動率
(α)及び溶出期間変動率(β)を求めた。算出された結果
を表2に示す: [数1] α(%)=|TI1−TI0|×100/TI0 [ここで、α:誘導期間変動率;TI1:保存処理サンプル
の誘導期間;TI0:無処理サンプルの誘導期間、記号
「| |」は絶対値をそれぞれ表わす]。
【0090】[数2] β(%)=|TE1−TE0|×100/TE0 [ここで、β:溶出期間変動率;TE1:保存処理サンプル
の溶出期間;TE0:無処理サンプルの溶出期間、記号
「| |」は絶対値をそれぞれ表わす]。
【0091】
【実施例1】 <粒状肥料の調製(製造方法1)>肥料原料として硫酸
カリウムからなる芯材粒子(平均粒径6〜7mesh)を使
用し、図1の噴流カプセル化装置を用いて芯材粒子の表
面に被覆層を形成して被覆粒状肥料を製造した。
【0092】即ち、図1に示されたように、円筒部(1
u)の規模が次記の噴流塔(1)(塔径250mm×高さ20
00mm)に噴流ガスとして窒素ガスを使用し、オリフィ
ス流量計(9)でこの窒素ガスの流量を4m3/minに調整
すると共に熱交換器(8)で温度100±2℃に保持され
た窒素ガスを移送管(22)経由で有底円筒部(21)(内
径50mm)下端域に導入し、その上端から噴流塔(1)内
上向きに供給した。次いで噴流塔(1)の円筒部(1u)下
段側壁に設けられた芯材粒子投入口(2)から噴流塔(1)
内に芯材粒子10kgを投入した。この芯材粒子は有底円
筒部(21)から吹き上げる熱窒素ガスによって、その少
なくとも一部分が噴流塔(1)内部に浮遊するように設定
した。
【0093】第1層被覆材を形成する為の被覆液(13)
として、第1被覆材である低密度ポリエチレン[密度
0.922g/cc;MI(190℃;21.2N)7.0g/10min]
(以下「LDPE」と略称する)40重量部、第2被覆
材であるタルク(平均粒子径10μm)50重量部及び
溶剤であるパークロロエチレンからなる被覆液(13;
A)(固形分濃度5.0重量%)を調製して被覆液タンク
(11)に収容した。
【0094】同様に第1層被覆材を形成する為の被覆液
(14)として、第3被覆材であるイソブチレン−無水マ
レイン酸共重合体マレイミド変性体[商品名:KIゲル-
201-F2(クラレ社製)](以下「KIG」と略称するこ
とがある)10重量部及び溶剤であるパークロロエチレ
ンからなる被覆液(14)(固形分濃度5.0重量%)を
調製して被覆液タンク(12)に収容した。これらの被覆
液タンク(11)及び(12)には撹拌装置及び加熱装置が
備えられており、この撹拌装置及び加熱装置によって被
覆液を撹拌しながら保温することによって被覆液が均一
に維持された。
【0095】これらの被覆液(13)及び被覆液(14)を
以下の方式で芯材粒子へ噴霧した。まず、バルブ(V2)
を全開にして被覆液タンク(12)から被覆液送液ポンプ
(61)で加圧しながら移送管(51)経由で流体供給ノズ
ル(41)に圧送し、流体供給ノズル(41)から霧状にし
て噴流塔(1)内で上方向けに流量0.3kg/minで被覆液
(14)を噴射した。被覆液(14)は噴流ガスである窒素
ガスによって上方へ向けて噴流塔(1)内に搬送され、こ
の噴流塔(1)内で浮遊している芯材粒子の表面に付着し
た。
【0096】次いで、被覆液(14)の噴霧の開始とほぼ
同時に、被覆液供給量を0.3kg/minの量に保った侭
で、バルブ(V1)を徐々に開放すると共にバルブ(V2)を
徐々に閉止して、流体供給ノズル4から噴霧される被覆
液中の被覆液(14)に対する被覆液(13)の割合を徐々
に高める操作を行ない、噴霧される被覆液中の熱可塑性
樹脂に対する水膨潤性物質の割合(水膨潤性物質重量/
熱可塑性樹脂重量)が噴霧開始から時間の経過と共に徐
々に減少するように操作した。
【0097】この操作によって芯材粒子に被覆液を噴霧
してその表面に被覆層を形成させた後に、流体供給ノズ
ル(41)から噴霧される被覆液を全て被覆液(13)に置
き換えて、しかも被覆層の重量が芯材粒子の重量に対し
て12重量%になった時点で、被覆液圧送ポンプ(61)
を停止させて流体供給ノズル(41)からの被覆液の供給
を停止させた。
【0098】なお、被覆液(13)及び被覆液(14)を同
時に流体供給ノズル(41)に供給する移送管(51)及び
移送管(52)は二重管構造に構成されており、各被覆液
の液温を100℃以下に低下させないように外管に水蒸
気を流して加熱した。
【0099】被覆液の供給を停止して後、さらに5〜1
0minの期間は熱窒素ガスを移送管(51)内に流して被
覆層中のパークロロエチレンを除去した。熱窒素ガスの
供給を停止し、有底円筒部(21)の底部の肥料取出し口
(7)から製品の被覆粒状肥料を取出した。
【0100】得られた被覆粒状肥料の溶出パターンの指
標である誘導期間とその変動率及び溶出期間とその変動
率をそれぞれ測定した結果、誘導期間(TI)45日及び
その変動率(α)2%並びに溶出期間(TE)39日及びそ
の変動率(β)1%を得た。
【0101】実施例1において調製された被覆粒状肥料
を構成する被覆層の組成を表1に、被覆層内側(膜内
側)から被覆層外側(膜外側)に向けた水膨潤性物質の
熱可塑性樹脂に対する含有率の変化(分布)として図3
に曲線Aで示した。図3の曲線Aから判ることは被覆層
中の水膨潤性物質の濃度が層の内側から層の外側までの
略1/4までは比較的急激に減少して、その付近以降で
は徐々に低下して膜の外側へ到ることである。実施例1
における水膨潤性物質の含有率分布を「分布A」に格付
ける。この測定結果をその被覆粒状肥料の構成を表2に
示す。
【0102】
【実施例2】被覆液の組成及び芯材粒子の種類を硫酸加
里に変えると共に、第1被覆材を実施例1における低密
度ポリエチレン[密度0.922g/cc;MI(190℃;21.2
N)7.0g/10min]、第2被覆材をタルク(平均粒子径
10μm)及び第3被覆材をイソブチレン−無水マレイ
ン酸共重合体マレイミド変性体[商品名:KIゲル-201-
F2(クラレ社製)](略称「KIG」)の儘でそれらの
量を下記の通り(表1に記載)に設定した以外には、実
施例1におけると同様にして被覆粒状肥料を製造した
(各成分の量は重量部): ◆LDPE:30重量部;タルク:60重量部;KIG:1
0重量部。
【0103】実施例2において調製された被覆粒状肥料
を構成する被覆層の組成を、被覆層内側(膜内側)から
被覆層外側(膜外側)に向けた水膨潤性物質の熱可塑性
樹脂に対する含有率の変化(分布)として図3に曲線A
で示した。図3の曲線Aから判ることは被覆層中の水膨
潤性物質の濃度が層の内側から層の外側までの略1/4
までは比較的急激に減少して、その付近以降では徐々に
低下して膜の外側へ到ることである。実施例2における
水膨潤性物質の含有率分布を「分布A」に格付ける。前
記の測定結果をその被覆粒状肥料の構成を表2に示す。
【0104】
【実施例3】実施例2における第1被覆材、第2被覆材
及び第3被覆材を用い、それらの使用量比を下記の通り
(表1に記載)に変更した以外には実施例2におけると
同一に操作して第1層被覆材を形成させた。 ◆LDPE:30重量部;タルク55:重量部;KIG:1
5重量部。
【0105】実施例3において調製された被覆粒状肥料
を構成する被覆層の組成を、被覆層内側(膜内側)から
被覆層外側(膜外側)に向けた水膨潤性物質の熱可塑性
樹脂に対する含有率の変化(分布)として図3に曲線A
で示した。図3の曲線Aから判ることは被覆層中の水膨
潤性物質の濃度が層の内側から層の外側までの略1/4
までは比較的急激に減少して、その付近以降では徐々に
低下して膜の外側へ到ることである。実施例3における
水膨潤性物質の含有率分布を「分布A」に格付ける。前
記の測定結果をその被覆粒状肥料の構成を表2に示す。
【0106】
【実施例4】実施例2における第1被覆材、第2被覆材
及び第3被覆材を用い、それらの使用量比を下記の通り
(表1に記載)に変更した以外には実施例2におけると
同一に操作して第1層被覆材を形成させた。 ◆LDPE:30重量部;タルク:60重量部;KIG:1
0重量部。
【0107】実施例4において調製された被覆粒状肥料
を構成する被覆層の組成を、被覆層内側(膜内側)から
被覆層外側(膜外側)に向けた水膨潤性物質の熱可塑性
樹脂に対する含有率の変化(分布)として図3に曲線B
で示した。図3の曲線Bから判ることは被覆層中の水膨
潤性物質の濃度が層の内側から層の外側までの略1/2
まで比較的急激に減少して、「0」に到ることである
実施例4における水膨潤性物質の含有率分布を「分布
B」に格付ける。前記の測定結果をその被覆粒状肥料の
構成を表2に示す。
【0108】
【比較例1】 <被覆粒状肥料の調製(製造方法2)>原料として硫酸
カリウムからなる芯材粒子(平均粒径6〜7mesh)を用
い、図1の噴流カプセル化装置(「図1の装置」と略称
することがある)において被覆液タンクを1個だけ用い
る運転方式(製造方法2)で芯材粒子の表面に被覆層を
形成して被覆粒状肥料を製造した。得られた被覆粒状肥
料の構成を表1に示すと共に、溶出パターンの指標であ
る誘導期間とその変動率及び溶出期間とその変動率を表
2に示す。
【0109】すなわち、図1の装置において、第1被覆
材として低密度PE[密度0.922g/cc;MI(190℃;
21.2N)7.0g/10min]46重量部に第2被覆材としてタ
ルク(平均粒子径10μm)50重量部第3被覆材とし
て薄力小麦粉6重量部及び溶剤としてパークロロエチレ
ンからなる被覆液(16)を調製して被覆液タンク(11)
に収容した。
【0110】この被覆液(16)を被覆液タンク(11)か
ら被覆液送液ポンプ(61)で流体供給ノズル(41)に圧
送し、このノズル(41)から被覆液(16)を霧状で噴流
塔(1)内に流量0.3kg/minで供給した。この被覆液
(16)の液滴又は霧滴は実施例1におけると同様にして
尿素からなる芯材粒子の表面に被覆層を形成し、被覆層
重量が芯材粒子の重量に対して12%に達した時点で被
覆液圧送ポンプ(6)を停止させて流体供給ノズル(41)
からの被覆液の供給を停止した。
【0111】被覆液の供給を停止してからさらに7min
の期間は熱窒素ガスを流して被覆層中のパークロロエチ
レンを除去した後に窒素ガスの供給を停止し、有底円筒
部(21)の底部に設けられた製品肥料取出し口(7)から
被覆粒状肥料を取出した。
【0112】得られた被覆粒状肥料の構成を表1に、被
覆中の水膨潤性物質の分布並びに溶出パターンの指標で
ある誘導期間とその変動率及び溶出期間とその変動率を
組成を表2に示す。本比較例1の被覆における分布は
「C」に格付けられ、その態様は被覆の内側から外側ま
で均一であることが図3に水平な線「C」で表わされて
いる
【0113】
【比較例2】比較例1における被覆液の組成に代えて、
表1に記載された組成即ち、低密度PE[密度0.92
2g/cc;MI(190℃;21.2N)7.0g/10min]30重量部
に第2被覆材としてタルク(平均粒子径10μm)50
重量部第3被覆材として薄力小麦粉20重量部及び溶剤
としてパークロロエチレンからなる被覆液(16)の被覆
層と芯材粒子とを組合わせた以外には、上記比較例1と
同様にして被覆率12%の被覆粒状肥料を製造した。
【0114】得られた被覆粒状肥料の構成を表1に、被
覆中の水膨潤性物質の分布並びに溶出パターンの指標で
ある誘導期間とその変動率及び溶出期間とその変動率を
組成を表2に示す。本比較例2の被覆における分布は
「C」に格付けられて表2に示され、その態様は被覆の
内側から外側まで均一であることが図3に水平な線
「C」で表わされている
【0115】
【比較例3】被覆層の組成を表1に記載された組成に一
致させるように、被覆層の形成を2回行って被覆層を2
層にした以外には比較例1と同様にした。即ち、芯材粒
子を硫酸加里とし、第1被覆層形成用の第1被覆材とし
て低密度PE[密度0.922g/cc;MI(190℃;21.2N)
7.0g/10min]20重量部、第2被覆材としてタルク
(平均粒子径10μm)60重量部、第3被覆材として
ポリエチレンオキサイド(Mw150,000〜400,000)20
重量部及び溶剤としてパークロロエチレンからなる被覆
液(16)を用いて被覆率9%に被覆させ、第1被覆層を
形成させた。
【0116】第1被覆層の表面に、第2被覆層形成用の
第4被覆材として低密度PE[密度0.922g/cc;M
I(190℃;21.2N)7.0g/10min]30重量部に第5被覆
材としてタルク(平均粒子径10μm)70重量部及び
溶剤としてパークロロエチレンからなる被覆液(17)を
用いて被覆率3%に被覆させ、第2被覆層を形成させ
た。
【0117】得られた被覆粒状肥料の構成を表1に、被
覆中の水膨潤性物質の分布並びに溶出パターンの指標で
ある誘導期間とその変動率及び溶出期間とその変動率を
組成を表2に示す。本比較例3の被覆における分布は
「C」に格付けられて表2に示され、その態様は被覆の
内側から外側まで均一であることが図3に水平な線
「C」で表わされている
【0118】
【比較例4】被覆層の組成を表1に記載された組成に一
致させるように、被覆層の形成を2回行なって被覆層を
2層にした以外には比較例1と同様に操作した。即ち、
芯材粒子を硫酸加里とし、第1被覆層形成用の第1被覆
材としてKIG[商品名:KIゲル-201K-F2(クラレ社
製)]85重量部、第2被覆材としてポリエチレングリ
コール[商品名:ポリエチレングリコール(20000)(日本
油脂社製)]15重量部及び溶剤としてパークロロエチ
レンからなる被覆液(18)を用いて被覆率9%に被覆さ
せ、第1被覆層を形成させた。
【0119】第1被覆層の表面に、第2被覆層形成用の
第4被覆材として低密度PE[密度0.922g/cc;M
I(190℃;21.2N)7.0g/10min]30重量部に第5被覆
材としてタルク(平均粒子径10μm)70重量部及び
溶剤としてパークロロエチレンからなる被覆液(19)を
用いて被覆率3%に被覆させ、第2被覆層を形成させ
た。
【0120】得られた被覆粒状肥料の構成を表1に、被
覆中の水膨潤性物質の分布並びに溶出パターンの指標で
ある誘導期間とその変動率及び溶出期間とその変動率を
組成を表2に示す。本比較例4の被覆における分布は
「C」に格付けられて表2に示され、その態様は被覆の
内側から外側まで均一であることが図3に水平な線
「C」で表わされている
【0121】
【比較例5】比較例1における被覆液の組成に代えて、
表1に記載された組成即ち、低密度PE[密度0.92
2g/cc;MI(190℃;21.2N)7.0g/10min]30重量部
に第2被覆材としてタルク(平均粒子径10μm)60
重量部、第3被覆材としてKIG[商品名:KIゲル-20
1K-F2(クラレ社製)]10重量部及び溶剤としてパー
クロロエチレンからなる被覆液(16)の被覆層と芯材粒
子とを組合わせた以外には、上記比較例1と同様にして
被覆率12%の被覆粒状肥料を製造した。得られた被覆
粒状肥料の構成を表1に示すと共に、被覆中の水膨潤性
物質の分布並びに溶出パターンの指標である誘導期間と
その変動率及び溶出期間とその変動率を表2に示す。
比較例5の被覆における分布は「C」に格付けられて表
2に示され、その態様は被覆の内側から外側まで均一で
あることが図3に水平な線「C」で表わされている
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の被覆粒状肥料の被覆層の形成に
使用される装置を示したフローシートである。
【図2】図2は従来の被覆粒状肥料の被覆層の形成に使
用される装置を示したフローシートである。
【図3】図3は本発明の被覆粒状肥料を構成する被覆層
の内側(芯材側)から外側に向けて、熱可塑性樹脂相中
における水膨潤性物質の含有率の変化(分布;濃度勾
配)を横軸に被覆層の層厚、縦軸に水膨潤性物質の含有
率として示す。
【図4】図4は本発明の被覆粒状肥料の溶出パターンを
示す曲線であって横軸の目盛りは溶出日数を、縦軸の目
盛りは累積溶出率を表わす。
【図5】図5は従来の被覆粒状肥料における被覆粒状肥
料の溶出パターンを示す曲線であって横軸の目盛りは溶
出日数を、縦軸の目盛りは累積溶出率を表わす。
【符号の説明】
1 噴流塔 2 芯材粒子供給口 4 流体供給ノズル(総括名称) 5 移送管(総括名称) 6 加圧ポンプ(総括名称) 7 肥料取り出し口 10 ブロアー 11、12、15 被覆液タンク 13、14、16 被覆液 21 有底円筒部 22 移送管 1d 噴流塔の円筒部下段 1u 噴流塔の円筒部上段 41、42 流体供給ノズル 51、52 移送管 61、62 加圧ポンプ A 本発明の被覆付き粒状肥料における分布を表わす
曲線 B 本発明の被覆付き粒状肥料における別種の分布を
表わす曲線 C 従来の被覆付き粒状肥料における分布を表わす曲
線 L 被覆粒状肥料において被覆の内側から外側までの
長さ S 肥料の被覆膜中における水膨潤性物質の含有量
(率) V 2液の管路切替用のL字バルブ V1、V2 被覆液タンク出口の流量調節弁 ex 肥料を覆う被覆の外側位置 in 肥料を覆う被覆の内側位置 med 肥料を覆う被覆の内側位置と外側位置との中
間位置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肥料成分からなる芯材粒子と、該芯材粒
    子の表面に該芯材粒子からの肥料成分の溶出を制御する
    被覆層とを有する被覆粒状肥料であって、該被覆層が水
    膨潤性物質を含有する熱可塑性樹脂から形成されてお
    り、かつ該被覆層中における熱可塑性樹脂に対する水膨
    潤性物質の含有率が被覆層の内側から外側に向かって連
    続的に減少していることを特徴とする被覆粒状肥料。
  2. 【請求項2】 前記芯材粒子が加里肥料成分から形成さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の被覆粒状肥
    料。
  3. 【請求項3】 前記被覆層を構成する熱可塑性樹脂が密
    度0.94〜0.97g/cc及びMI(190℃;21.2N)5〜1
    00g/10minの低密度ポリエチレンであること及び水膨
    潤性物質がイソブチレン−無水マレイン酸共重合体マレ
    イミド変性体であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の被覆粒状肥料。
  4. 【請求項4】 前記被覆粒状肥料における時限溶出パタ
    ーンが誘導期間(TI)/溶出期間(TE)の比率(TI/
    TE=γ)で表わして、0.2≦γである溶出パターンを
    示す請求項1〜3の何れかに記載の被覆粒状肥料。
  5. 【請求項5】 前記芯材粒子の表面に被覆液を噴霧して
    該芯材粒子の表面に被覆層を形成することによって被覆
    粒状肥料を製造するに際して、水膨潤性物質を含有する
    熱可塑性樹脂と溶媒とから少なくとも構成される被覆液
    中の水膨潤性物質の熱可塑性樹脂に対する含有率を連続
    的に減少させながら被覆液を噴霧することを特徴とする
    被覆粒状肥料の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6358295B1 (en) 2000-03-15 2002-03-19 Sumitomo Chemical Company, Limited Method for producing granular coated fertilizer
WO2015059864A1 (ja) * 2013-10-25 2015-04-30 コニカミノルタ株式会社 粒子状肥料およびその製造方法

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