JPH1071576A - インパクト式ねじ締め方法と装置 - Google Patents

インパクト式ねじ締め方法と装置

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JPH1071576A
JPH1071576A JP33221996A JP33221996A JPH1071576A JP H1071576 A JPH1071576 A JP H1071576A JP 33221996 A JP33221996 A JP 33221996A JP 33221996 A JP33221996 A JP 33221996A JP H1071576 A JPH1071576 A JP H1071576A
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JP
Japan
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impact
torque
screw
rotation angle
fastening
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Withdrawn
Application number
JP33221996A
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English (en)
Inventor
Fuhei Shin
富炳 申
Junichi Maruyama
旬一 丸山
Teruo Fukumura
輝雄 福村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Details Of Spanners, Wrenches, And Screw Drivers And Accessories (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 締結の進行に伴って被締結体のみかけの剛
性、摩擦係数が変化する場合であっても、締付け軸力を
従来技術以上に高精度で測定する。 【解決手段】 予めねじ部の回転角度と締結力との間の
比例定数(KAF)と、ねじ部の材質及び形状から残留ね
じれエネルギ定数(KT )並びに締付け弾性エネルギ定
数(KE )とを求め、前記ねじ部にインパクトを複数回
加えたときの、ねじ部の回転角度の変化量(△θ)と、
発生する最大トルクの変化量(△T)とを測定して下記
の式に代入し、各インパクト毎のエネルギから締結力
(F)を演算し、当該締付力によりねじ締めするように
したインパクト式ねじ締め方法と装置。また上記最大ト
ルクの代わりに、トルク検出器30の出力波形のうち
の、インパクトの立上がり時から一定時間経過後の出力
値を用いるとよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インパクトレンチ
やインパクト式ナットランナーなどのようにインパクト
エネルギを利用してねじ締めを行なうインパクト式ねじ
締め方法と、当該方法を利用した締結力測定装置並びに
インパクト式ねじ締め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、インパクトエネルギを利用し
てボルト又はナット(以下、総称してねじ部ともいう)
のねじ締めを行なうねじ締め装置としては、ねじ部の回
転角度を管理して所定軸力を得るようにしたインパクト
式ねじ締め装置や、ねじ部の締め付けトルクを管理して
所定軸力を得るようにしたインパクト式ねじ締め装置等
が知られている。
【0003】ねじ部の回転角度を管理して所定軸力を得
るようにしたインパクト式ねじ締め装置としては、例え
ば特開平6−91552号公報等に開示されているもの
がある。このねじ締め装置は、ねじ締めの際に回転され
るボルト又はナットの回転角度を検出することによりね
じ部の軸力を測定するようにしたものである。
【0004】図22は前記インパクト式のねじ締め装置
の概略構成図、図23は同装置の回転角検出部の拡大断
面図である。当該ねじ締め装置は、鉄板等の被締結体W
に取付けられているボルトvにナットnを所定の締付け
トルクで締付ける締結部100と、この締結部100の
上部に設けられたねじ締め装置の本体101と、当該本
体101と締結部100との間に配置され、ねじ部が前
記締結部100に接触した後、つまり着座後のねじ部の
回転角度を測定する回転角検出器102とから構成され
ている。
【0005】前記本体101は、電気又は圧縮空気を動
力源とするモータMと、このモータMの回転力をパルス
状のトルクに変換するトルク発生器103とを有し、当
該トルク発生器103のトルクを出力軸104に伝達す
るようになっている。
【0006】出力軸104は、図23に示すように、前
記回転角検出器102のハウジング105に回転自在に
支持されたソケット106と連結され、当該出力軸10
4の回転によりソケット106を回転し、ソケット10
6に嵌合されたナットnをボルトvに螺合するようにな
っている。
【0007】このナットnの回転角度は、ソケット10
6の回転を検知することにより測定している。つまり、
ソケット106の回転がロータリエンコーダのコード・
ホイール107に伝達され、このコード・ホイール10
7の回転をロータリ・エンコーダの検出ヘッド108が
検知することにより測定している。
【0008】当該回転角検出器102から発せられる信
号は、図22に示されている制御部109により処理さ
れる。この制御部109は、回転角検出器102からの
信号を入力として回転角度信号をつくる回転角信号処理
部110と、「ボルトv又はナットnの着座以降の回転
角度θF と締付け軸力Fとの関係についてのテーブル」
が記録されかつ当該テーブルを補正する機能をもつ軸力
データ・メモリ部111と、軸力演算部112とから構
成されている。
【0009】前記軸力データ・メモリ部111に記録さ
れているテーブル(関数)は、例えば図24に示すよう
なものである。このテーブルの具体的な値は、ねじ部と
被締結体Wの組合せでそれぞれ異なるので、使用対象と
なるねじ部と被締結体Wの組合せごとに用意される。
【0010】軸力演算部112では、当該テーブルに基
づいて締付け軸力が演算されるが、この演算を図25,
26に示すフローチャートに基づき説明する。なお、図
25,26において、はその箇所が接続されているこ
とを示す。
【0011】まず、ステップS51〜S58までにおい
て、ねじ部が締結部100に着座するまでねじ部を回転
させる作業を行なう。ステップS51及びステップS5
2において、ナットnが締結部100に着座した後にイ
ンパクトを加えた時に生じるナットの最大回転角度であ
る着座判定上限回転角sθMAX と、着座した後にインパ
クトを加えた時に生じるナットの最小回転角度である着
座判定下限回転角sθMIN の値を設定する。また、ステ
ップS53において領域I についての閾値回転角である
領域判定閾値回転角sθIRの値を設定し、ステップS5
4でインパクト数のカウントをリセットする<カウント
i=0>。そして、ステップS55でねじ締めを開始す
る。
【0012】ステップS56〜ステップS58は、ルー
プを形成しており、ナットnが締結部100に着座する
まではインパクトごとに着座判定を行う。
【0013】まず、ステップS56でカウントiを1だ
け増加させた後、ステップS57でインパクトごとのナ
ットの回転角θI(i)を計測して記憶し、ステップS58
でインパクトごとのナットの回転角θI(i)が着座判定上
限回転角sθMAX 以下か否かを判断する。「NO」すな
わち未着座であれば、ステップS56に戻ってステップ
S58までを繰返し、「YES」すなわち着座であれ
ば、ステップS59に進み、着座時点における着座以降
のナットの回転角θFLを下記の数式により計算し、この
θFLの値を着座以降のナットの回転角θF(i)として記憶
する<θF(i)=θFL>。
【0014】θFL=sθMIN ×(sθMAx −θI(i))/
(sθMAx 一sθMIN ) 次に、前記テーブルは、領域I ,II,III で関数が異な
るので、関数変換を行なって締付け軸力の計算を行な
う。
【0015】ステップS60〜ステップS64よりなる
ループに進み、前記テーブルの領域I における締付け軸
力の計算、および領域I から領域IIへの移行タイミング
の判定を行う。
【0016】ステップS60でカウントiを1だけ増加
させた後、ステップS61でインパクトごとのナットの
回転角θI(i)を計測して記憶する。
【0017】ステップS62でインパクトごとのナット
の回転角θI(i)が領域判定閾値回転角sθIR以下か否か
を判断する。「NO」すなわち締結の進行状態が領域I
にあれば、ステップS63に進み、着座以降のナットの
回転角θF(i)を計算して記憶する。ただし、θF(i)=θ
F(i-1)+θI(i)
【0018】次に、ステップS64で、軸力データ・メ
モリ部111に記録されている「ナットの着座以降の回
転角θF と締付け軸力Fとの関係についてのテーブル」
の領域I における傾きを用いて締付け軸力F(i) を求め
て記憶した後、ステップS60に戻ってステップS62
までを繰返す。
【0019】一方、ステップS62で「YES」すなわ
ち締結の進行状態が領域I を越え、領域IIおよび領域II
I になると、図26のステップS65に進み、軸力デー
タ・メモリ部111に記録されている「ナットの着座以
降の回転角θF と締付け軸力Fとの関係についてのテー
ブル」を補正する。具体的には、図27に示すように、
この時点における着座以降のナットの回転角θF(i)を領
域移行回転角sθFRとして、領域IIおよび領域III の特
性線をB又はC側に平行移動することによってテーブル
の補正を行う。
【0020】ステップS66で着座以降のナットの回転
角θF(i)を計算して記憶する。ただし、θF(i)=θ
F(i-1)+θI(i)
【0021】ステップS67で、ステップS65におい
て補正したテーブルに基づいて締付け軸力F(i) を求め
て記憶した後、ステップS68〜ステップS72のルー
プに進み、領域IIおよび領域III における締付け軸力の
計算を行う。
【0022】まず、ステップS68でカウントiを1だ
け増加させた後、ステップS69でインパクトごとのナ
ットの回転角θI(i)を計測して記憶する。ステップS7
0では、着座以降のナットの回転角θF(i)を計算して記
憶する。ただし、θF(i)=θF(i-1)+θI(i)。ステップ
S71でステップS65において補正したテーブルに基
づいて締付け軸力F(i) を求めて記憶する。ステップS
72で終了するか否かを判断し、「YES」、すなわち
終了条件を満足する所定の軸力の範囲に入ったならば、
そのまま終了し、「NO」であれば軸力測定を継続す
る。すなわち、ステップS68に戻ってステップS72
までを繰返す。
【0023】このように本ねじ締め装置では、インパク
トごとのねじ部の回転角度から座面同志が接触していな
いか、部分的に接触しているか、完全に接触しているか
の状態を判定し、上記の「ボルトまたはナットの着座以
降の回転角度と締付け軸力との関係についてのテーブ
ル」を補正するようにしている。
【0024】このため、被締結体Wの寸法のバラツキに
よって、上記の座面同志の接触状態の移行タイミング、
特に、座面同志が接触していない状態から部分的に接触
している状態への移行タイミングが、標準テーブルで設
定されているボルトvまたはナットnの着座以降の回転
角度からずれてしまった場合でも、締付け軸力を精度良
く測定できる。
【0025】また、この装置においては、締結の進行に
ともなって被締結体Wのみかけの剛性が変化する場合で
も、軸力が発生し始めてから締結を終了するまでの全範
囲について、精度の良い軸力測定が可能である。
【0026】一方、ねじ部の締め付けトルクを管理して
所定軸力を得るようにしたインパクト式ねじ締め装置に
あっては、ねじ締め装置の本体の出力軸にトルク検出器
が設けられている。そして例えば、前記トルク検出器か
ら発せられるボルト締結時のインパクトごとの当該トル
ク検出器の出力波形のピーク値が、あらかじめ決められ
た締付完了を示す所定の締付完了設定値に達したところ
で、ねじ締め装置の本体の出力軸の駆動を停止するよう
に構成することにより、ねじ部の締め付けトルクを制御
するようにしている。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のねじ部の回転角度を管理して所定軸力を得るように
したインパクト式ねじ締め装置では、「ボルトまたはナ
ットの着座以降の回転角度と締付け軸力との関係につい
てのテーブル」に基づいて締付け軸力を求めており、し
かも、例えば図24に示す標準テーブルにおいて領域I
から領域IIへの領域移行を、インパクトごとのボルトま
たはナットの回転角と領域判定閾値回転角との比較によ
り判定して標準テーブルを補正しているため、領域IIに
おいて標準テーブルからのズレが発生した場合には、そ
れによる軸力測定誤差を補正する手段がなく、領域III
における軸力測定精度をさらに高めることが難しい。
【0028】また、ボルトまたはナットと被締結物との
間の摩擦係数がオイル等で変化した場合に領域判定を誤
るという問題がある。
【0029】一方、上記従来のねじ部の締め付けトルク
を管理して所定軸力を得るようにしたインパクト式ねじ
締め装置では、ボルト締結時のインパクトごとに発生す
るトルク検出器の出力波形のピーク値は、実際には同一
トルクで締め付けられていても被締結体の固定状況(振
動状況)によって若干異なり、このため精度を上げるに
は、締結部位ごとに、締め付けトルクとトルク検出器の
出力波形のピーク値との関連付けを行う必要があった。
したがって、同一トルクで精度良く締め付けるべき複数
のねじ部が存在するような場合に、被締結体の固定状況
がそれぞれ異なるときには、前記締付完了設定値を同じ
にして締め付けを行うことができず作業性が低下すると
いう問題がある。また、このように被締結体の固定状況
に左右されるということはトルク検出器による締め付け
トルクの検出値に不確定要因なるものを与えることにな
るため、結果的に締め付け精度の低下を招いていた。
【0030】本発明は、上記のごとき従来技術のもつ問
題を解決するためになされたものであり、本発明の目的
は、インパクトによるねじ部の回転角度および締付トル
クと該インパクト後の締付け軸力との関係に基づいて、
締付け軸力を求めることにより、締結の進行に伴って被
締結体のみかけの剛性、摩擦係数が変化する場合であっ
ても、締付け軸力を高精度で測定できる方法と装置を提
供することにある。
【0031】また、本発明の別の目的は、被締結体の固
定状況に影響されることなく締め付けトルクの検出を行
いつつねじ締めすることにより締付け軸力の精度を向上
させ得ることにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
係るインパクト式ねじ締め方法は、ねじ部に駆動源を用
いてインパクトエネルギを加えることにより当該ねじ部
を被締結体に締結するようにしたインパクト式ねじ締め
方法において、予め、ねじ部の回転角度と締結力との間
の比例定数(KAF)と、ねじ部の材質及び形状から残留
捩じれエネルギ定数(KT )並びに締付け弾性エネルギ
定数(KE )を求めておき、前記ねじ部にねじ締め用の
インパクトエネルギを複数回加えたときの、当該ねじ部
の回転角度の変化量(△θ)と、発生するトルク出力波
形のうちの所定の検出管理トルクの変化量(△T)とを
測定し、前記各定数及び測定値を式(1)に代入するこ
とにより演算した締結力(F)によりねじ締めするよう
にしたことを特徴とする。一般に、インパクトによりね
じ締めを行なう場合において、同一軸力で締結されてい
るボルトに同一のインパクトを与えても、ねじ面と座面
の摩擦係数が異なると、ボルトの回転角度は一定にはな
らない。つまり、摩擦係数が大きいと、回転角度は小さ
く、摩擦係数が小さいと、回転角度が大きくなる。ま
た、発生するトルク出力値も、摩擦係数が大きいと大き
く、摩擦係数が小さいと小さくなる性質がある。
【0033】したがって、インパクトエネルギを与えた
ときの回転角度△θと、このとき発生するトルク出力波
形のうちの所定の検出管理トルクの変化量△Tの2つの
値から摩擦係数の影響を取り除くことにより、所定のイ
ンパクトエネルギを与えたときの締結力を、これらの回
転角度および検出管理トルクの変化量の2つの値から演
算することができる。
【0034】したがって、請求項1に記載の方法では、
摩擦係数をファクターとせず、回転角度とトルクの変化
量やねじ部の形状・材質、相手部材の材質・形状等のみ
から締結力を求める式を作り、これを演算式として用い
るようにしたので、ねじ部と座面の摩擦係数が異なる状
態であってもインパクトエネルギが一定であれば、締結
力を正確に測定することができる。
【0035】また、前記ねじ部の締付完了後であって
も、複数回のインパクトを与えてその時の発生トルクと
回転角度を測定することにより締結力を正確に演算でき
る。
【0036】請求項2に記載の発明は、複数回加えた前
記インパクトエネルギによる前記ねじ部の回転角度およ
び発生するトルク出力波形のうちの所定の検出管理トル
クの変化量(△θ,△T)を測定し、前記各定数及び測
定値を式(1)に代入することにより演算した締結力
が、目標締結力を越えたところでインパクトエネルギを
ねじ部に伝達しないようにしたことを特徴とする。
【0037】このようにすれば、摩擦係数のばらつきに
影響されずに安定した締結力を得ることができる。
【0038】請求項3に記載の発明は、式(1)で演算
した締結力で目標締結力の1/10〜1/2程度の締結
力が発生している段階で、式(1)で演算して得られた
締結力と回転角度の比例関係から回帰直線を計算し、締
結力が0となる仮想的な締付原点を求め、その角度を締
付角度の起点とし、一定角度回転させるようにすること
を特徴とする。
【0039】このようにすれば、インパクトエネルギが
装置の劣化等により一定とならないときでも安定した締
結力を得られる。
【0040】請求項4に記載の発明は、締付完了時の演
算締結力と目標締結力の差を計算し、その差が一定値以
上となったことを作業者に伝えるようにしたことを特徴
とする。
【0041】このようにすれば、インパクトエネルギが
変化したことを作業者が知ることができ装置の劣化を検
知でき、故障を未然に防止することができる。
【0042】請求項5に記載の発明は、駆動源を電動モ
ータにより構成したことを特徴とする。
【0043】このようにすれば、電動モータによるねじ
締めするときには、一定電力(式(1)の「A」:イン
パクトエネルギ)を与えるたびに、ねじ部の回転角度△
θと発生するトルク出力波形のうちの所定の検出管理ト
ルクの変化量△Tの2つの値から軸力を式(1)で演算
することで従来よりも高精度の締結力推定を行うことが
できる。
【0044】請求項6に記載の発明は、上記請求項1〜
5のいずれか1項に記載のインパクト式ねじ締め方法に
おいて、前記検出管理トルクは、前記ねじ部にねじ締め
用のインパクトエネルギを加えたときの当該ねじ部に伝
達されたトルクを検出するトルク検出器の出力波形のう
ちの、インパクトエネルギを加えた際の立上がり時から
一定時間経過後の出力値としたことを特徴とする。
【0045】このようにすれば、インパクトを与えたと
きに発生する衝撃の影響を受けずにトルクを測定するこ
とができるため、被締結体の固定状況の相違によらず
に、より高精度にねじ部の締付けを行うことができる。
【0046】請求項7に記載の発明に係る締結力測定装
置は、駆動源からの動力が伝達され、被締結体に取り付
けられたねじ部にインパクトエネルギを加えるトルク発
生部を有し、当該トルク発生部のインパクトエネルギに
より前記ねじ部に加えられる締結力を測定する装置にお
いて、予め求めておいた、ねじ部の回転角度と締結力と
の間の比例定数(KAF)、ねじ部の材質及び形状から求
めた残留捩じれエネルギ定数(KT )並びに締付け弾性
エネルギ定数(KE )が入力されている制御部と、前記
ねじ部にねじ締め用のインパクトエネルギを加えたとき
の当該ねじ部の回転角度を検出する回転角検出器と、前
記ねじ部にねじ締め用のインパクトエネルギを加えたと
きの当該ねじ部に伝達されたトルクを検出するトルク検
出器とを有し、前記トルク発生部が前記ねじ部に複数回
加えたインパクトエネルギにより前記回転角検出器とト
ルク検出器とにより測定した当該ねじ部の回転角度の変
化量(△θ)と、発生するトルク出力波形のうちの所定
の検出管理トルクの変化量(△T)の値を、前記制御部
に入力し、式(1)により前記締結力を算出するように
したことを特徴とする。
【0047】このようにすれば、前記ねじ部の回転角度
の変化量(△θ)と、検出管理トルクの変化量(△T)
の値から締結力を算出することによりねじ締め締結力の
測定ができ、また、これを締付を完了したねじ部に適用
すれば、締付が完了したねじ部の締結力を簡易に測定で
きる。
【0048】請求項8に記載の発明は、トルク発生部
を、重力により自由落下する振り子状のインパクト部材
により構成したことを特徴とする。
【0049】このようにすれば、当該締結力測定装置
は、振り子状のインパクト部材を持ち上げて自由落下さ
せることによりインパクトエネルギを付与するので、安
定した動力がえられ、精度良く締結力を測定でき、ま
た、締め付けが完了したねじ部に対しても、その締付力
を簡単に測定できる。
【0050】請求項9に記載の発明は、上記請求項7又
は8に記載の締結力測定装置において、前記検出管理ト
ルクは、前記トルク検出器の出力波形のうちの、インパ
クトエネルギを加えた際の立上がり時から一定時間経過
後の出力値としたことを特徴とする。
【0051】このようにすれば、インパクトを与えたと
きに発生する衝撃の影響を受けずにトルクを測定するこ
とができるため、被締結体の固定状況の相違によらず
に、より高精度にねじ部の締結力測定を行うことができ
る。
【0052】請求項10に記載の発明に係るインパクト
式ねじ締め装置は、駆動源からの動力が伝達され、被締
結体に取り付けられたねじ部にインパクトエネルギを加
えるトルク発生部を有し、当該トルク発生部により前記
ねじ部を被締結体に締結するようにしたインパクト式ね
じ締め装置において、予め求めておいた、ねじ部の回転
角度と締結力との間の比例定数(KAF)、ねじ部の材質
及び形状から求めた残留捩じれエネルギ定数(KT )並
びに締付け弾性エネルギ定数(KE )が入力されている
制御部と、前記ねじ部にねじ締め用のインパクトエネル
ギを加えたときの当該ねじ部の回転角度を検出する回転
角検出器と、前記ねじ部にねじ締め用のインパクトエネ
ルギを加えたときの当該ねじ部に伝達されたトルクを検
出するトルク検出器とを有し、前記トルク発生部が前記
ねじ部に複数回加えたインパクトエネルギにより前記回
転角検出器とトルク検出器とにより測定した当該ねじ部
の回転角度の変化量(△θ)と、発生するトルク出力波
形のうちの所定の検出管理トルクの変化量(△T)の値
を、前記制御部に入力し、当該制御部が式(1)により
算出した前記締結力により前記トルク発生部が前記ねじ
部を被締結体に締結するようにしたことを特徴とする。
【0053】このようにすれば、被締結体の剛性、摩擦
係数が変化する場合であっても、ねじ部の締付を高精度
で行なうことができる。
【0054】請求項11に記載の発明に係るインパクト
式ねじ締め装置は、手持ち式インパクトレンチであり、
前記ねじ部と嵌合される当該インパクトレンチの先端に
設けられたソケットに可及的に近接した場所に、ねじ締
め作業時の締め付け角度の原点を示す基準出し部材を取
り付けたことを特徴とする。
【0055】このようにすれば、固定されている締結部
に設けられたねじ部を手持ちインパクトレンチで一定角
度締め付ける際、当該インパクトレンチが回転すること
により締め付け角度の原点を見失うことを防止できる。
【0056】また、この基準出し部材をソケットに近い
所、つまりねじ部により近い所に取付けると、当該装置
によるねじ締結状態をより正確に把握でき、締結を安定
的に行なうことができる。
【0057】請求項12に記載の発明は、基準出し部材
をジャイロコンパスにより構成したことを特徴とする。
【0058】このようにすれば、締結部のねじ部を手持
ちインパクトレンチで一定角度締め付ける際、締め付け
角度の原点を見失うことを防止できるのみでなく、ねじ
部の近くにジャイロコンパスを取り付けることで、ジャ
イロコンパスの回転検出能力を最大限利用することがで
き締結力を安定させることができる。
【0059】請求項13に記載の発明に係るインパクト
式ねじ締め装置は、手持ち式インパクトレンチであり、
当該インパクトレンチの出力軸の先端部分に前記回転角
検出器を設け、この回転角検出器のケースの前記締結部
側に当該締結部に当接する押付部材を設けたことを特徴
とする。
【0060】このようにすれば、押付部材が締結部に当
接するので、回転角検出器が締結部に対して相対的に回
転せず、締付反力により回転する締結部に対してもねじ
部を相手部材に対して一定角度締め付けることができ
る。
【0061】請求項14に記載の発明に係る押付部材
は、前記締結部に弾性的に当接し、当該締結部との当接
面側に摩擦抵抗を有する抵抗部材を設けたことを特徴と
する。このようにすれば、締付反力により回転する締結
部に対してもねじ部を一定角度締め付けることができる
のみでなく、回転角検出器が締結部に対して安定的に当
接し、締め付け作業がより確実となる。
【0062】請求項15に記載の発明は、上記請求項1
0〜14のいずれか1項に記載のインパクト式ねじ締め
装置において、前記検出管理トルクは、前記トルク検出
器の出力波形のうちの、インパクトエネルギを加えた際
の立上がり時から一定時間経過後の出力値としたことを
特徴とする。
【0063】このようにすれば、インパクトを与えたと
きに発生する衝撃の影響を受けずにトルクを測定するこ
とができるため、被締結体の固定状況の相違によらず
に、より高精度にねじ部の締付けを行うことができる。
【0064】請求項16に記載の発明に係るインパクト
式ねじ締め装置は、駆動源からの動力が伝達され、被締
結体に取り付けられたねじ部にインパクトエネルギを加
えるトルク発生部を有し、当該トルク発生部により前記
ねじ部を被締結体に締結するようにしたインパクト式ね
じ締め装置において、前記ねじ部にねじ締め用のインパ
クトエネルギを加えたときの当該ねじ部に伝達されたト
ルクを検出するトルク検出器を有し、当該トルク検出器
の出力波形のうちの、インパクトエネルギを加えた際の
立上がり時から一定時間経過後の出力値を検出管理トル
クとし、これに基づいてねじ締めすることを特徴とす
る。
【0065】このようにすれば、インパクトを与えたと
きに発生する衝撃の影響を受けずにトルクを測定するこ
とができるため、同一トルクで精度良く複数のねじ部を
締付けなければならない場合でも、被締結体の固定状況
にかかわらず締付完了設定値を同じにして精度良く締め
付けを行うことができる。
【0066】
【発明の効果】請求項1に記載の発明方法によれば、摩
擦係数を含まない演算式を利用してねじ部の締結力を求
めるようにしたので、ねじ面と座面の摩擦係数が異なる
状態であってもインパクトエネルギが一定であれば、締
結力を正確に測定したり、これに基づき正確な締め付け
作業が可能となり、また、ねじ部の締付完了後であって
も、締結力を正確に演算できる。
【0067】請求項2に記載の発明方法によれば、イン
パクトエネルギを加える毎に締結力を演算し、目標締結
力を越えたところでインパクトエネルギをねじ部に伝達
しないようにするので、摩擦係数のばらつきに影響され
ずに安定した締結力を得ることができる。
【0068】請求項3に記載の発明によれば、式(1)
で演算して得られた締結力と回転角度の比例関係から近
似直線を求め、この直線を基礎として一定角度回転させ
るようにしたので、装置の劣化等があっても安定した締
結力を得られる。
【0069】請求項4に記載の発明によれば、締付完了
時の演算締結力と目標締結力の差が一定値となったこと
を作業者に伝えるようにしたので、作業者は、装置の劣
化等を未然に知ることができる。
【0070】請求項5に記載の発明によれば、駆動源を
電動モータとしたので、ねじ締め時に一定電力を与える
たびに、ねじ部の回転角度△θとトルク出力波形のうち
の所定の検出管理トルクの変化量△Tから式(1)を用
いて従来よりも高精度に締結力の推定が可能となる。
【0071】請求項6に記載の発明によれば、被締結体
の固定状況の相違によらずに、より高精度にねじ部の締
付けを行うことができる。
【0072】請求項7に記載の発明によれば、2回以上
のインパクトエネルギをねじ部に与え、検出管理トルク
の変化量、ねじ部回転角度の変化量を計測し締結力を測
定でき、また締付を完了したねじ部の締結力も簡易に測
定できる。
【0073】請求項8に記載の発明によれば、持ち上げ
て自由落下させることによりインパクトエネルギを付与
する振り子状のインパクト部材を締結力測定装置に用い
たので、安定した動力がえられ、精度良く締結力を測定
でき、また、締め付けが完了したねじ部に対しても、そ
の締付力を簡単に測定できる。
【0074】請求項9に記載の発明によれば、被締結体
の固定状況の相違によらずに、より高精度にねじ部の締
結力測定を行うことができる。
【0075】請求項10に記載の発明は、前記ねじ締め
方法をインパクト式ねじ締め装置に応用したもので、被
締結体の剛性、摩擦係数が変化する場合であっても、ね
じ部の締付を高精度で行なうことができる。
【0076】請求項11に記載の発明によれば、手持ち
式インパクトレンチに設けられたトルク発生部に近い所
に、ねじ締め作業時の締め付け角度の原点を示す基準出
し部材を設けたので、ねじ部を一定角度締め付ける際
も、当該インパクトレンチが回転することにより締め付
け角度の原点を見失うことを防止するでき、また、ねじ
締結状態をより正確に把握でき、締結を安定的に行なう
ことができる。
【0077】請求項12に記載の発明によれば、基準出
し部材をジャイロコンパスししたので、手持ちインパク
トレンチでねじ部を一定角度締め付ける際、締付け角度
の原点を見失うことを防止でき、また、ジャイロコンパ
スの回転検出能力を最大限利用し、締結を安定的に行な
うことができる。
【0078】請求項13に記載の発明によれば、手持ち
用インパクトトレンチの回転角検出器から締結部に向か
って突出する押付部材を設けたので、締付反力により回
転する締結部に対してもねじ部を一定角度締め付けるこ
とができる。
【0079】請求項14に記載の発明によれば、押付部
材の当接面側に抵抗部材を設けたので、回転角検出器が
締結部に対して安定的に当接し、締め付け作業がより確
実となる。
【0080】請求項15に記載の発明によれば、被締結
体の固定状況の相違によらずに、より高精度にねじ部の
締付けを行うことができる。
【0081】請求項16に記載の発明によれば、同一ト
ルクで精度良く複数のねじ部を締付けなければならない
場合でも、被締結体の固定状況にかかわらず締付完了設
定値を同じにして精度良く締め付けを行うことができ
る。
【0082】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は本発明に係るインパクト式
ねじ締め方法の基本原理の説明図、図2は演算軸力と実
測軸力とを比較したグラフ、図3は最大トルクと回転角
度の関係を示すグラフ、図4は本発明と従来技術との比
較を示す歪ゲージで測定した軸力と演算した軸力の関係
を示すグラフである。なお、以下の説明ないし図面中に
おいて、図22〜27に示す部材と共通する部材には同
一符号を付している。
【0083】(実施の形態1)まず、ボルトvまたはナ
ットn(ねじ部)にインパクトエネルギを加え、当該ね
じ部の弾性限界内でねじ締結するインパクト式ねじ締め
方法では、図1に示すように、ねじ部は、ねじ面及び座
面に摩擦力を受けながら回転し、ボルトvの首下部が捩
じれながら伸びて締結力が増加する。
【0084】したがって、ねじ部に供給されるエネルギ
を「A」とすれば、この「A」は締付けによる弾性エネ
ルギUE と、摩擦によるエネルギUF と、捩じれによる
エネルギUT の総和となる。つまり、例えば、i番目の
インパクトでねじ部に供給されるエネルギAは、 A=UE(i)+UF(i)+UT(i) ……(4) となる。
【0085】ここに、 UE(i);i番目のインパクトにおける締付け弾性エネル
ギ、 UF(i);i番目のインパクトにおける摩擦損失エネル
ギ、 UT(i);i番目のインパクトにおける残留捩じれエネル
ギ、 である。
【0086】次に、これら各エネルギについて個々に検
討すれば、下記のようになる。
【0087】1)弾性エネルギUE について 締付け弾性エネルギUE(i)は、i番目のインパクトによ
ってボルトの張力及び被締結体Wの圧縮力の形で締結部
100に蓄えられるエネルギであり、i番目のインパク
ト直前の締結力をF(i-1)、i番目のインパクト後の締
結力をF(i)とすれば、 UE(i)=KE {F(i) 2 −F(i-1) 2 } ……(5) となる。
【0088】ここに、 KE ;弾性エネルギ定数、 である。
【0089】また、i番目とi番目の直前のインパクト
による締結力の関係は、F(i-1)=F(i)−ΔθKAF
表される。
【0090】ここに、 KAF;ねじ部の回転角度と締結力との間の比例定数、 Δθ;1回のインパクトにより回転するねじ部の回転角
度、 である。
【0091】このF(i-1)を前記式(5)に代入して整
理すると、前記式(5)は、 UE(i)=2KE AFΔθF(i)−KE AF 2 Δθ2 ……(6) となる。
【0092】なお、弾性エネルギ定数(KE )は、ボル
トの縦弾性係数EA 、ボルトの首下部の有効面積SA
被締結体の弾性変形部を中空円筒と見做したときの軸垂
直断面積SB 、被締結体の厚さLB 、被締結体の縦弾性
係数EB としたとき、 KE =(LB /2EA A )+(LB /2EB B ) ……(3) で与えられる。
【0093】2)摩擦損失エネルギUF について 次に、摩擦損失エネルギUF(i)は、i番目のインパクト
をねじ部に加えたときねじ部がある角度回転するとき、
ねじ面及び座面で発生する摩擦力に打勝つために費やさ
れるエネルギである。
【0094】つまり、 UF(i)=KF {F(i) 2 −F
(i-1) 2 }/KAFである。
【0095】ここに、 KF ;摩擦損失エネルギ定数、 である。
【0096】これにF(i)−F(i-1)=ΔθKAFを代入
して、前記式(6)と同様に、力と伸びの積の形で表す
と、 UF(i)=KF {2ΔθF(i)−KAFΔθ2 } =2KF (i)Δθ−KF AFΔθ2 ……(7) また、摩擦損失エネルギ定数(KF )は、ねじ部の回転
角度と締結力との比例定数(KAF)、平均動摩擦係数μ
D (一定値と見做すことができる)及び座面の平均回転
半径RB とすれば、 KF = RB μD /2 ……(8) で与えられることになる。
【0097】ところが、この摩擦損失エネルギ定数(K
F )は、トルク係数をK、ねじの呼び径をdとすれば、
【0098】
【数4】
【0099】と置換できることが判明した。
【0100】つまり、図2に示す実験結果から明らかな
ように、式(9)を用いて演算した演算軸力と実際に測
定して求めた実測軸力がほぼ合致していることが判明し
たので、近似的に式(9)が成立するとしてもよいこと
になる。
【0101】したがって、摩擦損失エネルギ定数
(KF )は、摩擦係数を含まない式として表すことがで
きることになり、これにより前述したねじ部と被締結物
との間の摩擦係数が変化した場合に軸力測定の精度を高
めることが難しいという基本的課題を乗り越えることが
できることになる。
【0102】この式(9)のトルク係数は、トルクを軸
力(回転角度×KAF)およびdで割ったものであるた
め、式(9)をさらに変形すれば、 KF =(T(i+1) −T(i) )/2KAFΔθ ……(10) となる。
【0103】この式(10)を式(7)に代入すれば、 UF(i)={T(i+1) −T(i) }{(F(i)/KAF)−(Δθ/2)} ……(11) となる。
【0104】3)残留捩じれエネルギUT について 残留捩じれエネルギUT(i)は、i番目のインパクトにお
いて、ボルトの首下部に締付けトルクに釣合う捩じれが
発生するために蓄えられる弾性エネルギである。なお、
この残留捩じれエネルギUT は、締付け弾性エネルギU
E とは異なり締結力としては寄与しないものである。
【0105】この残留捩じれエネルギUT に関しても前
記摩擦損失エネルギUF と同様に、 UT(i)=KT [{(T(i+1) −T(i) )/(KAFΔθ)}F(i)2 ……(12) で表される。
【0106】また、残留捩じれエネルギ定数KT は、横
弾性係数G、被締結体の厚さLB 、ボルトの首下部の有
効半径Rc に対して KT =LB /πGRc 4 ……(2) で与えられる。
【0107】ΔT(i) =T(i+1) −T(i) とし、式
(6)(7)及び(12)を式(4)に代入すれば、
【0108】
【数5】
【0109】となる。
【0110】したがって、この式(13)からインパク
トによる締結力F(i)を求めると、
【0111】
【数6】
【0112】が得られる。
【0113】この結果、式(1)中には摩擦係数μとい
うファクタが含まれなくなり、ねじ部と被締結体Wとの
間の摩擦状態如何に拘らずインパクト式のねじ締めを行
なうことができる。
【0114】例えば、同一軸力で締結されているボルト
に同一のインパクトを与えても、ねじ面と座面の摩擦係
数が異なると、ボルトの回転角度は一定にはならず、摩
擦係数が大きいと回転角度は小さく、摩擦係数が小さい
と回転角度が大きくなる。発生する最大トルクも、摩擦
係数が大きいと大きく、摩擦係数が小さいと小さくなる
性質がある。
【0115】したがって、図3に示すように、インパク
トエネルギを与えたときの回転角度を△θとし、またこ
のとき発生するトルク出力波形のうちの所定の検出管理
トルクとして最大トルク(ピークトルクともいう)を選
択すると共にこの最大トルクの変化量を△Tとし、これ
ら2つの値から摩擦係数の影響を取り除くことにより、
所定のインパクトエネルギを与えたときの締結力を、前
記回転角度および発生する最大トルクの変化量の2つの
値から演算できることになる。
【0116】式(1)は、摩擦係数を含まないものであ
るため、式(1)中の種々の定数を、ねじ部の形状や材
質、締結部の材質や形状から予め決定し、これを式
(1)に代入しておき、一定のインパクトエネルギを複
数回加えることにより前記回転角度△θ、および最大ト
ルクの変化量△Tの2つの値が得られれば、正確に締結
力を測定できることになる。
【0117】この結果、図4に直線Dで示すように、ね
じ面、座面の摩擦係数が異なる状態であっても、締結力
を正確に測定することができ、また、ねじ部の締付完了
後であっても、2回以上、例えば、3回のインパクトエ
ネルギをねじ部に与えてその時の発生トルクと回転角度
を測定し締結力を演算すれば、締付を完了したねじ部の
締結力を簡易に測定することもできる。
【0118】なお、図4より明らかなように、回転角度
あるいはトルクのみで軸力を演算して出した時には、直
線E,Fで示すように、摩擦係数の大小で軸力が相違し
ていることが分かる。
【0119】前記式(1)を用いて締結力を演算してね
じ締めする方法は、種々変形応用することができる。
【0120】(実施の形態2)次に、上記本発明方法の
実施の形態2について説明する。本実施の形態2は、概
説すれば、インパクトエネルギを加える毎に、ねじ部の
回転角度と最大発生トルクの測定ができるねじ締め装置
を用い、インパクト毎に締結力を演算し、当該締結力が
所定の目標締結力を越えたところでインパクトエネルギ
をねじ部に伝達しないようにする方法である。
【0121】このようにすれば、摩擦係数のばらつきに
影響されずに、安定した締結力を得ることができる。
【0122】図5は本実施の形態2の全体を示すブロッ
ク図、図6は締付けのフローチャートである。
【0123】例えば、図5に示すように、ボルトvにナ
ットnを被締結体Wに所定の締付けトルクで締付ける締
結部100の上部に、インパクト式のねじ締め装置の本
体101を配置する。当該本体101は、下部に回転角
検出器102を、中間にトルク発生器103及びトルク
検出器30を有し、モータMの回転力によりパルス状の
トルクを前記回転角検出器102内のソケット106に
伝達し、ソケット106に嵌合されたナットnを回転
し、ナットnをボルトvに螺合させるようになってい
る。
【0124】この場合、回転角検出器102は、ソケッ
ト106に取付けられたロータリ・エンコーダのコード
・ホイール107の回転状態を検出ヘッド108が検知
し、ソケット106の回転角度を測定する。
【0125】当該回転角検出器102から発せられる信
号は、制御部109により処理されるが、この制御部1
09は、回転角検出器102からの信号を入力として回
転角度信号をつくる回転角信号処理部110と、前記ト
ルク検出器30からの信号を入力としてトルク信号をつ
くるトルク信号処理部1と、このトルク信号処理部1及
び回転角信号処理部110からの信号がそれぞれ入力さ
れる軸力演算部112と、この軸力演算部112からの
信号に基づいて前記モータMにインパクト発生用の信号
を出力するインパクト発生コントロール部2とから構成
されている。
【0126】次に、図6に示すフローチャートに基づき
説明する。
【0127】まず、式(1)中の種々の定数を、ねじ部
の回転角度と目標締結力との間の関係、ねじ部の形状や
材質、締結部の材質や形状から予め決定するとともにス
テップS1において目標締結力を設定する。
【0128】ステップS2で1回のインパクトエネルギ
を加え、ステップS3で1回のインパクトエネルギによ
り回転するねじ部の回転角度θi と、最大トルクTi
2つの値を測定し記憶する。
【0129】ステップS4で2回目のインパクトエネル
ギを加え、ステップS5で2回目のインパクトエネルギ
により回転するねじ部の回転角度θ(i+1) と、最大トル
クT(i+1) の2つの値を測定し記憶する。
【0130】ステップS6で前記両インパクトによる回
転角度の変化量とトルクの変化量を計算する。ステップ
S7で、△θと△Tを式(1)に代入して締結力Fを計
算する。ステップS2〜ステップS8は、ループを形成
しており、ナットnが被締結体Wに目標締結力で着座す
るまでインパクトによる締結力Fの測定を行う。
【0131】ステップS8で締結力Fが目標締結力に達
したか否かを判断し、「YES」であれば、インパクト
を加えるのを終了し、「NO」であれば、再度ステップ
2に戻る。
【0132】(実施の形態3)本発明方法の実施の形態
3について説明する。
【0133】ねじ締め装置においては、インパクトエネ
ルギ発生装置の劣化等により常に安定した締結力が得ら
れるとは限らないが、このような場合でも安定した締結
力が得られるようにすることが好ましい。本実施の形態
3は、このような場合に適用して好ましいものである。
【0134】本実施の形態3を図7,8について説明す
る。ここに、図7は本実施の形態3に係る締結力Fと仮
想着座角度Xを示す説明図、図8は締付けのフローチャ
ートである。
【0135】本実施の形態3は、インパクトエネルギを
加える毎に、ねじ部の回転角度θと最大発生トルクTの
測定ができるねじ締め装置を用い、式(1)で演算した
締結力Fが、目標締結力の1/10〜1/2程度発生し
ている段階で、式(1)で演算して得られた締結力Fと
回転角度θの比例関係から,図7に示すように、回帰直
線Gを計算し、締結力が0となる仮想的な締付原点を求
め、その角度Xを締付角度の起点とし、一定角度回転さ
せるようにする方法である。
【0136】このようにすれば、インパクトエネルギ発
生装置が劣化する等により当該インパクトエネルギが一
定とならない事態が生じても、常に安定した締結力が得
られることになる。
【0137】ねじ部に発生させたい締結力は、製品の設
計時に設定されているが、ねじ締め装置自体に起因して
所定の締結力が得られないこともある。このような場合
には、この製品の設計時に設定された目標締結力をKAF
で割った値が仮想着座角度からの目標回転角度となる。
【0138】まず、この目標回転角度を決定するととも
に式(1)中の種々の定数を、ねじ部の回転角度と目標
締結力との間の関係、ねじ部の形状や材質、締結部の材
質や形状から予め決定しておく。
【0139】そして、図8のステップS10で、最大ト
ルク値が設定値Ts を越えるまで締め付ける。次に、ス
テップS11で1回のインパクトエネルギを加え、ステ
ップS12で1回のインパクトエネルギにより回転する
ねじ部の回転角度θi と、最大トルクTi の2つの値を
測定し記憶する。
【0140】ステップS13で2回目のインパクトエネ
ルギを加え、ステップS14で2回目のインパクトエネ
ルギにより回転するねじ部の回転角度θ(i+1) と、最大
トルクT(i+1) の2つの値を測定し記憶する。
【0141】ステップS15で前記両インパクトによる
回転角度の変化量とトルクの変化量を計算する。
【0142】ここで、式(1)中の定数であるKE 、K
AF、KT と、Δθ、ΔTが決定されることになるので、
ステップS16で、これらを式(1)に代入して締結力
Fを計算する。
【0143】そして、ステップS17で、前記締結力F
とKAFと目標回転角度θを、 X=θ−F/KAF に代入して仮想着座角度Xを求める。ステップS18
で、この仮想着座角度Xと前回のXとの差が連続して設
定角度範囲に入っているか否かを判断し、「YES」で
あれば、ステップS19でそのときのXの値を仮想着座
角度と決定し、「NO」であれば、再度ステップ11に
戻る。
【0144】このようにして仮想着座角度Xが決定され
ると、ステップS20で、仮想着座角度Xと当該仮想着
座角度Xから目標回転角度までの値の和である締付け完
了角度を計算する。
【0145】この時点では、まだねじ部は締付けが完了
した状態ではないので、ステップS21で再度1回のイ
ンパクトエネルギによりねじ部を回転させ、ステップS
22で締付け完了角度になっているか否かを判断し、
「YES」であれば、締付けを完了し、「NO」であれ
ば、再度ステップ21に戻り、2回目のインパクトエネ
ルギによりねじ部を回転させる。
【0146】このように何度も演算を繰返すのは、締付
け速度に比べ演算処理に時間が掛かることもあるので、
安定するまで演算を繰返す必要があるからである。
【0147】(実施の形態4)本発明方法の実施の形態
4について説明する。前述した実施の形態3の方法は、
ねじ締め装置に対し安定した締結力を発揮させる方法に
とどまるものであるが、本実施の形態4は、式(1)に
より正確に演算した演算締結力と締付完了時の目標締結
力の差を求め、この差より装置の劣化状態を検知するこ
とができようにした方法である。
【0148】このようにすれば、インパクトエネルギが
変化したことを作業者が知ることができ、これにより装
置の劣化状態を検知し、ねじ締め装置の故障を未然に防
止することもできる。
【0149】図9,10は装置の劣化状態を検知するフ
ローチャートである。なお、ステップS30〜ステップ
S41までは、前述の実施の形態3の図8に示すフロー
チャートのステップS10〜ステップS21までと同一
であるため、その説明は大部分省略する。
【0150】ステップS40までで正確に演算した演算
締結力と締付け完了角度が決定された後に、ステップS
41で1回のインパクトエネルギによりねじ部を回転さ
せる。ステップS42で1回のインパクトエネルギによ
り回転するねじ部の回転角度θi と、最大トルクTi
2つの値を測定し記憶する。
【0151】次に、ステップS43で2回目のインパク
トエネルギによりねじ部を回転させる。ステップS44
で2回目のインパクトエネルギで回転したねじ部の回転
角度θ(i+1) と、最大トルクT(i+1) の2つの値を測定
し記憶する。
【0152】ステップS45で前記両インパクトによる
回転角度の変化量△θとトルクの変化量△Tを計算す
る。ステップS46で、△θと△Tを式(1)に代入し
て締結力Fを計算する。ステップS41〜ステップS4
7は、ループを形成しており、ねじ部が締付完了角度に
達したか否かの測定を行う。
【0153】ステップS47で締付完了角度に達したか
否かを判断し、「YES」であれば、ステップS48で
演算した演算締結力と締付完了時の目標締結力の差を求
め、「NO」であれば、再度ステップ41に戻る。
【0154】このステップS48においては、演算締結
力と目標締結力の差が誤差範囲内にあるか否かを判断す
る。そして「YES」であれば、締付けを完了し、「N
O」であれば、ステップS49において装置の故障等の
警告を発する。これにより作業者は、ねじ締め装置が劣
化しているか否かを知ることができる。
【0155】また、前述した種々の方法において、駆動
源として電動モータを使用してねじ締めを行なうように
すれば、一定電力(式(1)の「A」:インパクトエネ
ルギ)を与えるたびに、ボルトの回転角度△θと発生す
る最大トルクの変化量△Tの2つの値から軸力を式
(1)で演算することが簡単にできることになるのみで
なく、従来よりも高精度の締結力の測定や推定を行うこ
とができるという利便性がある。
【0156】次に、前記方法を具現化した装置について
説明する。
【0157】(実施の形態1)本発明装置の実施の形態
1について説明する。前記方法を用いて2回以上のイン
パクトエネルギをねじ部に与え、その時の最大発生トル
クと回転角度を計測し締結力を演算すれば、締結力測定
装置として適用することができる。
【0158】図11は本発明装置の実施の形態1にかか
る締結力測定装置の平面図、図12は図11の側面図で
ある。
【0159】この締結力測定装置は、頂板3を有する4
本の支持体4の上下方向中間に所定の間隔で2枚のガイ
ド板5,6が固着されたフレーム7を有している。前記
頂板3には、支点8を中心にアーム9が回動自在に支持
され、当該アーム9の先端には重り10が取り付けら
れ、全体として振り子状のインパクト部材11とされて
いる。前記ガイド板5上には回転盤12が水平面上で回
動可能に支持され、この回転盤12上に受力片13が立
設されている。
【0160】したがって、インパクト部材11を持ち上
げ自由落下させると、重り10が受力片13に衝突し、
回転盤12にインパクトエネルギを加えることになる。
【0161】当該回転盤12には出力軸(不図示)が垂
直に垂下され、この出力軸はトルク検出器30を挿通し
て回転角検出器102のソケット106と連結されてい
る。このトルク検出部30としては、例えば、出力軸に
形成された歯部が軸の捩じれにしたがってずれることを
電気的に位相のずれとして検知するように構成したもの
である。回転角検出器102は、ソケット106に取り
付けられたロータリ・エンコーダのコード・ホイール1
07の回転状態を検出ヘッド108が検知し、ソケット
106の回転角度を測定するようにしたものである。
【0162】ソケット106の下端部には、ナットnが
嵌合される凹部15が形成され、被締結部100を挿通
して設けられたボルトvの先端にナットnを螺合するよ
うになっている。
【0163】なお、図中符号「16」は、頂板3とイン
パクト部材11との衝突を回避する通孔である。
【0164】このように構成した締結力測定装置は、振
り子状のインパクト部材11を持ち上げて自由落下させ
ると、重り10が受力片13に衝突し、回転盤12を回
転させる。このインパクトエネルギは、出力軸を介して
ソケット106に伝達され、トルク検出部30によりト
ルクが、回転角検出器102により回転角度が測定され
る。この回転角度と最大トルクの2つの値を記憶してお
く。
【0165】次に、再度このインパクト部材11を持ち
上げて自由落下させて、トルクと回転角度を測定し、こ
の2回目の値と1回目の値の差から回転角度の変化量△
θとトルクの変化量△Tを計算し、これを式(1)に代
入すれば、締結力Fを測定できる。
【0166】この締結力測定装置は、振り子状のインパ
クト部材11を持ち上げて自由落下させることによりイ
ンパクトエネルギを付与するようにしているので、安定
した動力がえられ、精度良く締結力Fを測定でき、ま
た、締め付けが完了したねじ部に対しても、その締付力
を簡単に測定できるという利点がある。
【0167】(実施の形態2)本発明装置の実施の形態
2について説明する。図13は本発明装置の実施の形態
2に係るインパクト式ねじ締め装置のブロック図、図1
4は同インパクト式ねじ締め装置の具体例(手持ち用イ
ンパクトレンチ)を示す一部破断側面図である。
【0168】このインパクト式ねじ締め装置は、手持ち
用インパクトレンチに適用して好適なものであり、ジャ
イロコンパスを用いて締付け作業時の基準を明確にし、
締結力が安定した正確なねじ締め作業ができるようにし
たものである。
【0169】図13に示すように、ねじ部を所定の締付
けトルクで締付ける締結部100の上部に、手持ち式の
ねじ締め装置の本体101を配置し、当該本体101の
下部には、回転角検出器102を、中間にトルク発生器
103及びトルク検出器30を設け、モータMの回転力
によりパルス状のトルクを前記回転角検出器102内の
ソケット106に伝達するようになっている。
【0170】このように構成している点は、前記図5に
示すものと同様であるが、本実施の形態では、ねじ締め
作業時の締め付け角度の原点を示す基準出し部材17を
前記トルク検出器30等に取り付けている。
【0171】この基準出し部材17としては、手持ち式
のねじ締め装置がねじ締め時にどのような状態にあるか
を作業者に知らしめることができるようなものであれば
どのようなものであっても良いが、好適にはジャイロコ
ンパスを使用することである。ジャイロコンパスは、ね
じ締め装置が如何なる状態にあっても所定の方向を示す
性質を持っており、この性質を利用すれば、作業者に対
しねじ締め作業時のねじ締め装置の状態を知らしめるこ
とができる。
【0172】回転角検出器102から発せられる信号
は、制御部109により処理されるが、この制御部10
9は、回転角検出器102からの信号を入力として回転
角度信号をつくる回転角信号処理部110と、前記トル
ク検出器30からの信号を入力としてトルク信号をつく
るトルク信号処理部1と、ジャイロコンパスからの信号
を処理するジャイロコンパス信号処理部18と、前記ト
ルク信号処理部1、回転角信号処理部110及びジャイ
ロコンパス信号処理部18からの信号がそれぞれ入力さ
れる軸力演算部112と、この軸力演算部112からの
信号に基づいて前記モータMにインパクト発生用の信号
を出力するインパクト発生コントロール部2とから構成
されている。
【0173】この装置においても前述した方法と同様
に、複数回インパクトエネルギを加えることにより回転
角度の変化量Δθとトルクの変化量ΔTを求め、これを
式(1)に代入して計算した演算締結力によりインパク
トエネルギを加えるが、回転角検出器102から発せら
れる信号は、手ぶれによって生じた回転とねじ部が回転
した角度の和になっているので、この値からジャイロコ
ンパスによって検出された手ぶれだけによる回転角度分
を差し引くことでねじ部の回転角度を正確に設定するこ
とができる。
【0174】より具体的に述べれば、図14に示すよう
に、周知の手持ち式インパクトレンチ19(詳細には、
例えば、特開平6−91552号公報等参照)は、内部
に電気または圧縮空気を動力源とするモータ等の駆動部
が収納された本体ケース20を有し、この本体ケース2
0の先端には回転角検出器102が当該本体ケース20
に対して軸方向、回転方向共に固定された状態で取り付
けられ、また、本体ケース20の頂部には、基準出し部
材17であるジャイロコンパスが取り付けられている。
【0175】なお、図示の例では、回転角検出器102
を本体ケース20の先端に別体に設けたものであるが、
これのみでなく、本体ケース20に内蔵しても良い。
【0176】この回転角検出器102やジャイロコンパ
スは、制御部109に電気的に接続され、これにより制
御されるようになっているが、当該制御部109には、
前記した回転角信号処理部110、トルク信号処理部
1、軸力演算部112、インパクト発生コントロール部
2、ジャイロコンパス信号処理部18等が設けられてい
る。
【0177】このように構成した本実施の形態では、メ
インスイッチ(不図示)をオンすることによりエアーモ
ータ等の駆動源が駆動され、出力軸104を介してソケ
ット106が回転し、ナットnをボルト(不図示)に螺
合させる。
【0178】このソケット106の回転は、制御部10
9により制御され、所定の演算された締結力によりイン
パクトエネルギを加え、また手ぶれによって生じた回転
とねじ部の回転からジャイロコンパスによって検出され
た手ぶれによる回転角度分が差し引かれた回転角度でね
じ部を正確に回転させる。
【0179】したがって、固定されている締結部100
を締結する場合において、手持ち式インパクトレンチ1
9でねじ部を一定角度締め付ける際、当該インパクトレ
ンチ19が回転したとしても、締め付け角度の原点を見
失うことを防止でき、正確な回転角度で安定した状態で
ねじ部が回転されるので、ねじ締め作業も正確なものと
なる。
【0180】特に、手持ち式インパクトレンチ19のソ
ケット106にできるだけ近い場所に、つまり先端部に
近い所にジャイロコンパスを取り付けるようにすれば、
ジャイロコンパスの回転検出能力を最大限利用すること
ができ、一層手ぶれによる誤差を吸収でき、締結力を一
層安定させることができるので、極めて正確なねじ締め
が可能となる。
【0181】(実施の形態3)本発明装置の実施の形態
3について説明する。図15は本発明装置の実施の形態
3に係るインパクト式ねじ締め装置を示す一部破断側面
図である。
【0182】本実施の形態も手持ち式インパクトレンチ
19Aであり、基本構造は前記実施の形態2のものと同
様であるが、ロータリエンコーダを用いた回転角検出器
102の先端から締結部100に向かって押付片22を
突出したものである。
【0183】ここに、押付部材22とは、回転角検出器
102のケース23側に固着されたリング状のベース体
24と、当該ベース体24にばね25を介して弾撥され
た状態で取付けられた蓋体26とからなる。なお、当該
蓋体26の先端側表面にはゴム等の摩擦抵抗を有する抵
抗部材26aを添着すれば、押付部材22自体がしっか
りと固定され、締め付け作業がより確実になる。
【0184】このようにすれば、ねじ部に対しインパク
トレンチ19Aを押し付けて一定角度締め付ける際、回
転角検出器102が締結部100に対して相対的に回転
しないため、締付反力により回転する締結部100に対
してもねじ部をより確実に一定角度分締め付けることが
できる。
【0185】(実施の形態4)本発明装置の実施の形態
4について説明する。図16は本発明装置の実施の形態
4に係るインパクト式ねじ締め装置のブロック図、図1
7は同インパクト式ねじ締め装置の具体例(手持ち用イ
ンパクトレンチ19B)を示す一部破断側面図である。
図16および図17に示す装置は、圧縮空気または電気
によりインパクトエネルギを発生させこれを利用したイ
ンパクト式ねじ締め装置であり、前述した本発明装置の
実施の形態1〜3と共通する部材には同一の符号を付
し、その説明は一部省略する。この装置は回転角検出器
102を備えらておらず、ねじ部の締め付けトルクのみ
を管理して所定軸力を得るようにした点で、前述した本
発明装置の実施の形態と相違している。
【0186】図16に示すように、ねじ部を所定の締付
けトルクで締付ける締結部100の上部に、手持ち式の
ねじ締め装置の本体101を配置し、当該本体101の
下部の出力軸104の先端にはソケット106Aを、中
間にトルク発生器103及びトルク検出器30を設け、
モータMの回転力によりパルス状のトルクを前記ソケッ
ト106Aに伝達するようになっている。
【0187】トルク検出器30は、ナットnを締め付け
る際に発生するトルクを検出し、検出したトルク信号を
基にインパクト式ねじ締め装置の駆動を制御する。
【0188】図18は、ねじ部の締付けの進行に伴う締
付け軸力の出力波形Gと発生するトルクの出力波形Hと
を示すタイムチャートである。図示のように、3回のイ
ンパクト(I1 〜I3 )によってねじ部の締付けが進行
しており、締付け軸力の出力波形Gが階段状に上がって
いくのがわかる。
【0189】図19は、図18の2回目のインパクトに
ついての部分拡大図である。本装置のようなインパクト
式の締付けの場合は、各インパクトが終了するごとにナ
ットnの回転が停止するため、静摩擦係数の影響する1
つ目のトルク波形の山と、動摩擦係数の影響する2つ目
のトルク波形の山が検出される。このとき1つ目のトル
ク波形の山には、インパクト時の衝撃力がトルク検出器
30に与えられることによりボルトに発生しているトル
クと重なって計測されることになるため、1つ目のトル
ク波形の山の高さは与えられた衝撃力の大きさにより高
くなったり低くなったりする。そこでこの装置では、前
記衝撃力の大きさの変化に対して影響を受けにくい測定
方法を採用したものである。
【0190】すなわち、トルク波形の後半においてトル
ク検出器30に入力されるところのインパクト時の衝撃
力の影響が緩和されている時点、つまりトルク検出器3
0の出力波形Hのうちの、インパクトエネルギを加えた
際の立上がり時から一定時間t1 経過後の出力値を検出
管理トルクT2 とし、これに基づいてねじ締めを行うよ
うになっている。
【0191】具体的に図20に示す締付けのフローチャ
ートを参照して説明する。
【0192】ねじ締め装置の本体101の出力軸104
の駆動が開始されると(ステップS101)、トルク検
知器30(図20ではトルクセンサーと記載)の出力波
形の監視を開始し(ステップS102)、このトルク検
知器30の出力値が所定のトルク閾値T1 以上となった
か否かの判断を行う(ステップS103)。このトルク
閾値T1 は、インパクトエネルギが加えられたことを判
断することができるインパクト発生時にしか検出されな
い通常より高い所定の値であり、実験によりあらかじめ
設定される(図19参照)。すなわち本実施の形態4で
は、インパクトエネルギを加えた際の立上がり時とし
て、トルク閾値T1 以上となった時点を使用している。
【0193】ステップS103でトルク検知器30の出
力値が所定のトルク閾値T1 以上と判断された場合に
は、このトルク閾値T1 を越えた時点をから一定時間t
1 経過後のトルク検知器30の出力値を前記検出管理ト
ルクT2 として記憶し(ステップS104、図19参
照)、トルク検知器30の出力波形の監視を終了する
(ステップS105)。ここで前記時間t1 は、軸力
(ボルトに埋設した歪ゲージ出力)とトルク検知器30
の出力値との相関が最も高くなる時点を、あらかじめ実
験で求めて決定する。
【0194】図21は、軸力に対応するボルトに埋設し
た歪ゲージ出力と検出管理トルクとの相関図である。図
21において、黒く塗りつぶした四角マークは検出管理
トルクとして出力波形のうちのピーク値(図19のT4
)を使用した場合、白抜き四角マークは検出管理トル
クとして出力波形のうちのトルク閾値T1 を越えた時点
から一定時間t1 経過後の出力値(図19のT2 )を使
用した場合であり、図中に描いた破線および直線は前記
それぞれの場合の回帰直線である。
【0195】この図21より、検出管理トルクとして出
力波形のうちのトルク閾値T1 を越えた時点から一定時
間t1 経過後の出力値T2 を使用した場合は、ピーク値
T4を使用した場合に比べ、回帰直線の傾きが3倍以上
になることから検出管理トルクを軸力に対応付ける感度
がきわめて高くなったと言え、また相関係数も高くなっ
ているので被締結体の固定状況などのばらつきの要因が
取り除かれ、軸力に換算する際の検出管理トルクそのも
の寄与率も大幅に向上する。
【0196】そしてこの実施の形態にあっては、トルク
検知器30の出力波形から求めた前記検出管理トルクT
2 が、あらかじめ決められた締付完了を示す所定の締付
完了設定値である目標トルクT3 以上となったところで
(ステップS106のYES)、ねじ締め装置の本体1
01の出力軸104の駆動を停止する(ステップS10
7)。
【0197】このように、本発明装置の実施の形態4に
よれば、同一トルクで精度良く締め付けるべき複数のね
じ部が存在するような場合に、被締結体の固定状況が異
なっていても締付完了設定値を同じにして締め付けを行
うことができる。
【0198】つまり、検出管理トルクとして出力波形の
うちのピーク値T4 を使用する場合にあっては、当該ピ
ーク値T4 は図18および図19に示されるようにねじ
部が回転し始める瞬間に発生しており、したがってねじ
部に対する静トルクに相当するものと考えられるが、実
際にはインパクトを与えたときに発生する衝撃がトルク
検知器30の出力に重なり、かつこれを分離することが
できない。このため前記静トルクを正確には測定するこ
とができず、しかも前記衝撃の大きさが被締結体の固定
状況によって変化し異なる。これに対し、トルク検知器
30の出力波形の立上がり時に設定されたトルク閾値T
1 を越えた時点から一定時間t1 経過後の出力値T2 を
検出して検出管理トルクとすることにより、インパクト
を与えたときに発生する衝撃の影響を受けずにトルクを
測定することができるため、同一トルクで精度良く複数
のねじ部を締付けなければならないような場合でも、被
締結体の固定状況にかかわらず締付完了設定値を同じに
して精度良く締め付けを行うことができる。
【0199】なお、以上説明した実施の形態は、本発明
を限定するために記載されたものではなく、種々変更が
可能である。例えば、上述した本発明方法の実施の形態
1〜4および本発明装置の実施の形態1〜3において
は、検出管理トルクとして用いやすい出力波形のうちの
ピーク値である最大トルクを使用した場合について説明
したが、上記本発明装置の実施の形態4で述べたと同様
にして、検出管理トルクとして出力波形のうちのトルク
閾値T1 を越えた時点から一定時間t1 経過後の出力値
を使用することも勿論可能であることは言うまでもな
い。このようにすれば、被締結体の固定状況の相違によ
らずに、より高精度にねじ部の締付けを行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法の原理を示す説明図である。
【図2】 演算軸力と実測軸力都を比較したグラフであ
る。
【図3】 最大トルクと回転角度の関係を示すグラフで
ある。
【図4】 本発明と従来技術とを比較して示すグラフで
ある。
【図5】 本発明方法の実施の形態2のブロック図であ
る。
【図6】 同実施の形態2の締付けのフローチャートで
ある。
【図7】 本発明方法の実施の形態3に係る締結力Fと
仮想着座角度を示す説明図である。
【図8】 同実施の形態3の締付けのフローチャートで
ある。
【図9】 本発明方法の実施の形態4のフローチャート
である。
【図10】 同実施の形態4のフローチャートである。
【図11】 本発明装置の実施の形態1の平面図であ
る。
【図12】 図11の概略側面図である。
【図13】 本発明装置の実施の形態2のブロック図で
ある。
【図14】 同実施の形態2の具体例を示す一部破断側
面図である。
【図15】 本発明装置の実施の形態3を示す一部破断
側面図である。
【図16】 本発明装置の実施の形態4のブロック図で
ある。
【図17】 同実施の形態4の具体例を示す一部破断側
面図である。
【図18】 ねじ部の締付けの進行に伴う締付け軸力の
出力波形と発生するトルクの出力波形とを示すタイムチ
ャートである。
【図19】 図18の部分拡大図である。
【図20】 同実施の形態4の締付けのフローチャート
である。
【図21】 軸力に対応するボルトに埋設した歪ゲージ
出力と検出管理トルクとの相関図である。
【図22】 従来のねじ締め装置のブロック図である。
【図23】 同装置の回転角検出部の拡大断面図であ
る。
【図24】 軸力デ一夕・メモリ部に記録されているテ
ーブルである。
【図25】 従来のねじ締め装置のフローチャートであ
る。
【図26】 従来のねじ締め装置のフローチャートであ
る。
【図27】 従来のねじ締め装置のテーブル補正を示す
説明図である。
【符号の説明】
11…インパクト部材、 17…基準出し部材、22…
押付部材、 26a…抵抗部材、30…トルク検
出器、 100…締結部、102…回転角検出器、
103…トルク発生部、106…ソケット、 10
9…制御部、F…締結力、A…インパクトエネルギ、△
T…1回のインパクトにより発生する最大トルク(トル
ク出力波形のうちの所定の検出管理トルク)の変化量、
△θ…1回のインパクトによるねじ部の回転角度、KAF
…ねじ部の回転角度と締結力との間の比例定数、KT
残留捩じれエネルギ定数、KE …締付け弾性エネルギ定
数、LB …被締結体の厚さ、G…横弾性係数、Rc…ボ
ルト首下部の有効半径、EA …ボルトの縦弾性係数 SA …ボルト首下部の有効断面積 EB …被締結体の縦弾性係数 SB …被締結体の弾性変形部を中空円筒と見なしたとき
の軸垂直断面積 X…仮想着座角度、G…回帰直線、M…駆動源、W…被
締結体、n…ナット、v…ボルト、t1 …インパクトを
加えた際の立上がり時からの一定時間、T2 …インパク
トを加えた際の立上がり時から一定時間経過後のトルク
検出器の出力値(検出管理トルク)。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ねじ部に駆動源(M)を用いてインパク
    トエネルギを加えることにより当該ねじ部を被締結体
    (W)に締結するようにしたインパクト式ねじ締め方法
    において、予め、ねじ部の回転角度と締結力との間の比
    例定数(KAF)と、ねじ部の材質及び形状から残留捩じ
    れエネルギ定数(KT )並びに締付け弾性エネルギ定数
    (KE )を求めておき、前記ねじ部にねじ締め用のイン
    パクトエネルギを複数回加えたときの、当該ねじ部の回
    転角度の変化量(△θ)と、発生するトルク出力波形の
    うちの所定の検出管理トルクの変化量(△T)とを測定
    し、前記各定数及び測定値を下記の式(1)に代入する
    ことにより演算した締結力(F)によりねじ締めするよ
    うにしたことを特徴とするインパクト式ねじ締め方法。 【数1】 当該式(1)において、 F:締結力、 A:インパクトエネルギ、 △T:1回のインパクトにより発生するトルク出力波形
    のうちの所定の検出管理トルクの変化量、 △θ:1回のインパクトによるねじ部の回転角度、 KAF:ねじ部の回転角度と締結力との間の比例定数、 KT :残留捩じれエネルギ定数、 KE :締付け弾性エネルギ定数、 ここにおいて、 KT =LB /πGRc4 ……(2) 式(2)において、 LB :被締結体の厚さ、 G:横弾性係数、 Rc:ボルト首下部の有効半径、 KE =(LB /2EA A )+(LB /2EB B )……(3) 式(3)において、 EA :ボルトの縦弾性係数 SA :ボルト首下部の有効断面積 EB :被締結体の縦弾性係数 SB :被締結体の弾性変形部を中空円筒と見なしたとき
    の軸垂直断面積
  2. 【請求項2】 複数回加えた前記インパクトエネルギに
    よる前記ねじ部の回転角度および発生するトルク出力波
    形のうちの所定の検出管理トルクの変化量(△θ,△
    T)を測定し、前記各定数及び測定値を前記式(1)に
    代入することにより演算した締結力(F)が、目標締結
    力を越えたところでインパクトエネルギをねじ部に伝達
    しないようにしたことを特徴とする請求項1に記載のイ
    ンパクト式ねじ締め方法。
  3. 【請求項3】 前記式(1)で演算した締結力が、目標
    締結力の1/10〜1/2程度発生している段階で、式
    (1)で演算して得られた締結力と回転角度の比例関係
    から回帰直線(G)を計算し、締結力が0となる仮想的
    な締付原点を求め、その角度(X)を締付角度の起点と
    し、一定角度回転させるようにしたことを特徴とする請
    求項1に記載のインパクト式ねじ締め方法。
  4. 【請求項4】 締付完了時の演算締結力と目標締結力の
    差を計算し、その差が一定値以上となったことを作業者
    に伝えるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の
    インパクト式ねじ締め方法。
  5. 【請求項5】 前記駆動源(M)は、電動モータにより
    構成したことを特徴とする請求項1に記載のインパクト
    式ねじ締め方法。
  6. 【請求項6】 前記検出管理トルクは、前記ねじ部にね
    じ締め用のインパクトエネルギを加えたときの当該ねじ
    部に伝達されたトルクを検出するトルク検出器(30)
    の出力波形のうちの、インパクトエネルギを加えた際の
    立上がり時から一定時間経過後の出力値としたことを特
    徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインパク
    ト式ねじ締め方法。
  7. 【請求項7】 駆動源(M)からの動力が伝達され、被
    締結体(W)に取り付けられたねじ部(n,v)にイン
    パクトエネルギを加えるトルク発生部(103)を有
    し、当該トルク発生部(103)のインパクトエネルギ
    により前記ねじ部に加えられる締結力を測定する装置に
    おいて、 予め求めておいた、ねじ部の回転角度と締結力との間の
    比例定数(KAF)、ねじ部の材質及び形状から求めた残
    留捩じれエネルギ定数(KT )並びに締付け弾性エネル
    ギ定数(KE )が入力されている制御部(109)と、 前記ねじ部にねじ締め用のインパクトエネルギを加えた
    ときの当該ねじ部の回転角度を検出する回転角検出器
    (102)と、 前記ねじ部にねじ締め用のインパクトエネルギを加えた
    ときの当該ねじ部に伝達されたトルクを検出するトルク
    検出器(30)とを有し、 前記トルク発生部(103)が前記ねじ部に複数回加え
    たインパクトエネルギにより前記回転角検出器(10
    2)とトルク検出器(30)とにより測定した当該ねじ
    部の回転角度の変化量(△θ)と、発生するトルク出力
    波形のうちの所定の検出管理トルクの変化量(△T)の
    値を、前記制御部(109)に入力し、下記の式(1)
    により前記締結力(F)を算出するようにしたことを特
    徴とする締結力測定装置。 【数2】 当該式(1)において、 F:締結力、 A:インパクトエネルギ、 △T:1回のインパクトにより発生するトルク出力波形
    のうちの所定の検出管理トルクの変化量、 △θ:1回のインパクトによるねじ部の回転角度、 KAF:ねじ部の回転角度と締結力との間の比例定数、 KT :残留捩じれエネルギ定数、 KE :締付け弾性エネルギ定数、 ここにおいて、 KT =LB /πGRc4 ……(2) 式(2)において、 LB :被締結体の厚さ、 G:横弾性係数、 Rc:ボルト首下部の有効半径、 KE =(LB /2EA A )+(LB /2EB B )……(3) 式(3)において、 EA :ボルトの縦弾性係数 SA :ボルト首下部の有効断面積 EB :被締結体の縦弾性係数 SB :被締結体の弾性変形部を中空円筒と見なしたとき
    の軸垂直断面積
  8. 【請求項8】 前記トルク発生部(103)は、重力に
    より自由落下する振り子状のインパクト部材(11)に
    より構成したことを特徴とする請求項7に記載の締結力
    測定装置。
  9. 【請求項9】 前記検出管理トルクは、前記トルク検出
    器(30)の出力波形のうちの、インパクトエネルギを
    加えた際の立上がり時から一定時間経過後の出力値とし
    たことを特徴とする請求項7又は8に記載の締結力測定
    装置。
  10. 【請求項10】 駆動源(M)からの動力が伝達され、
    被締結体(W)に取り付けられたねじ部(n,v)にイ
    ンパクトエネルギを加えるトルク発生部(103)を有
    し、当該トルク発生部(103)により前記ねじ部を被
    締結体(W)に締結するようにしたインパクト式ねじ締
    め装置において、 予め求めておいた、ねじ部の回転角度と締結力との間の
    比例定数(KAF)、ねじ部の材質及び形状から求めた残
    留捩じれエネルギ定数(KT )並びに締付け弾性エネル
    ギ定数(KE )が入力されている制御部(109)と、 前記ねじ部にねじ締め用のインパクトエネルギを加えた
    ときの当該ねじ部の回転角度を検出する回転角検出器
    (102)と、 前記ねじ部にねじ締め用のインパクトエネルギを加えた
    ときの当該ねじ部に伝達されたトルクを検出するトルク
    検出器(30)とを有し、 前記トルク発生部(103)が前記ねじ部に複数回加え
    たインパクトエネルギにより前記回転角検出器(10
    2)とトルク検出器(30)とにより測定した当該ねじ
    部の回転角度の変化量(△θ)と、発生するトルク出力
    波形のうちの所定の検出管理トルクの変化量(△T)の
    値を、前記制御部(109)に入力し、当該制御部(1
    09)が下記の式(1)により算出した前記締結力
    (F)により前記トルク発生部(103)が前記ねじ部
    を被締結体(W)に締結するようにしたことを特徴とす
    るインパクト式ねじ締め装置。 【数3】 当該式(1)において、 F:締結力、 A:インパクトエネルギ、 △T:1回のインパクトにより発生するトルク出力波形
    のうちの所定の検出管理トルクの変化量、 △θ:1回のインパクトによるねじ部の回転角度、 KAF:ねじ部の回転角度と締結力との間の比例定数、 KT :残留捩じれエネルギ定数、 KE :締付け弾性エネルギ定数、 ここにおいて、 KT =LB /πGRc4 ……(2) 式(2)において、 LB :被締結体の厚さ、 G:横弾性係数、 Rc:ボルト首下部の有効半径、 KE =(LB /2EA A )+(LB /2EB B )……(3) 式(3)において、 EA :ボルトの縦弾性係数 SA :ボルト首下部の有効断面積 EB :被締結体の縦弾性係数 SB :被締結体の弾性変形部を中空円筒と見なしたとき
    の軸垂直断面積
  11. 【請求項11】 前記インパクト式ねじ締め装置は、手
    持ち式インパクトレンチであり、前記ねじ部(n,v)
    と嵌合される当該インパクトレンチの先端に設けられた
    ソケット(106)に可及的に近接した場所に、ねじ締
    め作業時の締め付け角度の原点を示す基準出し部材(1
    7)を取り付けたことを特徴とする請求項10に記載の
    インパクト式ねじ締め装置。
  12. 【請求項12】 前記基準出し部材(17)は、ジャイ
    ロコンパスにより構成したことを特徴とする請求項11
    に記載のインパクト式ねじ締め装置。
  13. 【請求項13】 前記インパクト式ねじ締め装置は、手
    持ち式インパクトレンチであり、当該インパクトレンチ
    の出力軸の先端部分に前記回転角検出器(102)を設
    け、この回転角検出器(102)のケースの前記締結部
    (100)側に当該締結部(100)に当接する押付部
    材(22)を設けたことを特徴とする請求項10に記載
    のインパクト式ねじ締め装置。
  14. 【請求項14】 前記押付部材(22)は、前記締結部
    (100)に弾性的に当接し、当該締結部(100)と
    の当接面側に摩擦抵抗を有する抵抗部材(26a)を設
    けたことを特徴とする請求項13に記載のインパクト式
    ねじ締め装置。
  15. 【請求項15】 前記検出管理トルクは、前記トルク検
    出器(30)の出力波形のうちの、インパクトエネルギ
    を加えた際の立上がり時から一定時間経過後の出力値と
    したことを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項
    に記載のインパクト式ねじ締め装置。
  16. 【請求項16】 駆動源(M)からの動力が伝達され、
    被締結体(W)に取り付けられたねじ部(n,v)にイ
    ンパクトエネルギを加えるトルク発生部(103)を有
    し、当該トルク発生部(103)により前記ねじ部を被
    締結体(W)に締結するようにしたインパクト式ねじ締
    め装置において、 前記ねじ部にねじ締め用のインパクトエネルギを加えた
    ときの当該ねじ部に伝達されたトルクを検出するトルク
    検出器(30)を有し、 当該トルク検出器(30)の出力波形のうちの、インパ
    クトエネルギを加えた際の立上がり時から一定時間(t
    1 )経過後の出力値を検出管理トルク(T2 )とし、こ
    れに基づいてねじ締めすることを特徴とするインパクト
    式ねじ締め装置。
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