JPH1070341A - 偏波変調可能な半導体レーザ及びその製造方法 - Google Patents

偏波変調可能な半導体レーザ及びその製造方法

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JPH1070341A
JPH1070341A JP8245740A JP24574096A JPH1070341A JP H1070341 A JPH1070341 A JP H1070341A JP 8245740 A JP8245740 A JP 8245740A JP 24574096 A JP24574096 A JP 24574096A JP H1070341 A JPH1070341 A JP H1070341A
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護 内田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】実質的に独立に最適化され得るTEモード用半
導体レーザ構造とTMモード用半導体レーザ構造を用い
て構成され、偏波変調動作範囲の広い比較的低コストな
偏波変調半導体レーザである。 【解決手段】2個の異なる半導体レーザ構造1、2を導
波方向に直列に配置した複合共振器型半導体レーザであ
る。一方の半導体レーザ構造1が、一方の偏波モードの
利得が優位な活性領域及び分布帰還型共振器又は分布ブ
ラッグ反射型共振器を有する。他方の半導体レーザ構造
2が、他方の偏波モードの利得が優位な活性領域及び分
布帰還型共振器又は分布ブラッグ反射型共振器又はファ
ブリペロ型共振器を有する。2つの半導体レーザ構造
1、2は導波方向に間隙3を置いて配置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信及び光情報
処理等に用いられる偏波変調可能な半導体レーザなどの
半導体光デバイス及びその製造方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザ等の光デバイスを用いた光
通信技術は今日多くの問題点を解決してきた。しかしな
がら、いわゆるチャーピングとよばれる、高速強度変調
時のキャリア不均一分布による屈折率変動が出力光の波
形を歪ませる現象は必ずしも解決に至っていない。これ
を解決するために現在用いられている主流の方法は、半
導体レーザをCW(連続動作)で駆動し、外部半導体光
変調器により強度変調を行うものである。しかし、この
方法でもチャーピングの低減に限界があることが近年の
研究で明らかになってきた。
【0003】一方、レーザ光の偏波面を信号に応じてス
イッチングさせる偏波変調レーザは、通常の強度変調レ
ーザに比べ、変調の際にも、共振器内の光密度とキャリ
ア密度を殆ど一定にすることが可能なため、チャーピン
グが小さく変調速度や伝送距離を向上させることができ
る。偏波変調レーザについては、たとえば、特公平5−
68111号公報や特開平7−235718号公報に開
示された半導体レーザ装置がある。この半導体レーザ装
置は、直列又は並列に接続された2つの半導体レーザか
らなり、その一方は主として特定の偏光状態(TE又は
TM偏光)の波を発生又は増幅し、他方は主として別の
偏光状態(TM又はTE偏光)の波を発生又は増幅す
る。そして、その際、両半導体レーザの一方で増幅され
るか発生した光波と他方の半導体レーザで増幅されるか
発生した光波が、互いに重ね合わせ可能であることを特
徴とする。
【0004】図30は従来例の構造を説明する模式図で
ある。この半導体レーザは、直列に接続された2種の異
なる半導体レーザからなる。第1の半導体レーザは、T
Eモードに対する利得がTMモードに対する利得を常に
上回る利得領域1103aを有し、第2の半導体レーザ
は、その逆の利得特性を有する利得領域1103bを有
し、且つそれぞれの半導体レーザがそれぞれの利得スペ
クトルのピーク波長近傍にブラッグ波長を有するグレー
ティング等の分布反射器1107a、1107bを有す
ることを特徴としている。その動作原理は、第1半導体
レーザ領域及び第2半導体レーザ領域それぞれに独立に
キャリアを注入し、TEモードとTMモードが等しいし
きい利得になるようにし、この状態をバイアス点とし
て、片方あるいは両方の注入キャリア数をわずかに変調
することでTEモードとTMモードの偏波スイッチング
を行うものである。通常の強度変調レーザに比べ、変調
の際にも、共振器内の光密度とキヤリア密度をほとんど
一定にすることが可能なため、チャーピングが小さく変
調速度や伝送距離を向上させることができるとされてい
る。尚、図29において、1101は基板、1102は
下部クラッド層、1104は光ガイド層、1105は上
部クラッド層、1106はコンタクト層、1109a、
1109b、1110は電極、1111は反射防止膜で
ある。
【0005】この半導体レーザの具体的製造方法として
は、ほととんど提案されていないが、他のデバイスの公
知の製造方法から以下の方法が考えられる。 1)2回の選択成長でそれぞれTEモード半導体レーザ
領域とTMモード半導体レーザ領域を作製する方法。 2)2回の選択マスクなしの成長と2回の選択エッチン
グでTE/TMモード半導体レーザ領域を作製する方
法。 3)選択マスクの領域の面積依存性を利用した1回の成
長でTEモード半導体レーザ領域とTMモード半導体レ
ーザ領域を作製する方法。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例においては以下の問題点があった。 (1)従来例では、高速変調時の波長変動を制御する手
段については、工夫が成されていないので、伝送容量が
制限を受けるだけでなく、波長多重通信用光源としても
不適である。
【0007】(2)偏光方向の異なる2種の半導体レー
ザの具体的設計指針及び製造方法が示されていない。製
造方法の一例として、MOCVD法等を用いた選択成長
方法を用いて、同一基板上に作製する方法が考えられる
が、それぞれの半導体レーザを独立に最適化することは
非常に困難である。例えば、前記第1の方法は、選択マ
スクエッジに異常成長ができやすいこと及び2回目の成
長では、パターン効果で1回目と同等の制御性あるいは
結晶品質を確保することは極めて困難である。前記第2
の方法は、選択エッチングの制御性に難があるとととも
に、境界部分は異常成長が起きやすく、デバイス作製歩
留まりを劣化させる。前記第3の方法は、製造上の問題
点は小さいものの製作できるデバイス構造に限定があ
り、デバイスを最適化することはできないという欠点が
ある。いずれにしろ、現時点では、上記従来例の偏波変
調レーザを信頼性良く実現できる方法はないといってよ
い。
【0008】(3)偏波変調可能範囲が狭い。本構造を
構成する2つの半導体レーザはそれぞれDFBレーザで
はあるが、複合共振器構成にしたときは、単純なDFB
ではなく、他方の共振器は或る時はDBRとして作用し
或る時はファブリペロ共振器として作用する。したがっ
て、その位相条件はDFB単独時と異なり、単純ではな
い。したがって、単に光結合しただけではその偏波変調
可能な動作範囲は極めて小さくなってしまう。
【0009】(4)アレイ化のための製造方法が困難で
ある。光通信、特に、光インタコネクトや波長多重通信
には半導体レーザのアレイ化が不可欠であるが、半導体
レーザのアレイ化についてはさらに作製は困難であり、
当然、従来例では実現の方法は考慮されていない。特
に、利得ピーク波長とブラッグ波長をほぼ一致させるこ
とはアレイになればなるほど困難になる。
【0010】よって、本発明の目的は、従来の偏波変調
半導体レーザの構造上及び製造上の問題点を解決し、実
質的に独立に最適化され得るTEモード用半導体レーザ
構造とTMモード用半導体レーザ構造を用いて、波長制
御がなされ(波長安定性の確保)且つ偏波変調動作範囲
の広い比較的低コストな半導体レーザ、その製造方法、
該半導体レーザを用いた装置やシステム等を提供するこ
とである。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】図1は、本発明
の代表例の原理を模式的に表している。図1中、1は第
1の半導体レーザ構造、2は第2の半導体レーザ構造、
3は両者の間に形成された空隙(間隙)及び/又はその
中に充填された充填材を表している。半導体レーザ構造
1及び2は単体では、ぞれぞれ、第1の共振器7でTM
モード(或はTEモード)が、第2の共振器8でTEモ
ード(或はTMモード)が励起されるのに対し、両者を
光学的に結合したことにより、第1及び第2の共振器の
他に第3の共振器9を含めた複合共振器により、TEモ
ードもTMモードも励起される。そのためには第1の半
導体レーザ構造1のTMモードは第2の半導体レーザ構
造2のTMモードと結合すること、同様に第2の半導体
レーザ構造2のTEモードが第1の半導体レーザ構造1
のTEモードと結合することが必要になる。このこと
は、第1の半導体レーザ構造1と第2の半導体レーザ構
造2に関して、TEモード同士及びTMモード同士の伝
搬定数が、それぞれ、ほぼ等しいことを意味する。これ
を実現することは、技術的には困難なことではない。
【0012】本発明の重要な点は、第1、第2及び第3
の共振器からなる複合共振器で許容されるTEモードと
TMモードのしきい利得をTE用半導体レーザ構造およ
びTM用半導体レーザ構造に注入されるキャリアI1
2を制御することでほぼ等しくすることができる点に
ある。この状態が実現できれば、あとは変調電流或は電
圧で位相条件等を若干制御することで、しきい値の小さ
い方の偏波モードで発振が起こり偏波変調ができる。
【0013】以下、請求項に対応して、本発明の各構成
を述べる。上記目的を達成する為の第1の発明は、第1
及び第2の偏波モードを共に有し少なくとも活性層と導
波層(ないし光ガイド層)が異なる2個の異なる半導体
レーザ構造を導波方向に直列に配置した複合共振器型半
導体レーザであって、第1の半導体レーザ構造が、第1
の偏波モードに対する利得が第2の偏波モードに対する
利得よりも優位な活性領域及び分布帰還型共振器又は分
布ブラッグ反射型共振器を有し、第2の半導体レーザ構
造が、第2の偏波モードに対する利得が第1の偏波モー
ドに対する利得よりも優位な活性領域及び分布帰還型共
振器又は分布ブラッグ反射型共振器又はファブリペロ型
共振器を有し、前記第1の半導体レーザ構造と第2の半
導体レーザ構造は、第1の偏波モード同士及び第2の偏
波モード同士の伝搬定数が夫々ほぼ等しい様に構成され
ており、前記第1の半導体レーザ構造と第2の半導体レ
ーザ構造は導波方向に間隙を置いて配置されており、前
記分布帰還型共振器又は分布ブラッグ反射型共振器のブ
ラッグ波長が前記半導体レーザ構造の利得スペクトルの
ピーク波長近傍に設定してあり、第1及び第2の半導体
レーザ構造の少なくとも一方に注入するキャリアに変調
をかけることで前記第1の偏波モードと第2の偏波モー
ドとの間で発振モードをスイッチングさせることを特徴
とする偏波変調可能な半導体レーザである(請求項1に
対応)。
【0014】上記構成で、TEモードもTMモードとも
にDFB或はDBRモードとすれば、変調時にも波長を
安定にでき、両者が同時発振可能なしきい利得を設定で
きる。
【0015】また、一方はTEファブリペロモード、他
方はDFB或はDBRモードとすれば、両者が同時発振
可能なしきい利得を設定でき、デバイス作製や実装が更
に容易になり、かつ複合共振器による偏波変調動作範囲
を更に広くできる。この場合、安定性のあるTMモード
だけを信号光として利用すればよい。第1の発明によれ
ば、この様に、偏波変調可能な半導体レーザを実現する
にあたり、半導体レーザ作製の制御性を向上させ、偏波
変調可能な動作範囲を向上させるための設計指針が与え
られる。
【0016】上記目的を達成する為の第2の発明は、前
記第1及び第2の半導体レーザ構造が、夫々、基板及び
その上の積層構造が独立に形成された構造のものであっ
て、導波方向に間隙を置いて支持台上に配置されている
ことを特徴とする(請求項2に対応)。
【0017】第2の発明によれば、TE用半導体レーザ
構造とTM用半導体レーザ構造が独立に作製できて、設
計の自由度が更に大きくなる。また、確実に両レーザ構
造間の光軸調整ができる。
【0018】上記目的を達成する為の第3の発明は、前
記第1及び第2の半導体レーザ構造が、同一基板上で少
なくとも活性層と導波層が別個に形成された構造のもの
であって、該同一基板上の積層構造が導波方向に間隙を
置いて配置されていることを特徴とする(請求項3に対
応)。
【0019】上記目的を達成する為の第4の発明は、前
記第1及び第2の半導体レーザ構造間の間隙に充填材が
充填されて位相調整領域を成していることを特徴とする
(請求項4に対応)。これにより、位相を調整し、複合
共振器による偏波変調を確実にする。
【0020】上記目的を達成する為の第5の発明は、前
記間隙に充填された物質が電気的に屈折率を制御できる
材料であり、前記位相調整領域の光学長に変調をかける
為の光学長変調手段を設けていることを特徴とする(請
求項5に対応)。これにより、位相調整を可変とし、複
合共振器による偏波変調の動作範囲を更に広くできる。
【0021】上記目的を達成する為の第6の発明は、前
記第2の半導体レーザ構造が、分布帰還型共振器又は分
布ブラッグ反射型共振器を有することを特徴とする(請
求項6に対応)。
【0022】上記目的を達成する為の第7の発明は、前
記第1及び第2の半導体レーザ構造の間隙を置いて相い
対する端面が導波方向に対して斜めに形成されているこ
とを特徴とする(請求項7に対応)。これにより、両半
導体レーザ構造がDFB或はDBRレーザである場合に
おいて、端面反射の影響を押さえ、複合共振器による偏
波変調を確実にする。
【0023】上記目的を達成する為の第8の発明は、前
記第2の半導体レーザ構造が、ファブリペロ型共振器を
有することを特徴とする(請求項8に対応)。
【0024】上記目的を達成する為の第9の発明は、前
記第1及び第2の半導体レーザ構造の間隙を置いて相い
対する端面のうちDFB或はDBRレーザである第1の
半導体レーザ構造の端面が導波方向に対して斜めに形成
されていることを特徴とする(請求項9に対応)。これ
により、一方の半導体レーザ構造がDFB或はDBRレ
ーザであり他方の半導体レーザ構造がファブリペロ型で
ある場合において、端面反射の影響を押さえ、複合共振
器による偏波変調を確実にする。
【0025】上記目的を達成する為の第10の発明は、
前記第1及び第2の半導体レーザ構造の向かい合う端面
が無反射になるように該端面にARコートが施されてい
ることを特徴とする(請求項10に対応)。これによ
り、端面反射の影響を押さえ、複合共振器による偏波変
調を確実にする。また、半導体レーザの端面反射あるい
は位相に起因する悪影響を抑えて、半導体レーザの特性
を平均化し、歩留まりが向上する。
【0026】上記目的を達成する為の第11の発明は、
前記第1及び第2の半導体レーザ構造の活性層の少なく
とも一方の活性層が量子井戸構造或は歪み量子井戸構造
から成ることを特徴とする(請求項11に対応)。これ
により、TEモードとTMモードのしきい利得を拮抗さ
せることが容易にできて、偏波変調動作を確実に実現で
きる。
【0027】上記目的を達成する為の第12の発明は、
第1及び第2の偏波モードを共に有する2個の異なる半
導体レーザアレイを導波方向に直列に配置した複合共振
器型半導体レーザアレイであって、複数の第1の半導体
レーザ構造から成る第1の半導体レーザアレイは、該第
1の半導体レーザ構造を導波方向に平行に同一基板上に
複数個配置して成り、第1の偏波モードに対する利得ピ
ークがキャリア注入量によって可変できる共通の活性領
域を含み、個々の第1の半導体レーザ構造に対し、該異
なる利得ピーク近傍にブラッグ波長が設定された分布帰
還型反射器或は分布ブラッグ反射型反射器を持たせてお
り、第1の半導体レーザ構造と同数の複数の第2の半導
体レーザ構造から成る第2の半導体レーザアレイは、該
第2の半導体レーザ構造を前記第1の半導体レーザ構造
と同様に配置して成り、第2の偏波モードに対する利得
が第1の偏波モードに対する利得よりも優位な共通の活
性領域を含み、個々の第2の半導体レーザ構造に対し、
ファブリペロ型共振器を持たせており、対を成す前記第
1の半導体レーザ構造と第2の半導体レーザ構造は、夫
々、第1の偏波モード同士及び第2の偏波モード同士の
伝搬定数が夫々ほぼ等しい様に構成されており、前記第
1の半導体レーザアレイと第2の半導体レーザアレイは
導波方向に間隙を置いて配置されており、第1及び第2
の半導体レーザ構造の少なくとも一方に注入するキャリ
アに変調をかけることで前記第1の偏波モードと第2の
偏波モードとの間で発振モードをスイッチングさせるこ
とを特徴とする偏波変調可能な半導体レーザアレイであ
る(請求項12に対応)。
【0028】この構成では、ファブリペロ型共振器型で
ある第2の半導体レーザ構造の構成を単純化することが
可能なことから、多波長半導体レーザ構造のアレイ化が
容易になる。また、DFB或はDBR型である第1の半
導体レーザ構造に合わせてファブリペロ型である第2の
半導体レーザ構造を柔軟に設計でき、多少第2の半導体
レーザ構造で優位なモードの発振光の質を犠牲にして
も、第1の半導体レーザ構造で優位なモードの発振光を
偏波変調動作で確実に利用できる。
【0029】上記目的を達成する為の第13の発明は、
前記第1及び第2の半導体レーザアレイ間の間隙に充填
材が充填されて位相調整領域を成していることを特徴と
する(請求項13に対応)。これにより、位相を調整
し、各組の複合共振器による偏波変調動作を確実にす
る。
【0030】上記目的を達成する為の第14の発明は、
前記間隙に充填された物質が電気的に屈折率を制御でき
る材料であり、前記位相調整領域の光学長に変調をかけ
る為の光学長変調手段を設けていることを特徴とする
(請求項14に対応)。これにより、位相調整を可変と
し、各組の複合共振器による偏波変調の動作範囲を更に
広くできる。
【0031】上記目的を達成する為の第15の発明は、
上に記載の半導体レーザを作製する方法であって、第1
の半導体レーザ構造を作製する工程と、この工程とは独
立に第2の半導体レーザ構造を作製する工程と、第1及
び第2の半導体レーザ構造を光学的に結合するよう導波
方向に直列に同一の支持台上に間隙を置いて配置する工
程と、を有することを特徴とする偏波変調可能な半導体
レーザの製造方法である(請求項15に対応)。
【0032】これによれば、TE用半導体レーザ構造と
TM用半導体レーザ構造が独立に作製でき、確実に光軸
調整ができる。また、偏波変調可能な半導体レーザを実
現するにあたり、より精度の高い実装を行うための製造
方法及び位相制御方法を提供できる。
【0033】上記目的を達成する為の第16の発明は、
前記第1及び第2の半導体レーザ構造を光学的に結合す
るよう導波方向に直列に同一の支持台上に間隙を置いて
配置する工程が、第1の半導体レーザ構造を支持台上に
配置して固定した後、第2の半導体レーザ構造を発光さ
せると同時に第1の半導体レーザ構造をフォトディテク
タとして機能させて第2の半導体レーザ構造の光を受光
させることで第2の半導体レーザ構造を位置決め及び固
定する工程を含むことを特徴とする(請求項16に対
応)。
【0034】これにより、より簡便に両半導体レーザ構
造をアライメントできる。
【0035】上記目的を達成する為の第17の発明は、
前記第1及び第2の半導体レーザ構造を光学的に結合す
るよう導波方向に直列に同一の支持台上に間隙を置いて
配置する工程が、支持台上に形成されたマーカーと半導
体レーザ構造に形成されたマーカーを所望の位置関係に
調整して半導体レーザ構造を配置して固定する工程を含
むことを特徴とする(請求項17に対応)。
【0036】これにより、容易にアライメントでき、か
つ確実に光軸調整ができる。
【0037】上記目的を達成する為の第18の発明は、
前記第1及び第2の半導体レーザ構造を光学的に結合す
るよう導波方向に直列に同一の支持台上に間隙を置いて
配置する工程が、支持台に形成された半導体レーザ搭載
面とは垂直に直立した平面へ該半導体レーザ構造の側面
を突き当てて半導体レーザ構造を配置する工程を含むこ
とを特徴とする(請求項18に対応)。
【0038】これにより、簡便にアライメントできる。
【0039】上記目的を達成する為の第19の発明は、
前記間隙に所望の屈折率を有する物質を充填する工程を
更に有することを特徴とする(請求項19に対応)。両
半導体レーザ構造間が空隙のままでも位相調整できる
が、所望の屈折率を有する物質を充填すれば、より柔軟
に位相調整できる。
【0040】上記目的を達成する為の第20の発明は、
上に記載の半導体レーザを作製する方法であって、半導
体基板上に第1の半導体レーザ構造を作製する工程と、
該基板上に第2の半導体レーザ構造を作製する工程と、
該第1及び第2の半導体レーザ構造の境界部分に間隙を
形成する工程と、を有することを特徴とする偏波変調可
能な半導体レーザの製造方法である(請求項20に対
応)。
【0041】これによれば、2つの半導体レーザ構造の
境界部に製造上生じる異常構造物を除去し、そこに位相
調整部になりうる間隙を設けることで、異常構造物に起
因する構造原理上と製造上の問題点を同時に解決する。
【0042】上記目的を達成する為の第21の発明は、
前記第1の半導体レーザ構造を作製する工程が、前記半
導体基板上の第1の半導体レーザ構造の領域のみに第1
の活性層、第1の光導波層を積層する工程と、該第1の
光導波層に、該第1の活性層の利得ピークの近傍にブラ
ッグ波長を持つようにピッチを制御した第1のグレーテ
ィングを形成する工程とを含み、且つ前記第2の半導体
レーザ構造を作製する工程が、前記半導体基板上の第2
の半導体レーザ構造の領域のみに第2の活性層、第2の
光導波層を積層する工程と、該第2の光導波層に、該第
2の活性層の利得ピークに近傍にブラッグ波長を持つよ
うにピッチを制御した第2のグレーティングを形成する
工程とを含み、更に前記第1の半導体レーザ構造を作製
する工程及び前記第2の半導体レーザ構造を作製する工
程が、共に前記第1のグレーティングが形成された第1
の光導波層と前記第2のグレーティングが形成された第
2の光導波層上に一括して共通のクラッド層及びコンタ
クト層を積層する工程を含むことを特徴とする(請求項
21に対応)。
【0043】上記目的を達成する為の第22の発明は、
前記第1の半導体レーザ構造を作製する工程及び前記第
2の半導体レーザ構造を作製する工程が、共に前記半導
体基板上全面に第1のクラッド層、活性層、光導波層を
積層する工程と、第2の半導体レーザ構造の領域の該光
導波層はそのままにして第1の半導体レーザ構造の領域
の該光導波層上のみに該活性層の利得ピークの近傍にブ
ラッグ波長を持つようにピッチを制御したグレーティン
グを形成する工程と、前記光導波層全面に一括して共通
の第2のクラッド層及びコンタクト層を積層する工程
と、を含むことを特徴とする(請求項22に対応)。
【0044】上記目的を達成する為の第23の発明は、
前記第1及び第2の半導体レーザ構造の境界部分に間隙
を形成する工程が、該第1及び第2の半導体レーザ構造
の領域の境界部分にスリット状の間隙とリッジ導波路を
同時に形成する工程を含むことを特徴とする(請求項2
3に対応)。
【0045】上記目的を達成する為の第24の発明は、
前記間隙に所望の屈折率を有する物質を充填する工程を
更に有することを特徴とする(請求項24に対応)。
【0046】また、上記目的を達成する為の第25の発
明は、前記発明の偏波変調可能な半導体レーザの出力部
に片方の偏波のみを選択し、出力する為の偏光子などの
偏光選択手段を備えた光送信装置であることを特徴とす
る(請求項25に対応)。この構成で、変調電力が小さ
く占有波長幅が狭く消光比が大きい光信号を出力する光
送信機を実現できる。
【0047】上記目的を達成する為の第26の発明は、
上に記載の偏波変調可能な半導体レーザと、該半導体レ
ーザからの出力光のうち1つの偏波の光を透過させる偏
光選択手段と、該半導体レーザの出力光の偏光状態を入
力信号に従って切り換える為の該半導体レーザを制御、
駆動する制御回路と、入力信号を受信する受信手段とを
有する光送受信機であることを特徴とする(請求項26
に対応)。上記第25の発明の光送信機と同じ効果が奏
される。
【0048】上記目的を達成する為の第27の発明は、
上に記載の偏波変調半導体レーザと、該偏波変調半導体
レーザから出射する光の内、TEとTMの2つの偏波モ
ードの一方の光のみを取り出す偏光選択手段とを有する
光源装置であることを特徴とする(請求項27に対
応)。上記第25の発明の光送信機と同じ効果が奏され
る。
【0049】また、上記目的を達成する為の第28の発
明は、本発明の半導体レーザを用いた送信器を含むこと
を特徴とする光伝送システムないし光通信システムであ
る(請求項28に対応)。これにより、高速変調時等で
も出力パワー変動が少なくチャーピングの少ない強度変
調信号が得られ、受信側は強度変調信号を受信すればよ
いので従来の簡単な受信器が用いられる。
【0050】上記目的を達成する為の第29の発明は、
前記光送信機或は送受信機が複数の異なる波長の光信号
を送出することができ、波長多重型のネットワークを構
成することを特徴とする(請求項29に対応)。
【0051】上記目的を達成する為の第30の発明は、
上に記載の偏波変調半導体レーザと、該偏波変調半導体
レーザから出射する光の内、TEとTMの2つの偏波モ
ードの一方の光のみを取り出す偏光選択手段とから成る
光源装置を用い、所定のバイアス電流に送信信号に応じ
て変調された電流を重畳して前記偏波変調半導体レーザ
に供給することによって、前記偏光選択手段から送信信
号に応じて強度変調された信号光を取り出し、この信号
光を光受信側に向けて送信する光通信方法であることを
特徴とする(請求項30に対応)。
【0052】
【発明の実施の形態】
(第1実施例)図2は本実施例をもっともよく表す図で
あり、1は第1の半導体レーザ、2は第2の半導体レー
ザ、3は空隙の充填材、4はヒートシンク、5はマーカ
ーである。ここでは特に図示はしていないが、半導体レ
ーザはサブキャリア上に配置されたヒートシンク4上に
搭載される。サブキャリア上に直接配置されることもあ
る。
【0053】まず、半導体レーザの作製方法について述
べる。図3は、第1の半導体レーザ1の発振軸を含む方
向の断面図であり、図4はその垂直方向の断面図であ
る。たとえば、n型(100)InP基板101上に、
MOCVD法(Metal Organic Chem
ical Vapor Deposition)やCB
E法(Chemical Beam Epitaxy)
を用いて、n−InPクラッド層102、アンドープ活
性層103、p−InGaAsP光ガイド層104を積
層した後、ピッチ325nm、深さ50nmの位相シフ
トグレーティング108を形成し、p−InPクラッド
層105、p−InGaAsコンタクト層(キャップ
層)106を積層する。115は端面反射を低減させる
為の反射防止(AR)コートであり、両端面に形成され
ている。
【0054】活性層103(その上下両側にはSCH層
が形成されている)のバンドダイヤグラムを図5に示し
た。121は、引っ張り歪みInGaAs井戸層(歪み
率−9%、厚さ9nm)、122は無歪みInGaAs
P障壁層(バンドギャップ0.99eV、厚さ10n
m)であり、井戸数は5とした。
【0055】図4に示す様に、横モード制御のため幅
2.5μmのリッジ構造を採用している。図4におい
て、111はリッジ型光導波路、112はリッジ部以外
に電流を流さないためのSiOx膜等の絶縁膜である。
また、109は基板表面側に形成された正電極(正電極
109は図3に示す様に共振方向に2電極109a、1
09bに分離されている)、110は基板側の負電極で
ある。本実施例では正電極109を2分割した例(こう
すれば、注入キャリア分布を調整できて、偏波変調動作
範囲を広げられる)を示したが単電極でも差し支えな
い。図4において、リッジ型光導波路111の両側の突
出した積層構造は、機能上必要とされるものではなく、
リッジ型光導波路111を形成する為のエッチングプロ
セスで結果的に形成されるものに過ぎない。
【0056】活性層103に引っ張り歪み多重量子構造
を適用し、かつその利得ピーク波長近傍にブラッグ波長
を設定した結果(グレーティング108のピッチなどの
設定による)、TM利得が常にTE利得を上回るため、
常にTM偏光のDFBモードで発振する。本実施例で
は、活性層103を成長したあとにグレーティング10
8を形成しているが、これは結晶成長の波長制御性より
も、グレーティングの作製精度の方が現時点の技術では
上回っていると考えられるためであり(即ち、活性層を
成長してゲインピーク波長が決まってから、それに合わ
せてグレーティングのピッチなどを決める方が良いか
ら)、ともに高い精度で作製できるのであれば、基板に
直接グレーティングを形成してから、活性層等を成長し
ても良い。このことは、以下の実施例でも同じである。
【0057】次に、第2の半導体レーザ作製方法につい
て述べる。本実施例では、第2の半導体レーザ2は、第
1の半導体レーザ1のTEモードと伝搬定数をほぼ等し
くするために、層厚及び組成を制御したが、基本的には
活性層以外の構造は第1の半導体レーザ1とほぼ同じで
よい。第2の半導体レーザ2の横モード制御もリッジ構
造を用いているが、その幅は第1の半導体レーザ1と必
ずしも同じでなくてよい。リッジ構造の幅が異なるとき
は、他の構造パラメータもそれに合わせて変更して両レ
ーザ1、2の伝搬定数が等しくなるようにすればよい。
【0058】第2の半導体レーザ2の活性層のバンドダ
イヤグラム構造を図6に示した(活性層の両側にはSC
H層が形成されている)。123は無歪みInGaAs
井戸層(厚さ7.5nm)、124は無歪みInGaA
sP障壁層(バンドギャップ0.99eV、厚さ10n
m)であり、井戸数は5とした。この結果、重い正孔と
電子との遷移が支配的になるため、TE利得が常にTM
利得を上回り、かつTE利得のピーク波長近傍にブラッ
グ波長が設定されているため、常にTE偏光のDFBモ
ードで発振する。
【0059】2種の半導体レーザ1、2は、複合共振器
を形成しやすくするために、偏波以外はほぼ等しいもの
をペアとすることが望ましい。たとえば、しきい電流値
と効率を各レーザの共振器長と端面反射率で調整でき
る。DFBモードを優位にする為に、向かい合う端面同
士は、できるだけ低反射率であることが望ましい。この
ように第1及び第2の半導体レーザの構造を、容易に独
立に、制御あるいは選別できることが本発明の大きな特
徴である。
【0060】次に、2つの半導体レーザ1、2のヒート
シンク4ヘの搭載方法について図2を用いて説明する。
例えば、第1の半導体レーザ1をマーカー5で示された
所望の位置にエピサイドダウンでダイボンディングす
る。第2の半導体レーザ2は、パルス電流駆動で発振さ
せながら、第1の半導体レーザ1を導波型のフォトディ
テクタとして機能させることで、位置調整を行う。第2
の半導体レーザ2の位置調整が終了したら、ダイボンデ
ィングする前に、逆に第1の半導体レーザ1をパルス駆
動し、第2の半導体レーザ2をフォトディテクタとして
動作させて受光可能であることを確認してから、ボンデ
ィングする。この結果、2つの半導体レーザ1、2は、
最適な光結合状態でヒートシンク4上に固定される。光
パワー結合効率が高くても、両半導体レーザ1、2間に
生じた空隙3の大きさはなかなか制御困難なため、位相
がずれることから、偏波変調がかかりにくい(TEモー
ドかTMモード何れかでしか動作しない)ことが考えら
れる。この際、両半導体レーザ1、2の間に生じた空隙
に、ゲルやポリマなど屈折率を制御できる充填材3を充
填することで、競合する光波の位相(光学長)を調節
し、歩留まり良く偏波変調をかけることが可能となる。
また、ゲルやポリマの替わりに、空隙3に液晶を充填
し、その上に電極を形成し電圧を印加することで、その
液晶の屈折率あるいは透過率(透過率は表現を変えれば
吸収率であり、複素屈折率の観点からは屈折率と透過率
は同等であり、透過率の調整によっても歩留まり良く偏
波変調をかけることが可能となる)を可変にすることも
できる。
【0061】次に第1実施例の動作方法について説明す
る。図7は第1及び第2の半導体レーザ1、2に独立に
電流(それぞれI1およI2とする)を流した時の偏波モ
ードの分布を表している。その境界線A−BはTEモー
ドとTMモードのしきい利得がほぼ等しいことを示し、
この線上ををバイアス点(たとえば、点Mあるいは点
N)として、変調信号を重畳すれば、発振偏波モードが
スイッチする、いわゆる偏波変調が実現する。たとえ
ば、バイアス点をMとした場合には、I1だけに変調信
号を載せた例を、バイアス点Nの場合には、I1及びI2
に変調電流を逆相で載せた例を示した。また、第1の半
導体レーザ1の正電極109a、109bが2分割され
ている場合には、それぞれの電極に不均一にキャリアを
注入することで、位相の微調が可能となり、偏波変調可
能領域を更に拡大することができる。
【0062】この実施例の利点をまとめると、以下のと
おりである。 (1)TE用半導体レーザとTM用半導体レーザを独立
に最適化できる。 (2)本構成を作り上げるのに、同種の複数の半導体レ
ーザから適切なLDを選別できる。 (3)どちらも線幅等の点で良質であるから、TEモー
ド光もTMモード光もどちらも光通信などに利用でき
る。 (4)位相が合わないことがあっても、空隙の調整や充
填材の調整などで、位相調整が容易である。
【0063】本実施例では2つの半導体レーザ1、2の
横モード制御は、リッジ構造で行っている。しかし、横
方向の閉じ込めはリッジ構造に限らず、従来の半導体レ
ーザで用いている埋め込み構造など他の構造でもよい。
【0064】(第2実施例)次に、第1の実施例に比べ
さらに容易に作製されうる偏波変調半導体レーザの例に
ついて述べる。
【0065】第2実施例は (1)2つの半導体レーザの組合せとしてDFB半導体
レーザとファブリペロ共振器半導体レーザを選ぶ。 (2)ヒートシンク(或はサブキャリアなどの支持台)
形状としてレーザ固定面に垂直な面を有するヒートシン
ク(或はサブキャリアなどの支持台)を使用する。 の2点が第1の実施例とは異なる。
【0066】まず、レーザの作製方法について説明す
る。第1のDFB半導体レーザは、基本的に第1実施例
の第1の半導体レーザ或は第2の半導体レーザと同様の
構造でよい。第2のファブリペロ半導体レーザの発振軸
を合む断面図を図9に、その垂直な断面図を図10に示
す。その製造方法は、たとえば、n型(100)InP
基板131上に、n−InPクラッド層132、アンド
ープ活性層133、n−InGaAsP光ガイド層13
4、p−InPクラッド層135及びp−InPコンタ
クト層136を積層する。活性層133の構造は、ここ
では第1実施例と同じとした。
【0067】横モード制御は敢えて行わない。たとえ
ば、幅50μmの電極ストライプ139を形成するのみ
である。この結果、第2の半導体レーザは常にTEモー
ドで発振するが、グレーティングがないこと及び横モー
ド制御機構がないことから、第1実施例の場合とは異な
り、常にマルチファブリペロモード発振する。
【0068】第1及び第2の半導体レーザの向かい合う
端面同士は、できるだけ低反射率であることが望まし
い。その為に、図3及び図9に示す様に、ARコート1
15、142がレーザ両端面に形成されている。さら
に、作製の際には第1及び第2の半導体レーザの幅をほ
ぼ等しくしておき、かつ側面は、ヒートシンク4の垂直
面に当てるので、へき開に近い面を出しておくことが望
ましい。
【0069】次に、2つの半導体レーザのヒートシン
ク、サブキャリアなどの支持台ヘの搭載方法について図
8を用いて説明する。図8において、ヒートシンク4に
は半導体レーザ固定面(ここにはパターン電極6(レー
ザ1側のみが示されている)が形成されていて、半導体
レーザ1、2の電極に接続されている。これは、図示さ
れていないが、図2でも同じである)に垂直な面10が
形成され、半導体レーザ1、2はチップ側面を前記垂直
面10に突き当てて位置決めされる。
【0070】本実施例の場合は、第1実施例のようなア
クティブアライメント(発振させてディテクトする方法
を用いるアライメント)を敢えて行う必要はない。ヒー
トシンク4及びレーザチップ1、2に予めマーカー(不
図示)を設置しておき、目あわせをおこなう(パッシブ
アライメント)ことで十分精度がとれる。すなわち、本
実施例の場合、2つの半導体レーザ1、2の光導波路の
位置合わせはへき開面と垂直な方向の位置精度のみで行
われる。これは、第2の半導体レーザ2に広い電極スト
ライプ構造の半導体レーザを用いたことで横方向の光軸
合わせの自由度が大きくなったことによる。必要であれ
ば、第1実施例と同じアクティブアライメントを一部行
ってもよい。
【0071】このように、ファブリペロ半導体レーザ2
を用いているので光軸調整は非常に容易になることが、
本実施例の大きな特徴である。
【0072】次に駆動方法について説明する。図11
は、第1及び第2の半導体レーザ1、2に独立に電流を
流した時の発振偏波モードの分布を表している。その境
界線A−BはTEモードとTMモードのしきい利得がほ
ぼ等しいことを示し、この線上をバイアス点(たとえ
ば、点Mあるいは点N)として、変調信号を重畳すれ
ば、偏波モードがスイッチする、いわゆる偏波変調が実
現する。第1実施例に比べ、一方のレーザにファブリペ
ロ共振器半導体レーザを用いているので偏波変調可能な
バイアス領域が広いことが大きな特徴である。これは、
光出力及び発振波長の制御範囲が広いことを意味する。
本実施例の動作については、本質的に後述の第4実施例
の動作と同じであるので、その説明をも参照されたい。
【0073】この第2実施例の利点は以下のとおりであ
る。 (1)たとえばTEモード用レーザは非常に単純な電極
ストライプレーザでよいので低コストである。 (2)2種類の半導体レーザについて、任意の複数のL
Dから適切なLDを選別できる。 (3)一方にファブリペロ共振器半導体レーザを用いる
ので、2つの半導体レーザの光軸合わせが簡単になる。 (4)位相が合わないことがあっても、空隙に屈折率を
制御できる充填材3を充填することなどで、位相整合が
容易である。 (5)ファブリペロ共振器半導体レーザは動作条件が厳
しくないので、偏波変調動作範囲が広い。
【0074】(第3実施例)図12は第3の実施例の模
式図である。図12中、1は第1の半導体レーザ、2は
第2の半導体レーザ、3は空隙及び/又は充填材であ
る。図13は該第1及び第2の半導体レーザ1、2の発
振軸を含む方向の断面図であり、図14はその垂直方向
の断面図である。
【0075】まず、製造方法について説明する。図15
は本実施例の製造工程を表している。たとえば、n型
(100)InP基板161上にn−InPクラッド層
161をバッファ層としてわずかに形成した後、選択マ
スク174aを用いて第1の半導体レーザ領域のみにア
ンドーブ活性層163a、p−InGaAsP光ガイド
層164aを積層する。この時の成長法は、MOCVD
法やCBE法等が適当である。この際、マスクエッジ部
近傍は異常成長しやすいがそのままで構わない。
【0076】この工程の替わりに、最初選択マスクなし
で基板161全面に成長した後、選択エッチングで第1
の半導体レーザ領域以外の領域を除去してもよい。
【0077】活性層163aのバンドダイヤグラムを図
16に示した。181は、引っ張り歪みInGaAs井
戸層(歪み率−0.9%、厚さ9nm)、182は無歪
みInGaAsP障壁層(バンドギャップ0.99e
V、厚さ10nm)であり、井戸数は3とした。この活
性層163aの利得スペクトルはフォトルミネッセンス
測定及び等価屈折率から予測できる。本実施例の場合、
1.53μm付近に利得ピークがあると予測され、最終
デバイス形態での等価屈折率が3.25と計算されたこ
とから、グレーティングピッチを235nmに選ぶ。そ
こで、光ガイド層164a上にピッチ235nm、深さ
50nmの位相シフトグレーティング167aを形成す
る(図15(a)参照)。
【0078】次に、選択マスク174aを除去し、新た
に選択マスク174bを第1の半導体レーザ領域を覆う
ように形成した後、第2の活性層163b及び第2の光
ガイド層164bを選択的に成長する(図15(b)参
照)。この場合もエッジ付近は異常成長しやすいが、こ
のままでよい。第2の活性層163bのバンドダイヤグ
ラムを図6に示したものと同じとした。第1の半導体レ
ーザ領域と同様に、ここではピッチ231nm、深さ5
0nmのグレーティング167bを第2の光ガイド層1
64b上に形成した(図15(b)参照)。
【0079】選択マスク174bを除去した後、ウェハ
全体にp−InPクラッド層165およp−InGaA
sコンタクト層166を積層する(図15(c))。
【0080】この後の工程が本実施例の特徴的な部分で
ある。2つの半導体レーザ領域の境界部分の異常成長部
分をスリット状に除去する(図15(d))。この時、
スリットの深さはn−InPクラッド層162に達する
までとし、スリットパターンは図12の3で示すように
導波方向に対して斜めになるようにした。これは空隙部
分での反射を極力避けるためである。この工程は、通常
のMOCVD法とドライエッチングで行ってもよいが、
CBE装置と高真空結合されたRIBE(Reacti
ve Ion Beam Etching)装置等で大
気に晒すことなく連続的に行うことで、さらに信頼性が
高まる。この工程は、次のリッジ導波路作製工程(図1
4参照)と同時に行ってもよい。さらに、この空隙部分
3の端面にARコートを施せばさらに反射の影響が小さ
くなる。
【0081】次に、横モード制御のため幅2.5μmの
リッジ導波路構造を作りつけた。図14において、17
2はリッジ型光導波路、173はリッジ部以外に電流を
流さないためのSiO2膜等の絶縁膜である。電極16
9a、169b及び170を形成し、両端面にARコー
ト171を施し、最後に所望の屈折率を有する充填材1
68を空隙に充填することで本実施例は完成する(図1
5(e))。
【0082】本実施例でも、活性層を成長したあとにグ
レーティングを形成しているが、これについては第1実
施例で述べたことと同じである。
【0083】次に、本実施例の駆勤方法について説明す
る。第1の活性層163aに引っ張り歪み多重量子構造
を適用し、かつその利得ピーク波長近傍にグレーティン
グ167aによるブラッグ波長を設定した結果、TM利
得が常にTE利得を上回るため、第1の半導体レーザ単
体は常にTM偏光のDFBモードで発振する。一方、第
2の半導体レーザ2では、TE利得が常にTM利得を上
回り、かつTE利得のピーク波長近傍にグレーティング
167bによるブラッグ波長が設定されているため、常
にTE偏光のDFBモードで発振する。本実施例では、
第1の半導体レーザ1と第2の半導体レーザ2につい
て、活性層以外は殆ど同構造の光導波路を使用している
ため、双方のTEモードおよTMモードの伝搬定数は近
く設定されている。従って、第1及び第2の半導体レー
ザに注入するキャリア数を制御することで、2個の半導
体レーザ全体で、それぞれのグレーティング167a、
167bのブラッグ波長のTEモードとTMモードが最
低しきい利得を有するように設定することができる。
【0084】しかし、双方の半導体レーザ1、2にとっ
て、他方の共振器は位相を乱す原因になるため、位相を
調整しなければブラッグ波長で発振させることができな
い場合がある。このとき、両半導体レーザ1、2の間に
作製した空隙3に、ゲルやポリマなど屈折率を制御でき
る充填材168を充填することで競合する光波の位相
(光学長)を調節し、歩留まり良く偏波変調をかけるこ
とが可能となる。また、ゲルやポリマの替わりに、空隙
を液晶で埋めて電極を形成し電圧を印加することで、屈
折率あるいは透過率を可変することもできる。これは、
上記実施例と同じである。さらに、この空隙3を作製し
た後に連続してInP等の半導体をエピタキシャル成長
したあと、電極を形成し、キャリア注入量を可変するこ
とで位相調整することもできる。
【0085】図7は、本実施例の第1及び第2の半導体
レーザに独立に電流(それぞれI1及びI2とする)を流
した時の偏波モードの分布をも表している。その説明
は、第1実施例で説明した通りである。
【0086】本実施例は、第1及び第2の半導体レーザ
が全く独立に形成されるのではなく一部共通に形成さ
れ、その製法による境界部分の異常成長部分を充分な幅
のスリット形成で除去するという構成を持つ点で、第1
実施例と異なる。その違いに応じて、本実施例の利点を
まとめると、以下のとおりである。 (1)TE用半導体レーザの中心部である導波路部とT
M用半導体レーザの中心部である導波路部を独立に最適
化できる。 (2)どちらも線幅等の点で良質であるから、TEモー
ド光もTMモード光もどちらも光通信などに利用でき
る。 (4)位相が合わないことがあっても位相調整が容易で
ある。
【0087】(第4実施例)次に、第3の実施例に比べ
さらに容易に偏波変調半導体レーザを作製する例につい
て述べる。図17は第4の実施例の模式図である。この
実施例は、2つの半導体レーザのうち、第3の実施例に
比べ、一方の半導体レーザがファブリペロ共振器を有す
る点が大きな違いである。
【0088】図18は、第4の実施例の製造工程を説明
する模式図である。たとえば、n型(100)InP基
板201上に、n−InPクラッド層202、アンドー
プ活性層203、p−InGaAsP光ガイド層204
を積層する。この時の成長法は、MOCVD法やCBE
法が適当である。
【0089】活性層203のバンドダイヤグラムを図1
9に示した。221は引っ張り歪みInGaAs第1井
戸層(歪み率−0..9%、厚さ9nm)、222は無
歪みInGaAsP障壁層(バンドギャップ0.99e
V、厚さ10nm)、223は無歪みInGaAsP第
2井戸層(バンドギャップ0.75eV、厚さ10n
m)である。
【0090】選択マスク214を用いて、第1の半導体
レーザ領域の光ガイド層204のみにピッチ235n
m、深さ50nmの位相シフトグレーティング207を
形成した(図18(a)参照)。本実施例の場合、1.
53μm付近にTMモード利得ピークがあると予測さ
れ、最終デバイス形態での等価屈折率が3.25と予測
されたことから、グレーティングピッチを235nmに
選んだ。次に、選択マスク214を除去し(図18
(b))、ウェハ表面全体にp−InPクラッド層20
5及びp−InGaAsコンタクト層206を積層する
(図18(c))。
【0091】この後の工程が本実施例の特徴的な部分で
ある。2つの半導体レーザ領域の境界部分をスリット状
に除去する(図18(d))。この時、スリットの深さ
はn−Inpクラッド層202に達するまでとし、ギャ
ップパターン3は図17のように第1の半導体レーザ1
の端面側は導波方向に対して斜めになるように、第2の
半導体レーザ2の側は導波方向に対して直角になるよう
にした。これは第1のDFB半導体レーザ1にとっては
空隙部分での反射を極力避けるためであり、第2のファ
ブリペロ半導体レーザ領域ではファブリペロ共振器が形
成されるようにするためにである。この工程は、通常の
MOCVD法とドライエッチングで行ってもよいが、C
BE装置とRIBE装置が高真空で結合された複合プロ
セス装置等で大気に晒すことなく連続的に行うことで、
さらに信頼性が高まる。ここで、空隙に充填する物質2
08としてInP等を選ぶ場合には引き続きエピタキシ
ャル選択成長を行ってもよい(図18(e))。InP
等の半導体をエピタキシャル成長したあと電極を形成
し、キャリア注入量を可変することで位相調整すること
もできる。
【0092】次に、横モード制御のため幅2.5μmの
リッジ構造を作りつけた。この工程は第3の実施例と全
く同じである(図14参照)。また、219a、219
bは夫々第1と第2の半導体レーザ1、2の基板表面側
の正電極、220は負電極である。電極219及び22
0を形成し、所望の屈折率を有する充填材208を充填
することで本実施例は完成する(図18(e))。
【0093】次に駆動方法について説明する。図20
は、異なる2つの井戸層を含む非対称2重井戸構造の活
性層203の利得スペクトルの注入キャリア密度依存性
を示す。図20(a)において、注入密度が低い状態で
は、n側の第1の引っ張り歪み量子井戸層221の充填
効率が高いため、e−lh遷移(軽い正孔と電子との遷
移)が支配的になり、TMモード利得が常にTEモード
の利得を上回る。従って、TM利得のピーク波長近傍に
第1のDFB半導体レーザのグレーティング207のT
Mモードのブラッグ波長λTM Bを設定しておき、かつ、
その波長でしきい利得になるように全体の共振器損失を
制御しておけば、常にTM偏光のDFBモードで発振す
る(図20中λTM B及びλTE BはそれぞれTMモードとT
Eモードのブラッグ波長を示している)。
【0094】一方、図20(b)において、注入電流が
高いときにはp側の第2の無歪み量子井戸223のキャ
リア充填効率が高くなるので、e−hh遷移(重い正孔
と電子との遷移)が支配的となり、TEモード利得が常
にTM利得を上回るようになる。ここで、前記のように
グレーティング207のピッチと共振器損失を制御すれ
ば、TE偏光のDFBモードで発振させることもでき
る。しかし、同時に2組の利得スペクトルとブラッグ波
長をチューニングすること(即ち、このときに、TE利
得のピーク波長近傍に第1のDFB半導体レーザのグレ
ーティング207のTEモードのブラッグ波長λTE B
持って来ること)は高精度の設計技術と製造技術を必要
とする。本実施例では、第2の半導体レーザ2にファブ
リペロ共振器を用いることでこの問題を解決した。この
結果、あるキャリア密度になったとき、どれかのファブ
リペロモードで発振する。このとき、TEモードは波長
制御していないので、図20(b)に示す様に、何本か
のマルチ軸モードで発振する。この様になっても、通信
に利用する場合には、TEあるいはTMどちらか一方が
少なくとも利用できれば十分であるので支障はない。
【0095】しかし、双方の半導体レーザにとって、他
方の共振器は位相を乱す原因になるため、位相を調整し
なければブラッグ波長で発振させることができない場合
がある。このとき、両半導体レーザ1、2の間に作製し
た空隙に、ゲルやポリマなど屈折率を制御できる充填材
208を充填することで競合する光波の位相(光学長)
を調節し、歩留まり良く偏波変調をかけることが可能と
なる。
【0096】本実施例では、第1及び第2の半導体レー
ザ1、2の活性層203として同じものを用いたが、こ
れは製造方法を簡単にするためである。第3の実施例の
ように、別々に活性層を積層し、一方をDFB共振器、
他方をファブリペロ共振器としてもよい。この方法は製
造方法はやや複雑になるが、第4の実施例に比べ更に偏
波変調可能な動作範囲が広くなる利点がある。
【0097】この実施例の利点は以下のとおりである。 (1)活性層を一度に造るので作製が容易である。 (2)一方の半導体レーザがグレーティングを持たない
非常に単純な電極ストライプレーザでよいので作製が容
易である。 (3)位相が合わないことがあっても位相整合が容易で
ある。 (4)偏波変調動作範囲が広い。
【0098】(第5実施例)次に、第5の実施例であ
る、各半導体レーザの発振波長が異なる多波長偏波変調
半導体レーザアレイについて述べる。図21はその平面
図である。図21中、301はTMモード用半導体レー
ザアレイ、302はTEモード用半導体レーザアレイ、
303はTMモード用半導体レーザアレイ301の各レ
ーザのDBR領域、304はTMモード用半導体レーザ
アレイ301の各レーザのTM利得領域、305はTE
モード用半導体レーザアレイ302の各レーザのTE利
得領域、306は空隙及び/又は充填材である。
【0099】この実施例の設計指針は以下の通りであ
る。 (1)第1の半導体レーザアレイ301は、TM利得が
支配的な共通の活性層と、異なるブラッグ波長を有する
分布ブラッグ反射器(DBR)とを有する。 (2)第2の半導体レーザアレイ302は、TE利得が
支配的な共通の活性層とファブリペロ共振器を有する。 (3)第1の半導体レーザアレイ301の個々のレーザ
のしきい利得(共振器損失)を活性領域304とDBR
領域303の大きさを変えることで調整する。 (4)第2の半導体レーザアレイの個々のレーザは同構
造で共通のしきい利得を持つ。
【0100】まず、第1の半導体レーザアレイ302の
作製方法について説明する。図22は第1の半導体レー
ザアレイ301の発振軸を含む方向の断面図である。垂
直方向の断面図は第3実施例とほぼ同じである(図14
参照)。
【0101】この製造方法は、第3の実施例に近いので
図15を援用して説明する。たとえば、n型(100)
InP基板311上にn−InPクラッド層312を積
層した後、選択マスク(図15の174aに相当するも
の)を用いて第1の半導体レーザ領域のみに、アンドー
プ活性層313a、p−InGaAsP光ガイド層31
4aを積層する。この時の成長法は、MOCVD法やC
BE法等が適当である。この際、マスクエッジ部近傍は
異常成長しやすいがそのままで構わない。活性層313
aのバンドダイヤグラムを図23に示した。371は、
引っ張り歪みInGaAs第1井戸層(歪み率−0.9
%、厚さ9nm)、372は無歪みInGaAsP障壁
層(バンドギャップ0.99eV、厚さ10nm)、3
73は引っ張り歪InGaAsP第2井戸層(歪み率−
0.7%、バンドギャップ0.8eV、厚さ10n
m))である。
【0102】光ガイド層314a上のDBR領域となる
ところのみに、ピッチ325nmから0.4nm刻みで
10本のグレーティング(深さ50nm)領域317を
100μm間隔で横方向(図21の上下方向)に形成し
た。図15(a)では光ガイド層164a全面にグレー
ティングが形成されているが、本実施例ではTM利得領
域にはグレーティングは形成されていない。このDBR
領域とTM利得領域の共振方向の長さはアレイ上で、図
21に示す如く、徐々に異なっている。これは後で述べ
るように、各半導体レーザのしきい利得に差を持たせる
ためである。
【0103】次に、選択マスクを除去し、新たに選択マ
スク(図15の174bに相当するもの)を第1の半導
体レーザ領域を覆うように形成したあと、バッファ層と
してわずかに形成されたn−InPクラッド層312上
に、第2の活性層313b及び第2の光ガイド層314
bを選択的に成長する。この場合もエッジ付近は異常成
長しやすいが、このままでよい。第2の活性層313b
の構造はTE利得が大きく利得スペクトルが平坦なもの
が望ましい。ここではアンドープInGaAsP層(波
長1.53μm、厚さ500nm)を用いた。
【0104】選択マスク(図15の174bに相当する
もの)を除去した後、ウェハ全体にp−InPクラッド
層315およp−InGaAsコンタクト層316を積
層する。
【0105】この後の工程が本実施例でも特徴的な部分
である。2つの半導体レーザアレイ領域の境界部分をス
リット状に除去する(図15(d)参照)。この時、深
さはn−InPクラッド層312に達するまでとし、ギ
ャップパターンは第1の半導体レーザアレイ301の端
面側は導波方向に対して斜めになるように、第2の半導
体レーザアレイ302の端面側は導波方向に対して直角
になるようにする(図21では、この斜め端面は真っ直
ぐに書いてある)。これは第1の半導体レーザアレイに
とっては空隙部分318での反射を極力避けるためであ
り、第2の半導体レーザアレイ領域ではファブリペロ共
振器が形成されるようにするためにである。この工程
は、通常のMOCVD法とドライエッチングで行っても
良いが、CBE装置とRIBE装置が高真空結合された
複合プロセス装置等で大気に晒すことなく連続的に行う
ことで、さらに信頼性が高まる。
【0106】図21に示す様に、横モード導波路を10
0μm間隔で複数作製し、TM半導体レーザアレイ領域
301では幅10μmのリッジ導波路を複数作りつけ
た。第2の半導体レーザアレイ302は全て同じしきい
利得を持たせるため、幅10μmの電極ストライプ構造
としてある。最後に、DBR領域、TM利得領域、位相
調整領域及びTE利得領域に独立にキャリアを注入でき
るよう、電極319a〜319d及び320を設けた。
321はDBRレーザの端面に設けたAR膜である。
【0107】活性層313aに非対称歪み量子井戸構造
を用いた結果、その利得スペクトルは通常の無歪み多重
量井戸活性層の場合と大きく異なる。まず、2つの井戸
層371、373に引っ張り歪みを導入したことで、電
子と軽い正孔間遷移(e−lh)が支配的になり、ピー
ク波長では常にTMモード利得の方がTEモード利得を
上回る。第2に、井戸層厚及び組成が非対称になってい
ることから、基底準位が井戸層毎に異なり、キャリア注
入量により利得スペクトルが大きく変化する。図24は
本実施例の半導体レーザアレイの典型的なTMモードの
利得スペクトルを注入キャリア密度をパラメータにとっ
て模式的に表したものである。キャリア注入量に従っ
て、ピークの大きさは大きくなると共に、ピーク位置が
短波長側にシフトしていく。したがって、図24の矢印
の位置(λ1、λ2、λ3・・・)に、各半導体レーザの
ブラッグ波長を設定し(グレーティング317の周期設
定等による)、損失の大きさを制御することで、波長が
異なり、波長安定度が高く、かつ常にTMモードで発振
する半導体レーザアレイ301を得ることができる。損
失の制御の方法は、本実施例では、しきい利得が大きい
ものほど、利得領域を小さくする方法を用いた(図21
参照)。本実施例はDBR領域に活性層313aを含ん
でいるので純枠なDBRレーザではないが、利得領域と
DBR領域の電流量を制御することで、波長としきい利
得両方を制御できる。本実施例では、作製の容易さから
この構造を採用したが、通常の利得のないDBR領域を
持つDBRレーザを用いても勿論よい。
【0108】一方、TEモード用半導体レーザアレイ3
02はファブリペロ共振器と利得スペクトルの広いバル
ク活性層313bを用いているので、ファブリペロモー
ドでかつマルチモードで発振する。したがって、TMモ
ード用DBRレーザアレイの波長範囲が極端に広くない
限り、常にそれぞれのTMモード用DBRレーザのTM
モードのしきい利得と等しいTE偏光のファブリペロモ
ードで発振させることができる。そして、そのための条
件は第1実施例の場合より緩やかになる。このことは偏
波変調可能な動作領域が広くなることを意味している。
TMモード用DBRレーザアレイ301の波長範囲が広
いときには、TEモード用ファブリペロ半導体レーザア
レイ302の活性層に非対称圧縮歪み量子井戸構造等を
適用することで、対応できる。
【0109】しかし、双方の半導体レーザにとって、他
方の共振器は位相を乱す原因になるため、位相を調整し
なければブラッグ波長で発振させることができない場合
がある。このとき、両半導体レーザの間に作製した空隙
318に、ゲルやポリマなど屈折率を制御できる充填材
を充填することで競合する光波の位相(光学長)を調節
し、歩留まり良く偏波変調をかけることが可能となる。
また、上記実施例で述べた通り、ゲルやポリマの替わり
に、空隙に液晶で埋めて電極を形成し電圧を印加するこ
とで、屈折率あるいは透過率を可変にすることもでき
る。さらに、この空隙を作製した後に連続してInP等
の半導体をエピタキシャル成長したあと電極を形成し、
キャリア注入量を可変することで位相調整することもで
きる。
【0110】この実施例の利点は以下のとおりである。 (1)多波長偏波変調可能な半導体レーザアレイが容易
に実現できる。 (2)たとえばTEモード用レーザは非常に単純な電極
ストライプレーザアレイでよいので低コストである。 (3)位相が合わないことがあっても位相制御が容易で
ある。 (4)偏波変調可能な動作範囲が広い。
【0111】(第6実施例)図25に本発明の半導体レ
ーザを光通信の光送信機に適用した実施例を示した。図
25において、331は制御回路、332は前記実施例
で示した本発明の半導体レーザ、333は偏光子、33
4は空間を伝搬している光を光ファイバへ結合する光結
合手段、335は光ファイバ、336は端末から送られ
てきた電気信号、337は、制御回路331から、半導
体レーザ332を駆勤するために送られる駆動信号、3
38は、駆動信号337に従って半導体レーザ332が
駆勤されることで出力された光信号、339は、光信号
338の直交する2つの偏波伏態のうち1つだけを取り
出すように調整された偏光子333を通過した光信号、
340は光ファイバ335中を伝送される光信号、34
1は本発明の半導体レーザ332を用いた光送信機であ
る。この実施例では、光送信機341は制御回路33
1、半導体レーザ332、偏光子333、光結合手段3
34、光ファイバ335などから構成されている。
【0112】次に、本実施例の光送信機341の送信動
作について説明する。端未からの電気信号336が制御
回路331に入力されると、本発明の半導体レーザ33
2へ駆動信号337が送られる。駆動信号337を入力
された半導体レーザ332は、駆動信号337に従って
偏波伏態が変化する光信号338を出力する。その光信
号338は、偏光子333で片方の偏光の光信号339
にされ、更に光結合手段334で光ファイバ335へ結
合される。こうして強度変調された光信号340を伝送
し通信が行われる。この場合、光信号340は強度変調
された伏態であるので、従来用いられている強度変調用
の光受信機で光を受信することができる。また、本発明
で使われる半導体レーザが波長可変であれば、波長多重
通信の送信機として使うことができる。
【0113】(第7実施例)図26は、本発明の第5の
実施例を光送信機に適用した例である。第6の実施例と
の大きな違いは、半導体レーザアレイを構成する半導体
レーザの波長がそれぞれ異なるので波長多重で伝送して
いることである。その他の機能は第6の実施例と同じで
ある。図26において、332は本発明の半導体レーザ
アレイ(第5実施例)であり、個々の半導体レーザは発
振波長が異なっている。偏光子は、偏波面が揃っている
ので個々に付ける必要はない。また、光結合手段334
は、導波型合流器を用いれば容易に構成できる。
【0114】(第8実施例)次に本発明のデバイスを光
ネットワークへ適用した例について述べる。図27及び
図28はバス型光ネットワーク及びリング型光ネットワ
ークヘの適用例であり、光ノード401〜406に上記
実施例を含む光送信機と適当な受信機が搭載されてい
る。上記実施例で述べた半導体レーザの出射面に偏光子
を配置し、特定偏波光(例えばTM光)のみを取り出
し、伝送路400へ送出できる。さらに、受光器を2つ
配置し、信号光を分岐してそれぞれに入射させ、一方を
TEモード、他方をTMモードで受光するようにすれば
容易に偏波ダイバーシティが実現できる。尚、411〜
416は端末装置である。
【0115】また、上記実施例の半導体レーザを用いた
とき、偏光子を使用しなければ異なる偏波の光を同時に
送出できることから、ネットワークの多機能化をはかる
ことができる。例えば、波長可変レーザと波長可変フィ
ルタを用いた波長多重システムにおいて、波長可変フィ
ルタに偏波依存性をもたせることで偏波ダイバーシティ
用の光源として非常に単純な構成で使用できる。
【0116】以上は1.15μm帯で説明してきたが、
他の波長帯や材料系でも同様に成り立つ。本実施例で
は、光送信機として構成した場合を示したが、もちろん
光送受信機中の送信部分に用いることもできる。更に、
適用可能な光通信システムについても、強度変調信号を
扱う系であれば単純な2点間の光通信に限らず、光CA
TV、光LANなどにも適用できる。
【0117】(第9実施例)本実施例を、光送受信機中
の送信部分に用いた例を、図29で説明する。外部に接
続された光ファイバ700を媒体として光信号がノード
701に取り込まれ、分岐部702によりその一部が波
長可変光フィルタ等を備えた受信装置703に入射す
る。この受信器703により所望の波長の光信号だけ取
り出して信号検波を行う。これを制御回路で適当な方法
で処理して端末に送る。一方、ノード701から光信号
を送信する場合には、上記実施例の偏波変調半導体レー
ザ704を信号に従って上記の如く制御回路で適当な方
法で駆動し、偏波変調して、偏光板707(これにより
偏波変調信号が振幅強度変調信号に変換される)を通し
て(更にアイソレータを入れてもよい)出力光を合流部
706を介して光伝送路700に入射せしめる。また、
半導体レーザ及び波長可変光フィルタを2つ以上の複数
設けて、波長可変範囲を広げることもできる。
【0118】
【発明の効果】本発明により、以下のような効果が奏さ
れる。 (1)TEモード用およびTMモード用半導体レーザ構
造をそれぞれ実質的に独立に設計できるため、装置の最
適化が容易である。 (2)プロセスに係る負担が軽減されるために歩留まり
も向上する。 (3)TEモード用半導体レーザ構造とTMモード用半
導体レーザ構造の間に生じた空隙を用いて反射防止や結
合効率や位相を調整することが容易にできる。 (4)片方の半導体レーザ構造をアクティブに動作させ
て、もう一方のレーザ構造の位置合わせを行う場合、両
半導体レーザ構造の光結合の状態を確認して実装作業を
行うことができ、また高い精度で作業毎に安定して2つ
の半導体レーザ構造の位置合わせを行うことができる。
この際、一方の半導体レーザ構造を広ストライプ電極型
のファブリペロ半導体レーザ構造とすることで、位置合
わせは更に容易になる。 (5)2つの半導体レーザ構造が搭載される部材の構造
を用いて位置決めを行う場合、、半導体レーザ構造を駆
動する必要がなく、より簡便に2つの半導体レーザ構造
の位置合わせを行うことが可能となる。 (6)TEモード/TMモードの境界、すなわち2つの
半導体レーザ構造の端面の間に充填した材科の屈折率を
電気的に制御できるものにした場合、両モードの結合を
能動的に制御できる。従って、この電気的制御で偏波モ
ードをスイッチングすることも考えられる。
【0119】更には、偏波変調動作範囲が広い、位相が
合わないことがあっても位相整合が容易である、選択再
成長を用いても歩留まりが高い、多波長偏波変調レーザ
アレイが容易に作製できる等の効果も奏される。
【0120】また、偏波変調光出力の一方の偏波モード
を偏光子などで選択することにより、容易に消光比の高
い強度変調光出力を得ることが可能であり、また構成に
よっては同偏光子をアイソレータの一部として代用でき
構成を容易にできるなどの効果もある。また、本発明の
半導体レーザを用いた送信機或は送受信機から構成され
る光伝送システムまたは波長多重システムにおいて、高
速大容量また超高密度波長多重可能な光伝送システムを
比較的低価格で構成できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の原理を代表例で説明する図であ
る。
【図2】図2は本発明の第1の実施例を説明するための
斜視図である。
【図3】図3は本発明の第1の実施例を説明するための
半導体レーザ構造の共振方向の断面図である。
【図4】図4は本発明の第1の実施例を説明するための
半導体レーザ構造の共振方向に垂直な方向の断面図であ
る。
【図5】図5は本発明の第1の実施例の一方の活性層の
バンドギャップ構造を説明する図である。
【図6】図6は本発明の第1の実施例の他方の活性層の
バンドギャップ構造を説明する図である。
【図7】図7は、2つの半導体レーザ構造への電流注入
量と偏波モードの関係を示す図である。
【図8】図8は本発明の第2の実施例を説明するための
斜視図である。
【図9】図9は本発明の第2の実施例を説明するための
ファブリペロ型半導体レーザ構造の共振方向の断面図で
ある。
【図10】図10は本発明の第2の実施例を説明するた
めのファブリペロ型半導体レーザ構造の共振方向に垂直
な方向の断面図である。
【図11】図11は、2つの半導体レーザ構造への電流
注入量と偏波モードの関係を示す図である。
【図12】図12は本発明の第3の実施例を説明するた
めの斜視図である。
【図13】図13は本発明の第3の実施例を説明するた
めの偏波変調半導体レーザの共振方向の断面図である。
【図14】図14は本発明の第3の実施例を説明するた
めの偏波変調半導体レーザの共振方向に垂直な方向の断
面図である。
【図15】図15は本発明の第3の実施例の製造方法を
説明する図である。
【図16】図16は本発明の第3の実施例の一方の活性
層のバンドギャップ構造を説明する図である。
【図17】図17は本発明の第4の実施例を説明するた
めの斜視図である。
【図18】図18は本発明の第4の実施例の製造方法を
説明する図である。
【図19】図19は本発明の第4の実施例の共通の活性
層のバンドギャップ構造を説明する図である。
【図20】図20は、本発明の第4の実施例の動作(電
流注入量が小さい場合は(a)に、電流注入量が大きい
場合は(b)に示す)を説明する為の各偏波モードのゲ
インプロファイルの変化の様子を示す図である。
【図21】図21は本発明の第5の実施例の半導体レー
ザアレイを説明するための平面図である。
【図22】図22は本発明の第5の実施例を説明するた
めの偏波変調半導体レーザの共振方向の断面図である。
【図23】図23は本発明の第5の実施例の一方の活性
層のバンドギャップ構造を説明する図である。
【図24】図24は、本発明の第5の実施例の動作を説
明する為の一方の活性層のゲインプロファイルの変化の
様子を示す図である。
【図25】図25は、図27、図28のシステムにおけ
る送信機の構成例を示す模式図である。
【図26】図26は、図27、図28のシステムにおけ
る本発明の偏波変調半導体レーザアレイを用いた送信機
の構成例を示す模式図である。
【図27】図27は本発明の半導体デバイスを用いたバ
ス型光LANシステムの構成例を示す模式図である。
【図28】図28は本発明の半導体デバイスを用いたル
ープ型光LANシステムの構成例を示す模式図である。
【図29】図29は、図27、図28のシステムにおけ
る送受信機の構成例を示す模式図である。
【図30】図30は従来例を説明する共振方向の断面図
である。
【符号の説明】
1 第1の半導体レーザ構造 2 第2の半導体レーザ構造 3、168、208、306、318 空隙(間
隙)及び/又は充填材 4 ヒートシンク(支持台) 5 マーカー 6 パターン電極 7 第1の共振器 8 第2の共振器 9 第3の共振器 10 支持台の垂直面 101、131、161、201、311 基板 102、105、132、135、162、165、2
02、205、312、315 クラッド層 103、133、163a、163b、203、313
a、313b活性層 104、134、164a、164b、204、314
a、314b光ガイド層(導波層) 106、136、166、206、316 キャ
ップ層 108、167a、167b、207、317
回折格子 109、110、139、140、169、170、2
19、220、319、320 金属電極 111、172 リッジ導波路 112、173 絶縁膜 115、142、171、321 ARコート 121、124、181、221、223、371、3
73 ウェル層 122、123、182、222、372 バリ
ア層 174a、174b、214 選択マスク 301 TM半導体レーザアレイ 302 TEレーザアレイ 303 DBR領域 304 TM利得領域 305 TE利得領域 331 制御回路 332 本発明の偏波変調半導体レーザ 333、707 偏光子(偏光選択手段) 334 光結合手段 335、400 光ファイバ(光伝送路) 341 光送信機 401〜406、701 ノード 411〜416 端末装置 702 光分岐部 703 受信器 706 合流部

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1及び第2の偏波モードを共に有し少な
    くとも活性層と導波層が異なる2個の異なる半導体レー
    ザ構造を導波方向に直列に配置した複合共振器型半導体
    レーザであって、 第1の半導体レーザ構造が、第1の偏波モードに対する
    利得が第2の偏波モードに対する利得よりも優位な活性
    領域及び分布帰還型共振器又は分布ブラッグ反射型共振
    器を有し、 第2の半導体レーザ構造が、第2の偏波モードに対する
    利得が第1の偏波モードに対する利得よりも優位な活性
    領域及び分布帰還型共振器又は分布ブラッグ反射型共振
    器又はファブリペロ型共振器を有し、 前記第1の半導体レーザ構造と第2の半導体レーザ構造
    は、第1の偏波モード同士及び第2の偏波モード同士の
    伝搬定数が夫々ほぼ等しい様に構成されており、 前記第1の半導体レーザ構造と第2の半導体レーザ構造
    は導波方向に間隙を置いて配置されており、 前記分布帰還型共振器又は分布ブラッグ反射型共振器の
    ブラッグ波長が前記半導体レーザ構造の利得スペクトル
    のピーク波長近傍に設定してあり、 第1及び第2の半導体レーザ構造の少なくとも一方に注
    入するキャリアに変調をかけることで前記第1の偏波モ
    ードと第2の偏波モードとの間で発振モードをスイッチ
    ングさせることを特徴とする偏波変調可能な半導体レー
    ザ。
  2. 【請求項2】前記第1及び第2の半導体レーザ構造は、
    夫々、基板及びその上の積層構造が独立に形成された構
    造のものであって、導波方向に間隙を置いて支持台上に
    配置されていることを特徴とする請求項1記載の偏波変
    調可能な半導体レーザ。
  3. 【請求項3】前記第1及び第2の半導体レーザ構造は、
    同一基板上で少なくとも活性層と導波層が別個に形成さ
    れた構造のものであって、該同一基板上の積層構造が導
    波方向に間隙を置いて配置されていることを特徴とする
    請求項1記載の偏波変調可能な半導体レーザ。
  4. 【請求項4】前記第1及び第2の半導体レーザ構造間の
    間隙に充填材が充填されて位相調整領域を成しているこ
    とを特徴とする請求項1、2又は3に記載の偏波変調可
    能な半導体レーザ。
  5. 【請求項5】前記間隙に充填された物質が電気的に屈折
    率を制御できる材料であり、前記位相調整領域の光学長
    に変調をかける為の光学長変調手段を設けていることを
    特徴とする請求項4記載の偏波変調可能な半導体レー
    ザ。
  6. 【請求項6】前記第2の半導体レーザ構造は、分布帰還
    型共振器又は分布ブラッグ反射型共振器を有することを
    特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の偏波変調可
    能な半導体レーザ。
  7. 【請求項7】前記第1及び第2の半導体レーザ構造の間
    隙を置いて相い対する端面が導波方向に対して斜めに形
    成されていることを特徴とする請求項6記載の偏波変調
    可能な半導体レーザ。
  8. 【請求項8】前記第2の半導体レーザ構造は、ファブリ
    ペロ型共振器を有することを特徴とする請求項1乃至5
    の何れかに記載の偏波変調可能な半導体レーザ。
  9. 【請求項9】前記第1及び第2の半導体レーザ構造の間
    隙を置いて相い対する端面のうち該第1の半導体レーザ
    構造の端面が導波方向に対して斜めに形成されているこ
    とを特徴とする請求項8記載の偏波変調可能な半導体レ
    ーザ。
  10. 【請求項10】前記第1及び第2の半導体レーザ構造の
    向かい合う端面が無反射になるように該端面にARコー
    トが施されていることを特徴とする請求項1乃至9の何
    れかに記載の偏波変調可能な半導体レーザ。
  11. 【請求項11】前記第1及び第2の半導体レーザ構造の
    活性層の少なくとも一方の活性層が量子井戸構造或は歪
    み量子井戸構造から成ることを特徴とする請求項1乃至
    10の何れかに記載の偏波変調可能な半導体レーザ。
  12. 【請求項12】第1及び第2の偏波モードを共に有する
    2個の異なる半導体レーザアレイを導波方向に直列に配
    置した複合共振器型半導体レーザアレイであって、 複数の第1の半導体レーザ構造から成る第1の半導体レ
    ーザアレイは、該第1の半導体レーザ構造を導波方向に
    平行に同一基板上に複数個配置して成り、第1の偏波モ
    ードに対する利得ピークがキャリア注入量によって可変
    できる共通の活性領域を含み、個々の第1の半導体レー
    ザ構造に対し、該異なる利得ピーク近傍にブラッグ波長
    が設定された分布帰還型反射器或は分布ブラッグ反射型
    反射器を持たせており、 第1の半導体レーザ構造と同数の複数の第2の半導体レ
    ーザ構造から成る第2の半導体レーザアレイは、該第2
    の半導体レーザ構造を前記第1の半導体レーザ構造と同
    様に配置して成り、第2の偏波モードに対する利得が第
    1の偏波モードに対する利得よりも優位な共通の活性領
    域を含み、個々の第2の半導体レーザ構造に対し、ファ
    ブリペロ型共振器を持たせており、 対を成す前記第1の半導体レーザ構造と第2の半導体レ
    ーザ構造は、夫々、第1の偏波モード同士及び第2の偏
    波モード同士の伝搬定数が夫々ほぼ等しい様に構成され
    ており、 前記第1の半導体レーザアレイと第2の半導体レーザア
    レイは導波方向に間隙を置いて配置されており、 第1及び第2の半導体レーザ構造の少なくとも一方に注
    入するキャリアに変調をかけることで前記第1の偏波モ
    ードと第2の偏波モードとの間で発振モードをスイッチ
    ングさせることを特徴とする偏波変調可能な半導体レー
    ザアレイ。
  13. 【請求項13】前記第1及び第2の半導体レーザアレイ
    間の間隙に充填材が充填されて位相調整領域を成してい
    ることを特徴とする請求項12記載の偏波変調可能な半
    導体レーザアレイ。
  14. 【請求項14】前記間隙に充填された物質が電気的に屈
    折率を制御できる材料であり、前記位相調整領域の光学
    長に変調をかける為の光学長変調手段を設けていること
    を特徴とする請求項13記載の偏波変調可能な半導体レ
    ーザアレイ。
  15. 【請求項15】請求項1又は2に記載の半導体レーザを
    作製する方法であって、 第1の半導体レーザ構造を作製する工程と、 この工程とは独立に第2の半導体レーザ構造を作製する
    工程と、 第1及び第2の半導体レーザ構造を光学的に結合するよ
    う導波方向に直列に同一の支持台上に間隙を置いて配置
    する工程と、 を有することを特徴とする偏波変調可能な半導体レーザ
    の製造方法。
  16. 【請求項16】前記第1及び第2の半導体レーザ構造を
    光学的に結合するよう導波方向に直列に同一の支持台上
    に間隙を置いて配置する工程が、 第1の半導体レーザ構造を支持台上に配置して固定した
    後、第2の半導体レーザ構造を発光させると同時に第1
    の半導体レーザ構造をフォトディテクタとして機能させ
    て第2の半導体レーザ構造の光を受光させることで第2
    の半導体レーザ構造を位置決め及び固定する工程を含む
    ことを特徴とする請求項15記載の偏波変調可能な半導
    体レーザの製造方法。
  17. 【請求項17】前記第1及び第2の半導体レーザ構造を
    光学的に結合するよう導波方向に直列に同一の支持台上
    に間隙を置いて配置する工程が、 支持台上に形成されたマーカーと半導体レーザ構造に形
    成されたマーカーを所望の位置関係に調整して半導体レ
    ーザ構造を配置して固定する工程を含むことを特徴とす
    る請求項15又は16に記載の偏波変調可能な半導体レ
    ーザの製造方法。
  18. 【請求項18】前記第1及び第2の半導体レーザ構造を
    光学的に結合するよう導波方向に直列に同一の支持台上
    に間隙を置いて配置する工程が、 支持台に形成された半導体レーザ搭載面とは垂直に直立
    した平面へ該半導体レーザ構造の側面を突き当てて半導
    体レーザ構造を配置する工程を含むことを特徴とする請
    求項15又は16記載の偏波変調可能な半導体レーザの
    製造方法。
  19. 【請求項19】前記間隙に所望の屈折率を有する物質を
    充填する工程を更に有することを特徴とする請求項15
    乃至18の何れかに記載の偏波変調可能な半導体レーザ
    の製造方法。
  20. 【請求項20】請求項1又は3に記載の半導体レーザを
    作製する方法であって、 半導体基板上に第1の半導体レーザ構造を作製する工程
    と、 該基板上に第2の半導体レーザ構造を作製する工程と、 該第1及び第2の半導体レーザ構造の境界部分に間隙を
    形成する工程と、 を有することを特徴とする偏波変調可能な半導体レーザ
    の製造方法。
  21. 【請求項21】前記第1の半導体レーザ構造を作製する
    工程が、 前記半導体基板上の第1の半導体レーザ構造の領域のみ
    に第1の活性層、第1の光導波層を積層する工程と、該
    第1の光導波層に、該第1の活性層の利得ピークの近傍
    にブラッグ波長を持つようにピッチを制御した第1のグ
    レーティングを形成する工程とを含み、且つ前記第2の
    半導体レーザ構造を作製する工程が、 前記半導体基板上の第2の半導体レーザ構造の領域のみ
    に第2の活性層、第2の光導波層を積層する工程と、該
    第2の光導波層に、該第2の活性層の利得ピークに近傍
    にブラッグ波長を持つようにピッチを制御した第2のグ
    レーティングを形成する工程とを含み、更に前記第1の
    半導体レーザ構造を作製する工程及び前記第2の半導体
    レーザ構造を作製する工程が、共に前記第1のグレーテ
    ィングが形成された第1の光導波層と前記第2のグレー
    ティングが形成された第2の光導波層上に一括して共通
    のクラッド層及びコンタクト層を積層する工程を含むこ
    とを特徴とする請求項20記載の偏波変調可能な半導体
    レーザの製造方法。
  22. 【請求項22】前記第1の半導体レーザ構造を作製する
    工程及び前記第2の半導体レーザ構造を作製する工程
    が、共に前記半導体基板上全面に第1のクラッド層、活
    性層、光導波層を積層する工程と、 第2の半導体レーザ構造の領域の該光導波層はそのまま
    にして第1の半導体レーザ構造の領域の該光導波層上の
    みに該活性層の利得ピークの近傍にブラッグ波長を持つ
    ようにピッチを制御したグレーティングを形成する工程
    と、 前記光導波層全面に一括して共通の第2のクラッド層及
    びコンタクト層を積層する工程と、 を含むことを特徴とする請求項20記載の偏波変調可能
    な半導体レーザの製造方法。
  23. 【請求項23】前記第1及び第2の半導体レーザ構造の
    境界部分に間隙を形成する工程が、該第1及び第2の半
    導体レーザ構造の領域の境界部分にスリット状の間隙と
    リッジ導波路を同時に形成する工程を含むことを特徴と
    する請求項20、21又は22に記載の偏波変調可能な
    半導体レーザの製造方法。
  24. 【請求項24】前記間隙に所望の屈折率を有する物質を
    充填する工程を更に有することを特徴とする請求項20
    乃至23の何れかに記載の偏波変調可能な半導体レーザ
    の製造方法。
  25. 【請求項25】請求項1乃至14の何れかに記載の偏波
    変調半導体レーザないしアレイと該半導体レーザないし
    アレイからの出力光のうち1つの偏波の光を透過させる
    偏光選択手段と該半導体レーザないしアレイの出力光の
    偏光状態を入力信号に従って切り換える為の該半導体レ
    ーザを制御、駆動する制御回路を有することを特徴とす
    る光送信機。
  26. 【請求項26】請求項1乃至14の何れかに記載の偏波
    変調半導体レーザないしアレイと、該半導体レーザない
    しアレイからの出力光のうち1つの偏波の光を透過させ
    る偏光選択手段と、該半導体レーザないしアレイの出力
    光の偏光状態を入力信号に従って切り換える為の該半導
    体レーザないしアレイを制御、駆動する制御回路と、入
    力信号を受信する受信手段とを有することを特徴とする
    光送受信機。
  27. 【請求項27】請求項1乃至14の何れかに記載の偏波
    変調半導体レーザないしアレイと、該偏波変調半導体レ
    ーザないしアレイから出射する光の内、TEとTMの2
    つの偏波モードの一方の光のみを取り出す偏光選択手段
    とを有することを特徴とする光源装置。
  28. 【請求項28】請求項1乃至14の何れかに記載の偏波
    変調半導体レーザないしアレイと、該偏波変調半導体レ
    ーザないしアレイから出射する光の内、TEとTMの2
    つの偏波モードの一方の光のみを取り出す偏光選択手段
    とから成る光源装置を備えた光送信機或は送受信機、前
    記偏光選択手段によって取り出された光を伝送する伝送
    手段、及び前記伝送手段によって伝送された光を受信す
    る光受信機或は送受信機を有することを特徴とする光通
    信システム。
  29. 【請求項29】前記光送信機或は送受信機が複数の異な
    る波長の光信号を送出することができ、波長多重型のネ
    ットワークを構成することを特徴とする請求項28記載
    の光通信システム。
  30. 【請求項30】請求項1乃至14の何れかに記載の偏波
    変調半導体レーザないしアレイと、該偏波変調半導体レ
    ーザないしアレイから出射する光の内、TEとTMの2
    つの偏波モードの一方の光のみを取り出す偏光選択手段
    とから成る光源装置を用い、所定のバイアス電流に送信
    信号に応じて変調された電流を重畳して前記偏波変調半
    導体レーザないしアレイに供給することによって、前記
    偏光選択手段から送信信号に応じて強度変調された信号
    光を取り出し、この信号光を光受信側に向けて送信する
    ことを特徴とする光通信方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003158327A (ja) * 2001-11-20 2003-05-30 Sharp Corp 半導体レーザ装置及びその製造方法
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