JPH1064476A - イオン照射装置 - Google Patents
イオン照射装置Info
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- JPH1064476A JPH1064476A JP8238535A JP23853596A JPH1064476A JP H1064476 A JPH1064476 A JP H1064476A JP 8238535 A JP8238535 A JP 8238535A JP 23853596 A JP23853596 A JP 23853596A JP H1064476 A JPH1064476 A JP H1064476A
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- Japan
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- faraday cup
- plasma
- substrate
- filament
- power supply
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ファラデーカップ内に導入される電子の最大
エネルギーを小さく抑えると共に、当該最大エネルギー
の変動を防止して、基板の負帯電を小さく抑制する。 【解決手段】 ファラデーカップ8内に、それから電気
的に絶縁して、第2ファラデーカップ60を設けた。プ
ラズマ生成容器14a内で生成したプラズマ24を、連
通筒64内を通して、かつコイル36による磁束Bでガ
イドして、第2ファラデーカップ60内に導く。プラズ
マ24生成用のアーク電源は、互いに順方向に直列接続
された二つのアーク電源42aおよび42bから成る。
ファラデーカップ8をこの両電源の接続点cに接続し、
かつホルダ4と第2ファラデーカップ60を互いに並列
接続してそれらを電流計測器66を介して同接続点cに
接続している。これによって、フィラメント20からの
熱電子を含めた全ての電子のファラデーカップ8に対す
るエネルギーが、アーク電源42aまたは42bの出力
電圧相当のエネルギー以下に収まる。
エネルギーを小さく抑えると共に、当該最大エネルギー
の変動を防止して、基板の負帯電を小さく抑制する。 【解決手段】 ファラデーカップ8内に、それから電気
的に絶縁して、第2ファラデーカップ60を設けた。プ
ラズマ生成容器14a内で生成したプラズマ24を、連
通筒64内を通して、かつコイル36による磁束Bでガ
イドして、第2ファラデーカップ60内に導く。プラズ
マ24生成用のアーク電源は、互いに順方向に直列接続
された二つのアーク電源42aおよび42bから成る。
ファラデーカップ8をこの両電源の接続点cに接続し、
かつホルダ4と第2ファラデーカップ60を互いに並列
接続してそれらを電流計測器66を介して同接続点cに
接続している。これによって、フィラメント20からの
熱電子を含めた全ての電子のファラデーカップ8に対す
るエネルギーが、アーク電源42aまたは42bの出力
電圧相当のエネルギー以下に収まる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばイオン注
入装置のように、真空中で基板にイオンビームを照射し
てそれにイオン注入等の処理を施すイオン照射装置に関
し、より具体的には、その基板の帯電(チャージアッ
プ)を抑制する手段の改良に関する。
入装置のように、真空中で基板にイオンビームを照射し
てそれにイオン注入等の処理を施すイオン照射装置に関
し、より具体的には、その基板の帯電(チャージアッ
プ)を抑制する手段の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のイオン照射装置の一例が、例え
ば特開平7−78587号公報に開示されており、それ
を図3に示す。
ば特開平7−78587号公報に開示されており、それ
を図3に示す。
【0003】このイオン照射装置は、基本的には、真空
容器(図示省略)内に収納されたホルダ4に保持された
基板(例えばウェーハ)6にイオンビーム2を照射して
それにイオン注入等の処理を施すよう構成されている。
ホルダ4は、バッチ処理用のウェーハディスクの場合
と、枚葉処理用のプラテンの場合とがあり、図示のもの
は前者の場合の例であり、真空容器内で矢印A方向に回
転および紙面の表裏方向に並進させられる。
容器(図示省略)内に収納されたホルダ4に保持された
基板(例えばウェーハ)6にイオンビーム2を照射して
それにイオン注入等の処理を施すよう構成されている。
ホルダ4は、バッチ処理用のウェーハディスクの場合
と、枚葉処理用のプラテンの場合とがあり、図示のもの
は前者の場合の例であり、真空容器内で矢印A方向に回
転および紙面の表裏方向に並進させられる。
【0004】イオンビーム2の経路上には、イオンビー
ム2がホルダ4等に当たった際に放出される二次電子を
受けてそれのアースへの逃げを防止する筒状のファラデ
ーカップ8がホルダ4の上流側に、更にこの例ではホル
ダ4が外に並進したときにそれの代わりにイオンビーム
2を受けるキャッチプレート10がホルダ4の下流側
に、それぞれ設けられている。ホルダ4とキャッチプレ
ート10とは、互いに電気的に並列接続されてビーム電
流計測器12に接続されている。
ム2がホルダ4等に当たった際に放出される二次電子を
受けてそれのアースへの逃げを防止する筒状のファラデ
ーカップ8がホルダ4の上流側に、更にこの例ではホル
ダ4が外に並進したときにそれの代わりにイオンビーム
2を受けるキャッチプレート10がホルダ4の下流側
に、それぞれ設けられている。ホルダ4とキャッチプレ
ート10とは、互いに電気的に並列接続されてビーム電
流計測器12に接続されている。
【0005】イオンビーム2はファラデーカップ8内を
通してホルダ4上の基板6に照射され、それによって基
板6に対してイオン注入等の処理が施される。その際
に、イオンビーム2の照射に伴って基板6の表面が、特
に当該表面が絶縁物の場合、正に帯電して放電等の不具
合が発生するのを防止するために、次のような手段を講
じている。
通してホルダ4上の基板6に照射され、それによって基
板6に対してイオン注入等の処理が施される。その際
に、イオンビーム2の照射に伴って基板6の表面が、特
に当該表面が絶縁物の場合、正に帯電して放電等の不具
合が発生するのを防止するために、次のような手段を講
じている。
【0006】即ち、ファラデーカップ8の外側に第1プ
ラズマ生成容器14を設けており、それは、ファラデー
カップ8側の部分に小孔16を有しており、内部に例え
ばキセノンガス等の電離用のガス18が導入される。こ
の第1プラズマ生成容器14内には、フィラメント20
が設けられており、その両端には、その加熱用の直流の
フィラメント電源22が接続されている。51〜57は
絶縁物である。
ラズマ生成容器14を設けており、それは、ファラデー
カップ8側の部分に小孔16を有しており、内部に例え
ばキセノンガス等の電離用のガス18が導入される。こ
の第1プラズマ生成容器14内には、フィラメント20
が設けられており、その両端には、その加熱用の直流の
フィラメント電源22が接続されている。51〜57は
絶縁物である。
【0007】第1プラズマ生成容器14の小孔16の出
口側近傍には、前後に小孔27および28を有する第2
プラズマ生成容器26が設けられている。
口側近傍には、前後に小孔27および28を有する第2
プラズマ生成容器26が設けられている。
【0008】この第2プラズマ生成容器26のファラデ
ーカップ8側の小孔28の出口側近傍には、当該小孔2
8に対向する位置に小孔34を有する引出し電極32が
設けられている。この引出し電極32のファラデーカッ
プ側の端部は、ファラデーカップ8の壁面の一部に設け
られた孔9を通してファラデーカップ8内に挿入されて
いる。両者32、8は同電位にされている。
ーカップ8側の小孔28の出口側近傍には、当該小孔2
8に対向する位置に小孔34を有する引出し電極32が
設けられている。この引出し電極32のファラデーカッ
プ側の端部は、ファラデーカップ8の壁面の一部に設け
られた孔9を通してファラデーカップ8内に挿入されて
いる。両者32、8は同電位にされている。
【0009】第1プラズマ生成容器14から引出し電極
32にかけての部分の外周部には、直流電源38によっ
て励磁されるコイル38が巻かれており、これによっ
て、第1プラズマ生成容器14内から引出し電極32内
にかけての領域に、それらの軸方向に沿う磁束Bを発生
させる。
32にかけての部分の外周部には、直流電源38によっ
て励磁されるコイル38が巻かれており、これによっ
て、第1プラズマ生成容器14内から引出し電極32内
にかけての領域に、それらの軸方向に沿う磁束Bを発生
させる。
【0010】ファラデーカップ8内の壁面付近には、筒
状のリフレクタ電極46が設けられている。両者46、
8間には、前者46を負極側にして直流のリフレクタ電
源48が接続されている。
状のリフレクタ電極46が設けられている。両者46、
8間には、前者46を負極側にして直流のリフレクタ電
源48が接続されている。
【0011】第2プラズマ生成容器26とフィラメント
電源22の正極との間には、前者を正極側にして直流の
アーク電源42が接続されている。第2プラズマ生成容
器26と第1プラズマ生成容器14との間には、例えば
150Ω程度の抵抗40が接続されている。フィラメン
ト電源22の正極と引出し電極32との間には、後者を
正極側にして直流の引出し電源44が接続されている。
各電源22、42、44および48の出力電圧V1 〜V
4 の典型例は、V1 が8V、V2 が13V、V3 が5V
およびV4 が20Vである。
電源22の正極との間には、前者を正極側にして直流の
アーク電源42が接続されている。第2プラズマ生成容
器26と第1プラズマ生成容器14との間には、例えば
150Ω程度の抵抗40が接続されている。フィラメン
ト電源22の正極と引出し電極32との間には、後者を
正極側にして直流の引出し電源44が接続されている。
各電源22、42、44および48の出力電圧V1 〜V
4 の典型例は、V1 が8V、V2 が13V、V3 が5V
およびV4 が20Vである。
【0012】フィラメント20から発生した熱電子は、
抵抗40を介して印加される電圧V2 によって第1プラ
ズマ生成容器14の壁面側に引き寄せられ、その途中で
ガス18と衝突してそれを電離させ、プラズマ24が生
成される。このとき、前記磁束Bがプラズマ24の発生
および維持に寄与する。
抵抗40を介して印加される電圧V2 によって第1プラ
ズマ生成容器14の壁面側に引き寄せられ、その途中で
ガス18と衝突してそれを電離させ、プラズマ24が生
成される。このとき、前記磁束Bがプラズマ24の発生
および維持に寄与する。
【0013】プラズマ24が生成されると、抵抗40に
電流が流れてその両端に例えば10V前後の電位差ΔV
が生じる。この電位差ΔVによる加速電界によって、か
つ前記磁束Bにガイドされて、プラズマ24中の電子が
第2プラズマ生成容器26内に引き出される。
電流が流れてその両端に例えば10V前後の電位差ΔV
が生じる。この電位差ΔVによる加速電界によって、か
つ前記磁束Bにガイドされて、プラズマ24中の電子が
第2プラズマ生成容器26内に引き出される。
【0014】第2プラズマ生成容器26内には、第1プ
ラズマ生成容器14側からガス18が流れ込んで来てお
り、そこに引き出された電子はこのガスと衝突してそれ
を電離させ、そこで再びプラズマ30が作られる。この
プラズマ30中のイオンは、第2プラズマ生成容器26
と引出し電極32との間の電位差(V2 −V3 )による
引出し電界によって、かつ磁束Bにガイドされて、ファ
ラデーカップ8内に引き出される。一方、第2プラズマ
生成容器26内のプラズマ30中の電子は、上記引出し
電界に打ち勝つエネルギーを持ったものが、上記イオン
およびガイド磁束Bに助けられて、上記イオンと共にフ
ァラデーカップ8内に引き出される。即ち、ファラデー
カップ8内には第2プラズマ生成容器26内で生成され
たプラズマ30が導入される。このようにしてファラデ
ーカップ8内に導入されるプラズマ30中の電子のエネ
ルギーは、大部分は10eV程度以下の低エネルギーで
ある。
ラズマ生成容器14側からガス18が流れ込んで来てお
り、そこに引き出された電子はこのガスと衝突してそれ
を電離させ、そこで再びプラズマ30が作られる。この
プラズマ30中のイオンは、第2プラズマ生成容器26
と引出し電極32との間の電位差(V2 −V3 )による
引出し電界によって、かつ磁束Bにガイドされて、ファ
ラデーカップ8内に引き出される。一方、第2プラズマ
生成容器26内のプラズマ30中の電子は、上記引出し
電界に打ち勝つエネルギーを持ったものが、上記イオン
およびガイド磁束Bに助けられて、上記イオンと共にフ
ァラデーカップ8内に引き出される。即ち、ファラデー
カップ8内には第2プラズマ生成容器26内で生成され
たプラズマ30が導入される。このようにしてファラデ
ーカップ8内に導入されるプラズマ30中の電子のエネ
ルギーは、大部分は10eV程度以下の低エネルギーで
ある。
【0015】ファラデーカップ8内に導入されたプラズ
マ30中のイオンは負電位のリフレクタ電極46に回収
され、同プラズマ30中の電子はリフレクタ電極46に
よって中央部へ押し返され、そこを通過しているイオン
ビーム2内にその電界によって引き込まれる。
マ30中のイオンは負電位のリフレクタ電極46に回収
され、同プラズマ30中の電子はリフレクタ電極46に
よって中央部へ押し返され、そこを通過しているイオン
ビーム2内にその電界によって引き込まれる。
【0016】基板6が帯電しているとそれによってイオ
ンビームの軸方向に電位勾配が生じるため、イオンビー
ム2内に引き込まれた電子は、この電位勾配によって基
板6に引き寄せられ、基板表面のイオンビーム照射に伴
う正電荷を中和する。正電荷が中和されれば、電子の基
板6への引込みは自動的に止む。このようにして、電子
が基板6に過不足なく供給されるので、イオンビーム照
射に伴う基板6の正の帯電を効果的に抑制することがで
きる。しかも、電子による基板表面の電位は、そこに入
射する電子のエネルギーより負側に高くならないので、
プラズマ30中の上記のような低エネルギーの電子を利
用することにより、基板6の負の帯電をも抑制すること
ができる。
ンビームの軸方向に電位勾配が生じるため、イオンビー
ム2内に引き込まれた電子は、この電位勾配によって基
板6に引き寄せられ、基板表面のイオンビーム照射に伴
う正電荷を中和する。正電荷が中和されれば、電子の基
板6への引込みは自動的に止む。このようにして、電子
が基板6に過不足なく供給されるので、イオンビーム照
射に伴う基板6の正の帯電を効果的に抑制することがで
きる。しかも、電子による基板表面の電位は、そこに入
射する電子のエネルギーより負側に高くならないので、
プラズマ30中の上記のような低エネルギーの電子を利
用することにより、基板6の負の帯電をも抑制すること
ができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにしてファ
ラデーカップ8内に導入される電子には、フィラメント
20から放出された熱電子が混じっている。この熱電子
のエネルギーは、図4を参照して、引出し電源44の出
力電圧V3 相当分から、それにフィラメント電源22の
出力電圧V1 を加算した電圧(V3 +V1 )相当分ま
で、即ちV3 eV〜(V3 +V1 )eVまで分布してい
る。これは、フィラメント20の、フィラメント電源2
2の正極に近い部分から放出された熱電子は前者V3 相
当分のエネルギーを有し、フィラメント電源22の負極
に近い部分から放出された熱電子は後者(V3 +V1 )
相当分のエネルギーを有しているからである。従って、
例えば、上記出力電圧V1 およびV3 を、それぞれ前述
したように8Vおよび5Vとすると、上記熱電子のファ
ラデーカップ8に対するエネルギーは、最大で13eV
と、比較的高エネルギーになる。
ラデーカップ8内に導入される電子には、フィラメント
20から放出された熱電子が混じっている。この熱電子
のエネルギーは、図4を参照して、引出し電源44の出
力電圧V3 相当分から、それにフィラメント電源22の
出力電圧V1 を加算した電圧(V3 +V1 )相当分ま
で、即ちV3 eV〜(V3 +V1 )eVまで分布してい
る。これは、フィラメント20の、フィラメント電源2
2の正極に近い部分から放出された熱電子は前者V3 相
当分のエネルギーを有し、フィラメント電源22の負極
に近い部分から放出された熱電子は後者(V3 +V1 )
相当分のエネルギーを有しているからである。従って、
例えば、上記出力電圧V1 およびV3 を、それぞれ前述
したように8Vおよび5Vとすると、上記熱電子のファ
ラデーカップ8に対するエネルギーは、最大で13eV
と、比較的高エネルギーになる。
【0018】ファラデーカップ8内に導入されるこのよ
うな熱電子の量は、プラズマ30中の電子に比べれば少
ないけれども、ファラデーカップ8内に導入するプラズ
マ30の密度を増大させて、基板6に多量にプラズマシ
ャワーをかけようとすると、それに伴って、ファラデー
カップ8内に導入される熱電子の量も増加する。これ
は、プラズマ30の密度を増大させるためには、その元
になるプラズマ24の密度を増大させる必要があり、そ
のためにはフィラメント20に流す電流を増大させてそ
れから放出する熱電子を増大させて、フィラメント20
と第1プラズマ生成容器14間のアーク放電電流を増大
させる必要があるからである。
うな熱電子の量は、プラズマ30中の電子に比べれば少
ないけれども、ファラデーカップ8内に導入するプラズ
マ30の密度を増大させて、基板6に多量にプラズマシ
ャワーをかけようとすると、それに伴って、ファラデー
カップ8内に導入される熱電子の量も増加する。これ
は、プラズマ30の密度を増大させるためには、その元
になるプラズマ24の密度を増大させる必要があり、そ
のためにはフィラメント20に流す電流を増大させてそ
れから放出する熱電子を増大させて、フィラメント20
と第1プラズマ生成容器14間のアーク放電電流を増大
させる必要があるからである。
【0019】ファラデーカップ8内に導入される上記の
ような比較的高エネルギーの熱電子の量が増加すると、
それが基板6に到達し、基板6は当該熱電子のエネルギ
ーに相当する電圧まで負に帯電することができるので、
基板6に比較的大きな負の帯電を発生させる要因にな
る。
ような比較的高エネルギーの熱電子の量が増加すると、
それが基板6に到達し、基板6は当該熱電子のエネルギ
ーに相当する電圧まで負に帯電することができるので、
基板6に比較的大きな負の帯電を発生させる要因にな
る。
【0020】しかも、フィラメント電源22以外の出力
電圧は固定にすることができるけれども、フィラメント
電源22の出力電圧V1 は、上記のようにしてアーク放
電電流を増大させるためにフィラメント電流を増大させ
ることに伴って必然的に大きくなる。また、フィラメン
ト20が経時的に痩せ細ることによってその抵抗値が増
大することによっても、上記出力電圧V1 は必然的に大
きくなる。この出力電圧V1 の変動(増大)分を図4中
にαで示すが、この変動分αは例えば2V程度になるこ
とがある。従ってこの変動分αeVだけ、ファラデーカ
ップ8内に導入される熱電子の最大エネルギーが更に大
きくなる。
電圧は固定にすることができるけれども、フィラメント
電源22の出力電圧V1 は、上記のようにしてアーク放
電電流を増大させるためにフィラメント電流を増大させ
ることに伴って必然的に大きくなる。また、フィラメン
ト20が経時的に痩せ細ることによってその抵抗値が増
大することによっても、上記出力電圧V1 は必然的に大
きくなる。この出力電圧V1 の変動(増大)分を図4中
にαで示すが、この変動分αは例えば2V程度になるこ
とがある。従ってこの変動分αeVだけ、ファラデーカ
ップ8内に導入される熱電子の最大エネルギーが更に大
きくなる。
【0021】以上のように従来の装置では、ファラデー
カップ8内に導入される熱電子の最大エネルギーが大き
い上に、それが不可避的に変動するという課題がある。
この熱電子の最大エネルギーが変動すると、基板6に発
生させる可能性のある負帯電の大きさもそれに応じて変
動することになり、基板処理において好ましくない。
カップ8内に導入される熱電子の最大エネルギーが大き
い上に、それが不可避的に変動するという課題がある。
この熱電子の最大エネルギーが変動すると、基板6に発
生させる可能性のある負帯電の大きさもそれに応じて変
動することになり、基板処理において好ましくない。
【0022】特に近年は、基板6の表面に形成されるデ
バイスの微細化が進んでいるので、この負帯電の問題は
深刻化している。
バイスの微細化が進んでいるので、この負帯電の問題は
深刻化している。
【0023】一方、上記のような従来の装置では、何ら
かの原因で、例えば小孔16、27、28、34の目詰
まり等で、ファラデーカップ8内に導入するプラズマ3
0の量が異常に減少してプラズマシャワーに異常が生じ
ても、それを検出することができないという課題もあ
る。プラズマシャワーの異常を放置して基板6の処理を
続けると、前述したように、基板6にイオンビーム照射
による正帯電の問題が生じる。
かの原因で、例えば小孔16、27、28、34の目詰
まり等で、ファラデーカップ8内に導入するプラズマ3
0の量が異常に減少してプラズマシャワーに異常が生じ
ても、それを検出することができないという課題もあ
る。プラズマシャワーの異常を放置して基板6の処理を
続けると、前述したように、基板6にイオンビーム照射
による正帯電の問題が生じる。
【0024】そこでこの発明は、ファラデーカップ内に
導入される電子の最大エネルギーを小さく抑えると共
に、当該最大エネルギーの変動を防止して、基板の負帯
電を小さく抑制することを主たる目的とする。
導入される電子の最大エネルギーを小さく抑えると共
に、当該最大エネルギーの変動を防止して、基板の負帯
電を小さく抑制することを主たる目的とする。
【0025】また、プラズマシャワーに異常が生じた場
合に速やかにそれを検出することを更なる目的とする。
合に速やかにそれを検出することを更なる目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記主たる目的を達成す
るため、この発明のイオン照射装置は、前記ファラデー
カップの壁面の一部に設けられた孔と、前記ファラデー
カップ内にそれから電気的に絶縁して設けられていて前
記ファラデーカップの孔に対応する位置に孔を有する筒
状の第2ファラデーカップと、前記ファラデーカップの
孔の外側近傍に設けられていて内部にガスが導入されか
つ当該ファラデーカップ側に小孔を有するプラズマ生成
容器と、このプラズマ生成容器内に設けられたフィラメ
ントと、前記プラズマ生成容器の小孔を含む部分と前記
第2ファラデーカップの孔を含む部分とを前記ファラデ
ーカップの孔を通して連通させるものであって、第2フ
ァラデーカップには電気的に接続されており、ファラデ
ーカップおよびプラズマ生成容器とは電気的に絶縁され
た連通筒と、前記プラズマ生成容器内からこの連通筒内
にかけての領域に、それらの軸方向に沿う磁束を発生さ
せる磁束発生手段と、前記フィラメントの両端部に接続
された直流のフィラメント電源と、このフィラメント電
源の負極と前記プラズマ生成容器との間に前者を負極側
にして接続された直流のアーク電源であって互いに順方
向に直列接続された第1および第2のアーク電源から成
るものとを備え、前記ファラデーカップをこの第1およ
び第2のアーク電源の接続点に接続し、かつ前記ホルダ
と第2ファラデーカップとを互いに並列接続してそれら
を直接または電流計測器を介して同アーク電源の接続点
に接続していることを特徴とする。
るため、この発明のイオン照射装置は、前記ファラデー
カップの壁面の一部に設けられた孔と、前記ファラデー
カップ内にそれから電気的に絶縁して設けられていて前
記ファラデーカップの孔に対応する位置に孔を有する筒
状の第2ファラデーカップと、前記ファラデーカップの
孔の外側近傍に設けられていて内部にガスが導入されか
つ当該ファラデーカップ側に小孔を有するプラズマ生成
容器と、このプラズマ生成容器内に設けられたフィラメ
ントと、前記プラズマ生成容器の小孔を含む部分と前記
第2ファラデーカップの孔を含む部分とを前記ファラデ
ーカップの孔を通して連通させるものであって、第2フ
ァラデーカップには電気的に接続されており、ファラデ
ーカップおよびプラズマ生成容器とは電気的に絶縁され
た連通筒と、前記プラズマ生成容器内からこの連通筒内
にかけての領域に、それらの軸方向に沿う磁束を発生さ
せる磁束発生手段と、前記フィラメントの両端部に接続
された直流のフィラメント電源と、このフィラメント電
源の負極と前記プラズマ生成容器との間に前者を負極側
にして接続された直流のアーク電源であって互いに順方
向に直列接続された第1および第2のアーク電源から成
るものとを備え、前記ファラデーカップをこの第1およ
び第2のアーク電源の接続点に接続し、かつ前記ホルダ
と第2ファラデーカップとを互いに並列接続してそれら
を直接または電流計測器を介して同アーク電源の接続点
に接続していることを特徴とする。
【0027】上記構成によれば、プラズマ生成容器内で
プラズマを生成し、このプラズマを、当該プラズマ生成
容器の小孔および連通筒内を通して、かつ磁束発生手段
による磁束によってガイドして、ファラデーカップ内に
設けられた第2ファラデーカップ内に導入することがで
きる。このようにして導入されたプラズマ中の電子によ
る基板表面の正電荷中和作用は、従来例の場合と同様で
ある。
プラズマを生成し、このプラズマを、当該プラズマ生成
容器の小孔および連通筒内を通して、かつ磁束発生手段
による磁束によってガイドして、ファラデーカップ内に
設けられた第2ファラデーカップ内に導入することがで
きる。このようにして導入されたプラズマ中の電子によ
る基板表面の正電荷中和作用は、従来例の場合と同様で
ある。
【0028】しかも、上記構成によれば、アーク電源を
第1および第2のアーク電源に分け、両者の接続点をフ
ァラデーカップに接続したこと等によって、フィラメン
トからの熱電子を含めた全ての電子のファラデーカップ
に対するエネルギーが、第1または第2のアーク電源の
出力電圧相当のエネルギー以下に収まるので、第2ファ
ラデーカップ内に導入される電子の負側の最大エネルギ
ーが小さく抑えられる。しかも、この最大エネルギー
は、フィラメント電源の出力電圧の影響を受けないの
で、アーク電流の増大やフィラメントの経時変化に伴っ
てフィラメント電源の出力電圧が変動したとしても、当
該最大エネルギーは変動しない。従って、このような最
大エネルギーが小さく、しかもそれが変動しない電子を
基板のイオンビーム照射に伴う正電荷の中和に利用する
ことによって、基板の正帯電を防止するだけでなく、基
板の負帯電をも小さく抑制することができ、基板の帯電
防止を非常に効果的に行うことができる。
第1および第2のアーク電源に分け、両者の接続点をフ
ァラデーカップに接続したこと等によって、フィラメン
トからの熱電子を含めた全ての電子のファラデーカップ
に対するエネルギーが、第1または第2のアーク電源の
出力電圧相当のエネルギー以下に収まるので、第2ファ
ラデーカップ内に導入される電子の負側の最大エネルギ
ーが小さく抑えられる。しかも、この最大エネルギー
は、フィラメント電源の出力電圧の影響を受けないの
で、アーク電流の増大やフィラメントの経時変化に伴っ
てフィラメント電源の出力電圧が変動したとしても、当
該最大エネルギーは変動しない。従って、このような最
大エネルギーが小さく、しかもそれが変動しない電子を
基板のイオンビーム照射に伴う正電荷の中和に利用する
ことによって、基板の正帯電を防止するだけでなく、基
板の負帯電をも小さく抑制することができ、基板の帯電
防止を非常に効果的に行うことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係るイオン照
射装置の一例を示す断面図である。図3の従来例と同一
または相当する部分には同一符号を付し、以下において
は当該従来例との相違点を主に説明する。
射装置の一例を示す断面図である。図3の従来例と同一
または相当する部分には同一符号を付し、以下において
は当該従来例との相違点を主に説明する。
【0030】この実施例においては、前述したファラデ
ーカップ8内に、従来例のようにリフレクタ電極46を
設ける代わりに、筒状の第2ファラデーカップ60を、
ファラデーカップ8とほぼ同軸状に、かつ絶縁物58に
よってファラデーカップ8から電気的に絶縁して設けて
いる。この第2ファラデーカップ60は、ファラデーカ
ップ8の孔9に対応する位置に孔62を有している。こ
の第2ファラデーカップ60は、配置上は前記リフレク
タ電極46と似ているが、電位が全く異なる。即ち、前
記リフレクタ電極46は、リフレクタ電源48によっ
て、ファラデーカップ8に対して負電位にされるのに対
して、この第2ファラデーカップ60はファラデーカッ
プ8と同電位またはほぼ同電位にされる。これが、この
ファラデーカップ60を第2ファラデーカップ60と呼
ぶゆえんである。
ーカップ8内に、従来例のようにリフレクタ電極46を
設ける代わりに、筒状の第2ファラデーカップ60を、
ファラデーカップ8とほぼ同軸状に、かつ絶縁物58に
よってファラデーカップ8から電気的に絶縁して設けて
いる。この第2ファラデーカップ60は、ファラデーカ
ップ8の孔9に対応する位置に孔62を有している。こ
の第2ファラデーカップ60は、配置上は前記リフレク
タ電極46と似ているが、電位が全く異なる。即ち、前
記リフレクタ電極46は、リフレクタ電源48によっ
て、ファラデーカップ8に対して負電位にされるのに対
して、この第2ファラデーカップ60はファラデーカッ
プ8と同電位またはほぼ同電位にされる。これが、この
ファラデーカップ60を第2ファラデーカップ60と呼
ぶゆえんである。
【0031】なおこの例では、第2ファラデーカップ6
0内の電子やイオンが上流側および下流側へ漏れ出るの
を抑制するために、図1中に示すように、第2ファラデ
ーカップ60の上流側端部、同下流側端部およびファラ
デーカップ8の上流側端部に、イオンビーム2の通過を
妨げない程度の孔を有する鍔部をそれぞれ設けている。
0内の電子やイオンが上流側および下流側へ漏れ出るの
を抑制するために、図1中に示すように、第2ファラデ
ーカップ60の上流側端部、同下流側端部およびファラ
デーカップ8の上流側端部に、イオンビーム2の通過を
妨げない程度の孔を有する鍔部をそれぞれ設けている。
【0032】ファラデーカップ8の孔9の外側付近に、
従来例の第1プラズマ生成容器14に相当するプラズマ
生成容器14aを設けている。即ちこのプラズマ生成容
器14aは、ファラデーカップ8側の部分に小孔16を
有しており、内部にガス18が導入される。また、内部
にフィラメント20が設けられており、その両端にフィ
ラメント電源22が接続されている。その出力電圧V1
の大きさは、従来例と同様であり例えば8Vである。小
孔16の直径は例えば2mmφ程度である。
従来例の第1プラズマ生成容器14に相当するプラズマ
生成容器14aを設けている。即ちこのプラズマ生成容
器14aは、ファラデーカップ8側の部分に小孔16を
有しており、内部にガス18が導入される。また、内部
にフィラメント20が設けられており、その両端にフィ
ラメント電源22が接続されている。その出力電圧V1
の大きさは、従来例と同様であり例えば8Vである。小
孔16の直径は例えば2mmφ程度である。
【0033】このフィラメント電源22の負極とプラズ
マ生成容器14aとの間に、前者を負極側にして、第1
のアーク電源42aおよび第2のアーク電源42bから
成るアーク電源が接続されている。より具体的には、両
アーク電源42aおよび42bは互いに順方向に直列接
続されており、その内の第1のアーク電源42aの負極
がフィラメント電源22の負極に、第2のアーク電源4
2bの正極がプラズマ生成容器14aに、それぞれ接続
されている。両アーク電源42aおよび42bの出力電
圧V21およびV22は、必ずしも同電圧にする必要はない
が、この実施例では一例として6.5Vずつの同電圧に
している。両者を加算した電圧は13Vであり、従来例
のアーク電源42の出力電圧V2 と同じにしている。上
記構成によって、従来例の場合と同様にして、プラズマ
生成容器14a内にプラズマ24を発生させることがで
きる。
マ生成容器14aとの間に、前者を負極側にして、第1
のアーク電源42aおよび第2のアーク電源42bから
成るアーク電源が接続されている。より具体的には、両
アーク電源42aおよび42bは互いに順方向に直列接
続されており、その内の第1のアーク電源42aの負極
がフィラメント電源22の負極に、第2のアーク電源4
2bの正極がプラズマ生成容器14aに、それぞれ接続
されている。両アーク電源42aおよび42bの出力電
圧V21およびV22は、必ずしも同電圧にする必要はない
が、この実施例では一例として6.5Vずつの同電圧に
している。両者を加算した電圧は13Vであり、従来例
のアーク電源42の出力電圧V2 と同じにしている。上
記構成によって、従来例の場合と同様にして、プラズマ
生成容器14a内にプラズマ24を発生させることがで
きる。
【0034】プラズマ生成容器14aの小孔16を含む
部分と第2ファラデーカップ60の孔62を含む部分と
は、ファラデーカップ8の孔9を貫通する金属製(例え
ばステンレス製)の連通筒64によって互いに連通させ
られている。この連通筒64は、第2ファラデーカップ
60に取り付けられていてそれに電気的に接続されてい
てそれと同電位にされており、プラズマ生成容器14a
とは絶縁物59で電気的に絶縁されている。また、ファ
ラデーカップ8とは隙間(空間)をあけて電気的に絶縁
されている。この連通筒64は、次に述べるコイル36
のボビンを兼ねている。
部分と第2ファラデーカップ60の孔62を含む部分と
は、ファラデーカップ8の孔9を貫通する金属製(例え
ばステンレス製)の連通筒64によって互いに連通させ
られている。この連通筒64は、第2ファラデーカップ
60に取り付けられていてそれに電気的に接続されてい
てそれと同電位にされており、プラズマ生成容器14a
とは絶縁物59で電気的に絶縁されている。また、ファ
ラデーカップ8とは隙間(空間)をあけて電気的に絶縁
されている。この連通筒64は、次に述べるコイル36
のボビンを兼ねている。
【0035】この連通筒64の外周部には、直流電源3
8によって励磁されるコイル36が巻かれていて、これ
らが磁束発生手段を構成しており、プラズマ生成容器1
4a内から連通筒64内にかけての領域に、それらの軸
方向に沿う磁束Bを発生させる。即ちこのコイル36
は、プラズマ24生成用のマグネットおよび同プラズマ
24のガイド用のマグネットを兼ねている。なお、磁束
Bの向きは図示とは逆でも良い。
8によって励磁されるコイル36が巻かれていて、これ
らが磁束発生手段を構成しており、プラズマ生成容器1
4a内から連通筒64内にかけての領域に、それらの軸
方向に沿う磁束Bを発生させる。即ちこのコイル36
は、プラズマ24生成用のマグネットおよび同プラズマ
24のガイド用のマグネットを兼ねている。なお、磁束
Bの向きは図示とは逆でも良い。
【0036】ファラデーカップ8およびビーム電流計測
器12は、前記第1および第2のアーク電源42aおよ
び42bの接続点cに接続している。また、プラズマシ
ャワーの異常を検出しない場合は、第2ファラデーカッ
プ60、ホルダ4およびキャッチプレート10も、互い
に並列接続してそれらを上記接続点cに接続してファラ
デーカップ8と全く同電位にする。
器12は、前記第1および第2のアーク電源42aおよ
び42bの接続点cに接続している。また、プラズマシ
ャワーの異常を検出しない場合は、第2ファラデーカッ
プ60、ホルダ4およびキャッチプレート10も、互い
に並列接続してそれらを上記接続点cに接続してファラ
デーカップ8と全く同電位にする。
【0037】しかしこの実施例では、プラズマシャワー
の異常を検出するために、第2ファラデーカップ60、
ホルダ4およびキャッチプレート10を互いに並列接続
してそれらを電流計測器66を介して上記接続点cに接
続している。この電流計測器66は、そこを流れる電流
Iを計測するものである。更にこの実施例では、この電
流計測器66で計測した電流Iを予め設定した基準値R
と比較して、前者Iが後者Rよりも大のときに検出信号
Sを出力する比較器70を設けている。
の異常を検出するために、第2ファラデーカップ60、
ホルダ4およびキャッチプレート10を互いに並列接続
してそれらを電流計測器66を介して上記接続点cに接
続している。この電流計測器66は、そこを流れる電流
Iを計測するものである。更にこの実施例では、この電
流計測器66で計測した電流Iを予め設定した基準値R
と比較して、前者Iが後者Rよりも大のときに検出信号
Sを出力する比較器70を設けている。
【0038】電流計測器66はこの例では抵抗器であ
り、その両端にはそこを流れる電流Iに応じた電圧が発
生する。それをこの例では増幅器68で増幅して比較器
70に供給する。但しこの増幅器68を設けるか否かは
任意である。
り、その両端にはそこを流れる電流Iに応じた電圧が発
生する。それをこの例では増幅器68で増幅して比較器
70に供給する。但しこの増幅器68を設けるか否かは
任意である。
【0039】動作を説明すると、フィラメント電源22
によってフィラメント20を加熱すると、そこから熱電
子が放出される。この熱電子は、アーク電源42aおよ
び42bの出力電圧の和(V21+V22)によってプラズ
マ生成容器14aに向けて加速され、その途中で、プラ
ズマ生成容器14a内に導入されたガス18と衝突して
それを電離させ、プラズマ24が生成される。このと
き、コイル36による磁束Bがプラズマ24の生成およ
び維持に寄与する。アーク電源をこのように二分割する
ことによって、必要なアーク放電電圧を確保しつつ、フ
ィラメント20の負端とファラデーカップ8との間の電
位差を小さくして、フィラメント20から放出される熱
電子の低エネルギー化を図ることができる(これについ
ては図2を参照して後で更に説明する)。
によってフィラメント20を加熱すると、そこから熱電
子が放出される。この熱電子は、アーク電源42aおよ
び42bの出力電圧の和(V21+V22)によってプラズ
マ生成容器14aに向けて加速され、その途中で、プラ
ズマ生成容器14a内に導入されたガス18と衝突して
それを電離させ、プラズマ24が生成される。このと
き、コイル36による磁束Bがプラズマ24の生成およ
び維持に寄与する。アーク電源をこのように二分割する
ことによって、必要なアーク放電電圧を確保しつつ、フ
ィラメント20の負端とファラデーカップ8との間の電
位差を小さくして、フィラメント20から放出される熱
電子の低エネルギー化を図ることができる(これについ
ては図2を参照して後で更に説明する)。
【0040】生成されたプラズマ24は、小孔16およ
び連通筒64内を通して、かつコイル36による磁束B
にガイドされて、第2ファラデーカップ60内へ拡散し
て行く。このように、プラズマ24を磁束Bによってガ
イドして第2ファラデーカップ60内に導入するので、
プラズマ24中の電子およびイオンに対するエネルギー
の加減がないのが、この装置の一つの特徴である。
び連通筒64内を通して、かつコイル36による磁束B
にガイドされて、第2ファラデーカップ60内へ拡散し
て行く。このように、プラズマ24を磁束Bによってガ
イドして第2ファラデーカップ60内に導入するので、
プラズマ24中の電子およびイオンに対するエネルギー
の加減がないのが、この装置の一つの特徴である。
【0041】このようにして第2ファラデーカップ60
内に導入されたプラズマ24中の電子による基板表面の
正電荷中和作用は、従来例の場合と同様である。即ち、
第2ファラデーカップ60内をイオンビーム2 が通過す
ると、プラズマ24中の電子は、このイオンビーム2内
にその電界によって引き込まれ、イオンビーム2と共に
基板6に向かい、基板表面のイオンビーム照射に伴う正
電荷を中和する。
内に導入されたプラズマ24中の電子による基板表面の
正電荷中和作用は、従来例の場合と同様である。即ち、
第2ファラデーカップ60内をイオンビーム2 が通過す
ると、プラズマ24中の電子は、このイオンビーム2内
にその電界によって引き込まれ、イオンビーム2と共に
基板6に向かい、基板表面のイオンビーム照射に伴う正
電荷を中和する。
【0042】但し、第2ファラデーカップ60内には、
上記のようにして導入されたプラズマ24中のイオンお
よび電子の他に、フィラメント20から放出された熱電
子が存在することになる。この熱電子およびプラズマ2
4中の電子のエネルギーを図2の電位分布図を参照して
説明する。この図2では、電圧V1 、V21およびV
22を、それぞれ8V、6.5Vおよび6.5Vで図示し
ている。
上記のようにして導入されたプラズマ24中のイオンお
よび電子の他に、フィラメント20から放出された熱電
子が存在することになる。この熱電子およびプラズマ2
4中の電子のエネルギーを図2の電位分布図を参照して
説明する。この図2では、電圧V1 、V21およびV
22を、それぞれ8V、6.5Vおよび6.5Vで図示し
ている。
【0043】フィラメント20の負端とファラデーカッ
プ8との間の電位差は第1のアーク電源42aの出力電
圧V21によって規定され、プラズマ生成容器14aとフ
ァラデーカップ8との間の電位差は第2のアーク電源4
2bの出力電圧V22によって規定されるから、第2ファ
ラデーカップ60内に導入されるプラズマ24中の電子
のファラデーカップ8に対するエネルギーは、0〜V21
eVの範囲または0〜V22eVの範囲に、即ちこの例で
は0〜6.5eVの範囲に分布しており、十分に低エネ
ルギーである。
プ8との間の電位差は第1のアーク電源42aの出力電
圧V21によって規定され、プラズマ生成容器14aとフ
ァラデーカップ8との間の電位差は第2のアーク電源4
2bの出力電圧V22によって規定されるから、第2ファ
ラデーカップ60内に導入されるプラズマ24中の電子
のファラデーカップ8に対するエネルギーは、0〜V21
eVの範囲または0〜V22eVの範囲に、即ちこの例で
は0〜6.5eVの範囲に分布しており、十分に低エネ
ルギーである。
【0044】一方、フィラメント20から放出される熱
電子のファラデーカップ8に対するエネルギーを検討す
ると、フィラメント20の負端とファラデーカップ8と
の間の電位差は第1のアーク電源42aの出力電圧V21
によって規定されるので、フィラメント20の負端付近
から放出される熱電子のファラデーカップ8に対するエ
ネルギーはV21eV近くになる。一方、フィラメント2
0の正端とファラデーカップ8との間の電位差は、フィ
ラメント電源22の出力電圧V1 とアーク電源42aの
出力電圧V21との差(V1 −V21)となり、前述したよ
うにアーク電流の増大やフィラメント20の経時変化が
あった場合には変動分αが加わるから、(V1 +α−V
21)となる。従って、フィラメント20の正端付近から
放出される熱電子のファラデーカップ8に対するエネル
ギーは(V1 +α−V21)eV近くになる。但し、前述
したようにこの変動分αは大きくても2V程度であるか
ら、通常は(V1 +α−V21)<V22となる。従って、
フィラメント20から放出される熱電子のファラデーカ
ップ8に対するエネルギーは、上記変動分αが生じたと
しても、常に、アーク電源42aの出力電圧V21または
アーク電源42bの出力電圧V22に相当するエネルギー
以下に収まる。
電子のファラデーカップ8に対するエネルギーを検討す
ると、フィラメント20の負端とファラデーカップ8と
の間の電位差は第1のアーク電源42aの出力電圧V21
によって規定されるので、フィラメント20の負端付近
から放出される熱電子のファラデーカップ8に対するエ
ネルギーはV21eV近くになる。一方、フィラメント2
0の正端とファラデーカップ8との間の電位差は、フィ
ラメント電源22の出力電圧V1 とアーク電源42aの
出力電圧V21との差(V1 −V21)となり、前述したよ
うにアーク電流の増大やフィラメント20の経時変化が
あった場合には変動分αが加わるから、(V1 +α−V
21)となる。従って、フィラメント20の正端付近から
放出される熱電子のファラデーカップ8に対するエネル
ギーは(V1 +α−V21)eV近くになる。但し、前述
したようにこの変動分αは大きくても2V程度であるか
ら、通常は(V1 +α−V21)<V22となる。従って、
フィラメント20から放出される熱電子のファラデーカ
ップ8に対するエネルギーは、上記変動分αが生じたと
しても、常に、アーク電源42aの出力電圧V21または
アーク電源42bの出力電圧V22に相当するエネルギー
以下に収まる。
【0045】結局、この装置では、フィラメント20か
らの熱電子を含めた全ての電子のファラデーカップ8に
対するエネルギーが、上記出力電圧V21またはV22相当
のエネルギー以下に収まることになる。換言すれば、第
2ファラデーカップ60内に導入される電子の最大エネ
ルギーは、V21eVまたはV22eVになるので、十分に
小さく抑えられる。具体的にはこの例では、6.5eV
以下に抑えられる。しかも、この最大エネルギーは、フ
ィラメント電源22の出力電圧V1 の影響を受けないの
で、アーク電流の増大やフィラメントの経時変化に伴っ
て当該出力電圧V1 が変動したとしても、当該最大エネ
ルギーは変動しない。
らの熱電子を含めた全ての電子のファラデーカップ8に
対するエネルギーが、上記出力電圧V21またはV22相当
のエネルギー以下に収まることになる。換言すれば、第
2ファラデーカップ60内に導入される電子の最大エネ
ルギーは、V21eVまたはV22eVになるので、十分に
小さく抑えられる。具体的にはこの例では、6.5eV
以下に抑えられる。しかも、この最大エネルギーは、フ
ィラメント電源22の出力電圧V1 の影響を受けないの
で、アーク電流の増大やフィラメントの経時変化に伴っ
て当該出力電圧V1 が変動したとしても、当該最大エネ
ルギーは変動しない。
【0046】従って、このような最大エネルギーが小さ
く、しかもそれが変動しない電子を基板6のイオンビー
ム照射に伴う正電荷の中和に利用することによって、基
板6の正帯電を防止するだけでなく、基板6の負帯電を
も小さく抑制することができ、基板6の帯電防止を非常
に効果的に行うことができる。その結果、基板表面に形
成されるデバイスの微細化にも十分に対応することがで
きる。
く、しかもそれが変動しない電子を基板6のイオンビー
ム照射に伴う正電荷の中和に利用することによって、基
板6の正帯電を防止するだけでなく、基板6の負帯電を
も小さく抑制することができ、基板6の帯電防止を非常
に効果的に行うことができる。その結果、基板表面に形
成されるデバイスの微細化にも十分に対応することがで
きる。
【0047】また、従来例では、ファラデーカップ8内
に導入されたプラズマ30中のイオンがリフレクタ電極
46に衝突することによってそこから放出される二次電
子は、最大で、リフレクタ電源48の出力電圧V4 相当
分のエネルギーを有している。例えば、前述したように
この出力電圧V4 を20Vとすると、この二次電子のフ
ァラデーカップ8に対するエネルギーは最大で20eV
になり、この二次電子によっても、基板6に負の帯電を
発生させる可能性があったけれども、この実施例ではそ
れをも防止することができる。即ちこの実施例では、第
2ファラデーカップ60とファラデーカップ8間の電位
差は、上記電流計測器66を挿入しない場合は0Vにな
る。また、電流計測器66を挿入した場合でも、そこで
の電圧降下は通常は非常に小さい(例えば、電流計測器
66の抵抗値は高々10Ω程度、そこを流れる電流Iは
高々30mA程度であるので、この電圧降下は大きくて
も0.3V程度である。)ので、上記電位差は0V近く
になる。従って、第2ファラデーカップ60内に導入さ
れたプラズマ24中のイオンが第2ファラデーカップ6
0に衝突してそこから二次電子が放出されたとしても、
この二次電子に加速エネルギーは殆ど加えられないの
で、この二次電子のファラデーカップ8に対するエネル
ギーは非常に小さい。従って、このような第2ファラデ
ーカップ60からの二次電子が基板6に到達しても、基
板6は当該電子のエネルギーに相当する電圧より大きく
は負に帯電することができないので、基板6の負帯電を
小さく抑制することができる。
に導入されたプラズマ30中のイオンがリフレクタ電極
46に衝突することによってそこから放出される二次電
子は、最大で、リフレクタ電源48の出力電圧V4 相当
分のエネルギーを有している。例えば、前述したように
この出力電圧V4 を20Vとすると、この二次電子のフ
ァラデーカップ8に対するエネルギーは最大で20eV
になり、この二次電子によっても、基板6に負の帯電を
発生させる可能性があったけれども、この実施例ではそ
れをも防止することができる。即ちこの実施例では、第
2ファラデーカップ60とファラデーカップ8間の電位
差は、上記電流計測器66を挿入しない場合は0Vにな
る。また、電流計測器66を挿入した場合でも、そこで
の電圧降下は通常は非常に小さい(例えば、電流計測器
66の抵抗値は高々10Ω程度、そこを流れる電流Iは
高々30mA程度であるので、この電圧降下は大きくて
も0.3V程度である。)ので、上記電位差は0V近く
になる。従って、第2ファラデーカップ60内に導入さ
れたプラズマ24中のイオンが第2ファラデーカップ6
0に衝突してそこから二次電子が放出されたとしても、
この二次電子に加速エネルギーは殆ど加えられないの
で、この二次電子のファラデーカップ8に対するエネル
ギーは非常に小さい。従って、このような第2ファラデ
ーカップ60からの二次電子が基板6に到達しても、基
板6は当該電子のエネルギーに相当する電圧より大きく
は負に帯電することができないので、基板6の負帯電を
小さく抑制することができる。
【0048】次に、プラズマシャワー異常の検出手段に
ついて説明する。図1を参照して、上記電流計測器66
には、イオンビーム2が基板6、ホルダ4またはキャッ
チプレート10に入射することによって、ビーム電流I
B が、ビーム電流計測器12を経由してアースへ向かっ
て流れる。それと同時に、上記のようにして第2ファラ
デーカップ60内に導入された電子(即ちプラズマ24
中の電子およびフィラメント20からの熱電子)が基板
6、ホルダ4、キャッチプレート10または第2ファラ
デーカップ60に入ることによって、上記電流計測器6
6には、電流IE が上記ビーム電流IB とは逆向きに流
れる。従って、この電流計測器66で計測される電流I
は、次式で表される。
ついて説明する。図1を参照して、上記電流計測器66
には、イオンビーム2が基板6、ホルダ4またはキャッ
チプレート10に入射することによって、ビーム電流I
B が、ビーム電流計測器12を経由してアースへ向かっ
て流れる。それと同時に、上記のようにして第2ファラ
デーカップ60内に導入された電子(即ちプラズマ24
中の電子およびフィラメント20からの熱電子)が基板
6、ホルダ4、キャッチプレート10または第2ファラ
デーカップ60に入ることによって、上記電流計測器6
6には、電流IE が上記ビーム電流IB とは逆向きに流
れる。従って、この電流計測器66で計測される電流I
は、次式で表される。
【0049】
【数1】I=IB −IE
【0050】プラズマ生成容器14aの小孔16が目詰
まりする等して、第2ファラデーカップ60内に導入さ
れるプラズマ24の量が減少してプラズマシャワーに異
常が生じると、上記電子による電流IE が小さくなるの
で、数1で表される電流Iは大きくなる。従って、プラ
ズマシャワーが正常時の電流Iの値と異常時の電流Iの
値との間の値に上記基準値Rを設定しておけば、比較器
70によってプラズマシャワーの異常を検出してそこか
ら検出信号Sを出力することができる。これによって、
基板6に対して処理不良が生じるのを速やかに防止する
ことができる。
まりする等して、第2ファラデーカップ60内に導入さ
れるプラズマ24の量が減少してプラズマシャワーに異
常が生じると、上記電子による電流IE が小さくなるの
で、数1で表される電流Iは大きくなる。従って、プラ
ズマシャワーが正常時の電流Iの値と異常時の電流Iの
値との間の値に上記基準値Rを設定しておけば、比較器
70によってプラズマシャワーの異常を検出してそこか
ら検出信号Sを出力することができる。これによって、
基板6に対して処理不良が生じるのを速やかに防止する
ことができる。
【0051】その場合、比較器70から出力される検出
信号Sに応答して、図示しないシャッターをイオンビー
ム経路に入れてイオンビーム2を遮断して基板処理を中
断するようにしても良く、そのようにすれば、基板6に
対して処理不良が生じるのを自動的にかつ速やかに防止
することができる。
信号Sに応答して、図示しないシャッターをイオンビー
ム経路に入れてイオンビーム2を遮断して基板処理を中
断するようにしても良く、そのようにすれば、基板6に
対して処理不良が生じるのを自動的にかつ速やかに防止
することができる。
【0052】上記基準値Rの設定の仕方のより具体例を
示すと、基板6の正帯電を十分に打ち消すために、基板
6には通常はイオンビーム2よりも若干多めに電子を入
射させるので、それだけを考えても、電流計測器66に
流れるビーム電流IB よりも電子による電流IE の方が
若干大きくなり、従って数1で表される電流Iは若干負
になる。それに加えて、電流計測器66には、電子が第
2ファラデーカップ60に入射する分の電流IE が更に
流れるので、プラズマシャワーが正常時は、電流計測器
66に流れる上記電流Iはかなり負になる。
示すと、基板6の正帯電を十分に打ち消すために、基板
6には通常はイオンビーム2よりも若干多めに電子を入
射させるので、それだけを考えても、電流計測器66に
流れるビーム電流IB よりも電子による電流IE の方が
若干大きくなり、従って数1で表される電流Iは若干負
になる。それに加えて、電流計測器66には、電子が第
2ファラデーカップ60に入射する分の電流IE が更に
流れるので、プラズマシャワーが正常時は、電流計測器
66に流れる上記電流Iはかなり負になる。
【0053】ところが、プラズマ生成容器14aの小孔
16が目詰まりする等して、第2ファラデーカップ60
内に導入されるプラズマ24の量が減少してプラズマシ
ャワーに異常が生じると、上記ビーム電流IB は不変で
あるけれども、上記電子による電流IE が小さくなるの
で、極端な場合は0近くになるので、電流計測器66に
流れる電流Iはかなり正になる。つまり、上記電流Iの
極性が負から正へと大きく反転する。
16が目詰まりする等して、第2ファラデーカップ60
内に導入されるプラズマ24の量が減少してプラズマシ
ャワーに異常が生じると、上記ビーム電流IB は不変で
あるけれども、上記電子による電流IE が小さくなるの
で、極端な場合は0近くになるので、電流計測器66に
流れる電流Iはかなり正になる。つまり、上記電流Iの
極性が負から正へと大きく反転する。
【0054】従って、上記基準値Rを例えば0近くに設
定しておくことによって、比較器70によってこの電流
Iの極性の反転を検出して、プラズマシャワーの異常を
検出して検出信号Sを出力することができる。
定しておくことによって、比較器70によってこの電流
Iの極性の反転を検出して、プラズマシャワーの異常を
検出して検出信号Sを出力することができる。
【0055】なお、上記コイル36および直流電源38
の代わりに、複数または単一の永久磁石を連通筒64の
外側に設けて上記のような磁束Bを発生させるように
し、これによって磁束発生手段を構成しても良い。
の代わりに、複数または単一の永久磁石を連通筒64の
外側に設けて上記のような磁束Bを発生させるように
し、これによって磁束発生手段を構成しても良い。
【0056】
【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、次のような効果を奏する。
るので、次のような効果を奏する。
【0057】請求項1記載の発明によれば、フィラメン
トからの熱電子を含めた全ての電子のファラデーカップ
に対するエネルギーが、第1または第2のアーク電源の
出力電圧相当のエネルギー以下に収まるので、第2ファ
ラデーカップ内に導入される電子の最大エネルギーが小
さく抑えられる。しかも、この最大エネルギーは、フィ
ラメント電源の出力電圧の影響を受けないので、アーク
電流の増大やフィラメントの経時変化に伴ってフィラメ
ント電源の出力電圧が変動したとしても、当該最大エネ
ルギーは変動しない。従って、このような最大エネルギ
ーが小さく、しかもそれが変動しない電子を基板のイオ
ンビーム照射に伴う正電荷の中和に利用することによっ
て、基板の正帯電を防止するだけでなく、基板の負帯電
をも小さく抑制することができ、基板の帯電防止を非常
に効果的に行うことができる。その結果、基板表面に形
成されるデバイスの微細化にも十分に対応することがで
きる。
トからの熱電子を含めた全ての電子のファラデーカップ
に対するエネルギーが、第1または第2のアーク電源の
出力電圧相当のエネルギー以下に収まるので、第2ファ
ラデーカップ内に導入される電子の最大エネルギーが小
さく抑えられる。しかも、この最大エネルギーは、フィ
ラメント電源の出力電圧の影響を受けないので、アーク
電流の増大やフィラメントの経時変化に伴ってフィラメ
ント電源の出力電圧が変動したとしても、当該最大エネ
ルギーは変動しない。従って、このような最大エネルギ
ーが小さく、しかもそれが変動しない電子を基板のイオ
ンビーム照射に伴う正電荷の中和に利用することによっ
て、基板の正帯電を防止するだけでなく、基板の負帯電
をも小さく抑制することができ、基板の帯電防止を非常
に効果的に行うことができる。その結果、基板表面に形
成されるデバイスの微細化にも十分に対応することがで
きる。
【0058】請求項2記載の発明によれば、プラズマシ
ャワーに異常が生じると電流計測器に流れる電流の大き
さが変化してそれを比較器で検出することができるの
で、簡単な構成で、プラズマシャワーに異常が生じた場
合に速やかにそれを検出することができる。
ャワーに異常が生じると電流計測器に流れる電流の大き
さが変化してそれを比較器で検出することができるの
で、簡単な構成で、プラズマシャワーに異常が生じた場
合に速やかにそれを検出することができる。
【図1】この発明に係るイオン照射装置の一例を示す断
面図である。
面図である。
【図2】図1の装置中のa〜e点における電位分布の一
例を示す図である。
例を示す図である。
【図3】従来のイオン照射装置の一例を示す断面図であ
る。
る。
【図4】図3の装置中のa〜e点における電位分布の一
例を示す図である。
例を示す図である。
2 イオンビーム 4 ホルダ 6 基板 8 ファラデーカップ 14a プラズマ生成容器 20 フィラメント 22 フィラメント電源 24 プラズマ 36 コイル(磁束発生手段) 42a 第1のアーク電源 42b 第2のアーク電源 60 第2ファラデーカップ 64 連通筒 66 電流計測器 70 比較器
Claims (2)
- 【請求項1】 基板を保持するホルダと、このホルダの
上流側付近に設けられていて二次電子のアースへの逃げ
を防止する筒状のファラデーカップとを備え、このファ
ラデーカップ内を通してイオンビームをホルダ上の基板
に照射して当該基板に処理を施すイオン照射装置におい
て、前記ファラデーカップの壁面の一部に設けられた孔
と、前記ファラデーカップ内にそれから電気的に絶縁し
て設けられていて前記ファラデーカップの孔に対応する
位置に孔を有する筒状の第2ファラデーカップと、前記
ファラデーカップの孔の外側付近に設けられていて内部
にガスが導入されかつ当該ファラデーカップ側に小孔を
有するプラズマ生成容器と、このプラズマ生成容器内に
設けられたフィラメントと、前記プラズマ生成容器の小
孔を含む部分と前記第2ファラデーカップの孔を含む部
分とを前記ファラデーカップの孔を通して連通させるも
のであって、第2ファラデーカップには電気的に接続さ
れており、ファラデーカップおよびプラズマ生成容器と
は電気的に絶縁された連通筒と、前記プラズマ生成容器
内からこの連通筒内にかけての領域に、それらの軸方向
に沿う磁束を発生させる磁束発生手段と、前記フィラメ
ントの両端部に接続された直流のフィラメント電源と、
このフィラメント電源の負極と前記プラズマ生成容器と
の間に前者を負極側にして接続された直流のアーク電源
であって互いに順方向に直列接続された第1および第2
のアーク電源から成るものとを備え、前記ファラデーカ
ップをこの第1および第2のアーク電源の接続点に接続
し、かつ前記ホルダと第2ファラデーカップとを互いに
並列接続してそれらを直接または電流計測器を介して同
アーク電源の接続点に接続していることを特徴とするイ
オン照射装置。 - 【請求項2】 前記ホルダと第2ファラデーカップとを
互いに並列接続してそれらを電流計測器を介して前記第
1および第2のアーク電源の接続点に接続し、更に、こ
の電流計測器で計測した電流を予め設定した基準値と比
較して前者が後者よりも大のときに検出信号を出力する
比較器を設けたことを特徴とする請求項1記載のイオン
照射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8238535A JPH1064476A (ja) | 1996-08-20 | 1996-08-20 | イオン照射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8238535A JPH1064476A (ja) | 1996-08-20 | 1996-08-20 | イオン照射装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1064476A true JPH1064476A (ja) | 1998-03-06 |
Family
ID=17031701
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8238535A Pending JPH1064476A (ja) | 1996-08-20 | 1996-08-20 | イオン照射装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1064476A (ja) |
-
1996
- 1996-08-20 JP JP8238535A patent/JPH1064476A/ja active Pending
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