JPH1060562A - 電子機器用銅合金及びその製造方法 - Google Patents

電子機器用銅合金及びその製造方法

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JPH1060562A
JPH1060562A JP8214686A JP21468696A JPH1060562A JP H1060562 A JPH1060562 A JP H1060562A JP 8214686 A JP8214686 A JP 8214686A JP 21468696 A JP21468696 A JP 21468696A JP H1060562 A JPH1060562 A JP H1060562A
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copper alloy
alloy
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JP8214686A
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Takao Hirai
崇夫 平井
Tatsuhiko Eguchi
立彦 江口
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多ピンリードフレーム等に好適な電子機器用
銅合金を提供する。 【解決手段】 Niを 0.4〜4.0wt%、Siを 0.1〜1.0wt%、
Srを 0.002〜0.2wt%含み、0.05〜1.5wt%のZn、0.01〜0.
5wt%のMg、0.01〜0.5wt%のMn、 0.001〜0.3wt%のAgの中
から選ばれる1種又は2種以上を総計で 0.001〜1.5wt%
含み、S 、O2の含有量が各々0.005wt%未満であり、残部
Cu及び不可避的不純物からなる電子機器用銅合金。 【効果】 強度と導電性に優れ、又貴金属めっき性、半
田付性、打抜加工性にも優れる。従ってリードフレーム
を始め、端子、コネクター、電極等の導電材料全般に好
適に使用でき、電子機器の高密度化、高集積化、リード
フレームの多ピン化等に充分対応できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気電子機器用の
リード材、端子材、コネクター材、スイッチ材等に適し
た銅合金、特にIC等の半導体素子用のリード材に好適な
銅合金に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体のリードフレーム材、端子
材としては、鉄系材料の他、電気伝導性及び熱伝導性に
優れた銅系材料も多く用いられている。近年は半導体機
器の高集積化や小型化が進み、これらに使用される銅合
金にも、電気伝導性、熱伝導性に優れる銅系材料が多く
用いられるようになってきた。リードフレーム材には、
電気伝導性や熱伝導性の他、貴金属(Ag,Pd等) めっきや
半田めっき等が施される場合は、めっき性や半田接合性
にも優れることが求められている。その他、リードフレ
ーム材は端子材等よりも高い表面平滑度が求められる
等、より高度の特性が要求されている。又リードフレー
ムは、通常、打抜加工やエッチング加工により成形され
るので、これらの加工性に優れることも必要である。こ
のような広範囲な諸特性を満足することの他、価格が実
用的なことも重要である。
【0003】このような広範囲な要求に応える銅系材料
として、従来から Cu-Sn系、 Cu-Fe系等の材料が広く用
いられてきた。しかし、上述の広範囲な要求は、近年の
半導体機器の高集積化や小型化、或いは高密度実装に応
じてより厳しくなり、前記従来材では十分な対応ができ
なくなってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
近年は析出硬化型のCu-Ni-Si系合金や Cu-Cr系合金等が
用いられるようになった。これらの析出硬化型銅合金
は、Cuマトリックス中にNiとSiの化合物、又はCrを析出
させたものであり、強度と導電性のバランスの良い合金
である。しかし、近年、半導体機器の小型化、高密度化
が一層進展し、又リードフレームの多ピン化も進み、強
度や導電性の他、より優れた打抜加工性又はエッチング
性が要求されるようになった。具体的には、打抜き端面
又はエッチング端面に晶出物や析出物が露出している
と、Ag等のめっき層の密着性が低下し、又打抜加工時に
バリが生じてめっき性が劣化し、又短絡の原因にもな
る。又高度成長を続ける半導体需要に対応するには、リ
−ドフレ−ムはより早く、より安く製造する必要があ
る。リ−ドフレ−ムを安く製造するにはスタンピングに
よる打抜加工が有力である。そしてこの打抜加工では、
如何に長時間連続操業が行えるか、如何に打抜き不良を
低減できるかが大きな課題となっている。打抜き不良の
原因には、バリの発生と打抜き粉の発生とがある。中で
も、バリの発生はリードフレーム間の短絡の原因にな
り、リードフレームの寸法精度を悪化させ、金型寿命を
低下させる等の弊害を招く。これらの弊害は、特に多ピ
ンリードフレームにおいて著しい。このようにリ−ドフ
レ−ム材料の打抜加工性に対する要求レベルは以前とは
比べものにならない程高くなっており、前記析出硬化型
銅合金でも充分には対応できない状況にある。本発明者
らは、リードフレーム材料の研究を進める中で、前記Cu
-Ni-Si系合金の合金元素の含有量や不純物量を子細に規
定し、更に晶出物又は析出物の大きさを規定すること
で、打抜加工性等の諸特性を大幅に向上し得ることを見
いだし、更に研究を進めて本発明を完成させるに至っ
た。本発明の目的は、多ピンリードフレーム等に好適な
電子機器用銅合金を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
Niを 0.4〜4.0wt%、Siを 0.1〜1.0wt%、Srを 0.002〜0.
2wt%含み、0.05〜1.5wt%のZn、0.01〜0.5wt%のMg、0.01
〜0.5wt%のMn、 0.001〜0.3wt%のAgの中から選ばれる1
種又は2種以上を総計で 0.001〜1.5wt%含み、S 、O2
含有量が各々0.005wt%未満であり、残部Cu及び不可避的
不純物からなることを特徴とする電子機器用銅合金であ
る。
【0006】請求項2記載の発明は、Niを 0.4〜4.0wt
%、Siを 0.1〜1.0wt%、Srを 0.002〜0.2wt%含み、0.05
〜1.5wt%のZn、0.01〜0.5wt%のMg、0.01〜0.5wt%のMn、
0.001〜0.3wt%のAgの中から選ばれる1種又は2種以上
を総計で 0.001〜1.5wt%含み、S 、O2の含有量が各々0.
005wt%未満であり、残部Cu及び不可避的不純物からなる
銅合金であって、前記銅合金の晶出物又は析出物の大き
さが 3μm未満、結晶粒度が10μm未満であることを特
徴とする電子機器用銅合金である。
【0007】請求項3記載の発明は、請求項1記載の銅
合金を 5℃/sec以上の冷却速度で鋳造し、得られた鋳塊
を 800〜950 ℃に加熱して熱間加工した後、10℃/sec以
上の速度で急冷し、次いで冷間加工と 350〜550 ℃で10
分以上の熱処理を少なくとも1回以上施すことを特徴と
する電子機器用銅合金の製造方法である。
【0008】請求項4記載の発明は、請求項1記載の銅
合金を 5℃/sec以上の冷却速度で鋳造し、得られた鋳塊
を 800〜950 ℃に加熱して熱間加工し、次いで冷間加工
を行い、この冷間加工材に 750〜900 ℃で30〜300sec保
持後、20℃/sec以上の冷却速度で急冷する中間溶体化処
理を施し、次いで冷間加工と 350〜550 ℃で10分以上の
熱処理を少なくとも1回以上施すことを特徴とする電子
機器用銅合金の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の電子機器用銅合金は特に
リードフレームに好適な合金であるが、端子やコネクタ
ー等にも広く適用可能である。請求項1記載の発明の銅
合金は、Cuマトリックス中にNiとSiを添加し、これを化
合物として析出させて所望の強度と導電性を得、又特定
元素を添加してめっき性や打抜加工性等を改善したもの
である。請求項2記載の発明は、合金元素等の他、晶出
物や析出物の径、及び結晶粒度を規定して打抜加工性を
更に改善したものである。
【0010】以下に、本発明の電子機器用銅合金の成分
について説明する。NiとSiは、Cuマトリックス中に析出
して、導電率の低下を抑えて強度を大幅に向上させる。
前記Niの添加量を 0.4〜4.0wt%に規定した理由は、0.4w
t%未満では析出量が少なく充分な強度が得られず、4.0w
t%を超えると鋳造又は熱間加工時に強度向上に寄与しな
い析出物が生成し、添加量に見合う強度が得られないば
かりか、熱間加工性や曲げ加工性に悪影響を及ぼし、又
晶出物や析出物が粗大化してリードフレーム端面から突
出して貴金属めっきの密着性を悪化させる為である。Si
はNiと反応して Ni2Si組成の化合物を生成する。従って
Niの添加量が決まると最適なSi添加量が決まる。Siの添
加量を 0.1〜1.0wt%に規定した理由は、0.1wt%未満で
は、Niの場合と同様に充分な強度が得られず、1.0wt%を
超えるとNiの場合と同様の種々の問題が生じる為であ
る。
【0011】Zn、Mg、Mnは、そのメカニズムは定かでな
いが、半田付性及び半田めっき性を改善する。又半田め
っき層の耐熱剥離性を改善する。Znの添加量を0.05〜1.
5wt%に規定した理由は、 0.05wt%未満ではその効果が充
分に得られず、1.5wt%を超えると半田付性が低下する為
である。Mgの添加量を0.01〜0.5wt%に規定した理由は、
0.01wt%未満では半田めっき層の耐熱剥離性が改善され
ず、0.5wt%を超えると大幅な導電率の低下を招くばかり
でなく、半田濡れ性など表面特性が悪化する為である。
適量のMgは、熱間加工性及び耐熱性を改善し、又Cu中の
Siの酸化を抑えることで半田濡れ性を改善する。Mnの添
加量を0.01〜0.5wt%に規定した理由は、 0.01wt%未満で
は半田めっき耐熱剥離性が改善されず、0.5wt%を超える
とその効果が飽和する上、導電率が大幅に低下する為で
ある。
【0012】Cu-Ni-Si系合金の強度を上昇させる為に様
々な第三元素の添加が試みられ、幾多の合金が提案され
ているが、その多くは導電率や曲げ成形性等の電子機器
用材料として必須の特性を低下させるものであった。本
発明者らは、種々検討の結果、強度を向上させ、且つ他
の特性を害さない元素として、Agが有効なことを見出し
た。本発明において、Agは、強度の他、耐熱性を向上さ
せ、結晶粒の粗大化を阻止し、更に後述のPb等の添加元
素と相まって打抜加工性をも向上させる。Agの添加量を
0.001〜0.3wt%に規定した理由は、0.001wt%未満ではそ
の効果が充分に得られず、0.3wt%を超えるとその効果が
飽和する上、コスト高を招く為である。前記Zn、Mg、M
n、Agの元素の中から2種以上を同時に添加する場合の
総量は、耐熱性、半田付性、半田めっき耐熱剥離性、導
電性などの観点から 0.001〜1.5wt%に規定した。
【0013】近年、リードフレームのピン間は狭くなる
傾向にあり、又ピン数が非常に多い多ピンリードフレー
ムの需要が増えている。従って、更なる打抜加工性の向
上、特に端面の精密さの向上が望まれている。本発明で
は、もともと打抜加工性に優れるCu-Ni-Si系合金にSrを
適量添加して、打抜き端面の精密化、バリ発生の抑制、
打抜き後の寸法や形状の安定化、金型の寿命延長等の一
層の向上を図っている。前記Srを 0.002〜0.2wt%に規定
した理由は、0.002wt%未満ではその効果が十分に得られ
ず、0.2wt%を超えると製造時に割れ等の欠陥が発生し易
くなる為である。
【0014】工業用銅系材料には、不純物として S、O2
等が微量含まれ、Cu-Ni-Si系銅合金ではその影響が特に
大きい。その為、本発明では、優れた特性の実現を図る
為、これら不純物元素の量も厳密に規定する。S は熱間
加工性を悪化させるので、その量は0.005wt%未満に規定
する。特には0.002wt%未満が望ましい。O2は合金元素の
Siを酸化させてその析出硬化作用を阻害する上、半田濡
れ性、貴金属めっきの密着性などの表面特性を低下させ
るので、その量は0.005wt%未満に規定する。特には0.00
2wt%未満が望ましい。本発明では、このように不純物量
の上限を規定することでリードフレーム等に好適な特性
を実現させ得たのである。
【0015】請求項2記載の発明において、晶出物又は
析出物の大きさは 3μm未満に規定する。その理由は、
晶出物又は析出物の大きさは 3μm未満にすると、貴金
属めっきの密着性やめっき層の耐加熱膨れ性が一層向上
する為である。又結晶粒度は10μm未満に規定する。そ
の理由は、結晶粒度を10μm未満に規定するとAgやSrの
添加による打抜加工性がより改善される為である。結晶
粒度が10μm未満だと、エッチング加工を採用した場
合、エッチング加工後の端面が平滑になりめっき性が向
上するという効果も得られる。
【0016】請求項3記載の発明は本発明の製造方法で
ある。請求項2記載の発明の銅合金は、 5℃/sec以上の
冷却速度で鋳造し、得られた鋳塊を 800〜950 ℃に加熱
して熱間加工した後、10℃/sec以上の速度で冷却し、次
いで冷間加工と 350〜550 ℃で10分以上の熱処理を少な
くとも1回以上施すことにより製造される。
【0017】前記製造方法において、鋳造時の冷却速度
を 5℃/sec以上とする理由は、この冷却速度未満では生
成する晶出物が 3μmを超える為である。次の熱間加工
を 800〜950 ℃の温度で行う理由は、 800℃未満では N
i-Si化合物が 3μmを超える為である。又 950℃を超え
ると、酸化被膜が厚く成長して材料歩留まりが低下し、
又エネルギーコストが嵩む為である。前記熱間加工後10
℃/sec以上で急冷するのは、 Ni-Siの化合物を 3μm未
満に抑える為である。次いで冷間加工と熱処理を施し
て、銅合金中に固溶したNiとSiを微細に析出させる。前
記熱処理を 350〜550 ℃で10分以上の条件で行う理由
は、 350℃未満又は10分未満では、析出が不十分となり
リードフレーム材等としてバランスのとれた特性が得ら
れず、熱処理温度が 550℃を超えると結晶粒度が大きく
なり打抜加工性が低下する。なお、24時間を超えて熱処
理しても、その効果が飽和し、生産性が悪化する。
【0018】前記冷間加工と熱処理を少なくとも1回以
上繰返した後、更に冷間加工と、やや低温の熱処理(200
〜400 ℃) を施すと良い。これによって曲げ加工性や異
方性が改善され、内部応力も除去される。この熱処理
は、還元性雰囲気か不活性雰囲気で行うことが望まし
く、その熱処理方法はバッチ処理でもテンションアニー
リング等の走間処理でも良い。又必要に応じて熱処理前
若しくは後にテンションレベラーやローラーレベラー等
の矯正を行っても良い。
【0019】前記請求項3記載の発明における熱間加工
後急冷して行う溶体化処理は、請求項4記載の発明のよ
うに、熱間加工材を冷間加工し、これを 750〜900 ℃で
30〜300sec保持した後、20℃/sec以上の冷却速度で急冷
して行うこともできる。前記保持温度を 750〜900 ℃に
規定した理由は、 750℃未満では 3μmを超える粗大な
析出物が生成し、 900℃を超えると二次再結晶が急速に
進行して結晶粒度を10μm未満に抑えるのが困難になる
為である。前記保持時間も前記保持温度の場合と同様の
理由で30〜300secに規定する。又冷却速度を20℃/sec以
上とするのは、冷却速度が20℃/sec未満では冷却途中に
3μmを超える析出物が生成する為である。この方法で
は、熱間加工後の冷却はいたずらに速くする必要はな
い。
【0020】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。 (実施例1)表1に示す組成の合金を高周波溶解炉にて
溶解し、冷却速度 6℃/secで鋳造し厚さ30mm、幅100mm
、長さ150mm の鋳塊を得た。次にこれら鋳塊を 900℃
で、厚さ12mmまで熱間圧延し、圧延後、速やかに30℃/s
ecの冷却速度で急冷した。次いで厚さ 9mmまで面削して
酸化被膜を除去した。次に厚さ0.30mmに冷間圧延し、こ
れに不活性雰囲気中で 440℃、2時間の熱処理を施し、
次いで厚さ 0.2mmに最終冷間圧延し、更に 380℃で2時
間の最終熱処理を施した。
【0021】得られた各々の板材について、結晶粒の
大きさ、晶出物又は析出物の大きさ、強度、導電
率、めっき性、半田付性、打抜加工性を調査し
た。 結晶粒の大きさは光学顕微鏡(200倍) により測定し
た。 晶出物又は析出物の大きさは走査型電子顕微鏡 (5000
倍) により測定した。 引張強度はJISZ2241に準じて測定した。 導電率はJISH0505に準じて測定した。 めっき性は試験片を電解脱脂後10%H2SO4溶液で酸洗
し、乾燥させた後Agめっきを施し、大気中で 450℃で10
分間加熱後、光学顕微鏡(20倍)により膨れの有無を観
察して評価した。 半田付性は (イ)半田濡れ性と (ロ)半田耐熱剥離性を調
べて評価した。 (イ)半田濡れ性は、10×50mmの試験片をロジン系(RM
A)のフラックスに 5秒間浸漬した後、 230℃の共晶半
田(Pb-63wt%Sn)浴中に 5秒間浸漬し、半田の濡れ具合を
目視観察して評価した。濡れ面積が 90%以上を良、 90%
未満を不良とした。 (ロ)半田耐熱剥離性は上記と同様に半田を付着させた試
験片を大気中で 150℃で1000時間加熱し、次いで 180度
の密着曲げを行い、この曲げを戻して曲げ部分の半田剥
離を目視観察して評価した。 打抜加工性は SKD11製の金型で 1×5mm の角孔を開け
る打抜き試験を行い、打抜回数が5001回目から10000 回
目の打抜き材を20個無作為に抽出し、この打抜き材のバ
リの高さを測定し、その平均値で評価した。又打抜き面
を観察して破断部(刃が触れずに破断した部分)の厚さ
を測定し、試験片の厚さに対する破断部の厚さの割合を
求めて評価した。前記破断部の厚さの割合は大きい程良
い。結果を表2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】表2より明らかなように、本発明例品 (N
o.1〜9)は、何れも優れた特性を示した。これに対し、
比較例品のNo.10 はNiとSiの量が多い為、晶出物(析出
物)が粗大であり、めっき性試験で膨れが生じた。No.1
1 はSi量が少なく Ni-Si系化合物の析出量が少ない為、
強度が低く、又余剰Niがマトリックス中に固溶し導電率
も低下した。No.12 はAgが添加されておらず、又Sr量が
少ない為、バリが大きく、破断部分の割合が小さくなり
打抜加工性に劣った。No.14 はZn、Mg、Mn、Agがいずれ
も添加されていない為、No.15 はZnの量が少ない為、い
ずれも半田耐熱剥離性に劣った。No.16 はZn量が多い
為、No.17 はMg量が多い為、いずれも半田濡れ性が低下
した。No.19 はO2量が多い為、Siが酸化して十分に析出
硬化せず強度が低下し、又めっき性試験で膨れが生じ、
又半田濡れ性が低下した。なお No.13はSr量が多い為、
又No.18 は S量が多い為いずれも熱間加工時に割れが生
じた。従って特性評価は行わなかった。
【0025】(実施例2)表1に示したNo.1の本発明合
金を用い、表3に示す条件にて板材を製造し、結晶粒の
大きさ、晶出物又は析出物の大きさ、強度、導電率、め
っき性、打抜加工性の調査を、実施例1の場合と同じ方
法により行った。結果を表4に示す。尚、板材の製造は
実施例1の工程(請求項3の発明)を踏襲して行った
が、一部は中間溶体化処理を含む製造方法(請求項4の
発明)により製造した。即ち、厚さ0.30mmに冷間圧延
後、不活性ガス中の熱処理と急速冷却により中間溶体化
処理を施し、その後不活性ガス中で時効熱処理し、次い
で厚さ 0.2mmの板材に冷間圧延し、これに 380℃で2時
間の最終熱処理を施して製造した。表4にはNo.1の実施
例1の結果を再掲しておいた。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】表4より明らかなように、本発明例品(No.
1,31〜37) は何れも優れた特性を示している。これに対
し、比較例品のNo.38 は鋳造時の冷却速度が遅い為、N
o.39 は熱間加工温度が低い為、No.40 は熱間加工後の
冷却速度が遅い為、いずれも晶出物が幾分大きくなり、
めっき性試験で膨れが若干生じた。No.41 は冷間加工の
途中で施す焼鈍(時効熱処理)温度が高い為、結晶粒度
が幾分大きくなり、打抜加工性が若干低下した。No.42
は熱間加工を1050℃で行っているが、特性は 950℃で熱
間加工した本発明例品のNo.1と殆ど同じである。従って
950℃を超える高温で熱間加工しても、材料の酸化ロス
と、加熱費を増大させるだけで、無駄なことがわかる。
No.43 は熱処理温度が低い為、強度と導電率がやや低目
となった。
【0029】以下に説明するものは中間溶体化処理を含
む工程で製造したものである。No.44 は溶体化温度が低
い為析出物が 3μmを超え、めっき性試験で膨れが少し
生じた。No.45 は溶体化温度が高い為、No.46 は保持時
間が300secを超えた為、いずれも結晶粒度が10μmを超
え、打抜加工性が若干劣った。No.47 は中間溶体化処理
での冷却速度が遅く、冷却途中で析出が生じ、めっき性
試験で膨れが少し生じた。No.48 は時効処理温度が高い
為、結晶粒が粗大化し打抜加工性が若干劣った。なお、
前記比較例品は、いずれも実用可能なものであった。
【0030】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の電子機器
用銅合金は、強度と導電性に優れ、又貴金属めっき性、
半田付性、打抜加工性にも優れる。従ってリードフレー
ムを始め、端子、コネクター、電極等の導電材料全般に
好適に使用でき、電子機器の高密度化、高集積化、リー
ドフレームの多ピン化等に充分対応できるものである。
依って工業上顕著な効果を奏する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Niを 0.4〜4.0wt%、Siを 0.1〜1.0wt%、
    Srを 0.002〜0.2wt%含み、0.05〜1.5wt%のZn、0.01〜0.
    5wt%のMg、0.01〜0.5wt%のMn、 0.001〜0.3wt%のAgの中
    から選ばれる1種又は2種以上を総計で 0.001〜1.5wt%
    含み、S 、O2の含有量が各々0.005wt%未満であり、残部
    Cu及び不可避的不純物からなることを特徴とする電子機
    器用銅合金。
  2. 【請求項2】 Niを 0.4〜4.0wt%、Siを 0.1〜1.0wt%、
    Srを 0.002〜0.2wt%含み、0.05〜1.5wt%のZn、0.01〜0.
    5wt%のMg、0.01〜0.5wt%のMn、 0.001〜0.3wt%のAgの中
    から選ばれる1種又は2種以上を総計で 0.001〜1.5wt%
    含み、S 、O2の含有量が各々0.005wt%未満であり、残部
    Cu及び不可避的不純物からなる銅合金であって、前記銅
    合金の晶出物又は析出物の大きさが 3μm未満、結晶粒
    度が10μm未満であることを特徴とする電子機器用銅合
    金。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の銅合金を 5℃/sec以上の
    冷却速度で鋳造し、得られた鋳塊を 800〜950 ℃に加熱
    して熱間加工した後、10℃/sec以上の速度で急冷し、次
    いで冷間加工と 350〜550 ℃で10分以上の熱処理を少な
    くとも1回以上施すことを特徴とする電子機器用銅合金
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の銅合金を 5℃/sec以上の
    冷却速度で鋳造し、得られた鋳塊を 800〜950 ℃に加熱
    して熱間加工し、次いで冷間加工を行い、この冷間加工
    材に 750〜900 ℃で30〜300sec保持後、20℃/sec以上の
    冷却速度で急冷する中間溶体化処理を施し、次いで冷間
    加工と 350〜550 ℃で10分以上の熱処理を少なくとも1
    回以上施すことを特徴とする電子機器用銅合金の製造方
    法。
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