JPH106001A - 耐食性・耐摩耗性に優れた肉盛りロールの製造方法 - Google Patents
耐食性・耐摩耗性に優れた肉盛りロールの製造方法Info
- Publication number
- JPH106001A JPH106001A JP16876496A JP16876496A JPH106001A JP H106001 A JPH106001 A JP H106001A JP 16876496 A JP16876496 A JP 16876496A JP 16876496 A JP16876496 A JP 16876496A JP H106001 A JPH106001 A JP H106001A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- welding
- roll
- build
- corrosion resistance
- heat input
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Arc Welding In General (AREA)
- Continuous Casting (AREA)
- Heat Treatments In General, Especially Conveying And Cooling (AREA)
- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐食性・耐摩耗性に優れた肉盛りロールの製
造方法を提案する。 【解決手段】 帯状電極によるサブマージアーク溶接法
を用いて、ロール表層部に、重量％で、Ｃ：0.07％以
下、Ni：3.0 〜5.0 ％、Cr：15.0〜17.5％、Cu：3.0 〜
5.0 ％、NbおよびTaを合計で0.10〜0.45％を含有し残部
Feおよび不可避的不純物からなるステンレス鋼を、溶接
入熱（kJ/cm ）52kJ/cm 以下で肉盛り溶接する。溶接入
熱は、帯状電極の幅（mm) との関係で、制御するのが好
ましい。
造方法を提案する。 【解決手段】 帯状電極によるサブマージアーク溶接法
を用いて、ロール表層部に、重量％で、Ｃ：0.07％以
下、Ni：3.0 〜5.0 ％、Cr：15.0〜17.5％、Cu：3.0 〜
5.0 ％、NbおよびTaを合計で0.10〜0.45％を含有し残部
Feおよび不可避的不純物からなるステンレス鋼を、溶接
入熱（kJ/cm ）52kJ/cm 以下で肉盛り溶接する。溶接入
熱は、帯状電極の幅（mm) との関係で、制御するのが好
ましい。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造設備や、
熱処理炉等に使用されるサポートロール、ガイドロー
ル、ピンチロール等鋳片や鋼片に直接接触するロールの
製造方法に関し、とくに耐食性、耐摩耗性に優れたロー
ルの製造方法に関する。
熱処理炉等に使用されるサポートロール、ガイドロー
ル、ピンチロール等鋳片や鋼片に直接接触するロールの
製造方法に関し、とくに耐食性、耐摩耗性に優れたロー
ルの製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】連続鋳造設備や、熱処理炉等で使用され
るロールは、高温の鋳片や鋼片と接触し、表面が極めて
高温に曝される。とくに、連続鋳造用ロールでは、鋳型
から半凝固した鋳片を連続的に引出し、冷却させ、かつ
鋳片を保持、案内する役目を有している。このため、ロ
ールは、鋳片との接触箇所で表面温度が急上昇し、つい
で強制冷却により、低温となる熱サイクルを繰り返し受
ける。また、鋳片との接触で擦れたり、衝突したりして
ロール表面には損傷を受けやすい。このようなことか
ら、連鋳ロールの表面には無数のヒートクラック等が発
生し、亀裂がロール内部まで進行し、ロール折損事故が
多発していた。
るロールは、高温の鋳片や鋼片と接触し、表面が極めて
高温に曝される。とくに、連続鋳造用ロールでは、鋳型
から半凝固した鋳片を連続的に引出し、冷却させ、かつ
鋳片を保持、案内する役目を有している。このため、ロ
ールは、鋳片との接触箇所で表面温度が急上昇し、つい
で強制冷却により、低温となる熱サイクルを繰り返し受
ける。また、鋳片との接触で擦れたり、衝突したりして
ロール表面には損傷を受けやすい。このようなことか
ら、連鋳ロールの表面には無数のヒートクラック等が発
生し、亀裂がロール内部まで進行し、ロール折損事故が
多発していた。
【０００３】そこで、表面に損傷を受けたロールを肉盛
りにより再生することが行われている。例えば、特公昭
53-29655公報には、ロール表面にCr、Moを含んだ低合金
鋼にＶ、Ｗ等を添加して肉盛り溶接した連続鋳造用ロー
ルが提案されている。しかし、この方法でも、ヒートク
ラックの発生は防止できるが、まだ、ロールの寿命は短
かかったという問題があった。
りにより再生することが行われている。例えば、特公昭
53-29655公報には、ロール表面にCr、Moを含んだ低合金
鋼にＶ、Ｗ等を添加して肉盛り溶接した連続鋳造用ロー
ルが提案されている。しかし、この方法でも、ヒートク
ラックの発生は防止できるが、まだ、ロールの寿命は短
かかったという問題があった。
【０００４】最近では、高温に加熱され冷却される熱サ
イクルを受ける環境では、高温における強度、延性およ
び酸化性に優れた１３Crマルテンサイト系ステンレス鋼
あるいは、Niを含有した１３Crマルテンサイト系ステン
レス鋼をロール表面に肉盛りして使用されている。しか
し、上記した成分系でも、まだロールの寿命が短く問題
を残していた。
イクルを受ける環境では、高温における強度、延性およ
び酸化性に優れた１３Crマルテンサイト系ステンレス鋼
あるいは、Niを含有した１３Crマルテンサイト系ステン
レス鋼をロール表面に肉盛りして使用されている。しか
し、上記した成分系でも、まだロールの寿命が短く問題
を残していた。
【０００５】さらに、連鋳ロールでは、冷却のための冷
却水によるロールの腐食が発生するという問題点があ
り、耐食性も合わせ有することが要求されている。ま
た、さらに、最近では、ワイヤを用いた肉盛り溶接では
溶着速度が遅く、ロール表面全面を肉盛り溶接する場合
には、溶接工数が多く、コスト高となるうえ納期が長い
という問題があった。
却水によるロールの腐食が発生するという問題点があ
り、耐食性も合わせ有することが要求されている。ま
た、さらに、最近では、ワイヤを用いた肉盛り溶接では
溶着速度が遅く、ロール表面全面を肉盛り溶接する場合
には、溶接工数が多く、コスト高となるうえ納期が長い
という問題があった。
【０００６】これに対し、ロールの肉盛り溶接の能率を
向上し、補修能率を向上するために、ワイヤの代わりに
幅の広い金属帯を電極として使用するサブマージアーク
溶接法（バンドアーク法）が、各方面の肉盛り溶接に多
用されている。ワイヤの代わりに幅の広い金属帯を電極
として使用するサブマージアーク溶接法（バンドアーク
法）は、大電流を使用し溶着速度を高め、溶け込みが小
さく溶け込み線が均一で広幅の美しいビードが得られ
る。
向上し、補修能率を向上するために、ワイヤの代わりに
幅の広い金属帯を電極として使用するサブマージアーク
溶接法（バンドアーク法）が、各方面の肉盛り溶接に多
用されている。ワイヤの代わりに幅の広い金属帯を電極
として使用するサブマージアーク溶接法（バンドアーク
法）は、大電流を使用し溶着速度を高め、溶け込みが小
さく溶け込み線が均一で広幅の美しいビードが得られ
る。
【０００７】しかし、帯状電極を用いたサブマージアー
ク溶接では、溶接入熱が高いため、溶接割れが多発する
という問題が常に発生している。さらに、高温度の熱間
で使用され、さらに繰り返し加熱冷却を受けるロール、
例えば、連続鋳造用ロールでは、まだ耐食性・耐摩耗性
が不足し、寿命が短いという問題があった。しかも、溶
接割れが発生せず、溶接能率が高く、しかも上記した要
求に対応できる肉盛りロールが要求されている。
ク溶接では、溶接入熱が高いため、溶接割れが多発する
という問題が常に発生している。さらに、高温度の熱間
で使用され、さらに繰り返し加熱冷却を受けるロール、
例えば、連続鋳造用ロールでは、まだ耐食性・耐摩耗性
が不足し、寿命が短いという問題があった。しかも、溶
接割れが発生せず、溶接能率が高く、しかも上記した要
求に対応できる肉盛りロールが要求されている。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を有利に解決し、耐食性・耐摩耗性に優れた肉盛りロー
ルの製造方法を提案することを目的とする。
を有利に解決し、耐食性・耐摩耗性に優れた肉盛りロー
ルの製造方法を提案することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決する手段】本発明者らは、上記した課題に
ついて鋭意検討した結果、高温度の熱間で使用され、さ
らに繰り返し加熱冷却を受け、耐食性および耐摩耗性を
要求されるロール、例えば、連続鋳造用ロールには、N
i、Crを多量に添加し、さらに、Nb、Ta、Cuを複合添加
し、析出硬化で高硬度が期待できる成分系のステンレス
鋼を、溶接能率の高いバンド溶接を利用しロール表面に
肉盛りするのが効果的であることに思い至った。
ついて鋭意検討した結果、高温度の熱間で使用され、さ
らに繰り返し加熱冷却を受け、耐食性および耐摩耗性を
要求されるロール、例えば、連続鋳造用ロールには、N
i、Crを多量に添加し、さらに、Nb、Ta、Cuを複合添加
し、析出硬化で高硬度が期待できる成分系のステンレス
鋼を、溶接能率の高いバンド溶接を利用しロール表面に
肉盛りするのが効果的であることに思い至った。
【００１０】まず、本発明の基礎になった実験について
説明する。連鋳ロール表面に、Ni、Cr、Cuを多量に含有
したステンレス鋼帯板を電極としてサブマージアーク溶
接により肉盛りを施した。しかし、肉盛り層には微細ク
ラックが多発した。そこで、微細割れについて、詳細に
検討した結果、微細割れの原因は、Ni、Cr、Cuが偏析し
たミクロ偏析によるもので、冷却速度が遅いことによる
と推定された。
説明する。連鋳ロール表面に、Ni、Cr、Cuを多量に含有
したステンレス鋼帯板を電極としてサブマージアーク溶
接により肉盛りを施した。しかし、肉盛り層には微細ク
ラックが多発した。そこで、微細割れについて、詳細に
検討した結果、微細割れの原因は、Ni、Cr、Cuが偏析し
たミクロ偏析によるもので、冷却速度が遅いことによる
と推定された。
【００１１】そこで、溶接条件を検討し、溶接割れの発
生と溶接入熱との関係を求めた。その結果を、溶接入熱
とバンド幅の関係で図１に示す。図１の斜線部内では、
Ni、Cr、Cuを多量に含有したステンレス鋼の帯板を用い
ても溶接割れは、発生しない。しかし、この範囲を外れ
ると、溶接割れや、ビード境界の溶け込み不良、あるい
は下層との溶け込み不良が発生し、良好な肉盛りとなら
ないという知見を得た。
生と溶接入熱との関係を求めた。その結果を、溶接入熱
とバンド幅の関係で図１に示す。図１の斜線部内では、
Ni、Cr、Cuを多量に含有したステンレス鋼の帯板を用い
ても溶接割れは、発生しない。しかし、この範囲を外れ
ると、溶接割れや、ビード境界の溶け込み不良、あるい
は下層との溶け込み不良が発生し、良好な肉盛りとなら
ないという知見を得た。
【００１２】本発明は、上記した知見をもとに構成され
たものである。すなわち、本発明は、帯状電極によるサ
ブマージアーク溶接法を用いて、ロール表層部に、重量
％で、Ｃ：0.07％以下、Ni：3.0 〜5.0 ％、Cr：15.0〜
17.5％、Cu：3.0 〜5.0 ％、Nbおよび／またはTaを合計
で0.10〜0.45％を含有し残部Feおよび不可避的不純物か
らなるステンレス鋼を、溶接入熱（kJ/cm ）52kJ/cm 以
下で肉盛り溶接することを特徴とする耐食性・耐摩耗性
に優れた肉盛りロールの製造方法である。また、本発明
では、前記溶接入熱が、図１に示す帯状電極の幅（mm)
と溶接入熱（kJ/cm ）の関係で、Ａ（25、25) 点、Ｂ
（37.5、28）点、Ｃ（50、38）点、Ｄ（50、52）点、Ｅ
（37.5、38）点、Ｆ（25、32）点を結ぶ範囲内で決定さ
れる溶接入熱とすることが好適である。
たものである。すなわち、本発明は、帯状電極によるサ
ブマージアーク溶接法を用いて、ロール表層部に、重量
％で、Ｃ：0.07％以下、Ni：3.0 〜5.0 ％、Cr：15.0〜
17.5％、Cu：3.0 〜5.0 ％、Nbおよび／またはTaを合計
で0.10〜0.45％を含有し残部Feおよび不可避的不純物か
らなるステンレス鋼を、溶接入熱（kJ/cm ）52kJ/cm 以
下で肉盛り溶接することを特徴とする耐食性・耐摩耗性
に優れた肉盛りロールの製造方法である。また、本発明
では、前記溶接入熱が、図１に示す帯状電極の幅（mm)
と溶接入熱（kJ/cm ）の関係で、Ａ（25、25) 点、Ｂ
（37.5、28）点、Ｃ（50、38）点、Ｄ（50、52）点、Ｅ
（37.5、38）点、Ｆ（25、32）点を結ぶ範囲内で決定さ
れる溶接入熱とすることが好適である。
【００１３】
【発明の実施の形態】本発明では、帯状電極によるサブ
マージアーク溶接法を用いて、ロール表面に肉盛りを施
す。本発明で用いる帯状電極は、通常製造される金属帯
を用いることができ、その板厚、板幅はとくに限定され
ないが、幅37.5mm〜50mmが、溶接能率から好適である。
マージアーク溶接法を用いて、ロール表面に肉盛りを施
す。本発明で用いる帯状電極は、通常製造される金属帯
を用いることができ、その板厚、板幅はとくに限定され
ないが、幅37.5mm〜50mmが、溶接能率から好適である。
【００１４】本発明では、ロール表面に肉盛られた状態
で、その組成が、重量％で、Ｃ：0.07％以下、Ni：3.0
〜5.0 ％、Cr：15.0〜17.5％、Cu：3.0 〜5.0 ％、Nbお
よび／またはTaを合計で0.10〜0.45％を含有し残部Feお
よび不可避的不純物からなるステンレス鋼となるよう
に、溶接材料（帯状電極、フラックス）を選択する。肉
盛層の成分組成の限定理由をつぎに説明する。
で、その組成が、重量％で、Ｃ：0.07％以下、Ni：3.0
〜5.0 ％、Cr：15.0〜17.5％、Cu：3.0 〜5.0 ％、Nbお
よび／またはTaを合計で0.10〜0.45％を含有し残部Feお
よび不可避的不純物からなるステンレス鋼となるよう
に、溶接材料（帯状電極、フラックス）を選択する。肉
盛層の成分組成の限定理由をつぎに説明する。
【００１５】Ｃ：0.07％以下 Ｃが0.07％を超えると、肉盛り溶接後の硬さが高くな
り、割れが発生し易くなり、Ｃ量の上限とした。 Ni：3.0 〜5.0 ％ Niは、基地に固溶し、基地の強度を高め、さらに、焼入
れ性を向上させ、基地を強度の高いマルテンサイトとす
る効果を有している。また、δフェライト量を低減する
効果を有している。3 ％未満では、その効果が少なく、
５％を超えると、オーステナイトが残りやすくなり強度
が低下し、耐摩耗性が低下する。
り、割れが発生し易くなり、Ｃ量の上限とした。 Ni：3.0 〜5.0 ％ Niは、基地に固溶し、基地の強度を高め、さらに、焼入
れ性を向上させ、基地を強度の高いマルテンサイトとす
る効果を有している。また、δフェライト量を低減する
効果を有している。3 ％未満では、その効果が少なく、
５％を超えると、オーステナイトが残りやすくなり強度
が低下し、耐摩耗性が低下する。
【００１６】Cr：15.0〜17.5％ Crは、耐食性を増加させる元素であり、15％未満では、
その効果が少なく、17.5％を超えると、所定の組織とす
ることが困難となり強度が低下するため、Crは15.0〜1
7.5％の範囲とした。 Cu：3.0 〜5.0 ％ Cuは、微細析出相を生成し、強度を増加する。3.0 ％未
満では、微細析出相の析出量が少なく、強度が低下す
る。5.0 ％を超えると、靱性が劣化し、割れを発生し易
くなる。このため、Cuは3.0 〜5.0 ％の範囲とした。
その効果が少なく、17.5％を超えると、所定の組織とす
ることが困難となり強度が低下するため、Crは15.0〜1
7.5％の範囲とした。 Cu：3.0 〜5.0 ％ Cuは、微細析出相を生成し、強度を増加する。3.0 ％未
満では、微細析出相の析出量が少なく、強度が低下す
る。5.0 ％を超えると、靱性が劣化し、割れを発生し易
くなる。このため、Cuは3.0 〜5.0 ％の範囲とした。
【００１７】Nbおよび／またはTaを合計で0.10〜0.45％ Nb、Taは炭化物を形成し、Ｃの安定化をはかるために添
加する。このため、0.10％未満では、Ｃの悪影響を防止
できなく、0.45％を超えると、靱性が劣化するため、Nb
および／またはTaを合計で0.10〜0.45％の範囲とした。
残部は実質的にFeである。不純物として、Si：1.0 ％以
下、Mn：1.0 ％以下は許容できる。
加する。このため、0.10％未満では、Ｃの悪影響を防止
できなく、0.45％を超えると、靱性が劣化するため、Nb
および／またはTaを合計で0.10〜0.45％の範囲とした。
残部は実質的にFeである。不純物として、Si：1.0 ％以
下、Mn：1.0 ％以下は許容できる。
【００１８】溶接は、サブマージアーク溶接法を用い
る。電極は、帯状金属帯を用いる。フラックスは、通常
公知のものが使用できる。フラックスから合金元素の添
加をしてもよい。本発明では、溶接割れを防止するた
め、溶接に先立ち、予熱を行うのが好ましい。予熱温度
は、150 〜200 ℃でよい。
る。電極は、帯状金属帯を用いる。フラックスは、通常
公知のものが使用できる。フラックスから合金元素の添
加をしてもよい。本発明では、溶接割れを防止するた
め、溶接に先立ち、予熱を行うのが好ましい。予熱温度
は、150 〜200 ℃でよい。
【００１９】溶接入熱（kJ/cm ）：52kJ/cm 以下 溶接入熱が52kJ/cm を超えると、溶接後微細割れが発生
するため、溶接時の上限入熱とした。用いる帯状電極の
幅により、溶接入熱は制限される。図１に示すように、
Ａ（25、25) 点、Ｂ（37.5、28）点、Ｃ（50、38）点、
Ｄ（50、52）点、Ｅ（37.5、38）点、Ｆ（25、32）点を
結ぶ範囲内（斜線部）の電極幅と溶接入熱の関係であれ
ば、溶接割れは発生しない。この範囲を外れる高い溶接
入熱では、溶接割れが発生し、さらにビードが厚くなり
すぎビード境界の溶け込みが不良となる。また、この範
囲を外れる低い溶接入熱では、下層との溶け込みが不良
となる。
するため、溶接時の上限入熱とした。用いる帯状電極の
幅により、溶接入熱は制限される。図１に示すように、
Ａ（25、25) 点、Ｂ（37.5、28）点、Ｃ（50、38）点、
Ｄ（50、52）点、Ｅ（37.5、38）点、Ｆ（25、32）点を
結ぶ範囲内（斜線部）の電極幅と溶接入熱の関係であれ
ば、溶接割れは発生しない。この範囲を外れる高い溶接
入熱では、溶接割れが発生し、さらにビードが厚くなり
すぎビード境界の溶け込みが不良となる。また、この範
囲を外れる低い溶接入熱では、下層との溶け込みが不良
となる。
【００２０】溶接後、析出硬化を促進するために、後熱
処理を行ってもよい。後熱処理は、570 〜630 ℃で行う
のが好ましい。本発明は、連鋳ロールに適用するのが最
も好ましいが、この用途に限定されるものではなく、熱
処理炉用の搬送ロールあるいはピンチロール等に適用し
ても好結果が得られる。
処理を行ってもよい。後熱処理は、570 〜630 ℃で行う
のが好ましい。本発明は、連鋳ロールに適用するのが最
も好ましいが、この用途に限定されるものではなく、熱
処理炉用の搬送ロールあるいはピンチロール等に適用し
ても好結果が得られる。
【００２１】
【実施例】直径350 mmφの連鋳ロール（Cr-Mo-Ｖ鋼）表
面に、SUS430の帯状電極（板幅50mm）と合金元素を添加
したフラックスとを用いたサブマージアーク溶接によ
り、Ｃ：0.05％、Si：0.3 ％、Mn：0.5 ％、Ni：4.0
％、Cr：17.0％、Cu：4.0 ％、Nb：0.15％を含有し残部
Feおよび不可避的不純物からなるステンレス鋼を３mm肉
盛りした。溶接入熱は、50kJ/cm であり、予熱は175 ℃
であった。肉盛り溶接後、PT検査を行い表面の割れを確
認した。割れの発生はみられず、表面が美しい良好な肉
盛り溶接ができた。
面に、SUS430の帯状電極（板幅50mm）と合金元素を添加
したフラックスとを用いたサブマージアーク溶接によ
り、Ｃ：0.05％、Si：0.3 ％、Mn：0.5 ％、Ni：4.0
％、Cr：17.0％、Cu：4.0 ％、Nb：0.15％を含有し残部
Feおよび不可避的不純物からなるステンレス鋼を３mm肉
盛りした。溶接入熱は、50kJ/cm であり、予熱は175 ℃
であった。肉盛り溶接後、PT検査を行い表面の割れを確
認した。割れの発生はみられず、表面が美しい良好な肉
盛り溶接ができた。
【００２２】この連鋳ロールを連続鋳造設備のセグメン
トロールとして装着し、鋳造を行ったが割れの発生もな
く、従来の13Cr-4Niの肉盛りロールに比べ、耐食性・耐
摩耗性に優れ寿命も２倍となった。
トロールとして装着し、鋳造を行ったが割れの発生もな
く、従来の13Cr-4Niの肉盛りロールに比べ、耐食性・耐
摩耗性に優れ寿命も２倍となった。
【００２３】
【発明の効果】本発明によれば、溶接能率が高く、耐食
性・耐摩耗性に優れた肉盛りロールが製造でき、連続鋳
造設備、熱処理設備等のロールとして好適であり、ロー
ル寿命を向上させ、補修コストの低減、能率の向上など
の効果を奏する。
性・耐摩耗性に優れた肉盛りロールが製造でき、連続鋳
造設備、熱処理設備等のロールとして好適であり、ロー
ル寿命を向上させ、補修コストの低減、能率の向上など
の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の溶接入熱範囲（斜線部）を示す帯状電
極幅と溶接入熱との関係を示す特性図である。
極幅と溶接入熱との関係を示す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ２３Ｋ 9/095 ５０１ 9348−4Ｅ Ｂ２３Ｋ 9/095 ５０１Ｂ 9/18 9/18 Ｆ 31/00 31/00 Ｈ 35/30 ３４０ 35/30 ３４０Ｄ Ｃ２１Ｄ 1/00 １１５ Ｃ２１Ｄ 1/00 １１５Ａ 9/56 １０１ 9/56 １０１Ｇ Ｃ２２Ｃ 38/00 ３０２ Ｃ２２Ｃ 38/00 ３０２Ｅ 38/48 38/48
Claims (2)
- 【請求項１】 帯状電極によるサブマージアーク溶接法
を用いて、ロール表層部に、重量％で、Ｃ：0.07％以
下、Ni：3.0 〜5.0 ％、Cr：15.0〜17.5％、Cu：3.0 〜
5.0 ％、Nbおよび／またはTaを合計で0.10〜0.45％を含
有し残部Feおよび不可避的不純物からなるステンレス鋼
を、溶接入熱（kJ/cm ）52kJ/cm 以下で肉盛り溶接する
ことを特徴とする耐食性・耐摩耗性に優れた肉盛りロー
ルの製造方法。 - 【請求項２】 前記溶接入熱が、図１に示す帯状電極の
幅（mm) と溶接入熱（kJ/cm ）の関係で、Ａ（25、25)
点、Ｂ（37.5、28）点、Ｃ（50、38）点、Ｄ（50、52）
点、Ｅ（37.5、38）点、Ｆ（25、32）点を結ぶ範囲内で
決定される溶接入熱であることを特徴とする請求項１記
載の肉盛りロールの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16876496A JPH106001A (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 耐食性・耐摩耗性に優れた肉盛りロールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16876496A JPH106001A (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 耐食性・耐摩耗性に優れた肉盛りロールの製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH106001A true JPH106001A (ja) | 1998-01-13 |
Family
ID=15874021
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP16876496A Pending JPH106001A (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 耐食性・耐摩耗性に優れた肉盛りロールの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH106001A (ja) |
Cited By (11)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006051524A (ja) * | 2004-08-12 | 2006-02-23 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | タービンロータの補修方法、溶接材料及びタービン |
| WO2007045351A1 (de) * | 2005-10-20 | 2007-04-26 | Siemens Vai Metals Technologies Gmbh & Co. | Verfahren zur herstellung einer strangführungsrolle, eine nach dem verfahren hergestellte strangführungsrolle und deren verwendung |
| WO2009130079A1 (de) * | 2008-04-22 | 2009-10-29 | Siemens Vai Metals Technologies Gmbh & Co | Rolle zum stützen und transportieren von heissem gut mit einer auftragsschweissung, verfahren zur herstellung einer rolle, mit einer auftragschweissung, verfahren zur wiederherstellung einer abgenützten rolle |
| CN101947682A (zh) * | 2010-09-06 | 2011-01-19 | 常州宝菱重工机械有限公司 | 连铸机框架表面堆焊的方法 |
| CN104827204A (zh) * | 2015-05-09 | 2015-08-12 | 安徽鼎恒再制造产业技术研究院有限公司 | 一种Co-Mn-Si-Fe纳米焊层及制备方法 |
| CN105499751A (zh) * | 2015-12-28 | 2016-04-20 | 湖北万安通复合再制造科技有限公司 | 用于热连轧夹送辊的硬面堆焊修复工艺 |
| CN107810992A (zh) * | 2016-09-13 | 2018-03-20 | 德大生技有限公司 | 用于制造天然杀虫剂的方法及其水淬装置 |
| IT201700036965A1 (it) * | 2017-04-04 | 2018-10-04 | Bruno Presezzi S P A | Struttura di camicia per rulli di colata continua, particolarmente per la produzione di nastri in alluminio o in lega di alluminio e di nastri in leghe a base di zinco |
| CN111843130A (zh) * | 2020-06-23 | 2020-10-30 | 苏州优霹耐磨复合材料有限公司 | 一种高碳高合金轧辊的堆焊工艺 |
| CN113369652A (zh) * | 2020-02-25 | 2021-09-10 | 中国科学院上海应用物理研究所 | 提高不锈钢基材表面耐磨性能的堆焊方法 |
| CN115255807A (zh) * | 2022-07-20 | 2022-11-01 | 北京晟鼎新材料科技有限公司 | 环锻轧机轴向轧辊和主轧辊长寿命堆焊修复及复合制造方法 |
-
1996
- 1996-06-28 JP JP16876496A patent/JPH106001A/ja active Pending
Cited By (21)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006051524A (ja) * | 2004-08-12 | 2006-02-23 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | タービンロータの補修方法、溶接材料及びタービン |
| JP4508772B2 (ja) * | 2004-08-12 | 2010-07-21 | 三菱重工業株式会社 | 蒸気タービンロータの補修方法、肉盛溶接材料及び蒸気タービン |
| WO2007045351A1 (de) * | 2005-10-20 | 2007-04-26 | Siemens Vai Metals Technologies Gmbh & Co. | Verfahren zur herstellung einer strangführungsrolle, eine nach dem verfahren hergestellte strangführungsrolle und deren verwendung |
| WO2009130079A1 (de) * | 2008-04-22 | 2009-10-29 | Siemens Vai Metals Technologies Gmbh & Co | Rolle zum stützen und transportieren von heissem gut mit einer auftragsschweissung, verfahren zur herstellung einer rolle, mit einer auftragschweissung, verfahren zur wiederherstellung einer abgenützten rolle |
| CN102149500A (zh) * | 2008-04-22 | 2011-08-10 | 西门子Vai金属科技有限责任公司 | 用于支承和运输热物料的辊子，用于加工辊子的方法，用于修复磨损的辊子的方法 |
| US20110294636A1 (en) * | 2008-04-22 | 2011-12-01 | Stefan Lechner | Roll for supporting and conveying hot material, process for producing the roll, process for repairing a worn roll, weld filler and welding wire for producing a build-up weld |
| CN102556618A (zh) * | 2008-04-22 | 2012-07-11 | 西门子Vai金属科技有限责任公司 | 用于支承和运输热物料的、具有堆焊的辊子 |
| US8845501B2 (en) | 2008-04-22 | 2014-09-30 | Siemens Vai Metals Technologies Gmbh | Process for producing a roll for supporting and conveying hot material, process for repairing a worn roll |
| CN101947682A (zh) * | 2010-09-06 | 2011-01-19 | 常州宝菱重工机械有限公司 | 连铸机框架表面堆焊的方法 |
| CN104827204A (zh) * | 2015-05-09 | 2015-08-12 | 安徽鼎恒再制造产业技术研究院有限公司 | 一种Co-Mn-Si-Fe纳米焊层及制备方法 |
| CN105499751A (zh) * | 2015-12-28 | 2016-04-20 | 湖北万安通复合再制造科技有限公司 | 用于热连轧夹送辊的硬面堆焊修复工艺 |
| CN107810992A (zh) * | 2016-09-13 | 2018-03-20 | 德大生技有限公司 | 用于制造天然杀虫剂的方法及其水淬装置 |
| CN107810992B (zh) * | 2016-09-13 | 2020-11-03 | 德大生技有限公司 | 用于制造天然杀虫剂的方法及其水淬装置 |
| IT201700036965A1 (it) * | 2017-04-04 | 2018-10-04 | Bruno Presezzi S P A | Struttura di camicia per rulli di colata continua, particolarmente per la produzione di nastri in alluminio o in lega di alluminio e di nastri in leghe a base di zinco |
| EP3385012A1 (en) | 2017-04-04 | 2018-10-10 | Bruno Presezzi S.p.A. | Jacket for a roller used in continuous casting, particularly for the production of aluminum or aluminum alloy strips and of zinc-based alloy strips |
| CN113369652A (zh) * | 2020-02-25 | 2021-09-10 | 中国科学院上海应用物理研究所 | 提高不锈钢基材表面耐磨性能的堆焊方法 |
| CN113369652B (zh) * | 2020-02-25 | 2023-12-22 | 中国科学院上海应用物理研究所 | 提高不锈钢基材表面耐磨性能的堆焊方法 |
| CN111843130A (zh) * | 2020-06-23 | 2020-10-30 | 苏州优霹耐磨复合材料有限公司 | 一种高碳高合金轧辊的堆焊工艺 |
| CN111843130B (zh) * | 2020-06-23 | 2022-04-19 | 苏州优霹耐磨复合材料有限公司 | 一种高碳高合金轧辊的堆焊工艺 |
| CN115255807A (zh) * | 2022-07-20 | 2022-11-01 | 北京晟鼎新材料科技有限公司 | 环锻轧机轴向轧辊和主轧辊长寿命堆焊修复及复合制造方法 |
| CN115255807B (zh) * | 2022-07-20 | 2024-04-09 | 北京晟鼎新材料科技有限公司 | 环锻轧机轴向轧辊和主轧辊长寿命堆焊修复及复合制造方法 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| KR100697905B1 (ko) | 스폿 용접성 및 재질안정성이 우수한 고강도 용융아연도금강판 및 그 제조방법 | |
| WO1994022606A1 (en) | Wear- and seizure-resistant roll for hot rolling | |
| JPH106001A (ja) | 耐食性・耐摩耗性に優れた肉盛りロールの製造方法 | |
| JP6245139B2 (ja) | 耐スケール剥離性に優れた耐サワー溶接鋼管用厚鋼板、およびその製造方法、ならびに溶接鋼管 | |
| JP4619635B2 (ja) | 高炭素鋼材の溶接方法 | |
| JP2002363650A (ja) | シーム溶接性に優れた超高強度冷延鋼板の製造方法 | |
| JP4273457B2 (ja) | 穴拡げ加工性に優れた構造用ステンレス鋼板 | |
| JPH05337690A (ja) | 耐摩耗性及び耐ビードマーク性に優れたサブマージアーク溶接用フラックス入りワイヤ | |
| JPH0860244A (ja) | オーステナイト系ステンレス厚鋼板の製造方法 | |
| JP3067477B2 (ja) | 耐食性、延性に優れた高Ｓｉ含有ステンレス溶接鋼管の製造方法 | |
| JPH10156500A (ja) | 耐熱亀裂性連続鋳造用肉盛ロール | |
| JP3528759B2 (ja) | Ｃｕ時効鋼およびその製造方法 | |
| JP4823441B2 (ja) | 熱間耐摩耗性および耐熱亀裂性にすぐれた連続鋳造用および熱間圧延用ロール | |
| JPH0565531A (ja) | 自動車ドア補強材用高強度焼入れ鋼管の製造方法 | |
| JP2018176195A (ja) | 熱延工場サイドガイド部材 | |
| JP2971326B2 (ja) | 連続鋳造用ロール | |
| JPS6367526B2 (ja) | ||
| CN105369128A (zh) | 奥氏体耐热铸钢、其制备方法及应用 | |
| JP2622516B2 (ja) | クリープ強度の優れた耐熱鋼用溶接材料 | |
| KR940008931B1 (ko) | 강도 및 내식성이 우수한 스테인레스 강재의 제조방법 | |
| JP2003170274A (ja) | ステンレス鋼板のフラッシュバット溶接方法 | |
| KR950004679B1 (ko) | 내부식성, 강도 및 용접성이 우수한 스테인레스강재의 제조방법 | |
| JP2022089303A (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼溶接用溶加材 | |
| JP6245138B2 (ja) | 耐スケール剥離性および材質均一性に優れた溶接鋼管用厚鋼板、ならびにその製造方法、ならびに溶接鋼管 | |
| JP2022114890A (ja) | フェライト・オーステナイト二相ステンレス鋼溶接構造物、フェライト・オーステナイト二相ステンレス鋼溶接継手及びフェライト・オーステナイト二相ステンレス鋼材の溶接方法 |