JPH105960A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造方法

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JPH105960A
JPH105960A JP16610596A JP16610596A JPH105960A JP H105960 A JPH105960 A JP H105960A JP 16610596 A JP16610596 A JP 16610596A JP 16610596 A JP16610596 A JP 16610596A JP H105960 A JPH105960 A JP H105960A
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JP
Japan
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mold
molten steel
inert gas
immersion nozzle
magnetic field
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Application number
JP16610596A
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English (en)
Inventor
Toshio Ishii
俊夫 石井
Noriko Kubo
典子 久保
Makoto Suzuki
真 鈴木
Masayuki Nakada
正之 中田
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続鋳造鋳型内の溶鋼湯面において、渦や盛
り上がりの発生を防止し、且つ、浸漬ノズルに吹き込む
不活性ガスの気泡による鋳型内溶鋼の湯面変動を防止し
て、非金属介在物のない高品質の鋳片を製造する。 【解決手段】 浸漬ノズル5内の溶鋼4に不活性ガスを
吹き込むと共に、浸漬ノズルを中心として鋳型幅方向左
右に2分割され、鋳型長辺1背面に設けられた磁場印加
装置10、11にて、左右独立に磁場を印加して鋳型内
溶鋼の流動を制御する鋼の連続鋳造方法において、鋳型
内溶鋼湯面における不活性ガス浮上量が浸漬ノズルの左
右で同じになるように磁場印加装置を制御すると共に、
鋳型内溶鋼の湯面変動の周波数が100Hz以下となる
ように不活性ガス吹き込み量を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳型内溶鋼の流動
を制御して、高品質の鋳片を製造する鋼の連続鋳造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造において、タンディッシュ
から浸漬ノズルを介して鋳型内に注入された溶鋼の吐出
流は、鋳型短辺側の凝固シェルに衝突して下降流と上昇
流とに分かれ、下降流は鋳片未凝固層深部に進入し、
又、上昇流は鋳型内溶鋼湯面で鋳型短辺から浸漬ノズル
に向かう流れとなって、溶鋼湯面に「渦」、「盛り上が
り」等の流れの乱れを生成させる。
【0003】脱酸生成物であるアルミナを主体とする介
在物は、下降流により鋳片未凝固層深くまで侵入して凝
固シェルに捕捉され、又、鋳型内溶鋼湯面上に添加され
たモールドパウダーは、溶鋼湯面の渦、盛り上がり等に
より溶鋼中に巻き込まれ、凝固シェルに補捉される。そ
して、これらが鋳片の品質欠陥の主原因であり、この現
象は、鋳造速度の増速に伴う吐出流速度の高速度化や、
浸漬ノズル内又は浸漬ノズル吐出孔にアルミナが付着し
て吐出流速が左右で不均一となる、所謂、偏流が発生し
た場合に顕著となっている。
【0004】このため、浸漬ノズルの形状変更や電磁力
を利用して、鋳型内の溶鋼流動を制御しようとする試み
が数多く提案されている。
【0005】そのうち電磁力を利用した方法として、特
開昭62−252650号公報(以下、「先行技術1」
と記す)には、浸漬ノズル左右の湯面レベル差を検出し
て、レベル差がなくなるように鋳型直下に設置した並進
方式の電磁攪拌装置の攪拌方向と攪拌推力を調整し、偏
流を防止し、高品質鋳片を安定して製造する方法が開示
されている。
【0006】又、特開平4−9255号公報(以下、
「先行技術2」と記す)には、鋳型幅方向に2又は4箇
の渦流式レベル計を設けると共に、浸漬ノズルからの溶
湯吐出部に電磁力を作用させるべく当該部位の鋳型外面
に電磁ブレーキ装置を設け、渦流式レベル計の信号に基
づき、鋳型内溶鋼の湯面レベル差が許容範囲を越えた
時、湯面レベルの高い部位の溶鋼に湯面の盛り上がりを
抑制する電磁力を印加させて偏流を抑制し、パウダーの
巻き込みや介在物の低減を目指す方法が開示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1及び先行技
術2共に、浸漬ノズル左右の鋳型内溶鋼レベル差を検出
し、所定値以内に制御するものであるが、通常、鋳型内
湯面にレベル差が生じた場合、レベル差を検出した時点
において、溶鋼湯面には既に渦や盛り上がりが発生し、
モールドパウダーの巻き込みが起こっている。そのた
め、先行技術1及び2のように湯面のレベル差を検出し
た後に、電磁攪拌や電磁ブレーキを用いて湯面レベル差
をなくしたとしても、モールドパウダーの巻き込みは既
に発生しているので、根本的にモールドパウダーの巻き
込みを防止することはできない。
【0008】一方、低炭素鋼等のAlキルド鋼を鋳造す
る場合には、浸漬ノズルの内部及び浸漬ノズル吐出孔へ
のアルミナ付着を防止するため、Arガス等の不活性ガ
スを浸漬ノズル内の溶鋼に吹き込むことが一般的に行わ
れている。
【0009】例えば、特開昭61−20659号公報に
よれば、スライディングノズル固定盤に設けた0.1〜
0.4mmの直径を有する小孔又はスリットから、微細
な不活性ガスの気泡をノズル内に吹き込み、アルミナの
付着を防止している。
【0010】しかし、従来、浸漬ノズル内に吹き込まれ
た不活性ガスが、鋳型内でどのように流れ、鋳型内溶鋼
湯面で浮上しているのかを知る手段がなく、又、不活性
ガス気泡の浮上に起因する鋳型内溶鋼の湯面変動による
モールドパウダーの巻き込みについては考慮されること
がなく、従って、鋳片品質との関係が明らかでないま
ま、不活性ガスは浸漬ノズル内に吹き込まれていた。
【0011】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは鋳型内の溶鋼湯面で、渦や
盛り上がりの発生を防止し、且つ、ガス気泡による湯面
変動を制御することにより、モールドパウダーの巻き込
みがなく、脱酸生成物の少ない高品質の鋳片を製造する
連続鋳造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による鋼の連続鋳
造方法は、浸漬ノズル内の溶鋼に不活性ガスを吹き込む
と共に、浸漬ノズルを中心として鋳型幅方向左右に2分
割され、鋳型長辺背面に設けられた磁場印加装置にて、
左右独立に磁場を印加して鋳型内溶鋼の流動を制御して
鋳造する矩形型鋳型を用いた鋼の連続鋳造方法におい
て、鋳型内溶鋼湯面における不活性ガス浮上量が浸漬ノ
ズルの左右で同じになるように磁場印加装置を制御する
と共に、鋳型内溶鋼の湯面変動の周波数が100Hz以
下となるように不活性ガス吹き込み量を制御することを
特徴とするものである。
【0013】矩形型鋳型を用いた連続鋳造においては、
浸漬ノズルから鋳型短辺に向けて吐出された溶鋼流は、
対向する鋳型短辺側の凝固シェルに衝突して上昇流と下
降流に分かれ、上昇流は溶鋼湯面に至り、溶鋼湯面では
鋳型中央方向への流れとなる。一方、浸漬ノズル周囲の
溶鋼湯面では、左右の鋳型短辺から鋳型中央に向かう流
れが衝突すること、更に、浸漬ノズルに吹き込む不活性
ガスの浮上に溶鋼が追随して流動するので、流れの方向
は一定せず、複雑な流れになる。
【0014】矩形型鋳型を用い磁場を印加しない鋳造条
件において、鋳型内溶鋼湯面の流速を浸漬ノズルの左右
で測定した場合に得られる溶鋼の表面流速の左右の差の
絶対値と、鋳片を薄鋼板まで圧延して調査された品質欠
陥インデックスの関係を図5に示す。尚、図5に示す溶
鋼湯面の流速は、鋳型幅の1/4の距離だけ浸漬ノズル
から鋳型短辺に離れた左右対称の位置で測定した結果で
ある。
【0015】図5から明らかなように、溶鋼湯面の流速
差が増加するに従い、品質欠陥のインデックスは上昇す
る、即ち、品質欠陥が発生し易くなることが判る。
【0016】ところで、浸漬ノズル内の溶鋼中に吹き込
まれた不活性ガスは、浸漬ノズルの吐出孔から排出され
ると溶鋼との比重差により浮上を開始し、鋳型内の溶鋼
湯面に浮き上がり、溶融モールドパウダー層を貫き大気
に至る。
【0017】モールドパウダー層内にガス回収装置の下
部を埋設して、浮上する不活性ガスを回収し、ガス分析
装置で分析した浸漬ノズル左右の不活性ガス量の比と浸
漬ノズルの左右の溶鋼表面流速の差との関係を図6に示
す。尚、浸漬ノルズ左右の不活性ガス量の比とは、浸漬
ノズルの左側で回収された不活性ガス量の合計を、浸漬
ノズルの右側で回収された不活性ガス量の合計で除算し
たものである。
【0018】図6から明らかなように、溶鋼の表面流速
の差が大きな場合には、表面流速の速い側において不活
性ガス浮上量が多く、不活性ガスの浮上量が浸漬ノズル
に対して非対称になっており、又、溶鋼の表面流速の差
が小さい場合には、不活性ガスの浮上量が左右で概ね同
じであることが確認される。
【0019】そこで、回収される浸漬ノズル左右の不活
性ガス量が略同じになるように磁場印加装置を制御する
ことにより、浸漬ノズル左右の溶鋼の表面流速が略同じ
になり、これによって品質欠陥の発生を防止することが
できる。
【0020】又、発明者等の調査結果では、溶鋼の表面
流速の差が小さくても、高品質な鋼種では、モールドパ
ウダー性の品質欠陥が発生しており、溶鋼の表面流速の
みの制御では不十分であることが判明した。
【0021】このモールドパウダー性の品質欠陥は、浸
漬ノズル内に吹き込んだ不活性ガスの気泡が湯面に浮上
して消滅する時に生じる鉛直方向の溶鋼湯面の変動によ
り、溶融状態のモールドパウダーが巻き込まれて発生す
るもので、そして、湯面変動の振幅が大きく、又、湯面
変動の周波数が高い程、モールドパウダーの巻き込み頻
度が高くなることを確認した。
【0022】このモールドパウダーの巻き込み原因は、
以下のように考えることができる。即ち、溶鋼湯面上の
モールドパウダーには、溶鋼の湯面変動に起因する鉛直
方向の運動エネルギーと、溶鋼との浮力差による位置エ
ネルギーと、溶鋼との界面張力による界面エネルギーと
が常に作用しており、鉛直下向き方向の運動エネルギー
が、位置エネルギーと界面エネルギーとの合計のエネル
ギーより大きくなった時に、モールドパウダーの溶鋼中
への混入が発生する。
【0023】これを図7に示す模式図により説明する。
図7に示すように溶融したモールドパウダーを半径rの
粒と仮定し、溶融パウダーの密度をρp 、溶鋼の密度を
ρm、表面張力をσ、重力加速度をgとする。又、鋳型
内溶鋼湯面は、実際には種々の周波数の振動が重なり合
って変動するものであるが、その内の1つの振動数のみ
をとりあげて単純化し、図7に示すように溶鋼湯面は振
幅H/2、周波数fで正弦波振動していると仮定する
と、振動による溶鋼湯面の変位yは、(1)式で表され
る。 y= (H/2)× sin(2πft) ……(1)
【0024】溶融したモールドパウダー粒は、溶鋼湯面
と同一の運動をしているので、モールドパウダー粒の鉛
直下向き方向の最大速度Vmax は、(1)式を微分した
時の最大値として、(2)式で示すことができる。 Vmax = Hπf ……(2)
【0025】すると、モールドパウダー粒の有する運動
エネルギーの鉛直下向き方向の最大値は(3)式で示す
ことができる。 運動エネルギー= (1/2)×(4ρp πr3/3) ×Vmax2 = 2ρp π3 r3 H2 f2/3 ……(3)
【0026】界面エネルギーは(4)式で、又、位置エ
ネルギーは(5)式で表される。 界面エネルギー= 4π r2 σ ……(4) 位置エネルギー= 4π r4 g(ρm −ρp )/3 ……(5)
【0027】モールドパウダーの巻き込みは、鉛直下向
き方向の運動エネルギーが、位置エネルギーと界面エネ
ルギーとの合計のエネルギーより大きくなった時に発生
するので、これを式に示すと(6)式が得られる。 2ρp π3r3H2f2/3 ≧ 4πr2σ+ 4πr4g (ρm −ρp )/3 …(6) ここで、ρm =7000kg/m3 、ρp =3000k
g/m3 、σ=3kg/s2 、g=9.8m/s2 、H
=0.005mとして(6)式に代入して、fについて
整理すると(7)式が得られ、横軸をモールドパウダー
粒、縦軸を周波数として(7)式を図示すると、図8が
得られる。 f2 ≧ (36+156800 r2)/(1.48×r) ……(7)
【0028】図8に示すように、(7)式を満足する範
囲、即ち運動エネルギーの方が大きい範囲は、パウダー
粒径が大きくなる程、湯面変動の周波数が低下すること
が判る。従って、モールドパウダーの巻き込みを防止す
るには、パウダー粒径が大きくなる程、湯面変動の周波
数を低い領域とする必要があることが推察できる。
【0029】そこで、実機において渦流式レベル計によ
る湯面レベル測定値を周波数解析し、製造した鋳片の薄
鋼板におけるモールドパウダー性欠陥との関係を調査し
た。図9は、その調査結果の1例を示すものである。
【0030】図9は、浸漬ノズルにArガスを15Nl
/min吹き込み、吐出流に磁場を印加して浸漬ノズル
の左右でArガスの浮上が略同一となるように制御しつ
つ、鋳型幅の1/4の距離だけ浸漬ノズルから鋳型短辺
に離れた左右対称な位置で測定した渦流式レベル計の信
号を周波数解析し、該当する鋳片で最も周波数の高い値
を、その鋳片の周波数として、この鋳片の周波数と薄鋼
板における品質との関係を整理したものである。尚、全
ての測定時期において、Arガスの浮上量が鋳型内左右
で略同一となるように制御していたため、偏流はなく、
湯面変動の振幅は5mm以内に抑えられていた。
【0031】図9に示すように、鋳型内の溶鋼湯面変動
が100Hzを越える振動数の範囲で、モールドパウダ
ー性の欠陥発生率が増加しており、振動数が100Hz
以下であれば低位安定した結果が得られた。
【0032】モールドパウダーの運動エネルギーは、
(3)式に示すように湯面変動の周波数の2乗に比例し
て大きくなる。この周波数を100Hz以下とするため
に、浸漬ノズル内に吹き込む不活性ガスの供給量を制御
する。不活性ガスの供給量を低下させると、溶鋼に対す
る不活性ガスの体積比率が減少して、ガス気泡径が微細
化するので、ガス気泡の消滅による湯面変動への影響が
減少して、鋳型内溶鋼の湯面変動の周波数が低下する。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
き説明する。図1は鋳型形状が矩形型の連続鋳造機の概
略側断面図で、図2は概略平面図である。
【0034】図1及び図2において、1は鋳型長辺、2
は鋳型短辺、3はタンディッシュ、4は溶鋼、5は浸漬
ノズル、6は不活性ガス吹き込み管、7は不活性ガス吹
き込み管6に設置された不活性ガス流量制御装置、8は
浸漬ノズル5の吐出孔、10は左側の磁場印加装置、1
1は右側の磁場印加装置で、磁場印加装置10、11
は、浸漬ノズル5を中心として鋳型幅方向左右に2分割
され、鋳型長辺1を挟んで磁極を対向して鋳型長辺1の
背面に配置されており、磁場は浸漬ノズル5の左右で独
立に磁場強度を制御できるようになっている。
【0035】12は左側の不活性ガス回収装置、13は
左側の不活性ガス分析装置、14は右側の不活性ガス回
収装置、15は右側の不活性ガス分析装置で、不活性ガ
ス回収装置12、14で回収されたガスを不活性ガス分
析装置13、15で分析して、湯面で浮上する不活性ガ
ス量を測定する。不活性ガス回収装置12、14は、そ
れぞれ鋳型内湯面を5分割して、不活性ガスを回収する
ようになっている。
【0036】16、16a、16b、16c、16dは
左側の湯面レベル計で、5分割された左側の不活性ガス
回収装置12の測定位置に対応する溶鋼の湯面変動を測
定している。17、17a、17b、17c、17dは
右側の湯面レベル計で、同様に、5分割された右側の不
活性ガス回収装置14の測定位置に対応する溶鋼の湯面
変動を測定している。
【0037】18は周波数解析装置で、全ての湯面レベ
ル計の測定信号を入力して、測定信号を周波数解析処理
している。19は演算装置で、不活性ガス分析装置1
3、15の信号と周波数解析装置18の信号とを入力し
ている。20は磁場印加装置の制御装置で、演算装置1
9から信号を受け、左右の磁場印加装置10、11を独
立に制御する。又、演算装置19からの信号は不活性ガ
ス流量制御装置7に出力され、浸漬ノズルに吹き込まれ
る不活性ガス量を制御する。21は溶鋼の吐出流、23
は溶鋼湯面上のモールドパウダー層である。
【0038】磁場印加装置10、11は、移動磁場印加
装置、又は、静磁場印加装置のどちらを用いても良い。
移動磁場印加装置は、磁場を鋳型短辺2から鋳型中央に
移動させて溶鋼中に誘導電流を発生させ、この誘導電流
と磁場とによる電磁気力により溶鋼を磁場の移動方向に
移動させ、吐出流21と干渉させることで、吐出流21
の流速を制動するものである。又、静磁場印加装置は電
磁ブレーキとも呼ばれるもので、固定した磁場内を吐出
流21が流動することで吐出流21に誘導電流が発生
し、この誘導電流と磁場とで生ずる電磁気力が吐出流2
1を減速する駆動力となるものである。このようにし
て、何れの装置も、吐出流速を制動することができる。
【0039】タンディッシュ3から、スライディングノ
ズル9を経由し、浸漬ノズル5を介して鋳型短辺2に向
けて鋳型内に注入される溶鋼4の吐出流21は、鋳型短
辺2側の凝固シェル24に衝突して上昇流と下降流とに
分離し、上昇流は凝固シェル24に沿って上昇し、溶鋼
湯面位置では、鋳型短辺2から浸漬ノズル5に向かう流
れとなる。又、浸漬ノズル5にアルミナ付着防止のため
に不活性ガス吹き込み管6を介して吹き込むArガス等
の不活性ガスは、浸漬ノズルの吐出孔8を通過した途端
に、ガス気泡22となり、溶鋼湯面に向かって浮上を開
始する。
【0040】鋳型内の溶鋼湯面上には溶融したモールド
パウダー層23があり、このモールドパウダー層23の
中を、鋳型内の溶鋼4中を浮上してきたガス気泡22が
通り抜ける。
【0041】モールドパウダー層23を通過した不活性
ガス気泡22は、内部がブロックに分割された不活性ガ
ス回収装置12、14で回収される。ここで回収された
不活性ガスは、不活性ガス分析装置13、15に導か
れ、各ブロックにおける不活性ガスの浮上量が測定され
る。
【0042】ここで左右の不活性ガス分析装置13、1
5で測定された不活性ガス浮上量を演算装置19に送
り、演算装置19で左右のガス浮上量を比較して、左右
のガス浮上量が、浸漬ノズル5の両側で同じになるよう
に、更に、望ましくは浸漬ノズル5と鋳型短辺2との間
の中央位置で浮上量が最大となるように、磁場印加装置
の制御装置20に出力信号を送り、磁場印加装置10、
11の磁場強度を制御する。浸漬ノズル5と鋳型短辺2
との間の中央位置で浮上ガス量が最大となるよう制御す
る理由は、ガス浮上分布がこの時に、最も品質が良くな
るからである。
【0043】一方、湯面レベル計16、16a、16
b、16c、16d、17、17a、17b、17c、
17dで測定された湯面位置の信号は、周波数解析装置
18に送られ、周波数解析処理される。周波数解析処理
された信号は、演算装置19に送られ、演算装置19で
は、それぞれの湯面レベル計位置での湯面変動の周波数
を比較する。
【0044】そして、各湯面レベル計で測定した信号
に、100Hz以上の周波数域が含まれるかを判定し、
含まれる場合は、浸漬ノズル5内に吹き込む不活性ガス
量を減少するために、不活性ガス流量制御装置7にガス
量を減少させる信号を送る。
【0045】尚、鋳型内溶鋼湯面において、一般的に不
活性ガス浮上量の最も多い湯面位置が、最も湯面変動の
周波数が高いので、その湯面位置の湯面変動の周波数を
100Hz以下とすれば、鋳型内の湯面全体で湯面変動
の周波数を100Hz以下とすることができる。従っ
て、全ての湯面レベル計の測定信号に100Hz以上の
周波数が含まれるかを判定せずに、最もガス浮上量の多
い湯面位置、又は、浸漬ノズルの左右でそれぞれ最も浮
上量の多い湯面位置での湯面変動の測定信号のみから湯
面変動の周波数判定をすることができる。この場合は、
不活性ガス分析装置13、15で測定された各ブロック
における浮上ガス量とを照らし合わせることで実施する
ことができる。
【0046】不活性ガス流量制御装置7は、演算装置1
9からの信号を受け、不活性ガス流量を低下させ、湯面
変動の周波数を下げる。但し、湯面変動が少なすぎる場
合は、湯面における溶鋼の更新が少なくなり、湯面にお
いて溶鋼が凝固する、所謂「皮張り」等の品質に対して
別の悪影響が発生するので、全ての湯面レベル計の湯面
変動の測定値が1mm以上を確保できる不活性ガス量と
することが望ましい。
【0047】尚、本発明は上記の構成に限り実施される
ものではない。例えば、湯面レベル計は、不活性ガス回
収装置12、14の各ブロックと対応して設置する必要
はなく、浸漬ノズル5の左右でそれぞれ2個以上設置さ
れれば本発明の適用は可能であり、又、不活性ガス回収
装置12、14は5分割に限るものではなく、3分割以
上であれば問題なく本発明が実施できる。
【0048】
【実施例】図1及び図2に示すスラブ連続鋳造機におけ
る本発明の実施例を説明する。
【0049】低炭素Alキルド鋼を、鋳型サイズが22
0mm厚、1600mm幅で、鋳片引抜き速度2.2m
/minにて鋳造した。用いた磁場印加装置は、周波数
が1Hzの移動磁場装置で、鋳型厚み中心位置での最大
磁束密度は0.3テスラである。鋳型への溶鋼供給量の
制御はスライディングノズルにて行い、浸漬ノズルに体
積比率でHeガスを10%含有したArガスを15Nl
/min吹き込み、鋳造を開始した。
【0050】ガス回収装置の中心位置は、浸漬ノズルか
ら鋳型短辺へ400mm離れた左右対称な位置とし、ガ
ス回収装置の大きさは、180mm厚み、600mm
幅、高さ50mmで、600mm幅を5分割として、浮
上するArガス中のHeガスを分析した。
【0051】本実施例では、図3に示す制御方法を用
い、ガス分析装置で測定されるHeガスの浮上量が鋳型
左右で概ね同じとなり、且つ浮上位置が浸漬ノズルと鋳
型短辺との間の中央位置で最大となるように左右の移動
磁場印加装置を制御しつつ、更に、ガス浮上量の最も多
い位置の湯面変動の周波数が100Hz以下となるよう
にArガス量を制御した。
【0052】上記条件で、300ton/ヒートの溶鋼
を20ヒート鋳造した。鋳造中のArガス量の変化は5
〜15Nl/minの範囲内で制御されていた。鋳型内
溶鋼湯面の変動量は、Arガスの浮上量を鋳型内の左右
で略同等としたために鋳型内の偏流の発生が防止され、
最大でも4mmであった。
【0053】従来例として、低炭素Alキルド鋼を、鋳
型サイズが220mm厚、1600mm幅、鋳片引抜き
速度2.2m/minとし、磁界として周波数が1Hz
の鋳型短辺から浸漬ノズル方向への移動磁場で、スラブ
厚み中心位置での磁束密度を0.1テスラの一定条件で
鋳造した。その他の条件は実施例と同一として、20ヒ
ート鋳造した。
【0054】各20ヒートの鋳片を薄鋼板に圧延し、モ
ールドパウダーと脱酸生成物であるアルミナとによる非
金属介在物起因による欠陥を調査した。図4に結果を示
す。従来例に比較し本発明の実施例では、非金属介在物
に起因する欠陥が75%低減した。
【0055】実施例において、Arガス量が10Nl/
min以下、且つ、溶鋼中のArガスの体積比率が10
%以下の場合は、Arガス気泡が凝集・合体して大型化
しても浮上頻度が低くなるため、溶鋼湯面の振動周波数
が100Hzを越えないため、特に品質が良好であっ
た。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、浸漬ノズル内に供給さ
れる不活性ガスの鋳型内浮上量が浸漬ノズルの両側で概
ね同じに保持され、且つ溶鋼の湯面変動の周波数が10
0Hz以下に保持されるので、モールドパウダーと脱酸
生成物の少ない高清浄の鋳片を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した連続鋳造機鋳型部の概略側断
面図である。
【図2】本発明を適用した連続鋳造機鋳型部の概略平面
図である。
【図3】本発明の実施例の制御フロー図である。
【図4】本発明の実施例における品質欠陥の発生インデ
ックスを、従来例と比較して示した図である。
【図5】従来方法における浸漬ノズルの左右での溶鋼の
表面流速の差と、品質欠陥のインデックスとの関係を示
した図である。
【図6】従来方法における浸漬ノズル左右の不活性ガス
浮上量の比と、溶鋼の表面流速の差との関係を示した図
である。
【図7】溶鋼の変動状況と、粒として仮定した溶鋼上の
モールドパウダーとを模式的に示した図である。
【図8】モールドパウダー粒が溶鋼に巻き込まれる限界
の湯面周波数を計算にて求め、パウダー粒径との関係で
示した図である。
【図9】従来方法における溶鋼の湯面変動の最大周波数
と品質欠陥との関係を示した図である。
【符号の説明】
1;鋳型長辺 2;鋳型短辺 3;タンディッシュ 4;溶鋼 5;浸漬ノズル 6;不活性ガス吹き込み管 7;不活性ガス流量制御装置 8;吐出孔 10;左側の磁場印加装置 11;右側の磁場印加装置 12;左側の不活性ガス回収装置 13;左側の不活性ガス分析装置 14;右側の不活性ガス回収装置 15;右側の不活性ガス分析装置 16、16a、16b、16c、16d;左側の湯面レ
ベル計 17、17a、17b、17c、17d;右側の湯面レ
ベル計 18;周波数解析装置 19;演算装置 20;磁場印加装置の制御装置 21;溶鋼の吐出流 23;モールドパウダー層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 正之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸漬ノズル内の溶鋼に不活性ガスを吹き
    込むと共に、浸漬ノズルを中心として鋳型幅方向左右に
    2分割され、鋳型長辺背面に設けられた磁場印加装置に
    て、左右独立に磁場を印加して鋳型内溶鋼の流動を制御
    して鋳造する矩形型鋳型を用いた鋼の連続鋳造方法にお
    いて、鋳型内溶鋼湯面における不活性ガス浮上量が浸漬
    ノズルの左右で同じになるように磁場印加装置を制御す
    ると共に、鋳型内溶鋼の湯面変動の周波数が100Hz
    以下となるように不活性ガス吹き込み量を制御すること
    を特徴とする鋼の連続鋳造方法。
JP16610596A 1996-06-26 1996-06-26 鋼の連続鋳造方法 Pending JPH105960A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100470654B1 (ko) * 2002-10-09 2005-03-08 주식회사 포스코 침지노즐의 막힘 방지 방법

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