JPH1055207A - ロボット制御装置 - Google Patents

ロボット制御装置

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JPH1055207A
JPH1055207A JP21174396A JP21174396A JPH1055207A JP H1055207 A JPH1055207 A JP H1055207A JP 21174396 A JP21174396 A JP 21174396A JP 21174396 A JP21174396 A JP 21174396A JP H1055207 A JPH1055207 A JP H1055207A
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JP
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angular velocity
robot
axis
torque
target position
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JP21174396A
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Yoshiko Iriyama
佳子 入山
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Tokico Ltd
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Tokico Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロボットを移動させる軌道を変更することな
く、マニピュレータの能力に応じてタクトタイムを最適
化することを可能とし、軌跡精度を確保して作業品質、
生産性及び安全性等の向上を図り得るロボット制御装置
を提供する。 【解決手段】 コントローラ1内の演算処理装置におい
て、第1〜第6の各軸における旋回ベース8、第1アー
ム10等の回転角度θ1〜θ6から塗装ガン18のガン先
位置xf及び姿勢Rfを求め、これらに基づいて仮の角速
度指令θ′dumを求める。そして、これと各軸における
最大角速度とを比較し、角速度に最も余裕のない軸の角
速度指令値が当該軸における最大角速度となるような角
速度指令θ′comを求め、これに応じた指令信号を出力
する。又、モータトルクτに最も余裕のない軸における
トルクに合わせて角速度指令を求め、指令信号を出力す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軌跡精度を重要と
する工業用ロボットに用いて好適なロボット制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、工業用ロボットの制御装置におい
ては、アームの各軸において発生させ得るトルクや回転
速度等のマニピュレータの能力に応じて、タクトタイム
を演算する機能が設けられていた。そして、かかる機能
を有するロボット制御装置は、ロボットが移動する軌道
を変更することによって、各軸におけるトルクや回転速
度が当該マニピュレータの能力を越えることがないよう
にするものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、工業用ロボ
ットの制御においては、ロボットを移動させたときの軌
跡が正確でかつ安定していることが要求される。特に、
塗装ロボットやアーク溶接ロボット、シーリングロボッ
ト等の特定の軌道を移動させるロボットに関しては、軌
跡精度を確保することは極めて重要である。
【0004】しかし、上述した従来のロボット制御装置
は、マニピュレータの能力に応じて動作に余裕を持たせ
るように軌道自体を変更し、タクトタイムを決定して制
御を行うものであるので、マニピュレータの動作におけ
る加減速時に軌道が外側にふくらむことがある。このた
め、従来のロボット制御装置は、特定の軌道を移動させ
るロボットに適用することが困難であり、又、適用を試
みた場合には、ワークや周辺機器等の環境と干渉するお
それもあるという問題点を有していた。
【0005】一方、上記機能を有しないロボット制御装
置を用いることとすると、作業軌道以外の軌道における
軌跡精度が著しく低下する。そして、この影響により、
作業軌道における軌跡精度も低下し、作業工程を経た製
品の品質を低下させることになる。
【0006】従って、従来においては、オペレータが自
らロボットの軌道や移動時間を修正しなければならず、
動作中のロボットの近くで長時間の作業を行わなければ
ならなかった。このため、オペレータは周囲の状況に十
分注意して長時間の作業を行う必要があり、多大な労力
を要していた。更に、かかる時間中はロボットによる作
業を行うことができないので、生産効率を低下させるこ
とにもなっていた。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、ロボットを移動させる軌道を変更することな
く、マニピュレータの能力に応じてタクトタイムを最適
化することを可能とし、軌跡精度を確保してロボットの
作業品質、生産性及び安全性等の向上を図ることができ
るロボット制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
一定時間毎に教示データに基づく目標位置を求めてロボ
ットの可動部分を制御し、教示点間で前記ロボットを移
動させるロボット制御装置において、前記教示点間を結
ぶ軌道上の中間点であって、前記可動部分によって前記
ロボットを現在位置から前記一定時間内に移動させ得る
範囲内にある中間点を求める演算手段と、前記ロボット
を移動させるべき次の目標位置を、前記教示データに基
づく目標位置から前記中間点に変更し、当該変更後の目
標位置に基づいて前記可動部分を動作させる指令信号を
出力する指令信号出力手段とを有することを特徴として
いる。
【0009】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載のロボット制御装置において、前記演算手段は、少な
くとも一つの可動部分による前記ロボットの移動量を、
当該可動部分によって前記ロボットを現在位置から前記
一定時間内に移動させ得る最大の移動量とする前記中間
点を求める演算手段であることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
<1.構成>以下に図面を参照して本発明の実施の形態
について説明する。図1は本発明の一実施形態によるロ
ボット制御装置を適用した塗装ロボットシステムの構成
を示す図である。
【0011】図において、1はコントローラであり、テ
ィーチングペンダント2からの指示データを受け、電源
ケーブル3及び信号ケーブル4を介してマニピュレータ
5の可動部分の軸に設けられたモータ(後述)へ電源を
供給すると共に、マニピュレータ5との間で各種信号の
授受を行い、これによりマニピュレータ5の状態を監視
し、かつ、その動作を制御する。このコントローラ1
は、マニピュレータ5の制御プログラム、教示データ、
各種制御パラメータ等を記憶する記憶装置と、それらプ
ログラム等と前記指示データ及びマニピュレータ5から
受けた信号とに基づいて各種演算処理を行う演算処理装
置とを有しており、該演算処理装置による演算処理の結
果に基づいてマニピュレータ5への指令信号及び電源の
供給を行う。尚、ここにいう演算処理の具体的内容につ
いては、後述の動作説明において明らかにする。
【0012】ティーチングペンダント2は、オペレータ
がマニピュレータ5の動作を指示するための指示データ
を入力する入力装置であり、入力された指示データをコ
ントローラ1へ出力する。又、電源ケーブル3及び信号
ケーブル4は、コントローラ1とマニピュレータ5とを
接続する接続線であり、電源ケーブル3はマニピュレー
タ5の各軸のモータを駆動するための電流を伝達し、信
号ケーブル4は上記コントローラ1とマニピュレータ5
との間で授受される信号を伝達する。
【0013】マニピュレータ5は、本塗装ロボットシス
テムにおける塗装ロボットの主要部であって、床面に固
定された固定ベース6によって床面の所定位置に取り付
けられており、図中の符合7〜18で示す旋回ベース、
モータ、アーム等の構成要素によって構成されている。
以下にこれらの各構成要素について説明する。
【0014】7は固定ベース6と旋回ベース8との間
(第1軸)に設けられた第1軸ユニットである。この第
1軸ユニット7は、固定ベース6側に固定された第1軸
用モータと、その出力軸と旋回ベース8との間に介在し
て設けられた減速機とからなっている。そして、コント
ローラ1から供給される指令信号に基づいて第1軸用モ
ータが駆動され、その駆動力が減速機を介して伝達され
て旋回ベース8を図中の矢印θ1方向に回動させるよう
になっている。
【0015】又、旋回ベース8の図中上側部分には、第
2軸用モータ及び減速機からなる第2軸ユニット9が取
り付けられている。この第2軸ユニット9においては、
第2軸用モータが旋回ベース8側に固定されており、そ
の出力軸が減速機を介して第1アーム10の一端と連結
されて第2軸を構成している。そして、コントローラ1
から供給される指令信号に基づいて第2軸用モータが駆
動され、これにより、第1アーム10が図中の矢印θ2
方向に回動移動するようになっている。
【0016】一方、第1アーム10の先方端側には、第
3軸用モータと減速機とからなる第3軸ユニット11が
取り付けられている。この第3軸ユニット11において
は、第3軸用モータの出力軸が減速機を介して第2アー
ム12と連結されて第3軸を構成している。そして、コ
ントローラ1から供給される指令信号に基づいて第3軸
用モータが駆動され、これにより、第2アーム12が図
中の矢印θ3方向に回動移動するようになっている。
【0017】第2アーム12には、上記第3軸ユニット
11との連結部側に手首軸ユニットケース13が取り付
けられており、先方端側に第1手首部材14、第2手首
部材15、第3手首部材16及びパターン旋回部17が
取り付けられている。
【0018】ここで、手首ユニットケース13内には、
第4、第5及び第6軸用モータと、それらのモータそれ
ぞれの減速機とが収納されている(図示略)。又、第1
手首部材14、第2手首部材15、第3手首部材16、
パターン旋回部17は、それぞれ、図中の矢印θ4、θ5
-1、θ5-2、θ6方向に回動自在な連結軸を介して順次取
り付けられている。更に、第2アーム12内には、第4
軸用モータの駆動力をθ4方向の回転力として第1手首
部材14へ伝達する伝達機構と、第5軸用モータの駆動
力をθ5-1及びθ5-2方向の回転力として第2手首部材1
5及び第3手首部材16へそれぞれ伝達する伝達機構
と、第6軸用モータの駆動力をθ6方向の回転力として
パターン旋回部17へ伝達する伝達機構とが設けられて
いる。
【0019】そして、上述したような手首軸部分の構成
において、上記同様、第4、第5、第6軸用モータがコ
ントローラ1から供給される指令信号に基づいて駆動さ
れ、第1手首部材14、第2手首部材15、第3手首部
材16、パターン旋回部17がそれぞれθ4、θ5-1、θ
5-2、θ6方向に回動するようになっている。
【0020】18は一定の方向へ一定の広がりをもって
塗料を噴射する塗装ガンであり、パターン旋回部17の
先端にブラケットを介して取り付けられている。この塗
装ガン18の位置及び姿勢は、上記各回転角度θ1、θ
2、θ3、θ4、θ5-1、θ5-2及びθ6(以下、「θ1〜θ
6」と記述する)に基づいて決定され、当該位置にて当
該姿勢でガン先(図中の符合18x)から塗料が噴射さ
れてワーク(図示略)の塗装がなされる。
【0021】このように、本塗装ロボットシステムにお
いては、上記各軸ユニット等における旋回ベース8、第
1アーム10、第2アーム12、第1手首部材14、第
2手首部材15、第3手首部材16及びパターン旋回部
17の回転角度θ1〜θ6によって、塗装ガン18のガン
先18x位置(x)とそのときの姿勢(R)とが決定さ
れる。そして、これらの位置、姿勢及び回転角度等は、
コントローラ1の演算処理装置における演算処理により
決定され、その決定に基づく第1〜第6軸用モータへの
指令信号によって制御される。
【0022】<2.動作> A.動作説明における前提事項 次に、本塗装ロボットシステムの動作態様について説明
する。まず、動作説明の前提事項として、特定の軌道を
移動させるロボットの一般的な動作態様と、各軸ユニッ
ト等における回転角速度及びトルクの指令値(目標値)
と実際値との関係について説明しておくこととする。
【0023】(1)教示点間の移動軌道 図2に一般的な塗装ロボットにおける教示データと該教
示データに基づいて塗装作業を行うときの軌道の一例を
示す。この図において、点Pj(j=0、1、2、…)
は教示点を表し、これら教示点間を結ぶ実線が、マニピ
ュレータのガン先を移動させる軌道となる。尚、図中符
合Wで示した実線枠は、このときのワークの位置であ
る。
【0024】図において、軌道上の小点は、ロボットの
制御周期毎にガン先を移動させるべき目標位置を示して
いる。この目標位置間の移動は、所定時間毎(例えば5
ms毎)に、コントローラが各軸のモータに対してガン先
を次の目標位置まで移動させるための指令信号を順次出
力することによって行われる。そして、かかる移動中に
おいて、図中「ON」と示した直線軌道上(ワークW
上)では塗装ガンをONして塗装を行い、「OFF」と
示した軌道上では塗装ガンをOFFして塗装を行わない
こととするのである。
【0025】(2)目標値と実際値との相違 角速度(θ′)について 図3及び図4に第i軸における時間(t)の経過に伴う
角速度の指令値(目標値)とフィードバック値(実際
値)の推移を示す。図においては、実線が角速度指令値
を、破線が角速度フィードバック値を示しており、図中
のθ′imaxは動作可能な角速度の最大値を、θ′imin
最小値(θ′imaxと逆方向の最大値)を示している。
尚、ここにいう角速度とは、制御周期毎の回転角度を意
味する。
【0026】図3は最大値θ′imax及び最小値θ′imin
に対して角速度指令値に余裕がある場合であり、この場
合には、図示のように実際の角速度が目標とする角速度
に無理なく追従する。
【0027】一方、図4は角速度指令値が最大値θ′i
max及び最小値θ′iminの範囲を超える場合であり、こ
の場合には、図示のように最大値θ′imax若しくは最小
値θ′iminを超えている角速度指令値に対し、実際の角
速度が追従できなくなって飽和する。そして、角速度指
令値が再び最大値θ′imax及び最小値θ′iminの範囲内
の値となったときに応答遅れが生じる。これは、当該軸
(第i軸)を介したアーム等の先端において大きな誤差
となり、更に、角速度が振動的に変化するためガン先も
振動することになる。
【0028】トルク(τ)について 図5及び図6に第i軸における時間(t)の経過に伴う
トルクの指令値(目標値)とフィードバック値(実際
値)の推移を示す。尚、図においては、実線がトルク指
令値を、破線がトルクフィードバック値を示しており、
又、図中のτimaxは第i軸における発生可能なトルクの
最大値を、τiminは最小値(τimaxと逆方向の最大値)
を示している。
【0029】図5は最大値τimax及び最小値τiminに対
してトルク指令値に余裕がある場合であり、この場合に
は、図示のように実際のトルクが目標とするトルクに対
してある程度の遅れを持って追従する。
【0030】一方、図6はトルク指令値が最大値τimax
及び最小値τiminの範囲を超える場合であり、この場合
には、トルク不足により、当該軸(第i軸)を介したア
ーム等の先端誤差が大となる。更に、トルク指令値が最
大値τimax及び最小値τiminの範囲内の値となっても、
追従できない分を補償するように動作するため、実際の
トルクは振動的に変化する。これにより、ガン先も振動
し、その軌道は大きく乱れることになる。
【0031】B.本塗装ロボットシステムの動作態様 (1)ガン先18xの目標位置修正 次に、本塗装ロボットシステムにおいて生成されるガン
先移動軌道上の目標位置(中間点)について説明する。
ここでは、マニピュレータ5の角速度が不足する場合、
トルクが不足する場合及びトルクに余裕がある場合を例
に挙げて説明する。
【0032】角速度が不足する場合 まず、目標とする角速度に対してマニピュレータ5の動
作可能な角速度(θ′imax、θ′imin)が不足する場合
の目標位置を図7に示す。この図は、上記図2同様、点
Pj(j=0、1、2、…)が教示点を表し、これら教
示点間を結ぶ実線がガン先18xの移動軌道を、該軌道
上の小点が教示データに基づいて生成された目標位置を
表している。但し、ワークの位置は省略してある。
【0033】図において、教示点P1、P2を結ぶ曲線軌
道は、塗装ガン18をOFFにして塗装作業をせずに移
動のみを行う部分である。そして、この曲線軌道P1P2
上にある印(・)は、教示データに基づいて生成された
ものの、マニピュレータの角速度が不足するために実際
には目標位置として用いることができない中間点を示し
ている。
【0034】このような場合、本塗装ロボットシステム
においては、曲線軌道P1P2上に印×で示したような中
間点を新たに生成し、中間点(・)を消去して目標位置
を中間点×に変更する。この中間点×は、マニピュレー
タ5の第1軸〜第6軸の内で、最も余裕がない(角速度
が不足した)軸の角速度に合わせて生成するものであ
り、中間点(・)よりも間隔が短く、その数(軌道の分
割数)が多いものとなる。
【0035】トルクが不足する場合 続いて、図8に目標とするトルクに対してマニピュレー
タ5の発生可能なトルク(τimax、τimin)が不足する
場合の目標位置を示す。尚、この図においても、教示
点、移動軌道及び中間点を上記同様の方式で示してあ
る。
【0036】トルクが不足する場合には、各軸において
加速又は減速を行う距離を長くしてこれを補償する必要
がある。このため、図示のように、直線軌道(作業軌
道)P0P1における最終目標位置(P1直前の中間点
(・))を教示点P0側へ変更する。又、曲線軌道P1P
2においては、中間点×を設ける間隔を徐々に短くした
後に再び徐々に長くし、教示点P2前方の目標位置をよ
り前方の位置に変更する。
【0037】このようにして、マニピュレータ5の発生
可能なトルクの範囲で加速又は減速を行う距離、回数を
増やし、これにより、トルク不足を補償するのである。
尚、この場合、必要に応じて直線軌道P0P1上の最終目
標位置のみならず、その手前のいくつかの目標位置を変
更することとしてもよい。
【0038】トルクに余裕がある場合 一方、図9は直線軌道P0P1間でトルクに余裕がある場
合の目標位置を示す図である。尚、この図においても、
教示点、移動軌道及び中間点を上記同様の方式で示して
ある。この場合には、各軸の加減速部(モータ及び減速
機等)による発生トルクに余裕があるので、図示の中間
点×のように、直線軌道P0P1間における間隔を大き
く、かつ、一定なものとする(図中の間隔d)。そして
これにより、塗装作業中のガン先移動速度を一定にする
のである。
【0039】(2)制御系 図10に上述のように中間点(目標位置)を生成して制
御を行う本塗装ロボットシステムにおける制御ブロック
図を示す。尚、図中x、Rは、それぞれガン先位置ベク
トル、姿勢ベクトルを表し、下付き添え字r、fは、そ
れぞれベクトルが目標(位置、姿勢、値)、フィードバ
ック(位置、姿勢、値)であることを表している。又、
θ′ri、θ′fi(i=1、2、…、6)は、第1軸〜第
6軸それぞれの角速度目標値、角速度フィードバック値
であり、下付き添え字iが軸番号を表している。これら
の表記方式は、以下の説明においても同様に用いる。
【0040】図において、上段のブロックは、教示デー
タに基づく目標位置の変更演算を行う演算部であり、下
段のブロックは、各軸のモータへ実際に出力する指令信
号を求めるサーボ制御部である。上段ブロックでは、ま
ず、ガン先目標位置xr及び目標姿勢Rrとガン先フィー
ドバック位置xf及びフィードバック姿勢Rfとの偏差を
求め、該偏差を位置比例ゲインマトリクスKp及びヤコ
ビ行列の逆行列J-1によって、いわゆるロボット座標系
における目標角速度θ′r(θ′r=[θ′r1,θ′r2,
…,θ′r6]T)に変換する。そして、各軸の角速度目
標値θ′riについて、角速度リミッタθ′limにより、
各軸の動作能力が該角速度目標値に対して不足していな
いか、又、余裕があるか否かをチェックする。
【0041】次いで、上記角速度目標値θ′riを目標値
として、Kvi、τlim、Motor+Armを含む速度フィードバ
ックループにより、通常のフィードバック制御系による
制御演算同様の演算処理を行う。尚、図においては、第
1軸と第6軸についての制御系以外を省略してあるが、
第2軸〜第5軸についての制御系も同様の速度フィード
バックループによって構成される。
【0042】ここで、Kviは角速度目標値をトルク目標
値に変換する変換演算子Kvの第i軸に対応する成分
を、Motor+Armは制御対象である上記モータや減速機等
からなる各軸を表すものである。そして、τlimは、各
軸において発生可能なトルクが目標トルクに対して不足
していないか、又、余裕があるか否かをチェックするト
ルクリミッタである。
【0043】本塗装ロボットシステムでは、上記上段ブ
ロックの角速度リミッタθ′lim及びトルクリミッタτl
imのチェック結果に基づき、ガン先目標位置xr及び目
標姿勢Rrを演算し直す。そして、その演算し直したガ
ン先目標位置xr及び目標姿勢Rrを目標値として、下段
ブロックのサーボ制御系により各軸のモータへの指令値
を算出し、該指令値に応じた指令信号を出力する。尚、
これらの演算処理手法の詳細については、次の「(3)
制御動作」において説明する。
【0044】ここで、下段ブロックの各構成要素(K
p、J-1、Kvi、Motor+Arm )は、上記上段ブロックの
各構成要素と同様であり、第1軸と第6軸以外の制御系
も同様に省略してある。又、下段ブロックの後段におい
ては、各軸の角速度フィードバック値を積分演算子z/
z−1によって積分した後、運動学変換演算子f(θ)
によってガン先フィードバック位置xr、フィードバッ
ク姿勢Rrとしてフィードバックする。
【0045】(3)制御動作 次に、本塗装ロボットシステムにおける塗装ロボットの
制御動作について説明する。本塗装ロボットシステムで
は、(2)の制御系において、(1)で述べた目標値修
正が以下の手順によって行われて塗装ロボットが制御さ
れる。尚、以下においては、角速度により目標値を変更
する場合(図7)と、トルクにより目標値を変更する場
合(図8及び図9)とを分けて説明するが、必要に応じ
て両者を併用することとしてもよい。
【0046】各軸の角速度による目標値修正と動作制
御 初めに、各軸の角速度によりガン先目標位置xr及び目
標姿勢Rrの修正演算を行い、これに基づいて塗装ロボ
ットの動作を制御する制御動作について、図11を参照
して説明する。図11に示す処理は、一定の単位時間毎
に繰り返し行われるもので、ここにいう単位時間とは、
現在のガン先位置等の信号と指令信号の授受が行われる
サンプリングタイム(Ts)がこれに当たる。本塗装ロ
ボットシステムにおいては、コントローラ1の演算処理
装置により、5msのサンプリングタイム毎に図11に示
す処理がなされ、ガン先目標位置xr及び姿勢Rrが算出
されて各軸が制御される。尚、以下においては、このガ
ン先目標位置等を算出するサンプリングタイム毎のカウ
ンタをkで表す。又、教示点(Pj)のカウンタはjで
表すものとする。
【0047】まず、マニピュレータ5から信号ケーブル
4を介してコントローラ1へ各軸の回転角度信号が供給
され、コントローラ1内の演算処理装置が各軸の回転角
度θ(k)(θ(k)=[θ1(k),θ2(k),…,
θ6(k)]T)を取り込む(ステップS1)。そして、
この取り込んだ回転角度θ(k)を基に、このときのガ
ン先位置xf(k)及び姿勢Rf(k)を算出する(ステ
ップS2)。ここで、ガン先位置及び姿勢は、幾何学的
手法により、各軸の回転角度の関数として求めることが
できる。
【0048】次に、ステップS3でガン先目標位置xr及
び姿勢Rrを求める処理Iを行う。この処理Iの手順を
図12に示す。図12においては、まず、ステップS20
で塗装ガン18の塗料噴射がON状態かOFF状態かを
判断する。この塗装ガン18のON/OFFは、コント
ローラ1からの指令信号によって制御されるもので、ス
テップS20では、教示データ中の該指令信号を決定する
指示データ(塗装ガン18のON/OFF情報)を参照
して前記判断を行う。
【0049】このとき、塗料噴射がON状態であった場
合には、目標位置カウンタkを1インクリメントし(ス
テップS21)、OFF状態であった場合には、目標位置
カウンタkを間隔dkだけ大きくする(ステップS2
2)。ここで、間隔dkは、角速度の余裕が最も少ない
軸における角速度目標値に対する角速度最大値θimax
比であり、後述の処理によって求められるものである。
従って、動作開始時の間隔dkが求められていない状態
にあっては、例外的に塗料噴射のON/OFFに拘らず
ステップS21へ進むこととしたり、間隔dkに適当な初
期値を設定しておいたりして処理を行う。
【0050】次に、ガン先目標位置xrが教示点Pj上に
到達したか否かを判断する(ステップS23)。この判断
は、目標位置カウンタkと、教示点Pj-1〜Pj間の総カ
ウント数Nとを比較して判断する。ここに、総カウント
数Nは、教示点間の移動時間TをサンプリングタイムT
sで割った値であり、教示データに基づいて教示点間を
分割する中間点(目標位置)の総数に相当する。
【0051】ステップS23においては、目標位置カウン
タkが総カウント数Nに等しいときのみならず、それよ
り大きいときにも教示点上に到達したものと判断され、
ステップS24へ進む。これは、本塗装ロボットシステム
における制御が上述のように目標位置カウンタkを必ず
しも1づつインクリメントするものではないことに起因
する。尚、動作開始時にあっては、ガン先目標位置xr
が教示点P0であるので、k=N(=0)であり、ステ
ップS24へ進むことになる。
【0052】ステップS24では、教示点カウンタjを1
インクリメントし、目標位置カウンタkを0としてクリ
アする。
【0053】次いで、ステップS25で教示点Pj(現在
位置)と教示点Pj+1(次にめざす教示点)との間のガ
ン先目標位置xrの補間式を決定する。この補間式は、
通常、時間tの多項式で表され、その多項式が教示点P
jとPj+1との間を結ぶ軌道を表す式となる。又、同時
に、教示点Pjでの姿勢Rjから教示点Pj+1での姿勢Rj
+1への回転ベクトルrと、kのカウント時毎に該回転ベ
クトルrの方向へ各軸を回転させる回転角度αを表す多
項式も決定する。尚、これらの多項式は、図中のステッ
プS27(後述)において示されているような形となって
おり、時間tが与えられることによって、当該時間tに
応じたガン先目標位置xr及び目標姿勢Rrを算出できる
ようになっている。
【0054】続いて、ステップS26で教示点Pj〜Pj+1
間の教示データに基づいた移動時間Tを求め、これをサ
ンプリングタイムTsで割り、移動時間Tに対応する総
カウント数Nを求める。
【0055】そして、ステップS27において、時間tを
カウンタkの値に対応した時間k・Tsとし、これを上
述の多項式に代入してガン先目標位置xr及び目標姿勢
Rrを算出する。尚、上記ステップS23において、教示
点上に到達していないと判断されたときには、ステップ
S24〜S26の処理を行わず、既に求められている現在移
動中の軌道についての多項式により、ステップS27の処
理を行う。
【0056】以上述べた処理Iを図11のステップS3
で行い、その後ステップS4へ進んで塗装ガン18の塗
料噴射がON状態であるか否かを判断する。このとき、
塗料が噴射されており、ON状態であると判断されたと
きは、塗装作業が行われているときであるので、目標位
置カウンタkを1インクリメントした通常のガン先目標
位置xr及び目標姿勢Rrに基づいて各軸の移動速度x′
を求め、各軸の角速度指令値θ′icomを算出する(ステ
ップS5)。
【0057】ここで、目標位置カウンタkを1インクリ
メントしたガン先目標位置xr、目標姿勢Rrは、上記処
理Iによって求められている。従って、それらからガン
先フィードバック位置xf、フィードバック姿勢Rfをそ
れぞれ減じることによって、サンプリングタイム毎の移
動距離、すなわち、移動速度x′が求められる(x′=
[xr−xf,Rr−Rf]T)。ステップS5の演算処理で
は、各軸の角速度θ′と移動速度x′との関係がx′=
Jθ′(Jはヤコビ行列)であることから、移動速度
x′をヤコビ逆行列J-1と位置比例ゲインマトリクスK
pとで変換して各軸の角速度指令値θ′icomを算出す
る。尚、この場合の処理は、図10の上段ブロックによ
る目標位置の変更を行わずに、教示データに基づく通常
の目標位置を用いて指令値を算出する処理に相当する。
【0058】一方、塗料が噴射されておらず、塗装ガン
18がOFF状態であるときは、図10の上段ブロック
による目標位置の変更が行われ、変更後の目標位置に基
づいて指令値が算出される。この場合は、図11におい
てステップS4からステップS6へ進み、以下に述べる処
理が行われる。
【0059】まず、ステップS6で仮の角速度指令θ′
dumを算出する。ここでは、上記ステップS5同様の演算
処理により、目標位置カウンタkを1インクリメントし
たガン先目標位置xr及び目標姿勢Rrに基づいて算出し
た各軸の角速度指令値を仮の角速度指令θ′dum(θ′
dum=[θ′1dum,θ′2dum,…,θ′6dumT)とす
る。
【0060】次いで、第1軸〜第6軸それぞれについ
て、上記仮の角速度指令値θ′idumと当該軸の最大角速
度θ′imaxとの比ratio(i)を求め(ステップS
7)、それら求めた各軸についての比ratio(i)
のうち、最も小さい値をとるもの(ratiomin)を
選択する(ステップS8)。
【0061】そして、ステップS9でその選択した比r
atiominを間隔dkに代入する。この間隔dkは、
ステップS4でOFF状態と判断された場合のサンプリ
ングタイム時において目標位置カウンタkを増加させる
間隔となり、後の処理においてkに加算される。又、こ
れと同時にステップS9では、ステップS3の処理Iにお
けるステップS21若しくはS22でインクリメントしたk
の値を前回のサンプリングタイムにおける値に戻す。こ
れは、ステップS6以後の処理が、ステップS3の処理I
により求めた目標位置カウンタk及びガン先目標位置x
r等を仮の値及び仮の目標位置等として使用するに過ぎ
ず、実際の目標値をこれから新たに求めるものであるた
めである。
【0062】次に、ステップS10で再び上述の処理Iを
行い、ガン先目標位置xr及び目標姿勢Rrを算出する。
ここでの処理Iは、図12に示した上記ステップS3に
おける処理Iと基本的に同様であるが、ステップS10で
は塗料噴射がOFF状態にあるので、ステップS20から
は必ずステップS22へ進み、目標位置カウンタkを上記
ステップS9で求めた間隔dkだけ増加させることとな
る。
【0063】これにより、ステップS27で各多項式に代
入される時間t(k・Ts)は、角速度に最も余裕のな
い軸における角速度指令値を当該軸の最大角速度とする
サンプリング間隔に対応した時間となる。すなわち、ス
テップS27では、教示データに基づく軌道上であって、
かつ、最大角速度に対して最も余裕のない軸に合わせて
変更されたガン先目標位置xr及び目標姿勢Rrが算出さ
れることになるのである。
【0064】尚、このステップS27での演算は、角速度
に最も余裕のない軸の仮の角速度指令値が最大角速度を
下回っている場合にも同様に行われ、当該軸の角速度指
令値を当該最大角速度とするようなガン先目標位置xr
及び目標姿勢Rrが算出される。
【0065】そして、変更後のガン先目標位置xr及び
目標姿勢Rrに基づいて角速度指令θ′comを算出する
(図11のステップS11)。尚、ここでの演算も上記同
様、移動速度x′をヤコビ逆行列J-1と位置比例ゲイン
マトリクスKpとで変換するものである。このようにし
て、角速度に最も余裕がない軸に合わせて最適化された
角速度指令θ′comが求められる。
【0066】以上述べたように、ステップS4からステ
ップS5若しくはステップS6〜S11の処理を経て、ステ
ップS12へ進み、現在移動中の軌道における塗装ガン1
8のON/OFF情報に基づく指令信号により塗料噴射
を制御する。そして、ステップS13で上述のようにして
求めた角速度指令θ′comに基づき、第1〜第6軸用モ
ータそれぞれに対して角速度の指令信号を出力し、各軸
を制御する。
【0067】各軸のトルクによる目標値修正と動作制
御 次に、各軸のトルクによりガン先目標位置xr及び目標
姿勢Rrの修正演算を行い、これにより塗装ロボットの
塗装作業中以外の移動時間を最適化して動作を制御する
制御動作について、図13を参照して説明する。尚、図
13に示す処理は、図11同様、サンプリングタイムT
s毎に繰り返し行われるものである。又、サンプリング
タイム毎のカウンタ、教示点(Pj)のカウンタは、上
記同様ぞれぞれk、jで表す。
【0068】まず、ステップS30でマニピュレータ5か
ら信号ケーブル4を介してコントローラ1へ各軸の回転
角度信号が供給され、コントローラ1内の演算処理装置
が各軸の回転角度θ(k)を取り込む。又、この取り込
んだ回転角度θ(k)を基に、このときのガン先位置x
f(k)及び姿勢Rf(k)を算出する。
【0069】次いで、回転角度θ(k)より、マニピュ
レータ5の慣性マトリクスHの対角成分Hiiと重力トル
クτg(τg=[τ1g,τ2g,…,τ6g]T)とを算出す
る(ステップS31)。ここで、対角成分Hii及び重力ト
ルクτgは、回転角度θ(k)に基づいて、第1アーム
10や第2アーム12等の長さ、質量及び質量中心位置
等の既知の量を用いることにより、幾何学的手法によっ
て求めることができる。
【0070】そして、各軸の角加速度θ″(k)及び角
速度θ′(k)を算出する(ステップS32、S33)。こ
こで、角加速度θ″(k)、角速度θ′(k)は、それ
ぞれ差分法を用いて θ″(k)={θ(k)−θ(k−1)}−{θ(k−
1)−θ(k−2)} θ′(k)=θ(k)−θ(k−1) として算出される。尚、これらの演算に必要な1サンプ
リングタイム前の回転角度θ(k−1)及び2サンプリ
ングタイム前の回転角度θ(k−2)は、コントローラ
1内の記憶装置に予め記憶しておくこととする。
【0071】次に、ステップS34で各軸において必要と
されるトルクτ(τ=[τ1,τ2,…,τ6]T)を算出
する。通常、図1に示したような塗装ロボットにおいて
必要とされるトルクτは、
【数1】 として求められる。数1中、(i)はトルクτの各成分
と角速度θ′等の各成分との対応を表し、右辺第1項は
慣性トルク、第2及び第3項は他の軸との干渉トルク、
第4項は減速機の摩擦等によるトルク、第5項は重力ト
ルクに相当する。
【0072】上記数1の右辺のうち、主に第1、第4及
び第5項がトルクτを決定するので、ステップS34では
第2及び第3項を省略し、各軸のトルクτiを τi=Hiiθ″i(k)+Ciθ′i(k)+τig として算出する。尚、ここで、Ciθ′i(k)は第i軸
における減速機の摩擦抵抗によるトルクに相当する。
【0073】続いて、第1軸〜第6軸それぞれについ
て、
【数2】 により、比ratio(i)を求める(ステップS3
5)。ここで、求めたトルクτi、当該軸の最大トルクτ
imaxのそれぞれからトルクCiθ′i(k)及びτigを減
じたものは、トルクτiと最大トルクτimaxのうちのモ
ータの駆動力によるトルクに相当し、数2ではそれらを
2乗したものの比をratio(i)とする。
【0074】そして、各軸についての比ratio
(i)のうちで最も小さい値をとるもの(ratio
min)を選択し(ステップS36)、その選択した比ra
tiominを間隔dkに代入する(ステップS37)。但
し、各軸の角速度を減速させているときについては、選
択したratiominの逆数を間隔dkに代入する。こ
のようにして求めた間隔dkは、モータトルクに最も余
裕がない軸における現在のモータトルクと最大のモータ
トルクとの比になる。
【0075】次に、ステップS38で図12の処理Iを上
記同様に行い、ガン先目標位置xr及び目標姿勢Rrを算
出する。ここでの処理Iにおいては、塗装作業中でない
ことから、ステップS20から必ずステップS22へ進み、
目標位置カウンタkを上記ステップS37で求めた間隔d
kだけ増加させることとなる。
【0076】これにより、ステップS27で各多項式に代
入される時間t(k・Ts)は、モータトルクに最も余
裕のない軸におけるモータトルクを当該軸用モータの最
大トルクとするサンプリング間隔に対応した時間とな
る。すなわち、ステップS27では、教示データに基づく
軌道上であって、かつ、最大モータトルクに対して最も
余裕のない軸に合わせて変更されたガン先目標位置xr
及び目標姿勢Rrが算出されることになるのである。
【0077】尚、このステップS27での演算は、トルク
に最も余裕のない軸のモータトルクが最大モータトルク
を下回っている場合にも同様に行われ、当該軸のモータ
トルクを最大モータトルクとするようなガン先目標位置
xr及び目標姿勢Rrが算出される。
【0078】そして、この変更後のガン先目標位置xr
及び目標姿勢Rrに基づいて角速度指令θ′comを算出す
る(図13のステップS39)。このようにして、モータ
トルクに最も余裕がない軸に合わせて最適化された角速
度指令θ′comが求められ、これに基づいた指令信号が
第1〜第6軸用モータそれぞれに対して出力されて各軸
が制御される(ステップS40)。
【0079】以上述べた本塗装ロボットシステムにおけ
る制御動作により、角速度又はモータトルクに最も余裕
のない軸については、角速度又はモータトルクを当該軸
における最大角速度又は最大モータトルクとするような
指令信号が供給され、他の軸については、教示データに
基づく移動軌道において、前記指令信号が供給される時
間に対応した指令信号が供給される。すなわち、動作可
能な角速度又は発生可能なモータトルクの範囲内で、移
動軌道を変更することなく、教示点間の中間点(ガン先
目標位置及び目標姿勢)が変更され、その変更後の中間
点までの移動距離に応じて角速度が制御される。これに
より、移動軌道の変更を要せず、かつ、ガン先18xの
軌跡を乱すこともなく、マニピュレータ5の能力に合わ
せてタクトタイムを最適化しつつ、塗装ロボットの制御
を行うことができることになる。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、教
示点間でロボットを移動させるロボット制御装置におい
て、目標位置を、教示点間を結ぶ軌道上に位置し、か
つ、ロボットの可動部分によって移動させ得る範囲内に
ある中間点に変更することとしたので、ロボットを移動
させる軌道を変更することなく、タクトタイムを長、短
両方に調整してロボットの動作能力に合わせた制御を行
うことができる。これにより、自動的にタクトタイムを
最適化することができると共に、軌跡精度を向上させて
ロボットの作業品質も向上させることができるという効
果が得られる。
【0081】更に、軌跡精度が確保されることから、ロ
ボットがワークや周辺機器等と干渉することがなくな
り、オペレータが軌道修正の作業を行う必要もなくな
る。これにより、干渉による機器破損のおそれを回避す
ることができると共に、オペレータによる教示時間を短
縮することができ、安全性、生産性の向上及びオペレー
タの労力軽減等を図ることができるという効果が得られ
る。
【0082】又、請求項2記載の発明によれば、少なく
とも一つの可動部分によるロボットの移動量が最大とな
るように目標位置が変更されるので、ロボットの動作能
力を最大限活用しつつ、上記タクトタイムの最適化や作
業品質の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態によるロボット制御装置
を適用した塗装ロボットシステムの構成を示す図であ
る。
【図2】 一般的な塗装ロボットにおける教示データ及
び該教示データに基づく塗装作業の軌道を示す図であ
る。
【図3】 角速度指令値に余裕がある場合の角速度指令
値とフィードバック値の推移を示す図である。
【図4】 角速度指令値が最大値θ′imax及び最小値
θ′iminの範囲を超える場合の角速度指令値とフィード
バック値の推移を示す図である。
【図5】 トルク指令値に余裕がある場合のトルク指令
値とフィードバック値の推移を示す図である。
【図6】 トルク指令値が最大値τimax及び最小値τi
minの範囲を超える場合のトルク指令値とフィードバッ
ク値の推移を示す図である。
【図7】 本実施形態における角速度が不足する場合の
目標位置修正を示す図である。
【図8】 本実施形態におけるトルクが不足する場合の
目標位置修正を示す図である。
【図9】 本実施形態におけるトルクに余裕がある場合
の目標位置修正を示す図である。
【図10】 本塗装ロボットシステムにおける制御ブロ
ック図である。
【図11】 各軸の角速度により目標位置及び目標姿勢
を変更して塗装ロボットを制御する制御動作を示す図で
ある。
【図12】 ガン先目標位置xr及び姿勢Rrを求める処
理Iの手順を示す図である。
【図13】 各軸のトルクにより目標位置及び目標姿勢
を変更して塗装ロボットを制御する制御動作を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 コントローラ 2 ティーチングペンダント 3 電源ケーブル 4 信号ケーブル 5 マニピュレータ 7 第1軸ユニット 9 第2軸ユニット 10 第1アーム 11 第3軸ユニット 12 第2アーム 14 第1手首部材 15 第2手首部材 16 第3手首部材 17 パターン旋回部 18 塗装ガン 18x ガン先
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B25J 17/00 G05B 19/415 H

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一定時間毎に教示データに基づく目標位
    置を求めてロボットの可動部分を制御し、教示点間で前
    記ロボットを移動させるロボット制御装置において、 前記教示点間を結ぶ軌道上の中間点であって、前記可動
    部分によって前記ロボットを現在位置から前記一定時間
    内に移動させ得る範囲内にある中間点を求める演算手段
    と、 前記ロボットを移動させるべき次の目標位置を、前記教
    示データに基づく目標位置から前記中間点に変更し、当
    該変更後の目標位置に基づいて前記可動部分を動作させ
    る指令信号を出力する指令信号出力手段とを有すること
    を特徴とするロボット制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のロボット制御装置におい
    て、 前記演算手段は、少なくとも一つの可動部分による前記
    ロボットの移動量を、当該可動部分によって前記ロボッ
    トを現在位置から前記一定時間内に移動させ得る最大の
    移動量とする前記中間点を求める演算手段であることを
    特徴とするロボット制御装置。
JP21174396A 1996-08-09 1996-08-09 ロボット制御装置 Withdrawn JPH1055207A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6726398B2 (en) 2000-02-17 2004-04-27 Sekisui Jushi Kabushiki Kaisha Road sign device and spontaneously emitted light sign system used for the device
JP2019123051A (ja) * 2018-01-17 2019-07-25 キヤノン株式会社 ロボット装置、ロボットの制御方法、ロボットの制御装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019123051A (ja) * 2018-01-17 2019-07-25 キヤノン株式会社 ロボット装置、ロボットの制御方法、ロボットの制御装置
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