JPH1054915A - 光分岐素子 - Google Patents

光分岐素子

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JPH1054915A
JPH1054915A JP8227484A JP22748496A JPH1054915A JP H1054915 A JPH1054915 A JP H1054915A JP 8227484 A JP8227484 A JP 8227484A JP 22748496 A JP22748496 A JP 22748496A JP H1054915 A JPH1054915 A JP H1054915A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光分岐素子において、主導波路からの分岐光を
分岐導波路に効率よく伝送すること。 【解決手段】主導波路1を屈曲させ、その屈曲部3に分
岐導波路2を近接配置する。分岐導波路2は光の伝搬方
向にその幅が狭くなるテーパ構造をしている。また、分
岐導波路2の中心軸21は主導波路1の屈曲前直線部の
中心軸の延長線11に対して主導波路1の屈曲方向Xに
傾いている。さらに、分岐導波路2の入射端面5の法線
ベクトル23は中心軸21に対して主導波路1の屈曲方
向の反対方向Yに傾いている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光分岐素子に関し、
さらに詳細にいえば、平面型多モード光導波路を分岐す
る光分岐素子に関する。
【0002】
【従来の技術】平面型多モード光導波路の分岐方式とし
ては、一本の導波路を2つに分岐するいわゆるY分岐型
導波路が知られている。また、多モード光ファイバの分
岐方式として、多モード光ファイバを曲げることによっ
て放射する光をこれとは別の分岐用光ファイバの入力端
に結合させるモード分割方式と呼ばれる方式が知られて
いる。
【0003】図10に示すよう主導波路1を急激に曲げ
ることによってクラッド中に放射される放射光を分岐導
波路2に結合させるモード分割方式を平面型多モード光
導波路の分岐に採用した方式が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】Y分岐型導波路は、分
岐角度が大きい場合には導波路中を進行している光線が
分岐部で臨界角を越えて放射損失となる。また、分岐角
が小さい場合には、分岐なまりによる散乱損失が増加す
る他、分岐された2つの導波路を一定距離引き離すため
に長い距離を要するので導波距離が長くなり、その結果
導波損失が増大するという問題がある。
【0005】図10に示したモード分割方式を平面型多
モード光導波路の分岐に採用した方式は、元来、損失と
なる放射光を分岐光として利用するので、低損失な分岐
ができ、かつ、急激に曲げることができるので、見かけ
上大きな分岐角が得られ、導波距離を短くできる。しか
し、平面型導波路の断面に不本意に発生するコア側壁の
凹凸により、主導波路1からの放射光は散乱性の放射光
となり、主導波路のクラッド中に広がる。その結果、分
岐導波路2の入射端面5にて捕らえられる放射光は僅か
となり、損失が大きくなるという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1の光分岐素子は図2に示すように、主導
波路1を屈曲させ、屈曲部3から放射する光線を近接配
置した分岐導波路2に結合させる構造の光分岐素子にお
いて、分岐導波路2は光の伝搬方向にその幅が徐々に細
くなるテーパ構造であることを特徴とする。
【0007】請求項2の光分岐素子は、図3に示すよう
に、請求項1の光分岐素子において分岐導波路2の中心
軸21は、主導波路1の屈曲前直線部の中心軸の延長線
11に対して、主導波路1の屈曲方向Xに傾いているこ
とを特徴とする。
【0008】請求項3の光分岐素子は、図1に示すよう
に、請求項1又は請求項2に記載の光分岐素子におい
て、分岐導波路2の入射端面5の法線ベクトル23が分
岐導波路2の中心軸21に対して主導波路1の屈曲方向
と反対方向Yに向くように傾いていることを特徴とす
る。
【0009】請求項4の発明は、図1に示した光分岐素
子において、主導波路1の断面の高さを2b、幅を2
b、曲げ半径をR、コアとクラッドの屈折率をそれぞ
れ、n1、n2 とし、テーパ形状の分岐導波路2の高さ
を2b、分岐導波路2の側面51と分岐導波路2の中心
軸21(図1では分岐導波路2の側面51と分岐導波路
2の中心軸21と平行な直線24)との成す角であるテ
ーパ角をα、出射端幅を2b、コア及びクラッドの屈折
率を主導波路1と同じとし、主導波路1の屈曲前直線部
の中心軸の延長線11に対する分岐導波路2の中心軸2
1の傾きをθb 、分岐導波路2の中心軸21に対する分
岐導波路2の入射端面5の法線ベクトル23の傾きをψ
b 、分岐導波路2の出射端面7に接続する図示されてい
ない導波路のコアとクラッドの屈折率をそれぞれ、
f1、nf2とした場合、
【数7】 0<α≦θC −sin-1((n2 /n1 )・sinθrmx ) …(7)
【数8】 0≦θb ≦ψb −sin-1((n1 /n2 )・sin(ψb −θC +α)) …(8)
【数9】 θrmx =π/2−sin-1(n2 /n1 )−cos-1((n2 /n1 )・ ((R+2b)/R)) ただし R≧2bn2 /(n1 −n2 ) …(9)
【数10】 θrmx =sin-1((n1 /n2 )・((R+2b)/R))− sin-1(R/(R+2b)) ただし R<2bn2 /(n1 −n2 ) …(10)
【数11】 θC =π/2−sin-1(n2 /n1 ) ただし n2 /n1 >nf2/nf1 …(11)
【数12】 θC =π/2−sin-1(nf2/nf1) ただし n2 /n1 ≦nf2/nf1 …(12) で示される関係式が成立することを特徴とする。なお、
図1に示すようにテーパ分岐導波路の短い方の側面の入
射側の起点位置を通り分岐導波路の中心軸と垂直な仮想
入射端5aを定義したとき、仮想入射端5aと出射端7
の間の中心軸の長さをL、仮想入射端5aの幅を2a、
出射端幅を2bとすると、テーパ角の定義より、
【数13】 α=tan-1((a−b)/L) …(13) であるので、上記(7)式は、
【数14】 b<a≦L・tan(θC −sin-1((n2 /n1 )・sinθrmx )) +b …(14) と表すこともできる。
【0010】
【発明の作用及び効果】図2に示すように、分岐導波路
2を光の伝搬方向にその幅が徐々に細くなるテーパ構造
とすることにより主導波路1の屈曲部3からの放射光を
多く分岐導波路2の入射端面5にて受光することができ
る。その結果、分岐損失を低減することができる。
【0011】また、主導波路1の屈曲部3からの放射光
の分布の中心軸は屈曲方向に傾く。よって、図3に示す
ように、分岐導波路2の中心軸21を、主導波路1の屈
曲前直線部の中心軸の延長線11に対して、主導波路1
の屈曲方向Xに傾けることにより、指向性を考慮して、
より多くの主導波路1の屈曲部3からの放射光を分岐導
波路2の入射端面5にて受光することができる。その結
果、さらに分岐損失を低減することができる。
【0012】さらに、放射光の屈曲方向に傾いた中心軸
に対して、図1に示すように、分岐導波路2の入射端面
5の法線ベクトル23が分岐導波路2の中心軸21に対
して主導波路1の屈曲方向と反対方向Yに向くように傾
けることにより分岐導波路2を屈曲部3に近接配置でき
るので、より多くの主導波路1の屈曲部3からの放射光
を分岐導波路2の入射端面5にて受光することができ
る。その結果、さらに分岐損失を低減することができ
る。
【0013】また、図1に示すように分岐導波路2の側
面51と分岐導波路2の中心軸21との成す角であるテ
ーパ角α、中心軸の傾斜角θb 、端面の傾斜角ψb に関
して、請求項4に示されている式(1)から式(6)の
関係式が成立するように図1の光分岐素子を設計する
と、分岐導波路2の入射端面5にて受光された主導波路
1の屈曲部3からの放射光は、分岐導波路2の出射端面
7に伝送される間に放射することがなくなる。この結
果、主導波路1より分岐された分岐光は分岐導波路2の
出射端面7に低損失で伝送することができる。
【発明の実施の形態】
【0014】図1は平面基板上の主導波路1と分岐導波
路2の配置を示している。主導波路1は屈曲部3で曲げ
半径Rで曲げられており、屈曲部3に分岐導波路2が近
接配置されている。
【0015】主導波路1の入射端面4と出射端面6と、
分岐導波路2の出射端面7の大きさは等しく、分岐導波
路2の入射端面5は前記の3つの端面より幅が広い。つ
まり、分岐導波路2は光の伝搬方向に断面積が狭くなる
テーパ構造をしていることになる。また、分岐導波路2
の中心軸21は主導波路1の屈曲前直線部の中心軸の延
長線11より主導波路1の屈曲方向Xに傾いている。入
射端面5の法線ベクトル23は分岐導波路2の中心軸2
1に対して主導波路1の屈曲方向とは反対の方向Yに向
くように傾いている。
【0016】上記構成において、入射端面4より入射し
た光は主導波路1を通り屈曲部3に到達する。屈曲部3
では主導波路1をそのまま通る光と入射端面5に向かっ
て放射する光に分岐する。主導波路1をそのまま通る光
は出射端面6に到達する。入射端面5に向かって放射す
る光は入射端面5より分岐導波路2を通って出射端面7
に到達する。
【0017】本発明を実施することによって、主導波路
1の屈曲部3から放射する光線が分岐導波路2の入射端
面5にて効率よく捕らえられ、出射端面7に少ない損失
で伝送されることを説明する。計算は幾何光学によるメ
リジオナル光線近似によって行う。
【0018】図4は図1の主導波路1の屈曲部3の近傍
を拡大した図である。図4の(a)に示すように、主導
波路1の屈曲前直線部12を導波モードで伝搬してきた
光線が、屈曲部3のコアとクラッドの外径側境界面31
に入射した際に最も漏洩しやすいのは直線部と屈曲部の
境界(x=0、R≦y≦R+2b)上のうち内径側の境
界32(点C)を通過した光線である。このときの外径
側境界面31への入射角φ(図中ではφ0 で表されてい
る角OAB)と主導波路1の屈曲前直線部12における
伝搬角θ(図中ではθwbc で表されている)の関係は以
下のように表される。
【数15】 sinφ=(R/(R+2b))・cosθ …(15) ここで、Rは主導波路の曲げ半径で、2bは導波路幅で
ある。上記の式は、以下のようにして求められる。図4
にて角OBAを直角とした直角三角形OABと直角三角
形OCBを考える。y軸とC点にて反射した反射後の光
線のなす角が(π/2−θ)となり、対頂角の関係によ
り角OCBも(π/2−θ)となることから角BOCは
θとなる。ここで、辺OCの長さが曲げ半径Rであり、
角OBCが直角の直角三角形OCBの角BOCがθであ
ることにより辺OBはRcosθとなる。また、角OB
Aが直角の直角三角形OABの辺OAの長さが曲げ半径
Rに主導波路の幅2bを加えた長さであり、角BAOが
φなので、辺OBは(R+2b)sinφとなる。そし
て、2つの方法で求めた辺OBが等しいことから式(1
3)は求められる。
【0019】コアの屈折率をn1 、クラッドの屈折率を
2 とすると臨界角φ0 は全反射におけるスネルの法則
により次式で表される。
【数16】 sinφ0 =n2 /n1 …(16)
【0020】導波路のカットオフとなる導波路内伝搬角
をθWCとすると、直線部と屈曲部の内径側の境界32を
通過する光線群は伝搬角が|θ|≦θWCの範囲内で伝搬
する。このうち屈曲部3のコアとクラッドの外径側境界
面31へ入射する光線が臨界角φ0 となる伝搬角θWbc
は次式で表される。
【数17】 θWbc =cos-1((n2 /n1 )・((R+2b)/R)) …(17) 上記の式は式(15)のφをφ0 、θをθWbc とし、式
(16)を代入することにより求められる。従って、放
射モードに変換される光線は図9に示す直線導波路部で
の導波光のモード分布のうち、θWbc ≦θ≦θWCの範囲
にある光線(図中の斜線領域)である。ここでθWCは次
式で表される。
【数18】 θWC=cos-1(n2 /n1 ) …(18) θWCは直線部12における全反射を生じる臨界角であ
る。
【0021】屈曲部3のコアとクラッドの外径側境界面
31から放射した光線のうち主導波路1の直線部の延長
軸に対して最も大きな角で放射するのは、内径側の直線
部と屈曲部の境界32を通過した光線であり、その放射
方向はコアとクラッドの外径側境界面31の接線方向で
あり、これを最大放射角θrmx とすると θrmx は次式
で表される。
【数19】 θrmx =π/2−sin-1(n2 /n1 )−cos-1((n2 /n1 )・ ((R+2b)/R)) …(19) 上記の式は、主導波路1の屈曲前直線部12の中心軸1
1とA点にて屈折をする屈折前の光線となす角がθWbc
であり、A点における境界面31の法線ベクトル34と
主導波路1の屈曲前直線部12の中心軸11のなす角が
θWbc と臨界角φ0 を加えた値になり、この角度の対頂
角にθrmx を加えると丁度π/2となることと、式(1
6)、式(17)にて求められたφ0 とθWbc の値を代
入することにより求められる。
【0022】しかし、分岐光Bの強度を大きくしようと
する場合、即ち、曲げ半径が次式
【数20】 R<2bn2 /(n1 −n2 ) …(20) のような小さな値をとるとき、主導波路1の屈曲部3に
入射したθ=0の直進光線の外径側境界面31への入射
角が臨界角φ0 より小さくなるので、図4の(b)に示
すように、直進光線もそのまま放射モードとなりクラッ
ド中へ漏洩する。この場合θrmx が最大となるのは直線
部と屈曲部の内径側の境界をθ=0で通過した光線であ
り、θrmx はA点における入射光と透過光に対してスネ
ルの法則を適用し次式で表される。
【数21】 θrmx =sin-1((n1 /n2 )・(R/(R+2b)))− sin-1(R/(R+2b)) …(21)
【0023】一方、すべてのRに対して放射角度が最も
小さくなるのは外径側の直線部と屈曲部の境界33を伝
搬角θ=−θWCで入射した光線であり、その放射角度は
θr=0となる。従って、放射光の放射角度は0≦θr
≦θrmx の範囲でその広がり角はθrmx である。
【0024】主導波路のコアとクラッドの境界面が理想
的な直線と円弧で構成された場合は前記の放射光の広が
り角となるが、実際のデバイスでは上記の境界面では少
なからず凹凸が発生するので、その結果、放射光の広が
り角はθrmx 以上となる。
【0025】前記の広がった放射光を効率よく分岐導波
路に結合させるには、分岐導波路の入射端幅を可能な限
り大きくすることである。しかし、出射端側は接続する
機器に合わせる必要があるためにテーパ構造を採用する
ことになる。
【0026】しかし、テーパ分岐導波路2を伝搬中の光
線が導波路の臨界角を越えてしまっては放射損失が発生
するので、効率よく分岐したことにはならない。本発明
では最大放射角θrmx で放射された光線が、分岐導波路
2の入射端面5に結合し、テーパ中を伝搬しても導波路
の臨界角を越えないようなテーパ角αの最大角αmax
求める。
【0027】テーパ構造の分岐導波路2を図5に示す。
分岐導波路2のテーパ角αが最大となるのは最大伝搬角
θrmx で入射した光線が、1回の全反射で伝搬角が臨界
角となり、出射端の隅に到達する場合である。主導波路
1の屈曲前直線部12の中心軸11と平行な直線13と
入射光線のなす角が伝搬角であり、直線13と分岐導波
路2の下側境界面52のなす角がテーパ角αの最大角α
max となるので、分岐導波路2の下側境界面52に対す
る入射角は伝搬角にテーパ角が加わることになり、前記
の条件はコア内での条件なので、最大放射光線のコア内
伝搬角をθrmx ' とすると次式で表される。
【数22】 θrmx ' +αmax =θC …(22) 最大放射光線のコア内伝搬角θrmx ' とクラッド中への
最大放射角θrmx との関係はスネルの法則により次式で
表される。
【数23】 n2 sinθrmx =n1 sinθrmx ' …(23) また、θC はテーパ導波路もしくは、これに接続する光
ファイバ等の光導波路の最大伝搬角度、即ち、コア内を
伝搬する光線がコアとクラッドの境界面で全反射が可能
な最大伝搬角度、の小さい方の値であり、放射光線をN
A不整合損失を伴わずに次段の導波系に結合できる値で
あり全反射のスネルの法則を用いて次式で表される。
【数24】 θC =π/2−sin-1(n2 /n1 ) ただし n2 /n1 >nf2/nf1 …(24)
【数25】 θC =π/2−sin-1(nf2/nf1) ただし n2 /n1 ≦nf2/nf1 …(25) ここで、nf1、nf2はそれぞれ分岐用導波路に接続する
光ファイバ等の光導波路のコアとクラッドの屈折率であ
る。
【0028】図5で示される最大テーパ角αmax は式
(22)、式(23)より次式で表すことができる。
【数26】 αmax =θC −sin-1((n2 /n1 )・sinθrmx ) …(26) 従って、請求項1のようなテーパ構造をとり、そのテー
パ角αが請求項4の式(1)の範囲となる構造は分岐導
波路2の入射端面5にて放射光を多く受光し、出射端面
7に少ない損失で伝送することができる。また、図5の
ようにテーパ分岐導波路の長さをL、出射端幅を2b、
最大テーパ角αmax のときの入射端幅を2amax とする
と、テーパ角の定義より次式を得ることができる。
【数27】 tanαmax =(amax −b)/L …(27) よって、式(21)〜(27)によりamax は次式で表
される。
【数28】 amax =L・tan(θC −sin-1((n2 /n1 )・sinθrmx )) +b …(28) よって、請求項4の式(1)は式(28)より次式で表
すこともできる。
【数29】 b<a≦L・tan(θC −sin-1((n2 /n1 )・sinθrmx )) +b …(29)
【0029】次に、放射光の指向性にあわせて分岐導波
路2を傾けて配置した場合を考える。図6に示すよう
に、分岐導波路2の中心軸21を主導波路1の屈曲方向
Xに傾けると、大きな放射角度で入射した光線42は分
岐導波路のコアとクラッドの境界面52への入射角度6
2が大きくなるため放射しにくくなる。
【0030】一方、θr =0の放射光41は分岐導波路
の中心軸の傾き角θb が大きくなるにつれて分岐導波路
上側のコアとクラッドの境界面51への入射角61が小
さくなり、上側から放射するようになる。導波路の受光
角が最大放射光線のコア内伝搬角θrmx ' よりも大きい
場合、分岐導波路の中心軸を傾けてもθr =0の放射光
が分岐導波路のコアとクラッドの境界面に一回全反射し
て出射端に到達可能な角度以内にすれば、分岐導波路中
の光線はテーパ導波路中で放射モードに変換されない。
つまり、放射光の指向性にあわせて分岐導波路2を傾け
て配置すると大きな放射角度の放射光まで受光し易くな
り、θr =0の放射光が分岐導波路のコアとクラッドの
境界面に一回全反射して出射端に到達可能な角度以内に
傾けると少ない損失で入射端面に受光した放射光を出射
端面に伝送することができる。
【0031】また、請求項3のように、分岐導波路の入
射端面を図7のようにψb 傾けることにより、主導波路
の屈曲部3に近接配置が可能となり、その結果、放射光
が大きく広がる前に分岐導波路に結合することができ、
低損失となる。
【0032】前記のように、分岐導波路2の中心軸21
が主導波路1の屈曲前直線部12の中心軸11に対して
主導波路1の屈曲方向にθb 傾いていて、分岐導波路2
の入射端面5の法線ベクトル23が分岐導波路2の中心
軸21に対して主導波路1の屈曲方向と反対方向にψb
傾いている場合、分岐導波路2の入射端面5に結合した
光線の導波路内伝搬角θWAは、図8のように角度を定義
すると次式で表される。
【数30】 θWA=ψb −sin-1((n2 /n1 )・sin(ψb −θb ))…(30) ただし、ψb 、θb 、θWAはともに図8の矢印の方向を
正とする。上記の式は、図8における入射角をクラッド
内の光線71と法線ベクトル23のなす角(ψb
θb )とし、屈折角はコア内の光線72と法線ベクトル
23のなす角(ψb −θWA)としてスネルの法則により
得られる式である。式(30)において
【数31】 ψb ≧0、θb ≧0 …(31) の範囲では常にθWA≧0となる。この結果、θr =0で
主導波路から放射された光線は、分岐導波路の上側で反
射することになる。
【0033】テーパ角αの分岐導波路において、1回の
反射で臨界角に達する条件は式(22)と同様に次式で
表される。
【数32】 θWA+α=θC …(32) 式(32)に、式(30)を代入するとθr =0で主導
波路から放射された光線を分岐導波路内で臨界角に屈折
させるための中心軸の傾きθbcは次式で与えられる。
【数33】 θbc=ψb −sin-1((n1 /n2 )・sin(ψb −θC +α) …(33) 従って、請求項3の形状で、請求項4の式(2)(0≦
θb ≦θbc)の範囲で設計すれば、放射光を効率よく受
光するとともに、分岐導波路内で放射損失になることな
く分岐素子が構成できる。
【0034】式(31)の範囲以外では、ψb <0の場
合には構造的に分岐導波路の入射端面を主導波路の屈曲
部に近接することができないので、また、θb <0の場
合には屈曲部からの放射光の指向性と一致しない角度に
配置するので効率が悪くなる。
【0035】以上により、光導波路の主導波路の屈曲部
の放射光を、分岐導波路に請求項1、請求項2あるいは
請求項3の形状を与えることによって効率よく分岐する
ことができる。また、請求項4によって最適な形状を得
ることができる。これにより多モード光導波路を効率よ
く分岐する光分岐素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項3の光分岐素子の上面図
【図2】請求項1の光分岐素子の上面図
【図3】請求項2の光分岐素子の上面図
【図4】主導波路1の屈曲部3の拡大図
【図5】分岐導波路のテーパ部の説明図
【図6】分岐導波路を主導波路の屈曲方向に傾けた場合
の説明図
【図7】分岐導波路の入射端面を傾けた場合の説明図
【図8】分岐導波路の拡大図
【図9】主導波路の直線部を伝送する伝搬光のモード分
【図10】従来のモード分割方式を用いた光分岐素子の
上面図
【符号の説明】
1…主導波路 2…分岐導波路 3…屈曲部 4…主導波路1の入射端面 5…分岐導波路2の入射端面 5a…分岐導波路2の仮想入射端面 6…主導波路1の出射端面 7…分岐導波路2の出射端面 11…主導波路1の屈曲前直線部の中心軸 12…主導波路1の屈曲前直線部 21…分岐導波路2の中心軸 22…分岐導波路2の中心軸に垂直な面 23…入射端面5の法線ベクトル 31…屈曲部3の外径側境界面 32…屈曲部3と直線部12の内径側境界 33…屈曲部3と直線部12の外径側境界 41…θr =0の放射光 42…θr =θrmx の放射光 51…分岐導波路2の上側境界面 52…分岐導波路2の下側境界面 61…放射光41の境界面51への入射角 62…放射光42の境界面52への入射角

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主導波路を屈曲させ、該屈曲部から放射
    する光線を近接配置した分岐導波路に結合させる構造の
    光分岐素子において、該分岐導波路は光の伝搬方向にそ
    の幅が徐々に細くなるテーパ構造であることを特徴とす
    る光分岐素子。
  2. 【請求項2】 前記分岐導波路の中心軸は、前記主導波
    路の屈曲前直線部の中心軸の延長線に対して前記主導波
    路の屈曲方向に傾いていることを特徴とする請求項1に
    記載の光分岐素子。
  3. 【請求項3】 前記分岐導波路の入射端面は、その法線
    ベクトルが前記分岐導波路の中心軸に対して前記主導波
    路の屈曲方向と反対方向に向く様に傾いていることを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の光分岐素子。
  4. 【請求項4】 前記主導波路の断面形状が概略矩形で断
    面の高さを2b、幅を2b、曲げ半径をR、コアとクラ
    ッドの屈折率をそれぞれ、n1 、n2 とし、前記テーパ
    形状の分岐導波路の高さを2b、前記分岐導波路の側面
    と中心軸との成す角であるテーパ角をα、出射端幅を2
    b、コア及びクラッドの屈折率を前記主導波路と同じと
    し、前記主導波路の屈曲前直線部の前記中心軸の延長線
    に対する前記分岐導波路の前記中心軸の傾きをθb 、前
    記分岐導波路の中心軸に対する前記分岐導波路の前記入
    射端面の法線ベクトルの傾きをψb 、前記分岐導波路に
    接続する導波路のコアとクラッドの屈折率をそれぞれ、
    f1、nf2とした場合、 【数1】 0<α≦θC −sin-1((n2 /n1 )・sinθrmx ) …(1) 【数2】 0≦θb ≦ψb −sin-1((n1 /n2 )・sin(ψb −θC +α)) …(2) 【数3】 θrmx =π/2−sin-1(n2 /n1 )−cos-1((n2 /n1 )・ ((R+2b)/R)) ただし R≧2bn2 /(n1 −n2 ) …(3) 【数4】 θrmx =sin-1((n1 /n2 )・((R+2b)/R))− sin-1(R/(R+2b)) ただし R<2bn2 /(n1 −n2 ) …(4) 【数5】 θC =π/2−sin-1(n2 /n1 ) ただし n2 /n1 >nf2/nf1 …(5) 【数6】 θC =π/2−sin-1(nf2/nf1) ただし n2 /n1 ≦nf2/nf1 …(6) で示される関係式が成立することを特徴とする請求項1
    乃至請求項3のいずれかに記載の光分岐素子。
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