JPH1053894A - めっき鋼板 - Google Patents

めっき鋼板

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JPH1053894A
JPH1053894A JP15807697A JP15807697A JPH1053894A JP H1053894 A JPH1053894 A JP H1053894A JP 15807697 A JP15807697 A JP 15807697A JP 15807697 A JP15807697 A JP 15807697A JP H1053894 A JPH1053894 A JP H1053894A
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JP
Japan
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steel sheet
plating
iron oxide
oxide layer
steel
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JP15807697A
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English (en)
Inventor
Makoto Isobe
誠 磯部
Chiaki Kato
千昭 加藤
Kazuhiro Seto
一洋 瀬戸
Masaaki Kono
雅昭 河野
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化鉄層を除去することなしにめっきを施し
た鋼板において、残存する酸化鉄層の構造を最適化する
ことによって、上記の問題を解消した新規なめっき鋼板
を提供する。 【解決手段】 鋼素地上に酸化鉄層およびめっき層を順
に積層してなるめっき鋼板であって、該酸化鉄層に、め
っき層と界面での最大長さが10μm以上でかつめっき層
と鋼の素地とを繋ぐ、金属鉄または鉄合金からなる貫通
部を、点在させて設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高い耐食性が要
求される、製缶材料、建築資材、冷暖房・給湯機器用鋼
板および自動車用鋼板等に供するめっき鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】めっき鋼板の製造は、めっき鋼板用の素
材を熱間圧延後に、鋼板表面を覆う酸化鉄層を酸洗設備
で除去し、さらに必要に応じて冷間圧延を行ってから、
連続式溶融めっき装置や電気めっき装置等にてめっきを
行うのが、一般的である。ここで、酸化鉄層の除去を必
須とするのは、酸化鉄層がめっきを阻害し、また、めっ
き層の剥離起点となる結果、めっきの密着性を劣化させ
るためである。
【0003】これに対して、特開平6−279967号
公報では、溶融亜鉛めっき熱延鋼帯の製造において、酸
化鉄層を除去することなく還元雰囲気ガス中で還元処理
を行った後、溶融亜鉛めっきを行うことが提案され、具
体的には、75%の高濃度H2雰囲気にて還元処理を実施
している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法によれば、
酸化鉄層を除去することなしに、連続式溶融めっき装置
の加熱炉で十分に還元して不めっきのない溶融亜鉛めっ
きが実現される。しかしながら、還元雰囲気のH2 濃度
が高いために、酸洗コストが削減される一方で、連続め
っき設備の加熱炉に要するコストは大幅に増加してしま
う。また、酸化鉄層の還元を必要としない冷延素材を同
一の連続めっき設備でめっきする場合には、10%以下程
度のH2 濃度に変更する必要がある。なぜなら、酸化鉄
層が存在しない場合は、加熱中の鋼板の内部に水素が吸
蔵され、この水素は、めっき後に鋼板が低温になると鋼
中から排出され、めっきとの界面で気化して、局所的な
めっき剥離を発生するためである。従って、H2 濃度の
変更による生産性の低下やコストの増加をまねくことに
なるのである。
【0005】この発明の主目的は、酸化鉄層を除去する
ことなしにめっきを施した鋼板において、酸化鉄層を積
極的に残存させて残存する酸化鉄層の構造を最適化する
ことによって、上記の問題を解消した新規なめっき鋼板
を提供するものである。
【0006】さらに、この発明の別の目的は、合金鋼、
例えば高張力鋼板またはステンレス鋼板など、溶融めっ
きを不得手とする鋼板に対して、溶融めっきによっても
密着性に優れためっき層が得られる手段を与えることに
ある。
【0007】すなわち、高張力鋼板やステンレス鋼板な
どの合金鋼板では、溶融めっき処理前の焼鈍工程におい
て、その合金成分、例えばSi、MnおよびCrが選択酸化さ
れて鋼板表面に酸化物として濃化する結果、不めっきや
めっき密着性の低下が不可避に発生していた。そこで、
これら鋼板において溶融めっきを実現させるために、高
張力鋼板では、溶融めっき前に電気めっきを行う手法
(特開昭61−147865号および特開平2−194156号各公報
参照)や、連続溶融めっきラインにおいて酸化してから
還元を行ってめっきを施す手法(特開昭55−122865号お
よび特開平6−41708 号各公報参照)が提案されてい
る。同様に、ステンレス鋼板では、溶融めっき前に電気
めっきを行う手法(特開昭63−47356 号および特開昭63
−235485号各公報参照)や、酸で不動態皮膜を処理した
後に溶融めっきを行う手法(特開平8−225897号公報参
照)が提案されている。このように、合金鋼板に溶融め
っきを施すには、溶融めっきに先立って複雑な工程を経
る必要があるため、より簡便な手法によって溶融めっき
を実現することが望まれていたのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、酸化鉄層を
残存させたままめっきを施した鋼板において、特に酸化
鉄層の構造とめっき特性との関係を究明するため、まず
酸化鉄層を残存した鋼板を種々の条件で還元後にめっき
を行ってから、各めっき鋼板のめっき特性を調査すると
ともに、各鋼板の酸化鉄層の構造を観察した。その結
果、必ずしも酸化鉄層の表面からの還元深さに比例して
めっき特性が向上するわけではないことから、還元域の
深さを定量化するのではなく、鋼の素地とめっき層とを
繋ぐ貫通部の酸化鉄層における存在状態を規定するの
が、めっき特性の向上に有利であることを、新たに見出
し、この発明を導くに到った。
【0009】この発明は、鋼の素地上に酸化鉄層および
めっき層を順に積層してなるめっき鋼板であって、該酸
化鉄層に、めっき層との界面での最大長さが10μm以上
でかつめっき層と鋼の素地とを繋ぐ、金属鉄または鉄合
金からなる貫通部を、点在させて設けたことを特徴とす
るめっき鋼板である。
【0010】ここで、酸化鉄層断面の1mmの長さに含ま
れる、貫通部のめっき層との界面での総長が0.1mm 以上
であることが、好ましい。なお、ここでいう酸化鉄層は
酸化鉄と貫通部を形成する金属鉄または鉄合金を含む混
合層を意味する。
【0011】また、この発明は、一般的成分組成のめっ
き用鋼板は勿論、焼鈍中に鋼板表面に濃化する成分を含
有する組成である鋼板、例えば高張力鋼板およびステン
レス鋼板に、とりわけ有利に適合する。
【0012】この発明では、その適合めっき鋼板の断面
を図1に例示するように、酸化鉄層に、めっき層との界
面での最大長さ(以下、接触最大長さという)が10μm
以上でかつめっき層と鋼の素地とを繋ぐ、金属鉄または
鉄合金からなる貫通部を、点在させて設けることが肝要
である。
【0013】なぜなら、図2に撃芯径 1/2インチ、落下
荷重2kgおよび落下距離70cmのボールインパクト試験
を、種々の接触最大長さの貫通部をもつ各鋼板について
行った結果を示すように、酸化鉄層における貫通部の接
触最大長さが10μm未満では、めっき密着力が小さく、
剥離が起こってしまうためである。
【0014】また、貫通部を酸化鉄層の表面で点在させ
て設けるのは、貫通部から離れて密着力が不十分となる
めっき部分が、面状の広がりを持つことを避けるためで
ある。
【0015】さらに、酸化鉄層断面の1mmの長さに含ま
れる貫通部の総長(以下、単に総長という)が、0.1mm
以上であることが望ましいが、これは衝撃や、加工に対
して、めっきを剥離させないための強度を得るためであ
る。一方、とくに合金鋼板を対象とする場合に、後述す
るように酸化鉄層には合金成分の表面濃化を抑制する働
きが期待されるため、鋼の素地とめっき層との間に酸化
鉄層が確実に存在することが必要になる。従って、この
場合は、貫通部の総長を0.9 mm 以下とすることが好ま
しい。なお、貫通部の総長が0.5 mm程度以上である場合
には酸化鉄層が点在され、同0.5 mm未満である場合には
貫通部が点在されている。この発明では、貫通部によっ
て酸化鉄層の面状の広がりが阻止されることにより、貫
通部上のめっきにより密着性が確保できていればよいの
であり、上記のどちらの場合においても、この発明では
貫通部を点在させる、と表現し、めっき密着性を確保す
るために好ましい。
【0016】また、この発明は、従来は溶融めっきの適
用が限られていた、高張力鋼板やステンレス鋼板など、
焼鈍中、具体的には焼鈍から焼鈍後に溶融めっき浴へ鋼
板が浸入するまでの過程において、鋼板表面に濃化する
成分を含有する組成になる鋼板に、とりわけ有利に適合
する。すなわち、この種の鋼板を酸化鉄層を除去したの
ち連続溶融めっきラインで処理すると、焼鈍中、或いは
焼鈍後に溶融めっき浴へ鋼板が浸入するまでの間に、炉
内に存在する微量の酸素または水蒸気により、鋼中のS
i、MnおよびCrなどが選択酸化されて鋼板表面に酸化物
として濃化する結果、不めっきやめっき密着性不良が発
生する不利があった。ところが、この発明に従って貫通
部の介在下に酸化鉄層を残存させると、鋼中のSi、Mnお
よびCrなどの成分は、酸化鉄層と鋼の素地との界面にお
いて、酸化鉄の酸素を奪い取って酸化物となり、鋼中に
析出するため、これら成分の鋼板表面への析出は回避さ
れる。従って、めっき密着性を阻害する要因は解消され
る上、貫通部によって鋼の素地とめっき層とが強固に繋
がるため、めっき密着性は格段に向上するのである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、この発明に従うめっき鋼
板を得る具体的手法について、溶融亜鉛めっきによる場
合を例に説明する。さて、めっき鋼板の鋼の素地となる
鋼素材は、熱間圧延設備にて所定の板厚まで圧延された
のち、溶融めっき設備に搬入される。ここで、めっき鋼
板用素材の成分は、めっき鋼板用の一般的成分組成であ
れば、特に限定する必要はなく、めっき鋼板において必
要とされる特性に従って、製鋼段階で適宜調整すればよ
い。すなわち、めっき用鋼板の一般的成分組成は勿論、
従来は適用が限られていた、高張力鋼板およびステンレ
ス鋼板など、焼鈍中に鋼板表面に濃化する成分を含有す
る組成になる鋼板も使用することができる。ここに、焼
鈍中に鋼板表面に濃化する成分としては、Si、Mn、Cr、
Al、Ti、Nb、PおよびBなどがあり、これら成分の合計
量が1wt%をこえる組成の鋼板において、焼鈍中に表面
濃化が著しい。
【0018】ちなみに、溶融めっきを施した高張力鋼板
は、自動車の内板、シャーシおよび補強材のほか、建
材、ビルの床材やテラス材、建設現場のガード材、そし
て形枠などに使用でき、溶融めっきを施したステンレス
鋼板は、自動車の排気ガス系統の各種材料や厳しい環境
(海浜地区等)で使用する建材などに使用できる。
【0019】なお、熱間圧延工程では、その仕上げ圧延
の直前に充分なデスケーリングを行うことや、最終仕上
げ圧延温度を低くして、酸化鉄層の厚みを薄く、具体的
には5μm 以下程度にすることが好ましい。ちなみに、
仕上げ圧延後の冷却条件にもよるが、最終仕上げ圧延温
度が750 〜800 ℃で酸化鉄層の厚みはおよそ5μm にな
る。この酸化鉄層の厚みは、鋼中成分の増加に従って減
少する傾向にある。
【0020】次いで、溶融めっき設備では、始めに焼鈍
炉で還元処理を行って、その後にめっき浴に浸漬してめ
っきを施し、溶融亜鉛系のめっき鋼板が得られる。ここ
で、熱間圧延工程にて鋼板表面に生成した酸化鉄層は、
焼鈍炉で完全に還元されないため、その表面に酸化鉄層
が残存するが、めっき浴での浸漬に先立って、めっき後
の鋼板において、酸化鉄層に貫通部を点在させて設けか
つ貫通部の最大長さを10μm以上とするために、例えば
次の処理を施しておくことが、肝要である。
【0021】すなわち、熱間圧延後の鋼板を焼鈍炉にお
ける条件、具体的には、水素濃度、温度および時間を適
宜調整する。ここでの好適条件を例示すると、水素濃
度:30%以下、温度:770 ℃以上、より好ましくは770
〜950 ℃および時間:20〜150秒間である。しかし、条
件は鋼種や酸化鉄層の厚みによっても異なり、例えば、
5μm の酸化鉄層が生成した鋼板では、水素濃度20%の
雰囲気で温度: 800℃および時間:40秒以上で達成で
き、通常の連続溶融めっき設備で充分に製造可能であ
る。また、水素濃度8%の雰囲気では温度: 800℃およ
び時間:80秒以上で達成できる。
【0022】なお、焼鈍炉において高濃度の水素雰囲気
を用いて且つ長時間の保持を行えば、酸化鉄層が完全に
還元されて良好なめっきが当然得られるが、著しく経済
性を欠くことから工業生産において採用できないことは
勿論、従来のめっき処理に必須の酸化鉄層の除去工程を
省略したことによる、この発明に特有の経済的効果が相
殺されることからも採用できない。
【0023】ちなみに、溶融めっき設備を、酸化鉄層を
有する熱延板と冷延板とに兼用する場合は、熱延板の酸
化鉄層を全て還元するために高H2 雰囲気で処理する
と、冷延板の処理までに雰囲気を入れ替える必要があ
る。なぜなら、例えば酸化鉄層を有する熱延板の後に、
そのまま高H2 雰囲気で冷延板を処理すると、冷延板の
焼鈍中にその鋼板内に水素が吸蔵され、めっき後に排出
された水素が行き場を失って、めっきとの界面で気化し
て局所的なめっき剥離を生じてしまうからである。
【0024】上記手順にて、溶融めっき設備の焼鈍炉内
で所定の処理が施され、酸化鉄層に貫通部を島状に点在
させて設けることによって、表面が活性化された鋼板
に、溶融亜鉛系のめっきを施すに当たり、鋼板を予め溶
融金属の温度付近に冷却した後にめっき浴内に導入、そ
して浸漬することが好ましい。例えば、0.15〜0.2 wt%
のAlを含有するめっき浴にて行う溶融亜鉛めっきでは、
浴温を450 〜500 ℃とするのが一般的であるが、めっき
層と金属鉄との界面に生成するZn−Fe合金の成長を抑制
するために、500 ℃以下程度に冷却した後に導入するこ
とが望ましい。また、浸漬に換えて、片面のみをメニス
カス法により溶融亜鉛系金属に接触させて片面めっきを
行うことも可能である。
【0025】ここで、亜鉛系のめっき浴としては、Znお
よびFeの他に、種々の性能向上を目的として、Al、Mg、
Mn、Ni、Co、Cr、Si、Pb、Sb、BiおよびSn等を単独或い
は複合して含有することが可能である。
【0026】最後に、浸漬によりめっきされた鋼板は、
ガスワイピング等により20〜250 g/m2の範囲の必要目
付量に調整した後、放冷、空冷または水冷などの冷却を
行ってから、必要によりレベラーや調質圧延を施して、
製品となる。また、耐食性等の向上のために、冷却後或
いは調質圧延後に、クロメート処理やりん酸塩処理等を
行うことも可能であり、さらに塗装を行うことも有効で
ある。同様に、後処理として潤滑処理を行うことも可能
である。
【0027】以上、溶融亜鉛めっき鋼板を例に説明を行
ったが、この発明のめっき鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板
に限らず、他の溶融めっき鋼板または電気めっき鋼板に
も同様に適用可能である。例えば、55%Al−Znめっき、
Alめっき、Snめっき、またはZn−Niめっきなどのめっき
鋼板が適合する。いずれにしても、還元処理後も残存す
る酸化鉄層に、所定の接触最大長さの貫通部を酸化鉄層
に点在させて設ければよく、めっき形式に捕らわれず
に、優れためっき特性の鋼板が得られるのである。連続
式溶融亜鉛めっき装置では焼鈍炉に連続してめっき槽が
配されるのが普通であるから、この発明に特に好適であ
る。
【0028】なお、貫通部は金属鉄または鉄合金よりな
るが、これはめっき以前の焼鈍中にH2 によって酸化鉄
が還元されて金属鉄となるか、またはこの金属鉄が溶融
めっき、例えばAlを含む溶融めっきにて、めっき液との
反応により界面に溶融めっき成分、例えばAlおよびZnと
の合金を形成することを意味する。一方、電気めっきで
は、上述の合金化は起こらないため、鉄合金の生成がな
いのが普通である。
【0029】
【実施例】表1に示す鋼組成のスラブを熱間圧延し、0.
9 mm厚の酸化鉄層を有する熱延板とした。次いで、この
熱延板を60×200 mmの試験片に切断し、アセトンで洗浄
後、縦型の溶融金属めっきシミュレータで焼鈍処理を施
し、その後亜鉛系めっきを行った。表2および表3に熱
間圧延と焼鈍処理の条件を、そして表4および表5にめ
っきの条件を、それぞれ示す。かくして得られためっき
鋼板について、めっき後の断面観察から求めた残存酸化
鉄層の厚み、貫通部の接触最大長さおよび貫通部の総長
を測定するとともに、めっき密着性を評価した。各測定
結果を表2および表3に、そして評価結果を表4および
表5に、それぞれ示す。
【0030】ここに、貫通部の接触最大長さは、この例
では圧延方向に沿う断面とこれと直角の方向に沿う断面
において、各 250μm 以上の長さにわたる観察により測
定し、2断面の接触最大長さを返金して求めた。例え
ば、図1はめっき鋼板の圧延方向と直角方向に沿う断面
を示すが、貫通部の最大長さは32μm となる。一方、1
mm当たりの貫通部の総長は、断面の 250μm 以上の長さ
にわたる観察から貫通部長さを求め、酸化鉄層断面1mm
当たりに換算して求めた。図1の例において、32μm 、
8μm 、2μm の合計42μm と、それらを含む酸化鉄層
の長さである界面の観察長さ283 μm との比から求める
と、貫通部の総長は酸化鉄層1mm当たり0.15mmとなる。
【0031】但し、図1に示しためっき鋼板断面の顕微
鏡観察においては識別されないが、残留酸化鉄層は、そ
の表面が焼鈍中に還元されるために、金属鉄層を介して
めっき層と接している場合もある。このように、極薄い
金属鉄層が残留酸化鉄層とめっき層との間に介在する場
合も、上記酸化鉄層とめっき層とが接することとする。
【0032】なお、めっき密着性は、ボールインパクト
試験および180 度外曲げ試験により評価した。すなわ
ち、ボールインパクト試験は、1/2インチ直径の半球
状凸面を持つ撃芯を供試面の裏側に当て、供試面側には
半球状凹形の受け皿をあてがって、2kgの重りを70cmの
高さから落下させて撃芯を叩き、突き出された供試面に
セロハン粘着テープを貼り付けてから引き剥がして、め
っき鋼板の表面を観察した。また、180 度外曲げ試験
は、予めビニール粘着テープを供試面に貼り、スペーサ
ーに0.9 mmの鋼板を入れ油圧プレス機で供試面を外側に
して180 度曲げてから、再度平坦な状態に曲げ戻したの
ち、ビニールテープを引き剥がし、めっき鋼板の表面を
観察した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】表2ないし5から、接触最大長さが10μm
以上の貫通部を酸化鉄層に島状に点在させれば、ボール
インパクト試験および180 度外曲げ試験のいずれも良好
な結果が得られていることがわかる。
【0039】また、合金化溶融Znめっきについても、同
様に評価した。すなわち、表1に示した鋼組成のスラブ
を用いて、上記と同様の試験片を作製した。ここで、熱
間圧延条件およびめっき前の焼鈍条件は表6および表7
に、そして合金化亜鉛めっき条件は表8および表9に、
それぞれ示す通りである。かくして得られためっき鋼板
について、めっき後の断面観察から求めた、残存酸化鉄
層の厚み、貫通部の接触最大長さおよび貫通部の総長
を、上記と同様に測定するとともに、めっき密着性を評
価した。各測定結果を表6および表7に、そして評価結
果を表8および表9に、それぞれ併記する。
【0040】なお、めっき密着性は、90度内曲げ試験お
よび 180度外曲げ試験にて行った。すなわち、予め供試
面にビニール粘着テープを張り、90度内曲げ試験では、
1mm半径のダイに沿って供試面を内側にして90度曲げて
から、再び平坦な状態に曲げ戻したのち、一方 180度外
曲げ試験では、スペーサーに0.9 mmの鋼板を入れ油圧プ
レス機で供試面を外側にして180 度曲げてから、再度平
坦な状態に曲げ戻したのち、ビニールテープを引き剥が
し、めっき鋼板の表面を観察した。
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】表8および9から、めっき層と接触する最
大長さが10μm以上の貫通部を酸化鉄層に点在させれ
ば、90度内曲げ試験および180 度外曲げ試験のいずれも
良好な結果が得られ、しかも鋼板の全面にわたり均一な
特性が得られていることがわかる。
【0046】
【発明の効果】この発明によれば、酸化鉄層を除去する
ことなくめっきを施して得ためっき鋼板において、優れ
ためっき密着性を鋼板の全面で均一に与えることがで
き、めっき鋼板を低コストにて提供し得る。また、高張
力鋼板やステンレス鋼板などの溶融めっきが難しい鋼板
に対しても、溶融めっきによって密着性の優れためっき
層が容易に形成される方途を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき鋼板の断面を示す写真である。
【図2】めっき密着性とめっき層と接触する貫通部の最
大長さとの関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀬戸 一洋 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 河野 雅昭 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼の素地上に酸化鉄層およびめっき層を
    順に積層してなるめっき鋼板であって、該酸化鉄層に、
    めっき層との界面での最大長さが10μm以上でかつめっ
    き層と鋼の素地とを繋ぐ、金属鉄または鉄合金からなる
    貫通部を、点在させて設けたことを特徴とするめっき鋼
    板。
  2. 【請求項2】 請求項1において、酸化鉄層断面の1mm
    の長さに含まれる、貫通部のめっき層との界面での総長
    が0.1mm 以上であるめっき鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、鋼の素地
    が、焼鈍中に鋼板表面に濃化する成分を含有する組成で
    あるめっき鋼板。
  4. 【請求項4】 請求項3において、鋼の素地が高張力鋼
    であるめっき鋼板。
  5. 【請求項5】 請求項3において、鋼の素地がステンレ
    ス鋼であるめっき鋼板。
JP15807697A 1996-05-31 1997-05-30 めっき鋼板 Pending JPH1053894A (ja)

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JP15807697A JPH1053894A (ja) 1996-05-31 1997-05-30 めっき鋼板

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JP15924196 1996-05-31
JP8-159241 1996-05-31
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002146502A (ja) * 2000-08-28 2002-05-22 Nippon Steel Corp 外観の良好な溶融Znめっき高強度鋼材

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JP2002146502A (ja) * 2000-08-28 2002-05-22 Nippon Steel Corp 外観の良好な溶融Znめっき高強度鋼材

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