JPH1053829A - 耐食性およびクラッド圧延性に優れた熱交換器用アルミニウムブレージングシート - Google Patents

耐食性およびクラッド圧延性に優れた熱交換器用アルミニウムブレージングシート

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JPH1053829A
JPH1053829A JP22586196A JP22586196A JPH1053829A JP H1053829 A JPH1053829 A JP H1053829A JP 22586196 A JP22586196 A JP 22586196A JP 22586196 A JP22586196 A JP 22586196A JP H1053829 A JPH1053829 A JP H1053829A
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brazing
clad
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core material
heat exchanger
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JP22586196A
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Yoshiharu Hasegawa
義治 長谷川
Haruhiko Miyaji
治彦 宮地
Koji Hirao
幸司 平尾
Yuji Suzuki
祐治 鈴木
Hiroshi Ikeda
洋 池田
Hirokazu Tanaka
宏和 田中
Takahiro Koyama
高弘 小山
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Denso Corp
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Original Assignee
Denso Corp
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性およびクラッド圧延性に優れた熱交換
器用アルミニウムブレージングシートを提供する。当該
ブレージングシートは、自動車用アルミニウム合金製熱
交換器の流体通路構成材として適し、ドロンカップ型熱
交換器のコアプレート材としてとくに好適に使用でき
る。 【解決手段】 芯材の片面に中間材をクラッドし、中間
材と芯材の他の面にAl−Si−Mg系のろう材をクラ
ッドした4層クラッド材であって、芯材は、Mn:0.5〜
1.6 %、Cu:0.15 〜0.35%、Mg:0.05 〜0.70%、T
i:0.06 〜0.30%を含有し、残部Alおよび不可避的不
純物からなるアルミニウム合金で構成され、中間材は、
Mg:0.3〜1.5 %を含有し、残部Alおよび不可避的不
純物からなり、芯材の変形抵抗の70〜130 %の変形抵抗
を備えたアルミニウム合金から構成され、4層クラッド
ブレージングシート材中の中間材の厚さを30〜150 μm
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性およびクラ
ッド圧延性に優れた熱交換器用アルミニウムブレージン
グシート、とくに自動車用熱交換器、例えばカーエアコ
ンのエバポレータ、インタークーラなど、真空ろう付け
により接合される熱交換器の流体通路構成材として適す
るとともに、ドロンカップ型熱交換器の流体通路構成材
料として最も好適に使用されるアルミニウムブレージン
グシートに関する。
【0002】
【従来の技術】オイルクーラ、インタークーラ、ヒー
タ、エアコンのエバポレータ、コンデンサなどの自動車
用熱交換器、油圧機器や産業機械のオイルクーラなどに
は各種タイプのアルミニウム合金製熱交換器が使用され
ている。例えば、一時、コンデンサ、エバポレータの主
流となったコルゲートフィン型の熱交換器は、コルゲー
ト加工されたブレージングシートフィン材とサーペンタ
イン加工された多孔押出偏平管を、ろう付け接合してな
るものである。
【0003】また、より熱交換性能に優れ、とくにエバ
ポレータとして普及してきたドロンカップ型熱交換器
は、両面ろう材クラッドブレージングシートをプレス成
形してなるコアプレートを重ね、さらにコルゲート加工
したアルミニウム合金のフィン材を積層して、ろう付け
接合してなるものであり、重ねたコアプレート間に流体
通路が形成される。
【0004】コアプレートとしては、芯材がJIS30
03合金、3005合金など、Mnを主要合金成分とし
て含有するAl−Mn系、Al−Mn−Cu系、Al−
Mn−Mg系、Al−Mn−Cu−Mg系などの合金か
らなり、芯材の片面または両面にAl−Si−Mg系ま
たはAl−Si系のろう材をクラッドしたブレージング
シートを使用し、フィン材として、Al−Mn系、Al
−Mn−Mg系、Al−Mn−Cu系、Al−Mn−Z
n系の材料を適用する。コアプレートとフィン材との接
合は、一般的には真空ろう付けにより行われるが、塩化
物系フラックスやフッ化物系フラックスを使用するフラ
ックスろう付けも適用される。
【0005】しかしながら、上記ブレージングシートに
おいて、主要成分としてMnを含有する芯材は耐孔食性
が必ずしも十分ではなく、冷媒用流体通路材として適用
した場合、外側(空気側)からの孔食による貫通漏洩事
故が発生することが少なくない。この対策として、例え
ばAl−Mn−Zn合金、Al−Mn−Sn合金など、
通路材より電位の卑なフィン材を使用し、当該フィン材
の犠牲陽極効果により流体通路材を防食することが提案
されている。
【0006】しかし、とくにエバポレータの場合、冷媒
が熱交換器内で蒸発して外気から熱を奪う際、熱交換器
の表面温度が低下して、外気中に含まれている水分が結
露してフィンに付着すると、この結露水は不純物をあま
り含まないため、導電率が極めて低くなり、フィンの犠
牲陽極効果によって発生する防食電流はフィン接合近傍
にしか届かず、フィン接合部から少しでも離れるとフィ
ンの犠牲陽極効果が及ばなくなる。また、軽油やガソリ
ンなどの自動車燃料の排気ガスや工場から排出されるS
4 2-やNO3 - などが結露水中に混入すると、孔食の
中に濃縮し、腐食の進行を著しく促進させる。このた
め、コアプレートに貫通腐食が発生し、冷媒の漏れが生
じ易くなるという難点がある。
【0007】この問題を解決するために、芯材とろう材
との間に芯材より20〜100mV 卑な電位差を有するAl合
金の中間材を配設する4層クラッド材が提案されている
(特開昭60-251243 号公報)が、このクラッド材は、耐
食性の向上は期待できるものの、ろう付け後の強度が低
く、熱交換器としての耐圧性の確保が困難となり易い。
さらに、熱間圧延時の各層の接合が不完全となり易く、
また各層の強度や伸びが不均一であるため、クラッド板
に反りが生じ易く、クラッド厚にバラツキが生じるなど
の製作上の問題もある。
【0008】ドロンカップ型熱交換器用コアプレート材
として、芯材を構成するAl−Mn系合金にCu、M
g、TiおよびSiを添加して、板厚方向に周期的なT
i化合物の濃度差を示す組織を形成させ、耐孔食性を向
上させる試みもなされており、この材料は海塩粒子が多
く飛来する地域においては良好な耐食性を示すものの、
排気ガスの多い地域では十分な耐孔食性の改善が期待で
きない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、アルミニ
ウム合金製熱交換器の流体通路材における上記従来の問
題点を解消する4層クラッド材を得るために、優れた耐
食性を与え且つクラッド材製作上の問題をなくすための
中間材について種々の観点から実験、検討を行った結
果、中間材としてMgを添加したアルミニウム合金を使
用した場合、Mgは電位を卑にするとともに、強度を向
上させる作用を有し、安定したクラッド熱間圧延が可能
となることを知見した。
【0010】本発明は、上記の知見と、さらに優れたク
ラッド圧延性を得るための芯材の強度と中間材の強度と
の関係について実験、検討を重ねた結果としてなされた
ものであり、その目的は、耐食性およびクラッド圧延性
に優れ、ろう付けにより組み立てられる熱交換器用アル
ミニウムブレージングシート、とくにドロンカップ型熱
交換器のコアプレート材として好適に使用できるアルミ
ニウムブレージングシートを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による耐食性およびクラッド圧延性に優れた
熱交換器用アルミニウムブレージングシートは、芯材の
片面に中間材をクラッドし、中間材と芯材の他の面にA
l−Si−Mg系のろう材をクラッドしたアルミニウム
合金の4層クラッド材であって、芯材は、Mn:0.5〜1.
6 %、Cu:0.15 〜0.35%、Mg:0.05 〜0.70%、T
i:0.06 〜0.30%を含有し、残部アルミニウムおよび不
可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成され、中
間材は、Mg:0.3〜1.5 %を含有し、残部アルミニウム
および不可避的不純物からなり、芯材の変形抵抗の70〜
130 %の変形抵抗を有するアルミニウム合金で構成さ
れ、4層クラッド材中における中間材の厚さが30〜150
μm であることを構成上の特徴とする。
【0012】本発明における合金成分の意義およびその
限定理由について説明すると、芯材中のMnは、芯材の
強度を向上させるとともに、芯材の電位を貴にして、中
間材、ろう材、フィン材との電位差を大きくして耐孔食
性を高めるよう機能する。好ましい含有範囲は0.5 〜1.
6 %であり、0.5 %未満ではその効果が小さく、1.6%
を越えて含有すると、鋳造時に粗大な化合物が生成し、
圧延加工性が害される結果、健全な板材が得難い。Mn
のさらに好ましい含有量は0.7 〜1.4 %の範囲である。
【0013】Cuは、芯材の強度を向上させるととも
に、芯材の電位を貴にし、中間材、ろう材との電位差、
およびフィン材との電位差を大きくして、犠牲陽極効果
による防食効果を向上させるよう機能する。Cuの好ま
しい含有量は0.15〜0.35%の範囲であり、0.15%未満で
はその効果が小さく、0.35%を越えると、ブレージング
シートの伸びが低下してプレス成形時に割れが生じ易く
なる。Cuのさらに好ましい含有範囲は0.25〜0.30%で
ある。
【0014】Mgは、芯材の強度を向上させる効果を有
する。またCuと共存して芯材の耐食性を向上させるよ
う機能する。Mgの好ましい含有範囲は0.05〜0.70%で
あり、0.05%未満ではその効果が十分でなく、0.70%を
越えると、Mgの偏在が生じて耐食性が低下するととも
に、ろう付け時、ろうの浸透が生じ易くなる。Mgのさ
らに好ましい含有量は0.1 〜0.3 %の範囲である。
【0015】Tiは、材料の厚さ方向に濃度の高い領域
と低い領域とに分かれ、それらが交互に分布する層状組
織となり、Ti濃度の低い領域が高い領域に比べて優先
的に腐食することにより腐食形態を層状にする効果を有
し、それによって厚さ方向への腐食の進行を妨げて材料
の耐孔食性を向上させる。Tiの好ましい含有量は0.06
〜0.30%の範囲で、0.06%未満では効果が十分でなく、
0.30%を越えると、鋳造時に巨大な晶出物が生成し易く
なり、健全な材料の製造が難しくなる。Tiのさらに好
ましい含有量は0.1 〜0.25%の範囲である。なお、芯材
中に、0.20%以下のSi、0.30%以下のFe、0.2 %以
下のCr、0.2 %以下のZrが含有しても芯材の特性に
影響を与えることはない。
【0016】中間材中のMgは、強度の向上に寄与する
元素である。また芯材との強度差を少なくして、クラッ
ド圧延時の反りを減少させクラッド圧延性を向上させ
る。真空ろう付けを行う場合には、ろう付け工程で表層
に近い部分のMgは蒸発するが、芯材に近い部分のMg
は残留して、ろう付け後の強度を高め、耐圧強度が向上
する。また、中間材の電位を卑にして犠牲陽極効果を向
上させる。
【0017】さらに、中間材として用いられるAl−M
g系合金は、Al−Mn系合金と比べて一般的に再結晶
温度が低い。このため、プレス成形加工により僅かな歪
みが導入されても、ろうが溶融する前に再結晶が完了す
るので、転位などの歪みが容易に除去される。従って、
ろうの粒内浸透が抑制され、ろう付け性が一層向上す
る。Mgの好ましい含有量は0.3 〜1.5 %の範囲であ
り、0.3 %未満では強度向上の効果が小さく、1.5 %を
越えると、ろう付け後の結晶粒が細かくなり、ろう付け
時に溶融ろうが結晶粒界に浸透し、ろう付け不良が生じ
易くなる。また、熱間圧延時に中間材の表面のMgが酸
化してクラッド接合性を低下させる。
【0018】本発明においては、芯材と中間材の強度差
を小さくしてクラッド圧延性を向上させることを特徴と
する。中間材としては、芯材の変形抵抗の70〜130 %の
変形抵抗をそなえたものであることが必要である。70%
未満の場合および130 %を越える場合は、それぞれクラ
ッド圧延時に中間層および芯材が延び易く、反りが生じ
易くなる。著しい反りが生じた場合には圧延機にぶつか
って、その後の圧延を不能とする事態も生じる。なお、
変形抵抗は、熱間における変形抵抗であり、例えば、円
筒形状の試験材を、高温において、各圧縮率で据え込
み、荷重−変位線図および応力−歪み線図を求め、各試
験の最大荷重P、初期断面積A0 、および据え込み率か
ら求めた補正係数fにより、変形抵抗=P/(A0 ×
f)の式から各据え込み率における変形抵抗を計算し、
平均値を求める。(小坂田、川崎、森:Annals of the
CIRP、Vol.30、No.1、1981年参照)
【0019】本発明においては、中間材の電位が芯材よ
り卑となり、芯材に対して犠牲陽極効果を発揮する。ろ
う付け時、ろう材層へのCuの拡散も低減され、表面の
Cu濃度は低くなるから、ろう材層も犠牲陽極効果を発
揮するうえ腐食を生ぜしめるカソード反応も低減するの
で耐食性の向上が得られる。中間材の厚さは30〜150μm
とするのが好ましく、30μm 未満では、ろう材中に芯
材からCuが拡散し電位が貴となって犠牲陽極効果が低
減する。
【0020】中間材層は、芯材より電位が卑であるか
ら、中間材層までは比較的短期に腐食が進行する。中間
材の厚さが150 μm を越えると、芯材の厚さが薄くな
り、クラッド材全体の貫通寿命が低下する。なお、中間
材中に、0.20%以下のSi、0.30%以下のFe、0.05%
以下のCu、それぞれ0.2 %以下のCr、ZrおよびT
iが含まれていてもクラッド材の性能に影響を与えるこ
とはない。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の熱交換器用アルミニウム
合金クラッド材は、芯材、中間材およびろう材を構成す
るアルミニウム合金を、例えば半連続鋳造により造塊
し、均質化処理したのち、中間材およびろう材について
は、それぞれ所定厚さまで熱間圧延する。ついで、各材
料を組合わせ、常法に従って、熱間圧延によりクラッド
材とし、最終的に所定厚さまで冷間圧延した後、最終的
に焼鈍を行う工程を経て製造される。
【0022】本発明のアルミニウム合金クラッド材か
ら、例えばドロンカップ型熱交換器のコアプレートを成
形し、エバポレータなど、自動車用のドロンカップ型ア
ルミニウム製熱交換器の組立てに使用する場合には、中
間材層側がフィンと接合されて空気側となり、反対側が
冷媒側となるようプレス成形した後、アルミニウム合金
のフィン材を組合わせ、ろう付け炉中において、真空ろ
う付けを行う。
【0023】そのため、本発明のアルミニウム合金クラ
ッド材においては、真空ろう付けのためのAl−Si−
Mg系ろう材がクラッドされる。この場合、真空ろう付
け用として、基本的にSi:6〜13%、Mg:0.5〜3.0 %
を含有するAl−Si−Mg合金が適用される。このろ
う材には、ろう付け性を改善するために、Bi:0.2%以
下、Be:0.2%以下のうちの1種または2種を含有させ
ることができる。
【0024】
【実施例】
実施例1 連続鋳造により、表1に示す組成を有する芯材用アルミ
ニウム合金、表2に示す組成を有する中間材用アルミニ
ウム合金を造塊し、均質化処理を行った。中間材につい
ては所定厚さに熱間圧延した。また、ろう材用合金(JI
S BA4104、Si:10 %、Mg:1.5%、Bi:0.1%)を同
様に造塊し、面削後480 ℃で熱間圧延し、クラッド率が
10%となるような厚さのろう材を準備した。同一番号の
芯材と中間材、およびろう材を、ろう材−中間材−芯材
となるように重ね合わせ、480 ℃の温度で熱間クラッド
圧延を行い、厚さ3mm のクラッド板を得た。得られたク
ラッド板について、さらに冷間圧延、焼鈍処理を行い、
厚さ0.5mm のクラッド板(O材、ブレージングシート)
とした。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】クラッド板から円環状の板材を切り出し、
図1に示すように、この円環状の板材1について、中間
材が凸側となるようプレス成形を行い、得られたカップ
状のプレス成形品2を、図2に示すように交互に積層し
て真空ろう付けして、ろう付け成形品3とした。真空ろ
う付けは、真空度5 ×10-5Torr以下、温度600 ℃、保持
時間3 分の条件で行った。
【0028】ろう付け成形品について、凝縮水を模擬し
た腐食試験を行った。腐食液としては、Cl- を10ppm
、SO4 2 - を200ppm含む水溶液を使用し、この腐食液
を連続噴霧した。腐食液以外の条件は塩水噴霧試験(JIS
Z 2371)に準じて行い、試験時間を3000時間として、漏
れ発生の有無を観察した。また、プレス成形を行わない
単板を、上記の真空ろう付け条件下で加熱して得た板材
についても、同一の腐食試験を行い、最大腐食深さを測
定した。
【0029】さらに、ろう付け前のクラッド板およびプ
レス成形を行わない単板を真空ろう条件下で加熱して得
た板材について引張試験を行い、ろう付け成形品につい
て、断面組織の顕微鏡観察を行い、ろうの浸食状況を調
べた。芯材および中間材を熱間圧延後、直径8mm 、高さ
16.5mmの円筒状の試験片を切り出し、熱間クラッド圧延
温度と同じ480 ℃で据え込み試験を行って変形抵抗を測
定した。なお、ストローク速度は10mm/ 分とし、据え込
み率を20〜80%まで変えて変形抵抗を測定し、平均値を
求めた。
【0030】芯材および中間材の変形抵抗値、芯材の変
形抵抗に対する中間材の変形抵抗の比、中間材の厚さ、
ろう付け前およびろう付け後の引張性能、腐食試験の結
果を表3に示す。表3に示すように、本発明に従う試験
材はいずれも、クラッド熱間圧延時に反りを生じること
がなく健全なクラッド板が製造でき、ろう付け時、ろう
の浸透がみられず、ろう付け後の引張強度に優れ、カッ
プ形状へのプレス成形においても割れが生じることな
く、腐食試験においても、最大腐食深さはいずれも200
μm 以下で、ろう付け成形品にも漏れを生じることのな
い優れた耐食性を示した。
【0031】
【表3】 《表注》試験材No.1はNo.1芯材とNo.1中間材を組合わせたもの、 試験材No.2はNo.2芯材とNo.2中間材を組合わせたもの、以下同じ
【0032】 比較例1 連続鋳造により、表4に示す組成を有する芯材用アルミ
ニウム合金、表5に示す組成の中間材用アルミニウム合
金、およびろう材用合金(JIS BA4104) を造塊し、実施
例1と同一の条件により、熱間クラッド圧延で3mm 厚さ
のクラッド板とし、その後冷間圧延、焼鈍処理して最終
的に厚さ0.5mm のクラッド板(O材、ブレージングシー
ト)を作製した。得られたクラッド板材について、実施
例1と同じ方法でプレス成形、真空ろう付けを行い、プ
レス成形の可否を調べ、実施例1と同じ条件で引張試
験、腐食試験およびミクロ組織観察を行った。さらに芯
材の変形抵抗、中間材の変形抵抗を実施例1と同じ方法
で測定した。芯材および中間材の変形抵抗値、両者の比
率、中間材の厚さを表6に、プレス成形の可否、引張試
験、腐食試験およびミクロ組織観察の結果を表7に示
す。なお、表4〜6において本発明の条件を外れたもの
には下線を付した。
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】 《表注》プレス成形 ○:可 ×:割れ発生 ろう付け成形品の漏れ ○:漏れ無し ×:漏れ発生 ろうの浸食の有無 ○:浸食無し ×:浸食有り
【0037】表7にみられるように、試験材No.19 は中
間材が無いため、また試験材No.20は、中間材の厚さが
薄いため、犠牲陽極効果が小さく、いずれも腐食試験に
おいて孔食による貫通孔が生じた。試験材No.21 は中間
材層が厚いため、ろう付け後の引張強度が劣っている。
試験材No.22 は、中間材のMg量が多いため、熱間圧延
で表面酸化が生じ、健全なクラッド板が得られなかっ
た。試験材No.23 は、中間材のMg量が少ないため、中
間材の変形抵抗値が低く、クラッド圧延性がわるくな
り、健全なクラッド板が製造できなかった。試験材No.2
4 は芯材のCu量が多いため、伸びが小さく、プレス成
形において割れが発生し、プレス成形品が得られなかっ
た。試験材No.25 は、芯材のCu量が低いため、中間材
と芯材との電位差が小さくなり、中間材の犠牲陽極効果
が低下して、腐食試験において貫通孔が生じた。
【0038】試験材No.26 は芯材のTi含有量が多く、
鋳造時に巨大金属間化合物が生成したため、健全なクラ
ッド板の製造ができなかった。試験材No.27 は芯材のT
i量が少ないため、十分な耐食性が与えられず、腐食試
験において貫通孔が生じた。試験材No.28 は、芯材のM
g量が多いため耐食性がわるくなり、腐食試験において
貫通孔は生じた。また中間材のない側でのろうの浸透が
多くなった。試験材No.29 は芯材のMg量が少なく電位
が十分に貴とならないため、芯材と中間材、ろう材との
電位差が小さくなり、腐食試験において貫通孔が生じ、
ろう付け後の引張強度も小さい。試験材No.30 は芯材の
Mn量が多く、鋳造時の巨大金属間化合物の生成に起因
して健全なクラッド板の製造ができなかった。試験材N
o.31 は、芯材中のMn量が少ないため、芯材の強度が
低くなり、変形抵抗の比が130 %を越えるためクラッド
圧延性が劣り、健全なクラッド板の製造ができなかっ
た。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、耐食性およびクラッド
圧延性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
が提供される。このアルミニウム合金クラッド材は、自
動車用アルミニウム合金製熱交換器の流体通路構成材と
して適し、ドロンカップ型熱交換器のコアプレート材し
てとくに好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プレス成形品の説明図である。
【図2】プレス成形品をろう付け接合してなるろう付け
成形品の断面図である。
【符号の説明】
1 円環状の板材 2 プレス成形品 3 ろう付け成形品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平尾 幸司 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 鈴木 祐治 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 池田 洋 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 田中 宏和 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 小山 高弘 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯材の片面に中間材をクラッドし、中間
    材と芯材の他の面にAl−Si−Mg系のろう材をクラ
    ッドしたアルミニウム合金の4層クラッド材であって、
    芯材は、Mn:0.5〜1.6 %(重量%、以下同じ)、C
    u:0.15 〜0.35%、Mg:0.05 〜0.70%、Ti:0.06 〜
    0.30%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純
    物からなるアルミニウム合金で構成され、中間材は、M
    g:0.3〜1.5 %を含有し、残部アルミニウムおよび不可
    避的不純物からなり、芯材の変形抵抗の70〜130 %の変
    形抵抗を有するアルミニウム合金で構成され、4層クラ
    ッド材中における中間材の厚さが30〜150 μm であるこ
    とを特徴とする耐食性およびクラッド圧延性に優れた熱
    交換器用アルミニウムブレージングシート。
JP22586196A 1996-08-08 1996-08-08 耐食性およびクラッド圧延性に優れた熱交換器用アルミニウムブレージングシート Pending JPH1053829A (ja)

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