JPH1052936A - 画像形成装置用の帯電装置 - Google Patents

画像形成装置用の帯電装置

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JPH1052936A
JPH1052936A JP21223396A JP21223396A JPH1052936A JP H1052936 A JPH1052936 A JP H1052936A JP 21223396 A JP21223396 A JP 21223396A JP 21223396 A JP21223396 A JP 21223396A JP H1052936 A JPH1052936 A JP H1052936A
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JP
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charged
flexible
charging
electrode
charging device
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JP21223396A
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Koji Matsushita
浩治 松下
Futoshi Okazaki
太 岡崎
Yasuhiro Nakagami
康宏 中神
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Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被帯電体を帯電ムラ等の帯電不良を抑制して
均一に帯電させることができ、それにより印字ムラや印
字不良が抑制された良好な画像を得ることができる画像
形成装置用の帯電装置を提供する。 【解決手段】 放電用の可撓性電極12と、該電極12
と被帯電体10との間に介在して被帯電体表面10に接
触する可撓性中間部材Mであって可撓性絶縁部材11と
半導電性部材14とからなるものとを備え、電極12か
らの放電により被帯電体10を帯電させる画像形成装置
用の帯電装置であり、可撓性中間部材Mの被帯電体10
に接触する部分のうち少なくとも電極12の放電担当部
分の近傍の電位と電極12の放電時の電位との差の絶対
値が、被帯電体10の電位と電極12の放電時の電位と
の差の絶対値より小さい帯電装置K。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は記録紙等の記録材上
に帯電装置により直接静電潜像を形成してこれを可視ト
ナー像に現像し、定着させたり、静電潜像記録用のベル
ト、感光体ドラムその他の静電潜像担持体上に帯電装置
により静電潜像を形成してこれを可視トナー像に現像
し、記録材上に転写して定着させたりする複写機、プリ
ンタ、ファクシミリ機等の電子写真方式の画像形成装置
や、被帯電体上に形成した静電潜像を現像してトナー像
とし、これを直接表示する画像形成装置などに採用され
る帯電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、画像形成装置の帯電装置の分野で
は、特開昭54−56436号公報は、並行配置の可撓
性針電極を可撓性絶縁部材で被覆し、該可撓性絶縁部材
の一部を被帯電体(記録材)に接触させつつ針電極と被
帯電体との間隙を一定に維持するように全体を被帯電体
に斜めに押圧支持する技術を教えている。
【0003】また、米国特許第5278614号は被帯
電体と接触する部分に電気絶縁性層を被覆した帯電用フ
ィルム(電極フィルム)を教えている。また、特開昭5
7−26863号公報は、絶縁支持体に放電電極を埋設
した静電記録用ヘッドにおける該電極が露出した放電用
端面(記録面)のうち放電電極以外の部分を絶縁性スペ
ーサで被覆し、該スペーサを被帯電体に接触させること
で放電電極と被帯電体表面との距離を設定する技術を教
えており、さらに該スペーサ材質を被帯電体表面と同材
質とすることで摩擦帯電を防止し、摩擦帯電に起因する
ゴースト像の発生を防止することを教えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
54−56436号公報が教える帯電装置では、可撓性
絶縁部材の一部を被帯電体に接触させつつ針電極と被帯
電体との間隙を一定に維持するように全体を被帯電体に
斜めに押圧支持しているから、可撓性絶縁部材や針電極
が被帯電体の凹凸やうねりに追従しやすく、電極と被帯
電体との距離が均一化されるものの、この帯電装置で
は、可撓性絶縁部材が厚かったり、硬かったりすると、
被帯電体の凹凸やうねりに十分追従することができない
ので、被帯電体の凹凸やうねりに追従できるように可撓
性絶縁部材を薄くしたり、柔らかくする必要がある。そ
うすると、可撓性針電極を記録材に対し十分に位置決め
できず、結局のところ被帯電体の凹凸やうねりに十分に
追従できない。また、被帯電体の回転や移動のために起
こる風圧により、可撓性絶縁部材で被覆された可撓性針
電極が舞い上がってしまい、これによっても電極と被帯
電体との距離が不均一になり、帯電電位ムラによる印字
ムラが発生するという問題があるとともに、可撓性絶縁
部材と被帯電体との摩擦帯電により各々の材料の種類に
よっては電極から可撓性絶縁部材等へ放電が起こり、こ
れにより印字不良が発生することがあった。また、同公
報中、発明の実施例説明の部分には可撓性絶縁部材がウ
レタンゴムで、被帯電体が2液硬化型ポリウレタンの開
示があり、このように同系統の材料を採用すると、摩擦
帯電による可撓性絶縁部材の被帯電体への静電吸着は望
めない。
【0005】また、同様に、USP5278614号公
報が教える帯電用フィルムは、被帯電体の凹凸やうねり
に追従しやすいものの、この場合も、被帯電体と接触す
るフィルム上の電気絶縁性層と被帯電体の材料選定によ
っては、摩擦帯電により電極フィルムから電気絶縁性層
への放電が発生し、印字不良等が発生することがある。
【0006】また、特開昭57−26863号公報が教
える静電記録ヘッドは、被帯電体表面の凹凸やうねりに
十分追従できず、被帯電体表面の帯電電位ムラによる印
字ムラが発生する問題がある。そこで本発明は、被帯電
体を帯電ムラ等の帯電不良を抑制して均一に帯電させる
ことができ、それにより印字ムラや印字不良が抑制され
た良好な画像を得ることができる画像形成装置用の帯電
装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するため次の帯電装置を提供する。すなわち、放電用の
可撓性電極と、該可撓性電極と被帯電体との間に介在し
て前記被帯電体表面に接触する可撓性中間部材であって
少なくとも電気絶縁性部材からなる層を含むものとを備
え、前記可撓性電極からの放電により前記被帯電体を帯
電させる画像形成装置用の帯電装置であり、前記可撓性
中間部材の前記被帯電体に接触する部分のうち少なくと
も前記可撓性電極の放電担当部分の近傍の電位と該可撓
性電極の放電時の電位との差の絶対値が、該被帯電体の
電位と該可撓性電極の放電時の電位との差の絶対値より
小さいことを特徴とする帯電装置である。
【0008】本発明の帯電装置よると、放電用の可撓性
電極は、被帯電体に対して、それとの間に可撓性中間部
材を介して配置され、該可撓性中間部材が被帯電体表面
に接触せしめられ、その状態で該電極に帯電用電圧が印
加されることで被帯電体表面を帯電させる。このとき、
可撓性中間部材の前記被帯電体に接触する部分のうち少
なくとも可撓性電極の放電担当部分の近傍の電位と可撓
性電極の放電時の電位との差の絶対値が、被帯電体の電
位と可撓性電極の放電時の電位との差の絶対値より小さ
く設定されているので、可撓性電極から中間部材への異
常放電が抑制される一方、可撓性電極から被帯電体に対
して安定した放電がなされ、それにより被帯電体は安定
的に帯電し、帯電不良ひいては印字不良が十分抑制され
る。
【0009】また、前記可撓性中間部材の前記被帯電体
と接触する部分のうち少なくとも前記可撓性電極の放電
担当部分の近傍の電位と該可撓性電極の電位との差は、
放電開始電圧以下に設定することが望ましい。これによ
り、一層確実に可撓性電極から中間部材への異常放電が
抑制される。また、少なくとも像形成工程において、前
記可撓性中間部材と前記被帯電体とが吸着する電界が形
成されることが望ましい。これにより可撓性中間部材と
被帯電体とが密着し、可撓性電極の放電端部と被帯電体
との距離が均一化されるとともに、該放電端部が被帯電
体表面の凹凸によく追従でき、それだけ被帯電体の帯電
電位ムラが抑制され、ひいては良好な画像を得ることが
できる。
【0010】前記可撓性中間部材と前記被帯電体とが吸
着する電界は例えば次のようにして形成できる。 前記可撓性中間部材と前記被帯電体とが摩擦帯電で
き、該摩擦帯電により該可撓性中間部材と該被帯電体と
が吸着する電界を形成させる。 前記可撓性中間部材の前記被帯電体と接触する側の面
の少なくとも一部を半導電性部材で形成し、該可撓性中
間部材と該被帯電体とが吸着する電界が形成されるよう
に該半導電性部材に電圧を印加する手段を設ける。 前記可撓性中間部材の前記被帯電体と接触する側の面
の少なくとも一部をエレクトレット部材で形成してお
く。
【0011】前記可撓性中間部材は、その全体を電気絶
縁性の材料で形成したものの他、かかる可撓性絶縁部材
の被帯電体に向けられる面に半導電性部材やエレクトリ
ック部材を設けたもの等が考えられるのであるが、いず
れにしても、代表的には、可撓性電極がかかる可撓性中
間部材を構成している可撓性絶縁部材の被帯電体とは反
対側に向けられた片面に形成され、該可撓性中間部材の
前記電極を設けた側とは反対側の面の一部(通常は自由
先端部の被帯電体側の面)が被帯電体に接触せしめら
れ、これにより被帯電体と可撓性電極とに放電間隙が形
成され、該可撓性電極(通常はその電極先端部)からの
放電により、前記被帯電体が帯電する例を挙げることが
できる。
【0012】可撓性電極としては、針状、線状、帯状、
これらの組み合わせ等の形態の可撓性電極(以下、これ
らを「可撓性線状電極」と総称することがある。)や、
フィルム状に連続した可撓性電極等が考えられる。いず
れにしてもこれらの可撓性電極は、さらに、可撓性のあ
る電気絶縁性のシート状、フィルム状、膜状等の部材や
材料で被覆されてもよい。
【0013】これら可撓性電極は、可撓性絶縁部材への
塗布、真空蒸着、スパッタリング蒸着等による膜形成、
或いはさらに該膜のフォトレジストパターンのもとのエ
ッチング処理や、エキシマレーザによるコンタクトマス
ク法、マスクイメージ法、ビームスキャニング法の採
用、予め形成した電極の可撓性絶縁部材への接着、予め
形成した電極を可撓性絶縁部材と該電極の被覆部材或い
は材料間に挟着処理するなど任意の手法で設けることが
できる。
【0014】可撓性電極を片面側に設ける前記の可撓性
絶縁部材や該電極を被覆する前記の部材や材料の材質と
しては、例えば、フッ素樹脂(四フッ化エチレン樹脂
等)、ポリイミド、ポエリステル、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)等の合成樹脂、ウレタンゴム等の合
成ゴム、これらの適当な組み合わせ等を例示できる。ま
た、前記の可撓性中間部材のうち、少なくとも被帯電体
に擦り接触せしめられる部分については、耐摩耗性がよ
い材料で形成されていることが望ましく、また、被帯電
体との摩擦係数が少ない材料で形成されていることが望
ましい。
【0015】また、可撓性電極の放電担当部分(通常は
電極先端部)に重なる可撓性中間部材の部分(通常は該
部材の先端部分)の厚さは、該可撓性絶縁部材の材質や
ヤング率等にもよるが、5〜1000μm程度がよく、
被帯電体の凹凸やうねりに十分応答するためには、さら
に5〜200μm程度がよい。また、いずれにしても可
撓性電極は、代表的には、導電性材料からなるものが考
えられ、例えば、ニッケル、クロム、銅、金、白金、タ
ングステン、アルミニゥム、インジウム、チタン等の導
電性金属や、ITO、カーボン等の導電性材料のうち1
又は2以上の組み合わせから構成することができる。
【0016】しかし、放電により生じるオゾン、窒素酸
化物等の生成物により電極が浸食、汚染される恐れがあ
るので、これを防止して長期にわたり安定して放電を行
わしめるために、該可撓性電極のうち少なくとも放電を
担当する部分(通常は電極先端部)の表面については、
金属酸化物系無機質薄膜、ダイヤモンド状炭素膜等で被
覆することが望ましい。但し、電極を設ける絶縁部材及
び電極がともに可撓性を有するため、クラック等がはい
らない範囲で被覆することが好ましい。
【0017】また、可撓性電極の少なくとも放電を担当
する部分(通常は電極先端部)は、高湿環境時にも電極
・被帯電体間のリークを防止して安定に放電させ得るよ
うに、また、前記の可撓性線状電極にあってはさらに隣
り合う電極間同士の放電を防止するために、その抵抗値
を101 Ωcm以上108 Ωcm以下の範囲のものにし
てもよい。これは少なくとも該放電担当部分を高抵抗物
質(カーボン含有有機物質等)で被覆したり、半導電性
物質で形成する等により、外部インピーダンスを高めて
電極・被帯電体間に過電流が流れないように、また、電
極間のインピーダンスを高めて電極間に放電が生じない
ようにすることで達成できる。但し、この場合は、抵抗
値が高くなって駆動電圧が高くなりすぎないように、ま
た、その部分の長さ或いは厚さが電極で異なって放電差
が出るというような不都合がないようにする。
【0018】可撓性電極として可撓性線状電極を採用す
るとき、代表例として、該可撓性電極を複数本設け、そ
れら複数本の電極を該電極と前記被帯電体表面との相対
的移動方向に対し略直交する方向に所定間隔を開けて配
列する場合を挙げることができる。また、いずれにして
も、電極として前記の可撓性線状電極を採用するとき、
その電極幅としては、概ね数μm〜100μmの範囲の
ものが好ましい。また、隣り合う電極間距離は解像度、
電極間リークの発生を考慮する必要があるが、概ね30
μm〜100μmの範囲のものが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1(A)は本発明に係る帯電装
置の1例の概略斜視図であり、図1(B)はその概略側
面図である。図1に示す帯電装置Aは、ここでは図1中
矢印a方向に回転駆動されるドラム型の静電潜像担持体
である被帯電体10に対し設けられている。
【0020】帯電装置Aは可撓性のある略シート状の帯
電部材1を備えており、該部材1は被帯電体10の表面
移動方向に沿う方向に配置され、該被帯電体表面移動方
向において上流側の端部1aが、被帯電体10の回転軸
線方向に平行な保持部材2とその上の押さえ部材3とに
挟持され、全体として片持ち支持されている。また、少
なくとも下流側端部1bが放電端部として被帯電体10
の表面に接触している。帯電部材1における後述する可
撓性電極は信号ケーブル4により後ほど説明するように
放電駆動電源等に接続される。
【0021】被帯電体10は導電性支持ドラム(導電性
基体)10aの表面に誘電体層10bを塗布形成したも
のである。誘電体層10bは帯電部材1からの放電によ
り、絶縁破壊を起こすことなく十分表面電荷が乗り、帯
電装置による静電潜像形成後の該潜像の現像器(不図
示)による顕像(現像)工程まで該表面電荷を保持でき
るものであり、さらに表面電荷を除電して繰り返し使用
できるものである。現像器は粉体トナーを収容してお
り、この粉体トナーによって静電潜像が現像される。現
像された像は、被帯電体10の回転に伴って転写部(不
図示)に進み、ここで紙等の転写材に転写される。転写
の後、被帯電体10は除電ブラシ等の図示しない除電手
段によって除電されて静電潜像が消去され、その部分が
再び帯電部材1に到来する。なお、被帯電体10として
ここではドラム形状のものを示したが、ベルト状やその
他の形状でもよい。また、誘電体層の代わりに光導電体
層を用いてもよく、光導電体層を採用すると、全面光照
射で除電ができ、容易に繰り返し使用できる。
【0022】前記誘電体層10aはポリカーボネイト、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、四フッ化エチ
レン樹脂、ポリエステル等で形成される。図2は図1の
帯電装置Aにおける帯電部材1の要部の斜視図である。
この帯電部材1は、可撓性材中間部材としての、可撓性
のあるシート状の電気絶縁性の部材11(以下、「可撓
性絶縁部材11」という。)の片面側に複数本の可撓性
電極12を設けたものである。さらに説明すると、可撓
性絶縁部材11は可撓性導電性部材110を内蔵してお
り、この可撓性絶縁部材11の電極12を設けた側とは
反対側の面のうち、帯電部材1の前記下流側端部1bに
対応する自由先端部111の被帯電体側の面を被帯電体
10に接触させて被帯電体10と電極12先端部間に放
電間隙を形成し、該電極先端部からの放電により、被帯
電体10を帯電させる。
【0023】図2の帯電部材1では、各電極12は、幅
が長さ方向にわたって一様な細幅帯状電極であり、被帯
電体表面移動方向に、且つ、所定の間隔で複数本平行に
配列されている。ここで図2に示す帯電部材1及び後ほ
ど説明する本発明に係る他の帯電装置における帯電部材
について略共通する事項について説明しておく。
【0024】なお、後ほど説明する本発明に係る帯電装
置においても、図中の各部の参照符号については、帯電
部材は「帯電部材1」、可撓性絶縁部材については「可
撓性絶縁部材11」、電極は「電極12」、可撓性絶縁
部材に設けられる導電性部材は「導電性部材110」等
のように、図1及び図2と同じ参照符号を使用すること
がある。
【0025】さて、略共通する事項について説明する
と、可撓性絶縁部材11の厚さ、特に少なくとも自由先
端部111或いは該先端部及びその近傍部分の厚さは、
良好な放電を得るために、5〜1000μm程度がよ
く、可撓性絶縁部材11の材質やヤング率等にもよる
が、被帯電体10表面のの凹凸やうねりに十分応答する
ためには、5〜200μm程度がさらによい。この部分
の厚さによって、放電電圧が印加されて放電する可撓性
電極12の先端部121と被帯電体10との距離が一定
に保たれるのである。よって、この部分の厚さは、放電
に重大な影響を及ぼさない程度に均一にしておく。
【0026】また、可撓性絶縁部材11の材質として
は、フッ素樹脂(四フッ化エチレン樹脂等)、ウレタン
ゴム、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)等の材料を使用できるが、この限り
ではない。また、可撓性絶縁部材11の被帯電体10と
接触する部分は、耐摩耗性のよい材料を用いるほうが好
ましく、また、被帯電体10と摩擦係数の小さいものの
ほうが好ましい。
【0027】また、可撓性電極12は、その材質にクロ
ム、銅、金、白金、タングステン、アルミニウム、イン
ジウム、チタン等の金属や、ITO、カーボン等の導電
性材料を使い、フォトエッチングによりパターン化させ
てスパッタリング等の手法により、或いはさらに他の手
法で可撓性絶縁部材11上に形成することができる。ま
た、可撓性絶縁部材11上に形成した可撓性電極12
は、放電により生じるオゾン、窒素酸化物等の生成物に
より浸食、汚染される恐れがあるので、これを防止して
長期にわたり安定して放電を行わしめるために、少なく
とも可撓性電極先端部121の表面を金属酸化物系無機
質薄膜やダイヤモンド状炭素膜で被覆してもよい。但
し、絶縁部材11及び電極12ともに可撓性であるた
め、クラック等の入らない範囲での被覆が好ましい。
【0028】また、高湿環境時にも安定して放電させ得
るように、また、隣合う電極2間同士のリークを防止で
きるように、少なくとも可撓性電極先端部121を可撓
性電極より高抵抗な被覆材で被覆することが好ましい。
また、高湿環境時にも安定して放電させ得るように、ま
た、隣合う電極2間同士のリークを防止し、異常なドッ
ト放電を防止するために、少なくとも可撓性電極先端部
121を101 Ωcm〜108 Ωcm程度の半導電性に
してもよい。そのために少なくとも可撓性電極先端部1
21を可撓性電極12本体より高抵抗な材料(例えばカ
ーボン含有有機材料)で被覆したり、半導電性材料で形
成してもよい。但し、抵抗値が高くなって駆動電圧が高
くなりすぎないように、また、その部分の長さ或いは厚
さが電極で異なって放電差が出るというような不都合が
ないようにする。
【0029】また、電極12の幅としては、概ね数μm
〜100μmの範囲のものが好ましい。また、隣り合う
電極間距離は解像度、電極間リークの発生を考慮する必
要があるが、概ね30μm〜100μmの範囲のものが
望ましい。次に図1に示す帯電装置Aによる被帯電体1
0表面の帯電について図3を参照して説明する。
【0030】図3は帯電装置Aの帯電部材1を被帯電体
10に当接させた状態の側面図である。図3(A)に示
すように、可撓性導電性部材110の一部は、帯電部材
1の可撓性絶縁部材11と被帯電体10との相互接触面
(換言すれば、可撓性絶縁部材11の被帯電体10との
接触面)と、該接触面に対し略垂直な方向において重な
っている。そして、導電性部材110は被帯電体10の
導電性基体10aとともに接地されている。可撓性電極
12には記録画像に対応した印字電圧が、後ほど詳述す
る画像信号形成部及び駆動電源ユニットを含む印字電圧
印加部100から印加される。パッシェンの法則に従
い、印加電圧は可撓性電極12の放電端部121と被帯
電体10との距離、すなわち放電端部近傍の可撓性絶縁
部材11の厚みによって異なり、一般的には厚ければ高
い印加電圧が必要である。放電端部近傍の可撓性絶縁部
材11の厚みと電極に印加する最低電圧の関係を以下に
例示する。但し、制御電極等を用いたりして、この電圧
を低減することも可能ではある。また、あまり電圧を高
くしすぎると、印字線幅が大きくなったり、両隣の電極
とのリークが生じたり、被帯電体の絶縁破壊が生じたり
するので好ましくない。
【0031】 放電端部近傍の可撓性絶縁部材の厚み 電極に印加する最低電圧 5μm 400V 50μm 700V 100μm 1000V 300μm 1200V 1000μm 1700V ここでは可撓性絶縁部材11の被帯電体10と接触する
部分の材料及び被帯電体10の表面材料(ここでは誘電
体層10bの材料)とは、該可撓性絶縁部材11の被帯
電体10と接触する部分の摩擦帯電列上の順位と、被帯
電体10表面の摩擦帯電列上の順位とが異なるように選
んである。従って可撓性絶縁部材11の被帯電体10と
接触する部分と被帯電体10との摩擦帯電によって可撓
性絶縁部材11と被帯電体10が異なる極性に帯電して
互いに引き合う。それにより、可撓性絶縁部材11と被
帯電体10とが密着し、帯電部材1は被帯電体10表面
の凹凸によく追従でき、可撓性電極12の放電端部12
1と被帯電体10との距離が常に均一に保たれる。
【0032】また、可撓性絶縁部材11の被帯電体10
と接触する部分の材料の摩擦帯電列上の順位と、被帯電
体10の表面材料の摩擦帯電列上の順位とが異なるよう
に材料設定することで、可撓性絶縁部材11を被帯電体
10に静電吸着させるための電源や、物理的に吸着させ
るための押圧装置等を不要にできる。この例では、可撓
性絶縁部材11としてポリエチレンフィルムを、被帯電
体10の表面を形成している誘電体層10bにPET
(ポリエチレンテレフタレート)を用いているので、図
3(B)に示すように可撓性絶縁部材11はプラスに、
被帯電体10はマイナスに摩擦帯電する。
【0033】摩擦帯電列(摩擦帯電系列)は様々のもの
が知られているが、その1例を以下に示す。このような
摩擦帯電列を考慮して前記の材料の他にも適当な可撓性
絶縁部材材料及び被帯電体表面材料を選択することがで
きる。プラス側 ポリエステル樹脂(コロンビアCR−39) ナイロン セルローズアセテート エポキシ樹脂 シリコーンゴム ポリスチレン ダクロン ポリエチレン カネカロン セロファン 塩化ビニル テフロン マイラー(PET) 三フッ化塩化エチレン樹脂 無可塑ポリ塩化ビニル樹脂マイナス側 上記表から分かるように、例えば可撓性絶縁部材11に
PETを、被帯電体10の誘電体層10bにエポキシ樹
脂を用いたとすると、可撓性絶縁部材11はマイナス
に、被帯電体10はプラスに帯電する。
【0034】また、摩擦帯電した被帯電体10が画像形
成装置において現像装置(図示せず)により現像され、
下地カブリ等が発生するという問題が生じないようにす
るために、可撓性絶縁部材11と被帯電体10との摩擦
帯電によって生じる被帯電体の帯電電位は、現像装置に
より顕像化されない程度に抑制することが望ましい。そ
のためには、被帯電体10が摩擦によって過剰に帯電し
ないように、被帯電体10と可撓性絶縁部材11の摩擦
帯電列上の相関関係、被帯電体10と可撓性絶縁部材1
1の相互接触時間(長いと電位が高くなる)や、被帯電
体10と可撓性絶縁部材11の相対的な移動速度(速い
と電位が高くなる)を適切に定めればよい。
【0035】本発明者の実験から得たに知見によると、
既述のように可撓性絶縁部材11と被帯電体10とが摩
擦帯電するためには、導電性部材が摩擦帯電する部分の
近傍にある方がスムーズに摩擦帯電し、またそれによっ
て可撓性絶縁部材11が被帯電体10によく吸着する。
そこでここでは、可撓性絶縁部材11が被帯電体10と
接触する面(換言すれば、可撓性絶縁部材11と被帯電
体10との相互接触面)に対し略垂直な方向において、
導電性部材110の一部を該面に重ならせてある。そし
て、該導電性部材110を被帯電体10の導電性基体1
0aとともに接地してある。
【0036】図3(B)は図3(A)に示す帯電装置に
よる摩擦帯電、及び印字のための電極12からの放電の
様子を分かりやすく表したものである。放電時には、可
撓性電極12には放電に必要なだけのプラスの電圧が印
加される。前記のように可撓性絶縁部材11はプラス
に、被帯電体10はマイナスに摩擦帯電する。そのた
め、可撓性電極12と可撓性絶縁部材11の電位差よ
り、可撓性電極12と被帯電体10の電位差の方が大き
くなるため、可撓性電極12からの放電が被帯電体10
に対して起こり、良好な印字が可能となる。また、さら
に可撓性電極12と可撓性絶縁部材11の電位差が放電
開始電圧以下であれば、この間に放電が起こらず、一層
良好な印字が可能となる。
【0037】図4は図3に示す帯電装置とは異なる帯電
装置を参考的に示すもので、この帯電装置では、可撓性
絶縁部材11がマイナスに、被帯電体10がプラスに摩
擦帯電した場合を示し、可撓性電極12と可撓性絶縁部
材11の電位差の方が、可撓性電極12と被帯電体10
の電位差より大きくなり、そのため可撓性電極12から
の放電は、可撓性絶縁部材12に対して起こりやすくな
り、良好な印字ができない。
【0038】つまり、可撓性絶縁部材11の被帯電体1
0と接触する部分の被帯電体10に対する摩擦帯電列上
の極性と、帯電を行うときの可撓性電極12の被帯電体
10に対する極性とが同じであれば、可撓性電極12と
可撓性絶縁部材11との電位差より可撓性電極12と被
帯電体10の電位差の方が大きくなり、良好な放電が可
能となるのである。
【0039】また、以上説明した帯電装置Aでは、可撓
性中間部材である可撓性絶縁部材11の被帯電体10に
接触する部分のうち少なくとも可撓性電極12の放電担
当部分121の近傍の電位と可撓性電極12の放電時の
電位との差の絶対値が、被帯電体10の電位と可撓性電
極12の放電時の電位との差の絶対値より小さく設定さ
れており、従って可撓性電極12から中間部材である可
撓性絶縁部材11への異常放電が抑制される一方、可撓
性電極12から被帯電体10に対して安定した放電がな
され、それにより被帯電体10は安定的に帯電し、帯電
不良ひいては印字不良が十分抑制される。
【0040】なお、このように、可撓性中間部材の被帯
電体10に接触する部分のうち少なくとも可撓性電極1
2の放電担当部分121の近傍の電位と可撓性電極12
の放電時の電位との差の絶対値が、被帯電体10の電位
と可撓性電極12の放電時の電位との差の絶対値より小
さく設定する点は、以下に順次説明する本発明に係る帯
電装置においても同様である。
【0041】図5は本発明に係る帯電装置の他の例の概
略側面図である。この帯電装置Bでも、可撓性絶縁部材
11に可撓性導電性部材110が内蔵されている。そし
て、可撓性絶縁部材11の被帯電体10と接触する面の
端から距離L=1mmだけ離れた位置に、導電性部材1
10の一部が存在し、被帯電体10の導電性基体10a
とともに電源PWから正の電位が印加される。可撓性電
極12は記録画像に対応してオープン状態から接地され
ることにより、被帯電体10との電位差が生じて放電が
発生する。なお、図中100´は画像信号形成部及び駆
動電源ユニットを含む印字電圧印加部である。パッシェ
ンの法則に従い、電位差は可撓性電極12の放電端部1
21と被帯電体10との距離、すなわち放電端部近傍の
可撓性絶縁部材11の厚みによって異なり、この点は図
3に示す帯電装置と略同様のことが言える。
【0042】ここでは可撓性絶縁部材11はPETから
なり、被帯電体10の誘電体層10bはエポキシ樹脂か
らなっており、両者の接触及び相対的移動により可撓性
絶縁部材11はマイナスに、被帯電体10はプラスに摩
擦帯電する。可撓性絶縁部材11の被帯電体10と接触
する部分の被帯電体10に対する摩擦帯電列上の極性は
マイナスであり、帯電を行うときの可撓性電極12の被
帯電体10に対する極性はここではマイナスに設定して
ある。この点は図3の帯電装置と同様に同極性である。
従って可撓性電極12と可撓性絶縁部材11との電位差
より、可撓性電極12と被帯電体10との電位差の方が
大きくなり、良好な放電が可能である。可撓性絶縁部材
11の被帯電体10と接触する面の端と導電性部材11
0との距離Lは摩擦帯電に影響し、これが5mm以下で
あれば可撓性絶縁部材11の被帯電体10への吸着力は
実用上問題のない程度であり、2mm以下、さらに1m
m以下であれば、吸着力はさらに高まる。ここでは1m
mを採用している。
【0043】その他の点は図3の帯電装置と同様であ
る。次に図6は本発明に係る帯電装置のさらに他の例の
概略側面図である。この帯電装置Cでは、可撓性絶縁部
材11は上層部11aとこれに積層された下層部11b
とからなっており、可撓性電極12は上層部11aに設
けられ、下層部11bが被帯電体10に当接される。ま
た、上層部11aと下層部11bとの間に可撓性導電性
部材110が挟着されている。導電性部材110は、可
撓性絶縁部材11(さらに詳しくはその下層部11b)
が被帯電体10と接触する面の端から距離L(≦5mm
以下)だけ離れた位置に存在している。以上により、導
電性部材110を容易に設けることができるうえ、例え
ば、可撓性絶縁部材11の下層部11bの材料について
は被帯電体10との摩擦帯電や、摩耗、摩擦力の点で良
好になるような材料を選定し、上層部11aについては
可撓性電極12のリーク等を考慮した材料を選定するこ
とも可能である。
【0044】その他の点は図3の帯電装置と同様であ
る。次に図7は本発明に係る帯電装置のさらに他の例を
示している。この帯電装置Dでは、可撓性絶縁部材11
と被帯電体10との相互接触面の端から距離L(≦5m
m以下)だけ離れた位置に帯電部材1の保持部材も兼ね
る、可撓性絶縁部材11下面に固定された導電性部材1
10がある。これにより、帯電装置全体が簡素化され、
部品点数も削減されている。
【0045】その他の点は図3の帯電装置と同様であ
る。次に本発明を適用できる帯電部材の他の例を説明す
る。なお、以下に説明する帯電部材においても摩擦帯電
及び帯電部材吸着を円滑化、確実化するための導電性部
材110が設けられている。図8の帯電部材1は、可撓
性絶縁部材11に直径10μm〜100μm程度のタン
グステン線材よりなる可撓性電極12を絶縁性接着剤等
で固定したものである。可撓性絶縁部材11の、電極1
2を設けた側とは反対側の面が被帯電体10に当接され
る。可撓性絶縁部材11には細いワイヤ状の導電性部材
110が電極12に対し直角な方向に埋設されている。
また、可撓性絶縁部材11の自由端部の両角部11cは
円弧状に角取りされており、これにより帯電部材の反り
や浮きを防止している。
【0046】図9の帯電部材1は、図2の帯電部材の変
形例であり、可撓性電極12の放電を行う電極先端部1
21のある可撓性絶縁部材端部111の端面111aが
斜めに切断され、被帯電体表面移動方向に庇状に突出し
ており、それだけ電極先端部(放電端部)121からの
放電が容易なものである。導電性部材110は可撓性絶
縁部材11の、電極12とは反対側の面に設けてある。
【0047】図10の帯電部材1は、図2の帯電部材の
他の変形例であり、可撓性電極12の先端部121がそ
れ以外の部分より細くなっており、端部121での放電
が容易であり、駆動電圧を低く抑えることができ、ま
た、印字径を小さくできるものである。導電性部材11
0は、図8の帯電部材と同様のワイヤ状のものである。
図11の帯電部材1は、図2の帯電部材のさらに他の変
形例であり、電極12の先端部121が可撓性絶縁部材
11の自由端面111bまで回り込んでおり、それによ
り放電領域が大きくなり、放電しやすくなっているもの
である。導電性部材110は可撓性絶縁部材11の、電
極12とは反対側に、可撓性絶縁部材11の面と面位置
を一致させて設けてある。
【0048】図12の帯電部材1は、可撓性電極12が
可撓性絶縁部材11の中に設けられており、その放電端
部121端面が絶縁部材端面111bに露出している。
これは、可撓性電極12の周りに可撓性絶縁部材11を
形成する方法で作成してもよく、また、可撓性電極12
を2枚の可撓性絶縁部材で挟み込んで作成してもよい。
このような構成にすると、特に高湿時において放電端部
以外での電極同士のリークを防止できる。このような構
成は他の帯電部材においても採用することができる。例
えば図2の帯電部材においては、可撓性絶縁部材11の
可撓性電極12を設けた側の表面に電気絶縁性部材を塗
布、蒸着、張りつけ等によって設けても、同様な効果が
得られる。導電性部材110は、図11の帯電部材と同
様に設けてある。
【0049】図13の帯電部材1は、可撓性電極12が
可撓性絶縁部材11中に設けられている点は図12と同
じであるが、可撓性電極12の放電端部121が絶縁部
材端面111bから突出している。このような構成にす
ることによって、放電端部と被帯電体との沿面距離が長
くなるため高湿時でもリークしにくくなり、また、放電
端部121の被帯電体10に対する空間が広くなるた
め、放電しやすくなる。導電性部材110は図11の帯
電部材と同様に設けてある。
【0050】図14の帯電部材1は、可撓性絶縁部材1
1の自由先端部111の厚さが、5〜1000μm程度
となっているが、可撓性絶縁部材11を保持する部分に
近いところはそれより厚く、数100μm〜数mmの厚
さになっている。図14(B)に示すように、可撓性絶
縁部材11の厚い部分と薄い部分の境界付近が可撓性絶
縁部材11と被帯電体10との接触開始部分となってい
る。被帯電体10と可撓性絶縁部材11との接触面の摩
擦係数にもよるが、先に説明した例えば図2の帯電部材
のように可撓性絶縁部材11の厚さが全体に5〜100
0μm程度で均一であれば、被帯電体10表面の移動に
伴う摩擦力によって可撓性絶縁部材11が被帯電体10
の移動方向に移動しようとする力と、可撓性絶縁部材1
1を固定している応力との釣り合いによって、可撓性絶
縁部材11が被帯電体表面移動方向に振動しやすい。し
かし、この図14の帯電部材1では、可撓性絶縁部材1
1の厚い部分で保持されるので、該部材11の保持部近
辺の剛性が高まり、可撓性絶縁部材11と被帯電体10
との接触開始部分が定まることで、可撓性絶縁部材11
の被帯電体表面移動方向への振動が少なくなり、印字ム
ラを一層抑制できる。導電性部材110は図11の帯電
部材と同様に設けてある。
【0051】図15の帯電部材1は、可撓性電極12を
可撓性絶縁部材11上の全面に設けたものであり、被帯
電体10を全面均一に帯電するようになっている。この
例でも導電性部材を設けてある。本発明はこのような均
一帯電用の帯電部材を採用した帯電装置にも適用でき
る。また、同様の形態の他の帯電装置にも適用できる。
次に図16から図18に本発明に係る帯電装置のさらに
他の例を示す。
【0052】図16(A)及び(B)に示す帯電装置E
は、帯電部材1の、保持部材2と押さえ部材3とに保持
される部分及びその近傍部分に弾性部材5を当てがった
ものである。弾性部材5は、保持部材2と押さえ部材3
とによって帯電部材1と共に挟持されている。その他の
点は図1に示す帯電装置構成と同様である。但し、導電
性部材110は可撓性絶縁部材11の下面に積層されて
いる。帯電部材1は弾性部材5に押圧され、それにより
図16(B)に示すように、帯電部材1の可撓性絶縁部
材11と被帯電体10との接触開始部分が定まってい
る。すなわち、帯電部材1を押圧する弾性部材5の下流
側端部付近が可撓性絶縁部材11と被帯電体10との接
触開始部分となっている。この帯電装置Eでは、被帯電
体10の表面移動に伴う摩擦力による可撓性絶縁部材1
1の被帯電体表面移動方向での振動が少なくなる。
【0053】図17(A)及び(B)に示す帯電装置F
は、図1に示す帯電装置Aにおいて、帯電部材1を押圧
部材6で被帯電体10へ押圧するものである。但し、導
電性部材110は可撓性絶縁部材11の下面に積層され
ている。押圧部材6は帯電部材1の端部1b付近を押圧
し、可撓性電極12と被帯電体10との距離を一定に保
とうとする。この帯電装置Fによると、単に押圧部材6
で押圧するだけでは、被帯電体10の偏芯や大きなうね
り等に対する帯電部材1の追従性はよいものの被帯電体
10表面の細かい凹凸に対しての追従性は十分とはいえ
ないところ、摩擦帯電によって帯電部材1を被帯電体1
0に吸着させるから、これと押圧部材6との併用で様々
の凹凸に対して追従性が向上している。
【0054】図18の帯電装置Gは、図1に示す帯電装
置Aにおいて、帯電部材1を押圧部材7で被帯電体10
へ押圧するものである。押圧部材7は、押圧材保持部材
72と押圧材71とからなり、帯電部材1の端部付近を
押圧し、可撓性電極12と被帯電体10との距離を一定
に保とうとしている。この装置Gにおいても、前記の装
置Fと同様に、摩擦帯電による吸着を併用するので、被
帯電体10の偏芯や大きなうねり、さらには被帯電体表
面の細かい凹凸に対しても帯電部材1の追従性がよい。
押圧材71は発泡ウレタンや発泡シリコンゴム等のよう
に、十分に押圧力を伝達でき、しかも、押圧に対する十
分な追従性を有するものがよい。
【0055】次に図19は本発明に係る帯電装置Hを適
用した画像形成装置の一部の概略側面図であり、被帯電
体10及び清掃装置50がともに示されている。図示の
とおり帯電装置Hの上流側に清掃装置50が配置されて
いる。清掃装置50は、保持部材52に清掃部材(ここ
ではクリーニングブレード)51を接着して形成されて
おり、清掃部材51は被帯電体10に接触して残留トナ
ーを掻き取るように配置されている。被帯電体10の誘
電体層10bの材料、帯電部材の可撓性絶縁部材11の
材料及び清掃部材51の材料は、被帯電体10が図中矢
印a方向に回転駆動され、先に清掃部材51と摩擦帯電
し、これにより被帯電体10がプラスに、清掃部材51
がマイナスに帯電し、引き続き帯電部材1の可撓性絶縁
部材11と被帯電体10が摩擦帯電し、可撓性絶縁部材
11がプラスに、被帯電体10がマイナスに帯電するよ
うに選定してある。そのため、清掃部材51との摩擦帯
電によりプラスに帯電した被帯電体10は、プラスに帯
電した可撓性絶縁部材11との接触部では同極性のため
放電が発生せず、問題は生じない。もしも、可撓性絶縁
部材11が清掃部材51との接触によりマイナスに帯電
したとすると、その電位差にもよるが、可撓性絶縁部材
11と被帯電体10間で放電が発生し、電位ムラが発生
したり、放電ノイズが被帯電体10に生じたりする。な
お図19中、100¨は印字電圧印加部である。
【0056】図20は以上説明した帯電装置を含め本発
明を適用できる帯電装置(但し、図15に示す帯電部材
を使用する帯電装置は除く)に採用できる電気回路例を
示す図である。この電気回路によると、印字すべき画像
に対応する印字信号が画像信号形成部102で形成され
駆動電源ユニット101に出力される。駆動電源ユニッ
ト101は印字信号を高電圧に昇圧し、高電圧の印字信
号が帯電部材1の各可撓性電極12に印加される。
【0057】図21は本発明を適用できる帯電装置(但
し、図15に示す帯電部材を使用する帯電装置は除く)
に採用できる電気回路の他の例を示す図である。この例
では帯電部材1に、両端の可撓性電極12の外側及び各
隣り合う可撓性電極12の間に可撓性制御電極12cを
設けてある。この電気回路によると、印字すべき画像に
対応する印字信号が画像信号形成部104で形成され駆
動電源ユニット103に出力される。駆動電源ユニット
103は印字信号を高電圧に昇圧し、高電圧の印加信号
が帯電部材1の各可撓性電極12に印加される。また各
可撓性制御電極12cにも電圧が印加される。制御電極
12cに印加する電圧を、例えば各可撓性電極12に印
加する電圧(放電電圧)と接地電圧との中間程度の電圧
にすることにより、可撓性電極12と制御電極12cの
電位差を小さくでき、それにより電極同士のリークを防
止できる。また、隣り合う可撓性電極12の電位の相互
の影響も少なくなり、印字径も安定する。また、制御電
極12cに印加する電圧によっては印字径を小さくする
こともできる。すなわち、一つの放電電極12について
みると、その両側の制御電極12cに電圧を印加するこ
とで、放電電極12からの放電の広がり角度が制御され
(電極12cへの印加電圧に応じて狭められ)、それに
より印字径を小さくすることができる。
【0058】図22は本発明を適用できる帯電装置(但
し、図15に示す帯電部材を使用する帯電装置は除く)
に採用できる電気回路のさらに他の例を示す図である。
この例では帯電部材1は可撓性電極(放電電極)12を
備えており、可撓性電極12には、可撓性絶縁部材11
に直接取り付けたIC回路状の駆動電源101aから印
字信号の高電圧が印加される。このような構成とするこ
とにより、小型化も可能であり、帯電部材と画像形成装
置を含む本体との信号ケーブルの本数も低減可能であ
る。
【0059】次に本発明に係る帯電装置のさらに他の例
を図23を参照して説明する。図23は該帯電装置の要
部を示す斜視図である。この帯電装置Iは、その全体を
図示していないが、図1に示す帯電装置Aと同じ基本構
成を有し、該基本構成における帯電部材1として図23
に示すものを用いたものである。電気回路には図20等
に示すものが採用される。図23に示す帯電部材1は、
可撓性絶縁部材11の片面側に複数本の可撓性電極12
を設け、反対側の面に摩擦帯電及び帯電部材吸着を円
滑、確実化する導電性部材110を設けたものである
が、帯電部材1の保持部材2及び押さえ部材3(図1参
照)による保持部分(被帯電体表面移動方向において上
流側の端部)より下流側部分且つ電極12が設けられて
いない部分において、可撓性絶縁部材11に通気孔13
を形成してある。通気孔13の位置は、被帯電体10の
回転時に通気孔13のある部分が被帯電体10とは接触
しない位置である。
【0060】この帯電装置Iによると、可撓性を有する
帯電部材1は、その可撓性絶縁部材11の下流側端部1
11において被帯電体10に接触する。そしてその接触
状態で可撓性電極12から被帯電体10表面に放電がな
され、これにより被帯電体10表面が所定通りに帯電す
る。被帯電体10の表面が移動することによって発生す
る風は、帯電部材1に設けた通気孔13を通って逃げる
ので、帯電部材1の舞い上がりがそれだけ抑制される。
さらに帯電部材1は、可撓性絶縁部材11と被帯電体1
0との摩擦帯電により被帯電体表面に吸着するので、こ
れら両者の作用により、帯電部材1は被帯電体10に馴
染みよく当接し、被帯電体10と各電極12との放電間
隔はそれだけ均一化される。
【0061】かかる通気孔13は本発明帯電装置に採用
できる他の帯電部材にも設けることができる。図15に
示す帯電部材にも設けることができる。次に図24を参
照して本発明に係る帯電装置のさらに他を説明する。図
24(A)及び(B)に示す帯電装置Jは、図23を参
照して説明した帯電装置Iにおいて、その帯電部材1の
通気孔13の下流側に押圧フィン15を立設したもので
ある。フィン15は通気孔13を通過してきた風の圧力
を受けるように設けられている。
【0062】この帯電装置Jによると、被帯電体10が
回転することによって発生する風は、帯電部材1に設け
た通気孔13を通って逃げるので、帯電部材1の舞い上
がりがそれだけ抑制される。また、フィン15が通気孔
13を通過してきた風の圧力を受けて帯電部材1を被帯
電体10の方へ押圧する。そのため帯電部材1の舞い上
がりは一層抑制される。さらに、可撓性絶縁部材11と
被帯電体10との摩擦帯電により可撓性絶縁部材11が
被帯電体10に吸着される。これらにより、被帯電体1
0に、たとえ凹凸やうねりがあっても、また、被帯電体
10の回転によって風が発生しても、被帯電体10と帯
電部材1の各電極12間の放電間隔は一層均一化され
る。図24の帯電装置についても図20等の電気回路を
適用できる。
【0063】フィン15はその機能上、ある程度の硬度
が必要である。可撓性絶縁部材11を折り曲げて、フィ
ン15と通気孔13を作ることは可能であるが、フィン
15が可撓性となるために、風圧によって折れ曲がって
しまい、可撓性絶縁部材11を被帯電体10に十分に押
圧する役目を果たせなくなる恐れがある。従って、可撓
性絶縁部材11を通気孔付近だけその厚さを厚くすると
か、通気孔付近だけ別の部材を貼り合わせるとかしても
よい。もちろん、他の部材でフィン15を作り、可撓性
絶縁部材11に取り付けることも可能である。
【0064】かかる通気孔13と押圧フィン15の組み
合わせは、本発明帯電装置に採用できる他の帯電部材に
も設けることができる。図15に示す帯電部材にも設け
ることができる。図25は本発明に係る帯電装置のさら
に他の例における帯電部材を示している。
【0065】この帯電部材1は、可撓性絶縁部材11の
上に可撓性線状電極12を設けたものであるが、被帯電
体表面移動方向における下流側端部1bが櫛歯状になっ
ており、そのため、隣合う電極12の放電担当先端部1
21同士が、このように櫛歯状になっていないものに比
べ、被帯電体表面移動方向に距離をおいてずれており、
遠くなっている。そのため、たとえ高湿時においても、
また、高精度の画像を得るために被帯電体表面移動方向
を横切る方向における電極密度を増大させても、隣合う
電極12間のリークが抑制され、それだけ印字ミス等が
起こらない。
【0066】この帯電部材の場合、被帯電体10の表面
移動速度と隣合う可撓性電極先端部121間の被帯電体
表面移動方向におけるずれ距離とで定められる、上流側
にある櫛歯状の可撓性電極先端部121と下流側のそれ
との印字遅れ時間をt1 〔秒〕とすると、下流側の電極
による印字信号は、t1 〔秒〕だけ遅れて発生する必要
がある。その場合、印字のパルス周期時間をt1 の整数
倍及び1/整数倍から外れたものにすることにより、上
流側と下流側の電極12に印加する印字信号が重なら
ず、そのため、帯電部材1への印加ピーク電圧を低減で
きる。また、各々の印字信号が印字のパルス周期時間の
半分だけずれているほうが、さらにピーク電圧を低減で
き、望ましい。
【0067】なお、この帯電部材1も摩擦帯電及び帯電
部材の吸着を円滑、確実化するための導電性部材110
を備えている。図26は本発明に係る帯電装置のさらに
他の例における帯電部材を示している。この帯電部材1
は可撓性絶縁部材11の上に可撓性線状電極12を設け
たものであるが、被帯電体表面移動方向における下流側
端部1bが3段の櫛歯状になっている。この場合も、隣
合う同士の可撓性電極12の先端部121の距離が、櫛
歯状になっていない場合に比べ遠くなっており、従って
この場合も、たとえ高湿時においても、また、高精度の
画像を得るために被帯電体表面移動方向を横切る方向に
おける電極密度を増大させても、隣合う電極12間のリ
ークが抑制され、それだけ印字ミス等が起こらない。
【0068】また、この例でも分かるように、隣合う同
士の可撓性電極12の放電担当先端部121間が遠くな
るのであれば、どのような形状に可撓性絶縁部材11及
び電極2の端部を加工してもよい。要するに、帯電部材
における可撓性線状電極の放電担当先端部の隣合うもの
同士を、被帯電体表面移動方向に互いにずらして配置す
ればよい。また、これにともなって、可撓性絶縁部材の
端部を櫛歯状等に凹凸に形成してもよい。
【0069】また、図26の帯電部材1の場合も、図2
5の帯電部材と同様に、被帯電体10の表面移動速度と
隣合う可撓性電極先端部121間の被帯電体表面移動方
向のずれ距離とで定められる、上流側にある櫛歯状の可
撓性電極先端部121と下流側のそれとの印字遅れ時間
を上流側から各々t2 、t3 〔秒〕とすると、下流側の
電極の印字信号は、t2 及びt3 〔秒〕だけ遅れて発生
する必要がある。その場合、印字のパルス周期時間をt
2 及びt3 の整数倍及び1/整数倍から外れたものにす
ることにより、各々の電極に印加する印字信号が重なら
ず、そのため、印加ピーク電圧を低減できる。また、各
々の印字信号が印字のパルス周期時間の1/3だけずれ
ているほうが、さらにピーク電圧が低減でき、望まし
い。
【0070】図26の帯電部材1も摩擦帯電及び帯電部
材の吸着を円滑、確実化するための導電性部材110を
備えている。図27(A)は本発明に係る帯電装置のさ
らに他の例の帯電部材を示している。この例では帯電部
材1が複数(図示例では二つ)設けられている。該複数
の帯電部材1はそれぞれ可撓性絶縁部材11上に可撓性
線状電極12を設けたものであり、被帯電体10の表面
移動方向に距離をおいてずれるように配置されている。
各帯電部材1は摩擦帯電及び帯電部材の吸着を円滑、確
実化するための導電性部材110を備えている。
【0071】上流側の帯電部材1(1X)における電極
12と下流側の帯電部材1(1Y)の電極12は、被帯
電体表面移動方向において互いに重ならないように設け
られている。ここでは上流側帯電部材1Xにおける被帯
電体表面移動方向に対し直角方向に並んでいる電極12
の各中間位置に対応するように下流側帯電部材1Yの電
極12が並んでいる。これにより、全体として上流側と
下流側の各可撓性電極12の印字密度の2倍の印字密度
が実現される。
【0072】また、図示の例では、上流側の帯電部材1
Xの放電端部と下流側の帯電部材1Yの放電端部間の被
帯電体表面移動方向におけるずれ距離は、「被帯電体表
面の移動速度〔mm/秒〕×t4 〔秒〕」である。図2
5の帯電部材と同様に、上流側の可撓性電極先端部12
1と下流側のそれとの印字遅れ時間のt4 〔秒〕に対
し、下流側の電極12の印字信号は、t4 〔秒〕だけ遅
れて発生する必要がある。その場合、印字のパルス周期
時間をt4 の整数倍及び1/整数倍から外れたものにす
ることにより、上流側と下流側の電極に印加する印字信
号が重ならず、そのため、ピーク電圧が低減できる。ま
た、各々の印字信号が印字のパルス周期時間の半分だけ
ずれているほうが、さらにピーク電圧が低減でき、望ま
しい。
【0073】またこの例では2個の帯電部材を用いてい
るが、3個以上の複数個の帯電部材を用いると、さらに
印字密度が高くなる。また、これら二つの帯電部材1
は、図27(B)に示すように、それぞれ独立して配置
してもよいし、図27(C)に示すように、一組の保持
部材2と押さえ部材3とで一緒に挟持してもよい。或い
は図27(D)に示すように、一つの可撓性絶縁部材1
1を共通に使用し、これに上流側の電極12、下流側の
電極12を設け、該絶縁部材11を二つに折り曲げて上
流側帯電部材1X、下流側帯電部材1Yを形成してもよ
い。
【0074】図27(B)のように別々に保持する場
合、各々の帯電部材は被帯電体表面移動方向と直角な方
向に対しての位置精度が重要であるから、各々の帯電部
材を取り付ける際にはこの点の注意を要する。図27
(C)のように保持したり、図27(D)のように形成
するときは、各々の帯電部材の被帯電体表面移動方向と
直角な方向に対しての位置精度は、帯電部材を挟み込む
時点でほぼ決定され、帯電装置を取り付ける際の位置決
め作業は比較的容易になる。
【0075】図25から図27に示す各帯電部材1につ
いても前述の通気孔13及び押圧フィン15のうち一つ
以上を採用することができる。本発明は以上説明した形
態の帯電装置のみではなく、他の形態の帯電装置にも適
用できる。図28は本発明に係る帯電装置のさらに他の
例における帯電部材の一部の斜視図である。この帯電部
材1は可撓性絶縁部材11の下面に可撓性のある半導電
性部材14を積層して可撓性中間部材Mとし、この中間
部材Mの上面に複数本の可撓性電極12を所定間隔で配
列するとともに、該半導電性部材14を被帯電体10に
接触させるようにしたものである。この例では、半導電
性部材14は可撓性絶縁部材11の下面全体に設けられ
ているが、可撓性電極12と被帯電体表面との距離の均
一化が必要な電極12の放電担当先端部121の付近に
だけ設けてもよい。
【0076】かかる半導電性部材の材質としては、4フ
ッ化エチレン樹脂、ウレタンゴム、ポリイミド、ポリエ
ステル等の材料に導電性材料を混入したもの等を例示で
きるが、この限りではない。半導電性部材の作成方法と
しては、溶液の塗布、スパッタリング等の方法で作成す
ることが可能であるが、この限りではない。また、半導
電性部材は被帯電体と摺擦される部分なので、耐摩耗性
の良い材料を用いるほうが好ましく、また、被帯電体と
摩擦係数の小さいもののほうが被帯電体に対するトルク
等の面から好ましい。また、被帯電体に清掃装置があっ
ても、顕像形成用のトナー等の残留物等が帯電装置に到
来することもあり、それらが半導電性部材に融着するこ
とを防止するために、顕像形成用のトナー等に対して、
離型性の良い材料が好ましい。
【0077】半導電性部材の抵抗値としては101 〜1
8 Ω・cm程度が適当である。半導電性部材には図示
しない駆動電源によって、電圧が印加される。印加され
る電圧値は、半導電性部材によって被帯電体を帯電させ
ない程度のレベルの電圧値が好ましいが、この限りでは
ない。半導電性部材の抵抗値や材料にもよるが、被帯電
体の電位と半導電性部材に印加される電圧値との差が5
50〔V〕程度以下であれば、半導電性部材によって被
帯電体は帯電されない。よって、被帯電体の電位が0
〔V〕であれば、半導電性部材に印加する電圧は−55
0〔V〕〜550〔V〕程度が適当である。半導電性部
材に電圧が印加されると、半導電性部材が静電気力によ
って被帯電体に吸着する。この効果によって、可撓性電
極12の放電端部121と被帯電体10との放電距離が
均一に保たれる。また、この静電吸着によって被帯電体
10上にある残留トナーや転写紙の紙粉等の異物が静電
吸着領域の上流側でせきとめられるため、放電部近傍が
汚れないという効果もある。
【0078】図29は図28の帯電部材1を採用した帯
電装置Kにおける該帯電部材1の被帯電体10への静電
吸着の様子、及び印字のための電極12からの放電の様
子を示したものである。放電時には可撓性電極12には
放電に必要なだけのプラスの電圧が印字電圧印加部10
0¨から印加される。半導電性部材14は電源PW1か
らプラスの電圧が印加されており、静電吸着力により被
帯電体10に吸着している。そのため、印字時の可撓性
電極12と半導電性部材14の電位差より、可撓性電極
12と被帯電体10の電位差の方が大きいため、可撓性
電極12からの放電は被帯電体10に対して起こり、良
好な印字が可能となる。また、可撓性電極12と半導電
性部材14の電位差が放電開始電圧以下であれば、可撓
性電極12から半導電性部材14への放電が起こらない
ため、一層印字不良は低減する。
【0079】図30は図29とは異なる帯電装置を参考
的に示したものである。この帯電装置では、放電時には
可撓性電極12にはプラスの電圧が印字電圧印加部10
0¨から印加されるが、半導電性部材14には電源PW
2からマイナスの電圧が印加される。従って可撓性電極
12と半導電性部材14の電位差の方が、可撓性電極1
2と被帯電体10の電位差より大きくなり、可撓性電極
12からの放電は半導電性部材14に対して起こりやす
くなり、良好な印字ができない。
【0080】つまり、半導電性部材14の被帯電体10
に対する極性と、帯電を行うときの可撓性電極12の被
帯電体10に対する極性とが同じであれば、可撓性電極
12と半導電性部材14の電位差より可撓性電極12と
被帯電体10の電位差の方が大きくなり、良好な放電が
可能となるのであり、これは、いままでに示してきた本
発明にかるる帯電装置と同様である。
【0081】また、半導電性部材の代わりにエレクトレ
ット部材を用いれば、電界形成用の電源も必要無くな
り、低価格化できる。エレクトレット部材を用いるとき
も、前記と同様に電極から被帯電体への良好な放電を達
成できる。図31は本発明を適用できる帯電部材のさら
に他の例の斜視図である。可撓性絶縁部材11の片面に
可撓性電極12を設けてあり、可撓性絶縁部材11の反
対側の面に半導電性部材14を設けてあるが、可撓性電
極12の放電担当端部121付近では、半導電性部材1
4は櫛歯状に形成されており、且つ、可撓性電極端部1
21と半導電性部材14とが互い違いに配置されてい
る。これは、可撓性電極12の放電先端部121から半
導電性部材14への距離を長くすることによりリークに
よる印字不良を防止するとともに、被帯電体10との距
離均一性が最も必要な可撓性電極12の放電部近傍で静
電吸着するためであり、本発明に従い、可撓性絶縁部材
11と半導電性部材14とからなる可撓性中間部材Mの
被帯電体10に接触する部分のうち少なくとも可撓性電
極12の放電担当部分の近傍の電位と可撓性電極12の
放電時の電位との差の絶対値が、被帯電体10の電位と
可撓性電極12の放電時の電位との差の絶対値より小さ
く設定されることで、さらに印字不良の低減が可能とな
る。
【0082】図32は本発明に係る帯電装置のさらに他
の例の概略側面図である。この帯電装置Nでは、可撓性
絶縁部材11の片面に可撓性電極12が設けられてい
る。帯電部材1は帯電装置Aの場合と同様に被帯電体1
0の表面移動方向に沿う方向に配置され、該被帯電体表
面移動方向において上流側の端部が、被帯電体10の回
転軸線方向に平行な保持部材2とその上の押さえ部材3
0とに挟持され、全体として片持ち支持されている。但
し、ここでは、帯電部材1の被帯電体10への圧接力を
増すために、押さえ部材30は保持部材2より、被帯電
体表面移動方向に長く設定されている。かくして可撓性
絶縁部材11の被帯電体10への密着性が、可撓性絶縁
部材11と被帯電体10との摩擦帯電による吸着力とあ
いまってさらに増している。
【0083】また、押さえ部材30の端部との接触によ
る可撓性電極12の断線や帯電部材の折れを防止するた
めに、押さえ部材30の可撓性絶縁部材11に臨む下流
側端縁3aは角取りされて曲面に形成されている。その
曲面の曲率半径Rは、大きい方が前記の断線や折れを防
止する上で有効であり、望ましくは0.5mm以上、よ
り望ましくは1mm以上、さらに望ましくは2mm以上
とするのがよい。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、被
帯電体を帯電ムラその他の帯電不良を抑制して均一に帯
電させることができ、それにより良好な画像を得ること
ができる画像形成装置用の帯電装置を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(A)は本発明に係る帯電装置の1例の概略
斜視図であり、図(B)はその概略側面図である。
【図2】図1に示す帯電装置における帯電部材の一部の
斜視図である。
【図3】図(A)は図1に示す帯電装置を印字電圧印加
部等とともに示す側面図であり、図(B)は被帯電体を
帯電させる様子を示す図である。
【図4】可撓性絶縁部材と被帯電体との摩擦帯電による
帯電状態が図3に示す場合と逆であるときを示す参考図
である。
【図5】本発明に係る帯電装置の他の例の概略側面図で
ある。
【図6】本発明に係る帯電装置のさらに他の例の概略側
面図である。
【図7】本発明に係る帯電装置のさらに他の例の概略側
面図である。
【図8】本発明を適用できる帯電部材の他の例の一部の
斜視図である。
【図9】図(A)は本発明を適用できる帯電部材のさら
に他の例の一部の斜視図であり、図(B)は同帯電部材
の一部の側面図である。
【図10】本発明を適用できる帯電部材のさらに他の例
の一部の斜視図である。
【図11】本発明を適用できる帯電部材のさらに他の例
の一部の斜視図である。
【図12】本発明を適用できる帯電部材のさらに他の例
の一部の斜視図である。
【図13】本発明を適用できる帯電部材のさらに他の例
の一部の斜視図である。
【図14】図(A)は本発明を適用できる帯電部材のさ
らに他の例の一部の斜視図であり、図(B)はその側面
図である。
【図15】本発明を適用できる帯電部材のさらに他の例
の一部の斜視図である。
【図16】図(A)は本発明に係る帯電装置のさらに他
の例における帯電部材の斜視図であり、図(B)は同帯
電装置の概略側面図である。
【図17】図(A)は本発明に係る帯電装置のさらに他
の例の一部の斜視図であり、図(B)は同帯電装置の概
略側面図である。
【図18】本発明に係る帯電装置のさらに他の例の概略
側面図である。
【図19】本発明に係る帯電装置を適用した画像形成装
置の一部の概略側面図である。
【図20】本発明に係る帯電装置に採用できる電気回路
例を示す図である。
【図21】本発明に係る帯電装置に採用できる電気回路
の他の例を示す図である。
【図22】本発明に係る帯電装置に採用できる電気回路
のさらに他の例を示す図である。
【図23】本発明に係る帯電装置のさらに他の例におけ
る帯電部材の一部の斜視図である。
【図24】図(A)は本発明に係る帯電装置のさらに他
の例における帯電部材の一部の斜視図であり、図(B)
は同帯電装置の概略側面図である。
【図25】本発明に係る帯電装置のさらに他の例におけ
る帯電部材の一部の斜視図である。
【図26】本発明に係る帯電装置のさらに他の例におけ
る帯電部材の一部の斜視図である。
【図27】図(A)は本発明に係る帯電装置のさらに他
の例における二つの帯電部材の各一部の斜視図、図
(B)は該帯電部材の取り付け状態の一例を示す側面
図、図(C)は該帯電部材の取り付け状態の他の例を示
す側面図、図(D)は該帯電部材構造の他の例を示す斜
視図である。
【図28】本発明に係る帯電装置のさらに他の例におけ
る帯電部材の一部の斜視図である。
【図29】図28の帯電部材を採用した帯電装置におけ
る該帯電部材の静電吸着の様子、及び電極からの放電の
様子を示した図である。
【図30】図30は図29とは異なる帯電装置を参考的
に示した図である。
【図31】図(A)は本発明を適用できる帯電部材のさ
らに他の例の一部の斜視図であり、図(B)は同帯電部
材を電極側から見た平面図である。
【図32】本発明に係る帯電装置のさらに他の例の概略
側面図である。
【符号の説明】
A 帯電装置 10 被帯電体 10a 導電性基体 10b 誘電体層 1 略シート状の可撓性帯電部材 1a 帯電部材1の上流側端部 1b 帯電部材1の下流側端部 11 可撓性絶縁部材 110 可撓性導電性部材 111 可撓性絶縁部材11の下流側端部乃至自由先端
部 12 可撓性電極 121 電極12の放電担当先端部 2 保持部材 3 押さえ部材 4 信号ケーブル 100 印字電圧印加部 B 帯電装置 100´ 印字電圧印加部 PW 電源 C 帯電装置 11a 可撓性絶縁部材11を構成する上層部 11b 可撓性絶縁部材11を構成する下層部 D 帯電装置 11c 可撓性絶縁部材11の角部分 111a 可撓性絶縁部材端部111の斜め端面 111b 可撓性絶縁部材端部111の端面(自由端
面) E 帯電装置 5 弾性部材 F、G 帯電装置 6、7 押圧部材 71 押圧材 72 押圧材保持部材 H 帯電装置 100¨ 印字電圧印加部 50 清掃装置 51 清掃部材 52 保持部材 101 駆動電源ユニット 102 画像信号形成部 12c 可撓性制御電極 103 駆動電源ユニット 104 画像信号形成部 101a 駆動電源 I、J 帯電装置 13 通気孔 15 押圧フィン 1X 上流側帯電部材 1Y 下流側帯電部材 M 可撓性中間部材 14 半導電性部材 K 帯電装置 PW1、PW2 電源 30 押さえ部材 3a 押さえ部材30の端縁部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放電用の可撓性電極と、 該可撓性電極と被帯電体との間に介在して前記被帯電体
    表面に接触する可撓性中間部材であって少なくとも電気
    絶縁性部材からなる層を含むものとを備え、 前記可撓性電極からの放電により前記被帯電体を帯電さ
    せる画像形成装置用の帯電装置であり、 前記可撓性中間部材の前記被帯電体に接触する部分のう
    ち少なくとも前記可撓性電極の放電担当部分の近傍の電
    位と該可撓性電極の放電時の電位との差の絶対値が、該
    被帯電体の電位と該可撓性電極の放電時の電位との差の
    絶対値より小さいことを特徴とする帯電装置。
  2. 【請求項2】前記可撓性中間部材の前記被帯電体と接触
    する部分のうち少なくとも前記可撓性電極の放電担当部
    分の近傍の電位と該可撓性電極の電位との差が、放電開
    始電圧以下である請求項1記載の帯電装置。
  3. 【請求項3】少なくとも像形成工程において、前記可撓
    性中間部材と前記被帯電体とが吸着する電界が形成され
    る請求項1又は2記載の帯電装置。
  4. 【請求項4】 前記可撓性中間部材と前記被帯電体とが
    摩擦帯電でき、該摩擦帯電により該可撓性中間部材と該
    被帯電体とが吸着する電界が形成される請求項3記載の
    帯電装置。
  5. 【請求項5】前記可撓性中間部材の前記被帯電体と接触
    する側の面の少なくとも一部が半導電性部材で形成され
    ており、該可撓性中間部材と該被帯電体とが吸着する電
    界が形成されるように該半導電性部材に電圧を印加する
    手段が設けられている請求項3記載の帯電装置。
  6. 【請求項6】前記可撓性中間部材の前記被帯電体と接触
    する側の面の少なくとも一部がエレクトレット部材で形
    成されている請求項3記載の帯電装置。
  7. 【請求項7】前記可撓性電極は複数本設けられており、
    それら複数本の電極は、該電極と前記被帯電体表面との
    相対的移動方向に対し略直交する方向に所定間隔を開け
    て配列されている請求項1から6のいずれかに記載の帯
    電装置。
  8. 【請求項8】前記可撓性電極は、少なくとも先端部の抵
    抗値が101 Ωcm以上108 Ωcm以下である請求項
    1から7のいずれかに記載の帯電装置。
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