JPH1052056A - インバータ装置 - Google Patents

インバータ装置

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JPH1052056A
JPH1052056A JP8205748A JP20574896A JPH1052056A JP H1052056 A JPH1052056 A JP H1052056A JP 8205748 A JP8205748 A JP 8205748A JP 20574896 A JP20574896 A JP 20574896A JP H1052056 A JPH1052056 A JP H1052056A
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inverter
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inverter device
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浩史 中田
Hiroichi Kodama
博一 小玉
Masaki Eguchi
政樹 江口
Tsukasa Takebayashi
司 竹林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】構造の複雑化を招くことなく、起動時の安全性
を高める。 【解決手段】インバータ通常稼働に先立ってインバータ
出力を、電流制限部21によって短絡期間を制御しつつ
短絡させる。さらに、インバータ出力の短絡により形成
された閉回路に流れる電流を、DCリアクトル8の作用
で徐々に上昇させる。そして、閉回路の最大電圧が閾値
を上回ると、短絡動作を停止させてインバータ起動を許
容する一方、最大電圧が閾値を下回るとインバータ起動
を許容しないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は太陽電池等の直流電
源の直流電力を交流電力に変換するインバータ装置に係
り、詳しくは、インバータ装置の起動を開始するか否か
の判定制御に関する。
【0002】
【従来の技術】インバータ装置においては、インバータ
装置の起動を開始するか否かの判定制御(以下、起動制
御という)に際して、直流電源(太陽電池)出力がイン
バータを起動するのに十分な出力を有しているかどうか
を確認することが必要となる。
【0003】直流電源(太陽電池)出力を確認する方法
として従来から、直流電源(太陽電池)出力の電圧が、
設定値(インバータ起動に必要十分な電圧値)を上回っ
たか否かを監視する方法がある。
【0004】しかしながら、この方法では、起動、停止
を繰り返す現象(チャタリング現象)が発生する恐れが
あった。すなわち、直流電源(太陽電池)の出力が負荷
の接続の有無により変動するのに対して、この方法で
は、直流電源(太陽電池)に負荷が接続されていない状
態でその出力電圧(開放電圧)を監視している。そのた
め、出力電圧が設定値をわずかに上回った状態でインバ
ータ装置が起動した場合には、インバータ起動により太
陽電池に負荷が接続された状態になって太陽電池出力電
圧は開放電圧側から短絡電流側へ低下して設定値を下回
り、このことを検知して、インバータ起動はすぐに停止
してしまう。そして、インバータ装置が停止状態になる
と直流電源(太陽電池)は無負荷状態になり、その出力
電圧は再上昇して設定値を上回る。すると、このことを
検知してインバータ装置は再起動してしまう。このよう
にして起動、停止を繰り返す現象(チャタリング現象)
が生じていた。
【0005】このような現象を防止するために、従来か
ら上記した設定値にヒステリシス幅を持たせたり、タイ
マを設けてとインバータ起動を遅らせる方法が考えられ
ている。
【0006】しかしながら、これらの方法でも、上記チ
ャタリング現象の回数を減らすことはできるものの、完
全に防止することができなかった。さらには、直流電源
(太陽電池)から十分な出力が出力されても、インバー
タ装置が起動するまでに時間がかかり、このことが直流
電源(太陽電池)の有効利用の妨げになるという不都合
があった。
【0007】そこで、従来から、特開昭60−8311
5号に示すように、インバータ停止時にインバータブリ
ッジの少なくとも一組のブリッジを構成するスイッチン
グ素子を短絡させて、閉回路を形成し、この閉回路を流
れるインバータ出力の短絡電流を検出することにより太
陽電池出力を監視して、起動制御を行う方法(以下、第
1の従来例という)が考えられた。さらには、特開平1
−243826号に示すように、インバータの交流出力
側に交流スイッチと交流負荷とを設けて起動制御を行う
方法(以下、第2の従来例という)が考えられた。これ
らの従来例を以下に説明する。
【0008】第1の従来例のインバータ装置50は、図
9に示すように、太陽電池51から出力された直流電力
を、制御回路52で制御されたインバータブリッジ53
によって商用電力系統54と同―の位相及び周波数50
/60Hzをもつ交流電力に変換して商用電力系統54
に供給するようになっている。
【0009】インバータブリッジ53の前段には、イン
バータ装置50に入力される太陽電池出力の電流を測定
する直流入力電流検出器55が設けられている。また、
インバータブリッジ53の後段にはインバータ出力の電
流を検出するインバータ出力電流検出器56と、商用電
力系統54側との連系及び切り離しを行う連系リレー5
7とが設けられている。
【0010】このように構成されたインバータ装置50
では、インバータ停止時においてインバータブリッジ5
3の少なくとも一組のブリッジを構成するスイッチング
素子(Q1とQ2,ないしQ3とQ4)を短絡させてお
く。そして、太陽電池51で直流電力が発生して、スイ
ッチング素子の短絡により形成された閉回路に短絡電流
inが流れると、その短絡電流Iinを直流入力電流検出
器55により検出して、制御回路52の短絡電流比較部
59に入力する。短絡電流比較部59では、短絡電流I
inが予め設定しておいた閾値以上になると太陽電池51
の出力がインバータ装置50を運転するのに十分な大き
さになったと判断して、インバータブリッジ53の短絡
を止めて、インバータブリッジ53をオン/オフ制御し
て、インバータ運転を開始する。さらには、連系リレー
57を接続して、インバータ装置50を商用電力系統5
4に運系する。
【0011】インバータブリッジ53のオン/オフ制御
は次のように行われる。
【0012】制御回路52内のPWM変調制御部60に
おいて、電流指令信号Irefと電流検出器56で検出し
たインバータ出力電流信号Ioutとの誤差を増幅して誤
差増幅信号を形成する。そして、その誤差増幅信号とキ
ャリア信号とからPWM変調制御を行い、生成したパル
ス列信号をゲートドライブ信号生成部61に出力し、イ
ンバータブリッジ53の4つのスイッチング素子Ql〜
Q4を通常のオン/オフ制御して、直流電力を交流電力
に変換する。
【0013】次に、第2の従来例のインバータ装置70
を図10を参照して説明する。なお、第2の従来例であ
るインバータ装置70は、基本的には、図9で示した第
1の従来例のインバータ装置50と同じ構成であり、同
―部分については同―の符号を付している。また、この
インバータ装置70のインバータ動作も、上述した第1
の従来例と同様であるので、その説明は省略する。
【0014】このインバータ装置70は、インバータブ
リッジ53の前段に、インバータ装置70ヘの入力電力
の変動を抑える直流コンデンサ71が接続されている。
またインバータブリッジ53の後段には、この従来例の
特徴となるインバータ起動用の交流スイッチ72と交流
負荷73とが接続されている。
【0015】このように構成されたインバータ装置70
では、直流コンデンサ71の両端で検出された直流入力
電圧Vinを制御回路74の直流電圧比較部75に入力
し、ここで、予め設定しておいた第1の閾値J1および
第2の閾値J2(J1<J2)と直流入力電圧Vinとを比
較する。そして、直流入力電圧Vinが第1の閾値J1
上になったことを、直流電圧比較部75が検知すると、
交流スイッチ72を閉じ、この状態で、インバータブリ
ッジ53をオン/オフ制御してインバータを運転する。
インバータ装置70で変換された交流電力は、交流スイ
ッチ72が閉じているので、交流負荷73に供給されて
ここで消費される。
【0016】そして、直流入力電圧Vinが第2の閾値J
2(Jl<J2)より大きくなったことを直流電圧比較部
75が検知すると、太陽電池51の出力がインバータ装
置70を起動するのに十分な大きさに達したと判断し
て、交流スイッチ72を開き、かつ、連系リレー57を
閉じて、インバータ装置70を商用電力系統54に連系
させる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに改良された第1、第2の従来例にも次のような問題
があった。
【0018】第1の従来例では、インバータの起動制御
を行うために直流入力電流検出器55という専用の回路
部品を必要として、その分、部品点数が増加して、構造
の簡素化、小型化、軽量化、さらには、コストダウンを
図るうえで障害となっていた。
【0019】また、昼間時に商用電力系統54に停電が
起こってインバータ装置50が停止したのち、停電が復
旧してインバータ装置50が再起動しようとすると、昼
間時であって日射強度が高いため、短絡により形成され
た閉回路に、いきなり大電流が流れてスイッチング素子
等を破損させる恐れがあった。
【0020】第2の従来例では、別途回路部品をほとん
ど必要としない直流入力電圧を測定することで、起動制
御しており、その分、第1の従来例に比べて部品点数の
削減を図ることはできる。さらには、構造上、交流負荷
73の負荷容量を調整することで、第1の従来例の課題
で説明した大電流による部品の破損を防止することはで
きる。
【0021】しかしながら、大電流による部品の破損を
防止するためには、交流負荷73として、負荷容量の大
きなものを使用しなければならなかった。しかしなが
ら、交流負荷73は、負荷容量の大きさに比例して大型
化、重量化かつ、高価になる部品であり、そのため、大
電流による部品の破損を防止するためには、インバータ
装置70の構造の簡素化、小型化、軽量化、さらには、
コストダウンが犠牲になるという問題があった。
【0022】本発明は、このような問題を解決するため
に創案されたものであって、構造の複雑化を招くことな
く、起動時の安全性を高めることを課題としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の発明は、太陽電池等の直流電源の電力をスイッチング
回路の開閉動作により交流電力に変換し、負荷あるいは
既存の商用電力系統に供給するインバータ装置であっ
て、インバータ出力の立ち上がり時、インバータ通常駆
動に先立って、インバータ出力を短絡させるインバータ
短絡手段と、インバータ出力の短絡により形成された閉
回路に流れる電流を徐々に上昇させる電流上昇手段と、
インバータ出力の短絡期間を制御する短絡期間制御手段
と、前記閉回路の直流入力電圧が予め設定しておいた閾
値を上回ると、前記インバータ短絡手段による短絡動作
を停止させてインバータ通常駆動を許容する一方、前記
直流入力電圧が閾値を上回らないと前期短絡手段による
短絡動作を継続させる起動判定手段とを有することを特
徴としており、そのため、次のような作用を有する。
【0024】すなわち、この発明によれば、インバータ
装置を運転するための直流電源の出力が十分にあると判
断してからインバータを起動することになるので、イン
バー夕の起動が円滑になる。
【0025】また、短絡により形成された閉回路に流れ
る電流は電流上昇手段の作用より徐々に上昇し、さらに
は、閉回路電流の発生期間は、短絡期間制御手段の作用
により規制される。そのため、閉回路電流の最大値は、
短絡期間制御手段で設定される短絡期間の長短により制
御できるようになる。
【0026】さらには、短絡により形成された閉回路の
電圧を監視しているのであって、電流を検出していない
ため、検出器、および検出回路の構成が簡素化できる。
【0027】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1に係る発明において、前記短絡期間制御手段は、規定
する短絡期間に応じて前記スイッチング回路のデューテ
ィー比を設定するとともに、設定したデューティー比で
もって前記スイッチング回路をデューティー比一定で動
作させるものであることを特徴としており、そのため
に、次のような作用を有する。
【0028】すなわち、既存しているインバータ制御回
路の制御方法をインバータ起動時だけ若干変更するだけ
で短絡期間制御手段を構成することができるので、短絡
期間制御手段として、別途回路を形成する必要がなくな
る。
【0029】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
2に係る発明において、前記短絡期間制御手段は、前期
起動判定手段により前記閉回路の直流入力電圧が前記閾
値を上回らないと判定される毎に前記デューティー比を
設定し直すとともに、デューティー比設定の見直し毎に
徐々にデューティー比を拡大させるものであることを特
徴としており、そのために、次のような作用を有する。
【0030】すなわち、電流上昇手段と短絡期間制御手
段との作用により、閉回路に流れる電流をある程度は制
限できるもののの、直流電源として、太陽電池を用いる
場合に、デューティー比を変化させずに固定しておく
と、昼間時の日射強度が高い場合に発生した停電後の再
起動時において、直流電源(太陽電池)から閉回路に大
きな短絡電流が流れ込み、スイッテング回路等を破壊す
る恐れがある。しかしながら、本発明のように、徐々に
デューティー比を拡大するようにすれば、当初デューテ
ィー比が小さい状態では、閉回路に流れる電流値を小さ
く制限することができ、スイッテング回路等が破壊する
といった不都合は起きない。一方、デューティー比が小
さいままでは電圧変化が小さいため、起動判定手段によ
る測定電圧と閾値との比較操作がやりにくくなる。しか
しながら、徐々にデューティー比を拡大するので、時間
が経つに連れて、起動判定手段による測定電圧と閾値と
の比較操作が容易になり、起動判定操作を確実に行える
ようになる。
【0031】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項
3に係る発明において、前記起動判定手段は、前記短絡
期間制御手段によるデューティー比の拡大操作に対応し
て前記閾値を変動させるものであることを特徴としてお
り、そのために次のような作用を有する。
【0032】すなわち、デューティー比の拡大操作に対
応して閾値を変動させるので、インバータ起動の判定精
度が向上する。
【0033】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項
1ないし4のいずれかに係る発明において、前記電流上
昇手段は、前記閉回路に接続されたリアクトルであるこ
とを特徴としており、そのために、次のような作用を有
する。すなわち、電流上昇手段を簡単に構成することが
できる。
【0034】本発明の請求項6に記載の発明は、請求項
5に係る発明において、前記スイッチング回路の回路後
段側に設けられてフィルタ回路を構成するリアクトルに
より、前記電流上昇手段を構成するものであることを特
徴としており、そのために、次のような作用を有する。
【0035】すなわち、フィルタ回路の構成部品とし
て、インバータ装置には既存の部品であるリアクトルを
用いるので、電流上昇手段を簡単に構成することができ
る。
【0036】本発明の請求項8に記載の発明は、請求項
1に係る発明において、前記インバータ短絡手段は、前
記スイッチング回路を短絡動作させるものであることを
特徴としており、そのために、次のような作用を有す
る。
【0037】すなわち、インバータ装置の構成部品とし
て、既存しているスイッチング回路を用いてインバータ
出力を短絡させるので、インバータ短絡手段を簡単に構
成することができる。
【0038】本発明の請求項9に記載の発明は、請求項
1に係る発明において、前記スイッチング回路は、前記
直流電源の電力を高周波電力に変換する高周波用スイッ
チング回路と、高周波電力を低周波電力に変換する低周
波用スイッチング回路とを有するとともに、前記高周波
用スイッチング回路と前記低周波用スイッチング回路と
の間には、リアクトルと容量とからなるフィルタ回路が
設けられており、かつ、前記インバータ短絡手段は、前
記低周波用スイッチング回路を短絡動作させるものであ
り、前記電流上昇手段は、前記リアクトルから構成され
ており、前記短絡期間制御手段は、規定する短絡期間に
応じて前記高周波用スイッチング回路のデューティー比
を設定するとともに、設定したデューティー比でもって
前記高周波用スイッチング回路をデューティー比一定で
動作させるものであることを特徴としており、そのため
に、次のような作用を有する。
【0039】すなわち、この発明では、インバータ短絡
手段を低周波用スイッチング回路で構成し、電流上昇手
段をフィルタ回路のリアクトルで構成し、短絡期間制御
手段を、高周波用スイッチング回路のデューティー比を
調整することで構成している。つまり、すべて、既存の
インバータ装置の部品を用いて構成しているので、あら
たに部品を追加することなく、本発明を構成できるの
で、その分、構成が簡単になる。
【0040】本発明の請求項10に記載の発明は、請求
項1に係る発明において、前記スイッチング回路の回路
後段側にはリアクトルと容量とからなるフィルタ回路が
設けられており、かつ、前記電流上昇手段は、前記リア
クトルから構成されており、前記インバータ短絡手段
は、前記フィルタ回路より回路後段側に設けられてイン
バータ出力を短絡させる開閉器であり、前記短絡期間制
御手段は、規定する短絡期間に応じて前記スイッチング
回路のデューティー比を設定するとともに、設定したデ
ューティー比でもって前記スイッチング回路をデューテ
ィー比一定で動作させるものであることを特徴としてお
り、そのために次のような作用を有する。
【0041】すなわち、この発明では、インバータ短絡
手段を構成する開閉器だけを新たに設ければよいので、
その分、構成が簡単になる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態のイン
バータ装置について図面を参照して詳細に説明する。
【0043】第1の実施の形態 図lは本発明の第1の実施の形態のインバータ装置1を
示す図である。このインバータ装置1は太陽電池2から
出力された直流電力を商用電力系統3と同―の位相、及
び周波数50/60HZをもつ交流電力に変換し、商用
電力系統3に供給している。
【0044】インバータ装置1は、高周波絶縁型インバ
ータであって、直流コンデンサ4と、高周波インバータ
ブリッジ5と、高周波トランス6と、ダイオードブリッ
ジ7と、フィルタ回路10と、低周波インバータブリッ
ジ11と、連系リレー12と、ACフィルタ13と、イ
ンバータ出力電流検出器14と、インバータ制御回路1
5とを備えている。
【0045】直流コンデンサ4は太陽電池2から入力さ
れる直流電力の変動を抑制している。高周波インバータ
ブリッジ5は直流コンデンサ4の回路後段側に設けられ
て、インバータ装置1に入力された直流電力を高周波交
流(数十〜数百kHZ)に変換している。高周波トラン
ス6は太陽電池側(一次側)と商用電力系統側(二次
側)とを絶縁する役割を果たしている。ダイオードブリ
ッジ7は高周波トランス6の二次側に接続されて高周波
交流を整流している。フィルタ回路10は、ダイオード
ブリッジ7の出力に対して直列に接続されたDCリアク
トル8と、ダイオードブリッジ7の出力に対して並列に
接続されたコンデンサ9とで構成されて、整流波形に含
まれる高周波成分の除去および平滑を行っている。
【0046】低周波インバータブリッジ11は、フィル
タ回路10の回路後段側に設けられて、全波整流波形状
の直流を低周波(50/60〜数百HZ)で折返し制御
を行い、低周波の正弦波交流を形成している。連系リレ
ー12は低周波インバータブリッジ11の回路後段側に
設けられて商用電力系統3側との連系、および切り離し
を行っている。ACフィルタ13は、連系リレー12の
回路後段側に設けられて高調波成分を吸収しており、D
Cリアクトルとコンデンサとで構成されている。インバ
ータ出力電流検出器14は低周波ハンバータブリッジ1
1の後段に設けられて、インバータ出力電流IOUTを検
出している。
【0047】インバータ制御回路15は、高周波インバ
ータブリッジ5、低周波インバータブリッジ11、およ
び連系リレー10を制御している。インバータ制御回路
15は、高周波用ゲートドライブ信号生成部16と、P
WM変調制御部17と、低周波用ゲートドライブ信号生
成部18と、折り返し制御部19と、短絡制御部20
と、電流制限部21と、直流電圧比較部22とを備えて
いる。
【0048】高周波用ゲートドライブ信号生成部16
は、高周波インバータブリッジ5を構成する4つのスイ
ッチング素子Q1〜Q4のオン/オフ制御を行うパルス
列信号P2,P4を生成している。PWM変調制御部1
7は、誤差増幅信号とキャリア信号とからPWM変調制
御を行っている。なお、誤差増幅信号は、電流指令信号
とインバータ出力電流IOUT(インバータ出力電流検出
器14で検出している)との間の誤差を増幅して得られ
る信号である。低周波用ゲートドライブ信号生成部18
は、低周波インバータブリッジ11の4つのスイッチン
グ素子S1〜S4をオン/オフ制御するパルス列信号P
1,P3を生成している。折り返し制御部19は、AC
フィルタ13の後段から検出された商用電力系統電圧信
号Voutに基づいて、全波整流波形状の直流を低周波
(50/60〜数百HZ)で折返し制御を行っている。
短絡制御部20は、低周波インバータブリッジ11のス
イッチング素子S1〜S4を短絡させる指令信号R1を
低周波用ゲートドライブ信号生成部18に与えている。
電流制限部21は、高周波インバータブリッジ5のスイ
ッチング素子Q1〜Q4をデューティー比一定で制御す
る指令信号R2を高周波用ゲートドライブ信号生成部1
6に与えている。直流電圧比較部22は、直流コンデン
サ4の両端から検出された直流入力電圧Vinを予め定め
ておいた閾値VSと比較し、その結果、起動に関する制
御を行うか、もしくは定常運転を行うかを判断し、その
判断結果である指令信号L1〜L4を電流制限部21,
短絡制御部20,折り返し制御部19,およびPWM制
御部17に出力している。
【0049】インバータ制御回路15は、直流電圧比較
部22の判断結果により、高周波インバータブリッジ5
を制御する部分と低周波インバータブリッジ11を制御
する部分とに大きく分けられる。また、高周波側と低周
波側の制御に関して、それぞれ起動に関する制御と起動
後の定常運転に関する制御を行う部分とに分けられる。
【0050】すなわち、直流電圧比較部22は、起動に
関する制御を行うと判断すれば、短絡制御部20および
電流制限部21にそれぞれ起動制御用の指令信号L1,
L2を送る。指令信号L1を受けた短絡制御部20で
は、スイッチング素子S1〜S4を短絡させる命令信号
R1を生成して低周波用ゲートドライブ信号生成部18
に与える。一方、指令信号L2を受けた電流制限部21
では、スイッチング素子Q1〜Q4をデューティー比―
定でオン/オフ制御させる命令信号R2を生成して、高
周波用ゲートドライブ信号生成部16に与える。
【0051】反対に、直流電圧比較部22は、定常運転
に関する制御を行うと判断すれば、折り返し制御部1
9、PWM変調制御部17、および連系リレー12にそ
れぞれ定常運転制御用の指令信号L3,L4,L5を送
る。指令信号L3,L4を受けた折り返し制御部19と
PWM変調制御部17とは、スイッチング素子S1〜S
4,Q1〜Q4を通常のスイッチング制御させる命令信
号R3,R4を生成して低周波用ゲートドライブ信号生
成部18ならびに高周波用ゲートドライブ信号生成部1
6に与える。指令信号L5を受けた連系リレー12は、
インバータ装置1と商用電力系統3とを連系させる。
【0052】なお、スイッチング素子Q1〜Q4、S1
〜S4としては、例えばIGBT等から構成することが
できる。
【0053】次に、上記構成のインバータ装置1の動作
について図2を参照して説明する。図2は、インバータ
装置1における太陽電池特性曲線における動作点の変化
を示している。
【0054】まず、インバータ制御回路15は直流コン
デンサ4の両端から検出される直流入力電圧Vinを直流
電圧比較部22で監視しておく。夜間時は日射強度がゼ
ロであるので直流入力電圧Vinもゼロとなる。日の出直
後の日射強度の太陽電池特性E1では、開放電圧V
oc(E1)は、例えば250〜300V付近となるが、
短絡電流Isc(E1)はほとんどゼロに近く、そのため
太陽電池出力はほとんどない。この時、太陽電池2から
見ると太陽電池2の出力側には、負荷は接続されていな
い状態と見なせる。したがって、太陽電池2の動作点A
は図2に示すように、太陽電池特性曲線E1上の開放電
圧VOC(El)に一致している。
【0055】一方、直流電圧比較部22では、予め設定
して記憶している閾値VSと直流入力電圧Vin(この場
合、Vinは開放電圧VOC(El)と等しい)とを比較し
ている。そして、直流電圧比較部22は、直流入力電圧
inが閾値VSを上回っていると判断すると、短絡制御
部20および電流制限部21に対して指令信号L1,L
2を出力する。
【0056】指令信号L1を受けた短絡制御部20で
は、低周波インバータブリッジ11のスイッチング素子
S1とS2、またはスイッチング素子S3とS4とを短
絡することを命令する命令信号R1を生成して、低周波
用ゲートドライブ信号生成部18に与える。低周波用ゲ
ートドライブ信号生成部18は、命令信号R1に基づい
て、スイッチング素子S1とS2、またはスイッチング
素子S3とS4とが短絡するようなパルス列信号P1を
生成し、そのパルス列信号P1を低周波インバータブリ
ッジ11に出力してスイッチング制御する。
【0057】一方、指令信号L2を受けた電流制限部2
1では、デューティー比―定のスイッチング制御を行う
ことを命令する命令信号R2を生成して、高周波用ゲー
トドライブ信号生成部16に与える。命令信号R2を受
けた高周波用ゲートドライブ信号生成部16は、高周波
用インバータブリッジ5をデューティー比―定でスイッ
チング制御するパルス列信号P2を生成し、そのパルス
列信号P2を高周波インバータブリッジ5に出力してス
イッチング制御する。
【0058】すると、インバータ装置1の内部におい
て、太陽電池2、高周波用インバータブリッジ5、高周
波トランス6、フィルタ回路10、低周波インバータブ
リッジ11からなる閉回路が形成される。そして、これ
により、確実な負荷であるDCリアクトル8に短絡電流
が流れる。つまり、太陽電池2から見ると太陽電池2の
出力側には負荷(DCリアクトル8)が接続された状態
となる。
【0059】そして、このようにして形成した閉回路に
短絡電流が流れると、日の出直後の日射強度において
は、図2における動作点が、開放電圧VOC上の点Aか
ら、デューィー比で決定される負荷特性曲線α1と太陽
電池特性曲線Elとの交点Bへ移動することになる。
【0060】なお、デューティー比―定のパルス列信号
P2のデューティー比と負荷特性曲α1の傾きとの間に
は比例関係がある。すなわち、パルス列信号P2のデュ
ーティー比が大きくなれば、負荷特性曲線α1の傾きも
大きくなる。一方、パルス列信号P2のデューティー比
が小さくなれば、負荷特性曲線α1の傾きも小さくな
る。
【0061】このようにして、インバータ装置1を制御
して、その内部に短絡電流を流して太陽電池出力側に負
荷(DCリアクトル8)が接続された状態にする。そし
て、このときの直流入力電圧Vin’を測定し、直流電圧
比較部22において、直流入力電圧Vin’と閾値VS
を再度比較する。そして、直流入力電圧Vin’が閾値V
Sより小さい(Vin’<VS)場合には、直流電圧比較部
22は太陽電池出力がインバータを起動運転するのに十
分ではないと判断して、引き続き、指令信号L1,L2
を、短絡制御部20や電圧制限部21に出力して、低周
波インバータブリッジ11の短絡制御、および高周波イ
ンバータブリッジ5のデューティー比―定制御を続行す
る。
【0062】そして、日射強度が増していき、日射強度
がE2になると、動作点はB点から太陽電池特性曲線E
2と負荷特性曲線α1との交点Cヘ移動し、直流入力電
圧Vin’は閾値VSを上回る(Vin’>VS)。このよう
な状態になったことを直流電圧比較部22が検知する
と、直流電圧比較部22は、太陽電池出力がインバータ
装置1を起動運転するのに十分な値に達したと判断し、
短絡制御部20および電流制限部21に対する指令信号
L1,L2の出力を停止して、起動制御(閉回路形成制
御)を解除する。そして、直流電圧比較部22は連系リ
レー12に指令信号L5を出力して、連系リレー12に
より、インバータ装置1と商用電力系統3とを連系させ
る。さらに、直流電圧比較部22は、PWM変調制御部
17および折り返し制御部19に指令信号L4,L3を
送る。指令信号L4を受けたPWM変調制御部17は、
スイッチング素子Q1〜Q4をPWM変調に基づいてオ
ン/オフ制御させる命令信号R4を生成して、高周波用
ゲートドライブ信号生成部16に出力する。命令信号R
4を受けた高周波用ゲートドライブ信号生成部16で
は、スイッチング素子Q1〜Q4をPWM変調に基づい
てオン/オフ制御するパルス列信号P4を生成し、その
パルス列信号P4を高周波インバータブリッジ5に出力
してスイッチング制御する。
【0063】一方、指令信号L3を受けた折り返し制御
部19では、スイッチング素子S1〜S4を折り返し制
御させる命令信号R3を生成して、低周波用ゲートドラ
イブ信号生成部18に出力する。命令信号R3を受けた
低周波用ゲートドライブ信号生成部18は、スイッチン
グ素子S1〜S4を低周波(50/60〜数百Hz)で
折返し制御するパルス列信号P3を生成し、そのパルス
列信号P3を低周波インバータブリッジ11に出力して
スイッチング制御する。これにより、インバータ装置1
は定常運転されることになる。
【0064】次に、インバータ装置1を起動運転するた
めの設定する閾値VSについて説明する。
【0065】まず、閾値VSをどのように規定したかを
説明する。すなわち、インバータ装置1が起動運転する
ために最低限必要な電力(以下、インバータ最小電力と
いう)は、インバータ主回路と、インバータ制御回路1
5とが消費する電力に、インバータ最小出力運転時に消
費される電力を加えたものとなる。このようにして求め
られるインバータ最小電力の出力時における電圧値を閾
値VSと規定する。
【0066】次に、上記のように規定される閾値VS
設定方法を図3を参照して説明する。すなわち、任意の
デューティー比に一定制御されるパルス列信号P2’に
より負荷特性曲線を図中のα1’に設定する。この状態
において、日の出直後の日射強度(太陽電池特性曲線E
1)では、インバータ装置1は、上述した起動制御(閉
回路形成制御)を行う結果、太陽電池動作点は点Aから
点Bに移動し、太陽電池2が出力する直流電力は図3に
おける正方形(0,B',B,B'')となる。一方、日中の
比較的強い日射強度(太陽電池特性曲線E2)では、太
陽電池動作点は点Cとなり、太陽電池2が出力する直流
電力は正方形(0,C',C,C'')となる。
【0067】動作点Bでの太陽電池出力電力(正方形
0,B',B,B'')は、当然ながら、インバータ最小電力
よりも小さくなる。一方、動作点Cでの太陽電池出力電
力(正方形0,C',C,C'')はインバータ最小電力以上
となる。そこで、負荷特性曲線α1’上の動作点のう
ち、太陽電池出力電力(各動作点で作られる正方形)が
インバータ最小電力に一致するような動作点をあらかじ
め実験等で求めておき、そのときの動作点の電圧値を負
荷特性曲線α1’(パルス列信号P2’)における閾値
Sと規定する。
【0068】ところで、このインバータ装置1では、閾
値VSを複数設定し、各閾値VSを日射強度(太陽電池特
性曲線)の変動に応じて使い分けることで、高周波イン
バータブリッジ5,および低周波インバータブリッジ1
1等の破損を未然に防止している。以下、このことを図
4を参照して説明する。図4は、図2と同様、インバー
タ装置1における太陽電池特性曲線における動作点の変
化を示している。
【0069】高周波インバータブリッジ5をデューティ
ー比―定でスイッチングする制御において、そのデュー
ティー比は負荷インピーダンスにより決定される負荷特
性曲線αの傾きとなる。例えば、図4において比較的デ
ューティー比の大きい、デューティー比―定のパルス列
信号P21で電流制御される閉回路の負荷特性曲線をα
1とする。そして、この制御状態において、日の出直
後等で日射強度が低い、すなわち、短絡電流ISCが小さ
くて図中の太陽電池特性E1となった場合を考える。
【0070】この状態で上述した起動制御を行って閉回
路を形成し、太陽電池2に負荷(DCリアクトル8)を
接続すると、動作点は開放電圧上の点Dから、太陽電池
特性曲線E1と負荷特性曲線α11との交点Fに移動す
る。このとき、日射強度が低いため、負荷(DCリアク
トル8)に流れる短絡電流は小さくなり(図4中のIe
1)、各インバータブリッジ5,11を構成するスイッ
テング素子等を破壊することはない。
【0071】しかしながら、日中に発生した停電等の原
因でインバータ装置1が停止した後に再起動する場合等
では、日射強度が高く、したがって、太陽電池特性曲線
は、図中のE3となって短絡電流ISCは大きくなる。こ
の状態で、上述した起動制御を行って閉回路を形成し、
太陽電池2に負荷(DCリアクトル8)を接続すると、
動作点は開放電圧VOC上の点Hから、太陽電池特性曲線
E3と負荷特性曲線α11の交点Kに移動する。このと
き、日射強度が高いために、負荷(DCリアクトル8)
に流れる電流は過大な値(図中のIe3)となり、各イン
バータブリッジ5,11を構成するスイッチング素子等
を破壊する恐れがある。
【0072】このようなスイッチング素子等の破損を防
ぐために、傾きの小さい(デューティー比の小さい)負
荷特性曲線によって、起動制御を行うことが考えられ
る。そうすれば、負荷特性曲線の傾きの減少に連れて動
作点における電流値も下降して、過大な電流が流れなく
なる。しかしながら、傾きの小さい負荷特性曲線を用い
た起動制御では、閾値VSが上昇して、起動判定に要す
る時間が長時間化し、スムーズに通常のインバータ駆動
に移行できないという不都合がある。以下、このことを
説明する。
【0073】まず、デューティー比に対応した閾値VS
の設定方法を、図5を参照してさらに説明する。図5
は、直流入力電圧Vinを横軸に、そのときの出力電力
(w)を縦軸にした場合における負荷特性曲線α11
負荷特性曲線α12とを示している。そして、この図か
ら、インバータ装置1を起動させるのに必要な最小電力
minを得るためには、負荷特性曲線α11(デューティ
ー比大)では、VS1の電圧を必要とし、同様に、負荷特
性曲線α12(デューティー比小)ではVS2の電圧を必
要とし、これら電圧値には、VS1<VS2の関係があるこ
とが理解できる。閾値VSはこのようにして求められる
起動最小電力VS1,VS2のことである。
【0074】傾きの小さい(デューティー比の小さい)
負荷特性曲線α12に対応して、高い値を有するように
なった閾値VS2で起動制御を行った場合では、日射強
度がある程度高まって直流入力電圧Vinが上昇した後で
ないと、直流入力電圧Vinが閾値VS2を超過することが
できず、これでは、日の出直後等の比較的日射強度の低
い状態では、インバータ装置1をスムーズに起動させる
ことが不可能になってしまう。
【0075】そこで、部品破損の危険性を防止したうえ
で、スムーズなインバータの起動を可能にするため、こ
のインバータ装置1では、次のような制御を行ってい
る。すなわち、高周波用ゲートドライブ信号生成部16
は、高周波インバータブリッジ5に対して、デューティ
ー比の異なる複数のスイッチング制御を行うようになっ
ており、そのために、各デューティー比に対応した複数
のパルス列信号P21〜nを格納している。そして、直流
電圧比較部22は、設定されたデューティー比に応じた
閾値VS1〜nを格納しており、直流入力電圧Vinを、そ
の時のデューティー比に対応した閾値VS1〜nと比較し
ている。
【0076】なお、以下の説明では、説明を簡単にする
都合上、パルス列信号P21〜nを、比較的大きなデュー
ティー比に対応したパルス列信号P21と、比較的小さ
なデューティー比に対応したパルス列信号P22との二
つに簡略化して説明する。同様に負荷特性曲線α1もパ
ルス列信号P21に対応した負荷特性曲線α11と、パル
ス列信号P22に対応した負荷特性曲線α12との二つに
簡略して説明する。さらには、閾値VS1〜nも、パルス
列信号P21に対応した閾値VS1と、パルス列信号P22
に対応したVS2との二つに簡略化して説明する。しかし
ながら、パルス列信号P2、負荷特性曲線α1、および
閾値VSがそれぞれこのような一対のものに限定される
ものではなく、一対以上の複数に設定されてもよいのは
いうまでもない。
【0077】次に、負荷特性曲線を複数(ここでは、上
述したように、説明を簡単にするため1対の負荷特性曲
線α11,α12)を設けた場合の制御について、図4お
よび図6のフローチャートを参照して説明する。
【0078】まず、直流電圧比較部22において、直流
入力電圧Vinと閾値VS2とを常時比較する。なお、ここ
では、負荷特性曲線α12(比較的小さなデューティー
比に対応している)に応じた閾値VS2を用いる。
【0079】そして、直流入力電圧Vinが閾値VS2を上
回った(Vin>VS2)ことを、直流電圧比較部22が検
知すると(T1)、インバータ装置1の準備駆動を開始
する。すなわち、短絡制御部20が低周波用ゲートドラ
イブ信号生成部18を介して低周波インバータブリッジ
11を短絡制御する(T2)。さらには、電流制限部2
1が高周波用ゲートドライブ信号生成部16を介して高
周波インバータブリッジ5をデューティー比一定でスイ
ッチング制御する。このとき、高周波インバータブリッ
ジ5は、比較的デューティー比の小さいパルス列信号P
2に基づいて、スイッチング制御される(T3)。こ
れにより、インバータ装置1内には、比較的傾きの小さ
い負荷特性曲線α12に沿って電流/電圧が変化する閉
回路が形成される。
【0080】そして、日の出直後(太陽電池特性曲線E
1の状態)でインバータ装置1内に閉回路が形成された
時点では、動作点は開放電圧Dから太陽電池特性曲線E
1と負荷特性曲線α12との交点Mに移動する。このと
きの動作点における直流入力電圧Vinと負荷特性曲線α
2に対応する設定値VS2とを直流電圧比較部22にお
いて再度比較する(T4)。この場合、直流入力電圧V
inが設定値VS2を下回っているので、直流電圧比較部2
2はこのことを示す指令信号L21,L11を電流制限部
21および短絡制御部20に出力する。
【0081】直流入力電圧Vinが設定値VS2が下回って
いることを指令信号L21,L11によって知らされた電
流制限部21と短絡制御部20とは起動制御を続行す
る。ただし、電流制御部21では、以降の起動制御を、
比較的デューティー比の小さい起動制御から、比較的デ
ューティー比の大きい起動制御に切り替える(T5)。
【0082】すると、負荷特性曲線は、比較的傾きの小
さいα12から比較的傾きの大きいα11に移行する。そ
れに伴って直流電圧比較部22では、閾値VSを、負荷
特性曲線α12に対応した閾値VS2から、負荷特性曲線
α11に対応した閾値VS1に切り替える。
【0083】起動制御の変更は、高周波用ゲートドライ
ブ信号生成部16が出力するパルス列信号Pを、比較的
デューティー比の小さいパルス列信号P22(負荷特性
曲線α12)から比較的デューティー比の大きいパルス
列信号P21(負荷特性曲線α11)に変更することで行
う。また、起動制御の変更は、図6において、点線で示
したように、このような変更を、P22→P21→P22
→P21→…といったように繰り返し実行すことで行っ
てもよい。
【0084】このようにして起動制御を続行した状態
で、日射強度が若干高くなり、太陽電池特性曲線がE1
からE2もしくはE3に移行する。すると、負荷特性曲
線がα12からα11に変更されているために、動作点は
太陽電池特性曲線E2(E3)と負荷特性曲線α11
の交点であるJ(K)に移動する。このときの動作点に
おける直流入力電圧Vinと負荷特性曲線α11に対応す
る設定値VS1とを直流電圧比較部22において比較する
(T6)。
【0085】この場合、直流入力電圧Vinが設定値VS1
を上回っている(Vin>VS1)ので、直流電圧比較部2
2はこのことを示す指令信号L22,L12を電流制限部
21および短絡制御部20に出力するとともに、通常の
インバータ制御の開始を知らせる指令信号L4,L3,
L5をPWM変調制御部17、折り返し制御部19、お
よび連系リレー12に出力する。
【0086】指令信号L22,L12が入力された電流制
限部21および短絡制御部20は起動制御を停止する。
すなわち、短絡制御部20は低周波インバータブリッジ
11の短絡制御を停止する(T7)。さらには、電流制
限部21は高周波インバータブリッジ5のデューティー
比一定制御を停止する(T8)。
【0087】一方、指令信号L4,L3,L5が入力さ
れたPWM変調制御部17,折り返し制御部19および
連系リレー12は通常のインバータ制御を開始する(T
9,T10)。
【0088】これに対して、昼間に発生した停電の後、
インバータ装置1が再稼働する際の起動制御は次のよう
になる。すなわち、まず、直流電圧比較部22におい
て、直流入力電圧Vinと閾値VS2との比較操作(T1)
を行い、Vin>VS2となった場合に、上述したのと同じ
起動制御を行う(T2,T3)。これにより、インバー
タ装置1内には、負荷特性曲線α12に沿って電流/電
圧が変化する閉回路が形成される。
【0089】そして、日中停電後の再稼働で、日射強度
が高い場合、すなわち太陽電池特性曲線E3で、起動制
御が開始されて太陽電池2に負荷が接続された場合は、
動作点は開放電圧Hから太陽電池特性曲線E3と負荷特
性曲線α12との交点Rに移動する。このときの動作点
における直流入力電圧Vinと、負荷特性曲線α12に対
応する設定値VS2とを直流電圧比較部22において比較
する(T4)。
【0090】この場合、直流入力電圧Vinが設定値VS2
を上回っているので(Vin>VS2)、直流電圧比較部2
2はこのことを示す指令信号L22,L12を電流制限部
21および短絡制御部20に出力するとともに、通常の
インバータ制御の開始を知らせる指令信号L4,L3,
L5をPWM変調制御部17、折り返し制御部19およ
び連系リレー12に出力する。
【0091】指令信号L22,L12が入力された電流制
限部21および短絡制御部20は起動制御を停止する
(T7,T8)。一方、指令信号L4,L3,L5が入
力されたPWM変調制御部17、折り返し制御部19お
よび連系リレー12は通常のインバータ制御を開始する
(T9,T10)。
【0092】一方、日中停電後の再稼働であっても、比
較的日射強度が低い場合、すなわち太陽電池特性曲線E
2で、起動制御が開始されて、太陽電池2に負荷が接続
された場合は、動作点は開放電圧Gから太陽電池特性曲
線E2と負荷特性曲線α12との交点Qに移動する。こ
のときの動作点における直流入力電圧Vinと負荷特性曲
線α12に対応する設定値VS2とを直流電圧比較部22
において比較する(T4)。この場合、直流入力電圧V
inが設定値VS2を下回っているので(Vin<VS2)、直
流電圧比較部22はこのことを示す指令信号L21,L
1を電流制限部21および短絡制御部20に出力す
る。
【0093】直流入力電圧Vinが設定値VS2が下回って
いることを指令信号L21,L11によって知らされた電
流制限部21と短絡制御部20とは起動制御を続行す
る。ただし、電流制御部21では、以降の起動制御を、
比較的デューティー比の小さい起動制御から、比較的デ
ューティー比の大きい起動制御に切り替える(T5)。
【0094】すると、負荷特性曲線は、比較的傾きの小
さいα12から比較的傾きの大きいα11に移行する。そ
れに伴って、直流電圧比較部22で設定されている閾値
Sは、負荷特性曲線α12に対応した閾値VS2から、負
荷特性曲線α11に対応した閾値VS1に切り替えられ
る。
【0095】すると、動作点は太陽電池特性曲線E2と
負荷特性曲線α11との交点であるJに移動する。この
ときの動作点における直流入力電圧Vinと負荷特性曲線
α11に対応する設定値VS1とを直流電圧比較部22に
おいて比較する(T6)。
【0096】この場合、直流入力電圧Vinが設定値VS1
を上回っているので(Vin>VS2)、直流電圧比較部2
2は電流制限部21および短絡制御部20に対する指令
信号L22,L12の出力を停止するとともに、通常のイ
ンバータ制御の開始を知らせる指令信号L4,L3,L
5をPWM変調制御部17、折り返し制御部19および
連系リレー12に出力する。
【0097】指令信号L22,L12の入力が停止された
電流制限部21および短絡制御部20は起動制御を停止
する(T7,T8)。一方、指令信号L4,L3,L5
が入力されたPWM変調制御部17、折り返し制御部1
9および連系リレー12は通常のインバータ制御を開始
する(T9,T10)。
【0098】以上のように起動制御することで、日射強
度が大きい昼間等に再駆動する場合であっても、スイッ
チング素子等が破壊されることもない。さらには、日の
出直後であっても起動制御から通常のインバータ制御に
スムーズに移行させることがができる。
【0099】次に、このインバータ装置1において、電
流を制限している構成について説明する。低周波インバ
ータブリッジ9の短絡制御と、高周波インバータブリッ
ジ5のデューティー比―定のスイッチング制御とを組み
合わせただけでは、インバータ回路内を流れる短絡電流
を制限することはできない。低周波インバータブリッジ
11の短絡制御により形成される閉回路内には、回路が
形成された瞬間に、無限大の電流が流れてしまうためで
ある。
【0100】そこで、このインバータ装置1では、高周
波インバータブリッジ5と低周波インバータブリッジ1
1との間に電流制限用のDCリアクトル8を設けてい
る。DCリアクトル8には、ダイオードブリッジ7の作
用より整流されて直流となった短絡電流が流れ込む。そ
のため、DCリアクトル8には、図7(a)に示すよう
に、電流が流れた瞬間では電流は流れず、時間の経過と
とともに徐々に電流が上昇する。なお、電流増加特性
(図7(a)における傾き)は、DCリアクトル8が有
する固有の電気特性により決定される。
【0101】このような特性を有するDCリアクトル8
に対して、高周波インバータブリッジ5によって図7
(b)に示すようなパルス列一定の電流供給制御を行う
と、トランス6には、図7(c)のような波形を持った
電流が流れ、さらに、ダイオードブリッジ7で整流され
た結果、DCリアクトル8において、その電流増加特性
は図7(d)に示すようになる。つまり、閉回路に流れ
る短絡電流の電流流出期間は、高周波用インバータブリ
ッジ5をデューティー比一定のスイッチング制御するこ
とにより制御される。具体的には、短絡電流の電流流出
期間は、一定に制御されたデューティー比におけるオン
期間(図中、Oで示されている。)となり、したがっ
て、短絡電流は、流出する期間中、電流値が増大し、オ
ン期間Oの最終点において、最大電流となる。
【0102】このように、高周波インバータブリッジ5
をデューティー比一定でスイッチング制御することと、
DCリアクトル8とを組み合わせることにより、閉回路
に流れる最大電流値を、デューティー比の長短およびD
Cリアクトルの電気特性により、制御することができ
る。
【0103】また、このインバータ装置1は、高周波イ
ンバータブリッジ5と低周波インバータブリッジ11と
を備えた高周波絶縁型インバータ装置であり、高周波イ
ンバータブリッジ5と低周波インバータブリッジ11と
の間には、DCリアクトル8とコンデンサ9とからなる
フィルタ回路10が設けられた構成となっている。その
ため、このフィルタ回路10のDCリアクトル8を電流
制限用のリアクトルとして用いることができるので、電
流制限用として、新たにDCリアクトルを設ける必要が
なく、その分、部品点数の増加が防げる。
【0104】なお、電流制限部21と短絡制限部20と
は,PWM変調制御部17や折り返し制御部19と同
様、ソフトウエアで構成することができる。
【0105】また、短絡制御部20の動作において、上
述した実施の形態の説明では、低周波インバータブリッ
ジ11を短絡する制御を、 ・スイッチング素子(S1,S2)をオンし、スイッチ
ング素子(S3,S4)をオフする、 ・スイッチング素子(S3,S4)をオンし、スイッチ
ング素子(S1,S2)をオフする、というスイッチン
グ制御のうちのいずれかを実行することで実現するとし
たが、この他、[スイッチング素子(Sl,S2)のオ
ン操作+スイッチング素子(S3,S4)のオフ操作]
と、[スイッチング素子(S3,S4)のオン操作+ス
イッチング素子(S1,S2)のオフ操作]とを周期的
に交互に繰り返すことで、低周波インバータブリッジ1
1を短絡制御していもよい。このようにすれば、次のよ
うな利点がある。すなわち、スイッチング素子S1〜S
4を構成するスイッチングトランジスタは、一回の導通
時間が長くなると、その分、素子に対する負担が可及的
に大きくなって寿命等に悪影響を与えかねない、という
特性を有している。そのため、スイッチング操作を周期
的に繰り返すという、制御を行えば、その分、各スイッ
チング素子S1〜S4に対する負担が軽減されて、その
分、寿命等に及ぼす悪影響を軽減することができる。
【0106】さらには、このインバータ装置1では、起
動制御(閉回路形成制御)時において、直流入力電圧V
inが設定値Vsを下回ってしまうと、インバータ起動に
行うのに十分な太陽電池出力がまだ出力されていないと
判断して、起動制御(閉回路形成制御)を継続するよう
に構成されていた。しかしながら、この他、インバータ
起動を行うのに十分な太陽電池出力がまだ出力されてい
ないと判断すると、上述した起動制御を一旦停止して太
陽電池2とインバータ装置1とを切り離した後、ある程
度時間が経過してから、再度、同様の起動制御を行うよ
うに構成してもよい。
【0107】第2の実施の形態 図8は、本発明の第2の実施の形態であるインバータ装
置30を示す図である。このインバータ装置30は太陽
電池2から出力された直流電力を商用電力系統3と同―
の位相、及び周波数50/60HZをもつ交流電力に変
換し、商用電力系統3に供給している。
【0108】インバータ装置30は、直流コンデンサ3
1と、インバータブリッジ32と、フィルタ回路33
と、スイッチング素子34と、連系リレー35と、イン
バータ出力電流検出器36とインバータ制御回路37と
を備えている。
【0109】直流コンデンサ31は、太陽電池2から入
力される直流電力の変動を抑制している。インバータブ
リッジ32は直流コンデンサ31の回路後段側に設けら
れて、インバータ装置30に入力された直流電力を交流
(50/60〜数百HZ)に変換している。フィルタ回
路33は、インバータブリッジ32の出力に直列に接続
されたDCリアクトル38とインバータブリッジ32の
出力に並列に接続されたコンデンサ39とで構成され
て、整流波形に含まれる高周波成分の除去および平滑を
行っている。スイッチング素子34は、フィルタ回路3
3の回路後段側に設けられて、インバータブリッジ32
の短絡操作を行っている。連系リレー35はインバータ
ブリッジ32の回路後段側に設けられて商用電力系統3
側との連系、および切り離しを行っている。インバータ
制御回路37は、インバータブリッジ32と連系リレー
35とを制御している。インバータ制御回路37は、ゲ
ートドライブ信号生成部40と、PWM変調制御部41
と、短絡制御部42と、電流制限部43と、直流電圧比
較部44とを備えている。
【0110】ゲートドライブ信号生成部40は、インバ
ータブリッジ32を構成する4つのスイッチング素子Q
1〜Q4のオン/オフ制御を行うパルス列信号Pを生成
している。PWM変調制御部41は、誤差増幅信号とキ
ャリア信号とからPWM変調制御を行っている。短絡制
御部42は、スイッチング素子34を短絡させる命令信
号R5をスイッチング素子34に与えている。電流制限
部43は、インバータブリッジ32のスイッチング素子
Q1〜Q4をデューティー比一定で制御させる命令信号
R6をゲートドライブ信号生成部40に与えている。直
流電圧比較部44は、直流コンデンサ31の両端から検
出された直流入力電圧Vinを予め定めておいた閾値Vs
と比較し、その結果、起動制御を行うか、もしくはイン
バータ定常運転を行うかを判断し、そのことを示す指令
信号L6〜L9を短絡制御部42,電流制限部43、P
WM変調制御部41、および連系リレー35に出力して
いる。
【0111】インバータ制御回路37は、直流電圧比較
部44の判断結果により、起動に関する制御と起動後の
定常運転に関する制御を行う部分とに分けられる。
【0112】すなわち、直流電圧比較部44は、起動に
関する制御を行うと判断すれば、短絡制御部42および
電流制限部43それぞれに起動制御用の指令信号L6,
L7を送る。指令信号L6を受けた短絡制御部42で
は、スイッチング素子34に対して短絡を命じる命令信
号R5を生成してスイッチング素子34に与える。一
方、指令信号L7を受けた電流制限部43では、スイッ
チング素子Q1〜Q4をデューティー比―定でオン/オ
フ制御させる命令信号R6を生成して、ゲートドライブ
信号生成部40に与える。
【0113】反対に、直流電圧比較部44は、定常運転
に関する制御を行うと判断すれば、PWM変調制御部4
1に定常運転制御用の指令信号L8を、また、連系リレ
ー35に、指令信号L9を送る。指令信号L8を受けた
PWM変調制御部41では、スイッチング素子Q1〜Q
4を通常のスイッチング制御させる命令信号R7を生成
してゲートドライブ信号生成部40に与える。また、指
令信号L9を受けた連系リレー35は、インバータ装置
30と商用電力系統3とを連系させる。
【0114】次に、インバータ装置30の動作について
図2を参照して説明する。まず、インバータ制御回路3
7は直流コンデンサ4の両端から検出される直流入力電
圧Vinを直流電圧比較部44で監視しておく。夜間時は
日射強度がゼロであるので直流入力電圧Vinもゼロとな
る。日の出直後の日射強度の太陽電池特性E1では、開
放電圧Voc(E1)は、例えば250〜300V付近と
なるが、短絡電流Isc(E1)はほとんどゼロに近く、
そのため太陽電池出力はほとんどない。この時、太陽電
池2から見ると太陽電池2の出力側には、負荷は接続さ
れていない状態と見なせる。したがって、太陽電池2の
動作点Aは図2に示すように、太陽電池特性曲線E1上
の開放電圧VOC(El)に一致している。
【0115】一方、直流電圧比較部44では、予め設定
して記憶している閾値VSと直流入力電圧Vinとを比較
している。そして、直流電圧比較部44は、直流入力電
圧Vinが閾値VSを上回っていると判断すると、短絡制
御部42および電流制限部43に対して指令信号L6,
L7を出力する。
【0116】指令信号L6を受けた短絡制御部42で
は、短絡を命令する命令信号R5をスイッチング素子3
4に与える。命令信号R5を受けたスイッチング素子3
4は短絡(導通)する。
【0117】一方、指令信号L7を受けた電流制限部4
3では、デューティー比―定のオン/オフ制御を行うこ
とを命令する命令信号R6を生成して、ゲートドライブ
信号生成部40に与える。命令信号R6を受けたゲート
ドライブ信号生成部40は、インバータブリッジ32を
デューティー比―定でオン/オフ制御するパルス列信号
P5を生成し、そのパルス列信号P5をインバータブリ
ッジ32に出力してスイッチング制御する。
【0118】すると、インバータ装置30の内部におい
て、太陽電池2、インバータブリッジ32、フィルタ回
路33、スイッチング素子34からなる閉回路が形成さ
れる。そして、これにより、確実な負荷であるDCリア
クトル38に短絡電流が流れる。
【0119】このようにして、インバータ装置30が準
備駆動され、これによって閉回路が形成され、この閉回
路に短絡電流が流れると、日の出直後の日射強度におい
ては、図2における動作点が、開放電圧VOC上の点Aか
ら、負荷(DCリアクトル38)が持つ負荷インピーダ
ンスで決定される負荷特性曲線α1と太陽電池特性曲線
Elとの交点Bへ移動することになる。
【0120】このようにして、インバータ装置30を制
御して、その内部に短絡電流を流して太陽電池出力側に
負荷(DCリアクトル38)が接続された状態にする。
そして、このときの直流入力電圧Vin’を測定し、直流
電圧比較部44において、直流入力電圧Vin’と閾値V
Sとを再度比較する。そして、直流入力電圧Vin’が閾
値VSより小さい(Vin’<VS)場合には、直流電圧比
較部44は太陽電池出力がインバータを起動運転するの
に十分ではないと判断して、引き続き、指令信号L6,
L7を、短絡制御部42や電圧制限部43に出力して、
スイッチング素子34の短絡制御、およびインバータブ
リッジ32のデューティー比―定制御を続行する。
【0121】そして、日射強度が増していき、日射強度
がE2になると、動作点はB点から太陽電池特性曲線E
2と負荷特性曲線α1との交点Cヘ移動し、直流入力電
圧Vin’は設定値VSを上回る(Vin’>VS)。このよ
うな状態になったことを直流電圧比較部44が検知する
と、直流電圧比較部44は、太陽電池出力がインバータ
装置1を起動運転するのに十分な値に達したと判断し、
短絡制御部42および電流制限部43に対する指令信号
L6,L7の出力を停止して、閉回路形成制御を解除す
る。そして、直流電圧比較部44は連系リレー35に指
令信号L9を出力して、連系リレー35により、インバ
ータ装置1と商用電力系統3とを連系させる。さらに、
直流電圧比較部44は、PWM変調制御部41に指令信
号L8を送る。指令信号L8を受けたPWM変調制御部
41は、スイッテング素子Q1〜Q4をPWM変調に基
づいてオン/オフ制御させる命令信号R7を生成して、
ゲートドライブ信号生成部40に出力する。命令信号R
7を受けたゲートドライブ信号生成部40では、スイッ
テング素子Q1〜Q4をPWM変調に基づいてオン/オ
フ制御するパルス列信号P6を生成し、そのパルス列信
号P6をインバータブリッジ32に出力することでスイ
ッチング制御する。このPWM変調は、インバータ出力
電流検出器36が検出したインバータ出力電流IOUT
基づいて行われる。これにより、インバータ装置30は
定常運転されることになる。
【0122】なお、このインバータ装置30では、スイ
ッチング素子34により、短絡制御を行う一方、インバ
ータブリッジ32により、デューティー比一定のスイッ
チング制御を行うと説明したが、反対に、電流制限部4
3を介して、インバータブリッジ32を短絡制御する一
方、短絡制御部42を介して、スイッチング素子34を
デューティー比一定のスイッチング制御を行うこともで
きる。この場合、閉回路を形成するためには、スイッチ
ング素子Q1,Q4を短絡させるか、それとも、スイッ
チング素子Q3,Q2を短絡させればよい。
【0123】また、このインバータ装置30において
も、前述した第1の実施の形態のインバータ装置と同
様、閾値VSを複数設定し、各閾値VSを日射強度(太陽
電池特性曲線)の変動に応じて使い分けることで、高周
波インバータブリッジ5,および低周波インバータブリ
ッジ11等の破損を未然に防止することも可能である。
【0124】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
次のような効果が得られる。
【0125】請求項1の効果 インバータ装置を運転するための直流電源の出力が十分
にあると判断してからインバータを起動することになる
ので、インバー夕の起動は円滑になり、チャタリングと
いった不都合は発生しなくなった。
【0126】また、短絡により形成された閉回路に流れ
る電流は電流上昇手段の作用より徐々に上昇し、さらに
は、閉回路電流の発生期間は、短絡期間制御手段の作用
により規制される。そのため、閉回路電流の最大値は、
短絡期間制御手段で設定される短絡期間の長短により制
御できるようになり、過大な電流がインバータ装置内に
流れて、インバータ装置を構成する電子部品を破壊する
といった不都合も起きない。
【0127】さらには、短絡により形成された閉回路の
電圧を監視しているのであって、電流を検出していない
ため、検出器、および検出回路の構成が簡素化でき、そ
の分、コストダウンが図れた。
【0128】請求項2の効果 既存しているインバータ制御回路の制御方法をインバー
タ起動時だけ若干変更するだけで短絡期間制御手段を構
成することができるようなって、短絡期間制御手段とし
て、別途回路を形成する必要がなくなり、その分、さら
に、コストダウンが図れた。
【0129】請求項3の効果 デューティー比を徐々に拡大することで、スイッテング
回路等が破壊するといった不都合を起こすことなく起動
判定操作を容易にした。つまり、素子破損の防止と起動
判定動作の確実性の向上とを両立させることができた。
【0130】請求項4の効果 デューティー比の拡大操作に対応して閾値を変動させる
ことで、インバータ起動の判定精度が向上した。
【0131】請求項5の効果 電流上昇手段を簡単に構成することができるようにな
り、その分、コストダウンが図れた。
【0132】請求項6,7の効果 フィルタ回路の構成部品として、インバータ装置には既
存の部品であるリアクトルを用いるので、電流上昇手段
を簡単に構成することができ、その分、コストダウンが
図れた。
【0133】請求項8の効果 インバータ装置の構成部品として、既存しているスイッ
チング回路を用いてインバータ出力を短絡させるので、
インバータ短絡手段を簡単に構成することができ、その
分、コストダウンが図れた。
【0134】請求項9の効果 すべて、既存のインバータ装置の部品を応用して構成し
ているので、あらたに部品を追加することなく、本発明
を構成でき、その分、構成が簡単になって、コストダウ
ンが図れた。
【0135】請求項10の効果 インバータ短絡手段を構成する開閉器だけを新たに設け
ればよく、それ以外は、既存のインバータ装置の部品を
応用して構成しているので、その分、構成が簡単になっ
てコストダウンが図れた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるインバータ装
置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のインバータ装置における太陽電池特性
曲線上の動作点の変化を表わした図である。
【図3】本発明のインバータ装置における太陽電池出力
を面積で表した図である。
【図4】本発明のインバータ装置における負荷特性曲線
と太陽電池特性曲線との動作点の変化を表わした図であ
る。
【図5】本発明のインバータ装置の閾値VSの設定の説
明に供する図である。
【図6】本発明のインバータ装置の制御動作の手順を示
すフローチャートである。
【図7】本発明のインバータ装置で実施する電流制限操
作の説明に供する図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態であるインバータ装
置の構成を示すブロック図である。
【図9】第1の従来例の構成を示すブロック図である。
【図10】第2の従来例の構成を示すブロック図であ
る。
【符号の説明】
2 太陽電池 3 商用電力系
統 5 高周波インバータブリッジ 8 DCリアク
トル 11 低周彼インバータブリッジ 15 インバー
タ制御回路 20 短絡制限部 21 電流制限
部 22 直流電圧比較部 22 交流スイ
ッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H02J 3/38 H02J 3/38 Q (72)発明者 竹林 司 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 太陽電池等の直流電源の電力をスイッチ
    ング回路の開閉動作により交流電力に変換し、負荷ある
    いは既存の商用電力系統に供給するインバータ装置であ
    って、 インバータ出力の立ち上がり時、インバータ通常駆動に
    先立って、インバータ出力を短絡させるインバータ短絡
    手段と、 インバータ出力の短絡により形成された閉回路に流れる
    電流を徐々に上昇させる電流上昇手段と、 インバータ出力の短絡期間を制御する短絡期間制御手段
    と、 前記閉回路の直流入力電圧が予め設定しておいた閾値を
    上回ると、前記インバータ短絡手段による短絡動作を停
    止させてインバータ通常駆動を許容する一方、前記直流
    入力電圧が前記閾値を上回らないと前期短絡手段による
    短絡動作を継続させる起動判定手段とを有することを特
    徴とするインバータ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のインバータ装置であっ
    て、前記短絡期間制御手段は、規定する短絡期間に応じ
    て前記スイッチング回路のデューティー比を設定すると
    ともに、設定したデューティー比でもって前記スイッチ
    ング回路をデューティー比一定で動作させるものである
    ことを特徴とするインバータ装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のインバータ装置であっ
    て、前記短絡期間制御手段は、前期起動判定手段により
    前記閉回路の直流入力電圧が前記閾値を上回らないと判
    定される毎に前記デューティー比を設定し直すととも
    に、デューティー比設定の見直し毎に徐々にデューティ
    ー比を拡大させるものであることを特徴とするインバー
    タ装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のインバータ装置であっ
    て,前記起動判定手段は、前記短絡期間制御手段による
    デューティー比の拡大操作に対応して前記閾値を変動さ
    せるものであることを特徴とするインバータ装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか記載のイン
    バータ装置であって、前記電流上昇手段は、前記閉回路
    に接続されたリアクトルであることを特徴とするインバ
    ータ装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のインバータ装置であっ
    て、前記スイッチング回路の回路後段側に設けられてフ
    ィルタ回路を構成するリアクトルにより、前記電流上昇
    手段を構成するものであることを特徴とするインバータ
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のインバータ装置であっ
    て、前記フィルタ回路の回路後段側に、前記インバータ
    短絡手段を設けることを特徴とするインバータ装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のインバータ装置であっ
    て、前記インバータ短絡手段は、前記スイッチング回路
    を短絡動作させるものであることを特徴とするインバー
    タ装置。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のインバータ装置であっ
    て、 前記スイッチング回路は、前記直流電源の電力を高周波
    電力に変換する高周波用スイッチング回路と、高周波電
    力を低周波電力に変換する低周波用スイッチング回路と
    を有するとともに、前記高周波用スイッチング回路と前
    記低周波用スイッチング回路との間には、リアクトルと
    容量とからなるフィルタ回路が設けられており、 かつ、前記インバータ短絡手段は、前記低周波用スイッ
    チング回路を短絡動作させるものであり、 前記電流上昇手段は、前記リアクトルから構成されてお
    り、 前記短絡期間制御手段は、規定する短絡期間に応じて前
    記高周波用スイッチング回路のデューティー比を設定す
    るとともに、設定したデューティー比でもって前記高周
    波用スイッチング回路をデューティー比一定で動作させ
    るものであることを特徴とするインバータ装置。
  10. 【請求項10】 請求項1記載のインバータ装置であっ
    て、 前記スイッチング回路の回路後段側にはリアクトルと容
    量とからなるフィルタ回路が設けられており、 かつ、前記電流上昇手段は、前記リアクトルから構成さ
    れており、 前記インバータ短絡手段は、前記フィルタ回路より回路
    後段側に設けられてインバータ出力を短絡させる開閉器
    であり、 前記短絡期間制御手段は、規定する短絡期間に応じて前
    記スイッチング回路のデューティー比を設定するととも
    に、設定したデューティー比でもって前記スイッチング
    回路をデューティー比一定で動作させるものであること
    を特徴とするインバータ装置。
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