【発明の詳細な説明】
湾曲したライナーを備えた容積装置
本発明は、ピストンからのスラスト力を大きな負荷として加えないようにした
、軌跡を補正したピストンの連接装置、および剛性組立体であることに起因して
ライナーの傾斜したブロック内でこれと組み合わせて完全に1回転する間の45
°、135°、225°および315°の中間回転角で生じる軌跡の誤差を、最
大変位時の平均値に対してかなりの程度まで補償するための補償されたリング、
すなわち湾曲したシリンダライナーを備えた容積装置のピストンを、相対的な回
転支持体に接続する装置を備えたシール装置、ピストンに作用する流体のスラス
ト力を最小まで低減する、クランク機構または湾曲したライナーを備えた容積装
置のピストンの連接装置、更に一般的な容積装置におけるライナーの摩耗および
製造上の欠陥を解消する補償されたリングを備えた改良されたシール装置に関す
る。
従来技術として、3つのタイプのピストンを開示した国際特許出願第PCT/
IT92/00134号に記載されているような、湾曲したライナーを備えた容
積装置のピストンがある。この出願では、吸熱エンジン、すなわち傾斜角の大き
なガス状流体のためのピストンが、軌跡の曲率中心のまわりに放射状に配置され
たガジオン(つぼ金)によってエンジンシャフトの端に結合されており、ピスト
ンは、相対的支持プレートに強固に接続されており、ピストンは、このピストン
のステムの軸線に位置する半球形ヘッドを備えたネジ上で往復動間隙を有する状
態で剛性ステムと球形カップリングとを備える。
従来技術として、ピストンとコンロッドとの間にガジオン、または球形カップ
リングを備えた公知のタイプのクランク機構を備えた容積装置のピストンの連接
装置もある。
しかし、従来の解決案は、コンロッドまたは支持要素に対し流体によって発生
されたスラスト力を満足できるよう伝達できず、湾曲したライナーを備えた装置
の場合、回転中間角度すなわち45°、135°、225°および315°にお
ける軌跡の経路の誤差を同時に満足できるよう補償するには、ピストンの軌跡に
対し接線方向に、すなわちラジアル方向と垂直に補正を行わなければならない。
この補正と同時に、ピストンが湾曲したライナーの内側表面に対してスライド
しないようにするためには、自由に往復動するピストンに作用する遠心負荷も補
償しなければならない。このような湾曲したライナーの内側表面に対するスラス
ト運動は、シールリングの急速な劣化およびライナーの楕円状化の双方を生じさ
せる。軌跡の誤差と遠心負荷の結合した作用は、従来技術のピストンのいずれに
よっても補償できない。これらのいずれにも、少なくとも1つの往復動する要素
、すなわちガジオン上のピストン、ピストン上のシールリングまたはステム上の
ピストンのヘッドが存在しており、これらは上記結合した作用に完全に逆方向に
作用するものではない。前記解決案によって得られる湾曲したライナーを備えた
容積装置は、往復動のために必要な間隙に起因して、湾曲したライナーの摩耗の
程度が高く、流体シールの寿命が短く、ノイズレベルが過度に高くなっている。
従来技術はすべての種類の材料の種々のタイプのシール、例えば別個の内側弾
性要素による、またはその弾性特性に起因する間隙解消特性を有するスプリット
リングも含むが、常にシール表面において各専用のシートに複数のリングをそれ
ぞれ設置しなければならず、またはライナーとピストンとのカップリングの摩耗
、または製造上の間隙を解消するための容量が限られている。
従って、従来技術はクランク機構を備えた容積装置におけるシール装置、およ
び連接装置を改良する上でかなりの限界があり、これまでの装置に関する固有な
良好なバランスに起因し、更にピストンの側面と前記ライナーとが接触しない状
態でのライナー内のピストンの運動の利用に起因し、湾曲したライナーを備えた
容積装置の潜在的な能力の活用に関し、かなりの制限もある。
かかる従来技術は、前記欠点を解消するためにかなりの改善の余地がある。
上記より、技術的課題を解決せんという必要性が生じた。すなわち、回転軸線
に対し径方向の変位を防止しながら、径方向の軸線での往復動および軌跡に対し
接線方向の変位を、湾曲したライナーを備えた容積装置において、ピストンが実
行できるようにする、それぞれのステムにピストンを連接する方法、流体のスラ
スト力をより直接に変換するよう、それぞれのステムに、またはクランク機構に
おいてはコンロッドにピストンを連接する方法、摩耗が高レベルまたは製造間隙
が大きい場合でも、ライナーの表面との接触を維持できるようにするシール装置
が求められている。
本発明は、ピストンの回転平面の外側であって、ピストンの回転軸線とライナ
ーブロックの回転軸線との交点を中心とするように配置された平面内に位置する
ピストンのシールリングを備えた、湾曲したライナーを備えた容積装置のための
、軌跡が補正されたピストンの連接装置であって、ピストンの瞬間的な軌跡に対
する接線方向にスライド要素、または往復動要素を有し、更にピストンの質量に
作用する遠心力を補償するよう、ピストンと相対的支持体との間でラジアル接触
する要素を有することを特徴とする、ピストンの連接装置を提供することによっ
て前記の技術的課題を解決するものである。
さらに、ピストンの内部に位置するピストンの前記回転平面と死中心点にて平
行な平面が、前記スライド要素を構成し、この平面の上でピストンの回転軸線に
対して、径方向の軸線上で往復動される手段がスライドする。
ピストンの回転平面と湾曲したライナーの軸線に対する接線と一致するピスト
ン自体の軸線との交点に位置する、ピストンと結合された球面が前記往復動要素
を構成する。
ピストンの内側は、平行六面体状のスペーサと共にスライドするように結合さ
れており、更にピストンは、エンジンシャフトの端部で往復動するように結合さ
れており、スライド表面はピストンとシャフトの端部との間の往復動表面と接触
し続けるように、ピストンに向いた凸状部分を備えた半円筒体により、前記ピス
トンの下方部分に作用する弾性要素が前記端部のラジアル孔内に挿入されている
。
弾性要素は、板バネから成り、この板バネの可撓性は適当な形状にされるか、
または2つの直径を備えた前記ラジアル孔の配置の構成により制限され、このス
プリングは、前記ピストンの下方部分内に組み立てられた内部の軸方向安全リン
グによって所定位置に維持される。
平面がピストンの前記内側平面および湾曲表面上でスライドし、曲率のラジア
ル軸線を備え、ピストンに向いた凹状側面を備えた半円筒体によってピストンが
柱状ステムに結合されており、前記ピストンは、半円筒体に一致する曲率中心を
備え、軸方向の間隙を解消するスプリングの作用を受けて、係止リングによって
所定位置に維持された内側の下方に突出する膨出部を有し、柱状ステムに対して
ピストンが傾斜できるよう軌跡に対する接線方向にピストンの内側側面が傾斜さ
れている。
中空球状ピストンは、球状支持体に結合されており、固定ネジのキャップによ
りスライドできるように支持体の所定位置に維持されており、環状ゾーンは、曲
率中心に対して偏心した球面を有し、ネジは、中心孔をエッジを受け入れるため
の中間シャンクを有し、ピストンの下方伸張部は湾曲したライナーのブロックの
半傾斜角度よりも大きいレーキ角を有し、好ましくはピストンは、プラスチック
または使用される流体のタイプに適した他の同様な材料から製造される。
ピストンは、このピストンの下方部分に位置する2つの畝部によって所定位置
に維持された、柱状ステムの球状ヘッド上で往復動する球状支持体の表面を備え
、前記2つの畝部は、これら畝部とヘッドとの間に位置する環状スプリングの突
起に接触し、前記ヘッド内の2つの屈曲チャンバは突起および畝部に対応し、畝
部の側面が組み立てを容易にするよう傾斜する。
接線方向のピストンの側面の曲率は、ライナーの半径よりも小さい半径を有し
、径方向には湾曲したライナーの曲率半径に等しい、大きい曲率半径および小さ
い曲率半径を有する。
負荷伝達要素への球状カップリングを備えたピストンを備えた、湾曲したライ
ナーを有する容積装置において、軌跡が補正されたピストンの連接装置と組み合
わせた、または組み合わせない、ピストンからのスラスト力を優勢な負荷として
加えないようにした容積装置のための連接装置において、ピストンが受ける面積
よりも広い面にわたって、流体の圧力を負荷伝達要素が直接受け、半球形キャッ
プを備えたリングを使用している時でも間隙を閉じるように前記ピストンと前記
負荷伝達要素との間に弾性要素が挟持されている。
ガス用の容積装置において、ピストンとライナーとの間のシールリングの位置
は、負荷伝達要素を備えた球状カップリングの後方位置にある。
液体のための容積装置において、ピストンとライナーとの間のシールリングの
位置は、負荷伝達要素を備えた球状カップリングの後方位置にある。
弾性要素は、好ましくはベルビーユワッシャーから成る。
湾曲ライナーを備えた装置において、ラジアルスラスト力を補償するよう、球
状カップリングおよびステム上の面取り部上のラジアル支持体によりピストンは
、
ピストン支持プレートに結合される。
弾性復帰部を備えたリングを備えた、ピストンの連接装置と組み合わせた、ま
たは組み合わせない容積装置のための補償されたリングを備えたシール装置であ
って、前記リングは少なくとも2つの対称形の内側突起を有し、その突起の半分
が外側に向かった切り込みを有し、切り込みを有する突起が切り込みを有しない
突起によってカバーされるよう、対称軸線に対して特別に配置されたリングを備
えた単一シート内に一対のリングが組み立てられており、これらリングは分解で
きないが、突起のゾーンおよび対称軸線から除くことができない位置にあるシー
ト内での組み立てを容易にするよう破壊できるようになっている。
主にリングの伸張部に突起が集中して配置されており、前記対称軸線にて偏心
度が生じる。
突起および切り込みの深さは、前記偏心度に比例する。
低摩擦材料から成るライニングは、外径部に強固に係止される。
湾曲したライナーを備えた容積装置のために本発明によって得られる利点は次
のとおりである。
すなわち、連接装置により間隙を自動的にできるだけ解消する限り、死中心点
を通過する際に発生されるノイズを除くことができる。
遠心力に対するピストン支持体の反作用によってライナーおよびシールリング
の摩耗が解消できる。
ライナーブロックに対するピストンの傾斜角をより大きくすることができるの
で、変位量のより大きい容積装置が得られる。
可変および回転分布が存在している場合にバランスを改善することができる。
ピストンに作用する径方向の慣性力を完全に補償できる。
提案される種々の解決案により、必要な変位量および使用される流体に対して
すべての設計条件を満足できる。
更に、流体の圧力が加わる表面に応じ、流体の圧力を分散させることにより、
ピストンにかかるスラスト力を低減し、往復動する表面にかかる負荷を低減でき
る。このように、より低い負荷を受けるシール、往復動表面およびピストンの寿
命は長くなる。
更に、互いに往復動する部品にかかる、より低い負荷は、摩耗を低減し、特殊
な低摩擦材料を使用することなく機構の内部摩擦を大幅に低減し、容積装置の寿
命をより長くできる。
最後に次のような利点が挙げられる。
すなわち、補償されたシール装置では、弾性解消するリングによりライナーの
直径の変化を吸収し、かならずしも極めて小さい値ではない、ピストンとライナ
ーとの間の製造公差を補償できる。
シールリングでは摩耗が大きいが、低摩擦コーティングをしたリングを用いれ
ば、摩耗を受けるのはライナーだけとなり、リングは組み立てカットを開ける前
に、径の1%までの増加量を補償できる。
切り込みを有する内側突起が、切り込みを有しない突起をカバーするように、
最終的に重ねられるシールリングの対が、容積装置を作動させるために必要な流
体シールを保証する。
このシール装置は、ラビリンス装置のようには機能しないので、流体チャンバ
をかなり分離できる。この分離は、2つのリングの位置決めに起因する総合的な
ものであるからである。更に、リングはライナーの表面からの異物を除くよう正
確なかき落とし動作を行う。
添付図面の7つの図に、純粋に例として本発明のいくつかの実施例が示されて
いる。
添付図面のうち、図1は、ピストンを示す、図2のI−Iに沿った断面図であ
る。
図2は、上記連接装置を備えた吸熱エンジンまたはコンプレッサのための、ピ
ストンを備えた湾曲したライナーの断面図である。
図3は、第2実施例として説明される連接装置を備えた油圧装置のためのピス
トン−湾曲ライナーブロック群の直径方向の断面図である。
図4は、ピストンと、ステムを備えたプレートの相対的部分とに限定された、
図3のIV−IVに沿った断面図である。
図5は、ピストンの突起と係止リングとの接触ゾーンに限定された図3のV−
Vに沿った断面図である。
図6は、中低圧の油圧装置または空気圧装置に適した、本発明の第3実施例に
おけるピストン−湾曲ライナーブロック群の直径方向の断面図である。
図7は、半径および偏心度を示す、中空球形体および偏心接触を有するピスト
ンの断面図である。
図8は、図7の拡大された詳細図Zである。
図9は、ストロークの中間点における湾曲したライナー内の第4実施例におけ
るピストンの直径方向の断面図である。
図10は、ストロークの上死点および下死点における軌跡に対する接線方向の
、図9のX−Xに沿った断面図である。
図11は、ストロークの中間点における、先の断面図に類似した図である。
図12は、球形支持体を備えたピストンの断面図である。
図13は、本発明によりスラスト力を優勢なな負荷として加えないようにした
、連接装置を備えた油圧装置のためのピストン−湾曲ライナーブロック群の直径
方向の断面図である。
図14は、ピストンおよび相対的なステムに限定された、図13のXIV−X
IVに沿った断面図である。
図15は、本発明によりスラスト力を優勢な負荷として加えないようにした、
連接装置を備えたクランク機構を有する容積装置の長手方向断面図である。
図16は、本発明に係わるピストン用シールリングの図である。
図17は、図16のXVII−XVIIの部分断面図である。
添付図面は、第1実施例における吸熱エンジン、すなわち空気圧装置のための
ピストン1(図1)を示す。このピストンは、半回転ごとに図2の駆動シャフト
の軸線A2と一致する中心軸線A1を有し、このピストンは、図1では上死中心
点にあり、添付図面は更に駆動シャフトの端部2を示し、この駆動シャフトの上
では2つの径を有する孔5の上部の小径部4内で回転自在に挿入された半円筒形
スペーサ3により、平面Bと前記軸線A1との交点にある軸線B1を中心にピス
トンが往復動するようになっており、大きな方の径を有する孔は、往復動軸線B
1に対して偏心している。
添付図面は更に、板バネ6を示しており、この板バネの中心部は、前記スペー
サ3の平らな表面に接触し、外側は前記ピストンの下方部分8内に組み立てられ
た、孔のための安全リング7の両面に載っている。更に図面は、駆動シャフトの
端部2の上部半円筒形表面9を示しており、この半円筒形表面には同じ軸線B1
上で往復動結合しながら平面Bと平行に、かつ前記ピストンに対して内側の平面
Cとスライドしながら接触する平行六面体スペーサ10が設けられている。
添付図面は更に、内側キャビティ11と、シールリング12と、軸線B1に直
角な端部2の外側表面と、ピストンの内側壁との間の遠心力により生じる間隙1
3(図2)を示しており、他方、反対側の表面14とピストンとは接触している
。図では更に、軸線Dを中心に回転する湾曲したライナーのブロック15と、燃
焼室16と、外側ケーシング17と、駆動シャフト18とを更に示している。
添付図面は更に、油圧用の第2実施例における駆動シャフト19(図3)を示
す。この駆動シャフトには、スプラインカップリング21により、ピストン支持
プレート20がスプライン結合されており、図面は更に、前記駆動シャフトの軸
線F2に直角な平面E内に含まれるラジアル軸線E1を中心に往復動結合する柱
状のステムを備えたピストン22と、E1の位置に対応する位置にて、平面Eと
交差するピストンの中心軸線F1と、軸線Gを中心に回転する湾曲したライナー
を備えたブロック23と、前記ピストン22の上部内側面、平面Eとスライド接
触し、曲率中心として軸線E1を備えた半円筒形表面26により、前記柱状ステ
ム24上で往復動する半円筒形スペーサ25を備えたピストンの柱状ステム24
と、ベアリング27と、油圧スラストを補償するためのステム24、スペーサ2
5およびピストン22内に設けられた供給チャンネル28と、係止リング30と
往復動結合し、次に前記ピストン支持プレート20にスプライン結合されたピス
トン内の内側下方突起と、ライナーブロック23と前記プレート20との間の間
隙をカバーするためのベルビーユワッシャー31と、前記ピストン22のシール
リング32と、軸線E1に直角なステム24の外側表面とピストンの内側壁との
間の遠心力の結果生じる間隙33とを示しており、一方、反対側の表面33のピ
ストンとは接触している。
図3は更に、前記軸線E1でもピストンの往復動を可能にする傾斜した側面3
5(図4)と、前記リングとピストン22の突起29との間の曲率半径L
(図5)も示している。
添付図面は更に、スプラインカップリング37により軸線M2を有する駆動シ
ャフトに結合された第3実施例におけるピストン支持プレート36(図6)と、
ライナーブロック38の回転軸線Nと、偏心接点を備えた中空の球形ピストン4
0のための球形支持体39とを示しており、前記球形支持体は、前記プレート3
6にスプライン結合され、球形のキャップヘッドを備えたボルト41によって固
定されている。これらボルトおよびプレートは、油圧スラストを補償するために
ドリルされている。
ピストン40の往復動球面が位置する平面Oと交差するピストンの対称軸線M
1と、平面Oから距離Pだけ移動した前記ピストンの環状の偏心球形ゾーン42
と、ライナーブロック38の半傾斜角度よりも大きいレーキ角を備えたピストン
40の上部中心孔43と、前記中心孔43のエッジを導入できるようにするため
のボルト41の中間シャンク44と、ピストン40の往復動する内側球体の径R
I(図7)と、ボルト41の球体キャップヘッドの内径と一致する外側球体の径
REと、環状ゾーン42の曲率中心の平面Oからの変位量Rと、前記偏心球形環
状ゾーン42の径Qと、前記ブロック38の半傾斜角よりも大きいレーキ角を備
えたピストンの下方部分45と、ボルト41の前記球形キャップを導入できるよ
うにするピストン40の外側球形表面と偏心環状ゾーン42との間に設けられた
フィレット(すみ肉)RSとを更に示している。
図面は最後に、第4実施例において先の実施例と共通な符号を有効にしたまま
、下記を示す。
すなわち、軸線Mを中心に回転するブロック47内に設けられた湾曲したライ
ナー46(図6)と、柱状ステム50の球形ヘッド上で往復動する球形支持体を
備えたピストン48と、油圧スラストを補償するための軸方向孔51と、距離P
だけ前進され、往復動平面Oに対してUの角度だけ傾斜された平面内に設けられ
たシールリング52と、環状スプリング54によりピストンのシェルフと前記ヘ
ッド49との間に係止され、球面との接触を維持する接触球面を備えたピストン
の2つの下方のシェルフ53と、角度Uの半分に対応するピストンの位置決め角
Tと、ピストン48を機械加工できるようにするためのシェルフの内面と、ベー
ス面との間の角度Uの相補的角度Vとを示し、前記内面は、球面との接触に関連
し、遠心力を補償する観点から、ピストンの柱状ステム50の内側側面に当接し
ている。
添付図面は更に、部分的に接触する前記シェルフ上に載った環状スプリングの
突起55と、前記突起55およびシェルフ53に対応して環状スプリングの伸張
部の屈曲チャンバ56と、球状支持体を備えた前記ピストン上のシールリングの
シート57(図12)と、組み立てを容易にするように傾斜した前記シェルフの
側面58と、軌跡に対する接線方向への球状支持表面を備えたピストンの側面の
曲率半径Wを示している。
径方向の半径は図9に示されており、ライナーの大小の曲率半径にそれぞれ等
しくなっている。
添付図面は更に、湾曲したライナーを備えた容積装置においてスラスト力を優
勢な負荷として加えないようにした連接装置の場合のピストン−支持体プレート
61(図13)も示している。このプレートは、図示していない駆動シャフトと
カップリング62によってスプライン結合されている。
図面は更に、前記駆動シャフトの軸線J2に直角な平面Hに含まれる径方向の
軸線H1を中心に往復動するピストン65に結合されたステム64の面取りされ
たヘッド63と、対応して軸線H1を有する平面Hと交差するピストンの中心軸
線J1と、軸線Kを中心に回転する湾曲したライナーを備えたブロック66と、
平面Hに球面接触し、軸線H1上ん前記ステム64上で往復動する、ピストン6
5がヘッドに結合しているするステム64上の面取り部67と、ピストン−支持
体プレート61および前記ベアリングのためのドリルされたボルト70内に設け
られた、供給チャンネル69および軸方向のスラスト力を補償するベアリング6
8と、ピストン−支持プレート61の類似する表面と往復動結合する、ピストン
65の外側球面71と、球状支持リングSAによってヘッド63とピストン65
との間の間隙をなくすためのベルビーユワッシャー72と、前記ピストン65の
シールリングの対73と、軸線H1に直角なステム64の外側表面とピストンの
内側表面との間の遠心力から生じる間隙74とを示しており、一方、反対側の表
面67とピストン65とは接触している。
図面は更に、前記軸線H1上でのピストンの往復動を可能にする内側側面の間
の間隙75(図14)も示している。
添付図面は更に、クランク機構を備えた容積装置の場合における直線状ライナ
ー76(図15)も示している。このライナー内では環状シート、外側シールリ
ング78を備えた環状ピストン77がスライドする。
添付図面は更に、軸線MA上で回転クランクに接続され、偏心軌跡TMを備え
たコンロッド80の組み立てられた球状脚部79も示している。このクランクは
、任意のタイプのものにすることができるので、図面には示されていない。
図面は更に、接続部83により前記ピストン77に固定された下方リング82
の球面とステムを備えた軸線SP上のスライドカップリングを有する球状環状キ
ャップ81との間の間隙をなくすためのベルビーユワッシャー84も示している
。
図面は更に、補償されたリングを備えたシール装置における、本発明に係わる
シール85(図16)も示している。このシールリングは、切り込み87を備え
るか、または備えない内部突起86を有する。
図面は更に、2つの連続する突起86の間の角度ANと、前記突起の対称軸線
SMとを示している。幅IBの切り込み87は互いに対称的でない突起を備えた
リングの伸張部内に形成されている。
図面は更に、前記対称軸線SM上で偏心度Yを有する偏心した円周RGから測
定した切り込みのベースにおける半径RTと、前記突起の半径RBと、リング8
5および突起86の最も内側の部分の内径DIに対し接線方向に長さYだけ内側
に偏心した直径DEと、意図するライナーの公称直径に等しいリングの公称直径
DCと、分解できないシート内での組み立てを可能にするよう突起86のゾーン
から離間し、前記対称軸線SMと一致しない状態に位置するよう形成されたシー
ルリング内の破断部89と、カバーを係止するためセレーションの設けられた表
面を有する周辺中空部91内の公称直径部におけるリングの外側面に載った低摩
擦材料のカバー90(図17)を示している。
上記連接装置の作動は次のとおりである。
ピストンの回転平面(平面B、EおよびO)から接触ゾーン、従ってピストン
とライナーとの間でシールを形成するゾーンが変位する。ライナーブロックおよ
びピストンの前記回転平面上に投影されるピストンの共通回転中心に向いた平面
内にシールリング(12、32および52)すなわち環状ゾーン42が位置する
。ピストンの軌跡に対し接線方向に線形補正した平面、すなわち第1実施例にお
ける平面C、第2実施例における平面E、第3および第4実施例におけるピスト
ンの傾斜を若干変えた平面が存在しているので、ピストンの実際の位置を湾曲し
たライナーとピストンとの間のそれぞれの位置の組み合わせに適用することが可
能となっている。
往復動の補正角は小さいが、ライナーがストローク中心点を通過する際のライ
ナーを傾斜するための往復動角度は、ライナーブロックによって達成できる最大
傾斜の大きさの、より大きい値にする必要がある。前記回転は、第1実施例の場
合、端部2の表面9の上で生じ、第2実施例では半円筒形スペーサ25の表面上
で生じ、中空球形ピストン40または球形支持体48を備えたピストンの往復動
は、それぞれの球体39または49上で生じる。遠心力によりピストンに加わる
径方向の負荷は、内側側面14、34にてステムに前記ピストンの表面が接触し
、反対の外側面でピストンのステムと前記ライナーとの間、およびピストンと前
記ライナーとの間の双方に間隙13、33を残すことにより補償される。
プラスチックまたは同様な材料から製造された中空の球形ピストンに加わる負
荷は、質量が小さいことにより極めて小さく、更に球形支持体39との広範な接
触面により、前記遠心力は効果的に作用することができなくなっている。上記の
ように、第4実施例では、ピストン48は二重接触すなわち球形ヘッド49上で
の接触とシェルフ53と柱状ステム50の内側部分との接触の双方により、ピス
トン48が支持されている。
基本部品、すなわち板バネ6と、ベルビーユワッシャー31と、リングスプリ
ング54は、ピストンの相対的位置を各往復動面に接触するように維持し、ピス
トンの分離を防止し、回転またはスラスト力の向きが反転する時にノイズが生じ
るのを防止している。
図13および図14における湾曲したライナーを備えた容積装置の場合の、ピ
ストンからのスラスト力を優勢な負荷として加えないようにした上記連接装置の
作動は次のとおりである。
ピストンの回転平面、すなわち平面Hから接触ゾーン従ってピストンとライナ
ーとの間のシールを形成するゾーンが変位する。シールリング73は、ピストン
の前記回転平面Hに対する後方位置にてライナーブロックおよびピストンの共通
回転中心に向いた平面に位置する。ピストンとライナーとの間には、かなりの公
差が残されているので、平面Hにおいて前記回転角45度、135度、225度
および315度においてピストンの軌跡に対し接線方向の線形補正が行われ、一
方、ステム64のヘッド63とピストン65の内側球面との間にシールが生じる
。この補正量は小さいが、シールリング73のペアが位置するピストン65の下
方部分ではかなりの往復動が生じ、この往復動量は、回転軌跡に対し接線方向の
ピストンとステム64との間の間隙75によって補償される。
遠心力に起因し、湾曲したライナーを備えた装置のピストンにかかる径方向の
負荷は、ステム64のレベル67に前記ピストンの内側表面を接触させ、反対の
外側でピストンのステムと前記ライナーとの間および前記ピストンと前記ライナ
ーとの間の双方に間隙を残すことによって補償される。ベルビーユワッシャー7
2は、それぞれのピストン65を、常にピストン支持プレート61の対応する球
形シートに接触させ、回転またはスラスト力の方向の向きが反転する際のノイズ
の発生を防止する。
このように流体のスラスト力は、ほとんどはステム64のヘッド63に作用し
、一部は圧力を受ける環状クラウンの表面にのみに限定されたピストン65にし
か作用しない。シールリング73は、より下方に位置決めされているので、流体
の圧力によりピストン65とヘッド63の球形表面との内部シールを助ける。
この結果、流体によって発生されるスラスト力は、その効果を利用する部品に
直接伝えられる。すなわち、それぞれのステムにより、ピストン−支持プレート
61に強固に固定されている前記ヘッド63により、ピストン−支持プレート6
1に直接伝達される。球面71における往復動を助ける前記ピストン65が受け
るスラスト力は最小であり、ピストン、ライナーおよびシールリングの摩耗を更
に増すことなく最大の作動圧でも軌跡を補償し、絶対的な流体のシールをしなが
らピストンを作動させることができる。
クランク機構を備えた容積装置のための連接装置の作動は類似している。すな
わち、環状ピストン77はコンロッド80の組み立てられた球形脚部79上で往
復動し、その下方部分にてスプリング84の作用を受ける環状球形キャップ81
は、環状ピストン77に強固に接続された下方リング82に対する間隙をなくす
。圧力を受けるコンロッドの表面は、ピストン77の環状自由表面よりもかなり
広いので、支持される相対的負荷のかなりの差により、コンロッドの組み立てら
れた球形脚部79とピストン77との間のシールが前記球面で生じ、流体の圧力
により環状ピストン77および球面で生じるシール作用は高められているので、
コンロッドの長さおよび偏心軌跡TMによって決まるコンロッド80の往復動角
に等しい脚部79とピストン77との間の往復動は、作動と妥協するものではな
い。圧力のない作動中または負圧のある作動中に、設計上の間隙または起こり得
る摩耗を吸収するスプリング84および球形環状キャップ81は、ノッキングお
よび振れを防止する。
本発明に係わる補償シールリングの組み立ては次のとおりである。
1つのリングの切り込み87が、切り込みのない他方のリングの突起86に対
応するよう、軸線SMに関して鏡像位置に配置された類似するリングを備えたシ
ート内に、距離Yだけ偏心した突起86を備えたリング85を挿入する。分解で
きないシート内への挿入は、突起と反対のリング部分に設けられたカット部89
によって可能となる。シールリング85の対の回転角方向の位置決めは、偏心度
Yおよびピストン内のシートの対応する偏心度によって補償される。その後、リ
ングの直径DCとライナーの有効径との間の若干の干渉を克服することにより、
リング85の対を備えたピストンを挿入できる。
直径を若干縮小するのに必要な収縮は、弾性要素として作動する切り込み87
を設けた突起86内で生じる。対になったリングの双方は収縮するが、鏡像位置
に配置された切り込み87を有する、または有しないそれぞれの突起86の往復
動するカバーが影響されることはない。偏心されず、全内径に沿って突起が配置
されたシールリングの組み立ては同様に行われるが、シールリングの対の回転を
防止するための手段を設けなければならない。その理由は、切り込み87が設け
られた突起86と、切り込みを有しない突起86とを結合させながら、常に鏡像
位置に重ね続けなければならないからである。
シールリング85の外径部DC上での間隙および摩耗の解消は、前記干渉を有
する組み立てに起因する収縮を縮小することによって行われる。摩擦の少ない材
料を備えたカバー90は、ライナーおよびシールリングの摩耗を極めて小さい値
に低減し、極めて限定されていない公差を有する場合でも長時間の寿命を可能に
する。
実際に、材料、寸法および作動上の細部は、表示した内容と異なっていても、
本発明は技術的な均等物に適用できる。例えばシールリング(12、32、52
)の変位量Pは、可変および回転分布する油圧の伝達をより正確にバランスさせ
るために、ピストンの回転平面B、EまたはOに対して負、すなわち反対方向に
することができる。
更にコンロッド80の球形脚部79およびコンロッド自体は、公知の態様で軽
量化し、往復動する質量を低減することができる。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),JP,US
【要約の続き】
び対称軸線から離間する位置にて、シート内での組み立
てを容易にするようカット(89)できる。