【発明の詳細な説明】
ベースステーション
発明の技術分野
本発明は、1つまたはそれ以上の交換センターと、これら交換センターに通信
リンクによって接続されたベースステーションとを備えた移動通信システムのた
めのベースステーションに関するものである。各ベースステーションは、フレー
ム構造を用いてタイムスロットに分割された無線信号を送信するためのアンテナ
と、それらベースステーションを制御するためのコントローラユニットと、フレ
ーム整列信号を発生する手段と、無線信号を発生する送信機とを備える。その送
信機は、さらに、変調すべきデジタル信号を発生するためのデジタル手段を備え
る。
発明の背景
フレーム構造および変調
GSM移動通信システム(GSM=Global System for Mobile Communications
(移動通信用グローバルシステム))のエアーインターフェイスは、TDMA技
法(TDMA=Time Division Multiple Access(時分割多元接続))に基づい
ている。このTDMA技法によれば、多数の同時呼が同じ無線周波数にて送信さ
れうる。同じ無線周波数にて送信された呼は、時間ドメインにおいて互いに分離
されている。すなわち、無線路において時間は、いくつかのスライス、すなわち
、タイムスロットに分割されている。そして、各タイムスロットは、別々の呼を
送信するのに使用されうる。このような時分割により、フレーム構造が形成され
、そのフレーム構造により、1つの無線チャンネルにてどのくらい多くの呼が送
信されるかが決定される。GSMシステムにおいては、フルレート音声チャンネ
ルにて1つのフレーム構造で8つまでの呼を送信することができる。GSMシス
テムのフレーム構造は、M.Mouly & M.-B.Pautet,The GSM System for Mobi
le Communication,1992,Mouly& Pautet,Palaiseau,France(以下、M&P
という)、特に、第4.15図に開示されている。
GSMベースステーションの送信機の諸特性は、2つのGSM仕様書、すなわ
ち、GSM 05.04 ,January 1991,Recommendation GSM 05.04 : Modula
tion,ETSI/PT 12(全部で3頁)、およびGSM 05.05,March 1991
,GSM Recommendation 05.05 : Radio Transmission and Reception,ET
SI/PT 12(全部で19頁)に記述されている。簡単に言えば、前述のリ
コメンデーションは、送信機に対して次の3つの要求をなしている。すなわち、
最も広い許容周波数帯域(GSM 05.05 ANNEX 2)、変調データにおける最大
許容位相エラー(GSM 05.05,セクション4.6)、およびタイムスロット中の
変調データのためのパワー調整制御(GSM 05.05 ANNEX 2)。
GSMリコメンデーションは、GSM移動通信システムに使用されるべきTD
MAフレームを定義している。このフレームの時間は、8つの異なるタイムスロ
ットに分割されている。したがって、フルレートコーディングが使用されるとき
には、1つの無線チャンネルでの呼の最大数は、8である。当然に、ハーフレー
トコーディングの如き他のレートを使用することもできる。各タイムスロットの
長さは、156.25ビットであるか、または、別の仕方では、1番目と4番目
のタイムスロットの長さをより長く、すなわち、157ビットとし、他のタイム
スロットの長さを156ビットとするように配列することもできる。このような
場合においては、タイムスロットの長さは、順番に次のようである。すなわち、
157、156、156、156、157、156、156、156ビット。こ
のような配列は、GSM recommendation GSM 05.10,January 1991:Radi
oSub-system Synchronization,ETSI/PT 12(全部で6頁),section 5.
7 に開示されている。この場合においては、各ビットの長さは、3.69μsで
ある。
各タイムスロットは、送信すべきデータの148ビットと、8.25ビットの
ガードタイムとを含む。その2進データ、すなわち、各タイムスロット中に送信
される148ビットは、26ビットのトレーニングシーケンスを含む。このビッ
トのシーケンスは、送信機および受信機の両者によって知られており、その位置
は、常に、同じである。トレーニングシケーンスを用いれば、送信のトレーニン
グシーケンスの位置がタイムスロット内にて検出されるときには、タイムスロッ
トの
開始位置および終了位置を判定することが可能である。そのトレーニングシーケ
ンスは、また、M&P、特に、チャプター4.3.1.1 およびテーブル4.3 に記述さ
れている。トレーニングシーケンスは、送信機および受信機を同期化するのに使
用されうる。
ガードタイム、すなわち、前述の148ビットのうちの残りの8.25ビット
は、異なるタイムスロットの間で実施されるパワー調整のためのものである。そ
れらビットのうちの半分は、タイムスロットの始めに配置されており、他の半分
は、そのタイムスロットの終りに配置されている。パワー調整は、前のタイムス
ロットにおいて送られGMSK変調器から来るデータの終りにて、パワーが下降
余弦波曲線にそって零近くまで下降され、次の新しいタイムスロットの始まりに
て、パワーが上昇余弦波曲線にそって所望のパワーレベルまで増大され、その後
に、実際の148ビット、すなわち、通常バーストを送るようにして、実施され
る。
タイムスロットの始めおよび終りでのガードタイムは、パワー調整のために使
用されうる。そして、データは、それらの間においては、送信も受信もされない
。ガードタイムは、2つのタイムスロットの間に配置されている。タイムスロッ
トの始めおよび終りの位置、およびガードタイムの位置は、送信すべきデータに
おける前述したトレーニングシーケンスを用いて判定される。
送信すべき2進データは、GSM recommendation 05.04(M&P:セクショ
ン4.3.4 参照)にしたがって、GMSK変調器を用いて変調される。使用される
GMSK変調器は、ガウス最小シフトキーイング変調器である。
パワー調整
多数の同時呼が、同じ無線チャンネルにおいて送信され得て、それらは、同じ
TDMAフレーム内にて送信される。ベースステーションに対する各移動ステー
ションの物理的位置は、移動ステーション毎に異なりうる。ある1つのTDMA
フレーム内では、異なる呼は、各タイムスロット中に送信されうる。従って、あ
る呼に関わる移動ステーションは、多分、ベースステーションから異なる距離の
ところにあるのであるから、異なるパワーレベルを使用して各タイムスロットを
送信することが可能でなければならない。1つのレベルから別のレベルへのパワ
ー調整は、干渉を減ずるために徐々に行われる(M&P:第4.23図参照)。例え
ば、GSM Specification 05.05 ANNEX 2は、パワー調整の制限を決定してい
る。GSM Specification 05.05(セクション4.1.1 および4.1.2)は、16個の
異なるパワーレベルを決めている。これらのパワーレベルから、送信すべき各呼
に対して適当なパワーレベルが各瞬時にて選択される。
第1図は、変調データの信号IおよびQとパワー調整信号POWERとの相互
タイミングを示している。第1図は、理想パワー調整信号POWERの形、およ
び信号IおよびQにてベースステーションのデジタル部分から変調器へと送信さ
れるべきデータの組成並びに最初の2つのタイムスロットTIME−SLOT1
およびTIME−SLOT 2中の互いに対する信号のタイミングを示している
。第1図においては、タイムスロットに対してGSM recommendation 05.10 s
ection 5.7 によって許容されたタイミングが使用されている。第1図は、パワ
ー調整信号POWERのためのガードタイム101を示している。このガードタ
イム中は、送信すべき情報の送信を行おうとするものではない。ガードタイムの
長さは、1番目および4番目のタイムスロットでは4+1+4ビットであり、そ
の他のタイムスロットでは4+4ビットである。したがって、パワー調整信号P
OWERは、一定ピークパワーのシーケンス102を含む。このシーケンス中は
、情報の送信を行おうとするものである。ピークパワーシーケンスの長さは、1
48ビットである。シーケンスの中間において、トレーニングシーケンス103
があり、そのあたりで送られるべきデータは、ダミーシーケンスによって分離さ
れた別々のシーケンス104にて送られる。
送られるべきデータは、送信機のパワーレベルが一定であるような時間瞬時、
すなわち、信号POWERの値が一定であるような時間瞬時にて送信されること
が必須である。
受信機のアンテナにおいて、その信号は、次のような形を受け取る。
TXant=POWER*cos(Wct+F(t))
ここで、Wc=2×p×搬送波周波数
F(t)=ブランチIおよびQからの変調データ、すなわち、含まれ
るトレーニングシーケンスのビットを含む位相関数
従って、例えば、両方の信号が同じデータを含むように、I=sinF(t)お
よびQ=cosF(t)である。この関数は、GSM recommendation 05.04 に
定められている。
送信機の構造および動作
第2図は、送信機の主たる特徴を示している。デジタル部分201は、GMS
K変調器のベースバンド要素を備える。これらの要素において、送信すべき2進
データは、信号IおよびQへと変調される。デジタル部分201の出力信号Iお
よびQは、GMSK変調デジタルデータを含む。信号IおよびQは、D/A変換
器DACを用いてアナログ形へと変換され、低域フィルタLPFにて低域ろ波さ
れる。その後、変調データは、ミクサ202にて搬送波cos(wct)へ混合され
る。これは、cos(wct)の形にある。その後、信号IおよびQは、増幅器20
3にて信号増幅し、それをアンテナ204へと向ける前に、加算手段Σにて加え
合わされる。
デジタル部分201の出力信号POWERは、送信機の可調整増幅器204の
増幅のための制御信号205を含む。この信号は、異なるタイムスロットによっ
て必要とされる異なるパワーレベルのセッティングおよびガードタイム中に実施
されるパワーレベルの調整を制御するのに使用される。
次の信号がデジタル部分の入力として与えられる。FCK、すなわち、フレー
ム整列信号、変調すべきデータ、すなわち、MOD DATA、パワーレベル調
整信号POWER LEVEL、およびクロック信号CLOCKである。
信号IおよびQの変調は、位相とは関係なく連続的であるべきであるか、また
は、それらが送信機の周波数スペクトルを広げないようにするために不連続性を
減衰させることができるべきであるか、または、GSM Recommendation 05.04
に開示されている理想変調器と比較される位相エラーを増大させることができる
べきかである。GSM Recommendation 05.05は、最大許容信号スペクトルおよ
び位相エラーに対する制限を定めている。
従来技術による解決方法には、次のような欠点がある。すなわち、送信機のア
ナログ部分において、すなわち、低域フィルタLPF、ミクサ202、加算手段
Σ、および増幅器203において、最終測定が実施される前には知られていない
ような異なる長さの遅延並びにその他の非最適現象が種々な信号路IおよびQに
おいて起きてしまう。このために、デジタル部分201によって必要とされる正
確なタイミングを決定するのが複雑になってしまい、また、アナログ部分の設計
に制約が課されてしまう。
第1図から分かるように、送信すべきタイムスロット内のトレーニングシーケ
ンスは、送信機のアンテナ204(第2図)を用いて測定される。第2図から分
かるように、デジタル部分から出力される信号は、D/A変換器の後多くのアナ
ログ部分を通していく。これらのアナログ部分は、低域フィルタ、ミクサ、加算
手段および増幅器である。これらのアナログ部分により、予想することが困難な
遅延が生ぜしめられる。
IおよびQブランチのアナログ部分は、基本的には同一であり、従って、両ブ
ランチにおいては等しい長さの遅延が予想される。それなので、信号POWER
の遅延は、多分、信号IおよびQの遅延とは等しくならない。何故ならば、信号
POWERのブランチは、信号IおよびQのブランチが有している程多くのアナ
ログ部分を備えていないからである。すなわち、信号POWERのブランチは、
ミクサ202、加算手段Σおよび増幅器203を備えていない。これらの2つの
遅延の間の差により、信号POWERのタイミングは、信号IおよびQに比較し
てシフトされる。このことは、第1図に示されるタイミング図から明らかであろ
う。第1図のタイミング図においては、信号IおよびQが、高送信パワーの14
8ビット送信レンジの中間において生じていないことが示されている。従って、
タイムスロットのタイミングは、送信機のアンテナを用いてトレーニングシーケ
ンスの位置に基づいて算出されるので、遅延の同じ差により、信号POWERは
、デジタル部分から見て最適なタイミングからそれに相当する時間だけシフトさ
せられる。このこともまた、望ましくないことである。何故ならば、GSM Sp
ecification 05.05 は、増幅がどのようになされねばならないかについて、制約
を設けているからである。
このように、従来技術の解決方法は、次のような欠点を有している。タイムス
ロットにおいて変調すべき信号IおよびQ、すなわち、情報の送信は、送信機が
一定のパワーを使用することによって送信しているようなパワー曲線のシーケン
ス中に行われねばならない。パワーレベルが調整されつつあり、信号POWER
が新しい増幅パワーへの増幅を指令しつつあるときに、情報の送信が行われるこ
とは望ましくないとされている。その上、従来技術による解決方法においては、
タイミングを調整するのが複雑である。何故ならば、送信機のアナログ部分によ
り、パワー調整制御信号(信号POWER)および変調器のIおよびQブランチ
における長さの異なる種々な遅延が生ぜしめられ、これらの遅延を補償すること
は難しいからである。
従来技術による解決方法には、次のような別の問題もある。すなわち、ある特
定のタイムスロットにおいてデータが送られていないときに、第3図に示すスイ
ッチ207をスイッチオフすることにより、そのタイムスロットの全持続時間の
間送信動作が行われなくなってしまうことである。したがって、送信すべき信号
が、その無線路へ実際に通されないこととなってしまう。しかしながら、このよ
うな場合において、信号の中断による干渉が送信機のアンテナにおいて発生しな
いようにしなければならない。そのスイッチは、パワーレベルがそれらの最小値
にあるときにオンオフされねばならない。ベースステーション送信機、特に、I
およびQブランチのアナログ部分の非最適特性のため、スイッチ207を、パワ
ーレベルを示す曲線がその最低値にあるときに正確にオンオフするように制御す
ることが難しい。
発明の説明
本発明の目的は、増幅器の増幅度を指示する曲線がそのピーク値にあるときに
変調器によって送られる全データ/情報が増幅器へと送られるようにデジタルG
SMベースステーションの送信機のGMS変調器および送信機のパワー調整を制
御するすることである。
したがって、本発明の目的は、GMSK変調器のデジタル部分および移動通信
システムのGSMベースステーション送信機のパワー制御のデジタル部分を、そ
れらによって達成される送信機の性能がアナログ部分の特性に依存して最適化さ
れうるように実施することである。
本発明のさらに別の目的は、増幅すべきIおよびQブランチの増幅が所望の瞬
時に開始させられるように命令されるように、GSMベースステーションのパワ
ー制御を可能とすることである。
本発明のもう一つ別の目的は、送信すべき信号の増幅度がその最小値にあると
き、換言するならば、そのパワー(POWER)がその最低値であるときに、正
確に、アンテナへパワーを供給する導体のスイッチがオンオフさせられるような
GSMベースステーションを提供することである。種々な構成部分の非最適特性
によって生ぜしめられる遅延は、当然に、パワーレベルを指示する曲線がその最
小値にある瞬時よりわずか前にスイッチをオン位置へ命令することによって、補
償されうる。したがって、送信の開始時で、そのスイッチは、対応する瞬時にス
イッチオンされるべきである。この問題の解決は、パワー制御における遅延、ま
たは、ベースステーションのアナログ部分における信号POWERの遅延によっ
て複雑となる。これらの遅延のために、スイッチが正しい瞬時に正確にオンオフ
されるように、そのスイッチを制御することが難しい。
かくして、本発明の一実施例の目的は、送信機のオン/オフセッティングのタ
イミングを調整しうるようにすることであり、すなわち、可調整タイミングを用
いて送信機をスイッチオンおよびオフすることができるようにすることである。
このような新しい型のベースステーションは、変調デジタル信号を発生するた
めの送信機のデジタル手段が、さらに、フレーム整列信号によって同期化される
フレーム構造におけるタイムスロットの長さを計数するためのカウンタ手段と、
1つまたはそれ以上の遅延値をカウンタ値の形で記憶しているプログラマブルメ
モリ手段と、前記1つまたはそれ以上の遅延値からユーザによって望まれる遅延
値を選択するための手段と、前記カウンタ手段の値を、前記プログラマブルメモ
リ手段によって含まれた前記選択された遅延値と比較し、前記プログラマブルメ
モリ手段によって含まれた前記選択された遅延値が前記カウンタ手段によって指
示された値と同じであるならば、前記デジタル手段から前記タイムスロットにて
送信すべき情報信号の送信を開始させるための比較手段とを備えることを特徴と
する本発明の方法によって、達成される。
本発明は、デジタル信号を発生するために、増幅度を調整する信号POWER
のタイミングに対して信号IおよびQのタイミングを調整できるようにするよう
な手段をベースステーションのデジタル手段に配置するという考え方に基づいて
いる。
これは、本発明によれば、前述のデジタル信号を発生するための手段に対して
、フレーム整列信号によって同期化されるフレーム構造におけるタイムスロット
の長さを計数するカウンタ手段、並びに、1つまたはそれ以上の遅延値がカウン
タ値の形にてユーザによって記憶されうるようなプログラマブルメモリ手段を加
えるようにして実施される。本発明によれば、デジタル手段は、さらに、前述の
1つまたはそれ以上の遅延値からユーザによって望まれる遅延値を選択するため
の手段を備える。本発明による実施例では、さらに、前記カウンタ手段の値を、
前記プログラマブルメモリ手段によって含まれた選択された遅延値と比較し、こ
の比較により、前記プログラマブルメモリ手段によって含まれた前記選択された
遅延値が前記カウンタ手段によって指示された値と同じであるとされたならば、
前記タイムスロットにおいて前記デジタル手段から送信すべき情報信号、すなわ
ち、信号IおよびQの送信を開始させるための比較手段を備える。
本発明のもう一つ別の実施例の考え方は、送信機の送信信号をアンテナへ導く
スイッチがスイッチオフされているか、スイッチオンされているか、または、そ
のどちらでもないかに関する情報を維持することにあり、当然に、スイッチオフ
/スイッチオンタイミング手順に関する情報を維持することにある。アナログ部
分の遅延が知られていないために、送信機をスイッチオンまたはスイッチオフす
る正しい時間を予測するのが難しいので、前述のタイミング情報がパワーレベル
メモリへ加えられるとよい。オン位置において一つのビット(情報TX ON)
、オフ位置において一つのビット(情報TX OFF)というように、各スイッ
チに対して別々のビットが予約される。したがって、信号POWERに加えて、
ソフトウエアにて情報TX ON/OFFも含まれる。
本発明によるこの種のベースステーションの一つの効果は、GMSK変調器と
パワーレベルを指示する曲線、または信号POWERとの間のタイミングを調整
することにより、パワーレベルが一定で且つその最小値にあるようなタイムスロ
ット内の瞬時にて正確に、変調すべきデータ、すなわち、信号IおよびQが生ず
るようにさせられるということである。かくして、送信機の位相エラーを現象さ
せることができる。もし、変調データのタイミングがパワーレベルを指示する曲
線に対して調整され得ない場合には、それら曲線の形状を変更しなければならず
、
それにより、スペクトルが弱められてしまう。
本発明によれば、送信機の制御のデジタル的に可変なタイミングは、簡単な設
計構成により達成される。従来技術に比較した本発明の新規な点は、パワー調整
曲線内で別々に変調データの位置を調整することができるという点にある。
本発明は、信号IおよびQの同期化がタイムスロットの代わりにフレームにし
たがって実施されるときに、変調が連続的となるという効果を有する。このよう
な場合において、送信機のスペクトルは、より良くなり、すなわち、より狭くな
り、位相エラーは、より小さくなる。
本発明のもう一つ別の効果は、本発明にしたがって動作するときには、最終製
品の場合においても、ベースステーションの送信のタイミングが容易に調整しう
るということである。このような場合において、送信機を組み立てる際に異なる
特性を有したアナログ構成部分を使用することができ、それでも、信号Iおよび
Qの増幅性能を一定とすることができる。
図面の簡単な説明
次に、添付図面に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
第1図は、従来のベースステーションにおける変調データとパワー制御との相
互タイミングを示す。この第1図については、従来技術の説明において既に説明
した。
第2図は、従来技術によるベースステーション送信機を例示するブロック図で
ある。この第2図についても、前述の説明の冒頭において既に説明した。
第3図は、本発明のベースステーションのブロック図を示す。
第4図は、本発明のベースステーションにおける変調データとパワー制御との
相互タイミングを示す。
第5図は、そのベースステーションを含む移動通信システムのブロック図を示
す。
発明の詳細な説明
ベースステーションのデジタル部分の動作および送信機全体の動作は、そのベ
ースステーションの一般的フレーム構造のタイミングと同期していなければなら
ない。このような目的を有するフレーム整列信号の立上り縁は、すなわち、
FCK信号の立上り縁は、TDMAフレームの開始点の位置を示している。本発
明においては、GSM Specification 05.10,section 5.7によって許容される
タイミングが使用される。このタイミングによれば、タイムスロット0および4
の長さは、157ビットであり、その他のタイムスロットの長さは、156ビッ
トである。
この目的は、本発明に関連して記述されるロジックにより、信号IおよびQが
発生され、それらによって必要とされるタイミングが発生されるようにすること
にある。かくして、従来技術の解決方法に関連したような問題を避けることがで
きる。
第3図は、本発明のベースステーションのブロック図である。変調デジタル信
号を発生するための本発明のベースステーション送信機のデジタル手段は、次の
構成要素を備える。
第一に、フレーム整列信号によって同期化されるフレーム構造におけるタイム
スロットの長さを計数するためのカウンタ手段310が必要とされる。このタイ
ムスロットの長さを計数するカウンタの目的は、長さにおいて156ビットのタ
イムスロットを計数することである(4+148+4=156ビット=タイムス
ロットの長さ)。
本発明のベースステーション送信機のデジタル部分は、さらに、1つまたはそ
れ以上の遅延値をカウンタ値の形にて記憶するプログラマブルメモリ手段311
を備える。
本発明のベースステーション送信機のデジタル部分は、さらに、1つまたはそ
れ以上の遅延値からユーザによって望まれる一つの遅延値を選択するための手段
312を備える。これらの手段312としては、例えば、レジスタ手段が使用さ
れうる。
本発明のもう一つ別の実施例によるベースステーションは、送信機の送信信号
をアンテナへ供給するスイッチが、スイッチオフされているか、または、スイッ
チオンされているか、または、そのいずれでもないかについての情報を含むよう
に機能する。この情報、すなわち、ビットTXの制御は、入力信号TXENおよ
びパワーレベルメモリから読み出されるビット、例えば、5および6の如きメモ
リの奇数アドレスから読み出されるビットに従って実施される。このような情報
、すなわち、ビットTXEN=“1”のときには、それは、次のタイムスロット
にて送信がターンオンされるべきことを示しており、また、TXEN=“0”の
ときには、それは、送信がターンオフされるべきことを示している。送信機のパ
ワーがその最小値にあるときに、送信をスイッチオン/オフすると効果的である
。情報TX ON/OFFは、各パワーレベルについて別々にパワーレベルメモ
リへプログラムされ、情報“TX ON”をビット6に、情報“TX OFF”
をビット5にプログラムすることができる。TXEN=“1”およびビット6=
“1”がメモリの奇数アドレスから読み出されるとき、TXは、所望の瞬時に値
“1”へ更新される。したがって、TXENが“0”であり、ビット5=“1”
がメモリの奇数アドレスから読み出されるとき、TXは、所望の瞬時に値“0”
へ更新される。こうして、値“1”は、信号TXの更新が行われる必要のある瞬
時についてのみ、前記メモリ位置(5および6)へプログラムされる。
本発明の第2の実施例によるベースステーション送信機504のデジタル手段
201は、変調デジタル信号を発生するためのものであり、このデジタル手段2
01は、カウンタ手段310に応答するパワーレベルメモリ314をさらに備え
る。このパワーレベルメモリ314には、フレーム構造におけるタイムスロット
の部分に相当するメモリ瞬時パワー値と、送信機の送信信号をアンテナへ供給す
るスイッチ207がスイッチオフされているか、または、スイッチオンされてい
るか、または、そのいずれでもないかに関する情報とが記憶される。
パワーレベルメモリ314は、このパワーレベルメモリ314の特定のメモリ
アドレスがフレーム構造におけるタイムスロットの各部分に対応し、前記メモリ
アドレスに対応するメモリ位置において、パワーレベルを指示する曲線の瞬時パ
ワー値に加えて、送信機の送信信号をアンテナへ供給するスイッチ207がスイ
ッチオフされているか、または、スイッチオンされているか、または、それらの
いずれでもないかに関する情報が2つのビット位置の形にて記憶されるように、
配列されている。その一方のビット位置は、スイッチ207がスイチオフされる
瞬時を調整するものであり、他方のビット位置は、スイッチ207がスイッチオ
ンされる瞬時を調整するものである。
本発明のこの第2の実施例の動作は、次のようである。
カウンタ手段は、フレームクロックまで(同期化)タイムスロットを計数する
。このカウンタの値は、メモリ手段(パワー制御メモリ)のアドレスとして使用
される。したがって、タイムスロット内の各アドレスは、1つの時間瞬時によっ
て表される。
2つのビット、すなわち、TX ONおよびTX OFFが、その情報を記録
するためのメモリ手段の各アドレスから予約される。
送信がターンオフされ(記憶TXEN=“0”)且つ送信が次のタイムスロッ
トにてターンオンされるべきとき(TXEN=“1”)には、メモリ手段のメモ
リ位置TX ONは、そのカウンタが計数している間に、読み出される。TX
ONが“1”であるときには、スイッチTX ON/OFF207を制御するた
めの手段が、その瞬時に位置TX ONへとセットされる。
値“0”が、先ず、メモリ手段のメモリ位置TX ONおよびTX OFFの
すべてのアドレスに書き込まれ、値“1”が、各機能の動作の所望の瞬時に対応
するメモリアドレスのビット(TX ONまたはTX OFF)へ書き込まれる
。このメモリはプログラムされうるので、メモリにおけるビットの位置は変更さ
れ得て、したがって、TX ON/OFFの制御のタイミングも変更され得る。
このメモリは、実際には、パワー調整曲線を記録するために使用されるメモリ
と同じである。したがって、付加的なメモリは必要とされない。TXを制御する
ために2つの特別ビットのみが予約されねばならない。その上、各パワーレベル
について別々のパワー調整曲線があるので、各パワーレベルに対して別々のTX
ON/OFFタイミングも与えられうる。さらに、瞬時TX ONは、瞬時T
X OFFとは別個でありうる。
また、本発明のベースステーション送信機のデジタル部分は、カウンタ手段の
値を、プログラマブルメモリ手段311に含まれた選択された遅延値と比較し、
この比較の結果、プログラマブルメモリ手段311によって含まれた選択された
遅延値が前述のカウンタ手段310の値と同じであるならば、デジタル手段から
前記タイムスロットにて送信すべき情報信号の送信を開始させるための比較手段
313を備える。
フレーム構造を形成するためには、少なくとも次のカウンタが必要とされる。
すなわち、第1のカウンタは、タイムスロットカウンタであり、このカウンタの
目的は、TDMAフレーム内で送信される各現在のタイムスロットのシーケンス
数を計数することであり、すなわち、0から7まで計数することである。このカ
ウンタは、1つのタイムスロットの長さを計数するカウンタが始めからの計数を
再スタートする毎に、更新される。
タイムスロット0および4のための1つの付加的ビットの持続時間を計数する
ためのカウンタも必要とされる(第1図参照)。このカウンタは、そのタイムス
ロットの長さを指示するカウンタが終了し、そのタイムスロットカウンタがタイ
ムスロット0または4の問題があることを指示するときに、動作する。このカウ
ンタは、特別ガードビットカウンタとも称される。
本発明のベースステーションの動作は、次のようである。信号FCKの立上り
縁、すなわち、フレーム整列信号の立上り縁は、常に、すべてのカウンタをリセ
ットする。FCKの立上り縁の後で、タイムスロットの長さを指示するカウンタ
310は、0からの計数を再スタートする。タイムスロットの長さを指示するカ
ウンタ310が終了するとき、それは、タイムスロット0または4が問題である
かについてチェックされる。もし、そうである場合には、特別ガードビットカウ
ンタがスタートさせられ、それは、それが計数を完了するまで待たされる。
前述のシーケンスが終了したとき、タイムスロットの長さ310を指示するカ
ウンタは、0からの計数を再スタートし、一方、同時に、そのタイムスロットカ
ウンタによって指示された値が増大させられる。
フレーム整列信号FCKが来たとき、カウンタは、フレームのタイミングを計
数し始める。このタイミングは、パワーレベル信号を発生するのにも使用される
。最後に述べたカウンタは、メモリアドレスのLSB部分として直接的に使用さ
れうる。このような場合において、フレーム内の個々のタイムスロットの各々の
開始点を指示するために別々の信号が発生される。このような手順により、パワ
ーレベル信号の発生が制御される。タイムスロットの開始点を指示する信号から
、もう一つ別のカウンタが計数を開始させられ、このカウンタは、別々のIQ
DELAY入力の組合せに相当する値までカウントアップし、その後、スタート
信号(Start-Timeslot)が変調器へ送信され、それにより、その変調器は、問題
のタイムスロットのデータをIおよびQブランチへと送り始める。通常、変調さ
れたデータは、タイムスロットの開始点の4ビット後に送信されるが、IQ D
ELAY入力を用いて、正確なタイミングが、所望のステップにて調整されうる
。
第4図は、本発明のベースステーションにおける変調データ(すなわち、信号
IおよびQ)とパワー制御との相互タイミングを示している。第4図に示す参照
番号103、104および105は、第1図に示す参照番号と対応している。信
号IおよびQと信号POWERとの間のタイミングは、それら信号が増幅器に達
するときにはまだ知られていないので、それらの間のタイミングは、デジタル調
整によって実施される。こうして、これら信号の増幅が正しい時間瞬時に開始さ
せられるように、変調すべきデータ送信に対する正しい瞬時にパワー制御が行わ
れるようにすることができるのである。
このような目的のために、IQ DELAY入力が、デジタル部分へ加えられ
る。基本的な考え方は、変調データ、すなわち、信号IおよびQの位置を信号P
OWERに対して遅延させるというものである。タイムスロットのタイミングは
変調データに配置されたトレーニングシーケンスに基づいて決定されるので、G
SM Recommendation 05.05に定められたレンジ内で行われるようにパワー制御
を調整することが可能である。
第4図において、本発明のベースステーション送信機の動作もまた、タイムス
ロットの長さを指示するカウンタと同期化される。IQ DELAYの各値は、
そのタイムスロットの長さを指示するカウンタによって示される値によって表さ
れる。そのカウンタがこの値に達するとき、I/Q変調器は、始動させられ、そ
のタイムスロットにて変調すべきデータの送信が開始させられる。第4図は、本
発明により、パワー増幅信号POWERに対する時間ドメインにて転送される信
号IおよびQの発生を示している。第4図において、参照符号t1は、従来技術
による場合において、フレーム整列信号が達してから、信号IおよびQが増幅器
に達するまでに要する時間期間を表している。したがって、第4図における参照
符号t2は、信号IおよびQが遅延されて、それらが、フレーム整列信号の後、
時間t2の持続時間して増幅器に達するような状態を例示している。ここで注意
すべきことは、t2はt1よりも短い時間でもよいということである。
第5図は、移動通信システムおよびそのベースステーションを示すブロック図
である。この第5図は、移動通信システム、例えば、GSMシステムの移動交換
センターMSCおよびデータ通信リンクによってそのMSCに接続される移動通
信システムのベースステーション500とを示している。当然に、移動通信シス
テムとベースステーションとの間にはベースステーションコントローラがありう
る。このベースステーションコントローラは、多数のベースステーションと一緒
になってベースステーションシステムを形成する。ベースステーション500は
、フレーム構造を用いてタイムスロットに分割された無線信号を送信するための
アンテナ501を備える。ベースステーションは、さらに、そのベースステーシ
ョンを制御するためのコントローラユニット502と、フレーム整列信号を発生
するための手段503とを備える。ベースステーションは、当然に、無線信号を
発生するための送信機504と、変調すべきデジタル信号を発生するためのデジ
タル手段505とを備える。
添付図面およびそれら添付図面に関してなされた説明は、単に、本発明の考え
方を例示しようとするだけのものである。本発明のベースステーションは、本請
求の範囲による範囲内において細部において変更しうるものである。本発明を主
としてGSM移動通信システムに関連して説明してきたのであるが、本発明は、
その他の型の移動通信システムにおいても使用しうるものである。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年3月25日
【補正内容】
請求の範囲
1.1つまたはそれ以上の交換センター(MSC)と、通信リンク(第3図の5
00)によって前記交換センターに接続されるベースステーションとを備え、各
ベースステーションは、フレーム構造を用いてタイムスロットに分割された無線
信号を送信するためのアンテナ(501)と、該ベースステーションを制御する
ためのコントローラユニット(502)と、フレーム整列信号を発生するための
フレーム整列手段(503)と、無線信号を発生するための送信機(504)と
を備え、該送信機は、変調すべきデジタル信号を発生するためのデジタル手段(
505)をさらに備え、該デジタル手段(201)は、さらに、前記フレーム整
列信号によって同期化されるフレーム構造におけるタイムスロットの長さを計数
するためのカウンタ手段(310)と、1つまたはそれ以上の遅延値がカウンタ
値の形にて記憶されるプログラマブルメモリ手段(311)と、前記1つまたはそ
れ以上の遅延値からユーザによって望まれる遅延値を選択するための選択手段(
312)とを備えているような移動通信システムのためのベースステーションに
おいて、前記デジタル手段(201)は、a)前記カウンタ手段の値を、前記プ
ログラマブルメモリ手段(311)によって含まれた前記選択された遅延値と比
較して、この比較の結果、前記プログラマブルメモリ手段(311)によって含
まれた前記選択された遅延値が前記カウンタ手段(310)によって指示された
値と同じであるならば、前記デジタル手段(210)から前記タイムスロットに
て送信すべき情報信号の送信を開始させるための比較手段(313)と、b)前
記カウンタ手段(310)に応答するパワーレベルメモリ(314)とを備え、
該パワーレベルメモリ(314)には、前記フレーム構造におけるタイムスロッ
トの部分に相当する瞬時パワー値、並びに、前記送信機の送信信号を前記アンテ
ナへと供給するスイッチ(207)がスイッチオフされているか、または、スイ
ッチオンされているか、または、そのいずれでもないかについての情報が記憶さ
れており、前記パワーレベルメモリ(314)は、フレーム構造におけるタイム
スロットの各部分が該パワーレベルメモリ(314)の特定のメモリアドレスに
よって表され、前記メモリ
アドレスに対応するメモリ位置において、パワーレベルを指示する曲線の瞬時パ
ワー値に加えて、前記送信機の送信信号を前記アンテナへ供給するスイッチ(2
07)がスイッチオフされているか、または、スイッチオンされているか、また
は、そのいずれでもないかについての情報が記憶されることを特徴とするベース
ステーション。
2.前記送信機の送信信号を前記アンテナへ供給する前記スイッチ(207)が
スイッチオフされているか、または、スイッチオンされているか、または、その
いずれでもないかについての前記情報は、2つのビット位置の形にて記憶され、
その一方のビット位置は、前記スイッチ(207)がスイッチオフされる瞬時を
調整するものであり、他方のビット位置は、前記スイッチ(207)がスイッチ
オンされる瞬時を調整するものである請求項1記載のベースステーション。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),AL,AM,AT,AU,BB,BG,BR,B
Y,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES
,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,
KP,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,LU,L
V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ
,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,
SK,TJ,TM,TT,UA,UG,US,UZ,V
N
【要約の続き】
(313)とを備える。