JPH10510805A - スフィンゴシン、メチルスフィンゴシンおよびアポトーシス - Google Patents

スフィンゴシン、メチルスフィンゴシンおよびアポトーシス

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JPH10510805A JP8518725A JP51872596A JPH10510805A JP H10510805 A JPH10510805 A JP H10510805A JP 8518725 A JP8518725 A JP 8518725A JP 51872596 A JP51872596 A JP 51872596A JP H10510805 A JPH10510805 A JP H10510805A
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Abstract

(57)【要約】 スフィンゴシンおよびそのN-メチル化誘導体は、アポトーシスを誘発する。

Description

【発明の詳細な説明】 スフィンゴシン、メチルスフィンゴシン およびアポトーシス 本明細書に開示される教示の一部は、国立衛生研究所からの補助金によって一 部支援された。 この出願は、1992年10月22日に出願した米国特許出願第07/965,614号の一部継 続出願である。該一部継続出願は、1989年8月7日に出願し現在放棄した米国特許 出願第07/390,135号の継続出願である。該継続出願は、1989年2月3日に出願し現 在放棄した米国特許出願第07/306,378号の一部継続出願である。 発明の背景 グリコスフィンゴ脂質類(GSL's)は、全ての動物細胞および酵母を含む殆どの 植物細胞に見られる遍在性膜成分である。GSL'sは、細胞−細胞認識、細胞接着 、および貫膜シグナリングのモジュレーションに決定的な機能的役割を果たす[1 ]。GSL発現のパターンは、個体発生、発がん及び幹細胞が表現型的に終末段階の 細胞に分化するプロセスの間、劇的に変化する。GSLの分布および発現の知識は 、モノクローナル抗体アプローチの導入によって非常に豊富になり、多くの発生 的に調節され腫瘍関連性のGSL抗原が、化学的根拠に基づいて同定されている[2, 3]。 アポトーシス(プログラムされた細胞死)は、全ての多細胞生物において、基 本的なエネルギー依存性プロセスである。アポトーシスは、形態形成の期間中、 組織サイズ、形状および細胞数のバランスのコントロールに助し、発がんの進行 [4,5]および再灌流障害[6]および糸球体腎炎[7]のような他の病的プロセスに重 要な役割を果たす。古くなった(aging)好中球も、自然にアポトーシスとなるこ とが示されている[8,9]。アポトーシス性老化好中球は、マクロファージによっ て認識され、貪食される。そのプロセスは、インビボで炎症部位において、好中 球に仲介される組織障害を制限するメカニズムを示すと示唆されている。 炎症の間に放出される種々のサイトカインは、病巣で好中球の生存を、細胞死 を促進または阻害することによって調節する。内毒素リポ多糖、補体因子5aおよ び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のような炎症伝達物質は、好中球のア ポトーシスを顕著に阻害した[10]。対照的に、強力な好中球活性化因子であるTN F-α[11-13]は、好中球アポトーシスの速度を加速することが示されている[14] 。TNF-α応答性のスフィンゴミエリン加水分解およびセラミド生成は、U-937細 胞中で、TNF-αによるアポトーシス誘発を仲介するシグナル変換経路に関連する と 報告されている[15,16]。 カルシウム/リン脂質-依存性プロテインキナーゼ(プロテインキナーゼC;P KC)は、種々の細胞において、細胞の増殖および分化を含む細胞内シグナリング ・プロセッシングに関連する[17]。造血細胞系では、PKCの薬理学的インヒビタ ーによる処理は、正常な前駆細胞(progenitors)[18]および白血病性の前駆細胞[ 19]の両方の増殖阻害を引き起こす。幾人かの研究者は、H7およびスタウロスポ リン(staurosporine)のようなPKCインヒビターに曝露すると、HL-60前骨髄芽球 性白血病細胞[20,21]、MOLT-4リンパ性白血病細胞および正常リンパ球[22]並び に種々の腫瘍性の細胞系[23]において、アポトーシスが誘発されると報告した。 さらに、PMAへの曝露によるPKCの活性化は、成長因子を除去された造血細胞がア ポトーシス細胞死となるのを妨げた[24]。それらの観察は、アポトーシスの調節 におけるPKCの役割の可能性を示唆する。 スフィンゴシンは、スフィンゴ脂質の分解産物であり、インビトロおよび細胞 中でPKCを阻害することが示されている[25-27]。スフィンゴシンおよびその異化 代謝産物であるDMSは、インビトロ並びにインビトロで、腫瘍細胞増殖に対して 阻害的効果を有した[28-30]。DMSも、スフィンゴシンと同様に、PKC活性に対し て阻害的効果を有する [31]。 スフィンゴシンおよびDMSは、細胞増殖を阻害し、細胞障害作用を発揮するよ うに見える。スフィンゴシンは、PKCの内因性モジュレーターとして機能し、細 胞における増殖、分化および発がんに重要な役割を果たすと仮定されている[27, 32]。しかしながら、生物学的刺激に応答した細胞スフィンゴシン・レベルの変 化を測定するのは困難であるので、スフィンゴシンが増殖抑制を含む生物学的プ ロセスの仲介に生理学的に機能するかどうかは決定されていない[33]。 他方、HL-60細胞を含むヒト骨髄性白血病細胞系は、増殖の停止及びより成熟 した表現型の出現を伴なう分化の誘発物質に応答する能力を保持している[34]。 最近、HL-60細胞において、PMAで誘発されるマクロファージ分化[35]およびレチ ノイン酸で誘発される好中球分化[36]の両方の間、アポトーシスの証拠が記載さ れている。 しかしながら、細胞分化の間、何がアポトーシスを開始させるかは不明なまま である。薬理学的PKCインヒビターが細胞増殖の阻害やアポトーシスを引き起こ すので、強力な内因性PKCインヒビターであるスフィンゴシンが、分化の間に、 増殖能力の消失やアポトーシス誘発のメカニズムに関連しているかどうかを決定 することは興味あ ることである。 発明の概要 本発明は、有効成分としてスフィンゴシンまたはメチル化スフィンゴシンを用 いて、細胞中のアポトーシスを誘発する手段および方法を提供する。 図面の簡単な説明 図1.(A)エタノール・ビヒクル(Con)、3,000 U/ml TNF-α、5、10および15 μMのスフィンゴシン(Sph)および15μM DMSで6時間処理した好中球のアポトー シス細胞(形態学的に評価される)のパーセンテージ。(B)エタノール・ビヒ クル(白抜きの丸)、3,000 U/ml TNF-α(黒塗りの四角)または15μMのスフィ ンゴシン(黒塗りの丸)の存在下でインキュベートした好中球のアポトーシスの 時間経過。数値は、3つの別々の測定の平均(±S.E.)を示す。 発明の詳細な説明 本明細書において、「メチル化スフィンゴシン」は、窒素に1、2または3個 のメチル基を有するスフィンゴシンである。 TNF-αは、既に報告されている[14]ように、好中球のアポトーシスを誘発また は加速する能力を有する。レスピラトリーバーストを含む好中球の多くの機能[1 1-13]を 活性化するTNF-αの1つの生理学的機能は、好中球に仲介される組織障害を制限 するために、活性化された好中球のアポトーシスを加速するのかもしれない。以 前の研究は、TNF-αシグナリングが、スフィンゴミエリナーゼの活性化によるス フィンゴミエリンのセラミドへの加水分解を包含することを実証した[37,38]。 さらに、外部から付加されるスフィンゴミエリナーゼで処理すると、セラミドか ら脱アシル化されたスフィンゴシン濃度の増加を引き起こすことが示され、スフ ィンゴミエリナーゼおよびセラミダーゼが協同的に機能することを示唆する[39] 。 好中球をTNF-αで処理すると、セラミドおよびスフィンゴシン両方の細胞濃度 の増加を生ずる。セラミド含量の増加は、スフィンゴシン含量のそれよりも、よ り速い。従って、スフィンゴシン含量の増加は、TNF-α処理後の形成されたセラ ミドの分解から起こる。 セラミドは、アポトーシスを開始すると報告されている[15,16]。セラミドで 活性化されるプロテインキナーゼおよびホスファターゼについて、幾つかの細胞 で記載されている[40-42]が、それらの酵素が、セラミドの作用メカニズムの中 で、アポトーシス・シグナリングを仲介する役割を果たすかどうかは不明である 。 好中球において、スフィンゴシン(5-15μM)、並びにTNF-αは、アポトーシ スを誘発することが可能である。しかしながら、同じ濃度のセラミドまたはスフ ィンゴシン-1-ホスフェートは、アポトーシスを誘発しない。 スフィンゴシンは、インビトロおよび細胞内で、PKCを阻害する[25,27,43]。 さらに、PKCインヒビターとして公知のH7およびDMSも、アポトーシスを誘発する 。スフィンゴシンによるアポトーシス誘発は、PKC活性の阻害に関連するかもし れない。 他方、スフィンゴシンは、PKCとは異なるプロテインキナーゼ、環状ヌクレオ チドで活性化されるキナーゼおよびカルシウム依存性キナーゼを、D-エリスロ- スフィンゴシンに高い特異性を有して活性化する[44]が、スフィンゴシン依存性 プロテインキナーゼがアポトーシスのプロセスに関連するかどうかは不明である 。 TNF-α処理1時間後のスフィンゴシン・レベルの増加(8.6 pmol/106細胞)は 、好中球のN-ホルミル-メチオニル-ロイシル-フェニルアラニン(fMLP)刺激(約6 pmol/106細胞)で起こるジアシルグリセロールの一時的増加[45]に量的に類似 している。さらに、その増加は、アポトーシスを誘発するのに十分な約10-20μM のスフィンゴシンに曝露することによるそれに対応する。 他方、セラミド濃度は、非刺激ヒト好中球で非常に高く(約200μM)、外因性 の細胞透過性セラミド(C-8セラミド、20μMまで)を添加すると、0.1%のBSAを 含む培地でインキュベートした好中球のアポトーシスを誘発しない。従って、セ ラミド自身ではなく、セラミドから脱アシル化されたスフィンゴシンが、好中球 において、TNF-αによるアポトーシス誘発を仲介する内因性モジュレーターとし て機能するかもしれない。 スフィンゴシンおよびモノメチルスフィンゴシン(MMS)のようなそのメチル化 誘導体は、インビトロ並びにインビボで腫瘍細胞増殖に阻害的効果を示す[29,30 ]。殆どの腫瘍細胞タイプで、DMSは、スフィンゴシンよりもアポトーシスの強力 な誘発物質である。DMSは、A431類表皮癌細胞[46]およびマウスIL-2依存性Tリン パ球CTLL細胞[47]中で検出される。 スフィンゴシンおよびDMSのようなそのメチル化誘導体は、HL-60ヒト前骨髄芽 球性細胞系のような白血病細胞でアポトーシスを誘発する。スフィンゴシンまた はDMSに曝露(2-6時間)すると、アポトーシスに特徴的なDNA断片化および形態 学的変化を生ずるのに十分である。スフィンゴシンおよびDMSの両方とも、PKC活 性に対して阻害的効果を有し[25-31]);H7およびスタウロスポリンのよう な薬理学的PKCインヒビターもアポトーシスを誘発する。スフィンゴシンおよびD MSによるアポトーシス誘発は、PKC活性の阻害に関連するかもしれない。スフィ ンゴシンおよびDMSによるアポトーシス誘発は、正常な血清の存在下にあっても 、CMK-7巨核球性白血病細胞、Colo205結腸腫瘍細胞およびA431類表皮細胞癌細胞 を含む多くの腫瘍細胞系で見られた。 スフィンゴシンおよびDMSを含むPKCインヒビターのアポトーシス能力は、細胞 サイクル関連因子に関係するかもしれない[20]。例えば、HL-60細胞をスフィン ゴシンに曝露すると、細胞増殖とアポトーシスの両方の調節に重要な役割を果た すc-myc遺伝子発現のダウンレギュレーションがもたらされた[48]。HL-60細胞の マクロファージへの分化も、c-myc mRNAのダウンレギュレーションに関連するこ とが示されている[49]。 さらなる可能性は、トポイソメラーゼIIがPKCによってリン酸化され活性化さ れるので[50]、PKCインヒビターがトポイソメラーゼIIを阻害することにより細 胞サイクルに影響するかもしれないことである。実際、トポイソメラーゼIIイン ヒビター並びにPKCインヒビターは、HL-60細胞でアポトーシスを強力に誘発する [20]。 他方、スフィンゴシンおよびDMSも、PKC非依存性の経 路で、増殖抑制を含む多くの生物学的プロセスを調節することが公知である[33] 。チャオ(Chao)らは、Rb遺伝子産物のスフィンゴシンに誘発される脱リン酸化、 およびスフィンゴシンのRbに対する効果はPKCの阻害に依存しないことを報告し た[51]。スフィンゴシンによるRbの強力で特異的な活性化は、細胞増殖の阻害お よび細胞サイクルのG0/G1期での停止(arrest)と相関した。さらに、スフィンゴ シンは、PKCとは異なるプロテインキナーゼ、環状ヌクレオチドで活性化される キナーゼ、およびカルシウム依存性キナーゼを、D-エリスロ-スフィンゴシンに 高い特異性を有して活性化する[44]。 外部から加えたスフィンゴシンは、セラミドおよびスフィンゴシン-1-ホスフ ェートに代謝され、スフィンゴシンからスフィンゴミエリンまたはセラミドモノ ヘキソシド(CMH)への漸進的変換が観察される[52]。セラミド、S-1-PおよびCMH は、HL-60細胞でDNA断片化を生じることができなかったが、U-937細胞ではTNF- αによるアポトーシス誘発を仲介するシグナル変換経路に、スフィンゴミエリン の加水分解およびセラミドの生成が関連することが報告されている[15,16]。セ ラミドは、PKC活性に効果を有しない[53]。 アポトーシス性DNA断片化は、4β-ホルボール12-ミリ ステート13-アセテート(PMA)で10時間処理した後に初めて検出されるが、スフィ ンゴシンの細胞レベルは、PMA処理3時間後に増加し、その後、アポトーシス細 胞の割合に付随して増加する。対照的に、H-7で誘発されたアポトーシス細胞で は、6時間後スフィンゴシン量の増加は全く観察されない。外部から添加したス フィンゴシンが細胞のアポトーシスを誘発し得たという事実を合わせると、それ らの観察から、スフィンゴシンが分化細胞で起こるアポトーシスの内因性誘発物 質として機能するかもしれないこと、及びスフィンゴシン増加はアポトーシスす なわち細胞死の単なる帰結ではないかもしれないことが示唆される。 スフィンゴシンは、細胞中のセラミナーゼによってセラミドから産生される。 細胞内セラミドは、新規に生合成されるジヒドロスフィンゴシンのアシル化とそ の後の不飽和化[54-56]または、TNF-αおよびγ-インターフェロンのような薬剤 での刺激に応答したスフィンゴミエリンの加水分解[57]によって形成されると考 えられている。PMAで処理しても、スフィンゴミエリンの加水分解は生じない。P MAで処理して分化されHL-60細胞中のスフィンゴシン・レベルの増加は、細胞分 化期間中のセラミダーゼ活性またはスフィンゴ脂質生合成の変化によるのかも しれないHL-60細胞およびそのマクロファージ分化誘導体中の外部添加された[3H ]C6-セラミドは、直ちにスフィンゴシン、CMHおよびスフィンゴミエリンに代謝 された。 分化したHL-60細胞は、[3H]セラミドのスフィンゴシン変換を顕著に増大させ、 細胞中のセラミダーゼ活性の上昇を示唆する。対照的に、分化したHL-60細胞中 の[3H]セラミドのスフィンゴミエリンへの変換は、非処理細胞中のそれの50%未 満である。スフィンゴミエリンは、ホスファチジルコリン:セラミドホスホコリ ントランスフェラーゼ(スフィンゴミエリン・シンターゼ)によって合成され、 該トランスフェラーゼはホスホリルコリンの頭部基をリン脂質ホスファチジルコ リンからセラミドに移動し、スフィンゴミエリンおよびジアシルグリセロールを 生じるので、分化したHL-60細胞中のセラミドからのスフィンゴミエリン合成の 減少は、内因性PKC活性化因子であるジアシルグリセロールの形成の減少を生じ るかもしれない[58]。 アポトーシスは、正常組織ならびに腫瘍組織において、細胞数の調節に助する 必須の生理学的プロセスである。アポトーシスの速度が腫瘍細胞中で増大したら 、トータルの腫瘍塊が減少する。それは、抗腫瘍治療に対する潜在的に有用なア プローチである。アポトーシスの強力な 誘発物質であるDMSは、腫瘍増殖を阻害する[29]。 ヒライシ(Hiraishi)ら[59]は、種々の腫瘍組織と正常な上皮組織におけるLey 発現(mAb BMIによって確認)とアポトーシスとの間の密接な相関関係を報告し た。アポトーシスは、典型的な形態的特徴(例えば、細胞質の収縮または核の凝 縮)のみでなく、DNA断片化の検出のためのニック(nick)末端標識[60]によって も利用された。その研究からの幾つかの重要な発見は:(i)アポトーシス細胞はL ey-陽性細胞集団では頻繁に検出されるが、Ley-陰性細胞集団では検出されなか った;(ii)Ley-陽性である細胞は通常、PCNA(増殖細胞核抗原)-陰性、ニック 末端標識陽性であり、アポトーシス形態を示した;および(iii)アポトーシス形 態はFas抗原(CD95/Apo-1)に関する陽性染色と強く相関していなかった。これら の傾向は、食道、結腸および胃からの正常組織および腫瘍組織、並びに正常な胸 腺で観察された。 Ley抗原は、GSL'sと糖タンパク質の両方、特にムチン−タイプ・ドメインを有 するものに存在することが知られている[61,62]。Ley GSLの幾つかの構造は、下 記のように示される: LeyGSL(Ley糖タンパク質ではなく)抗原のみが、アポトーシスに、恐らく上 記の3個のLeyGSL構造の1個以上によって、関連していると考えられている。分 化の間、Ley構造は、アポトーシスにコミットする細胞の段階を明確にするかも しれない。 グロボトリアオシルセラミド(globotriaosylceramide)(Gb3)は、バーキットリ ンパ腫で高度に発現され、下記のように化学的に同定される以前は「バーキット リンパ腫抗原」(BLA)として長い間公知であった: BLAも、特定のB細胞集団(そこでは、それは最近"CD77"と称されている)、特 に、活動的なアポトーシスを示す扁桃の胚中心(germinal centers)および他のリ ンパ組織で高度に発現される。それは、種々の他の細胞および 組織で、より低いレベルで検出されている。Gb3も、ヒスト血液グループ(histo- blood group)PK(殆どの集団の約0.01%に見られる稀な表現型)の個体に豊富で ある。 B細胞集団中のアポトーシスとGb3/CD77発現との相関関係は、電子顕微鏡を用 いた形態学的研究によって最初に証明された[63]。Gb3/CD77が、シガ毒素(Shiga toxin)[64]およびヴェロ毒素(verotoxin)(VT)[65]に関するレセプターとして機 能するという事実は、Gb3/CD77(+)細胞の毒素依存性殺滅がアポトーシスに依存 するかもしれないことを示唆する。最近の研究によると、VTのGb3/CD77への結合 を引き起こすVTのB-サブセット(VT-B)も、Gb3/CD77(+) B細胞におけるアポトー シスを誘発することが示された。 Gb3糖脂質は、VT-Bに結合したとき、内部化され(internalized)、DNA断片化を 誘発するシグナルを生み出す[66]。さらに、Gb3/CD77(+)細胞がVT-Bで処理され るとき、Gb3/VT-B複合体は核膜に蓄積する。 スフィンゴシンは、シグマケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Company)( セントルイス、ミズーリ州)またはアルドリッチケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company)(ミルウォーキー、ウィスコンシン州)のような販売元から 得ることができる。或いは、スフィン ゴシンは、当分野で公知のように合成され得、例えば、イガラシ(Igarashi)ら(1 989)[28]またはEP 0381514を参照のこと。 モノメチルスフィンゴシンおよびジメチルスフィンゴシンのようなN-メチル化 スフィンゴシンも、EP 0381514に教示されているように合成し得る。 本明細書に開示される幾つかの研究のために、スフィンゴシン-1-ホスフェー トおよびセラミドのような他の化合物は、当分野で公知のように合成され、例え ば、U.S.P.5260288、イガラシ(Igarashi)ら(1989)[28]、ヴナム(Vunnam)および ラディン(Radin)(1979)[67]またはルアン(Ruan)ら(1992)[68]を参照のこと。他 のセラミドは、ヴァンヴェルドホーヴェン(Van Veldhoven)ら(1989)[69]に教示 されるように、スフィンゴシンのアシル化によって作製し得る。 他のセラミド、スフィンゴミエリン、グルコシルセラミド(セラミドモノヘキ ソシド、CMH)、ホルボールミリステートアセテート(PMA)、スタウロスポリン、 プロピジウムイオジド(PI)およびH7は、例えば、シグマおよびカルバイオケム(C albiochem)(サンディエゴ、カリフォルニア州)から購入し得る。他の試薬、例 えば、無水酢酸、クロロホルム、メタノールなどは、市販されている。放 射標識された化合物は、例えば、ICI(アーヴィン、カリフォルニア州)およびN EN(ボストン、マサチューセッツ州)から入手できる。薄層クロマトグラフィ(T LC)プレートは、例えば、EMセパレーションズ(ギブズタウン、ニュージャージ ー州)から入手できる。天然ヒトTNF-αは、例えば、オーツカセルラーテクノロ ジーイント.(Otsuka Cellular Technology Int.)(徳島、日本)から得るこ とができる。リボヌクレアーゼAおよびウシ血清アルブミンは、ライフテクノロ ジーズ(Life Technologies)(ゲイサーズバーグ、メリーランド州)およびシグ マのような種々の販売元から得ることができる。 ヒト前骨髄芽球性白血病HL-60細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレ クション、ロックヴィル、メリーランド州)のような細胞系は、10%熱不活化ウ シ胎児血清を含み、100単位/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシンお よび2 mM L-グルタミンで補足されたRPMI 1640培地中でのように、当分野で公知 のように増殖し得る。細胞を、例えば、種々のスフィンゴ脂質またはPKCインヒ ビターで6時間37℃にて処理し、その後、アポトーシス細胞の存在を、例えばDN A断片化の量を測定することにより確認する。全てのスフィンゴ脂質は、一般に 、エタノールに溶解される。コントロール実験は、エタノール (<0.1%)をビヒクルとして用いて行なうことができる。マクロファージへの細 胞分化は、細胞中で5 nM PMAを用いて誘発し得る。接着細胞は、非接着細胞を取 り除いた後、例えば、細胞スクレイパーでこすり取ることによって回収できる。 DNA断片化および脂質分析のために、接着細胞および非接着細胞を混合し、収集 し得る。 白血球単離のために、ヘパリン処理した静脈血をボランティアから得ることが できる。白血球は、既に記載されている[70]ように、例えば、Ficoll-Paque(フ ァルマシアLKB、ウップサラ、スウェーデン)クッション上でのデキストラン沈 降および遠心によって単離し得る。混入している赤血球は、低張性溶血によって 除去し得、残りの細胞を0.1% BSAを含むRPMI 1640のような好適な培地に再懸濁 する。そのようなプロセッシングにより、一般に、ライト−ギムザ染色で測定し て>98%の生存白血球を得る。 セラミドおよびスフィンゴシンの濃度を測定するために、脂質を細胞から抽出 する。セラミド測定のために、脂質抽出物は、既に報告されている[71]ように、 大腸菌ジアシルグリセロールキナーゼとともにインキュベートし得る。次に、セ ラミドホスフェートをTLCで単離し、セラミド塊は定量し得る。スフィンゴシン 濃度は、[3H]無水酢酸でアシル化することによる、N-[3H]アセチル化ス フィンゴシンへの変換により測定し得る。脂質抽出物を0.1 N NaOHで1時間処理 した後、乾燥したサンプルを、メタノール/10mM[3H]無水酢酸溶液(1/1)中0.008N NaOH 40μlに溶解する。アシル化は、1時間37℃にて進める。サンプルをNaOH で処理した後、N-[3H]アセチル化スフィンゴシンをTLCで単離し、スフィンゴシ ン塊を、例えばシンチレーション・カウンター中でカウントするオートラジオグ ラフィにより定量する。ジヒドロスフィンゴシンは低い量で存在し、一般に重要 ではない[54-56,73]。 DNA断片化は、例えば、アガロースゲル電気泳動を用いて分析できる[20]。約 5×106個の好中球を、収集し、洗浄し、1 mM EDTA、0.25% Nonidet P-40( シグマ)および0.1% リボヌクレアーゼ-Aを含む0.5 mlの50 mM Tris-HCl、pH 8. 0中で、37℃にて30分間インキュベートする。次に、約50μlの10 mg/ml プロテ インキナーゼ-K(ベーリンガー、マンハイム、ドイツ)を加え、インキュベーシ ョンをさらに30分間続けた。インキュベーション後、0.1 mlのリーディング緩衝 液(leading buffer)(0.25%ブロモフェノールブルー−0.25% キシレンシアノー ルFF−30% グリセロール)をサンプルに加える。約25μlの試験管内容物を、約 2%ゲルのようなアガロースゲルの各ウェル中にロードし、電気泳動を約10 V/cm で行なう。φX 174 DNAのHae III消化物(ニューイングランドバイオラブズ,インコーポレーテ ィッド、ビバリー、マサチューセッツ州)を各ウェルに適用し、それぞれ1,353 、1,078、872、603、310 bpのサイズマーカーを得る。ゲル中のDNAは、臭化エチ ジウム(シグマ)で染色した後、紫外線下に可視化される。 細胞中のアポトーシスの形態学的評価のために、細胞遠心機用スライドを作製 し、ライト−ギムザ染料で染色する。細胞を、油浸光学顕微鏡下に調べ、アポト ーシス細胞を評価する。アポトーシスは、1以上の濃く染色された核凝縮性の核 細胞収縮および膜ブロットの形成およびアポトーシス小体を含む細胞で同定し得 る[8,10]。アポトーシスの形態を示す細胞のパーセンテージを評価するために、 スライド当たり約500個の細胞がカウントし得る。生存は、トリパンブルー排除 によっても評価できる。 細胞のアポトーシスは、既に報告されている(74)ように、フローサイトメトリ ーによって評価できる。200 xgで遠心された細胞ペレット(1×106細胞)を 、1 mlの低張蛍光色素溶液(50 μg/ml PI、0.1% クエン酸ナトリウム、0.1% Tr iton X-100)に懸濁する。サンプルを終夜、暗所に4℃に置き、その後、個々の 核の蛍光を、例えばEPICSフローサイトメーター(コウルター・カンパニ ー(Coulter Co.)、ハイアリー、フロリダ州)を用いて測定する。データは、互 換性COULTERフローサイトメトリー・ソフトウェア(コウルター)を用いて分析 できる。 ノーザン・ブロットのために、トータル細胞RNAを、例えばチョムチンスキー( Chomczynski)とサッチ(Sacchi)の方法[75]によって集める。ポリ(A)+RNAを、フ ァルマシアバイオテック、ピスカタウェイ、ニュージャージー州からのような市 販されているmRNA精製キットを用いて単離し、1% アガロース/2.2 M ホルムアル デヒドゲル上で分離し、ナイロン膜フィルター(アマーシャム・カンパニー(Ame rsham Co.)、アーリントン・ハイツ、イリノイ州)に移す。ブロットを、適切な [32P]-標識DNAプローブに16時間42℃にてハイブリダイズさせる。ハイブリダイ ゼーション後、フィルターを例えば2 x SSC(20 x SSCは3 M NaCl、0.3 M クエ ン酸ナトリウム、pH 7.0)および0.1% SDSで室温にて10分間2回洗浄し、その後 、0.2 x SSCおよび0.1% SDSで42℃にて30分間1回洗浄する。ブロットを、例え ばオートラジオグラフィで可視化する。 スフィンゴシンおよびそのN-メチル化誘導体、および好ましくはジメチルスフ ィンゴシン(DMS)を使用して、特定の細胞集団中でアポトーシスを誘発し得る。 よって、標的の生物学的試料を、アポトーシスを誘発する量のス フィンゴシンまたはそのN-メチル化誘導体に曝す。生物学的試料は、細胞懸濁液 、例えば細胞系または血液のような細胞を含む組成物;組織、例えば外植片(exp lant)または生検検体の培養物;器官、例えば、移植のためのもの及びエクスビ ボ(ex vivo)治療のためのもの;または生物(organism)である。 インビトロでは、スフィンゴシンおよびそのN-メチル化誘導体は、培養培地ま たは保持培地(holding medium)に添加し得る。本明細書中に示される教示から認 識されるように、好適な最終濃度は、10-20 μMである。有効成分(一種または 複数種)は、生物学的に適合性の培地、好ましくは液体培地、例えば組織培養液 または生理食塩水に懸濁して、あるいはリポソーム中に含めるような他の手段で 提供され得る。多くのタイプのスフィンゴシンが使用され得、凝集塊濃度は上記 のようなものである。 他の適用として、本発明のスフィンゴシンは、経口的あるいは、インプラント またはデポ剤、リポソームのようなマイクロカプセル内、および他の公知の運搬 手段によるような非経口的に好適な投与を可能にする、生理学的に適合性の緩衝 液、担体または希釈剤と混合し得る。組成物は、投与される製品の好適性を指向 して、バルキング剤、乳化剤、保存剤、結合剤、充填剤などのような 他の工業的に公知の添加剤を含んでも良い。そのような投与剤型を調製する技術 は、十分に確立されている。投与される量は、当分野で公知であるような血漿の 半減期、バイオアベイラビリティおよび他の薬物動態学研究に基づいて決定し得 、上述の濃度範囲内にある。当業者は、当分野で認められている方法および製品 に関する種々の薬理学および製薬分野の教科書のいずれか、例えば、「レミント ン("Remington's")」を参照できる。 好適な運搬手段は、リポソームの使用によるような、マイクロカプセル化され た活性薬剤を使用することによる。リポソームを調製するには、パーク(Park)ら 、Cancer Res.、54: 2213-2217、1994に教示されているような、当分野で認めら れている多くの手段がある。例えば、ホスファチジルコリン、コレステロールお よびスフィンゴシンを、混合し、乾燥し、水和し及び超音波処理または押出して 、リポソームを形成する。 本発明を、ここで、下記の非制限的実施例において更に例示する。 実施例 実施例1 スフィンゴシン、N-オクタノイルスフィンゴシン(C8-セラミド)、スフイン ゴシン-1-ホスフェートおよびDM Sを、前述のように合成した[28,67-68]。全てのスフィンゴ脂質は、エタノール に溶解された。コントロール実験は、エタノール(<0.1%)をビヒクルとして用 いて行った。H7は、カルバイオケム−ノヴァバイオケム・カンパニー(Calbioche m-Novabiochem Co.)(サンディエゴ、カリフォルニア州)から得た。天然ヒトTN F-α(5×107U/ml)は、オーツカセルラーテクノロジー・イント(徳島、日 本)から得た。リボヌクレアーゼ-Aおよびウシ血清アルブミン(BSA、本質的に 脂肪酸を含まない)は、シグマケミカル・カンパニー(セントルイス、ミズーリ 州)から得た。[3H]無水酢酸は、デュポン−ニューイングランドニュクリアー( ボストン、マサチューセッツ州)からのものであった。HPLC-等級のクロロホル ムおよびメタノールおよび薄層クロマトグラフィ(TLC)プレートは、EMセパレー ションズ(ギブズタウン、ニュージャージー州)からのものであった。オートラ ジオグラフィ用エンハンサー・スプレー、Resolution TLCTMは、L.M.コーポレー ション(チェスナットヒル、マサチューセッツ州)からのものであった。 ヘパリン処理した静脈血を、健康なボランティアから得た。好中球を、上記[7 0]のように、デキストラン沈降およびFicoll-Paque(ファルマシアLKB、ウップ サラ、ス ウェーデン)クッション上の遠心により単離した。混入赤血球を低張性溶血によ り除去した後、細胞を、0.1% BSAを含むRPMI 1640で再懸濁した。そのようなプ ロセッシングにより、ライト−ギムザ染色で決定して>98%の生存好中球を生じ た。 精製された好中球(5×106/ml)を、ヒトTNF-α(3,000 U/ml)で様々な回 数処理した後、脂質を細胞から抽出した。セラミド測定のために、脂質抽出物を 、既に報告されている[71]ように大腸菌ジアシルグリセロールキナーゼとともに インキュベートした。続いて、セラミドホスフェートをTLCで単離し、セラミド 塊を定量した。スフィンゴシン濃度は、[3H]無水酢酸でアシル化するN-[3H]アセ チル化スフィンゴシンへの変換によって測定した[72]。脂質抽出物を0.1 N NaOH で1時間処理した後、メタノールおよび10 mM[3H]無水酢酸中0.008 N NaOHの1:1 溶液40μlに乾燥サンプルを溶解した。アシル化は、1時間37℃にて続けた。サ ンプルをNaOHで処理した後、N-[3H]アセチル化スフィンゴシンをTLCで単離し、 スフィンゴシン塊を定量した。 DNA断片化を、アガロースゲル電気泳動で分析した[20]。約5×106個の好中 球を、収集し、洗浄し、1mM EDTA、0.25% Nonidet P-40(シグマ)および0.1% リボヌクレア ーゼ-Aを含む50 mM Tris-HCl、pH 8.0の0.5 ml中で37℃にて30分間インキュベー トした。次に、約50μlの10 mg/ml プロテインキナーゼ-K(ベーリンガー、マン ハイム、ドイツ)を添加し、インキュベーションをさらに30分間続けた。インキ ュベーション後、0.1 mlのローディング緩衝液(0.25% ブロモフェノールブルー −0.25% キシレンシアノールFF−30% グリセロール)を加えた。約25μlの試験 管内容物を、2% アガロースゲルの各ウェルにロードし、電気泳動を10 V/cmで行 った。φX174 DNAのHae III消化物(ニューイングランドバイオラブズ,インコ ーポレーティッド、ビバリー、マサチューセッツ州)を各ゲルに適用して、サイ ズマーカーを得た。ゲル中のDNAは、臭化エチジウム(シグマ)で染色した後、 紫外線下に可視化した。 形態学的評価のために、異なる薬剤で処理した好中球(5×106/ml)を細胞 遠心機用スライドに適用し、ライト−ギムザ染料で染色した。細胞を、油浸光学 顕微鏡下に調べ、アポトーシス好中球を、1以上の濃く染色した核凝縮した核を 含む細胞として確定した[8,10]。アポトーシスの形態を示す細胞のパーセンテー ジの評価のために、500個の細胞/スライドをカウントした。トリパンブルー排 除による生存も評価した。 セラミドの細胞濃度は、TNF-α(3,000 U/ml)添加後5分で、68%(189±42か ら317±15 pmol/106細胞に)増加した。TNF-α非存在下に37℃にてインキュベー トした好中球中セラミド濃度は、不変であった。 同じ条件下で、TNF-αは、スフィンゴシン含量の増加を誘発した。スフィンゴ シン濃度は、TNF-α添加の1時間後に95%(9.1±0.2から17.7±3.4 pmol/106細 胞に)増加した。増加は、1時間の間持続的に起きた。TNF-α非存在下に37℃に てインキュベートした好中球中スフィンゴシン濃度は、29%のみ(9.1±0.2から1 1.8±1.7 pmol/106細胞に)増加した。 従って、 TNF-αによる好中球処理は、セラミドおよびスフィンゴシン両方の 濃度の増加を引き起こした。 既に報告されている[14]ように、TNF-α(3,000 U/ml)で6時間処理した好中 球からのDNAのアガロースゲル電気泳動は、インターヌクレオソーム断片化に特 徴的なパターンを有するDNA断片化を示した。エタノール・ビヒクル、細胞透過 性C8-セラミド(15 μM)またはスフィンゴシン-1-ホスフェート(15 μM)で処 理した好中球からのDNAは、断片化されなかった。しかしながら、スフィンゴシ ン(15 μM)、並びにH7(50 μM)およびDMS(15 μM)は、インターヌクレオ ソームDNA断片化を引き起こした。 スフィンゴシンの効果は、2時間後に初めて検出され、より長く処理すると増大 した。 TNF-αによるアポトーシス誘発は、既に、超微細構造検査により確認されてい た[14]。TNF-α(3,000 U/ml)またはスフィンゴシン(15 μM)で6時間処理し た好中球を光学顕微鏡で検鏡すると、1以上の濃く染色された核凝縮性の核およ び細胞質の空胞形成(vacuolation)のようなアポトーシスの形態学的特徴を有す る多くの好中球を示した。培養物中には、有意な壊死性細胞死(トリパンブルー を排除する好中球の能力によって評価される)の証拠はなかった。 単離された好中球は、自然にアポトーシスとなることが知られている[8-10]。 エタノール・ビビクルで処理した好中球中のアポトーシス細胞のパーセンテージ は、6時間の間、0±0から1.1±0.5%に増加した。TNF-α(3,000 U/ml)、スフ ィンゴシン(15 μM)、DMS(15 μM)およびH7(50 μM)で6時間処理した好 中球中のアポトーシスのパーセンテージは、それぞれ31.1±3.3、27.7±3.0、33 .1±4.1および27.6±3.0%であった。スフィンゴシンによる処理は、アポトーシ スを用量依存性に誘発した。時間経過の研究により、アポトーシスの形態学的特 徴を明示する好中球の割合が、TNF-α(3,000 U/ml)ま たはスフィンゴシン(15 μM)添加後、時間とともに次第に増加することが示さ れた。 実施例2 スフィンゴシン、DMS、スフィンゴシン-1-ホスフェート、C8-セラミドおよび[3 H]スフィンゴシン(比活性88mCi/mmol)を、既に記載されている[28,67,68,76] ように合成した。[3H]スフィンゴシンは、既に報告されている[69]ように、無水 ヘキサン酸でアシル化することにより[3H]C6-セラミドに変換され、高性能TLCで 精製された。セラミド(タイプIII;ウシ脳からの)、スフィンゴミエリン(ウ シ脳からの)、グルコシルセラミド(セラミドモノヘキソシド、CMH;ヒトのゴ シェ病の脾臓からの)、PMA、スタウロスポリンおよびPIは、シグマケミカル・ カンパニー(セントルイス、ミズーリ州)から得た。H7は、カルバイオケム−ノ ヴァバイオケム・カンパニー(サンディエゴ、カリフォルニア州)からのもので あった。[3H]無水酢酸(比活性 50mCi/mmol)は、ニューイングランドニュクリ アー(ボストン、マサチューセッツ州)からのものであった。HPLC-等級のクロ ロホルムおよびメタノールおよびTLCプレートは、EMセパレーションズ(ギブズ タウン、ニュージャージー州)からのものであった。オートラジオグラフィ用エ ンハンサー・スプレー、Resolu tion TLCTMは、L.M.コーポレーション(チェスナットヒル、マサチューセッツ州 )からのものであった。 ヒト前骨髄芽球性白血病HL-60細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレ クション、ロックビル、メリーランド州)を、10%熱不活化ウシ胎児血清を含み 、100単位/mlペニシリン、100 μg/ml ストレプトマイシンおよび2 mM L-グル タミンを補足したRPMI 1640培地中で増殖させた。細胞を、種々のスフィンゴ脂 質またはPKCインヒビターで6時間37℃にて処理し、その後、DNA断片化を分析し た。全てのスフィンゴ脂質は、エタノールに溶解させた。コントロール実験は、 エタノール(<0.1%)をビヒクルとして用いて行った。マクロファージへの細胞 分化を、細胞中で、5 nM PMAを用いて誘発した。非接着細胞を除去した後、接着 細胞を、細胞スクレイパーを用いてこすり取ることによって回収した。DNA断片 化および脂質分析のために、接着細胞および非接着細胞を混合し、収集した。 DNA断片化を、アガロースゲル電気泳動を用いて分析した[20]。約5×106個 のHL-60細胞を、収集し、洗浄し、1 mM EDTA、0.25% Nonidet P-40(シグマ)お よび0.1%リボヌクレアーゼ-A(シグマ)を含む0.5 mlの50 mM Tris-HCl、pH 8.0 中で、37℃にて30分間インキュベートし た。約50μlの10 mg/ml プロテインキナーゼ-K(ベーリンガー、マンハイム、ド イツ)を、その後添加し、インキュベーションをさらに30分間続けた。インキュ ベーション後、0.1 mlのローディング緩衝液(0.25% ブロモフェノールブルー 0 .25% キシレンシアノール FF-30%グリセロール)を加えた。約25μlの試験管内 容物を、2%アガロースゲルの各ウェルにロードし、電気泳動を10 V/cmで行なっ た。Hae IIIで消化したφX174 DNA(ニューイングランドバイオラブズ,インコ ーポレーティッド、ビバリー、マサチューセッツ州)。ゲル中のDNAは、臭化エ チジウム(シグマ)で染色した後、紫外線下に可視化した。 形態学的評価のために、HL-60細胞は、異なる薬剤で処理した後に洗浄し、細 胞遠心機用スライドを作製して、ライト−ギムザ染料で染色した。アポトーシス 細胞を、染色された細胞調製物上で、アポトーシスに特徴的な形態学的特徴(例 えば、細胞収縮、核凝縮および膜ブロットとアポトーシス小体の形成)により同 定した。 異なる薬剤で処理したHL-60細胞のアポトーシスを、既に報告されている[74] ように、フローサイトメトリーによって測定した。200 x gで遠心した細胞ペレ ット(1×106細胞)を、1mlの低張な蛍光色素溶液(50 μg/ml PI、0.1% クエン酸ナトリウム、0.1% Triton X-100)に 懸濁した。サンプルを、終夜4℃にて暗所に置き、続いて、個々の核の蛍光をEP ICSフローサイトメーター(コウルター・カンパニー、ハイアリー、フロリダ州 )を用いて測定した。データは、COULTERフローサイトメトリー・ソフトウェア (コウルター)を用いて分析した。 スフィンゴシンの細胞濃度を、既に報告されている[72]ように測定した。アッ セイは、[3H]無水酢酸を用いたアシル化による、スフィンゴシンの[3H]C2-セラ ミドへの定量的変換に基づく。簡単に述べると、1×107個の細胞を収集し、 遠心によりペレット化した。 3 mlのクロロホルム/メタノール(1/2,v/v)を 加え、十分に混合した。クロロホルムおよび1 M NaClをそれぞれ2 ml加えて、 相を分離した。 3 mlのメタノール中0.2 N NaOHを、低い方のクロロホルム相に 加え、その後、室温にて1時間インキュベーションした。クロロホルムおよび1 M NaClをそれぞれ3 ml加えて相を分離した後、低い方のクロロホルム相からの サンプルをN2下に蒸発させた。乾燥したサンプルを、再蒸留したメタノール/[3 H]無水酢酸の10 mM溶液(1/1)中0.008 N NaOHの40 μlに、超音波処理によって溶 解した。アシル化は、1時間37℃にて続けた。サンプルをNaOHで処理した後、サ ンプルは、クロロホルム/メタノール/7N NH4OH/水(80/20/0.5/0.5)を展開 溶媒 として用いてTLCプレート上でクロマトグラフィーし、Kodak X-Omatフィルムに- 80℃で露出した。[3H]C2-セラミドに対応する放射性スポットをこすり取り、液 体シンチレーション・カウンターでカウントした。アッセイは、スフィンゴシン の定量に向けられているが、スフィンゴシンとジヒドロスフィンゴシン(スフィ ンゴ脂質生合成の新規な経路中の中間体)の両方を測定する。にもかかわらず、 ジヒドロスフィンゴシンは、スフィンゴシンよりも、かなり少ない量で存在する らしい[54-56,73]。 約1×106個の細胞を、遠心によりペレット化し、0.8 mlの0.9%(w/v)NaClに 再懸濁した。続いて、3 mlのクロロホルム/メタノール(1/2)を加え、十分に混 合した。クロロホルムと1M NaClをそれぞれ1 ml加えて相を分離し、低い方のク ロロホルム相中のリン脂質含量を、エイムズ(Ames)とデュビン(Dubin)の方法[77 ]により評価した。 HL-60細胞中の外部から加えた[3H]C6-セラミド(セラミドの短鎖で細胞透過性 のアナログ)の代謝を、PMAで48時間処理して誘発される類似のマクロファージ 分化誘導体におけるそれと比較した。約1×107個の細胞を、収集し、洗浄し 、10%熱不活化ウシ胎児血清および3μM[3H]C6-セラミドを含む1 mlのRPMI 1640 培地に再懸濁した。37℃にて様々な時間インキュベーションした後、細胞脂 質をブライ(Bligh)およびダイアー(Dyer)の方法[78]により抽出した。クロロホ ルム相からのサンプルを、乾燥し、40μlのクロロホルム/メタノール(2/1)に溶 解し、続いて、TLCプレート上にスポットした。プレートを、クロロホルム/メ タノール/28%NH4OH(80/20/2)またはクロロホルム/メタノール/酢酸/水(1 00/60/20/5)で展開した。プリムリンでコントロール脂質を染色することにより 、バンドを紫外線下に可視化して同定した。Resolution TLCTMをスプレーした後 、Kodak X-Omatフィルムで-80℃にてオートラジオグラフィーを行った。スフィ ンゴシン、スフィンゴミエリンまたはCMHに対応する放射性スポットを、こすり 取り、液体シンチレーション・カウンターでカウントした。 トータル細胞RNAは、チョムチンスキーおよびサッチの方法[75]により集めた 。ポリ(A)+RNAを、mRNA精製キット(ファルマシアバイオテック(Pharmacia Biot ech)、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)により単離し、1% アガロース/2. 2 M ホルムアルデヒドゲル上で分離し、ナイロン膜フィルター(アマーシャム・ カンパニー(Amersham Co.)、アーリントン・ハイツ、イリノイ州)に移した。ブ ロットを、次の[32P]-標識したDNAプローブ:(i)プラスミドpHSR-1から生じたc- myc DNAを示すエクソン3の1. 4kbp ClaI/EcoRIフラグメント;および(ii)既に記載[80]されているPCRにより生 じたβ-アクチンDNAに、16時間42℃にてハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼ ーション後、フィルターを2 x SSC(20 x SSCは、3 M NaCl、0.3 M クエン酸ナ トリウム、pH 7.0)および0.1% SDSで室温にて10分間2回洗浄し、その後、0.2 x SSCおよび0.1% SDSで42℃にて30分間1回洗浄した。 DNAアガロースゲル電気泳動により、HL-60細胞をスフィンゴシンに6時間曝す と、H7またはスタウロスポリンのようなPKCの薬理学的インヒビターと同様に、 インターヌクレオソーム断片化に特徴的なパターンを有するDNA断片化を生じる ことが明らかにされた。エタノール・ビヒクルで6時間処理した細胞からのDNA は、断片化されなかった。スフィンゴシン濃度の増加は、DNA断片化の増大を生 じた。スフィンゴシン(10 μM)の効果は、2時間後に初めて検出され、より長く 処理すると増大した。 外部から加えたスフィンゴシンは、細胞中で、セラミドおよびスフィンゴシン −1−ホスフェートのような他のスフィンゴ脂質に変換される[52]。スフィンゴ シンの作用の特異性を評価するために、HL-60細胞を種々のスフィンゴ脂質で処 理した。細胞透過性C8-セラミド(10 μM)、スフィンゴシン-1-ホスフェート(10 μM)またはCMH(10 μM)で6時間処理すると、DNA断片化を引き起こすことはできなかった。しかし ながら、DMS(10 μM)に曝露すると、インターヌクレオソームDNA断片化を誘発し た。 アポトーシス細胞死に特徴的な形態学的特徴の出現は、スフィンゴシン(10 μ M)、H7(50 μM)およびDMS(10 μM)で6時間処理したHL-60細胞でモニターされた 。エタノール・ビヒクルは、HL-60細胞に効果を有しなかった。スフィンゴシン で処理した細胞は、培養物中に多量のアポトーシス細胞を示したが、それは、ア ポトーシスの典型的な形態学的変化、例えば細胞収縮、凝縮したクロマチンおよ び断片化した核により特徴付けられた。H7およびDMSへの曝露は、スフィンゴシ ンよりもアポトーシス性変化をより強力に誘発した。他方、スフィンゴシン、H7 またはDMSに曝露しても、マクロファージまたは好中球への細胞分化を誘発しな かった。 HL-60細胞を異なる薬剤で処理した後、アポトーシス細胞のパーセンテージを 、フローサイトメトリー法で測定した。アポトーシス細胞のDNA含量の減少は、 二倍体DNAピークから見分けられる明白な低二倍体DNAピークを生じた。エタノー ル・ビヒクルによるHL-60細胞の処理は、アポトーシスを誘発しなかったが、ア ポトーシス細胞の明らかな低二倍体DNAピークが、スフィンゴシン(10 μM)、 H7(50 μM)およびDMS(10 μM)で処理した培養物で検出された。エタノール・ビ ヒクル、スフィンゴシン(10 μM)、H7(50 μM)およびDMS(10 μM)で処理した培 養物中のアポトーシス細胞のパーセンテージは、それぞれ1.1±0.2、55.6±7.8 、72.8±10.5および84.2±11.6%であった。DMS(10μ M)への曝露は、スフィンゴ シンへの曝露よりも、より多いパーセンテージのアポトーシス細胞を生じた。 既に記載されている[35]ように、インターヌクレオソームDNA断片化が、PMAで 誘発されるマクロファージへの分化の間に起こった。HL-60細胞が5 nM PMAとと もに培養されたとき、細胞は、顕著な偽足(pseudopod)を示すマクロファージ様 接着細胞に分化するよう誘発された。インターヌクレオソームDNA断片化は、10 時間PMAで処理した後に初めて検出され、より長く処理すると増大した。非処理H L-60細胞には、検出可能なDNA断片化はなかった。アポトーシスの特徴を有する 細胞は、PMAで誘発される分化の間、光学顕微鏡によって観察された。さらに、 マクロファージに分化するHL-60細胞は、アポトーシス細胞を飲み込む(engulf) ように見えた。また、フローサイトメトリー分析によると、PMAでそれぞれ3、10 、24および48時間処理した後、アポトーシス細胞のパーセンテージは1.9、5.0、 8.6および9.4%であることが示された。 アポトーシス誘発物質として機能するスフィンゴシンの細胞濃度は、PMAで種 々の時間処理することにより分化を誘発されたHL-60細胞中で測定された。抽出 の間、可能性のある損失を修正するために、膜中で分配する(partition)スフィ ンゴシンのマス・レベルをリン脂質のモル・パーセンテージで表した。リン脂質 レベルは、PMAで誘発される細胞分化の間は、不変であった。非処理HL-60細胞中 のスフィンゴシンのレベルは、0.0394±0.0078 mol%/リン脂質(6.5±0.4 pmol /106細胞)であった。細胞中のスフィンゴシン・レベルは、細胞分化の間、 アポトーシス細胞の割合の増加に付随して増加した。PMAに48時間曝露された後 の分化したHL-60細胞中のスフィンゴシン・レベルは、非処理細胞中のそれより も、約3.3倍多かった。他方、H-7処理したアポトーシス細胞(アポトーシス細胞 のパーセンテージは、6時間インキュベーションした後、50μMで73%であった) 中のスフィンゴシンのレベルは、いかなる増加も示さなかった。即ち、コントロ ールおよびH-7処理細胞のスフィンゴシン含量は、それぞれ6.0および5.5 pmol/ 106細胞であった。 スフィンゴシンおよびスフィンゴミエリンやグリコスフィンゴ脂質のような複 合スフィンゴ脂質は、セラミドから形成される[54-56]。HL-60細胞中のスフィン ゴ脂質 代謝とマクロファージ様分化を誘発された誘導体中のそれとの間の変化を評価す るために、細胞透過性[3H]C6-セラミドを細胞懸濁液に加え、その代謝を調べた 。[3H]C6-セラミドは、[3H]スフィンゴシン、[3H]CMHおよび[3H]スフィンゴミエ リンに速やかに代謝された。48時間PMAで処理して分化したHL-60細胞中のスフィ ンゴシンおよびCMHの形成は、非処理細胞中のそれに比べて、顕著に増加した。 対照的に、それぞれの時点における、分化したHL-60細胞中のスフィンゴミエリ ン形成は、非処理細胞中でのそれの50%未満であった。 HL-60細胞は、c-mycプロトオンコジーンを過剰発現すると報告されている[81] 。c-mycの過剰発現は、HL-60細胞の高い増殖速度を維持するのに必須の役割を果 たしているかもしれない。c-mycに関するmRNAのダウンレギュレーションは、ア ポトーシスの誘発に関連していることが示されている[82]。 c-myc発現に対するスフィンゴシンの効果を調べた。c-myc遺伝子は、HL-60細 胞で構成的に発現され、スフィンゴシンに曝すと、c-myc mRNAのダウンレギュレ ーションを生じ、それは1時間という早期に検出された。スフィンゴシン(10μ M)は、4時間で60-70%のc-mycダウンレギュレーションが可能であった。 実施例3 細胞系を、ATCCから得て、推奨されるように培養した。血清の効果を調べる培 養では、培養物は、血清を含まない条件下、つまり、ウシ血清を含まない同じ培 養培地で維持した。 続いて、3つの様々な細胞の培養物を、表Iおよび表IIに示される20μMまたは 10μMの薬剤に曝した。誘発されたアポトーシスの程度を評価した。 それらの研究では、癌細胞は、スフィンゴシンのアポトーシス誘発効果に、よ り感受性が強かった。従って、正常細胞系HUVECおよびA31は、より無反応性であ り、より少ないアポトーシスを示した。HL1培地で、血清を含まない条件下で増 殖するのに順応した細胞がテストされたとき、HUVECおよびA31細胞並びに幾つか の癌細胞が、スフィンゴシンによるアポトーシス誘発の感受性の増大を呈した。 しかしながら、血清が存在するか否かにかかわらず、セラミドはアポトーシスを 誘発しなかった。 それらのデータは、形質転換細胞中でのアポトーシス誘発に関する閾値が、正 常細胞中でよりも低いことを示す。異なるメカニズムが癌細胞中で作動するのか 、或いは、アポトーシスへのエントリーが細胞サイクル段階に依存するのかのい ずれであっても、形質転換細胞の比較 的未調節またはより高い増殖速度が、より多くの細胞をアポトーシス誘発に必要 な細胞サイクル段階により早く至らせる。 実施例4 生理食塩水中の卵ホスファチジルコリン、コレステロールおよびDMSを、4.5:4 .5:1の比率に混合し、混合物を蒸発させ、リポソームを産生するよう処理する( クラフト(Kraft)およびアンダーソン(Anderson)、Nature 301: 621、1983;イガ ラシ(Igarashi)ら、Biochemistry 28: 6796、1989)。 マウスの皮下に、転移性で侵襲性のBL6細胞系(ハート(Hart)ら、Amer.J.Pa th.97: 587,1979、プート(Poote)ら、Canc.Res.42: 2770、1982)を、0.05 mlのダルベッコ改良イーグル培地中1×105細胞で注射した。 マウスの静脈に、DMSリポソーム(コントロール動物は、食塩水のみ含むリポ ソームを受ける)を注射し、注射は、5日目、10日目、15日目、20日目、25日目 および30日目に繰り返す。原発性腫瘍を、21日目に切除し、肺の転移増殖(colon ization)を、35日目に評価する。腫瘍の発育およびコロニーの発育を測定する。 腫瘍の発育およびコロニーの発育は、実験群で低下する。 引用された全ての参考文献は、全体として本明細書中に援用される。 当業者は、種々の変更および修正が、本発明の精神および範囲を逸脱すること なしに本発明に為され得ることを認識する。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1996年12月26日 【補正内容】請求の範囲: 1.(a)細胞をアポトーシス誘発に十分な量のN-メチル化スフィンゴシンに 曝すこと;および (b)該細胞を予め決めたレベルの細胞死が起こるまでN-メチル化スフィ ンゴシンの存在下に維持すること、 を包含するアポトーシスを誘発する方法。 2.前記N-メチル化誘導体がジメチルスフィンゴシンである請求項1に記載 の方法。 3.前記N-メチル化スフィンゴシンがリポソーム中に含まれる請求項1に記 載の方法。 4.前記量が10-20μMである請求項1に記載の方法。 5.前記N-メチル化スフィンゴシンが生物学的に適合性の液体中に懸濁され る請求項1に記載の方法。 6.アポトーシスを誘発する量のN-メチル化スフィンゴシンおよび生物学的 に適合性の担体または希釈剤を含む組成物。 7.前記N-メチル化誘導体がジメチルスフィンゴシンである請求項6に記載 の組成物。 8.リポソームに含まれる請求項6に記載の組成物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハコモリ センイチロウ アメリカ合衆国 98119 ワシントン シ アトル ウェスト エリオット アベニュ ー 201 ザ バイオメンブレン インス ティテュート

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(a)細胞をアポトーシス誘発に十分な量のスフィンゴシンまたはそのN- メチル化誘導体に曝すこと;および (b)該細胞を予め決めたレベルの細胞死が起こるまでスフィンゴシンま たはそのN-メチル化誘導体の存在下に維持すること、 を包含するアポトーシスを誘発する方法。 2.前記N-メチル化誘導体がジメチルスフィンゴシンである請求項1に記載 の方法。 3.前記スフィンゴシンまたはそのN-メチル化誘導体がリポソーム中に含ま れる請求項1に記載の方法。 4.前記量が10-20μMである請求項1に記載の方法。 5.前記スフィンゴシンまたはそのN-メチル化誘導体が生物学的に適合性の 液体中に懸濁される請求項1に記載の方法。 6.アポトーシスを誘発する量のスフィンゴシンまたはそのN-メチル化誘導 体および生物学的に適合性の担体または希釈剤を含む組成物。 7.前記N-メチル化誘導体がジメチルスフィンゴシンである請求項6に記載 の組成物。 8.リポソームに含まれる請求項6に記載の組成物。
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