【発明の詳細な説明】
T細胞の活性化および増殖を誘導するための抗CD3抗体−アミノデキストラン結
合体技術分野
本発明は白血球の活性化および増殖の誘導に用いる新規な抗体−アミノデキス
トラン結合体の使用に関する。特に、本発明はアミノデキストランに共有結合し
た抗CD3モノクローナル抗体の使用に関する。共有結合した抗体−アミノデキス
トラン結合体は種々の病態、例えば、AIDSおよび他の免疫不全、感染症、ガン、
自己免疫疾患、およびアトピー性疾患を伴う患者の免疫細胞機能の分析に用いる
ことができる。さらに、この技術を用いることにより、移植細胞および/または
移植組織の受容者からの白血球を機能的に評価することができる。発明の背景
医薬または疾病により誘導される免疫抑制は、T細胞および/または補助細胞
の機能に変調を起こすことがある。例えば、AIDS患者が分裂促進剤、自己抗原、
同種抗原、および可溶性抗原に対する不応答を現すことが示された。この変調し
た免疫反応性は反応(T細胞)細胞群と刺激(単球および樹状細胞)細胞群との
双方の欠陥に原因がある。AIDS患者から得られた単球にはCD4発現の減少が見ら
れるが、単球数の減少は観察されなかった。また、免疫抑制剤も抗原提示細胞の
機能を変化させることがある。これらの観察結果から、単球または樹状細胞の存
在に依存しない、T細胞を特異的に刺激する方法が好ましいことがわかった。
T細胞を活性化するには多数の方法があるが、最適な方法は抗体、またはレク
チンのような他の受容体結合種の、T細胞表面上のT細胞抗原受容体/CD3複合
体(以下TCR/CD3と称す)との多価相互作用を必要とすると考えられる。〔A.Al
tman et al.,「Crit.Revs.in Immunol.10:347-391(1990)〕。しかし、抗
体が結合したTCR/CD3複合体を架橋するための機構が存在する場合、CD3特異モノ
クローナル抗体は高度に精製された、休止T細胞に増殖を誘導することができ
J.Exp.Med.158:988-999(1983)」およびD.A.Hafler et al.,「J.Immunol.
142:2590-2596(1989)」〕、ポリスチレンビーズ〔S.Panzer et al.,「Scand.
J.Immunol.32:359-371(1990)」、または組織培養ディッシュに、抗体を結合す
ることにより、架橋条件を満足させることができることを示している。国際特許
出願公開第WO 90/04633号明細書には、T細胞活性化およびT細胞の増殖の誘導
のための、固体に支持されたモノクローナル抗体が記載されている。補助細胞、
例えば、単球も、T細胞結合抗CD3モノクローナル抗体がFc受容体を媒介する単
球細胞表面への結合により、架橋のための必要条件を満たすことができる。
細胞活性化を評価するのに用いるパラメータは、A.Altman et al.,「Crit.
Revs.in Immunol.10:347-391(1990)」に記載されている。細胞活性化は核酸合
成、タンパク質または糖タンパク質合成、細胞のサイズおよび形態、膜の完全性
、細胞構成物の発現、細胞機能、細胞成長、細胞分化および細胞成分の放出の変
化により測定されている。これらの細胞変化は、種々の多数の方法により検出さ
れるが、そのうちの多くは本明細書に引用する特許明細書および出版物に記載さ
れている。歴史的に、免疫不全病態の診断は、種々の刺激をT細胞に与えて、イ
ンビトロでこれらの細胞が活性化されるかどうかを測定する実験室試験を用いて
行われている。T細胞の不十分な反応性は、分裂促進剤、同種抗原および可溶性
抗原で刺激することにより試験されている〔R.Hongの「Manual of Clinical Im
munology、第2版、N.R.RoseおよびH.Friedman編」(American Society for
Microbiology 1980)、第3章、833-849頁〕。しかし、これらの方法はT細胞の
すべてに対して特異的ではない。分裂促進剤はT細胞およびB細胞のいずれをも
活性化する。同種抗原は適当な受容体種を有する選定されたT細胞だけを活性化
する。可溶性抗原、例えば破傷風毒素に対する応答は、患者の免疫処置歴により
影響を受けることがある。本発明の抗CD3アミノデキストラン結合体は特にすべ
てのCD3陽性細胞を活性化し、従ってこれらの問題を回避する。CD3抗原は実質的
にすべての成熟末梢Tリンパ球に見出される。この抗原はT細胞受容体複合体の
成分であり、Tiと称する、多形の、クローン型構造に非共有結合する。CD3表面
構造に対する抗体は、免疫担当Tリンパ細胞にだけ発現するT細胞受容体の定常
部のためのプローブとしてはたらく。結果として、この抗体を用いる免疫担
当T細胞の定量は迅速かつ効果的である。
前述した同時係属出願に加え、デキストランまたはデキストラン誘導体でコー
ティングした粒子が、R.J.Mrsny et al.による「Eur.J.Cell.Biol.45:200
-208(1987)」(ウアバイン−アミノデキストラン−金粒子);J.W.M.Bulte et
al.による「Magn.Reson.Med.25:148-157(1992)」(ビオチン化デキストラン
−磁性粒子)に記載されている。抗体−デキストラン型物質を担体として使用す
ることはU.Manabe et al.,による「J.Lab Clin.Med.104:445-454(1984)」
(抗体−ポリアルデヒドデキストラン−メトトレキサート);A.R.Oseroff et
al.,による「Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8744-8748(1986)」(抗体−ア
ミノデキストラン−塩素);およびS.Rakestraw et al.,による「Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 87:4217-4221(1990)(抗体−デキストランヒドラジド−Sn(IV)
塩素)に記載されている。他の結合種および架橋種は、S.S.Wangによる「"Che
mistry of Protein Conjugation and Crosslinking"」(米国、フロリダ州、ボ
カラトン所在のCRCプレス社)およびH.Maeda et al.,による「Bioconjugate Ch
em.3:351-362(1992)」に記載されている。デキストランにアミン基を導入する
標準的方法は、ポリアルデヒド−デキストランを生成するために、最初に糖類の
環状構造を切断することである。次の工程は、切断した環状構造をエチレンジア
ミンまたは1,3-ジアミノプロパンのようなジアミンと反応させてシッフ塩基複合
体を形成することである。次にこのシッフ塩基を水素化ホウ素ナトリウムで還元
することにより安定化する。前述した文献で記載されているような”アミノデキ
ストラン”化合物は、代表的に元素分析または平均分子量測定を欠いており、記
載が不十分である。さらに、これらの出版物に記載されたような過ヨウ素酸酸化
法でアミノデキストランを調製すると、分子当たりのアミノ基の割合が低くなる
。その割合は4〜5%未満であった。高度のアミン置換は従来技術の通常の条件
下には不可能であった。その理由は、高濃度のジアミンが、デキストラン中の糖
類環状構造間のグルコシド結合に広範囲のアミノ分解を起こし、著しく低い分子
量のフラグメントを生成するからである。結果として、一層高いアミン置換度を
求める場合、重合性アミノデキストラン誘導体の収率は低く、しかも劇的に減少
した。
アミノデキストランを製造する他の方法では、クロロ酢酸中で糖残基の水酸基
をカルボキシメチル化し、次いでエチレンジアミンのようなジアミンをカルボジ
イミドカップリングする。M.Brunswick et al.による「J.Immunol.140:3364
-3372(1988)」およびP.K.A.Mongini et al.による「J.Immunol.148:3892-
3902(1992)」は、この方法を用いて、67個のグルコース残基当たりに約1個のア
ミン基(1/67)を有するアミノデキストランを生成した。次に、これらの著者はこ
のアミノデキストランを用いて、B細胞の活性化および増殖を誘導するのに用い
る抗Ig抗体−アミノデキストラン結合体を調製した。
本発明はT細胞の特異的な刺激を提供するための方法として、アミノデキスト
ランに結合した抗CD3モノクローナル抗体を使用することを教示する。T細胞機
能の分析は免疫不全の診断にとって臨界的である。例えば、本明細書に記載した
CD3アミノデキストラン結合体は、AIDS患者におけるT細胞分析のために用いる
T細胞を活性化するための唯一の特異的方法を提供する。M.Clerci et al.に
よる「J.Clin.Invest.84:1892-1899(1988)」では、インビトロでのヘルパT
細胞(TH)アッセイが”HIV感染の経過の初期で多数の段階の免疫規制不全(immune
dysregulation)を検出することができる”ことが見出されている。前述したよ
うな選択性の問題を有する、破傷風毒素および同種抗原を、T細胞のための刺激
として用いている。S.C.Muluk et al.による、「Transplantation Proceeding
s 23:1274-1276(1991)」には、T細胞の監視が移植患者における免疫抑制剤の効
力を測定するのに有用となることが示されている。
本発明は、特にアミン置換度またはアミン置換割合が高いアミノデキストラン
を、抗体を架橋し、かつ得られた抗体−アミノデキストラン結合体を用いてT細
胞の活性化および増殖を誘導する手段として、使用することを教示する。本明細
書に記載した同時係属出願でアミノデキストランを用いて、ポリスチレンミクロ
スフィアならびに磁性および非磁性粒子、例えばフェライトおよび金属金粒子を
コーティングした。次に、このアミノデキストランコーティング粒子を用いて種
々のモノクローナル抗体を共有結合させる。アミン置換度およびデキストランの
重合度を変更し、得られたコーティング粒子の最適な形態を決定することができ
、この粒子に抗体を結合することができる。抗体−アミノデキストランコーティ
ング粒子と細胞との間の非特異的相互作用は、過剰の架橋剤でアミン基をブロッ
クし、次いでこの過剰の架橋剤もブロックすることにより最小にされる。発明の開示
本発明は、モノクローナル抗体の架橋剤として5〜20重量%を有するアミノデ
キストランを使用し、哺乳類細胞、特にヒト細胞の誘導および活性化に有用な抗
体−アミノデキストラン結合体を生産することに関する。特に、この結合体はヒ
トT細胞およびB細胞の活性化および増殖を誘導するのに有用である。本発明の
好適例は、T細胞の活性化および増殖を誘導するための、アミノデキストランに
結合した抗CD3モノクローナル抗体の調製および使用である。さらに本発明では
、かかる結合体を形成するのに、高いアミン置換度(10%より高い)を有する新
規アミノデキストランを使用することを記載し、代表的に約4〜5%のアミン置
換を有する、この技術で通常知られているアミノデキストランを用いて形成した
結合体での結果と比較する。比較した結果、アミン含量が高いアミノデキストラ
ンを使用するのが好ましいことをがわかった。
また、本発明は、哺乳類T細胞、特にヒト細胞を分析する方法に関する。T細
胞を含むか、または含むと考えられる試料を、本明細書に記載したように調製し
たアミノデキストラン/抗T細胞モノクローナル抗体と反応させる。得られたア
ミノデキストラン−抗体−細胞複合体を、適当な時間インキュベーションした後
、分析して、T細胞の機能またはT細胞機能の変化を評価することができる。か
かる分析で用いることができる試験には、核酸(DNAまたはRNA)の合成、タンパ
ク質または糖タンパク質の合成、細胞サイズおよび細胞の形態、膜の完全性、細
胞構成物の発現、ならびに分析する細胞を含む培地への細胞成分の放出の変化が
含まれる。この種の分析が行える代表的な疾病または疾患は、AIDS、他の非AIDS
免疫不全症、感染症、ガン、自己免疫疾患およびアトピー性疾患である。また、
この方法を用いて、組織、器官または細胞移植の受容者である患者からのT細胞
を試験することができる。移植を含むような場合では、T細胞分析に先立ち、非
Tリンパ球細胞およびそれらの未熟前駆体を刺激して、移植から生じる症状に関
連するさらなる試験を容易に行うことができる。この非T細胞には、B細胞、マ
クロファージ/単球、樹状細胞、好中球、好酸球、好塩基球、細胞障害性エフ
ェクター細胞、造血幹細胞およびこれら各細胞の未熟前駆細胞が含まれる。かか
る非T細胞およびそれらの前駆細胞を刺激する方法は、本明細書に引用した出版
物に記載されている。図面の簡単な説明
図1には、活性化していない対照T細胞を含む試料の細胞の分布を、横軸対縦
軸散点ヒストグラムで示す。
図2には、抗CD3/1×−Amdex結合体を用いることにより活性化したT細胞を
含む試料の細胞の分布を、横軸対縦軸散点ヒストグラムで示す。
図3には、抗CD3/5×−Amdex結合体を用いることにより活性化したT細胞を
含む試料の細胞の分布を、横軸対縦軸散点ヒストグラムで示す。
図4では、活性化した幼若細胞の形成における、選択した抗CD3/Amdex結合体
の効果をグラフで比較する。
図5は、抗CD3/Amdex結合体で刺激していない対照培養T細胞のDNA含量を示
す。
図6は、抗CD3/1×−Amdex結合体で活性化したT細胞のDNA含量を示す。
図7は、抗CD3/5×−Amdex結合体で活性化したT細胞のDNA含量を示す。
図8では、CD25、CD71、およびPCNA陽性細胞の割合における、選択した抗CD3
/Amdex結合体の効果をグラフで示す。発明を実施するための最良の形態
架橋した抗体は、G0/G1期で休止しているT細胞を誘導し、このT細胞を、DN
A合成を含む、容易に観察される細胞周期、S、G2/M期に進める能力が高められ
ることを示す。アミノデキストランのような、種々のコロイド粒子をコーティン
グするために用いられる可溶性重合体は、T細胞の増殖を開始させ、維持するの
に用いる抗体に適した架橋剤である必要がある。アミノデキストランはB細胞の
刺激を調節する結合体として用いられるが、これらのアミノデキストランはT細
胞には用いられなかった。本明細書では、特に10%より高いアミン置換を有する
アミノデキストランを調製するための優れた方法、およびこれらのアミノデキス
トランを抗体−アミノデキストラン結合体の形成において使用すること、次に哺
乳類細胞の活性化および増殖の刺激、特にT細胞の活性化および増殖を刺激す
るために使用することを記載する。アミン置換度およびデキストラン重合度をい
ずれも変更して、最適の形態のアミノデキストランを見出すことができ、このア
ミノデキストランを抗体担体および架橋剤として用いることができる。
本明細書に記載した実施例は、本発明を例示するもので、本発明を制限するも
のと解釈すべきではない。例えば、本明細書の実施例では、ヒトT細胞の活性化
および増殖の誘導を記載しているが、適切に選択した抗体により、他の細胞、例
えば、B細胞、および他の哺乳類種、例えばネコ、イヌまたはウマにまで本発明
の有用性を広げることができる。
2種の形態のアミノデキストランを用いて、本明細書に記載した結合体を形成
した。以下に1×−アミノデキストラン(「1×−Amdex」と略記)として記載
する、第1のアミノデキストランは、約1/32(糖残基当たりに2個の1,3-ジア
ミノプロパン)に等しい置換度、および約1,000,000ダルトンの平均分子量を有
する。以下に5×−アミノデキストラン(「5×−Amdex」と略記)として記載
する、第2のアミノデキストランは、約1/7に等しい置換度、および約350,00
0ダルトンの平均分子量を有する。
本発明で用いる抗CD3モノクローナル抗体を、米国、フロリダ州、マイアミ所
在のCoulter Corporationから入手し、標準的方法を用い、イミノチオラン(imin
othiolane)により活性化して、アミノデキストランに結合した。抗CD3モノクロ
ーナル抗体または他のT細胞活性化モノクローナル抗体の供給源は、本発明にと
って絶対的ではなく、本明細書に記載した供給源に代えて、他の供給源からのか
かる抗体を用いることができる。活性化した抗体と結合するに先立ち、これらの
アミノデキストランを、異種二官能価試薬スルホ−SMCC〔スルホスクシンイミジ
ル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート〕で活性化し
た。本発明は、活性化剤としてイミノチオランおよびスルホ−SMCCを使用するだ
けに止まらない。当業者なら、他の試薬、例えば、米国特許第5,169,754号明細
書および他の関連する出願に記載されている他の試薬を、本発明で使用したイミ
ノチオランおよびスルホ−SMCCに代えて用いることができると思われる。
本明細書および同時係属している米国特許出願第07/968,158号および第07/827
,347号明細書に記載した方法A〜Cを用いて、0より多く約20%までの範囲のア
ミン含量を有するアミノデキストランを調製することができる。方法Cは、5%
より多いアミン基を有するアミノデキストラン;特に、10%より多いアミン基を
有するアミノデキストランを調製するのに用いるのが好ましい。本明細書に記載
した中空繊維カートリッジを使用して、かかるカートリッジを用いて調製したア
ミノデキストランの分子量下限が5,000ダルトンになるように設定する。この下
限は、この処理で用いるカートリッジの選択を変更することにより、高くしたり
、または低くしたりすることができる。アミノデキストラン生成物の最大分子量
は、出発デキストラン物質の分子量に制限される。この技術で既知の酸化切断法
により調製したアミノデキストランは最大4〜5%のアミン基を有する。この技
術分野で記載されているアミノデキストランのアミン基より300〜400%多いアミ
ン基を有するアミノデキストランを、本明細書で記載した方法により調製するこ
とができる。
本明細書で記載したCoulter T3抗体以外の抗体も本発明に用いることができた
。これらの抗体には、抗CD2抗体(Coulter T11、IgG1)、および、特にT細胞受
容体のガンマ鎖に発現する85,000ダルトンの種に対する抗体(Coulter TiGamma
、IgG1)が含まれる。T3のような抗CD3モノクローナル抗体が好ましい。
本発明を非T細胞およびそれらの前駆細胞を刺激する方法に関連させて用いる
場合、用いる方法は技術文献に見出され、当業者に知られている。例えば、T細
胞だけでなくB細胞を分析し、および/または評価する場合、M.Brunswick et
al.による、「J.Immunology 140:3364-3372(1988)」に記載されているような
抗IgD抗体および抗IgMモノクローナル抗体を用いることができる。かかる場合に
は、Brunswick et al.により用いられたデキストランまたはフィコール(Ficoll)
をこの明細書で開示したアミノデキストランに置き換えることができる。マクロ
ファージを刺激し活性化する場合には、H.Maeda et al.による「Bioconjugate
Chemistry 3:351-362(1992)」に教示されたようなポリ(スチレン−コ−マレイ
ック n−ブチルエステル)−結合ネオカルチノスタチンを用いることができる
。
I.アミノデキストランの調製
方法A.アミノデキストランの少量調製
デキストランのグルコピラノースリングを部分的に切断し酸化してアルデヒド
官能基を生成させ、これらのアルデヒド基を1,3-ジアミノプロパンと結合させて
シッフ塩基結合を形成させ、シッフ塩基結合を還元して安定な炭素−窒素結合を
形成させることにより、アミノデキストランを調製した。代表的な方法では、20
gのデキストランを50mMの酢酸カリウム緩衝液、pH6.5の150mLに溶解した。25mL
の蒸留水に2.14gの過ヨウ素酸ナトリウムを加えた溶液を、激しく磁気的に混合
することにより、約10分にわたりデキストランに滴加した。得られた溶液を室温
、15〜27℃で、約1.5時間かき混ぜ、次に蒸留水に対して透析した。20mLの1,3-
ジアミノプロパンを20mLの蒸留水と混合し、この混合物を氷浴上で冷却し、強く
かき混ぜ、氷酢酸を添加することにより、pHを約15分にわたり約11.5〜約8.7に
調整した。代表的に、15〜20mLの氷酢酸を用いた。透析したデキストラン溶液を
冷却したジアミン溶液に約15〜20分にわたり滴加した。添加し終えた後、得られ
た溶液を室温で約2.25時間かき混ぜた。0.8gの水素化ホウ素ナトリウムを0.1mM
の水酸化ナトリウム10mLに溶解した還元性溶液を、このデキストラン反応混合物
に約15分にわたり室温で添加した。この反応混合物を水素化ホウ素塩の添加中に
かき混ぜて、発泡の大部分を追い出した。粗アミノデキストラン溶液を、流出液
の導電率が3〜4μmho/cmになるまで、蒸留水に対し徹底的に透析した。次に、
透析した溶液を0.2μmのフィルタで濾過し、モデルTDS-00030-A、Dura-Dry【表
8/】
テムズインコーポレーション)〕で24時間にわたり凍結乾燥して薄片状の、淡い
黄色の結晶を21%の収率で製造した。
方法B.アミノデキストランの大量調製
方法Aの操作をアミノデキストランを大量に調製するため、およびデキストラ
ンに導入するアミン基の数を増加させるために変更した。中空繊維膜濾過を透析
に置き換え、一層小さなジアミン−過ヨウ素酸モル比を用い、糖ポリマーがさら
に切断されて低分子量フラグメントになるのを防止した。また、これらの変更は
、過剰の低分子量試薬を除去する間の、過剰のジアミンと置換デキストランとの
間の接触時間を短縮させるようにはたらく。これらの変更を行わないと、高分子
量のデキストラン(例えば、デキストランT-2M)中のグルコシド結合のアミノ分
解が極めて広範囲に起こり、5,000ダルトンのカットオフ分子量より上の、アミ
ノデキストランの収率が劇的に減少した。中空糸カートリッジ〔ポリスルホン、
3ft2(約0.28m2)膜表面積、1mm繊維直径、および5,000MWカットオフモデルUF
P-5-E-6、A/G Technology Corp.(エー/ジーテクノロジーコーポレーション)
〕を、保留物線中で5〜10psi(約0.35〜0.7kg/cm2ゲージ圧)に対応する15〜20
psi(約1.05〜1.4kg/cm2ゲージ圧)を出す入力パワーポンプ(2個のポン
大流速)と垂直に装着した。濾液を50〜100mL/分で収集した。20〜30リッター
の蒸留水を用いて約6〜8時間にわたり洗浄した。導電率は約3〜4μmho/cmに
減少し、pHは6.0〜6.5であった。脱塩中、供給量を2リッターに維持し、次に酸
化したデキストランの第1洗浄では800mLに、さらにアミノデキストランの第2
洗浄では400mLに濃縮した。
標準的な大量調製では、80gのデキストランを、600mLの蒸留水を含む1クォー
ト〔リッター〕のグラスブレンダーボウルに移した。この固体を中速度で約2〜
5分間混合し、すべてのデキストランを溶解した。8.56gの過ヨウ素酸ナトリウ
ムを100mLの蒸留水に溶解し、激しく磁気的に混合することにより、得られた溶
液を約10分にわたりこのデキストラン溶液に滴加した。添加し終えた後、得られ
た混合物を室温でさらに3時間かき混ぜた。次に、得られた粘性反応混合物を蒸
留水で2リッターに希釈し、中空繊維カートリッジを用いて脱塩した。初期の導
電率は1.5mmho/cm以上であり、初期のpHは4.0であった。最終的pHが6.0〜6.5の
溶液を得るために、約18〜22リッターの蒸留水を用いた。洗浄した、酸化デキス
トラン溶液の最終的な量は800mLであった。
洗浄した、酸化デキストラン溶液に、80mLの無色の、液体1,3-ジアミノプロパ
ンを室温で約10分にわたりゆっくり添加した。次に、得られた混合物をさらに3
時間室温でかき混ぜた。かき混ぜ終えた後、1mMの水酸化ナトリウム水溶液40mL
に溶解した3.2mgの水素化ホウ素ナトリウムを、約5分にわたり室温のアミノデ
キストラン反応混合物に磁気的にかき混ぜながら添加した。水素化ホウ素ナトリ
ウムを添加し終えた後、得られた混合物をさらに1時間かき混ぜ、次に、中空繊
維カートリッジを用いて脱塩した。初期の導電率は5.0mmho/cm以上であり、初期
のpHは約12.0であった。この導電率を約3〜4μmho/cmに減少させ、pHを6.0〜6
.5に減少させるのに、約20〜25リッターの蒸留水を必要とした。最終的なアミノ
デキストラン溶液の量は400mLであった。この溶液を0.2μmの滅菌酢酸セルロー
スフィルタユニットに通し、次に、48時間にわたり凍結乾燥して、48グラムの薄
片状の、淡い黄色の結晶を収率52%で得た。
元素分析結果(C、H、N)を、上述の方法によりデキストランT-2Mから調製
した2種のアミノデキストラン試料について得た。分析結果を次に示す:
試料1. 20g規模のデキストラン、方法A(透析による脱塩)
測定値:C,43.04;H,6.60;N,1.09;
O(差引による),49.27
C46H79NO373H2Oの計算値:C,42.76;H,6.63;N,1.08;
O,49.53
試料2. 80g規模のデキストラン、方法B(膜濾過による脱塩)
測定値:C,42.53;H,6.52;N,1.01;
O(差引による),49.94
C49H84NO403H2Oの計算値:C,42.61;H,6.57;N,1.01;
O,49.81
2種の調製物におけるアミノデキストランの分析結果は非常に類似しており、
結果として、脱塩を透析により行おうが、もしくは膜濾過により行おうが、また
は酢酸緩衝液を用いようが、もしくは用いまいが、いずれでも同一の生成物が得
られたことを示した。しかし、アミノデキストランの収率は、方法Bで方法Aよ
りも31%だけ上昇した。試料1について得られた実験式、C46H84NO40は、グ
ルコース(C6H10O5)の29単位、十分にジアミン置換した糖類環状構造の1単
位(C12H28N4O3、糖類1モル単位当たり2モルのジアミン)および12単位の
水に基づく式、C46H79NO373H2Oに極めて類似している。したがって、デ
キストランにおける糖残基のジアミン置換度は、100%過ヨウ素酸塩切断および
酸化−還元平衡式によるジアミン置換に基づく理論値1/12に比べ、試料1では
1/30であった。試料2について得られた実験式、C49H90NO43は、グルコー
スの31単位、十分にジアミン置換した糖類環状構造の1単位および12単位の
水に基づく式、C49H84NO403H2Oに極めて類似している。デキストランの
ジアミンによる置換度は、試料2については1/32であった。
これと同様の結果は、1×(1×=糖残基の置換が3.3%)、2×(6.6%)、3
×(9.9%)および5×(16.5%)モル量のアミノ基を有する、平均分子量が10,000
、40,000および2,000,000ダルトン (T-10、T-40およびT-2M)のアミノデキスト
ランを用いて得られた。すべてのアミノデキストランを最初に、デキストランの
1×酸化で用いられる過ヨウ素酸ナトリウムの2および3倍量を用いる方法Aお
よびBにより調製した。シッフ塩基の生成に用いる1,3-ジアミノプロパンの量を
一定に保持した。
アミノデキストランを調製する方法AおよびBに変更を加えた。これらの方法
は、最初に米国特許出願第07/827,347号明細書に開示されている。これらの変更
は、米国特許出願第07/968,158号明細書に開示されており、過ヨウ素酸陰イオン
、ジアミン添加およびシッフ塩基の水素化ホウ素ナトリウム還元を用いたデキス
トラングルコース環状構造の酸化および切断が含まれる。この変更により、アミ
ノデキストラン、特に、従来の方法により5%未満の収率しか得られない5×ア
ミノデキストランの収率を高めることができる。一般に、第1の変更は、以前開
示した化学量論で2:1のジアミン:過ヨウ素酸塩のモル比に対し10パーセント
(10%)だけ過剰なジアミンを用いた。第2の変更では、ジアミン付加反応を約
5〜10℃の範囲の温度で行った。第3の変更では、シッフ塩基形成のための近紫
外線(UV)領域で、ジアミン付加反応を分光器により監視した。シッフ塩基形成は
、連続スペクトル分析がプラトーに達したことを示した場合に、完了したと考え
た。次にこの反応を水素化ホウ素ナトリウムの添加によりクエンチングし、シッ
フ塩基結合を炭素−窒素単結合に還元し、任意の未反応アルデヒド基をアルコー
ル基に還元した。これらの変更は、重合性糖基を低分子量フラグメントにするア
ミノ分解を減少させ、これにより、高収率の生成物が、中空繊維膜濾過により精
製し濃縮した後に得られた。3ft2(約0.28m2)の膜表面積、5,000カットオフ分
子量の1mmの繊維直径を有するポリスルホンカートリッジを用いて、中空繊維濾
過を行った。このカートリッジは、2個のポンプヘッドを有し、No.18 Norpre
20psi(約1.05〜1.4kg/cm2ゲージ圧)を出す入力パワーポンプに垂直に装着した
。この配置では、保留物線中の圧力は約5〜10psi(約0.35〜0.7kg/cm2ゲージ圧
)であった。濾液を50〜100mL/分で収集した。20〜30リッターの蒸留水を用い
て約6〜8時間にわたり洗浄した。次に、すべてのアミノデキストランを調製す
ることができる変更方法を例示するために、5×アミノデキストランの調製方法
を示す。
方法C.5×アミノデキストランの調製
T-2Mデキストラン〔50g、0.308モル、米国、ミズーリ州、セントルイス所在の
Sigma(シグマ社)、または米国、ニュージャージー州、ピスカタウニ所在のPha
rmacia(ファルマシア社)から入手〕を、300mLの蒸留水を含む1クォートまた
は1リッターのグラスブレンダボールに添加した。この混合物をすべてのデキス
トランが溶解するまで、代表的に約3〜5分の間、最大速度でブレンドした。30
0mLの蒸留水に26.75g(0.125モル)のNaIO4を溶かした溶液を、このデキストラ
ン溶液に約10分間にわたり、激しく磁気的に混合しながら添加した。過ヨウ素酸
塩を添加し終えた後、反応混合物を室温でさらに約3時間かき混ぜた。3時間後
、600mL容量の反応物は9.7mmho/cmの初期導電率および2.5の初期pHを有した。こ
の反応混合物を蒸留水で2リッターに希釈し、中空繊維カートリッジを用いて脱
塩した。約15〜18リッターの蒸留水を用いて洗浄し、導電率が10μmho/cmで、pH
が6.7の、洗浄し、酸化したデキストラン溶液600mLを得た。
この酸化デキストラン溶液を、氷浴を用いて約8℃に冷却し、23.2mL(0.275
モル)の1,3-ジアミノプロパンを、この酸化デキストラン溶液に約10分にわたり
添加した。得られた反応混合物をかき混ぜ、氷浴の温度で維持した。黄色のシッ
フ塩基の形成を、10〜15分毎に、抽出試料の335nmの近紫外線吸収を測定するこ
とにより監視した。以下には、代表的な実験における、1mm透過距離のセルを用
いた335nmの測定結果を示す:
吸光度がプラトーに達した後、1mMの水酸化カリウム水溶液19.3mLに19.3g(0
.500モル)の水素化ホウ素ナトリウムを溶かした溶液を、この反応混合物に約10
分にわたり、環境室温で磁気的に混合しながら添加した。水素化ホウ素ナトリウ
ムの添加を終えた後、この反応混合物を環境室温でさらに約2時間かき混ぜた。
かき混ぜ終えた後、1cmの経路長さのセルを用いた335nmでの分光測定は0.067単
位の吸光値を与え、この値はシッフ塩基化合物が本質的に消失したことを示した
。次に、約1,000mL容量の反応混合物を中空繊維カートリッジにより脱塩した。
この初期の導電率は43mmho/cmであり、初期のpHは11.0であった。約18〜20リッ
ターの蒸留水を洗浄溶液として用いて、4〜6μmho/cmの導電率および6.5〜7.0
のpHを有する約300mLの 5×−アミノデキストラン溶液を製造した。この5×
−アミノデキストラン溶液を0.2μmの硝酸セルロースフィルタで濾過し
stems,Inc.)で48時間にわたり凍結乾燥して、24g(収率48%)の薄片状の、
淡い黄色の結晶を製造した。元素分析値:C=45.83%、H=7.00%、N=4.49
%、O(差引による)=42.68%。C12H22O8.25Nの計算した分析値:C=46.
15%、H=7.10%、N=4.48%、O=42.26%
実際の分析に基づく実験式はC12H22O8.3Nであり、十分にジアミン置換し
た糖類環状構造(C12H28N4O3)の1単位当たり6単位のグルコースに基づく
式、C12H22O8.25Nと極めて類似している。したがって、デキストラン中の
ジアミン置換度は、100%の過ヨウ素酸塩切断およびジアミン置換に基づく1/2
.5の理論値に比べ、1/7であった。
100gおよび300gのデキストランの初期投入量を用いた繰り返し実験で前記と同
一の置換度を有する5×−Amdex 生成物を製造した。また、1×−Amdex の調製
も、方法Cを用いて100gおよび300gのレベルまでスケールアップした。300gの規
模では、中空繊維カートリッジを8.5ft2(約0.79m2)の表面積、公称5,000カッ
トオフ分子量を有する1mm繊維直径のポリスルホン膜(モデルUFP-5-E-35、A/G
Technology Corp.)に変えた。このカートリッジを酸化デキストランおよび最終
的アミノデキストラン生成物の限外濾過のために用い、塩および低分子量試薬ま
たは副生成物を除去した。300g規模での、5×−Amdex生成物および1×−Amdex
生成物の収率は、それぞれ、135g(45%)および162.1g(57%)であった。こ
れらの生成物の元素分析結果を次に示す:
1×−Amdex、300g規模のデキストラン
測定値:C,43.58;H,6.50;N,0.82;
O(差引による),49.10
C62H105NO502H2Oの計算値:
C,43.79;H,6.46;N,0.82;O,48.92
5×−Amdex、300g規模のデキストラン
測定値:C,45.67;H,6.90;N,4.04;
O(差引による),43.39
C13H24O9Nの計算値:
C,46.15;H,7.15;N,4.14;O,42.56
5×−Amdexについて得られた実験式、C19H24NO9は、68単位のグルコース
と十分にジアミン置換した糖類環状構造の1単位に基づく式、C13.2H24NO9. 5
と極めて類似している。したがって、デキストラン中の糖残基の置換度は、1
/8であった。1×−Amdexについて得られた実験式C62H110NO52は、39.3単
位のグルコース、1単位の十分にジアミン置換した糖類環状構造および2単位の
水に基づく式、C62H105NO502H2Oと類似している。したがって、デキスト
ラン中の糖残基の置換度は、1/40であった。
II.抗CD3抗体−アミノデキストラン結合体の調製
1.スルホ−SMCCを用いたアミノデキストランの活性化
25mgの1×−Amdexおよび5×−Amdexを別々の、密封性の15mL管内の1×PBS
の6.667mL部分に溶解し、3.75mg/mLの濃度を有する溶液を得た。1×PBSは、同
時係属している米国特許出願第07/961,057号明細書に記載されているように、2
リッターの蒸留水中に53.8gのK2HPO4、12.8mgのKH2PO4および340gのNaClを含む2
0×PBS溶液を希釈することにより作成する。1×−Amdexは、1×−AmdeX溶液1
ミリリッター当たりに13.5μLの10mg/mLスルホ−SMCC溶液(総量0.090mLのスル
ホ−SMCC溶液)を添加することにより活性化した。5×−Amdexは、5倍量のス
ルホ−SMCC溶液(0.450mL)を用いることにより活性化した。スルホ−SMCC溶液
をピペットでそれぞれの管に加え、渦巻き混合して良く混合し、次に、約2時間
ローラー混合した。混合し終えた後、各反応混合物を、1×PBSで平
ラフィにかけた。試料を1×PBSを用いて溶出し、約4mLの画分に集めた。280nm
で吸収を示す最初のバンド画分は、集束光線を用いたチンダル散乱により確認し
たように、高分子量の活性化アミノデキストランを含んでいる。これらの画分を
プールし、各場合に約10〜11mLの総スルホ−SMCC活性化アミノデキストランを得
た。第2の、このカラムから溶出した一層大きなバンドはチンダル散乱を示さな
かった。この第2のバンドは過剰量の低分子量スルホ−SMCC試薬を含んでいるこ
とがわかった。
2.抗体の活性化
T3モノクローナル抗体(Coulter Corporationにより販売されている抗CD3抗体
)は、2mg/mLイミノチオランの1×PBS溶液0.323mLと1.587mLの1×PBSとを含
む溶液に1.423mLのT3濃縮物(35.14mg/mL)を添加することにより活性化した。1
5mg/mLの抗体濃度および15倍のモル濃度のイミノチオランを有する得られた溶液
を、約1時間環境温度で混合した。次に、全反応混合物を1×PBSで平
た。第1のバンドピーク画分の約5mL容量を組合せて、全量で49.847mgのイミノ
チオラン−誘導化T3抗体(IT-T3と略記)を含む約10.2mLの4.887mg/mL抗体溶液
を得た。
3.スルホ−SMCC−アミノデキストランとイミノチオランT3抗体との結合体
4.887mg/mLのIT-T3溶液(約24.435mL抗体)5mLを10.4mLのスルホ−SMCC−1×
−Amdex(約25mgの1×−Amdex)溶液と約2時間混合した。これと同様にして、
4.887mg/mLのIT-T3溶液5mLを11.2mLのスルホ−SMCC−5×-Amdex(約25mgの5
×−Amdex)溶液と混合した。混合し終えた後、各混合物の全量を測定し、1×P
BS中に溶かしたL-システイン5mg/mL溶液を、この容量の0.120倍容量で各結合体
混合物に添加した。次に、このL-システイン含有混合物をさらに15分間混合し、
未反応スルホ−SMCC部分をブロックした。最後に、20mg/mLのヨードアセトアミ
ドの1×PBS溶液を、全混合物容量の0.120倍量で、さらにpH9.8の1Mホウ酸塩緩
衝液を、全混合物容量の0.120倍量で、各混合物に添加した。得られた混合物を
約30分間混合し、任意の未反応スルホヒドリル基をブロックした。
4.抗CD3−アミノデキストラン結合体の精製
Beckman J-6B遠心機を用いて、試料を含むAmocon Centripep-30管を約20分間
約2,500 rpmで遠心分離することにより、各結合体混合物の全量を約7.5mLに濃縮
した。遠心分離後、濃縮した容量の混合物を、1×PBSで平衡化した Bio-Gel
いてクロマトグラフィを行った。滴下収集モードで操作するPharmacia LKB Frac
-100コレクタを用いて、溶離剤の約4mL容量画分を収集した。これらの画分を、
280nmで操作するLKB 2138 Uvicord Sモニタを用いて監視した。カラムから溶出
した第1の広いバンドには、T3抗体−アミノデキストラン結合体が含まれる。第
1のバンドの強度の半分未満の良く分離した一層弱いバンドは、過剰のIT-T3に
よるもので、この理由は、このバンドがチンダル効果を示さず、ゲル濾過カラム
る。強い、よく分離した第3のバンドは、低分子量の過剰なブロッキング試薬に
よるものであった。1×−Amdexおよび5×−Amdexから形成した結合体を比較す
ると、T3抗体−5×−Amdex結合体は、一層長い保留時間を示す一層狭い第1の
バンドおよび極めて弱い第2のバンドを有していた。
各結合体について収集した画分を1cmの経路長さのセルを用いて280nmで分析
した。0.160より大きな吸光度を示す画分をプールした。収量は、0.301mg/mLのT
3抗体濃度を有するT3−1×−Amdex結合体が55mLであり、0.317mg/mLのT3抗体濃
度を有するT3−5×−Amdex結合体が54mLであった。これらの結果は、それぞれ
、66%および68%の出発抗体が結合体生成物に組み込まれたことを示す。結合体
中のT3のための、ELISA固相アッセイは、T3−1×−Amdexにおいて0.045mg/mLの
T3抗体濃度を示し、T3−5×−Amdexにおいては0.112mg/mLのT3抗体濃度を示し
た。A280値に比べて一層低いELISA T3値は、アミノデキストランへの結合によ
り、活性T3抗体部位の若干のブロッキングがあるか、またはスルホ−SMCC試薬か
ら生じる余分の吸光度寄与によりA280の読みが若干干渉されることを示してい
るかもしれない。
また、T3−1×−AmdexおよびT3−5×−Amdex結合体は光子相関分光法を用い
る光散乱測定(90°)により分析した。分子量およびサイズ分布プロセッサ(S
て、これらの試料を分析した。10mg/mLの濃度でデキストランT-2M、1×−Amdex
および5×−Amdex試料を分析した。平均分子量は3.1×106ダルトン(92%、デ
キストランT-2M)、1.0×106ダルトン(100%、1×−Amdex)および3.5×105ダ
ルトン(100%、5×−Amdex)であった。光散乱測定を行う前に、前述のように
調製したT3抗体−アミノデキストランを総量10mLに濃縮した。平均分子量はT3−
1×−Amdexについては3.6×106ダルトン、T3−5×−Amdexについては1.4×106
ダルトンであった。これらの結果を用い、T3抗体:1×−Amdexモル比を、(3,60
0,000−1,000,000)÷160,000=16:1のように評価し、さらにT3抗体:5×Amde
xモル比を、(1,400,000−350,000)÷160,000=6.6:1のように評価した。
5.アミノデキストランに対する飽和T3抗体結合体
約1:1の抗体:アミノデキストラン重量比を用いて結合を行う場合、T3−1
×−AmdexおよびT3−5×−Amdex結合体の初期調製物のクロマトグラムは、ある
としても、わずかな、過剰のT3抗体を示すにすぎなかった。結果として、3:1
のT3抗体:アミノデキストラン重量比および同量の各アミノデキストランを用い
て、追加の実験を行った。活性化、結合、ブロッキングおよびクロマトグラフ
ィ法は上述の方法と同一であった。しかし、クロマトグラフィ中の、狭く、強い
バンドは、各場合において一層広いT3抗体−アミノデキストランバンドを引きず
る過剰の遊離IT-T3によるものであった。IT-T3バンドはT3アミノデキストランバ
ンドに十分近いため、各場合に約半分の第1バンドが分離されるにすぎない。結
果として、T3−1×−Amdex調製物は、0.576mg/mLのT3のT3−1×-Amdex溶液75m
Lを生じ、0.466mg/mLのT3のT3−5×−Amdex溶液40mLを生じた。ELISA固相アッ
セイは、それぞれ0.392および0.301mg/mL T3抗体を与えた。光散乱の結果は、そ
れぞれ6.9×106ダルトンおよび3.6×106ダルトンの平均分子量を示した。結合体
におけるT3抗体:アミノデキストランモル比をT3−1×−Amdexについて(6,900,
000−1,000,000)÷160,000=37:1のように評価し、さらにT3−5×Amdexにつ
いて(3,600,000−350,000)÷160,000=20:1のように評価した。
III.末梢血T細胞の抗CD3−アミノデキストラン結合体を用いた活性化
A.末梢血単核細胞(PBMC)の単離
この明細書で用いた方法を室温で行った。正常な全血をEDTA(エチレンジアミ
ン四酢酸)を含む管に収集した。これらの管を500gで10分間遠心分離した。無菌
技術を用いて軟膜を収集し、1×PBSを用いて1:2(細胞:溶媒)に希釈して
分離し、PBMCインターフェースを収集し、1×PBSで希釈した。希釈した試料を3
00gで10分間遠心分離し、次に、ペレットを再懸濁し、1×PBSで希釈して300gで
10分間遠心分離することにより、1×PBSで2回洗浄した。1×PBS中での最後の
再懸濁の後、これらの細胞を計数し、細胞の生存を確かめた。これらの細胞を2
つの部分に分け、上述のように遠心分離して、次の工程のための適当な媒体に再
懸濁させた。
B.抗CD3−アミノデキストランを用いたT細胞の培養と活性化
対照細胞として用いるための非活性化細胞を10%(V/V)のCPSR-2血清代替物を
度は2.5×106細胞/mLであった。T細胞活性化のための培養物を、前記と同一の
培地に2〜4 ng/mLのホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)およ
び0.125〜0.5μg/mLの抗CD3−アミノデキストランを添加した培地中で確立した
。活性化培養物をT3−1×−AmdexおよびT3−5×−Amdexを用いて確立した。こ
れらの細胞懸濁物を37℃、5% CO2条件で72時間、T-150フラスコ中でインキュ
ベーションした。
C.対照細胞および活性化細胞のハーベスト
対照細胞ならびにT3−1×−AmdexおよびT3−5×−Amdex活性化細胞をディス
ポーザブルスクレーパーを用いて組織培養フラスコの底を擦ることによりハーベ
ストし、これらの細胞をピペットを用いて収集し、遠心管に入れた。これらの細
胞を計数し、300gで10分間遠心分離し、前記したように1×PBSで2回洗浄した
。
D.T細胞活性化のイムノフルオレセンス染色およびフローサイトメトリー分析
T細胞の活性化の程度を、細胞のイムノフルオレセンス染色、次いで、活性化
関連抗原(CD71、トランスフェリン受容体およびCD25、IL2受容体)および増殖
関連現象〔DNAおよび増殖性細胞核抗原(PCNA)〕の発現に関する染色細胞のフロ
ーサイトメトリー分析により測定した。1×106個の細胞を含む各培養物のアリ
コートを6つの標識した試料の管(3組の6つの管)に入れた。各培養物の組の
1つの管を、Coulter Corporationにより販売されている次の試薬で染色した。
管1:IgG2a−FITCアイソタイプ対照
管2:IL−2R1−FITC(IgG2a、CD25)
管3:IgM−FITCアイソタイプ対照
管4:T9−FITC(IgM、CD71)
管5:IgG1、アイソタイプ対照およびヨウ化プロピディウム(DNAを標識する
ため)
管6:PCNA(IgG1)およびヨウ化プロピディウム
各組の細胞(対照、T3−1×−Amdex活性化およびT3−5×−Amdex活性化)に
ついて、細胞表面の染色のために、これらの細胞を適当なFITC結合モノクローナ
ル抗体と15分間室温でインキュベーションすることにより、管1〜4を処理した
。次に、インキュベーションした細胞を1×PBSで希釈し、300gで10分間遠心分
離し、懸濁させ遠心分離し最後に1mLの1×PBSで再懸濁させることにより1
×PBSで洗浄した。
細胞内抗原を染色するために、20μg/mLのリゾホスファチジルコリンを含む1
%パラホルムアルデヒド溶液1mLに、対照細胞または活性化細胞ペレットを懸濁
させ、得られた懸濁物を2分間室温でインキュベーションすることにより、管5
および6中の細胞を処理した。インキュベーション後、これらの細胞を1mLの約
10℃の無水メタノールに再懸濁させ、氷上で約10分間インキュベーションし、遠
心分離した。次に、得られたペレットを1mLの0.1%NP-40(Sigma Chemicalから
入手し得る)中で、約5分間約0℃でインキュベーションし、遠心分離し、次に
、IgG1(管5)およびPCNA(管6)モノクローナル抗体と一緒に、約15分間室温
で再びインキュベーションした。これらの細胞を1×PBSで洗浄し、FITCに結合
したヤギ抗マウス免疫グロブリンと一緒に、さらに15分間室温でインキュベーシ
ョンした。1×PBSで洗浄した後、1mLのヨウ化プロピディウムを各管に添加し
た。
試料を488nmのAr+イオンレーザラインおよびパワーパックアップグレードを
ルオレセンス信号を収集した。FL1はFITCフルオレセンス発光を示し、FL3はヨウ
化プロピディウムによるフルオレセンス発光を示す。横方向光散乱(FS)は細胞サ
イズを示し、90°光散乱(LSS=縦対数散乱)は、細胞の複雑性または粒度の指
標を与える。単一パラメータ分析(CD25およびCD71)に際しては、リニアカーソ
ルをアイソタイプ対照ヒストグラム上に配置することによって、細胞の2%がカ
ーソルに含まれ、大部分の細胞が除外されるようにした(陰性対照)。結果とし
て、CD25およびCD71陽性細胞を、十分なフルオレセンス光を放射し、カーソルに
より規定される領域内に入るような細胞と定義した。PCNAおよびDNAについての
2パラメータ分析では、矩形分析領域をアイソタイプ対照ヒストグラム上に描く
ことにより、2%の細胞がこの矩形内に含まれ、大部分の細胞が除外されるよう
にした(陰性対照)。したがって、PCNA陽性細胞を十分なフルオレセンス光を放
射し、規定領域内に入るような細胞と定義した。DNAの量が増加すると、細胞に
取り込まれるヨウ化プロピディウムの量も増加する。G0/G1、S、G2/M期の
分析結果は、T3−5×−Amdex(飽和)結合体の刺激により、幼若細胞形成、
細胞表面活性化マーカー(CD25およびCD71)の発現、DNA合成および増殖関連抗
原(PCNA)の発現により測定されるような最適なT細胞活性化が起こることを示す
。図1〜4、および表2を検討することにより決定することができるように、増
加した横軸光散乱および90°光散乱により測定したような、活性化幼若細胞の割
合は、T3−5×−Amdex結合体を用いて刺激した後に、最大であった。また、D
よりサイクリング細胞の最大割合が得られることを示した(図5〜7および表2
)。これと同様に、CD25、CD71およびPCNA陽性細胞の割合は、図8および表2に
示すようにT3−5×−Amdexを用いた活性化後に最適であった。
T細胞の抗CD3誘導活性化および増殖は、T細胞表面上でのCD3分子の架橋を必
要とする。この条件は単球細胞表面上での抗CD3のFc媒介結合によって満たされ
る場合がある。表2および図1〜8に示すデータは、単球含有培養物から得た。
T細胞を精製し、T3モノクローナル抗体単独、または、観察されたT細胞活性化
および増殖の増強が5×−Amdex結合体の使用のためであることを確認するため
に、5×アミノデキストランに結合したT3抗体と一緒に培養した。末梢血単核
を、90分間にわたりプラスチックに接着させることにより除去した。B細胞およ
び残りの単球をB4およびMo2結合磁性ビーズを用いて減少させ、本質的に純粋な
(イムノフルオレセンス分析により95%より高いとされた)T細胞を前述のよう
に培養した。表3に示す、これらの結果は、単球を含む培養物がT3単独の存在下
に活性化されるが、精製したT細胞調製物では活性化されないことを示す。両細
胞調製物では、T3−5×−Amdexを添加することにより同様の活性化が得られた
。
精製T細胞を用いた他の実験により、1×結合体に対する5×の卓越性に関す
る前記知見を確認した。かかる実験の結果を表4に示す。
次の表に示すデータは表示された図に対応する。
請求の範囲を次に示す:
【手続補正書】特許法第184条の7第1項
【提出日】1994年10月25日
【補正内容】
請求の範囲
1.約7〜20重量%のアミン基を有する水溶性アミノデキストラン化合物上に存
在するアミン基に共有結合した抗体が含まれ、前記抗体が多重抗体キレート化剤
としてはたらくことを特徴とする抗体−アミノデキストラン結合体。
2.前記アミノデキストランが約15〜17重量%のアミン基を有する請求項1に記
載の結合体。
3.前記抗体がモノクローナル抗体である請求項1に記載の結合体。
4.前記抗体が抗CD3モノクローナル抗体である請求項3に記載の結合体。
5.選択した哺乳類細胞の活性化および増殖を誘導するのに用いることができる
モノクローナル抗体と前記抗体が結合する7〜20重量%のアミン基を有する水溶
性アミノデキストランとが含まれ、前記抗体が多重抗体キレート化剤としてはた
らくことを特徴とする抗体−アミノデキストラン結合体。
6.前記抗体とアミノデキストランとが架橋基により共有結合されている請求項
5に記載の結合体。
7.前記アミノデキストランが10〜17重量%のアミン基を含む請求項5に記載の
結合体。
8.前記アミノデキストランが15〜17重量%のアミン基を含む請求項7に記載の
結合体。
9.前記哺乳類細胞がT細胞、B細胞である請求項5に記載の結合体。
10.前記細胞がT細胞である請求項9に記載の結合体。
11.前記モノクローナル抗体がT細胞およびB細胞よりなる群から選択した細胞
上に存在する抗原を標的にする請求項6に記載の結合体。
12.前記抗体がT細胞上の抗原を標的にする請求項11に記載の結合体。
13.前記抗体が抗CD3モノクローナル抗体である請求項12に記載の結合体。
14.前記抗体がフルオレセンス標識を有する請求項5に記載の結合体。
15.選択した哺乳類細胞の活性化および増殖を誘導するにあたり、
(a)複数のモノクローナル抗体を7〜20重量%のアミン基を有するアミノデキ
ストラン分子に結合し;前記抗体が多重抗体キレート化剤としてはたらき;(b
)前記結合体を前記選択哺乳類細胞を含む試料と反応させて前記結合抗体を前記
選択細胞に結合させ、これにより前記細胞の活性化および増殖を誘導し;および
前記試料を得られた結合抗体−選択細胞種について分析する工程を含むことを特
徴とする細胞の活性化および増殖を誘導する方法。
16.前記抗体を抗T細胞モノクローナル抗体および抗B細胞モノクローナル抗体
よりなる群から選択する請求項15に記載の方法。
17.前記モノクローナル抗体がT細胞上のCD3部位に特異的である請求項16に
記載の方法。
18.前記アミノデキストランが10〜17重量%のアミン基を含む請求項15に記載
の結合体。
20.哺乳類T細胞機能を分析するにあたり、
(a)哺乳類T細胞を含む試料をアミノデキストラン/抗T細胞モノクローナ
ル抗体結合体と反応させ、前記アミノデキストランが7〜20重量%のアミン基を
有し;前記抗体が多重抗体キレート化剤としてはたらき;および
(b)工程(a)の生成物を分析して、核酸合成の変化、タンパク質または糖タン
パク質合成の変化、細胞サイズおよび形態の変化、膜完全性の変化、細胞内構成
物の発現の変化、細胞機能の変化、細胞成長の変化、細胞分化の変化および細胞
を含む培地への細胞成分の放出の変化よりなる群から選択した少なくとも1種の
変化についての試験を用いることによりT細胞機能を評価する工程を含むことを
特徴とする哺乳類T細胞の機能を分析する方法。
21.前記分析が、AIDS、非AIDS免疫不全、感染症、ガン、自己免疫疾患およびア
トピー性疾患よりなる群から選択した少なくとも1種の疾病または疾患について
のものである請求項20に記載の方法。
22.前記試料中のT細胞を移植細胞、移植組織、移植器官の受容者から得る請求
項20に記載の方法。
23.請求項20の工程(b)に先立ち、非T白血球細胞およびそれらの未熟前駆体
を選択した薬剤で刺激して、前記疾病または疾患のためのさらなる試験を促進す
ることができる請求項21に記載の方法。
24.請求項20の工程(b)に先立ち、非T白血球細胞およびそれらの未熟前駆体
を選択した薬剤で刺激して、前記移植に関するさらなる試験を促進することがで
きる請求項22に記載の方法。
25.前記アミノデキストランが10〜17重量%のアミン基を含む請求項20に記載
の方法。
26.前記アミノデキストランが15〜17重量%のアミン基を含む請求項25に記載
の方法。
27.前記非T白血球を、B細胞、マクロファージ/単球、樹状細胞、好中球、好
酸球、好塩基球、細胞障害性エフェクタ細胞、造血幹細胞およびそれらの細胞の
未熟前駆細胞よりなる群から選択する請求項23に記載の方法。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年6月12日
【補正内容】
請求の範囲
1.約7〜20重量%のアミン基を有する水溶性アミノデキストラン化合物上に存
在するアミン基に共有結合した抗体が含まれ、前記抗体が多重抗体キレート化剤
としてはたらき、前記アミノデキストランが抗体の分子量より大きな分子量を有
し、および前記抗体対前記アミノデキストランのモル比が2以上であることを特
徴とする抗体−アミノデキストラン結合体。
2.前記アミノデキストランが約15〜17重量%のアミン基を有する請求項1に記
載の結合体。
3.前記抗体がモノクローナル抗体である請求項1に記載の結合体。
4.前記抗体が抗CD3モノクローナル抗体である請求項3に記載の結合体。
5.選択した哺乳類細胞の活性化および増殖を誘導するのに用いることができる
モノクローナル抗体と前記抗体が結合する7〜20重量%のアミン基を有する水溶
性アミノデキストランとが含まれ、前記抗体が多重抗体キレート化剤としてはた
らき、前記アミノデキストランが抗体の分子量より大きな分子量を有し、さらに
前記抗体対前記アミノデキストランのモル比が2以上であることを特徴とする抗
体−アミノデキストラン結合体。
6.前記抗体とアミノデキストランとが架橋基により共有結合されている請求項
5に記載の結合体。
7.前記アミノデキストランが10〜17重量%のアミン基を含む請求項5に記載の
結合体。
8.前記アミノデキストランが15〜17重量%のアミン基を含む請求項7に記載の
結合体。
9.前記哺乳類細胞がT細胞である請求項5に記載の結合体。
10.前記細胞がT細胞である請求項9に記載の結合体。
11.前記モノクローナル抗体がT細胞上に存在する抗原を標的にする請求項6に
記載の結合体。
12.前記抗体がT細胞上の抗原を標的にする請求項11に記載の結合体。
13.前記抗体が抗 CD3モノクローナル抗体である請求項12に記載の結合体。
14.選択した哺乳類細胞の活性化および増殖を誘導するにあたり、
(a)複数のモノクローナル抗体を7〜20重量%のアミン基を有するアミノデキ
ストラン分子に結合し;前記抗体が多重抗体キレート化剤としてはたらき;(b)
前記結合体を前記選択哺乳類細胞を含む試料と反応させて前記結合抗体を前記選
択細胞に結合させ、これにより前記細胞の活性化および増殖を誘導し;および前
記試料を得られた結合抗体−選択細胞種について分析する工程を含むことを特徴
とする細胞の活性化および増殖を誘導する方法。
15.前記抗体を抗T細胞モノクローナル抗体よりなる群から選択する請求項14
に記載の方法。
16.前記モノクローナル抗体がT細胞上のCD3部位に特異的である請求項15に
記載の方法。
17.前記アミノデキストランが10〜17重量%のアミン基を含む請求項14に記載
の方法。
18.哺乳類T細胞機能を分析するにあたり、
(a)哺乳類T細胞を含む試料をアミノデキストラン/抗T細胞モノクローナル
抗体結合体と反応させ、前記アミノデキストランが7〜20重量%のアミン基を有
し;前記抗体が多重抗体キレート化剤としてはたらき;および
(b)工程(a)の生成物を分析して、核酸合成の変化、タンパク質または糖タンパ
ク質合成の変化、細胞サイズおよび形態の変化、膜完全性の変化、細胞内構成物
の発現の変化、細胞機能の変化、細胞成長の変化、細胞分化の変化および細胞を
含む培地への細胞成分の放出の変化よりなる群から選択した少なくとも1種の変
化についての試験を用いることによりT細胞機能を評価する工程を含むことを特
徴とする哺乳類T細胞の機能を分析する方法。
19.前記分析が、AIDS、非AIDS免疫不全、感染症、ガン、自己免疫疾患およびア
トピー性疾患よりなる群から選択した少なくとも1種の疾病または疾患について
のものである請求項18に記載の方法。
20.前記試料中のT細胞を移植細胞、移植組織、移植器官の受容者から得る請求
項18に記載の方法。
21.請求項18の工程(b)に先立ち、非T白血球細胞およびそれらの未熟前駆体
を選択した薬剤で刺激して、前記疾病または疾患のためのさらなる試験を促進す
ることができる請求項19に記載の方法。
22.請求項18の工程(b)に先立ち、非T白血球細胞およびそれらの未熟前駆体
を選択した薬剤で刺激して、前記移植に関するさらなる試験を促進することがで
きる請求項20に記載の方法。
23.前記アミノデキストランが10〜17重量%のアミン基を含む請求項18に記載
の方法。
24.前記アミノデキストランが15〜17重量%のアミン基を含む請求項23に記載
の方法。
25.前記非T白血球を、B細胞、マクロファージ/単球、樹状細胞、好中球、好
酸球、好塩基球、細胞障害性エフェクタ細胞、造血幹細胞およびそれらの細胞の
未熟前駆細胞よりなる群から選択する請求項21に記載の方法。
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(72)発明者 メイプルズ ジョン エイ
アメリカ合衆国 フロリダ州 33138 マ
イアミ ショアーズ エヌ イー ナイン
ティファースト テラス 958
(72)発明者 シーマン オラヴィー
アメリカ合衆国 フロリダ州 33331 デ
ィヴィー コブルストーン コート
15920
(72)発明者 ケニオン ノーマ スー
アメリカ合衆国 フロリダ州 33134 コ
ーラル ゲイブルス ナヴァラ アヴェニ
ュー 753
(72)発明者 ヘリー シンシア ジー
アメリカ合衆国 フロリダ州 33183 マ
イアミ エス ダブリュー シックスティ
サード テラス 14624