JPH10506093A - カチオン性両親媒性化合物 - Google Patents

カチオン性両親媒性化合物

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JPH10506093A JP8502097A JP50209796A JPH10506093A JP H10506093 A JPH10506093 A JP H10506093A JP 8502097 A JP8502097 A JP 8502097A JP 50209796 A JP50209796 A JP 50209796A JP H10506093 A JPH10506093 A JP H10506093A
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    • C07F9/09Esters of phosphoric acids
    • C07F9/10Phosphatides, e.g. lecithin

Abstract

(57)【要約】 ホスファチジルコリン又はホスファチジルエタノールアミンのようなジアシルホスファチジル両性イオン性化合物のアルキル又はアルコシキシアルキルO−リン酸エステルであるカチオン性両親媒性化合物が提供される。両親媒性化合物は、高分子化合物を細胞内に輸送するためのキャリアとして使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 カチオン性両親媒性化合物 序論 発明の分野 本発明は、薬剤(遺伝子療法に使用する核酸を包含する)用のリポソームおよび 他の脂質含有担体を調製するために使用する生分解性ないし無毒性の成分である カチオン性両親媒性化合物に関する。本発明のカチオン性両親媒性化合物の例は 、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンの誘導体である 。 背景 リポソームは、生物学的担体として使用する多くの脂質含有材料の一種であり 、多くの薬学的および他の生物学的状況で、とりわけ薬物、放射線療法剤、酵素 、ウイルス、転写因子および他の細胞ベクターを種々の培養セルラインおよび動 物に導入するために、有効に用いられている。リポソームを介した薬物デリバリ ーが、リポソームに封入した薬物を特異的組織および特定種の細胞にもたらすの に有効であることは臨床試験により示されている。例えば米国特許第52646 18号には、脂質担体を使用する多くの方法(リポソームおよび薬剤組成物の調 製、並びにそのような組成物の臨床的使用を包含する)が記載されている。しか し、リポソームを介するベクターの使用の基本的方法は開発が進んでいるが、こ の方法において使用する材料は、生体適合性および担体の有効性に関して、更に 改善することが望ましい。 とりわけ、ヒトおよび/または種々の商業的有用動物における外因性遺伝子の 発現は、最終的に、多くの重要なヒトの疾病の予防および/または治療、並びに 商業的に重要な性質を有する動物の開発をもたらし得る。遺伝子は高分子量のポ リアニオン性分子で、その担体仲介デリバリーには通例、インビトロまたはイン ビボでの細胞のDNAトランスフェクションが必要である。従って、特定の組織 または細胞におけるクローン化遺伝子のデリバリーおよび最終的な発現を向上し 得る脂質トランスフェクションベクターを開発することは重要である。処置法に よっては遺伝子(または他の薬学的生成物)を反復投与することがあるので、脂質 担体は、反復投与後もホストに対し無毒性であることも重要である。 関連文献 リポソームを官能化するための両親媒性ホスファチジルエタノールアミン複合 体が、ロー(Law)ら(1986)テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett ers)、27:271−274に開示されている。1,2−ジパルンミトイル−S N−グリセロ−3−ホスホエステルの合成方法が、ブルジク(Bruzik)ら(19 86)ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、 51:2368−23270に開示されている。この合成の中間体として、ジパ ルミトイルホスファチジルコリンのO−メチルエステルが合成された。 DNAの担体としてリポソームを使用することは、下記のものを包含する多く の文献に記載されている:フリードマン(Friedmann)(1989)サイエンス(Sc ience)、244:1275−1281;ブリンガム(Brigham)ら(1989)アメ リカン・ジャーナル・オブ・メディカル・サイエンシーズ(Am.J.Med.Sci .)、298:278−281;ナベル(Nabel)ら(1990)サイエンス、249 :1285−1288;ハジンスキー(Hazinski)ら(1991)アム・ジェイ・レ スプ・セル・モレク・ビオル(Am.J.Resp.Cell Molec.Biol.)、4: 206−209;ワン(Wang)およびファン(Huang)(1987)プロシーディン グズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ(Proc.Natl. Acad.Sci.)(USA)、84:7851−7855。リポソームに関する他の 文献には、リガンド特異的カチオン系輸送システムと組み合わせたリポソーム[ ウー(Wu)およびウー(1988)ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミスト リー(J.Biol.Chem.)、263:14621−14624]、または裸のD NA発現ベクターの使用[ナベルら(1990)サイエンス、249:1285− 1288;ウォルフ(Wolff)ら(1990)サイエンス、247:1465−146 8]が記載されている。 ブリンガムらのグループのアメリカン・ジャーナル・オブ・メディカル・サイ エンシーズ(1989)298:278−281およびクリニカル・リサーチ(C linical Research)(1991)39(アブストラクト)には、DNAリポソー ム複合体の静脈内または気管支内投与による、マウス肺のインビボトランスフェ クションが報告されている。ストリブリング(Stribling)らのプロシーディング ズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ(USA)89:11 277−11281(マウス肺へのトランスジーンのエアロゾルデリバリーのた めの担体としてリポソームを使用することが報告されている)、およびヨシムラ( Yoshimura)ら(1992)ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Aci ds Research)20:3233−3240も参照。 カチオン性脂質担体が、プラスミドDNA[フェルグナー(Felgner)ら、プロ シーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズUSA (1987)84:7413−7417]、mRNA[マロン(Malone)およびケロフ (Keloff)、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ エンシーズUSA(1989)86:6077−6081]、および精製転写因子[ デブズ(Debs)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(1990 )265:10189−10192](機能形態)の細胞内デリバリーを仲介するこ とが報告されている。 発明の概要 生分解性カチオン性両親媒性化合物、およびその使用方法を提供する。本発明 の両親媒性化合物は、天然、合成または半合成のホスホグリセリドから、ホスホ グリセリドのホスフェート部分に中性基で変更を加えることによって合成する。 本発明のカチオン性両親媒性化合物は、核酸および他の生物学的化合物と複合体 を形成することができ、その核酸複合体は、哺乳動物細胞を形質転換することが できる。本発明の両親媒性化合物は、内因性酵素の作用を受けると、無毒性の分 解産物を生成する。 特定の態様の説明 生物学的活性分子(例えば抗生物質、または細胞形質転換に使用する核酸)の ための担体として有用な、代謝可能なカチオン性両親媒性化合物を提供する。本 発明の両親媒性化合物を用いて調製する組成物は核酸のデリバリーに特に有用な ので、核酸担体としてのカチオン性両親媒性化合物の使用について詳細に説明す る。しかし、本発明の両親媒性化合物は、通常の薬物デリバリー、例えば患者の 肺への抗生物質デリバリーにも有用である。とりわけ、本発明の両親媒性化合物 /DNA(哺乳動物組織の細胞の形質転換用)複合体は、代謝分解を受けても毒性 の分解産物の生成量が少ない。 本発明は特に、リン含有カチオン性両親媒性化合物であって、それ自体無毒性 であり、その二次生成物(例えば酵素分解によるもの)も、ホストに無毒であるか 、またはホストの内因性物質と同じであるという両親媒性化合物に関する。すな わち、本発明の両親媒性化合物は、毒性二次生成物の蓄積なく反復使用できるの で、ヒトに対し使用し易いという利点を有する。 明らかなように、本発明のカチオンは、1種またはそれ以上のアニオン、例え ばヒドロキシド、クロリド、もしくはブロミドイオン、またはより複雑な有機ア ニオンもしくは塩基と共に存在しなければならない。両親媒性カチオンに対する アニオンの種類は、両親媒性カチオンの生成または使用に重要ではなく、組成物 の使用において他のアニオンに(全部または一部)交換し得る。従って、本発明の 両親媒性化合物に関する明細書中の説明は全般に、アニオンの種類を特定するこ となくカチオンに関して行う。ただし、複数の例示、およびアニオン選択の一般 的説明は行う。ヒトへの投与には、好ましいアニオンはクロリドである。ブロミ ドまたは他の生理学的に許容し得るアニオン(アセテート、スクシネートおよび シトレートを包含する)も適当である。 本発明のカチオン性両親媒性化合物は、式: [式中、Zは炭素数1〜6のアルキル又はアルコキシアルキル、 R及びR1は、独立に炭素数11〜29の直鎖脂肪族炭化水素基、 Xは式: −CH2−(CH2)n−N+(R2)3 (ここで、nは1〜4の整数、各R2は水素又は炭素数1〜4の低級アルキル である。) で示されるカチオン性基を表す。] で示されるジアシルホスファチジル誘導体である。 好ましい式Iのジアシルホスファチジル誘導体は、Zがアルキルである化合物 である。やはり好ましい化合物は、R及びR1が独立に炭素数14〜24の天然 脂肪酸(即ち、例えばR−COOHがR−の対応する脂肪酸である。)のアルキ ル又はアルケルニル基である誘導体である。また、nが1であるカチオンも好ま しい。化合物O−メチルジパルミトイルホスファチジルコリンは、本発明の化合 物から特に排除されるが、これは、この化合物が、ブルツィク(Bruzik et al )ら、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.) ,51:2368−2370(1986)に開示されているように1,2−ジパ ルミトイル−SN−グリセロ−3−ホフホエステルの合成の際に中間体として調 製されていたからである。しかしながら、このような化合物の生物学的キャリア としての使用は開示されておらず、O−メチルジパルミトイルホスファチジルコ リンの生物学的キャリアとしての使用は、本発明の方法の範囲に含まれる。 式Iのカチオン性両親媒性化合物は、対応する酸性又は両イオン性ジアシルホ スファチジル化合物のO−置換リン酸エステルであり、1つの製造方法により、 対応する化合物から容易に製造でき、それらの多くは市販されている。酸性及び 両イオン性両親媒性化合物は、式: [式中、各Mは、それが結合しているカルボキシル基と共に脂肪酸残基から誘 導される。] で示される多数の既知コリン誘導体により表される。式IIIの化合物は、両親媒 性であり、ホスフェート基の存在から生じる酸性を示す。対照的に、式IのO− エ ステルは、ホスフェート酸素のエステル化によりホスフェート酸素上の負の電荷 が除去されるので、カチオンである。 式Iのカチオン性両親媒性化合物中、各R及びR1は、それが結合しているカ ルボキシル基と共に、炭素数12〜30、好ましくは炭素数15〜25の直鎖脂 肪族ヒドロカルボン酸残基から得られる。そのようなカルボン酸残基は、天然脂 肪中に存在しているので、一般に脂肪酸と呼ばれる。酸残基は、飽和又はエチレ ン性不飽和であってよく、式Iのカチオン中では、R及びR1は同一であっても 異なっていてもよい。脂肪酸残基の例は、ラウロイル、ミリストイル、パルミト イル、ステアロイル、リノレオイル、トリデカノイル及びオレオイル脂肪酸であ る。カチオン性両親媒性化合物を合成する本発明の1つの形態では、R及びR1 は同じであるのが有利である。あるいは、本発明の化合物が天然物質から製造さ れる場合、R及びR1は、しばしば異なっている。 適当なZは、直鎖又は分岐であってよいアルカノール又はアルコキシアルカノ ールから誘導される。Zの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n −ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−メトキシエチル、3−エ トキシプロピル、及び3−メトキシプロピルである。好ましいZは、直鎖アルキ ル基であり、より好ましくはZはメチル又はエチルであり、特にメチルである。 適当なXの例は、(命名が複雑であるので)以下の式で示す: −CH2-CH2−N+(CH3)3 −CH2-CH2−N+3 −CH2-CH2−CH2−N+(CH3)2(CH2CH3) −CH2-CH2−N+2(CH3) −CH2-CH2-CH2−N+(CH3)3 −CH2-CH2−CH2−N+H(CH3)2 好ましいXは、nが1であり、各R2が独立に水素又はメチルである基である 。 本発明のカチオン性両親媒性化合物の命名も、かなり複雑であるが、本発明の 範囲に含まれるカチオンの構造は上記式I及び与えられた用語の定義から明らか である。一般に、カチオン性両親媒性化合物は、ジアシルホフファチジン酸のO , O'−エステルであり、X及びZがエステル化基である。式IIIの物質についての 通常の命名方法にならって、X基は、それが誘導されるヒドロキシル化合物によ り命名される。従って、Xがコリニル、即ち−CH2-CH2−N+(CH3)3である カチオンの場合、このカチオンは、ジアシルホスファチジルコリンのO−アルキ ル又はO−アルコキシアルキルエステルである。同様に、Xが−CH2-CH2− NH2であるジアシルホスファチジン酸誘導体のO−エステルは、ジアシルホス ファチジルエタノールアミンのO−アルキルエステルと呼ばれる。例として示す と、式: のカチオン性両親媒性化合物は、O−エチルジパルミトイルホスファチジルコリ ンである。 式: のカチオン性両親媒性化合物は、O−メチルジパルミトイルホスファチジルエタ ノールアミンのメチル四級アンモニウム誘導体である。 式Iのカチオン性両親媒性化合物は、常套の合成方法により製造される。例え ば、両イオン性ジアシルホスファチジン酸(例えば、ジアシルホスファチジルコ リン)は、Zを誘導するヒドロキシル化合物(例えば、メタノール)の実質的等 量によりエステル化される。実際には、エステル化は、メタンスルホニルクロリ ド又はp−トルエンスルホニルクロリドのようなスルホニルハライドや、ピリジ ン、ピコリン又はルチジンのような有機塩基の存在により促進される。ジミリス トイル、ジパルミトイル、ジステアリル及び卵(アシル基の混合物)ホスファチ ジルコリンのメチル、エチル、プロピル及びブチル誘導体はすべて、この方法を 用いて製造することができる。 あるいは、ジアシルホスファチジル反応体が、Xアルコール残基を無電荷アミ ノアルコール、例えば から誘導した化合物である合成も行うことができる。このようなアミノアルコー ル誘導体は、実際の合成工程中又は前のプロトン化の結果、少なくとも部分的に 両イオン性であってよく、所望のアルコール、スルホニルハライド及び塩基と接 触させて、所望のO−エチルを得る。しかしながら、いずれかのR2基が水素で あるなら、嵩高い「シールド」基を導入してアミノ官能基を「保護」し、エステ ル化工程中アミノ水素の反応を防止することが必要である。このような保護は、 常套であり、典型的には、アミノ基とトリフェニルメチルクロリド(トリチルク ロリド)又はt−ブトキスカルボニルクロリド(BOC)との反応により行われ る。エステル化の後、保護基は、常套の方法、例えば加水分解により取り除く。 式VIの化合物に対応するO−エステルは、製造中にプロトン化されていないなら 、後の常套のプロトン化又は臭化メチルのようなハロゲン化アルキルとの反応に より、式Iの四級アンモニウムカチオンに変換する。 カチオン性両親媒性化合物の製造に使用できる天然の脂質の中では、ホスファ チジル化合物、例えばホスファチジルコリン(PC)及びホスファチジルエタノ ールアミン(PE)、並びにスフィンゴ脂質、例えばスフィンゴミエリンである 。 本発明のカチオン性脂質は、通例、種々の生物学的分子(例えば抗生物質また は核酸)用の担体として使用する。とりわけ、本発明のカチオン性脂質は、細胞 内デリバリーシステムに使用する脂質小胞またはリポソームの製造用の製剤中、 単独で、または他の脂質と組み合わせて使用し得る。本発明の脂質の用途は、両 親媒性脂質[市販のカチオン性脂質製剤、例えばリポフェクチン(Lipofectin、 商標)を包含する]を使用することが知られているトランスフェクション、並び に従来のカチオン性脂質および方法を用いる他の種々の文献記載の処置を包含す る。本発明のカチオン性脂質は、所望の処置効果を達成するために動物体の種々 の部位に種々の経路で処置剤をデリバーする薬剤製剤において使用し得る。 そのような方法は当分野で一般に知られているので、脂質含有薬剤組成物の製 造に関する背景および基本技術は、ここでは述べない。この背景に詳しくない読 者は、前記関連文献、および米国特許第5264618号を参照されたい。この 特許には、処置製剤および方法が詳細に多数記載されており[特定のカチオン性 脂質(本発明のものとは異なる)の使用例を包含する]、それに詳細に従って、本 発明のカチオン性脂質を該特許記載のものと置き換え得る。本発明の組成物は、 前記特許に記載の様式ではあまり使用し得ないであろう。本発明の化合物に関す る明細書中の説明と、脂質製剤および使用に関する当業者の知識とによって、最 適の結果を達成するために、操作パラメータの変更が必要であり得る。 本発明の脂質は、遺伝材料による動物細胞のトランスフェクションにおいて、 特に有用および有利であることがわかった。更に、本発明の組成物は動物細胞中 で酵素反応により分解して、通例細胞固有の成分となるので、既知のカチオン性 脂質と比較して低毒性の点で多くの利点を有する。本発明のこのような利点およ び他の利点を詳細に後述する。その他の説明は主に、当業者に自明ではないかも しれない本発明のカチオン性脂質の選択、製造および使用パラメータに関するも のである。 特に、脂質−DNA複合体が特定の細胞または組織を標的とすることが望まし い場合、担体として使用する脂質混合物に種々の方法で変更を加え得る。脂質混 合物とは、本発明のカチオン性両親媒性化合物から調製する製剤(更なる剤、例 えばステロイドを含有または不含有)を意図し、リポソーム、挟まれた脂質二重 層などを包含する。カチオン性両親媒性化合物を混合物の調製に使用する際、ス テロイド(例えばコレステロールまたはエルゴステロール)を組み合わせて使用し 得る。ある種の態様においては、脂質混合物はステロイドを0〜67モル%、好 ましくは約33〜50モル%含有し得る。脂質−DNA複合体は、DNAと脂質 混合物とを組み合わせることによって得られる組成物である。非脂質材料(例え ば動物もしくは植物細胞または標的特異部位にデリバーする生物学的分子)は、 小胞形成前または後に、結合基を介して、1個またはそれ以上の疎水基に結合し 得る(例えば、炭素数約12〜20のアルキル鎖を用いる)。脂質鎖と化合物との 結合には、種々の結合基を使用し得る。特に重要な官能基は、チオエステル、ジ スルフィド、カルボキサミド、アルキルアミン、エーテルなどを包含し、それら を単独で、または組み合わせて使用する。化合物と脂質基との結合方法は、文献 に種々の方法が記載されているので、本発明に重要でない。また、化合物によっ ては疎水部分を有し得、1個またはそれ以上の脂質基との共有結合なしに脂質混 合物と組み合わせ得る。 多くの場合、脂質混合物に結合する活性化合物は、標的細胞中に存在する特定 の生物学的分子に結合し得るリガンドまたはレセプターである。リガンドは、他 の化合物(レセプターと称する)に特異的に結合し得る化合物であり得、リガンド とレセプターは、相補的対を形成する。脂質混合物に結合する活性化合物は、小 さいハプテン(分子量約125〜2000)から、抗原(通例、分子量が少なくと も約6000で、約100万未満、とりわけ約300000未満)まで、非常に 広範であり得る。特に重要なものは、細胞表面上に特異的相補的結合相手を有す るタンパク質性リガンドおよびレセプターである。活性化合物の例は、絨毛性性 腺刺激ホルモン、エンセファロン、エンドルフィン、黄体形成ホルモン、モルヒ ネ、エピネフリン、インターフェロン、ACTH、およびポリヨードチロニン、 並びにそれらのフラグメントであって、元の(非フラグメント)分子が結合するの と同じ細胞表面結合相手に結合する能力を維持するものを包含する。 脂質混合物と結合する、標的に向かう分子(リガンドまたはレセプター)の数は 、リポソームの大きさ、分子の大きさ、分子と標的細胞レセプターまたはリガン ドとの結合親和性などによって、大きく変化し得る。通例、結合した活性分子は 、結合のために混合物中に存在する分子の総数に対する結合した分子の割合とし て約0.05〜2モル%、とりわけ約0.01〜1モル%の量で、脂質混合物中に 存在し得る。 特異的エフェクター分子(通例、細胞の外的環境中で可溶の分子)を結合する表 面膜タンパク質は、レセプターと称する。本発明において、レセプターは、抗体 および免疫グロブリンを包含する(それらの分子は、ある種の細胞表面に見られ るので)。しかし、抗体は通例、リポソームを標的細胞上のレセプター分子に結 合するのに用いられるので、本発明のカチオン性脂質含有リポソームに結合した 抗体および免疫グロブリンは、リガンドとも考えられる。免疫グロブリンは、モ ノクローナルまたはポリクローナル、好ましくはモノクローナルであり得る。通 例、免疫グロブリンは、IgGおよびIgMであるが、他の免疫グロブリン、例え ばIgA、IgDおよびIgEも使用し得る。免疫グロブリンそのもの、またはそ のフラグメント、例えばFab、F(ab')2、FdまたはFvフラグメント、また完全 軽鎖もしくは重鎖を使用し得る。 細胞を標的とするリガンドとして使用する抗体としては、表面膜抗原、例えば 主要組織適合複合体(特にHLA−A、−B、−Cおよび−D)から成る抗原に結 合する抗体が重要である。他の表面抗原は、thy−1、leu−5あるいはIaを包 含する。 本発明のカチオン性両親媒性化合物は、アニオン性化合物、特にポリアニオン 性巨大分子(例えば核酸)の担体として特に有用である。両親媒性化合物をインビ ボ(特にヒトにおいてインビボ)で使用する場合、または反復使用の必要がある場 合は、代謝されて無毒性二次生成物となり、それ自体無毒性であり、または分解 されずに体外に排出される担体を選択することが重要である。組織からの両親媒 性カチオンの排出は、動物実験において示し得る。マウスのような動物に、試験 する脂質を0.5〜10ピコモル含有する材料[要すれば活性成分(例えばDNA )と複合したもの]を、1回またはそれ以上投与し得る。投与から種々の時間後 に、動物を殺し、組織を採り、適当な溶媒抽出系を用いて脂質を全部抽出し、全 脂質中のカチオン性脂質またはその部分分解生成物を、例えばHPLCによって 分析する。 カチオン性両親媒性化合物は正に荷電しており、カチオン性脂質担体とポリア ニオン性核酸との間に強い荷電複合が生成し得、その結果、脂質担体−核酸複合 体が生成し、これを哺乳動物または哺乳動物細胞への全身的デリバリーに直接使 用し得る。エアロゾル投与によるデリバリーの場合、エアロゾル投与複合体を鼻 内または口内にデリバリー後、荷電複合体は噴射力にも、肺気道内環境にも耐え 、エアロゾル投与したDNA:脂質担体複合体が肺に蓄積し、肺細胞に移入する ことができる。 エアロゾル投与法における核酸用担体としての両親媒性カチオンの有効性の評 価、および脂質担体−核酸複合体の最適濃度の決定は、2段階の方法で行う。第 1段階においては、脂質担体を特定し、脂質担体−核酸複合体が、それらの成分 を組み合わせる時、または噴射中に起こる混合物の激しい攪拌の際に凝集しない 濃度を特定する。第2段階においては、肺内の標的細胞中で所定の遺伝子のトラ ンスフェクションおよび転写を高レベルで提供する複合体を凝集しない脂質を特 定する。このような方法は、1992年12月17日出願の国際特許出願PCT /US92/11008に記載されている。該特許を引用により本発明の一部と する。 例えば、リポーター遺伝子CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフ ェラーゼをコード化する)を発現カセットに挿入し、脂質担体組成物の評価に使 用し得る。DNA:脂質担体複合体を、それ自体DNA:脂質担体複合体の凝集を 誘導しない溶液(例えば滅菌水)と混合する。発現カセット(DNA)は、試験する 各脂質担体と、複数の異なる比、例えば4:1ないし1:10[μg DNA:ナノモ ル カチオン性脂質(または脂質混合物を使用する場合は総脂質)]で混合する。 得られる混合物の安定性試験により、どの比がDNA:脂質担体複合体の凝集を 導き、それ故インビボで有用でないか、また、どの複合体がエアロゾル投与に適 した形態で存在するかということに関する情報が得られる。どのDNA:脂質担 体比がインビボで最高レベルの形質転換発現を達成するかを調べるために、凝集 を起こさない比を動物モデルにおいて試験した。例えば、エアロゾルによるトラ ンスフェクションのためには、脂質混合物、例えばN−[1−(2,3−ジオレイ ルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロリド(DOTM A):ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)(この混合物の成分 は1:1の重量比で存在する)、およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロ ミド(DDAB):コレステロール(1:1)の場合、最適DNA:脂質担体比は1:1 である。O−エチル卵ホスファチジルコリン(E−EPC)または特にO−エチル ジミリストイルホスファチジルコリン(E−DMPC)とコレステロールとの重量 比1:1の場合、DNA:脂質担体比は好ましくは1.5:1ないし2:1である。 カチオン性両親媒性化合物を注射に用いる場合は、標的細胞のトランスフェク ションに有効か否かのみを考慮すればよい。 脂質混合物担体の調製に特定のカチオン性脂質を使用することによって、特定 細胞を標的とすることができる。例えば、E−DMPCの使用により、肺細胞を 優先的に標的とすることができる。あるいは、両親媒性化合物に部位指向性分子 で、特定種の細胞に到達するように変更を加えることによって、特定細胞を標的 とすることができる。すなわち、特定の表面タンパク質を有する細胞を標的とす るために、特定レセプター用の抗体またはリガンドを使用し得る。そのような部 位指向性分子を脂質に複合して脂質二重層中に組み合わせるか、または部位指向 性化合物の官能基を結合するための結合基を二重層中の脂質に付加することによ って、従来の方法で、特定リガンドまたは抗体とカチオン性両親媒性化合物とを 複合することができる。そのような方法は、当業者によく知られている。 脂質担体がリポソームである種々の脂質担体−核酸複合体を当分野でよく知ら れた方法で調製する。混合条件は、得られる脂質−DNA混合物の目視検査によ り、沈澱が起こらないよう最適化し得る。脂質−DNA複合体をより見易くする ために、DNAまたは脂質を染色し得るが、それ自体凝集を起こさない色素によ って、複合体を染色し得る。例えば、脂質−DNA混合物の凝集を調べるための 助剤として、ズダンブラック(脂質を染色する)を使用し得る。粒子サイズも、当 分野で既知の方法、例えば電子顕微鏡検査、レーザー光散乱、コールター(Coult er、商標)カウンティング/サイジングなどによって調べることができる。生成 するリポソームまたは凝集物の大きさを調べるためのマーカーとして、標準的な 大きさのビーズを加えることができる。「脂質担体−核酸複合体」とは、前記のよ うな核酸配列が、後述のように、通例脂質担体製剤の表面に結合したものを意味 する。 脂質担体製剤は、他の物質、例えば、組込み、転写および翻訳に要する酵素、ま たは補因子をも含有し得る。更に、脂質担体−核酸複合体は、該複合体を特定種 の細胞または組織にデリバーするための標的剤をも含有し得る。通例、多重ラメ ラ小胞(MLV)または小さな単ラメラ小胞(SUV)であり得る予め形成したリポ ソーム(通例、超音波処理により形成したSUV)の懸濁液に、核酸材料を加える 。リポソーム自体は、適当な混合溶液、例えば滅菌水または等張緩衝溶液(例え ば滅菌水中の10mMトリス/NaClまたは5%デキストロース)に乾燥脂質フィ ルムを再懸濁し、リポソームを形成するよう超音波処理することによって調製す る。次いで、予め形成した脂質担体を、直接にDNAと混合する。 脂質−DNA複合体の混合および調製は、脂質およびDNAの組み合わせ方に よって、大きく影響を受け得る。通例、脂質をDNAに、DNA:脂質比1:2ま で(μgDNA:ナノモルカチオン性脂質)で加えることが好ましい(凝集を最少限 にするため)。DNA:脂質比が1:4またはそれ以上の場合、DNAを脂質に加 えることによって、通例より良い結果が得られる。いずれの場合も、少量なら振 とうまたは撹拌によって、多量なら短時間混合装置の使用によって、混合を短時 間で行うべきである。脂質担体とDNAは、負に荷電したDNAとカチオン性の 脂質担体との結合によって非常に安定な複合体を形成する。SUVは、小さい核 酸フラグメントにも、DNAの大きい部分(≧250kb)にも有用である。 噴射用の脂質担体−核酸複合体の調製においては、脂質担体−核酸複合体の凝 集物の形成を促進する化合物を混合溶液から排除するよう注意すべきである。通 例、大きい粒子はネブライザーによってエアロゾル投与できず、できたとしても 大きい気道を越えて侵入するには大きすぎる。脂質担体−核酸複合体の凝集の防 止は、DNA:脂質担体比の調節、溶液中のDNA:脂質担体複合体の総濃度の低 下(通例、5mgDNA/8ml溶液よりも低い)、並びにキレート剤(例えばEDT A)および/または多量の塩(いずれも大きい凝集を促進する傾向にある)の使用 の回避によって行う。好ましい賦形剤は、水、デキストロース/水、またはイオ ン強度が低いか、もしくは0の他の溶液である。更に、体積はホスト哺乳動物の 肺に蓄積するのに必要最少限とすべきであるが、同時に、溶液が高濃度になりす ぎて凝集物が生成することのないように注意しなければならない。溶液体積が大 きいと、その大きい体積を収容するようホストの吸入時間を長くしなければなら ないので、そのようなことはできれば避けるべきである。吸入用の脂質担体−核 酸複合体を凍結乾燥することが好ましい場合がある。そのような材料は前記複合 体と同様に調製するが、脂質担体−DNA複合体の調製に使用する緩衝溶液に、 凍結保護物質、例えばマンニトールまたはトレハロースを加える。そのような緩 衝液に通例含まれるグルコースは、存在しないことが好ましい。脂質担体複合体 を、脂質およびDNAの混合後、短時間で凍結乾燥する。混合物を滅菌水で再構 成して、ホストに投与する即用組成物を得ることができる。 本発明の両親媒性化合物でリポソームを形成する場合、リポソームのサイズは 、所望のサイズに応じて従来の方法で調節し得る。動物の血流中に注射した大き いリポソームは、肝細胞と比較して肺細胞に対する親和性の方が高い場合がある 。すなわち、種々の粒子サイズの脂質−核酸複合体をホストに投与し、所望の結 果をもたらす粒子サイズを調べることによって、所期の標的組織に応じて特定の サイズ範囲を決定することができる。 本発明によるカチオン性両親媒性化合物−核酸複合体は、静脈内、筋肉内、皮 下、経皮、局所、腹腔内、脈管内投与、エアロゾル投与(噴射による)などの種々 の方法でホストに投与し得る。通例、溶液中の両親媒性化合物を注射し得、この 場合、リポソームに結合し、または封入された化合物の濃度により、投与量を決 定し得る。投与量は、投与する化合物の効力、所望効果に要する濃度、投与回数 などによって変化し得る。場合により、特にエアロゾル投与の場合、脂質−DN A複合体は、凍結乾燥粉末の形態で投与し得る。 標的指向部分を用いた場合、両親媒性化合物の投与後、両親媒性物質は、リポ ソームに結合した化合物に相補的な細胞表面因子に優先的に結合する。標的指向 部分がリポソームに結合していない場合は、リポソームは親脂性相互作用によっ て細胞表面に結合する。リポソームは通例、エンドサイトーシスによって細胞内 に取り込まれる。 本発明のカチオン性両親媒性化合物は、核酸またはタンパク質と複合して、そ のような巨大分子をインビボで輸送するのに有用である。核酸は、DNA、RN A、アンチセンスRNAまたは他のアンチセンス分子を包含し得る。リポソーム を形成するカチオン性両親媒性化合物は、薬物デリバリーにも有用であり、この 場合、薬物は、リポソームに封入するかまたは外側に結合し得る。 以下の実施例は説明のためのものであって、制限のためのものではない。 実施例 実施例1 メチルホスファチジルコリンの合成 ホスファチジルコリンのホスフェート残基へのメチル基の付加を次のようにし て行った。卵黄ホスファチジルコリン100mgを、クロロホルム溶液中で10 0mL丸底フラスコ中に仕込み、クロロホルムを蒸発によって除去した。脂質フ イルムへ、6mLの乾燥N,N−ジメチルホルムアミド、3mLの乾燥メタノー ル、2.5mLの乾燥ルチジン(lutidine)を脂質フイルムに添加した。脂質が 溶媒混合物に容易に溶解した。p−トルエンスルホニルクロライド(1.2g) を添加したが、容易に溶解した。混合物を室温で1時間反応させた。次いで、フ ラスコを氷で冷却し、1mLの蒸留水を添加した。15分後に、20mLのエタ ノールとともに混合物を1Lフラスコに移した。溶媒をロータリーエバポレータ ーで除去した。得られた残渣を30mLのクロロホルムに溶解した。これに、3 0mLのメタノールおよび30mLの蒸留水を加えた。 激しく振盪した後、フラスコを放置し、内容物を下のクロロホルム層および上 のメタノール/水層に分離させた。クロロホルム層を取り出し、新しいフラスコ に移した。この溶液に別の30mLのメタノールおよび30mLの水を加えた。 3gのNaClを水に溶解させ、相の分離を助けた。混合物を激しく振盪し、放 置し、クロロホルム層をもう一度新しいフラスコに移した。30mLのメタノー ルおよび30mLの水を3gのNaClとともに添加し、混合物を振盪し、クロ ロホルム層を取り出した。洗浄したホスホリピドを蒸発させ、黄色オイルを得た が、これを15mLのクロロホルムに溶解した。次いで、この溶液をクロロホル ム中の1.5x10cmのシリカゲルカラムに適用した。試料をカラムに充填し た後、カラムを100mLのクロロホルムで洗浄し、溶離剤を捨てた。次いで、 溶媒を、クロロホルムとメタノールと水と氷酢酸の体積比69:27:2.3: 1.5の混合物に変更した。この混合物を、後において、溶媒Aと呼ぶ。カラム を100mLの溶媒Aで溶出し、溶離剤を8つのフラクションで集めた。溶媒A を用いてフラクションの薄層クロマトグラフィーを行った。第1にプレートをヨ ウ素蒸気にさらすことによっておよび第2にプレートにホスフェートスプレーを スプレーすることによって種々の化合物の存在が検出された。この溶媒系におい て、初めのホスホリピドは約0.2のRf値を有していた。フラクション1〜3 は約0.5のRf値を有する単一の化合物を含有していた。フラクション4〜6 はいくらかの残留ホスファチジルコリンを含有するように見えた。フラクション 1〜3における物質はリンの存在に対して容易に着色しなかったが、残留ホスフ ァチジルコリンはスプレーにより迅速に着色した。室温で発色1〜2時間後に、 フラクション1〜3における物質が青色の外観を示したが、特に、強い青色の背 景色を無くするためにプレートを水中において穏やかにすすいだ場合にそうであ った。フラクション1〜3を一体にし、全容量40mLを得た。これに、16m LのメタノールおよびpH7.2で50mMのHEPESを含有する26mLの 緩衝溶液を添加した。混合物を振盪し、静置した。下のクロロホルム層を取り出 し、26mLのメタノールおよび26mLの緩衝液でもう2回洗った。洗ったク ロロホルム層を蒸発乾固させ、固形物を得たが、これをクロロホルムとメタノー ルの9:1の混合物に溶解させた。 物質のいくらかを乾燥させ、重クロロホルムに溶解させた。リンNMRは、メ チル基の存在によるリンピークのさらなる分裂を示した。5本のピークがホスフ ァチジルコリンにおいて検出されたが、少なくとも14本のピークがメチル誘導 体において観測された。少量のメチルホスファチジルコリンの水性緩衝液におけ る懸濁が、超音波処理時に非常に清澄になる懸濁液を与えた。この懸濁液のいく らかを、負に帯電したホスホリピド、ホスファチジルグリセロールの超音波処理 分散液と混合すると、曇った凝集した物質を形成した。このことは、予想された ように、脂質はカチオン性であり、それはアニオン性ホスホリピドと凝集するこ と を示している。実施例2:他のアルキルホスファチジルコリンの合成 実施例1で記載した合成を、ホスファチジルコリンの他のアルキル誘導体の製 造に首尾よく適用した。メタノールに代えてエタノールを使用することによって 、O−エチルホスファチジルコリンを調製した。同様にメタノールに代えてプロ パノールまたはブタノールを使用することによってO−プロピルホスファチジル コリンおよびO−ブチルホスファチジルコリンをも調製した。同様に、対応アル コールを使用することによって他の誘導体を調製した。鎖長および置換度が増加 するとともに、反応性が減少した。ルチジン塩酸塩は、より長い鎖のアルコール における減少した溶解性のために、沈澱または結晶化した。エタノールとの反応 は、水の添加の前に2時間行った。プロパノールおよびブタノールとの反応は2 4時間行ったが、反応は、TLC分析によれば70%のみ完了していた。実施例3:変性ホスファチジルエタノールアミンの合成 ホスファチジルコリンについて記載した方法に加えて、同様の手法を幾つかの 他の天然ホスホリピドの変性に適用し、分解可能なカチオン性両親媒性物質を形 成した。これらは、ホスファチジルエタノールアミンを包含する。ホスファチジ ルエタノールアミンについて、合成の前に脂質の一級アミノ基を保護し、その後 に保護基を除去することが好ましい以外は、実施例1の手順に従った。 本発明に従えば、細胞に薬剤を送達する組成物および方法が提供される。方法 は、目標の細胞以外の細胞との薬剤の非特異的相互作用を最小にする。脂質バイ レイヤーに対して実質的に不透過性である弱酸性薬剤を使用することによって、 薬剤の非特異的効果を最小にするように、両親媒性物質からの薬剤の漏れが最小 になる。さらに、薬剤は、最も効果的である細胞のシトゾルに効率的に組み込ま れる。 本発明を理解を明瞭にする目的のために例示により詳細に説明したが、請求の 範囲の中において、変更および変形を行ってよい。 本明細書において引用した全ての公報および特許出願は、それぞれの出願また は公報が特定的にかつ個別的に参照として組み込まれるのと同程度に本明細書に おいて参照として組み込まれる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G B,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ ,LK,LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S I,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.式: [式中、Zはアルキル又はアルコキシアルキル、 R及びR1は、同一又は異なって、炭素数11〜29の直鎖脂肪族炭化水素基 、 Xは式: −CH2−(CH2)n−N+(R2)3 (ここで、nは1〜4の整数、各R2は水素又は低級アルキルである。) で示されるカチオン性基を表す。 但し、Zがメチルの場合、R及びR1は共にn−ペンタデシルではない。] で示されるカチオン性両親媒性化合物。 2.nが1である請求項1に記載の両親媒性化合物。 3.R2が水素又はメチルである請求項1に記載の両親媒性化合物。 4.Zがメチル又はエチルである請求項1に記載の両親媒性化合物。 5.R及びR1が炭素数14〜24の基である請求項3に記載の両親媒性化合 物。 6.式: [式中、Zはアルキル又はアルコキシアルキル、 R及びR1は、同一又は異なって、炭素数11〜29の直鎖脂肪族炭化水素基 、 Xは式: −CH2−(CH2)n−N+(R2)3 (ここで、nは1〜4の整数、R2は、独立に水素又は低級アルキルであるが 、少なくとも1つのR2は水素である。) で示されるカチオン性基を表す。] で示されるカチオン性両親媒性化合物。 7.nが1である請求項6に記載の両親媒性化合物。 8.2つのR2が水素である請求項7に記載の両親媒性化合物。 9.R2が水素又はメチルである請求項8に記載の両親媒性化合物。 10.Zがメチル又はエチルである請求項7に記載の両親媒性化合物。 11.親液化され、又は超音波処理懸濁液中に存在し、あるいはコレステロー ルと混合されている請求項11に記載の両親媒性化合物。 12.抗体が該カチオン性両親媒性化合物に結合されている請求項11に記載 の両親媒性化合物。 13.哺乳類の1又はそれ以上の組織中の細胞に薬理組成物を輸送する方法で あって、 該細胞を、該薬理組成物及び式: [式中、Zはアルキル又はアルコキシアルキル、 R及びR1は、同一又は異なって、炭素数11〜29の直鎖脂肪族炭化水素基 、 Xは式: −CH2−(CH2)n−N+(R2)3 (ここで、nは1〜4の整数、R2は、独立に水素又は低級アルキルである。 ) で示されるカチオン性基を表す。] で示されるカチオン性両親媒性化合物を含んでなる複合体と接触させることを含 み、該複合体は、哺乳類にインビボ投与された場合、該薬理組成物を該細胞に導 入する方法。 14.該薬理組成物が、抗生物質を含んでなる請求項13に記載の方法。 15.該薬理組成物が、核酸を含いんでなる請求項13に記載の方法。
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