【発明の詳細な説明】
GLUT-4小胞に由来するインスリン−依存性の膜アミノペプチダーゼのクローニン
グ分野
本出願は糖尿病の生化学に関し、そしてより詳細にはインスリンの調節に関与
するアミノペプチダーゼに関する。背景
脂肪細胞およびミオサイトは、インスリンの刺激に際して形質膜に融合する細
胞内GLUT-4含有小胞を含む。生じる形質膜内のGLUT4上昇は、インスリン−刺激
状態でグリコース輸送が10−20倍増加する原因である。GLUT4-含有小胞の細胞質
から形質膜との融合への移動は、トランスローケーションと呼ばれる過程である
が、インスリン耐性およびインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)の両方において、
異常であると考えられている(B.Kahn,J.Clin.Invest.,89,1367-1374,(1992))。
GLUT4-含有小胞の形質膜への正常なインスリン-刺激トランスローケーション
の分子機構、および同時に生じる影響を受けた細胞によるグルコース取り込みの
増加は、今だに大部分が未知のままである。提案された機構には、GLUT4−含有
小胞ドッキングおよび形質膜との融合の両方が含まれる。
GLUT4-含有小胞は、脂肪細胞中の全細胞内小胞群中でほんのわずかな画分にす
ぎない(Jamesら、J.Biol.Chem.,262,11817-11824,(1987))。これらのGLUT4小胞
は、GLUT4の細胞質に向いたC−末端に対する抗体を用いた免疫アフィニティー
法を使用して、低密度ミクロソーム画分から単離できる(Jamesら、J.Biol.Chem.
,262,11817-11824,(1987);Thoidis
ら、J.Biol.Chem.,268,11619-11696(1993))。GLUT4-濃縮小胞は、小胞会合膜タ
ンパク質(VAMP)(Cainら、J.Biol.Chem.,267,11681-11684(1992))を含む幾つかの
シナプス小胞−様タンパク質、分泌キャリアー会合膜タンパク質(SCAMP)(Laurie
ら、J.Biol.Chem.,268,19110-19117,(1993))、および初めに脳で同定されたある
ras類似タンパク質(Rabタンパク質)(Cormontら、J.Biol.Chem.,268,19491-1949
7,(1993))を含むことが示された。
現在では、NIDDMの薬理学的治療は、疾患の病態生理学的な異常性の鍵である
インスリン耐性を標的にできない。現存する治療は、1)食事および運動;2)
スルホニルウレア、これはインスリン分泌を刺激する;3)α-グルコシダーゼ
インヒビター、これは複雑な炭化水素の酵素的消化を阻害し、そしてこれにより
食後のグルコース吸収を遅らせる;4)メトホルミン、この機作は肝のインスリ
ン感受性を向上させることを含むようである、そして5)インスリン注射である
。
インスリン耐性を標的とし、そしてインスリン感受性を向上させる治療薬は、
上記に掲げた治療に優る重要な利点を有する。そのような治療薬が本発明の主題
である。GLUT4小胞と会合するアミノペプチダーゼをモジュレートすることによ
り、インスリン感受性を増大させることが本発明の目的である。要約
本発明は新規アミノペプチダーゼに関し、本明細書ではGTVapと命名するが、
これはGLUT4-含有小胞の成分であり、そしてインスリン−シグナル伝達経路に関
与している。また糖尿病を処置するために、このタンパク質の治療用モジュレー
ターの使用にも関する。本発明のさらなる観
点を以下に論ずる。
ペプチドシグナル伝達分子のダウンレギュレーションは、正常な恒常性を維持
するために重要である。より詳細には、活性インスリンのダウンレギュレーショ
ンまたは除去は、非糖尿病の個体に低血糖症を生じる高インスリン症を予防する
ために重要である。現在のドグマは、すべての循環しているインスリンはインス
リンレセプターに結合した後に分解され(インターナリゼーション)、そして最
終的に予め特徴づけられているインスリン分解酵素(IDE)により細胞内でタンパ
ク質溶解される。
本明細書で提示したデータは、さらなるインスリン分解の機構が存在すること
を示し、すなわち脂肪細胞表面GTVapがインスリン分子からN-末端アミノ酸を除
去し、そしてその生理学的活性を変化させることを示している。これはインスリ
ンプロセッシングの正常な機構であるかもしれないが、肥満した個体中に存在す
る酵素活性の増加レベルまたは酵素活性が上昇した状態は、血漿インスリンが部
分的に不活性化されている状態を起こす。これはインスリン耐性と肥満およびNI
DDMとの関連を説明している。
GTVapがインスリンシグナル伝達経路で重要であり得る別の示唆は、GTVapがGL
UT4タンパク質も含むインスリン−感受性組織中に主に見いだされるという事実
である。
肥満は、種々の臨床上の兆候、ならびにGTVapの増加を伴う体脂肪の増加が関
連することが知られている。体脂肪およびGTVapの増加は、インスリンの外に他
の重要な循環しているポリペプチドの不適切な不活性化または活性化を生じ得る
。したがって、GTVapの薬理学的および遺伝的操作は、インスリン耐性、NIDDMお
よび肥満を改善するために新たな
治療用標的を構成する。
本発明は、自然な状態でのGLUT4−含有小胞の成分であるタンパク質に関する
。このタンパク質は、アミノペプチダーゼ活性を有し:グリコシル化の程度に応
じて約165kD、155kDまたは120kDの分子量を、そして脱グリコシル化状態で約110
kDの分子量を有する。これはアミノ酸配列Phe-Ala-Ala-Thr-Gln-Phe-Glu-Pro-Le
u-Ala-Ala(配列番号1)およびIle-Leu-Gln-Asn-Gln-Ile-Gln-Gln-Gln-Thr-Arg
-Thr-Asp-Glu-Gly-Xaa-Pro-Xaa-Met(配列番号2)を含み、そして(配列番号1
)と同定されたペプチドに対して産生された抗体と反応する。これはGTVap(配
列番号15および16)の完全長の配列をコードするcDNAによりをコードされ、
そしてそのアミノ酸配列はGTVapに関して予想された配列(配列番号15および1
6)と本質的に同一である。本発明はまた、このタンパク質のムテインにも関す
る。
本発明はまた、GTVapの完全長配列をコードするcDNAおよび予想されるタンパ
ク質配列(配列番号:15および16)にも関する。
さらに本発明は、インスリン耐性症候群を処置する方法にも関し、この方法は
インスリン耐性症候群を現している患者に、製薬学的に許容されるキャリアー中
の有効量のGTVapモジュレーターを投与することを含んで成る。
本発明の他の観点を、以下のさらに詳細な記述において論ずる。図面の説明
本発明は以下の図面と関連して、以下の詳細な説明および用語解説から、より
完全に理解されるだろう:
図1は、GLUT4小胞の免疫アフィニティー精製を表すウエスタンブロッ
トであり;
図2は、免疫アフィニティー精製したGLUT4小胞のタンパク質染色であり;
図3は、165kD(上線)および155kD(下線)GLUT4小胞タンパク質のトリプシン消
化のHPLCプロフィールを表し;
図4は、GLUT4小胞中に濃縮された165kDおよび155kDタンパク質を表すウエス
タンブロットであり;
図5は、N-グリコシダーゼFを用いた処理後の低密度ミクロソーム(LDM)165kD
および155kDタンパク質のウエスタンブロットであり;
図6は、GLUT4小胞中のアミノペプチダーゼ活性の定量的濃縮を表すグラフで
あり;
図7は、ラット脂肪細胞膜画分中の165kD、155kDおよび120kDタンパク質のウ
エスタンブロットであり;
図8は、ラット脂肪細胞膜画分中のGTVap酵素活性であり;
図9は、GTVapの至適pHを表すグラフであり;
図10は、GTVapの温度安定性を表すグラフであり;
図11は、種々のイオンのGTVap活性に対する効果を表すグラフであり:Co
(黒色方形);Zn(白色方形);Mg(黒色ひし形);Mn(白色ひし形);
Ca(黒色三角);
図12は、GTVap安定性のイオン濃縮のグラフであり:対照(白色ひし形);
2mM Mg(黒色三角);0.02mM Mn(白色三角);2mM Ca(黒色丸);1
μM Zn(黒色方形);1μM Co(白色方形);0.2mM DTT(黒色ひし形)
;
図13は、種々のプロテアーゼインヒビターのGTVap活性に対する効
果を表すグラフであり:フェナントロリン(黒色方形);DTT(白色方形);
LLPAC(黒色ひし形);ジピリジル(白色ひし形);
図14は、種々のアミノペプチダーゼインヒビターのGTVap活性に対する効果
を表すグラフでありベスタチン(黒色方形);アクチノニン(白色方形);ロイ
チオール(黒色ひし形);アマスタチン(白色ひし形);
図15aは、WGA-精製GTVapの陰イオン交換クロマトグラフィー分離後のGTVap
活性のグラフであり;
図15bは、WGA-精製GTVapの陰イオン交換クロマトグラフィー分離後のGTVap
-120、155および165のウエスタンブロットであり、
図16は、WGA-およびIDAC-精製GTVapの陰イオン交換酵素活性プロフィール後
のGTVap活性のグラフであり:IDAC素通り(黒色ひし形);IDAC結合(白色丸);
図17は、インスリン刺激の前後における形質膜画分由来GTVapのウエスタン
ブロットであり;
図18、インスリン刺激の前後における形質膜中のGTVapの活性のグラフであ
り;
図19a、19bおよび19cは、それぞれGTVapを用いてインスリンを消化
した0時間、3.5時間および22時間後の質量分析のグラフであり;
図20は、GTVapのcDNA配列およびこれらのcDNAから予想されるタンパク質配
列(配列番号15および16)を表し;
図21は、GTVapおよびGLUT4の保持およびソーティングコンセンサス配列(配
列番号20)、逆保持およびソーティングコンセンサス配列(配
列番号21)、ならびにそれから派生したそれぞれのGTVap(NからC方向に(
配列番号17および18)およびGLUT4(CからN方向に(配列番号19))の
各セグメントを表す。アスタリスクは、通常ではないCからN方向に書かれてい
る配列を示す。Xaaはアミノ酸を表し;X1aaはPro、GluまたはAspを表し;そして
X2aaはArgまたはLysを表す。詳細な説明
ラット脂肪細胞由来のGLUT4-含有LDM小胞は、免疫アフィニティー法により精
製され、そしてそれらのタンパク質組成がGLUT4を欠いているLDM小胞と比較され
た。仮定は、GLUT4小胞タンパク質が小胞のインスリン-誘導トランスローケーシ
ョンに関与しているということであり、これはそれらが存在する細胞内区分から
の移動、形質膜とのドッキングそして融合、そしてインスリンシグナル伝達の終
了時の形質膜の再取り込み、またはエンドサイトーシスを含む。本精製法は、約
160kDの分子量をもつ独特な幾つかのタンパク質の同定を行った。
GLUT4−含有小胞に独特であると同定された2つのタンパク質は、それぞれ約1
65kDおよび155kDの分子量を有する。最初のN-末端シークエンシングの試みでは
、それぞれのN-末端がブロックされていることを示した。165kDおよび155kDの両
タンパク質の消化、続いてペプチド断片のミクロボアHPLC分離では、消化物のHP
LC-UVプロフィールが大変良く似ていることから、これらのタンパク質が緊密に
関連していることを示した。1つのペプチド配列は、妊娠に関連している血漿ア
ミノペプチダーゼの断片であると言われた、これまでに報告されている15アミノ
酸ペプチドと100%の相同性を有した。残りのペプチド配列はいずれも、胎盤ま
たは他の既知のアミノペプチダーゼといかなる相同性もない。
種々の合成および天然のアミノペプチダーゼ基質を用いた実験では、脂肪細胞
中の165kD、155kDおよび120kDタンパク質がアミノペプチダーゼであり、そして
それらは小麦胚芽レクチンアフィニティー樹脂に結合することからグリコシル化
されていることが示された。165kDおよび155kD物質は、N-グリコシダーゼFを使
用して脱グリコシル化でき、そして110kDのタンパク質を生じる。120kD物質は、
抗体が165kD形と反応し、そして155kD形も120kDアミノペプチダーゼと反応する
ので、165kDおよび155kDアミノペプチダーゼと関連している。以下の内容におい
て、GLUT4-含有小胞由来の各アミノペプチダーゼを、グルコース輸送体小胞アミ
ノペプチダーゼ(Glucose Transporter Vesicle aminopeptidase:GTVap)と呼び
、kDでの分子量を名前に付け加える。
1つのGTVap 165kDのペプチド配列は、胎盤由来の既知の妊娠-関連アミノペプ
チダーゼと100%の相同性を有するが、2つのアミノペプチダーゼは有意に異な
る特性を有し、そしてより大きなアミノペプチダーゼ一族の構成員であると予想
される。GTVap酵素活性および免疫反応性もまた、ラット筋肉、ヒト脂肪および
脂肪細胞系3T3-L1に見いだされた。高レベルの免疫反応性を脾臓中に見いだすこ
とができ、他の組織では少量である。
自然状態ではGLUT4-含有小胞の成分である、単離され、そして精製されたアミ
ノペプチダーゼに関して、アミノペプチダーゼ活性、分子量、特定のアミノ酸配
列および[配列番号1]と同定されたペプチドに対して産生されたその抗体との
反応性を上記にまとめた。このタンパク質は、糖尿病の処置に有用性を有し得る
モジュレーターの同定に有用である。タンパク質はさらに、それが中性pHで最適
活性を有し;その合成アミノ
酸p-ニトロアニリド基質に対する比活性が:ロイシン>>プロリン、アラニン>
バリン、グリシンであり;その合成アミノ酸ナフチルアミド基質に対する比活性
がロイシン>リシン>アルギニン>メチオニン>アラニン>フェニルアラニンで
あり;その活性は二価イオンCo、Zn、Mg、MnおよびCaによりモジュレートされ;
不活性化の最低温度が40℃から50℃の間であり;その活性はCaイオンにより安定
化され;その活性はフェナントロリン、ジピリジル、ロイチオール、アマスタチ
ン、アクチノニンおよびベスタチンにより減少し;そしてそれぞれ約165kD、155
kDおよび120kDの分子量を有する少なくとも3つのグリコシル化状態を有すると
特性決定された。これらの特性は以下の実験の章で見いだされる。
第二の観点では、本発明はGTVapの精製法およびそれらのグリコシル化種の分
離法に関し、以下の工程:(a)GTVapを少なくとも1つの供給源から抽出し:
(b)生成したGTVap抽出物をレクチンアフィニティー樹脂と接触させてグリコ
シル化GTVapを吸着させ;(c)グリコシル化GTVapをレクチンアフィニティー樹
脂から溶出し;(d)レクチンアフィニティー樹脂からの溶出物を、樹脂とGTVa
pに同時に相互作用する金属イオンを含むキレート化クロマトグラフィー樹脂と
接触させ;(e)非結合物質をキレート化クロマトグラフィー樹脂から回収し;
(f)結合物質をキレート化クロマトグラフィー樹脂から溶出し;(g)キレー
ト化クロマトグラフィー樹脂からの非結合および溶出したGTVap−含有画分を、
陰イオン交換樹脂に別個に接触させ;(h)結合したGTVap種を陰イオン交換樹
脂から溶出し;そして(i)陰イオン交換樹脂から分離したGTVap種を検出する
、工程を含んで成る。
特許請求するGTVapの精製法およびそれらのグリコシル化種の分離法
において、少なくとも1つの生物的供給源からGTVapを抽出する工程は、好まし
くは少なくとも1つの金属イオン安定化剤および界面活性剤の混合物を使用して
行う。以下の実験の章に示すように、酵素の活性は時間および安定化剤の不在で
減少する。今回、好ましくは2mM濃度のカルシウムイオンが、タンパク質の活性
を安定化するために役立つ可能性のある多くの金属イオンの中の1つとして役立
つことが見いだされた。種々の異なる界面活性剤を使用でき、Triton X-100のよ
うな非-イオン性界面活性剤が好ましい。GTVap抽出物をレクチンアフィニティー
樹脂と接触させてグリコシル化GTVapを吸着させる工程は、グリコシル化タンパ
ク質を吸着する能力について当業者には既知の市販されている多数の任意のレク
チンを使用して行われる。これらにはコンカナバリンA、小麦胚芽、カタツムリ
(Helix)、レンズ豆 クリナリス、カブトガニ(Limulus)レクチンが含まれる。小
麦胚芽レクチンを本発明に使用するが、他のものも使用できる。グリコシル化GT
Vapのレクチンアフィニティー樹脂からの溶出は、レクチン−炭化水素結合を破
壊するための任意の種々の手法を使用して行われる。例として競合する炭化水素
リガンドの使用、およびpH条件の変化が含まれる。キレート化クロマトグラフ
ィー工程は、レクチンアフィニティー樹脂からの溶出物を、樹脂とGTVapに同時
に相互作用する金属イオンを含んで成るキレート化クロマトグラフィー樹脂と接
触させることにより行う。多数の適当な市販のキレート化クロマトグラフィー樹
脂がある。これらの樹脂は典型的には、精製されるタンパク質または糖タンパク
質と相互作用できる金属イオンを持っている。本発明では、亜鉛がGTVapおよび
使用するイミノジ酢酸樹脂と相互反応できるので、亜鉛を金属イオンとして使用
することが好ましい。結合した
物質のキレート化クロマトグラフィー樹脂からの溶出は、典型的にはEDTAの
ようなキレート化剤を加えることにより、またはpHを変化させることにより行
う。好ましくは本質的な酵素活性を変化させない条件が採用される。キレート化
クロマトグラフィー樹脂から非結合および溶出したGTVap-含有画分を、別個に陰
イオン交換樹脂と接触させる工程は、当業者には周知の活性な官能基を有するリ
ガンドを含有する多数の種々の支持体を使用することにより行える。本発明のこ
の工程は好ましくは、高速液体クロマトグラフィー法を使用した時、高分離能お
よび優れた流速を有するResourceQのような樹脂を使用する。結合したGTVap種の
陰イオン交換樹脂からの溶出は、塩勾配の増加を使用して行うか、または緩衝液
pHを変化させることにより行う。陰イオン交換樹脂から分離したGTVap種の検
出は、酵素活性を測定することにより行う。GTVap活性は、アミノ酸p-ニトロア
ニリドまたはβ-ナフチルアミド誘導体ならびにインスリンのような天然のタン
パク質基質を含む、任意の多数の基質を使用して検出できる。他の基質もまた使
用できる。この方法は酵素の精製に有用であり、これは次にそのさらなる特性決
定ならびに酵素に対する抗体の精製、および酵素活性のモジュレーターの同定に
有用である。
第三の観点では、本発明はGTVap活性のモジュレーターの同定法に関し、これ
は以下の:(a)アッセイできる酵素活性の量を有するGTVapまたはGTVap-含有
物質を提供し;(b)GTVapまたはGTVap-含有物質を試験基質とインキューベー
ションして、GTVap活性をモジュレートする能力についてアッセイし;(c)GTVap基
質を加え;(d)GTVap活性を時間の関数として監視し;そして(e)試験基質
のGTVapに対するモジュレーター活性を測定する、工程を含んで成る。
GTVap活性のモジュレーターを同定する方法に関して、アッセイできる酵素活
性量を有するGTVapまたはGTVap-含有物質を提供する工程には、限定するわけで
はないが脂肪組織、骨格筋組織、心筋、脾臓組織、これらの物質に由来する細胞
系または当業者に周知の方法を使用して作成された組換え源を含む生物組織の使
用が関与する。そのような組織は典型的には、ヒトまたは齧歯類起源であるが、
GTVapはまた他の種に由来するものでもよい。好ましくはヒト起源の酵素が使用
される。
組換え源は、例えばGTVapをコードする遺伝子を、挿入遺伝子を転写できる原
核または真核細胞系に挿入し、酵素的に活性なGTVap分子の発現を生じる。その
ような手法は当業者には周知である。GTVapまたはGTVap-含有物質を、GTVap活性
をモジュレートする能力についてアッセイされる試験基質とインキューベーショ
ンする工程では、可能な試験基質には既知のアミノペプチダーゼインヒビターの
類似体、ならびにこれまでに活性が知られていない合成および天然に存在する試
験基質を含む。GTVap基質を加える工程には、典型的にはロイシンp-ニトロアニ
リドのような合成のアミノペプチダーゼ基質、あるいは特定の酵素によりN-末端
アミノ酸を除去できた合成または天然に存在するポリペプチド基質の使用を含む
。適当なポリペプチドの2例は、インスリンおよび合成インスリンである。時間
の関数としてGTVap活性を監視する工程は、一般的に基質の消失または基質に対
する酵素活性生成物の出現を監視することにより行われる。これは典型的には、
分光光度的またはクロマトグラフィー的手段で行われるが、個々の場合に応じた
目的について広範な種々の技術を通して行われた。該試験基質のGTVapに対する
モジュラトリー効果の測定工程は、試験基質の存在または不在下で、GTVap基質
の開裂速
度を比較することにより行われる。
第4の観点では、本発明は実質的に純粋なGTVapまたはその断片を使用して生
成されたGTVapに特異的な抗体に関する。
GTVapに特異的な抗体は、以下のように生成できる。GTVapに対するポリクロー
ナル抗血清は、完全なGTVapまたはその断片を、ウサギ、マウス、ヤギおよびヒ
ツジのような種々の任意の宿主動物に注射することにより生成する。そのような
宿主動物中で生成した抗体は、自然にはポリクローナルであり、特異的抗体の場
合には、当業者に周知な方法により部分的に精製できる。さらにモノクローナル
抗体は、免疫適合性脾臓細胞と骨髄腫細胞との融合により、モノクローナル免疫
グロブリンを本質的に精製するハイブリッド細胞系を調製することにより生成で
きる。この技法の現状では、そのような動物にはマウスおよびラットが含まれる
。抗体は生物物質中のGTVapの検出および定量に使用されるだろう。さらにその
ような抗体は、当業者には周知の免疫アフィニティー法を使用して、GTVapの精
製に使用できる。
第5の観点では、本発明はアミノ末端が短縮化されたタンパク質およびペプチ
ドの調製法に関し、これはタンパク質またはペプチドをGTVapとインキューベー
ションする工程を含んで成る。
短縮化タンパク質およびペプチドの調製法に関して、この工程は主題のタンパ
ク質をGTVap活性を増強する条件下でインキューベーションすることにより行わ
れ、すなわち中性pHおよびGTVap活性の安定化を増大させるイオンの存在での
条件下で行われる。短縮化された生成物を反応から、任意の分離法により単離す
る。短縮化される物質はインスリンまたはGTVapにより開裂できるアミノ酸末端
を持つ任意のポリペプチド
である。短縮化ペプチドおよびタンパク質の調製法は、新規の薬学的に活性なポ
リペプチドを誘導するために使用される。
第6の観点では、本発明は生物学的材料中のGTVapを測定する方法に関し、こ
れは以下の工程を含んで成る:a)生物学的材料の検体を、最適に免疫反応性エ
ピトープを暴露するように調製し;(b)この検体またはその抽出物をGTVap特
異的抗体とインキューベーションし;(c)非結合抗体を検体から除去し;そし
て(d)検体中のGTVapに結合した抗体を定量する。
生物学的材料中のGTVapを測定するための方法に関して、生物学的材料の検体
を、最適に免疫反応性エピトープを暴露するように調製する工程は、緩衝液で洗
浄することにより、あるいは自然なタンパク質配置中に埋もれているエピトープ
を暴露させる、よりカオトロピック条件下で処理することにより行う。そのよう
なカオトロピック試薬には、アセトン−またはアルコール−含有溶液、SDSお
よび他の同様な特性を持つ変性剤が含まれる。これらの調製法は、天然または変
性したGTVapの検出を可能にする。検体またはその抽出物をGTVap特異抗体とイン
キューベーションする工程は、通常の様式で行われ、そして好ましくは本発明の
GTVap1抗体を使用する。GTVap−特異的抗体は、フルオロホア、ビオチン、放射
性同位体またはアルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼのよ
うな酵素で直接標識できる。検体中のGTVapに結合した抗体の定量は、前述の標
識を同定すことにより行う。あるいは結合した抗体は、それ自体が標識され、そ
して第一抗体に特異的に結合し、そしてこれが次にGTVapに結合する第二抗体を
使用して検出できる。
第7の観点では、本発明はGTVapのセグメントをコードする核酸配列
に特異的なオリゴヌクレオチドプローブに関する。
GTVapのセグメントをコードする核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドプロ
ーブの例は、以下の物質であり、これは図Iに述べるGTVap中で同定されるアミ
ノ酸配列と関連して以下に示す:
ペプチド:
対応する“センス”オリゴヌクレオチド:
対応する“アンチセンス”オリゴヌクレオチド:
ペプチド:
対応する“センス”オリゴヌクレオチド:
対応する“アンチセンス”オリゴヌクレオチド:
上記のセンスおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、個々の塩基に
ついては標準的な1文字の表示法を使用し、そして文字Nは縮重の位置を表す。
NはA、T、C、GまたはI(インシン)であり;RはAまたはGであり;Yは
CまたはTであり;MはAまたはCであり;KはGまたはTであり;SはCまた
はGであり;WはAまたはTであり
;HはA、CまたはTであり;BはC、GまたはTであり;VはA、CまたはG
であり;そしてDはA、GまたはTである。上記オリゴヌクレオチドの断片およ
び当業者には周知のさらなるヌクレオチド置換は、さらなる例を構成する。これ
らのオリゴヌクレオチドは、生物源中のGTVapをコードする核酸を決定するため
に使用できる。
第8の観点では、本発明は生物学的検体中のGTVapセグメントをコードする核
酸配列を決定する方法に関し、以下の工程を含んで成る:(a)核酸物質の分析
用に生物学的検体を調製し;(b)この生物学的検体の核酸物質を、GTVapのセ
グメントをコードする核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドまたは核酸プロー
ブとインキューベーションし;(c)非結合オリゴヌクレオチドまたは核酸プロ
ーブを核酸物質から除去し;そして(d)GTVapのセグメントをコードする核酸
配列に結合したオリゴヌクレオチドを決定する。
生物学的検体中のGTVapのセグメントをコードする核酸配列を決定する方法に
関して、核酸物質の分析用の生物学的検体を調製する工程は、界面活性中または
アルカリ性媒質での溶解、またはカオトロピック試薬の使用を通して行われる。
これに続いてDNAまたはRNAをアフィニティークロマトグラフィーにより(
これはmRNAに有用であり、mRNAを精製するためにはオリゴ-dTを使用す
る)、あるいはCsCl勾配中での遠心により(DNAおよびRNAの両方に有用で
ある)、あるいはプロテアーゼ(タンパク質を破壊する)および特別なヌクレア
ーゼ(望ましくないDNAまたはRNAを破壊する)を使用して混入物質の破壊
することにより精製する。この物質を膜に直接添加でき、ゲル電気泳動で分離で
き、あるいは電気泳動前に制限消化によりさらに分析できる。
最終物質は、核酸を結合できる膜に固定化する。この生物学的検体に由来する核
酸物質を、GTVapのセグメントをコードする核酸配列に特異的なオリゴヌクレオ
チドプローブとインキューベーションし、非結合オリゴヌクレオチドプローブを
核酸物質から除去し、そしてGTVapセグメントをコードする核酸配列に結合する
オリゴヌクレオチドプローブを決定する工程は、当業者に周知な方法で行われる
。
第9の観点では、本発明はGTVapをコードする核酸配列に関する。より詳細に
は、本発明は配列番号15および16に表すアミノ酸配列を有するGTVapをコー
ドする核酸から本質的に成る精製された核酸、またはストリンジェントな条件下
でその相補体とハイブリダイズでき、かつGTVapをコードする核酸に関する。こ
れらを図20に表す。幾つかのDNAクローンは、他のクローンには無い一連の
ヌクレオチドAGCを含み、生成した予想される特定のタンパク質中にGLNを生
じることに注目すべきである;これを図20のボックス中、および挿入の有無の
みが異なり、あとは同一である配列番号15(これは挿入を含む)および配列番
号16(挿入は含まない)と同定される配列中に表す。この核酸配列は、当業者
に周知な方法を使用して、生物起源からGTVapをコードする核酸配列を同定また
は精製するために使用できる。この核酸配列の領域に由来するか、またはこの配
列またはその相補体とハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドを、生物源中に
存在するこの配列中の突然変異を同定するために使用できる。この核酸をまた、
ヘテロロガスなプロモーターを有するベクター中に挿入し、そしてこれを細胞中
に挿入することにより組換えタンパク質を発現させることができる。組換えタン
パク質は完全長のGTVapであるか、またはそのムテインであってよい。好適な発
現
系は、細胞の均質な集団であり、各々がGTVapをコードするクローン化核酸を有
するか、または図20(配列番号15および16)に表すアミノ酸配列を有する
そのムテインであるか、またはストリンジェントな条件下でその相補体とハイブ
リダイズでき、そしてGTVapをコードする核酸である。好適な細胞は、GTVapタン
パク質を安定に発現する哺乳類細胞であるが、原核および他の真核細胞も使用で
きる。GTVapを生成する方法は、上記定義のようなGTVapをコードするクローン化
核酸を保有する細胞を培地中で培養して、GTVapを発現する細胞群を形成し、そ
して細胞から、または培養培地からGTVapを精製する工程を含んで成る。GTVapは
上記の方法または当業者に周知の他の方法を使用して精製できる。組換えGTVap
は、研究用または治療的目的のために、酵素的に活性なアミノペプチダーゼの供
給源として使用できる。
第10の観点では、本発明はタンパク質の保持配列をコードし、そして以下の
アミノ酸残基:-X1aa-Xaa-(X1aa)3-(Xaa)2-3-Tyr-Glu-(Xaa)1-3-Ser-(Xaa)0-1-X2
aa-(Xaa)0-4-Leu-Leu(配列番号20)を含んで成る第一ポリペプチド、および
第一の逆であり以下のアミノ酸残基の配列;-Leu-Leu-(Xaa)0-4-X2aa-(Xaa)0-1-
Ser-(Xaa)1-3-Glu-Tyr-(Xaa)2-3-(X1aa)3-Xaa-X1aa(配列番号21★)を含んで
成る第二ポリペプチド、ここでXaaは任意のアミノ酸残基を表し、X1aaはPro、Gl
uまたはAspを表し、そしてX2aaはArgまたはLysを表す、ならびにそのムテインか
ら成る群から選択されるポリペプチドに関する。第21図は、これらのGTVapお
よびGLUT4-保持およびソーティングコンセンサス配列を表す。
そのようなポリペプチドの特別な例は、保持配列がHis Pro Leu Glu Pro Asp
Glu Val Glu Tyr Glu Pro Arg Gly Ser Arg Leu Leu(配列番
号17);His Glu Met Asp Glu Asp Glu Glu Asp Tyr Glu Ser Ser Ala Lys Le
u Leu(配列番号18);またはLeu Leu Glu Gln Glu Val Lys Pro Ser Thr Glu
Leu Glu Tyr Leu Gly Pro Asp Glu Asn Glu(配列番号19)のものである。配
列番号20により表される保持配列は、配列番号17および18としてGTVap中
に見いだされる、配列番号21により表されるのは、配列番号19としてGLUT4
中に見いだされる。これらのポリペプチド(配列番号17−21)は、当業者に
周知の化学的手段により合成できるか、または組換え手段により発現でき、細胞
内トラフィッキングのモジュレーターの同定に有用な試薬として役立つだろう。
そのソーティングがインスリンにより調節されるGTVap以外のタンパク質のイ
ンスリン感受性保持配列の同定法は、タンパク質のアミノ酸配列を決定し、その
配列を配列番号20または21のポリペプチドのアミノ酸配列と比較し、そして
ポリペプチド(配列番号20または21)のアミノ酸配列を含む、またはそれに
相同的な部分のアミノ酸の配列を同定することを含んで成る。いったんそのよう
な保持配列がそのような他のタンパク質中で同定されれば、これらのタンパク質
はGLUT4およびGTVapの様式でソートする物質として関連し、そしてこのようにイ
ンスリンにより調節される。
本発明はまた、第二タンパク質のインスリン感受性保持配列に結合する細胞内
ソーティングタンパク質またはその活性断片を同定する方法に関する。この方法
は、1)ソーティングタンパク質と保持配列との間の結合を可能とする条件下で
、細胞内ソーティングタンパク質を保持配列とをインキューベーションし、そし
て2)特異的に結合したソーティングタンパク質を同定することを含んで成る。
そのような方法には、保持
配列の固定化、続いて細胞内ソーティングタンパク質を含有する細胞抽出物の添
加を含む。非特異的に結合したタンパク質は除去され、次に細胞内ソーティング
タンパク質が溶離され、そして分析される。別の方法は、“2−ハイブリッド”
系でおとりとしての保持配列の発現、そしてこの配列に特異的に相互作用するタ
ンパク質をコードするDNAを同定するための、ライブラリーのスクリーニング
を含む。そのようなタンパク質は、細胞内ソーティングタンパク質であろう。こ
の物質は保持配列と組み合わせて、それらの相互作用を破壊する化合物の同定を
可能にするだろう。
前述に記載に従い、少なくとも1つのGLUT4およびGTVapの細胞内ソーティング
を変化させることができる化合物を同定する方法は:a)試験化合物の存在およ
び不在中で、ソーティングタンパク質と保持配列との間の結合を可能とする条件
下で、細胞内ソーティングタンパク質またはその活性断片を、配列番号20また
は21のポリペプチド保持配列とインキューベーションし;b)ソーティングタ
ンパク質および保持配列の特異的結合複合体を定量し;そしてc)試験化合物の
存在および不在中での複合体形成の程度を比較することを含んで成る。そのよう
な化合物はインスリン耐性症候群を処置するために有用であろう。
インスリン耐性症候群を処置する方法は、糖尿病、肥満、グルコース耐性欠陥
、高インスリン症のような症状、ならびに限定するわけではないがX症候群、高
脂血症および高血圧症のような高インスリン症に付随する他の症状の処置に関す
る。投与量および投与時間は、例えば(特別なモジュレーターに応じて)、経口
的、経皮的または鼻内に、あるいは注射可能な状態で、皮下に、筋肉内に、また
は静脈内に、あるいは他の
適当な手段により、血中グルコースレベル、血漿グルコースレベル、ヘモグロビ
ンAlcのようなグリコシル化タンパク質のような代用マーカーおよびインスリン
レベルの低下を治療目的とする標準的な処方に従い、そしてインスリン模擬活性
またはインスリン強化活性を有するだろう。特許請求する方法は単独で、または
インスリン耐性および関連する症候群の他の治療法と組み合わせて使用できる。材料および方法
以下の用語一覧、供給元、装置等は、以下に与える実験操作を理解および再現
する際に読者を補助する目的で提供する。略号および説明:
胞膜画分:PM(形質膜)、HDM(高密度ミクロソーム)およびLDM(低
密度ミクロソーム)は、それらの本来の密度および遠心中の沈降挙動、ならびに
これらの膜が類型化される特定酵素の濃縮により定められる。
GTVapはグルコース輸送体小胞アミノペプチダーゼ(Glucose Transporter Vesi
cle aminopeptidase)を表す。
GTVap1は、種々のGTVap状態と反応するペプチドPhe-Ala-Ala-Thr-Gln-Phe-Gl
u-Pro-Leu-Ala-Ala-[Cys](配列番号8)から産生されたウサギポリクローナル
抗体を言う。
KRBH緩衝液は、120mM NaCl、4mM KH2PO4、1mM CaCl2、10mM NaHCO3および30mM
HEPESであり、そして7.4のpHを有する。
RACEはcDNA 末端の迅速な増幅(Rapid Amplification of cDNA Ends)である。
TBS(Tris緩衝化塩溶液)は、10mM Tris、150mM NaCl、0.01%チメロサ
ール、pH8.0である。
TBS-TWは、0.05% Tween-20を含有するTBSである。
TES(Tris-EDTA-シュクロース)緩衝液は、20mM Tris、1mM EDTA、250mMシュク
ロース、pH7.5である。
SDS-PAGEは、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動であ
る。試薬
:
アクチノニンは、モンタナ州、セントルイスのシグマ化学社(Sigma Chemical
Co.,)から得た。
アマスタチンは、モンタナ州、セントルイスのシグマ化学社から得た。
ω-アミノヘキシルSepharose 4Bは、モンタナ州、セントルイスのシグマ化学
社から得た。
AmpliTaq DNA ポリメラーゼは、コネティカット州、ノルウォークのパーキン
エルマー(Perkin Elmer)から得た。
ベンズアミジンは、モンタナ州、セントルイスのシグマ化学社から得た。
ベスタチンは、モンタナ州、セントルイスのシグマ化学社から得た。
BSA(ウシ血清アルブミン−第V画分)は、モンタナ州、セントルイスのシグ
マ化学社から得た。
コラゲナーゼは、ニュージャージー州、フリーホールドのウォーシントン(Wor
thington)から得た。
クーマシーブルー G-250およびSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)は、カリフォル
ニア州、ヘリキュルスのバオラッド(BioRad)から得た。
サイトカラシンBは、モンタナ州、セントルイスのシグマ化学社から
得た。
DFP(ジイソプロピルフルオロホスフェート)は、ウィスコンシン州、ミルウォ
ーキーのアルドリッチ(Aldrich)から得た。
EDTAはエチレンジアミン四酢酸であり、そしてモンタナ州、セントルイスのシ
グマ化学社から得た。
エクスパンドDNA熱安定性DNAポリメラーゼは、インディアナ州、インディアナ
ポリスのベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)から得た。
HEPESはN-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)であり
、そしてモンタナ州、セントルイスのシグマ化学社から得た。
IAVマトリックス、Immobilon(AV)膜は、マサチューセッツ州、ミルフォードの
ミリポア社(Millipore Corp)から得た。
IDACはイミノジ酢酸キレート化樹脂を表し、イリノイ州、ロックフォードのピ
アス(Pierce)から得た。
インスリン(ブタ)は、インディアナ州、インディアナポリスのイーライ リ
リー(Eli Lilly)から得た。
ロイペプチンは、モンタナ州、セントルイスのシグマ化学社から得た。
L-ロイシンチオールは、モンタナ州、セントルイスのシグマ化学社から得た。
Marathon RACEキットは、カリフォルニア州、パロ アルトのクローンテック(C
lontech)から得た。
オリゴヌクレオチドは、テキサス州、ミッドランドのミッドランドサーティフ
ァイドリージェント社(Midland Certified Reagent Company)から得た。
ペプスタチンAは、モンタナ州、セントルイスのシグマ化学社から得た。
PMSF(フェニルメチルスルホニル フルオリド)は、モンタナ州、セントルイス
のシグマ化学社から得た。
Problot膜は、カリフォルニア州、フォスター市のアプライドバイオシステム
ズ(Applied Biosystems)から得た。
PVDF膜は、ポリビニリデンジフルオリドであり、マサチューセッツ州、ベッド
フォードのミリポア社。
ラット心臓RACE Ready cDNA(7383-1)は、カリフォルニア州、パロ アルトのク
ローンテックから得た。
ラット骨格筋cDNAライブラリー(RL3003b)は、カリフォルニア州、パロ アルト
のクローンテックから得た。
ラット骨格筋polyA+RNAは、カリフォルニア州、パロ アルトのクローンテック
から得た。
Resource Q 陰イオン交換樹脂は、直径15μmの固いポリスチレン/ジビニルベ
ンゼンビーズ上に四級アンモニウム基を含み、そしてニュージャージー州、ピス
カタウェイのファルマシア(Pharmacia)から得た。
レトロサーム 熱安定性RNAおよびDNA依存性DNAポリメラーゼは、ウィスコン
シン州、マジソンのエピセントレ テクノロジーズ(Epicentre Technologies)か
ら得た。
Sequenaseキットは、オハイオ州、クリーブランドの合衆国バイオケミカル(Un
ited States Biochemical)から得た。
シナピン酸(3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシ桂皮酸)は、ウィスコンシン州、ミ
ルウォーキーのアルドリッチから得た。
sMBS(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル)
は、イリノイ州、ロックフォードのピアスから得た。
ストレプトアビジンは、カリフォルニア州、サウスサンフランシスコのジメッ
ド社(Zymed Corp.)から購入した。
Supelcosil LC-18-DB、3μm、2.1X250mmカラムは、ペンシルバニア州、ベレホ
ントのスペルコ社(Supelco Corp.)から得た。
TEA(トリエチルアミン)は、イリノイ州、ロックフォードのピアスから得た。
3’RACEキットは、カリフォルニア州、パロ アルトのクローンテックから得た
。
TEA(トリフルオロ酢酸)は、カリフォルニア州、フォスター市のアプライドバ
イオシステムズから得た。
チメロサールは、チオール第二水銀サリチル酸エチルナトリウムであり、モン
タナ州、セントルイスのシグマ化学社から市販されている。
Trisはトリスヒドロキシアミノメタンを表す。
Triton X-100は、モンタナ州、セントルイスのシグマ化学社から得た。
トリプシン(改良シークエンシング級、ブタ)は、ウィスコンシン州、マジソ
ンのプロメガ(Promega)から得た。
WGAは小麦胚芽レクチン-Sepharose 6MBを表し、これはニュージャージー州、
ピスカタウェイのファルマシア(Pharmacia)から得た。放射標識材料およびシンチレーション流体
125I-プロテインA(2−10μCi/μg)を、ウエスタンブロット分析に使用し
た。
すべての同位体およびシンチレーション流体(Aquasol)は、マサチュ
ーセッツ州、ボストンのニューイングランドヌクレアー(New England Nuclear)
、またはイリノイ州、アーリントン ハイツのアマシャム社(Amersham Corporati
on)からであった。ペプチド合成の一般法
ラットGLUT4配列のCOOH-末端15アミノ酸残基(495-509;[Cys]-Lys-Pro-Ser-Thr
-Glu-Leu-Glu-Tyr-Leu-Gly-Pro-Asp-Glu-Asn-Asp(配列番号9))およびその断
片(Lys-Pro-Ser-Thr-Glu-Leu-Glu-[Cys](配列番号10);Thr-Glu-Leu-Glu-T
yr-Leu-[Cys](配列番号11);[Cys]-Gly-Pro-Asp-Glu-Asn-Asp(配列番号1
2);GTVapペプチド(Phe-Ala-Ala-Thr-Gln-Phe-Glu-Pro-Leu-Ala-Ala-[Cys](
配列番号8))を含むすべてのペプチド、およびインスリン−誘導ペプチドは、
固相法を使用して、KnowlesおよびMarchesiの米国特許第5,225,354号明細書にす
でに記載の430Aペプチド合成機で合成した。すべてのペプチドは、-NH2または-C
OOH末端で、配列中で[Cys]と確認されるシステイン残基を用いて合成し、そして
ω-アミノヘキシルSepharose 4Bまたはインスリン-誘導ペプチドのタンパク質溶
解活性を監視するためにフルオロホアに結合させた。このペプチドをスルフィド
リル−特異的フルオレセイン結合体を用いて標識した。この手法で、2倍モル過
剰のフルオレセイン-5-マレイミド(ジメチル-ホルムアミド、40mg/ml中)をペプ
チド(10mg/ml)(100mM リン酸ナトリウム、5mM EDTA、pH7.1)中に加え、そして室
温で20時間インキューベーションした。生成したペプチド−フルオレセイン結合
体を、HPLCクロマトグラフィーにより、KnowlesおよびMarchesiの米国特許第5,2
25,354号明細書に記載したように精製した。装置
:
477aタンパク質シークエンサー、120Aアミノ酸分析機および430Aペプチド合成
機は、カリフォルニア州、フォスター市のアプライドバイオシステムズからのも
のだった。
125Iは、ワラック(Wallac)(LKB)1272 Clinigammaカウンターで測定した。
155kDおよび165kDタンパク質のトリプシン消化のHPLCデータの獲得および分析
は、Nelson Thurbochrome System(パーキン-エルマー ネルソン、ノルウォーク
、コネティカット州)で行った。
合成ペプチドおよびインスリン断片の質量分析用のマススペクトロメトリーは
、飽和シナピン酸、0.1%TFA、50%アセトニトリルをマトリックスとして使用し
て、フライトマススペクトロメーターのKratos Maldi 3レーザー脱着-時間(LD-
TOF-MS)を使用して行った。タンパク質測定のための一般方法
タンパク質の定量は、製造元(ピアス、ロックフォード、イリノイ州)により
記載されたようにビシンコニン酸法(bicinchoninic acid method:BCA)を使用し
て測定した。抗−ペプチド抗体の免疫アフニティー精製
GLUT4およびGTVap抗-ペプチド抗体は、GLUT4小胞の精製のためにウエスタンブ
ロットで使用する前に、またはGLUT4小胞の精製のために、免疫アフィニティー
吸着により精製した。このために、1つのシステインを含有するペプチド免疫原
を、以下の方法に記載されているようにSepharoseにカップリングさせた。ω-ア
ミノヘキシルSepharose 4B樹脂を50mM Na2PO4、10mM EDTA、pH7.0で洗浄した。
樹脂を50%スラリーに懸濁し、そしてsMBS(2μmoles/ml 樹脂)を加えた。周辺温
度で10分後、誘導
化された樹脂を50mM Na2PO4、10mM EDTA、pH7.0で洗浄し、そして50%スラリー
に再懸濁した。システイン−含有ペプチドを加え(1−2mgペプチド/ml)、そし
て周辺温度で一晩反応させた。生成したペプチド−樹脂結合物を、使用前に0.1M
酢酸そして次に50mM Na2PO4、10mM EDTA、pH7.0で洗浄した。
免疫アフニティー精製のために、個々のペプチドに対するポリクローナル抗血
清を100mM Na2HPO4、150mM NaCl、pH7.5で1:1に希釈し、そして対応するペプチ
ド樹脂に添加した。上記緩衝液で簡単に洗浄した後、結合したアフニティー−精
製抗体を0.1M 酢酸で溶離し、そして1.0M Tris塩基でpH8.0に直ぐに調整した。
精製した抗体を、0.5%アジ化ナトリウムを含有する0.1M ホウ酸ナトリウムpH8.
0に対して透析し、そしてその中で保存した。ウエスタンブロット分析
ウエスタンブロット分析前に、タンパク質をSDS-PAGEゲルで電気泳動し(Laemm
li,Nature,277,680-685,1970)、そしてPVDFまたはProblot膜に、Tobinら、PNAS,76
,4350-4354,1979の方法により移した。GLUT4およびGTVapのウェスタンブロッ
ト分析のために、上記のように免疫アフニティー−精製したウサギ抗−GLUT4抗
体を、1:5000希釈(1μg/5ml)で使用した;GTVapアフニティー精製抗体を1:1000(1
μg/ml)で使用した。第一抗体を検出するために、プロテインA125I(1μCi/ml)
およびヤギ抗-ウサギアルカリホスファターゼ(1:10,000;プロメガ)を連続的に使
用した。免疫反応性バンドは、発色したアルカリホスファターゼ反応生成物およ
び/または125I−プロテインAのオートラジオグラフィーにより同定し、そし
て125I−プロテインAカウントをLKB1272Clinigammaカウンタ
ーにより定量した。
実験および結果:GLUT4 特異的抗体の生成
GLUT4ウサギポリクローナル抗体は、ラット-GLUT4配列のCOOH-末端15アミノ酸
残基に対応する合成ペプチド、すなわち残基495-509、[Cys]-Lys-Pro-Ser-Thr-G
lu-Leu-Glu-Tyr-Leu-Gly-Pro-Asp-Glu-Asn-Asp(配列番号9)を使用して産生し
た。GLUT4に対する抗体特異性は、ポリクローナル抗血清を、ω-アミノヘキシル
Sepharose 4Bにヘテロ二官能性試薬sMBSを使用して共有的に結合した3つのペプ
チド(Lys-Pro-Ser-Thr-Glu-Leu-Glu-[Cys](配列番号10);Thr-Glu-Leu-Glu-
Tyr-Leu-[Cys](配列番号11);[Cys]-Gly-Pro-Asp-Glu-Asn-Asp(配列番号1
2)に吸着させることにより強化した。非吸着GLUT4特異的抗体を、495-509ペプ
チドカラム、そして次にプロテイン-A Sepharoseで精製した。生成した高度に
精製され、かつ特異的GLUT4抗体を1:5000希釈(1μgタンパク質/5ml希釈物)で
ウエスタンブロッティングに使用した。ラット脂肪細胞の調製および単離
125gのスプラージ-ダウレイ(Sprague-Dawley)ラットに由来する精巣上体脂肪
パッドを取り出し、そして即座に1%BSA、2.5mM グルコースおよび200nM アデノ
シンを含有するKRBH緩衝液に入れた。脂肪を細かく刻み、コラゲナーゼを3mg/ml
で加え、そして混合物を37℃で45分間、撹拌しながらインキューベーションした
。解離した脂肪細胞を250ミクロンのナイロンスクリーンを通して濾過し、そし
て1%BSAおよび200nM アデノシンを含有するKRBHを用いて3回洗浄した(穏やか
な遠心を使用した)。ラット脂肪細胞の分画
膜画分PM、HDMおよびLDMは、一般的にSimpsonら、Biochimica et Bio
physica Acta,763,393-407(1983)に従い調製した。単離した脂肪細胞を冷却した
Wheaton 55ml テフロンペステルホモジナイザー中で10ストローク、均質化した
。脂肪層を10,000Xg遠心後に取り出し、そして残存物質を再度均質化した。PM
画分を16,000Xgでペレット化し、そして上清を再遠心してさらにPMを取り出し
た。このPMを再懸濁し、そして再度均質化し、そして次に96,000Xgで1.12Mシ
ュクロースクッションを通して超遠心により、DNAおよびミトコンドリアオル
ガネラから精製した。PMをシュクロースクッションの相内から回収した。HD
Mを最初の上清から48,000Xgでペレット化し、そして生成した上清を再度遠心し
て残存するHDMを取り出した。LDMはHDM上清から1.12Mシュクロースク
ッションで、212,000Xgの遠心により回収した。このLDMをシュクロース相内
から回収し、そしてこの工程をさらなる試験管からプールしたLDMで3回繰り
返してLDMを濃縮し、いかなる混入細胞質タンパク質をも除去した。GLUT4 小胞の免疫精製
上記のように調製した精製GLUT4特異的抗体を、NHS-ビオチンを使用して50mM
NaHCO3、pH8.2中で室温にて30分間、ビオチン化した。20mM Tris、1mM EDTA、pH
8.0に対して透析した後、活性ビオチン化抗体は、アミノヘキシル-Sepharose CL
-4Bに上記のように共有結合した[Cys]-Lys-Pro-Ser-Thr-Glu-Leu-Glu-Tyr-Leu-G
ly-Pro-Asp-Glu-Asn-Asp(列番号9)でアフィニティー精製することにより回収
した。
Immobilon アフィニティー膜(IAV、1cm2)を、室温で6時間、そして次に4℃
で一晩、0.5M KH2PO4、pH7.5中の500μgのストレプトアビジン
で飽和させた。残存する部位を0.44Mのグルタミン酸でキャップし(6時間、室
温)、そして膜を洗浄した。上記記載のビオチン化抗-GLUT4抗体(50μg/cm2)を1
00mM ホウ酸、150mM NaCl、1mM EDTA、pH7.5に加え、そして接触を室温で6時間
維持した。生成した抗体−誘導化IAVマトリックスを3回(20分/洗浄)、TBS、0.1
% Tween-20中で洗浄し、そして次にTESに移した。対照IAVマトリックスをスト
レプトアビジンを用いて調製し、そしてグルタミン酸でキャップした。
LDMをGLUT4または対照IAVマトリックスに加えた。典型的には2.4ラットか
らのLDMのものを、それぞれ1cm2のマトリックスに加え、そして4℃で一晩、
150mM NaClを含有するTES中でインキューベーションし、そして続いて3回、同
じ緩衝液中で洗浄した。非結合小胞を、212,000xgで遠心することにより回収し
た。結合した小胞タンパク質は、マトリックスから10mM Tris-HCl、pH7.4中の1.
0% SDS、または20mM Tris、1mM EDTA、pH7.4中の0.1% Triton X-100で溶出し
た。GLUT4小胞タンパク質を液体N2中で凍結し、そしてさらに使用するまで-80
℃で保存した。
タンパク質を分析するために、等容量の精製GLUT4小胞および対照を、回収し
た非結合LDM小胞の等容量タンパク質添加と一緒に凍結し、そして4-20% SDS
-PAGEゲルに添加し、PVDF膜に移し、そしてクーマシーブルー R-250で染色した
。約165kDの分子量を有するタンパク質を、GLUT4小胞に対して特異的であると特
徴付け、そして部分的から完全に非結合画分から消費した。
図1はウエスタンブロットオートラジオグラフィーにより定性的に、GLUT4抗
体−誘導化IAVマトリックスを使用した免疫アフィニティー吸着が、GLUT4抗体を
欠いたIAVマトリックスと比較してGLUT4小胞の有意な
濃縮を生じることを表す。125IプロテインAの定量では、免疫アフィニティー
−精製小胞中にGLUT4の8倍濃縮を示した。この免疫アフィニティー−精製GLUT4
小胞タンパク質を、0.1% Triton X-100または低濃度SDS(<1%)で可溶化でき、
そして共有結合ストレプトアビジンに付いた抗体を遊離し、全LDM画分よりは
一層単純化されたタンパク質組成を生じる。
図2はSDS-PAGE後のGLUT4小胞−会合タンパク質のクーマシーブルー染色が、G
LUT4小胞に独自に会合し、そしてGLUT4抗体を欠いているIAVマトリックス上に吸
着するタンパク質中には見いだされない、165kDおよび155kDタンパク質を明らか
にする。165kdおよび155kDタンパク質の両方が、GLUT4 IAVマトリックスとの吸
着後にLDMから消費されるが、対照マトリックス上の吸着後では消費されない
。165kd および155kDタンパク質の精製および配列分析
GLUT4小胞タンパク質を、20cmの7-15%アクリルアミド、SDS-PAGEゲルで電気
泳動的に分離し、そしてProblot膜に移した。165kdおよび155kDタンパク質は、
クーマシーブルー染色により同定された。Problot膜からNH2末端方向でのシーク
エンシングの最初の試みでは、NH2-末端がブロックされたことを示した。続く実
験では、165kdおよび155kDタンパク質を分離し、そして上記のように同定し、そ
して次にトリプシン(30:1;基質/酵素)を用いてFernandezら、Analyt.Biochem.,2 01
,255-264(1992)に従い消化した。生成したペプチド生成物をSupelcosil LC-18
-DB、3μm、2.1X250mmカラムで、3時間で70%アセトニトリル中の0.1%TFAから
0.1% TFA直線勾配を使用して分離した。溶出液を215nmで監視し、そして選択し
たピークを、ガス相がオンライン120AアナライザーおよびPE Nel
son Turbochromeソフトウェアで操作されるABI 477aタンパク質シークエンサー
を使用してシークエンシングに供した。
図3はトリプシン処理断片のHPLC分離を表し、そして2つのタンパク質間に有
意な類似性を示している。中程度の疎水性および強いUV吸収の選択したペプチド
をシークエンシングした。得られた配列を、表1に示す。両ペプチドは165kdお
よび155kD状態からシークエンシングされ、そして同一であり、これら2つのタ
ンパク質間の類似性をさらに証明している。GLUT4 小胞タンパク質165kDaのアミノペプチダーゼとしての同定
得られた第一配列は、GenBank、EMBL、NucleicおよびGeneSeqを含むDNAデ
ータベース、ならびにタンパク質データベースPIR、PatchXおよびSwissProtを調
査するために使用した。1つのペプチドが、GeneSeqデータベース中の胎盤起源
の血清アミノペプチダーゼのトリプシン処理断片と100%の相同性を有すること
が判明した。表1を参照にされたい。
断片#1の下線残基は、高力価ウサギポリクローナル抗血清を生成するために
使用した。
断片#2の下線残基は、既に同定された胎盤ロイシンアミノペプチダーゼ(PLAP
)と100%の相同性を有した。
★GTVap-165およびGTVap-155残基中の両方に見いだされる同じ配列を表す 下
の場合の文字中の残基には完全な信頼性がないので、請求の範囲ではXaaで表す
。
ペプチド Phe-Ala-Ala-Thr-Gln-Phe-Glu-Pro-Leu-Ala-Ala-[Cys](配列番号8
)は、上記のように連続的にアフィニティー精製されたウサギポリクローナル抗
体を生成するために使用した。これらの抗体をGTVap1と呼び、そしてウエスタン
ブロット分析のために1:500希釈で使用した。
図4は、ウエスタンブロット分析において、アフィニティー精製したGTVap1抗
体が、GLUT4小胞上の165kDおよび155kDタンパク質に特異的であり、そしてその
2つよりも豊富ではない120kDタンパク質とも反応することを示している。対照
と比較して、ウエスタンブロットによる測定のように、精製したGLUT4小胞は有
意に免疫反応性165kDおよび155kDタンパク質を濃縮する。125IプロテインAの
定量では、免疫アフィニティー−精製した小胞で18倍の165kDおよび155kDタンパ
ク質の濃縮が示された。
オリゴサッカライド側鎖除去後の165kDおよび155kDタンパク質の同一性を示す
ために、LDMをN-グリコシダーゼFで処理した。精製したLDMを0.5% SDS
で可溶化し、そして次に25mM Hepes、10mM EDTA、1.7%β-オクチルグルコシド
、pH 7.5で緩衝化した後、試料あたり1単位のN-グリコシダーゼF(PNGase F)で
、37℃にて12または24時間消化した。
対照(グリコシダーゼを欠く試料)を、各条件でインキューベーションした。
図5は、LDMのN-グリコシダーゼFを用いた処理で、165kDおよび155kD免疫
反応性タンパク質の両方が110kDの1つの免疫反応性タンパク質に転換されるこ
とを示している。したがって、両方の形態はグリコシル化165kDおよび155kD形態
のオリゴサッカライド側鎖の数および/または長さに差異が存在する、タンパク
質レベルでは同一のものらしい。165kD および155kDタンパク質は、既に同定されたアミノペプチダーゼと配列相同 性を有し、そしてGLUT4小胞はアミノペプチダーゼ活性を濃縮する
表1に示したように、断片#2のペプチド配列は既に報告された胎盤起源の血漿
アミノペプチダーゼ(Tsujimotoら、欧州特許出願公開第535 241号号明細書)と10
0%の相同性を有した。
合成基質ロイシンp-ニトロアニリドは、アミノペプチダーゼ活性がGLUT4小胞
と同時に精製されることを確かめるために使用した。免疫アフィニティー精製し
たGLUT4小胞、または対照IAV膜に非特異的に結合した小胞を、20mM Tris、0.1%
Triton X-100、pH7.5で抽出した。2つのマトリックスから等容量の抽出物を、
1.6mM leu-p-ニトロアニリドを使用してアミノペプチダーゼ活性についてアッセ
イした。図6に示す結果は、GLUT4小胞が対照IAVマトリックスのアミノペプチダ
ーゼ活性よりも5倍多い活性を含むことを示す。したがって、アミノペプチダー
ゼ活性はGLUT4小胞を一緒に精製する。
本出願を通して、グルコース輸送体小胞アミノペプチダーゼまたはGTVapは、G
LUT4小胞に会合したアミノペプチダーゼを命名するために使用
する。PMおよびHDM膜中のGTVapの同定
図7に示すようにGTVapはまた、GTVap1抗体を使用するウエスタンブロット分
析によりPMおよびHDM画分にも見いだされる。GTVap-165およびGTVap-155は
HDMおよびLDM中で優勢な状態であるが、PM中ではこれらのGTVapはより
少ない。PM、LDMおよびHDM膜からのGTVapの一般的抽出法およびアッセイ法
GTVapは、低濃度の界面活性剤を使用してLDM、HDMおよびPM膜区分か
ら最大(>95%)に抽出できる。特に示さない限り、GTVapをGLUT4小胞、LDM
、HDMおよびPMから20mM Tris、pH7.5中の0.1% Triton X-100を使用して4
℃にて15分間可溶化した。不溶性物質を20,000Xgで20分間遠心することによりペ
レット化し、そして捨てた。酵素抽出物(10-20μgタンパク質)を、1.6mM ロイシ
ンp-ニトロアニリド(20mM Tris-HCl、0.1% Triton X-100、pH7.5、250μl容量
中)を使用して37℃でアッセイした。p-ニトロアニリド生成物のUV吸収を405nm
で測定し、そしてp-ニトロアニリド標準と比較することにより定量した。結果は
特記しない限り37℃でμgタンパク質/時間あたりに生成されたp-ニトロアニリド
のピコモルで表す。あるいは結果は、タンパク質が低くすぎて測定できない場合
は(例えばカラム画分)405nmでのOD変化として表すか、または相対比を作成し
た。図8に示すように、PM、LDMおよびHDMはGTVap活性を含む。
GLUT4小胞は初めにアミノペプチダーゼ活性を有することが示されたが、165kD
および155kDタンパク質が真にアミノペプチダーゼであるかど
うかを確認する必要があった。精製したGLUT4またはLDMから得られるタンパ
ク質の量には限界があるで、HDM由来の酵素を特性決定し、そして精製する必
要があった。GTVap 酵素活性の特性決定
種々のアミノ酸p-ニトロアニリド基質に対するGTVapの相対反応性を特徴付け
るために、HDM抽出物を上記のように調製し、そして1.6mM濃度の各基質と上
記のようにインキューベーションした。表2に示すように、GTVapの合成アミノ
酸p-ニトロアニリド基質に対する相対活性は、ロイシン>>プロリン、アラニン
>バリン、グリシンである。
種々のアミノ酸β-ナフチルアミド基質に対するGTVapの相対反応性を特徴付け
るために、GLUT4小胞抽出物を上記のように調製し、そして200μM濃度の各基質
と上記のようにインキューベーションした。表2Aに示すように、GTVapの合成
アミノ酸β-ナフチルアミド基質に対する相対活性は、ロイシン>リシン>アル
ギニン>メチオニン>アラニン>フェニル基アラニンである。
GTVap活性の至適pHを決定するために、HDM抽出物を上記のように調製し、
そして100mM Tris塩基、0.1% Triton X-100(これはすでに示したpH値にHClで調
整した)で1:9に希釈した。15分間のインキューベーション後、ロイシンp-ニ
トロアニリド基質を加え、そして酵素活性を上記のように測定した。図9に示し
た結果は、酵素が広い中性の至適pHを有することを示している。
GTVapの温度安定性を測定するために、HDM抽出物を上記のように酵素分析
する前に、種々の温度で20分間インキューベーションした。図10に示す結果は
、20から40℃の間で活性が25%、温度依存的に不活性化することを示す。さらに
40℃から50℃の間で大きな活性低下があり、20℃のインキューベーションと比較
して75%の阻害を生じる。
既知のアミノペプチダーゼには構造の最適な安定化および最大酵素活性に結合
イオンが必要である。GTVapに関するイオン要求性を探索するために、HDMのT
riton x-100抽出物を種々のイオンと共に37℃で15分間インキューベーションし
た後、leu-p-ニトロアニリド基質を加えた。
図11に示す結果により、特定のイオンが酵素活性を活性化および阻害できるこ
とを実証する。これはまた酵素が二価カチオン添加無しで有意な活性(最大活性
のおよそ55%)を有することも証明している。亜鉛、コバルトおよびマンガンは
、マイクロモル濃度で最適に活性化し、そしてミリモル濃度で阻害する。カルシ
ウムおよびマグネシウムも部分的には活性化するが、高マイクロモルからミリモ
ルのイオン濃度でである。リチウムおよびカリウムイオンは、1μMと10mMの間で
酵素活性に効果がない。
GTVapの初期の調査中に、Triton X-100抽出物は4℃では時間経過により酵素
活性を失うことが証明された。特別なイオンを加えることにより酵素活性を安定
化させる試みは、すでに酵素を活性化することを示した。HDMの日常的な抽出
の直後に、抽出物は、イオンまたはDTTを既に酵素活性を強化すると示された濃
度で含有する20mM Tris-HCl、pH7.5で希釈された。4℃で種々の時間の後、アリ
コートを取り出し、そしてGTVap活性を測定した。図12に示す結果は、カルシ
ウムが時間依存的不活性化に対して酵素活性を安定化することを示している。す
でに活性を増加させると示された亜鉛、コバルトおよびマンガンは、酵素を安定
化しない。
多数のプロテアーゼインヒビターを、GTVapに対するそれらの阻害効果を調査
するために研究した。酵素測定法は上記に示したが、leu-p-ニトロアニリド基質
を加える15分前に、種々の濃度のインヒビターをHDM酵素抽出物に加えた点は
異なった。データは100%の活性の有するインヒビター無しの対照との比較で与
える。以下のインヒビター(試験した最大濃度は、カッコ内に示す)は、ロイシ
ン-p-ニトロアニリド基質
を使用してGTVap活性に対して効果が無かった:ジイソプロピルフルオロホスフ
ェート(5mM)、PMSF(1mM)、ベンズアミジン(10mM)、ロイペプチン(5mM)、EDTA(5m
M)。
2つの亜鉛錯化物、フェナントロリンおよびジピリジルは、図13に示すよう
に>0.2mMで>98%の阻害物質であることが判明した。
Leu-Leu-Phe-クロロメチルケトン(LLPAC)はカルパインの既知のインヒビター
であるが、1mMのGTVap IC50を有する。ジチオスレイトール(DTT)は5mMで30%の
阻害を有するが、0.2mMで酵素活性を20%増加させる。
既に同定された多数のアミノペプチダーゼインヒビターを、GTVapについて試
験した。最も効果的なインヒビターは2μMのIC50を有するロイチオールであっ
た。図14に示すように、アマスタチンは0.35mMのIC50を有し、そしてベスタチ
ンおよびアクチノニンは>1mMのIC50を有した。HDM由来のGTVap-165、155および120の精製
GTVap酵素に関する精製法は、酵素の比較的早い、時間に依存する不活性化に
基づき構成した。精製スキームは2つのアフィニティー精製(WGAおよびIDAC)、
続いて陰イオン交換クロマトグラフィー分離を使用する。カルシウムイオンは可
能であればいつでも最適な安定性を維持するために使用した。
1mg/ml濃度に精製されたHDMを、20mM Tris-HCl、0.1% Triton X-100(2mM
CaCl2、150μM PMSF、1mM DFP、1mM ベンズアミジン、2μM ロイペプチンおよび
1μM ペプスタチンAを含有)で可溶化した。この抽出物は全アミノペプチダーゼ
活性の96%およびHDM画分の全タンパク質の77%を可溶化することが判明した
。非可溶化膜を20分間、48,000Xgでペレット化し、そして捨てた。可溶化抽出物
を小麦胚芽凝集素(WGA)-Seph
aroseと共に浴でインキューベーションした。特に1mlの包装された小麦胚芽レク
チン-Sepharose 6MB樹脂(WGAと呼ぶ)を、10mgのHDMのタンパク質に加え、そ
して4℃で一晩回転させた。樹脂をCaCl2無しの上記緩衝液で洗浄し、そして5.0
mlの0.5M N-アセチルグルコサミンで溶出した。全アミノペプチダーゼ活性の約9
3%が結合し、そして0.5M N-アセチルグルコサミンを使用してWGAカラムから溶
出できた。このWGA精製画分を直接、陰イオン交換Resource Qカラムに添加した
。典型的には、全WGA精製画分を4℃で1mlのResource Q陰イオン交換樹脂カラム
に添加した。20mM Tris、0.1% Triton X-100、pH7.8中で0−0.5M NaClの直線勾
配を4℃で溶出に使用した。全画分をアミノペプチダーゼ活性についてアッセイ
し、そしてGTVap1抗体に対するウエスタンブロット反応性をアッセイした。図1
5aおよび15bに示すように、このイオン交換法は120kD免疫反応タンパク質
をGTVap-155およびGTVap-165kd状態から分離した。GTVap1抗体を使用する、120k
Dタンパク質およびGTVap-155kDおよびGTVap-165kDタンパク質同定のResource Q
ウエスタンブロットプロフィールは、アミノペプチダーゼ活性との優れた相関を
示す。Resource Qカラムからの鋭い初期の溶出ピークはGTVap-120であり、後に
溶出する広いピークは初めにGTVap-155であり、接近してGTVap-165が続いた。
あるいはWGA精製画分はまた、亜鉛を予め添加したイミノジ酢酸カラムに直接
添加することができた。特にWGA精製画分は、製造元の推薦に従い10mM ZnSO4(20
mM Tris、0.1%Triton X-100、pH7.5中)を前以て添加した0.5mlのイミノジ酢酸
キレート化(IDAC)カラムを直ぐに通過した。WGA溶出液の添加後、カラムを10カ
ラム容量の20mM Tris、0.1% Triton X-100、pH7.5で洗浄した。次にカラムを10
mM EDTAを含む20mM Tris、0.
1% Triton X-100、pH7.5で溶出した。約93%のアミノペプチダーゼ活性がIDAC
に結合し、そして10mM EDTAで溶出できた。
IDAC素通りおよびIDAC結合画分を、1mlのResource Q陰イオン交換樹脂で上記
のように別個にクロマトグラフィーを行った。図16に示す結果は、亜鉛−添加
IDACカラムがすべてのGTVap-120を結合するが、ほとんどのGTVap-155およびGTVa
p-165は通過することを示している。この観察はこれら画分のウエスタンブロッ
ト分析により確証される(データは示さず)。亜鉛への結合にはタンパク質のヒ
スチジン残基と結合した亜鉛イオンとの配位が関与するらしいので、さらにグリ
コシル化された重いGTVapは固定化された亜鉛への結合が立体的に妨害されるの
かもしれない。亜鉛カラムに結合しないGTVap-155およびGTVap-165の画分は、GT
Vap-120と二量体化し、そして亜鉛と直接反応しないかもしれない。他のアミノ
ペプチダーゼに関するこれまでの生物物理学的研究は、これらの酵素が二量体で
存在できることを示唆している。
まとめると、GTVap-120、GTVap-155およびGTVap-165は酵素的に活性であり、
そしてすべてがGTVap1抗体と反応し、そして上記の精製スキームにより濃縮され
、そして分離できる。GTVap はインスリンに反応して形質膜に転移する
GLUT4はインスリンの刺激で、細胞内の小胞区分から形質膜に転移することが
知られている。GTVapもまた転移するのかどうかを決定するために、上記のよう
に調製したラット精巣上体脂肪パッドから解離した脂肪細胞をインスリンで刺激
した。インスリン(10nM)を、37℃で20分間維持した新たに調製した脂肪細胞に加
えた。脂肪細胞を次にTES緩衝液で洗浄した。インスリン刺激および対照脂肪細
胞を、亜細胞区分に分画
し、そしてGTVap酵素およびタンパク質(ウエスタンブロット)を前述のように
分析した。図17はウエスタンブロット反応性の増加により証明されるように、
GTVapがインスリン刺激に反応して形質膜に転移することを示している。図18
は、GTVap酵素活性がインスリン刺激後に形質膜で29%増加することを示す。インスリンおよび合成ペプチド基質のGTVap開裂
HDM(1.8mg/ml)を、37℃で120μg/mlのブタインスリンと50mM ホウ酸ナトリ
ウム、pH7.5(すでにGTVapに対して阻害効果をもたないと示された以下のプロテ
アーゼインヒビターを含有)中でインキューベーションした:2mM ベンズアミジ
ン、2μM ロイペプチン、1μM ペプスタチン、1mM DFPおよび150μM PMSF。反応
は種々のインキューベーション時間後に、HDMを除去するためにアリコートを
200,000Xg遠心して停止させた。インスリン生成物はマススペクトロメトリーに
より検出するか、または始めに0.25ml/分の流速で2.1X15cmのベックマン(Beckma
n)Spherisorb C18カラムで、4時間に27%から31%アセトニトリル(TEAでpHを3
に調整したTFA中)への勾配でクロマトグラフィーを行い、その後マススペクトロ
メトリー分析により検出した。
この方法を使用して、完全な、およびTriton X-100抽出HDMは、インスリン
に対するアミノペプチダーゼ活性を有することが示された。図19a、bおよび
cに示すように、マススペクトロメトリー分析ではインスリンのB−サブユニッ
トのN-末端残基フェニルアラニンおよびバリンが完全なインスリン分子から連続
して除去されたことを示した。GTVap をコードする核酸配列の同定
1組の2つの縮退オリゴヌクレオチドプールを得、その1つはペプチ
ドの初めの7つのアミノ酸をコードし、そしてもう1つは最後の7アミノ酸の逆
相補鎖をコードした。これらのオリゴヌクレオチドプールは、3’RACEキットを
使用してラット骨格筋polyA+RNAから生成したラット骨格筋cDNAについて、Ampli
Taq DNA ポリメラーゼを用いるポリメラーゼ連鎖反応を行うために、あるいは逆
転写、続いてポリメラーゼ連鎖反応をラット骨格筋polyA+RNAについてレトロサ
ームDNAポリメラーゼを使用して行うために使用した。これらの反応から、この
オリゴヌクレオチドを基本としたペプチドをコードする明白なDNA配列の短い
領域を得た。32Pで標識したこれらの明白な核酸をプローブとして使用して、ラ
ムダgt11ラット骨格筋cDNAライブラリーをスクリーニングし、そしてGTVapをコ
ードする25個のクローンを同定した。5.3、10.1および12.1と同定されたこれら
の中の3つは、クローン5.3および10.1が両方ともイントロンを含んでいたので
、クローン12.1の配列に基づいた最終配列を用いて配列決定された。クローン12
.1の5'および3'末端付近の核酸配列に基づき、Marathon RACEキットを使用して3
'および5'RACEを行うために、さらなるオリゴヌクレオチドプローブを設計した
。7つの反応生成物が3’末端で同定され、KC44およびKC45と同定されたその中
の2つを配列決定して、図20(配列番号15および16)に記載のcDNAの3’末
端を得た。2つの反応生成物が5’Marathon RACE反応により同定され、そして
クローン334について完全な配列が、そしてクローン331について部分的な配列が
得られた。クローン334の5'末端付近の核酸配列に基づき、そして最初の5'Mar
athon RACE反応からのRACE生成物を鋳型として使用して、さらに5’Marathon R
ACE反応を行った。これによりさらに7つのクローンを得、クローン2、3およ
び5と同定したそのなかの3
つクローンを配列決定した。これらの配列を合わせて、図20(配列番号15お
よび16)の全核酸配列を作成する。テキサス州ヒューストンのLARKシークエン
シングテクノロジーズ(Lark Sequencing Technologies)により配列決定されたク
ローン334を除いて、すべてのクローンのシークエンシングはシークエナーゼを
使用して行った。配列はAssemblyign(ラボラトリーリサーチプロダクツ:Laborat
ory Research Products、イートスマン コダック社:Eastman Kodak Company、ニ
ューヘブン、コネティカット州)、およびWisconsin Package(ジェネティック コ
ンピューターグループ:Genetics Computer Group、マジソン、ウィスコンシン州
)を使用して集成した。
開始コドンは、翻訳を開始できる核酸配列中の最初のATGを使用して同定した[
Kozak、J.Cell Biol .,108,229-241(1989)]。成熟タンパク質のより長い形態(
配列番号15)は1026アミノ酸を含み、そして117239と予想される分子量を有す
る。
この核酸配列は、受け入れ番号R47032およびH08895を含む幾つかの未同定発現
配列タグと高度な類似性を表す。ラットの門歯の未分類組織から単離されたR470
32は、GTVapと90ヌクレオチドにわたって同一であり、次に両端が逆である。こ
れはGTVapの非スプライスまたはスプライス状態のいずれかをコードするようで
ある。ヒト脳から単離されたH08895は、382ヌクレオチドにわたって(この発現
された配列タグの完全長)GTVapと88.5%同一である。これはH08895がヒトGTVap
の一部をコードするようである。予想されるタンパク質はラットアミノペプチダ
ーゼNと32.5%同一であり、そして他のアミノペプチダーゼとは>20%の同一性
を表す。このタンパク質同一性のレベルは、1000ヌクレオチドより多くにわ
たって50%−60%の核酸同一性に相当する。インスリン−感受性保持配列のコンセンサス配列の同定
GTVapおよびGLUT4はGLUT4小胞に見いだされ、そして形質膜への同時転移によ
り証明されるようにインスリンに反応するので、両タンパク質が共通の構造的モ
チーフ(保持配列)を共有すると予想される。これらのタンパク質にこのような
特性を付与する構造的モチーフは、インスリン−感受性の様式で転移する他のタ
ンパク質について見られるようである。インスリン−感受性保持配列を同定する
試みにおいて、GTVapの予想されるタンパク質配列がGLUT4の細胞質ドメインのタ
ンパク質配列と、Wisconsin Package コンピュータープログラム(ジェネティッ
クスコンピューターグループ、マジソン、ウィスコンシン州)を使用して比較さ
れた。有意な相同性が、GTVapの細胞質ドメイン2つの隣接するセグメント(配
列番号17および18)中、およびGLUT4の逆(C−Nへ読む)細胞質ドメイン
(配列番号19)で明らかであった。このコンセンサス配列は、配列番号20お
よび21として同定された配列により表されている。
本発明の他の態様は、ここに開示されたこの明細書または実験の考察から当業
者には明らかであろう。明細書および実施例は例示と考えられるだけであり、本
発明の真の範囲および精神は以下の請求の範囲に示されている。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12Q 1/68 A61K 37/54 AED
(72)発明者 レツツインガー,ジヨン・テイ
アメリカ合衆国コネチカツト州06516ウエ
ストヘブン・アイビーストリート90
(72)発明者 ヘイ,ウオーレス
アメリカ合衆国コネチカツト州06443マデ
イソン・レイスヒルロード85
(72)発明者 ハート,ジヨン・テイ
アメリカ合衆国コネチカツト州06492ウオ
ーリングフオード・ウツドランドドライブ
47
(72)発明者 クレアモント,ケビン・ビー
アメリカ合衆国コネチカツト州06410チエ
シヤー・マーウインサークル80