JPH10504707A - 異種移植片の超急性拒否反応を減少させる方法 - Google Patents

異種移植片の超急性拒否反応を減少させる方法

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JPH10504707A
JPH10504707A JP8502446A JP50244696A JPH10504707A JP H10504707 A JPH10504707 A JP H10504707A JP 8502446 A JP8502446 A JP 8502446A JP 50244696 A JP50244696 A JP 50244696A JP H10504707 A JPH10504707 A JP H10504707A
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JP8502446A
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サンドリン、モーロ・エス
フォドー、ウィリアム・エル
ロザー、ラッセル・ピー
スクウィント、ステファン・ピー
マッケンジー、イアン・エフ・シー
Original Assignee
アレクション・ファーマシューティカル・インク
ジ・オースチン・リサーチ・インスティテュート
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/1048Glycosyltransferases (2.4)
    • C12N9/1051Hexosyltransferases (2.4.1)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/06Immunosuppressants, e.g. drugs for graft rejection

Abstract

(57)【要約】 グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパクの発現を指示するベクターを異種細胞に導入する、異種移植片の拒否反応を減少させる方法を提供する。このように調製した細胞は、天然の予め形成されたヒト抗体との結合の実質的な減少を示し、したがって、超急性拒否反応から保護される。

Description

【発明の詳細な説明】 異種移植片の超急性拒否反応を減少させる方法関連出願の参照 本出願は、1994年6月15日に出願された別出願である米国特許出願第08 /260,201号の部分継続出願である。発明の分野 本発明は、異種移植に関する。より具体的には、本発明は、ヒトレシピエント (受容者)への移植後の異種細胞、組織および器官の超急性拒否反応を防止し、 または減少させる方法に関する。本発明は、ガラクトースα(1,3)ガラクト ースとして知られる非ヒト抗原の異種細胞の表面での発現を安定的に減少させる 方法を提供する。これは、そのような細胞の表面への予め形成された天然ヒト抗 体の結合の結果として、ヒト血液、血漿または血清にさらされた後(例えば、ヒ ト患者への異種移植の後)に典型的に起こる異種細胞の抗体依存性拒絶の現象を 防止する。発明の背景 異種移植: 腎臓、肝臓、心臓、肺および脾臓のような同種器官(すなわち、移植片レシピ エントと同じ種のドナー(供与者)からの器官)の移植に関する外科的問題は、 大部分解決されており、免疫抑制は、これらの手順が今日では高い成功率で行わ れるように改良されている(Brent,1991)。しかし、今日の移植医学における 主要な問題は、移植を待っている多数の患者を満足させるのに十分な同種ドナー 器官の提供である。移植を待っている患者により生じる透析および病院収容のコ ストに対する重要性が増大する中で、疾患の経過の初期におけるドナー器官の移 植は、それ以上に重要でさえある。さらに、ヒトドナーの同種移植片の供給はこ の需要を満足し得ないことは明らかである。疾患の器官、組織または細胞を置き 換えるための代替的な供給源は、機械的な装置または動物器官である。動物器官 の全ての臨床的移植は、ヒヒ、チンパンジーまたはゴリラのような近縁の旧世界 霊長類種をドナーとして用いた場合以外は、失敗してきた。残念ながら、潜在的 な旧世界霊長類ドナーの供給もまた限られており、倫理的な配慮により、このよ うな種からの器官の使用はさらに制限される。一方、非霊長類種は、ドナーの膨 大な潜在的供給源を提供する。 異種移植のための最も可能性の高いドナー種は、ブタであると考えられる(Co oper et al.,1991 および Niekrasz,et al.,1992)この動物は、商業的に一 般に用いられており、したがってその使用は霊長類ドナーの使用より少ない倫理 的問題を引き起こす。さらに、ブタは、解剖学的および生理学的理由により非常 に好適なドナーであると考えられる(Cooper et al.,1991 および Niekrasz et al.,1992)。 異種移植片の免疫学的拒否反応: 移植された細胞、組織または器官の拒否反応には、極めて迅速な超急性拒否反 応(HAR)相とより緩慢な細胞性拒否反応相の両方が関与しうる。非ヒト、非 旧世界霊長類器官、組織または細胞(本明細書において、以下「異種移植」器官 、組織または細胞、または「異種移植物(xenotransplants)」、または「異種 移植片(xenoqrafts)」という)のHARは、ドナー細胞、例えば内皮細胞に結 合し、ヒト免疫系の補体という武器による攻撃を活性化する、ヒト血液、血漿、 血清、リンパ等に見い出される予め形成された天然抗体により開始される(Dalm asso et al.,1992;およびTusso et al.,1993)。 いくつかの異種移植組織(例えば、ブタ膵島)は、このメカニズムにより拒絶 されるようには見えないが、HARは、ほとんどの細胞および組織、および全て の血管新成器官の異種移植の成功にとって最も重要な障壁である。HARの制御 方法は利用可能である。これらとしては、循環からの予め形成された天然抗体の 除去またはその特異的エピトープへの天然抗体の結合との干渉による、HAR応 答を開始するのに関連する抗体抗原反応との干渉(Mauro S.Sanrdin および Ia n F.C.McKenzieにより1994年3月15日に出願された、「異種移植療法」 という発明の名称の、別出願である米国特許第08/214,580号、および「抗体媒 介性異種移植拒否反応を弱める方法および組成物」という発明の名称のPCT公 報第93/03735号を参照されたい)が挙げられる。 超急性拒否反応の防止のための特に望ましいアプローチは、異種細胞のα(1 , 3)ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子を欠失させるか、阻害し、したがっ てそのような細胞の表面でのGal α(1,3)Galエピトープの発現を排除 し、または有意に減少させることである(前出の別出願である米国特許出願第08 /214,580号を参照されたい)。このアプローチは、異種細胞への予め形成された 天然ヒト抗体の結合を排除し、または減少させ、したがって、補体の活性化およ びその後に続く異種細胞、組織および器官の超急性拒否反応を防止し、または減 少させる。 異種移植物に対する補体侵襲の阻害は、いくつかの手段により達成することが でき、これらとしては、1992年8月4日に発行された米国特許第5,135,916 号において開示されたとおりの18kDa C5b〜9阻害タンパク、およびヒトC 5b〜9タンパクに対するモノクローナル抗体のような補体インヒビターの使用 が挙げられる。 上述の方法は効果的であるが、しかし、実際にはある種の欠点を有し、潜在的 に医薬の継続的な投与を必要としたり、ある場合には特異的遺伝子の標的破壊を 担持する動物の技術的に困難な作成を必要とする。 HARおよび補体: 補体の活性化は、走化性、凝血促進性、前炎症性(proinflammatory)、接着 性、および細胞溶解性の特性を有する、液相(C3a、C5a)および膜結合( C3bおよびC5b〜9)タンパクの生成をもたらす(Muler-Eberhard,1988)。 超急性拒否反応により拒絶された異種移植物の免疫組織学的解析により、抗体の 沈着、補体結合、および血管の血栓症、ならびに好中球浸潤が明らかにされた( Zehr et al.,1994; Auchincloss,1988; Najarian,1992; Somervile and d′A pice,1993; および Mejia-Laguna et al.,1972)。 HARおよび異種抗原: 天然ヒト抗体の標的は、これらの異種抗原の同定が異種移植片の超急性拒否反 応を回避する戦略の開発を可能にするであろうことから、多年にわたって研究の 対象であった。いくつかの最近の研究は、炭水化物ガラクトースα(1,3)ガ ラクトース(Gal α(1,3)Gal)が天然ヒト抗体により認識される主要 な異種エピトープであることを確信的に明らかにした(Sandrin et al.,1993A; Sandrin et al.,1993B; 前出の出願中の米国特許出願第08/214,580号;および 前出のPCT公報第93/03735号を参照されたい)。 Galiliおよびその共同研究者は、ヒト血清中のIgGのかなりの割合(1%) が細胞表面上および分泌された糖タンパク上に見い出される種々のグリコシル化 された分子の一部として発現されたGal α(1,3)Galエピトープに対す るものであることを示した(Galili et al.,1984; および Thall and Galili,19 90)。このジサッカリドエピトープは、ヒトおよび旧世界霊長類以外の全ての哺 乳動物に見い出され、天然の予め形成された抗Gal α(1,3)Gal抗体は 、ヒトおよび旧世界霊長類、すなわちこのエピトープをそれ自身で発現しない種 のみにおいて見い出される(Galili et al.,1987 および Galili et al.,1988) 。 HARおよび予め形成された天然抗体: 抗Gal α(1,3)Gal抗体の免疫グロブリンクラスは、超急性拒否反応 におけるその抗体の生物学的役割を決定する。組織学的研究に基づいて、Bach および Platt(Platt et al.,1990; Platt and Bach 1991; Platt et al.,199 1; および Geller et al.,1993)は、IgMが超急性異種移植片拒否反応に関 与する最も重要な免疫グロブリンのクラスであると考えている。 しかし、Gal α(1,3)Galに対する天然ヒト抗体は、IgMクラスの ものだけではなく、いくつかの研究により、ヒト血液中の、ブタ細胞と反応性の IgG抗体の存在が明らかになっており(Tusso et al.,1992; Fabian et al., 1992; Hammer et al.,1992; Cairns et al.,1993A; Cairns et al.,1993B; Fournier et al.,1993; Koren et al.,1993; および Zhao et al.,1993)、 これは、Galili らの1984年の最初の知見と一致している(Galili,1993 も 参照されたい)。例えば、正常ヒト血清での潅流の後、異なる異種器官から抗体 を溶出することにより、Koren ら(1992)は、IgM、IgGおよびIgA抗体 の存在を明らかにした。これらの種々の研究に基づいて、IgMおよびIgG抗 体の両方がGal α(1,3)Gal抗原と反応するという一般的な合意がある 。 異なるモノサッカリドおよびオリゴサッカリドの、天然の予め形成されたヒト 抗体とブタ細胞との相互作用を阻害し、抗体依存性および補体媒介性のブタ細胞 の溶解を防止する能力が調べられてきた(Sandrin et al.,1993A; Sandrin et al.,1993B; 前出のPCT公報第93/03735号;および前出の別出願である米国特 許出願第08/214,580号)。 このような抗体の異種細胞との結合の阻害は、ガラクトース、またはα連結( β連結ではなく)の末端ガラクトースを含有する部分を用いて得られた。種々の 炭水化物もまた、他の特異性を有する天然の予め形成されたヒト抗体のいくつか のタイプについての標的エピトープを含むことが示された(例えば、ABO血液 群抗体)。しかし、Gal α(1,3)Galエピトープを含むものを除いては 、試験されたどのモノサッカリドも、天然の予め形成されたヒト抗体の異種細胞 への結合に対して何の阻害効果も示さなかった。血液群A、B、ABまたはOの 個体からの個々のヒト血清試料を用いた場合に、同一の阻害結果が得られた(Sa ndrin et al.,1993A および Sandrin et al.,1993B)。 同様に、Cooper およびその共同研究者は、予め形成された天然のヒトIgG およびIgM抗体に対する結合についてスクリーニングした全部で132の炭水 化物のうち、このような抗体に結合しうることを彼らが見い出した4つの炭水化 物分子の各々が、末端αガラクトースを含有することを明らかにした(Good et al.,1992)。その4つの炭水化物は以下のものであった: (1)Gal α(1,3)Gal β(1,4)GlcNAc、 (2)Gal α(1,3)Gal β(1,4)Glc、 (3)Gal α(1,3)Gal β、および (4)Gal α(1,3)Gal。 セファロースのような担体にカップリングしたメリビオース(melibiose)(α連 結で末端ガラクトースを含有するジサッカリド)のような糖類は、抗Gal α( 1,3)Gal抗体を精製するのに使用することができる(Galili et al.,1984 および Galili et al.,1985)。いくつかの抗体吸収実験においては、糖と反 応性の抗体を除去した血清を調製するために、ヒト血清を、担体−糖マトリック ス上を通過させた。これらの実験で調製された血清の細胞溶解活性の試験の結果 は、これらの手段により大部分の細胞傷害性抗体が血清から除去されたことを示 す(Sandrin et al.,1993A; Sandrin et al.,1993B)。 要約すると、糖阻害研究、末端αガラクトース含有分子への抗体の結合の研究 、およびメリビオース−セファロースによる抗体の吸収の研究の結果は、全て、 Gal α(1,3)Galエピトープは天然のヒトIgGおよびIgM抗体によ り検出される最も重要なエピトープである、という結論に導く。 グリコシルトランスフェラーゼ 哺乳動物細胞は、その表面に複雑な変異に富んだ炭水化物抗原を表す。炭水化 物エピトープは、膜糖タンパクおよび糖スフィンゴ脂質により全ての哺乳動物細 胞上に発現される。これらの糖コンジュゲートの構造における深遠な変化は、頻 繁に分化および発生のような重要な生物学的プロセスを伴う。細胞上に存在する 炭水化物エピトープのタイプおよび数は、異なる種において、そして一定の種の 中の異なる組織において変化する(Yamakawa and Nagai,1978)。 これらの炭水化物部分の構造は、大部分、オリゴサッカリド合成に関与するグ リコシルトランスフェラーゼの活性により決定される。したがって、一定の哺乳 動物細胞の表面上に表されるオリゴサッカリド分子のポピュレーションは、大部 分、その細胞中で活性なグリコシルトランスフェラーゼのレパートリーにより決 定される(Kornfeld and Kornfeld,1985)。 グリコシルトランスフェラーゼは、ヌクレオシドジホスフェート−糖コンジュ ゲート(ドナー分子)からアクセプター基質分子へ糖を転移させ、共有結合を形 成する酵素のファミリーを含む。アクセプター基質は、しばしばオリゴサッカリ ド、またはより大きい分子のオリゴサッカリド部分であるが、特定のタンパクま たは脂質であることもある。グリコシルトランスフェラーゼは、連続的な様式で 機能し、トランスフェラーゼ活性のオリゴサッカリド生成物は、しばしば後続の トランスフェラーゼ活性のためのアクセプター基質となる。最終結果物は、一般 に、互いに連結した成分モノサッカリドの直鎖状および/または分枝状ポリマー を含む。 グリコシルトランスフェラーゼは、ヌクレオシドジホスフェート−炭水化物ド ナーの性質、アクセプター基質の性質、およびドナーの糖をアクセプター基質に 結合するグリコシド連結に関して、互いに異なる(Beyer and Hill,1982に論評 されている)。グリコシルトランスフェラーゼの例としては、以下のものが挙げ られる:ガラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、シア リルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、N −アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、グルコシルトランスフェラー ゼ、スルホトランスフェラーゼ、アセチラーゼ、およびマンノシルトランスフェ ラーゼ。 ガラクトシルトランスフェラーゼ ガラクトシルトランスフェラーゼは、UDP−ガラクトースドナー分子からア クセプター基質にガラクトースを転移するグリコシルトランスフェラーゼの例で ある。このようなガラクトシルトランスフェラーゼのひとつである、UDP−G al:Galβ(1,4)Gal NAcGlcα(1,3)ガラクトシルトラン スフェラーゼ(α(1,3)Galトランスフェラーゼとも呼ばれる)は、以下 の反応を触媒するゴルジ膜結合酵素である: UDP−Gal+Gal{β(1,4)またはβ(1,3)}Glc NAc−R → Galα(1,3)Gal{β(1,4)またはβ(1,3)]Glc NAc −R+UDP (ここで、Rは糖タンパクまたは糖脂質であってよい)(Blanken and Van den Eijnden,1985)。結果として生じるα(1,3)連結ガラクトースは、N−アセ チルラクトサミン型炭水化物中で末端非還元位置を占め、そのままで、シアル酸 による鎖停止の非荷電代替物である。上記で考察したように、このようなα(1 ,3)Gal構造は、天然の予め形成されたヒト抗体により認識される異種細胞 の最も重要なエピトープである。 α(1,3)Galトランスフェラーゼおよびこの酵素の活性のGal α(1 ,3)Gal β1−R(本明細書中でGal α(1,3)Galと呼ぶ)生成物 は、種および組織特異的発現を示す(Galili et al.,1988)。α(1,3)Ga lトランスフェラーゼは、様々な哺乳動物細胞で広く発現されており、旧世界霊 長類およびヒトはその顕著な例外である。これらの哺乳動物は、この酵素をコー ドするゲノム配列中のフレームシフトおよびナンセンス突然変異により、この酵 素を発現しない(Larsen et al.,1990a)。 ヒトおよび旧世界霊長類は、ヒトおよび旧世界霊長類におけるこれらの突然変 異およびそれによるGal α(1,3)Galエピトープの欠如の結果として、 このエピトープに特異的に結合する天然の予め形成された循環抗体を高レベルで 有している。これらの種における天然の予め形成された抗体の原因となる抗原暴 露の源は、決定的に確立されてはいないが、ヒトおよび旧世界霊長類の腸に通常 見い出される、Gal α(1,3)Galエピトープを担持するある種の細菌で あると信じられている。 ブタα(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼをコードするcDNAが、 種交差(cross species)ハイブリダイゼーションを用いてクローニングされた (前出の別出願である米国特許出願第08/214,580号;および Dabkowski et al. ,1993を参照されたい)。配列の比較により、アミノ酸レベルで、マウスのα( 1,3)Galトランスフェラーゼ配列と約75%の同一性、およびウシのそれ と約82%の同一性があり、トランスフェラーゼの触媒ドメインが最も高い同一 性を有することが示されている。 フコシルトランスフェラーゼ ヒトH血液群の炭水化物抗原およびグリコシルトランスフェラーゼ、ならびに H抗原の生合成および分布の特定の詳細は、広範に論評されている(例えば、Lo we,1991を参照されたい)。H抗原に付随するものを含め、いくつかの炭水化物 は、末端構造フコースα(1,2)ガラクトースを含有する。フコースα(1,2 )連結の合成は、特異的α(1,2)フコシルトランスフェラーゼ酵素により触 媒される。これらのトランスフェラーゼの酵素的活性は、α(1,2)連結によ る種々のアクセプター分子へのL−フコースの共有結合的付着をもたらす。例え ば、Hトランスフェラーゼは、フコースを特異的オリゴサッカリドアクセプター 基質に共有結合により連結してトランスグリコシル化反応を触媒するフコシルト ランスフェラーゼである。この反応において、フコースはヌクレオチド糖ドナー 分子GDP−フコースから由来し、Galβ(1,3)GlcNAc−Rまたは Galβ(1,4)GlcNAc−Rアクセプター基質のガラクトース残基にα (1,2)連結により連結される(すなわち、β(1,3)またはβ(1,4)連 結のN−アセチルグルコサミンに連結したガラクトースであり、ここで、Rは、 糖タンパク、タンパク、糖脂質、または脂質を表す)。 これらのアクセプター基質はまた、上記で考察したα(1,3)Galトラン スフェラーゼについてのアクセプター基質でもあるが、各トランスフェラーゼは 、異なるヌクレオチド糖ドナー分子を利用する(α(1,3)Galトランスフ ェラーゼについてはUDPガラクトース、これに対してHトランスフェラーゼに ついてはGDPフコース)。α(1,3)GalトランスフェラーゼおよびHト ランスフェラーゼは、現在ではクローニングされている(前出の別出願である米 国特許出願第08/214,580号; Stanley,1992; およびLowe,1991を参照されたい )。α(1,3)Galトランスフェラーゼを発現すると期待される細胞におけ る種々のグリコシルトランスフェラーゼ(Hトランスフェラーゼを含む)の組換 えによる発現が報告されている(例えば、Lowe,1991 を参照されたい)。しか し、本発明以前には、Gal α(1,3)Galエピトープの発現に対するこの ような組換え体の発現の効果は未知であった。発明の概要 上述の観点から、ヒト血液、血漿、血清、リンパ等にさらされた場合(例えば 、ヒト患者への異種移植の後)に、改変されていない前駆体よりも超急性拒否反 応を受けにくい遺伝的に改変された異種器官、組織および細胞を提供すること、 およびこのような異種器官、組織および細胞の調製方法を提供することは、本発 明のひとつの目的である。これらの方法に従えば、異種細胞は、外来性グリコシ ルトランスフェラーゼ(すなわち、異種細胞または異種細胞の親細胞に導入され た組換え核酸分子によりコードされるグリコシルトランスフェラーゼ)のグリコ シルトランスフェラーゼ活性を発現するように遺伝的に改変される。特に、本発 明の遺伝的に改変された異種細胞は、その細胞表面に減少されたレベルの異種抗 原Gal α(1,3)Galを呈する。 本発明の別の側面においては、本発明の遺伝的に改変された異種細胞は、予め 形成された天然ヒト抗体への結合から阻害され、したがって、ヒト補体による活 性化および/または溶解に対する減少した感受性により明らかにされるように、 HARに対して有意に感受性が低い。このようにして、ヒト患者に移植された場 合、補体媒介性超急性拒否反応メカニズムによるこのような細胞の拒否反応は、 低減または予防される。 ある種の好ましい態様においては、本発明は、ヒトまたは旧世界霊長類への移 植に続いての異種細胞の拒否反応を低減するための方法を提供し、これは、 (a)フコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパクをコードする核酸配 列を含む発現ベクターをレシピエント細胞中に導入することにより、遺伝的に変 更された細胞を作成する工程であって、上記発現ベクターの導入が、上記遺伝的 に変更された細胞への天然の予め形成されたヒト抗体または天然の予め形成され た旧世界霊長類抗体の結合において、レシピエント細胞への上記抗体の結合と比 較して実質的な減少をもたらす工程、および (b)上記遺伝的に変更された細胞またはその細胞に由来する細胞を、ヒトま たは旧世界霊長類に移植する工程 を含むことを特徴とする。 別の好ましい態様においては、本発明は、フコシルトランスフェラーゼ活性を 有するタンパクをコードする核酸配列を含む発現ベクターをレシピエント有蹄類 細胞中に導入することにより、遺伝的に変更された有蹄類細胞であって、上記発 現ベクターの導入が、上記遺伝的に変更された有蹄類細胞への天然の予め形成さ れたヒト抗体または天然の予め形成された旧世界霊長類抗体の結合において、レ シピエント有蹄類細胞への上記抗体の結合と比較して実質的な減少をもたらすも の、を提供する。 更に別の好ましい態様においては、本発明は、フコシルトランスフェラーゼ活 性を有するタンパクをコードする核酸配列を含む発現ベクターを遺伝的に変更さ れたレトロウイルスパッケージング細胞またはプロデューサー細胞の由来するレ シピエント細胞中に導入することにより、遺伝的に変更されたレトロウイルスパ ッケージング細胞またはプロデューサー細胞であって、上記発現ベクターの導入 が、上記遺伝的に変更されたレトロウイルスパッケージング細胞またはプロデュ ーサー細胞への天然の予め形成されたヒト抗体または天然の予め形成された旧世 界霊長類抗体の結合において、遺伝的に変更されたレトロウイルスパッケージン グ細胞またはプロデューサー細胞の由来するレシピエント細胞への上記抗体の結 合と比較して実質的な減少をもたらすもの、を提供する。 図面の簡単な説明 図1〜4は、抗H抗原mAb(図2および3)またはGal α(1,3)Ga lエピトープに特異的なレクチン(図1および4)により蛍光染色されたアフリ カミドリザルCOS細胞の写真である。各図において、下のパネルは、位相差照 明により見られる全ての細胞を示し、上のパネルは、紫外線照明により見られる mAbまたはレクチンに特異的に結合している細胞のみを示す。図1の細胞は、 Gal α(1,3)Galトランスフェラーゼを発現するベクターでトランスフ ェクトされている。図2の細胞は、Hトランスフェラーゼを発現するベクターで トランスフェクトされている。そして、図3および4の細胞は、等量の両ベクタ ーでトランスフェクトされている。アフリカミドリザルは旧世界霊長類であり、 したがって、COS細胞を含め、その細胞は、Gal α(1,3)Galエピト ープを発現しない。その上、COS細胞は、Hエピトープを発現しない。 図5は、細胞のレクチン染色および蛍光ベースのフローサイトメトリー解析に より解析した、安定にトランスフェクトされたブタ腎臓細胞におけるHエピトー プの発現および減少したGal α(1,3)Galエピトープの発現を表す。図 5Aは、クローンPK1:H−トランスフェラーゼ#A3についてのものである 。図5Bは、クローンPK1:NEO#B6についてのものである。図5Cは、 クローンPK1:H−トランスフェラーゼ#A3についてのものである。図5D は、クローンPK1:NEO#B6についてのものである。 図6は、蛍光染色およびフローサイトメトリーにより解析した、Hエピトープ の発現および減少したGal α(1,3)Galエピトープの発現に付随したヒ ト血清IgGおよびIgMのブタ腎臓細胞に対する結合の喪失を明らかにする。 図6Aは、クローンPK1:H−トランスフェラーゼ#A3についてのものであ る。図6Bは、クローンPK1:H−トランスフェラーゼ#A3についてのもの である。図6Cは、クローンPK1:NEO#B6についてのものである。図6 Dは、クローンPK1:NEO#B6についてのものである。 図7は、H−トランスフェラーゼおよびNEO対照PK1細胞についてのヒト 血清色素放出検定の結果を示す。この図は、安定にトランスフェクトされたブタ 腎臓細胞における、Hエピトープの発現および結果としてのGal α(1,3) Galの発現の減少に付随した、ヒト血清溶解に対する強化された抵抗性を説明 する。 上記の図面は、本明細書に取り込まれてその一部を構成するものであり、本発 明の好ましい態様を説明し、記載と共に、本発明の原理を説明するために役立つ ものである。もちろん、図面および記載の両方は、説明のためのみのものであり 、本発明を制限するものではないことは理解されるべきである。好ましい態様の説明 グリコシルトランスフェラーゼ: 核酸分子によりコードされるグリコシルトランスフェラーゼが、その外来性ト ランスフェラーゼが発現される異種細胞の表面上のGal α(1,3)Galエ ピトープを減少させうることを条件として、本発明の実施においてグリコシルト ランスフェラーゼをコードする種々の核酸分子を使用することができる。本発明 に従えば、この特性は、候補グリコシルトランスフェラーゼの発現を指示する適 切な発現ベクターを異種細胞中へ導入し、次いで、例えばヒト血清を用いて以下 の実施例4に記載するように、Gal α(1,3)Galエピトープの細胞表面 レベルについて細胞を試験することにより、決定することができる。 本発明の方法および細胞における使用のために好適なトランスフェラーゼは、 発現ベクターの導入後の異種細胞に対する天然の予め形成されたヒト抗体の結合 に、ベクターの導入前の結合と比較して実質的な減少をもたらす。一般に、結合 における少なくとも50%の減少は、「実質的な減少」を構成する。これより小 さい結合の減少もまた、統計学的に有意な減少、すなわち、スチューデントTテ ストのような標準的統計学的テストにより解析した場合に、0.05以下、そし て好ましくは0.015以下の確率値(p)を与えるのであれば、「実質的」で あると考えられる。このようなベクターの構築、このような細胞の作成、および 予め形成された天然抗体結合の減少に関するこのような細胞の試験の例は、以下 の実施例1〜5に与えられている。 特に、天然の予め形成された抗体の結合の減少は、以下に実施例2に記載され るように、染色および染色された細胞のカウントにより、または以下に実施例4 に記載されるようにFACS解析により(この場合には、定量的読み取りは種々 のFACS曲線の下の面積およびそれらの曲線の位置のシフトを測定することに よって得られる)、または以下に実施例5に記載されるように補体抵抗性の変化 を測定することにより、決定することができる。 いかなる作用理論にも拘束されることは望まないが、トランスフェラーゼが発 現される異種細胞の表面上のGal α(1,3)Galエピトープのレベルを低 減させることができるグリコシルトランスフェラーゼは、この減少を、共有され るアクセプター基質に関する競合により与えると信じられている。特に、本発明 の方法および細胞における使用のために好適なトランスフェラーゼは、ドナー糖 を、β(1,3)Glc NAc−Rまたはβ(1,4)Glc NAc−Rアクセ プター基質に転移すると信じられている。したがって、好ましいトランスフェラ ーゼとしては、ドナー糖を、β(1,3)Glc NAc−Rまたはβ(1,4) Glc NAc−Rアクセプター基質に転移し、そのような転移の際にGal α (1,3)Gal連結以外の共有結合連結を生成するものが挙げられる。 本発明の実施において使用される好ましいトランスフェラーゼとしては、フコ シルトランスフェラーゼが挙げられる。これらのトランスフェラーゼに関しては 、α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼのβ(1,3)Glc NAc− Rまたはβ(1,4)Glc NAc−Rアクセプター基質への末端フコース残基 の付加は、アクセプター基質に対するGal α(1,3)Galエピトープの付 加を防止すると信じられている。本発明の方法における使用に関して試験するこ とができるフコシルトランスフェラーゼの具体例としては、α(1,2)フコシ ルトランスフェラーゼ(Hトランスフェラーゼ; Larsen et al.,1990A)および α(1,3/1,4)フコシルトランスフェラーゼ(Weston et al.,1992)が挙 げられる。これらのうち、Hトランスフェラーゼが好ましく、ヒトHトランスフ ェラーゼが特に好ましい。このトランスフェラーゼは、普遍的ドナーO血液群抗 原であるH抗原の合成に関与し、α(1,3)Galトランスフェラーゼと同じ アクセプター基質を利用する。あるいは、好ましさは劣るものの、シアリルトラ ンスフェラーゼ、例えば、α(2,6)シアリルトランスフェラーゼ(Lowe,199 1を参照されたい)を本発明の実施において使用してもよい。 上述の考察および以下の考察は、グリコシルトランスフェラーゼをコードする 核酸分子に関して述べられているが、本発明の細胞および方法は、より一般的に 、グリコシルトランスフェラーゼ活性(特にフコシルトランスフェラーゼ活性を 含む)を有する任意の全てのタンパクをコードする核酸分子を含む。このような タンパク質は、インタクトなグリコシルトランスフェラーゼの形態であってもよ いが、グリコシルトランスフェラーゼの活性フラグメントを含むもののような活 性突然変異体グリコシルトランスフェラーゼを含むタンパクの形態であってもよ い。例えば、Kukowska et al.,1991を参照されたい。 組換えグリコシルトランスフェラーゼの発現のためのベクター: 上述のものに加えて、本発明は、ベクターが導入された異種細胞によるGal α(1,3)Galエピトープの発現を減少させるのに有効なレベルでの異種細 胞における組換えグリコシルトランスフェラーゼの発現のためのベクターを提供 する。このようなベクターにおける使用のために適切なグリコシルトランスフェ ラーゼをコードする組換えポリヌクレオチドとしては、上記で考察したトランス フェラーゼをコードするものが挙げられる。特に好ましいポリヌクレオチドは、 配列番号3に記載のヒトHトランスフェラーゼをコードするものである。 望ましい外来性グリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸は、適切な親 発現ベクター、すなわち、タンパクをコードする核酸分子の挿入のための部位を 含み、(発現のために適切な向きで)挿入されたタンパクをコードする配列の転 写および翻訳のために必要な要素をも含む発現ベクターに挿入してもよい。特に 好ましい転写および翻訳シグナルは、多様な異種細胞タイプにおける望ましいグ リコシルトランスフェラーゼの発現を可能にする。 候補親発現ベクターは、以下の実施例1においてAPEX−1ベクターについ て記載されるような、親発現ベクター中の発現のための適切な部位へのヒトHト ランスフェラーゼをコードする核酸フラグメントの挿入、および以下の実施例5 に記載されるような、ヒト補体媒介性損傷に対する感受性についての得られた発 現ベクターを含む細胞の試験により、本発明の実施における使用に関する適性に ついて試験することができる。 遺伝的に変更された脊椎動物細胞において使用されるべき哺乳動物発現ベクタ ー系の転写および翻訳調節配列は、ウイルス供給源を含む種々の供給源から提 供されうる。例えば、多くの哺乳動物細胞タイプにおいて一般的に作動可能であ ることが知られている通常用いられるプロモーターおよびエンハンサーは、ポリ オーマウイルス、アデノウイルス、サルウイルス40(SV40)、およびヒト サイトメガロウイルス初期(immediate-early)遺伝子1プロモーターおよびエ ンハンサー(CMV)に由来する。細胞タイプ特異的プロモーターも、所望であ れば、特定の細胞タイプにおいてグリコシルトランスフェラーゼを発現させるた めに用いることができる。 本発明の方法および細胞におけるグリコシルトランスフェラーゼの発現のため に特に好ましい真核生物ベクターは、配列番号4に記載のpAPEX−1(「ブ タE−セレクチン」という発明の名称の、1994年6月1日付けで出願された 別出願である米国特許出願第08/252,493号も参照されたい)である。pAPEX −1は、哺乳動物細胞におけるタンパク発現を増大するよう改変されたベクター pcDNAI/Amp(インビトロゲン(Invitrogen),San Diego,CA)の誘導 体である(以下の実施例1を参照されたい)。 いずれの親発現ベクターを用いようとも、トランスフェラーゼをコードするポ リヌクレオチドフラグメントは、典型的には適切な制限エンドヌクレアーゼによ る消化の後に、親ベクター中にサブクローニングされる。このようなサブクロー ニングのためのフラグメントは、PCR増幅、制限エンドヌクレアーゼ消化等に より得ることができる。これらのフラグメントおよび親ベクターは、PCR融合 または酵素的連結のような標準的方法を用いてトランスフェラーゼ発現ベクター へと組み立てる(Sambrook et al.,1989; Ausubel et al.,1992)。あるいは 、本発明の方法および細胞に使用されるグリコシルトランスフェラーゼをコード する核酸分子は、化学的手段により合成することができる(Talib et al., 1991 )。 発現ベクターは、好ましくは選択可能なマーカー、例えば、アンピシリンのよ うな抗生物質の存在下での微生物細胞の増殖およびプラスミド選択のためのβラ クタマーゼ抗生物質耐性遺伝子や、例えば細胞傷害性アミノグリコシドであるG 418の存在下での、安定な哺乳動物トランスフェクタントの増殖および選択の ためのネオマイシン遺伝子をも含む。 トランスフェクションまたは形質導入(トランスダクション)による細胞への 核酸分子の導入: 当業界で知られているように、細胞への核酸分子の導入は、多数の方法により 、典型的にはトランスフェクションまたは形質導入により、達成することができ る。トランスフェクション方法としては、DEAE/デキストラン、リン酸カル シウム、または両親媒性脂質(この場合には、この操作は当業界で一般にリポフ ェクションと呼ばれる)のような化学担体(キャリア)を核酸分子に、トランス フェクトすべき細胞へのこれらの分子の添加の前またはその最中に、添加するこ とが挙げられる。トランスフェクション方法としては、電気穿孔法(エレクトロ ポレーション)、電場媒介性移入(ベーコニゼーション(Baekonization)とも 呼ばれる、例えば、「細胞中へ遺伝子を移入する方法」という発明の名称の米国 特許第4,849,355号および「高電圧生物学的巨大分子移入および細胞融合システ ム」という発明の名称の米国特許第4,663,292号を参照されたい)、微量注入法 (マイクロインジェクション)、および弾道粒子(ballistic particles)すな わち「遺伝子銃」媒介性移入のような機械的方法も挙げられる。 工作された複製不能ウイルスを用いる細胞への核酸分子の導入は、当業界で形 質導入と呼ばれている。形質導入は、異種内皮細胞中への核酸分子導入の好まし い方法である。本発明の実施において形質導入を用いるために必要とされる最初 の工程は、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター中にグリコシル トランスフェラーゼの遺伝子配列を包含させることである。その後、レトロウイ ルスベクターを、パッケージング細胞を用いてレトロウイルス粒子に取り込ませ る。 レトロウイルスベクターおよびパッケージング細胞を構築するためのレトロウ イルス核酸の操作は、当業界で公知の技術を用いて達成される。例えば、Ausube l et al,1992,Volume 1,Section III(ユニット 9.10.1‐9.14.3); Sambroo k et al.,1989; Miller et al,1989; Eglitis et al.,1988; 米国特許第4,65 0,764号、第4,861,719号、第4,980,289号、第5,122,767号および第5,124,263号 ;ならびにPCT特許公報WO85/05629号、WO89/07150号、WO90/02797号、 WO90/02806号、WO90/13641号、WO92/05266号、WO 92/07943号、WO92/14829号、およびWO93/14188号を参照されたい。 特に、本発明の実施に使用するためのレトロウイルスベクターは、以下のよう にして調製し、使用することができる。最初に、グリコシルトランスフェラーゼ をコードする核酸配列を含むレトロウイルスベクターを、親レトロウイルスベク ターから構築する。このような親レトロウイルスベクターは、例えば、Korman e t al.,1987; Morgenstern et al.,1990; 米国特許第4,405,712号、第4,980,28 9号、および第5,112,767号;およびPCT特許公報WO85/05629号、WO90/027 97号、およびWO92/07943号に見い出すことができる。好ましい親レトロウイル スベクターは、モロニーマウス白血病ウイルス由来発現ベクターpLXSN(Mi ller et al.,1989)である。 本発明の実施において使用される親レトロウイルスベクターを、グリコシルト ランスフェラーゼをコードする配列を含むように改変し、両向性(amphotropic )パッケージング系、好ましくは遺伝子治療での適用に好適なものを用いて、非 感染性(複製不能)形質導入レトロウイルス粒子(ビリオン)中にパッケージン グする。 有用なパッケージング系の例は、例えば、Miller et al.,1986; Markowitz e t al.,1988; Cosset et al.,1990; 米国特許第4,650,764号、第4,861,719号、 第4,980,289号、第5,112,767号および第5,124,263号;およびPCT特許公報W O85/05629号、WO89/07150号、WO90/02797号、WO90/02806号、WO90/136 41号、WO92/05266号、WO92/07943号、WO92/14829号、およびWO93/14188 号に見い出される。好ましいパッケージング細胞は、PA317パッケージング 細胞株(セルライン)(ATCC CRL9078)である。 「プロデューサー細胞」の生成は、パッケージング細胞にレトロウイルスベク ターを導入することにより達成される。上記の手順により生成されたプロデュー サー細胞は、レトロウイルスベクター粒子を産生させるために用いられる。これ は、好適な生育培地において細胞を培養することにより達成される。 好ましくは、ビリオンは、培養物から回収し、形質導入すべき標的細胞に投与 する。このような標的細胞の例としては、単離された異種細胞、異種器官または 組織の細胞、および抗体結合および補体侵襲から保護すべきその他の細胞、なら びに異種始原細胞、例えば、胚性または造血性幹細胞のような幹細胞が挙げられ 、これらはトランスジェニック細胞、組織または器官を生成するのに使用するこ とができる。 あるいは、実施可能な場合には、ビリオンは、形質導入すべき標的異種細胞に 、標的細胞とプロデューサー細胞との共培養により添加される。ビリオンの安定 な保存およびその後の使用に好適な緩衝液および条件は、例えば、Ausubel et a l., 1992に見い出すことができる。 細胞、組織および器官: 一般に、本発明の実施においては、あらゆる異種細胞、組織または器官を用い ることができる。好ましい細胞は有蹄類起源のものであり、特に好ましい細胞は ブタ由来のものである。本発明のグリコシルトランスフェラーゼ核酸構築体は、 移植における後の使用のために種々のタイプの培養細胞を工作するために用いる ことができる。有用な細胞タイプの例としては、内皮細胞、線維芽細胞およびそ の他の皮膚細胞、肝細胞、神経およびグリア細胞、膵島細胞、造血細胞、血液細 胞、水晶体細胞、角膜細胞、および幹細胞が挙げられる。 さらに、本発明のグリコシルトランスフェラーゼ核酸構築体は、レトロウイル スパッケージング細胞またはレトロウイルスプロデューサー細胞を変更するため に用いることができ、これらの細胞が、天然の予め形成されたヒト抗体または天 然の予め形成された旧世界霊長類抗体の結合において、そのように変更されてい ないパッケージングまたはプロデューサー細胞に対する上記抗体の結合と比較し た場合に実質的な減少を示すようにすることができる。以下の考察においては、 「変更されたレトロウイルスパッケージング/プロデューサー細胞」という表現 は、上記の変更されたパッケージングまたはプロデューサー細胞の一方または両 方を記載するために使用する。このような変更されたレトロウイルスパッケージ ング/プロデューサー細胞は、げっ歯類またはイヌ起源の細胞を含む、Gal α(1,3)Galを発現するいかなる種からのものであってもよい。 他の適用の中で、このような変更されたレトロウイルスパッケージング/プロ デューサー細胞は、遺伝子治療を必要とする患者におけるそのような治療を提供 するために、例えば、新生物性腫瘍の治療的制御のために用いてもよい。本発明 のこの態様においては、治療的利益を提供するレトロウイルスベクター粒子を産 生する変更されたレトロウイルスプロデューサー細胞は、患者に移植される。ガ ン治療の場合には、移植は、好ましくは腫瘍の中または近傍に行う。本発明に従 えば、このような変更されたプロデューサー細胞は、ヒトまたは旧世界霊長類患 者への移植(埋め込み)に際してHARから保護される。 更に、「補体の存在下の細胞のレトロウイルス形質導入」という発明の名称の 、Russel P.Rother、Scott A.Rollins、William L.Fodor およびStephen P. Squinto の名前で本出願と同時に出願された別出願である米国特許出願第08/278 ,639号に開示されているように、変更されたプロデューサー細胞により産生され たレトロウイルス粒子は、患者の体液中の補体による不活性化から保護される。 ヒトまたは旧世界霊長類の体液中の補体による不活性化からレトロウイルスベク ター粒子を保護する他の方法としては、「可溶性補体インヒビターを用いる細胞 のレトロウイルス形質導入」という発明の名称の、Russel P.Rother、Scott A .Rollins、James M.Mason およびStephen P.Squinto の名前で本出願と同時 に出願された別出願である米国特許出願第08/278,550号、および「補体インヒビ ター活性を発現するレトロウイルスベクター粒子」という発明の名称の、James M.Mason およびStephen P.Squinto の名前でこれもまた本出願と同時に出願さ れた別出願である米国特許出願第08/278,630号において論述されているものが挙 げられる。 パッケージング細胞、レトロウイルスベクター粒子およびこのような粒子を用 いる遺伝子移入の一般的論述は、種々の刊行物に見い出すことができ、それらと しては、PCT特許公報WO92/07943号、EPO特許公報第178,220号、米国特 許第4,405,712号、Gilboa,1986; Mann et al.,1983; Cone and Mulligan,198 4; Eglitis et al.,1988; Miller et al.,1989; Morgenstern and Land,1990 ; Eglitis,1991; Miller,1992; Mulligan,1993 および Ausubel et al., 199 2 が挙げられる。パッケージングベクターおよびパッケージング細胞を構築する ためのレトロウイルス核酸の操作は、例えば、Ausubel et al.,Volume 1,Sec tion III(ユニット 9.10.1‐9.14.3),1992; Sambrook et al.,1989; Miller et al.,1989; Eglitis et al.,1988; 米国特許第4,650,764号、第 4,861,719号、4,980,289号、第5,122,767号、および第5,124,263号;ならびにP CT特許公報WO85/05629号、WO89/07150号、WO90/02797号、WO90/02806 号、WO90/13641号、WO92/05266号、WO92/07943号、WO92/14829号、およ びWO93/14188号において論述されている。パッケージング細胞を形成するため には、パッケージングベクターを、例えば、Miller and Buttimore,Mol .Cell Biol. ,6:2895-2902,1986; Markowitz et al.,J .Virol.,62:1120-1124,198 8; Cosset et al.,J .Virol.,64:1070-1078,1990; 米国特許第4,650,764号、 第4,861,719号、4,980,289号、第5,122,767号、および第5,124,263号、ならびに PCT特許公報WO85/05629号、WO89/07150号、WO90/02797号、WO90/028 06号、WO90/13641号、WO92/05266号、WO92/07943号、WO92/14829号、お よびWO93/14188号に見い出されるもののような好適な宿主細胞に導入する。い ったんパッケージング細胞株が樹立されると、プロデューサー細胞は、パッケー ジング細胞にレトロウイルスベクターを導入することにより生成される。このよ うなレトロウイルスベクターの例は、例えば、Korman et al.,1987,Proc .Nat l.Acad.Sci.USA ,84:2150-2154; Miller and Rosman,Biotechniques,7:980 -990,1989; Morgenstern and Land, 1990; 米国特許第4,405,712号、4,980,289 号および第5,112,767号;ならびにPCT特許公報WO85/05629号、WO90/0279 7号およびWO92/07943号に見い出される。レトロウイルスベクターは、psi 部位および所望の機能、例えば、実験、診断または治療の機能を行うために選択 された1つ以上の外来性核酸配列を含む。これらの外来性核酸配列は、最終的な 標的細胞のゲノム中への配列の高い効率での組み込みを指示するように機能する LTR配列に隣接する。(上述の形質導入の考察も参照されたい。) レトロウイルスベクター粒子(RVVPs)を用いる遺伝子治療の多くの適用 が公知であり、広範に論評されている(例えば、Boggs,1990; Kohn et al.,19 89; Lehn,1990; Verma,1990; Weatherall,1991;およびFelgner and Rhodes, 1991を参照されたい)。 多様な遺伝子およびDNAフラグメントを、遺伝子治療における使用のために RVVPs中に包含させることができる。これらのDNAフラグメントおよび遺 伝子は、それらを治療剤として有用にするRNAおよび/またはタンパク分子を コードしていてもよい。遺伝子治療において有用なタンパクコード遺伝子として は、種々のホルモン、成長因子、酵素、リンフォカイン、サイトカイン、レセプ ター等をコードするものが挙げられる。 移入されうる遺伝子の中には、遺伝性疾患を患う患者において、欠如している 、減少したレベルで産生される、または突然変異形態で産生されるポリペプチド をコードするものがある。対象となるその他の遺伝子としては、細胞により発現 された場合に、細胞を、改変されていない細胞が生存できない、もしくは病原体 に感染するであろう条件下で生育するよう適合させうるタンパクをコードするも のがある。代謝的欠陥を回避するよう工作されたタンパクをコードする遺伝子も また、患者の細胞中への移入に好適である。このような遺伝子としては、「最終 補体インヒビター融合遺伝子およびタンパク」という発明の名称の、1994年 3月3日付で出願された別出願である米国特許出願第08/205,720号、および「発 作性夜間ヘモグロビン尿症の治療方法」という発明の名称の、1994年3月3 日付で願された別出願である米国特許出願第08/206,189号に論述されたCD59 の膜貫通形態が挙げられる。 タンパクをコードする遺伝子に加えて、RVVPsは、医学的に有用なRNA 分子をコードする核酸配列を細胞に導入するために用いることができる。このよ うなRNA分子の例としては、リボザイムのような触媒性分子およびアンチセン ス分子が挙げられる。 標的細胞が分裂するのを待つ必要を排除することにより迅速な形質導入を促進 し、かつゆっくり分裂するまたは全く分裂しない細胞の形質導入を可能にするた めに、非分裂細胞に形質導入しうるRVVPsの使用が好ましいことがある。こ のようなRVVPsは、共に「非増殖性細胞の形質導入のためのレトロウイルス ベクター粒子」という発明の名称であって、共に1994年1月14日付で出願 された別出願である米国特許出願第08/181,335号および第08/182,612号に開示さ れている。これらの特許出願はまた、パッケージングベクターおよびレトロウイ ルスベクターの作成に好適な具体的な手順ならびにパッケージング細胞およびプ ロデューサー細胞の作成のためのこのようなベクターの用途を、各々論じてい る。 トランスジェニック動物: トランスジェニック異種動物は、本発明の細胞、組織および器官の好ましい供 給源を提供する。本発明のある側面に従えば、本発明の核酸分子は、当業界で公 知の技術を用いてその細胞(例えば、内皮細胞)表面上にグリコシルトランスフ ェラーゼの炭水化物生成物を発現する工作されたトランスジェニック動物、好ま しくは有蹄類(すなわち、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ等のような蹄のある動物) を作成するのに用いられる。 これらの技術としては、マイクロインジェクション(例えば、内皮細胞の)、 卵または接合子の電気穿孔法、電場媒介性移入(すなわち、ベーコニゼーション 、前出;Zhao and Wong,1991 も参照されたい)、核移植、および/または選択 した動物に由来する胚性幹細胞のトランスフェクションまたは形質導入が挙げら れるが、これらに限らない。電場媒介性移入、すなわちベーコニゼーションは、 本発明のトランスジェニック動物を作成する好ましい方法である。 これらの技術の共通の要素は、移入遺伝子(トランスジーン)転写単位の調製 に関与する。このような単位は、一般に以下のものを含むDNA分子を特徴とす る:1)プロモーター、2)目的の核酸配列、すなわちグリコシルトランスフェ ラーゼをコードする配列、および3)ポリアデニル化シグナル配列。エンハンサ ーおよびイントロン配列のような他の配列は、所望であれば含ませることができ る。単位は、例えば哺乳動物細胞中でグリコシルトランスフェラーゼタンパクを 発現するプラスミドベクターの制限フラグメントを単離することにより、好都合 に調製することができる。好ましくは、制限フラグメントは、細菌宿主細胞での 複製を指示する配列を含まないものである。これは、このような配列が胚生存率 に悪影響を有することが知られているためである。 トランスジェニック動物を作成する最もよく知られた方法は、ドナー雌の排卵 過度化、卵の外科的除去、胚の前核への移入遺伝子転写単位の注入、および通常 は同じ種の、偽妊娠宿主母の生殖管へのトランスジェニック卵の導入による、ト ランスジェニックマウスの作成に使用される方法である。Wagnerの米国特許第4, 873,191号、Brinster et al.,1985,Hogan et al.,1986,Robertson 1987, Pedersen et al.,1990を参照されたい。 トランスジェニック有蹄類を作成するためのこの方法の使用も、当業者により 広く実施されている。一例として、トランスジェニックブタは、ブタ胚への移入 遺伝子転写単位のマイクロインジェクションによりルーチンに作成される。例え ば、PCT公報WO92/11757号を参照されたい。手短には、この手順は以下のよ うにして実施してもよい。 最初に、移入遺伝子転写単位をゲルで単離し、例えば、ELUTIPカラム(Schlei cher & Schuell,Keene,NH)を通して十分に精製し、発熱物質(パイロジェン )無含有注入緩衝液(発熱物質無含有水中、10mMトリス、pH7.4+0.1mM EDTA)に対して透析し、胚注入に使用する。 胚は、ホルモンにより同調させた、排卵誘発した雌ブタの卵管から、好ましく は前核段階で回収する。これらを約0.5mlの胚移入培地(10%ウシ胎児血清 を含むリン酸緩衝生理食塩水)を含有する1.5ml微量遠心管に入れる。これら を微量遠心機で16,000×gで12分間遠心分離する。先を細くして磨いた パスツールピペットで微量遠心管から胚を取り出し、検査のため35mmペトリデ ィッシュに入れる。細胞質がまだ脂質で濁っており、前核が明確に見えないよう であれば、再び胚を更に15分間遠心分離にかける。 マイクロインジェクション用の胚を、100mmペトリディッシュの蓋の中央の 1滴の培地(約100μl)中に入れる。シリコーン油を用いてこの1滴を覆い 、培地の蒸発を防ぐために蓋を満たす。胚を含むペトリディッシュの蓋を、加温 ステージ(37.5〜38℃)およびホフマン調節コントラスト光学器機(Hoffma n modulation contrast optics)(最終拡大率200倍)の両方を装備した倒立 顕微鏡に設置する。 先を細くして磨いたマイクロピペットを用いて胚を安定化しながら、約200 〜500コピーの精製移入転写単位を含む約1〜2ピコリットル(pl)の注入緩衝 液を、別の先を細くして磨いたマイクロピペットを用いて、核(好ましくは雄性 前核)に送り込む。形態学的観察により判断して、マイクロインジェクションの プロセスを生き延びた胚を、レシピエント偽妊娠雌ブタへの移入のためにポリプ ロピレン管(内径(ID)2mm)に入れる。 各仔ブタの尾から採取した組織からゲノムDNAを単離し、このゲノムDNA を移入遺伝子特異的プローブを用いる核酸ハイブリダイゼーション解析または移 入遺伝子特異的プライマーを用いるPCR解析にかけることにより、移入遺伝子 の存在について子孫を試験する。 トランスジェニック動物を生成するために一般に使用される別の技術は、PC T特許公報WO93/02188号および Robertson,1987 に記載されるように、胚性 幹細胞(ES細胞)の遺伝子操作に関与する。この技術に従えば、ES細胞は、 例えばRobertson,1987 および Williams らに対する米国特許第5,166,065号( 1988年)に記載されたように生育させる。遺伝物質は、例えばMcMahon et a l.,1990の方法に従った電気穿孔法により、または例えばRobertson et al.,19 86 の方法に従ったレトロウイルスベクターを用いる形質導入により、あるいは Lovell-Badge,1987 により記載された種々の技術のいずれかにより、胚性幹細 胞中へ導入する。 キメラ動物は、例えば Bradley,1987 に記載されたように作成する。手短に は、遺伝的に改変されたES細胞を、胚盤胞に導入し、次に、改変された胚盤胞 を偽妊娠雌動物に移植する。キメラを、例えばES細胞の調製に使用した系統と 胚盤胞の調製に使用した系統との差異に起因するモザイク外被色調の観察により 、子孫から選択し、非キメラ動物を作成するために交配する。 トランスジェニック動物の作成のための他の方法は、Wagner らに対する米国 特許第5,032,407号およびPCT公報WO90/08832号に開示されている。 他の適用の中で、本発明に従って作成したトランスジェニック動物は、その工 作された細胞、組織および器官の異種移植を試験するモデル系として、そして異 種移植のための工作された細胞、組織および器官の供給源として有用である。本 発明のトランスジェニック動物の組織および器官における内皮細胞および/また は他の細胞タイプによる機能的グリコシルトランスフェラーゼの発現は、例えば ヒトまたは旧世界霊長類への異種移植の後の、ヒト血液、血漿、血清、リンパ等 の補体に対するこれらの細胞、組織および器官の暴露に続いて起こる超急性補体 媒介性拒否反応に対して、減少された感受性を提供する。本発明に従えば、HA Rに対する減少された感受性は、天然の予め形成されたヒトまたは旧世界霊長類 抗体が本発明のトランスジェニック細胞上により少ない結合部位を有するため、 提供される。 本発明をいかなる方式によっても制限することを意図することなく、以下の実 施例によって、更に十分に説明する。 実施例1 Hトランスフェラーゼ ヒトHトランスフェラーゼ遺伝子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用い てヒト類上皮腫ガン細胞(HEC細胞、ATCC CRL1555 #A−431 )から調製したcDNAよりクローニングした。細胞質RNAを約5×106個 の細胞から調製し、5μgのRNAから以下の反応条件を用いて最終容量100 μlで第1鎖cDNAを合成した:10mMトリス−HCl pH8.3;50mM K Cl;1.5mM MgCl2;500ngオリゴ(dT)15(Promega Corporation,Ma dison, Wisconsin);10mMDTT;0.25mMdNTPs(dG、dC、dA 、dT);および20U トリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(Seikagaku of Ame rica,Inc.,Rockville,Maryland)で、42℃で1時間。 PCRは、cDNA合成に続いて、鋳型として4μlの第1鎖cDNA反応混 合物、および以下のプライマーを用いて行った:HトランスフェラーゼcDNA の5′非翻訳領域に相同な34塩基の5′プライマー(配列番号1; 5′-GGCCA CGAAA AGCGGACTGT GGATCCGCCA CCTG-3′)、ここで、下線を付した配列は単一のBam HI部位を表す;およびHトランスフェラーゼcDNAの3′UTRに相 同な38塩基の3′プライマー(配列番号2; 5′-CAGGAACACC ACCAAGCTTC TCG AG AAGATGC CAGGCC-3′)、ここで、下線を付した配列は単一のXhoI部位を表 す。PCR反応は、95℃で1分間、52℃で1分間、および72℃で1.5分 間の35サイクルからなっていた。これらの35サイクルに続いて、単一の72 ℃での10分間の伸長反応を行った。PCR生成物を表す約1300bpのバンド が、PCR反応物のアリコートをアガロースゲル電気泳動した後に見られた。こ のPCR生成物を、T/Aクローニングキット(Invitrogen,San Diego,CA) を用いてプラスミドベクターにクローニングした。このキットに含まれていたp CRIIプラスミドベクターをレシピエントとして利用し、得られたプラスミド 構築 体を E .coli 中で増幅し、精製した。陽性のクローンは、制限エンドヌクレア ーゼ消化により同定し、続いてインサート(挿入片)を配列決定して、このプラ スミド構築体が配列番号3に示すヒトHトランスフェラーゼcDNA配列を含む ことを確認した。全長Hトランスフェラーゼ酵素をコードする約1200bpの am HI−XhoI DNAフラグメントを、pCRIIプラスミド構築体から ゲルにより単離し、電気的に溶出して、BamHI−XhoIで切断したpAP EX−1発現ベクターにサブクローニングした(このベクターの詳細な説明につ いては以下のパラグラフを参照されたい)。陽性クローンをBamHI−Xho IおよびStuIを用いる制限マッピングにより同定した。プラスミドpAPE X1−HT、すなわち本明細書において以下pHTと呼ぶものは、これらのクロ ーニングおよびサブクローニング工程の結果である。 pAPEX−1(配列番号4)は、ベクターpcDNAI−Amp(Invitroge n, San Diego,CA)の誘導体であり、哺乳動物細胞におけるタンパク発現を増加 するように以下のように改変された。最初に、SV40スモールt抗原をコード する遺伝子由来のイントロンは上流コード領域の発現を減少させることが示され ているので(Evans and Scarpulla,1989)、このイントロンをXbaI−Hpa Iでの消化によりpcDNAI/Ampから除去し、続いてDNAポリメラーゼ のクレノウ(Klenow)フラグメントおよび4種全部のdNTPsで処理した。得 られた平滑末端の4.2kb フラグメントをゲルで精製し、自己連結させて閉環 状プラスミドを生じさせた。5′非翻訳領域アデノウイルス/免疫グロブリンハ イブリッドイントロンを、0.5kb のNdeI−NotIフラグメントをベクタ ーpRc/CMV7SB(Joseph Goldstein博士,University of Texas Southwe st Medical Center,Dallas,TXより入手)からの対応する0.7kb のNdeI −NotIフラグメントで置き換えることにより、このプラスミドに導入した。 最後に、得られたCMVプロモーター発現カセットを、NdeI−SfiIフラ グメントとして、CMVプロモーターおよびSV40複製起点を含むpGEMベ ースの発現ベクターから得られたNdeI−SfiIフラグメント(pGEM− 4Zを含む)への連結により、ベクターpGEM−4Z(Promega,Madison WI )に移した(Davis et al.,1991)。 実施例2 ブタガラクトースα(1,3)ガラクトシルトランスフェラーおよび ヒトHトランスフェラーゼでのCOS細胞の一過性トランスフェクション COS細胞(ATCC #CRL 1650)を、CMVベースの発現ベクターで 一過性にトランスフェクトした。これらのベクターは、親ベクターpcDNAI (Invitrogen,San Diego,CA)におけるCMVプロモーターに制御された発現 に向けられたブタα(1,3)Galトランスフェラーゼをコードする配列(配 列番号5)を含むインサートを含むpGT、およびヒトHトランスフェラーゼを コードするpHT(上述)であった。ブタα(1,3)Galトランスフェラー ゼcDNAを含むクローンは、オーストラリア政府分析研究所(Australian Gov erment Analytical Laboratories,1 Suakin Street,Pymble,N.S.W.2073, Au stralia)に寄託されており、各々識別番号N94/9030およびN94/9029を与えら れている(上述の別出願である米国特許出願第08/214,580号を参照されたい)。 一連のトランスフェクション実験において、pGTの量は3μg/ウェルで一定に 保ち、pHTの量を0μgと3μgの間で変化させた(表1)。トランスフェクシ ョンは、DEAE−デキストラン法を用いて行った(Seed and Aruffo, 1987) 。 10%FBSを含むDMEM中で維持したCOS細胞を、6ウェル組織培養プ レートに播き、続いてpHTおよび/またはpGTでトランスフェクトした。ト ランスフェクトした細胞は、Gal α(1,3)GalエピトープまたはHエピ トープの発現について、トランスフェクション後48時間に調べた。これらの2 つのエピトープの細胞表面発現は、Gal α(1,3)Galの糖構造に特異的 に結合する蛍光化したIB4レクチンを用いて、またはヒトHエピトープに特異 的なモノクローナル抗体(ASH−1952,Austin Research Institute,Hei delberg,Victoria,Australiaより入手; Devine et al.,1990を参照されたい )および二次抗体として免疫精製した蛍光コンジュゲート化ヒツジ抗マウスIg G(Selenus Laboratories,Melbourne,Australia)を用いる間接免疫蛍光法に より評価した。図1〜4は、これらの実験において得られた細胞の位相差(P) および蛍光(F)顕微鏡観察の結果を示す。 具体的には、図1〜4は、ASH−1952(図2および3)またはIB4( 図1および4)で蛍光染色したアフリカミドリザルCOS細胞の写真である。各 図において、下のパネルは、位相差照明により見られるとおりの全ての細胞を示 し、上のパネルは、紫外線照明により見られるとおりのmAbまたはレクチンに 特異的に結合する細胞のみを示す。図1の細胞は、pGTでトランスフェクトさ れており;図2の細胞は、pHTでトランスフェクトされており;そして図3お よび4の細胞は、等量の両ベクターでトランスフェクトされている。 炭水化物エピトープについて染まる細胞のパーセンテージを評価するために、 各ウェルからの600〜800個の細胞を染色後にカウントした。表1および図 1〜2に示すように、ブタGal α(1,3)Galトランスフェラーゼ単独( 3μg)で一過性にトランスフェクトされたほとんどのCOS細胞はIB4染色 に関して陽性であり、ヒトHトランスフェラーゼ単独(3μg)でトランスフェ クトされたほとんどのCOS細胞は抗H染色に関して陽性であった。等量の2つ の発現プラスミドを用いた場合(各3μg)、COS細胞はHエピトープに関し て優勢に染色され(細胞の68%)、Gal α(1,3)Galエピトープにつ いては弱い染色が観察されたにすぎなかった(細胞の1.5%)。表1および図 3〜4を参照されたい。実際、10:1のDNA比(3μgのpGTに対し0.3 μgのpHT)であってさえ、COS細胞はなおGal α(1,3)Galエピ トープ(17.5%)と比べ、Hエピトープ(50.2%)について優勢に染色さ れた。 対照として、Ly−9(Sandrin et al.,1992)またはCD48(Vaughan et al.,1991)をコードする親のCMVベースの発現ベクター(pCDM8;Seed and Aruffo,1987)由来の発現ベクターを用いてのコトランスフェクション( 同時トランスフェクション)も行った。Ly−9エピトープについての染色は、 モノクローナル抗体抗Ly−9.2(Sandrin et al.,1992)を用いて行った。 CD48エピトープについての染色は、抗CD48モノクローナル抗体(HuL y−m3;Vaughan et al.,1991)を用いて行った。等量のLy−9またはCD 48発現ベクターをpGTまたはpHTのいずれかと同時トランスフェクション した場合、COS細胞は、適切な炭水化物エピトープおよびそれぞれCD48ま たはLy−9について強い染色を現した。これらの結果は、2つの異なるCMV ベースの発現ベクターはCOS細胞に同時トランスフェクションされた場合に同 様によく機能することを示す。 実施例3 異種細胞におけるHトランスフェラーゼの安定な発現は Gal α(1,3)Gal発現のダウンレギュレーションをもたらす ブタ腎臓細胞株(LLC−PK1:ATCC #CRL1392)を、モル比2 0:1のプラスミドpHT(Hトランスフェラーゼの発現を指示する)およびプ ラスミドpSV2neo(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼをコードする ネオマイシン耐性遺伝子の発現を指示する)でトランスフェクトした。トランス フェクションはリン酸カルシウム共沈殿法によって行い、トランスフェクトした 細胞はDMEM+10%ウシ胎児血清+G418(500μg/ml、活性)中で培 養した。安定なネオマイシン耐性コロニーを選択し、増殖させた。 FITCに直接コンジュゲート化したASH−1952(図5において「抗H mAb」として示す)またはHエピトープ特異的レクチンUEA1(EY Labor- atories,Inc.,San Mateo,CA)を用いて間接免疫蛍光法により、Hエピトープ の細胞表面発現をG418耐性コロニーについて解析した。Gal α(1,3) Gal細胞表面エピトープは、対照およびトランスフェクトした細胞をFITC コンジュゲート化レクチン、IB4(EY Laboratories,Inc.,San Mateo,CA) で染色することにより可視化した。対照として、トランスフェクトしたLLC− PK1細胞も、抗SLAクラスI(抗ブタ主要組織適合性抗原クラスI)mAb 、PT85A(VMRD,Inc.,Pullman WA)で、陽性対照として染色した。FIT Cに直接コンジュゲート化したヤギ抗マウスIgG抗血清(モノクローナル血清 、Zymed Laboratories,South San Francisco,CA)を用いて、図5に示すよう にフローサイトメトリーにより細胞表面への特異的抗体結合を検出した。 これらのデータは、G418耐性対照LLC−PK1細胞(クローンPK1: neo #B6)が、二次抗体単独での染色(図5D;2°曲線)に比べ、通常 低レベルのGal α(1,3)GalおよびHエピトープの両方を発現する(図 5B)ことを明らかにする。しかし、ヒトHトランスフェラーゼベクターでトラ ンスフェクトした細胞(クローン#A3)は、高レベルのHエピトープ(図5A )および減少したレベルのGal α(1,3)Galエピトープ(図5A)を発 現する。しかし、これらの細胞をHトランスフェラーゼでトランスフェクトして も、G418耐性対照細胞(図5D)に比べてSLAクラスI遺伝子産物の細胞 表面発現(図5C)は変化しなかった。 実施例4 異種細胞におけるHトランスフェラーゼの安定な発現は ヒトIgGおよびIgM抗体の有意に減少した結合をもたらす LLC−PK1トランスフェクタントに対するヒト血清の細胞表面反応性を、 0%または20%ヒト全血清とのインキュベーション、および続いてヒトIgG またはヒトIgMのいずれかに対して特異的なFITCコンジュゲート化ヤギ抗 ヒト抗体(Zymed Laboratories,South San Francisco,CA)とのインキュベー ションにより測定した。次いで、細胞表面抗体結合を、FACSort機器(Be cton-Dickinson Immunocytometry Systems,San Jose,CA)でのフローサイトメ トリーにより測定した。図6に示すように、pHTで安定にトランスフェクトさ れたLLC−PK1細胞は、20%ヒト血清中に存在するヒトIgG(図6C) およびIgM(図6D)に対して有意な結合を示すG418耐性対照細胞に比べ 、ヒトIgG(図6A)またはIgM(図6B)に対してほとんどまたは全く反 応性を示さない。Hトランスフェラーゼを発現するLLC−PK1細胞に対する 20%ヒト血清中に存在するヒトIgGおよびIgMの結合は、0%全ヒト血清 について観察された結合と同様である。これらのデータは、実施例3で示したデ ータと共に、LLC−PK1細胞の表面でのHエピトープの発現が、Gal α( 1,3)Galエピトープ発現の、予め形成された天然のヒト抗体がそれらの細 胞にもはや結合しないような低レベルへのダウンレギュレーションをもたらすこ とを示す。 実施例5 異種細胞におけるHトランスフェラーゼの安定な発現は ヒト補体に対する有意に減少した感受性をもたらす LLC−PK1細胞による組換えHトランスフェラーゼ発現の機能的重要性を 、 ヒト血清によるヒト補体媒介性損傷にさらした細胞からの捕獲された細胞質指示 薬色素カルセインAM(Calcein Am; Molecular Probes,Inc.)の流出を測定す ることにより評価した。ヒトHトランスフェラーゼおよびネオマイシン耐性遺伝 子(クローン#A3;上述の実施例3および4を参照されたい)またはネオマイ シン耐性遺伝子単独(クローン#C6;実施例3および4において上述したクロ ーンB6と同様にして作成したもの)を発現するトランスフェクトした細胞を、 96ウェルプレート中で集密状態(コンフルエンス)になるまで生育させた。細 胞を1%(W/V)BSAを含有するHBSS(HBSS/BSA)200μlで2回 洗浄した。カルセインAMを添加し(最終10mM)、プレートを37℃で30分 間インキュベートした。続いて、細胞を、増加する濃度のヒト全血清の存在下で 37℃で30分間インキュベートした。 細胞から放出された色素は、上清中の蛍光により決定した。総細胞付随色素は 、1%SDS細胞ライセートから決定した。色素放出は、総量のパーセントとし て算出し、血清の添加なしに同様にマッチさせた対照について測定した非特異的 色素放出およびバックグラウンド蛍光に関して修正した。蛍光は、ミリポアサイ トフルオア(Millipore Cytofluor)2350蛍光プレートリーダー(490nm 励起、530nm発光)を用いて測定した。 図7に示すように、PHTで安定にトランスフェクトしたLLC−PK1細胞 (クローン#A3;白三角)は、1%および40%の間の試験した全てのヒト血 清濃度で対照LLC−PK1細胞(クローン#C6;黒丸)に比べヒト補体の溶 解活性に対して感受性が有意に低かった。 本明細書を通じて、種々の刊行物、特許、および特許出願が引用されている。 これらの刊行物、特許、および特許出願の教示および開示は、本発明が属する技 術水準をより十分に説明するために、その全体が参照により本出願に包含される ものとする。 本発明の好ましい、またはその他の態様を、本明細書において説明したが、後 記する請求の範囲に記載される本発明の範囲を逸脱することなく、当業者により 更なる態様が企図されうる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C Z,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KG,KP ,KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,MG, MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,S I,SK,TJ,TM,TT,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 サンドリン、モーロ・エス オーストラリア国、ヴィクトリア州 3056、ブランズウィック、バークレー・ス トリート 211 (72)発明者 フォドー、ウィリアム・エル アメリカ合衆国、コネチカット州 06443、 マジソン、ワイルドキャット・ロード 236 (72)発明者 ロザー、ラッセル・ピー アメリカ合衆国、コネチカット州 06410、 チェシャー、ブラックス・ロード 384 (72)発明者 スクウィント、ステファン・ピー アメリカ合衆国、コネチカット州 06524、 ベサニー、コーチマンズ・レーン 16 (72)発明者 マッケンジー、イアン・エフ・シー オーストラリア国、ヴィクトリア州 3055、ウェスト・ブランズウィック、ブラ ンズウィック・ロード 359

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ヒトまたは旧世界霊長類への移植の後の異種細胞の拒否反応を減少させる方 法であって、以下の工程: (a)フコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパクをコードする核酸配 列を含む発現ベクターをレシピエント細胞に導入することにより遺伝的に変更さ れた細胞を作成する工程であって、上記発現ベクターの導入が、遺伝的に変更さ れた細胞への天然の予め形成されたヒト抗体または天然の予め形成された旧世界 霊長類抗体の結合において、レシピエント細胞への上記抗体の結合と比較して実 質的な減少をもたらす工程;および (b)上記遺伝的に変更された細胞または上記細胞に由来する細胞を、ヒトま たは旧世界霊長類に移植する工程 を含むことを特徴とする方法。 2.遺伝的に変更された細胞が、有蹄類細胞である、請求項1記載の方法。 3.遺伝的に変更された細胞が、レトロウイルスプロデューサー細胞である、請 求項1記載の方法。 4.フコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパクをコードする核酸配列を 含む発現ベクターをレシピエント有蹄類細胞に導入することにより遺伝的に変更 された有蹄類細胞であって、上記発現ベクターの導入が、上記遺伝的に変更され た有蹄類細胞への天然の予め形成されたヒト抗体または天然の予め形成された旧 世界霊長類抗体の結合において、レシピエント有蹄類細胞への上記抗体の結合と 比較して実質的な減少をもたらす細胞。 5.請求項4記載の遺伝的に変更された有蹄類細胞に由来する有蹄類細胞、組織 、または器官。 6.フコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパクをコードする核酸配列を 含む発現ベクターを、遺伝的に変更されたレトロウイルスパッケージング細胞が 由来するレシピエント細胞に導入することにより、遺伝的に変更されたレトロウ イルスパッケージング細胞であって、上記発現ベクターの導入が、上記遺伝的に 変更されたレトロウイルスパッケージング細胞への天然の予め形成され たヒト抗体または天然の予め形成された旧世界霊長類抗体の結合において、上記 遺伝的に変更されたレトロウイルスパッケージング細胞が由来するレシピエント 細胞への上記抗体の結合と比較して実質的な減少をもたらす細胞。 7.フコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパクをコードする核酸配列を 含む発現ベクターを、遺伝的に変更されたレトロウイルスプロデューサー細胞が 由来するレシピエント細胞に導入することにより、遺伝的に変更されたレトロウ イルスプロデューサー細胞であって、上記発現ベクターの導入が、上記遺伝的に 変更されたレトロウイルスプロデューサー細胞への天然の予め形成されたヒト抗 体または天然の予め形成された旧世界霊長類抗体の結合において、上記遺伝的に 変更されたレトロウイルスプロデューサー細胞が由来するレシピエント細胞への 上記抗体の結合と比較して実質的な減少をもたらす細胞。
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