JPH10504529A - 肺細胞及び血管細胞への肺炎球菌粘着のモジュレーター並びに診断及び治療上の適用 - Google Patents

肺細胞及び血管細胞への肺炎球菌粘着のモジュレーター並びに診断及び治療上の適用

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JPH10504529A JP8501290A JP50129096A JPH10504529A JP H10504529 A JPH10504529 A JP H10504529A JP 8501290 A JP8501290 A JP 8501290A JP 50129096 A JP50129096 A JP 50129096A JP H10504529 A JPH10504529 A JP H10504529A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、肺炎球菌感染症を予防するための組成物及び方法に関する。特に、本発明は、肺内皮及び血管内皮への肺炎球菌粘着の最小レセプター標的の同定及びかかる粘着を予防するための組成物及び方法に関する。特に、本発明は、粘着S.ニューモニエの宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な1種又は複数種の次のモチーフ:二糖N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−3Galモチーフ、二糖N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−4Galモチーフ及びN−アセチル−D−グルコサミンモチーフを有する1種以上の糖質因子の能力に関する。特に、3種全てのモチーフを含む組成物は、肺上皮細胞及び静脈内皮細胞から約100%の肺炎球菌を溶離することができる。具体的な実施態様においては、本発明の医薬組成物は、該宿主細胞が肺上皮細胞である肺炎球菌感染症の治療に用いられる。肺上皮細胞への粘着を阻止するか又は粘着細菌を肺上皮細胞から溶離するのに使用するための該医薬組成物はエアゾル剤である。本発明は、更に、静脈内皮細胞への結合を予防又は溶離することによる全身性血行性感染症の治療に非経口投与するための製剤を提供する。本発明は、更に、患者からの生物試料において肺炎球菌の存在を求めるための方法及びキットに関する。

Description

【発明の詳細な説明】 肺細胞及び血管細胞への肺炎球菌粘着のモジュレーター 並びに診断及び治療上の適用 本発明に至る研究は、国立アレルギー及び感染症研究所から与えられた補助金 第R01-A1-27913号によって一部支えられたものである。本発明のある一定の権利 は政府が所有するものである。 発明の分野 本発明は、肺炎球菌感染症を予防するための組成物及び方法に関する。特に、 本発明は、肺内皮及び血管内皮への肺炎球菌粘着標的の同定及びその粘着を予防 するための組成物及び方法に関する。 発明の背景 ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)は、発展途上 国の子供たちにおいて細菌性肺炎の最も高頻度の原因であり、成人においては7 6%までの原因とみなされている(Pennington,1986,Am.Fam.Physician 3353 ; Johnston,1991,Revs.Infect.Dis.13(Suppl.6):S509; Musher,1992,C lin.Infect.Dis.14:801)。肺炎球菌は、一般に、そこで上皮細胞に付着する 鼻咽腔を通って宿主に入り、ある場合には、数ヵ月間持続する(Andersonら,198 1,Infect.Immun.32:311)。実験モデルにおいては、肺炎への進行は、肺炎球 菌のエアゾル化による拡散及び鼻咽腔から下部気道への輸送に起因する。 肺炎の初期の病変は、肺炎球菌を含む液体の充満した肺胞が特徴であり、肺炎 球菌は肺胞壁に並んでいるのがよく見られ、特定の相互作用を暗示する分布が肺 胞間隙の保持を促進する(Wood,1941,J.Exp.Med.73:222)。肺炎球菌は、肺 胞間隙から血液循環に接近しやすく、肺胞毛細血管の血管上皮細胞を交差する攻 撃力を示している(Rake,1936,J.Exp.Med.63:191)。 真核細胞への細菌粘着には、一般に、宿主細胞の複合糖質を認識する特定の細 菌タンパク質(接着物)が必要である。肺炎球菌のヒトロ腔上皮への粘着は、二 糖N−アセチル−グルコサミン−β1−3−ガラクトース(GlcNAcβ1− 3Gal)の存在下に阻止され、その糖質はおそらく鼻咽頭輸送に適切なレセプ ターとして働くことができることを示している(Andersonら,1983,J.Exp.Me d.158:559)。細胞の種類が肺胞間隙において肺炎球菌粘着を支持することは正 確には依然として不明である。肺炎球菌は、末端又は内部GalNAcβ1−4 Galを含む精製複合糖質、肺分泌物及び肺組織において一般的な構造に結合す ることが報告された(Krivanら,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:6157)。 その構造は、鼻咽頭レセプターとして提唱したものと立体化学が著しく異なって いる。 鼻咽腔及び肺への付着を仲介することができる肺炎球菌接着物の同定は不明で ある。実験菌血症を引き起こしやすい能力と一致して、血管内皮細胞への肺炎球 菌粘着は、用量依存性であり、迅速でありかつ莢膜型に依存しないことが示され た(Geelenら,1993,Infec.Immun.61:1538)。細胞壁成分とタンパク質成分の 双方がほぼ等しくその会合に寄与するが、特定の肺炎球菌リガンドは依然として 同定されていない(Tuomanenら,1985,J.Infect.Dis.151:859)。 本明細書中の参考文献の引用は、本発明に対する従来技術であることを許容す るものとして解釈されるべきではない。 発明の要約 最初の態様においては、本発明は、粘着ストレプトコッカス・ニューモニエの 宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な二糖N−アセチル−D−ガラクトサミ ンβ1−3Galモチーフを含む糖質の用量を含む医薬組成物に関する。該二糖 は、マンノースに結合される。本発明の医薬組成物の糖質成分は、肺炎球菌の宿 主細胞、特に肺上皮細胞及び血管内皮細胞への結合を競合的に阻害することがで きる。本明細書中で“接着”と呼ばれる肺炎球菌結合の競合阻害は、感受性のあ る宿主細胞の肺炎球菌によるコロニー形成を防止することができ、宿主細胞から 粘着肺炎球菌を溶離することもできる。 従って、本発明の具体的な利点は、抗生物質に依存しない肺炎球菌の治療を提 供することである。更に詳細には、本発明は、抗生物質耐性菌及び多抗生物質耐 性菌の治療に有効であることができる。また、本発明の医薬組成物及び方法は、 肺炎球菌感染の疑いがある感染又は肺炎球菌感染であることがわかった感染を治 療するために抗生物質と共に用いることができる。 好適実施態様においては、本医薬組成物は、粘着S. ニューモニエの宿主細胞か らの溶離を誘導するのに有効な二糖N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−4 Galモチーフを含む第2糖質の用量を含んでいる。この第2群もマンノースに 結合される。 本発明の発見は、更に、活性化した宿主細胞が肺炎球菌接着に対して別の糖質 特異性:N−アセチル−D−グルコサミン(GlcNAc)を示すというもので ある。従って、他の好適実施態様においては、本医薬組成物は、粘着S. ニューモ ニエ の宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効なN−アセチル−D−グルコサミ ンモチーフを含む第3糖質の用量を含んでいる。 最適実施態様においては、本発明の医薬組成物は、粘着S. ニューモニエの宿主 細胞からの溶離を誘導するのに有効な3種の糖質、二糖N−アセチル−D−ガラ クトサミンβ1−3Galモチーフを含む糖質、二糖N−アセチル−D−ガラク トサミンβ1−4Galモチーフを含む第2糖質及びN−アセチル−D−グルコ サミンモチーフを含む第3糖質の各々の用量を含んでいる。特に、本組成物は、 肺炎球菌のほぼ100%を肺上皮細胞及び静脈内皮細胞から溶離することができ る。 本発明者らは、追加の糖質群を本発明の組成物に含めることができることを見 出した。例えば、本発明の組成物は、これらに限定されないが肺炎球菌の宿主細 胞への結合を阻害するのに有効なマンノース、N−アセチル−D−ガラクトサミ ン、マンノース−D−マンノース及びメチル−α−D−マンノピラノシドの1種 以上の用量を更に含むことができる。 好適態様においては、本糖質は、多重の肺炎球菌結合モチーフを含む。即ち、 本糖質は多価性である。1実施態様においては、糖質は1モチーフの多価性であ る。他の実施態様においては、糖質は1を超えるモチーフを含み、各々が多価性 であることができる。多価性は、分枝複合オリゴ糖を用いて達成される。また、 一価の糖質は、タンパク質、シクロデキストラン、ポリリシン、ポリアクリルア ミド、アガロース、セファロース等の高分子担体に結合される。好ましくは、2 0〜30のかかるモチーフが各高分子に結合される。 個々の実施態様においては、本発明の医薬組成物は、宿主細胞が肺上皮細胞で ある肺炎球菌感染症の治療に用いられる。肺上皮細胞への粘着を阻止するのに又 は肺上皮細胞から粘着細菌を溶離するのに使用するための本医薬組成物は、分散 媒を含有するエアゾル剤である。例えば、分散媒は界面活性剤とすることができ る。個々の1実施態様においては、エアゾル剤は、乾燥粉末エアゾル剤であり、 1種又は複数種の糖質は微細な粉末として存在している。他の実施態様において は、エアゾル剤は液体エアゾル剤であり、薬学的に許容しうる希釈剤を含んでい る。可能な希釈剤としては、滅菌水、食塩水、緩衝化食塩水及びデキストロース 溶液が挙げられるがこれらに限定されない。 本発明は、更に、宿主細胞が血管内皮細胞である血液中に拡散した肺炎球菌感 染症を治療するために用いられる医薬組成物に関する。血液の肺炎球菌感染は、 かなりの頻度で肺感染を伴い、敗血症、菌血症及び髄膜炎のようなこれらに限定 されない致命的な合併症をまねくことがある。即ち、本発明は、血液中に拡散し た肺炎球菌感染症を治療するために血液中に注入する、特に静脈内に注入するた めの医薬組成物に関する。 従って、本発明は、S. ニューモニエによる感染症の予防又は治療方法であって 、粘着S. ニューモニエの宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な量の二糖N− アセチル−D−ガラクトサミンβ1−3Gal群に結合したマンノースを含む糖 質をかかる治療を必要としていると思われる患者に投与することを特徴とする方 法に関する。好適実施態様においては、本方法は、更に、粘着S. ニューモニエの 宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な量の二糖N−アセチル−D−ガラクト サミンβ1−4Gal群に結合したマンノースを含む第2糖質を投与することを 特徴とする。他の好適実施態様においては、本発明は、更に、粘着S. ニューモニ の宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な量のN−アセチル−D−グルコサ ミンを含む第3糖質の用量を投与することを特徴とする。最適実施態様において は、本方法は、粘着S. ニューモニエの宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な 量の二糖N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−3Gal群に結合したマンノ ースを含む糖質、二糖N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−4Gal群に結 合したマンノースを含む第2糖質及びN−アセチル−D−グルコサミンを含む第 3糖 質の3種の糖質の各々を投与することを特徴とする。 上述したように、本発明は、特に、肺上皮細胞の感染を治療することに関する 。従って、S. ニューモニエによる感染症の治療方法は、1種又は複数種の糖質を 噴霧及び吸入させることを特徴とする。好ましくは、噴霧は、吸入されやすい音 波処理煙霧を生じるネブライザーを用いる。 本発明は、特にまた、血液の感染症の治療に関する。従って、S. ニューモニエ による血液感染症の治療方法は、1種又は複数種の糖質を静脈内に注入すること を特徴とする。 他の態様においては、本発明は、S. ニューモニエの存在を検出する方法であっ て、二糖N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−3Gal群に結合したマンノ ースを含む糖質の細菌への結合を検出することを特徴とする方法に関する。更に 、実施態様においては、肺炎球菌の存在を検出する方法は、二糖N−アセチル− D−ガラクトサミンβ1−4Gal群に結合したマンノースを含む第2糖質の細 菌への結合を検出することを特徴とする。別の実施態様においては、肺炎球菌の 存在を検出する方法は、N−アセチル−D−グルコサミンを含む第3糖質の細菌 への結合を検出することを特徴とする。 最適実施態様においては、S. ニューモニエの存在を検出する方法は、3種全て の糖質の細菌への結合を検出することを特徴とする。 本発明によれば、1種又は複数種の糖質は、検出可能に標識される。また、1 種又は複数種の糖質は、固相支持体に結合される。 図面の簡単な説明 図1 肺炎球菌の初代ウサギ肺細胞への粘着。A)莢膜をもつAIIの混合肺 細胞(○−○)及び精製II型肺細胞(■−■)への粘着。B)莢膜をもつAI I(■−■)及び同質遺伝子の莢膜をもたないR6肺炎球菌(○−○)のII型 肺細胞への結合の比較。両パネルについては、粘着細菌をcfuとして播種しグ ラム染色で可視化することにより数えた。数値は、6回の実験の平均±SDであ る。*p<0.05は混合肺細胞に対する。 図2 肺炎球菌のヒト培養II型肺細胞への粘着に対する用量応答曲線(A) 及び時間の経過(B)。用量応答曲線については、II型肺細胞を増加濃度のA II(■−■)、R6(□−□)、D39(○−○)、18C(▲−▲)又は9 V(△−△)と30分間インキュベートした。時間の経過実験については、II 型肺細胞を1×107cfu/ml R6とインキュベートした。粘着細菌は、100I I型肺細胞あたりの付着細菌数として求めた。結果は、少なくとも6回の独立し た実験における2ウェルずつの平均±SDである。 図3 ヒト培養肺細胞(A)及び内皮細胞(B)への肺炎球菌粘着に関する配 列GalNAcβ1−4Gal及びGalNAcβ−3Galを含む糖脂質の影 響。R6をGalNAcβ1−4Gal含有糖脂質[アシアロ−GM2(・−・ )又はアシアロ−GHM1(○−○)]又はGalNAcβ1−3Gal含有糖脂 質[フォルスマン糖脂質(□−□)又はグロボシド(■−■)]とインキュベートし た。粘着細菌は、100肺細胞又は内皮細胞あたりの付着細菌数として求めた。 糖の非存在下の対照粘着は、水平線(−−−)で示されている。結果は、少なく とも6回の独立した実験における2ウェルずつの平均±SDである。 図4 グロボシド、アシアロ−GM2及び精製肺炎球菌細胞壁の抗粘着作用。 A)R6をアルブミンバッファー(−−−)、グロボシド(■−■)又はアシア ロ−GM2(・−・)或いはアシアロ−GM2+グロボシドの組合わせ(◆−◆) ;表示した最終濃度は2種の糖から等しく構成された)とインキュベートし、I I型肺細胞単層に付着させた。*p<0.05はアシアロ−GM2又はグロボシ ド単独と比較した。B)単層を肺炎球菌細胞壁(50μg/ml)或いはアルブミン バッファーとインキュベート(30分、37℃)した。R6をアルブミンバッフ ァー(対照)、グロボシド(2mM)或いはアシアロ−GM2(2mM)とインキュ ベート(15分、室温)し、その単層に37℃で30分間付着させた。粘着細菌 は、100内皮細胞あたりの付着細菌数として求めた。結果は、少なくとも6回 の独立した実験における2ウェルずつの平均±SDである。細胞壁は対照より顕 著に少なかった。*は、細胞壁より顕著に少なかった(p<0.05)。 図5 培養ヒトII型肺細胞及び内皮細胞上の2種類の別個のレセプター(A 、B)への肺炎球菌粘着に関与した糖質レセプターの最小構造。太字でタイプし た線で囲った領域は、肺炎球菌のII型肺細胞又は内皮細胞への粘着に要した活 性な最小レセプター単位を表す。下線を引いた構造は、両方の種類の細胞に不活 性 である。略語は後記表1の通り。 図6 静止R6並びにサイトカイン刺激ヒト培養II型肺細胞(A)及び血管 内皮細胞(B)の粘着に関する単糖の影響。R6(107cfu/ml)を種々の単糖に 曝露(15分間、室温)し、次に細胞の静止(白いバー)或いはサイトカイン剌 激(黒いバー)単層と30分間同時インキュベートした。指定した糖への肺炎球 菌粘着は、糖の非存在下の100宿主細胞への細菌粘着−糖の存在下の100宿 主細胞への細菌粘着として定義した。結果は、少なくとも6回の独立した実験に おける2ウェルずつの平均±SDである。Glc=D−グルコース;Gal=D −ガラクトース;Fuc=L−フコース;GalNAc=N−アセチル−D−ガ ラクトサミン;GlcNAc=N−アセチル−D−グルコサミン;Man=D− マンノース;NANA=シアル酸;Lac=ラクトース;及び2−ADGG=2 −アセトアミド−2−デオキシ−3−O−B−D−ガラクトピラノシル−D−ガ ラクトピラノース。 図7 サイトカイン刺激単層上の肺炎球菌複合糖質レセプター。GalNAc β1−4Gal集団に粘着する肺炎球菌数は、アシアロ−GM2(□−□)で定 義し、GalNAcβ1−3Gal集団に粘着する肺炎球菌数は、グロボシド( ◇−◇)で定義した。1種以上のレセプターにおいて糖質特異性が含まれるかを 定義するために、GlcNAc(○−○)+グロボシド(◆−◆)或いはアシア ロ−GM2(■−■)の2成分混合物の各々の糖単独より大きい程度まで肺炎球 菌粘着を減じる能力を評価した。試験組成物は、試験した単一糖又は同量の2種 の糖を含有した。TNFα刺激単層への対照粘着は、綾目線(−−−−)で示さ れている。*p<0.05はアシアロ−GM2又はGlcNAc単独と比較した 。各々の指定した糖への肺炎球菌粘着は、糖の非存在下の100宿主細胞への細 菌粘着−糖存在下の100宿主細胞への細菌粘着から求めた。結果は、少なくと も6回の独立した実験における2ウェルずつの平均±SDである。 発明の詳細な説明 本発明は、S. ニューモニエによる感染症を治療又は予防するための組成物及び 方法に関する。本発明は、肺炎球菌が少なくとも3種類の異なる糖質モチーフを 認識及び結合するという発見に基づくものであり、それらのうちの2種類は本発 明の以前には認識されていなかった。個々の実施態様においては、本発明は、肺 上皮細胞から肺炎球菌の接着を阻止すること又は肺上皮細胞から粘着肺炎球菌を 溶離することを提供する。 本発明者らは、GalNAcβ1−3Gal群を含む糖質モチーフが肺炎球菌 に結合することを発見した。そのモチーフは、以前には肺炎球菌と相互作用する ことが不明であった。更に重要なことに、本発明者らは、肺炎球菌が1を超える 糖質特異性を有しかつかかる特異性の1つだけの糖質への結合を阻害することが 細菌を定量的に溶離することができないことを発見した。即ち、本発明の好まし い組成物及び方法を用いて定量的溶離(又は粘着の防止)が達成された。 本発明をより理解するために、いくつかの語句の定義が下記に示される;本発 明−−糖質の態様;治療用組成物及び方法;診断用組成物及び方法;及び実施例 も示される。 “A”(ここで“A”は単一のタンパク質、DNA分子、ベクター等)を含む組 成物は、組成物中少なくとも約75重量%のタンパク質、DNA、ベクター(A 及びBが属する種類のカテゴリーに左右される)が“A”である場合、実質的に “B”(ここで“B”は1種以上の混入するタンパク質、DNA分子、ベクター 等)を含まない。好ましくは、“A”は、組成物中A+Bの物質の少なくとも約 90重量%、最も好ましくは少なくとも約99重量%を含んでいる。また、実質 的に混入を含まない組成物は、問題の物質の活性又は特性を有する単一の分子量 物質のみを含むことが好ましい。 “薬学的に許容しうる”という語は、生理的に許容しかつヒトに投与した場合 に典型的には胃の不調、めまい等のアレルギー又は同様の困った反応を生じない 分子物質及び組成物を意味する。好ましくは、本明細書に用いられる“薬学的に 許容しうる”という語は、連邦政府又は州政府の統制機関によって承認された又 は米国薬局方又は動物、特にヒトに使用するための他の一般に認知された薬種に 載っていることを意味する。“担体”という語は、化合物が投与される希釈剤、 アジュバント、賦形剤又は伝達体を意味する。かかる医薬担体は、石油、動物、 植物又は合成由来のものを含む落花生油、大豆油、鉱油、ごま油等の水及び油の ような滅菌液体とすることができる。水又は水溶液、塩類溶液及び水性デキスト ロース及びグリセロール溶液は、特に注射用溶液の担体として用いられることが 好ましい。 本明細書に用いられる“宿主細胞”という語は、肺炎球菌によってコロニーを 形成することができる細胞、例えば、肺上皮細胞及び静脈内皮細胞を意味する。 本明細書に用いられる“肺投与”という語は、本発明の製剤の吸入による肺へ の投与を意味する。 本明細書に用いられる“吸入”という語は、空気の肺胞への吸い込みを意味す る。個々の例においては、吸入しつつ本発明の製剤の自己投与又はレスピレータ ーを介して、例えば、レスピレーターによる患者への投与によって吸い込みが生 じる。本発明の製剤について用いられる“吸入”という語は、“肺投与”と同義 である。 本明細書に用いられる“非経口”という語は、肺炎球菌に結合する糖質を腸以 外、特に静脈内(i.p.)、動脈内(i.a.)、腹腔内(i.p.)、筋肉内(i.m.)、室内及び 皮下(s.c.)経路によって身体に導入することを意味する。静脈内経路が好ましい 。 本明細書に用いられる“エアゾル”という語は、空気中の浮遊を意味する。特 に、エアゾルは、本発明の製剤の粒子化及び空気中の浮遊を意味する。本発明に よれば、エアゾル剤は、吸入又は肺投与のためにエアゾル化、即ち、噴霧して空 気に浮遊させる糖質を含む製剤である。 本明細書に用いられる“全身性”という語は、疾病もしくは障害又は肺から離 れた又は生物体の全身に関係する最初の損傷部位を意味する。従って、“局所” という語は、本明細書では肺に関して用いられる。即ち、全身感染は、S. ニュー モニエ が血液中に見られるものであり、菌血症及び髄膜炎をまねくことがある。 局所感染は、肺炎球菌が肺まで移動するだけのものであり、肺炎をまねくことが ある。 本発明の組成物又は組成物の投与は、動物の患者をS. ニューモニエ感染から防 御又は治療するために用いられる。即ち、本発明の組成物は、ニワトリ、シチメ ンチョウ及びペットのような鳥類;本発明の組成物は哺乳動物種以外にも使用が 企図されるが、愛がん動物(イヌ及びネコ);家畜(ウシ、メンヨウ、ウマ、ヤ マヒツジ、ブタ等);げっ歯類;及び野生動物を含むがこれらに限定されない哺 乳動物、好ましくはヒトに用いられる。 肺炎球菌に結合する糖質モチーフ 基本的な態様においては、本発明は、肺炎球菌の宿主細胞、特に肺上皮細胞( II型肺細胞)及び静脈内皮細胞への粘着を仲介する糖質モチーフの同定に関す る。 従って、本明細書に用いられる“肺炎球菌結合モチーフ”という語は、肺炎球 菌接着複合体によって認識される糖質の構造を意味する。糖タンパク質について の糖質(オリゴ糖及びサッカリドとも呼ばれる)が種々の結合で配置される一組 の単糖(糖)サブユニットによって形成される非常に複雑な構造にすることがで きることは周知である(例えば、Darnell ら,細胞分子生物学,Scientific Ame rican Books,1986,pp.957-964参照)。本発明のモチーフは、化合物について 見出される“修飾”(追加のサッカリドサブユニット)と無関係の最小レセプター 単位、即ち、肺炎球菌と結合することができる最小構造である。即ち、肺炎球菌 が結合する糖質モチーフは、複雑なオリゴ糖に位置されているか又はモチーフ構 造を有する可能な最も簡単なオリゴ糖であることができる。更に、モチーフは、 本明細書で肺炎球菌結合を仲介することが示された特定のサッカリド群の誘導体 とすることができる。本発明のモチーフの機能上の定義は、実施例に記載される ように肺炎球菌結合及び溶離特性を示すことができることである。 本明細書に用いられる“糖質”という語は、サッカリドサブユニットを含む化 合物及び本明細書に記載された高分子と会合又は複合した化合物の双方を意味す る。 最初の態様においては、本発明は、以前には肺炎球菌結合を仲介することが不 明であった肺炎球菌が結合する糖質モチーフの同定に関する。本モチーフは、二 糖N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−3Gal群(GalNAcβ1−3 Gal)を含む。本モチーフは、マンノースに結合されるが必要なものではない 。本モチーフを含む糖質の例は、フォルスマン糖脂質、グロボシド等が挙げられ るが、これらに限定されない。 更に態様においては、本発明者らは、粘着肺炎球菌の宿主細胞からの定量的又 はほぼ定量的溶離が、細菌と以前には肺炎球菌が付着することが不明であった GalNAcβ1−3Galモチーフ及び第2モチーフとを接触させることによ り達成されることを発見した。本第2モチーフは、二糖N−アセチル−D−ガラ クトサミンβ1−4Gal群(GalNAcβ1−4Gal)を含む糖質である 。本モチーフは、マンノースに結合されるが必要なものではない。本第2モチー フを含む糖質の例としては、アシアロ−GM1、アシアロ−GM2等が挙げられ るがこれらに限定されない。後記の個々の実施例に示されるように、肺炎球菌の 非剌激肺上皮細胞(II型肺細胞)及び静脈内皮細胞からの定量的溶離は、これ らの細胞と両モチーフを有する糖質を含む組成物とを接触させることにより達成 される。 更に実施態様においては、本発明者らは、肺炎球菌が腫瘍壊死因子(TNF)、 インターロイキン−1(IL−1)等の炎症性サイトカインと結合する宿主細胞 の刺激が以前には不明の第3糖質特異性:N−アセチル−D−グルコサミン(G lcNAc)を誘導することを発見した。この糖特異性は、GalNAcβ1− 3Galレセプター集団と結合される。即ち、GalNAcβ1−3Galモチ ーフとGlcNAcモチーフを有する糖質を含む組成物(両モチーフは同一オリ ゴ糖又は2種類の異なるオリゴ糖に見られる)は、肺炎球菌の宿主細胞への粘着 を防止するために又は粘着肺炎球菌を宿主細胞から溶離するために用いられる。 最適実施態様においては、3種全てのモチーフを表す糖質を含む組成物が用い られる。かかる組成物は、免疫系が活性化されかつ炎症性伝達因子が放出された 初期の段階、進行中の感染を治療するのに特に望ましい。 本発明は、肺炎球菌と宿主細胞との結合又は粘着を妨害することが判明した追 加の糖質部分を含むことを企図する。かかる糖質の例としては、マンノース、N −アセチル−D−ガラクトサミン、マンノース−D−マンノース及びメチル−α −D−マンノピラノシドが挙げられるがこれらに限定されない。 本発明は、更に、薬剤の効力を増強するために多価糖質又は多価糖質含有構造 の使用を企図する。1実施態様においては、1モチーフは、本発明に有用な化合 物に多コピーで見られる。他の実施態様においては、1を超えるモチーフは、本 発明に有用な化合物に単一又は多コピーで見られる。多価糖質は、概念的に樹木 又はブラシに似ているその各分枝又は毛が肺炎球菌結合モチーフを含む分枝複合 糖質を調製することにより製造される。また、一価の糖質は、共有結合又は非共 有結合で高分子と結合される(例えば、Langerら,1994年2月17日公開の国際特 許公報第94/03184号を参考として特に本明細書に引用する)。適切な高分子とし ては、タンパク質、ポリリシン、デキストラン、グリコサミノグリカン、シクロ デキストリン、アガロース、セファロース及びポリアクリルアミドが挙げられる がこれらに限定されない。 本発明の肺炎球菌結合モチーフを有する糖質は、いかなる供給源からも入手す ることができる。例えば、かかる糖質は、市販されているものから入手すること ができる。また、該糖質は、既知の化学又は酵素プロセスを用いて合成で製造す ることもできる。肺炎球菌結合モチーフを含む糖質(即ち、サッカリド)の合成 のためのグリコシルトランスフェラーゼ酵素は、国際特許公報第93/13198号(19 93年7月8日公開)に記載されているように調製され、この特許を参考として本 明細書に引用する。サッカリド組成物の調製装置があるように(Rothら,1994年 2月22日発行の米国特許第 5,288,637号)、かかる組成物のグリコシルトランス フェラーゼ触媒調製も記載された(Roth,1993 年1月19日発行の米国特許第 5,1 80,674号及び1991年10月31日公開の国際特許公報第91/16449号)(これらの文献の 各々を参考として特に本明細書に全て引用する)。 治療用組成物及び方法 本発明は、肺炎球菌感染及び結果として生じる菌血症、髄膜炎及び肺炎を含む がこれらに限定されない病態を予防及び治療するために肺又は非経口、特にi.v. 投与するための上記の肺炎球菌結合モチーフを含む糖質を含む製剤を企図する。 以後、便宜上、単数又は複数形の“糖質”という語は、他の意味が特に示されな い限り肺炎球菌結合モチーフを含む糖質を意味するように解釈されなければなら ない。 従って、本発明は、肺炎球菌結合モチーフを含む1種以上の糖質及び上記で定 義された薬学的に許容しうる担体又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。初期 の肺炎球菌感染又は全身感染の治療については、本発明の治療用組成物は、感染 をまねく肺上皮細胞のコロニー形成を予防するために又は粘着細菌を肺上皮細胞 から溶離するために吸入により投与される。肺投与は、薬剤が肺胞から毛細血管 に容易に進むので血流に対する有効な投与方法でもある。更に、肺炎球菌全身感 染が一般に肺上皮細胞のコロニー形成で始まるので、肺を通る治療剤の投与はそ の感染を治療するために合理的な経路である。同様に、薬剤は、毛細血管から肺 胞に交差する非経口、例えば、i.v.で投与することも可能である。従って、本発 明は、全身及び肺(局所)の双方の肺炎球菌感染を治療するために1種又は複数 種の糖質を非経口投与、特にi.v.投与することを企図する。 従って、医薬組成物及び治療用製剤の気道への送達又は非経口送達に設計され る種々の装置が本発明のこの態様において用いられる。本発明の肺投与の好まし い経路は、エアゾル又は吸入方式である。分散剤又は分散媒と混合した本発明の 1種又は複数種の糖質は、乾燥粉末として又は希釈剤による溶液又は懸濁液とし てエアゾル剤で投与される。しかしながら、上記のように、本発明の組成物は、 非経口的にも投与される。 本明細書に用いられる“分散媒”という語は、糖質のエアゾル化又は肺組織に おける糖質の吸収又はその双方を援助する物質を意味する。分散媒は、薬学的に 許容しうることが好ましい。例えば、液体エアゾルを形成する溶液の噴霧化によ る糖質の凝集を生じた表面を減じるために当該技術において一般に用いられる界 面活性剤が用いられる。かかる界面活性剤の限定されない例は、ポリオキシエチ レン脂肪酸エステルとアルコール及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス テルのような界面活性剤である。界面活性剤の使用量は変動し、通常はその範囲 又は製剤の0.001〜4重量%の範囲内である。適切な界面活性剤は、当該技 術において周知であり、所望の特性に基づいて選ばれ、個々の製剤、1種又は複 数種の糖質の濃度、希釈剤(液体製剤において)又は粉末の形(乾燥粉末製剤に おいて)等に左右される。 更に、1種又は複数種の糖質(例えば、二糖又は複合オリゴ糖)の使用、所望 の治療効果、肺組織の性状(例えば、疾患のある肺又は健康な肺)及び他の多く の要因によって、液体又は乾燥製剤は下記に述べられるように追加成分を含むこ とができる。 液体エアゾル剤は、生理的に許容しうる希釈剤中に1種又は複数種の糖質及び 分散剤を含有する。本発明の乾燥粉末エアゾル剤は、1種又は複数種の糖質及び 分散剤の微細固体形態からなる。非経口製剤は、注射に適切な担体中に1種又は 複数種の糖質を含有する。 液体或いは乾燥粉末エアゾル剤においては、製剤はエアゾル化されなければな らない。即ち、エアゾル化された用量が実際に肺胞に達することを行わせるため に液体又は固体粒子に分解されなければならない。一般に、マスメジアン動的直 径は、薬剤粒子が肺胞に達することを行わせるために5マイクロメートル以下と する(Wearley,L.L.,1991,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Systems 8:333)。 “エアゾル粒子”という語は、肺投与に適切な、即ち肺胞に達する液体又は固体 粒子を記載するために本明細書において用いられる。送達装置の構成、製剤中の 追加成分及び粒子特性のような他の検討も重要である。薬剤の肺投与のこれらの 態様は、当該技術において周知であり、製剤の取り扱い、エアゾル化手段及び送 達装置の構成には、当業者による通常の実験が必要なだけである。 送達装置の構成に関しては、液体製剤の微粒化(nebulization)、煙霧化(atomi zation)又はポンプエアゾル化及び乾燥粉末製剤のエアゾル化を含むがこれらに 限定されない当該技術において既知のエアゾル化の形が本発明の実施において用 いられる。たいてい、液体又は乾燥粉末製剤のエアゾル化には噴射剤が必要とな る。噴射剤は、当該技術において通常用いられる噴射剤であってもよい。かかる 有効な噴射剤の個々の限定されない例は、クロロフルオロカーボン、ヒドロフル オロカーボン又はトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテ トラフルオロエタノール及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含む炭化水素又 はその組合わせである。 本発明の具体的な態様においては、エアゾル化の装置は、定量投与吸入器であ る。定量投与吸入器は、投与に左右される可変の用量というより投与される際に 特定の用量を与える。かかる定量投与吸入器は、液体或いは乾燥粉末エアゾル剤 で用いられる。定量投与吸入器は、当該技術において周知である。 1種又は複数種の糖質が吸入により肺に達すると、多くの製剤依存性因子が結 合活性を与える。肺炎球菌全身感染を治療するにあたり、1種又は複数種の糖質 の循環レベル、エアゾル粒径、エアゾル粒子の形、糖質の吸収に影響することが できる肺疾患又は塞栓の有無、肺のpH又は医薬担体のような要因等が必要であ ることは理解されるであろう。本明細書に記載される製剤の各々については、あ る種の滑沢剤、吸収増強剤、安定剤又は懸濁剤が適するものである。これらの追 加物質の使用は、目標によって変動する。1種又は複数種の糖質の局所送達が所 望又は探索される場合には、吸収増強のような可変物質が重要というほどでない ことは理解されるであろう。 更に、実施態様においては、本発明のエアゾル剤又は非経口製剤は、1種又は 複数種の糖質のほかに他の有効成分を含むことができる。好適実施態様において は、かかる有効成分は、肺疾患の治療に用いられるものである。例えば、かかる 追加の有効成分としては、肺の状態の治療に有効な気管支拡張剤、抗ヒスタミン 剤、エピネフリン等が挙げられるがこれらに限定されない。好適実施態様におい ては、追加の有効成分は、例えば、肺炎の治療には抗生物質とすることができる 。好適実施態様においては、抗生物質はペンタミジンである。 好適態様において本発明の組成物は抗生物質と共に投与されるが、抗生物質耐 性肺炎球菌の治療方法を与えることが本発明の具体的な利点である。これは、ビ ルレント細菌の間の抗生物質耐性の最近の増大、容易でない公衆衛生に係わる現 象を考えると重要な問題である。 一般に、本発明の1種又は複数種の糖質は、哺乳動物の体重1kgあたり0.0 1〜約100mgでエアゾル又は非経口で患者に導入される。個々の実施態様にお いては、投薬は1日あたりの用量である。当業者は、本発明のエアゾル剤又は非 経口製剤中の1種又は複数種の糖質の濃度に基づいてその用量に対応するエアゾ ルの容量又は重量を容易に求めることができる;また、当業者によって容易に理 解されるように、投与されるべき容量中1種又は複数種の糖質の適量を含むエア ゾル剤を調製することができる。 用量は、また、肺における1種又は複数種の糖質の局所濃度が肺投与と共に非 常に高くなるので、肺炎球菌全身感染の吸入治療の場合には大きくなり、肺のみ の感染を治療する場合には小さくてよいことは明らかである。1種又は複数種の 糖質を肺に直接投与すると標的にした薬剤送達が可能であり、コスト及び望まな い副作用の両面が抑えられる。 本製剤は、感染の程度又は予防の必要性によって1回の投与量又は多回投与量 で投与される。例えば、レスピレーターにより肺炎球菌感染に対する防御(レス ピレーターによる長期治療の共通の結果)として患者に投与される場合、少量の 組成物で有効である。感染が始まる場合には、粘着細菌の溶離を促進するために 並びに在住細菌による接着及びコロニー形成を防止するために多量の組成物が与 えられる。当業者は、用いられるべき予防又は治療剤の正確な量が、疾患の段階 及び程度、患者の身体の状態及び医師によって容易に求められる他の多くの要因 に左右されることは理解されるであろう(例えば、Langerら,1994年2月17日公 開の国際特許公報第 9403184号参照、この特許を参考として本明細書に特に引用 する)。 加圧定量投与吸入器及び乾燥粉末吸入器のようなエアゾル送達装置は、Newman ,S.P.,エアゾル剤と肺,Clarke,S.W.& Davia,D.edit.,pp.197-22 に開示 されており、本発明に関連して用いられる。 液体エアゾル剤 本発明は、肺炎球菌感染に罹っている患者又は肺炎球菌感染に罹る危険のある 患者を治療するのに有用な液体エアゾル剤及び剤形を提供する。一般に、かかる 剤形は、薬学的に許容しうる希釈剤中に1種以上の糖質を含有する。薬学的に許 容しうる希釈剤としては、滅菌水、食塩水、緩衝化食塩水、デキストロース溶液 等が挙げられるがこれらに限定されない。個々の実施態様においては、本発明又 は本発明の医薬製剤に用いられる希釈剤は、リン酸塩緩衝化食塩水又は通常pH 7.0〜8.0の緩衝化塩類溶液又は水である。 本発明の液体エアゾル剤は、任意成分として、薬学的に許容しうる担体、希釈 剤、可溶化又は乳化剤、界面活性剤及び賦形剤を含めることができる。 本発明の液体エアゾル剤は、典型的にはネブライザーで用いられる。ネブライ ザーは、圧縮空気式或いは超音波ネブライザーとすることができる。本発明と共 にウルトラベント,Mallinckrodt社(ミズーリ州、セントルイス);アコーンIIネ ブライザー(Marquest Medical Products,コロラド州、エングルウッド)のよう なこれらに限定されない当該技術において既知のネブライザーが用いられる。本 発明と共に有効な他のネブライザーは、1986年11月25日発行の米国特許第 4,624,251 号; 1972年11月21日発行の同第 3,703,173号; 1971年2月9日発行の 同第 3,561,444号及び1987年1月13日発行の同第 4,635,627号に記載されている 。 本製剤は、担体を含めることができる。担体は、循環系に可溶でありかつ生理 的に許容しる高分子であり、ここで生理的許容とは当業者が前記担体を治療法の 一部として患者に注入することを許容することを意味する。担体は、クリアラン スの許容しうる血漿半減期で循環系において相対的に安定であることが好ましい 。かかる高分子としては、大豆レシチン、オレイン酸及びソルビタントリオレエ ートが挙げられるがこれらに限定されず、ソルビタントリオレエートが好ましい 。 本実施態様の製剤は、安定化又は浸透圧の制御に有効な他の物質を含めること もできる。その物質の例としては、塩化ナトリウム又は塩化カリウムのような塩 及びグルコース、ガラクトース又はマンノースのような炭水化物等が挙げられる がこれらに限定されない。 乾燥粉末エアゾル剤 本医薬製剤を、微細な粉末状の1種又は複数種の糖質及び分散媒を含む乾燥粉 末吸入剤として用いることも企図される。その形の糖質は、通常、凍結乾燥粉末 とする。凍結乾燥形の糖質は、標準手法で得られる。 他の実施態様においては、乾燥粉末製剤は、1種以上の糖質、分散剤、更に充 填剤を含有する微細な乾燥粉末を含む。該粉末の装置からの分散を容易にする量 で本製剤と共に有効な充填剤としては、ラクトース、ソルビトール、スクロース 又はマンニトールのような物質が挙げられる。 肺炎球菌感染の診断 肺炎球菌に結合するものとして本明細書で同定された糖質は、S. ニューモニエ による感染の診断に有効な試薬である。現在、肺炎球菌を含むグラム陽性菌によ る感染の診断は容易ではない。通常、診断は、症候、肺炎と一致したX線像及び 肺炎球菌感染の疑いがある患者から得られた生物試料の試験管内培養の組合わせ に基づいている。かかる試料は、典型的には、喀痰、気管支洗浄、穿刺による肺 水の抽出及び血液(血液に感染した肺炎球菌の存在を検出する)から得られる。 本発明によれば、S. ニューモニエによる感染の疑いがある患者からの試料中のS. ニューモニエ の存在は、上記の糖質の試料中又は試料からの細菌への結合を検 出することにより検出される。上記のように、本発明は、肺炎球菌が二糖N−ア セチル−D−ガラクトサミンβ1−3Gal群に結合したマンノースを含有する 糖質に付着するという予期しない発見を提供する。従って、本糖質モチーフの細 菌への結合を検出することは、細菌が肺炎球菌であることを示している。更に、 細菌によるGalNAcβ1−3Gal及びGalNAcβ1−4GalとGl cNAc群のいずれか或いは双方への結合の検出は、肺炎球菌としての細菌の同 一性について更に決定的な情報を与えることができる。 本発明によれば、1種以上の上記糖質モチーフの結合の検出は、独立して検出 される。即ち、各糖質モチーフへの結合が別個に検出される。別個の検出は、各 種類の糖質を別個に分析することによって又は結合が分析される各糖質について 異なる標識を用いることによって達成される。また、2種全て又は3種全てのモ チーフへの結合を同時に検出することもできる。 本発明による糖質と細菌との結合の検出は、免疫分析と類似の方法で分析され る。本発明の場合には、糖質は1つの結合パートナーとして作用し、細菌はもう 1つの結合パートナーとして作用する。 1実施態様においては、肺炎球菌と結合するある分量の1種以上の糖質が調製 され、酵素、蛍光を発する化合物及び/又は放射性元素でのように任意に標識さ れてもよく、次に、肺炎球菌に感染されると思われる哺乳動物の組織又は液体試 料に導入される。標識物質が組織内の部位と反応させる機会があった後、得られ た物質が結合標識の種類で異なってもよい既知の手法で試験される。かかる生体 内検出が所望される場合には、放射能標識はテクネチウム99(99Tc)である か又はガドリニウム又はマンガンのような磁気シフト試薬標識が標識として用い られることが好ましい。 動物における肺炎球菌の存在は、通常は免疫学的方法によって確認され、1つ の成分が検出可能な標識で標識されている肺炎球菌に対して1種以上の糖質結合 パートナーを使用する。好適態様においては、肺炎球菌の存在は、検出可能な標 識で標識された糖質を含む分析で確認される。個々の態様においては、検出可能 な標識は、他の試薬、例えば、ビオチン(アビジン又はストレプトアビジンと結 合する)の結合パートナー又は抗体に対する抗原とすることができる。この方法 は、下記式によって纏められ、*は分子化合物が標識され、この場合の“C”は 1種又は複数種の糖質を表し、“B”は細菌を表すことを意味する。 A.C*+B+C=C*B B.C1+C2 *+B=C1BC2 * それらの一般法及び応用は、全て当業者によく知られており、本発明の範囲内 で用いられる方法の具体的な説明として及び限定されないものとして本明細書に 示される。“競合的”方法と類似の免疫分析法、方法Aは、米国特許第3,654,09 0 号及び同第 3,850,752号に記載されている。方法Bと類似の免疫分析、“サン ドイッチ”法は、米国特許第 RE 31,006号及び同第 4,016,043号に記載されてい る。 更に、他の診断法は、同時放射能分析用単一溶液中の多重標識化合物を使用す る。この方法においては、 Olsonの米国特許第 4,762,028号に開示された方法と 同じように、組成物は式:放射性同位元素−キレート剤−糖質分子を有する配位 化合物中2種以上の糖質分子で調製される。 これらの実験に最も共通して用いられる標識は、放射性元素、酵素、紫外線に 露光した場合に蛍光を発する化学薬品等である。 適切な放射性元素は、3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58 Co、59Fe、90Y、125I、131I及び186Reからなる群より選ばれる。 上に示した同位元素の1つのような放射性標識が用いられる場合には、標識の量 、もって、物質の結合量を検出又は定量するために既知の現在用いうる計数方法 が用いられる。 標識が酵素である場合には、当該技術において既知の現在使用されている比色 法、分光光度法、蛍光分光光度法、温度法、電流滴定法又は気体定量法のいずれ によっても検出が達成される。酵素は、カルボジイミド、ジイソシアネート、グ ルタルアルデヒド等の架橋分子との反応により糖質に結合される。これらの方法 に用いられる多数の酵素が既知であり使用される。ペルオキシダーゼ、β−グル クロニダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、ウレアー ゼ、グルコースオキシダーゼ+ペルオキシダーゼ、ヘキソキナーゼ+GDPas e、RNAse、グルコースオキシダーゼ+アルカリホスファターゼ、N ADオキシドレダクターゼ+ルシフェラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ+ホスホ エノールピルビン酸カルボキシラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラー ゼ+ホスホェノールピルビン酸デカルボキシラーゼ及びアルカリホスファターゼ が好ましい。米国特許第 3,654,090号;同第 3,850,752号;及び同第 4,016,043 号には、代替的標識材料及び方法の開示の例として言及されている。 多数の蛍光材料が既知であり、標識として用いられる。これらは、例えば、フ ルオレセイン、ローダミン及びオーラミンが含まれる。 本発明は、また、試料中の肺炎球菌の存在、所望される場合には、量を検出す る種々の分析方式も企図する。例えば、直接“サンドイッチ”型ELISAが行 われ、1種の糖質が固相支持体に結合され、標識糖質(最初のものと同じモチー フを共有することができ、他のモチーフの1種を有することもできる)が細菌の 固相糖質への結合を検出するために用いられる。 本発明は、肺炎球菌の存在の程度の定量的分析の試験キットの形で調製される 分析システムが含まれる。システム又は試験キットは、標識成分、例えば、標識 を肺炎球菌の糖質結合パートナーにカップリングする本明細書で述べた放射性及 び/又は酵素法の1つによって調製されたものを含むことができる。また、本発 明の試験キットは、マイクロタイタープレート、クロマトグラフィービーズ(セ ファロース等)及び細胞(ロゼット形成実験用)を含むがこれらに限定されない 固相支持体と結合した又は結合することができる糖質を含むことができる。 本発明の実施態様においては、更に、医師が使用するのに適する市販の試験キ ットが肺炎球菌の有無を求めるために調製される。かかるキットは、試料中の肺 炎球菌の量を求めるためにも用いられる。上述した試験法によれば、かかるキッ トの1種は、本明細書に記載された糖質と肺炎球菌の結合を検出するための手段 で含み、使用される方法によっては説明書を含めることができる。本キットは、 また、バッファー、安定剤等の周辺的試薬を含むことができる。 例えば、最初の分析方式は、肺炎球菌を含む疑いがある生物試料、次に標識糖 質(又は抗肺炎球菌抗体)が添加される結合糖質を企図する。次に、得られた基 質を洗浄し、その後、固相上に特異的に保持された標識量の測定によって検出が 進行する。 本明細書に開示されたプロトコールの全てが肺炎球菌の定性的及び定量的分析 並びにS. ニューモニエ感染症の付随する診断及び監視に用いられる。 本発明は、その展開及び確認で実施した構成及び手順の詳細を示す下記の具体 的な説明の検討から更によく理解されるであろう。実施例: ストレプトコッカス・ニューモニエの粘着のレセプター特異性 S. ニューモニエのヒトII型肺細胞及び上皮細胞への粘着は、肺炎球菌肺炎及 び菌血症の発病に重要である。本実施例は、肺炎球菌が肺において付着する好ま しい標的細胞がII型肺細胞であることを証明し、その相互作用の分子の詳細を 求める試験管内粘着分析を報告するものである。培養ヒト肺細胞(LC)及び上 皮細胞(EC)上の肺炎球菌レセプターは、単層をツニカマイシン(グリコシル 化の阻害剤)で処理すると細菌の粘着を著しく減じるので糖タンパク質であるこ とがわかった。 GalNAc、マンノース並びにGalNAcβ1−4Gal及びGalNA cβ1−3Gal含有複合糖質を含む数種の糖質とインキュベートした後、LC 及びECへの粘着阻止が生じた。肺炎球菌はこれらの固定化糖質に直接結合する ことができ、粘着肺炎球菌への付加は細菌をLC及びECから溶離することがで きた。複合糖質の組合わせは、2種類の独立した肺炎球菌レセプターが両方の種 類の細胞上に存在することを示した。これらは、各々肺炎球菌細胞壁及び粘着の タンパク質依存性機序に関与する最小レセプター単位GalNAcβ1−4Ga l及びGalNAcβ1−3Galによって定義された。 材料及び方法 細菌株及び培養条件 血清型2(AII及びD39)及び血清型18C、9V のS. ニューモニエ株及び莢膜のないR6株(D39及びAIIと同質遺伝子)を 、3%ヒツジ血(Micropure Medical社、ミシガン州、スチルウォーター)を含有 する大豆寒天(Difco,ミシガン州、デトロイト)上で37℃で18時間増殖した 。細菌を37℃で増殖した。細菌をプレートから1mlのダルベッコのリン酸塩緩 衝化食塩水(DPBS;Whittaker Bioproducts,メリーランド州、ウォーターズ ビル)に取り出し、以前に記載された(Geelenら,1993,Infect.Immun.61:153 8)0.05M 炭酸ナトリウム及び0.1M 塩化ナトリウムを含有するバッファーに 溶解 したフルオレセインイソチオシアネート(FITC1 mg/ml; Sigma Chemical社 、ミズーリ州、セントルイス)で標識した。その細菌を遠心分離(3,000 rp m、3分)で2回洗浄し、1mlのアルブミンバッファー(上記、Geelenら)に懸 濁し、105〜1010cfu/mlまで希釈した。ある実験については、R6肺炎球菌 をアミノアルコールとしてコリン或いはエタノールアミンを含む特定培地で増殖 した(Tuomanenら,1985,J.Infect.Dis.151:859)。肺炎球菌細胞壁標品 R6からの精製した全細胞壁を以前に記載されたように 調製した(上記、Geelenら)。概要では、対数増殖肺炎球菌を加熱死滅させ、粗 細胞壁を5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS;100℃、30分)で抽出した 。SDSを洗浄して除去し、細胞壁をDNase、RNase及びトリプシンで 処理した。沸騰SDSに再沈降させた後、細胞壁を洗浄し、凍結乾燥し、室温で 貯蔵した。バイオアッセイに使用する場合には、肺炎球菌細胞壁浮遊液をブラン ソン振動器(2200型,Branson Ultrasonic社、コネチカット州、ダンバリー)で 超音波処理してホモジェナイズし、アルブミンバッファー中50〜100 mg/ml の最終濃度まで再懸濁した。 ヒト上皮細胞に対する肺炎球菌粘着の最大阻止を生じることが以前に示された それらの濃度を使用した(上記、Geelenら)。ウサギ混合及びII型肺細胞標品 ウサギ混合及びII型肺細胞を以前に記載 されているように調製した(Dobbs & Mason,1979,J.Clin.Invest.63:378)。 概要では、肺を細かくし、コラゲナーゼ、エラスターゼ及びDNaseで37℃ で60分間消化した。大きな細片をガーゼフィルターを用いて除去し、細胞を沈 降させ、2回洗浄した。得られた混合肺細胞を0.5%アルブミンを有する20m lのカルシウム含有バッファーに104/mlの密度まで再懸濁した。混合肺細胞浮 遊液からの肺胞II型細胞を精製するために、混合液を10ml16.5g%から 10ml35g%を超えるアルブミン勾配で加層し、1200 rpm、4℃で20分 間遠心した。勾配の上の方の26mlを捨て、次の12mlの細胞を取り出し、洗浄 し、104/mlの濃度に調整した。 トリパンブルー排除で算定した細胞生存度は、>90%であり、細胞の>80 %は、電子顕微鏡で調べた場合II型肺細胞に典型的な好オスミウム性層状体を 含んでいた。ヒトII型肺細胞及び血管内皮細胞 ヒトII型肺細胞系A549(LC;ア メリカン・タイプ・カルチュア・コレクション)を、ゼラチン(0.2%)で被 覆した組織培養フラスコに加え、10%ウシ胎児血清(Sigma)で補足した栄養混 合物F12Ham培地(Sigma)中で培養した。ヒト臍静脈内皮細胞の初代培養物 (EC;継代1、Clonetics 社、カリフォルニア州、サンディエゴ)を、フィブ ロネクチン(50μg/ml)で被覆した組織培養フラスコに加え、以前に記載され たように補足した培地199(Sigma)中で増殖した(Krivanら,1988,Proc.Nat l.Acad.Sci.USA 85:6157)。LC及びECへの肺炎球菌粘着についてタンパ ク質のグリコシル化の影響を求めるために、単層を、ツニカマイシン(0.55μ g/ml; Sigma)の存在下に37℃で96時間増殖した細胞から調製した(Dobbs &Ma son 1979,J.Clin.Invest.63:378)。集密的の細胞をトリプシン−0.05% EDTA(Sigma)を用いて継代培養用の細胞を調製した。粘着分析のために、細 胞をフィブロネクチン(50 mg/ml)で被覆したテラサキ60ウェル培養皿(Rob bins Scientific,カリフォルニア州、サニーベイル)に移し、更に24〜48時 間培養して集密的単層を形成した。 粘着分析の前に、その単層を培地199(Sigma)で2回洗浄することにより培 養液を除去した。細菌の初代ウサギ混合肺細胞への粘着 肺炎球菌の初代ウサギ混合肺細胞及び II型肺細胞への粘着を試験するために、AII又はR6(103〜109cfu/ml) を104肺細胞に1ml容量で加え、37℃で30分間旋回下でインキュベートし た。次に、肺細胞を遠心分離(270g、5分)で6回洗浄し培地199に再懸 濁することにより、肺細胞を非粘着細菌から分離した。次に、最終細胞沈降物に 粘着する細菌を播種及びグラム染色による可視化の双方によって数え、6回の独 立した実験からベースラインを決定した。検出標識で誘導化された細菌表面を潜 在的に複雑にすることなく粘着が生存可能な細菌をもたらすことを行わせるため にこれらの定量法を使用した。引き続き、死滅した細菌及びフルオレセイン標識 細菌の粘着を生存可能細胞の粘着と比べると、顕著な差異がないことを示した( 下記参照)。肺炎球菌の培養ヒトLC及びECへの粘着 ヒト静脈内皮細胞の培養物につい て以前に記載されたプロトコールを用いて、肺炎球菌のLC及びECへの粘着を 調べた(Geelenら,1993,Infect.Immun.61:1538)。FITC標識細菌(105 〜108cfu/ml;10μl/ウェル)を細胞単層と37℃で150分までの間イン キュベートした。肺炎球菌粘着を4℃で算定した。 単層を培地199で5回洗浄することにより非粘着細菌を除去し、次に、細胞 を2.5%グルタルアルデヒドに固定した。蛍光用にIFDM−510フィルタ ーを備えた倒立顕微鏡(ジアホト−TMD;ニコン社、ニューヨーク州、メルビ ル)で粘着肺炎球菌を肉眼で計数した。粘着は、40×の視野で計数した100 真核細胞あたりの付着細菌数として示した。2ウェルの数値を平均し、各実験を 少なくとも6回の別個の実験で行った。粘着分析の相互及び内部分析変動係数は 、各々18%及び15%であることがわかった。 肺炎球菌細胞壁の粘着阻止能を試験するために、培養LC及びECを細胞壁( 5μl;50又は100μg/ml)と37℃で30分間インキュベートした後、標識 細菌を添加した。炭水化物の粘着阻止能を定義する実験については、FITC標 識R6(2×107cfu/ml)を室温で15分間(Tuomanenら,1988,J.Exp.Med. 168:267)表1に示された最終濃度の次のものの1種と前インキュベートした: 1〜50mMの単糖、0.002〜2mMの複合糖質(Sigma)又はグルコースを含まな いアルブミンバッファー(対照)。 細菌を遠心(3,000 rpm、3分)して糖質を除去し、アルブミンバッファ ーに1×107cfu/mlまで再懸濁し、粘着分析に加えた。37℃で30分間R6 及びLC又はEC単層を同時インキュベートした後、粘着を算定した。結果は、 指定した糖に付着している細菌数として示した。この数値は、糖の非存在下の粘 着(対照ウェル)と糖の存在下の粘着間の差から得られる。例えば、100細菌 が対照ウェルで付着し糖Aを加えると60細菌が付着する場合には、糖Aによる 方法で40細菌(40%)が細胞に付着することが計算される。肺炎球菌の固定化複合糖質への粘着 Lee らに従って固相結合分析を行った(L eeら,1994,Mol.Microbiol.11:705)。単糖(100mM)及び複合糖質(2mM )の貯蔵液をメタノール中10%クロロホルム(v/v)で調製した。単糖 (12〜50mM)及び複合糖質(0.004〜0.4mM)の希釈は、メタノールで 行った。 テラサキ60ウェル培養皿(Robbins Scientific,カリフォルニア州、サニーベ イル)を、メタノール中10μl/ウェルの単糖或いは複合糖質又は対照としてメ タノールで被覆し、4℃で蒸発乾固した。次に、リン酸塩緩衝化食塩水(PBS )pH7.4中5%(w/v)ウシ血清アルブミン(PBS; Sigma)とインキュベート することにより、マイクロタイタープレートのウェルを阻止した。 過剰のBSAを捨て、ウェルをPBS中0.05%BSAで1回洗浄した。フ ルオレセイン標識肺炎球菌(107cfu/ml)をプレートに37℃で30分間付着さ せ、倒立蛍光顕微鏡を用いて肉眼で粘着を定量した。統計学 グループ間の差は、ウィルコキソン符号ランク試験で試験した。結果 は全て、少なくとも6回の実験の平均と標準偏差として示す。 結果 肺炎球菌と肺細胞との相互作用 肺炎球菌の初代肺細胞への粘着 莢膜のあるAII肺炎球菌の混合ウサギ肺細 胞への粘着は、濃度依存性及び飽和性であった(図1A)。精製II型肺細胞へ の粘着は、各接種物が混合肺細胞の10〜100倍であることが一致し、II型 肺細胞が好ましい標的であることを示した。最大レベルの粘着において、105c fu は104II型細胞と結合し、1細胞あたり〜10肺炎球菌の粘着指数を示し た。精製II型細胞への粘着は、莢膜のあるAIIと莢膜のない同質遺伝子R6 については等価であり、莢膜が肺炎球菌付着に影響しないことを示した(図1B )。R6、AII、D39、9V及び18CのヒトII型肺細胞系への粘着 II 型肺細胞への肺炎球菌粘着のモデルを、A549II型LC系を用いて発育した 。莢膜のあるAII、D39、9V及び18C株及び莢膜のないR6は、用量依 存方式で付着した(図2A)。付着を検出するために約106cfu/mlが必要であ った。濃度が高くなるにつれて、初代II型細胞については最大値と同じである 細胞あたり≧10細菌まで粘着が直線的に増大した。肺炎球菌のLCへの付着は 、45分以内でプラトーに達した(図2B)。粘着に活性代謝が必要であるかを 調 べるために、生存力のあるR6と加熱死滅したR6(10分、60℃)を粘着分 析において比較した。107cfu/mlの供給濃度において、100LCあたりの付 着細菌数は生存力のあるR6と加熱死滅したR6について各々296±10及び 273±14(p>0.05)であった。R6のヒトLCへの粘着における肺炎球菌細胞壁の役割 II型LC単層を精 製肺炎球菌細胞壁(50μg/ml)で処理すると(30分、37℃)、R6の105 、106及び107cfu/mlのLCへの粘着が各々39±12%、47±17%及 び57±7%だけ著しく(p<0.05)低下した。100μg/mlの肺炎球菌細 胞壁を用いて同様の結果が得られた(データは図示せず)。粘着における細胞壁 テイコ酸内に存在するホスホリルコリン部分の役割を直接算定するために、テイ コ酸中のアミノアルコールを生合成で置換するエタノールアミンを含む培地で肺 炎球菌を培養した。107cfu/mlの供給濃度において、100LCに粘着するR 6数は、コリン及びエタノールアミンと増殖した肺炎球菌について各々273± 14及び294±14(p>0.05)であった。 LC及びECに関する肺炎球菌に対するレセプター特異性 肺炎球菌粘着に関するツニカマイシンの影響 ツニカマイシンは、アスパラギ ン結合高マンノース型及び複合型糖タンパク質の生合成経路の最初の段階を遮断 することにより細胞表面の7糖タンパク質のグリコシル化を阻止する(Hranitzky ら,1985,Infect.Immun.49:336)。肺炎球菌のツニカマイシンで処理した単層 への粘着は、未処理単層と比べて著しく(p<0.05)減少した。R6の107 cfu/mlの供給濃度において、100細胞に粘着する肺炎球菌数はツニカマイシン の存在下及び非存在下に培養したECについて67±9及び240±15であっ た。同様の結果がLCについても得られた。ヒトLC及びECに関する肺炎球菌のレセプターの糖質特異性 ヒトLC及び ECへのS. ニューモニエR6株粘着を妨害するために単糖及び複合糖質を用いる 競合分析を用いて、最小レセプター単位を定義した。単糖の粘着阻止能の比較は 、N−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc)及びD−マンノースがE C及びLCへの肺炎球菌粘着の>40%に役割を果たすこと示した;D−ガラク トースはECについてのみ追加の特異性があった(表1)。単糖による競合阻害 パ ターンがレセプターの構造を必ずしも予想しないので(Leeら,1994,Mol,Micro biol.11:705)、マンノース又はN−アセチル−D−ガラクトサミンを含有する 複合糖質のライブラリーの粘着阻止能を試験した。2つのマンノース二糖マンノ ース−D−マンノース及びメチルD−マンノシドは、LC及びEC双方へのR6 粘着に対して有効なレセプター類縁体であった(表1)。末端D−マンノシドを D−ガラクトシドで置換すると、分子の完全な活性消失がもたらされた(表1) 。 試験した複合GalNAc含有糖質のうちの2種類がLC及びECの双方につ いて粘着の非常に有効な標的であることがわかった:アシアロ−GM2及びグロ ボシド(表1)。これらの複合糖質双方の共通のコアを表すラクトシルセラミド (GalNAcβ1−4Glc1−1Cer)群は、調べた全ての濃度で不活性 であった(0.003〜2mM)。これにより、レセプター活性はβ1,4結合(ア シアロ−GM2)或いはβ1,3結合(グロボシド)がGalに結合したGal NAcの存在と関連があることが示された。二糖Galβ1−3GalNAc( 2−ADGG)のようにGalNAcとGalの位置が逆転すると、糖質は不活 性であった。 アシアロ−GM2において活性なβ1,4結合の効力に置換がどのように影響 するかを求めるために種々のGalNAcβ1,4−Gal含有糖質を比較した 。アシアロ−GM1を生じる末端Galの付加は、レセプターとして作用する能 力をLCついては1/10まで低下させ(1/2の最大阻止はアシアロ−GM2 については102μM 及びアシアロ−GM1については103μM で生じた)及び ECについては1/100より小さく低下させた(1/2の最大阻止はアシアロ −GM1については>103μM で達しなかった)(図3A及び3B)。LCについ てアシアロ−GM1の小さな効果は、シアル酸で置換することによりほとんど消 失した(モノアシアロ−GM1)(表1)。 β1−3結合の活性について置換の影響に対する同様の分析により、LC及び ECに対して異なる結果が生じた。末端GalNAcのグロボシドへの付加(フ ォルスマン糖脂質)は、ECについてのレセプター活性を1/25に低下させた (図3B)。対照的に、フォルスマン糖脂質は、同じR6粘着の最大阻止が生じ る(〜52%)がR6粘着の低下が検出される濃度範囲が大きい点でLCについ てのグロボシドより実質的な活性増大を示した(図3A)。 表1及び図3で同定された糖質特異性が1つ又は多レセプターに含まれるかを 調べるために、糖質の組合わせを試験して2つの独立したレセプター特異性を示 す加成的効果を求めた。R6粘着について最大阻止効果を別個に生じる濃度を含 む2成分混合物を調製した。これらの実験の結果を表2に示す。マンノースは、 各種類のレセプターの成分であることを示す他の糖質又は複合糖質と加成的であ ることは見出されなかった。アシアロ−GM1+アシアロ−GM2又はフォルス マン糖脂質+グロボシドの組合わせは、いずれの種類の細胞でも加成的でなかっ た。肺炎球菌粘着をほとんど消失する著しい加成的効果は、EC及びLCの双方 についてアシアロ−GM2とグロボシドの組合わせで見られた(図4)。これら の結果は、β1,4及びβ1,3結合GalNAc−Galが異なるレセプターで あることを示した。これは、アシアロ−GM2に対して明白な加成的効果を呈し ないがグロボシドの存在下に粘着を対照値の〜50%から20%に低下させる精 製肺炎球菌細胞壁の能力によって支持された(図4B)。 十分な結合親和性を有するレセプター類縁体は、細菌を溶離させるために宿主 細胞レセプターと効果的に競合させることができる。GalNAc又はD−マン ノース(50mM)は、LC上の粘着細菌を60分以内に各々65±10%及び6 4±8%を溶離した。GalNAc(58±9%)及びD−マンノース(68± 7%)の同様の結果がECについて得られた。LC又はECをアシアロ−GM2 (80μM;各々75±8%及び70±7%)又はグロボシド(80μM;各々79 ±10%及び63±5%)とインキュベートした後、粘着肺炎球菌の更に効果的 な溶離が生じた。各々80μM のグロボシドとアシアロ−GM2の組合わせによ っていずれの種類の細胞からもほとんど全ての細菌(>95%)が溶離した。肺炎球菌の固定化糖質への直接粘着 真核細胞を用いる粘着分析において証明 されたレセプター類縁体活性と一致して、肺炎球菌は固定化Gal、GalNA c、GlcNAc、マンノース、アシアロ−GM1、アシアロ−GM2、フォル スマン糖脂質及びグロボシドに直接付着することができた(表3)。 肺炎球菌粘着は、アシアロ−GM2及びアシアロ−GM1に対して最も大きく 、続いてフォスマン糖脂質又はグロボシドに対して1/10少なかった。単糖へ の粘着は、複合糖質の約1/100であった。 検討 肺炎球菌の肺炎は、肺胞上皮に密接に並んでいる細菌の出現を特徴とする。肺 炎球菌の混合肺細胞(主にI型肺胞細胞)及び精製II型細胞への付着能に基づ いて、S. ニューモニエがII型肺細胞(LC)に優先的に付着すると考えられる 。これにより、A549II型LC系が罹患した肺における肺炎球菌付着の有効 なモデルとして役に立つことが示された。II型LC系への試験管内粘着分析を 用いて、本相互作用の機序の数種の態様が解明された。LCの培養物への肺炎球 菌結合は用量依存性であり、迅速であり、細菌が代謝的に活性であることを必要 とせずかつ数種類の莢膜の存在によって影響されなかった。これらの知見は、全 てヒト静脈内皮細胞への肺炎球菌付着の以前の実験と一致しており(Geelenら, 1993,Infect.Immun.61:1538)、2種類の細胞への粘着方法における類似性を 示している。肺炎球菌と内皮細胞間の相互作用は、2つの別個の機序を含むこと を示した:〜60%の細菌粘着は細胞壁依存性機序によって仲介され、残りの4 0%はタンパク質仲介である(Geelenら,1993,Infect,Immun.61:1538)。 本実験は、ECのように、LCへの肺炎球菌付着の約1/2が細胞壁依存性機序 を含むことを示す。いずれの場合にも粘着に重要な肺炎球菌テイコ酸についてホ スホリルコリン決定因子がない。 多くの古典的な粘膜病原体のように、肺炎球菌は、複合糖質を認識及び付着す ることができる(Anderssonら,1983,J.Exp.Med.158:559; Krivanら,1988, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:6157)。ツニカマイシンによるLC及びEC細 胞表面グリコシル化の阻害が肺炎球菌粘着を著しく低下させるという知見は、真 核細胞の組合わせにおいて糖質結合の潜在的適切さを示している。本実施例は、 肺炎球菌と相互作用する培養LC及びEC上の複合糖質レセプターの糖質特異性 を開示している。LC及びECの双方は、最小単位が二糖GalNAcβ1−4 Gal又はGalNAcβ1−3Galに結合したマンノースからなる2種類の 別個の複合糖質含有レセプターを有することを数種の証明系統が示している。レ セプターに似せた糖質(肺炎球菌と前インキュベートした場合に粘着阻止能によ って示されるように)としては、マンノース、N−アセチル−D−ガラクトサミ ン(GalNAc)、ガラクトース(Gal;ECのみ)、アシアロ−GM1、 アシアロ−GM2、フォルスマン糖脂質及びグロボシドが挙げられる。肺炎球菌 は、また、マイクロタイタープレート上に固定化された場合にこれらの糖質に非 常に少しであるが全くしないのではなく及び試験した糖質に直接結合することが できた。 最も重要なことには、粘着細菌をもった培養LC及びECをGalNAc、マ ンノース、アシアロ−GM2又はグロボシドとインキュベートすると、粘着肺炎 球菌の溶離を生じた。アシアロ−GM2とグロボシドの組合わせは、いずれかの 複合糖質を単独で用いた場合よりLC及びECの双方に対して顕著に大きな抗粘 着作用を生じた。これにより、これらの複合糖質が独立したレセプターを定義し たことが示された。更に、精製肺炎球菌細胞壁の抗粘着作用は、両方の種類の細 胞においてアシアロ−GM2と加成的でないがブロボシドと加成的であった。E C及びLCへの肺炎球菌粘着は、細菌細胞壁依存性及び非依存性(タンパク質) 機序を含んでいる。本実験の結果から、アシアロ−GM2特異性が細胞壁成分及 びグロボシド、タンパク質成分を特異的に認識することが示される。 2つの肺炎球菌レセプター特異性は、明白に異なる立体化学的構造で結合した 同一のサッカリド置換基からなるものであった:Galにβ1−4又はβ1−3 結合のいずれかで結合したGalNAc(図5)。2つのβ1−4GalNAc −Gal結合糖質の組合わせ、アシアロ−GM1とアシアロ−GM2は、いずれ かを単独で用いたものより抗粘着活性が大きくなかった。これは、2つのβ1− 3GalNAc−Gal結合糖質、フォルスマン糖脂質とグロボシドについても 言えた。しかしながら、この2種類を交差して組合わせると、粘着が消失した。 従って、これらの2組の複合糖質は、2種類の別個のレセプターを定義すると考 えられる(図5、A及びB)。各々のバックボーンの最小レセプター単位は、抗 粘着作用のコア構造及び置換変異形を試験することにより更に定義された。コア ラクトシルセラミド(Gal4Glc−1−1Cer)及び逆方向二糖2−AD GG(Galβ1−3GalNAc)は両方の種類の細胞に不活性であり、Ga lはECでは最小限でのみ活性であった。アシアロ−GM1の許容置換は見出さ れなかった(末端Gal又は内部シアル酸の付加は活性を低下させた)ので、こ のレセプターの最小活性単位はGalNAcβ1−4Galとして定義された (図5A)。同様の分析から、LCについてECに比べて許容置換パターンの多 い第2最小レセプター単位としてのGalNAcβ1−3Gal構造が示された (図5B)。末端GalNAc8,1al,4結合のGalNAcβ1−3Galへ の付加は、LCのレセプター活性を増大したが、ECにおいてはその効能を低下 させた。これにより、これら2種類の細胞についてレセプター構造間に微妙な差 が存在することが示される。 細菌の内部及び末端糖配列双方の認識能は以前に記載されている(Krivanら, 1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:6157; Karlssen,1989,Annu.Rev.Bio chem.58:309)。マンノースは、糖タンパク質のN結合サッカリドのコアによく 存在し、その知見から本実験で同定された各レセプターにおけるマンノースの予 想された存在が説明される。マンノースは、GalNAc、GalNAcβ1− 4Gal−或いはGalNAcβ1−3Gal含有糖質と組合わせて用いた場合 に加成的でなく、LC及びEC上の肺炎球菌レセプターの双方に存在することが 示された。多数のマンノース結合細菌は、(Gbarahら,1993,Infect.Immun.61 :1687)に記載されている。マンノースが高等動物の糖脂質に検出されなかったの で、マンノースを結合する細菌が糖タンパク質を選択的に認識することができる ことが示された(Karlssen,1989,Annu.Rev.Biochem.58:309)。 Krivanら(Krivanら,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:6157)と一致し て、本実験から、肺炎球菌がアシアロ−GM1及びアシアロ−GM2のような配 列GalNAcβ1−4Galを含む固定化複合糖質に特異的に付着することが できかつその配列のシアリル化が結合を減じることが証明される。本実験は、更 に、本構造が肺炎球菌細胞壁決定因子のLC及びEC上の最小レセプターとして 機能することを示している。これらの糖脂質のうちのアシアロ−GM1は、ヒト 肺上皮細胞上に存在することが示された(上記、Krivanら)。GalNAcβ1 −4Gal配列を含むシアリル化糖タンパク質もまた、多くの分泌物に存在し、 シアル酸が切断される場合に細菌を結合することができる(上記、Krivanら)。 インフルエンザウイルスと関連があるノイラミニダーゼ活性は、試験管内で肺炎 球菌の気道への粘着を増進させることができることが示された(Plotowski,1986 ,Am.Rev.Respir.Dis.134:1040)。Anderssonら(Anderssonら,1983,J.Exp . Med.158:559)による実験は、ヒト鼻咽腔細胞を用いて最小配列のGlcNAc β1−3Galを有する肺炎球菌レセプターを同定した。 その構造は、血液型抗原を含む多数の糖脂質及び糖タンパク質のサッカリド鎖 に存在する(Hakamori,1981,Semin.Hematol.18:39)。我々の実験においては 、単糖GlcNAcはEC及びLCに対する抗粘着活性をもたないが、肺炎球菌 はマイクロタイタープレート上に固定化されたGlcNAcに直接結合すること ができた。即ち、そのレセプター特異性は、鼻咽腔において役割を果たすことが でき肺におけるものと異なる。 本実験は、肺炎球菌粘着に対する新規なレセプター特異性を同定した:#Gal NAcβ1−3Galは、LC及びEC双方への〜50%の粘着に関与し、肺炎 球菌表面上の細胞壁と独立した構造と相互作用すると思われた。Krivanら(Kriva n ら,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:6157)は、肺炎球菌のフォルスマ ン糖脂質又はグロボシドを含むβ1−3糖質で被覆した表面への結合を検出でき なかった。 その不一致は、結合を検出するアシアロ−GM2より10倍大きいグロボシド 濃度を必要とすることから生じるものであった。肺炎球菌をLC及びECから溶 離するためにGalNAcβ1−3Gal及びGalNAcβ1−4Galの双 方を含有する複合糖質を必要としたので、両レセプターは生理的に適切であると 考えられる。これにより、細菌粘着に対する宿主複合糖質レセプターの相対する 寄与を求めるために生細胞を使用するという重要性が強調される。更に、肺炎球 菌の下部気道からのクリアランスを促進するためにサッカリドを治療上適用する と、β1−4及びβ1−3GalNAc−Galレセプター双方との相互作用が 中断される。実施例:活性化細胞への粘着の特異性 上述したように、肺炎球菌感染の過程で、肺炎球菌は鼻咽腔細胞、次に、肺上 皮細胞(肺炎をまねく)又は内皮細胞(菌血症、敗血症及び髄膜炎をまねく)と 連続的に相互作用する。静止上皮細胞及び内皮細胞は、肺炎球菌を結合するのに 特異的なサッカリド群を有する2種類の糖タンパク質を有する:GalNAcβ 1−3Gal及びGalNAcβ1−4Gal。 肺炎球菌感染は、腫瘍壊死因子(TNF)及びインターロイキン−1(IL− 1)を含む炎症性サイトカインの放出と関連がある。ヒト静脈内皮細胞及びII 型肺細胞のサイトカイン活性化は、肺炎球菌粘着の著しい促進をもたらした。T NF又はIL−1活性化細胞において、新規なサッカリド特異性はN−アセチル −D−グルコサミン(GlnNAc)と考えられる(図6参照)。GlnNAc 結合活性は、GalNAcβ1−3Gal糖タンパク質細胞集団と関連がある( 図7参照)。 単糖類(1〜50mM)又は複合糖質(0.003〜2mM)存在下に行われた競 合分析を用いて、サイトカイン刺激EC及びLCへの肺炎球菌粘着に対する糖質 認識の寄与を試験した。細菌を、最終濃度の記述した糖質と室温で15分間前イ ンキュベートし、遠心(3,000 rpm、3分)して非結合糖質を除去し、アル ブミンバッファーに1×107cfu/mlまで再懸濁し、粘着分析に加えた。単一糖 質(Tuomanenら,J.Exp.Med.168:267)の粘着阻止能と比較すると、GalNA c及びD−マンノースは静止細胞で有効であり、GlnNAcは活性化細胞で有 効になったことが示された(図4)。 静止EC及びLCは、マンノースコア上にGalNAcβ1−4Gal又はG alNAcβ1−3Galを含む2種類の肺炎球菌レセプターを発現する。これ ら2つのレセプター特異性は、β1−4レセプターについては複合糖質アシアロ −GM2及びβ1−3レセプターについてはグロボシドの阻止活性によって最も よく定義される。EC及びLCのサイトカイン刺激は、多数のこれらの双方の静 止細胞レセプター及び新規なGlnNAc特異性の出現をもたらした。その後者 の特異性は、インヒビターが加成的であるのでGalNAcβ1−4Galと独 立しており、GlnNAcは、インヒビターが加成的でないのでGalNAcβ 1−3Galレセプター集団に関係した(図5)。糖質の作用が加成的でない場 合には、同じレセプターか又は結合したレセプターを占有すると考えられた;加 成的である場合には、別個のレセプターに存在すると解釈された。 本発明は、その真意又は本質的な特徴から逸脱することなく他の形で具体化さ れ、他の方法でも行われる。従って、本開示は全ての点で例示であり限定するも のとしてみなされるべきでなく、本発明の範囲は下記の請求の範囲によって示さ れ、等価の意味及び範囲内に入る変化は全てその中に包含されるものである。 種々の参考文献が本明細書全体に引用されており、各々を参考として本明細書 に全て引用する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07H 13/06 C07H 15/04 E 15/04 G01N 33/566 G01N 33/566 33/569 F 33/569 A61K 9/14 U (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G B,HU,IS,JP,KP,KR,KZ,LK,LU ,LV,MG,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SK,TM,U A,UG,UZ,VN (72)発明者 カンデル ダイアナ アール アメリカ合衆国 ニューヨーク州 10021 ニューヨーク イースト シックスティ サード ストリート 430 アパートメン ト 5ケイ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.粘着ストレプトコッカス・ニューモニエの宿主細胞からの溶離を誘導するの に有効な量の二糖N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−3Galモチーフを 含む糖質及び薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物。 2.粘着S. ニューモニエの宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な量の二糖N −アセチル−D−ガラクトサミンβ1−4Galモチーフを含む第2糖質を更に 含む請求項1記載の医薬組成物。 3.粘着S. ニューモニエの宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な量のN−ア セチル−D−ガラクトサミンモチーフを含む第3糖質を更に含む請求項1記載の 医薬組成物。 4.粘着S. ニューモニエの宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な量のN−ア セチル−D−グルコサミンモチーフを含む第3糖質を更に含む請求項2記載の医 薬組成物。 5.該糖質が、フォルスマン糖脂質及びグロボシドからなる群より選ばれる請求 項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。 6.該第2糖質が、アシアロ−GM1及びアシアロ−GM2からなる群より選ば れる請求項2又は4記載の医薬組成物。 7.該第3糖質がN−アセチル−D−グルコサミンである請求項3又は4記載の 医薬組成物。 8.S. ニューモニエの宿主細胞への結合を阻害するのに有効な量のマンノース、 N−アセチル−ガラクトース、マンノース−D−マンノース及びメチル−α−D −マンノピラノシドからなる群より選ばれた糖質を更に含む請求項1〜4のいず れか1項に記載の医薬組成物。 9.1種又は複数種の該糖質が多価性である請求項1〜4のいずれか1項に記載 の医薬組成物。 10.該医薬組成物が、分散媒を含むエアゾル剤である請求項1〜4のいずれか1 項に記載の医薬組成物。 11.該分散媒が界面活性剤である請求項10記載の医薬組成物。 12.1種又は複数種の該糖質が微細な粉末で存在する乾燥粉末エアゾル剤である 請求項10記載の医薬組成物。 13.充填剤を更に含む請求項12記載の医薬組成物。 14.薬学的に許容しうる希釈剤を更に含む液体エアゾル剤である請求項10記載の 医薬組成物。 15.該希釈剤が、滅菌水、食塩水、緩衝化食塩水及びデキストロース溶液からな る群より選ばれる請求項14記載の医薬組成物。 16.該宿主細胞が、肺上皮細胞及び血管内皮細胞からなる群より選ばれる請求項 1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。 17.S. ニューモニエによる感染症の予防又は治療方法であって、粘着S. ニューモ ニエ の宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な量の二糖N−アセチル−D−ガ ラクトサミンβ1−3Galモチーフを含む糖質をかかる治療を必要としている と思われる患者に投与することを特徴とする方法。 18.粘着S. ニューモニエの宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な量の二糖N −アセチル-D−ガラクトサミンβ1−4Galモチーフを含む第2糖質を更に 投与することを特徴とする請求項17記載の方法。 19.粘着S. ニューモニエの宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な量のN−ア セチル−D−ガラクトサミンモチーフを含む第3糖質を更に投与することを特徴 とする請求項17記載の方法。 20.粘着S. ニューモニエの宿主細胞からの溶離を誘導するのに有効な量のN−ア セチル−D−グルコサミンモチーフを含む第3糖質を更に投与することを特徴と する請求項17記載の方法。 21.該糖質が、フォルスマン糖脂質及びグロボシドからなる群より選ばれる請求 項17〜20のいずれか1項に記載の方法。 22.該第2糖質が、アシアロ−GM1及びアシアロ−GM2からなる群より選ば れる請求項18又は20記載の方法。 23.該第3糖質がN−アセチル−D−グルコサミンである請求項19又は20記載の 方法。 24.S. ニューモニエの宿主細胞への結合を阻害するのに有効な量のマンノース、 N−アセチル−ガラクトース、マンノース−D−マンノース及びメチル−α− D−マンノピラノシドからなる群より選ばれた糖質を更に投与することを特徴と する請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法。 25.1種又は複数種の該糖質が多価性である請求項17〜20のいずれか1項に記載 の方法。 26.該投与が1種又は複数種の糖質を噴霧及び吸入することを特徴とする請求項 17〜20のいずれか1項に記載の方法。 27.該噴霧が微粒化することである請求項26記載の方法。 28.該投与が1種又は複数種の糖質を静脈内に注入することを特徴とする請求項 17〜20のいずれか1項に記載の方法。 29.患者からの試料においてS. ニューモニエの存在を検出する方法であって、二 糖N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−3Galモチーフを含む糖質の細菌 への結合を検出することを特徴とする方法。 30.二糖N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−4Galモチーフを含む第2 糖質の細菌への結合を更に検出することを特徴とする請求項29記載の方法。 31.N−アセチル−D−グルコサミンモチーフを含む第3糖質の細菌への結合を 更に検出することを特徴とする請求項29記載の方法。 32.N−アセチル−D−グルコサミンモチーフを含む第3糖質の細菌への結合を 更に検出することを特徴とする請求項30記載の方法。 33.該糖質が、フォルスマン糖脂質及びグロボシドからなる群より選ばれる請求 項29〜32のいずれか1項に記載の方法。 34.該第2糖質が、アシアロ−GM1及びアシアロ−GM2からなる群より選ば れる請求項30又は32記載の方法。 35.第3糖質がN−アセチル−D−グルコサミンである請求項31又は32記載の方 法。 36.1種又は複数種の該糖質が多価性である請求項29〜32のいずれか1項に記載 の方法。 37.少なくとも1種の糖質が検出可能に標識される請求項29〜32のいずれか1項 に記載の方法。 38.少なくとも1種の糖質が固相支持体に結合される請求項29〜32のいずれか1 項に記載の方法。 39.下記の成分を含む患者からの試料においてS. ニューモニエの存在を検出する ためのキット。 (a)二糖N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−3Galモチーフを含 む糖質;及び (b)該患者からの試料において該糖質の細菌への結合を検出するための手 段。 40.下記の成分を更に含む請求項39記載のキット。 (c)二糖N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−4Galモチーフを含 む第2糖質;及び (d)第2糖質の該細菌への結合を検出するための手段。 41.下記の成分を更に含む請求項39記載のキット。 (e)二糖N−アセチル−D−グルコサミンモチーフを含む第3糖質;及び (f)第3糖質の該細菌への結合を検出するための手段。 42.下記の成分を更に含む請求項40記載のキット。 (e)二糖N−アセチル−D−グルコサミンモチーフを含む第3糖質;及び (f)該第3糖質の該細菌への結合を検出するための手段。 43.少なくとも1種の糖質が検出可能に標識される請求項39〜42記載のいずれか 1項に記載のキット。 44.少なくとも1種の糖質が固相支持体に結合される請求項39〜42記載のいずれ か1項に記載のキット。
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