【発明の詳細な説明】
新規両親媒性グラフトコポリマー、その製造、その組成物、及びその使用方法
米国特許第 3,400,093号に示されているように、水不溶性有機農薬を水をベー
スとする系に混入させる公知の方法は、農薬が沈澱しかつこの系に均一に分散し
ない傾向があるため不十分であった。さらにこの特許は、農薬の存在下における
ビニルタイプモノマーの乳化重合を用いることによるこの問題の解決を開示して
いる。しかしながら、ある種の農薬、例えばクロールピリフォス(chlorpyrifos)
及びクロールピリフォスメチル、は長時間重合温度に加熱すると加水分解する傾
向にあり、従ってこの重合形態で用いることができない。さらに、モノマー中の
農薬の存在はある程度重合に影響を与え、例えば重合速度、製造されるポリマー
の転化率及び/又は分子量に影響を与える。
米国特許第 4,303,642号は、ポリマー粒子が0.03〜20ミクロンの大きさである
ラテックスに農薬を加えることによって上記問題が克服されることを教示してい
る。農薬の効率向上が示されるが、土壌を通しての農薬の最適な安定性及び移行
性は得られない。
米国特許第 4,512,969号は、充填可能なポリマー粒子から本質的になる、平均
直径が0.02〜0.2 ミクロンである充填されたラテックス粒子を含む組成物を開示
している。疎水性殺虫剤、除草剤、殺ダニ剤、ホルモン、ビタミン、もしくは酵
素がラテックス粒子に充填されかつ分散される。充填可能なポリマー粒子に対す
る疎水性化合物の重量比は1:40〜3:1である。
米国特許第 5,188,824号は、水不溶性有機農薬の水希釈性エマル
ジョン濃厚物であって、非イオン性粒子コアからなる水をベースとする構造化粒
子ラテックスと水不溶性有機農薬の混合物を含み、前記非イオン性粒子コアには
ポリマーコアの表面もしくはその近傍では、化学的に結合した、安定化する、p
Hとは無関係なイオン性基を含む安定化層が結合しており、農薬が構造化粒子ラ
テックスの粒子に対し1:50〜10:1の重量比で存在している濃厚物の製造を開
示している。
米国特許第 5,089,259号は、(1)水不溶性有機農薬、(2)ポリマー粒子の粒子表
面もしくはその近傍において化学的に結合した安定化する、pHとは無関係なイ
オン性基を含む層が結合している非イオン性粒子を含む構造化粒子ラテックス、
及び(3)所望により、農薬用の補助溶媒及び/又は補助界面活性剤、の混合物よ
り形成された水不溶性有機農薬の安定な水溶性エマルジョン組成物の製造及び使
用を開示している。この組成物は、カルボキシルもしくはスルホネート基を含む
従来のラテックス粒子により安定化されたエマルジョンよりも凝集及び凍結融解
条件に対し安定である。
1986年8月10〜15日にカナダのオタワで開催された農薬化学の第6回国際会議
(the Sixth International Congress of Pesticide Chemistry)に提出された論
文Novel Trends in Dispersants においてRogiers とBongoio は、ポリエチレン
オキシドがグラフトしたポリメチルメタクリレートーポリメタクリル酸主鎖コポ
リマーのグラフト安定剤によるエチリンコール(Ethirincol)懸濁濃厚物の安定化
について報告した。
土壌農薬は通常機械的に土壌に混入され又は土壌の表面に散布され降雨により
土壌中に浸透される。いずれにしても、農薬は使用部位で固定されるため正しく
機能できないであろう。これは確かに大きな疎水性分子についてはそのとおりで
あり、キャリヤー自身が大
きな疎水性分子である場合にはこの問題はさらに大きくなる。
従来の組成物においては、界面活性剤が粒子表面に吸着され、そして水相及び
土壌の表面と平衡する。表面積がとても大きいため、土壌は界面活性剤濃度が低
い無限大の水溜として機能する傾向にあり、当初は農薬粒子上に存在していた界
面活性剤の多くは土壌に移動し、その結果、農薬粒子が土壌に付着もしくは凝集
し、それによって土壌を通って移動する能力を失う。
疎水性ポリマーがグラフトするグラフトサイトを含む親水性主鎖ポリマーを有
する種ラテックスを形成するための、イオン性の、pHとは無関係の親水性反応
性ポリマー界面活性剤(RPS)の存在下における疎水性モノマーの乳化重合は
知られており、例えば米国特許第 4,337,185号及び 4,427,819号に記載されてい
る。
これらの種ポリマーからの構造化粒子ラテックスの製造方法の1つにおいて、
追加量のビニルモノマーが加えられ、種の粒子の大きさを成長させ、所望の電荷
密度を達成するために乳化重合される。しかしながら、種ラテックスを成長する
粒子表面における安定化層として機能させるために、高分子親水性/グラフトし
た疎水性組成物は実質的に未架橋でなければならず、すなわち、ミクロゲルであ
ってはならない。これは、構造化粒子ラテックスを形成するための成長工程の間
及び水溶性RPS組成物の重合工程において開始剤及び連鎖移動剤を制御するこ
とによって達成される。
水不溶性有機農薬の非水性乳化性濃厚物組成物は、欧州特許出願EP 0357149A2
に記載のように、これらの高電荷水性ポリマーコロイド及び農薬を含む油相によ
り製造され、必要により、農薬用の疎水性希釈剤、非イオン性界面活性剤、及び
補助界面活性剤を用いてよい。そのような濃厚物はグラフトコポリマーの水性分
散液より製造され、水分含量によって水をベースとするかオイルをベースとする
かのいずれかとなる。希釈性乳化性濃厚物(EC)を形成するために適当なポリマー
レベルを混入する場合、水除去工程が必要である。水をベースとする及びオイル
をベースとする組成物からの水希釈は2000オングストローム(Å)以上の粒度を
有する水中油形エマルジョンを与える。
ランダムコポリマーの溶解度はその成分の相対比によって変わることが知られ
ている。しかしながら、グラフトコポリマーの溶解度はしばしばとても高く、2
つの成分が大きく異なった極性を有する場合は著しい。グラフトコポリマーの分
子構造はその溶解性に影響を与える。以下の2つの文献において記載されている
グラフトコポリマーは、水中に乳化された水不溶性有機材料の有効な安定化能を
示している。
Yoshiki Chujo らは、Polymer Journal,Vol.17,No.1,p.133-141(1985)に
おいて、マクロモノマー法による「くし形」両親媒性グラフトコポリマーの製造
及び水不溶性有機材料によるその溶解度挙動を記載している。2種のグラフトコ
ポリマーが製造されており、1つは疎水性ポリ(メチルメタクリレート)がグラ
フトした側鎖セグメントを有する親水性イオン性主鎖(ケース(1))であり、も
う1つは親水性イオンがグラフトしたセグメントを有する疎水性ポリ(メチルメ
タクリレート)主鎖(ケース(2))である。この両方とも混合アセトン−水媒体
に水不溶性有機材料(例として用いられているジベンジル)を溶解することがで
きる。疎水性主鎖及び親水性イオン性側鎖を有するグラフトコポリマー(ケース
(2))はケース(1)の系よりも、水がリッチな媒体中でより硬質なミセルを形成す
る。ケース(1)のタイプのミセルは薄い安定化表面を有する大きな疎水性コアを
有しており、一方ケース(2)のミセルはこの逆であり、大きなもしくは厚い安定
化表面を有する小さな疎水性コアを有するミセルで
ある。
AGRIMER(商標)AL製品(International Specialty Products,marketers of GAF
Reg.TM 製品)はビニルピロリドンとα−オレフィンのグラフトコポリマー(
アルキル化付加物)である。この「くし形」コポリマーのHLBは、アルキル基
の鎖長及びアルキル化度によって4〜20となる。これらの低分子量コポリマーは
、ポリマーHLBによって水、アルコール、鉱油、植物油、及びアルキル芳香族
による溶解度が異なる。さらに、これらの製品はオイルをベースとする流動物及
び懸濁濃厚物に対する凝集防止剤並びに水中油形エマルジョン用の安定剤として
有効である。
水不溶性材料、特に水不溶性有機材料の希釈性濃厚物の適用効率及び安定性を
改良するために従来有効であったものよりも小さな、約5000Å未満の粒子を形成
する実質的に非水性の乳化性濃厚物組成物を提供することが望ましい。
本発明は、ポリマー1gに対し0.5 〜1.5 ミリ当量(meq)の電荷密度を有しか
つ5,000 〜250,000 の分子量を有し、少なくとも2種の疎水性モノマー(このう
ち少なくとも1種はpHと無関係のイオン性基を含む少なくとも1種の親水性モ
ノマーより製造された親水性ポリマーがグラフトしたグラフトサイトを含むもの
である)より製造された主鎖疎水性ポリマーからなる新規両親媒性グラフトコポ
リマーを提供する。
本発明はさらに、5,000 〜250,000 の分子量を有し、少なくとも2種の疎水性
モノマー(このうち少なくとも1種は安定化するpHと無関係のイオン性基を含
む少なくとも1種の親水性モノマーより製造された親水性ポリマーがグラフトし
たグラフトサイトを含むものである)を含む両親媒性グラフトコポリマーと非イ
オン性界面活性剤の溶液である安定な実質的に非水性の組成物(これが含む水は
15重量パーセント未満である)を提供する。
本発明はまた、少なくとも2種の疎水性モノマーより製造され、安定化するp
Hと無関係のイオン性基を含む少なくとも1種の親水性モノマーより製造された
親水性ポリマーがグラフトしたグラフトサイトを含む疎水性主鎖ポリマーを含む
両親媒性グラフトコポリマー、水不溶性有機農薬、及び非イオン性界面活性剤を
含み、水に希釈されると粒度が5000Å未満である水中油形エマルジョンを形成す
る、沈降せずかつ凍結−融解に対し安定な、水を15パーセント未満含む、希釈可
能な実質的に非水性の濃厚物組成物を提供する。粒度が1500Å未満であるとても
安定な水中油形エマルジョンを製造することも本発明の範囲内である。
さらに他の態様において、本発明は、(1)水不溶性有機農薬材料、(2)必要によ
り、水不溶性有機農薬材料用の有機溶媒、(3)モノマー非イオン性界面活性剤、(
4)少なくとも2種の両親媒性モノマーより製造され、安定化するpHと無関係の
イオン性基を含む少なくとも1種の親水性モノマーより製造された親水性ポリマ
ーがグラフトした少なくとも1つのグラフトサイトを含む主鎖ポリマーからなる
両親媒性グラフトコポリマー、(5)10パーセント未満の水、及び(6)中和剤、色遮
蔽剤、臭気遮蔽剤、凍結−融解剤、熱凝集剤、及び脱泡剤からなる群からの添加
剤、を含む安定な水希釈可能な実質的に非水性の組成物を提供する。
他の態様において、本発明は、(1)水不溶性有機農薬材料、(2)低蒸気圧不活性
可塑剤/オリゴマー又は低蒸気圧不活性可塑剤/オリゴマーと高蒸気圧溶媒の混
合物、(3)モノマー非イオン性界面活性剤、(4)上記の両親媒性グラフトコポリマ
ー、(5)10パーセント未満の水、及び(6)上記の添加剤、を含む安定な水希釈可能
な実質的に非水性の組成物を提供する。この組成物は、耕すことの少ないもしく
は耕さ
ずに粒子を用いる処理状況において有効である。
さらに、本発明は、種々の有害生物を駆除もしくは制御するために、水で希釈
した上記希釈可能な実質的に非水性の組成物の使用方法を提供する。本発明はま
た、農業上の有害生物もしくはその成育環境を有効量の上記組成物の水希釈物と
接触させることを含む、この有害生物を駆除もしくは制御する方法を提供する。
この両親媒性グラフトコポリマーは、遊離基重合法を用い、反応媒体中で、少
なくとも2種の疎水性モノマー及び少なくとも1種の親水性モノマー(この疎水
性モノマーの少なくとも1種はグラフト可能なモノマーであり、親水性モノマー
は少なくとも1種のアニオン及び/又はカチオン官能基、又はpHと無関係なイ
オン性誘導体に転化できる後反応性非イオン性モノマーを含む)を用い、こうし
て製造された15重量パーセント未満の水を含む溶液中の両親媒性グラフトコポリ
マーを回収することにより製造される。
本発明の方法は、1gあたり0.5 〜1.5meqの電荷密度を有する両親媒性グラフ
トコポリマーを提供する。このコポリマーの分子量は250,000 未満、好ましくは
約50,000未満、最も好ましくは約35,000未満であり、約5,000 より大きい。
最初に重合媒体に疎水性モノマーを加え、親水性モノマーを加える前にその重
合を開始することが重要である。この方法において反応体の添加順序を逆にする
と、すなわち、親水性主鎖と疎水性グラフトのコポリマーを製造すると、使用で
きないゲルが得られる。このゲル生成物は、架橋していてもよいとしても、容易
に配合することができない、すなわち、不均一な組成物となるであろう。このゲ
ルを用いて製造した組成物は沈降し、本発明のもののような凍結−融解安定では
ない。
本明細書及び請求の範囲において、「安定」、「凍結−融解安定
」は、組成物が相分離されず、以下に示す凍結−融解試験に合格することを示し
ている。
本明細書及び請求の範囲において、「熱凝集」は、変化する温度条件において
貯蔵する間に相分離しないことを示している。
さらに、安全性及び通常の取扱いのためのそのような希釈可能な実質的に非水
性の組成物を封入する方法も提供される。この方法は、前記希釈可能な実質的に
非水性の組成物をバッグに封入する(この容器の壁は水性媒体に可溶である高分
子フィルムである)ことにより、農薬の使用を容易にする形態の組成物を製造す
ることを提供する。このバッグをタンク内の水性媒体に加えると、このバッグは
溶解し、濃厚な組成物が混合し、すぐに使用することのできる希釈された組成物
を形成する。
本発明は、少なくとも2種の疎水性モノマー(このうち少なくとも1種は、p
Hと無関係なイオン性基を含む少なくとも1種の親水性モノマーより製造された
親水性ポリマーがグラフトしたグラフトサイトを含む)より製造された主鎖疎水
性ポリマーからなる両親媒性グラフトコポリマーを提供する。
この両親媒性グラフトコポリマーは、少なくとも2種の疎水性モノマー及び少
なくとも1種の親水性モノマー(この疎水性モノマーの少なくとも1種はグラフ
ト可能なモノマーであり、親水性モノマーは少なくとも1種のアニオン及び/又
はカチオン官能基、又はpHと無関係なイオン性誘導体に転化することのできる
後反応性非イオン性モノマーを含む)を反応媒体に加え、前記モノマーを遊離基
重合し、そしてこうして製造された両親媒性グラフトコポリマーを水を15重量パ
ーセント未満含む溶液に回収することにより製造される。
この両親媒性グラフトコポリマーはまた、少なくとも2種の疎水
性モノマー(このモノマーの少なくとも1種はグラフト可能なモノマーでありか
つ親水性モノマーであり、少なくとも1種のアニオン及び/又はカチオンモノマ
ー、又はpHに無関係なイオン性誘導体に転化することのできる後反応性非イオ
ン性モノマーを含む)を反応媒体に同時に加え、このモノマーを遊離基重合し、
15重量パーセント未満の水を含む溶液中のこうして製造された両親媒性グラフト
コポリマーを回収することを含む方法を用いて製造される。
さらにこの両親媒性グラフトコポリマーは、少なくとも2種の疎水性モノマー
(このモノマーの少なくとも1種はグラフト可能なモノマーである)の反応媒体
への添加を開始し、次いで少なくとも1種のアニオン及び/又はカチオンモノマ
ー、又はpHに無関係なイオン性誘導体に転化することのできる後反応性非イオ
ン性モノマーを含む親水性モノマーの添加を開始し、前記モノマーを遊離基重合
し、そして15重量パーセント未満の水を含む溶液中のこうして製造された両親媒
性グラフトコポリマーを回収することを含む方法を用いて製造される。
両親媒性グラフトコポリマー組成物は、第一段階において、脂肪族、芳香族、
及びグラフト可能なタイプを含む少なくとも2種の疎水性モノマー、非イオン性
界面活性剤及び/又は溶液重合に適した有機溶媒を含む溶液を遊離基重合し、次
いで第二段階において、遊離基重合条件で、前記第一段階重合生成物混合物の存
在下において少なくとも1種のアニオン及び/又はカチオンモノマー、又はpH
に無関係なイオン性誘導体に転化することのできる後反応性非イオン性モノマー
を含む親水性モノマーを共重合し、そして15重量パーセント未満の水を含むこう
して製造されたコポリマー生成物溶液を回収することにより製造される。
本明細書及び請求の範囲において、「両親媒性」は、同じ分子内
に疎水性部分と親水性部分の両者を有するコポリマーを示す。この用語の使用及
びその定義は、Irja Piirma のPolymeric Surfactants,Surfactant Science Se
ries Vol.42,p.18,1992に教示されている。
本発明の両親媒性グラフトコポリマーを製造するための遊離基重合反応は、少
なくとも2種の疎水性モノマー及び少なくとも1種の親水性モノマーを70〜110
℃もしくはそれ以上の温度において、窒素の不活性雰囲気で反応媒体に加えるこ
とにより行われる。この操作において、反応体を同時に加えてもよく、又は疎水
性モノマーの部分反応後に反応混合物に親水性モノマーを加え、反応が終了する
まで重合反応を続けてもよい。この反応は通常2〜8時間、もしくはそれ以上で
終了する。
本発明の両親媒性グラフトコポリマーの製造に用いられる重合反応は、好まし
くは、第一段階において従来の溶液重合反応条件を用いる2段階で行われ、この
反応は窒素の不活性雰囲気において70〜110 ℃の温度で行われる。この反応は2
〜6時間もしくはそれ以上で終了する。この第一段階の生成物は通常分離されず
、精製することなく第二段階で用いられる。第二段階は70〜110 ℃で行われ、こ
の反応は2〜6時間もしくはそれ以上で終了する。
重合反応終了後、反応混合物を冷却し、こうして製造された両親媒性グラフト
コポリマー生成物を精製することなく用いてよく、又はこの生成物を水蒸気及び
/又は真空蒸留による従来の処理により精製し、残留揮発物を除去してもよい。
本発明の疎水性/親水性両親媒性グラフトコポリマーの好ましい製造方法は、
グラフト可能なコモノマーを含む少なくとも2種の疎水性モノマーを溶液/遊離
基重合し、次いでこうして形成されたポリマーを限られた量の水を含む非イオン
性界面活性剤媒体及び/又
は溶媒中で親水性モノマーと溶液/遊離基共重合することである。
疎水性モノマー反応体及び親水性モノマー反応体は、反応媒体中に1:1〜10
:1、好ましくは3:1〜10:1の親水性モノマーに対する疎水性モノマーの重
量比で存在する。
本発明において有効な疎水性エチレン系不飽和モノマーは、あらゆる共重合性
のエチレン系不飽和モノマーより得られ、これは非晶質ホモポリマーの形態の場
合、0.1 パーセント未満の水への溶解度を有する。
疎水性モノマーの例は、炭化水素モノマー、例えばスチレン系化合物、例えば
スチレン、αメチルスチレン、環置換メチルスチレン、環置換エチルスチレン、
環置換ジメチルスチレン、環置換ジメチルスチレン及びt-ブチルスチレン、共役
ジエン類、例えばブタジエン及びイソプレン、非イオン性置換基を有するように
改質された炭化水素モノマー、例えばヒドロキシスチレン、メトキシスチレン及
びシアノスチレン、不飽和アルコールエーテル、例えば酢酸ビニル及びプロピオ
ン酸ビニル、不飽和ケトン、例えばビニルメチルケトン及びメチルイソプロピル
ケトン、不飽和エーテル、例えばビニルエチルエーテル及びメチルエーテル、エ
チレン系不飽和カルボン酸の非イオン性誘導体、例えばメチルアクリレート、エ
チルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキ
シルアクリレート及びラウリルアクリレート、メタクリル酸エステル、例えばメ
チルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシル
メタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、及びラウリルメタクリレー
ト、メレイン酸エステル、例えばジメチルマレエート、ジエチルマレエート及び
ジブチルマレエート、フマル酸エステル、例えばジメチルフマレート、ジエチル
フマレート及びジブチルフマレート、及びイタコン酸エステル、例
えばジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート及びジブチルイタコネート、
及びニトリル類、例えばアクリロニトリル及びメタクリロニトリルを含む。好ま
しい疎水性モノマーはスチレン及び2-エチルヘキシルアクリレートである。
さらに、水溶性ホモポリマーを形成する非イオン性モノマー、例えばアクリル
アミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチ
ルメタクリレートを、疎水性モノマーの量に対し約10パーセントまでの少量で疎
水性モノマーと混合してもよい。
疎水性ポリマー主鎖もしくは側鎖のいずれかであるグラフト可能な反応性官能
基が少量(10重量パーセント未満)存在する。この反応性基について用いた「グ
ラフト可能」とは、反応性基がビニル重合を妨害せず又は基が後反応に有効では
ない水の存在下ですばやく反応する反応性基を意味する。この反応性官能基は第
二段階のビニル重合用の架橋もしくはグラフトサイトを与える。
種々のグラフト可能な反応性官能基を用いてよい。遊離基付加もしくは連鎖移
動反応をうける基を用いてよい。この基は、主鎖もしくは側鎖基の両方において
エチレン系不飽和を含む。縮合もしくはカップリング反応をうける基が好ましい
。エポキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びスルフィジル(−SH)基がこ
のタイプに属する。反応性官能基は、例えば共重合したブタジエンユニットのよ
うに疎水性ユニットの一部であってもよく、又は置換基であってもよい。反応性
基は疎水性ポリマー中に存在してもよく、又はその後の「後反応」によって付加
されてもよい。グラフト可能な官能基を与える好ましいモノマーはグリシジルメ
タクリレートである。
本発明において有効な親水性モノマーは、イオン性親水性ユニットを与える正
電荷及び負電荷物質(例えばスルホネート、スルフェ
ート、4級ホスホニウム基、4級アンモニウム基、ピリジニウム基、スルホニウ
ム基、イソチオウロニウム基)を含む種々のpHに無関係なイオン性モノマーを
含む。これらのモノマーはポリマー1gに対し0.5 〜1.5meqの量で存在してよい
。
上記親水性モノマーは、ホモポリマーの形態の場合に水溶性である、あらゆる
エチレン系不飽和のpHに無関係なイオン性モノマーユニット(すなわち、ポリ
マー鎖内の繰り返し単位)と規定される。これは、スルホアルキルアクリレート
及びメタクリレート、例えば3-アクリラトプロパンスルホン酸(3-acrylatopropa
nesulfonic acid)、2-メタクリラトエタンスルホン酸、2-メタクリラトプロパン
スルホン酸、2-スルホエチルメタクリレート、ナトリウムビニルスルホネート及
び2-ヒドロキシ-3- スルホプロピルメタクリレート、アクリル及びメタクリルア
ミドアルキルスルホン酸及びその塩、例えば2-アクリルアミドプロパンスルホン
酸、2-アクリルアミドブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-(4-トリル)エタ
ンスルホン酸、2-アクリルアミド-2- メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2-アク
リルアミド-2- メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2- フェニルエ
タンスルホン酸、2-アクリルアミド-2- フェニルプロパンスルホン酸、3-アクリ
ルアミド-2,3- ジメチルブタンスルホン酸及び3-アクリルアミド-2,4,4- トリメ
チルペンタンスルホン酸、スチレンスルホネート、例えばナトリウムスチレンス
ルホネート及び4-スチレンスルホン酸、ビニルスルホネート、例えばビニルスル
ホン酸、ビニル置換4級アンモニウム塩、例えばN,N,N-トリメチル−N−メタク
リルオキシエチルアンモニウムクロリド、N,N,N-トリメチル-N- メタクリルオキ
シ(2- ヒドロキシプロピル)アンモニウムクロリド、N-(3- スルホプロピル)-N-
メタクリルオキシ- エチル-N,N- ジメチルアンモニウムベタイン、ビニルベンジ
ルジアルキル
スルホニウム塩、例えばジメチルビニルベンジルスルホニウムクロリドを含む。
好ましいpHに無関係なイオン性モノマーはスルホネート又は4級アンモニウム
基を含む。
pHと無関係なモノマーの取扱いを促進するために水を少量加えてもよい。重
合反応の間に用いられる開始剤及び連鎖移動剤レベルは分子量を低く、例えば本
質的にゲルを含まず、コポリマーが希釈可能な実質的に非水性の組成物中の水不
溶性有機農薬材料用のキャリヤーとして機能しかつこの組成物を水で希釈した際
に安定剤として機能するように調節される。
重合工程に用いられる開始剤は、遊離基を形成するタイプのものであり、好ま
しくは過酸素化合物、例えば有機ヒドロペルオキシド、例えばクメンヒドロペル
オキシド及びt-ブチルヒドロペルオキシド、有機ペルオキシド、例えばベンゾイ
ルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルペ
ルオクトエート、t-ブチルペルベンゾエート、ジイソプロピルペルオキシジカル
ボネート、過酢酸及び過安息香酸、水溶性還元剤により活性化されるもの、例え
ば第一鉄化合物、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキ
シレートもしくはヒドロキシルアミンヒドロクロリド並びに他の遊離基発生材料
、例えばVAZO(商標)(DuPont製のアゾビスアルキルニトリル開始剤)である。
ペルエステル及びアゾ化合物が好ましい開始剤である。この開始剤は、存在する
モノマーの量に対し1.0 〜5.0 重量パーセントの量で存在する。
最も一般的な連鎖移動剤をこの方法に用いてよく、アルキルポリハリド及びメ
ルカプタンが好ましい。その例は、ヨードメタン、ブロモホルム、四塩化炭素、
4臭化炭素、ブロモエタン、炭素数1〜12のアルキルメルカプタン、チオフェノ
ール、ヒドロキシアルキルメルカプタン及びカルボキシアルキルメルカプタンで
ある。連鎖移
動剤は存在するモノマーの量に対し0〜3.0重 量パーセントの量で存在する。
本発明のコポリマーの製造方法において有効な反応媒体は、相溶性でありかつ
8〜14(cal/cm3)0.5の溶解度パラメーターにより規定される溶媒を含む。種々の
溶媒のこの溶解度パラメーターは、H.Burrell のPolymer Handbook,2版(J.Br
andrup and E.H.Immergut編)Wiley Interscience,New York,1975,IV-337,
表1及び2,p.341-348 に示されている。溶媒の例は、例えば、ブチロラクトン
、ジオキサン、ジプロピレングリコールメチルエーテル、メチルエチルスルホン
、メチルラウレート、N-ドデシルピロリドン、N-メチルピロリドン、N-オクチル
ピロリドン及びテトラヒドロフルフラールアルコールを含む。この溶媒は、用い
るモノマーの量に対し0〜500 重量パーセントの量で反応媒体中で用いられる。
本発明のコポリマーの製造方法において有効な非イオン性界面活性剤は、8〜
20、好ましくは8〜14の親水親油バランス(HLB)を有するものである。種々の界
面活性剤のこのHLB 値はKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,3
版,(M.Grayson編)、Vol.8,Wiley-Interscience,New York,1979,p.900-930
においてW.C.Griffin により示されている。
本発明のコポリマーの製造方法において有効な一般的な非イオン性界面活性剤
は、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしく
はブチレンオキシドとC6-C20長鎖脂肪アルコール、C6-C20長鎖脂肪酸、ヒマ
シ油、C8-C12アルキル化フェノール、C6-C20長鎖アルキルメルカプタン、C6
−C20長鎖アルキル1級アミン、例えばセチルアミンとの反応により形成され
る化合物である、アルキレンオキシドは補助反応体の1モルに対し5モル〜20モ
ルもしくはそれ以上、例えば50モルまでのような比で反
応される。
同様に有効な化合物はモノエステル、例えばポリエチレングリコールと長鎖脂
肪酸の反応生成物、例えばグリセロールモノステアレート、ソルビタントリオレ
エート並びに長鎖カルボン酸と多価アルコールのポリグリシジルエーテルとの部
分及び完全エステルである。好ましい非イオン性界面活性剤はアルキル化フェノ
ールのエチレンオキシド付加物である。
非イオン性界面活性剤は用いられるモノマーの量に対し50〜500重量パーセン
トの量で存在する。
本明細書及び請求の範囲において用いる「長鎖」とは、炭素数6〜20もしくは
それ以上の脂肪族基を意味する。
本発明の両親媒性グラフトコポリマー組成物の他の製造方法は、後にイオン性
ユニットに転化される非イオン性官能ユニットを含む疎水性インターポリマーを
製造することである。
疎水性インターポリマーは、成分の相溶性のため容易に製造することができる
。同様の極性を有するモノマー及びポリマーは相溶化成分の存在を必要としない
。イオン性もしくは反応性ユニットを形成するために官能基が置換したポリマー
において行う後反応の例は、4級アンモニウム基を形成するためのN,N-ジメチル
アミノエチルメタクリレートユニットにおける置換反応、メチルアクリロリルク
ロリドとイセチオン酸との反応による2-スルホエチルメタクリレートのようなス
ルホエステルを形成するための酸、酸クロリドもしくは無水物のエステル化であ
る。
そのような後反応は、モノマー段階において単離できない又は水中で製造でき
ない共重合したユニットの製造を可能にする。これらのユニットは以下のように
して形成される。
工程(1) 第二段階ビニル重合において、エチレン系不飽和非イオン
性モノマーを重合すること、ここでこのモノマーの少なくとも1種は反応性基(
重合する二重結合以外)を含み、この反応性基はビニル重合を妨害せずもしくは
重合媒体と反応しない、
工程(2) 上記工程(1)からの溶液に、官能基をpHと無関係な電荷(すなわち正
もしくは負電荷)に転化するに十分な量の補助反応体化合物を加えること。
工程(2)において、工程(1)の実質的に非水溶性の溶液が希釈可能な両親媒性グ
ラフトコポリマー組成物に転化される。
pHに無関係なサイトを形成するための、加えられた成分、すなわち500 未満
の分子量を有するものとポリマー鎖上の官能基の間の反応を促進するあらゆる反
応パラメーターを用いてよい。そのようなパラメーターの例は、加熱もしくは加
圧、及び極性溶媒の添加による反応媒体の極性を変化させることである。上記パ
ラメーターは、以下に示すような有機カチオンを形成するための求核剤と非イオ
ン性アルキル化剤の間の反応を促進する。
RA + Z → RZ1+ A-
上式中、Zは求核剤であり、RAはアルキル化剤であり、そしてAは脱離基であ
る。RZ+は形成されたオニウムカチオンであり、A-は脱離基より形成されたそ
のアニオンである。いずれかの反応体はポリマー鎖上の置換基であってよく、カ
チオン両親媒性グラフトコポリマー組成物を形成するようにその対の補助反応体
が選ばれる。従って、これらの2つの異なるルートから同じカチオン生成物を製
造することが可能である。
所望のアルキル化剤と工程(1)からのポリマーの混合物は周囲温度から約100
℃において反応され、求核サイトを結合したオニウムイオンに転化する。反応が
進行すると、このポリマーは親水性が高ま
り、所望の両親媒性グラフトコポリマー組成物を形成する。反応終了後、反応生
成物を回収し、そのまま用いてよく、又は従来の処理により精製し、未反応のア
ルキル化剤を除去してもよい。
アルキル化剤は反応性及び揮発性が高く、少なくとも少しは可溶性でなければ
ならない。好ましいアルキル化剤は、炭素数1〜4の臭化アルキル及び沃化アル
キル、塩化アリル、塩化メタリル、塩化ベンジル、及びジメチルスルフィドを含
む。
好ましくは、アルキル化サイトは、ビニルアラルキルハリド、ハロアルキルブ
タジエン、ブロモアルキルアクリレート、ブロモアルキルメタクリレート及びビ
ニルブロミド等の活性水素含有コモノマーを用いることによりポリマー鎖上に配
置される。好ましいものは、ビニルベンジルクロリド、クロロメチルブタジエン
及びブロモアルキルメタクリレートエステルである。共重合された形態のアルキ
ル化サイトを含む(1)からのポリマーは、求核性の中心としてのヘテロ原子を有
する水性媒体において安定でありかつこの水性媒体に拡散することができる炭素
含有求核剤と反応され、ここで前記ヘテロ原子の各共有結合は炭素原子に結合し
ている。
希釈可能な両親媒性グラフトコポリマー組成物の製造において有利に用いられ
る求核性化合物は以下の化合物で表され、これらはときにはルイス塩基と呼ばれ
る。
(a) 一塩基性芳香族窒素化合物、
(b) テトラ(低級アルキル)チオウレア、
(c) R1−S−R2
(上式中、R1及びR2は独立に低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキルであり、
又はR1及びR2は1つになり2〜5個の炭素原子を有する1つのアルキレン基を
形成する)
(上式中、R2及びR3は独立に低級アルキルもしくはヒドロキシ低級アルキルで
あり、又は1つになり3〜5個の炭素原子を有する1つのアルキレン基となり、
そしてR1は低級アルキルもしくはヒドロキシ低級アルキルである)
(上式中、R1、R2及びR3は独立に低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル又
はアリールである)
本明細書において、「低級アルキル」とはメチル、エチル、プロピル、イソプ
ロピル、n-ブチル及びイソブチルのような炭素数1〜4のアルキル基と規定され
る。
求核性化合物の例は、ピリジン、キノリン、イソキノリン、テトラメチルチオ
ウレア、テトラエチルチオウレア、ヒドロキシエチルメチルスルフィド、ヒドロ
キシエチルエチルスルフィド、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジ−
n−プロピルスルフィド、メチル−n-プロピルスルフィド、メチルブチルスルフ
ィド、ジブチルスルフィド、ジヒドロキシエチルスルフィド、ビスヒドロキシブ
チルスルフィド、トリメチレンスルフィド、チアシクロヘキサン、テトラヒドロ
チオフェン、N-メチルピペリジン、N-エチルピロリジン、N-ヒドロキシエチルピ
ロリジン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ-n- ブチルホス
フィン、トリフェニルホスフィン、トリメチルアミン、トリ-n- プロピルアミン
、トリイソブチルアミン、ヒドロキシエチルジメチルアミン、ブチルジメチルア
ミン、トリヒドロキシエチルアミン、及びN,N,N-ジメチルフェネチルアミンであ
る。
アルキル化サイトを含むモノマーはビニル重合をそれほど妨害せず、反応混合
物と相溶性が高くかつより容易に混合されるため、反応体としての求核性成分の
使用は好ましい方法である。これはまた反応後の洗浄が容易でありかつ補助反応
体アルキル化剤よりも毒性が低い。
製造に適した他の一般的反応は、以下に示すようなエポキシドと求核剤及び酸
との反応である。
前記のように、エポキシドもしくは求核剤のいずれかをポリマー鎖に結合させ
てよい。エポキシ基は、例えばグリシジルアクリレートもしくはメタクリレート
のような不飽和エポキシドの共重合によりコポリマーに混入される。これとは別
に、前記の求核性ポリマーをエチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロ
ロヒドリン、ジグリシジルエーテルのような低級アルキルエポキシドと反応させ
てよい。いずれのケースにおいても好適な酸は、HCl 、H2SO4及び低級カルボン
酸を含み、通常所望のアニオンを基準として選ばれる。
本発明の水分含量の低い非イオン性界面活性剤/両親媒性グラフトコポリマー
溶液組成物は、希釈可能な実質的に非水性の濃厚物組成物の製造における種々の
水不溶性有機農薬用のキャリヤーとして特に有効である。
本発明の希釈可能な実質的に非水性の濃厚物組成物は、殺ダニ剤、殺藻剤、抗
菌剤、誘因剤、殺菌剤、殺カビ剤、マルシサイド(mulluscicide)、忌避剤、殺鼠
剤、除草剤並びに殺虫剤、殺線虫剤及び殺寄生虫剤を含む他の植物成長調節物質
、並びに土壌殺菌剤として
機能するものを含む組成物の農薬としての使用において機能するように用いてよ
い。
本発明の希釈可能な実質的に非水性の組成物が農薬である場合、従来の乳化性
濃厚物、又は内容物を放出する水溶性フィルムバッグ内の乳化性濃厚物の形態で
あってよく、又は水分散性乾燥流動物の形態であってよい。
本発明の実施に用いることのできる水不溶性有機農薬の例は、アシルウレア殺
虫剤、有機リン殺虫剤、ピレスロイド殺虫剤、アリールオキシアリール除草剤及
びスルホンアミド除草剤の種類からの1種以上の農薬を含む。そのような農薬の
例は、以下のものを含む。
米国特許第 4,148,902号、4,173,637号及び再発行30,563号に記載のアシルウ
レア殺虫剤、特に1-[3,5- ジクロロ-4-((5- トリフルオロメチル)-3-クロロ-2-
ピリジルオキシ)フェニル]-3-(2,6- ジフルオロベンジル)ウレア(一般名クロロ
フルアズロン(Chlorfluazuron))、
米国特許第 3,244,586号、4,429,125号、4,654,329号及び 4,729,987号、特に
クロロピリホス及びクロロピリホスメチル、
シペルメトリン、ペルメトリン及びフェンバレレートのような殺ダニ剤及びピ
レスロイド殺虫剤、
米国特許第 4,550,192号、4,551,170号及び 4,750,931号に記載のアリールオ
キシアリール除草剤、特に2-(4-(((5-トリフルオロメチル)-2-ピリジニル)オキ
シ)フェノキシ)プロパン酸、2-(4-((3- クロロ-5- トリフルオロメチル)-2-ピリ
ジニル)オキシ)フェノキシ)プロパン酸メチルエステル、2-(4-((3-クロロ-5-ト
リフルオロメチル)-2-ピリジニル)オキシ)フェノキシ)プロパン酸エチルエステ
ル、及び2-(4-(((3-フルオロ-5-トリフルオロメチル)-2-ピリジニル)オキシ)フ
ェノキシ)プロパン酸メチルエステル、米
国特許第 4,731,446号、4,740,233号、4,741,764号及び 4,755,212号に記載のス
ルホンアミド除草剤、特にN-(2,6- ジクロロフェニル)-5,7-ジメトキシ-1,2,4-
トリアゾロ(1,5a)ピリミジン-2- スルホンアミド、N-(2,6- ジクロロ-3- メチル
フェニル)-5,7-ジメトキシ-1,2,4- トリアゾロ(1,5a)ピリミジン-2- スルホンア
ミド、N-(2,6- ジクロロフェニル)-5-メチル-7- メチルチオ-1,2,4- トリアゾロ
-(1,5a)ピリミジン-2- スルホンアミド、N-(2- トリフルオロメチルフェニル)-5
-メチル-7- メチルチオ-1,2,4- トリアゾロ-(1,5a)ピリミジン-2- スルホンアミ
ド、N-(2,6- ジクロロ-3- メチルフェニル)-7-メトキシ-5- メチル-1,2,4- トリ
アゾロ(1,5a)ピリミジン-2- スルホンアミド、及びN-(2,6- ジクロロ-3- メチル
フェニル)-7-エトキシ-5- メチル-1,2,4- トリアゾロ(1,5a)ピリミジン-2- スル
ホンアミド、
アラクロール(alachlor)のようなアセトアニリド及びクロロアセトアニリド、
トリフルラリン及びエタフルラリンのようなジニトロアニリン除草剤、
EPTC及びトリアレートのようなチオカルバメート、
クロマゾンのようなイソキサゾリジノン除草剤、
フェナリモールのようなピリジンメタノール。
本発明の実施において有効な水不溶性有機農薬の他の例は、アミド殺虫剤、ベ
ンゾニトリル除草剤、ベンゾフラニルメタンスルホネート除草剤、カルバメート
除草剤、ヒドロキシシクロヘキサノン除草剤、イミダゾリノン除草剤、トリアジ
ン除草剤、トリアジノン除草剤、アラニンメチルエステル殺カビ剤及びピリミジ
ンメタノール殺カビ剤、ベンゼンアセテート殺虫剤、環式スルフィット殺虫剤及
び殺ダニ剤、ジフェニルクロリド殺虫剤及びグリシンエステル殺虫
剤を含む。
多くの他のそのような水不溶性有機農薬の例は、Pesticide Dictionary,1992
Farm Chemicals Handbook,Meister Publishing Companyに示されている。
実質的に非水性組成物は、10〜20の親水親油性バランス(HLB)を有する界面活
性剤と、8〜15(cal/cm3)0.5の溶解度パラメーターにより規定されかつコポリマ
ーと相溶性の有機溶媒を含む相溶化剤との混合物を含んでよい。種々の界面活性
剤についてのHLB 値は、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,3
版,(M.Grayson編)、Vol.8,Wiley-Interscience,New York,1979,p.900-930
においてW.C.Griffin により示されている。種々の溶媒のこの溶解度パラメータ
ーは、H.Burrell のPolymer Handbook,2版(J.Brandrup and E.H.Immergut 編
)Wiley Interscience,New York,1975,IV-337,表1及び2,p.341-348 に示
されている。
両親媒性グラフトコポリマー組成物の非イオン性界面活性剤溶液は、有機農薬
が固体である場合、水によって容易に水で希釈される希釈可能な実質的に非水性
組成物を形成するため、有機溶媒を含む水不溶性有機農薬材料と容易に混合する
ことができる。安定な水性エマルジョン、すなわち沈降しないものが得られ、そ
して凍結−融解安定なもの、すなわち凍結−融解サイクル後も再構成できるもの
が得られる。さらに、希釈の際に簡単な低剪断混合によって、5000Å未満、好ま
しくは1500Å未満の小さな水中油形エマルジョン粒子が形成される。
高い蒸気圧を有する上記の水不溶性有機農薬のあるものは、従来の揮発性有機
溶媒を用いて組成物中に用いた場合に、化合物の蒸気圧及び溶媒の揮発性のため
、ある用途においては蒸発速度が速くなる。相溶化剤として揮発性溶媒を用いる
従来の組成物は、耕すこと
の少ないもしくはまったく耕さずに用いるような使用状況では有効性が限られて
いる。この場合、農薬組成物は土壌にすぐに混入させないで土壌の表面に適用さ
れ、又は処理すべき植物の表面に適用される。上記のような蒸発速度の高い問題
は、存在する蒸気圧の高い揮発性溶媒の量を減少させ、また相溶化剤として作用
する蒸気圧の低い不活性可塑剤/オリゴマー材料を用いて組成物を改質すること
によって克服される。改質された組成物は水不溶性有機農薬を、上記の両親媒性
グラフトコポリマー及び低蒸気圧不活性可塑剤/オリゴマーとの混合物として含
み、この改質された組成物は従来の土壌混入法において有効であるが、耕さない
方法において特に有効である。
上記の改質された組成物の製造において有効な可塑剤/オリゴマーは低い蒸気
圧を有しかつASTM D 1203-67で測定し約20重量パーセント以下のポリ塩化ビニル
中の揮発性を失う。この可塑剤/オリゴマーの例は、Encyclopedia of Polyer S
cience and Engineering,Supplement Vol.,J.Wiley and Sons,New York,198
8,表3,p.599-600 及び1992 "List of Pesticide Product Inert Ingredients"
Office of Prevention,Pesticides and Toxic Substances of the U.S.Enviro
nmental Protection Agency,Washington D.C.に教示されているものを含む。そ
のような可塑剤/オリゴマーは、アビエチン酸、2,6-ビス(1-メチルヘプタデシ
ル)-p-クレゾール、アビエチン酸ジエチレングリコールエステル(CAS No.10107-
99-0)、ビス(2- エチルヘキシル)アゼレート(CAS No.103-24-2)、ビスフェノー
ルA/エピクロロヒドリン濃厚物(CAS No.25068-38-6)、ブチルベンジルフタレ
ート(CAS No.85-68-7)、ブチルステアレート(CAS No.123-95-5)、ブチルナフタ
レン(CAS No.31711-50-9)、カルボキシポリメチレン樹脂(CAS No.9007-20-9)、
ヒマシ油(CAS No.8001-7
9-4)、エポキシ化ヒマシ油(CAS No.105839-17-6)、エトキシル化ヒマシ油(CAS N
o.61791-12-6)、水素化ヒマシ油(CAS No.8001-78-3)、水素化エトキシル化ヒマ
シ油(CAS No.61788-85-0)、酸化ヒマシ油(CAS No.68187-84-8)、セルロース(CAS
No.9004-34-6)、セルロースアセテートブチレート(CAS No.9004-32-4)、ジイソ
ブチルアジペート(CAS No.141-04-8)、ジイソプロピルアジペート(CAS No.6938-
94-9)、ジイソノニルフタレート(CAS No.28553-12-0)、ジイソオクチルマレエー
ト(CAS No.1330-76-3)、ジイソデシルアジペート(CAS No.26761-40-0)、ジラウ
リルチオジプロピオネート(CAS No.123-28-4)、ジオクチルマレエート(CAS No.2
915-53-9)、ジオクチルフタレート(CAS No.117-84-0)、ジフェニルエーテル(CAS
No.101-84-8)、ジプロピレングリコールジベンゾエート(CAS No.27138-31-4)、
エポキシ化アマニ油(CAS No.8016-11-3)、エポキシ化大豆油(CAS No.8013-07-8)
、2-エチルヘキシル-12-ヒドロキシステアレート(CAS No.29710-25-6)、ヘプチ
ルノニルアジペート、トリクレジルホスフェート、及び木材ロジン、Encycloped
ia of Polymer Science and Engineering,Vol.14,J.Wiley and Sons,New Yor
k,1988,p.438-443に記載されているようなフェナントレン核を有するピマル酸
及びアベチン酸タイプの樹脂酸からなる松幹の抽出物を含む。
本発明を以下の実施例においてさらに説明する。ここで部はすべて重量部であ
る。
実施例I
アニオン両親媒性グラフトコポリマー組成物の非イオン性界面活性剤溶液の製
造
段階1−疎水性溶液重合
115.7 部のTergitol(商標)NP-7(Union Carbide 製の7モルのエチレンオキ
シドを含むノニルフェノールエトキシレート),23.3部のスチレン、23.3部の2-
エチルヘキシルアクリレート、3.33部のグリシジルメタクリレート、及び1.54部
のVAZO(商標)64(2,2'-アゾビス(2- メチルプロパンニトリル)の混合物をガラ
ス製反応器内で攪拌しながら80℃に加熱し、窒素の不活性雰囲気にした。次いで
4.00部のNP-7中の0.280 部の2-メルカプトエタノールの混合物を0.5 部づつ15分
ごとに反応器に加え、その後、約80℃においてこの温度でさらに1時間反応を続
けた。
段階2−親水性モノマー重合
145.3 部のNP-7を段階1の生成物混合物に加え、以下の溶液を約80℃において
攪拌した反応混合物に2時間かけて連続的に加えた。
20.0部の水と混合した25.0部の2-アクリルアミド-2- メチルプロパンスルホン
酸(AMPS)、3.75部のジメチルアミノエチルメタクリレート、21.3部のメチルメタ
クリレート、6.0 部のDI水と混合した0.14部のt-ブチルヒドロペルオキシド、6.
0 部のDI水と混合した0.80部のナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、
及び6.0 部のDI水と混合した0.28部の2-メルカプトエタノールの混合物。反応器
内容物を80℃にさらに2時間保った。
約10重量パーセントの水及び約65重量パーセントの非イオン性界面活性剤を含
む得られたアニオン両親媒性グラフトコポリマー組成物の非イオン性界面活性剤
溶液は透明でありかつ室温において粘稠であった。この粘度は、Gardner Bubble
Viscometer を用いて測定して約15,000cps であった。
実施例II
カチオン両親媒性グラフトコポリマー組成物の非イオン性界面活性剤溶液の製
造
段階1−疎水性溶液重合
113.4 部のTergitol(商標)NP-7及び2.63部のt-ブチルペルオクトエートの混
合物をガラス製反応器内で攪拌しながら90℃に加熱し、窒素の不活性雰囲気にし
た。41.3部のスチレン、41.2部の2-エチルヘキシルアクリレート、5.00部のグリ
シジルメタクリレート、及び2.63部のt-ブチルペルオクトエートの混合物を1.5
時間かけて連続的に反応器に加えた。
段階2−親水性モノマー重合
以下の反応体を1.5 時間かけて反応器に連続的に加えた。
12.5部のジメチルアミノエチルメタクリレート,
0.10部の2-メルカプトエタノール,
2.25部のDI水、及び
178.9bunoTergitol(商標)NP-7
反応器内容物を90℃にさらに2時間保った。この反応混合物を約35℃に冷却し
、11.3部のヨードメタンを1時間かけて加え、その間に温度を35℃から40℃に高
め、反応混合物をこの温度にさらに3.5時間保った。
得られた非イオン性界面活性剤/カチオン両親媒性グラフトコポリマー溶液は
、約0.6 重量パーセントの水及び約71重量パーセントの非イオン性界面活性剤を
含み、透明な琥珀色であり、室温においてとても粘稠であった。この粘度は約10
0,000cpsであった。
実施例III
アニオン両親媒性グラフトコポリマー組成物の非イオン性界面活性剤溶液の製
造
段階1−疎水性溶液重合
793.8 部のTergitol(商標)NP-7及び18.4部のt-ブチルペルオクトエートの混
合物をガラス製反応器内で攪拌しながら90℃に加熱し
、窒素の不活性雰囲気にした。433.1 部のスチレン、144.4 部の2-エチルヘキシ
ルアクリレート、35.0部のグリシジルメタクリレート、及び18.4部のt-ブチルペ
ルオクトエートの混合物を1.5 時間かけて連続的に反応器に加えた。この添加の
間、反応温度は99℃の最大温度に達した。
段階2−親水性モノマー重合
温度を99℃から92℃に下げて、以下の溶液を1.5 時間かけて反応器に連続的に
加えた。
87.5部のDI水と混合した87.5部の2-アクリルアミド-2- メチルプロパンスルホ
ンIII(AMPS)、
41.0部のDI水、
41.0部のジブチルアミン、
1176.7部のTergitol(商標)NP-7
15.8部のDI水と混合した0.7 部の2-メルカプトエタノール。
そして反応器内容物を90℃にさらに2時間保った。
ポリマー/非イオン性/水反応混合物を水蒸気に移し、残留モノマーを真空に
して取り出した。
実施例IV
アニオン両親媒性グラフトコポリマー組成物の非イオン性界面活性剤溶液の製
造
段階1−疎水性溶液重合
113.4 部のNeodol(商標)(Shell Chemical Co.製)23-6.5(平均6.5 モルのエ
チレンオキシドを有する炭素数C12〜C13の直鎖1級アルコール)及び2.63部のt
-ブチルペルオクトエートの混合物をガラス製反応器内で攪拌しながら90℃に加
熱し、窒素の不活性雰囲気にした。次いで27.5部のスチレン、55.0部の2-エチル
ヘキシルアクリレート、5.00部のグリシジルメタクリレート、及び2.63部のt-ブ
チ
ルペルオクトエートの混合物を1.5 時間かけて反応器に加えた。
段階2−親水性モノマー重合
1.5 時間後、12.5部のDI水と混合した12.5部の2-アクリルアミド-2- メチルプ
ロパンスルホン酸(AMPS)、及び5.85部のジブチルアミンからなるモノマー溶液を
1.5 時間かけて反応器に連続的に加えた。次いで0.10部の2-メルカプトエタノー
ル、2.25部のDI水、及び168.1 部のNeodol(商標)23-6.5の溶液を添加の最後の
1時間にわたって連続的に加え、反応器内容物を90℃にさらに2時間保った。
実施例V
両親媒性グラフトコポリマー組成物の非イオン性界面活性剤溶液の製造
段階1−疎水性溶液重合
272.0 部のNeodol(商標)(Shell Chemical Co.製)45-7.5(平均7モルのエチ
レンオキシドを有する炭素数C14〜C15の直鎖1級アルコール)及び3.00部のVAZ
O(商標)64(2,2'- アゾビス(2- メチルプロパンニトリル))を攪拌しながら80℃
に加熱し、窒素の不活性雰囲気にした。次いで35.0部のスチレン、35.0部の2-エ
チルヘキシルアクリレート、及び5.00部のグリシジルメタクリレートの混合物を
1.5 時間かけて反応器に加えた。
段階2−親水性モノマー重合
以下のものを約80℃において1.5 時間かけて連続的に攪拌した反応混合物に加
えた。反応混合物には、25.0部の2-アクリルアミド-2- メチルプロパンスルホン
酸(AMPS)、25.0部のDI水、4.5 部のDI水と混合した0.10部の2-メルカプトエタノ
ールを加え、反応器内容物を80℃にさらに2時間保った。
実施例VI
同時に1段階でモノマーを添加することによる両親媒性コポリマ
ー組成物の製造
118.2 部のTergitol(商標)NP-7及び2.63部のt-ブチルペルオクトエートの混
合物を70℃に加熱し、次いで40分かけて70℃から90℃に高めた。反応器温度が88
℃に達したら、モノマー溶液の添加を開始し、120 分かけて添加した。疎水性モ
ノマー混合物は、63.5部のスチレン、21.2部の2-エチルヘキシルアクリレート、
及び3.33部のグリシジルメタクリレートを含む。親水性モノマー混合物は、12.0
部の2-アクリルアミド-2- メチル- プロパンスルホン酸、12.0部のDI水、及び5.
61部の中和剤としてのジ-n- ブチルアミンを含む。モノマー添加90分後、0.10部
の2-メルカプトエタノール及び2.25部のDI水を反応混合物に加えた。モノマー添
加終了後、159.3 部のTergitol(商標)NP-7を90℃において60分かけて加え、内
容物をこの条件に120 分保った。水蒸気及び真空蒸留によって残留揮発物を除去
し、水含量は約3パーセントであった。
多くの水不溶性有機農薬が本発明の両親媒性グラフトコポリマーと非イオン性
界面活性剤の溶液と容易に配合され、希釈可能な実質的に非水性の乳化性濃厚物
組成物を形成した。この濃厚物は使用するための希釈された組成物中の活性農薬
の通常の含量を与えるように配合された。
通常、濃厚物組成物中の活性農薬の濃度は5.0 〜95重量パーセントである。最
終的な希釈された組成物において、活性農薬の濃度は0.001 〜50重量パーセント
であってよい。
農業用の乳化性濃厚物は、活性成分(AI)が融点の低い固体(m.p.〈100 ℃)であ
る場合に、これを蒸気圧の低い不活性可塑剤/オリゴマー又は有機溶媒と混合し
周囲温度もしくはそれ以下で液体となる際に特に有効である。この液体は両親媒
性グラフトコポリマー組成物、非イオン性界面活性剤、及び最小限の水と混合さ
れ凍結−融解
安定な希釈可能な実質的に非水性の組成物を形成する。組成物を水で希釈する場
合、エマルジョン粒子の小さな水中油形の組成物はわずかに混合するのみで容易
に形成する。
好ましい希釈可能な実質的に非水性の農業用組成物は以下の成分を含んでいる
。(1)両親媒性グラフトコポリマー、(2)水不溶性有機農薬、(3)低蒸気圧不活性
可塑剤/オリゴマー材料及び/又は水不溶性有機溶媒及び/又は液体状態を維持
しかつ組成物を凍結−融解後も再構成可能とするための農薬用の結晶成長抑制剤
、(4)非イオン性界面活性剤、(5)添加剤、例えば中和剤、着色及び臭気防止剤、
ヒドロトープ(hydrotope)、エレクトロープ(electrope)、凍結−融解剤、及び脱
泡剤、並びに(6)10重量パーセント未満の水。
非イオン性界面活性剤に対するオイル(農薬及び溶媒を含む)の比は、水中に
2パーセント活性まで希釈した実質的に非水性の組成物の最小粒度について1.5:
1〜3:1である。
希釈された水中油形エマルジョンの好ましい最小粒度は、両親媒性グラフトコ
ポリマーが濃厚な組成物中に7〜10重量パーセント存在する場合に得られる。ポ
リマー1gに対するイオン化電荷のミリ当量で表す電荷密度は0.5 〜1.5meqであ
る。
水レベルは希釈可能な非水性濃厚物組成物について約10重量パーセント未満で
あった。
実施例VII
凍結−融解テスト
約20g の組成物のサンプルを−10〜−15℃で固化するまで(通常約2時間かか
る)冷却することにより凍結−融解テストを行った。次いでこのサンプルを攪拌
することなくもしくは熱を加えることなく室温で1晩融解させ平衡させた。観察
された結晶残留物、相分離、もしくは両者をテスト不合格とした。この方法を2
〜3回繰り返し、
組成物がこの条件において再構成された場合に合格とした。
実施例VIII
熱凝集テスト
約20g の非水性濃厚物のサンプルを約50℃で加熱することにより熱凝集テスト
を行った。濃厚物を、色、透明性、ゲル形成及び相分離について時間による変化
を観察した。1週環ごとに少量を取り出し、室温に冷却した。これを希釈し水中
の2重量パーセント活性とし、その後希釈特性、例えば希釈の容易さ、粒度及び
沈降速度について観察した。このテストは最大3ヶ月行い、テスト濃厚物の貯蔵
及び希釈の際の変化を記録した。
疎水性/親水性コポリマーが農薬組成物を希釈した際に安定剤として機能する
ためには、このコポリマーはゲルフリーであるべきである。これは疎水性及び親
水性重合の両方において開始剤及び連鎖移動剤のレベルを調節することにより達
成される。この手法は、水及び高濃度の活性農薬を除去することなく、希釈可能
な実質的に非水性濃厚物組成物の製造を可能にする。水によるこの濃厚物の希釈
された組成物は5000Å未満の粒度を有する安定な水中油形エマルジョンを形成す
る。本発明の両親媒性グラフトコポリマー組成物を含む得られる希釈可能な実質
的に非水性組成物は、従来のもしくは公知の高分子界面活性剤及び従来のもしく
は構造化粒子ラテックスをキャリヤーもしくは安定剤として用いて製造された組
成物よりも応力(貯蔵の間の凍結/融解及び熱凝集)に対し安定である。
本発明の好ましい組成物は、エマルジョン粒子サイズを最小にしかつ水中のそ
の希釈及び濃厚物の安定性を最適にするように選ばれる非イオン性界面活性剤溶
液中にアニオン両親媒性グラフトコポリマー安定剤を含む。好ましい両親媒性グ
ラフトコポリマー安定剤は、非イオン性疎水性ビニルモノマー及びグラフト可能
なビニルモノ
マー及びpHに無関係なアニオンビニルモノマーの組合せを用いることにより得
られる。非イオン性疎水性モノマーは、水不溶性有機農薬材料及び低蒸気圧不活
性可塑剤/オリゴマーもしくは有機溶媒及び/又は結晶成長抑制剤との混合物で
ある油相と非イオン性界面活性剤に必要な脂肪族−芳香族バランスを基礎として
選ばれる。好ましいモノマーは芳香族性に対してはスチレンであり、脂肪族性に
対しては2-エチルヘキシルアクリレートである。好ましいグラフト可能なモノマ
ーはグリシジルメタクリレートである。好ましいpHに無関係なアニオンモノマ
ーは2-アクリルアミド-2- メチルプロパンスルホン酸(Lubrizol 製の(AMPS)(商
標))であった。
好ましい非イオン性界面活性剤は10〜13の親水性−親油性バランス(HLB)を有
するアルキルフェノールもしくはアルコールのエトキシレート付加物であり、希
釈された水中油形農薬エマルジョンの最小粒度に対し11.5〜12.5が最も好ましい
範囲である。最小粒度及び安定性に対し好ましい非イオン性界面活性剤はエトキ
シル化ノニルフェノールであり、エチレンオキシドの平均モル数は5〜9である
。このポリマー及び非イオン性の選択は油相の特性によってきまる。非イオン性
界面活性剤は濃厚物組成物中に、全組成物の10.0〜50.0重量パーセントの量で存
在した。
水不溶性有機溶媒及び/又は低揮発性可塑剤も希釈可能な実質的に非イオン性
組成物の製造において有効であった。これは農薬の液体溶液を形成し、最適な低
温安定性及び凍結−融解サイクル後の再構成のために非結晶性を維持する油相を
形成するために用いられる。
溶媒/可塑剤は水不溶性でありかつ農薬、両親媒性グラフトコポリマーの疏水
性成分、及び非イオン性界面活性剤の疎水性成分と相溶性であることが望ましい
。これは、土壌中の優れた安定性及び移
動性(とりわけコポリマーがアニオンである場合に)を有する望ましい粒度が小
さな水中油形希釈液を与える。
溶媒/結晶成長抑制剤もしくは可塑剤は、1種以上の脂肪酸、例えばカプロン
酸、ラウリン酸、オレイン酸及びタル油のメチルエステル、グリセリド、例えば
綿実、大豆、及びコーンのオイル、トリアセチン、トリブチルシトレート、ポリ
グリコール、N-アルキル化ピロリドン、例えばメチル、オクチル及びドデシルア
ルキル誘導体、並びにテルペン、例えばd-リモネンを含む。好ましい溶媒/結晶
成長抑制剤もしくは可塑剤は1種以上のラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸
及びN-アルキル化ピロリドンのメチルエステルであり、メチル及びオクチルが好
ましいアルキル基である。溶媒/結晶成長抑制剤もしくは可塑剤は水不溶性有機
農薬に対し0〜300重量パーセントの量で存在する。
可塑性/オリゴマー、水不溶性溶媒、中和剤、着色及び臭気防止剤、ヒドロト
ープ、凍結−愉快剤、脱泡剤及びモノマーイオン性界面活性剤を含む添加剤の存
在下において本発明の両親媒性グラフトコポリマー組成物の疎水性部分の電荷/
タイプ及び疎水性ポリマー部位の芳香族性/脂肪族性、疎水性/親水性を変える
ことにより改良された侵出、放出、及び揮発性を与える組成物が得られる。
実施例IX
希釈可能な実質的に非水性濃厚物組成物の製造
希釈可能な濃厚物組成物を表Iに示す。これは1種以上の以下の農薬、アラク
ロール(alachlor)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル、ト
リアレート(triallate)、及びトリフルラリン(trifluralin)を実施例IIもしくは
実施例VIの両親媒性グラフトコポリマー組成物と共に用いることにより製造され
た。
実施例X
希釈された組成物の製造
以下の表IIに示すように、希釈可能な実質的に非水性組成物を水で希釈し、塗
布を容易にするための水不溶性材料の含量を低下させた。
この希釈した組成物は、殺虫剤としてのクロロピリホス(40.0 重量パーセント
)、メチルラウレート(26 重量パーセント)、Tergitol NP-7(22重量パーセント
)、両親媒性イオン性コポリマーキャリヤー(8重量パーセント)及び水(4重量パ
ーセント)を用いて、水で希釈した場合に約900 Åの小さな水中油形粒度を有し
ていた。
実施例XI
フェナリモール殺菌剤(30.0 重量パーセント)、メチルピロリドン(30.0 重量
パーセント)、Tergitol NP-7 非イオン性界面活性剤(31.1 重量パーセント)、両
親媒性イオン性コポリマー組成物(実施例VI)(8 重量パーセント)、及び水(0.9重
量パーセント)を単に混合することにより、他の水性の希釈された組成物を製造
した。水で希釈すると粒度は1140Åであった。
実施例XII
低融点農薬、例えばクロロピリホス及びメチルラウレートの溶液
を非イオン性界面活性剤/両親媒性アニオンコポリマー/水溶液を42/26/21/8/3
の重量比で混合することにより、有効なアニオン希釈可能な実質的に非水性組成
物の1つを製造した。この組成物は凍結−融解後に優れた再構成性を有している
。
実施例XIII
簡単に混合することにより有効なカチオン希釈可能な実質的に非水性組成物を
製造した。この組成物は、42部のクロロピリホス、25部のメチルラウレート及び
33部のTergitol NP-7/両親媒性カチオンコポリマー/水の溶液を、42/25/23.5/9
.3/0.2の重量比で含んでいる。この組成物の水性希釈により、実質的に負電荷の
水中油形エマルジョン粒子を有する希釈された組成物を形成する。
実施例XIV
低水分含量両親媒性クラフトコポリマー/非イオン性界面活性剤混合物をクロ
ロピリホス及び溶媒としてのラウリン酸のメチルエステルと単に混合することに
より、希釈可能な実質的に非水性の濃厚物組成物を製造した。この組成物の組成
は、重量比42/25/21.7/8.6/2.7の、42パーセントクロロピリホス、25パーセント
メチルラウレート及び33パーセントのTergitol NP-7、両親媒性グラフトコポリ
マー及び水であった。この透明な溶液の密度は1.13g/mLであった。このオイルを
ベースとする組成物を一部加水分解されたポリ酢酸ビニルからなるバッグもしく
は容器に入れた。このバッグをタンク内の水に入れると、このバッグは溶解し、
このバッグに含まれていた濃厚物組成物は容易に水と混合し、すぐに使用できる
安定な水中油形エマルジョンを形成した。水へのこのバッグの混入は得られるエ
マルジョンの粒度にほとんど影響を与えない。以下の表IIIは、バッグのフィル
ム壁中のポリマーのレベルに対する希釈された組成物中のエマルジョン粒度を比
較する。
実施例XV
アニオン両親媒性グラフトコポリマー組成物の非イオン性界面活性剤溶液の製
造
上記方法に従い、上記成分及びTergitol NP-7 中のt-ブチルペルオクトエート
を反応させることにより、25重量パーセント2-アクリルアミド-2- メチルプロパ
ンスルホン酸(AMPS)、37.5重量パーセントn-ブチルメタクリレート及び37.5重量
パーセント2-エチルヘキシルアクリレートを含むコポリマーを製造した。
実施例XVI
表IVに示すような希釈可能な実質的に非水性濃厚物低揮発性組成物の製造
実施例XVII
アニオン両親媒性グラフトコポリマー組成物の非イオン性界面活性剤溶液の製
造
上記方法に従い、上記成分及びTergitol NP-7 中のt-ブチルペルオクトエート
を反応させることにより、37.3重量パーセントスチレ
ン、37.3重量パーセントn-ブチルメタクリレート、2.7 重量パーセントグリシジ
ルメタクリレート及び22.6重量パーセント2-アクリルアミド-2- メチルプロパン
スルホン酸(AMPS)を含むコポリマーを製造した。
実施例XVIII
表Vに示すような希釈可能な実質的に非水性濃厚物低揮発性組成物の製造
実施例XIX
農薬活性
本発明の水不溶性有機農薬/界面活性剤−両親媒性グラフトコポリマー混合物
の安定な水性エマルジョン組成物に用いた有機農薬は、従来の組成物にこの農薬
を用いた場合の農薬の基本的生物活性と比べて、すべて本発明の組成物において
その基本的活性を維持していることが見いだされた。
実施例XX
本発明の具体的組成物について、発芽前におけるその有効性を調べた。以下の
材料を水と混合することにより水分散液を製造した。
1.0 ×2.0 フィートのプラスチックトレーに厚さ約2から3インチの深さに栄
養分含量が十分なローム質の土壌の種床を準備した。この土壌に約100 個のgian
t foxtail の種を植えた。この種に土を深さ1/4〜1/2 インチで覆った。この床
に所定量の水をまき、次いで移動するスプレーにより、上記濃厚物を所定量の水
で希釈することにより調製した0.24パーセントの希釈された組成物を散布した。
他の床は対照としてなにも処理しなかった。処理後、この床を植物の生育に適し
た温室条件に21日間保った。この期間の最後において、床についてgiant foxtai
l の枯死及び制御の量を調べた。78パーセントの発芽前制御が得られた。
本発明の範囲を離れることなく種々の改良を本発明において行ってよいことは
当業者に理解されるであろう。
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フロントページの続き
(72)発明者 ピッケルマン,デイル エム.
アメリカ合衆国,ミシガン 48611,オー
バーン,プライス 319
(72)発明者 ウェスリング,リッチー エー.
アメリカ合衆国,ミシガン 48640,ミッ
ドランド,ウエスト セント アンドリュ
ース 1608