【発明の詳細な説明】
レジオ選択的硫酸化
本発明はレジオ選択的硫酸化に関する;さらに詳しくは、ある種のジオルガノ
スタニレンアセタール(diorganostannylene acetal)へのレジオ選択的活性化、
続いての親電子硫酸化剤での処理を介する硫酸化方法によって、種々の硫酸化有
機分子(そのうちのいくつかは新規である)を合成した。
特に、本発明は、そのジ−(所望により置換されていてもよいアルキルおよび
/またはアリール)スタニレンアセタール(stannylebe acetal)誘導体を親電子
硫酸化剤で処理することよりなる、少なくとも2の隣接炭素原子上の所望により
誘導体化されていてもよいヒドロキシル基を有する有機分子のレジオ選択的硫酸
化の直接的方法を提供する。
本発明目的では、通常の親電子硫酸化剤、例えば、三酸化硫黄/ピリジンまた
はトリエチルアミンのごときアミノ−塩基を用いることができるが、三酸化硫黄
/トリエチルアミンが好ましい。便宜には、ジオキサンまたはTHFのごとき適
当な溶媒中、室温にて、例えば20−25℃にて、硫酸化を行う。勿論、溶媒の
選択に応じて、所望ならば、より高温を用いることもできる。
本発明の方法は、出発物質のスタニレンアセタール誘導体の処理を含む。かか
る誘導体はジ−(所望により置換されていてもよいアルキルおよび/またはアリ
ール)置換されている。アルキル置換基の場合、6個までの炭素原子を含有する
のが好ましく、一方、フェニルは適当なアリール置換基の例である。1またはそ
れ以上の非干渉的置換基、例えばアルコキシルによって、いずれかをそれ自体置
き換えることができる。スタニレンアセタール誘導体の置換はジアルキルまたは
ジアリールであってよく、あるいはそれはアルキル−アリールであってもよい。
現在好ましい具体例において、ジブチルスタニレンアセタール誘導体を用いる。
一般に、本発明の方法は、常法によって行うことができるが、固定化系も考え
られる。
本発明方法での出発物質は、少なくとも2の隣接する炭素原子上の所望により
誘導体化されていてもよいヒドロキシル基を有する有機分子である。例えば、2
のヒドロキシル基のうちの1つのエーテル−誘導体化は、より詳しくは硫酸基は
他の位置に向けられやすい点で、選択性に影響する。より詳しくは、3’−スル
フェートはガラクトシドまたはラクトシドから得られることが期待され、一方、
2’−スルフェートは部分的に保護されたマルトシドから得ることができる。
干渉性置換基の不存在において、本発明の方法は広範なかかる有機分子に適用
できる。そのうちの1つが硫酸化されるべきものである、隣接する2のヒドロキ
シル基の存在は、本発明の方法にとり中心的である。糖化学は、特に、潜在的に
反応性のヒドロキシル基の数の観点より、かかる選択性が重要な例である。例え
ば、本発明の方法は、好ましくは20以下の、より好ましくは6以下の、反復単
位を含有する多糖およびオリゴ−糖双方によく適合する。その利点は、単糖およ
び二糖に対して特に明らかである。本発明の方法は、糖脂質および糖ペプチドの
ごとき糖複合体、あるいはグリコサミノグリカンに適用できる。この方法は、前
記した物質の類似体、例えば、アミノ−糖のごとき異常糖で用いることもできる
ことに注意すべきである。理解されるごとく、天然および合成の分子または高分
子の間を区別する必要はない。
本発明方法の例において、多数の新規化合物、特に番号14、15、16、2
3、25、30、32および34を以下に示し、本発明はまたそれらに関する。
説明するごとく、化合物23が特に興味深い。勿論、かかる有機分子を、より大
きい分子に連結させることができ、本発明はさらにそれに関する。また、これは
、本発明方法の他のスルフェート生成物に適用できるであろう。
本発明の1の具体例は、そのジブチルスタニレンアセタール誘導体を三酸化硫
黄/トリエチルアミンで処理することを特徴とするオリゴ糖、好ましくは単糖ま
たは二糖のレジオ選択的硫酸化に関し、ガラクトシドまたはラクトシドから3’
−スルフェートが得られ、部分的に保護されたマルトシドから2’−スルフェー
トが得られる。一般的な用語で本発明を議論し、その例示的具体例を特に参照し
てさらに説明する。
近年、スルフェートおよびアミノスルホネートを含有するオリゴ糖および糖複
合体が単離され、特徴付けられ、生物学的認識プロセスで重要な役割を果たすこ
とが示されている。例えば、3’−O−スルホ−N−アセチルラクトサミド1;
は、炎症反応の間にE−セレクチンによって認識される3’−スルホ−Lewi
sX抗原についての部分構造である(例えば、Yuen,C.T.ら、Biochemistry、3 1
、9126−9131、1992;およびYuen C.T.ら、J.Biol.Chem.、2 69
、1595−1598;1994参照)。化合物1はそれ自体、卵巣癌患者
における高レベルの血清α−1,3−L−フコシルトランスフェラーゼを検出す
るのに有用であることが示されている。というのは、それはこの酵素に対する選
択的基質だからである(例えば、Chadrasekaran,E.V.ら、J.Biol.Chem.、2 67
、23806−23814、1992参照)。二糖2:
はヘパラン硫酸における部分構造であり、これは最近、塩基性線維芽細胞成長因
子(bFGF)の活性化、従って細胞増殖の調節で役割を果たす、特異的bFG
Fの一部であると同定されている(例えば、Maccarana,M.ら、J.Biol.Chem.、268
、23898−23905、1993参照)。ガラクトシルセラミドスル
ファチド3:
は脊髄から単離された哺乳動物糖脂質である(例えば、Hara,A.およびRadiu,N.
S.,Anal.Biochem.、100、367−370、1979参照)。
天然の硫酸化オリゴ糖の合成および種々の修飾を含有するアナログの合成は平
凡ではない。というのは、それは広範囲の保護および脱保護工程を要するからで
ある。例えば、2に関する構造の合成では、単糖単位当たり少なくとも3つの直
交保護基を合成で使用しなければならない:カップリングのため選択的に遊離し
ていなければならない、C−4ヒドロキシ基を保護するための1つ;合成の間に
硫酸化すべきアミノ/ヒドロキシル基についての第2の保護基;および最終生成
物で遊離されたままであるヒドロキシル基についての第3の保護基(例えば、Lu
bineau,A.ら、J.Chem.Soc.Commun.、1419−1420、1993;および
Nicolaou,K.C.ら、J.Am.Chem.Soc.、115、8843−8844、199
3)。高度にレジオ選択的な試薬を用いることによって、保護基の使用を模倣す
る複合体炭水化物についての合成方法を開発する要求が存在し、これが活性化さ
れた中間体としてのグリコシドのよく知られたジブチルスタニレンアセタールを
用いるレジオ選択的硫酸化の開発に導いた(例えば、Guilbert,B.ら、Tet.Let
t.,35、6563−6566、1994参照)。
ジブチルスズ酸化物は、糖とで、好ましくはシスジオールコンフィギュレーシ
ョンにて、5−員、時々は6−または7−員の環状ジブチルスタニレンアセター
ルを形成することが知られている(例えば、Tsuda,Y.ら、Chem.Pharm.Bull.
、39、2883−2887、1991;およびDavid,SおよびHanessian,S.
,Tetrahedron、41、643−663、1985参照)。かかる複合体におい
て、1のヒドロキシル基の求核性は、しばしばアシル化、アルキル化、トシル化
またはシリル化へと(例えば、David,S.およびHanessian,S.,前記引用文中;
Glen,
A.ら、Carbohydr.Res.、248、365−369、1993;およびLeigh D.A
.ら、J.Chem.Soc.Chem.Commun.、1373−1374、1994参照)に向
けて促進される(例えば、Nashed,M.A.およびAnderson,L.,Tet.Lett.,39
、3503−3506、1976)。例えば、未保護β−ラクトシド4は、その
3',4'−ジブチルスタニレンアセタールとアリルもしくはベンジルブロミドと
の反応を介して3’−O−誘導体5に絶対的に変換された(例えば、Alais,J.
ら、Tet.Lett.,24、2383−2386、1983;およびKartha,K.P.R.
ら、J.Chem.、8、145−158、1989参照)。
シリル化の場合、3',4'−位から4',6'または環酸素、6'位いずれかへ
の、スタニレンアセタールの可逆的移行は6'−O−誘導体を導く(例えば、Gle
n,A.ら、前記引用文中;およびLeigh,D.A.ら、前記引用文中)。シスジオー
ルを含有するα−グリコシドを用いる場合、あるいはシスジオールを保護する場
合、ジブチルスタニレンアセタールは親電子体との反応によって2位およびアノ
マー酸素を複合体化して、2−O−誘導体を得る(例えば、Munaru,R.M.および
Szmant,H.H.,J.Org.Chem.、41、1832−1836、1976;およびT
suda,Y.ら、Chem.Pharm.Bull.、31、1612−1624、1983参照)
。
それはブロモラクトースヘプタアセテートおよびチオフェノールから(例えば
、Hydson,C.S.ら、およびKunz,A.,J.Am.Chem.Soc.,47,2052−20
55、1925;およびTsvetkov,Y.E.ら、Carbohydr.Res.115, 254
−
258、1983参照)、続いて通常の脱アセチル化により容易に得られるので
、フェニルチオ−β−ラクトシド8のレジオ選択的硫酸化を最初に研究した:
還流メタノール中でジブチルスズ酸化物と共に8を撹拌し、溶媒を真空中で除
去することによって、スタニレンアセタール複合体を調製した。最初の目的は、
フェニルスルフェート基のごとき保護形態にてスルフェートを導入することにあ
り、これは糖で既に用いられている(例えば、Takiura,K.およびHonda,S.,Ya
kugaku Sasshi、87、1248−1255、1967;およびPenney,C.L.お
よびPerlin,A.S.,Carbohydr.Res.、93、241−246、1981参照)
。フェニルクロロスルフェートに対するその構造的類似性のため、トシル化がア
シル化と同一のレジオ選択性に続くことを確立するために、塩化トシルとの反応
を最初に調べた。かくして、8から調製した乾燥ジブチルスタニレンアセタール
を、還流THA中、15当量の塩化トシルおよび0.5当量の臭化テトラブチル
アンモニウムで処理した。ブロミドアニオンは、スズ複合体上での求核置換によ
って反応を活性化させることが知られている(例えば、Alais,J.およびVeyrier
es,A.,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.I、377−381、1981参照)。
反応は容易に起こって、主要単離生成物としての3'−O−トシル誘導体9(〜
75%)および少量の生成物として3',6'−ジ−O−トシルラクトシド11(
〜15%収率)を得た。
11の形成は、第2のトシル化に向けて6'位を活性化するための、スタニレ
ンアセタールの移行での3'位の最初のトシル化によるであろう。9および11
の1H NMRスペクトルにより、1個および2個のトシル基の存在が各々確認
され、9における3'−Hおよび11における3'−Hおよび6'−Hの低磁場シ
フトによってトシル化のレジオ選択性が確認された。10および12へのペルア
セチル化の後、9および11の明確な特徴付けが各々可能であった。かくして、
トシル化は、ベンジル化およびアリル化について報告されているのと同様のレジ
オ選択性にて起こったようである(例えば、Alais,J.ら、前記引用文中;および
Kartha,K.P.R.ら、前記引用文中)。
次の工程はフェニルクロロスルフェート13(例えば、Penny,C.L.およびPerl
in,A.S.,前記引用文中)と8のスタニレンアセタールとの反応をみることであ
った。しかしながら、薄層クロマトグラフィーによる反応混合物の分析により、
反応は完了せず、生成物の混合物が形成されたことが明らかとされた。6'−O
−スルフェート基を含有する化合物14のみが〜11%の収率でこの混合物から
単離された:
恐らく、対応する6'−O−フェニルスルフェートの分解によって14が形成
された。かくして、8のスタニレンアセタールとフェニルクロロスルフェートと
の反応は、対応するトシル化よりも小さい選択性を示し、主要生成物として3'
スルフェートの代わりに6'異性体を与えた。これはフェニルクロロスルフェー
トの低反応性によって説明できるであろうので、より反応性のp−ニトロフェニ
ルクロロスルフェートにて反応を繰り返したが、再度余り成功しなかった。
より反応性の硫酸化試薬、および安定な生成物を与えるであろうものとして、
Me3N.SO3を選択して8のジブチルスタニレンアセタールと反応させた。こ
の反応は予期せぬことに成功するらしいことが判明した。かくして、室温にて3
0時間、ジオキサン中での2当量のMe3N.SO3で処理した結果、8のジブチ
ルスタニレンアセタールが3'−O−スルホラクトシド15(〜76%)および
3',6'−ジ−O−スルホ−ラクトシド16(〜10%)に変換され、双方はそ
のナトリウム塩として単離された。
この反応において、恐らくは、トリメチルアミンが親電子攻撃に向けてスズ複
合体を活性化する役割を果たしていたので、ブロミドアニオンの添加は不要であ
った。選択性は、アリル、ベンジルまたはトシルハライドで観察されたものと同
一であり、同一の3',4'−スタレニンアセタール中間体を介して進行すること
が予測された。スルフェート基の存在は、それが、各々、8と比較して15にお
いて3'−Hおよび4'−Hの4.01および3.87−3.89への低磁場シフト
、および16において6'−Hのシフトを引き起こす点で、NMRスペクトロス
コピーによって観察された(例えば、Kogelberg,H.およびRutherford,T.,Glyc
obiology、4、49−57、1994)。また、15の構造は8からの別法の常
法5工程経路を介して、独立した合成によって確認され、これは同一の分光的デ
ータを有する生成物に導いた。
Me3N.SO3は添加塩基の必要性なくしてヒドロキシル基と反応し得るので
、それと8との反応を調べて、観察された選択性が事実スズ複合体による活性化
のためであることを確立した。まず、(ジオキサン中)同様の条件下でラクトシ
ド8をMe3N.SO3と共に単に撹拌した場合、恐らくはこの溶媒への8の貧溶
解性のため、反応は観察されなかった。しかしながら、DMF中の8の溶液を2
当量のMe3N.SO3で処理した場合、硫酸化は進行した。前の反応とは対照的
に、出発物質に加えて、少なくとも3種の生成物14、17および18の混合物
が形成され、明らかに3'位にスルフェートを含有するものはそれらのうちにな
かった。これにより、ジブチルスズ酸化物による活性化が、観察された硫酸化の
レジ
オ選択性に必要であったことが確認された。
選択した硫酸化のこの方法を、硫酸化されたN−アセチルラクトサミニド23
、1のチオフェニルグリコシドの合成に適用した。チォフェニル N−アセチル
ラクトサミニド21は商業的に入手できず、牛乳からのβ−1,4−ガラクトシ
ルトランスフェラーゼを用い、20の酵素的ガラクトシル化によって調製した。
アジドとしては、20はこの酵素の基質ではないと従前に報告されている(例え
ば、Wong,C.H.ら、J.Am.Chem.Soc.,113、8137−8145、1991
参照)が、21を良好な単離収率で21を与えたことに注意するのは興味深い(
例えば、Guilbert,B.およびFlitsch,S.L.,J.Chem.Soc.、Perkin Trans.I
、1181−1186、1994;Wong,C.H.ら、J.Org.Chem.、47、54
16−5418、1982;およびUnverzagt,C.ら、J.Am.Chem.Soc.、11
2、9308−9309、1990参照)。
これらの結果は、従前の研究(40mU/ml;25mM)と比較して、高濃
度(1U/ml;40mM)の酵素およびアクセプターによるものであろう。2
1における1,4結合はアセチル化後のNMR実験によって確認された。45
時間後、室温で21を無水酢酸/ピリジンで処理して22が得られ、これは驚く
べきことに、遊離の3'および4'ヒドロキシル基を含有していた。それにも拘わ
らず、22の関連する環プロトンは、NOE実験を可能とするNMRシグナルの
適当な広がりを示した。21から22へのアセチル化に際し、4−Hシグナルは
低地場へシフトせず、4.38ppmにおける1'−Hおよび6'−Hbの放射は
4−Hシグナルの4.7%増強および予期された5'−H、3'−H(7%)およ
び6'−Ha(8%)の増強を引き起こし、22における1,4−結合の存在が確
認された。
THF中の21のジブチルスタニレンアセタールのMe3N.SO3での硫酸化
により、83%単離収率にて、絶対的に3'−O−硫酸化化合物23が得られた
。興味深いことに、対応するラクトシド8の硫酸化につき判明したごとく、他の
副産物の生成は観察されなかった。NMRおよび高分解能質量分析のデータは3
'−硫酸化化合物23と一致した。23の合成は、それが酵素的方法と容易に組
み合わせることができる点で、本硫酸化方法の特に有用な特徴を説明する。
さらに、本硫酸化方法を、後記表1に例示する種々の単糖および二糖の合成に
適用した。メチル β−ガラクトシド24の硫酸化は非常に選択的で、25を9
3%の単離収率にて与えた。構造は、ペルアセチル化された誘導体26における
NMRスペクトロスコピー(COSY)によって確認された。また、該方法は、
3のナトリウム塩のごとき糖脂質の合成に適用できる。かくして、ガラクトシル
セラミド27は97%の単離収率で選択的に硫酸化され、痕跡量の3',6'−二
硫酸化副産物28が形成された。セラミド上のアリル性ヒドロキシル基は反応し
なかったことに注意するのは興味深い。グリコシルトランスフェラーゼ酵素を用
いる糖脂質の合成はWO 93/20226に記載されている。本発明方法は、
シアル酸部位がスルフェートによって潜在的に置換され得るかかる糖脂質構造の
作製に関する。かかる硫酸化分子は、簡単で低コストの合成という利点を有しつ
つ、同様の生物学的特性を示し得る。
また、29、31および33のごときマルトシドの選択的硫酸化(例えば、Da
vis,N.J.,DPhil thesis,Oxford,1994参照)を、2のごときヘパラン
硫酸塩断片の合成(例えば、Davis,N.J.およびFlitsch,S.L.,J.Chem.Soc.
、Perkins Trans I、359−368、1994参照)との関係で調べた。各々
、30、32および34への、これらのマルトシドの所望の2'位における選択
的硫酸化は事実媒質中で達成され、良好な収率であった。
要約すると、ジブチルスズ酸化物による、未保護または部分的保護糖における
選択されたヒドロキシル基の活性化は、良好ないし優れた収率にての選択的に硫
酸化された糖に導き得る。本発明方法は種々の天然生成物の合成において適用し
得る。それは、特に6−硫酸化糖の合成につき、他のヒドロキシル基の硫酸化に
(例えば、Hemmerich,S.およびRosen,S.D.,Biochemistry、33、4830−
4835、1994)、および高級糖の硫酸化に適用し得る。
6−O−硫酸化は、スズ上のリガンドを変化させることによって、例えば、B
u2SnOの代わりに活性化剤として(Bu3Sn)2Oを用いることによって、
あるいは13を硫酸化試薬として用い、6−O−硫酸化が達成された(前記スキ
ーム4参照)ときに既に示されたように、硫酸化試薬Me3N.SO3を変化させ
ることによって達成された。
以下の実験によって本発明をさらに説明する。
実験
一般的反応は、標準的乾燥剤から蒸留した溶媒中で行った;薄層クロマトグラ
フィーはアルミニウムシートシリカゲル60F254(Merck、層厚み0.2mm)
上で行った;成分は、エタノール中の5%硫酸−5%アニスアルデヒドの溶液で
スプレイした後、TLCを加熱することによって検出した;シリカゲルC60(
Merck,40−60μm)をフラッシュクロマトグラフィーで使用した;NMR
スペクトルは、述べた溶媒を用い、Bruker AM−500MHz,Varian Gemini
200MHzまたはBruker AM 200MHzスペクトロメーターで記録した
;カップリング定数はHerzで表す;IRスペクトルはPerkin-Elmer 1750ス
ペクトロメーターで記録し、旋光はPerkin-Elmer 241偏光計で記録した;質
量分析は、化学衝撃(CI/NH3)、アンモニア脱着化学的イオン化(DCI
/NH3)、正アルゴン速原子衝撃(FAB)および負電子スプレイ(ES-)を
用い、VG Analytical Ltd.,ZABIFまたはBIO−Q質量分析計で行った
。高分解能マススペクトルは、マトリックス・アシステッド・レーザー・ディソ
ープション・イオナイゼーション(matrix assisted laser desorption ionizat
ion)(MALDI)または液体二次イオン化質量分析(LSIMS)を用い、
VA AutospecEQ スペクトロメーター(FAB-)、Brucker FT
ICRで記録し、あるいはSwanseaにおけるEPSRC mass spectrometry serv
ice centerによって記録した。ウリジン5'−ジホスホ−グルコース(UDP−
グルコース)、ウリジン5'−ジホスホ−グルコース
4−エピメラーゼ(EC 5.1.3.2)、牛乳からのβ−1,4−ガラクトシ
ルトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.22)およびガラクトセレブロシド(
II型、主としてネルボン酸含有)はSigmaから購入した;子ウシ腸アルカリ性
フォスファターゼ(CIAP)(EC 3.1.3.1)およびウシ血清アルブミ
ン(BSA)はBoehringer Mannheimから購入した。
フェニル 2,3,6−トリ−O−アセチル−4−O−(2',3',4',6'−
テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル)−1−デオキシ−1−チ
オ−β−D−グルコピラノシド7;
室温にて、ヘプタアセトブロモ−α−D−ラクトース(3.70g、5.29ミ
リモル)のCH3CN(20ml)中溶液を、チオフェノール(0.652ml、
6.35ミリモル)およびトリエチルアミン(1.5ml、10.59ミリモル)
と共に18時間撹拌した。反応混合物を濾過し、真空中で減少させ、クロマトグ
ラフィー(CH2Cl2/Et2O 9:1)によって精製して7を白色固体(3.
24g、84%)として得た。
[α]24 D+5(CHCl3中、c20);融点161℃:Rf0.07(CH2C
l2/Et2O 9:1);νmax(CHCl3)/cm-1 2902−2985(
CH)、1753(CO);δH(500MHz:CDCl3)1.96および2.
03(6H,2xs,2xAc)、2.04(6H,2xs,2xAc)、2.
09、2.11、2.15(9H,3xs,3xAc)、3.64(1H,ddd
,J2.0,5.6,9.9,5−H)、3.75(1H,dd,J9.5,9.5,
4−H)、3.86(1H,ddd,J1.0,7.3,7.3,5’−H)、4.
05−4.14(3H,m,6−Ha,6’−Ha,6’−Hb)、4.48(1
H,d,J7.9、1’−H)、4.53(1H,dd,J2.0,11.9.6−
Hb)、4.68(1H.d.J10.1,1−H)、4.90(1H,dd,J
9.6,2−H)、4.95(1H,dd,J3.4,10.4,3’−H)、5.
10(1H,dd,J7.9,10.4,2’−H)、5.22(1H,dd,J
9.1,9.1,3−H)、5.34(1H,dd,J0.9,3.4,4’−H)
、7.28−7.33(3H,m,Ph)、7.43−7.50(2H,m,Ph)
;
δc(50MHz,CDCl3)20.35、20.47、20.62(7 CH3)
、60.79および62.10(2 CH2)、66.59、69.04、69.93
、70.21、70.74、73.82、76.13および76.55(8 CH)
、85.45(1−C)、101.08(1’−C)、128.45(CH,Ph
)、129.06(2 CH,Ph)、131.93(C)、133.05および
133.17(2 CH,Ph)、169.31、169.83、169.98、1
70.32および170.42(5 CO)、170.60(CO);m/z(D
CI)746(MNH4 -、7%)、331[(M−379)+、100]
フェニル 1−デオキシ−4−O−(β−D−ガラクトピラノシル)−1−チ
オ−β−D−グルコピラノシド8:
CH2Cl2/MeOH(1:1.4,24ml)中の7(3.23g,4.43
ミリモル)の溶液に0.2M ナトリウムメトキシド溶液(8.85ml,1.7
7ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で1.7時間撹拌し、アンバーライ
トIR−120(H)樹脂で中和し、濾過し、真空中で5mlまで濃縮して、8
の沈殿が白色固体として得られ、これを濾過によって収集した(1.58g,8
2%)。炉液を真空中で減少させ、クロマトグラフィー(MeOH/CHCl3
/H2O 4:5:1)に付して化合物8(222mg,12%)を得た:
[α]24 D−44.3(MeOH中、c1.5);融点126℃;Rf0.33(m
eOH/CHCl3/H2O 4:5:1);νmax(KBr)/cm-13402
(OH)、2940−2880(CH);δH(500MHz;CD3OD)3.
28(1H,dd,J8,6,9.6,2−H)、3.43−3.46(1H,m,
5−H)、3.48(1H,dd,J3.3,9.7,3’−H)、3.52−3.
59(4H,m,3−H,4−H,2’−H,5’−H)、3.69(1H,d
d,J4.6,11.5,6’−Ha)、3.77(1H,dd,J7.5,11.
5,6’−Hb)、3.81(1H,d,J3.2,4’−H)、3.83(1H
,dd,J4.3,12.3,6−Ha)、3.90(1H,dd,J2.5,12
.3,6−Hb)、4.36(1H,d,J7.6,1’−H)、4.61(1H,
d,J9.8,1−H)、7.24−7.32(3H,m,Ph)、7.54−7.
57(2H,m,Ph);δc(50MHz,CD3OD)61.39および61.
92(2 CH2)、69.78、72.02、72.90、74.24、76.5
8、77.45、79.63、80.01(8 CH)、88.66(1−H)、1
04.39(1’−C)、128.10(CH,Ph)、129.55(2 CH
,Ph)、132.63(2 CH,Ph)、134.28(C,Ph):m/z
(FAB+)実測値:457.1145(MNa+)、C18H26O10SNa+は45
7.1144を要する。
フェニル 1−デオキシ−1−チオ−4−O−(3’−O−p−トルエンスル
ホニル−β−D−ガラクトピラノシル)−β−D−グルコピラノシド9およびフ
ェニル 1−デオキシ−1−チオ−4−O−(3’,6’−ジ−O−トルエンス
ルホニル−β−D−ガラクトピラノシル)−β−D−グルコピラノシド11
窒素下、還流MeOH(1ml)中、化合物8(50mg,115μモル)お
よびBu2SnO(43mg,169μモル)を1時間撹拌した。溶媒を真空中
で除去し、乾燥ジブチルスタニレン複合体をTHF(1ml)に溶解させ、Bu4
NBr(18.5mg,58μモル)および塩化p−トルエンスルホニル(32
9mg,1.72ミリモル)を添加し、混合物を還流下で1時間加熱した。溶媒
を真空中で除去し、残渣をクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH10:1
)に付して、いくらかの出発物質(4.7mg,9%)、いくらかのブチルスタ
ニル誘導体を含有する無色油としての9(54.5mg.〜75%)および11
が得られ、これを再度クロマトグラフィー(CH2Cl2/Et2O10:1、次
いでCH2Cl2/Et2O 17:1)に2回付して無色ガム(12.8mg,1
5%)を得た:9:Rf0.09(MeOH/CH2Cl2 1:10):νmax(
CDCl3)/cm-13369(OH),2966,2878(CH)、159
9(C=C)、1354、1177(SO2):δH(500MHz:CDCl3
)2.38(3H,s,Me)、3.27(1H,m,OH)、3.43−3.45
(2H,m,2−H,5−H)、3.58−3.59(1H,m,
5’−H)、3.67−3.72(2H,m,3−H,4−H)、3.80−3.8
8(4H,m,6−Ha,6−Hb,6’−Ha,6’−Hb)、3.97(1
H,dd,J9.1,13.2,2’−H)、4.09(1H,s,4’−OH)
、4.18(1H,s,OH)、4.29(1H,s,2’−OH)、4.43−
4.50(3H,m,3’−H,2xOH)、4.51(1H,d,J7.8,1
’−H)、4.67(1H,d,J9.7,1−H)、5.10(1H,s,OH
)、7.22−7.29(5H,m,Ar)、7.50(2H,d,J6.9,Ar
)、7.82(2H,d,J8.2,Ar):δc125.78MHz,CDCl3
)21.64(CH3)、61.29および61.55(2 CH2)、68.03、
68.27、72.13、74.24、76.34、78.46および82.85(7
CH)、87.41(1−C)、103.13(1’−C)、128.00(2
CH)、128.89(3 CH)、129.90(2 CH)、131.96
(2CH)、132.94(C,Ts)、133.22(C,Ph)、144.9
4(C,Ts);m/z (FAB+)573[(M−CH3)+、1%]、47
1[(M−117)+,18]、242[(M−346)+,53]、155[(
M−433)+,87]、91(CH3Ph+,100);11:[a]25 D−14
.9(MeOH中、c2.3);Rf0.40(meOH/CH2Cl2 1:1)
;νmax(CDCl3)/cm-1 3500(OH),2960,2880(CH
),1599(C=C),1366,1178(SO2):δH(500MHz:
CDCl3)2.43(6H,s,2xMe)、2.80(1H,t,J6.0,6
−OH)、3.19(1H,d,2.2,2−OH)、3.23(1H,d,J4.
6,4’−OH)、3.38−3.44(2H,m,2−H,5−H)、3.57
−3.65(2H,m,3−H,4−H)、3.83−3.90(5H,m,2’
−H,2’−OH,5’−H,6−Ha,6−Hb)、4.04(1H,dd,
J3.7,3.9,4’−H)、4.09(1H,d,J1.3,3−OH)、4.
17(1H,dd,J7.1,10.6,6’−Ha)、4.21(1H,dd,
J5.3,10.7,6’−Hb)、4.43−4.47(2H,m,1’−H,
3’−H)、4.59(1H,d,J9.8,1−H)、7.28−7.51(7
H,m,Ar)、
7.51(1H,d,J1.7,Ar)、7.52(1H,d,J2.2,Ar)、
7.78(2H,d,J8.3,Ar)、7.83(2H,d,J8.3,Ar);
δc(125.78MHz,CDCl3)21.64(2 CH3)、61.91(C
H2)、67.11(CH)、67.69(CH2)、68.29(CH)、71.8
4(CH)、71.91(CH)、76.18(CH)、78.16(CH)、7
9.95(CH)、82.08(CH)、87.42(1−C)、103.(1’
−C)、128.03(4 CH)、128.98(2 CH)、130.02(
5 CH)、132.02(C,Ts)、132.16(C,Ts)、132.4
8(2 CH)、132.72(C,Ph)、145.39(C,Ts)、145
.53(C,Ts);m/z(MALDI)実測値:765.1309(MNA-
)、C32H38S3O14Na+は765.1321を要する。
フェニル 2,3,6−トリ−O−アセチル−4−O−(2',4',6'−トリ−
O−アセチル−3'−O−p−トルエンスルホニル−β−D−ガラクトピラノシ
ル)−1−デエキシ−1−チオ−β−D−グルコピラノシド10:
室温にて、粗製化合物9(15.3mg,<26μモル)をピリジン/Ac2O
2:1(300μl)中で20時間撹拌した。反応混合物を真空中で減少させ、
クロマトグラフィー[石油エーテル(沸点40−60℃)/酢酸エチル 1:1
]に付して、10を無色発泡体(14.2mg,65%)として得た]:[α]2 5 D
−3.0(CHCl3中、c0.9);Rf0.26[石油エーテル(沸点40−
60℃)/酢酸エチル 1:1];νmax(CHCl3)/cm-12960、28
60(CH)、1753(C=O)、1599(C=C)、1373、1179
(SO2)、1225(C−O);δH(500MHz;CDCl3)1.93、2
.01、2.04、2.05、2.08、2.11(18H,6xs,6xAc)、
2.44(3H,s,Me)、3.63(1H,ddd,J2.0,5.7,9.9
,5−H)、3.73(1H,dd,J9.6,9.6,4−H)、3.83(1H
,t,J6,6,5’−H)、4.05(2H,d,J6.7,6’−Ha,6’
−Hb)、4.09(1H,dd,J5.8,11.9,6−Ha)、4.48(1
H,d,J
7.9,1’−H)、4.51(1H,dd,J2.0,11.9,6−Hb)、4
.67(1H,d,J10.1,1−H)、4.72(1H,dd,J3.6,10
.1,3’−H)、4.89(1H,dd,J9.7,9.7,2−H)、5.06
(1H,dd,J7.9,10.1,2’−H)、5.20(1H,dd,J9.1
,9.1,3−H)、5.45(1H,d,J3.5,4’−H)、7.29−7.
34(5H,m,Ar)、7.46−7.48(2H,m,Ar)、7.73(2
H,d,J8.3,Ar);δc(125.78MHz,CDCl3)20.50(2
CH3)、20.63(2 CH3)、20.76(2 CH3)、20.84(C
H3)、21.68(CH3)、60.84および62.08(2 CH2)、67.
24、68.99、70.71、73.79、76.17、76.32および76.6
1(8 CH)、85.46(1−C)、100.74(1’−C)、127.98
(2 CH)、128.31(CH)、128.88(2 CH)、129.80
(2 CH)、131.74(C,Ts)、132.90(C,Ph)、133.
03(2 CH)、145.34(C,Ts)、169.00、169.39、16
9.55、169.63、170.24および170.33(6 CO);m/z(
FAB+)863(MNa-,6%)、841(MH+,3)、731[(M-SP
h)+,17]、443[(M-397)+,18]、169[(M-671)+,
33]、109(PhS+,34)、43(CH3CO+,100)
フェニル 2,3,6−トリ−O−アセチル−4−O−(2',4'−ジ−O−ア
セチル−3',6'−ジ−O−p−トルエンスルホニル−β−D−ガラクト−ピラ
ノシル−1−デオキシ−1−チオ−β−D−グルコピラノシド12:
10の合成について記載したごとく11(11.3mg,15μモル)を処理
して12をガムとして得た(14mg,97%)]:[α]25 D+1.8(CHC
l3中、c0.9);Rf0.35[石油エーテル(沸点40−60℃/酢酸エチ
ル 1:1]νmax(CHCl3)/cm-12950、2880(CH)、175
6(C=O)、1599(C=C)、1373、1179(SO2)、1225
(C−O);δH(500MHz;CDCl3)1.91、1.94、1.98、2.
09、2.10(15H,5xs.5xAc)、2.48(6H,2xs,2xM
e)、3.63(1H,ddd,J1.8,5.5,9.8,5−H)、3.72(
1H,dd,H9.7,4−H)、3.87(1H,t,J6.3,5’−H)、
3.98(2H,d,J6.3,6’−Ha,6’−Hb)、4.06(1H,d
d,J5.6,11.9,6−Ha)、4.46(1H,d,J7.9,1’−H)
、4.50(1H,dd,J1.9,12.0,6−Hb)、4.67(2H,d,
J10.1,1−Hおよびdd,J2.1,10.1,3’−H)、4.88(1H
,dd,J9.7,9.7,2−H)、5.03(1H,dd,J7.9,10.0
,2’−H)、5.19(1H,dd,J9.1,9.1,3−H)、5.40(1
H,d,J3.5,4’−H)、7.29−7.32(3H,m,Ar)、7.34
(2H,d,J8.2,Ar)、7.38(2H,d,J8.2,Ar)、7.48
(2H,dd,J2.5,6.1,Ar)、7.72(2H,d,J8.3,Ar)
、7.77(2H,d,J8.3,Ar);δc(125.78MHz,CDCl3
)20.34、20.47、20.68、20.78および20.84(5 CH3
)、21.70(2 CH3)、62.01および65.82(2 CH2)、67.
26、68.86、70.30、70.97、73.63、75.96、76.18お
よび76.54(8 CH)、85.36(1−C)、100.39(1’−C)
、127.98(2 CH)、128.00(2 CH)、128.26(CH)
、128.89(2 CH)、129.85(2 CH)、130.09(2 C
H)、131.77および132.15(2 C,Ts)、132.88(2 C
H,1C)、145.42および145.52(2C,Ts)、168.95、1
69.19、169.50、169.65および170.32(5 CO);m/z
(LSIMS)843[(M−Sph)+,5%]、55[(M-397)+,4
2]、281[(M−671)+,100]
フェニルクロロスルフェート13:
油浴中、100℃にて、乾燥トルエン(380ml)中のフェノール(17g
、181ミリモル)の溶液を2時間撹拌した。水素形成が終了すると、油浴温度
を
2時間以上かけて130℃まで上昇させた。反応混合物を0℃まで冷却し、圧力
等化漏斗に移し、トルエン(50ml)中の塩化スルフリル(15ml、181
ミリモル)の冷(0℃)溶液にゆっくりと(1時間)添加した。室温で反応混合
物を16時間撹拌し、水(3x100ml)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、
真空中で濃縮して茶色油が得られ、これをVigreuxカラム(70−72℃/10
0μmHg、lit(13a):61−65℃/50μmHg)を通して減圧下で蒸
留して、13および〜10%フェノール(23.3g,67%)を含有する無色
油の画分、および純粋な13(1.17g,3%)の小画分を得た。νmax(CD
Cl3)1587(C=C)、1201(SO3);δH(200MHz;CDC
l3)7.34−7.57(m,Ph);δc(50MHz,CDCl3)121.6
9(2 CH)、123.15(C)、128.84(CH)、130.28およ
び130.42(2 CH):m/z(EI)194(M+,14%)、192(
M+,38)、93[(M-SO2Cl)+,33]、65[(M-127)-,100
]
フェニル 1−デオキシ−4−O−(6’−スルホ−β−D−ガラクトピラノ
シル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド14:
塩化p−トルエンスルホニルの代わりにPhSO3Cl(239μl,1.7ミ
リモル)を用いる以外は、8(59mg,115μモル)を9および11の合成
で記載したごとくに処理した。クロマトグラフィー(MeOH/CHCl3/H2
O 4:5:1)により、未反応出発物質および14(6.5mg,11%)を
白色固体として得た:融点176℃(分解):Rf0.27(MeOH/CHC
l3/H2O 4:5:1):νmax(KBr)/cm-13427(OH)、29
23(CH)、1255(SO3);δH(500MHz:CD3OD)3.29−
3.31(1H,m,2−H)、3.46−3.89(4H,m,4’−H,5’
−H,6−Ha,6−Hb)、4.14(1H,dd,J10.08,4.5,6
’−Ha)、4.24(1H,dd,J10.7,7.9,6’−Hb)、4.36
(1H,d,H7.4,1’−H)、4.65(1H,d,J9.8,1−H)、
7.2
5−7.32(3H,m,Ph)、7.55−7.57(2H,m,Ph);δc(
125.78MHz,CD3OD)62.18および67.96(2 CH2)、6
9.95、72.29、73.33、74.56、74.76、77.84、80.3
8および81.33(8 CH)、86.74(1−C)、105.23(1’−
C)、128.52(CH)、129.92(2 CH)、133.03(2 C
H)、134.72(C);m/z(ES-)513[(M−H)-,100%]
フェニル 1−デオキシ−4−O−(3'−O−スルホ−β−D−ガラクトピ
ラノシル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド、ナトリウム塩15およびフ
ェニル 1−デオキシ−4−O−(3',6'−ジ−O−スルホ−β−D−ガラク
トピラノシル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド、ニナトリウム塩16
窒素下、8(199mg,458μモル)を還流MeOH(4ml)中、Bu2
SnO(116.5mg,458μモル)と共に2時間撹拌した。溶媒を真空中
で減少させ、室温にて、乾燥ジブチルスタニレン複合体をジオキサン(4ml)
中のMe3N.SO3(132mg,920μモル)で30時間処理した。反応混
合物をMeOH(3ml)で希釈し、濾過し、真空中で減少させた。残渣をMe
OH(3ml)に溶解させ、カチオン交換樹脂カラム(AG50W−X8、Na+
、1x4cm)に負荷した。生成物をMeOHで溶出させ、溶出物を真空中で
濃縮し、クロマトグラフィー(MeOH/CHCl3/H2O 5:8:1)に付
して15(187.2mg,76%)および16(29.1mg,10%)を白色
固体として得た:15[α]24 D−26.2(MeOH中、c4.8);融点21
5℃(分解);Rf0.23(MeOH/CHCl3/H2O 5:8:1):νm ax
(KBr)/cm-13402(OH)、2920、2880(CH)、158
4(C=C)、1250(SO3 -);δH(500MHz;CD3OD)3.28
(1H,dd,J9.7,8.4,2−H)、3.43−3.46(1H,m,5−
H)、3.55(1H,dd,J8.7,8.7,3−H)、3.59(1H,dd
,J9.6,9.6,4−H)、3.63(1H,m,5’−H)、3.68−3.
73(2H,m,2’−H,6’−Ha)、3.77(1H,dd,J11.5,
7.5,6’−Hb)、3.85(1H,dd,J12.3,4.1,6−Ha)、
3.91(1H,dd,J12.3,2.5,6−Hb)、4.21−4.25(2
H,m,3’−H,4’−H)、4.48(1H,d,J7.8,1’−H)、4
.62(1H,d,J9.8,1−H)、7.24−7.32(3H,m,Ph)、
7.54−7.56(2H,m,Ph);δc(125.78MHz,CD3OD)
61.98および62.43(2 CH2)、68.55、70.87、73.31、
76.75および77.93(5 CH)、80.51(2 CH)、81.75(
CH)、89.12(1−C)、104.82(1’−C)、104.82(1’
−C)、128.44(CH)、129.88(2 CH)、133.01(2
CH)、134.92(C);m/z(FAB+)実測値:513.0738[M
−Na)-]、C18H25O13S2 -は513.0737を要する:16:
[α]24 D−29.9(MeOH中、c1.5):融点194℃(分解):Rf0.
13(MeOH/CHCl3/H2O 5:8:1);νmax(KBr)3431
(OH)、2928(CH)、1251(SO3);δH(500MHz:CD3
OD)3.33−3.35(1H,m,2−H)、3.51−3.54(1H,m,
5−H)、3.61(1H,dd,J8.9,8.9,4−H)、3.65(1H,
dd,J8.7,8.7,3−H)、3.75(1H,dd,J7.9,9.6,2’
−H)、3.87(1H,dd,J4.4,12.3,6−Ha)、3.95(1H
,dd,J2.5,12.4,6−Hb)、3.96−3.99(1H,m,5’−
H)、4.16(1H,dd,J3.7,10.8,6’−Ha)、4.27(1H
,d,J3.3,4’−H)、4.29−4.36(2H,m,3’−H,6’−
Hb)、4.50(1H,d,J7.8,1’−H)、4.72(1H,d,J9.
8,1−H)、7.28−7.36(3H,m,Ph)、7.59−7.61(2H
,m,Ph);δc(125.78MHz;CD3OD)62.07(6−C)、6
8.29(6’−C,CH)、70.54、73.20、74.47、77.81、
80.35、81.31、81.59(7 CH)、88.35(1−C)、105.0
2(1’−C)、128.64(CH,Ph)、129.98(2 CH,Ph)、
133.12(2 CH,Ph)、134.46(C,Ph):m/z(FAB+
)実測値:615.0117[(M−Na)+]、C18H24O16SNa-は615.
0124
を要する。
フェニル 1−デオキシ−4−O−(6'−O−スルホ−β−D−ガラクトピ
ラノシル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド14、フェニル 1−デオキ
シ−4−O−(β−D−ガラクトピラノシル)−6−O−スルホ−1−チオ−β
−D−グルコピラノシド17およびフェニル 1−デオキシ−6−O−スルホ−
4−O−(6'−O−スルホ−β−D−ガラクトピラノシル)−1−チオ−β−
D−グルコピラノシド18
DMF(1ml)中の8(50mg,115μモル)の溶液をMe3N.SO3
(33mg,230μモル)で処理し、室温にて4日間撹拌した。反応混合物を
真空中で濃縮し、クロマトグラフィー(MeOH/CHCl3/H2O 5:8:
1)に付して、未反応出発物質(6.3mg,13%)および14(10.2mg
,17%)、17(5.3mg,9%)、18(10.6mg,15%)を得た;
17:Rf0.22(MeOH/CHCl3/H2O 4:5:1);δH(500
MHz;CD3OD)3.26(1H,dd,J9.7,8.8,2−H)、3.5
0−3.51(2H,m,2’−H,4’−H)、3.53(1H,dd,J8.
8,8.8,3−H)、3.60(1H,dd,J9.1,9.1,4−H)、3.
60−3.62(1H,m,5’−H)、3.66−3.69(1H,m,5−H)
、3.69(1H,dd,J11.6,4.8,6’−Ha)、3.76(1H,d
d,J11.5,7.4,6’−Hb)、3.81(1H,d,J1.4,3’−H
)、4.30(1H,dd,J11.0,4.3,6−Ha)、4.35(1H,d
d,J11.0,1.9,6−Hb)、4.48(1H,d,J7.7,1’−H)
、4.58(1H,d,J9.8,1−H)、7.23、7.32(3H,m,Ph
)、7.55−7.59(2H,m,Ph);δc(125.78MHz,CD3O
D)62.49および67.51(2 CH2)、70.43、72.75、73.3
2、74.82、77.02、77.88、78.26および79.62(8 CH
)、88.99(1−C)、104.65(1’−C)、128.52(CH)、
129.89(2 CH)、133.42(2 CH)、134.59(CH);
m/
z(ES-)513[(M−H)-];18:融点180℃(分解);Rf0.1
6(MeOH/CHCl3/H2O 4:5:1);νmax(KBr)/cm-13
435(OH)、2922(CH)、1251(SO3);δH(500MHz;
CD3OD)3.28−3.31(1H,m,2−H)、3.52−3.57(4H
,m,2’−H,4’−H,3−H,4−H)、3.70−3.73(1H,m,
5−H)、3.86(1H,d,J1.3,3’−H)、3.88−3.90(1H
,m,5’−H)、4.14(1H,dd,J10.7,4.5,6’−Ha)、
4.24(1H,dd,J10.7,8.0,6’−Hb)、4.28(1H,dd
,J11.0,4.8,6−Ha)、4.36(1H,dd,J11.0,6−Hb
)、4.45(1H,d,J7.7,1’−H)、4.62(1H,d,J9.8,
1−H)、7.24−7.32(3H,m,Ph)、7.57−7.59(2H,m
,Ph);δc(125.78MHz,CD3OD)67.70および67.95(
2CH2)、69.99、72.51、73.17、74.53、74.75、77.
82、78.16および81.16(8 CH)、88.59(1−C)、105.
14(1’−C)、128.55(CH)、129.94(2 CH)、133.
30(2 CH)、134.50(C);m/z(ES-)615[(MNa−2
H)-,54%]、296[(M−2H)2-、100]
フェニル 2−アセトアミド−3,4,6−トリ−アセチル−1,2−ジ−デオ
キシ−1−チオ−β−D−グルコピラノシド19
CH3CN(10ml)中のクロロ 2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O
−アセチル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(844mg,2.31
ミリモル)の溶液にチオフェニル(280μl,2.72ミリモル)およびEt3
N(633μl,4.54ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で1.5時間
撹拌し、濾過し、真空中で濃縮し、クロマトグラフィー(AcOEt)に付して
、19を白色固体(968mg,95%)として得た:[α]24 D−20.4(C
HCl3中、c3.3);融点199℃;Rf0.35(AcOEt);νmax(C
DCl3)/cm-13287(NH)、2960、2880(CH)、
1747(CH3C=O)、1687(NHC=O)、1514(NH)、12
39(C−O);δH(200MHz;CDCl3)1.98、2.00、2.02
および2.07(12H,4xs,4xAc)、3.73(1H,ddd,J3.
0,5.0,10.0,5−H)、4.04(1H,ddd,J10.0,10.0
,10.0,2−H)、4.17−4.21(2H,m,6−Ha,6−Hb)、
4.87(1H,d,J10.4,1−H)、5.05(1H,dd,J9.7,9
.7,4−H)、5.24(1H,dd,J9.7,9.7,3−H)、5.81(1
H,d,J9.3,NH)、7.27−7.31(3H,m,Ph)、7.47−7
.52(2H,m,Ph);δc(50MHz;CDCl3)20.39(CH3)
、20.55(2 CH3)、23.12(CH3)、53.15(2−C)、62.
36(6−C)、68.50、73.66および75.61(3 CH)、86.5
3(1−C)、128.10(CH,Ph)、129.03(2 CH,Ph)
、132.45(2 CH,Ph)、132.76(C,Ph)、169.61、
170.45、170.88および171.21(4 CO);m/z(CI)実
測値:440.1379(MH+)、C20H26O8NS-は440.1379を要す
る。
フェニル 2−アセトアミド−1,2−ジ−デオキシ−1−チオ−β−D−グ
ルコピラノシド20:
室温にて、MeOH(2ml)中の19(102.5mg,233μモル)の
溶液を0.6Mナトリウムメトキシド溶液(149μl,89μモル)と共に0
.5時間撹拌した。反応混合物をMeOH(5ml)で希釈し、アンバーライト
−IR(H+)樹脂で中和した。樹脂を濾過によって除去し、MeOHで洗浄し
た。炉液および洗液を真空中で減少させて20を白色固体(72mg,99%)
として得た:[α]23 D+6.6(MeOH中、c0.8);融点222℃;Rf0.
50(MeOH/CHCl3/H2O 4:5:1:);νmax(KBr)/cm- 1
3360、3287(OH,NH)、2940、2880(CH)、1651
(C=O)、1541(NH);δH(500MHz;CD3OD)2.02(3
H,s,Ac)、3.33−3.40(2H,m,4−H,5−H)、3.49(
1H,
dd,J8.3,9.8,3−H)、3.71(1H,dd,J5.6,12.1,
6−Ha)、3.79(1H,dd,J10.1,10.1,2−H)、3.90(
1H,dd,J2.2,12.2,6−Hb)、4.81(1H,d,J10.4,
1−H)、7.26−7.33(3H,m,Ph)、7.51−7.53(2H,m
,Ph);δc(125.78MHz;CD3OD)22.96(CH3)、56.2
8(2−C)、62.86(6−C)、71.83、77.43および82.12(
3 CH)、88.38(1−C)、128.17(CH,Ph)、129.90
(2 CH,Ph)、132.11(2 CH,Ph)、135.93(C,Ph
)、174.54(CO);m/z(CI)実測値314.1062(MH+)、
C14H20O5NS+は314.1062を要する。
フェニル 2−アセトアミド−1,2−ジ−デオキシ−4−O−(β−D−ガ
ラクトピラノシル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド21:
20(12.5mg,40μモル)を、MnCl2(2mM)およびNaN3(
6mM)を含有する50mMカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.4,1ml
)と共に15分間音波処理した。白色懸濁液にBSA(0.9mg)、CIAP
(7U)、UDP−グルコース(29.9mg,48μモル)を添加した。
UDP−ガラクトース4−エピメラーゼ(4U)およびβ−ガラクトシルトラン
スフェラーゼ(1.07U)を添加した。反応混合物を37℃でインキュベート
し、17時間後、清澄な溶液を真空中で減少させ、残渣を2回クロマトグラフィ
ー(MeOH/CHCl3/H2O 4:5:1、次いでMeOH/CHCl3
1:4)に付して21を白色固体(11.3mg,60%)として得た:
[α]23 D+8.3(H2O中、c0.9);融点228℃;Rf0.35(MeOH
/CHCl3/H2O 4:5:1):νmax(KBr)/cm-13409、33
00(OH,NH)、2940、2880(CH)、1646(C=O)、15
48(NH);δH(500MHz;CD3OD)2.01(3H,s,Ac)、
3.46−3.47(1H,m,5−H)、3.50(1H,dd,J3.2,9.
7,3’−H)、3.55(1H,dd,J7.5,9.7,2’−H)、3.60
(1H,dd,J4.6,7.5,5’−H)、3.66−3.68(2H,m,3
−H,4−H)、3.70(1H,dd,J4.5,11.5,6’−Ha)、3.
78(1H,dd,J7.5,11.5,6’−Hb)、3.83(1H,d,J
3.2,4’−H)、3.85−3.89(2H,m,2−H,6−Ha)、3.9
4(1H,dd,J2.5,12.3,6−Hb)、4.41(1H,d,J7.5
,1’−H)、4.81(1H,d,J10.5,1−H)、7.27−7.33(
3H,m,Ph)、7.50−7.52(2H,m,Ph);δc(125.78M
Hz;CD3OD)、22.92(CH3)、55.69(2−C)、62.00お
よび62.54(2 CH2)、70.34、72.60,74.83、75.59、
77.17、80.52および80.67(7 CH)、88.49(1−C)、1
05.03(1’−C)、128.31(CH,Ph)、129.93(2 CH
,Ph)、132.32(2 CH,Ph)、135.74(C,Ph)、173
.37(CO);m/z(DCI)476(MH+,5%)、366[(M−Sp
h)+,36]、204[(M−271)-,100]
フェニル 2−アセトアミド−3,6−ジ−O−アセチル−4−O−(2’,
6’−ジ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル)−1,2−ジホデオキ
シ−1−チオ−β−D−グルコピラノシド22:
室温にて、ピリジン/Ac2O 2:1中の21の溶液(300μl)を45
時間撹拌し、真空中で減少させ、クロマトグラフィー(MeOH/CHCl3
1:9)に付して、22(1.2mg,28%)を得た:Rf0.22(MeOH
/CHCl3 1:9):δH(500MHz;CDCl3)1.98、2.07、
2.10、2.11および2.13(15H,5xs,5xAc)、3.60−3.
66(2H,m,3’−H,5’−H)、3.67(1H,dd,J2.2,6.
2,5−H)、3.73(1H,dd,J9.1,9.1,4−H)、3.85(1
H,d,J3.4,4’−H)、4.10−4.18(2H,m,2−H,6−H
a)、4.23(1H,dd,J6.3,11.4,6’−Ha)、4.37(1H
,dd,J6.4,11.7,6’−Hb)、4.38(1H,d,J7.7,1’
−
H)、4.53(1H,dd,J2.1,11.7,6−Hb)、4.70(1H,
d,J10.4,1−H)、4.86(1H,dd,J7.9,9.7,2’−H)
、5.08(1H,dd,J8.7,9.9,3−H)、5.68(1H,d,J9
.5,NH)、7.28−7.31(3H,m,Ph)、7.47−7.49(2H
,m,Ph);m/z(DCI)664(MH+,58%)、534[(M−S
ph)+,95]、168[(M−475)+,100]
フェニル 2−アセトアミド−1,2−ジ−デオキシ−4−O−(3’−スル
ホ−β−D−ガラクトピラノシル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド、ナ
トリウム塩23;
ジオキサンの代わりにTHFを用いて15の合成につき記載したごとくに21
(43mg,90μモル)を処理(43時間)して23を白色固体(43.2m
g,83%)として得た:[α]24 D−13(MeOH中、c2.9):融点205
℃(分解);Rf0.10(MeOH/CHCl3/H2O 5:10:1);νm ax
(KBr)/cm-13403(OH,NH)、2940、2880(CH)、
1557(Ph)、1651(C=O)、1557(NH)、1250(SO3 -
);δH(500MHz;CD3OD)2.00(3H,s,Ac)、3.44(1
H,ddd,J2.6,4.0,9.1,5−H)、3.62−3.66(3H,m
,3−H,4−H,5’−H)、3.66−3.73(2H,m,2’−H,6’
−Ha)、3.76(1H,dd,J7.5,11.5,6’−Hb)、3.84−
3.88(2H,m,2−H,6−Ha)、3.92(1H,dd,J2.5,1
2.3,6−Hb)、4.22(1H,d,J3.2,4’−H)、4.25(1H
,dd,J3.2,9.7,3’−H)、4.51(1H,d,J7.8,1’−H
)、4.79(1H,d,J10.5,1−H)、7.22−7.30(3H,m,
Ph)、7.47−7.89(2H,m,Ph);δc(50MHz;CD3OD)
22.25(CH3)、55.01(2−C)、61.91および61.38(2
CH2)、68.06、70.35、75.12および76.18(4 CH)、8
0.05(2 CH)、81.13(3’−C)、87.86(1−C)、104.
25(1’
−C)、127.94(CH,Ph)、129.62(2 CH,Ph)、131
.87(2 CH,Ph)、135.32(C,Ph)、173.33(CO):
m/z(FAB-)実測値554.0999[(M−Na)+]、C20H28O13S2 -
は554.1002を要する。
メチル 3−O−スルホ−β−D−ガラクトピラノシド、ナトリウム塩25;
ジオキサンの代わりにTHFを用い、15の合成で記載したごとくにメチルβ
−D−ガラクトピラノシド24(100mg,515μモル)を処理し(15時
間)、MeOH/CHCl3 1:1を溶媒として用いることによって生成物を
そのナトリウム塩に変換した。クロマトグラフィー(MeOH/CHCl3/H2
O 4:5:1)により、25を白色ガム(142mg,93%)として得た:
[α]23 D+8.3(MeOH中、c3.6);Rf0.16(MeOH/CHCl3
/H2O 4:5:1);νmax(KBr)/cm-13436(OH)、2947
(CH)、1251(SO3);δH(500MHz:CD3OD)3.53(3H
,s,OMe)、3.56(1H,dd,J6.09,6.09,5−H)、3.6
7(1H,dd,H7.9,8.8,2−H)、3.74(1H,d,J5.5,6
−Hb)、3.75(2H,d,J6.6,6−Ha)、4.22−4.25(3H
,m,1−H,3−H,4−H);δc(50MHz,CD3OD)55.80(
CH3)、60.93(CH2)、67.16、69.30、74.91および80.
58(4 CH)、104.37(1−C);m/z(FAB-)実測値:273
.0276[(M−Na)-]、C7H13O9S-は273.0280を要する。
メチル 2,4,6−トリ−O−アセチル−3−O−スルホ−β−D−ガラクト
ピラノシド、ナトリウム塩26:
Ac2O/ピリジン1:2(450μl)中の25(17.4mg,59μモル
)の溶液を2時間撹拌し、真空中で減少させた。残渣をトルエン(2ml)に溶
解させ、再度減少させて白色固体(24mg,97%)を得た:Rf0.47(
M
eOH/CHCl3/H2O 4:5:1);νmax(KBr)/cm-12925
(CH)、1737(C−O)、1263(SO3、C−O);δH(500MH
z;CDCl3)1.95、2.00および2.11(9H,3xs,3xAc)、
3.51(3H,s,OMe)、3.84(1H,dd,J11.1,11.1,5
−H)、4.31(1H,d,J10.0,6−Ha)、4.71(1H,d,J
8.1,1−H)、4.83(1H,dd,J3.2,10.5,3−H)、5.0
1(1H,d,J11.5,6−Hb)、5.14(1H,dd,J8.3,10.
2,2−H)、6.04(1H,ブロードs,4−H);δc(125.78MH
z,CDCl3)、14.17、20.26、21.05および21.13(4 C
H3)、56.42(6−C)、69.57、70.01、70.36および75.0
8(4 CH)、101.04(1−C)、168.28、169.82および1
73.09(3 CO);m/z(ES-)399[(M−Na)-,100%]
3−O−スルホ−β−D−ガラクトシルセラミド、ナトリウム塩3および3,
6−ジ−O−スルホ−β−D−ガラクトシルセラミド、二ナトリウム塩28:
1.5当量のBu2SnOを用い、25について記載したごとくにガラクトシル
セラミド27(41.8mg,51μモル)を硫酸化し、次いで、室温でMe3N
.SO3と共に4時間撹拌した。残渣を2回クロマトグラフィー(MeOH/CH
Cl3 1:4、次いでMeOH/CHCl3/H2O 5:10:1)に付して
3を白色固体(45.2mg,97%)として、および痕跡量の28を得た;3
:[α]23 D+2.6(MeOH中、c1.0);融点184℃(分解);Rf0.3
5(MeOH/CHCl3/H2O 5:10:1);νmax(KBr)/cm-1
3435(OH,NH)、2920、2851(CH)、1635(C=O)、
1556(NH)、1250(SO3);δH(500MHz;CD3OD/CD
Cl3 1:1)0.85(6H,t,J6.9,2xCH3)、1.20−1.35
(54H,m,27xCH2)、1.54−1.56(2H,m,NHCOCH2C
H2)、1.97−2.00(6H,m,3xCH=CHCH2)、2.13−2.1
6(2H,t,J7.7,NHCOCH2)、3.55(1H,dd,J5.9,5.
9,5−H)、3.61(1H,dd,J3.0,10.3,OCHaHbCNH
)、3.70−3.80(3H,m,6−Ha,6−Hb,2−H)、3.95−
3.98(1H,m,CHNH)、4.07(1H,dd,J7.7,7.7,CH
OHCNH)、4.14(1H,dd,J4.7,10.3,OCHaHbCNH
)、4.24−4.27(2H,m,3−H,4−H)、4.32(1H,d,J
7.7,1−H)、5.30(2H,t,J4.7,シスCH=CH)、5.41(
1H,dd,J7.6,15.3,CHOHCHa=CHb)、5.66(1H,
dt,J7.2,15.3,CHOHCHa=CHb)、7.67(1H,d,J
9.2,NH);δc(125.78MHz;CD3OD/CDCl3 1:1)1
4.33(2 CH2)、23.20(2 CH2)、26.61(CH2)、27.
68(2 CH2)、29.87、29.94および30.29(23 CH2)、
32.49(2 CH2)、32.98(CH2)、37.02(CH2)、53.9
9(CH)、61.89(CH2)、68.02(CH)、69.50(CH2)、
70.23、72.38、75.41および80.94(4 CH)、103.98
(1−C)、130.04(C=)、130.37(C=C)、134.87(C
=)、175.45(CO);m/z(FAB+)実測値:888.6240[(
M−Na)-]、C48H90NO11S-は888.6235を要する:28:Rf0.
18(MeOH/CHCl3/H2O 5:10:1);νmax(KBr)/cm- 1
3435(OH,NH)、2921、2851(CH)、1630(C=O)
、1560(NH)、1252(SO3);δH(500MHz;CD3OD/C
DCl3 1:1)0.85(6H,t,J6.9,2xCH3),1.23−1.3
2(54H,m,27xCH2)、1.53−1.56(2H,m,CH2CH2C
ONH)、1.97−2.00(6H,m,3xCH2CH=CH)、2.14(2
H,t,J7.7,CH2CONH)、3.56(1H,dd,J2.9,10.3
,CHaHbCNH)、3.73(1H,dd,J7.9,9.5,2−H)、3.
81(1H,dd,J6.4,6.4,5−H)、3.96−3.98(1H,m,
CHNH)、4.06(1H,dd,J7.8,CHOHCNH)、4.13−4.
23(3H,m,CHa
HbCNH,6−Ha,6−Hb)、4.25−4.31(2H,m,3−H,4
−H)、4.33(1H,d,J7.7,1−H)、5.30(2H,t,J4.7
,シスCH=CH)、5.41(1H,dd,J7.6,15.3,CHOHCH
a=CHb)、5.66(1H,dt,J6.7,15.3,CHOHCHa=C
Hb)、7.74(1H,d,J8.9,NH);m/z(FAB-)実測値:9
90.5659[(M−Na)-]および968.5781[(MH−2Na)-]
、C48H89NO14S2Na-は990.5622を、またC48H90NO14S2 -は9
68.5803を要する。
ベンジル 4−O−(4’,6’−O−ベンジリデン−2’−O−スルホ−α
−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシド30:
15につき記載したごとくに29(54mg,104μモル)を硫酸化し、C
H2Cl2:MeOH(8:2)を用いるクロマトグラフィーに付して30を白色
ガム状固体(54mg,87%)として得た。[α]23 D+26.0(MeOH中、
c1.0);Rf0.40(CH2Cl2/MeOH 8:2);δH(500MH
z;CD3OD)3.34−3.35(1H,m,2−H)、3.40−3.43(
1H,m,6−H)、3.59(1H,t,J9.5,4’−H)、3.69−3.
79(4H,m,3−H,6−Hb,6’−H)、3.86−3.89(1H,m
,5’−H)、3.90−3.94(1H,m,5−H)、3.97(1H,t,
J9.6,3’−H)、4.26(1H,dd,J10.1,4.8,4−H)、4
.33(1H,dd,J9.6,4.0,2’−H)、4.41(1H,d,J7.
9,1−H)、4.79(2H,dd,J12.7,11.8,PhCH2)、5.
59(1H,s,PhCH)、5.76(1H,d,J4.01,1’−H)、7
.25−7.51(10H,m,PhCH2,PhCH);δc(125.78MH
z;CD3OD)62.63、64.43、69.69、70.00、71.75、7
4.80、76.30、77.76、78.20、79.55、82.35、(2−C
、3−C、4−C、5−C、6−C、2’−C、3’−C、4’−C、5’−C
、6’−C,PhCH2)、98.96、102.95、103.06、(1−C,
1’
−C,PhCH),127.51、128.68、129.02、129.17、1
29.27、129.92、139.04(PhCH2,PhCH):m/z(ES-
)599[(M−H)-,100%]
Tert−ブチル [アリル 4−O−(4’,6’−O−ベンジリデン−2’−
O−スルホ−α−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシド]ウロネ
ート32:
15につき記載したごとくに31(55mg,100μモル)を硫酸化して3
2を無色ガム(34mg,54%)として得た:Rf0.33(CH2Cl2/M
eOH 8:2);δH(500MHz;CD3OD)1.52(9H,s,C(
CH3)3),3.27(1H,dd,J7.9,9.3,2−H),3.54(1H
,t,J9.3,4’−H)、3.69−3.74(3H,m,5’−H,6’−
H)、3.77(1H,dd,J8.9,9.0,3−H)、3.81(1H,d,
J9.6,5−H)、3.89(1H,t,J9.5,3’−H)、3.95(1H
,dd,J8.9,9.3,4−H)、4.13−4.17(1H,m,OCH2)
、4.24−4.32(2H,m,2’−H,OCH2)、4.40(1H,d,J
7.9,1−H)、5.15−5.17(1H,m,CH=CH2)、5.30−5.
34(1H,m,CH=CH2)、5.56(1H,s,PhCH)、5.89(
1H,d,J4.0,1’−H)、5.91−5.99(1H,m,CH=CH2)
、7.31−7.46(5H,m,Ph);δc(125.78NHz:CD3OD
)28.54[C(CH3)3]、69.50および71.47(6’−C,OCH2
)、63.90、69.82、74.35、76.63、77.06、77.70、7
9.31および82.27(2−C,3−C,4−C,5−C,2’−C,3’−
C,4’−C,5’−C)、83.73(CMe3)、98.09、103.01お
よび103.76(1−C,1’−C,PhCH)、117.69(OCH2CH
=CH2)、127.54、128.99および129.91(5 CH,Ph)、
135.47(OCH2CH=CH2)、139.06(C,Ph)、169.16
(C=O);m/z(FAB-)実測値:619.1708[(M−H)-]、
C26H35O15S-は619.1697を要する。
アリル 4−O−(4’,6’−O−ベンジリデン−2’−O−スルホ−α−
D−グルコピラノシル)−6−O−tert−ブチルジメチルシリル−β−D−グル
コピラノシド34:
15について記載したごとく33(50mg,86μモル)を硫酸化し、室温
でMe3N.SO3と共に93時間撹拌した。クロマトグラフィー(CH2Cl2/
MeOH 8:2)により34を無色ガム(32mg,52%)として得た:R
f0.44(CH2Cl2/MeOH 8:2);[α]25 D+32.23(MeOH
中、c1.03);δH(500MHz;CD3OD)0.11および0.12(6
H,2s,SiMe2)、0.92(9H,s,tBu)、3.23(1H,dd,
J8.1,8.6,2−H)、3.35−3.38(1H,m,5−H)、3.58
(1H,t,J9.5,4’−H)、3.72−3.77(3H,m,3−H,4
−H,6’−Ha)、3.86−3.98(4H,m,3’−H,5’−H,6−
H)、4.11−4.16(1H,m,OCH2)、4.23(1H,dd,J4.
8,10.1,6’−Hb)、4.29(1H,dd,J4.0,9.6,2’−H
)、4.30−4.33(1H,m,OCH2)、4.33(1H,d,J7.9,
1−H)、5.14−5.33(2H,m,CH=CH2)、5.59(1H,s,
PhCH)、5.83(1H,d,J4.0,1’−H)、5.92−5.99(1
H,m,CH=CH2)、7.32−7.50(5H,m,Ph);δc(125.
78MHz;CD3OD)、−4.89および−4.81(SiMe2)、19.3
8(CMe3)、26.58(CMe3)、63.81、69.73および70.89
(6−C,6’−C,OCH2−CH=CH2)、64.48、69.89、74.
73、76.39、76.84、78.38、79.52および82.44(2−C
,3−C,4−C,5−C,2’−C,3’−C,4’−C,5’−C)、98
.78、102.83および103.02(1−C,1’−C,PhCH)、11
7.52(OCH2CH=CH2)、127.57、128.99およぴ129.95
(5CH,Ph)、135.69(OCH2CH=CH2)、139.04(C,P
h)
:m/z(FAB-)実測値:663.2149[(M−H)-]、C28H42O14
SiS-は663.2143を要する。
前記したごとく、硫酸化糖および糖複合体(該糖のいくつかのヒドロキシルま
たはアミノ基のうちの1個または数個が硫酸エステルとしてエステル化されてい
る)は、生物学的系で豊富である。かかる構造の例は、硫酸化糖脂質(例えば3
)、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸またはケラ
タン硫酸のごとき硫酸化グリコサミノグリカン(例えば、Lander,A.D.,Chemist
ry & Biology,1,73−78,1994参照)、および硫酸化Lewisxおよ
びLewisa抗原(これらは、蛋白質または脂質いずれかに結合し得る)(例
えば、Yuenらによる最初に述べた論文参照)のごときいくつかの血液型抗原を含
む。硫酸化Lewis抗原は、当該糖の同一部分にシアル酸を含有するLewi
s抗原と同様の生物学的活性を有し得る。
これらの硫酸化糖は、細胞接着、細胞増殖、血管形成、細胞分化、細胞侵潤ま
たは細胞付着(例えば、Lander、上記引用文中)のごとき広範囲の生物学的プロ
セスで重要な役割を有する。かかるプロセスは、血液凝固、癌、アテローム動脈
硬化症、炎症、負傷治癒および変性神経系病のごとき広範囲の化学的および臨床
的領域における生理学的重要性を有する。これらのプロセスを選択的に模倣また
は阻害する化合物は、従って、かなりの治療的重要性を保有する。かかる化合物
は、かかる構造の硫酸化オリゴ糖またはアナログの部分的構造であり得る。この
領域における挑戦の1つは、これらの複合体分子の化学的合成である。この領域
で進歩があったが(例えば、Lubineauら、上記引用文中、およびNicolaoら、上
記引用文中)、複合体保護基戦術についての要求のため、合成は長くかつ低収率
である。
レジオ選択的硫酸化の本発明方法は、保護の必要が少なく、従って、多数の合
成工程を実質的に減らすという利点を有する。例えば、21からの化合物23の
古典的合成は5工程を要し、他方、本発明方法は21を23に1の高収率工程で
変換する。それは保護基を多くは要しないので、前記スキーム6に示したごとく
酵素的方法と組み合わせて使用できる:20から21をまず酵素的に作製し、次
いで、レジオ選択的に23へと硫酸化する。23はフコシルトランスフェラーゼ
の基質であることが示され、これはスルホ−Lewisx抗原構造を与える(例
えば、Chandrasekaranら、上記引用文中)。
本発明硫酸化方法は、3−硫酸化ガラクトシドへのアクセスを与えるのみでは
なく、前記スキーム4(8ないし14)および表1(29ないし30)に示した
ごとく、他の位置を硫酸化するのにも使用できる。アセタール(29)、アリル
アルコール(27)、シリルエーテル(33)、アミド(27)およびエステル
(31)のごとき多数の官能基の存在下で用いることもできる。これまで特に糖
および糖脂質に適用されたが、官能基についてのそのトレランスが与えられれば
、糖ペプチド合成にも適用可能である。
本発明方法を(3のごとき)天然化合物を作製するのにも使用でき、(14、
15、16、23、25、30、32および34のごとき)有用な新規化合物の
合成にも適用できる。
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(72)発明者 ギルベール,ベネディクト
イギリス、オーエックス1・3キューワ
イ、オックスフォード、サウス・パーク
ス・ロード (番地の表示なし) ユニバ
ーシティ・オブ・オックスフォード、ザ・
ダイソン・ペリンス・ラボラトリー