JPH1050020A - 磁気ヘッドスライダ及び該磁気ヘッドスライダを持つ磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気ヘッドスライダ及び該磁気ヘッドスライダを持つ磁気ディスク装置

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Publication number
JPH1050020A
JPH1050020A JP20376796A JP20376796A JPH1050020A JP H1050020 A JPH1050020 A JP H1050020A JP 20376796 A JP20376796 A JP 20376796A JP 20376796 A JP20376796 A JP 20376796A JP H1050020 A JPH1050020 A JP H1050020A
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JP
Japan
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magnetic disk
recording
slider
magnetic head
flying height
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Application number
JP20376796A
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Inventor
Hidekazu Kodaira
英一 小平
Masaaki Matsumoto
真明 松本
Seiji Hashimoto
清司 橋本
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一な浮上プロファイルを実現し、簡単な構
成で記録再生時のみスライダの浮上量を下げて高記録密
度化を達成しつつ、記録/再生を行わない時には浮上量
を上げることで信頼性を確保し、消費電力の低減を実現
すること。 【解決手段】 記録再生時の周速範囲より小さな周速で
浮上量の極大値を有する負圧スライダ4を用い、磁気デ
ィスク2の最内周記録半径でのヨー角の大きさを最外周
記録半径でのヨー角より大きく設定すると共に、記録再
生時のみスピンドルモータの回転数を上げて浮上量を下
げ、記録再生を行っていない時にはスピンドルモータの
回転数を下げて浮上量を上げるもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、負圧型の磁気ヘッ
ドスライダ及び該磁気ヘッドスライダを持つ磁気ディス
ク装置に関し、特に記録再生時以外に磁気ヘッドスライ
ダを記録再生時より高く浮上することにより、信頼性を
保ちつつ記録密度の向上を達成し、しかも消費電力を低
減し得る磁気ヘッドスライダ及び該磁気ヘッドスライダ
を持つ磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に磁気ディスク装置は、磁気ヘッド
素子を搭載した磁気ヘッドスライダを磁気ディスクの高
速回転により生じる空気粘性流によって浮上した状態で
情報の記録再生を行っている。特に近年の磁気ディスク
装置は、高記録密度化の要求によって浮上量を狭小化す
る傾向にあり、浮上量が50nm程度に狭小化されてい
る。この磁気ディスク装置は、前述の浮上量の狭小化の
みならず、情報の記録再生特性を保つために浮上量を磁
気ディスク全面にわたってほぼ均一化することが要求さ
れる。
【0003】ここで一般の磁気ヘッドスライダとして
は、周速の増大に応じて正圧を発生して浮上量が大きく
なる特性の正圧スライダや、周速が大きくなるに従って
負圧を生じて浮上量の増加を抑制する負圧スライダが採
用されている。これら正/負圧スライダを用いた場合、
一般に磁気ディスク外周側で周速が大きくなるにつれ、
内周側に比べて浮上量が大きくなる特性を持ち、またス
ライダの長手方向とスライダに流入する空気の流入方向
がなす角度であるヨー角が大きくなるにつれて浮上量が
低下する特性を持っている。
【0004】そこで従来技術による磁気ディスク装置
は、磁気ディスク内周側より外周側ほど大きくなるよう
に前記ヨー角を設定し、ヨー角の増加に伴う浮上量の低
下と周速の増加に伴う浮上量の増加を相殺することによ
り、磁気ディスク全面にわたる浮上量を均一化すること
が行われている。
【0005】また近年の磁気ディスク装置では、磁気ヘ
ッドスライダと磁気ディスクを常に接触させた状態で記
録再生を行うコンタクト・レコーディング方式のものも
提案されている。
【0006】前記浮上量の狭小化は、記録密度の向上に
貢献するものの、磁気ヘッドスライダと磁気ディスクと
が頻繁に接触する可能性が増大し、接触の状態が極めて
劣悪な場合にはスライダがクラッシュし、磁気ディスク
上に記録された情報が破壊される恐れがあった。またコ
ンタクト・レコーディング方式の装置においても磁気デ
ィスク装置の寿命内でスライダと磁気ディスク双方の磨
耗を低減し磁気ディスク装置の信頼性を確保するため
に、スライダと磁気ディスクの接触にともなう接触力の
低減と、スライダと磁気ディスクの総摺動距離の短縮が
必要であった。
【0007】一方、磁気ディスク装置の寿命の内で磁気
ヘッドスライダが実際に磁気ディスクに対し記録再生を
行う時間は極めてわずかであり、従って記録再生を行う
時だけ浮上量を低下させ、記録再生時以外に高浮上化す
ることができれば、磁気ディスク装置の信頼性を保ちつ
つ記録密度を向上させることができる。
【0008】他方、近年の磁気ディスク装置は、可搬性
のノートパーソナルコンピュータあるいはサブノートパ
ーソナルコンピュータに搭載する要望があるため、記録
密度を向上に加えて消費電力を低減することが望まれて
いる。
【0009】これら不具合を解決するために従来技術に
よる磁気ディスク装置では、次の技術が提案されてい
る。
【0010】(1) 磁気ヘッドスライダに変形可能領域
を設け、圧電素子等によりスライダの姿勢を自由に制御
することにより、記録再生時のみ浮上量を低下させ、記
録再生を行っていない時は浮上量を大きくするプログラ
マブルスライダ技術。このプログラマブルスライダ技術
は、記録/再生時にのみ浮上量を低下させるため、スラ
イダと磁気ディスクの接触頻度が大幅に減り、磁気ディ
スク装置の信頼性を保ちつつ高密度化が達成できる。こ
の技術は、例えば特開平3−144979号公報に記載
されている。
【0011】(2)記録/再生データ量が少ない時にモー
タを低速回転させることで消費電力を削減する技術。こ
の技術は、パーソナルコンピュータ等に使用され、省電
力型の磁気ディスク装置を提供することができるもの
の、モータの低速化に伴うスライダ浮上量の低下を防ぐ
ために、スライダの押付荷重を可変にする構成あるいは
周速依存性の小さな負圧スライダを用いることが行われ
ている。この技術は、例えば特開平7−121973号
公報に記載されている。
【0012】(3)周速が大きくなるにつれ浮上量が低下
する負圧スライダを利用し、記録/再生時以外はモータ
を低速回転させて浮上量を増加させることで、磁気ディ
スク装置内に内在する浮遊塵埃の影響を少なくする技
術。この技術は、例えば特開平4−291069号公報
に記載されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前記(1)記載の磁気ヘ
ッドスライダに変形可能領域を設けるものは、記録/再
生時にのみ浮上量を低下させることで、磁気ディスク装
置の高い信頼性を保ちつつ高記録密度化を達成できるも
のの、スライダに浮上姿勢を制御するための変形可能領
域や、変形可能領域をたわませるために必要な圧電素子
を設けなければならず、スライダの構成が複雑になり、
特に微少化の際にスライダ製造が困難になる不具合があ
った。またこの技術は、スライダの浮上量を制御するた
めの圧電素子に電圧を印加するための電圧源/回路/制
御系が新たに必要となり消費電力が大きくなってしまう
不具合もあった。
【0014】前記(2)記載の記録/再生データ量が少な
い時にモータを低速回転させる技術は、モータを低速回
転することで消費電力を低減できるものの、モータの低
速化にともなうスライダ浮上量の低下を防ぐためのスラ
イダの押付荷重を可変にする特別な機構が必要である不
具合があった。更に本技術は、浮上量の周速依存性が小
さな従来の負圧スライダを用いたとしてもモータの低速
化に伴い多少なりとも浮上量が低下し、その低浮上状態
が磁気ディスク装置寿命の内で大部分を占める記録再生
を行わない時間の間続くことになり、磁気ディスク装置
の信頼性に対し、大きな影響を与える可能性があった。
【0015】前記(3)記載の周速が増加するにつれ浮上
量が低下する負圧スライダを使用する技術は、記録再生
時はモータの回転数を下げて浮上量を増加させることが
できる。しかし従来技術による磁気ディスク装置では、
周速が速くなる磁気ディスク外周側でヨー角が大きくな
って浮上量の低下が大きくなり、磁気ディスク外周側に
おける浮上量が磁気ディスク内周側における浮上量と比
べてはるかに小さくなってしまう不具合があった。更に
該外周側での浮上量の低下によって、比較的周速が大き
い磁気ディスク外周部で磁気ヘッドスライダとの接触が
発生すると、耐摺動的に好ましくないものであった。
【0016】本発明の目的は前述の従来技術による不具
合を除去することであり、磁気ディスク全面にわたる浮
上量を概ね均一化し、記録再生時にのみスライダの浮上
量を低下させ、記録再生を行っていない時にはスライダ
の浮上量を高くし、磁気ディスク装置の高い信頼性を保
ちつつ記録密度の向上を達成した磁気ヘッドスライダ及
び磁気ディスク装置を提供することである。更に本発明
の他の目的は消費電力が小さな磁気ディスク装置を提供
することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、磁気ディスクの回転によって生じる空気粘
性流により磁気ディスク上に浮上し、記録再生時の磁気
ディスクの周速により所定の浮上量を保ちながら磁気ヘ
ッド素子によりデータの記録再生を行う磁気ヘッドスラ
イダであって、前記記録再生時の磁気ディスクの周速よ
り低速の周速で浮上量が記録再生時の所定の浮上量より
高くなる負圧浮上特性を持ち、且つ磁気ヘッドスライダ
の長手方向と空気流入方向とが成すヨー角を、磁気ディ
スクの最外周に比べて最内周が大きくなる様に設定した
ことを第1の特徴とする。
【0018】更に本発明は、前記第1の特徴による磁気
ヘッドスライダにおいて、前記ヨー角が5度以上の角度
で浮上量が最大になる様に設定することを第2の特徴と
し、前記各特徴による磁気ヘッドスライダにおいて、磁
気ディスクに向かう面に正圧を発生する一対のサイドレ
ールを有し、且つ該サイドレールの磁気ディスク外周側
での空気流入方向にサイドレールに対して段差を持つス
テップ軸受面を設けたことを第3の特徴とする。
【0019】また本発明は、磁気ヘッド素子を搭載する
磁気ヘッドスライダと、該磁気ヘッド素子によりデータ
の記録を行う磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転
的に支持するスピンドルと、前記スピンドルを回転駆動
するスピンドルモータからなる磁気ディスク装置におい
て、前記磁気ヘッドスライダが、記録再生時の磁気ディ
スクの周速より低速の周速で浮上量が記録再生時の所定
の浮上量より高くなる浮上特性を持ち、且つ磁気ヘッド
スライダの長手方向と空気流入方向とが成すヨー角を、
磁気ディスクの最外周に比べて最内周が大きくなる様に
設定したことを第4の特徴とする。
【0020】更に本発明は、磁気ヘッド素子を搭載する
磁気ヘッドスライダと、該磁気ヘッド素子によりデータ
の記録を行う磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転
的に支持するスピンドルと、前記スピンドルを回転駆動
するスピンドルモータからなる磁気ディスク装置におい
て、前記磁気ヘッドスライダが、記録再生時の磁気ディ
スクの周速より低速の周速で浮上量が記録再生時の所定
の浮上量より高くなる浮上特性を持ち、且つ磁気ヘッド
スライダの長手方向と空気流入方向とが成すヨー角を、
磁気ディスクの最外周に比べて最内周が大きくなる様に
設定すると共に、前記磁気ヘッド素子が磁気ディスクに
対して記録再生を行っていないときに前記スピンドルモ
ータの回転数を低下させることを第5の特徴とする。
【0021】更に本発明は、前記第4及び5の特徴によ
る磁気ディスク装置において、記磁気ヘッド素子が磁気
ディスクに対して記録再生を行っていない時に磁気ヘッ
ドスライダを磁気ディスクの最内周位置に移動すること
を第6の特徴とし、前記磁気ヘッドスライダが、磁気デ
ィスクに向かう面に正圧を発生する一対のサイドレール
を有し、且つ該サイドレールの磁気ディスク外周側での
空気流入方向にステップ軸受面を設けたことを第7の特
徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態による
磁気ヘッドスライダ及び該磁気ヘッドスライダを持つ磁
気ディスク装置を図面を参照して詳細に説明する。図1
は本実施形態による磁気ヘッドスライダが適用される磁
気ディスク装置の構成を示す図、図2は本実施形態によ
る磁気ヘッドスライダの浮上面を表す図、図3は本磁気
ヘッドスライダの周速と浮上量との関係を示す図、図4
は磁気ヘッドスライダの長手方向と空気流入方向とが成
すヨー角と浮上量との関係を2つの周速で示す図、図5
はスライダの磁気ディスク上での半径位置と浮上量の関
係を示す図、図6は磁気ディスクと磁気ヘッドスライダ
との記録再生時と非記録再生時での浮上状態を示す図で
ある。
【0023】まず本実施形態による磁気ヘッドスライダ
が適用される磁気ディスク装置は、図1に示す如く、ス
ピンドル1内に設けられたスピンドルモータにより、矢
印V方向に回転駆動される磁気ディスク2と、該スピン
ドルモータの回転を制御するスピンドルコントローラ3
と、磁気ヘッド素子を搭載したスライダ4を弾性的に支
持するサスペンション5と、該サスペンション5を一端
に支持し、他端に設けられたボイスコイルモータ7によ
りピボットベアリング8を回転中心として回動するキャ
リッジアーム6と、該ボイスコイルモータ7の回動を制
御するボイスコイルモータコントローラ10と、前記磁
気ヘッド素子を用いて磁気ディスク2に対してデータの
記録再生を制御する記録/再生コントローラ9とを備
え、ボイスコイルモータコントローラ10の制御により
ボイスコイルモータ7を駆動して磁気ヘッドスライダ4
を磁気ディスク2上の任意のトラックに移動させ、且つ
磁気ヘッドスライダ4が磁気ディスク2の高速回転によ
って生じる空気粘性流により浮上した状態で磁気ヘッド
素子(図示せず)がデータの記録再生を行う様に構成さ
れている。
【0024】前記磁気ヘッドスライダ4は、磁気ディス
ク2の回転により生じる空気流をスライダ4の磁気ディ
スク2対向面に形成された浮上面で受けて浮上力(正
圧)を発生し、サスペンション5により与えられた荷重
と釣り合うすきまで浮上するものである。このスライダ
4の詳細については後述する。
【0025】また前述のデータ記録/再生を行う際の磁
気ディスク2の磁気ヘッド素子に対する周速は、磁気デ
ィスク2の最内周記録半径Rinと最外周記録半径Rout
及びスピンドルモータの回転数Nから一意に定まり、例
えば、3.5インチの磁気ディスク装置を想定し、スピ
ンドルモータの回転数Nが7200回転/分、最内周記
録半径Rinが20mm、最外周記録半径Routが45m
mの場合、記録/再生時の周速の範囲は15m/sから
34m/sと一意に定まるものである。
【0026】図2は、本実施形態による磁気ヘッドスラ
イダ4の磁気ディスク対向面(浮上面)を示す図であ
る。この磁気ヘッドスライダ4は、図中上側の空気流入
端側に形成した(空気が流入し易いように傾斜した)一
対のテーパ部41と、該テーパ部41に続いて空気流の
下流側(図中下方向)に続くクロスレール部42と、該
クロスレール部42からスライダ側面に沿って空気流の
下流側に続く一対のサイドレール43と、スライダの空
気流出端に配置され、磁気ヘッド素子44が設けられた
センタパッド45と、前記各レール部に対して凹形状を
形成することにより負圧力を発生する溝部46とから成
り、前記各レール部が正圧を発生し、溝部46が負圧を
発生し、これら正圧及び負圧並びにサスペンション5に
よる押圧力の釣り合いによって磁気ディスク上を浮上す
る様に構成されている。
【0027】本実施形態による磁気ヘッドスライダ4
は、溝部46の深さが6μm、スライダ長さが2mm、
幅が1.6mm、サスペンション5によりスライダ4に
加えられる押付荷重を1gfとするのが好適である。
【0028】従来技術によるテーパフラットスライダの
ような正圧スライダ及び負圧スライダは、一般的に周速
が大きくなるにつれ、スライダの浮上量が大きくなるよ
うに設計されていた。しかしながら本実施形態による磁
気ヘッドスライダの周速に対する浮上量は、図3の本負
圧スライダの周速と浮上量の関係に示す如く、周速の増
加に伴って周速7.5m/sにおいて浮上量が極大値を
有し、更に周速が増加すると逆に浮上量が低下する特性
を持っている。即ち本実施形態による磁気ヘッドスライ
ダ4は、磁気ディスク装置の記録/再生時の周速範囲よ
り小さな周速で浮上量が極大値となり、例えば周速が
7.5m/sにおいて浮上量が極大値となり、しかも記
録/再生時の周速範囲(15m/s〜34m/s)内で
は、周速が大きくなるほど浮上量が小さくなる特性を持
つものである。
【0029】次に負圧スライダのヨー角θと浮上量の関
係を説明する。本明細書で述べるヨー角とは、スライダ
の長手方向とスライダに流入する空気の流入方向がなす
角度のことであり、スライダ中心に対し空気がまっすぐ
流入する場合のヨー角を0°とし、スライダ中心に対し
磁気ディスク内周側から空気が流入する場合のヨー角の
符号を正とし、スライダ中心に対し磁気ディスク外周側
から空気が流入する場合のヨー角の符号を負と定義す
る。
【0030】このヨー角θと浮上量の関係は、図4に示
す如く、ヨー角が0度近傍でスライダの浮上量が最大値
となり、ヨー角がプラスマイナス方向に大きくなるほど
浮上量が小さくなる特性である。また本実施形態による
スライダは、図4に示した如く、前記図3に示した記録
/再生時の周速範囲では周速が大きくなるに従って浮上
量が低下する特性のため、周速34m/sに対して周速
15m/sの方が高浮上量となる特性を持っている。
【0031】さて、一般に磁気ディスク装置に要求され
る最も重要な浮上特性の一つとして、磁気ディスク全面
にわたる浮上量、即ち浮上プロファイルを概ね均一化す
ることが挙げられる。これまでの磁気ディスク装置に用
いられる一般的なスライダは、周速の増加に伴い浮上量
が増加する特性を持っていたので、磁気ディスク内周側
から外周側にわたる周速の増加に伴うスライダ浮上量の
増加と、ヨー角の絶対値が大きくなることに伴う浮上量
の低下を相殺することによって、浮上プロファイルを概
ね均一化していた。従って、磁気ディスクの内周側でヨ
ー角を小さく、外周側ほどヨー角を大きくするようにし
なければならなかった。
【0032】しかしながら本実施形態では、図3に示し
たように負圧スライダの浮上量が記録/再生時の周速範
囲より小さな周速で極大値を持ち、しかも、記録/再生
時の周速範囲内では周速が大きくなるにつれ浮上量が小
さくなる周速特性を持つ磁気ヘッドスライダを採用し
た。従って、これまでのように磁気ディスクの内周側で
ヨー角を小さく、外周側ほどヨー角を大きくすると、磁
気ディスクの外周側で内周側と比較して極めて浮上量が
小さくなり、周速の大きな外周側でスライダと磁気ディ
スクの接触可能性が増大し、磁気ディスク装置の信頼性
を損なう可能性があった。
【0033】そこで本発明は、記録/再生時の周速範囲
内で周速が速くなるほど浮上量が低下するような負圧ス
ライダを用いても、浮上プロファイルを概ね均一化でき
るように、磁気ディスクの最内周記録半径におけるヨー
角を最外周記録半径におけるヨー角よりも大きくする様
に構成した。即ち、本発明は、磁気ディスクの内周側か
ら外周側へ向かってヨー角の絶対値が小さくなるように
設定することにより、ヨー角の減少に伴う浮上量の増加
と周速の増加に伴う浮上量の低下とを相殺し、磁気ディ
スク全面にわたる浮上量を概ね均一化した。
【0034】このように設計した本発明の一実施形態に
よる磁気ヘッドスライダの浮上プロファイルの一例を図
5に示す。この浮上プロファイルは、最内周記録半径R
in=20mmにおける最小浮上量が約27nm、記録半
径30mmの位置における最大浮上量が約34nmであ
り、磁気ディスク内外周にわたる最大/最小浮上量差が
約7nmであることを示している。本実施形態による磁
気ディスク装置は、図3に示した周速特性を有する負圧
スライダを用い、磁気ディスク最内周記録半径における
ヨー角を24.1度に設定し、最外周記録半径における
ヨー角を−10.8度に設定したことにより、前述した
浮上プロファイルを達成したものである。 このヨー角
の設定は、図1に示したスピンドル1の回転中心とピボ
ットベアリング8の回転中心間の距離Lを60mm、ピ
ボットベアリング8の回転中心と磁気ヘッド間の距離r
を49mmとすることで、設定することができる。この
ヨー角の設定は、他の仕様の磁気ディスク装置において
もディスク寸法等に応じて前記各距離を設定することに
より容易に任意の角度に設定することができる。
【0035】この様に本実施形態における磁気ディスク
装置は、最内周記録半径におけるヨー角を最外周記録半
径におけるヨー角より大きくすることによって、前記実
施形態のように周速に対し浮上量が低下する負圧スライ
ダを用いても、浮上プロファイルを均一化することがで
きる。
【0036】また本実施形態による磁気ディスク装置
は、上前述した周速特性を有する負圧スライダとヨー角
範囲を用いることで浮上プロファイルを概ね均一化する
ことに加え、磁気ヘッド素子が磁気ディスクに対して記
録再生を行っているときのみ、スピンドルモータを定常
の回転数(本実施例では7200回転/分)で駆動し、
記録/再生を行っていない時には、図3で示したような
浮上量の極大値をとる周速7.5m/sに相当する回転
数までスピンドルモータの回転数を低下させることによ
り、磁気ヘッドスライダの浮上量を増大して磁気ディス
クとの接触を回避し、これらを保護することもできる。
【0037】この制御は、例えば磁気ヘッドスライダが
最内周記録半径Rin=20mmの位置で磁気ディスクが
7200回転/分の回転数の状態で浮上していた場合、
約3600回転/分まで回転数を下げ、例えば最外周記
録半径Rout=45mmの位置で浮上していた場合は、
約1592回転/分まで回転数を下げることによって行
われる。
【0038】特に本実施形態で最も効果的に浮上量を増
加させるためには、前記負圧スライダがヨー角0度近傍
で最も浮上量が大きくなる特性を利用し、ヨー角がほぼ
0度となるディスク半径35mm近傍位置に磁気ヘッド
スライダを移動し、周速が7.5m/sに相当する20
46rpmまで回転数を低下させることが好ましい。こ
の例では図5略中央に示す如く磁気ヘッドスライダの浮
上量を45nm程度にまで増加させることができる。記
録再生時の最小浮上量は最内周記録半径Rinにおける2
7nmであるから、記録再生を行っていない時にスピン
ドルの回転数を周速7.5m/sに相当する回転数まで
落とすことにより、図5左方に示す如く最大18nm浮
上量を増加させることができる。
【0039】さて、近年の磁気ディスク装置において
は、記録密度を向上させるために浮上量を益々低下させ
る傾向にあり、スライダと磁気ディスクを接触させた状
態で記録再生を行うコンタクト・レコーディングの実現
に向けて様々な試みがなされている。このコンタクト・
レコーディングを実現するためには、スライダと磁気デ
ィスク双方の磨耗を極力低減する必要があり、このため
スライダと磁気ディスク間に作用する接触力を低減する
と共に、磁気ディスク装置の寿命内でのスライダと磁気
ディスクの総摺動距離を低減する試みが検討されてい
る。
【0040】本発明は、このコンタクト・レコーディン
グ方式の磁気ヘッドスライダ及び該磁気ヘッドスライダ
を持つ磁気ディスク装置に適用することができる。本実
施形態による磁気ヘッドスライダ及び装置は、前記実施
形態同様に浮上量が記録再生時の周速範囲より小さな周
速で極大値を持ち、且つ記録再生時の周速範囲内では周
速が大きくなるにつれ浮上量が小さくなる周速特性を持
つ磁気ヘッドスライダを用いると共に、磁気ヘッドスラ
イダの最内周記録半径におけるヨー角を最外周記録半径
におけるヨー角より大きく設定し、記録再生を行ってい
ないときの浮上量を大きくすることができる。更に記録
再生時にのみスピンドルモータの回転数を上げて磁気デ
ィスクとスライダが接触する程度まで浮上量を小さく
し、記録再生を行っていない時にはスピンドルモータの
回転数を下げて浮上量を大きくすることもできる。これ
によってコンタクト・レコーディング方式の装置におい
ても、スライダと磁気ディスクの接触回数を激減させ、
スライダと磁気ディスクの総摺動距離を短縮することが
でき、磁気ディスク装置の信頼性を大幅に向上させるこ
とができる。
【0041】このコンタクト・レコーディング方式の磁
気ディスク装置における磁気ディスクと磁気ヘッドスラ
イダの関係を具体的に説明する。まずコンタクト・レコ
ーディング方式の磁気ディスク2は、図6に示す如く、
表面に複数の突起を形成するテクスチャ加工を施し、こ
のテクスチャ加工によって磁気ディスク装置の停止中に
スライダと磁気ディスクが粘着することを防ぐことが行
われている。
【0042】このテクスチャ加工された磁気ディスク表
面の粗さは一般にRpp=20nm程度であり、磁気ヘ
ッドスライダと磁気ディスクとの接触は、磁気ディスク
表面粗さRpp=20nmに加え磁気ディスクのスピン
ドルクランプ時に生じるディスクたわみや空気流によっ
て励振される磁気ディスクのフラッタ振動などにより、
スライダの浮上量が25nmから30nm程度で、スラ
イダと磁気ディスク上のテクスチャ頂部が接触を始め、
スライダと磁気ディスク間に接触力wと摩擦力fが作用
する。
【0043】従来のコンタクト・レコーディング方式の
装置では、このスライダと磁気ディスクとの接触によっ
て、このまま磁気ディスクを長時間回転駆動し続けると
スライダがクラッシュし、磁気情報の破壊にいたる可能
性が高いものであった。しかし本実施形態の如く、前記
特性の負圧ヘッドスライダ及びヨー角を設定し、記録再
生時にのみスピンドルモータの回転数を上げてスライダ
とディスクが接触するほど浮上量を小さくし、記録再生
を行っていないときには、スピンドルモータの回転数を
下げて浮上量を大きくすることによって、スライダと磁
気ディスクの接触回数を激減し、スライダと磁気ディス
クの総摺動距離を短縮することができ、磁気ディスク装
置の信頼性を大幅に向上させることができる。しかも記
録再生時にはスライダと磁気ディスクが接触するほど浮
上量を小さくし、浮上プロファイルも均一化しているの
ため高記録密度な記録再生を行うことができる。
【0044】尚、前記説明における磁気ディスクと磁気
ヘッドスライダとの接触とは、コンタクト・レコーディ
ングが行える程度の浮上量を持つ近接乃至接触を意味す
るものである。即ち、近年の磁気ディスク装置の分野に
おいてはスライダ浮上量の低下に伴ってnm単位の浮上
量になり、磁気ディスクと磁気ヘッドスライダ両方の表
面粗さや磁気ヘッドスライダが不安定な空気流によって
浮上することを考慮すると接触と非接触とを区別するの
は極めて困難なため、本明細書では前記スライダの接触
を、コンタクト・レコーディングが行える程度の近接
(浮上)乃至接触を意味するものと記載している。従っ
て特許請求の範囲に記載した「記録再生時の磁気ディス
クの周速により所定の浮上量を保ちながら磁気ヘッド素
子によりデータの記録再生を行う磁気ヘッドスライダ」
の「浮上」の意味は、本実施形態によるコンタクト・レ
コーディング方式のものも含むものである。
【0045】次に本発明の他の実施形態による磁気ヘッ
ドスライダ及び磁気ディスク装置を説明する。本実施形
態による磁気ヘッドスライダは、図7にその浮上面を示
す如く、空気流入端側の両端部に形成した一対のテーパ
部41と、該テーパ部41に対し空気流の下流側に続く
クロスレール部42と、該クロスレール部42からスラ
イダ側面に沿って空気流の下流側に続く一対のサイドレ
ール43と、スライダの空気流出端に配置され、磁気ヘ
ッド素子44が設けられたセンタパッド45と、前記各
レール部に対しての凹形状を形成することにより負圧力
を発生する溝部46から成り、前記各レール部が正圧を
発生し、溝部46が負圧を発生する様に構成されてい
る。本実施形態による前記溝部46の深さは6μmであ
り、スライダ長さは1.25mm、幅1.0mm、サス
ペンション5によりスライダ4に加えられる押付荷重は
1gfである。
【0046】本実施形態による磁気ヘッドスライダの周
速と浮上量の関係は、図8に示す如く、記録再生時の周
速範囲(約15m/s〜約34m/s)より小さな周速
で浮上量が極大値(約25nm)となり、記録再生の周
速範囲内では周速が大きくなるほど浮上量が小さくなる
(約24nmから約16nmに低下する)特性を持って
いる。図9に本実施形態による負圧スライダのヨー角と
浮上量の関係を示す。本例の負圧スライダの特徴は、図
4と比較すれば明らかな如く、ヨー角が負の時、即ちス
ライダに対し空気流がスライダの外周側から流入する時
に、浮上量が極大値を有すること、具体的にはヨー角が
約−8度の時に浮上量が極大となることである。このヨ
ー角が負の領域で浮上量が極大値を有するような磁気ヘ
ッドスライダを用いることによって、本実施形態では磁
気ディスク内周側から外周側にわたる周速の増加による
浮上量の低下と、ヨー角の増加に伴う浮上量の増加を相
殺することができ、浮上プロファイルを概ね均一化する
ことができる。
【0047】図10に本実施形態による磁気ヘッドスラ
イダを用いた浮上プロファイルの1例を示す。このスラ
イダの浮上特性は、最内周記録半径における最小浮上量
が約15nm、記録半径35mm近辺における最大浮上
量が約22nmであり、最大/最小浮上量差が約7nm
である。本例では、最内周記録半径におけるヨー角を1
3.6度、最外周記録半径におけるヨー角を−14.5
度と設定した。このようなヨー角範囲に設定するため、
スピンドル1の回転中心とピボットベアリング8の回転
中心間の距離Lを59mm、ピボットベアリング8の回
転中心と磁気ヘッド間の距離rを51mmとした。
【0048】本実施形態ではヨー角が負の範囲で浮上量
が極大値を持つ負圧スライダを用いたことにより、前述
の実施形態と比べ、最内周記録半径におけるヨー角を小
さく、且つ最外周記録半径におけるヨー角を大きくで
き、従来の磁気ディスク装置に近いヨー角範囲でも浮上
プロファイルを概ね均一化することができる。尚、本例
ではヨー角が約−8度で浮上量が極大となるようにした
が、さらに大きなヨー角において浮上量が極大となる負
圧スライダを用いれば、最内周記録半径でのヨー角をさ
らに小さく、最外周記録半径でのヨー角をさらに大きく
することもできる。
【0049】この浮上量が極大となるヨー角の値は、ス
ライダのレール面形状を変えることで、比較的簡単に達
成できる。本実施形態では、ディスクに対向した時ディ
スクの外周側と向き合うスライダの外周側サイドレール
43の空気流出端側を、スライダに外周レール側から空
気が流入した時に効果的に圧力が発生するように約15
度の角度で曲げることにより、本例の磁気ヘッドスライ
ダではヨー角が−8度の位置で浮上量が極大値を取るよ
うに設定することができたものである。この様に更にサ
イドレールの曲げ角を大きくすることにより浮上量が極
大値をとるヨー角をさらに大きくすることができる。
尚、この浮上プロファイルを均一化するためには、浮上
量が極大値となるヨー角は−5度以上とすることが望ま
しい。
【0050】また本実施形態による磁気ディスク装置に
おいても、前述の実施形態同様に記録再生を行わない場
合には、スピンドルの回転数を下げることにより浮上量
を増加し、ヘッドクラッシュ等を防止することができ
る。本例では浮上量が極大値となるヨー角位置(ヨー角
−8度,半径約39mm)において、スピンドル回転数
を7200rpmから2698rpmまで落とすことに
よって浮上量を約28nmまで上昇することができた。
即ち、記録再生時の最小浮上量が約15nmのため、非
記録再生時にスピンドルの回転数を下げることだけで、
浮上量を最大13nmも増加させることができた。
【0051】図11に本発明の更に他の実施形態による
磁気ヘッドスライダの浮上面及び断面図を示す。本実施
形態による磁気ヘッドスライダ4は、図中上側の空気流
入端側に形成した(空気が流入し易いように傾斜した)
一対のテーパ部41と、該テーパ部41に続いて空気流
の下流側(図中下方向)に続くクロスレール部42と、
該クロスレール部42からスライダ側面に沿って空気流
の下流側に続く一対のサイドレール43と、スライダの
空気流出端に配置され、磁気ヘッド素子44が設けられ
たセンタパッド45と、特に図11(a)のA−A断面
を示す図11(b)に示す如く、前記一対のサイドレー
ル43の空気流入方向側(図中左上方側)の外周側に深
さ700nmから1μm程度の凹形成したステップ軸受
面47と、前記各レール部に対しての凹形状を形成する
ことにより負圧力を発生する溝部46から成り、前記各
レール部が正圧を発生し、溝部46が負圧を発生する様
に構成されている。
【0052】この磁気ヘッドスライダ4は、図3で示し
たような周速特性を持ち、かつヨー角特性が、空気流が
ステップ軸受47側から流入する場合、即ち磁気ディス
ク外周側からスライダ中心方向に向かって流入する場
合、ヨー角が大きくなるに従って前記ステップ軸受面4
7によって浮上量が大きくなる特性を持っている。従っ
て本実施形態によるスライダを用いた場合には、従来の
磁気ディスク装置におけるヨー角の設定と同様に、磁気
ディスクの内周側でヨー角が小さく、外周へ移動するに
従いヨー角が大きくなるように設定することにより、磁
気ディスクの全面にわたり浮上量を概ね均一化すること
ができる。
【0053】更に前述の実施形態同様にスピンドルモー
タの制御により記録再生時のみ浮上量を低下させて高記
録密度化を行い、記録再生を行っていない時には浮上量
を増加させて磁気ディスク装置の信頼性を高めることも
できる。
【0054】以上述べた如く前述した各実施形態による
磁気ヘッドスライダ及び磁気ディスク装置は、前記周速
特性を有する負圧式の磁気ヘッドスライダを使用し、記
録再生を行っていない時にスライダを磁気ディスクの最
内周記録半径Rinよりさらに内周位置において浮上させ
ることにより、スピンドルの回転数を変えること無く、
記録再生時のみ浮上量を低下させて高記録密度を実現す
ることができると共に、記録再生を行っていない時には
浮上量を増加させて磁気ディスク装置の信頼性を向上す
ることができる。
【0055】更に本発明による磁気ヘッドスライダ及び
装置は、前述の記録再生時以外はスピンドルモータの回
転数を下げることにより、常に一定の定常回転数でスピ
ンドルを回し続ける従来の磁気ディスク装置に比して装
置の消費電力を小さくすることができる。例えばスピン
ドルの回転数を7200回転/分から3600回転/分
まで低下することにより、消費電力を約20%から25
%にまで低減することができる。このことは本発明によ
る磁気ディスク装置が可搬性のノート型パーソナルコン
ピュータやサブノート型パーソナルコンピュータに搭載
された場合に非常に有効であることを表している。即
ち、電車内や車内で使用される可能性が高い可搬性のパ
ーソナルコンピュータはバッテリー等で駆動されること
が多く、磁気ディスク装置の消費電力を低減することに
よりパーソナルコンピュータの消費電力を低減すること
ができ、充電せずにパーソナルコンピュータを使用でき
る時間を大幅に延ばすことができる。
【0056】尚、前記説明では、理解を容易にするため
にスライダの具体的な形状を挙げて説明したが、本発明
の第1の要旨はスライダの形状にあるのではなく、前述
の記録再生時の周速範囲より小さな周速にて浮上量が極
大値を有する特性のスライダを用い、磁気ディスク装置
のヨー角範囲を磁気ディスク最内周記録半径で大きく最
外周記録位置にて小さく設定したことにより、均一な浮
上プロファイルを得ることである。更に本発明の第2の
要旨は、均一な浮上プロファイルが得られるようにヨー
角が負の領域、好適にはヨー角が−5度以上の範囲で浮
上量が極大値を有するような負圧式のスライダを用いた
ことである。また本発明の第3の要旨は、前記均一な浮
上プロファイルを得た上で、記録再生の必要な時にだけ
スピンドルの回転数を上げて浮上量を低下させて高記録
密度化を達成しつつ、記録/再生を行っていない時には
スピンドルの回転数を下げることによって、浮上量を増
加させて磁気ディスク装置の信頼性を保ちつつ、高記録
密度化を達成し、しかも消費電力を減少させたことであ
る。
【0057】尚、本発明は次の実施態様としても表すこ
とができる。 <実施形態1> 磁気ヘッド素子を搭載する磁気ヘッド
スライダと、該磁気ヘッド素子により磁気情報の記録を
行う磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転的に支持
するスピンドルと、前記スピンドルを回転駆動するスピ
ンドルモータからなる磁気ディスク装置であり、前記磁
気ディスクの最内周記録半径と、前記スピンドルモータ
の定常回転数から一意に定まる記録/再生時の最小周速
より小さな周速で、前記スライダは浮上量の極大値を有
する負圧スライダであり、かつ前記磁気ヘッドが前記磁
気ディスクに対して記録/再生を行っていない時に、前
記スピンドルモータの回転数を低下させる磁気ディスク
装置において、前記磁気ディスクの最内周記録半径で前
記スライダに流入する空気の流入方向と前記スライダの
長手方向がなす角度が、前記磁気ディスクの最外周記録
半径で前記スライダに流入する空気の流入方向と前記ス
ライダの長手方向がなす角度より大きいことを特徴とす
る磁気ディスク装置。
【0058】<実施形態2> 磁気ヘッドを備えるスラ
イダと、磁気情報を記録する磁気ディスクと、前記磁気
ディスクを支持するスピンドルと、前記スピンドルを回
転駆動するスピンドルモータからなる磁気ディスク装置
であり、前記磁気ディスクの最内周記録半径と、前記ス
ピンドルモータの定常回転数から一意に定まる記録/再
生時の最小周速より小さな周速で、前記スライダは浮上
量の極大値を有する負圧スライダであり、かつ前記磁気
ヘッドが前記磁気ディスクに対して記録/再生を行って
いない時に、前記スピンドルモータの回転数を低下させ
る磁気ディスク装置において、前記スライダの外周レー
ル側から前記スライダに空気が流入する際に、前記スラ
イダの長手方向と前記空気の流入方向がなす角度が5度
以上の角度で、前記スライダは浮上量の極大値を有する
負圧スライダであることを特徴とする磁気ディスク装
置。
【0059】<実施形態3> 磁気ヘッドを備えるスラ
イダと、磁気情報を記録する磁気ディスクと、前記磁気
ディスクを支持するスピンドルと、前記スピンドルを回
転駆動するスピンドルモータからなる磁気ディスク装置
において、前記磁気ディスクの最内周記録半径と、前記
スピンドルモータの定常回転数から一意に定まる記録/
再生時の最小周速より小さな周速で、前記スライダは浮
上量の極大値を有する負圧スライダであり、かつ前記磁
気ヘッドが前記磁気ディスクに対して記録/再生を行っ
ていない時に、前記スライダは前記磁気ディスクの最内
周記録半径よりさらに内周位置で浮上することを特徴と
する磁気ディスク装置。
【0060】<実施形態4>実施形態1乃至3記載の磁
気ディスク装置が搭載されたことを特徴とする可搬性の
ノート型パーソナルコンピュータあるいはサブノート型
パーソナルコンピュータ。
【0061】<実施形態5>実施形態2記載の磁気ディ
スク装置に備えられた前記負圧スライダは一対のサイド
レールを有し、かつ前記一対のサイドレールの外周側に
ステップ軸受面を有することを特徴とする負圧スライ
ダ。
【0062】
【発明の効果】以上述べた如く本発明は、記録再生時の
周速範囲より小さな周速にて浮上量が極大値を有する特
性のスライダを用い、磁気ディスク装置のヨー角範囲を
磁気ディスク最内周記録半径で大きく最外周記録位置に
て小さく設定したことにより、均一な浮上プロファイル
を得ることができる。更に本発明は、均一な浮上プロフ
ァイルが得られるようにヨー角が負の領域、好適にはヨ
ー角が−5度以上の範囲で浮上量が極大値を有するよう
な負圧式のスライダを用いたことにより均一な浮上プロ
ファイルを得ることができる。また本発明は、前記均一
な浮上プロファイルを得た上で、記録再生の必要な時に
だけスピンドルの回転数を上げて浮上量を低下させて高
記録密度化を達成しつつ、記録再生を行っていない時に
はスピンドルの回転数を下げることによって、浮上量を
増加させて磁気ディスク装置の信頼性を保ちつつ、高記
録密度化を達成し、しかも消費電力を減少させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による磁気ディスク装置の
構成を説明するための図。
【図2】本発明の一実施形態による磁気ヘッドスライダ
の浮上面を示す図。
【図3】該磁気ヘッドスライダの浮上周速特性を示す
図。
【図4】該磁気ヘッドスライダの浮上ヨー角特性を示す
図。
【図5】該磁気ヘッドスライダの浮上プロファイルを示
す図。
【図6】コンタクト・レコーディング方式のスライダと
磁気ディスク間の状態を示す図。
【図7】本発明の第2の実施形態による磁気ヘッドスラ
イダの浮上面を示す図。
【図8】第2実施形態によるスライダの浮上周速特性を
示す図。
【図9】第2実施形態によるスライダの浮上ヨー角特性
を示す図。
【図10】第2実施形態によるスライダの浮上プロファ
イルを示す図。
【図11】本発明の第3の実施形態による磁気ヘッドス
ライダの浮上面及び断面を示す図。
【符号の説明】
1:スピンドル、2:磁気ディスク、3:スピンドルコ
ントローラ、4:磁気ヘッドスライダ(負圧スライ
ダ)、5:サスペンション、6:キャリッジアーム、
7:ボイスコイルモータ、8:ピボットベアリング、
9:記録/再生コントローラ、10:ボイスコイルモー
タコントローラ、41:テーパ面、42:クロスレー
ル、43:サイドレール、44:磁気ヘッド、45:セ
ンタパッド、46:溝部、47:ステップ軸受。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ディスクの回転によって生じる空気
    粘性流により磁気ディスク上に浮上し、記録再生時の磁
    気ディスクの周速により所定の浮上量を保ちながら磁気
    ヘッド素子によりデータの記録再生を行う磁気ヘッドス
    ライダであって、前記記録再生時の磁気ディスクの周速
    より低速の周速で浮上量が記録再生時の所定の浮上量よ
    り高くなる負圧浮上特性を持ち、且つ磁気ヘッドスライ
    ダの長手方向と空気流入方向とが成すヨー角を、磁気デ
    ィスクの最外周に比べて最内周が大きくなる様に設定し
    たことを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  2. 【請求項2】 前記ヨー角が5度以上の角度で浮上量が
    最大になる様に設定することを特徴とする請求項1記載
    の磁気ヘッドスライダ。
  3. 【請求項3】 磁気ディスクに向かう面に正圧を発生す
    る一対のサイドレールを有し、且つ該サイドレールの磁
    気ディスク外周側での空気流入方向にサイドレールに対
    して段差を持つステップ軸受面を設けたことを特徴とす
    る請求項1又は2記載の磁気ヘッドスライダ。
  4. 【請求項4】 磁気ヘッド素子を搭載する磁気ヘッドス
    ライダと、該磁気ヘッド素子によりデータの記録を行う
    磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転的に支持する
    スピンドルと、前記スピンドルを回転駆動するスピンド
    ルモータからなる磁気ディスク装置において、前記磁気
    ヘッドスライダが、記録再生時の磁気ディスクの周速よ
    り低速の周速で浮上量が記録再生時の所定の浮上量より
    高くなる浮上特性を持ち、且つ磁気ヘッドスライダの長
    手方向と空気流入方向とが成すヨー角を、磁気ディスク
    の最外周に比べて最内周が大きくなる様に設定したこと
    を特徴とする磁気ディスク装置。
  5. 【請求項5】磁気ヘッド素子を搭載する磁気ヘッドスラ
    イダと、該磁気ヘッド素子によりデータの記録を行う磁
    気ディスクと、前記磁気ディスクを回転的に支持するス
    ピンドルと、前記スピンドルを回転駆動するスピンドル
    モータからなる磁気ディスク装置において、前記磁気ヘ
    ッドスライダが、記録再生時の磁気ディスクの周速より
    低速の周速で浮上量が記録再生時の所定の浮上量より高
    くなる浮上特性を持ち、且つ磁気ヘッドスライダの長手
    方向と空気流入方向とが成すヨー角を、磁気ディスクの
    最外周に比べて最内周が大きくなる様に設定すると共
    に、前記磁気ヘッド素子が磁気ディスクに対して記録再
    生を行っていないときに前記スピンドルモータの回転数
    を低下させることを特徴とする磁気ディスク装置。
  6. 【請求項6】前記磁気ヘッド素子が磁気ディスクに対し
    て記録再生を行っていない時に磁気ヘッドスライダを磁
    気ディスクの最内周位置に移動することを特徴とする請
    求項4又は5記載の磁気ディスク装置。
  7. 【請求項7】 前記磁気ヘッドスライダが、磁気ディス
    クに向かう面に正圧を発生する一対のサイドレールを有
    し、且つ該サイドレールの磁気ディスク外周側での空気
    流入方向にステップ軸受面を設けたことを特徴とする請
    求項4又は5又は6記載の磁気ディスク装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6351345B1 (en) 1999-01-12 2002-02-26 Fujitsu Limited Air bearing slider and method of producing the same
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