JPH1045772A - リン含有化合物およびその製法 - Google Patents
リン含有化合物およびその製法Info
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- JPH1045772A JPH1045772A JP8224475A JP22447596A JPH1045772A JP H1045772 A JPH1045772 A JP H1045772A JP 8224475 A JP8224475 A JP 8224475A JP 22447596 A JP22447596 A JP 22447596A JP H1045772 A JPH1045772 A JP H1045772A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 顔料、金属粉等の分散剤として使用でき密着
性、屈曲性に優れる樹脂組成物が得られるリン含有化合
物およびその製法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表されるリン含有化
合物を使用する。また、前記リン含有化合物の製法は、
下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物と、−OP
(=O)(OH)2基を含有する化合物とを反応させる
ことを特徴とする。 【化1】
性、屈曲性に優れる樹脂組成物が得られるリン含有化合
物およびその製法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表されるリン含有化
合物を使用する。また、前記リン含有化合物の製法は、
下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物と、−OP
(=O)(OH)2基を含有する化合物とを反応させる
ことを特徴とする。 【化1】
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定構造を有する
リン含有化合物とその製法に関し、顔料、金属粉等の分
散剤として使用でき、また、自動車の車体塗装等の水性
塗料や水性インキ等に添加剤として使用すると、密着
性、屈曲性に優れる樹脂組成物が得られるリン含有化合
物およびその製法に関する。
リン含有化合物とその製法に関し、顔料、金属粉等の分
散剤として使用でき、また、自動車の車体塗装等の水性
塗料や水性インキ等に添加剤として使用すると、密着
性、屈曲性に優れる樹脂組成物が得られるリン含有化合
物およびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】水性塗料や水性インキ、溶剤系樹脂等に
用いられる樹脂の添加剤には各種あり、例えば、特開平
1−190765号公報に、リン酸塩化したアクリル重
合体をアルミニウムのガス発生防止剤として用いる技術
が開示されている。ここで使用されたアクリル重合体
は、グリシジルエポキシ基を含有する(メタ)アクリル
重合体であり、エポキシ基とリン酸化合物とを反応させ
て得たものである。
用いられる樹脂の添加剤には各種あり、例えば、特開平
1−190765号公報に、リン酸塩化したアクリル重
合体をアルミニウムのガス発生防止剤として用いる技術
が開示されている。ここで使用されたアクリル重合体
は、グリシジルエポキシ基を含有する(メタ)アクリル
重合体であり、エポキシ基とリン酸化合物とを反応させ
て得たものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、用いられるア
クリルモノマー成分に、過剰のアルコールあるいはカル
ボン酸を添加すると樹脂自体が不安定性になり、エポキ
シ基の濃度についても自ら限界があるため、高濃度のエ
ポキシ基含有アクリルエステルを得ることは工業的に困
難である。このため、上記公報が目的とするガス発生抑
止効果は十分に期待できない場合があり、また、水溶性
塗料として必要とされる耐候性、密着性のバランスを得
ることも難かしい。
クリルモノマー成分に、過剰のアルコールあるいはカル
ボン酸を添加すると樹脂自体が不安定性になり、エポキ
シ基の濃度についても自ら限界があるため、高濃度のエ
ポキシ基含有アクリルエステルを得ることは工業的に困
難である。このため、上記公報が目的とするガス発生抑
止効果は十分に期待できない場合があり、また、水溶性
塗料として必要とされる耐候性、密着性のバランスを得
ることも難かしい。
【0004】また、特開昭61−47771号公報に
は、エポキシ基を有する化合物とリン酸とを反応させた
化合物がアルミニウムからのガス発生抑止剤として有用
であることが開示されている。ここで使用されているエ
ポキシ基はビスフェノールAジグリシジル等の芳香族系
グリシジルが主体である。しかし、グリシジルエポキシ
基は、エピクロルヒドリンを原料とするため生成物中に
残留塩素が存在し、アルミニウム等に塗工した場合、金
属に対し悪影響を及ぼす場合がある。また、芳香族構造
を有するものは、光あるいは酸素に対し不安定であり、
耐候性に難点がある。更に、これらに用いられる化合物
は、極性の低い溶剤には溶解しないため、溶剤系塗料の
添加剤としては使用ができない。
は、エポキシ基を有する化合物とリン酸とを反応させた
化合物がアルミニウムからのガス発生抑止剤として有用
であることが開示されている。ここで使用されているエ
ポキシ基はビスフェノールAジグリシジル等の芳香族系
グリシジルが主体である。しかし、グリシジルエポキシ
基は、エピクロルヒドリンを原料とするため生成物中に
残留塩素が存在し、アルミニウム等に塗工した場合、金
属に対し悪影響を及ぼす場合がある。また、芳香族構造
を有するものは、光あるいは酸素に対し不安定であり、
耐候性に難点がある。更に、これらに用いられる化合物
は、極性の低い溶剤には溶解しないため、溶剤系塗料の
添加剤としては使用ができない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、エポキシ
基を有する化合物とリン酸化合物とを反応させて得た化
合物について鋭意研究したところ、特定の構造を有する
リン含有化合物を塗料等の樹脂に添加すると、顔料分散
性、屈曲性、密着性に優れる樹脂組成物が得られること
を見出し、本発明を完成するに至った。
基を有する化合物とリン酸化合物とを反応させて得た化
合物について鋭意研究したところ、特定の構造を有する
リン含有化合物を塗料等の樹脂に添加すると、顔料分散
性、屈曲性、密着性に優れる樹脂組成物が得られること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、下記一般式(1)で表
されるリン含有化合物を提供するものである。また、下
記一般式(2)で表されるエポキシ化合物と、−OP
(=O)(OH)2基を含有する化合物とを反応させる
ことを特徴とする前記リン含有化合物の製法を提供する
ものである。さらに、前記−OP(=O)(OH)2基
を有する化合物がオルトリン酸、またはそのモノエステ
ルであることを特徴とする前記リン含有化合物の製法を
提供するものである。以下、本発明を詳細に説明する。
されるリン含有化合物を提供するものである。また、下
記一般式(2)で表されるエポキシ化合物と、−OP
(=O)(OH)2基を含有する化合物とを反応させる
ことを特徴とする前記リン含有化合物の製法を提供する
ものである。さらに、前記−OP(=O)(OH)2基
を有する化合物がオルトリン酸、またはそのモノエステ
ルであることを特徴とする前記リン含有化合物の製法を
提供するものである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
【化3】
【0008】
【化4】
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、前記一般式(1)で表
される化合物である。一般式中、RaおよびRbは、各々
独立に水素またはメチル基もしくはエチル基である。ま
た、cは4〜8の整数であることが好ましく、特に好ま
しくはc=5の整数である。また、nは1〜30の整数
であることが好ましく、特に好ましくはn=1〜7の整
数である。なお、メタ位およびパラ位とは、シクロ環が
ベンゼン環とした場合の位置であり、上記位置番号は、
水酸基を1位、OP(=O)(OH)2を6位として数え
る。
される化合物である。一般式中、RaおよびRbは、各々
独立に水素またはメチル基もしくはエチル基である。ま
た、cは4〜8の整数であることが好ましく、特に好ま
しくはc=5の整数である。また、nは1〜30の整数
であることが好ましく、特に好ましくはn=1〜7の整
数である。なお、メタ位およびパラ位とは、シクロ環が
ベンゼン環とした場合の位置であり、上記位置番号は、
水酸基を1位、OP(=O)(OH)2を6位として数え
る。
【0010】一般式(1)で表される化合物は、前記
「一般式(2)で表されるエポキシ化合物」と「−OP
(=O)(OH)2基を含有する化合物」とを反応させ
ることによって得られる。
「一般式(2)で表されるエポキシ化合物」と「−OP
(=O)(OH)2基を含有する化合物」とを反応させ
ることによって得られる。
【0011】この一般式(2)で表されるエポキシ化合
物を製造する手段は特に限定されず、通常の方法により
製造することができる。即ち、シクロヘキサン環上にエ
ポキシ基を有する化合物を得るのに、対応する原料化合
物の二重結合を過酸によってエポキシ化して得る。より
具体的には、不飽和基含有アルコールとラクトン類を生
成物の融点以上の温度で溶融重合し、得られた化合物を
過酸でエポキシ化する方法や、エポキシ基含有アルコー
ルをラクトン類と生成物の融点以上で溶融重合する方法
などが挙げられる。特に好ましくは、不飽和基含有アル
コールとラクトン類を生成物の融点以上の温度で溶融重
合した後に過酸でエポキシ化する方法である。この方法
によると、本発明の目的に沿う適度な重合度のポリエス
テルを効率的に得ることができる。更に、過酸でエポキ
シ化されているため塩素が混在せず、金属面に塗工した
場合にも金属部に悪影響を及ぼさず好ましく、更に、高
い耐候性及び安定性を塗料に付与することができるから
である。なお、一般式(2)で表されるエポキシ化合物
は、一分子中にエポキシ基が一つのみ存在し、エポキシ
基のメタ位にポリエステル基を有しているため、エポキ
シ当量が容易に調整でき、樹脂組成物の柔軟性、密着
性、溶解性を任意に選択できる利点がある。一般式
(2)で表される化合物として、市販品である商品名
「エポリードHD302」(ダイセル化学工業(株)
製:式中、Ra=Rb=H、C=5、n=2)を使用する
こともできる。
物を製造する手段は特に限定されず、通常の方法により
製造することができる。即ち、シクロヘキサン環上にエ
ポキシ基を有する化合物を得るのに、対応する原料化合
物の二重結合を過酸によってエポキシ化して得る。より
具体的には、不飽和基含有アルコールとラクトン類を生
成物の融点以上の温度で溶融重合し、得られた化合物を
過酸でエポキシ化する方法や、エポキシ基含有アルコー
ルをラクトン類と生成物の融点以上で溶融重合する方法
などが挙げられる。特に好ましくは、不飽和基含有アル
コールとラクトン類を生成物の融点以上の温度で溶融重
合した後に過酸でエポキシ化する方法である。この方法
によると、本発明の目的に沿う適度な重合度のポリエス
テルを効率的に得ることができる。更に、過酸でエポキ
シ化されているため塩素が混在せず、金属面に塗工した
場合にも金属部に悪影響を及ぼさず好ましく、更に、高
い耐候性及び安定性を塗料に付与することができるから
である。なお、一般式(2)で表されるエポキシ化合物
は、一分子中にエポキシ基が一つのみ存在し、エポキシ
基のメタ位にポリエステル基を有しているため、エポキ
シ当量が容易に調整でき、樹脂組成物の柔軟性、密着
性、溶解性を任意に選択できる利点がある。一般式
(2)で表される化合物として、市販品である商品名
「エポリードHD302」(ダイセル化学工業(株)
製:式中、Ra=Rb=H、C=5、n=2)を使用する
こともできる。
【0012】本発明で使用する「−OP(=O)(O
H)2基を含有する化合物」としては、−OP(=O)
(OH)2基を含有する化合物であって、具体的にはオ
ルトリン酸またはそのモノエステルを例示することがで
きる。より具体的には、リン酸のモノエステルとして、
リン酸モノブチル、リン酸モノアミル、リン酸モノノニ
ル、リン酸モノセチル、リン酸モノフェニル、およびリ
ン酸モノベンジルを例示することができる。リン酸は水
和されたリン酸の他、水和されていないリン酸であって
もよい。従って工業的に入手しやすい70〜100%の
リン酸、好ましくは80〜90%のリン酸を使用するこ
とができる。なお、縮合型のリン酸等価物、例えばリン
酸の重合部分無水物またはエステル、ピロリン酸、トリ
リン酸等であってもよい。
H)2基を含有する化合物」としては、−OP(=O)
(OH)2基を含有する化合物であって、具体的にはオ
ルトリン酸またはそのモノエステルを例示することがで
きる。より具体的には、リン酸のモノエステルとして、
リン酸モノブチル、リン酸モノアミル、リン酸モノノニ
ル、リン酸モノセチル、リン酸モノフェニル、およびリ
ン酸モノベンジルを例示することができる。リン酸は水
和されたリン酸の他、水和されていないリン酸であって
もよい。従って工業的に入手しやすい70〜100%の
リン酸、好ましくは80〜90%のリン酸を使用するこ
とができる。なお、縮合型のリン酸等価物、例えばリン
酸の重合部分無水物またはエステル、ピロリン酸、トリ
リン酸等であってもよい。
【0013】リン酸化合物と一般式(2)で表されるエ
ポキシ化合物との反応において、リン酸化合物と一般式
(2)のエポキシ化合物との比は、一般式(2)のエポ
キシ化合物1モルに対するリン酸化合物の量が、0.5
〜4モルであることが好ましく、特に好ましくは1〜2
モルである。0.5モル未満の場合は得られた化合物自
身が不安定となり、逆に4モルを越えると反応の制御が
困難になり、好ましくない。反応温度は、25〜150
℃、好ましくは50〜100℃である。25℃未満の場
合は反応が遅く、逆に150℃を越えると反応の制御が
困難となる。
ポキシ化合物との反応において、リン酸化合物と一般式
(2)のエポキシ化合物との比は、一般式(2)のエポ
キシ化合物1モルに対するリン酸化合物の量が、0.5
〜4モルであることが好ましく、特に好ましくは1〜2
モルである。0.5モル未満の場合は得られた化合物自
身が不安定となり、逆に4モルを越えると反応の制御が
困難になり、好ましくない。反応温度は、25〜150
℃、好ましくは50〜100℃である。25℃未満の場
合は反応が遅く、逆に150℃を越えると反応の制御が
困難となる。
【0014】上記反応は、通常、不活性な溶媒存在下で
行なわれる。用いる溶媒としては、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン、シ
クロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、イソホロン
等のケトン系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサ
ン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノプロ
ピルエーテル等のエーテル化合物、酢酸エチル、酢酸イ
ソプロピル、ブチルジグリコールアセテート等のエステ
ル類、ハロゲン溶媒等の活性水素を含有していない溶媒
が挙げられる。溶媒の使用量は、一般式(2)で表され
るエポキシ化合物1モルに対して、0.1〜20モル
倍、好ましくは0.5〜2モル倍である。使用量が0.
1モル倍未満の場合は基質濃度が高く反応の制御が困難
であり、逆に20モル倍を越えると塗料用に用いるには
不経済となるのでいずれも好ましくない。
行なわれる。用いる溶媒としては、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン、シ
クロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、イソホロン
等のケトン系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサ
ン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノプロ
ピルエーテル等のエーテル化合物、酢酸エチル、酢酸イ
ソプロピル、ブチルジグリコールアセテート等のエステ
ル類、ハロゲン溶媒等の活性水素を含有していない溶媒
が挙げられる。溶媒の使用量は、一般式(2)で表され
るエポキシ化合物1モルに対して、0.1〜20モル
倍、好ましくは0.5〜2モル倍である。使用量が0.
1モル倍未満の場合は基質濃度が高く反応の制御が困難
であり、逆に20モル倍を越えると塗料用に用いるには
不経済となるのでいずれも好ましくない。
【0015】反応を行う際の仕込み順序に制限はない
が、好ましくは、リン酸化合物に一般式(2)で表され
るエポキシ化合物を滴下、前記温度に昇温する。反応の
終点は、例えば、滴定によって反応混合物中のオキシラ
ン酸素濃度を測定することにより確認することができ
る。なお、オキシラン酸素濃度はASTMD1652
(臭化水素法)に準拠して測定する。
が、好ましくは、リン酸化合物に一般式(2)で表され
るエポキシ化合物を滴下、前記温度に昇温する。反応の
終点は、例えば、滴定によって反応混合物中のオキシラ
ン酸素濃度を測定することにより確認することができ
る。なお、オキシラン酸素濃度はASTMD1652
(臭化水素法)に準拠して測定する。
【0016】本反応で得られた化合物は一般式(1)で
表され、シクロ環がベンゼン環であるとした場合にリン
酸基のメタ位(水酸基に対してパラ位)またはリン酸基
に対してパラ位(水酸基のメタ位)に開環ラクトンを有
する鎖が結合した化合物であり、通常両者の混合物が存
在する反応溶液としてそのまま水性塗料等の用途に供す
ることができる。また、密着性改良剤やアルミニウムフ
レークなどのフィラーの分散助剤等として使用すること
ができる。反応溶液は、水洗および減圧下で低沸成分を
留去し、またはそのまま低沸成分を留去することにより
単離することもできる。更に純度の高いものを得るため
に、不溶溶媒を用いて再結晶化することもできる。な
お、前記一般式(1)のシクロ環の任意の水素がフェニ
ル基、炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基または
シクロアルキル基で置換されたリン含有化合物も本発明
のリン含有化合物と同様に顔料、金属粉などの分散剤と
して、また水性塗料や水性インキなどの添加剤として使
用することができる。
表され、シクロ環がベンゼン環であるとした場合にリン
酸基のメタ位(水酸基に対してパラ位)またはリン酸基
に対してパラ位(水酸基のメタ位)に開環ラクトンを有
する鎖が結合した化合物であり、通常両者の混合物が存
在する反応溶液としてそのまま水性塗料等の用途に供す
ることができる。また、密着性改良剤やアルミニウムフ
レークなどのフィラーの分散助剤等として使用すること
ができる。反応溶液は、水洗および減圧下で低沸成分を
留去し、またはそのまま低沸成分を留去することにより
単離することもできる。更に純度の高いものを得るため
に、不溶溶媒を用いて再結晶化することもできる。な
お、前記一般式(1)のシクロ環の任意の水素がフェニ
ル基、炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基または
シクロアルキル基で置換されたリン含有化合物も本発明
のリン含有化合物と同様に顔料、金属粉などの分散剤と
して、また水性塗料や水性インキなどの添加剤として使
用することができる。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、以下においてNMRは日本電子社製「GXS270
WB」を、IRは、日本分光社製「FT/IR−530
0」を、GPCは島津製作所製「HPLC LC−6A
SYSTEM」(カラム:ポリスチレンカラム,溶
媒:THF)を用いた。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、以下においてNMRは日本電子社製「GXS270
WB」を、IRは、日本分光社製「FT/IR−530
0」を、GPCは島津製作所製「HPLC LC−6A
SYSTEM」(カラム:ポリスチレンカラム,溶
媒:THF)を用いた。
【0018】[実施例1]ダイセル工業(株)製「エポ
リードHD302」(エポキシ当量382、粘度500
cP/25℃、水分0.05%、酸価0.2KOHmg
/g)40.0gとプロピレングリコールモノプロピル
エーテル40gとの混合物を、85%リン酸水溶液(和
光純薬(株)製:85%リン酸100gに対し5酸化2
リン(P2O5)40gを加えたもの)12.0gおよび
プロピレングリコールモノプロピルエーテル26.0g
溶液の混合物に約1時間かけて滴下した。反応は90℃
程度まで上昇した。温度は発熱により上昇するが、発熱
終了後約2時間90℃になるように温度を一定にした。
冷却後反応粗液のオキシラン酸素濃度を測定したところ
0%であった。これよりエポキシ基はほぼ反応している
と考えられた。酸価は100.4mgKOH/gであっ
た。得られたリン含有化合物について赤外線スペクトル
を測定したところ、原料エポキシ化合物の780−82
0cm-1、800−940cm-1のエポキシに由来する
ピークが消失し、1014cm-1、1010cm-1にP
−Oに由来するピークが認められた。1H−NMRにお
いては、エポキシ基付け根のプロトン(δppm3.0
−3.4)がδppm3.3−3.6の低磁場にシフト
し、エポキシ環が開いていた。また、分子量をGPCで
測定したところ、Mw=620、Mn=482、Mw/
Mn=1.28であった。これらより、下記式(3)お
よび(4)に示す化合物(計算分子量451)が主成分
で、他にカプロラクトンの開環構造単位の数が1および
3以上のものを含むリン含有化合物であることが分かっ
た。
リードHD302」(エポキシ当量382、粘度500
cP/25℃、水分0.05%、酸価0.2KOHmg
/g)40.0gとプロピレングリコールモノプロピル
エーテル40gとの混合物を、85%リン酸水溶液(和
光純薬(株)製:85%リン酸100gに対し5酸化2
リン(P2O5)40gを加えたもの)12.0gおよび
プロピレングリコールモノプロピルエーテル26.0g
溶液の混合物に約1時間かけて滴下した。反応は90℃
程度まで上昇した。温度は発熱により上昇するが、発熱
終了後約2時間90℃になるように温度を一定にした。
冷却後反応粗液のオキシラン酸素濃度を測定したところ
0%であった。これよりエポキシ基はほぼ反応している
と考えられた。酸価は100.4mgKOH/gであっ
た。得られたリン含有化合物について赤外線スペクトル
を測定したところ、原料エポキシ化合物の780−82
0cm-1、800−940cm-1のエポキシに由来する
ピークが消失し、1014cm-1、1010cm-1にP
−Oに由来するピークが認められた。1H−NMRにお
いては、エポキシ基付け根のプロトン(δppm3.0
−3.4)がδppm3.3−3.6の低磁場にシフト
し、エポキシ環が開いていた。また、分子量をGPCで
測定したところ、Mw=620、Mn=482、Mw/
Mn=1.28であった。これらより、下記式(3)お
よび(4)に示す化合物(計算分子量451)が主成分
で、他にカプロラクトンの開環構造単位の数が1および
3以上のものを含むリン含有化合物であることが分かっ
た。
【0019】得られたリン含有化合物0.1g、塗料の
主剤としてアクリル樹脂(大日本インキ化学工業(株)
製「アクリディックA801」)100g、硬化剤とし
てメラミン樹脂(三井サイアナミッド(株)製:「サイ
メル303」)10g、パラトルエンスルホン酸0.1
gを配合したワニスを巾7cm、長さ15cm、厚さ3
mmのアルミ板(日本テストパネル(株)製)に膜厚1
5〜20μになるように塗装した後、140℃で20分
間焼き付けをおこなった。得られた塗装板の試験結果を
表−2に示す。表−2から明らかなように、本発明のリ
ン含有化合物を添加した塗料を用いた塗布板は密着性に
優れていた。
主剤としてアクリル樹脂(大日本インキ化学工業(株)
製「アクリディックA801」)100g、硬化剤とし
てメラミン樹脂(三井サイアナミッド(株)製:「サイ
メル303」)10g、パラトルエンスルホン酸0.1
gを配合したワニスを巾7cm、長さ15cm、厚さ3
mmのアルミ板(日本テストパネル(株)製)に膜厚1
5〜20μになるように塗装した後、140℃で20分
間焼き付けをおこなった。得られた塗装板の試験結果を
表−2に示す。表−2から明らかなように、本発明のリ
ン含有化合物を添加した塗料を用いた塗布板は密着性に
優れていた。
【0020】
【化5】
【0021】[比較例1〜2]「エポリードHD30
2」の代わりに、表−1に示す原料エポキシ化合物を用
い、実施例1と同様に操作し、リン含有化合物を得た。
使用した原料エポキシ化合物の性状を表−1に示す。得
られたリン含有化合物を実施例1と同様に塗料に配合
し、実施例1と同様に操作した。その結果を表−2に示
す。
2」の代わりに、表−1に示す原料エポキシ化合物を用
い、実施例1と同様に操作し、リン含有化合物を得た。
使用した原料エポキシ化合物の性状を表−1に示す。得
られたリン含有化合物を実施例1と同様に塗料に配合
し、実施例1と同様に操作した。その結果を表−2に示
す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】表−2の諸性状値の評価判定試験の項目と
要領は、次の通りである。 (1)鉛筆硬度:JIS K 5400 8.4に従
い、三菱ユニ(三菱鉛筆(株)製)を用いて、塗膜が傷
付き始める時点の鉛筆の硬度を表示した。 (2)光沢:JIS K 5400 7.6に従い、6
0度鏡面反射率(%)で以て表示した。 (3)屈曲性:JIS K 5400 8.1に準じ
て、心棒の直径が2mmとして、塗膜を折り曲げたとき
の塗膜外観を目視で観察し、割れ・はがれを認めない場
合は○、認められる場合は×と表示した。 (4)密着性:JIS K 5400 8.5の碁盤目
テープ法に準じて、隙間間隔1mmの切り傷を碁盤目状
に付け、この碁盤目の上に粘着テープを貼り、はがした
後の塗膜の付着状態を目視で観察し、10段階の評価を
おこなった。
要領は、次の通りである。 (1)鉛筆硬度:JIS K 5400 8.4に従
い、三菱ユニ(三菱鉛筆(株)製)を用いて、塗膜が傷
付き始める時点の鉛筆の硬度を表示した。 (2)光沢:JIS K 5400 7.6に従い、6
0度鏡面反射率(%)で以て表示した。 (3)屈曲性:JIS K 5400 8.1に準じ
て、心棒の直径が2mmとして、塗膜を折り曲げたとき
の塗膜外観を目視で観察し、割れ・はがれを認めない場
合は○、認められる場合は×と表示した。 (4)密着性:JIS K 5400 8.5の碁盤目
テープ法に準じて、隙間間隔1mmの切り傷を碁盤目状
に付け、この碁盤目の上に粘着テープを貼り、はがした
後の塗膜の付着状態を目視で観察し、10段階の評価を
おこなった。
【0025】
【発明の効果】本発明で得られたリン含有化合物は、従
来より知られているタイプと比ベ、分散剤として特に顔
料、金属粉に特異な作用を及ぼし、自動車の車体塗装な
どの水溶性塗料や、水性インキなどに添加すると、極め
て高い効果が得られる。また一般の樹脂に添加すること
により優れた密着性をもたらすことができる。
来より知られているタイプと比ベ、分散剤として特に顔
料、金属粉に特異な作用を及ぼし、自動車の車体塗装な
どの水溶性塗料や、水性インキなどに添加すると、極め
て高い効果が得られる。また一般の樹脂に添加すること
により優れた密着性をもたらすことができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるリン含有化
合物。 【化1】 - 【請求項2】 下記一般式(2)で表されるエポキシ化
合物と、−OP(=O)(OH)2基を含有する化合物
とを反応させることを特徴とする請求項1記載のリン含
有化合物の製法。 【化2】 - 【請求項3】 −OP(=O)(OH)2基を有する化
合物がオルトリン酸、またはそのモノエステルであるこ
とを特徴とする請求項2記載のリン含有化合物の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8224475A JPH1045772A (ja) | 1996-08-07 | 1996-08-07 | リン含有化合物およびその製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8224475A JPH1045772A (ja) | 1996-08-07 | 1996-08-07 | リン含有化合物およびその製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1045772A true JPH1045772A (ja) | 1998-02-17 |
Family
ID=16814384
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8224475A Withdrawn JPH1045772A (ja) | 1996-08-07 | 1996-08-07 | リン含有化合物およびその製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1045772A (ja) |
-
1996
- 1996-08-07 JP JP8224475A patent/JPH1045772A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20050905 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20050912 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20050815 |