JPH1045598A - ウイルス感染症予防治療剤 - Google Patents

ウイルス感染症予防治療剤

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JPH1045598A
JPH1045598A JP8305697A JP8305697A JPH1045598A JP H1045598 A JPH1045598 A JP H1045598A JP 8305697 A JP8305697 A JP 8305697A JP 8305697 A JP8305697 A JP 8305697A JP H1045598 A JPH1045598 A JP H1045598A
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JP
Japan
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virus
infection
active ingredient
therapeutic agent
prophylactic
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JP8305697A
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Yoichi Fujii
陽一 藤井
Akio Adachi
昭夫 足立
Toshio Asano
敏雄 浅野
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 下記の一般式〔I〕 【化1】 (ただし、式中、R1 は水素原子または水酸基を表す)
で示される化合物またはその酸付加塩を有効成分とする
ウイルス感染予防治療剤である。 【効果】 優れたウイルス感染症の予防治療効果が得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウイルス感染症予
防治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ウイルスは、DNAまたはRNAいずれ
かの核酸と少数の蛋白分子からなる粒子状の微生物であ
り、ウイルス単独では、通常、増殖能を有さず、動物、
細菌、真菌、藻類あるいは植物の細胞内に浸入し、宿主
細胞内の代謝系を使ってはじめて増殖することが知られ
ている。ウイルスの遺伝子には、感染に必要なタンパク
質や宿主細胞内での核酸の発現に必要なタンパク質(酵
素)、さらにウイルスの構造を保持するためのタンパク
質等の情報を含んでいる。
【0003】ウイルスの感染を受けた場合、どのような
症状が現れるかはウイルスの種類によって千差万別で、
同じウイルスが異なった症状を起こすこともある一方
で、異なったウイルスが似かよった症状を起こすことも
多い。また、ウイルスの感染を受けると必ず症状が出る
わけではなく、全く症状が現れない場合(不顕性感染)
も多い。症状が現れる場合(顕性感染)でも、すべての
症状が出揃う場合から一部の症状が出るだけで終わって
しまう場合まである。このような多様性が何によって生
じるのかは十分に明らかにはされていないが、少なくと
も、ウイルスの種類、感染を受けた個人の免疫機能の状
態に依存していることは確かである。
【0004】動物に感染するウイルスは、その粒子内に
含まれる遺伝子によりDNAウイルスとRNAウイルス
に分類され動物ウイルスと総称される。DNAウイルス
とRNAウイルスとでは、遺伝子の複製、転写機構に異
なる点があるが、動物ウイルスが細胞に感染し、増殖す
る過程は本質的には類似しているものと判断される。即
ち、(1)ウイルスの細胞表面への吸着、侵入、脱穀、
(2)核酸の複製、転写、(3)ウイルス蛋白の合成、
プロセシング、(4)ウイルス粒子の成熟と放出、とい
う共通の過程が示されるのである。いずれにしろ、この
ような過程により、ウイルス感染症の成立の前提となる
ウイスルの動物体内での増殖が行われ、宿主細胞の障
害、死滅に至る。
【0005】従来、ウイルス感染症の予防治療のため
に、例えば、アマンタジンやリマンタジンが使用されて
いる。これらの薬剤は、細胞リゾチーム内のpHを高
め、ウイルスエンベロープ膜のプロテアーゼによる開裂
を阻害し、ウイルス粒子の侵入に必要な膜融合を阻害す
るとのことである。また、アシクロビル、ガンシクロビ
ル、ペンシクロビル、ホスカルネットナトリウムなど
は、ウイルスDNAの複製を阻害する物質として知られ
ている。リバビリンやブレデニンは、RNAウイルスの
転写、複製(RNA→RNA)を阻害する。ネプラノシ
ンAやアリステロマイシンは、ウイルスmRNAのキャ
ップのメチル化を阻害することにより、該mRNAの翻
訳効率や安定性が低下し、ウイルスの増殖を結果的に抑
制する。
【0006】また、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)や
C型肝炎ウイルス(HCV)は、自らのゲノムに由来す
るプロテアーゼにより、合成されたペプチドが切断され
て種々の構造機能蛋白を作り出すと言われているが、こ
のプロテアーゼ活性を特異的に阻害する物質も研究され
ている。インデナビル、クリキシバン等は、プロテアー
ゼインヒビターとして、プロテアーゼによるHIV(ヒ
ト免疫不全ウイルス)のプレ蛋白の開裂を阻害し、その
プレ蛋白の活性化を抑制してウイルスの増殖を抑制する
とのことである。さらに、インターフェロンの作用によ
り細胞内に蓄積する2−5オリゴアデニル酸は、RNA
アーゼ活性を高めてウイルスmRNAの分解を速めるの
で、ウイルス蛋白への翻訳が阻害される。
【0007】また、逆転写酵素の活性(RNA→DN
A)を阻害するものとして、3’−アジド−3’−デオ
キシチミジン(以下AZTと略することがある)、
2’,3’−ジデオキシシチジン(以下ddCと略する
ことがある)、2’,3’−ジデオキシイノシン(以下
ddIと略することがある)などが挙げられ、これら
は、AIDS治療に用いられているようである。
【0008】逆転写酵素とは、RNAを鋳型にしてDN
Aを合成することを触媒する酵素であり、ウイルス粒子
に内在している。その他に、アロステリック逆転写酵素
阻害薬5−エチル−6−フェニルチオウラシル、ネビラ
ピンは、逆転写酵素の基質結合部以外に結合して、逆転
写酵素活性を阻害すると考えられている。また、Cカイ
ネース阻害剤H−7〔1−(5−イソキノリニルスルホ
ニル)−2−メチル−ピペラジン〕について、明確にH
IV感染症に効果があるとの結論ではないが、その関係
を検討した文献も存在する〔Antiviral Re
s.22,273〜283(1993)〕。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】有効なワクチンが開発
され、1980年にWHOによって根絶宣言が出された
痘瘡の例もあるが、多くの試みにも拘らず、ウイルス感
染症に対する根治療は未だ確立されておらず、ウイルス
感染症の予防・治療に好ましい効果を示す新たな医薬が
求められていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み、鋭意努力の結果、下記の一般式〔I〕で示される
化合物またはその酸付加塩に、特に優れたウイルス感染
症予防、治療効果を認め、有効な改善剤となることを確
認し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下
記一般式〔I〕
【0011】
【化2】 (ただし、式中、R1 は水素原子または水酸基を表す)
で示される化合物またはその酸付加塩を有効成分とする
ウイルス感染症予防治療剤(以下、時として予防治療剤
という)である。
【0012】一般式〔I〕(ただし、式中、R1 は水素
原子または水酸基を表す)で示される化合物が、血管拡
張作用等を示し、血管拡張剤等において有用な物質であ
ることは既に公知である〔特公平7−80854号公
報、特開昭61−152658号公報、特開昭61−2
27581号公報、特開平2−256617号公報、特
開平4−264030号公報、特開平6−056668
号公報、特開平6−080569号公報、特開平6−2
93643号公報、特開平7−277979号公報、B
r.J.Pharmacol.,8,1091(198
9)、J.Pharmacol.Exp.Ther.,
259,738(1991)、Eur.J.Pharm
acol.,195,267(1991)、Bioch
em.Pharmacol.,46,1487(199
3)〕。
【0013】一般式〔I〕で示される化合物または酸付
加塩は前述の通り公知であり、とくに一般式〔I〕(式
中、R1 が水素原子を表す)で示される化合物の酸付加
塩は塩酸ファスジル〔FAS;hexahydro−1
−(5−isoquinolinesulfonyl)
−1H−1,4−diazepine hydroch
loride〕として、既に市販されている薬剤であっ
て、低毒性であることは確認されている。また、FAS
がミオシン軽鎖リン酸化酵素阻害作用やCカイネース阻
害作用など蛋白リン酸化阻害作用を示すことも知られて
いる〔脳神経45(9)、819〜824頁、1993
年〕。
【0014】しかし従来、本発明の化合物がウイルス感
染症の予防治療に好ましい効果を示すことは、全く知ら
れていなかった。本発明の一般式〔I〕で示される化合
物は、公知の方法、例えば、Chem.Pharm.B
ull.,40,(3)770〜773(1992)、
特開昭61−152658号公報等に掲載されている方
法により合成することができる。また、その酸付加塩
は、薬学上許容される非毒性の塩が好ましく、例えば塩
酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸等の無機酸、および酢
酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、マ
レイン酸、メタンスルホン酸等の有機酸の塩を挙げるこ
とができる。
【0015】本発明のウイルス感染症予防治療剤を調製
するに際しては、上述の一般式〔I〕で示される化合物
またはその酸付加塩と公知の医薬上許容される担体とを
混合すればよい。上記の担体としては、例えば、ゼラチ
ン:乳糖、グルコース等の糖類:コーン、小麦、米、と
うもろこし澱粉等の澱粉類:ステアリン酸等の脂肪酸:
ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等
の脂肪酸塩:タルク:植物油:ステアリルアルコール、
ベンジルアルコール等のアルコール:ガム:ポリアルキ
レングリコール等が挙げられる。
【0016】これらの内、液状担体の例としては一般に
水、生理食塩液、デキストロースまたは類似の糖溶液、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコ
ール類が挙げられる。 本発明のウイルス感染症予防治
療剤がカプセル剤である場合には、通常ゼラチンを用い
てカプセルを調製し、使用することが好ましい。投与方
法は、経口投与や非経口投与が挙げられる。経口投与に
適した剤形としては、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒
剤、液剤、エリキシル剤等が挙げられ、非経口投与に適
した剤形としては、液剤が例示される。
【0017】非経口的に筋肉内注射、静脈内注射、皮下
注射で投与する場合には、一般式〔I〕で示される化合
物またはその酸付加塩は、溶液を等張にするために、食
塩またはグルコース等の他の溶質を添加した無菌溶液と
して使用される。注射により投与する場合には、さら
に、滅菌水、塩酸リドカイン溶液(筋肉内注射用)、生
理食塩液、ブドウ糖溶液、静脈内注射用液体、電解質溶
液(静脈内注射用)等で溶解することも好ましい。この
ように溶解した場合には、通常0.001〜20重量
%、好ましくは0.01〜10重量%の有効成分を含む
ように調製されることがある。
【0018】経口投与が錠剤、カプセル剤、粉剤、また
は顆粒剤である場合には、0.01〜100重量%、好
ましくは1〜40重量%の有効成分を含む例が挙げられ
る。経口投与が液剤である場合は、0.01〜20重量
%の有効成分を含む懸濁液またはシロップが好ましい例
として挙げられる。この場合担体としては、香料、シロ
ップ、製剤的ミセル体等の水様賦形剤を挙げることがで
きる。
【0019】本発明の予防治療剤の投与量は、患者の年
齢、健康状態、体重、症状の程度、同時処置があるなら
ばその種類、処置頻度、所望の効果の性質、あるいは投
与経路や投与計画によっても決定されるが、一般には、
非経口投与で0.01〜25mg/kg・日、経口投与
で0.02〜40mg/kg・日が挙げられる。さら
に、非経口投与では、好ましくは0.1mg/kg・日
以上、さらに好ましくは1mg/kg・日以上、特に好
ましくは2mg/kg・日以上が挙げられ、経口投与で
は、好ましくは0.5mg/kg・日以上、さらに好ま
しくは1又は2mg/kg・日以上、特に好ましくは4
mg/kg・日以上が挙げられる。
【0020】本発明の予防治療剤は、驚くべきことに、
各種の試験において抗ウイルス活性を示し、ウイルス感
染症予防治療剤として有効であることが判明した。ウイ
ルス感染症に対して、抗ウイルス化学療法が必要とされ
ているものは、例えば、次の例が知られている(最新内
科学体系26巻、73〜88頁)。
【0021】例えば、respiratory syn
cytial(RS)ウイルス、パラインフルエンザウ
イルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、ア
デノウイルス、ロタウイルスなどによる急性ウイルス感
染症、また、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイ
ルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス、ヒトヘル
ペスウイルス6などの免疫抑制状態で再発重症化するウ
イルス感染症、また、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイ
ルス、HIV、HTLVなど慢性化またはキャリア化す
るウイルス感染症、また、風疹ウイルスなど垂直感染を
起こすウイルス感染症、また、エボラ、ラッサ熱、腎症
候性出血熱などを起こす出血熱ウイルス感染症が挙げら
れる。
【0022】上記において、AIDS(後天性免疫不全
症候群)の病原ウイルス〔ヒト免疫不全ウイルス(HI
V)〕や、成人T細胞白血病をもたらすウイルス(HT
LV)などのレトロウイルス〔化学療法の領域、11
(6)1069〜1078頁、1995;蛋白質 核酸
酵素、40(90)、1079〜1091頁、199
5〕による感染症が近年大きな問題となっている。レト
ロウイルスとは、逆転写酵素を持つRNAウイルスの略
称であるが、レトロウイルス感染症である成人T細胞白
血病とAIDSは病原体が1980年代に発見されたも
のでその研究はまだ新しく、急激な増加を見せている。
【0023】即ち、本発明の予防治療剤の対照として好
ましくは、レトロウイルスによって引き起こされる感染
症(レトロウイルス感染症)が例示され、さらに好まし
くは、AIDSなどのHIV感染症や成人T細胞白血病
が挙げられる。また本発明は、請求項1記載の一般式
〔I〕で示される化合物(式中、R1 は水素原子または
水酸基を表す)またはその酸付加塩を有効成分とする、
ウイルスの感染抑制剤、またはウイルス伝播抑制剤であ
る。
【0024】また本発明は、請求項1記載の一般式
〔I〕で示される化合物(式中、R1 は水素原子または
水酸基を表す)またはその酸付加塩を有効成分とするウ
イルス増殖抑制剤である。更に本発明は、請求項1記載
の一般式〔I〕で示される化合物(式中、R1 は水素原
子または水酸基を表す)またはその酸付加塩を有効成分
とするEnv蛋白質発現抑制剤である。
【0025】さらにまた本発明は、請求項1記載の一般
式〔I〕で示される化合物(式中、R1 は水素原子また
は水酸基を表す)またはその酸付加塩を有効成分とする
ウイルス産生抑制剤である。本発明のウイルス産生抑制
とは、感染細胞からのウイルス粒子の放出を抑制するこ
とを意味し、本発明の抑制剤は、この抑制作用に優れて
いる。また更に本発明は、請求項1記載の一般式〔I〕
で示される化合物(式中、R 1 は水素原子または水酸基
を表す)またはその酸付加塩を有効成分とするウイルス
の合胞体形成抑制剤である。
【0026】これらの発明において、ウイルスがレトロ
ウイルスであることが好ましく、HIV、さらにHIV
−1であることが好ましい例として挙げられる。もちろ
ん本発明は、これらの医薬を用いた予防治療または抑制
方法として提示される。また、本発明の化合物は、以下
の方法によりウイルス感染による細胞死またはアポプト
シス(apoptosis)が抑制されることが確認で
き、HIV等のウイルス感染症に有効であることが示さ
れる。
【0027】〔方法〕あらかじめ37℃、5%CO2
件下で継代培養しておいたMOLT4細胞(Kikuk
awa,R.et al.,J.Virol.198
6,57:1159〜1162)を培養液〔10%牛胎
児血清(JRH,Bioscience社製)を添加し
たRPMI培地(日水社製)〕に浮遊させて細胞懸濁液
を調製する。2×106 個の細胞を含むこの細胞懸濁液
を、25mlの培養フラスコに分注し、さらに適当量の
HIV2/GH123(Shibata,R.et a
l.,J.Virol.1990,64:742〜74
7)を添加し感染させる。これに培養液を加え最終的に
10ml/フラスコに調整する。本発明の化合物(FA
SおよびR1 が水酸基の化合物)の既知濃度の水溶液を
20μlずつ加え薬剤添加群とする。また薬剤無添加の
コントロール群も作製する。感染させた次の日から3日
から4日毎に培養上清5mlを交換する。
【0028】その際、薬剤添加群の薬剤濃度が一定にな
るように予め培養液に薬剤を溶解させる。また、ウイル
ス非感染のMOLT4細胞にそれぞれの薬剤を添加し、
感染細胞と同様に長期培養し、薬剤自身の細胞に対する
影響も調べる。感染させた後の25日から30日後に、
軽く細胞を攪拌し、細胞浮遊液100μlを96穴プレ
ートに採取する。そして、MTT法(村上他、日本臨床
増刊HIV感染症・AIDS、113〜119頁;P
auwels.R.et al.,J.Virol.M
ethods,1988,20:309〜321)にて
生細胞数を定量し、薬剤の効果を検討する。
【0029】すなわち、プレートに5mg/mlのMT
T〔臭化3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−
2,5−ジフェニル−2Hテトラゾリウム、同仁化学研
究所製〕を10μl添加し、37℃、5%CO2 で2時
間反応させ、ホルマザンを生成させる。次に、10%T
riton−X、0.04N塩酸のイソプロパノールを
添加し、ホルマザンを可溶化させ、生成したホルマザン
量をOD550nm の吸光度としてプレートリーダーで測定
する。対照の吸光度は、MTTのOD630nm で測定す
る。MTTは生細胞数に比例し吸光波長が550nmの
ホルマザンに変化する。本発明化合物を添加した群で
は、ウイルス感染による細胞死またはアポプトシスが抑
制されることが判った。
【0030】
【発明の実施の形態】次いで、本発明について実施例を
挙げて具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例によ
って限定されるものではない。
【0031】実施例1 製剤例(無菌注射剤) 下記の表1に示す成分を注射用蒸留水に溶解し、その
後、注射用蒸留水を添加し必要な最終含量とし、この溶
液2mlをアンプルに密封し、加熱滅菌無菌注射剤を製
造した。
【0032】
【表1】
【0033】実施例2 製剤例(錠剤) 下記の表2に示す成分を含む錠剤を常法により調製し
た。
【0034】
【表2】
【0035】実施例3 HIVの合胞体形成阻止活
性 a)HIV−1 acute−phase infec
tionに対する薬剤の作用: (方法)MOLT−4(American Type
Culture Collection ATCC C
RL−1582)を、10%FBS(牛胎児血清;ギブ
コ社製)入りのRPMI培地(ギブコ社製)にて培養
(培養条件:37℃、5%CO2 /95%空気)して得
た細胞を適当な細胞数(1×105 cells/50μ
l)に調製した。その調製液50μlと、HIV−1
(LAV−1株;Wain−Hobson et a
l.,Cell 40,9〜17,1985)を上記の
10%FBS入りのRPMI培地により調製した調製液
50μlとを、96穴マイクロプレートの各ウエルに入
れ、48時間培養した(MOLT−4とHIV−1感染
の条件;M.O.I.=4.0)。
【0036】薬剤添加群の試験として、図1に示された
各最終濃度となるように各薬剤を上記10%FBS入り
のRPMI培地に溶解せしめた薬剤溶液100μlを、
MOLT−4細胞調製液とHIV−1調製液との混合時
に添加し、最終溶液量を200μlとした。形成した合
胞体(シンシチウム)の数を顕微鏡下でウエル毎に数え
た。
【0037】薬剤としては、FAS〔塩酸ファスジル;
Chem.Pharm.Bull.,40,(3)77
0〜773(1992)〕、Cカイネース阻害剤H−7
〔1−(5−イソキノリニルスルホニル)−2−メチル
−ピペラジン;シグマ社製〕、カルモジュリンカイネー
スII阻害剤KN−62[1−〔N,O−ビス−(5−イ
ソキノリンスルホニル)−N−メチル−L−タイロシ
ル〕−4−フェニル−ピペラジン;シグマ社製、Neu
roscience Lett.129,47(199
1)]を用いた。
【0038】薬剤無添加群(対照群)として、上記の薬
剤添加群の試験における薬剤溶液100μlに替えて薬
剤無添加のブランク溶液を添加した。測定された薬剤添
加群における合胞体形成数と、薬剤無添加群における合
胞体形成数とから、以下の数式により合胞体形成能を計
算した。 合胞体形成能=薬剤添加群における合胞体形成数/薬剤
無添加群における合胞体形成数
【0039】(結果)結果は図1に示した。図1の縦軸
は合胞体形成能、横軸は薬剤の最終濃度(μM)をそれ
ぞれ示す。FAS(−○−)は、1.0μMまで合胞体
形成を90%阻止した。H−7(−△−)、KN−62
(−□−)は、30μMでそれぞれ約50%、75%の
阻止活性を示したが、2.0μMでは、いずれもその効
果は認められなかった。なお、上記コントロール(薬剤
無添加群)の合胞体数は175±20個であった。FA
Sは、HIV−1ウイルス粒子の細胞への感染を明らか
に抑止したものと結論付けられた。したがって、FAS
は、HIV感染の抑制または予防の効果を示す。
【0040】b)HIV−1 chronic−pha
se infectionに対する薬剤の作用: (方法)MOLT−4を培養(培養条件:37℃、5%
CO2 /95%空気、10%FBS入りのギブコ社製R
PMI培地)して得た細胞を適当な細胞数(1×105
cells/50μl)に調製し、その調製液50μl
に、HIV−1(LAV−1)調製液50μlを添加し
て混合培養し(MOLT−4とHIV−1感染の条件;
M.O.I.=1.0)、3日間隔で感染細胞混合液を
新しい培養液と2:5の容量比で培養した。これを1ケ
月以上行って持続感染細胞を作製した。そして、その持
続感染細胞を適当な細胞数(1×105 cells/5
0μl)に調製して、持続感染細胞調製液とした。
【0041】一方、非感染細胞調製液としては、MOL
T−4を培養(培養条件:37℃、5%CO2 /95%
空気、10%FBS入りのギブコ社製RPMI培地)し
て得た細胞を適当な細胞数(1×105 cells/5
0μl)に調製して得た。
【0042】上記の持続感染細胞調製液50μlを96
穴マイクロプレートの各ウエルに入れ、その上に上記の
非感染細胞調製液50μlとを96穴マイクロプレート
の各ウエルに添加し、48時間培養し、形成した合胞体
(シンシチウム)の数を顕微鏡下で数えた。
【0043】薬剤添加群の試験として、図2に示された
各最終濃度となる各薬剤溶液100μlを、持続感染細
胞調製液と非感染細胞調製液との混合時に添加した。ま
た、薬剤無添加群(対照群)として、上記の薬剤添加群
の試験における薬剤溶液100μlに替えて薬剤無添加
のブランク溶液を添加した。なお、用いた薬剤や、合胞
体形成能の計算手順は、上記a)の場合と同様である。
【0044】(結果)その結果は、図2に示した。図2
の縦軸は合胞体形成能、横軸は薬剤濃度(μM)をそれ
ぞれ示す。図2に示される通りFASは、極めて高い合
胞体形成抑制作用を示した。FAS(−○−)は少なく
とも3.75μMでも合胞体形成阻止活性を示した。一
方、H−7(−△−)、KN−62(−□−)では全く
合胞体形成阻止活性が認められなかった。
【0045】持続感染細胞から非感染細胞へのウイルス
伝播が明らかにFASによって抑制されたものと認めら
れた。したがって、FASはウイルス(特にHIV)感
染患者において、血中およびリンパ節などの組織でのウ
イルス伝播を抑制することが示された。
【0046】本発明の予防治療剤は、ウイルスの感染抑
制、および感染細胞と非感染細胞間のウイルス伝播(感
染)抑制のいずれにおいても、低い薬剤濃度で効果が認
められた。したがって、本発明の予防治療剤はHIV感
染症を始めとしたウイルス感染症の予防治療剤として期
待できる。なお、実施例3、4、5及び6の実験におい
て、本発明の予防治療剤は、何らMOLT−4細胞に対
する細胞毒性をうかがわせる所見は得られなかった。
【0047】実施例4 HIVの増殖抑制作用 〔細胞表面でのEnv(gp120)蛋白質の発現抑制
作用〕 (方法)MOLT−4を培養(培養条件:37℃、5%
CO2 /95%空気、10%FBS入りのギブコ社製R
PMI培地)して得た細胞を、適当な細胞数(1×10
5 cells/50μl)に調製した。その調製液50
μlと、HIV−1(LAV−1株)調製液50μl
(MOLT−4とHIV−1感染の条件;M.O.I.
=1.0)とを、96穴マイクロプレートの各ウエルに
入れ、1時間培養し、細胞へ感染させた。
【0048】この各ウエルに下記の薬剤溶液を100μ
l量を添加し、5日間培養した。その後、ウエルから溶
液をプラスチックチューブ(エッペンドルフ社製)に移
し、遠心分離後細胞を収集した。取得したこの細胞に、
一次抗体として、マウス抗Env gp120モノクロ
ーナル抗体(Repligen社製)を用い、二次抗体
として、FITC(Fluorescein Isot
hiocyanate)標識ヤギ抗マウスIgG(Ca
ppel社製)を用いて発色させ、蛍光顕微鏡下で、蛍
光を有する細胞をEnv陽性細胞として、その細胞数を
蛍光顕微鏡下で測定した。即ち、Techniques
in HIV research,edited b
y A.Aldovini & B.D.Walke
r,Stokton press,New York,
1990に従って間接蛍光抗体法で行った。
【0049】下記の数式によりEnv陽性細胞百分率を
算出した。 Env陽性細胞(%)=(FITC陽性細胞/全細胞
数)×100 薬剤としては、FAS、H−7、KN−62を使用し
た。対照として薬剤を入れていない溶媒を用いた。
【0050】(結果)結果は図3に示した。図3の縦軸
はEnv陽性細胞%(平均値±標準偏差、3例)、横軸
は薬剤濃度(μM)をそれぞれ示す。図3に示される通
り、FAS(−○−)では、強いEnv発現抑制作用が
見られた。一方、KN−62(−□−)では弱いEnv
発現阻止活性が認められたものの、H−7(−△−)で
は、有意なEnv発現阻止活性は検出できなかった。
【0051】Env蛋白質はHIV−1を始めレトロウ
イルス粒子の構造蛋白であり、感染ヒトT細胞表面およ
びHIV−1粒子表面などに存在する。従って、Env
抗原の発現は、ウイルス増殖を示すものであり、FAS
はウイルス増殖を抑制することを示している。以上か
ら、本発明の予防治療剤が、HIV−1を含むレトロウ
イルスなどのウイルス感染症の予防治療に有用であるこ
とが示された。
【0052】実施例5 HIVの産生(細胞外への
放出)抑制作用 (方法)MOLT−4を培養(培養条件:37℃、5%
CO2 /95%空気、10%FBS入りのギブコ社製R
PMI培地)して得た細胞を適当な細胞数(1×105
cells/50μl)に調製し、その調製液50μl
と、HIV−1(LAV−1株)調製液50μl(MO
LT−4とHIV−1感染の条件;M.O.I.=4.
0)とを、96穴マイクロプレートの各ウエルに入れ、
1時間培養し、ウイルスを細胞へ感染させた。
【0053】この各ウエルに下記の薬剤溶液を100μ
l量を添加し、5日間培養した。その後、ウエルから培
養溶液をプラスチックチューブ(エッペンドルフ社製)
に移した。遠心分離後、培養上清中のp24gag蛋白
質量をアボットキット(ELISA;ダイナボット社
製)を用いて測定した。薬剤としては、FAS、H−
7、KN−62を使用した。対照として薬剤を入れてい
ない溶媒を用いた。
【0054】(結果)結果は、図4に示した。図4の縦
軸はp24gag蛋白抗原濃度(ng/ml)、横軸は
薬剤濃度(μM)をそれぞれ示す。図4に示される通り
FAS(−○−)添加により、培養上清中のp24ga
g蛋白質が減少し、HIV−1産生が抑制されたことが
示された。FASのp24gag蛋白質減少作用は、H
−7(−△−)、KN−62(−□−)よりも明らかに
強かった。
【0055】HIV−1ウイルス粒子の構築にあたり、
p24gag蛋白質は、ウイルスコアを形成する重要な
蛋白質である。従って、p24gag蛋白質量は、感染
性ウイルス量に比例する。すなわち、FASはHIV−
1産生量、即ちウイルス産生量を抑制することが示され
た。本発明の予防治療剤が、HIV−1感染症を含むウ
イルス感染症の予防治療に有用であることが示された。
【0056】実施例6 FASと他の抗HIV薬の
HIV増殖抑制作用の比較 (方法)前記の実施例3と同様の合胞体形成能阻止試験
系を用いて行った。薬剤としては、本発明の化合物〔F
ASおよびR1 が水酸基の化合物(特開昭61−152
658号公報)〕、AIDS治療薬として使用されてい
るddI(シグマ社製)およびAZT(シグマ社製)、
またデキストラン硫酸(シグマ社製)をそれぞれ使用し
た。
【0057】(結果)結果は、図5に示した。図5にお
いて縦軸は合胞体形成能を示し、横軸は薬剤濃度(μ
M)をそれぞれ示す。図5に示される通りデキストラン
硫酸(−△−)、ddI(−▲−)、AZT(−●
−)、FAS(−○−)の50%合胞体形成阻止濃度
は、各々約60mM、100μM、50μM、800n
Mであり、HIV−1の合胞体形成能阻止活性におい
て、FASは、デキストラン硫酸、ddIおよびAZT
に比べて感受性が高かった。また、R1 が水酸基の化合
物においても、同様にHIV−1の合胞体形成を阻止し
た。
【0058】HIV−1の合胞体形成はHIV−1感染
の指標となり、HIV−1の感染と増殖はレトロウイル
ス感染症であるAIDS発症の指標である。すなわち、
本発明の予防治療剤は、既存の抗HIV薬よりも有効な
抗HIV感染症薬として期待できる。
【0059】実施例7 本発明の化合物が血液学的
毒性を有さないことが確認された。(方法) a)血液凝固時間 雌雄ウサギ(日本白色ウサギ、体重2〜3kg、オリエ
ンタル酵母)を使用した。ウサギの耳静脈より採血し、
3.8%クエン酸ナトリウム1/10用量を添加して調
整した血液を、3,000rpmで20分間遠心分離し
た。得られた血漿に被検薬剤を添加した後、活性化部分
thromboplastin時間(APTT)とpr
othrombin時間(PT)を、Coaglome
ter〔Coagtec(Coagtec TE60
0,EMRA;KC−10A,バクスター社製)〕によ
り測定した。用いた被検薬剤としては、本発明の化合物
〔FASおよびR1 が水酸基の化合物(特開昭61−1
52658号公報)〕と、ヘパリン(清水製薬社製)を
それぞれ用いた。
【0060】b)血小板凝集 雌雄ウサギ(日本白色ウサギ、体重2〜3kg、オリエ
ンタル酵母)を使用した。ウサギの耳静脈より採血し、
3.8%クエン酸ナトリウム1/10用量を添加して調
整した血液を、1,000rpmで10分間遠心分離し
た。分離された上清を取得して多血小板血漿(PRP)
とし、その沈渣をさらに3,000rpmで10分間遠
心分離し、分離された上清を取得して乏血小板血漿(P
PP)とした。PRP中の血小板数をPPPにて3×1
5 プレート/μlに調整した。
【0061】PRPに被検薬剤を添加し、1分後に調製
したADP(アデノシン2リン酸;シグマ社製)水溶液
を終濃度5μM、あるいはcollagen(シグマ社
製)水溶液を終濃度5μg/mlになるように添加し、
惹起される凝集反応をアグリコメーター(NBS HE
MA TRACERVI)にて測定した。生理食塩液添
加時の最大透光度に対する薬剤添加時の最大透光度から
阻害率を求めた。用いた被検薬剤としては、本発明の化
合物〔FASおよびR1 が水酸基の化合物(特開昭61
−152658号公報)〕と、アデノシン(シグマ社
製)を用いた。
【0062】(結果) a)血液凝固時間 下記の表3に示される通り、ウサギ血漿において、本発
明の化合物は、APTT及びPTに影響を及ぼさなかっ
た。ヘパリンは、明らかにAPTT及びPTを延長させ
た。したがって、FASは血液凝固時間に影響を持たな
いことが示された。
【0063】
【表3】
【0064】b)血小板凝集 下記の表4に示される通り、ウサギ血小板において、本
発明の化合物は、ADP凝集及びCollagen凝集
に影響を及ぼさなかった。アデノシンは、ADP凝集及
びCollagen凝集を抑制した。
【0065】
【表4】
【0066】したがって、上記の実施例3、4、5およ
び6で用いられた本発明の化合物の試験管内濃度の30
μM程度では、血液凝固および血小板凝集に関する副作
用がないことが確認された。以上のことから、本発明の
予防治療剤は、安全性の高いことが確認された。
【0067】実施例8 本発明の化合物の急性毒性試験をラットおよびマウスを
用いて実施し、低毒性であることが確認された。その結
果を以下の表5に示す。
【0068】
【表5】
【0069】実施例9 単純ヘルペスウイルスI
型、およびパラインフルエンザ ウイルスのプラーク形成阻止活性 (方法)実験は、参考文献〔Antiviral Ch
emistry & Chemotherapy(19
94)5(6),366〜371;ウイルス実験学各
論、国立予防衛生研究所学友会編、丸善出版、1982
年、第65〜78頁または第331〜340頁〕に準じ
た実験手法により実施した。
【0070】即ち、細胞培養液〔10%牛胎児血清を添
加したダルベッコ変方MEM(日水社製)〕にて培養し
たVero細胞を、トリプシン(シグマ社製)にて剥離
し、前記と同一組成の細胞培養液に20万cell/m
l浮遊させて調製した細胞浮遊液を、48穴プレートの
各ウエルに0.5ml分注した。各ウエルが上記細胞に
てフルシートとなるように、このプレートを37℃、5
%CO2 条件下で約一日培養した。培養後、培養上清を
除去した後、ウイルス培養液(MM;2%牛胎児血清を
添加したダルベッコ変方MEM)により、4倍系列で段
階希釈した被検薬剤を含有せしめた各濃度の薬剤溶液5
0μlを加えた。
【0071】次いで、ウイルス(パラインフルエンザウ
イルス、或いは、単純ヘルペスウイルスI型)をMMに
て約50pfu(plaque forming un
it)/50μlとなるよう調整したウイルス液50μ
lを、上記各ウエルに加えた。最後に、この各ウエルに
1%メチルセルロースを含有するMM400μlずつを
加えて、薬剤添加試験群とした。また、薬剤溶液を添加
する代わりに、薬剤無添加のウイルス培養液を添加する
薬剤無添加コントロール試験群も実施した。
【0072】以上の試験群を、37℃、5%CO2 条件
下で3日間培養し、プラークを形成させ、各ウエルのプ
ラーク数を計測した。なお、本発明の化合物として、F
ASおよびR1 が水酸基の化合物を被検薬剤として用い
た。薬剤溶液における最終薬剤濃度は、100、25、
6.3、1.6μg/mlとし、各試験群は、2ウエル
の試験を行い、そのプラーク数の平均値を求めた。抗単
純ヘルペスウイルスI型効果の結果を表6に、抗パライ
ンフルエンザウイルス効果の結果を表7にそれぞれ示し
た。
【0073】
【表6】 上記の単純ヘルペスウイルスに対する結果は、表6に示
された通りであり、本発明化合物は、用量依存的にDN
Aウイルスである単純ヘルペスウイルスによるプラーク
数の形成を阻止した。
【0074】
【表7】
【0075】上記のパラインフルエンザウイルスに対す
る結果は、表7に示された通りであり、本発明化合物は
用量依存的にRNAウイルスであるパラインフルエンザ
ウイルスによるプラーク数の形成を阻止した。プラーク
数の形成は、ウイルス感染、ウイルス増殖の指標であ
る。本発明化合物がDNAウイルスである単純ヘルペス
ウイルス、また、RNAウイルスであるパラインフルエ
ンザウイルスの増殖、感染を明らかに抑止したものと結
論づけられた。従って、FASなど本発明の化合物は、
DNAウイルス、RNAウイルス感染の抑制または予防
の効果を示すことが確認された。
【0076】
【発明の効果】以上の実験結果から明らかなごとく、有
用なウイルス感染症予防治療剤となることが期待され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例3におけるHIV−1のacu
te−phase infectionに対する薬剤の
作用(合胞体形成阻止活性の測定結果)を示すものであ
る。
【図2】本発明の実施例3におけるHIV−1のchr
onic−phase infectionに対する薬
剤の作用(合胞体形成阻止活性の測定結果)を示すもの
である。
【図3】本発明の実施例4におけるHIV−1の増殖抑
制作用の測定結果を示すものである。
【図4】本発明の実施例5におけるHIV−1の産生抑
制の測定結果を示すものである。
【図5】本発明の実施例6におけるFASと他剤のHI
V−1増殖抑制作用(合胞体形成阻止活性)比較の結果
を示すものである。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式〔I〕 【化1】 (ただし、式中、R1 は水素原子または水酸基を表す)
    で示される化合物またはその酸付加塩を有効成分とする
    ウイルス感染症予防治療剤。
  2. 【請求項2】 ウイルス感染症が、レトロウイルス感染
    症である請求項1に記載のウイルス感染症予防治療剤。
  3. 【請求項3】 レトロウイルス感染症が、HIV感染
    症、または成人T細胞白血病である請求項2に記載のウ
    イルス感染症予防治療剤。
  4. 【請求項4】 ウイルス感染症予防治療剤が、注射剤の
    形態であることを特徴とする請求項1に記載のウイルス
    感染症予防治療剤。
  5. 【請求項5】 注射剤が、有効成分0.001〜20重
    量%、好ましくは0.01〜10重量%含有するように
    調製されていることを特徴とする請求項4に記載のウイ
    ルス感染症予防治療剤。
  6. 【請求項6】 注射剤が、有効成分として体重1kg当
    たり一日投与量0.01〜25mgであるように調製さ
    れていることを特徴とする請求項4に記載のウイルス感
    染症予防治療剤。
  7. 【請求項7】 注射剤が、有効成分として体重1kg当
    たり一日投与量0.1mg以上、好ましくは1または2
    mg以上であるように調製されていることを特徴とする
    請求項6に記載のウイルス感染症予防治療剤。
  8. 【請求項8】 ウイルス感染症予防治療剤が、経口投与
    用製剤の形態であることを特徴とする請求項1に記載の
    ウイルス感染症予防治療剤。
  9. 【請求項9】 経口投与用製剤が、有効成分を0.01
    〜100重量%含有するように調製されていることを特
    徴とする請求項8に記載のウイルス感染症予防治療剤。
  10. 【請求項10】 経口投与用製剤が、有効成分として体
    重1kg当たり一日投与量0.02〜40mgであるよ
    うに調製されていることを特徴とする請求項8に記載の
    ウイルス感染症予防治療剤。
  11. 【請求項11】 経口投与用製剤が、有効成分として体
    重1kg当たり一日投与量0.5mg以上、好ましくは
    1または2mg以上、特に好ましくは4mg以上である
    ように調製されていることを特徴する請求項10に記載
    のウイルス感染症予防治療剤。
  12. 【請求項12】 請求項1に記載の一般式〔I〕で示さ
    れる化合物(式中、R1 は水素原子または水酸基を表
    す)またはその酸付加塩を有効成分とする、ウイルスの
    感染抑制剤、ウイルス伝播抑制剤、ウイルス増殖抑制
    剤、Env蛋白質発現抑制剤、ウイルス産生抑制剤、ま
    たはウイルスの合胞体形成抑制剤のいずれかの抑制剤。
  13. 【請求項13】 ウイルスが、レトロウイルスである請
    求項12に記載の抑制剤。
  14. 【請求項14】 レトロウイルスが、HIVである請求
    項13に記載の抑制剤。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載の一般式〔I〕で示さ
    れる化合物(式中、R1 は水素原子または水酸基を表
    す)またはその酸付加塩の有効量を投与することからな
    るウイルス感染症の予防治療のための、ウイルスの感染
    抑制のための、ウイルス伝播抑制のための、ウイルス増
    殖抑制のための、Env蛋白質発現抑制のための、ウイ
    ルス産生抑制のための、またはウイルスの合胞体形成抑
    制のための、いずれかの予防治療法、または抑制方法。
  16. 【請求項16】 ウイルスが、レトロウイルスである請
    求項15項に記載の方法。
  17. 【請求項17】 レトロウイルスが、HIVである請求
    項16に記載の方法。
JP8305697A 1996-04-10 1997-04-01 ウイルス感染症予防治療剤 Withdrawn JPH1045598A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000064478A1 (fr) 1999-04-27 2000-11-02 Mitsubishi Pharma Corporation Medicaments destines a soigner et a prevenir les maladies du foie

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000064478A1 (fr) 1999-04-27 2000-11-02 Mitsubishi Pharma Corporation Medicaments destines a soigner et a prevenir les maladies du foie

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