JPH1044737A - 車両用サスペンション - Google Patents

車両用サスペンション

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JPH1044737A
JPH1044737A JP20061596A JP20061596A JPH1044737A JP H1044737 A JPH1044737 A JP H1044737A JP 20061596 A JP20061596 A JP 20061596A JP 20061596 A JP20061596 A JP 20061596A JP H1044737 A JPH1044737 A JP H1044737A
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JP
Japan
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suspension
distribution ratio
vehicle
front wheel
driving force
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JP20061596A
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Inventor
Michito Hirahara
道人 平原
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加速時等の車両姿勢変化を抑制して良好な車両
乗り心地が得られ、しかも汎用性に優れ且つ低コストで
済むようにする。 【解決手段】前輪WF 側の駆動力の配分比の減少に応じ
て、角度θf0は徐々に大きくなり、角度θr0は徐々に小
さくなっても、前輪WF 側サスペンションを構成するリ
ンク部材の回転中心CF を線L1'を追従するように移動
させ、後輪WR 側サスペンションを構成するリンク部材
の回転中心CR を線L2'を追従するように移動させて、
角度θf は増大方向に、角度θr は拡大方向に変化させ
る。これにより、前輪WF 側のアンチリフト率及び後輪
R 側のアンチスカット率が1から大きくはずれるよう
なことを防止して、車体前部及び車体後部が大きくリフ
トすることを回避する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、前輪側及び後輪
側間の駆動力の配分比を変更可能になっている駆動力伝
達系を備えた車両に用いられるサスペンションに関し、
特に、駆動力の配分比に応じてサスペンション特性を適
宜調整することにより、加速時等の車両姿勢変化を抑制
して良好な車両乗り心地が得られ、しかも汎用性に優れ
且つ低コストで済むようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来の車両用サスペンションとして特開
平1−109122号公報に開示されたものがある。即
ち、かかる公報にはアクティブサスペンションを備えた
トルクスプリット型四輪駆動車が開示されており、車両
旋回状態における荷重移動配分(つまりアクティブサス
ペンションの反力配分)を適宜制御することにより、コ
ーナ入口では操縦性(回頭性)を向上させ、コーナ出口
では安定性を向上させるようにしていた。具体的には、
コーナ入口では後輪への荷重移動配分を増やすことによ
り、ステアリング特性をニートラルステア化して操縦性
を向上させ、コーナ出口では前輪への荷重移動配分を増
やすことにより、ステアリング特性をアンダーステア化
して安定性を向上させるようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示された車両用サスペンションにあっては、アク
ティブサスペンションの反力配分を前輪側及び後輪側間
で適宜調整することにより、コーナリング時の性能向上
を図るようになっていただけであるため、直進走行時に
駆動力の前後配分が変化した場合の車両姿勢変化を積極
的に抑制することはできなかった。このため、乗員が違
和感を感じてしまい、それだけ車両乗り心地が悪化して
しまうのである。
【0004】ここで、図23に示すように、前輪WF
及び後輪WR 側間の駆動力の配分比がβ:(1−β)の
場合、車両側面視において、重心Gよりも車輪半径H分
だけ高い位置においてホイールベースを配分比β:(1
−β)で内分した点A1 と前輪WF のホイールセンタW
F とを結ぶ線L1 、点A1 と後輪WR のホイールセン
タWCR とを結ぶ線L2 、前輪WF 側サスペンションを
構成するリンク部材の回転中心CF と前輪WF のホイー
ルセンタWCF とを結ぶ線L3 、後輪WR 側サスペンシ
ョンを構成するリンク部材の回転中心CR と後輪WR
ホイールセンタWCR とを結ぶ線L4 を考え、それら各
線L1 〜L4 と水平線との成す角度を、それぞれθf0
θf ,θr0,θr とすると、前輪WF のアンチリフト率
ηf 及び後輪WR のアンチスカット率ηr は、下記式に
よって求めることができる。
【0005】 ηf =tanθf /tanθf0 ……(1) ηr =tanθr /tanθr0 ……(2) そして、アンチリフト率ηf が1であれば、加速時にお
ける車体前部のリフト(上昇)を零にすることができ、
アンチスカット率ηr が1であれば、加速時における車
体後部のスカット(沈み込み)を零にすることができ
る。つまり、加速時であってもフラットな車両姿勢を保
つためには、アンチリフト率ηf 及びアンチスカット率
ηr を共に1にすればよいのであり、具体的には、車両
側面視である図23において、角度θf0及びθf が一致
し、且つ、角度θr0及びθr が一致すればよいのである
から、回転中心CF が線L1 上に位置し、回転中心CR
が線L2 上に位置すればよい。
【0006】なお、前輪WF 側の回転中心CF は、図2
4に示すように、前輪WF 側のサスペンションが、前輪
F を車体に支持するリンク部材として上側のAアーム
10及び下側のAアーム11を備えたダブルウイッシュ
ボーン式サスペンションであれば、上側のAアーム10
の二つの車体側取付点10B及び10Cを結ぶ線(つま
り、Aアーム10の車体側端部の揺動中心軸S10)に平
行な線であって、そのAアーム10の車輪側取付点10
A(正確には、前輪WF を回転自在に支持するアクスル
ハウジングとAアーム10外端部との連結点)を通る線
10と、下側のAアーム11の二つの車体側取付点11
B及び11Cを結ぶ線(つまり、Aアーム11の車体側
端部の揺動中心軸S11)に平行な線であって、そのAア
ーム11の車輪側取付点11A(正確には、前輪WF
回転自在に支持するアクスルハウジングとAアーム10
外端部との連結点)を通る線L11との交点(車両側面視
における交点)が、回転中心CF となる。後輪WR 側の
回転中心CR についても同様である。
【0007】そして、図23に戻って、線L3 を仮想リ
ンクと見なした場合、前輪WF 側の駆動力はこの仮想リ
ンクL3 を引っ張るようにして車体側に入力され、その
駆動力の水平方向成分が、実際の前輪WF 側の駆動力F
α(Fは重心Gに働く慣性力である。)となり、垂直方
向成分が、前輪WF を沈み込ませようとする力、つまり
アンチリフト力FWFとなるのである。同様に、線L4
仮想リンクと見なした場合、後輪WR 側の駆動力はこの
仮想リンクL4 を押すようにして車体側に入力され、そ
の水平方向成分が、実際の後輪WR 側の駆動力F(1−
β)となり、垂直方向成分が、後輪WR を上昇させよう
とする力、つまりアンチスカット力WRとなるのである。
なお、図23中の矢印XF は前輪WF がバウンド・リバ
ウンドする場合のホイールセンタWCF の軌跡、矢印X
R は後輪WR がバウンド・リバウンドする場合のホイー
ルセンタWCR の軌跡である。
【0008】そこで、上述した駆動力の配分比β:(1
−β)に基づいて、線L1 上に回転中心CF が位置し且
つ線L2 上に回転中心CR が位置するようにすれば、ア
ンチリフト率ηf 及びアンチスカット率ηr が共に1に
なるから、加速時であっても車両の姿勢変化を抑制する
ことができる。換言すれば、アンチリフト率ηf が1と
いうことは、加速時の慣性力Fによって生じる車体前部
を持ち上げようとする力がアンチリフト力FWFと釣り合
っているということであり、アンチスカット率ηr が1
ということは、加速時の慣性力Fによって生じる車体後
部を沈み込ませようとする力がアンチスカット力FWR
釣り合っているということである。
【0009】しかしながら、上記公報に開示されたよう
な前輪側及び後輪側間で駆動力の配分比が可変となって
いる車両にあっては、例えば車両の前後方向加速度に応
じて前輪側の駆動力の配分比βを変更するようになって
いるため、所定の配分比においてアンチリフト率ηf
びアンチスカット率ηr を1に設定できたとしても、配
分比βが変化してしまえば、線L1 及びL2 が移動して
角度θf0及びθr0が変化してしまい、アンチリフト率η
f 及びアンチスカット率ηr が1からずれてしまうので
ある。
【0010】例えば、前輪駆動車ベースの四輪駆動車の
場合、例えば車両の前後方向加速度に応じて前輪側の駆
動力の配分比βを100〜50%の範囲で変更するよう
になっているため、加速時に前輪側の駆動力の配分比β
が減少すると、角度θf0が増大し、角度θr0が減少する
から、前輪WF 側のアンチリフト率ηf は1よりも小さ
くなり、逆に、後輪WR 側のアンチスカット率ηr は1
よりも大きくなってしまう。すると、前輪WF 側のアン
チリフト力FWFが不足するから、車体前部にはリフトが
生じてしまうし、後輪WR 側のアンチスカット力FWR
過剰になってしまうから、車体後部にもやはりリフトが
生じてしまうのである。このため、前輪WF 側の駆動力
の配分比βが減少するに従って、車体全体にリフト方向
への姿勢変化が生じてしまうから、乗員が違和感を感じ
てしまい、それだけ車両乗り心地が悪化してしまうので
ある。なお、後輪駆動車ベースの四輪駆動車の場合にも
同様の問題点を有している。
【0011】また、車両によっては、自然な感覚を残す
ために、加速時に車体前部にリフトが車体後部にスカッ
トが生じるように設計する場合もあるが、かかる場合に
も、駆動力の配分比βが変化してしまえば、車体前部の
アンチリフト力が不足して車体前部の挙動が途中から逆
転してしまうし、車体後部のアンチスカット力が過剰と
なって車体後部の挙動が途中から急激になってしまうか
ら、やはり車両乗り心地が悪化してしまう。
【0012】このような問題点を解決するための一つの
方策として、本出願人が特願平7−95236号明細書
で提案したものがある。即ち、かかる先願に記載された
技術は能動型サスペンションに関するものであり、バネ
上及びバネ下間に介挿された流体圧シリンダの作動圧を
適宜制御することにより姿勢変化を抑制することができ
るが、これでは、各車輪毎に流体圧シリンダや圧力制御
弁等の構成を付加しなければならないから、汎用性に欠
けコストも嵩んでしまう。
【0013】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目しなされたものであって、前後輪間
の駆動力の配分を変更する構造を備えた車両であって
も、加速時等における車両姿勢変化を抑制して良好な車
両乗り心地を得ることができ、しかも汎用性に優れ且つ
低コストで済む車両用サスペンションを提供することを
目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、前輪側及び後輪側間の駆動
力の配分比を変更可能な車両に用いられるサスペンショ
ンであって、前輪側の駆動力の配分比の減少に応じて、
前輪側サスペンションのアンチリフト傾向を強くするこ
と及び後輪側サスペンションのアンチスカット傾向を弱
くすることの一方若しくは両方を行うようにした。
【0015】上記目的を達成するために、請求項2に係
る発明は、前輪側及び後輪側間の駆動力の配分比を変更
可能な車両に用いられるサスペンションであって、前輪
側の駆動力の配分比の増大に応じて、前輪側サスペンシ
ョンのアンチリフト傾向を弱くすること及び後輪側サス
ペンションのアンチスカット傾向を強くすることの一方
若しくは両方を行うようにした。
【0016】上記目的を達成するために、請求項3に係
る発明は、前輪側及び後輪側間における駆動力の配分比
を変更可能な駆動力配分比可変手段と、前輪側サスペン
ションを構成するリンク部材の車両側面視における回転
中心を移動可能な回転中心移動手段と、を備え、前記回
転中心移動手段は、前輪側の駆動力の配分比の減少に応
じて、前記回転中心を前輪側サスペンションのアンチリ
フト傾向が強くなる方向に移動させる一方、前輪側の駆
動力の配分比の増大に応じて、前記回転中心を前輪側サ
スペンションのアンチリフト傾向が弱くなる方向に移動
させるようにした。
【0017】上記目的を達成するために、請求項4に係
る発明は、前輪側及び後輪側間における駆動力の配分比
を変更可能な駆動力配分比可変手段と、後輪側サスペン
ションを構成するリンク部材の車両側面視における回転
中心を移動可能な回転中心移動手段と、を備え、前記回
転中心移動手段は、前輪側の駆動力の配分比の減少に応
じて、前記回転中心を後輪側サスペンションのアンチス
カット傾向が弱くなる方向に移動させる一方、前輪側の
駆動力の配分比の増大に応じて、前記回転中心を後輪側
サスペンションのアンチスカット傾向が強くなる方向に
移動させるようにした。
【0018】上記目的を達成するために、請求項5に係
る発明は、前輪側及び後輪側間における駆動力の配分比
を変更可能な駆動力配分比可変手段と、前輪側サスペン
ションを構成するリンク部材の車両側面視における回転
中心及び後輪側サスペンションを構成するリンク部材の
車両側面視における回転中心を移動可能な回転中心移動
手段と、を備え、前記回転中心移動手段は、前輪側の駆
動力の配分比の減少に応じて、前輪側の前記回転中心を
前輪側サスペンションのアンチリフト傾向が強くなる方
向に移動させ且つ後輪側の前記回転中心を後輪側サスペ
ンションのアンチスカット傾向が弱くなる方向に移動さ
せる一方、前輪側の駆動力の配分比の増大に応じて、前
輪側の前記回転中心を前輪側サスペンションのアンチリ
フト傾向が弱くなる方向に移動させ且つ後輪側の前記回
転中心を後輪側サスペンションのアンチスカット傾向が
強くなる方向に移動させるようにした。
【0019】また、請求項6に係る発明は、上記請求項
3〜5に係る発明である車両用サスペンションにおい
て、前記回転中心移動手段は、前記リンク部材の車体側
端部の揺動中心軸を移動させることにより、前記回転中
心を移動させるようにした。
【0020】そして、請求項7に係る発明は、上記請求
項3〜6に係る発明である車両用サスペンションにおい
て、前記駆動力配分比可変手段は、駆動力伝達系に設け
られたクラッチの押し付け力を油圧で調整することによ
り駆動力の配分比を変更するようになっており、前記回
転中心移動手段は、前記油圧を利用して前記回転中心を
移動させるようにした。
【0021】さらに、請求項8に係る発明は、上記請求
項3〜6に係る発明である車両用サスペンションにおい
て、前記回転中心移動手段は、前輪側及び後輪側間の駆
動力の配分比を検出する駆動力配分比検出手段と、前記
リンク部材の車体側端部の揺動中心を移動可能なアクチ
ュエータと、前記駆動力配分比検出手段の検出結果に応
じて前記アクチュエータを駆動させるコントローラと、
を備えた。
【0022】ここで、請求項1に係る発明にあっては、
駆動力の配分比が変更しても、前輪側の駆動力の配分比
の減少(=後輪側の駆動力の配分比の増大)に応じて、
前輪側サスペンションのアンチリフト傾向が強くなる、
或いは、後輪側サスペンションのアンチスカット傾向が
弱くなる、若しくはその両方が行われる。
【0023】前輪側サスペンションのアンチリフト傾向
が強くなるということは、車体前部の浮き上がりをより
強く防止できるということである。そして、前輪側の駆
動力の配分比が減少した分だけ、前輪側のアンチリフト
力が不足するから、アンチリフト傾向を強めることによ
り、車体前部の姿勢変化等が回避又は低減される。
【0024】また、後輪側サスペンションのアンチスカ
ット傾向が弱くなるということは、車体後部は浮き上が
り易くなるということである。しかし、前輪側の駆動力
の配分比が減少した分だけ、後輪側のアンチスカット力
が過剰になりつつあるから、アンチスカット傾向を弱め
ることにより、車体後部の姿勢変化等が回避又は低減さ
れる。
【0025】これに対し、請求項2に係る発明にあって
は、前輪側の駆動力の配分比の増大(=後輪側の駆動力
の配分比の減少)に応じて、前輪側サスペンションのア
ンチリフト傾向が弱くなる、或いは、後輪側サスペンシ
ョンのアンチスカット傾向が強くなる、若しくはその両
方が行われる。
【0026】前輪側サスペンションのアンチリフト傾向
が弱くなるということは、車体前部は浮き上がり易くな
るということである。しかし、前輪側の駆動力の配分比
が増加した分だけ、前輪側のアンチリフト力が過剰にな
るから、アンチリフト傾向を弱くすることにより、車体
前部の姿勢変化等が回避又は低減される。
【0027】また、後輪側サスペンションのアンチスカ
ット傾向が強くなるということは、車体後部の沈み込み
をより強く防止できるということである。そして、前輪
側の駆動力の配分比が増加した分だけ、後輪側のアンチ
スカット力が不足するから、アンチスカット傾向を強め
ることにより、車体後部の姿勢変化等が回避又は低減さ
れる。
【0028】よって、請求項1又は請求項2に係る発明
であれば、前後輪間での駆動力の配分比が変化しても、
車両が姿勢変化したり、或いは、車両の姿勢変化が途中
で逆転したりすること等を防止又は低減できるのであ
る。
【0029】請求項3に係る発明にあっては、駆動力配
分比可変手段によって前後輪間の駆動力の配分比が変化
しても、前輪側の駆動力の配分比が減少に応じて、回転
中心移動手段が、前輪側サスペンションのアンチリフト
傾向を強くするし、前輪側の駆動力の配分比が増加に応
じて、回転中心移動手段が、前輪側サスペンションのア
ンチリフト傾向を弱くするから、前輪側のアンチリフト
力の過不足傾向が解消又は低減され、車体前部の姿勢変
化等が回避又は低減される。なお、前輪側サスペンショ
ンのアンチリフト傾向が強くなる方向とは、車両側面視
における前輪側サスペンションのリンク部材の回転中心
と前輪のホイールセンタとを結ぶ線が鉛直線に近づく方
向であり、弱くなる方向とはその逆の方向である。
【0030】これに対し、請求項4に係る発明にあって
は、駆動力配分比可変手段によって前後輪間の駆動力の
配分比が変化しても、前輪側の駆動力の配分比の減少に
応じて、回転中心移動手段が、後輪側サスペンションの
アンチダイブ傾向を弱くするし、前輪側の駆動力の配分
比の増大に応じて、回転中心移動手段が、後輪側サスペ
ンションのアンチダイブ傾向を強くするから、後輪側の
アンチリフト力の過不足傾向が解消又は低減され、車体
後部の姿勢変化等が回避又は低減される。なお、後輪側
サスペンションのアンチダイブ傾向が弱くなる方向と
は、車両側面視における後輪側サスペンションのリンク
部材の回転中心と後輪のホイールセンタとを結ぶ線が、
鉛直線から遠ざかる方向であり、強くなる方向とはその
逆の方向である。
【0031】そして、請求項5に係る発明にあっては、
これら請求項2に係る発明及び請求項3に係る発明の両
方の作用が発揮されるから、車体前部及び車体後部の姿
勢変化等が回避又は低減される。
【0032】サスペンションを構成するリンク部材の回
転中心は、図24を伴って説明したように、各リンク部
材の車体側端部の揺動中心軸によって決まるから、請求
項6に係る発明のように、回転中心移動手段がサスペン
ションを構成するリンク部材の車体側端部の揺動中心軸
を移動させれば、回転中心が所望の位置に移動するよう
になる。
【0033】また、駆動力配分比可変手段が、駆動力伝
達系に設けられたクラッチの押し付け力を油圧で調整す
るようになっている場合、その油圧の変化は駆動力の配
分比の変化に対応するものである。そこで、請求項7に
係る発明のように、駆動力配分比可変手段に用いられる
油圧を利用すれば、動力源を省略又は簡略化できるし、
駆動力の配分比に正確に対応して回転中心を移動させる
ことが容易となる。
【0034】これに対し、請求項8に係る発明であれ
ば、駆動力配分比検出手段によって駆動力の配分比が検
出され、その検出結果に応じてコントローラがアクチュ
エータを駆動させるから、請求項6に係る発明と同様
に、リンク部材の車体側端部の揺動中心軸が移動し、回
転中心が所望の位置に移動するようになる。そして、駆
動力配分比検出手段,アクチュエータ及びコントローラ
を備える構成であれば、設計の自由度が高くなるし、例
えば駆動力配分比可変手段から独立した動力源を用いる
ことができるし、その結果、大きな力でリンク部材の車
体側端部の揺動中心軸を移動させることも容易であるか
ら、リンク部材と車体側とを連結するブッシュの剛性が
高いような場合でも揺動中心軸を確実に移動させること
ができる。
【0035】なお、この請求項8に係る発明における駆
動力配分比検出手段としては、例えば、前輪側サスペン
ション及び後輪側サスペンションのリンク部材の軸力を
検出し、その検出結果から駆動力の配分比を推定すると
いう構成が採用可能である。つまり、駆動力が車輪に作
用すると、その駆動力に応じた力が、車輪と車体との間
に介在するリンク部材に入力されるから、特にタイヤの
コーナリングフォースの影響を受け難い車両前後方向に
伸びるリンク部材の軸力を例えば歪ゲージ等で測定する
ようにすれば、駆動力とリンクの軸力との関係を予め把
握してマップ等にしておくことにより、駆動力を推定す
ることができる。同様の理由から、リンク部材と車体と
を結合するブッシュのたわみ量を測定すれば、駆動力を
推定することができる。
【0036】また、車両前後方向加速度等に基づいて駆
動力の配分比を制御するようになっている車両であれ
ば、その前後方向加速度に基づいて前後輪間の駆動力の
配分比を推定することも可能である。つまり、駆動力配
分比制御用コントローラに入力されるのと同じセンサ出
力を読み込むとともに、駆動力配分比制御用コントロー
ラと同じロジックで演算を行って駆動力配分比を演算す
るようにしてもよい。
【0037】一方、車体に弾性支持されたサスペンショ
ンメンバを有する車両の場合、走行時にリンク部材に入
力される軸力によってそのサスペンションメンバにも前
後方向の変位が生じるから、そのサスペンションメンバ
の前後方向変位を検出することにより、駆動力の配分比
を検出することも可能である。
【0038】また、手動で駆動力の配分比を切換可能に
なっている車両であれば、その切換スイッチ等の位置か
ら駆動力の配分比を認識できる。さらに、駆動力配分比
可変手段が、駆動力伝達系に設けられたクラッチの押し
付け力を油圧で調整するようになっている場合には、ク
ラッチの押し付け圧力、つまり油圧を検出することによ
り、駆動力の配分比を検出できる。
【0039】また、駆動力配分比制御用コントローラの
指令値に基づいて駆動力の配分比を検出することも可能
である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
前輪側の駆動力の配分比の減少・増大に応じて、前輪側
サスペンションのアンチリフト傾向や後輪側サスペンシ
ョンのアンチスカット傾向を適宜変化させるようにした
ため、車両が姿勢変化したり、或いは、車両の姿勢変化
が途中で逆転したりすること等を防止又は低減できるか
ら、車両乗り心地が向上するという効果があり、しか
も、流体圧シリンダや圧力制御弁が不要であるから、汎
用性に優れ且つコストも嵩まない、という効果がある。
【0041】特に、請求項5に係る発明であれば、車体
前部及び車体後部の両方の姿勢変化を回避又は低減でき
るから、より車両乗り心地が向上するという効果があ
る。また、請求項6に係る発明であれば、リンク部材の
回転中心の所望の位置への移動をより高精度に行えると
いう効果がある。
【0042】そして、請求項7に係る発明であれば、コ
ストをさらに低減できるという効果もあるし、現存の車
両の多くに適用可能である。さらに、請求項8に係る発
明であれば、請求項1〜5に係る発明による作用効果を
より確実に発揮でき、しかも全ての車両に容易に適用で
きるという効果がある。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1乃至図6は本発明の第1の
実施の形態を示す図であって、図1は車両概略側面図、
図2は前輪WF 側サスペンションの一方の構成を示す斜
視図、図3は油圧回路図である。従来の構造と同様の部
材や同様の概念には同じ符号を付し、その重複する説明
は省略する。
【0044】先ず、構成を説明すると、この車両Vは前
後輪間の駆動力配分比が可変となっている四輪駆動車で
あって、エンジン1の駆動力は、その出力軸1Aを通じ
てトランスファ2に伝達されるようになっている。そし
て、トランスファ2の前輪側出力軸2Fが図示しない前
輪側終減速装置の入力軸に連結され、その前輪側終減速
装置の車幅方向に伸びる左右の出力軸が左右の前輪WF
に連結されている。一方、トランスファ2の後輪側出力
軸2Rは、油圧クラッチ3を介して、プロペラシャフト
4に連結可能となっていて、プロペラシャフト4の後端
部は図示しない後輪側終減速装置の入力軸に連結され、
その後輪側終減速装置の車幅方向に伸びる左右の出力軸
が左右の後輪WR に連結されている。ここで、図1の構
成では、出力軸1A,トランスファ2,前輪側出力軸2
F,前輪側終減速装置,後輪側出力軸2R,油圧クラッ
チ3,プロペラシャフト4,後輪側終減速装置が、駆動
力伝達系を構成する。
【0045】油圧クラッチ3は、油圧シリンダ5の押圧
力を受けてそのクラッチ板間の押し付け力が変化するよ
うになっている。具体的には、油圧源6から油圧シリン
ダ5に供給される油圧が、制御バルブ7によって調整さ
れるようになっている。制御バルブ7は、図示しないマ
イクロコンピュータ等から構成されたコントローラ8か
ら供給される指令信号に応じて作動するようになってい
る。制御バルブ7の吐出圧が高くなれば、油圧シリンダ
5の押圧力が大きくなって油圧クラッチ3の押し付け力
が大きくなり、後輪側出力軸2Rからプロペラシャフト
4へのトルク伝達率が高くなる一方、制御バルブ7の吐
出圧が低く又は零になれば、油圧シリンダ5の押圧力が
小さく又は零になって油圧クラッチ3の押し付け力が小
さく又は零になり、後輪側出力軸2Rからプロペラシャ
フト4へのトルク伝達率は低く若しくは零になる。ま
た、この実施の形態では、後輪WR 側への駆動力の配分
比は最大50%となるようになっている。従って、前輪
F 側駆動力と後輪WR 側駆動力との比は、100%:
0%〜50%:50%の間で連続的に変化可能となって
いる。
【0046】そして、コントローラ8には、例えば車体
の重心位置に配設された車両前後方向加速度センサから
前後方向加速度検出値が供給されるようになっていて、
コントローラ8は、その前後方向加速度検出値に従って
所定の演算処理を実行し、その前後方向加速度が増大す
るに従って前輪WF 側駆動力と後輪WR 側駆動力との比
が100%:0%〜50%:50%の間で連続的に変化
するように、制御バルブ7に指令信号を出力するように
なっている。
【0047】より具体的には、コントローラ8は、供給
される前後方向加速度検出値に基づき、車両が通常走行
時であるか急加速時であるかを判断し、通常走行時の場
合には、後輪WR を駆動する機械的ロスによる燃費の悪
化やタイトコーナブレーキング現象、直進安定性を考慮
し、前輪WF 側の配分比βを比較的大きく(つまり、
β:(1−β)を100:0に近くに)する。これに対
し、急加速時の場合には、前輪WF 側の駆動力を集中さ
せると摩擦限界を越えて車輪が空転し駆動力が無駄にな
る可能性があるため、β:(1−β)を50:50に近
づける。なお、前輪WF 及び後輪WR の回転速度を検出
する車輪速センサを設け、そのセンサ出力をコントロー
ラ8に供給し、コントローラ8においては、前輪WF
び後輪WR間の回転速度の差を演算し、回転速度が高い
方は路面の摩擦抵抗が低く空転していると判定し、回転
数の低い車輪側の方の駆動力配分比を高めるような制御
を実行するようにしてもよい。
【0048】一方、前輪WF は、図2に示すように、リ
ンク部材としての上側のAアーム10及び下側のAアー
ム11を備えたダブルウイッシュボーン式サスペンショ
ンを介して車体側(車体又はサスペンションメンバ)に
支持されている。Aアーム10の前輪WF 側端部はボー
ルジョイント等から構成される一つの連結点10Aを介
してその前輪WF を回転自在に支持するアクスルハウジ
ングに結合され、Aアーム10の車体側端部は車両前後
方向に離隔した二つの連結点10B及び10Cを介して
車体側に結合されている。また、下側のAアーム11の
前輪WF 側端部は一つの連結点11Aを介してアクスル
ハウジングに結合され、Aアーム11の車体側端部は車
両前後方向に離隔した二つの連結点11B及び11Cを
介して車体側に結合されている。なお、下側のAアーム
11と車体側との間には、ショックアブソーバSAやコ
イルスプリングCSも介在している。
【0049】そして、Aアーム10及び11の車体側の
連結点10B,10C,11B及び11Cのうち、上側
のAアーム10の前側の連結点10B及び下側のAアー
ム11の前側の連結点11Bは、図3中に車両前方から
見た状態の断面図として示す弾性ブッシュ20を介し
て、車体30側に連結されている。弾性ブッシュ20
は、二重円筒式の弾性ブッシュであって、車体30側に
固定される半円筒形の中空のブラケット20Aと、この
ブラケット20A内に同軸に配設された内筒20Bと、
これらブラケット20A内面及び内筒20B外面間に加
硫接着により充填されたゴム弾性体20Cと、を備えて
構成され、内筒20Bが各Aアーム10及び11の連結
点10B及び11Bのコ字状のブラケット10b,11
bにボルト・ナットにより結合されている。
【0050】この弾性ブッシュ20のゴム弾性体20C
内には、内筒20Bの上方に位置するように中空部20
Dが形成されている。また、上側のAアーム10の後側
の連結点10C及び下側のAアーム11の後側の連結点
11Cは、図3中に車両前方から見た状態の断面図とし
て示す弾性ブッシュ22を介して、車体30側に連結さ
れている。弾性ブッシュ22も、弾性ブッシュ20と同
様に、ブラケット22Aと、内筒22Bと、ゴム弾性体
22Cと、を備えて構成され、内筒22Bが各Aアーム
10及び11の連結点10C及び11Cのコ字状のブラ
ケット10c,11cにボルト・ナットにより結合され
ている。
【0051】この弾性ブッシュ22のゴム弾性体22C
内には、内筒22Bの下方に位置するように中空部22
Dが形成されている。そして、弾性ブッシュ20内の中
空部20Dと弾性ブッシュ22内の中空部22Dとに
は、制御バルブ7の吐出側に導通する油圧配管7Aの分
岐管を通じて、その制御バルブ7から吐出される油圧が
供給されるようになっている。つまり、制御バルブ7
は、油圧ポンプ6A,リザーバタンク6B及びアキュム
レータ6Cから構成される油圧源6と油圧クラッチ3と
の間に介在するから、各中空部20及び22には、制御
バルブ7から油圧クラッチ3に供給されるのと同じ油圧
が供給されるようになっている。
【0052】なお、車両Vの左右の後輪WR も、前輪W
F と同様に、リンク部材としての上側のAアーム及び下
側のAアームを備えたダブルウイッシュボーン式サスペ
ンションを介して車体側に支持されているが、具体的な
構成は図2に示した前輪WF側サスペンションと同様で
あるため、その図示及び詳細な説明は省略する。
【0053】そして、後輪WR 側の上側のAアーム及び
下側のAアームのそれぞれの内端部も、前輪WF 側と同
様に弾性ブッシュ20,22を介して車体側に連結され
ているが、図1に示すように、それら上下のAアームの
前側の連結点には弾性ブッシュ20が適用され、上下の
Aアームの後側の連結点には弾性ブッシュ22が適用さ
れている。後輪WR 側の弾性ブッシュ20内の中空部2
0D及び弾性ブッシュ22内の中空部22Dにも、前輪
F 側と同様に、油圧クラッチ3に供給されるのと同じ
油圧が供給されるようになっている。
【0054】次に、本実施の形態の動作を説明する。即
ち、車両走行中には、コントローラ8が供給される各検
出値に基づいて所定の演算処理を実行し、その演算結果
に基づいて制御バルブ7の吐出圧を制御するため、前輪
F 側の駆動力と後輪WR 側の駆動力との配分比が適宜
変化する。そして、急加速状態でない通常走行時に、そ
れら前輪WF 側の駆動力と後輪WR 側の駆動力との配分
比がβ:(1−β)であったものとし、かかる配分比に
おいて車両側面視である図4に示すような状態が得られ
ているものとする。
【0055】つまり、通常走行時においては、点A1
前輪WF のホイールセンタWCF とを結ぶ線L1 上に前
輪WF 側の回転中心CF が位置し、点A1 と後輪WR
ホイールセンタWCR とを結ぶ線L2 上に後輪WR 側の
回転中心CF が位置しているのである。このため、この
通常走行時には、上記(1),(2)式によって求めら
れる前輪WF のアンチリフト率ηf 及び後輪WR のアン
チスカット率ηr は、それぞれ1になるから、重心Gに
働く慣性力Fによる車体前部のリフトや車体後部のスカ
ットは生じず、フラットな車両姿勢が保たれて良好な車
両乗り心地が得られる。
【0056】一方、車両Vが急加速状態になると、コン
トローラ8からの指令信号に応じて制御バルブ7の吐出
圧が増大し、油圧クラッチ3の押し付け力が増大するか
ら、後輪側出力軸2R及びプロペラシャフト4間のトル
ク伝達率が上昇する。この結果、前輪WF 側の駆動力の
配分比が減少し、後輪WR 側の駆動力配分比が増大す
る、という駆動力の配分比に変化が生じる。かかる変化
が生じた後の駆動力の配分比を、β' :(1−β' )と
する(β' >β)。
【0057】すると、図4に示す点A1 は、配分比βか
らβ' への変化に追従するように車両前方に移動して例
えば点A1'となるから、線L1 は徐々に立ち上がって例
えば線L1'となり、線L2 は徐々に倒れて例えば線L2'
となり、角度θf0は徐々に大きくなって例えば角度
θf0' となり、角度θr0は徐々に小さくなって例えば角
度θr0' となる。このため、角度θf 及びθr が変化し
なければ、従来の技術において詳述したように、前輪W
F 側のアンチリフト力が不足し、後輪WR 側のアンチス
カット力が過剰になってしまうのである。
【0058】これに対し、弾性ブッシュ20内の空洞部
20D内には制御バルブ7の吐出圧が供給されているか
ら、急加速時にその吐出圧が増大すれば空洞部20Dを
拡張させようとする力が生じる。このため、図5(a)
に示すように、ゴム弾性体20Cの弾性変形に伴って内
筒20Bが下方に押し下げられる。一方、弾性ブッシュ
22内の空洞部22D内にも制御バルブ7の吐出圧が供
給されているから、その空洞部22Dも拡張しようとす
るが、空洞部22Dは空洞部20Dとは異なり内筒22
Bの下方に位置しているため、図5(b)に示すよう
に、ゴム弾性体22Cの弾性変形に伴って内筒22Bは
下方に持ち上げられる。
【0059】すると、前輪WF 側のサスペンションにあ
っては、図6に示すように、上側のAアーム10の車体
側端部の通常走行時における揺動中心軸S10は、これよ
りも前側が下がり後側が上がった揺動中心軸S10' に移
動するようになるし、下側のAアーム11の車体側端部
の通常走行時における揺動中心軸S11も、これよりも前
側が下がり後側が上がった揺動中心軸S11' に移動する
ようになるから、回転中心CF は略上方に移動し、例え
ば回転中心CF ' となる。
【0060】同様に、後輪WR 側のサスペンションにあ
っても、上側のAアームの車体側端部の通常走行時にお
ける揺動中心軸は、これよりも前側が下がり後側が上が
った揺動中心軸に移動するようになるし、下側のAアー
ムの車体側端部の通常走行時における揺動中心軸も、こ
れよりも前側が下がり後側が上がった揺動中心軸に移動
するようになるが、そもそも回転中心CR は後輪WR
りも前方に位置していたから、その回転中心CR は略下
方に移動するようになる。
【0061】このため、図6に示すように、角度θf
増大方向に変化して角度θf ' となるし、図示はしない
が、角度θr は縮小方向に変化する。すると、角度θf
及び角度θr を積極的に移動させるようにはなっていな
かった従来に比べて、角度θf0及びθf の偏差が小さく
なり、角度θr0及びθr の偏差が小さくなるから、前輪
F 側のアンチリフト率ηf 及び後輪WR 側のアンチス
カット率ηr が1から大きくはずれるようなことが防止
される。この結果、車体前部及び車体後部が大きくリフ
トすることが回避できるから、車体姿勢をよりフラット
に保つことができ、車両乗り心地が向上するのである。
【0062】なお、急加速状態が終了して通常走行状態
に戻った場合には、油圧クラッチ3の押し付け力が小さ
くなって、前輪WF 側の駆動力の配分比が増大し、前輪
及び後輪間の駆動力の配分比が元のβ:(1−β)の戻
るとともに、弾性ブッシュ20,22の各内筒20B,
22Bもゴム弾性体20C,22Cの弾性復元力によっ
て元の位置に戻るから、各回転中心CF 及びCR も元の
位置に戻る。従って、前輪WF 側の駆動力の配分比が減
少又は増大しても、前輪WF 側のアンチリフト率ηf
び後輪WR 側のアンチスカット率ηr が1から大きくは
ずれるようなことが防止されるから、常に車体姿勢をよ
りフラットに保つことができる。
【0063】しかも、回転中心CF 及びCR の移動量を
決める内筒20B,22Bの下降量は、駆動力の配分比
を決める制御バルブ7の吐出圧によって決まり、その駆
動力の配分比によって角度θf0,θr0の変化幅は決まる
から、回転中心CF 及びCRの移動量を線L1',L2'の
移動に略確実に追従させることができる。
【0064】さらに、本実施の形態にあっては、制御バ
ルブ7から吐出される油圧を利用して回転中心CF ,C
R を移動させるようになっているから、他の動力源が不
要であるため、低コストで済むという利点もある。
【0065】ここで、本実施の形態では、トランスファ
2,油圧クラッチ3,油圧シリンダ5,油圧源6,制御
バルブ7及びコントローラ8が駆動力配分比可変手段に
対応し、弾性ブッシュ20及び22が回転中心移動手段
に対応する。
【0066】図7及び図8は本発明の第2の実施の形態
を示す図であって、図7(a)及び(b)は弾性ブッシ
ュ20,22の内筒20B,22Bを変位させる構造を
示す概略断面図である。なお、全体的な構成は上記第1
の実施の形態と同様であるため、その図示及び説明は省
略する。
【0067】即ち、本実施の形態にあっては、図7
(a)に示すように、内在するピストン32Aの変位方
向を上下とした油圧シリンダ32を、弾性ブッシュ20
の上側に位置するように車体30に固定して設けてい
て、そのピストン32Aと一体に上下動するピストンロ
ッド32Bの下端部を、弾性ブッシュ20の内筒20B
に結合している。そして、油圧シリンダ32のピストン
32Aの上側に画成された液室32U内には油圧配管7
Aを通じて制御バルブ7から吐出される油圧が導入され
ようになっている。なお、ピストン32Aの下側の空間
32Lは大気圧に通じている。
【0068】一方、図7(b)に示すように、内在する
ピストン34Aの変位方向を上下とした油圧シリンダ3
4を、弾性ブッシュ22の上側に位置するように車体3
0に固定して設けていて、そのピストン34Aと一体に
上下動するピストンロッド34Bの下端部を、弾性ブッ
シュ22の内筒22Bに結合している。そして、油圧シ
リンダ34のピストン34Aの下側に画成された液室3
4L内には油圧配管7Aを通じて制御バルブ7から吐出
される油圧が導入されようになっている。なお、ピスト
ン34Aの上側の空間34Uは大気圧に通じている。
【0069】このような構成であっても、例えば急加速
時に制御バルブ7から吐出される油圧が増大すれば、そ
の変化に応じて、図8(a)に示すように、油圧シリン
ダ32のピストン32Aは下方に移動するから、ピスト
ンロッド32Bを介して内筒20Bは下方に変位する一
方、図8(b)に示すように、油圧シリンダ34のピス
トン34Aは上方に移動するから、ピストンロッド34
Bを介して内筒22Bは下方に変位する。また、急加速
時から通常走行に戻り、制御バルブ7から吐出される油
圧が減少すれば、内筒20B,22Bは上記とは逆に変
位する。この結果、前輪側の回転中心CF 及び後輪側の
回転中心CR は線L1 ,L2 の変化を追従するように移
動するから、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を
発揮することができる。
【0070】そして、本実施の形態の構成であれば、弾
性ブッシュ20,22のゴム弾性体20C,22C内に
空洞部を形成する必要がないため、上記第1の実施の形
態の構造に比べて、ゴム弾性体20B,22Bの耐久性
等の点で有利である。
【0071】ここで、本実施の形態では、弾性ブッシュ
20,22及び油圧シリンダ32,34が回転中心移動
手段に対応する。図9は本発明の第3の実施の形態を示
す図であって、上記第1の実施の形態における図3と同
様の油圧回路図である。なお、全体的な構成は上記第1
の実施の形態と同様であるため、その図示及び説明は省
略する。また、上記第1の実施の形態と同様の構成に
は、同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0072】即ち、本実施の形態では、油圧配管7Aの
油圧クラッチ3側への供給管と弾性ブッシュ20,22
側の供給管との分岐部よりも弾性ブッシュ20,22側
の位置に、制御バルブ7が吐出する油圧を増圧して弾性
ブッシュ20,22側に吐出するようになっている油圧
ブースタ36を設けている。なお、油圧ブースタ36に
は、図示しない油圧源からの高圧油や空気吸入負圧等が
供給されるようになっている。
【0073】このような構成であれば、例えばサスペン
ション特性の制約からゴム弾性体20C,22Cの剛性
が下げられないため、制御バルブ7が吐出する油圧では
内筒20B,22Bを十分に上下動できないような場合
であっても、油圧ブースタ36による増圧作用によって
空洞部20D,22Dを大きく拡張して、内筒20B,
22Bを十分に上下方向に変位させることができるよう
になる。また、新たに付加されるのが機械的な構成であ
るため、比較的低コストで済むという利点もある。その
他の作用効果は上記第1の実施の形態と同様である。
【0074】図10及び図11は本発明の第4の実施の
形態を示す図であり、図10は上記第1の実施の形態に
おける図3と同様の油圧回路図である。なお、全体的な
構成は上記第1の実施の形態と同様であるため、その図
示及び説明は省略する。
【0075】ここで、上記第1〜第3の実施の形態で
は、前後輪間の駆動力の配分比制御用に設けている制御
バルブ7から吐出される油圧を利用して、前輪側サスペ
ンション及び後輪側サスペンションを構成する各Aアー
ムの車体側端部の揺動中心軸を移動させるようにしてい
るが、本実施の形態では、独立した他の動力源によって
その揺動中心軸を移動させるようにしている。
【0076】つまり、本実施の形態にあっては、図10
に示すように、油圧ポンプ40から吐出される圧油が圧
力制御弁41に導入され、その圧力制御弁41から吐出
される油圧が配管41Aを介して弾性ブッシュ20,2
2内の空洞部20D,22D内に供給されるようになっ
ている。圧力制御弁41は、図示しないマイクロプロセ
ッサや必要なインタフェース回路等から構成されたコン
トローラ42から供給される制御電流Iに応じて駆動す
る電磁式の制御弁であって、その制御電流Iに比例した
油圧を配管41Aを通じて吐出するようになっている。
【0077】コントローラ42には、前輪側サスペンシ
ョンを構成するリンク部材の軸力を検出する例えば歪ゲ
ージ等から構成される軸力センサ43F及び後輪側サス
ペンションを構成するリンク部材の軸力を検出する例え
ば歪ゲージ等から構成される軸力センサ43Rからそれ
ぞれ軸力検出値DF 及びDR が供給されるようになって
いる。そして、コントローラ42は、供給される軸力検
出値DF 及びDR に基づき前輪側及び後輪側の駆動力の
実際の配分比β:(1−β)を演算し、その演算された
配分比に応じて圧力制御弁41の吐出圧が増減するよう
に、圧力制御弁41に対して制御電流Iを出力するよう
になっている。なお、コントローラ42は、前輪側の駆
動力の配分比βの減少に応じて圧力制御弁41の吐出圧
が増大し、その配分比βの増大に応じて圧力制御弁41
の吐出圧が減少するように、圧力制御弁41に対して制
御電流Iを出力するようになっている。
【0078】つまり、駆動力が車輪に作用すると、その
駆動力に応じた力が、車輪と車体との間に介在するリン
ク部材に入力されるから、特にタイヤのコーナリングフ
ォースの影響を受け難い車両前後方向に伸びるリンク部
材の軸力を軸力センサ43F及び43Rで測定すれば、
駆動力とリンクの軸力との関係を予め把握してマップ等
にしておくことにより、駆動力を推定することができ
る。同様の理由から、リンク部材と車体とを結合するブ
ッシュのたわみ量を測定すれば、駆動力を推定すること
ができる。
【0079】また、コントローラ42には、弾性ブッシ
ュ20,22の内筒20B,22Bのそれぞれの上下方
向のストローク量S20,S22を検出するストロークセン
サ44,45も接続されていて、コントローラ42は、
それらストロークセンサ44,45から供給されるスト
ローク量S20,S22に基づいて、内筒20B,22Bの
上下方向変位が適切な値になるように制御電流Iの値を
微調整するフィードバック制御をも実行するようになっ
ている。なお、コントローラ42には、図示しない車速
センサから車速検出信号Vが供給されるようになってい
て、コントローラ42は、車速検出信号Vに基づいて車
両が走行中であるか否かを判定し、車両が走行中の場合
にのみ配管41A内の油圧を上昇させるようになってい
る。
【0080】図11は、コントローラ42内で実行され
る処理の概要を示すフローチャートであって、イグニッ
ションスイッチがオンとなった直後に開始され、先ずそ
のステップ101において車速検出信号Vが読み込ま
れ、ステップ102において車速検出信号Vが0を越え
ているか否か、つまり車両が走行中であるか否かが判定
される。このステップ102の判定が「NO」の場合
は、駆動力配分比制御は実行されておらず、従って回転
中心CF ,CR を積極的に移動させる必要はないと判断
し、ステップ103の以降の処理は実行せず、ステップ
111に移行する。ステップ111ではこの図11の処
理を終了する条件が満たされているか否か、例えばイグ
ニッションスイッチがオフになったか否かが判定され
る。条件を満たしている場合には、これで図11の処理
を終了するが、満たしていない場合にはステップ101
に戻り、図11の処理を再び実行する。
【0081】一方、ステップ101の判定が「YES」
の場合には、ステップ103に移行して、各軸力センサ
43F,43Rから供給される軸力検出値DF ,DR
読み込み、次いでステップ104に移行し、それら軸力
検出値DF ,DR に基づいて前後輪間の駆動力の配分比
β:(1−β)を演算する。
【0082】そして、ステップ105に移行し、ステッ
プ104の演算結果に基づいて、図4に示したような各
概念の関係に従って、前輪側のアンチリフト率及び後輪
側のアンチスカット率が出来るだけ1に近づけることが
できる回転中心CF ,CR の最適位置を演算し、ステッ
プ106に移行し、ステップ105で演算された回転中
心CF ,CR の最適位置に対応する圧力制御弁41の吐
出圧を演算する。
【0083】次いで、ステップ107に移行し、ステッ
プ106で演算した吐出圧が圧力制御弁41から吐出さ
れるように、その圧力制御弁41に対して制御電流Iを
出力する。
【0084】ステップ107で制御電流Iが出力される
と、圧力制御弁41が適宜作動してその吐出圧が増減す
るから、油圧シリンダ32,34のピストン32A,3
4Aが所定量だけ上下動し、弾性ブッシュ20,22の
内筒20B,22Bが上下動して各Aアームの車体側揺
動中心軸が移動する。この結果、回転中心CF ,CR
駆動力の配分比の変化を追従するように移動するから、
上記第1の実施の形態と同様に車両乗り心地の向上が図
られるのである。
【0085】なお、ステップ107からステップ108
に移行して、ストロークセンサ44,45から供給され
るストローク検出量S20,S22が読み込まれ、次いでス
テップ109に移行して、そのストローク検出量S20
22に基づいて現在の回転中心CF ,CR の位置が演算
される。そして、ステップ110に移行し、ステップ1
09で演算された回転中心CF ,CR の現在位置とステ
ップ105で求めた最適位置との差が一定値以下である
か否かが判定される。この判定が「YES」の場合には
ステップ111に移行するが、「NO」の場合には、フ
ィードバック制御が必要であると判定し、ステップ11
2に移行して、ステップ110での誤差に基づいた調整
量分を付加又は減じることにより、制御電流Iを調整す
る。そして、ステップ107に戻って、ステップ112
で調整された制御電流Iを新たに出力するが、ステップ
107〜110,112の処理は、ステップ110の判
定が「YES」となるまで繰り返し実行されるから、回
転中心CF ,CR の位置はステップ105で演算した最
適な位置に落ち着くようになる。
【0086】このように、本実施の形態の構成であって
も、駆動力の配分比βに変化が生じても、その変化を追
従するように圧力制御弁41の吐出圧が変化して、弾性
ブッシュ20,22の内筒20B,22Bの上下位置が
適宜調整されるから、各Aアームの車体側揺動中心軸が
移動する。従って、上記第1の実施の形態と同様の作用
効果が発揮される。
【0087】そして、本実施の形態の構成であれば、油
圧ポンプ40や圧力制御弁41からなる独立した動力源
をコントローラ42によって制御することにより、回転
中心CF ,CR を移動させるようになっているから、き
め細かな制御が可能であり、アンチリフト率ηf やアン
チスカット率ηr を所望の値に高精度に制御することが
できる。しかも、ストロークセンサ44を設けることに
よりフィードバック制御をも実行するようになっている
から、極めて高精度の制御が行えるようになっている。
【0088】ここで、本実施の形態では、軸力センサ4
3F,43R及びステップ104の処理が駆動力配分比
検出手段に対応し、油圧シリンダ32,34がアクチュ
エータに対応する。
【0089】なお、本実施の形態では、油圧シリンダ3
2,34によって内筒20B,22Bを上下動させるよ
うにしているが、上記第1の実施の形態のように弾性ブ
ッシュ20C,22C内の空洞部20D,22Dに油圧
を供給するような構成であってもよいし、或いは、油圧
シリンダ32,34や圧力制御弁41,油圧ポンプ40
の代わりに電動モータやドライバ回路を設けることによ
り、電気的な力で内筒20B,22Bを上下動させるよ
うにしてもよい。
【0090】図12は本発明の第5の実施の形態を示す
図であり、上記第1の実施の形態の図3と同様の油圧回
路図である。なお、全体的な構成は上記第1の実施の形
態と同様であるため、その図示及び説明は省略する。ま
た、弾性ブッシュ22側の構成は、内筒22Bの上下変
位が逆になっていることを除いては弾性ブッシュ20と
同様であるため、その図示及び説明は省略する。
【0091】即ち、本実施の形態は、上記第4の実施の
形態と同等の構成を備えているが、出力ポートを二つ備
えた方向切換弁50を適用し、その一方の出力ポートを
配管50Aを介して油圧シリンダの上側の液室32Uに
連通させ、他方の出力ポートを配管50Bを介して油圧
シリンダの下側の液室32Lに連通させている。この場
合、液室32U及び32Lのいずれも、大気圧には通じ
ていない。
【0092】そして、方向切換弁50は、コントローラ
42から供給される制御電流Iに応じて、油圧ポンプ4
0の吐出側を配管50A又は50Bの一方に通じさせる
ようになっている。なお、油圧ポンプ40の吐出側に通
じない配管50A又は50Bはリザーバタンクに通じる
ことになる。
【0093】このような構成であれば、方向切換弁50
の状態を適宜制御することにより、液室32U及び32
Lの一方に高圧の作動油を供給し且つ他方からは作動油
をリザーバタンクに戻すようになるから、ピストン32
Aの上下動範囲を上記第4の実施の形態等と比べて広く
できる。このため、各Aアームの車体側揺動中心軸の移
動範囲が広くなるから、それだけ回転中心CF ,CR
大きく動かすことができるようになるし、Aアームの車
体側揺動中心軸を元の位置に移動させる場合にも油圧を
利用して素早く戻すことができるから、さらに良好な姿
勢変化抑制制御が行えるようになる。
【0094】なお、油圧シリンダ32を省略するとも
に、図13に示すように、弾性ブッシュ20のゴム弾性
体20C内に内筒20Bを上下から挟み込むように二つ
の空洞部20D,20Eを形成し、空洞部20Dに対し
ては配管50Aを通じて作動油の給排を可能とし、空洞
部20Eに対しては配管50Bを通じて作動油の給排を
可能としても、この第5の実施の形態と同様の作用効果
が得られる。
【0095】なお、上記各実施の形態では、本発明に係
る車両用サスペンションをダブルウイッシュボーン式サ
スペンションに適用した場合について説明しているが、
本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、他
の形式のサスペンションであっても当然に適用可能であ
る。
【0096】例えば、図14は、前輪WF 側のサスペン
ションの概略構成を示す側面図であり、ストラット式サ
スペンションに本発明を適用したものである。つまり、
図2に示した上記第1の実施の形態の構成における上側
のAアーム10の代わりに、リンク部材としてのショッ
クアブソーバ52を用いている。そして、ショックアブ
ソーバ52の上端側の取付点52Aを、上記第1の実施
の形態や第2の実施の形態で示したような弾性ブッシュ
20,22を介して車体側に連結することにより、車両
前後方向に変位できるようにしている。このような構成
であれば、例えば前輪WF 側の駆動力の配分比βの減少
に応じて、Aアーム11の車体側の取付点11B及び1
1Cを上記第1の実施の形態と同様に上下変位させると
ともに、取付点52Aを車両前方に変位させれば、回転
中心CF は略車両前方に変位し、角度θf が増大方向に
変化するから、上記第1の実施の形態と同様の作用効果
が得られるようになる。
【0097】図15は、後輪WR 側のサスペンションの
概略構成を示す側面図であって、トレーリングアーム式
サスペンションに本発明を適用したものであり、リンク
部材としてのトレーリングアーム54の車体側取付点
を、上記第1の実施の形態や第2の実施の形態で示した
ような弾性ブッシュ20,22を介して車体側に連結す
ることにより、車両上下方向に変位できるようにしてい
る。このような構成であっても、例えば前輪WF 側の駆
動力の配分比βの減少に応じてトレーリングアーム47
の車体側取付点を下方に変位させれば、回転中心CR
略下方に変位し、角度θr が減少方向に変化するから、
上記第1の実施の形態と同様の作用効果が得られるよう
になる。
【0098】図16は、後輪WR 側のサスペンションの
概略構成を示す側面図であって、トレーリングリンク式
ダブルウイッシュボーンサスペンションに本発明を適用
したものであり、後輪WR を回転自在に支持するアクス
ルハウジングの上部と車体側との間に略車両前後方向に
伸びるリンク部材としてのトレーリングリンク56を介
在させ、アクスルハウジングの下部と車体側との間に上
記第1の実施の形態で説明したのと同様のリンク部材と
してのAアーム14を介在させている。トレーリングリ
ンク56は、その前端部が車体側への取付点56Aであ
り、その後端部がアクスルハウジングへの取付点56B
であって、これら取付点56A,56Bを、上記第1の
実施の形態や第2の実施の形態で示したような弾性ブッ
シュ20,22を介して車体側又はアクスルハウジング
に連結することにより、車両上下方向に変位できるよう
にしている。このような構成であっても、例えば前輪W
F側の駆動力の配分比βの減少に応じて、Aアーム14
の車体側の取付点14B及び14Cを上記第1の実施の
形態と同様に上下変位させるとともに、トレーリングリ
ンク56の前側の取付点56Aを下方に変位させ、後側
の取付点56Bを上方に変位させれば、回転中心CR
略車両下方に変位し角度θr が減少方向に変化するか
ら、上記第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる
ようになる。
【0099】図17は、後輪WR 側のサスペンションの
概略構成を示す側面図であって、図16に示した例と同
様にトレーリングリンク式ダブルウイッシュボーンサス
ペンションに本発明を適用したものであるが、トレーリ
ングリンク56を下方に、リンク部材としてのAアーム
13を上方に位置させている点が異なっている。このよ
うな構成であっても、前輪WF 側の駆動力の配分比βの
減少に応じて、Aアーム13の車体側の取付点13B及
び13Cを上記第1の実施の形態と同様に上下変位させ
るとともに、トレーリングリンク56の前側の取付点5
6Aを下方に変位させ、後側の取付点56Bを上方に変
位させれば、回転中心CR は略車両下方に変位し角度θ
r が減少方向に変化するから、上記第1の実施の形態と
同様の作用効果が得られるようになる。
【0100】なお、上記各実施の形態では特に言及しな
かったが、前輪WF 側及び後輪WR側間の駆動力の配分
比β:(1−β)が、100%:0%、若しくは後輪W
R 側の駆動力の配分比(1−β)が非常に小さい場合に
は、車体後部のアンチスカット率ηr を1にするために
は、図18に示すように、ホイールセンタWCR の真上
に回転中心CR を位置させなければならないが、これで
は後輪WR 側のホイールセンタWCR の軌跡XR の方向
は略水平となり、後輪WR 側サスペンションは実質的に
上下動しなくなってしまう。しかも、弾性ブッシュ2
0,22の上下変位量にも限界があるため、角度θr
変化にも限界がある。従って、後輪WR 側の駆動力の配
分比(1−β)が零若しくは非常に小さくなる車両の場
合には、アンチスカット率ηr を常時1にすることは実
質的に不可能であるから、ある程度のアンチスカット率
ηr に抑えざるを得ない。同様の理由から、前輪WF
の駆動力の配分比βが零若しくは非常に小さくなる車両
の場合には、アンチリフト率ηf を常時1にすることは
実質的に不可能であるから、ある程度のアンチリフト率
ηf に抑えざるを得ない。
【0101】また、上記各実施の形態では、通常状態に
おけるアンチリフト率ηf 及びアンチスカット率ηr
共に1とする車両に本発明を適用した場合について説明
しているが、自然な感覚を残すために、それらアンチリ
フト率ηf 及びアンチスカット率ηr を共に1未満とす
る場合もあるが、そのような場合であっても、車両乗り
心地が向上するという利点が得られる。つまり、加速時
等に車体前部にリフトが車体後部にスカットが生じるよ
うに設計している車両において、前後方向加速度に応じ
て後輪側の駆動力の配分比(1−β)を図19(a)に
示すように変化させるようにした場合、回転中心CF
R を積極的に移動させるようになっていない従来の構
造であると、駆動力配分比変化の影響により、図19
(b)に特性Bで示すように車体前部の上下変位が急激
になり、図19(c)に特性Bで示すように車体後部の
上下変位が逆転してしまうため、乗員は違和感を感じて
しまい、車両乗り心地が悪化してしまうのである。これ
に対し、本発明を適用した場合には、駆動力配分比が変
化しても、図19(b)特性A及び図19(c)特性A
で示すように、直進走行時の車体の姿勢変化は前後方向
加速度に応じたものとなるから、車両乗り心地を向上す
ることができるのである。
【0102】そして、上記各実施の形態では、例えばA
アーム10の二つの車体側の取付点10B,10Cのそ
れぞれを上下変位させることにより、その車体側端部の
揺動中心軸S10を移動させるようにしているが、これに
限定されるものではなく、取付点10B及び10Cのい
ずれか一方を適宜上下変位させることにより、揺動中心
軸S10を移動させるようにしてもよい。なお、取付点1
0B及び10Cのいずれか一方を適宜上下変位させる場
合、揺動中心軸S10を十分移動させるためには例えばゴ
ム弾性体20B,22Bの剛性を低くすればよい。この
ような構成とすれば、構成が簡易になって低コストで済
むという利点がある。他方のAアーム11や後輪WR
のAアームについても同様である。
【0103】さらに、上記各実施の形態では、前輪WF
側の駆動力の配分比βの変化に応じて、前輪WF 側のサ
スペンションを構成するリンク部材の回転中心CF 及び
後輪WR 側のサスペンションを構成するリンク部材の回
転中心CR の両方を移動させることにより、車体前部の
上下動及び車体後部の上下動を防止するようにしている
が、回転中心CF 及びCR のいずれか一方のみを移動さ
せるようにしても、車体前部又は車体後部の一方の上下
変位を防止できるから、従来のサスペンションに比べて
車両姿勢を良好にできる効果がある。
【0104】また、上記実施の形態では、駆動力伝達系
に設けられた油圧クラッチ3の押し付け力をコントロー
ラ8や制御バルブ7で制御することにより前後輪間の駆
動力の配分比を可変としているが、駆動力の配分比を可
変とする構造はこれに限定されるものではなく、例え
ば、前後輪の各油圧ポンプの差圧を利用してクラッチの
押し付け力を制御する構造のものや、遊星歯車装置を利
用した構造であってもよく、前者の場合には差圧を利用
して弾性ブッシュ20,22の内筒20B,22Bを上
下動させることが可能であるし、後者の場合には遊星歯
車装置の回転拘束用クラッチの油圧を利用して弾性ブッ
シュ20,22の内筒20B,22Bを上下動させるこ
とが可能である。
【0105】そして、上記各実施の形態では、油圧クラ
ッチ3の押し付け力が零のときには前輪駆動車となる車
両に本発明を適用しているが、これとは逆に油圧クラッ
チ3の押し付け力が零のときには後輪駆動車となる車両
であっても、本発明の適用は可能である。また、そのよ
うな後輪駆動車ベースの場合、駆動力の配分比の変化と
油圧クラッチ3の油圧変化との関係は、上記実施の形態
の場合とは逆になる、つまり、油圧が増大するに従って
前輪側の駆動力の配分比βが増大するため、例えば図1
の構成であれば、弾性ブッシュ20と弾性ブッシュ22
とを入れ換えて配置する必要がある。
【0106】また、上記第4,第5の実施の形態では、
二つの軸力センサ43F,43Rが検出した前後各サス
ペンションのリンク部材の軸力検出値DF 及びDR に基
づいて駆動量の配分比を演算するようにしているが、駆
動量の配分比を検出する手段はこれに限定されるもので
はない。
【0107】例えば、コントローラ8に車両前後方向加
速度,前後輪の車輪速,アクセル開度,ギア位置,横加
速度,ヨーレート等の各検出値が供給され、その検出値
に基づいて駆動力の配分比を制御するようになっている
車両であれば、コントローラ8に入力されるのと同じセ
ンサ出力を読み込むとともに、コントローラ42におい
てコントローラ8と同じロジックで演算を行って駆動力
配分比を演算するようにしてもよい。
【0108】一方、車体に弾性支持されたサスペンショ
ンメンバを有し、そのサスペンションメンバにリンク部
材の車体側端部が結合されている車両の場合、走行時に
リンク部材に入力される軸力によってそのサスペンショ
ンメンバにも前後方向の変位が生じるから、そのサスペ
ンションメンバの前後方向変位やピッチ角を検出するこ
とにより、駆動力の配分比を検出することも可能であ
る。
【0109】また、手動で駆動力の配分比を切換可能に
なっている車両であれば、その切換スイッチ等の位置か
ら駆動力の配分比を認識できる。さらに、上記実施の形
態のように、油圧クラッチ3の押し付け力を油圧によっ
て調整するようになっている場合には、クラッチの押し
付け圧力、つまり油圧を検出することにより、駆動力の
配分比を検出できる。また、コントローラ8から出力さ
れる指令値に基づいて駆動力の配分比を検出することも
可能である。
【0110】ここで、図20に示すような緒言の車両V
の場合について検討する。即ち、ホイールベースが28
00mm、前輪WF の半径が300mm、車両重心点G
の高さが500mm、Aアーム10及び11の前輪WF
側連結点10A及び11A間の上下方向間隔が250m
m、Aアーム10及び11の車体側連結点10B及び1
0C、11B及び11C間の前後方向間隔が280mm
であり、前輪WF 及び後輪WR 間の駆動力の配分比β:
(1−β)が、通常走行時において100%:0%であ
り、急加速状態において50%:50%であったものと
する。
【0111】そして、通常走行時及び急加速時の両方に
おいて、前輪WF 側のアンチリフト率ηf を1にするた
めには、通常走行時の回転中心CF を、急加速時には、
図20に示す回転中心CF ' に移動させる必要があり、
その場合の各Aアーム10,11の車体側の取付点10
B,10C,11B及び11Cに必要な上下変位は、図
21に示すように、それぞれ25mmとなる。
【0112】しかし、車両用サスペンションのリンク部
材と車体側との間を結合する弾性ブッシュには、ある程
度の剛性が必要であるため、25mmもの大変位を許容
させるのは実際には難しく、例えば弾性ブッシュ自体を
大型化する等の工夫が必要である。そこで、図22に示
すような弾性ブッシュ60を提案するものである。即
ち、図22(a)に示すように、この弾性ブッシュ60
は二重円筒式の弾性ブッシュであって、弾性ブッシュ2
0,22と同様に、中空のブラケット60A,内筒60
B,ゴム弾性体60Cを備えて構成される。そして、ゴ
ム弾性体60C内には、内筒60Bを上下から挟み込む
ように二つの中空部60D,60Eが形成されている。
ただし、一方の中空部60Dには例えば図3の弾性ブッ
シュ20と同様に制御バルブ7から油圧が供給されるよ
うになっているが、他方の中空部60Eは大気圧に通じ
ている。
【0113】また、中空部60Dは、これに油圧が供給
されない状態では略上下方向に潰れてスリット状になる
が、そのときの中空部60Eは、上下に広がっていて、
その上下方向の幅Eは、内筒60Bに必要な上下方向変
位と同等(この例では、25mm)になっている。
【0114】さらに、ゴム弾性体60C内には、内筒6
0Bを左右から距離を隔てて挟み込むように、円弧状に
僅かに屈曲した二枚の金属板60F,60Gが埋め込ま
れている。
【0115】このような構成であれば、上記第1の実施
の形態と同様に、急加速時に制御バルブ7から吐出され
る油圧が上昇すれば、図22(b)に示すように、中空
部60Dが上下に拡張しようとするが、中空部60Dの
拡張に伴って中空部60Eが上下に潰れようとするし、
しかも中空部60Dの拡張は金属板60F,60Gを介
して効率よく中空部60E側に伝達される。すると、中
空部60Dは大きく拡張でき、中空部60Eは大幅に潰
れるから、内筒60Bは中空部60Eの当初の厚さEと
略同じ距離だけ下方に変位することができる。内筒60
Bを上方に変位させたい場合には、中空部60Dと60
Eとの位置関係を逆にすればよい。つまり、図21に示
したような大きな変位が必要な場合であっても、図22
(a)に示すような弾性ブッシュ60を採用すれば、極
めて現実的に必要な変位を得ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における車両概略側
面図である。
【図2】前輪側サスペンションの構成例を示す斜視図で
ある。
【図3】第1の実施の形態における油圧回路図である。
【図4】第1の実施の形態の動作を説明する車両概略側
面図である。
【図5】弾性ブッシュの変位を説明する図である。
【図6】回転中心の移動を説明する前輪側サスペンショ
ンの概略側面図である。
【図7】第2の実施の形態における弾性ブッシュの変位
構造を示す断面図である。
【図8】第2の実施の形態の動作を説明する図である。
【図9】第3の実施の形態における油圧回路図である。
【図10】第4の実施の形態における油圧回路図であ
る。
【図11】第4の実施の形態の動作を説明するフローチ
ャートである。
【図12】第5の実施の形態における油圧回路図であ
る。
【図13】第5の実施の形態の変形例を示す断面図であ
る。
【図14】本発明の他の適用例を示す前輪側サスペンシ
ョンの概略構成図である。
【図15】本発明の他の適用例を示す後輪側サスペンシ
ョンの概略構成図である。
【図16】本発明の他の適用例を示す後輪側サスペンシ
ョンの概略構成図である。
【図17】本発明の他の適用例を示す後輪側サスペンシ
ョンの概略構成図である。
【図18】前輪駆動車ベースの四輪駆動車の場合の注意
点を説明する図である。
【図19】前後方向加速度と後輪側の駆動力の分配比と
車体上下変位との関係を示すグラフである。
【図20】本発明のより具体的な適用例を示す車両概略
側面図である。
【図21】リンク部材の変位の説明図である。
【図22】弾性ブッシュの構成例を示す断面図である。
【図23】従来の問題点を説明する車両概略側面図であ
る。
【図24】前輪の概略側面図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 トランスファ 3 油圧クラッチ 4 プロペラシャフト 5 油圧シリンダ 6 油圧源 7 制御バルブ 8 コントローラ 10 Aアーム(リンク部材) 11 Aアーム(リンク部材) 20,22 弾性ブッシュ 30 車体 32,34 油圧シリンダ 36 油圧ブースタ 40 油圧ポンプ 41 圧力制御弁 42 コントローラ 43F,43R 軸力センサ 44,45 ストロークセンサ 54 トレーリングアーム(リンク部材) 56 トレーリングリンク(リンク部材)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪側及び後輪側間の駆動力の配分比を
    変更可能な車両に用いられるサスペンションであって、
    前輪側の駆動力の配分比の減少に応じて、前輪側サスペ
    ンションのアンチリフト傾向を強くすること及び後輪側
    サスペンションのアンチスカット傾向を弱くすることの
    一方若しくは両方を行うようになっていることを特徴と
    する車両用サスペンション。
  2. 【請求項2】 前輪側及び後輪側間の駆動力の配分比を
    変更可能な車両に用いられるサスペンションであって、
    前輪側の駆動力の配分比の増大に応じて、前輪側サスペ
    ンションのアンチリフト傾向を弱くすること及び後輪側
    サスペンションのアンチスカット傾向を強くすることの
    一方若しくは両方を行うようになっていることを特徴と
    する車両用サスペンション。
  3. 【請求項3】 前輪側及び後輪側間における駆動力の配
    分比を変更可能な駆動力配分比可変手段と、前輪側サス
    ペンションを構成するリンク部材の車両側面視における
    回転中心を移動可能な回転中心移動手段と、を備え、前
    記回転中心移動手段は、前輪側の駆動力の配分比の減少
    に応じて、前記回転中心を前輪側サスペンションのアン
    チリフト傾向が強くなる方向に移動させる一方、前輪側
    の駆動力の配分比の増大に応じて、前記回転中心を前輪
    側サスペンションのアンチリフト傾向が弱くなる方向に
    移動させるようになっていることを特徴とする車両用サ
    スペンション。
  4. 【請求項4】 前輪側及び後輪側間における駆動力の配
    分比を変更可能な駆動力配分比可変手段と、後輪側サス
    ペンションを構成するリンク部材の車両側面視における
    回転中心を移動可能な回転中心移動手段と、を備え、前
    記回転中心移動手段は、前輪側の駆動力の配分比の減少
    に応じて、前記回転中心を後輪側サスペンションのアン
    チスカット傾向が弱くなる方向に移動させる一方、前輪
    側の駆動力の配分比の増大に応じて、前記回転中心を後
    輪側サスペンションのアンチスカット傾向が強くなる方
    向に移動させるようになっていることを特徴とする車両
    用サスペンション。
  5. 【請求項5】 前輪側及び後輪側間における駆動力の配
    分比を変更可能な駆動力配分比可変手段と、前輪側サス
    ペンションを構成するリンク部材の車両側面視における
    回転中心及び後輪側サスペンションを構成するリンク部
    材の車両側面視における回転中心を移動可能な回転中心
    移動手段と、を備え、前記回転中心移動手段は、前輪側
    の駆動力の配分比の減少に応じて、前輪側の前記回転中
    心を前輪側サスペンションのアンチリフト傾向が強くな
    る方向に移動させ且つ後輪側の前記回転中心を後輪側サ
    スペンションのアンチスカット傾向が弱くなる方向に移
    動させる一方、前輪側の駆動力の配分比の増大に応じ
    て、前輪側の前記回転中心を前輪側サスペンションのア
    ンチリフト傾向が弱くなる方向に移動させ且つ後輪側の
    前記回転中心を後輪側サスペンションのアンチスカット
    傾向が強くなる方向に移動させるようになっていること
    を特徴とする車両用サスペンション。
  6. 【請求項6】 前記回転中心移動手段は、前記リンク部
    材の車体側端部の揺動中心軸を移動させることにより、
    前記回転中心を移動させるようになっている請求項3乃
    至請求項5のいずれかに記載の車両用サスペンション。
  7. 【請求項7】 前記駆動力配分比可変手段は、駆動力伝
    達系に設けられたクラッチの押し付け力を油圧で調整す
    ることにより駆動力の配分比を変更するようになってお
    り、前記回転中心移動手段は、前記油圧を利用して前記
    回転中心を移動させるようになっている請求項3乃至請
    求項6のいずれかに記載の車両用サスペンション。
  8. 【請求項8】 前記回転中心移動手段は、前輪側及び後
    輪側間の駆動力の配分比を検出する駆動力配分比変化検
    出手段と、前記リンク部材の車体側端部の揺動中心を移
    動可能なアクチュエータと、前記駆動力配分比検出手段
    の検出結果に応じて前記アクチュエータを駆動させるコ
    ントローラと、を備えた請求項6記載の車両用サスペン
    ション。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7114729B2 (en) 2003-08-05 2006-10-03 Hyundai Motor Company Vehicle rear suspension
KR101220076B1 (ko) * 2006-12-08 2013-01-08 현대자동차주식회사 차량의 노우즈업 제어장치

Cited By (2)

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