JPH104222A - 酸化物超電導体素子及びその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導体素子及びその製造方法

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JPH104222A
JPH104222A JP8153832A JP15383296A JPH104222A JP H104222 A JPH104222 A JP H104222A JP 8153832 A JP8153832 A JP 8153832A JP 15383296 A JP15383296 A JP 15383296A JP H104222 A JPH104222 A JP H104222A
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oxide superconductor
thin film
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superconductor element
tunnel barrier
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JP8153832A
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Yuji Mizuno
裕二 水野
Katsumi Suzuki
克巳 鈴木
Yoichi Enomoto
陽一 榎本
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NEC Corp
Sharp Corp
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KOKUSAI CHODENDO SANGYO GIJUTSU KENKYU CENTER
NEC Corp
Sharp Corp
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    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N60/00Superconducting devices
    • H10N60/10Junction-based devices
    • H10N60/12Josephson-effect devices
    • H10N60/124Josephson-effect devices comprising high-Tc ceramic materials

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板上での接合の配置の自由度は大きく、集
積化の際に、各素子の臨界電流等の超電導特性にばらつ
きが少なく、臨界電流密度の再現性に優れた酸化物超電
導体素子(ジョセフソン接合素子)を提供する。 【解決手段】 超電導性を弱めたトンネル障壁領域を有
する酸化物超電導体素子であって、その断面がV字を倒
した形状の溝5を有する基板1上にほぼ均一の厚さの酸
化物超電導体薄膜3を設け、該酸化物超電導体薄膜の前
記溝の部分以外の同一平面に取り出し用電極6を設けた
ものである。前記V字状の溝の基板の平面に対して急傾
斜側の部分を前記トンネル障壁領域とし、その傾斜角を
可能な限り90度に近づけて急峻にしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物超電導体を
用いた酸化物超電導体素子(ジョセフソン接合素子)及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ジョセフソン接合の特徴として、動作の
高速性、低消費電力が挙げられるが、このうち、低消費
電力は多数の素子を集積化した場合に大きな利点とな
る。この場合、素子特性の均質性(再現性)が設計性能
を実現するために必要とされる。さらに、ジョセフソン
接合は増幅機能をもたないために、回路性能実現のため
の素子特性の分布は狭いことが要求されていた。
【0003】酸化物超電導体電子デバイスの基本である
ジョセフソン接合を作製する方法として、(a)通常の
フォトリソグラフィ技術とAr等のイオンビームあるい
は反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion
Etching)を用いて基板に数100nm高さの段差を設
け、段差部分に生じる酸化物超電導体薄膜の弱結合部分
を利用する段差型接合作製方法、(b)バイクリスタル
基板を用いた粒界型接合作製方法、(c)初めに形成し
た下部超電導薄膜にフォトリソグラフィ技術を用いた段
差を形成し、その段差部において、後に形成する上部超
電導薄膜との間で障壁層を設けるランプエッジ接合(あ
るいは単にエッジ接合と呼ばれる)作製方法、(d)集
束イオンビームを用いて基板に劣化領域を設けることに
よる平面型接合作製方法(例えば、特開平6−1519
86号公報参照)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、前記の従
来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
【0005】前記従来の(a)の段差型接合作製方法で
は、接合の臨界電流値等の特性再現性については比較的
優れているものの、基板に設ける段差の角度が、イオン
ビーム等によるエッチング時に用いるマスクの形状を反
映するために、段差の角度を自在に制御することが困難
であり、かつ、段差の上部と下部に2つの接合ができて
しまい、それら2つの接合の特性が必ずしも揃わないこ
ととあわせて接合の特性自体を制御することが困難とな
るという問題があった。
【0006】また、段差を形成する際に、マスクのない
部分はイオンビーム等に直接さらされるため、基板表面
の荒れや副生成物の発生が避けられず、段差形成後に堆
積される超電導体薄膜の特性に悪影響がでることが避け
られない。
【0007】さらに、ジョセフソン接合を挟んだ電極部
分が同一平面にないという幾何学的な特徴により多数の
接合を基板上に自由にレイアウトすることは困難であ
り、集積回路の実現には適さない。
【0008】前記(b)の粒界型接合作製方法では、接
合の臨界電流値等の特性再現性については比較的優れて
おり、バイクリスタル基板を作製するときに貼りあわせ
る2つの基板の結晶方位を変えることで接合の特性自体
も制御することが可能であるが、ジョセフソン接合が形
成できる位置がバイクリスタル基板の貼りあわされた部
分に限られるために、多数の接合を基板上に自由にレイ
アウトすることが非常に困難であり、集積回路の実現に
は適さない。
【0009】前記(c)のランプエッジ接合作製方法で
は、上部超電導電極と下部超電導電極の2層を形成する
のに2回以上の成膜プロセスが必要であり、かつ、上下
2層を形成する間に真空を破る必要があり、フォトリソ
グラフィ工程等を経るために膜の超電導特性の劣化が避
けられないこと、工程が多岐で複雑なものになるため、
スループットの低下、歩留まりの悪化が起きやすいとい
う問題があった。
【0010】前記(d)の平面型接合作製方法では、基
板上での接合の配置の自由度は大きく、将来の集積回路
実現には大きな可能性を有するものの、集積化の際に、
各素子の臨界電流等の超電導特性にばらつきが生じ(Y,
Ishimaru et al.J.J.A.P.35(1996)L15〜16、徳永他,
第42回応用物理学関係連合講演会 予稿集 29a-TM-8199
5年春季 p136 参照)、要求される素子特性の均質性(再
現性)が十分でないという問題があった。
【0011】本発明の目的は、基板上での接合の配置の
自由度は大きく、集積化の際に、各素子の臨界電流等の
超電導特性にばらつきが少なく、臨界電流密度の再現性
に優れた酸化物超電導体素子(ジョセフソン接合素子)
を提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、酸化物超電導体素子
(ジョセフソン接合素子)の集積回路を実現することが
可能な技術を提供することにある。
【0013】本発明の前記ならびにその他の目的と新規
な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らか
にする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以
下のとおりである。
【0015】(1)超電導性を弱めたトンネル障壁領域
を有する酸化物超電導体素子であって、その断面がV字
を斜めに倒した形状の溝を有する基板上にほぼ均一の厚
さの酸化物超電導体薄膜を設け、該酸化物超電導体薄膜
の前記溝の部分以外の同一平面に取り出し用電極を設け
たものである。
【0016】(2)前記(1)の酸化物超電導体素子に
おいて、前記V字状の溝の基板の平面に対して急傾斜側
の部分を前記トンネル障壁領域とし、その傾斜角を可能
な限り基板の平面に対して90度に近づけて急峻にした
ものである。
【0017】(3)前記(1)又は(2)の酸化物超電
導体素子において、前記酸化物超電導体薄膜は、高周波
(rf)スパッタ法、パルスレーザー法、化学気相成長
(CVD)法、共蒸着法のうちいずれか1つによって堆
積させたc軸配向RnBa2Cu37-x(0≦x≦0.
5)(RnはYを含む希土類元素である)薄膜からな
る。
【0018】(4)前記(1)乃至(3)のうちいずれ
か1つの酸化物超電導体素子において、前記酸化物超電
導体薄膜は、高周波(rf)スパッタ法、パルスレーザ
ー法、化学気相成長(CVD)法、共蒸着法のうちいず
れか1つによって堆積させたc軸配向NdBa2Cu3
7-x(0≦x≦0.5)薄膜からなる。
【0019】(5)前記(1)乃至(3)のうちいずれ
か1つの酸化物超電導体素子において、前記酸化物超電
導体薄膜は、高周波(rf)スパッタ法、パルスレーザ
ー法、化学気相成長(CVD)法、共蒸着法のうちいず
れか1つによって堆積させたc軸配向YBa2Cu3
7-x(0≦x≦0.5)薄膜からなる。
【0020】(6)基板の表面に対して集束イオンビー
ムを斜め上方から照射してその断面がV字を斜めに倒し
た形状の溝を形成し、該溝の上に酸化物超電導体薄膜を
堆積する超電導性を弱めたトンネル障壁領域を有する酸
化物超電導体素子の製造方法である。
【0021】(7)前記(6)の酸化物超電導体素子の
製造方法において、前記酸化物超電導体薄膜を高周波
(rf)スパッタ法、パルスレーザー法、化学気相成長
(CVD)法、共蒸着法のうちいずれか1つによって堆
積するものである。
【0022】(8)前記(6)又は(7)のうちいずれ
か1つの酸化物超電導体素子の製造方法において、集束
イオンビームはGa+イオンの集束イオンビームであ
る。
【0023】前述した手段によれば、集束イオンビーム
を用いて基板上にその断面がV字を斜めに倒した形状の
溝を設け、その溝の上にほぼ均一の厚さの酸化物超電導
体薄膜を設け、該酸化物超電導体薄膜の前記溝の部分以
外の同一平面に取り出し用電極を設けることにより、基
板上での接合の配置の自由度は大きく、集積化の際に、
各素子の臨界電流等の超電導特性にばらつきが少なく、
臨界電流密度の再現性に優れた酸化物超電導体素子(ジ
ョセフソン接合素子)を得ることができる。
【0024】
【実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態
(実施例)を詳細に説明する。
【0025】(実施形態1)図1は本発明の実施形態
(実施例)1の酸化物超電導体素子の概略構成を示す上
から見た平面図、図2は図1のA−A’線で切った断面
図である。図1及び図2において、1は基板(例えば、
MgO単結晶基板を用いる)、2,2’,3は酸化物超
電導体薄膜、4は超電導性を弱めたトンネル障壁領域
(弱結合領域)、5はその断面がV字を斜めに倒した形
状の溝、5AはV字を倒した形状の溝5の基板1の平面
に対して急傾斜側の部分、6,6’は取り出し用電極で
ある。
【0026】本実施形態1の酸化物超電導体素子は、図
1及び図2に示すように、超電導性を弱めたトンネル障
壁領域4を有する酸化物超電導体素子であって、その断
面がV字を斜めに倒した形状の溝を基板1に設け、その
基板1の上の溝5及びそれ以外の部分の上にほぼ均一の
厚さの酸化物超電導体薄膜2,2’,3を設け、該左右
2個の酸化物超電導体薄膜2,2’(左右酸化物超電導
体薄膜2,2’の上面は同一平面である)の平面上に取
り出し用電極6,6’を設けたものである。
【0027】前記基板1としては、例えば、MgO単結
晶基板を用いる。また、前記V字を倒した形状の溝5の
基板1の平面に対して急傾斜側の部分5Aを前記トンネ
ル障壁領域4とし、そのトンネル障壁領域4の傾斜角を
可能な限り90度に近づけて前記トンネル障壁領域4を
急峻な傾斜にしたものである。
【0028】前記トンネル障壁領域4の傾斜が緩やかな
場合には、酸化物超電導体のab面配向結晶の結晶成長
速度が速いため、結晶粒界が発生しない場合も起きる。
これは、基板表面の状態、成膜条件に強く依存し、接合
の臨界電流密度などの特性分布を拡大する原因となる。
急峻な傾斜にすることにより、基板表面の状態、成膜条
件にあまり依存せずに容易に結晶粒界が形成され、より
特性のそろった接合を得ることができる。
【0029】また、前記酸化物超電導体薄膜2,2’,
3は、高周波(rf)スパッタ法、パルスレーザー法、
化学気相成長(CVD)法、共蒸着法のうちいずれか1
つによって堆積させたc軸配向RnBa2Cu3
7-x(0≦x≦0.5)(RnはYを含む希土類元素であ
る)薄膜からなり、例えば、高周波(rf)スパッタ法
もしくはパルスレーザー法で堆積させたc軸配向NdB
2Cu37-x(0≦x≦0.5)薄膜からなる。
【0030】図3は本実施形態1の酸化物超電導体素子
の製造方法を説明するための各製造工程における断面図
である。
【0031】本実施形態1の酸化物超電導体素子の製造
は、図3(a)に示すように、基板(MgO単結晶基
板)1の全面に直流(dc)スパッタ法により、約12
0nm厚の金薄膜7を堆積する。その後、集束イオンビ
ーム装置(FIB)中に前記基板1を置き、30keV
に加速したGa+イオンビーム8をトンネル接合を形成
する位置に照射する。このとき、基板1の面の鉛直方向
に対し60度の角度で、幅20μm高さ150nmの矩
形領域に照射を行う。ビーム電流は0.1pAである。
【0032】前記幅20μmは、ジョセフソン接合のパ
ターン幅が5μmであり、マスクパターン合わせの容易
性から決めたものである。また、高さ150nmは使用
したFIBの性能限界により決まる値である。いずれも
この値に限定されるものではない。
【0033】この結果、Ga+イオンビーム照射領域の
長辺方向に基板1の垂直な断面からみて、Ga+イオン
ビーム照射部分の片側にほぼ90度程度の急峻な傾斜を
形成し、その反対側にはほぼ20度以下の緩やかな傾斜
を形成し、その断面がV字を斜めに倒した形状の溝5が
できることがわかった。このような断面形状の溝5が得
られた理由としてGa+イオンビームがビーム径50n
m程度のガウス分布様のプロファイルを有しているため
ではないかと考えられる。
【0034】その後、図3(b)に示すように、金薄膜
7を全面にわたり除去した後、図3(c)に示すよう
に、高周波(rf)スパッタ法により、基板1上にNd
Ba2Cu37-x薄膜(酸化物超電導体薄膜3)9を成
膜する。酸化物超電導体薄膜3の成長条件は、ターゲッ
トにNdBa2Cu37-x多結晶体を用い、基板1の温
度750℃、放電圧力80mTorr、O2ガス流量1sccm、
Arガス流量5sccm、投入された高周波(rf)出力6
0W、成長時間60分で膜厚は300nmである。
【0035】その後、Ga+イオン照射領域を横切るよ
うに、幅5μm長さ30μmの配線パターンを形成し、
図3(d)に示すようなジョセフソン接合素子を作製す
る。
【0036】図4(測定温度4.2K、電流100μA/div、電
圧50μV/div)は前記作製したジョセフソン接合素子
(酸化物超電導体素子)のうち一つの電流電圧特性の結
果を示すもので、弱結合型の特性が見られることからジ
ョセフソン接合ができていることがわかる。また、電流
電圧特性に折れ曲がり等が見られないことから、ジョセ
フソン接合は素子中にただ一つ形成されていることが示
唆される。
【0037】この素子にマイクロ波を照射したところ、
図5(測定温度4.2K、電流100μA/div、電圧50μV/di
v、マイクロ波20GHz)に示すように、マイクロ波の周波
数に対応する電圧で電流ステップ(シャピロステップ)
特性が見られ、ジョセフソン接合が形成できていること
がわかる。
【0038】図6(測定温度4.2K)は同一基板上に作製
した6個のジョセフソン接合素子(酸化物超電導体素
子)の20Kにおける臨界電流値を示したもので、いず
れの試料もほぼ同様の臨界電流値を有していることがわ
かる。また、いずれの試料も前記の図4の結果と良く似
た電流電圧特性を示し、マイクロ波照射時にシャピロス
テップが観測された。
【0039】すなわち、特性再現性に優れたジョセフソ
ン接合素子(酸化物超電導体素子)が得られる。
【0040】さらに、Ga+イオンビームをトンネル接
合を形成する位置に照射するときの基板1のジョセフソ
ン接合素子(酸化物超電導体素子)を堆積する面の鉛直
方向に対し40度の角度で、その他の作製条件を前記と
同様にした素子を作製し、その電流電圧特性を調べたと
ころ、臨界電流値が前記のものにくらべて1桁程度大き
い、いわゆるフラックスフロー的な特性をもったジョセ
フソン接合素子(酸化物超電導体素子)が得られた。
【0041】また、Ga+イオンビーム照射量を上の例
の半分程度にし、照射角を60度に戻した場合、鉛直方
向に対し80度の照射角にした場合もフラックスフロー
的な特定をもった素子ができた。
【0042】逆に、照射量を上の例のような弱結合型の
特性を示す条件の倍程度に増やしたときは、超電導電流
は観測されなかった。これらの結果から、Ga+イオン
ビームをトンネル接合を形成する位置に照射するときの
照射条件を変えることでジョセフソン接合素子(酸化物
超電導体素子)の電気特性を制御できることがわかっ
た。
【0043】(実施形態2)基本的に実施形態1と同様
の工程により接合が形成される。基板(MgO単結晶基
板)1の全面に直流(dc)スパッタ法により、約12
0nm厚の金薄膜7を堆積する。その後、集束イオンビ
ーム装置(FIB)中に前記基板1を置き、30keV
に加速したGa+イオンビーム8をトンネル接合を形成
する位置に照射する。
【0044】このとき、基板1の面の鉛直方向に対し6
0度の角度で、幅20μm高さ150nmの矩形領域に
Ga+イオンビーム8の照射を行う。ビーム電流は0.1
pAである。
【0045】その後、金薄膜7を全面にわたり除去した
後、基板1の上にNdBa2Cu37-x薄膜9を成膜す
る。薄膜の成長条件は、ターゲットにNdBa2Cu3
7-x多結晶体を用い、基板温度790℃、酸素分圧10
0mTorr、成長時間27分で膜厚は300nmである。
用いたレーザーはKrFのエキシマレーザーで、波長2
48nm、エネルギー密度5J/cm2である。
【0046】その後、Ga+イオン照射領域を横切るよ
うに幅5μm長さ30μmの配線パターンを形成する。
作製した素子の電流電圧特性は、実施形態1と同様で、
ジョセフソン接合が形成されている。
【0047】(実施形態3)基本的に前記実施形態1,
2と同様の工程により接合が形成される。基板(MgO
単結晶基板)1の全面に直流(dc)スパッタ法によ
り、約120nm厚の金薄膜7を堆積する。その後、集
束イオンビーム装置(FIB)中に前記基板1を置き、
30keVに加速したGa+イオンビームをトンネル接
合を形成する位置に照射する。
【0048】このとき、基板1の酸化物超電導体薄膜3
を堆積する面の鉛直方向に対し60度の照射角で、幅2
0μm高さ150nmの矩形領域に照射を行う。ビーム
電流は0.1pAである。その後、金薄膜7を全面にわ
たり除去した後、基板1上にYBa2Cu37-x薄膜
(酸化物超電導体薄膜3)を成膜する。薄膜の成長条件
は、ターゲットにYBa2Cu37-x多結晶体を用い、
基板温度740℃、酸素分圧200mTorr、成長時間4
0分で膜厚は300nmである。用いたレーザーはKr
Fのエキシマレーザーで、波長248nm、エネルギー
密度5J/cm2である。その後、Ga+イオン照射領域を横
切るように幅の5μm長さ30μmの配線パターンを形
成する。作製した素子の電流電圧特性は、実施形態1と
同様で、ジョセフソン接合が形成されている。
【0049】前記実施形態1,2,3においては、酸化
物超電導体薄膜としてNdBa2Cu37-x薄膜,YB
2Cu37-x薄膜を用いたが、本発明は、Nd,Y以
外の希土類元素(Rn)系のRnBa2Cu37-x薄膜
を用いても同様の効果が得られることは容易に推測でき
るであろう。
【0050】また、前記実施形態1,2,3において
は、集束イオンビームとして、Ga+イオンビームを用
いたが、他の元素のイオンビームを用いてもよいことは
いうまでない。
【0051】以上、本発明者によってなされた発明を、
前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前
記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱し
ない範囲において種々変更可能であることは勿論であ
る。
【0052】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表
的なものによって得られる効果を簡単に説明する。
【0053】(1)その断面がV字を斜めに倒した形状
の溝を有する基板上にほぼ均一の厚さの酸化物超電導体
薄膜を設け、該酸化物超電導体薄膜の前記溝の部分以外
の同一平面に電極を設けたことにより、基板上での接合
の配置の自由度は大きく、集積化の際に、各素子の臨界
電流等の超電導特性にばらつきが少なく、臨界電流密度
の再現性に優れた酸化物超電導体素子(ジョセフソン接
合素子)を提供することができる。
【0054】(2)集束イオンビーム装置(FIB)の
照射量及び照射角度を加減することにより、酸化物超電
導体素子(ジョセフソン接合素子)の超電導特性を制御
することができる。
【0055】(3)前記(1)及び(2)により、所定
の特性を有するジョセフソン接合が再現性良く作製でき
る。これにより多数の接合からなる集積回路を作製する
ことが可能となる。
【0056】(4)接合部分以外の電極部分は同一平面
上にあるので、絶縁層を解して積層構造に素子を作り込
むことが容易であり、新たな機能をもつ超電導体素子を
実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(実施例)1の酸化物超電導
体素子の概略構成を示す上から見た平面図である。
【図2】図1のA−A’線で切った断面図である。
【図3】本実施形態1の酸化物超電導体素子の製造方法
を説明するための各製造工程における断面図である。
【図4】本実施形態1の酸化物超電導体素子の電流電圧
特性を示す図である。
【図5】本実施形態1の酸化物超電導体素子にマイクロ
波を照射した場合の電流電圧特性を示す図である。
【図6】同一基板上に作製して得られた6個の本実施形
態1の酸化物超電導体素子試料の臨界電流値を示したも
のである。
【符号の説明】
1…基板、2,2’,3…酸化物超電導体薄膜、4…超
電導性を弱めたトンネル障壁領域(弱結合領域)、5…
その断面がV字を斜めに倒した形状の溝、5A…溝の急
傾斜側の部分、6,6’…取り出し用電極、7…金(A
u)薄膜、8…Ga+イオンビーム、9…NdBa2Cu
37-x薄膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水野 裕二 東京都江東区東雲一丁目14番3 財団法人 国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 鈴木 克巳 東京都江東区東雲一丁目14番3 財団法人 国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 榎本 陽一 東京都江東区東雲一丁目14番3 財団法人 国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超電導性を弱めたトンネル障壁領域を有
    する酸化物超電導体素子であって、その断面がV字を斜
    めに倒した形状の溝を有する基板上にほぼ均一の厚さの
    酸化物超電導体薄膜を設け、該酸化物超電導体薄膜の前
    記溝の部分以外の同一平面に電極を設けたことを特徴と
    する酸化物超電導体素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載される酸化物超電導体素
    子において、前記V字状の溝の基板の平面に対して急傾
    斜側の部分を前記トンネル障壁領域とし、その傾斜角を
    可能な限り基板の平面に対して90度に近づけて前記ト
    ンネル障壁領域を急峻にしたことを特徴とする酸化物超
    電導体素子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載される酸化物超電
    導体素子において、前記酸化物超電導体薄膜は、高周波
    (rf)スパッタ法、パルスレーザー法、化学気相成長
    (CVD)法、共蒸着法のうちいずれか1つによって堆
    積させたc軸配向RnBa2Cu37-x(0≦x≦0.
    5)(RnはYを含む希土類元素である)薄膜からなる
    ことを特徴とする酸化物超電導体素子。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のうちいずれか1項に記
    載される酸化物超電導体素子において、前記酸化物超電
    導体薄膜は、高周波(rf)スパッタ法、パルスレーザ
    ー法、化学気相成長(CVD)法、共蒸着法のうちいず
    れか1つによって堆積させたc軸配向NdBa2Cu3
    7-x(0≦x≦0.5)薄膜からなることを特徴とする酸
    化物超電導体素子。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のうちいずれか1項に記
    載される酸化物超電導体素子において、前記酸化物超電
    導体薄膜は、高周波(rf)スパッタ法、パルスレーザ
    ー法、化学気相成長(CVD)法、共蒸着法のうちいず
    れか1つによって堆積させたc軸配向YBa2Cu3
    7-x(0≦x≦0.5)薄膜からなることを特徴とする酸
    化物超電導体素子。
  6. 【請求項6】 基板の表面に対して集束イオンビームを
    斜め上方から照射してその断面がV字を斜めに倒した形
    状の溝を形成し、該溝の上に酸化物超電導体薄膜を堆積
    することを特徴とする超電導性を弱めたトンネル障壁領
    域を有する酸化物超電導体素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載される酸化物超電導体素
    子の製造方法において、前記酸化物超電導体薄膜を高周
    波(rf)スパッタ法、パルスレーザー法、化学気相成
    長(CVD)法、共蒸着法のうちいずれか1つによって
    堆積することを特徴とする酸化物超電導体素子製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7のうちいずれか1項に記
    載される酸化物超電導体素子の製造方法において、前記
    集束イオンビームは、Ga+イオンの集束イオンビーム
    であることを特徴とする酸化物超電導体素子製造方法。
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