JPH1039907A - 自動化システムにおけるトラッキング方法および装置 - Google Patents

自動化システムにおけるトラッキング方法および装置

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JPH1039907A
JPH1039907A JP19869396A JP19869396A JPH1039907A JP H1039907 A JPH1039907 A JP H1039907A JP 19869396 A JP19869396 A JP 19869396A JP 19869396 A JP19869396 A JP 19869396A JP H1039907 A JPH1039907 A JP H1039907A
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Manabu Niie
学 新江
Teruji Sekozawa
照治 瀬古沢
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 搬送制御に必要な最小限のセンサしか設置さ
れていない自動化システムにおいて、センサのない位置
であっても、ワークの現在位置を正確に特定し、緻密な
トラッキングを行なうことができるようにすること。 【解決手段】 試料や材料等のワークが投入されたなら
ば、目標位置に至る搬送ルート上における搬送ユニット
等の機器の動作を機器動作モデルと機器制御実行コマン
ドに基づきトレースし、目標位置に到達するであろうタ
イミングを予測し、そのタイミングで当該ワークに関す
るエラー情報が発生しているかどうかを調べ、発生して
いなければ、指示通りに搬送されているものと見做し、
その位置にワークが存在しているものと判定し、エラー
情報が発生しているならば、そのエラー情報の内容によ
ってワーク位置を予測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動化システム内
で搬送されるワークの位置を逐次追跡するトラッキング
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】野坂康雄著「産業システム制御」(社団
法人 計測自動制御学会)のp221〜p225には、ホットス
トリップミル(薄板圧延機)のシステム制御において工
程の進行制御のための圧延材料のトラッキング機能が記
述されている。
【0003】この文献に記述されたホットストリップミ
ルのトラッキング機能では、搬送ユニット上に設置され
たセンサからの材料検知情報と、搬送ユニットへの材料
の投入順序(材料投入情報)と、搬送ユニットや搬送ユ
ニットに配置された圧延機等の機器の動作モデル(この
場合は、FIFO;ファーストイン・ファーストアウト
メモリ)とから、センサが検知した材料のロット番号を
特定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記文献に記述された
ホットストリップミルのトラッキング機能では、搬送ユ
ニット上に設置されたセンサからの材料(ワーク)検知
情報と、搬送ユニットへの材料(ワーク)の投入順序情
報と、搬送ユニットや搬送ユニットに配置された圧延機
等の機器の動作モデルという3つの要素のうち、搬送ユ
ニット上に設置されたセンサの数を増加し、材料(ワー
ク)検知情報を充実させることにより、トラッキングが
容易になると共に、位置情報の精度を高めることができ
る。
【0005】しかし、センサの数を増やすことはコスト
増につながるため、むやみにセンサの数を増やすことは
できない。センサの数を減らせばコストを下げることが
できる。そこで、一般的には工程の進行制御や運転制御
に必要な位置にのみセンサを設けている。
【0006】ところが、ホットストリップミルの例のよ
うにワークが比較的低速で流れ、緊急性が低い場合は、
ワークの位置を高精度で検出することできなくても大き
な不都合はないが、ラボラトリ・オートメーションシス
テムの一つである医用検査システムのように、検体等の
試料(ワーク)をシステムに投入した時、その検査結果
がどれ位の時間で判明するのか、また、投入した試料が
現在どの位置にあるのか、さらに、システム内に停止し
ている試料の停止理由は何であるか、などを緊急に知る
ことが要求される場合には位置の検出精度が大きな問題
となる。
【0007】ここで、医用検査システムとは、検体等の
試料を搬送する搬送ユニットと各種の分析装置から成る
自動化システムのことである。
【0008】しかし、このような医用検査システムであ
っても、従来においては、コスト面から検体等の試料を
検知するセンサは検体の搬送制御に必要な数のみ設置し
ている。このため、検体等の試料の位置検出精度はホッ
トストリップミルの場合と同等であり、検体等の試料の
位置を緊急に知ることができないという問題があった。
【0009】以上のようなことから、センサの数が限定
された自動化システムにおいてワークの時々刻々の移動
位置を正確に特定することができるトラッキング方法の
実現が望まれている。
【0010】本発明の目的は、ワーク位置を検出するセ
ンサの数が限定された自動化システムにおいて、センサ
の感応範囲以外の場所であってもワークの位置を正確に
特定することができるトラッキング方法を提供すること
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のトラッキング方法は、基本的には、(1)
自動化システムを構成するユニットおよび搬送ユニット
の動作をアルゴリズムもしくはルールによってモデル化
した機器動作モデル、(2)ユニットおよび搬送ユニッ
ト上におけるワークの有無を検知するセンサの出力情
報、(3)投入されたワークを表わす投入ワーク識別情
報、(4)投入されたワークをある位置から別の位置へ
搬送する指示を与える搬送指示コマンド、(5)前記搬
送指示コマンドに従いユニットおよび搬送ユニットのシ
ーケンス制御を実行するために発行される機器制御実行
コマンド、(6)機器制御実行コマンドが指示した通り
にユニットおよび搬送ユニットが動作しなかった場合
に、その不正常動作内容に対応したエラー情報、の6つ
の情報を用い、センサ出力情報と投入ワーク識別情報と
によって各ワークの現在位置を決定する第1のステップ
と、ワークの移動前の現在位置情報と、センサ出力情
報、機器動作モデル、搬送指示コマンドおよび機器制御
実行コマンドとによってワークの移動後の位置を予測す
る第2のステップと、予測したワークの位置をエラー情
報の有無とその内容によって検証する第3のステップ
と、を備えることを特徴とする。
【0012】また、本発明のトラッキング装置は、自動
化システムを構成するユニットおよび搬送ユニットの動
作をアルゴリズムもしくはルールによってモデル化した
機器動作モデルを有し、前記ユニットおよび搬送ユニッ
ト上におけるワークの有無を検知するセンサの出力情報
と、投入されたワークを表わす投入ワーク識別情報と、
投入されたワークをある位置から別の位置へ搬送する指
示を与える搬送指示コマンドと、前記搬送指示コマンド
に従い前記ユニットおよび搬送ユニットのシーケンス制
御を実行するために発行される機器制御実行コマンド
と、前記機器制御実行コマンドが指示した通りにユニッ
トおよび搬送ユニットが動作しなかった場合に、その不
正常動作内容に対応して発行されるエラー情報とを入力
情報とし、前記センサ出力情報と投入ワーク識別情報と
によって各ワークの現在位置を決定する第1の手段と、
ワークの移動前の現在位置情報と前記センサ出力情報、
機器動作モデル、搬送指示コマンドおよび機器制御実行
コマンドとによってワークの移動後の位置を予測する第
2の手段と、予測したワークの位置を前記エラー情報の
有無とその内容によって検証する第3の手段とを備える
ことを特徴とする。
【0013】ここで、前記第2のステップで予測する位
置として、搬送指示コマンドによるワークの移動後の目
標位置を予測位置として用いることにより、予測の処理
を簡単化することが可能である。
【0014】また、前記第2のステップの処理におい
て、ワークの移動前の現在位置と機器制御実行コマンド
と機器動作モデルによってワークの移動後の位置を予測
する処理を独立させ、その処理によって予測した位置を
搬送指示コマンドが設定する目標位置と置き換え、さら
に、この目標位置を予測位置として用いることにより、
特にトラッキング装置におけるトラッキング処理を簡単
化することが可能である。
【0015】さらに、前記第1のステップで決定したワ
ークの現在位置の情報を、搬送ユニットにおける同期制
御情報として用いてシーケンス制御を実行することによ
り、ワークを精度良く搬送することが可能になる。
【0016】また、前記第1のステップで決定したワー
クの現在位置の情報を、搬送ユニットがワークを定位置
に停止させる定位置停止制御に利用することにより、正
確な位置に停止させることが可能になる。
【0017】また、エラー情報を用いて予測したワーク
の移動後の位置を検証した結果、エラーがあった場合
は、ユニットのエラーによってワークが異常停止したこ
とを告げるアラームを出力すると共に、異常停止したワ
ークを見つけたことにより、ユニットを緊急停止させる
ことにより、搬送異常に伴う工程の混乱を回避すること
が可能になる。
【0018】さらに、ワークの現在位置を逐次表示する
場合に、ユニットや搬送ユニットの動作エラーによって
移動できなくなったワークと通常の処理工程および搬送
工程のために停止しているワークとを画面上で区別して
表示することにより、停止中のワークの状態を明確に区
別して認識することが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて詳細に説明する。
【0020】なお、本実施形態においては、自動化シス
テムとして、FMS(フレキシブル生産システム)によ
る加工システムを例に挙げて説明する。
【0021】図1は、本発明を適用したFMSによる加
工システムの実施の形態を示すシステム構成図であり、
本実施形態の加工システム100は、材料であるワーク
を加工システムに搬入するための搬入ユニット30、N
C(数値制御)旋盤を行なうNC旋盤(A)40および
NC旋盤(B)45、形削りや穴あけやフライス加工を
行なうマシニングセンタ50、NC研削を行なうNC研
削盤60を備えている。
【0022】さらに、これら搬入ユニット30〜NC研
削盤60という各ユニットにワークを搬送する搬送ユニ
ット80、この搬送ユニット80からワークを取り、ユ
ニット(40〜60)へ置いたり、そのユニットからワ
ークを取り、搬送ユニット80へ置く作業を行なうワー
ク交換ユニット85、加工システム100と次工程のシ
ステムの間にあってワークを一時保管する場所であるバ
ッファユニット70を備えている。
【0023】また、ワークに張り付けたバーコードを読
み取るバーコードリーダ90、加工システム100全体
の運用・制御を司るコントローラ10、コントローラ1
0に接続され、システムの入出力を担うユーザインタフ
ェース20を備えている。
【0024】なお、図1中において、各ユニットを結ぶ
直線は、ユニット30〜70と搬送ユニット80の間で
ワークが移動することを表わし、点線はコントローラ1
0を中心としたデータ交換のための信号線を表わす。
【0025】図2は、加工システム100におけるユニ
ット間の接続関係を示す模式図であり、L、IO1等の
記号が記されている長方形は、ワークがユニットや搬送
ユニット上で加工やバーコードの読み取りや待機のため
に一時停止する位置を表わす。
【0026】表1に、図2に示す位置とその位置の定義
内容を記す。なお、H1位置からH4位置は、各々ワー
ク交換ユニット185a〜185dがワークを搬送する
作業によって生じるものである。
【0027】
【表1】
【0028】図3は、コントローラ10の内部構成を詳
細に示したブロック構成図である。コントローラ10
は、本発明のトラッキング方法を実行するトラッキング
部11と、ワークの搬送ルートおよび搬送スケジュール
を決定するスケジューラ12と、ユニット30〜70お
よび80のシーケンス制御を行なったり、ユニット40
〜60および85へ指令を送出したり、各ユニットから
のデータ収集やエラー情報の収集を行なうシーケンス制
御部13とで構成されている。
【0029】これらのトラッキング部11、スケジュー
ラ12、シーケンス制御部13は所定の機能を実現する
ためのプログラムで構成されている。
【0030】トラッキング部11では、自動化システム
を構成するユニットの動作をアルゴリズムもしくはルー
ルによってモデル化した機器動作モデル101を管理す
る。
【0031】スケジューラ12では、加工システム10
0に投入されたワークをワーク固有の識別情報(ワーク
ID)で表したワーク投入情報102と、ワークをある
位置から別の位置へ搬送する指示を与える搬送指示コマ
ンド103とを管理し、これらの情報102および10
3を矢印14のようにトラッキング部11へ渡す。
【0032】なお、ワーク投入情報102はシーケンス
制御部13でバーコードリーダ90を用いて獲得したバ
ーコード情報を基に生成する。
【0033】シーケンス制御部13では、ユニット上の
ワークの有無を検知するセンサの検知情報104と、ス
ケジューラ12が発行する搬送指示コマンド103に従
いユニットのシーケンス制御を実行するための機器制御
実行コマンド105を発行すると共に、各ユニットが発
したエラー情報106を管理し、これらの情報104,
106を矢印15のようにトラッキング部11へ渡す。
【0034】スケジューラ12が発行する搬送指示コマ
ンド103は、例えば図2において「C位置からIO2
位置へ搬送」のように制御操作系への制御指令であり、
位置をパラメータとするコマンドである。
【0035】シーケンス制御部13が発行する機器制御
実行コマンド105は、例えば前記の「C位置からIO
2位置へ搬送」には、「モータの回転を10パルス分」
のように、制御対象への制御操作を表わすコマンドであ
り、搬送指示コマンド103が発行されたならば、必ず
それに対応した機器制御実行コマンド105が発行され
る。
【0036】図4は、トラッキング部11のソフトウェ
ア・モジュール構成を示すものであり、トラッキング部
11は、機器動作モデル101を有し、さらにワーク投
入情報102、搬送指示コマンド103、センサ検知情
報104、機器制御実行コマンド105、エラー情報1
06の5つの情報の入力を受ける入力部111と、自動
化システム100に投入されたワーク毎にワークの現在
位置を保持するワーク管理部112と、入力部111か
らの5つの入力情報とワーク管理部112で管理するワ
ークの現在位置を用いて各ワークのトラッキングを行な
うユニットモデル部113と、各ワークの現在位置等の
トラッキング結果を出力する出力部114を備えてい
る。
【0037】ワーク管理部112は、トラッキングの情
報をワーク単位で集約したワークオブジェクトと呼ぶ概
念によって各ワークを管理する。管理する情報を表2に
示す。
【0038】
【表2】
【0039】ユニットモデル部113は、加工システム
100を構成するユニット(30〜90)毎にユニット
オブジェクトと呼ぶ概念によって各ユニットのモデルを
管理するソフトウェアで構成されている。このようにユ
ニット単位のソフトウェアで構成することでユニットの
拡張性についても考慮している。
【0040】ここで、ワークの搬送制御について、簡単
に説明しておく。
【0041】ワークの搬送形態としては、ユニット間搬
送とユニット内搬送という2つの形態がある。
【0042】ユニット間搬送は、システム全体の効率を
考えたスケジュールに基づいて、工程間すなわちユニッ
ト間でワークを搬送する場合の形態であり、ユニット内
搬送は、ワークを例えばバッファユニット170に搬送
する場合など、ユニット内で予め定めた条件でワークを
搬送する場合の形態である。
【0043】ユニット間搬送は、次の手順で実施され
る。
【0044】(1)ワークを搬送する目標位置を決定す
る。これは、スケジューラ12で決定し、搬送指示コマ
ンド103として出力する。
【0045】(2)そのワークの搬送を実行する装置
(例えば、搬送ユニット180)のベルトコンベア,キ
ャタピラ等の機構について、ワークを目的位置まで搬送
するのに必要なモータまたはアクチュエータの制御量を
算出する。これは、シーケンス制御部13で算出し、機
器制御実行コマンド105として出力する。
【0046】(3)算出した制御量で、その搬送ユニッ
トのモータまたはアクチュエータを作動させる。
【0047】ユニット内搬送は、次の手順で実施され
る。
【0048】(1)ユニットの状態遷移に沿うように、
搬送機構を構成するモータまたはアクチュエータの制御
量を算出する。この場合の制御量は、シーケンス制御部
13で算出し、機器制御実行コマンド105として出力
する。
【0049】(2)算出した制御量で、その搬送機構を
構成するモータまたはアクチュエータを作動させる。
【0050】従って、ユニット間搬送では、搬送指示コ
マンド103と機器制御実行コマンド105とが1対で
発行されるのに対し、ユニット内搬送では機器制御実行
コマンド105のみが発行される。
【0051】図2および表1を用いて加工システム10
0の動作例について概要を説明する。
【0052】本実施形態の加工システム100における
ワークは、NC旋盤(A)140もしくはNC旋盤
(B)145で旋盤加工された後、マシニングセンタ1
50で複合加工、NC研削盤160で研削加工される。
この動作例では、NC旋盤(B)145→マシンニング
センタ150→NC研削盤160を通るルートで説明す
る。
【0053】まず、ワークを搬入ユニット130のL5
位置に置く。システムが動作を開始すると、ワークはL
5位置からL1位置へ送られる。搬入ユニット130の
L1位置に移動したワークは、自ワークに貼られたバー
コードがL1位置で読み取られる。
【0054】バーコードには、ワークの固有番号である
ワークID等の情報がコード化されており、ワークID
等の情報を基に様々な処理を経てワークの搬送ルートが
決定される。
【0055】続いて、ワークはL1位置から搬送ユニッ
ト180上のL位置に送られ、以後搬送ユニット180
によって搬送される。ワークはL位置よりIO1位置を
経てIO2位置に搬送される。次に、ワークはIO2位
置からワーク交換ユニット185bによってH2位置を
経て、NC旋盤B145の作業位置T2に搬送されて旋
盤加工が行われる。加工終了後、ワーク交換ユニット1
85bによってT2位置からH2位置を経て、再び搬送
ユニット180上のIO2位置に置かれる。
【0056】以後、同様にしてマシニングセンタ150
とNC研削盤160で加工が実施される。
【0057】全ての加工工程の終了後、搬送ユニット1
80上のB位置に搬送されたワークは、バッファユニッ
ト170のB1位置に置かれ、次の工程に送られるまで
B1位置からB10位置へと移動しながら待機する。
【0058】表3は、トラッキング時のセンサ出力情報
や搬送指示コマンド、機器制御実行コマンド等の内容の
一例を示すものである。なお、この表3は、図2のIO
1,IO2,IO3位置にワーク検知センサが設置され
ていない場合を前提にしている。
【0059】
【表3】
【0060】本発明のトラッキング方法では、表3にお
ける項番「2,3,4,5,7,8,9,12,13,
14,15」における機器制御実行コマンドと現在位置
の関係を機器動作モデルとする。この機器動作モデル
は、後述する表4の「機器制御実行コマンド−ワーク移
動位置対応表」と動作アルゴリズムとに該当する。
【0061】本発明のトラッキング方法は、ワークを検
知するセンサの設置位置が限定されている場合でも、ワ
ークの位置を正確に検出し、トラッキングを行おうとす
るものである。すなわち、例えば図2のIO1,IO
2,IO3の位置にワーク検知センサが設置されていな
い場合、T1位置のワーク検知センサがOFFになった
後は、M1位置のワーク検知センサがONになるまでワ
ークの位置は分からない。
【0062】本発明のトラッキング方法は、このような
搬送区間におけるワークの位置を正確に検出しようとす
るものである。
【0063】従来のトラッキング方法と基本的に異なる
点は、搬送指示コマンド103、機器制御実行コマンド
105およびエラー情報106を新たに用いる点であ
る。
【0064】すなわち、搬送指示コマンド103により
目標位置が指定されているので、搬送方向および搬送ル
ートが分かる。搬送方向および搬送ルートが分かれば、
ワークの位置についておおよその見当がつく。
【0065】一方、機器制御実行コマンドでは搬送ユニ
ット等の制御量が指定されているので、この制御量を機
器制御モデルによってトレースすることにより、ワーク
が移動する様子が予測できる。具体的には、目標位置に
到達するであろうタイミングが予測できる。
【0066】また、エラー情報により、ワークが機器制
御実行コマンドによって指示した通りに移動しているか
どうかが分かる。もし、指示した通りに移動していれ
ば、エラー情報は出力されない。しかし、搬送途中で何
等かの搬送異常が発生した場合は、その異常状態に対応
した内容のエラー情報が出力される。
【0067】そこで、本発明のトラッキング方法では、
ワークが投入されたならば、目標位置に至る搬送ルート
上における機器(搬送ユニット等)の動作を機器動作モ
デルと機器制御実行コマンドに基づきトレースし、目標
位置(あるいは出発位置と目標位置との間を分割した場
合の区間境界位置)に到達するであろうタイミングを予
測し、そのタイミングで当該ワークに関するエラー情報
が発生しているかどうかを調べ、発生していなければ、
指示通りに搬送されているものと見做し、その位置にワ
ークが存在しているものと判定し、エラー情報が発生し
ているならば、そのエラー情報の内容によって異常停止
位置を予測する。この処理をワーク別に実行する。これ
により、順次に投入された多数のワークについて、それ
ぞれの位置を正確に検出することが可能になる。
【0068】次に、図5〜図11のフローチャートを用
いてトラッキング部11が実行する本発明のトラッキン
グ方法について詳細に説明する。
【0069】本発明のトラッキング方法は、ワーク投入
情報102とセンサ検知情報104とによってワークの
現在位置を特定するステップAと、ワークの移動前の現
在位置と機器動作モデル101と搬送指示コマンド10
3とセンサ検知情報104と機器制御実行コマンド10
5とによってワークの移動後の現在位置を予測するステ
ップBと、予測したワークの現在位置をエラー情報10
6によって検証するステップCとによって構成されてい
る。
【0070】そして、ステップBは後述するように、搬
送指示コマンド103によって搬送するワークを指定し
た場合のステップB1と、機器制御実行コマンド105
による機器の動作(以下、アクションと呼ぶ)によって
指定されたワーク以外のワークが移動する場合のステッ
プB2とによって構成されている。
【0071】図5は、1つのワークに注目した場合のト
ラッキング処理フローを表わすものであり、まず、ステ
ップA(ワーク初期位置設定処理)によってワークの初
期の現在位置を設定する(ステップ210)。
【0072】次に、スケジューラ12から搬送指示コマ
ンド103が発行されているか否かを判定し(ステップ
220)、搬送指示コマンド103が発行されている場
合、ステップB1(現在位置予測処理)によりワークの
現在位置の予測とステップCによる予測の検証を行なう
(ステップ230)。
【0073】搬送指示コマンド103が発行されていな
い場合、機器制御実行コマンド105がシーケンス制御
部13から発行されているか否かを判定し(ステップ2
40)、発行されている場合は、ステップB2(現在位
置予測処理)により現在位置の予測とステップCによる
予測の検証を行なう(ステップ250)。
【0074】なお、搬送指示コマンド103もなく、機
器制御実行コマンド105も発行されていない場合は、
何もせず次の処理へ進む。
【0075】最後に、ワークの処理工程が終了したかど
うかを判定し(ステップ260)、終了していなければ
ステップ220に戻って処理を続け、処理工程が終了し
ていれば、処理を終了する。
【0076】以下、各ステップについて詳細に説明す
る。
【0077】図6は、ステップAの詳細を示すフローチ
ャートであり、トラッキング部11の入力部111に
「ワーク投入情報102」と「センサ検知情報104」
が入力されると(ステップ310)、ワーク管理部11
2において該ワークを表わすワークオブジェクトを生成
する(ステップ320)。そして、該ワークオブジェク
トに「センサ検知情報104」で示すワークの現在位置
を登録する(ステップ330)。
【0078】図7は、ステップB1の詳細を示すフロー
チャートであり、トラッキング部11の入力部111に
「搬送指示コマンド103」が入力されると、該搬送指
示コマンド103によって指定されたワークに関するワ
ークオブジェクトを検索し、該ワークオブジェクトに該
ワークを搬送する目標位置を設定する(ステップ41
0)。
【0079】次に、該搬送指示コマンド103に従った
「機器制御実行コマンド105」が入力部111に入力
されると(ステップ415)、ユニットモデル部113
において「機器動作モデル101」に基づき該ワークの
現在位置を予測する(ステップ420)。
【0080】そして、該ワークが予測された位置に到達
する時刻において、該位置に対応する「センサ検知情報
104」が入力されたかどうかを調べる(ステップ42
5)。該当するセンサ検知情報が入力された場合、位置
を予測したワークは、予測した通りの位置に搬送されて
いることになるので、該ワークのワークオブジェクトの
現在位置を更新する(ステップ430)。そして、更新
後の現在位置と目標位置を比較し(ステップ435)、
それらが等しい場合、該ワークのワークオブジェクトの
目標位置をクリアし(ステップ440)、処理を終え
る。
【0081】しかし、更新後の現在位置と目標位置とが
等しくない場合は、処理415へ戻り、現在位置が目標
位置と等しくなるまで処理を続ける。
【0082】一方、ワークが予測された位置に到達する
時刻において、該当するセンサ検知情報104が入力さ
れなかった場合は、ステップCを用い、予測した現在位
置の検証を行なう(ステップ445)。検証の結果、フ
ラグが「OK」か否かを調べ(ステップ450)、「O
K」である場合、すなわち予測結果が正しい場合(ステ
ップ450)は、ステップ430へ進み、該当ワークの
ワークオブジェクトの現在位置を更新する。なお、検証
結果のフラグは、表2に示すワーク毎のワークオブジェ
クトの「エラー情報領域」に設定されるものである。
【0083】しかし、検証の結果、フラグが「NG」の
場合、すなわち予測結果が正しくない場合は、該ワーク
のワークオブジェクトにエラー情報およびエラー時ワー
ク停止位置(予測を含む)を付加し(ステップ45
5)、該エラーに対応したエラー処理を行なう(ステッ
プ460)。
【0084】図8は、ステップB2の詳細を示すフロー
チャートである。
【0085】まず、「機器制御実行コマンド105」が
入力部111に入力されると、ユニットモデル部113
において「機器動作モデル101」に基づき該機器制御
実行コマンド105によるアクションによって移動する
全ワークの現在位置を予測する(ステップ520)。そ
して、各ワークが予測された位置に到達する時刻におい
て、その予測位置に該当する「センサ検知情報104」
が入力されたかどうかを調べる(ステップ530)。
【0086】該当するセンサ検知情報が入力されたワー
クについては予測通りに正常に搬送されていることにな
るので、該当ワークのワークオブジェクトの現在位置を
更新する(ステップ540)。
【0087】しかし、該当するセンサ検知情報が入力さ
れていないワークについてはステップC(予測位置検証
処理)を用いて予測した位置の検証を行なう(ステップ
550)。
【0088】検証の結果、フラグが「OK」か否かを調
べ(ステップ560)、「OK」である場合は、ステッ
プ540へ進み、該当ワークのワークオブジェクトの現
在位置を更新する。
【0089】しかし、またフラグが「NG」の場合は、
該当するワークのワークオブジェクトにエラー情報およ
びエラー時ワーク停止位置を付加し(ステップ57
0)、該エラーに対応したエラー処理を行なう(ステッ
プ580)。
【0090】ここで、図7のステップB1の処理および
図8のステップB2の処理について図10および図11
に示す機構を例に説明する。
【0091】機器動作モデルを用いた予測方法には、ル
ールを用いる方法(ルール法と呼ぶ)とアルゴリズムを
用いる方法(アルゴリズム法と呼ぶ)がある。
【0092】まず、ルール法について説明する。
【0093】図10(a)は、図2に示した加工システ
ムの搬送ユニット180のL位置およびC位置の付近を
拡大した図である。
【0094】搬送ユニット180は、図10(a)で示
すように爪710で搬送する区間と、ベルトコンベア7
50によって搬送する区間から成っている。
【0095】爪710はベルト720に接合され、その
ベルト720はモータ730とローラ740によって支
持されて図の左右方向に回転するようになっている。ま
た、爪710の移動始点(Home)と移動終点(En
d)には、爪710をそれぞれ検知するためのセンサD
-HomeおよびセンサD-Endが設けられている。
【0096】図10(a)に示す機構は、ベルト720
を反時計方向に回転させることにより、爪710をL位
置からC位置方向へ移動させ、L位置のワークをC位置
に搬送する構造(爪送り機構)になっている。すなわ
ち、動作(アクション)「爪をHome位置からEnd
位置へ移動」を実行すると、該アクション終了時のワー
クの移動後の位置はC位置になる。表4に、機器制御実
行コマンドとワーク移動位置との対応関係を示してい
る。
【0097】このようにアクションによって一意に移動
後のワーク位置が決まる場合はルール法を用いる。
【0098】
【表4】
【0099】次に、アルゴリズム法について説明する。
【0100】図11は、図2に示した加工システム10
0のバッファユニット170とバッファユニット170
の右側のライン810(以下、B2ラインと呼ぶことに
する)の機構を示す図である。
【0101】B2ライン810は、ワークを引っ掛けて
運ぶ爪のついたキャタピラ820と、その回転数を検知
するための溝の付いた軸を持つモータ830と、ローラ
840とから成っている。
【0102】また、B2ライン810のB10位置とB
6位置にはそれぞれ、ワークを検知するためのセンサD
-B10およびセンサD-B6が設けられており、モータ
830には回転数を検知するセンサD-CATが設けら
れている。図11に示す機構はキャタピラ820の爪と
爪の間にワークを入れ、キャタピラ820の前後移動
(図の上下移動)によってワークを搬送する構造(キャ
タピラ機構)になっている。
【0103】そして、モータ830が回転してセンサD
-CATが溝を1回検知すると、ワーク1個分移動する
ようになっており、これを1ピッチとする。
【0104】ここで、B2ライン810上に隙間なく置
かれているワークの先頭をB10位置に移動するアクシ
ョン「キャタピラ前詰め」を考えると、キャタピラ82
0を何ピッチ動作させるかは、その時のB2ライン81
0上のワークの配置と個数によって変わる。
【0105】従って、ルール法のようにアクションと移
動後のワーク位置の関係は一意ではない。そこで、アク
ションと移動後のワーク位置の関係は一意でない場合は
アルゴリズム法を用いる。
【0106】図9は、予測位置をエラー情報106によ
って検証するステップCの詳細なフローチャートであ
る。
【0107】まず、エラー情報106が入力部111に
入力されたかどうかを調べ(ステップ610)、入力さ
れなかった場合は、検証結果のフラグとして「OK」を
セットし(ステップ670)、処理を終了する。
【0108】しかし、エラー情報が入力された場合は、
そのエラー情報と対応する機器制御実行コマンドを表5
に示す「機器制御実行コマンド−エラーコード対応表」
を用いて検索する(ステップ620)。そして、そのコ
マンドがステップ415またはステップ240で入力さ
れたコマンドか否かを調べ(ステップ625)、該当す
るコマンドでなければステップ670に進み、検証結果
のフラグとして「OK」をセットする。
【0109】
【表5】
【0110】しかし、該当するコマンドであれば、次
に、その機器制御実行コマンドにより起動するアクショ
ンの結果、ワークが移動するであろう位置を表6および
表7に示す「機器制御実行コマンド−ワーク位置関係
表」を用いて調べる(ステップ630)。
【0111】
【表6】
【0112】
【表7】
【0113】そして、ステップB1やステップB2にお
いて予測したワークの現在位置が処理630において導
出した位置に該当するかどうかを調べ(ステップ64
0)、該当しない場合はステップ処理670へ進む。
【0114】しかし、該当する場合は、表8に示す「エ
ラーコード−エラー時ワーク停止位置対応表」を用い、
エラーによってワークが停止した位置を予測するか、も
しくは「機器動作モデル101」を用いてエラーによっ
てワークが停止した位置を予測した後(ステップ65
0)、検証結果のフラグとして「NG」をセットし(ス
テップ660)、処理を終了する。
【0115】
【表8】
【0116】ここで、表5の「機器制御実行コマンド−
エラーコード対応表」について、図10(a)〜(d)
を参照して説明する。
【0117】図10(a)〜(d)に示す搬送機構のL
位置にはワークを検知するセンサD-Lが設けられてい
るが、C位置にはセンサは設置されていないものとす
る。また、センサD-L、センサD-Home、およびセ
ンサD-Endはそれぞれ物体を検知すると出力信号が
「ON」になり、検知しない時は「OFF」になるもの
とする。
【0118】アクション「爪710をHome位置から
End位置へ移動」を実行する場合、本アクション開始
時には、爪710およびワーク760は図10(a)に
示す位置にあり、この状態ではセンサD-L、センサD-
Home、およびセンサD-Endの出力信号はそれぞ
れ、ON,ON,OFFである。しかし、本アクション
が正常に終了した時には、爪710およびワーク760
は図10(d)に示す位置に移動するので、センサD-
L、センサD-HomeおよびセンサD-Endの出力信
号はそれぞれOFF,OFF,ONになる。
【0119】しかし、爪710およびワーク760が図
10(b)に示すように、Home位置とEnd位置の
中間位置で停止してしまった場合は動作エラーとなる。
この状態では、センサD-L、センサD-Homeおよび
センサD-Endの出力信号はそれぞれOFF,ON,
OFFになり、表4に示すように各センサの検知内容に
応じて、本アクションに対応したエラーコード=101
が出力される。
【0120】エラーコード=101が出力された場合、
表8に基づいて、ワーク位置はL位置付近であると予測
される。
【0121】また、爪710およびワーク760が図1
0(c)に示すように、センサD-L位置とEnd位置
の中間位置で停止してしまった場合は動作エラーとな
る。この状態では、センサD-L、センサD-Homeお
よびセンサD-Endの出力信号はそれぞれOFF,O
FF,OFFになり、表5に示すように各センサの検知
内容に応じて、本アクションに対応したエラーコード=
102が出力される。
【0122】エラーコード=102が出力された場合、
表8に基づいて、ワーク位置はL位置〜C位置区間の間
にあると予測される。
【0123】次に、表6および表7に示す「機器制御実
行コマンド−ワーク位置関係表」について、図10およ
び図11を参照して説明する。
【0124】「機器制御実行コマンド−ワーク位置関係
表」は、アクション終了時に存在するであろうワークの
位置を表わす、すなわち、ステップB1およびステップ
B2において予測するであろう位置を示すものである。
【0125】従って、図10に示す搬送機構の場合は、
既にルール法の説明で述べたようにアクション「爪をH
ome位置からEnd位置へ移動」により、ワークはC
位置に移動するので、機器制御実行コマンドとワーク位
置の関係は表6に示す通りである。また、図11に示す
バッファユニット170のB2ラインの場合は、動作す
るキャタピラ820上にワークが載るため、アクション
「キャタピラ前詰め」により関係する位置は、表7に示
す通り、B2ライン上の全ての位置である。
【0126】次に、表8に示す「エラーコード−エラー
時ワーク停止位置対応表」について説明する。
【0127】まず、ルール法で機器動作モデルを表わす
ことができる図10に示す爪送り機構のような構造の場
合は、表5に示す各エラーコードが表わすエラー内容と
図10に示すセンサD-L、センサD-Homeおよびセ
ンサD-Endの位置関係から、表7に示すようにエラ
ーによって停止した場合のワーク位置を予測することが
可能である。
【0128】また、アルゴリズム法で機器動作モデルを
表わす図11に示すキャタピラ機構のような構造の場合
は、アクション「キャタピラ前詰め」実行時に、キャタ
ピラ820が何ピッチ動作したかが判明すれば、B2ラ
インの動作モデルであるアルゴリズムを逆にたどること
でワーク位置を予測することが可能である。
【0129】このようにステップA、ステップB1、ス
テップB2、およびステップCを用いてワーク位置の予
測とその検証を行なうことによって、センサの設置位置
が限定されていてワーク位置を明示する情報が不足する
場合においても、正確で詳細なトラッキングを実施でき
るようになる。
【0130】次に、ステップB1のエラー処理460お
よびステップB2のエラー処理580の内容について言
及する。
【0131】本発明によるトラッキング方法は、既に説
明したように、システムから検出するエラー情報を用い
て、予測したワークの移動後の位置の正否を検証するこ
とで、ワークの異常停止を判断することができる。従っ
て、エラーがあった場合に加工装置や組立装置や検査装
置などのユニットや搬送ユニットのエラー発生を告げる
アラームとともに、ワークの異常停止を告げるアラーム
を発生することができるようになる。すなわち、ワーク
の異常停止を告げるアラームを発生することがエラー処
理460およびエラー処理580に含まれる。
【0132】また、本発明によるトラッキング方法によ
って得たトラッキング情報(位置情報)を、シーケンス
制御の実行に利用することが可能である。
【0133】例えば図2において、搬送ユニット180
は、表1にも示したようにC位置の左側(爪送り機構区
間)と右側(ベルトコンベア区間)で異なる機構になっ
ている。爪送り機構区間からベルトコンベア区間へのワ
ーク搬送の連携は、爪送り機構によってC位置にワーク
が置かれた後、ベルトによってC位置からIO1位置方
向へと搬送することで行なう。
【0134】この時、本実施形態のようにC位置にセン
サがない場合でも、本発明によるトラッキング方法によ
れば、ワークがC位置に搬送されるタイミングが正確に
把握できるので、ワークがC位置に搬送されたタイミン
グでベルトを動作させることでワークをC位置からIO
1位置方向へと搬送することができる。
【0135】また、本実施形態の加工システムの搬送ユ
ニットであるベルトコンベアやチェインコンベアなどの
搬送機器において、ワークをセンサがない位置で停止さ
せる定位置停止制御に利用することができる。
【0136】図12は、本実施形態の加工システム10
0のユーザインターフェース20に表示するトラッキン
グ画面の一例を表わすものである。トラッキング画面9
00には、加工システムを構成するユニットの模式図と
その上に位置するワークを模式的に表示している。図
中、斜線で表わした長方形910は、正常な工程でユニ
ット上に停止もしくは移動しているワークを表わし、斜
め格子で表わした長方形920は、エラーの発生によっ
てユニット上に停止しているワークを表わす。
【0137】この表示例は、表8の「エラーコード−エ
ラー時ワーク停止位置対応表」の「エラーコード=10
2」に対応するエラー時ワーク停止位置=「L位置〜C
位置区間」を表わしている。
【0138】本実施形態のトラッキング方法は、自動化
システム100上の全ワークの位置を逐次追跡しつつ、
システム内で発生するエラー情報によってその位置の検
証を行なうことで、個々のワークの現在位置を適切に把
握することができるので、ユニットの動作エラーによっ
て移動できなくなったワークと、通常の加工工程および
搬送工程のために止まっているワークを画面上で表示形
状あるいは色で区別して表示することにより、これらの
ワークを明確に区別して認識することが可能になる。
【0139】また、ワーク投入後、加工や検査が終了し
てシステムから放出されるまでの所要時間や、ワークが
第1の位置から第2の位置に移動する所要時間を知るこ
とができる。すなわち、本実施形態における搬送機構等
の機器は、シーケンス制御によって動作している。シー
ケンス制御とは、予め定めた順序で制御の各段階を順次
進めて行く制御である。シーケンス制御を実現する手法
としては、タイムチャートと制御パラメータを用いる方
法がある。タイムチャートとは、モータ等の動作開始時
間と回転方向等の動作内容を定義するものである。制御
パラメータとは、藻他等の各動作毎に、動作スピード、
加速度、動作距離、動作停止方法を定義したものであ
る。
【0140】本実施形態における機器制御実行コマンド
は、モータ等の制御対象に対して出力する指令であり、
その内容は前記のタイムチャートと制御パラメータとに
よって構成されている。
【0141】本実施形態における各機器の動作の加速区
間、低速区間、減速区間などの時間はタイムチャートで
予め定められており、また動作速度や加速度は制御パラ
メータで予め定められている。
【0142】従って、例えば図10のモータ730によ
って動作する爪710がワークを搬送する所要時間はL
位置とC位置との距離が既知であるので、予め算出して
おくことができる。そこで、このようにして算出した所
要時間を表9に示すように機器制御実行コマンドと関連
付けてシステム内に登録しておく。
【0143】
【表9】
【0144】機器制御実行コマンドが発行されたなら
ば、表9を参照して目標位置に達するまでの所要時間を
算出する。
【0145】ワーク投入後、システムから放出されるま
での所要時間は、各区間の所要時間の合計である。
【0146】このようにして、ワークが移動するのに必
要な所要時間が分かることにより、センサが設置されて
いない位置であっても、その位置に到達する時刻が分か
るので、その時刻に該当ワークを掴むなどの操作を行う
ことが可能になる。
【0147】従って、医用検査システム等に適用すれ
ば、検査対象の検体の検査結果がどれ位の時間で判明す
るかなどを直ちに知ることができる。
【0148】ところで、本実施形態で説明したトラッキ
ング方法は、図7を用いて説明したように、機器制御実
行コマンド105を用いてワークの移動後の位置を予測
したが、搬送指示コマンド103によるワークの目標位
置を予測位置とすることで、ステップB1におけるワー
クの移動後の位置の予測の処理を簡単化することができ
る。
【0149】これは、ステップB1の処理フローにおい
て、ステップ415およびステップ420の代わりに、
「目標位置を予測位置とする」と言うステップを入れる
ことにより実現することができる。
【0150】また、機器制御実行コマンド105と機器
動作モデル101によるワークの移動後の位置の予測
を、別の独立した処理として実行し、その結果を搬送指
示コマンド103に置き換えてトラッキング部11に入
力することで、ステップB2の処理を代行することが可
能である。これら2つの場合も、上記実施形態と同様
に、エラー情報を確認することで検証を行い、予測の信
頼性を高めるようにしておくことが望ましい。
【0151】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
試料や材料等のワークが投入されたならば、目標位置に
至る搬送ルート上における搬送ユニット等の機器の動作
を機器動作モデルと機器制御実行コマンドに基づきトレ
ースし、目標位置(あるいは出発位置と目標位置との間
を分割した場合の区間境界位置)に到達するであろうタ
イミングを予測し、そのタイミングで当該ワークに関す
るエラー情報が発生しているかどうかを調べ、発生して
いなければ、指示通りに搬送されているものと見做し、
その位置にワークが存在しているものと判定し、エラー
情報が発生しているならば、そのエラー情報の内容によ
ってワーク位置を予測するようにしたため、搬送制御に
必要な最小限のセンサしか設置されていない自動化シス
テムにおいて、センサのない位置(あるいはセンサの感
応範囲以外の位置)であっても、ワークの現在位置を正
確に特定し、緻密なトラッキングを行なうことができる
ようになる。
【0152】これにより、医用検査システムなどの自動
化システムを運用する運転員に対し、有用なトラッキン
グ情報を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した加工システムの実施形態を示
すシステム構成図である。
【図2】図1の加工システムのユニット間接続構成図で
ある。
【図3】加工システムのコントローラ内部のシステム構
成図である。
【図4】コントローラを構成するトラッキング部のソフ
トウェア・モジュール構成図である。
【図5】本発明のトラッキング方法の全体処理手順を示
すフローチャートである。
【図6】図5におけるステップAの詳細を表わすフロー
チャートである。
【図7】図5におけるステップB1の詳細を表わすフロ
ーチャートである。
【図8】図5におけるステップB2の詳細を表わすフロ
ーチャートである。
【図9】図5におけるステップCの詳細を表わすフロー
チャートである。
【図10】搬送ユニット180において、ワークをL位
置からC位置へ送る部分の拡大機構図である。
【図11】バッファユニット170のB2ラインの拡大
機構図である。
【図12】トラッキング画面表示例を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
10…コントローラ、11…トラッキング部、12…ス
ケジューラ、13…シーケンス制御部、30…搬入ユニ
ット、70…バッファユニット、80…搬送ユニット、
100…加工システム、101…機器動作モデル、10
2…ワーク投入情報、103…搬送指示コマンド、10
4…センサ検知情報、105…機器制御実行コマンド、
106…エラー情報。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料や材料等のワークの加工、検査等を
    行う複数のユニットと、各ユニットに対しワークを搬送
    する搬送ユニットとを備えた自動化システムにおけるト
    ラッキング方法であって、 自動化システムを構成するユニットおよび搬送ユニット
    の動作をアルゴリズムもしくはルールによってモデル化
    した機器動作モデルと、前記ユニットおよび搬送ユニッ
    ト上におけるワークの有無を検知するセンサの出力情報
    と、投入されたワークを表わす投入ワーク識別情報と、
    投入されたワークをある位置から別の位置へ搬送する指
    示を与える搬送指示コマンドと、前記搬送指示コマンド
    に従い前記ユニットおよび搬送ユニットのシーケンス制
    御を実行するために発行される機器制御実行コマンド
    と、前記機器制御実行コマンドが指示した通りにユニッ
    トおよび搬送ユニットが動作しなかった場合に、その不
    正常動作内容に対応して発行されるエラー情報とを入力
    情報とし、 前記センサ出力情報と投入ワーク識別情報とによって各
    ワークの現在位置を決定する第1のステップと、 ワークの移動前の現在位置情報と前記センサ出力情報、
    機器動作モデル、搬送指示コマンドおよび機器制御実行
    コマンドとによってワークの移動後の位置を予測する第
    2のステップと、 予測したワークの位置を前記エラー情報の有無とその内
    容によって検証する第3のステップとを備えることを特
    徴とする自動化システムにおけるトラッキング方法。
  2. 【請求項2】 前記第2のステップで予測する位置とし
    て、搬送指示コマンドによるワークの移動後の目標位置
    を予測位置として用いることを特徴とする請求項1記載
    の自動化システムにおけるトラッキング方法。
  3. 【請求項3】 前記第2のステップの処理において、ワ
    ークの移動前の現在位置と機器制御実行コマンドと機器
    動作モデルによってワークの移動後の位置を予測する処
    理を独立させ、その処理によって予測した位置を搬送指
    示コマンドが設定する目標位置と置き換えることを特徴
    とする請求項1記載の自動化システムにおけるトラッキ
    ング方法。
  4. 【請求項4】 試料や材料等のワークの加工、検査等を
    行う複数のユニットと、各ユニットに対しワークを搬送
    する搬送ユニットとを備えた自動化システムにおけるト
    ラッキング装置であって、 自動化システムを構成するユニットおよび搬送ユニット
    の動作をアルゴリズムもしくはルールによってモデル化
    した機器動作モデルを有し、 前記ユニットおよび搬送ユニット上におけるワークの有
    無を検知するセンサの出力情報と、投入されたワークを
    表わす投入ワーク識別情報と、投入されたワークをある
    位置から別の位置へ搬送する指示を与える搬送指示コマ
    ンドと、前記搬送指示コマンドに従い前記ユニットおよ
    び搬送ユニットのシーケンス制御を実行するために発行
    される機器制御実行コマンドと、前記機器制御実行コマ
    ンドが指示した通りにユニットおよび搬送ユニットが動
    作しなかった場合に、その不正常動作内容に対応して発
    行されるエラー情報とを入力情報とし、前記センサ出力
    情報と投入ワーク識別情報とによって各ワークの現在位
    置を決定する第1の手段と、ワークの移動前の現在位置
    情報と前記センサ出力情報、機器動作モデル、搬送指示
    コマンドおよび機器制御実行コマンドとによってワーク
    の移動後の位置を予測する第2の手段と、予測したワー
    クの位置を前記エラー情報の有無とその内容によって検
    証する第3の手段とを備えることを特徴とする自動化シ
    ステムにおけるトラッキング装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101923354A (zh) * 2010-09-10 2010-12-22 重庆交通大学 一种太阳能板跟踪控制方法
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