JPH1037963A - 円筒状複層摺動部材およびその製造方法 - Google Patents

円筒状複層摺動部材およびその製造方法

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JPH1037963A
JPH1037963A JP8214393A JP21439396A JPH1037963A JP H1037963 A JPH1037963 A JP H1037963A JP 8214393 A JP8214393 A JP 8214393A JP 21439396 A JP21439396 A JP 21439396A JP H1037963 A JPH1037963 A JP H1037963A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 裏金との充分な結合力を得ることができ、苛
酷な摩擦条件下でも樹脂層が摺動面において溶融流動し
たり、裏金から剥離することがない円筒状複層摺動部材
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 鋼管から成る裏金(1)と、銅合金から
成るエキスパンドメタル(2)と、熱可塑性樹脂から成
るすべり層(3)とから構成され、エキスパンドメタル
(2)は、その網の各結合部が裏金(1)に対して拡散
接合されてクサビ状の樹脂係合部を形成し、エキスパン
ドメタル(2)の網目は、網の各辺と裏金(1)の内周
面との間に形成された微小間隙を介して連続し、しか
も、すべり層(3)を形成する熱可塑性樹脂は、エキス
パンドメタル(2)の網目、クサビ状の樹脂係合部およ
び微小間隙に充填される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円筒状複層摺動部
材およびその製造方法に関するものであり、表面に熱可
塑性樹脂のすべり層を具備し、特に、高荷重用途の使用
に適した円筒状複層摺動部材およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、特に耐摩耗性、耐荷重性を向上さ
せることを目的とした熱可塑性樹脂摺動部材としては、
金属裏金に熱可塑性樹脂を薄層として被着させた複層構
成の摺動部材が知られており、例えば、鋼板上に多孔質
焼結金属層を形成し、当該多孔質焼結金属層に熱可塑性
樹脂を含浸被着させた摺動部材(特公昭31−2452
号公報)、金属金網に熱可塑性樹脂を充填被覆し、これ
を軸受台片に結合させた摺動部材(実公昭48−441
1号公報)、更には、鋼板上に接着層を形成し、当該接
着層に熱可塑性樹脂を被着させた摺動部材などが挙げら
れる。
【0003】上記の複層構成の摺動部材においては、熱
可塑性樹脂が比較的軟質であっても、それが鋼などの裏
金上に薄層として被着されていると、樹脂自体の撓みや
へたりを生ずることがないから、結果として、摺動部材
としての耐摩耗性、耐荷重性が向上する。また、摺動面
において生じた摩擦熱が薄い樹脂層を介して裏金に容易
に伝わり、そして、摺動部材から放熱されるため、温度
上昇を低く抑えることができ、上述した性能が一層助長
される。さらに、樹脂の膨張、収縮あるいは経年変化も
受け難いから、摺動部材としての寸法安定性が著しく向
上する。
【0004】そして、特公昭31−2452号公報に開
示された摺動部材、および、鋼板上に接着層を介して合
成樹脂が被着された摺動部材においては、平板状の複層
構造体を作製した後、これを円筒状に捲回することによ
り、円筒状複層摺動部材を得ることが出来る。また、実
公昭48−4411号公報に開示された摺動部材におい
ては、金属金網に合成樹脂を充填被覆したライナーを円
筒状裏金の内周面に結合することによって円筒状複層摺
動部材を得ることが出来る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
各円筒状複層摺動部材においては、次のような問題も残
される。すなわち、特公昭31−2452号公報などの
構造を利用した前者の円筒状複層摺動部材の場合には、
円筒状に捲回するのに曲げ加工を必要とするため、裏金
を構成する鋼板の厚みが制限される。従って、厚い裏金
が必要とされる場合には、薄い裏金を使用した摺動部材
を円筒状に捲回した後、更に、円筒状のハウジングに圧
入しなければならないと言う製造上の煩雑さがある。他
方、実公昭48−4411号公報の構造を利用した後者
の円筒状複層摺動部材の場合には、合成樹脂を充填被覆
した金属金網を接着剤等によりハウジングの内周面に結
合させるため、摩擦条件によっては結合力が不充分であ
る。
【0006】また、上記の各円筒状複層摺動部材におい
ては、突き合わせ部が生じるため、すなわち、摺動面に
不連続部分が生じるため、この部分に荷重点が作用する
と、そこからすべり層にヘタリ等の損傷を生ずる恐れが
ある。さらに、苛酷な摩擦条件下では樹脂層が摺動面に
おいて溶融流動したり、裏金から剥離するという問題を
生じる。
【0007】本発明は、上記の問題点を解決するもので
あり、その目的は、裏金との充分な結合力を得ることが
でき、苛酷な摩擦条件下でも樹脂層が摺動面において溶
融流動したり、裏金から剥離することがなく、かつ、製
造を簡略化でき、しかも、摺動面に不連続部分を生ずる
ことのない円筒状複層摺動部材及びその製造方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の課題は、
鋼管から成る裏金と、当該裏金の内周面に接合された銅
合金から成るエキスパンドメタルと、当該エキスパンド
メタルと共に裏金の表面を被覆する熱可塑性樹脂から成
るすべり層とから構成された円筒状複層摺動部材であっ
て、前記エキスパンドメタルは、その網の各結合部が前
記裏金に対して拡散接合されてクサビ状の樹脂係合部を
形成し、前記エキスパンドメタルの網目は、網の各辺と
前記裏金の内周面との間に形成された微小間隙を介して
連続し、しかも、前記すべり層を形成する熱可塑性樹脂
は、前記エキスパンドメタルの前記網目、前記クサビ状
の樹脂係合部および前記微小間隙に充填されていること
を特徴とする円筒状複層摺動部材によって達成される。
【0009】また、本発明の上記の課題は、鋼管から成
る裏金と、当該裏金の内周面に接合された銅合金から成
るエキスパンドメタルと、当該エキスパンドメタルと共
に裏金の表面を被覆する熱可塑性樹脂から成るすべり層
とから構成される円筒状複層摺動部材の製造方法であっ
て、次の(イ)〜(ニ)の工程、すなわち、(イ)エキ
スパンドメタルをその肉厚方向に加圧することにより、
当該エキスパンドメタルの各結合部の表面側および裏面
側を平坦面に形成する工程、(ロ)裏金の内周面に沿っ
て前記エキスパンドメタルを挿入し、当該エキスパンド
メタルのスプリングバック力により前記裏金の内周面に
前記各結合部の平坦面を圧接保持する工程、(ハ)前記
エキスパンドメタルが挿入された前記裏金を不活性雰囲
気、還元性雰囲気または真空雰囲気に調整された800
〜1000℃の温度の加熱炉内で20〜60分間加熱し
て前記エキスパンドメタルの前記各結合部を前記裏金の
内周面に拡散接合することにより、前記各結合部と前記
裏金の内周面との間にクサビ状の樹脂係合部が形成され
且つ前記エキスパンドメタルの網の各辺と前記裏金の内
周面との間の微小隙間を介して前記エキスパンドメタル
の網目が連続する摺動部材基体を得る工程、(ニ)前記
摺動部材基体の内側に中子を挿入し、これを射出成形機
の金型内にセットした後、前記摺動部材基体の内面と前
記中子との隙間に熱可塑性樹脂を射出成形することによ
り、前記エキスパンドメタルの表面が熱可塑性樹脂によ
って被覆され、かつ、熱可塑性樹脂が前記エキスパンド
メタルの網目、前記クサビ状の樹脂係合部および前記微
小間隙に充填されたすべり層を形成する工程から成るこ
とを特徴とする円筒状複層摺動部材の製造方法によって
達成される。
【0010】さらに、上記の製造方法では、(ロ)の工
程において、挿入されたエキスパンドメタルの内周側に
微小隙間を介在させてステンレス鋼から成るパイプを挿
入し、(ハ)の工程において、前記パイプと裏金を熱膨
張させつつ前記エキスパンドメタルの各結合部を前記裏
金の内周面に拡散接合した後、前記パイプを除去すよう
にしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係る円筒状複層摺動部材
およびその製造方法の実施形態を図面に基づいて説明す
る。図1は、本発明に係る円筒状複層摺動部材を示す外
観斜視図である。図2は、図1に示す円筒状複層摺動部
材を展開した状態を示す一部破断の平面図である。図3
は、図2におけるIII −III 矢視断面図である。
【0012】本発明の円筒状複層摺動部材は、図1及び
図2に示すように、鋼管から成る裏金1と、当該裏金の
内周面に接合された銅合金から成るエキスパンドメタル
2と、当該エキスパンドメタルと共に裏金1の表面を被
覆する熱可塑性樹脂から成るすべり層3とから構成され
ている。エキスパンドメタル2は、図3に示すように、
その網の各結合部22が裏金1に対して一体的に拡散接
合されてクサビ状の樹脂係合部4を形成し、しかも、エ
キスパンドメタル2の網の各辺23と裏金1の内周面と
の間には微小隙間5が形成されており、エキスパンドメ
タル2の網目は微小隙間5を介して連続している。そし
て、すべり層3を形成する熱可塑性樹脂は、エキスパン
ドメタル2の網目21、クサビ状の樹脂係合部4及び微
小間隙5に充填されている。なお、クサビ状の樹脂係合
部4とは、裏金1とエキスパンドメタル2の網の各結合
部22との間に形成されるクサビ状の隙間を言う。
【0013】本発明において、裏金1を構成する鋼管と
は、いわゆる丸又は角断面の素材を用いて継目無く製造
された鋼管に加え、鋼板又は鋼帯を管状に成形しその継
目を電気抵抗溶接、鍛接、アーク溶接等により接合して
製造された鋼管を含む。
【0014】エキスパンドメタル2は、周知のとおり、
金属薄板に対し、所定ピッチで直線的に連続させ且つ各
列毎に位相差を設けて一定の長さの切り込み加工を行な
うと共に当該切り込みを拡開することにより、略矩形
(ダイヤ形)等の規則正しい網目列を形成した金網状の
金属薄板である。このエキスパンドメタル2は、熱可塑
性樹脂のすべり層3を補強し、摺動部材の荷重支持部と
しての役割を果たすものである。
【0015】エキスパンドメタル2の材料としては、リ
ン青銅、黄銅、ベリリウム銅、洋白、アルミニウム青銅
等の銅合金が使用される。エキスパンドメタル2の厚さ
(エキスパンド加工前の原板の厚さ)は0.1〜1.5
mm程度、その刻み幅は0.5〜1.2mm程度、網目
21の長手の対角線長さは1.0〜12.0mm程度、
網目21の短手の対角線長さは1.0〜10.0mm程
度である。斯かる具体的な寸法および網目21における
形状のバリエーションは種々採用し得るが、本発明にお
いては、1つの網目21の開口面積が1〜60mm2
あり、かつ、全網目21の開口率が30〜70%のエキ
スパンドメタルを例示することができる。
【0016】エキスパンドメタル2は、その各結合部2
2において裏金1の内周面に拡散接合されて裏金1の内
周面との間にクサビ状の樹脂係合部4を形成し、かつ、
エキスパンドメタル2の網目21は、網の各辺23と裏
金1の内周面との間に形成された微小隙間5を介して連
続しているため、裏金1の内周面に対する剥離強度が高
められ、後述する熱可塑性樹脂との結合が高められる。
【0017】裏金1の内周面に拡散接合されたエキスパ
ンドメタル2の各結合部22はその先端部が平坦面24
とされているのが好ましい。エキスパンドメタル2の各
結合部22に平坦面24を形成した場合には、結合部が
先鋭な通常のエキスパンドメタルを使用した場合に比
べ、相手材との摺動において、結合部22の平坦面24
全面で均等に荷重を支持するため、熱可塑性樹脂のすべ
り層3を破壊することがない。また、万一、すべり層3
が摩耗し、エキスパンドメタル2が直接摺動状態となっ
た場合でも、エキスパンドメタル2の結合部22によっ
て相手材の表面を損傷させることがない。
【0018】すべり層3を形成する熱可塑性樹脂は、ナ
イロン12、ナイロン66、高分子量のナイロン11な
どのポリアミド樹脂、アセタールコポリマー、アセター
ルホモポリマーなどのポリオキシメチレン樹脂、ポリエ
チレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポ
リブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポ
リフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテル
ケトン樹脂から選択される。
【0019】また、すべり層3の摺動特性の向上を目的
として、これらの熱可塑性樹脂には、潤滑油、グリー
ス、ワックス、脂肪酸、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫
化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、
鉛、鉛合金、リン酸塩などの潤滑油剤が配合されていて
もよい。斯かる潤滑油剤の配合量は、0.5〜10重量
%程度である。
【0020】さらに、すべり層3の耐摩耗性を向上させ
ることを目的とし、上記の熱可塑性樹脂、または、潤滑
油剤が配合された熱可塑性樹脂には、ガラス繊維、炭素
繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィスカ、金属
繊維などの繊維補強材が配合されていてもよい。斯かる
繊維補強材の配合量は、5〜40重量%程度である。
【0021】上記の熱可塑性樹脂は、エキスパンドメタ
ル2の各結合部22を被覆しており、さらに、エキスパ
ンドメタル2の網目21、クサビ状の樹脂係合部4、お
よび、網の各辺23と裏金1の内周面との間の微小隙間
5に充填されている。その結果、熱可塑性樹脂は、エキ
スパンドメタル2に強固に一体化されたすべり層3を形
成している。このように、クサビ状の樹脂係合部4と共
に微小隙間5を充填して構成されたすべり層3は、エキ
スパンドメタル2に強固に一体化されるため、すべり層
3が摩耗してエキスパンドメタル2が露出した場合で
も、エキスパンドメタル2の網目21に充填された熱可
塑性樹脂によって良好な摩擦特性を維持することができ
る。
【0022】本発明の円筒状複層摺動部材は、次のよう
にして製造される。第一の製造方法は、内径が比較的小
さい場合、具体的には内径が約40mm以下の場合の円
筒状複層摺動部材の製造方法である。先ず、裏金1とし
て所定寸法の鋼管を用意する。次いで、銅合金から成る
エキスパンドメタル2を用意し、これを肉厚方向に加圧
することにより、エキスパンドメタル2の各結合部22
の先端先鋭部を潰し、各結合部22の表面側および裏面
側を平坦面に形成する。エキスパンドメタル2の加圧方
法としては、例えば、圧延ロールによって圧延する方法
が挙げられる。
【0023】続いて、各結合部22に平坦面を形成した
エキスパンドメタル2を裏金1の内周面に沿って挿入
し、エキスパンドメタル2のスプリングバック力によ
り、裏金1の内周面に対して各結合部22の平坦面を圧
接してエキスパンドメタル2を保持させる。
【0024】次いで、エキスパンドメタル2を圧接保持
した裏金1を不活性雰囲気、還元性雰囲気または真空雰
囲気に調整された加熱炉に装入して800〜1000℃
の温度で20〜60分間加熱し、エキスパンドメタル2
の各結合部22を裏金1の内周面に拡散接合する。これ
により、裏金1の内周面にエキスパンドメタル2を接合
一体化させた摺動部材基体が得られる。
【0025】上記の工程によって得られた摺動部材基体
においては、各結合部22と裏金1の内周面との間にク
サビ状の樹脂係合部4が形成されており、しかも、エキ
スパンドメタル2の網の各辺23と裏金1の内周面との
間の微小隙間5を介してエキスパンドメタル2の網目2
1が連続している。
【0026】次いで、上記の摺動部材基体の内側に中子
を挿入し、これを射出成形機の金型内にセットした後、
摺動部材基体の内面と中子との隙間に熱可塑性樹脂を射
出成形する。この工程により、エキスパンドメタル2の
表面が熱可塑性樹脂によって被覆され、かつ、熱可塑性
樹脂がエキスパンドメタル2の網目21、クサビ状の樹
脂係合部および微小間隙に充填されたすべり層3を形成
し、そして、円筒状複層摺動部材を得る。
【0027】次に、本発明の第二の製造方法を説明す
る。第二の製造方法は内径が比較的大きい場合、具体的
には内径が約40mm以上の場合の円筒状複層摺動部材
の製造方法である。先ず、第一の製造方法と同様に、裏
金1としての鋼管および銅合金から成るエキスパンドメ
タル2を用意し、エキスパンドメタル2を加圧してその
各結合部22の表面側および裏面側を平坦面に形成す
る。
【0028】次いで、各結合部22に平坦面を形成した
エキスパンドメタル2を円筒状に捲回し、これを裏金1
の内周面に沿って挿入する。その際、結合部22で画定
されるエキスパンドメタル2の外径面が接触するように
挿入すると、第一の製造方法と同様に、エキスパンドメ
タル2はそのスプリングバック力により裏金1の内周面
に保持することができる。そして、裏金1に保持された
エキスパンドメタル2の内周側に微小隙間を介在させて
ステンレス鋼から成るパイプを挿入する。
【0029】続いて、エキスパンドメタル2及びパイプ
が挿入された裏金1を第一の製造方法と同様の条件下で
加熱する。この工程においては、ステンレス鋼から成る
パイプと裏金1の双方を熱膨張させ、同時に、パイプと
裏金1との間に介在するエキスパンドメタル2の裏金1
の内周面側に対する接触圧力を一層高めることにより、
エキスパンドメタル2の各結合部22を裏金1の内周面
に拡散接合し、裏金1の内周面に各結合部22を一体化
させる。そして、エキスパンドメタル2を接合した後、
パイプを取り外して摺動部材基体を得る。
【0030】上記の工程によって得られた摺動部材基体
においては、第一の製造方法によって得られた基体と同
様に、各結合部22と裏金1の内周面との間にクサビ状
の樹脂係合部4が形成されており、かつ、エキスパンド
メタル2の網の各辺23と裏金1の内周面との間の微小
隙間5を介してエキスパンドメタル2の網目21が連続
している。しかも、エキスパンドメタル2を裏金1に接
合する際にパイプの膨張力を作用させるため、エキスパ
ンドメタル2と裏金1が一層強固に接合されている。
【0031】次いで、第一の製造方法と同様に、摺動部
材基体の内側に中子を挿入して射出成形機にセットした
後、摺動部材基体の内面と中子との隙間に熱可塑性樹脂
を射出成形する。そして、この工程により、エキスパン
ドメタル2の表面が熱可塑性樹脂によって被覆され、か
つ、熱可塑性樹脂がエキスパンドメタル2の網目21、
クサビ状の樹脂係合部および微小間隙に充填されたすべ
り層3を形成し、円筒状複層摺動部材を得る。
【0032】上記の第二の製造方法は、ステンレス鋼か
ら成るパイプの膨張力を利用することにより、エキスパ
ンドメタル2と裏金1との接合力を一層高めたものであ
り、エキスパンドメタル2を裏金1の内周面へ強固に拡
散接合させるための寸法関係(条件)は次の通りであ
る。
【0033】上述の接合工程では、不活性雰囲気中、還
元性雰囲気中あるいは真空雰囲気中において、温度T℃
に加熱した際、鋼管からなる裏金1に挿入されたエキス
パンドメタル2とステンレス製パイプとが接触し、両者
の間の隙間が0の場合に以下の式が成り立つ。
【0034】
【数1】 裏金内径×〔1+1.2×10-5×(T−室温)〕−エキスパンドメタル厚×2 =ステンレス製パイプ外径×〔1+1.78×10-5×(T−室温)〕
【0035】上式中、1.2×10-5は裏金の熱膨張係
数、1.78×10-5はステンレス製パイプの熱膨張係
数である。なお、エキスパンドメタルは熱応力が分散し
やすいため、エキスパンドメタル自体の熱膨張量は無視
できる。
【0036】一例を示すと、裏金の内径を61.5m
m、エキスパンドメタルの厚さを0.75mm、加熱温
度を900℃、室温を20℃としたとき、上式から6
0.65=1.016×ステンレス製パイプ外径とな
り、ステンレス製パイプ外径は59.69mmとなる。
内径が60mmのエキスパンドメタル2に対し、外径が
59.69mmのステンレス製パイプを使用した場合、
エキスパンドメタル2とステンレス製パイプは接触する
が、両者の間には接触圧力は発生していない。したがっ
て、外径が59.69mmを超え、60mm未満の寸法
のステンレス製パイプを使用することにより、両者の間
に高い接触圧力を発生させることができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。 実施例1 裏金として、内径が32.2mm、外径が50mm、長
さが40mmの継目無鋼管(機械構造用炭素鋼鋼管ST
KM13C)を使用した。エキスパンドメタルは、0.
64mmの板厚のリン青銅板にエキスパンド加工を施し
て作製し、その網目は、短手方向長さが3.0mm、長
手方向長さが4.4mmのダイヤ形状の網目とした。そ
して、斯かるエキスパンドメタルを圧延ロールにて押圧
し、エキスパンドメタルの各結合部に平坦面を形成し
た。加工後のエキスパンドメタルは、厚さが0.75m
m、幅が39.5mm、長さが101.2mmである。
【0038】次いで、裏金の内周面に沿ってエキスパン
ドメタルを挿入し、エキスパンドメタルのスプリングバ
ック力により、裏金の内周面にエキスパンドメタル各結
合部を圧接させた。このときのエキスパンドメタルの内
径は30.7mmである。
【0039】エキスパンドメタルを圧接保持した裏金を
不活性雰囲気に調整した加熱炉内において900℃の温
度で60分間加熱することにより、裏金の内周面にエキ
スパンドメタルを拡散接合して摺動部材基体を作製し
た。斯かる摺動部材基体においては、エキスパンドメタ
ルの各結合部と裏金の内周面との間にクサビ状の樹脂係
合部が形成され、かつ、エキスパンドメタルの網の各辺
と裏金内周面との間に微小隙間が形成され、そして、斯
かる微小隙間を介してエキスパンドメタルの網目が連続
していることを確認した。また、エキスパンドメタルの
裏金内周面への接合強度は200kgf/cm2であっ
た。
【0040】続いて、摺動部材基体のエキスパンドメタ
ルの内面に29.1mmの直径の中子を挿入し、これを
スクリュー型射出成形機の金型内にセットした後、ポリ
アミド樹脂(ダイセル社製12ナイロン、商品名「ダイ
アミド」)粉末に固体潤滑剤として二硫化モリブデンを
3重量%配合したポリアミド樹脂組成物をエキスパンド
メタルの内面と中子との隙間に射出成形した。成形後、
内周面に機械加工を施してエキスパンドメタルの表面に
0.3mmの厚さのすべり層を有する円筒状複層摺動部
材を得た。
【0041】得られた円筒状複層摺動部材において、す
べり層を形成するポリアミド樹脂組成物は、エキスパン
ドメタルの表面に被覆されており、しかも、エキスパン
ドメタルの網目、エキスパンドメタルの各結合部と裏金
の内周面との間のクサビ状の樹脂係合部、および、エキ
スパンドメタルの各辺と裏金内周面との間の微小隙間に
流動状態で充填され、エキスパンドメタルに強固に一体
化されていた。
【0042】実施例2 裏金として、内径が62.25mm、外径が75mm、
長さが40mmの継目無鋼管(機械構造用炭素鋼鋼管S
TKM13C)を使用し、また、エキスパンドメタルと
して、実施例1と同様のものを使用した。実施例1と同
様に圧延加工したエキスパンドメタルは、厚さが0.7
5mm、幅が39.5mm、長さが195.6mmであ
った。そして、斯かるエキスパンドメタルを円筒状に捲
回し、エキスパンドメタルの外面を裏金の内周面に接触
させて挿入した。なお、挿入されたエキスパンドメタル
の内径は60.75mmであった。
【0043】次いで、裏金に挿入した円筒状エキスパン
ドメタルの内周側にオーステナイト系のステンレス製パ
イプを挿入した。ステンレス製パイプとしては、内径が
54.9mm、外径が60.5mm、長さが40mmの
パイプを使用した。また、その際、エキスパンドメタル
の内周面とステンレス製パイプの外周との隙間は0.1
25mmであった。
【0044】エキスパンドメタル及びステンレス製パイ
プを挿入した裏金を実施例1と同条件で加熱し、裏金の
内周面にエキスパンドメタルを拡散接合した。そして、
ステンレス製パイプを取り外して摺動部材基体を作製し
た。斯かる摺動部材基体においては、実施例1と同様
に、クサビ状の樹脂係合部および微小隙間が形成され、
そして、微小隙間を介してエキスパンドメタルの網目が
連続していることを確認した。また、エキスパンドメタ
ルの裏金内周面への接合強度は500kgf/cm2
あった。
【0045】続いて、摺動部材基体のエキスパンドメタ
ルの内面に59.15mmの直径の中子を挿入し、摺動
部材基体の内面と中子との隙間に実施例1と同条件で同
様のポリアミド樹脂組成物を射出成形した。そして、成
形後、内周面に機械加工を施してエキスパンドメタルの
表面に0.3mmの厚さのすべり層を有する円筒状複層
摺動部材を得た。得られた円筒状複層摺動部材におい
て、すべり層を形成するポリアミド樹脂組成物は、実施
例1と同様に、エキスパンドメタルの表面に被覆され、
しかも、エキスパンドメタルの網目、クサビ状の樹脂係
合部および微小隙間に流動状態で充填され、エキスパン
ドメタルに強固に一体化されていた。
【0046】実施例3 裏金として実施例2と同様の機械構造用炭素鋼鋼管を使
用し、エキスパンドメタルとして実施例2と同様に加工
されたものを使用し、そして、エキスパンドメタルを円
筒状に捲回してその外面を裏金の内周面に接触させて挿
入した。挿入されたエキスパンドメタルの内径は60.
75mmであった。次いで、裏金に挿入した円筒状エキ
スパンドメタルの内周側にオーステナイト系のステンレ
ス製パイプを挿入した。その際、ステンレス製パイプ
は、内径が54.9mm、外径が60.65mm、長さ
が40mmのパイプであり、エキスパンドメタルの内周
面とステンレス製パイプの外周との隙間は0.05mm
であった。
【0047】エキスパンドメタル及びステンレス製パイ
プを挿入した裏金を実施例1と同条件で加熱し、裏金の
内周面にエキスパンドメタルを拡散接合した。そして、
ステンレス製パイプを取り外して摺動部材基体を作製し
た。斯かる摺動部材基体においては、実施例1と同様
に、クサビ状の樹脂係合部および微小隙間が形成され、
そして、微小隙間を介してエキスパンドメタルの網目が
連続していることを確認した。また、エキスパンドメタ
ルの裏金内周面への接合強度は600kgf/cm2
あった。
【0048】続いて、実施例2と同様の中子を挿入し、
これをスクリュー型射出成形機の金型内にセットした
後、実施例1と同条件で且つ実施例1と同様のポリアミ
ド樹脂組成物を射出成形した。そして、成形後、内周面
に機械加工を施してエキスパンドメタルの表面に0.3
mmの厚さのすべり層を有する円筒状複層摺動部材を得
た。得られた円筒状複層摺動部材において、ポリアミド
樹脂組成物は、実施例1と同様に、エキスパンドメタル
の表面に被覆され、しかも、エキスパンドメタルの網
目、クサビ状の樹脂係合部および微小隙間に流動状態で
充填され、エキスパンドメタルに強固に一体化されてい
た。
【0049】実施例4 すべり層の射出成形工程において、樹脂組成物として、
12ナイロン59重量%、66ナイロン24重量%、二
硫化モリブデン3重量%、潤滑油1重量%およびガラス
繊維13重量%(長さ10mmのガラス長繊維35重量
%入り66ナイロンを原料とする)よりなるポリアミド
樹脂組成物を用いた以外は、実施例3と同様の方法によ
って円筒状複層摺動部材を得た。ポリアミド樹脂組成物
は、実施例1と同様に、エキスパンドメタルの表面に被
覆され、しかも、エキスパンドメタルの網目、クサビ状
の樹脂係合部および微小隙間に流動状態で充填され、エ
キスパンドメタルに強固に一体化されていた。
【0050】比較例1 金属裏金として、厚さ1.6mmの冷間圧延鋼板を用意
し、この鋼板上に平均粒度が50メッシュの銅合金(C
u90−Sn10)粉末を散布した後、還元性雰囲気中
820〜830℃の温度で40分間焼結し、鋼板上に厚
さ0.4mmの多孔質焼結層を形成した。次いで、多孔
質焼結層に実施例1と同様のポリアミド樹脂組成物の粉
末を散布し、粉末の厚さを一定に且つその表面を平にし
た後、215〜230℃の温度の電気炉内で90秒間加
熱した。そして、ロール圧延した後に冷却し、多孔質焼
結層の表面に0.3mmの厚さのすべり層を有する複層
摺動部材を作製した。
【0051】次いで、すべり層を内側にして複層摺動部
材に曲げ加工を施し、内径が60.15mm、外径が6
4.75mm、長さが40mmの円筒状に捲回した後、
これを内径が64.75mm、外径が75mm、長さが
40mmの継目無鋼管(機械構造用炭素鋼鋼管:STK
M13C)に圧入し、円筒状複層摺動部材を得た。
【0052】比較例2 金属裏金として、厚さ1.6mmの冷間圧延鋼板を用意
し、当該鋼板にショットブラストを施した後、溶剤洗浄
によって脱脂した。次いで、鋼板の表面にフェノール変
性アルキッド樹脂プライマーを塗布し、250〜300
℃の温度で0.03mmの厚さに焼付けた。このプライ
マー処理を施した鋼板の表面に実施例1と同様のポリア
ミド樹脂組成物粉末を散布し、粉末の厚さを一定に且つ
その表面を平にならして215〜230℃の温度の電気
炉内で90秒間加熱した。そして、ロール圧延した後に
冷却し、プライマー層の表面に0.3mmの厚さのすべ
り層を有する複層摺動部材を作製した。
【0053】次いで、すべり層を内側にして複層摺動部
材に曲げ加工を施し、内径が60.15mm、外径が6
3.95mm、長さが40mmの円筒状に捲回した後、
これを内径が63.95mm、外径が75mm、長さが
40mmの継目無鋼管(機械構造用炭素鋼鋼管:STK
M13C)に圧入し、円筒状複層摺動部材を得た。
【0054】次に、上述した実施例および比較例で得た
円筒状複層摺動部材の摺動特性について行なった試験お
よびその結果について述べる。摺動特性については、表
1に示すジャーナル試験によって耐久性を評価した。
【0055】
【表1】 ジャーナル揺動試験(耐久性) 試験条件 面圧:750kgf/cm2 速度:0.5m/min 揺動角度:±45° サイクル数:30,000サイクル 潤滑:試験開始前に摺動面にリチウム系グリースを塗布
【0056】上記試験条件により行なった試験結果は表
2のとおりである。
【0057】
【表2】 ─────────────────────────────── 摩擦係数 摩耗量(μm) ─────────────────────────────── 実施例1 0.03〜0.05 20 実施例2 0.03〜0.05 15 実施例3 0.03〜0.05 15 実施例4 0.03〜0.05 13 ─────────────────────────────── 比較例1 0.04〜0.23 270 比較例2 0.09 − ───────────────────────────────
【0058】以上のジャーナル揺動試験においては、実
施例1〜4の円筒状複層摺動部材は750kgf/cm
2という極めて厳しい荷重条件においても低い摩擦係数
で安定した性能を発揮し、摩耗量においても20μm以
下という極めて低い値を示した。これに対し、比較例1
の円筒状複層摺動部材は、15,000サイクル位から
すべり層に摩耗を生じ、多孔質焼結層が摺動状態となっ
ため、摩擦係数の急激な上昇が認められた。また、比較
例2の円筒状複層摺動部材においては、すべり層と裏金
との間に剥離を生じたため、試験を中止した。表中の摩
擦係数は試験開始直後の値を示し、摩耗量は測定できな
かった。
【0059】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の円筒状複層
摺動部材によれば、エキスパンドメタルの各結合部が裏
金に対して拡散接合されて裏金の内周面との間にクサビ
状の樹脂係合部を形成し、かつ、エキスパンドメタルの
網目は、網の各辺と裏金内周面との間の微小隙間を介し
て連続しており、しかも、エキスパンドメタルの表面を
被覆してすべり層を形成する熱可塑性樹脂は、エキスパ
ンドメタルの網目、エキスパンドメタルの各結合部と裏
金内周面との間のクサビ状の樹脂係合部および各辺と裏
金内周面との間の微小隙間に充填されている。すなわ
ち、裏金、エキスパンドメタルおよび熱可塑性樹脂の三
者が強固に固着されているため、裏金に対する剥離強度
が高められ、苛酷な荷重条件下においても、エキスパン
ドメタルからのすべり層の剥離、溶融流動等を生じるこ
となく、優れた摺動特性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る円筒状複層摺動部材を示す外観斜
視図である。
【図2】本発明に係る円筒状複層摺動部材を展開した状
態を示す一部破断の平面図である。
【図3】図2におけるIII −III 矢視断面図である。
【符号の説明】
1:裏金 2:エキスパンドメタル 21:網目 22:結合部 23:辺 24:平面部 3:すべり層 4:クサビ状の樹脂係合部 5:微小隙間

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼管から成る裏金と、当該裏金の内周面
    に接合された銅合金から成るエキスパンドメタルと、当
    該エキスパンドメタルと共に裏金の表面を被覆する熱可
    塑性樹脂から成るすべり層とから構成された円筒状複層
    摺動部材であって、前記エキスパンドメタルは、その網
    の各結合部が前記裏金に対して拡散接合されてクサビ状
    の樹脂係合部を形成し、前記エキスパンドメタルの網目
    は、網の各辺と前記裏金の内周面との間に形成された微
    小間隙を介して連続し、しかも、前記すべり層を形成す
    る熱可塑性樹脂は、前記エキスパンドメタルの前記網
    目、前記クサビ状の樹脂係合部および前記微小間隙に充
    填されていることを特徴とする円筒状複層摺動部材。
  2. 【請求項2】 エキスパンドメタルの1つの網目の開口
    面積が1〜60mm2であり、かつ、前記エキスパンド
    メタルの全網目の開口率が30〜70%である請求項1
    に記載の円筒状複層摺動部材。
  3. 【請求項3】 エキスパンドメタルの各結合部の表面側
    および裏面側が平坦面に形成されている請求項1又は2
    に記載の円筒状複層摺動部材。
  4. 【請求項4】 すべり層を形成する熱可塑性樹脂が、ポ
    リアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリオレフィン樹
    脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹
    脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の群から選択され
    る樹脂である請求項1〜3の何れかに記載の円筒状複層
    摺動部材。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂のすべり層は、潤滑油、グ
    リース、ワックス、脂肪酸、黒鉛、二硫化モリブデン、
    二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン樹
    脂、鉛、鉛合金、リン酸塩から選択される1種又は2種
    以上の潤滑油剤を0.5〜10重量%の割合で含有して
    いる請求項4に記載の円筒状複層摺動部材。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂のすべり層は、ガラス繊
    維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィス
    カ、金属繊維から選択される1種又は2種以上の繊維補
    強材を5〜40重量%の割合で含有している請求項4又
    は5に記載の円筒状複層摺動部材。
  7. 【請求項7】 鋼管から成る裏金と、当該裏金の内周面
    に接合された銅合金から成るエキスパンドメタルと、当
    該エキスパンドメタルと共に裏金の表面を被覆する熱可
    塑性樹脂から成るすべり層とから構成される円筒状複層
    摺動部材の製造方法であって、次の(イ)〜(ニ)の工
    程、すなわち、(イ)エキスパンドメタルをその肉厚方
    向に加圧することにより、当該エキスパンドメタルの各
    結合部の表面側および裏面側を平坦面に形成する工程、
    (ロ)裏金の内周面に沿って前記エキスパンドメタルを
    挿入し、当該エキスパンドメタルのスプリングバック力
    により前記裏金の内周面に前記各結合部の平坦面を圧接
    保持する工程、(ハ)前記エキスパンドメタルが挿入さ
    れた前記裏金を不活性雰囲気、還元性雰囲気または真空
    雰囲気に調整された800〜1000℃の温度の加熱炉
    内で20〜60分間加熱して前記エキスパンドメタルの
    前記各結合部を前記裏金の内周面に拡散接合することに
    より、前記各結合部と前記裏金の内周面との間にクサビ
    状の樹脂係合部が形成され且つ前記エキスパンドメタル
    の網の各辺と前記裏金の内周面との間の微小隙間を介し
    て前記エキスパンドメタルの網目が連続する摺動部材基
    体を得る工程、(ニ)前記摺動部材基体の内側に中子を
    挿入し、これを射出成形機の金型内にセットした後、前
    記摺動部材基体の内面と前記中子との隙間に熱可塑性樹
    脂を射出成形することにより、前記エキスパンドメタル
    の表面が熱可塑性樹脂によって被覆され、かつ、熱可塑
    性樹脂が前記エキスパンドメタルの網目、前記クサビ状
    の樹脂係合部および前記微小間隙に充填されたすべり層
    を形成する工程から成ることを特徴とする円筒状複層摺
    動部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 (ロ)の工程において、挿入されたエキ
    スパンドメタルの内周側に微小隙間を介在させてステン
    レス鋼から成るパイプを挿入し、(ハ)の工程におい
    て、前記パイプと裏金を熱膨張させつつ前記エキスパン
    ドメタルの各結合部を前記裏金の内周面に拡散接合した
    後、前記パイプを除去する請求項7に記載の円筒状複層
    摺動部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 エキスパンドメタルの1つの網目の開口
    面積が1〜60mm 2であり、かつ、前記エキスパンド
    メタルの全網目の開口率が30〜70%である請求項7
    又は8に記載の円筒状複層摺動部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 すべり層を形成する熱可塑性樹脂が、
    ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリオレフィン
    樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド
    樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の群から選択さ
    れる樹脂である請求項7〜9の何れかに記載の円筒状複
    層摺動部材の製造方法。
  11. 【請求項11】 熱可塑性樹脂のすべり層は、潤滑油、
    グリース、ワックス、脂肪酸、黒鉛、二硫化モリブデ
    ン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン
    樹脂、鉛、鉛合金、リン酸塩から選択される1種又は2
    種以上の潤滑油剤を0.5〜10重合%の割合で含有し
    ている請求項10に記載の円筒状複層摺動部材の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 熱可塑性樹脂のすべり層は、ガラス繊
    維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィス
    カ、金属繊維から選択される1種又は2種以上の繊維補
    強材を5〜40重量%の割合で含有している請求項10
    又は11に記載の円筒状複層摺動部材の製造方法。
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JP3425496B2 (ja) 複層金属材の製造方法

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