JPH1036386A - 4−n−アシル−2−チオシトシンアラビノシドならびに該化合物を活性成分として含有する抗癌剤 - Google Patents

4−n−アシル−2−チオシトシンアラビノシドならびに該化合物を活性成分として含有する抗癌剤

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JPH1036386A
JPH1036386A JP21302796A JP21302796A JPH1036386A JP H1036386 A JPH1036386 A JP H1036386A JP 21302796 A JP21302796 A JP 21302796A JP 21302796 A JP21302796 A JP 21302796A JP H1036386 A JPH1036386 A JP H1036386A
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JP
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chloride
acyl
thiocytosine arabinoside
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JP21302796A
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English (en)
Inventor
Minero Saneyoshi
峯郎 実吉
Hisatoyo Kato
久豊 加藤
Ayako Koda
綾子 幸田
Toshiyuki Nagata
敏幸 永田
Masao Yoshida
▲祇▼生 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】医薬および核酸化学等の分野で有用な4−N−
アシル−2−チオシトシンアラビノシドならびに該化合
物を活性成分として含有する抗癌剤を提供する。 【解決手段】下記式(1)で表される4−N−アシル−
2−チオシトシンアラビノシド。 【化1】 (式中、Rは末端に水酸基またはカルボキシル基を有す
るか、あるいは鎖中にエステル結合、チオエステル結合
またはチオエーテル結合のいずれか一つを含む炭素数1
0〜30個のアルキル基を示す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、医薬および核酸化
学等の分野に有用な4−N−アシル−2−チオシトシン
アラビノシドならびに該化合物を活性成分として含有す
る抗癌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】W.V.Ruyleらにより化学合成さ
れた下記式(2)で表される2−チオシトシンアラビノ
シドは、抗ウイルス活性を有することが知られている
が、抗癌活性に関しては報告されていない[W.V.R
uyle,T.Y.Shen,J.Med.Che
m.,10,331(1967)]。
【0003】
【化2】
【0004】本発明者らは、前記2−チオシトシンアラ
ビノシドの抗癌活性に着目し、種々の検討を行った結
果、2−チオシトシンアラビノシドは、細胞実験におい
て、抗白血病剤として知られるシトシンアラビノシド
(シタラビン)と同程度の活性を示すのに対して、動物
実験においては全く抗癌活性を示さないことが明らかと
なった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生体
内において抗癌活性を有する2−チオシトシンアラビノ
シドの誘導体を提供すること、ならびに該化合物を活性
成分として含有する抗癌剤を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を行った結果、2−チオシトシ
ンアラビノシドの特定の誘導体が、生体内において抗癌
活性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明における第1発明は、下記式(1)で
表される4−N−アシル−2−チオシトシンアラビノシ
ドである。
【0007】
【化3】
【0008】(式中、Rは末端に水酸基またはカルボキ
シル基を有するか、あるいは鎖中にエステル結合、チオ
エステル結合またはチオエーテル結合のいずれか一つを
含む炭素数10〜30までのアルキル基を示す)
【0009】本発明における第2発明は、前記4−N−
アシル−2−チオシトシンアラビノシドを活性成分とし
て含有する抗癌剤である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明における4−N−アシル−
2−チオシトシンアラビノシドは前記式(1)で表され
る化合物であり、式(1)におけるRは末端に水酸基ま
たはカルボキシル基を有するか、あるいは鎖中にエステ
ル結合、チオエステル結合またはチオエーテル結合のい
ずれか一つを含む炭素数10〜30個のアルキル基を示
す。式(1)における−CORで表される置換基として
は、ω−ヒドロキシデカノイル基、ω−ヒドロキシトリ
デカノイル基、ω−ヒドロキシヘキサデカノイル基、ω
−ヒドロキシエイコサノイル基、ω−ヒドロキシヘキサ
コサノイル基、ω−カルボキシノナノイル基、ω−カル
ボキシデカノイル基、ω−カルボキシトリデカノイル
基、ω−カルボキシヘキサデカノイル基、ω−カルボキ
シエイコサノイル基、ω−カルボキシヘキサコサノイル
基、8−(アセチルチオ)−オクタノイル基、11−
(アセチルチオ)−ウンデカノイル基、3−(n−オク
タノイルチオ)−プロピオニル基、6−(n−オクタノ
イルチオ)−ヘキサノイル基、8−(n−オクタノイル
チオ)−オクタノイル基、11−(n−オクタノイルチ
オ)−ウンデカノイル基、8−(ベンゾイルチオ)−オ
クタノイル基、11−(ベンゾイルチオ)−ウンデカノ
イル基、9−(メトキシカルボニル)−ノナノイル基、
16−(メトキシカルボニル)−ヘキサデカノイル基、
9−(n−オクチルオキシカルボニル)−ノナノイル
基、16−(n−オクチルオキシカルボニル)−ヘキサ
デカノイル基、9−(ベンジルオキシカルボニル)−ノ
ナノイル基、16−(ベンジルオキシカルボニル)−ヘ
キサデカノイル基、3−(n−デシルチオ)−プロピオ
ニル基、3−(n−オクタデシルチオ)−プロピオニル
基、6−(n−デシルチオ)−ヘキサノイル基、6−
(n−オクタデシルチオ)−ヘキサノイル基、8−(n
−デシルチオ)−オクタノイル基、8−(n−オクタデ
シルチオ)−オクタノイル基、11−(メチルチオ)−
ウンデカノイル基、11−(n−ブチルチオ)−ウンデ
カノイル基および11−(n−デシルチオ)−ウンデカ
ノイル基等が例示され、原料入手の容易性および抗癌活
性の面からω−ヒドロキシヘキサデカノイル基、ω−ヒ
ドロキシオクタデカノイル基、8−(アセチルチオ)−
オクタノイル基、11−(アセチルチオ)−ウンデカノ
イル基、8−(ベンゾイルチオ)−オクタノイル基、1
1−(ベンゾイルチオ)−ウンデカノイル基、3−(n
−デシルチオ)−プロピオニル基、3−(n−オクタデ
シルチオ)−プロピオニル基および6−(n−デシルチ
オ)−ヘキサノイル基が好ましい。
【0011】本発明の4−N−アシル−2−チオシトシ
ンアラビノシドは、2−チオシトシンアラビノシドと末
端に水酸基またはカルボキシル基を有するか、あるいは
鎖中にエステル結合、チオエステル結合またはチオエー
テル結合のいずれか一つを含む炭素数10〜30個のカ
ルボン酸、酸ハロゲン化物、酸無水物およびエステルな
どとの反応により製造することができる。以下、前記酸
ハロゲン化物の1種である酸塩化物を用いた製造法につ
いて説明する。
【0012】〔4−N−アシル−2−チオシトシンアラ
ビノシドの製造例〕塩基性物質の存在下に、2−チオシ
トシンアラビノシドと塩化トリメチルシランを反応さ
せ、2−チオシトシンアラビノシドの水酸基をトリメチ
ルシリル基で保護した下記式(3)で表される化合物
(以下第一中間体という)を生成させる。前記塩基性物
質としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジ
イソプロピルエチルアミン、ピリジンおよびルチジン等
の第三級アミン類が好適であり、これらの第三級アミン
類は2−チオシトシンアラビノシド1モルに対して4モ
ル以上使用することが好ましい。また、前記塩化トリメ
チルシランは、2−チオシトシンアラビノシド1モルに
対して4モル〜10モル使用することが好ましい。さら
に、前記反応は有機溶媒中で行うことが好ましく、有機
溶媒としては反応の進行を妨げるものでなければ良く、
ピリジン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、
アセトニトリル、クロロホルム、N,Nージメチルホル
ムアミドおよびジメチルスルホキシドならびにこれらの
混合溶媒等を用いることができる。反応温度は0℃〜2
5℃が好ましく、反応時間は5分間〜2時間の範囲が好
適である。
【0013】
【化4】
【0014】(式中、R1 はトリメチルシリル基を示
す)
【0015】次に、上記で得られた第一中間体を、特に
単離を行わずに粗生成物の状態で鎖中にエステル結合、
チオエステル結合またはチオエーテル結合のいずれか一
つを含む炭素数10〜30個の酸塩化物と反応させ、下
記式(4)で表される化合物(以下第二中間体という)
を生成させる。鎖中にエステル結合またはチオエステル
結合またはチオエーテル結合のいずれか一つを含む炭素
数10〜30個の酸塩化物としては、塩化−8−(アセ
チルチオ)−オクタノイル、塩化−11−(アセチルチ
オ)−ウンデカノイル、塩化−3−(n−オクタノイル
チオ)−プロピオニル、塩化−6−(n−オクタノイル
チオ)−ヘキサノイル、塩化−8−(n−オクタノイル
チオ)−オクタノイル、塩化−11−(n−オクタノイ
ルチオ)−ウンデカノイル、塩化−8−(ベンゾイルチ
オ)−オクタノイル、塩化−11−(ベンゾイルチオ)
−ウンデカノイル、塩化−9−(メトキシカルボニル)
−ノナノイル、塩化−16−(メトキシカルボニル)−
ヘキサデカノイル、塩化−9−(n−オクチルオキシカ
ルボニル)−ノナノイル、塩化−16−(n−オクチル
オキシカルボニル)−ヘキサデカノイル、塩化−9−
(ベンジルオキシカルボニル)−ノナノイル、塩化−1
6−(ベンジルオキシカルボニル)−ヘキサデカノイ
ル、塩化−3−(n−デシルチオ)−プロピオニル、塩
化−3−(n−オクタデシルチオ)−プロピオニル、塩
化−6−(n−デシルチオ)−ヘキサノイル、塩化−6
−(n−オクタデシルチオ)−ヘキサノイル、塩化−8
−(n−デシルチオ)−オクタノイル、塩化−8−(n
−オクタデシルチオ)−オクタノイル、塩化−11−
(メチルチオ)−ウンデカノイル、塩化−11−(n−
ブチルチオ)−ウンデカノイルおよび塩化−11−(n
−デシルチオ)−ウンデカノイル等が例示され、原料入
手の容易性および抗癌活性の面から塩化−8−(アセチ
ルチオ)−オクタノイル、塩化−11−(アセチルチ
オ)−ウンデカノイル、塩化−8−(ベンゾイルチオ)
−オクタノイル、塩化−11−(ベンゾイルチオ)−ウ
ンデカノイル、塩化−3−(n−デシルチオ)−プロピ
オニル、塩化−3−(n−オクタデシルチオ)−プロピ
オニルおよび塩化−6−(n−デシルチオ)−ヘキサノ
イルが好ましい。該酸塩化物は、2−チオシトシンアラ
ビノシド1モルに対して1モルから5モル使用すること
が好ましい。反応温度は0℃〜25℃が好ましく、反応
時間は使用する酸塩化物の種類により異なるが、10分
間〜24時間であることが好適である。
【0016】
【化5】
【0017】(式中、Rは末端に水酸基またはカルボキ
シ基を有するか、あるいは鎖中にエステル結合、チオエ
ステル結合またはチオエーテル結合のいずれか一つを含
む炭素数10〜30個のアルキル基を示し、R1 はトリ
メチルシリル基を示す)
【0018】次に、上記で得られた第二中間体のトリメ
チルシリル基に酸、アルカリまたはフッ化物を作用させ
て、第二中間体のトリメチルシリル基を水素原子に置換
することにより、前記式(1)で表される4−N−アシ
ル−2−チオシトシンアラビノシドを製造する。前記ト
リメチルシリル基を水素原子に置換する反応で用いる
酸、アルカリまたはフッ化物としては、特に限定されな
いが、塩酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、アン
モニア水、フッ化水素酸ピリジニウム塩およびフッ化テ
トラブチルアンモニウムなどが好適である。上記反応で
酸を用いる場合は、反応を行う前に、前記第二中間体を
ジエチルエーテル、クロロホルムおよび酢酸エチルなど
の有機溶媒で抽出した後、水または飽和食塩水による洗
浄を行うか、あるいは、減圧下で濃縮することによっ
て、過剰の塩基性物質を除去することが好ましい。反応
温度は0℃〜25℃が好ましく、反応時間は使用する
酸、アルカリまたはフッ化物の種類により異なるが、1
0分間〜24時間の範囲が好適である。また、本反応で
は、反応の進行を妨げない範囲で任意の有機溶媒を用い
ることができ、有機溶媒としては前記2−チオシトシン
アラビノシドおよび塩化トリメチルシランとの反応で挙
げた溶媒を用いることができる。
【0019】4−N−アシル−2−チオシトシンアラビ
ノシドは、上記反応終了後に、溶媒抽出、再結晶および
シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの常法によ
り、単離・精製することができる。
【0020】また、4−N−アシル−2−チオシトシン
アラビノシドの上記以外の製造方法として、無水酢酸、
ジシクロヘキシルカルボジイミド、ペンタクロロフェノ
ール/ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびN−ヒド
ロキシスクシイミド/ジシクロヘキシルカルボジイミド
等の存在下に、通常用いられる公知の縮合反応に従っ
て、2−チオシトシンアラビノシドと末端に水酸基また
はカルボキシル基のいずれかを有する炭素数10〜30
個のカルボン酸を反応させる方法が挙げられる。
【0021】また、本発明における4−N−アシル−2
−チオシトシンアラビノシドを活性成分として含有する
抗癌剤の調製では、前記4−N−アシル−2−チオシト
シンアラビノシドと薬学的に許容される賦形剤を組み合
わせることができる。この薬学的に許容される賦型剤と
しては、水、生理食塩水、動物油、植物油、ポリエチレ
ングリコールおよびグリセリン等の多価アルコール、界
面活性剤、酸化防止剤、抗菌性物質ならびに緩衝剤など
が例示される。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明における4−N−
アシル−2−チオシトシンアラビノシドの合成例につい
て説明するが、本発明は、これらの実施例に限定される
ものではない。
【0023】[実施例1] 4−N−(11−アセチルチオ−ウンデカノイル)−2
−チオシトシンアラビノシド[下記式(5)で表される
化合物であり、以下化合物1という]の合成
【0024】
【化6】
【0025】ピリジン30mlに2−チオシトシンアラ
ビノシド1.82g(6.99mmol)を溶解させ、
この溶解液に塩化トリメチルシラン4.50ml(3
5.5mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌後、さ
らにテトラヒドロフラン10mlに塩化−11−アセチ
ルチオ−ウンデカノイル1.95g(7.02mmo
l)を溶解させた溶液を加えた。室温下で1時間反応さ
せた後、クロロホルムで抽出し、水で洗浄した。有機層
を濃縮し、残さをクロロホルム50mlに溶解後、トリ
フルオロ酢酸5mlを加え室温下で20分間撹拌した。
得られた反応混合物を濃縮後、クロロホルムで抽出し、
水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮
し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより
精製し、淡黄色粉末状の化合物2.05gを得た。 1
−NMRおよびIR分析により上記化合物1であること
を確認した。化合物1の収率は58モル%であった。 1
H−NMRおよびIR分析チャートの各ピークならびに
シリカゲル薄層クロマトグラフィーの移動度を以下に示
す。 1) 1H−NMR(CDCL3 )δ:1.10−1.8
3(16H,m),2.23−2.53(5H,m),
2.83(2H,t),3.88(2H,m),4.1
7(2H,m),4.72(1H,m),5.46(3
H,br),6.75(1H,d),7.67(1H,
d),8.32(1H,d),9.38(1H,br) 2)IR(KBr)cm-1:3310,2920,28
50,1720,1690,1670,1610,15
10,1420,1160. 3)シリカゲル薄層クロマトグラフィー Rf:0.3
1(クロロホルム:メタノール=10:1)
【0026】[実施例2] 4−N−(11−ベンゾイルチオ−ウンデカノイル)−
2−チオシトシンアラビノシド[下記式(6)で表され
る化合物であり、以下化合物2という]の合成
【0027】
【化7】
【0028】ピリジン30mlに2−チオシトシンアラ
ビノシド1.82g(6.99mmol)を溶解させ、
この溶解液に塩化トリメチルシラン4.50ml(3
5.5mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌後、さ
らにテトラヒドロフラン10mlに塩化−11−ベンゾ
イルチオ−ウンデカノイル2.39g(7.03mmo
l)を溶解させた溶液を加えた。室温下で1時間反応さ
せた後、クロロホルムで抽出し、水で洗浄した。有機層
を濃縮し、残さをクロロホルム50mlに溶解後、トリ
フルオロ酢酸5mlを加え室温下で20分間撹拌した。
得られた反応混合物を濃縮後、クロロホルムで抽出し、
水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮
し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより
精製し、淡黄色粉末状の化合物3.10gを得た。 1
−NMRおよびIR分析により上記化合物2であること
を確認した。化合物2の収率は79モル%であった。 1
H−NMRおよびIR分析チャートの各ピークならびに
シリカゲル薄層クロマトグラフィーの移動度を以下に示
す。 1) 1H−NMR(CDCL3 )δ:1.10−1.8
3(16H,m),2.43(2H,m),3.00
(2H,t),3.93(2H,m),4.23(2
H,m),4.70(1H,m),5.56(3H,b
r),6.73(1H,d),7.20−8.00(6
H,m),8.28(1H,d),9.62(1H,b
r) 2)IR(KBr)cm-1:3310,2930,28
50,1720,1660,1610,1510,14
20,1320,1150. 3)シリカゲル薄層クロマトグラフィー Rf:0.3
2(クロロホルム:メタノール=10:1)
【0029】[実施例3] 4−N−(9−メトキシカルボニル−ノナノイル)−2
−チオシトシンアラビノシド[下記式(7)で表される
化合物であり、以下化合物3という]の合成
【0030】
【化8】
【0031】ピリジン15mlに2−チオシトシンアラ
ビノシド840mg(3.23mmol)を溶解させ、
この溶解液に塩化トリメチルシラン2.50ml(1
9.7mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌後、さ
らにテトラヒドロフラン15mlに塩化−9−メトキシ
カルボニル−ノナノイル1.19g(5.09mmo
l)を溶解させた溶液を加えた。室温下で1時間反応さ
せた後、メタノール1mlを加え、反応を停止した。次
に、あらかじめ0℃の条件でピリジン1mlにフッ化水
素酸ピリジニウム(フッ化水素酸70%、ピリジン30
%混合物)1mlを混合させた溶液を加え、室温下で3
0分間撹拌した。得られた反応混合物をクロロホルムで
抽出し、水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、濃縮し、メタノール−酢酸エチル混合溶媒から再結
晶し、無色結晶性の化合物859mgを得た。 1H−N
MRおよびIR分析により上記化合物3であることを確
認した。化合物3の収率は58モル%であった。 1H−
NMRおよびIR分析チャートの各ピークならびにシリ
カゲル薄層クロマトグラフィーの移動度を以下に示す。
化合物3の 1H−NMR分析チャートを図1に示した。 1) 1H−NMR(DMSOd6)δ:1.25(8H,
m),1.52(4H,m),2.28(2H,t),
2.41(2H,t),3.64(2H,m),3.9
2(2H,m),4.36(2H,m),5.08(1
H,t),5.51(2H,m),6.87(1H,
d),7.58(1H,d),8.23(1H,d),
11.25(1H,br) 2)IR(KBr)cm-1:3260,2920,28
50,1710,1610,1550,1510,14
20,1330,1150. 3)シリカゲル薄層クロマトグラフィー Rf:0.1
9(クロロホルム:メタノール=10:1)
【0032】[実施例4] 4−N−[16−(n−ノナノイルオキシ)−ヘキサデ
カノイル]−2−チオシトシンアラビノシド[下記式
(8)で表される化合物であり、以下化合物4という]
の合成
【0033】
【化9】
【0034】ピリジン8mlに2−チオシトシンアラビ
ノシド470mg(1.81mmol)を溶解させ、こ
の溶解液に塩化トリメチルシラン1.40ml(11.
0mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌後、さらに
テトラヒドロフラン8mlに塩化−16−(n−ノナノ
イルオキシ)−ヘキサデカノイル1.15g(2.71
mmol)を溶解させた溶液を加えた。室温下で1時間
反応させた後、メタノール1mlを加え、反応を停止し
た。次に、あらかじめ0℃の条件でピリジン10mlに
フッ化水素酸ピリジニウム(フッ化水素酸70%、ピリ
ジン30%混合物)1mlを混合させた溶液を加え、室
温下で30分間撹拌した。得られた反応混合物をクロロ
ホルムで抽出し、水で洗浄した。無水硫酸マグネシウム
で乾燥後、濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロマト
グラフィーに供した後、エタノール−アセトニトリル混
合溶媒から再結晶し、無色結晶性の化合物650mgを
得た。 1H−NMRおよびIR分析により上記化合物4
であることを確認した。化合物4の収率は55モル%で
あった。 1H−NMRおよびIR分析チャートの各ピー
クならびにシリカゲル薄層クロマトグラフィーの移動度
を以下に示す。 1) 1H−NMR(CDCL3 )δ:0.87(3H,
t),1.24(32H,m),1.61(6H,
m),2.34(4H,m),3.96(2H,m),
4.05(2H,t),4.17(1H,s),4.3
7(1H,s),4.49(1H,br),4.58
(1H,br),4.78(1H,s),5.08(1
H,br),6.82(1H,s),7.71(1H,
d),8.42(1H,d),9.30(1H,br) 2)IR(KBr)cm-1:3340,2920,28
50,1740,1700,1620,1560,15
20,1420,1330. 3)シリカゲル薄層クロマトグラフィー Rf:0.2
8(クロロホルム:メタノール=10:1)
【0035】[実施例5] 4−N−(ω−ヒドロキシ−ヘキサデカノイル)−2−
チオシトシンアラビノシド[下記式(9)で表される化
合物であり、以下化合物5という]の合成
【0036】
【化10】
【0037】N,N−ジメチルホルムアミド20mlに
2−チオシトシンアラビノシド1.00g(3.84m
mol)、ω−ヒドロキシ−ヘキサデカン酸1.00g
(3.67mm0l)およびN−ヒドロキシスクシイミ
ド440mg(3.82mmol)を溶解させた溶液
に、ジシクロヘキシルカルボジイミド790mg(3.
83mmol)を加えた。60℃で39時間反応させた
後、得られた反応混合物をクロロホルムで抽出し、水お
よび飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥後、濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーに供した後、エタノールから再結晶し、
無色結晶性の化合物678mgを得た。1H−NMRお
よびIR分析により上記化合物5であることを確認し
た。化合物5の収率は36モル%であった。 1H−NM
RおよびIR分析チャートの各ピークならびにシリカゲ
ル薄層クロマトグラフィーの移動度を以下に示す。 1) 1H−NMR(CDCL3 −DMSOd6)δ:1.
21(22H,m),1.50(2H,m),1.63
(2H,m),2.44(2H,t),3.52(2
H,q),3.80(2H,m),3.86(1H,b
r),4.11(1H,s),4.17(1H,s),
4.54(1H,d),5.19(1H,m),5.4
0(2H,m),6.98(1H,d),7.70(1
H,d),8.41(1H,d),10.85(1H,
s) 2)IR(KBr)cm-1:3360,2920,28
50,1720,1610,1520,1420,13
20,1150. 3)シリカゲル薄層クロマトグラフィー Rf:0.1
9(クロロホルム:メタノール=10:1)
【0038】[実施例6] 4−N−(ω−カルボキシ−ペンタデカノイル)−2−
チオシトシンアラビノシド[下記式(10)で表される
化合物であり、以下化合物6という]の合成
【0039】
【化11】
【0040】1,16−ヘキサデカ二酸5.00g(1
7.5mmol)および無水酢酸5.00ml(53.
0mmol)を140℃で5時間撹拌した。放冷後、減
圧下で濃縮して過剰の無水酢酸を除去した後、2−チオ
シトシンアラビノシド2.61g(10.0mmol)
およびN,N−ジメチルホルムアミド50mlを加え、
75℃で6時間反応させた。得られた反応混合物を放冷
後、クロロホルムで抽出し、水で洗浄した。有機層を無
水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残さをシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーに供した後、メタノール
−クロロホルム混合溶媒から再結晶し、淡黄色結晶性の
化合物583mgを得た。 1H−NMRおよびIR分析
により上記化合物6であることを確認した。化合物6の
収率は11モル%であった。 1H−NMRおよびIR分
析チャートの各ピークならびにシリカゲル薄層クロマト
グラフィーの移動度を以下に示す。 1) 1H−NMR(DMSOd6)δ:1.24(20
H,m),1.51(4H,m),2.18(2H,
t),2.41(2H,t),3.64(2H,m),
3.93(2H,m),4.37(1H,d),5.5
3(3H,br),6.87(1H,d),7.59
(1H,d),8.24(1H,d),11.28(1
H,s),12.00(1H,br) 2)IR(KBr)cm-1:3420,2920,28
50,1700,1610,1560,1510,14
20,1320,1150. 3)シリカゲル薄層クロマトグラフィー Rf:0.4
3(クロロホルム:メタノール=5:1)
【0041】[実施例7] 4−N−[6−(n−デシルチオ−)−ヘキサノイル]
−2−チオシトシンアラビノシド[下記式(11)で表
される化合物で以下化合物7という]の合成
【0042】
【化12】
【0043】ピリジン30mlに2−チオシトシンアラ
ビノシド2.00g(7.68mmol)を溶解させ、
この溶解液に塩化トリメチルシラン4.80ml(3
7.8mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌後、テ
トラヒドロフラン10mlに溶解させた塩化−6−(n
−デシルチオ−)−ヘキサノイル2.44g(7.98
mmol)の溶液を加えた。室温下で1時間反応させた
後、クロロホルムで抽出し、水で洗浄した。有機層を濃
縮し、残さをクロロホルム50mlに溶解後、トリフル
オロ酢酸5mlを加え室温下で20分間撹拌した。得ら
れた反応混合物を濃縮後、クロロホルムで抽出し、水で
洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。
残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した
後、酢酸エチルより再結晶し、淡黄色結晶性の化合物
1.07gを得た。 1H−NMRおよびIR分析により
上記化合物7であることを確認した。化合物7の収率は
26モル%であった。 1H−NMRおよびIR分析チャ
ートの各ピークならびにシリカゲル薄層クロマトグラフ
ィーの移動度を以下に示す。 1) 1H−NMR(CDCL3 )δ:0.88(3H,
t),1.36(16H,m),1.56(6H,
m),2.50(6H,m),3.95(2H,m),
4.19(1H,m),4.39(1H,m),4.6
1(1H,br),4.79(1H,m),4.91
(1H,br),5.22(1H,br),6.80
(1H,d),7.70(1H,d),8.40(1
H,d),9.47(1H,br) 2)IR(KBr)cm-1:3310,2920,28
50,1720,1610,1560,1510,14
20,1330,1150. 3)シリカゲル薄層クロマトグラフィー Rf:0.3
1(クロロホルム:メタノール=10:1)
【0044】(実施例8〜10および比較例) 〔抗癌活性に関する動物実験〕P388(マウス白血病
株)腹水移植マウスに対する延命効果により抗癌活性を
評価した。マウス(CDF1,雄)腹水にて継代維持さ
れたP388細胞を回収し、生理食塩水にて洗浄後、再
度生理食塩水で希釈し細胞数を顕微鏡下で数え、1×1
7 個/mlの細胞懸濁液を調製した。0.1mlの細
胞懸濁液(1×106 個のP388細胞を含む)を同系
マウス(CDF1,雄、4週齢)の腹腔内に移植した。
次に、表1に示す被験化合物を癌細胞移植翌日より5日
間に渡り、表1に示す量を腹腔内に投与し、その結果を
表1に示す。抗癌活性の指標としてILS(%)を以下
の式にて求めた。 なお対照群には生理食塩水を同様の方法で投与した。
【0045】
【表1】
【0046】対照群A:生存日数 9.2 ±0.4 日 対照群B:生存日数 9.7 ±0.6 日 対照群C:生存日数 9.8 ±1.0 日
【0047】
【発明の効果】本発明における4−N−アシル−2−チ
オシトシンアラビノシドは、動物実験において抗癌活性
を示し、医薬および核酸化学等の分野での利用価値は高
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 化合物3の 1H−NMRのチャートを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永田 敏幸 茨城県つくば市大久保2番 東亞合成株式 会社つくば研究所内 (72)発明者 吉田 ▲祇▼生 茨城県つくば市大久保2番 東亞合成株式 会社つくば研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)で表される4−N−アシル−
    2−チオシトシンアラビノシド誘導体。 【化1】 (式中、Rは末端に水酸基またはカルボキシル基を有す
    るか、あるいは鎖中にエステル結合、チオエステル結合
    またはチオエーテル結合のいずれか一つを含む炭素数1
    0〜30個のアルキル基を示す)
  2. 【請求項2】請求項1記載の4−N−アシル−2−チオ
    シトシンアラビノシドを活性成分として含有する抗癌
    剤。
JP21302796A 1996-07-24 1996-07-24 4−n−アシル−2−チオシトシンアラビノシドならびに該化合物を活性成分として含有する抗癌剤 Pending JPH1036386A (ja)

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