JPH1034774A - 段ボール及びその製造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】中芯形状を改良することにより、構造が簡単
で、かつ、様々な方向からの衝撃力を吸収できる緩衝性
能の優れた段ボール及びその製造装置を提供する。 【解決手段】段ボールＡは、端面が波形状又はＶ字形状
に形成され、かつ、稜線が螺旋状又は波形状である中芯
１０と、その中芯１０の表面と裏面に接着されるライナ
１５と、を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、段ボール及びその製造
装置に関し、特に、中芯形状を改良することにより、構
造が簡単で、かつ、様々な方向からの衝撃力を吸収でき
る緩衝性能の優れた段ボール及びその製造装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】商品は、その価値及び状態を保護するた
め、包装されたうえで輸送・保管される。包装は一般的
に、液体を封入するビンなどの個装と、緩衝材である内
装と、外部の箱などの外装とに分類される。家庭電化製
品のような商品にあっては、内装と外装のみで包装され
る場合がある。内装材としては従来から発泡ポリスチレ
ンや発泡ポリエチレンなどの緩衝材が多用されている。
これらの緩衝材はクッション性がよく、外部からの衝撃
に対する保護機能性にすぐれ、しかも軽量なために取り
扱いが容易といった利点を有している。

【０００３】しかし、これらの緩衝材は石油製品である
ため、放置しても腐蝕せず、また燃やすと多量の黒煙や
異臭を発生するため、地球環境の保護の観点からも、廃
棄処分の方法が問題となっている。

【０００４】このような不具合を解消するための発明や
考案が特開平５−２２９５７４号公報、実開平５−４６
７７９号公報及び実開平５−１０２６６号公報等に開示
されている。

【０００５】特開平５−２２９５７４号公報には、図６
に示すような段ボール製アングル状緩衝材とその製法及
び装置が開示されている。この緩衝材は、中芯１１の波
形の稜線方向に伸延する軸線の中心として、段ボールＤ
を複数回、巻回し、軸直角断面がほぼＬ字状となるよう
に成形したものである。この緩衝材が、外装と製品との
間に挿入されると、横方向から作用する衝撃に対しては
波形状の中芯１１が撓むことにより、この衝撃を吸収
し、縦方向に作用する積み置き荷重に対しては外装を不
必要に強固なものとしなくても中芯１１などがこれに対
向する機能を発揮する。そして用済み後は古紙回収によ
る再利用が可能であり、また廃棄処分しても、紙製のた
めに腐食し、場合によっては需要者側でも焼却処分する
ことができる。

【０００６】実開平５−４６７７９号公報には、図７に
示すような段ボール製緩衝材が開示されている。この緩
衝材は、ライナ２２の片面に波形状の中芯１２を接着し
てなる片段ボールの前記中芯１２の表面に接着剤を塗布
し、前記中芯１２の波形の稜線方向に伸延する軸線を中
心として複数回、巻回することにより巻回体を形成し、
この巻回体を前記軸線に対して直角な断面が保護すべき
製品Ｓの外側形状に沿う形状となるように形成したもの
である。

【０００７】このように製品Ｓの外側形状に沿うように
形成した段ボール製緩衝材が、外装Ｇと製品Ｓとの間に
挿入されると、緩衝材が製品Ｓ自体に直接、取り付けら
れた内装となる。また、この段ボール製緩衝材を外装内
に挿入した後には、横方向からの衝撃に対しては波形状
の中芯１２が撓み、この衝撃を吸収することができる。
縦方向に作用する積み置き荷重に対しては外装を不必要
に強固なものとしなくても、中芯１２などがこれに十分
対抗する機能を発揮する。

【０００８】この段ボール製緩衝材も上記の緩衝材と同
様、容易に廃棄処分することができる。

【０００９】実開平５−１０２６６号公報には、図８に
示すような段ボール製緩衝固定ブロックが開示されてい
る。この緩衝固定ブロックは、ライナ２３と中芯１３と
を貼り合わせた段ボールシート３０を多数枚、積層し
て、少なくとも一部の段目（波状に繰り返された中芯１
３とライナ２３との貼り合わせにより生じたトンネル状
の段の入口又は出口の開口部）３１が上下方向に露出し
た積層ブロックを形成し、上面又は下面に商品の一部を
嵌入させる圧縮凹部３２を形成したものである。

【００１０】少なくとも一部の段目３１が上下方向に露
出した積層ブロックを形成したことにより、構造強度が
強化される。しかも商品を嵌入する圧縮凹部３２は、段
目３１を押圧して形成したものであるから、ある程度の
復元力を有しており、構造強度が高いとともに、弾性力
による緩衝作用も大きくなっている。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】従来の段ボール製の緩
衝材は、いずれも形式及び構造がＪＩＳ規格により製造
された段ボールが使用されている。「ＪＩＳ Ｚ 150
7」には中芯の波形状の大きさが分類され、用途に応じ
て段ボール箱及びファイバー箱が使い分けられている。

【００１２】しかし、その用途は基本的に外装材である
から、緩衝材として使用しても、緩衝効果には限界があ
る。しかも、一度、潰れた箇所は復元されず、同じ場所
に衝撃が加えられると、最早、緩衝材として作用しない
といった不具合がある。

【００１３】図９は、従来の段ボールの一部破断斜視図
であり、図１０は、従来の段ボールを製造するときに使
用される一対の段ロールを示す斜視図である。図１０に
示すように、従来の段ロール５４は、中芯の原紙を挟む
ことにより、端面を波形状又はＶ字形状に成形するもの
であり、その外周面には、軸線方向に平行な溝が形成さ
れる。従って、図９に示すように、従来の段ボールＤ
は、ライナ２４間の波形状の中芯１４の稜線が一定方向
に平行に延びて成形されるので、稜線と直角方向の衝撃
力Ｆ’に対しては緩衝性能が発揮されるが、稜線方向の
衝撃力Ｆに対しては緩衝性能が発揮されない。

【００１４】また、従来の段ボール製緩衝材は、多数枚
の段ボールを積層するものであるので構造が複雑であ
り、製造コストがかかり、また、積層する作業が面倒で
あり、生産性が低下するという問題がある。

【００１５】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
であり、中芯形状を改良することにより、構造が簡単
で、かつ、様々な方向からの衝撃力を吸収できる緩衝性
能の優れた段ボール及びその製造装置を提供することを
目的とする。

【００１６】

【課題を解決するための手段】本発明の段ボールは、端
面が波形状又はＶ字形状に形成され、かつ、稜線が螺旋
状である中芯と、その中芯の表面と裏面に接着されるラ
イナと、を有することを特徴とするものである。

【００１７】本発明によれば、中芯の稜線が螺旋状であ
るので、様々な方向からの衝撃力に対して緩衝性能が発
揮される。

【００１８】本発明の他の形態の段ボールは、端面が波
形状又はＶ字形状に形成され、かつ、稜線が波形状であ
る中芯と、その中芯の表面と裏面に接着されるライナ
と、を有することを特徴とするものである。

【００１９】本発明によれば、中芯の稜線を波形状とし
たことにより、稜線方向の衝撃力が加えられても、その
衝撃力が分散され、緩衝機能が発揮される。

【００２０】本発明の段ボールの製造装置は、中芯の原
紙を挟むことにより、端面を波形状又はＶ字形状に成形
する一対の段ロールの外周面に、螺旋状の溝が形成され
ることを特徴とするものである。

【００２１】本発明によれば、一対の段ロールの外周面
に多数本の溝を螺旋状に形成したものであるから、稜線
を螺旋状にした中芯を成形することができる。

【００２２】本発明の他の形態の段ボールの製造装置
は、中芯の原紙を挟むことにより、端面を波形状又はＶ
字形状に成形する一対の段ロールの外周面に、波形状の
溝が軸線方向に形成されることを特徴とするものであ
る。

【００２３】本発明によれば、段ロールの外周面に波形
状の多数本の溝を軸線方向に形成したことにより、稜線
を波形状にした中芯を成形することができる。

【００２４】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図１から図
５を参照しながら説明する。

【００２５】図１は、本発明の段ボールを示す一部破断
斜視図である。図１に示すように、本発明に係る段ボー
ルＡは、端面形状が波形状又はＶ字形状であり、かつ、
稜線が螺旋状である中芯１０と、その中芯１０の表面と
裏面に接着されるライナ１５とを有する。この段ボール
Ａによれば、中芯１０の稜線が螺旋状であるので、様々
な方向からの衝撃力に対して緩衝性能が発揮される。

【００２６】図２は、本発明の段ボールの製造装置を示
す構成図である。図２に示すように、本発明の段ボール
Ａは、本発明の製造装置Ｃの上流側と下流側とに配置さ
れた原紙掛け５１、５２、５３から供給される帯状の原
紙２、１を接着した後、所定の長さごとに切断されて製
品化される。

【００２７】本発明の製造装置Ｃの上流側には帯状の中
芯の原紙１を波形状に成形するための一対の段ロール４
１が配置される。段ロール４１は、図３に示すように、
その外周面に螺旋状の溝が形成されている。その段ロー
ル４１に近接して糊槽５５が配置され、糊槽５５内では
波形状に成形された中芯の原紙１を段ロール４１ととも
に挟みながら回転するローラ５６が配置される。さらに
その段ロール４１に近接して、糊付けされた中芯の原紙
１を例えば表面側のライナの原紙２に接着して片面段ボ
ール４を形成するプレスロール５７が配置される。

【００２８】本発明の製造装置Ｃの中流には、片面段ボ
ール４の中芯の原紙１に接着剤を塗布するための接着剤
槽６０が配置され、その接着剤槽６０内ではドクターロ
ール６１とアプリケータロール６２が回転する。アプリ
ケータロール６２とライダーロール６３とによって、片
面段ボール４が挟まれることにより、片面段ボール４の
中芯の原紙１に接着剤が塗布される。

【００２９】本発明の製造装置Ｃの下流には、原紙掛け
５３から供給される裏面側のライナの原紙２と片面段ボ
ール４とを挟むように、加熱部６５及び冷却部６６と、
コルゲーティングベルト６７とが配置される。最も下流
側にはカッター６９が配置される。

【００３０】本発明の製造装置Ｃは以上のように構成さ
れ、次のようにして段ボールＡが製造される。すなわ
ち、まず上流側に配置した段ロール４１によって、中芯
の原紙１が波形状に成形される。その中芯の原紙１は糊
槽５５によって一方の面に糊が付けられ、原紙掛け５１
及びプレスロール５７から供給される表面側のライナの
原紙２に糊付けされ、片面段ボール４が形成される。

【００３１】次いで、中流において、接着剤槽６０内の
接着剤がアプリケータロール６２によって、片面段ボー
ル４の中芯の原紙１に塗布される。

【００３２】次いで、下流側において、その片面段ボー
ル４と原紙掛け５３から供給される裏面側のライナの原
紙２とが加熱部６５及び冷却部６６とコルゲーティング
ベルト６７とに挟まれて接着される。

【００３３】最後に、所定の寸法でカッター６９によっ
て切断されると、段ボールＡが完成する。

【００３４】図４は、本発明の他の形態の段ボールを示
す一部破断斜視図である。図４に示すように、本発明に
係る段ボールＢは、端面が波形状又はＶ字形状に形成さ
れ、かつ、稜線が波形状である中芯２０と、その中芯２
０の表面と裏面に接着されるライナ２１と、を有する。
この段ボールＢによれば、中芯２０の稜線を波形状とし
たことにより、稜線方向の衝撃力が加えられても、その
衝撃力が分散され、緩衝機能が発揮される。

【００３５】図５は、図４に示す段ボールを製造すると
きに使用される段ロールを示す斜視図である。図５に示
すように、段ボールＢを製造するための段ロール４２の
外周面には、波形状の溝が軸線方向に形成される。

【００３６】本発明の段ボールＡ、Ｂによれば、中芯１
０（２０）の端面形状が波形状又はＶ字形状であり、そ
の稜線が螺旋状又は波形状であるので、様々な方向から
の衝撃力を吸収でき、緩衝性能が優れている。従って、
包装される商品の価値や状態を十分に保護することがで
き、長期使用にも耐えることができる。

【００３７】また、シート状に形成されるので、運搬及
び保管が容易である。

【００３８】また、段ボールを積層した従来の緩衝材に
比べ、構造が簡単であり、小型・軽量化を図ることがで
きる。

【００３９】また、梱包箱と緩衝材とを一体に製造でき
るので、生産性を高め、製造コストも低下する。

【００４０】さらに、原材料が紙であるので、廃棄処分
が容易であり、また、使用後も回収して古紙や再生段ボ
ールとして利用する等資源のリサイクルができ、地球環
境の保護にも寄与することができる。

【００４１】本発明の段ボール製造装置Ｃでは、段ロー
ル４１、４２の外周面に螺旋状又は波形状の溝が形成さ
れているので、これらの溝形状の角度を変えることによ
り、製造される段ボールの緩衝効果を高めたり、低めた
りすることができる。従って、段ボールの用途に応じ
て、平面圧、垂直圧、平行圧等どの方向からの衝撃力に
対して緩衝性能を強化するかを選択して、段ボールを製
造することができる。

【００４２】また、上記形状の中芯を成形するための段
ロール以外は、従来の製造装置をそのまま利用できる。

【００４３】本発明は、上記実施の形態に限定されるこ
となく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲
内において、種々の変更が可能である。

【００４４】

【発明の効果】本発明の段ボールによれば、中芯の端面
形状が波形状又はＶ字形状であり、その稜線が螺旋状又
は波形状であるので、様々な方向からの衝撃力を吸収で
き、緩衝性能が優れている。従って、包装される商品の
価値や状態を十分に保護することができ、長期使用にも
耐えることができる。

【００４５】また、シート状に形成されるので、運搬及
び保管が容易である。

【００４６】また、段ボールを積層した緩衝材に比べ、
構造が簡単であり、小型・軽量化を図ることができる。

【００４７】また、梱包箱と緩衝材とを一体に製造でき
るので、生産性を高め、製造コストも低下する。

【００４８】さらに、原材料が紙であるので、廃棄処分
が容易であり、また、使用後も回収して古紙や再生段ボ
ールとして利用する等資源のリサイクルができ、地球環
境の保護にも寄与することができる。

【００４９】本発明の段ボール製造装置では、段ロール
の外周面に螺旋状又は波形状の溝が形成されているの
で、これらの溝形状の角度を変えることにより、製造さ
れる段ボールの緩衝効果を高めたり、低めたりすること
ができる。従って、段ボールの用途に応じて、平面圧、
垂直圧、平行圧等どの方向からの衝撃力に対して緩衝性
能を強化するかを選択して、段ボールを製造することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の段ボールを示す一部破断斜視図であ
る。

【図２】本発明の段ボール製造装置を示す構成図であ
る。

【図３】図１に示す段ボールを製造するために使用され
る段ロールを示す斜視図である。

【図４】本発明の他の形態の段ボールを示す一部破断斜
視図である。

【図５】図４に示す段ボールを製造するために使用され
る段ロールを示す斜視図である。

【図６】従来の段ボール製アングル状緩衝材を示す断面
図である。

【図７】従来の段ボール製緩衝材を示す斜視図である。

【図８】従来の段ボール製緩衝固定ブロックを示す斜視
図である。

【図９】従来の段ボールを示す一部破断斜視図である。

【図１０】従来の段ボールを製造するために使用される
段ロールを示す斜視図である。

【符号の説明】

Ａ：段ボール Ｂ：段ボール Ｃ：段ボール製造装置 １：中芯の原紙 １０：中芯 １５：ライナ ２０：中芯 ２１：ライナ ４１：段ロール ４２：段ロール

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】端面が波形状又はＶ字形状に形成され、か
   つ、稜線が螺旋状である中芯と、 その中芯の表面と裏面に接着されるライナと、 を有することを特徴とする段ボール。
2. 【請求項２】端面が波形状又はＶ字形状に形成され、か
   つ、稜線が波形状である中芯と、 その中芯の表面と裏面に接着されるライナと、 を有することを特徴とする段ボール。
3. 【請求項３】中芯の原紙を挟むことにより、端面を波形
   状又はＶ字形状に成形する一対の段ロールの外周面に、
   螺旋状の溝が形成されることを特徴とする段ボールの製
   造装置。
4. 【請求項４】中芯の原紙を挟むことにより、端面を波形
   状又はＶ字形状に成形する一対の段ロールの外周面に、
   波形状の溝が軸線方向に形成されることを特徴とする段
   ボールの製造装置。