JPH1034079A - 潤滑性に優れた複合皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニウム合金材およびその製造方法 - Google Patents

潤滑性に優れた複合皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニウム合金材およびその製造方法

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JPH1034079A
JPH1034079A JP21316796A JP21316796A JPH1034079A JP H1034079 A JPH1034079 A JP H1034079A JP 21316796 A JP21316796 A JP 21316796A JP 21316796 A JP21316796 A JP 21316796A JP H1034079 A JPH1034079 A JP H1034079A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絞り加工や絞りしごき加工、ストレッチドロ
−加工など厳しい加工工程において要求される優れた潤
滑性を有する複合皮膜被覆アルミニウム(合金)材を提
供する。 【解決手段】 アルミニウム(合金)材の表面に、直径
が0.1〜10μm、粒子密度が103 〜107 個/m
2 のアルミニウム以外の金属微粒子ならびに場合によ
り該金属の酸化物および水酸化物の微粒子が存在する皮
膜と皮膜厚が5〜500nmの有機皮膜とを有し、該有
機皮膜の全付着量がカ−ボンとして5〜500mg/m2
であり、且つ、該有機皮膜がアルミニウム材またはアル
ミニウム合金材の面積の80%以上を被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑性に優れた複
合皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニウム合金材お
よびその製造方法に関する。より詳しく述べるならば本
発明は、絞り加工や絞りしごき加工、ストレッチドロ−
加工など厳しい加工工程において要求される優れた潤滑
性を有する複合皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニ
ウム合金材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム系素材(アルミニウム材、
アルミニウム合金材)の多くは種々の加工がなされた成
型品として、家電製品、熱交換器のフィン、ビ−ル等の
飲料缶等に広く使用されている。一般に、加工の際には
プレス油等の種々の潤滑剤が使用され、加工された成型
品の多くは、その後、塗装等が施されている。このた
め、加工後に潤滑剤を除去する脱脂工程が必要となる。
使用する脱脂剤は溶剤系や水系のものが考案され、実用
化されており、溶剤としてはトリクロロエタン等が使用
されてきた。しかし、近年の地球環境保全を目的とした
溶剤規制により、これら溶剤の使用は禁止されてきてい
る。このため、脱脂工程の水系化や潤滑剤を使用しない
加工システムが望まれている。すなわち、このような要
望に対応できる潤滑性に優れたアルミニウム系素材が必
要である。また、加工後に特に塗装等を施さないで使用
される場合には残存する皮膜自身にも耐食性が要求され
ているので、これら潤滑性、耐食性などの性質を付与す
る皮膜を有するアルミニウム系素材の提供が望まれてい
る。
【0003】また、アルミニウム系素材の厳しい加工例
としては、ビ−ルや炭酸飲料などに広く用いられている
絞りしごき缶が挙げられる。この絞りしごき缶は、絞り
加工(Drawing )と次いで行われるしごき加工(Ironin
g )により形成されるため、一般にはDI缶と呼ばれて
いる。素材表面には特に表面処理は施されておらず、厳
しい加工に耐えるように潤滑剤が加工時に多量に使用さ
れている。通常、絞りしごき缶を製造する際には、加工
後の缶体に付着している潤滑剤や加工時に発生するスマ
ットと呼ばれる摩耗粉を除去しなければならない。この
洗浄工程には多くの脱脂剤や水洗水を必要とする。これ
ら潤滑剤、脱脂剤、水洗水の軽減は工業的に大きな課題
であり、潤滑剤を使用しない(もしくは極少量使用す
る)潤滑性に優れたアルミニウム系素材が望まれている
のである。また、絞りしごき缶のアルミニウム系素材に
は加工性に優れたアルミニウム−マンガン合金(JIS −
A3004 )が圧倒的に使われている。この素材は、素材の
加工性を向上させるために表面に適度の粒径の金属間化
合物を析出させる等の工夫がなされているため、素材コ
ストがかなり高くなってしまっている。このため、この
素材に限定されずに、安いコストで製造できる潤滑性に
優れたアルミニウム系素材が望まれているのである。
【0004】製缶工程での潤滑剤や洗浄工程を省略する
システムも考案され実用化されている。これは、TFS
(Tin Free Steel)にポリエステル系フィルムをラミネ
−トし、ストレッチドロ−にて製缶する方法である。ス
チ−ルでは既に実用化されているが、素材をアルミニウ
ムにした場合には実用化されていない。このためポリエ
ステル系フィルムをラミネ−トし成型しても良好に加工
され、フィルムとの密着性を損なわない潤滑性に優れた
アルミニウム系素材も同様に望まれているのである。
【0005】このような、潤滑性に優れた皮膜を被覆し
たアルミニウム系素材としては種々のものが考案されて
いる。例えば、アルミニウム合金素材にクロメ−ト皮膜
を施し、ウレタン樹脂とポリオレフィンワックスから成
る塗膜を有する「プレス成形性に優れた表面処理アルミ
ニウム合金板(特開平4−268038号)」、アルミ
ニウム合金材にクロメ−ト皮膜を施し、ウレタン樹脂を
ベ−スとしワックスを配合した塗膜を有する「アルミニ
ウムまたはアルミニウム合金表面への複合皮膜形成方法
(特開平6−55137号)」、アルミニウム材に陽極
酸化皮膜にて潤滑性を付与する「アルミニウム材の曲げ
加工方法(特開平3−66418号)」、アルミニウム
材にオレフィンと不飽和カルボン酸との共重合体のアン
モニウム塩からなる水溶性熱可塑性高分子樹脂塗膜を有
する「絞り加工用アルミニウム板材(特公昭62−41
467号)」等に開示されている技術が挙げられる。し
かし、発明者らの試験結果では、これらの公報に開示さ
れたクロメ−ト皮膜単独またはクロメ−ト皮膜に樹脂被
覆した技術では、高度のしごき成形は達成されない。ま
た、陽極酸化皮膜は皮膜がやや硬く、加工時に皮膜が破
壊されやすく、厳しい加工にはあまり耐えられず、ま
た、その後の耐食性が充分でないと言った問題を有して
いる。このため、広く種々の加工用途に対応できる潤滑
性に優れたアルミニウム系素材が望まれているのであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術の有
する前記問題点を解決するためのものであり、より具体
的には、絞り加工や絞りしごき加工、ストレッチドロ−
加工など厳しい加工工程において要求される優れた潤滑
性を有する複合皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニ
ウム合金材およびその製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来
技術の抱える問題点を解決するための手段について鋭意
検討した。その結果、アルミニウム材またはアルミニウ
ム合金材の表面に、特定の直径、特定の粒子密度の金属
微粒子が存在する皮膜を形成させ、さらに特定の皮膜厚
の有機皮膜を被覆した複合皮膜被覆アルミニウム材また
はアルミニウム合金材およびその製造方法に関する発明
を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、アルミニウム材また
はアルミニウム合金材の表面に、直径が0.1〜10μ
m、粒子密度が103 〜107 個/mm2 のアルミニウ
ム以外の金属微粒子、好ましくはクロム微粒子が存在す
る皮膜と皮膜厚が5〜500nmの有機皮膜、好ましく
は下記一般式(1)の重合体皮膜とを有し、該有機皮膜
の全付着量がカ−ボンとして5〜500mg/m2 であ
り、且つ、該有機皮膜がアルミニウム材またはアルミニ
ウム合金材の面積の80%以上を被覆していることを特
徴とする潤滑性に優れた複合皮膜被覆アルミニウム材ま
たはアルミニウム合金材に関する。後述するように、金
属微粒子の他に金属の酸化物、水酸化物が微粒子として
析出しあるいは微粒子表面に層状に析出する場合があ
る。上記微粒子の直径及び個数の算出においてはこれら
(水)酸化物の粒子も金属微粒子と同等に扱うものとす
る。したがって、以下の説明において、記述を簡潔にす
るために単に「金属微粒子」として表記することもある
が、これは場合により析出する(水)酸化物も含むもの
と理解されたい。金属微粒子を有する皮膜の全金属換算
付着量が5〜500mg/m2 であることが好ましい。
【0009】
【化1】
【0010】化学式(I)において、Xは水素、水酸
基、C1 〜C5 のアルキル基あるいはヒドロキシアルキ
ル基もしくはC6 〜C12のアリ−ル基、ベンジル基、ベ
ンザル基あるいはベンゾ基である。Yは水素およびZで
あり、Zは必ず導入されており、その導入率は芳香環1
ケ当たり0.2〜1.0である。Zは次の化学式(I
I)で示されるものである。
【0011】
【化2】
【0012】但し、化学式(II)において、R1 ,R
2 は、それぞれ互いに独立に、水素原子、C1 〜C10
ルキル基、または、C1 〜C10ヒドロキシアルキル基か
ら選ばれた1員を表す。ここで、前記(I)式の重合体
のXは(III)式で示されるものが好ましい。
【0013】
【化3】
【0014】但し、化学式(III)において、R3
4 は、それぞれ互いに独立に、水素原子、C1 〜C10
アルキル基、または、C1 〜C10ヒドロキシアルキル基
から選ばれた1員を表す。Yは水素または化学式(I
I)である。
【0015】さらに、前記有機皮膜中にリン酸化合物、
縮合リン酸化合物、リン酸ジルコニウム化合物およびリ
ン酸チタン化合物から選ばれる少なくとも1種のリン化
合物が含有されていることが好ましい。また前記有機皮
膜中にシランカップリング剤が含有されていることが好
ましい。
【0016】また、本発明はアルミニウム材またはアル
ミニウム合金材の表面に、陰極電解法または無電解法に
よって直径が0.1〜10μmでかつ粒子密度が103
〜107 個/mm2 の金属微粒子ならびに場合により該
金属の酸化物及び水酸化物の微粒子を被覆させ、さらに
皮膜厚が5〜500nmの有機皮膜を反応型処理もしく
は塗布型処理により被覆させることを特徴とする潤滑性
に優れた複合皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニウ
ム合金材の製造方法に関するものである。
【0017】以下、本発明の潤滑性を有する複合皮膜被
覆アルミニウム材またはアルミニウム合金材およびその
製造方法について詳しく説明する。本発明で適用する素
材としてはアルミニウム系素材である純アルミニウム材
またはアルミニウム合金材が使用される。工業的に成型
品として使用する場合には、薄肉で強度が必要となるの
で、アルミニウム−マンガン合金、アルミニウム−マグ
ネシウム合金のような強度が高い合金が最適である。
【0018】本発明のアルミニウム材またはアルミニウ
ム合金材の表面には金属微粒子から成る皮膜と有機化合
物を主成分とする皮膜層の複合皮膜が必須成分として存
在する。複合皮膜において金属微粒子直径、微粒子密
度、有機皮膜厚は潤滑性を左右するために極めて重要で
ある。この複合皮膜をアルミニウム表面に形成させるた
めの表面処理液および表面処理方法は特に限定されるも
のではないが、実用上好ましい製造方法は後述する。
【0019】本発明において、アルミニウム表面の金属
微粒子の直径は0.1〜10μmの範囲が好ましい。よ
り好ましくは0.5〜3μmの範囲である。なお、金属
微粒子径の下限は0.1μmであるが、これ未満の粒子
が混在しても問題はない。実際にはこのような粒子も析
出していると思われる。しかし、微粒子同志の凝集や発
明者が使用した電子顕微鏡の分解能等により、見かけ上
0.1μm以上の微粒子しか観察されなかったのであ
る。このように、観察が可能な0.1μm以上の径の粒
子が存在した時に、潤滑性向上の効果が見られたため下
限を0.1μmと設定したのである。また、粒子直径が
10μmを超えると微粒子の形状は塊状となり脆い部分
を有するものとなって、有機皮膜を被覆させた複合皮膜
自体の潤滑性が低下するので好ましくない。
【0020】アルミニウム材表面の金属微粒子密度は1
3 〜107 個/mm2 の範囲に限定される。より好ま
しくは104 〜105 個/mm2 の範囲である。金属微
粒子密度が103 個/mm2 未満の場合、潤滑性、特に
耐荷重性が低くなり適切でない。また、107 個/mm
2 を超える場合は、連続膜に近い被覆状態となって有機
皮膜を被覆させた複合皮膜自体の密着性が低下するので
好ましくない。粒子密度は、粒子個数や粒子直径と同様
に電子顕微鏡にて観察する。
【0021】金属微粒子の直径と密度から決定される金
属微粒子の全金属換算での付着量は5〜500mg/m
2 の範囲が好ましい。より好ましくは50〜300mg
/m2 の範囲である。付着量が5mg/m2 未満の場
合、潤滑性、特に耐荷重性が低くなるので適切でない。
また、500mg/m2 を超える場合、連続膜に近い被
覆状態となって有機皮膜を被覆させた複合皮膜自体の密
着性が低下するので好ましくない。
【0022】本発明の複合皮膜被覆アルミニウム材また
はアルミニウム合金材に適用する金属微粒子の金属種
は、好ましくはクロム、鉄、銅、コバルト、ニッケル、
亜鉛、錫、金、銀等の金属、並びにこれらの合金等であ
って、アルミニウム以外であれば特に種類は限定されな
い。工業的な生産性、コスト等を勘案するとクロムが比
較的使いやすい。
【0023】また、本発明の複合皮膜被覆アルミニウム
材またはアルミニウム合金材は金属微粒子の皮膜と、皮
膜厚が5〜500nmの有機皮膜とで被覆されている。
より好ましい皮膜厚さは50〜300nmの範囲であ
る。この厚さが5nm未満では優れた潤滑性が得られ
ず、またそれが500nmを超えると複合皮膜の色調を
損ねたりし問題がある場合が多い。この有機皮膜の全付
着量はカ−ボンとして5〜500mg/m2 の範囲であ
ることが必要であり、より好ましくは50〜200mg
/m2 の範囲である。付着量が5mg/m2 未満では優
れた潤滑性が得られず、またそれが500mg/m2
超えると複合皮膜の色調を損ねたりし問題がある場合が
多い。また、該有機皮膜がアルミニウム材またはアルミ
ニウム合金材の面積の80%以上を被覆していることが
必要である。より好ましくは90%以上である。80%
未満の被覆率では加工後の被覆材表面に微細なキズが発
生しやすい。
【0024】次に本発明で特定されている全金属付着
量、カ−ボン付着量、皮膜の皮膜厚さおよび被覆率の測
定方法について以下に説明する。全金属付着量は市販の
蛍光X線分析装置にて定量する。金属の付着量が既知で
付着量の異なるサンプルを複数測定し、この際の強度よ
り、強度−付着量の検量線を作成する。同様の条件で本
発明の複合皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニウム
合金材を適当なサイズ(φ3cm程度)に切り出し測定す
る。この測定強度を前述の検量線に基づき全金属付着量
に換算する。
【0025】カ−ボン付着量は市販の表面炭素分析装置
を用い測定する。先ず本発明の複合皮膜被覆アルミニウ
ム材またはアルミニウム合金材を適当なサイズ(20〜
50cm2 程度)に切り出しサンプルとする。表面炭素分
析装置はサンプルを昇温し、表面に存在する炭素を酸化
しガス化して、このガスをIR(赤外線吸収)にて定量
する原理となっている。測定条件は表面の炭素を酸化し
ガス化させる条件であればよいが、一般に500℃−5
分程度の条件で測定することが好ましい。
【0026】皮膜厚、被覆率は市販のXPS(X線光電
子分光分析)装置にて定量する。XPSとはサンプルを
超高真空(10-5Pa以下)にてX線で励起し、この際
に放出される光電子を分析する装置である。この光電子
の強度と感度係数より表面に存在する原子の比率を計算
することができる。なお、定量計算方法はすでに確立さ
れたものであり、プログラムとして市販されている。大
気にさらされたサンプルは必ず何らかの汚染を受けてい
る。このため、大気中にて清浄にしたサンプルでもXP
Sで分析すると最表面にはカ−ボン等の汚染物が検出さ
れる。この影響を除去するため、本発明で定義する被覆
率算出には、最表面をアルゴンで若干スパッタリング
(2nm)してから分析を行っている。すなわち、XP
S分析装置に併設されている市販のアルゴンスパッタリ
ングガンを用い、表面を2nmスパッタリングし汚染物
を除去した後にX線で表面を励起し光電子を分析した。
X線で励起した後、ワイドスキャンと呼ばれる分析を行
い、先ず、表面に存在する原子の定性を行った。通常、
本発明の複合皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニウ
ム合金材で検出される元素は炭素、酸素、リン、アルミ
ニウムが主である。定性にて測定された元素について定
量計算を行い、これよりアルミニウムの原子%であるA
を算出する。このアルミニウムの原子%であるAを用い
被覆率を次の数式(1)により計算した。 被覆率=100−A ・・・・・(1)
【0027】皮膜厚さは前述のアルゴンスパッタリング
ガンを用い測定する。皮膜厚さが既知(透過電子顕微鏡
等で測定)の皮膜厚が異なるサンプルを複数測定する。
アルゴンスパッタリング−光電子分析を数回に分けて繰
り返す。上記被覆率が40原子%となるまでを皮膜が存
在したと定義し、これに要したスパッタリングの積算時
間と皮膜厚の検量線を作成する。そして、本発明の複合
皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニウム合金材を分
析し、被覆率が40原子%となるまでのスパッタリング
積算時間と先の検量線より皮膜厚を算出する。
【0028】本発明に適用する有機皮膜は潤滑性を付与
する目的で施され、その構造は特に限定されるものでは
ない。しかしながら、工業的には、安価で且つ安全なも
のが求められており、これを考慮したものが望ましい。
好ましい有機物として式(I)に示される重合体が挙げ
られる。
【0029】
【化1】
【0030】式(I)において、Xは水素、水酸基、C
1 〜C5 のアルキル基あるいはヒドロキシアルキル基も
しくはC6 〜C12のアリ−ル基、ベンジル基、ベンザル
基あるいはベンゾ基である。Yは水素およびZであり、
Zの導入率は芳香環1ケ当たり0.2〜1.0である。
Zは次の化学式(II)で示されるものである。
【0031】
【化2】
【0032】但し、式(II)において、R1 ,R2
は、それぞれ互いに独立に、水素原子、C1 〜C10アル
キル基、または、C1 〜C10ヒドロキシアルキル基から
選ばれた1員を表す。
【0033】そして、前記重合体のXが化学式(II
I)で示されるものが好ましい。
【0034】
【化3】
【0035】但し、化学式(III)中、R3 ,R4
は、それぞれ互いに独立に、水素原子、C1 〜C10アル
キル基、または、C1 〜C10ヒドロキシアルキル基から
選ばれた1員を表す。化学式(I)において、Xは水
素、水酸基、C1 〜C5 のアルキル基あるいはヒドロキ
シアルキル基もしくはC6 〜C12のアリ−ル基、ベンジ
ル基、ベンザル基、ベンゾ基あるいは化学式(III)
で示されるものである。ここで、C6 以上のアルキル
基、ヒドロキシアルキル基あるいはC13以上のアリ−ル
基、ベンジル基、ベンザル基では樹脂がバルキ−となり
立体障害を引き起こし耐食性、密着性に優れた緻密な皮
膜にならない。
【0036】Yは水素原子、または、化学式(II)に
より表されるZ基である。化学式(II)において、R
1 ,R2 は、それぞれ互いに独立に、水素原子、C1
10アルキル基、または、C1 〜C10ヒドロキシアルキ
ル基から選ばれた1員を表す)を表す。C11以上では官
能基がバルキ−すぎて皮膜が粗くなり耐食性が低下す
る。前記重合体分子のベンゼン環に結合しているZ基の
置換数の平均値は0.2〜1.0である。例えば、化学
式(I)のnが10の高分子でXが化学式(III)の
場合(芳香環は20個)にZが10個導入されていれ
ば、導入率は0.5である。導入率が0.2未満では樹
脂と素材もしくは金属微粒子との密着が悪く加工後にパ
ウダリングしやすくなるという問題がある。導入率が1
以上ではバルキ−すぎて皮膜が粗となり複合皮膜全体の
耐食性が低下する。
【0037】また、加工後の塗料やラミネ−トフィルム
との密着性を高めるために前記有機皮膜中にリン酸化合
物、縮合リン酸化合物、リン酸ジルコニウム化合物およ
びリン酸チタン化合物から選ばれる少なくとも1種のリ
ン化合物が含有されていてもよい。さらに、同様の目的
でビニルエトキシシラン、γ- アミノプロピルトリエト
キシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランおよびγ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシランから選ばれる少なくとも1種のシランカップ
リング剤が含有されていてもよい。
【0038】次いで本発明の複合皮膜被覆アルミニウム
材またはアルミニウム合金材の製造方法について記載す
る。先ず、アルミニウム材またはアルミニウム合金材に
金属微粒子の皮膜層を形成させる。対象となるアルミニ
ウム系素材は、板、シ−ト、コイル、管、線、形状物等
その形状および加工法に特に限定されるものではない。
金属微粒子を素材に付着させる方法は、特に限定はされ
ないが、工業的には陰極電解法によって表面に金属微粒
子を電析させる方法が好ましい。金属微粒子の粒径や密
度の制御は、陰極電解法の場合には電解液および電流密
度の制御で行われる。つまり、初期析出核数の制御が、
被覆された金属微粒子の密度と非常に相関性が高いこと
を示している。所定の初期析出核数を決定する電流密度
は、電解液の種類、液温度、流速等の処理条件および被
覆される素材の酸化膜等の表面状態によって適正値が異
なるため、各々の条件で決定する必要がある。
【0039】アルミニウム系金属表面に金属微粒子を付
着させる方法として、金属種がクロムの場合を例にとっ
て説明する。クロムの供給源としては特に限定するもの
ではないが、6価のクロムイオンを用いる場合は、無水
クロム酸4〜300g/L、硫酸0.04〜3g/Lを
含有する、pH2.0以下の酸性水溶液、あるいはさら
に金属錯フッ化物を添加した酸性水溶液を用いるのが好
ましい。電解条件については、特に限定はしないが浴温
40〜60℃の温度管理を行い、電流密度0.5〜60
A/dm2 にて処理を行うのが好ましい。処理時間は目
標の金属微粒子の被覆状態によって決定される。性能面
から、全クロム付着量は5〜500mg/m2 にするの
が好ましい。前記のような6価クロム浴を用いた場合に
は、電流密度1〜2A/dm2 程度で、電解時間10〜
120秒程度で陰極電解すれば、所定の被覆状態で5〜
500mg/m2 のクロム付着量を得ることができる。
【0040】金属微粒子を付着させる方法としては、陰
極電解法が最も制御が簡易で確実である。しかし、その
方法が限定されるものではない。例えば、素材より貴な
金属イオンを含有する溶液とアルミニウム系金属表面を
接触させることにより、アルミニウムと目的金属の置換
により後者を微粒子として析出する方法も可能である。
発明者らの実験結果では、置換析出させた金属微粒子の
粒径は0.5μm程度が限界であり、これ以上はミクロ
セルによる核数の増加が優先されて、ついには小粒径で
かつ107 個/mm2 を超える密度となってしまう。し
かし、初期析出核を得るための置換析出液に、いわゆる
化学めっき液のように還元剤を併用させた液を使用して
析出を行うと、電解析出させたと同様に本発明の目的と
する金属微粒子が被覆された状態が得られるのである。
もちろん、化学めっきに先だって、パラジウム等の還元
触媒微粒子を置換析出させても同様の効果が得られる。
【0041】アルミニウム表面に付着する金属は、金属
状態の微粒子のほかに付着条件によっては金属の酸化物
及び水酸化物の形態で存在する場合がある。表面処理液
中の金属イオンが陰極電解で析出する際に、電位的に金
属状態まで十分に還元されない場合、金属微粒子として
成長せずに金属の酸化物及び水酸化物の形で被覆層が形
成される。この層は、さらに有機皮膜を被覆させたとき
の耐食性および密着性を向上させる作用があるが、この
付着量が多いときには着色するので、外観色が制限され
る用途では、できるだけ金属の酸化物及び水酸化物の層
の形成を少なくする必要がある。
【0042】また、酸化されやすい金属種の場合、付着
する素材表面だけでなく析出した金属微粒子の最表面に
も金属の酸化物及び水酸化物の層が形成されている。本
発明の場合、金属微粒子の金属量と酸化物及び水酸化物
の層に含まれる金属量とを分けて規定することは、分析
手法上困難である。本発明では、外観上観察される金属
微粒子の存在状態と全金属付着量とを限定することで必
要とされる総合性能を達成することができる。
【0043】金属微粒子の皮膜層にさらに有機皮膜を被
覆された表面の外観色調が、何も被覆されていない素材
と比較した色差として3.2未満になるように求められ
ている用途では、金属微粒子の被覆状態が限定される。
色差が3.2未満であれば、目視で色差を認識できない
程度の外観を示す。本発明の請求範囲を逸脱すると潤滑
性が優れ、色差が3.2未満の外観は得られない。この
請求範囲内の着色条件については、金属微粒子の大きさ
と粒子密度の両者が相関して、数値的に両者が大きい値
を示すほど着色する傾向となるが、必ずしも全てのケー
スを説明できない。この理由として、金属微粒子の形状
や分布状態の差異によって外観色調が異なるためと思わ
れる。また、金属の種類による差異および金属の酸化物
及び水酸化物の層が形成されているために着色の程度が
異なると考えられる。このような理由で、色差が3.2
未満の外観色調を有するための金属被覆条件の具体的な
範囲は個々の実験により定めることが必要である。
【0044】次いで、前記アルミニウム表面を有機皮膜
にて被覆する。有機皮膜を被覆する方法は特に限定され
るものではないが、工業的には次の2つの方法が有用で
ある。1つは塗布方法であり、有機物をロ−ルコ−トな
どにて表面に塗布するものである。例えば、化学式
(I)の重合体は酸性領域で水溶性を示すために、水溶
液として安定である。この水溶液を塗布し乾燥すれば、
有機皮膜を被覆することができる。皮膜厚やカ−ボン付
着量、被覆率はロ−ルコ−トの条件(塗布量コントロ−
ル)や水溶液の濃度などを変えることにより容易に変更
することが可能である。もう1つの方法は化成処理と呼
ばれる反応型の処理方法である。例えば、化学式(I)
の重合体の水溶液にエッチング助剤等を配合し適度なp
H(通常3〜5)に調整し、微粒子が付着したアルミニ
ウム系素材と接触させると、この素材表面がエッチング
され部分的な界面pHの上昇が起こる。この際に、重合
体が表面に析出−被覆する。通常、この後に、水洗工程
があるので未反応物は除去される。皮膜厚、カ−ボンの
付着量および被覆率は、処理液中の水溶性重合体の濃度
やエッチング助剤の濃度、処理温度、処理時間等により
調整することができる。このように反応型で処理した際
のメリットは、薄い皮膜厚で高い被覆率が得られ、且
つ、均一性のよい複合皮膜が得られることである。以下
に本発明の複合皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニ
ウム合金材に関し、幾つかの実施例を挙げ、その有用性
を比較例と対比して示す。
【0045】[アルミニウム合金材]市販のアルミニウ
ム合金板(JIS A3004 板厚:0.3mm 板
寸法:200×300mm)を市販の洗浄剤(登録商標
パルクリ−ン500:日本パ−カライジング株式会社
製)の8%水溶液を用いて温度75℃で時間20秒でス
プレ−にて洗浄し、次いで水洗し表面を清浄にした後、
試験に使用した。
【0046】[陰極電解処理または無電解処理]下記、
実施例1〜5に示す陰極電解処理または無電化処理を行
って、クロム、ニッケルまたはすずの微粒子を付着させ
た。
【0047】[有機皮膜の被覆処理]下記、実施例1〜
5に示す塗布方法または反応型処理方法にて有機皮膜を
形成した。
【0048】[金属微粒子定量方法]市販の走査型電子
顕微鏡にて表面状態を観察し、粒子直径(mm)および
粒子密度(個/mm2 )を求めた。また、市販の蛍光X
線装置にて全金属付着量(mg/m2 )を定量した。
【0049】[カ−ボン付着量測定方法]作成した有機
皮膜のカ−ボン付着量(mg/m2 )を定量した。カ−
ボンの付着量は市販の表面炭素分析装置にて定量した。
サンプルサイズは32cm2 で測定条件は500℃−5
分とした。
【0050】[被覆率および皮膜厚]作成した複合皮膜
の状態を市販のXPS(X線光電子分光分析)装置にて
分析した。励起X線としてMgを用い、条件は8kV−
30mAとした。試料のサイズはφ5mmとした。最表面
を2nmスパッタリングし定性分析を行った。この際検
出された元素を定量計算し前述の数式(1)に従い算出
した。また、XPS分析装置に市販のアルゴンスパッタ
リングガンを併設し、スパッタリングにて皮膜を破壊除
去した。スパッタリングの条件は600V−50mAと
した。この際のスパッタリング時間より前述の方法にて
皮膜厚(nm)を換算した。
【0051】[評価方法]潤滑性 アルミニウム合金材を絞りしごき加工した。この際、破
断したものを”×”、破断はしないものの表面にキズが
はいったものを”△”、キズなしを”○”にて評価し
た。○と判断したものについて次の耐食性評価を行っ
た。
【0052】耐食性 絞りしごき加工により成形された缶体を水道水の沸騰水
に30分浸漬した。この際の外観変化より耐食性を評価
した。耐食性が低いものは黒色に変色する。試験後のサ
ンプルの黒変なしを”○”、一部黒変を”△”、全面黒
変を”×”で示した。
【0053】フィルム密着性 本発明の複合皮膜被覆アルミニウム合金材にポリエステ
ル系フィルム(厚さ:30μm)をラミネ−トした。そ
の後、これを絞りしごき加工した。これを、更に脱イオ
ン沸騰水に30分間浸漬した。浸漬後のフィルムの付着
状態より密着性を評価した。素地との剥離が全くないも
のを”○”、一部剥離を”△”、全面剥離を”×”とし
て評価した。
【0054】実施例1 電解液1にて陰極電解処理を行った。次いで、表面処理
液1を用い塗布にて有機皮膜を形成させた。
【0055】電解液1 Cr23 :40.0g/L H2 SO4 :0.4g/L pH1.0 温度:40℃ 電流密度:2A/dm2 電解時間:30秒表面処理液1 水溶性重合体1固形分:2.0g/L pH 6.0(リン酸で調整) 水溶性重合体1(化学式(I)による) X=水素 Y=−CH2 N(CH32 導入率=0.50
【0056】実施例2 電解液2にて陰極電解処理を行った。次いで、表面処理
液2を用い塗布にて有機皮膜を形成させた。 電解液2 Cr2 (SO43 :390.0g/L (NH4224 ・H2 O:113.0g/L (NH42 SO4 :132.0g/L pH1.0 温度:40℃ 電流密度:2A/dm2 電解時間:200秒表面処理液2 水溶性重合体2固形分:0.5g/L pH 6.0(リン酸で調整) 水溶性重合体2 X=−C(CH32 −C64 −OH Y=−CH2 N(CH32 導入率=1.0
【0057】実施例3 実施例1と同様に電解液1にて陰極電解処理を行った。
次いで、表面処理液3を用い反応型にて有機皮膜を形成
させた。処理後、表面を水洗−脱イオン水洗し、乾燥し
た。表面処理液3 HF:0.05g/L H3 PO4 :2.0 g/L Na427 ・10H2 O:2.0 g/L 水溶性重合体3固形分:5.0 g/L pH 4.0(水酸化ナトリウムで調整) 水溶性重合体3 X=−C(CH32 −C64 −OH Y=−CH2 N(CH2 CH2 OH)2 導入率=0.75 処理温度:45℃ 処理時間:20秒
【0058】実施例4 電解液3にて陰極電解処理を行った。次いで、表面処理
液3を用い反応型にて有機皮膜を形成させた。処理後、
表面を水洗−脱イオン水洗し、乾燥した。電解液3 SnSO4 :40.0g/L H2 SO4 :60.0g/L クレゾ−ルスルホン酸:40.0g/L ゼラチン:2.0g/L β−ナフト−ル:1.0g/L pH1.0 温度:20℃ 電流密度:1A/dm2 電解時間:2秒
【0059】実施例5 置換析出液と無電解液にて無電解処理を行った。次い
で、表面処理液4を用い塗布型にて有機皮膜を形成させ
た。置換析出液 PbCl2 :1.0g/L 36%HCl:0.1mL/L 室温−1分浸漬無電解液 NaH2 PO2 ・H2 O:16.0g/L (NH42 SO4 :66.0g/L Na3657 ・2H2 O:59.0g/L NiSO4 ・6H2 O:26.0g/L pH9.0(NaOHにて調整) 90℃−10秒浸漬表面処理液4 水溶性重合体1固形分:2.0g/L H2 ZrF6 :0.2g/L H3 PO4 :0.1g/L γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:0.0
5g/L pH 6.0(アンモニア水で調整)水溶性重合体4 X=−CH2 −C64 −OH Y=−CH2 N(CH32 導入率=0.50
【0060】比較例1 実施例1と同様に電解液1にて陰極電解処理を行った。
ただし、有機皮膜で被覆していない。
【0061】比較例2 電解処理を行わず、実施例1と同様に表面処理液1にて
有機皮膜のみで被覆した。
【0062】比較例3 電解液1にて陰極電解処理を行った。電解条件は変更し
た。次いで、表面処理液1を用い塗布にて有機皮膜を形
成させた。
【0063】 電流密度:50A/dm2 電解時間:20秒
【0064】比較例4 電解液1にて陰極電解処理を行った。電解条件は変更し
た。次いで、表面処理液1を用い塗布にて有機皮膜を形
成させた。 電流密度:0.2A/dm2 電解時間:100秒
【0065】比較例5 実施例1と同様に電解液1にて陰極電解処理を行った。
次いで、表面処理液5を用い反応型にて有機皮膜を形成
させた。処理後、表面を水洗−脱イオン水洗し、乾燥し
た。
【0066】表面処理液5 HF:0.05g/L H3 PO4 :2.0g/L Na427 ・10H2 O:0.5g/L 水溶性重合体3固形分:5.0g/L pH 3.0(水酸化ナトリウムで調整)水溶性重合体3 X=−C(CH32 −C64 −OH Y=−CH2 N(CH32 導入率=1.5 処理温度:50℃ 処理時間:30秒
【0067】上記実施例1〜5および比較例1〜5の金
属微粒子の粒子直径、粒子密度、全金属付着量、有機皮
膜の皮膜厚、カ−ボン付着量、被覆率を表1に示す。ま
た、評価結果を表1に合わせ示す。
【0068】
【表1】
【0069】表1の結果より明らかなように、本発明の
複合皮膜被覆アルミニウム合金材を用いた実施例1〜5
は、潤滑性、耐食性、密着性とも全て優れていることが
わかる。一方、金属微粒子のない比較例1、電解処理を
省いた比較例2、金属微粒子が大きく多い比較例3、金
属微粒子の付着が少ない比較例4および水溶性重合体の
置換率が高い表面処理液を用いた比較例5では、潤滑
性、耐食性および密着性を満足することができないこと
がわかる。
【0070】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
に係わる複合皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニウ
ム合金材により、潤滑性、耐食性および密着性に優れた
材料を提供できるという優れた効果を奏する。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム材またはアルミニウム合金
    材の表面に、直径が0.1〜10μm、粒子密度が10
    3 〜107 個/mm2 のアルミニウム以外の金属微粒子
    ならびに場合により該金属の酸化物および水酸化物の微
    粒子が存在する皮膜と皮膜厚が5〜500nmの有機皮
    膜とを有し、該有機皮膜の全付着量がカ−ボンとして5
    〜500mg/m2 であり、且つ、該有機皮膜がアルミ
    ニウム材またはアルミニウム合金材の面積の80%以上
    を被覆していることを特徴とする潤滑性に優れた複合皮
    膜被覆アルミニウム材またはアルミニウム合金材。
  2. 【請求項2】 前記金属微粒子および場合により該金属
    の酸化物および水酸化物の微粒子が存在する皮膜の全金
    属換算での付着量が5〜500mg/m2 である請求項
    1記載の潤滑性に優れた複合皮膜被覆アルミニウム材ま
    たはアルミニウム合金材。
  3. 【請求項3】 前記金属がクロムである請求項1または
    2記載の潤滑性に優れた複合皮膜被覆アルミニウム材ま
    たはアルミニウム合金材。
  4. 【請求項4】 前記有機皮膜が下記一般式(1)で示さ
    れる重合体である請求項1から3までの何れか1項記載
    の潤滑性に優れた複合皮膜被覆アルミニウム材またはア
    ルミニウム合金材。 【化1】 (但し化学式(I)において、Xは水素、水酸基、C1
    〜C5 のアルキル基あるいはヒドロキシアルキル基もし
    くはC6 〜C12のアリ−ル基、ベンジル基、ベンザル基
    あるいはベンゾ基である。Yは水素および下記化学式
    (II)で表されるZであり、Zの導入率は芳香環1ケ
    当たり0.2〜1.0である。 【化2】 (但し、化学式(II)において、R1 ,R2 は、それ
    ぞれ互いに独立に、水素原子、C1 〜C10アルキル基、
    または、C1 〜C10ヒドロキシアルキル基から選ばれた
    1員を表す。)
  5. 【請求項5】 前記重合体中のXが化学式(III)式
    で示されるものである請求項4記載の潤滑性に優れた複
    合皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニウム合金材。 【化3】 (但し、化学式(III)において、R3 ,R4 は、そ
    れぞれ互いに独立に、水素原子、C1 〜C10アルキル
    基、または、C1 〜C10ヒドロキシアルキル基から選ば
    れた1員を表す。Yは水素または前記化学式(II)で
    ある。)
  6. 【請求項6】 前記有機皮膜中にリン酸化合物、縮合リ
    ン酸化合物、リン酸ジルコニウム化合物およびリン酸チ
    タン化合物から選ばれる少なくとも1種のリン化合物が
    含有されている請求項1から5までの何れか1項記載の
    潤滑性に優れた複合皮膜被覆アルミニウム材またはアル
    ミニウム合金材。
  7. 【請求項7】 前記有機皮膜中にシランカップリング剤
    が含有されている請求項1から6までの何れか1項記載
    の潤滑性に優れた複合皮膜被覆アルミニウム材またはア
    ルミニウム合金材
  8. 【請求項8】 前記アルミニウム合金材がアルミニウム
    −マンガン合金またはアルミニウム−マグネシウム合金
    である請求項1から7までの何れか1項記載の潤滑性に
    優れた複合皮膜被覆アルミニウム材またはアルミニウム
    合金材。
  9. 【請求項9】 4アルミニウム材またはアルミニウム合
    金材の表面に、陰極電解法または無電解法によって直径
    が0.1〜10μmでかつ粒子密度が103〜107
    /mm2 のアルミニウム以外の金属微粒子ならびに場合
    により該金属の酸化物および水酸化物の微粒子を付着さ
    せ、さらに皮膜厚が5〜500nmの有機皮膜を反応型
    処理もしくは塗布型処理により被覆させることを特徴と
    する潤滑性に優れた複合皮膜被覆アルミニウム材または
    アルミニウム合金材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005298558A (ja) * 2004-04-07 2005-10-27 Shin Etsu Chem Co Ltd マグネシウム合金接着用オルガノポリシロキサン組成物
JP2007076012A (ja) * 2005-09-09 2007-03-29 Toyo Seikan Kaisha Ltd 耐食性、密着性に優れる樹脂被覆シームレスアルミニウム缶
JP2008184690A (ja) * 2002-12-24 2008-08-14 Nippon Paint Co Ltd 塗装前処理方法

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