JPH1034009A - 磁気分離装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気分離後の汚泥を高速で、低コストで、有効
利用できる浄化装置を提供する。 【解決手段】磁気分離の凝集剤として、硫酸第二鉄系化
合物を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は磁気分離装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】高勾配電磁フィルタに外部から印加する
磁場発生装置は、直流電源による電磁石を用いる。この
構造は化学工学，第４５巻，第４号（１９８１年）第２
３５頁から２３９頁に記載されている。高勾配電磁フィ
ルタを鉄製のヨークで囲み、磁力線の通路にしてその漏
洩の防止を兼ねている。その内側にコイルが、更に中央
部に高勾配電磁フィルタ部が配置されており、フィルタ
容器の中には多数の孔が開いた磁極が高勾配電磁フィル
タ部を挟んで上下に対置している。高勾配磁気フィルタ
は磁性細線で構成され、金網状の磁性ステンレス細線を
充填している。このように均一な磁場内に、曲率半径の
極めて小さな部分を持つ磁性細線を配置することによっ
て、細線表面近くで局部的な磁場の疎密ができ大きな磁
気勾配が発生する。

【０００３】水処理する原水には、磁気分離工程への前
処理として、例えば、四酸酸化鉄等の磁性粉を加え、原
水中の固形浮遊物や藻類等の植物プランクトン，動物プ
ランクトン，菌類，微生物と磁性粉を結合させるために
凝縮剤を加えて撹拌する。凝縮剤によって磁性粉を加
え、原水中の固形浮遊物や藻類等の植物プランクトン，
動物プランクトン，菌類，微生物はコロイド状の磁性を
持った磁性フロックとなる。これらのフロックは高勾配
磁気フィルタを通過する際に磁性細線表面に吸引され原
水中から分離される。凝縮剤は、硫酸アルミニウム水溶
液やポリ塩化アルミニウムや塩化鉄等を使用する。

【０００４】高直勾配磁気フィルタの運転操作基本フロ
ーを図１に示す。

【０００５】貯水池１の原水は導水管２から大きなごみ
を取るためのフィルタ３を通してポンプ４で原水貯槽５
に一旦蓄えられ、原水６に、薬剤注入装置７から四酸酸
化鉄の磁性粉と凝集剤を導管８を通じて加え、撹絆槽９
でモータ１０で回転する撹絆機１１で撹絆し、磁性フロ
ックを含む前処理水１２を製造する。前処理水１２は弁
１３を通じ導水管１４を通り磁気分離容器１５内に流入
する。

【０００６】空心コイル１６に直流電源装置１７から直
流電源を流す。直流電流に比例した磁場が、円筒状の磁
気分離容器１５内に発生し、磁場は通水用の多孔磁極１
８によって均一化され、鉄製のヨーク１９で囲み、磁力
線の通路としてその漏洩を防止する。均一化された磁場
によって、高勾配磁気フィルタ２０の磁性細線充填物を
磁化する。磁気分離容器１５内の磁場は、磁化された磁
性細線充填物のために乱れを生じ、局部的に磁束の疎密
ができ、高磁場勾配となる部分が多数発生する。磁性フ
ロックを含んだ前処理水１２を下方から上向流で送水す
ると、原水中の磁性フロックは充填物の磁性細線表面
に、大きな磁力で捕捉され、浄化された原水は処理水と
して弁２１，導水管２２を通り処理水槽２３に一旦蓄え
られ、導水管２４を通じて貯水池１に戻される。

【０００７】磁性フロックが一定量高勾配磁気フィルタ
２０に捕捉された後、磁気分離の性能を回復させるため
に、フィルタの逆洗が行われる。逆洗は、先ず、弁１３
を閉じ前処理水１２の送水を止める。次に、直流電源を
切り、磁場をなくした後高勾配磁気フィルタ２０の上部
から弁２１を通じて処理水を所定の量逆流させ弁２５を
開く。また、この時、空気タンク２６から弁２７，導管
２８を通じて空気を供給しエヤーバブリングを行いなが
ら磁性細線表面に付着した磁性フロックを洗浄除去し、
洗浄水を逆洗処理水槽２９に蓄える。この洗浄水は別途
逆洗処理水槽２９から運び出され、埋め立て地等に廃棄
されたり、焼却される。

【０００８】この後、弁２５，弁２７を閉じ、再び空心
コイル１６に直流電源装置１７から直流電源を流し、弁
２７を開いて磁気分離を再開する。このフィルタの逆洗
の間、原水の浄化は行われない。逆洗が行われる周期
は、原水中の磁気分離浄化物の濃度，薬剤の注入量，原
水の処理速度によって異なる。

【０００９】汚泥処理における洗浄水の脱水方法につい
ては、遠心分離方法による脱水工程が特開昭60−244390
号公報に開示されているが、脱水処理に遠心分離機を使
用する場合、凝集剤に密度が小さい硫酸アルミニウム等
のアルミニウム化合物を使用する場合は、磁性凝集体の
密度が小さくなり、効率的に分離脱水できず、脱水後の
焼却燃料もより多く必要となり、汚泥処理費用が増加す
る問題がある。

【００１０】また、凝集剤に密度が大きい塩化第二鉄を
使用する場合は、この汚泥中に腐食性が強い塩素イオン
があり、これによって遠心分離機が腐食で破損する等の
問題があり、遠心分離機の補修費用が増加し汚泥処理費
用が増加する問題がある。

【００１１】また、磁性凝集体からの磁性粉の回収方法
については、特開昭60−61979 号公報に開示されている
が、本公知例では原水から分離した磁性凝集体を燃焼
し、凝集体内の藻類等の有機物を燃焼分解させる方法が
開示されている。しかし、凝集剤にアルミニウム化合物
を使用する場合は、アルミニウムと磁性粉が焼結しこの
焼結体の硬度が高くなり、磁性粉を回収した後、磁気分
離用の粒子径数十ミクロンの磁性粉として再利用する場
合、微細化が困難となり再利用できる磁性粉の量が減少
し、汚泥処理費用が増加する問題がある。

【００１２】さらに微細化した磁性粉に付着したアルミ
ニウム酸化物微粉は凝縮機能は示さずこの磁性粉を原水
に混合する場合、付着したアルミニュム酸化物が原水中
に磁性粉から離脱し、磁気分離されずに浄化水とともに
放流され、鉄よりも水質許容濃度が著しく低いアルミニ
ュムで環境を汚染する問題がある。

【００１３】一方、堆肥化する場合も、アルミニウム酸
化物は変化せず、磁性粉は磁選機等で堆肥中から容易に
磁気分離できるが、アルミニウム酸化物は分離できず、
堆肥として使用できない問題がある。

【００１４】また、凝集剤に第二塩化鉄を使用する場合
は、原水から分離した磁性凝集体を燃焼する場合この汚
泥中に塩素イオンがありこれによって腐食性が強く焼却
炉を破損したり、焼却または乾燥中にトリハロメタン等
の有害塩化化合物を発生させる等の問題がある。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、近年、水処理
用磁気分離装置の浄化処理量の大容量化に伴い、磁気分
離後の汚泥処理の高速化，処理費用の低減，汚泥の有効
利用が必要となっている。本発明の目的は、磁気分離後
の汚泥を高速で、低コストで、有効利用できる浄化装置
を提供することにある。

【００１６】

【課題を解決するための手段】上記目的は、磁気分離の
凝集剤として、硫酸第二鉄系化合物を使用することによ
り達成される。

【００１７】磁気分離の凝集剤として、硫酸第二鉄系化
合物を使用することにより、磁気分離後の洗浄水の脱水
で、脱水処理に遠心分離機を使用する場合、凝集剤が鉄
系であるので磁性凝集体の密度が大きくなり、同じ遠心
力下でより効率的に高速で脱水でき、脱水後の焼却燃料
も少なくて済み、汚泥処理費用が低減できる。

【００１８】また、硫酸第二鉄系化合物を使用する場合
は、この汚泥中に腐食性が強い塩素イオンはなく、これ
によって遠心分離機が腐食で破損する等の問題はなく、
遠心分離機のメンテナンス費用が低減し汚泥処理費用が
低減する。

【００１９】また、磁性凝集体を燃焼し、凝集体内の藻
類等の有機物を燃焼分解させる場合、磁性粉と凝集剤の
鉄成分は溶融温度がほぼ同じであり、アルミニウムの溶
融温度よりはるかに高いので、燃焼後も硬度が高い焼結
体とならず、燃焼または乾燥後容易に磁性粉を回収で
き、汚泥処理費用低減できる。

【００２０】さらに回収した磁性粉に付着した鉄酸化物
微粉は、回収磁性粉を再利用する場合、原水中に磁性粉
から離脱し、磁性凝集体に取り込まれないこともある
が、この鉄酸化物微粉は磁場中で磁化され、磁気分離す
ることができ、また、磁気分離部で補足されずに浄化水
とともに放流される場合でも、アルミニウムよりも水質
許容濃度が著しく高く、環境を汚染する危険性が低くな
る。

【００２１】一方、堆肥化する場合も、鉄酸化物は土壌
中にも多く存在するので、磁性粉回収後の堆肥は使用で
きる。

【００２２】また、原水から分離した磁性凝集体を燃焼
する場合この汚泥中に塩素イオンはなく、したがって、
焼却炉を腐食破損したり、焼却または乾燥中にトリハロ
メタン等の有害塩化化合物を発生させる等の問題がなく
なる。以上の作用により、磁気分離後の汚泥を高速で、
低コストで、有効利用できる浄化装置を提供することに
ある。

【００２３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図２に
より説明する。被浄化水源例えば貯水池１の原水は導水
管２から大きなごみを取るためのフィルタ３を通してポ
ンプ４で原水貯槽５に一旦蓄えられ、この原水に、薬剤
注入装置７から四酸酸化鉄等の磁性粉とポリ硫酸第二鉄
溶液を凝集剤として加え、撹絆槽９で撹絆し、磁性凝集
体を含む前処理水を製造する。前処理水は磁気分離器３
０で磁性凝集体を分離捕捉し、浄化された原水は処理水
槽２３に貯蔵され、貯水池１に戻る。

【００２４】磁気分離器３０で捕捉された磁性凝集体
は、所定の周期で逆洗され磁性凝集体を含むその洗浄水
は逆洗処理水槽２９に貯蔵される。

【００２５】磁気分離器３０は複数個例えば２個の磁気
分離部３０ａ，３０ｂで構成され、片方が逆洗時にもう
片方は浄化運転を行い磁気分離器３０では連続的に浄化
運転を行う。

【００２６】逆洗処理水槽２９内の洗浄水は遠心分離機
３１で、洗浄用水の中から、磁性粉と凝集剤としての鉄
を含んだ比重の大きい磁性凝集体を高速で、かつ、含水
量が少ない磁性凝集体として分離し、その容積を大幅に
減少させる。分離された水は貯水池１に戻されるか、浄
化する原水に戻されるか、又は逆洗時の洗浄用水として
使用されても良い。容積が大幅に減少した磁性凝集体は
小容量の汚泥タンク３２に貯蔵できる。また、分離され
た水に異臭成分を含む場合、活性炭充填容器やオゾン発
生器を内蔵した脱臭器３１ａを設け異臭成分を除去する
事ができる。

【００２７】汚泥タンク３２内の磁性凝集体は、例えば
油を燃料とする集塵機能を有した乾燥炉３３のバーナで
更に乾燥脱水または藻類等の固形物を燃焼するために加
熱され、加熱ガスは例えば活性炭等を充填した脱臭器３
４を通り大気に放出される。

【００２８】粉砕機３５で微粒子に粉砕された後、磁性
粉を例えば永久磁石等の磁場を利用した磁性粉分離器３
６で回収し、磁気分離運転に再利用される。また、磁性
粉を除去した後の分離物は堆肥処理槽３７で堆肥化さ
れ、肥料として利用できる。

【００２９】また、原水は、動物プラクトンや植物プラ
ンクトン，有機，無機物質，重金属物質や化学物質等を
含む、海水，河川水，湖沼水，工業廃水，ごみ処理場の
雨水廃水，下水，排煙洗浄水等がある。

【００３０】また、磁気分離器３０を構成する空心コイ
ルを超電導コイルにすることにより、コイル発生磁場が
大きくなり、かつコイルを小型，軽量化できる。発生磁
場が大きくなることにより、高勾配磁気フィルタ２０に
捕捉する磁性凝集体の吸着力が大きくなり、前処理水を
高速で流しても、磁性凝集体を捕捉できることになり、
処理速度を大きくして、高速浄化が可能となる。更に
は、コイルの消費電力が大幅に低減され、給電設備が小
型，軽量化される。超電導コイルは、ニオブチタン系や
ニオブ・スズ系やニオブ・アルミニウム系やビスマス系
やタリウム系等の高温超電導系等の超電導コイルを使用
できる。さらにこの超電導コイル冷凍機で超電導磁石を
冷却する場合には、冷凍機の消費電力を低減でき、冷凍
機を小型化できる。冷凍機は、作動冷媒にヘリウム，窒
素，空気，水素，フロン系ガスを使用する機器やペルチ
ェ素子を使用した電子式の機器が使用できる。

【００３１】ガスを作動流体に使用した冷凍機の方式
は、ギフォード・マクマホン式，ソルベイ式，スターリ
ング式，パスル管式，コリンズ型膨張機式，膨張タービ
ン式，膨張弁式、これらを組み合わせた機器等が使用さ
れる。この超電導コイルは液体ヘリウムや液体窒素冷媒
で冷却されても、機械式，電子式の冷凍機で冷却されて
も、同様な効果が生じる。

【００３２】また、高勾配磁気フィルタ等のマトリック
スを使用しない磁気分離、例えば、永久磁石回転型磁気
分離方式等の磁気分離装置でも、凝集剤に本実施例と同
様な硫酸第二鉄系化合物を使用する場合、本実施例と同
様な効果が生じる。

【００３３】このように、本実施例によれば、磁気分離
後の洗浄水中の密度の大きい磁性凝集体を高速に分離で
き、洗浄水の脱水で、脱水処理に遠心分離機を使用する
場合、同じ遠心力下でより効率的に高速で脱水でき、脱
水後の焼却燃料も少なくて済み、汚泥処理費用が低減で
きる。

【００３４】また、濃縮した磁性凝集体の汚泥中に腐食
性が強い塩素イオンはなく、これによって遠心分離機が
腐食で破損する等の問題はなく、遠心分離機のメンテナ
ンス費用が低減し汚泥処理費用が低減する。

【００３５】また、磁性凝集体を燃焼し、凝集体内の藻
類等の有機物を燃焼分解させる場合、磁性粉と凝集剤の
鉄成分は溶融温度がほぼ同じであり、アルミニウムの溶
融温度よりはるかに高いので、燃焼後も硬度が高い焼結
体とならず、燃焼または乾燥後容易に磁性粉を回収で
き、汚泥処理費用低減できる。

【００３６】さらに回収した磁性粉に付着した鉄酸化物
微粉は、回収磁性粉を再利用する場合、原水中に磁性粉
から離脱し、磁性凝集体に取り込まれないこともある
が、この鉄酸化物微粉は磁場中で磁化され、磁気分離す
ることができ、また、磁気分離部で補足されずに浄化水
とともに放流される場合でも、アルミニウムよりも水質
許容濃度が著しく高く、環境を汚染する危険性が低くな
る。

【００３７】一方、堆肥化する場合も、鉄酸化物は土壌
中にも多く存在するので、磁性粉回収後の堆肥は使用で
きる。

【００３８】また、原水から分離した磁性凝集体を燃焼
する場合この汚泥中に塩素イオンはなく、したがって、
焼却炉を腐食破損したり、焼却または乾燥中にトリハロ
メタン等の有害塩化化合物を発生させる等の問題がなく
なる。以上の効果により、磁気分離後の汚泥を高速で、
低コストで、有効利用できる浄化装置を提供することが
できる。一方、磁気分離後の磁性凝集体は高効率に脱水
分離されるので、小容量のスラッジタンクに貯蔵でき
る。したがって、スラッジタンクまでの構成機器は小
型，軽量，省消費電力化ができるので、例えば船上等の
移動体に搭載できる。

【００３９】

【発明の効果】本発明によれば、磁気分離の凝集剤とし
て、硫酸第二鉄系化合物を使用することにより、磁性凝
集体の密度が大きくなり、同じ遠心力下でより効率的に
高速で脱水でき、脱水後の焼却燃料も少なくて済み、汚
泥処理費用が低減できる。また、硫酸第二鉄系化合物を
使用する場合は、この汚泥中に腐食性が強い塩素イオン
はなく、これによって遠心分離機が腐食で破損する等の
問題はなく、遠心分離機のメンテナンス費用が低減し汚
泥処理費用が低減できる。また、磁性凝集体を燃焼し、
凝集体内の藻類等の有機物を燃焼分解させる場合、磁性
粉と凝集剤の鉄成分は溶融温度が高くてほぼ同じであ
り、燃焼後も硬度が高い焼結体とならず、燃焼または乾
燥後容易に磁性粉を回収でき、汚泥処理費用が低減でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来技術の磁気分離装置の運転操作基本フロー
の説明図。

【図２】本発明の一実施例の磁気分離装置のフローの説
明図。

【符号の説明】

１５，３０…磁気分離容器、２０…高勾配磁気フィル
タ、７…薬剤注入装置、１６ａ，１６ｂ…空心コイル、
３１…遠心分離機、３３…乾燥炉、３６…磁性粉分離
器、３７…堆肥処理槽。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 穣 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 半田 文隆 茨城県土浦市神立町603番地 株式会社日 立製作所土浦工場内 (72)発明者 岡島 裕明 茨城県土浦市神立町603番地 日立土浦エ ンジニアリング株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】磁場発生用の磁石と、被処理流体中に磁性
   物質と凝集剤を加えて形成した被除去物質を含む磁性凝
   集体を前記磁石の磁場内の磁気分離部で磁気的に吸着除
   去する分離，濃縮装置において、前記凝集剤として硫酸
   第二鉄系化合物を使用することを特徴とする磁気分離装
   置。