JPH10339592A - 耐圧構造薄形プレートヒートパイプとその製造方法 - Google Patents

耐圧構造薄形プレートヒートパイプとその製造方法

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JPH10339592A
JPH10339592A JP9182926A JP18292697A JPH10339592A JP H10339592 A JPH10339592 A JP H10339592A JP 9182926 A JP9182926 A JP 9182926A JP 18292697 A JP18292697 A JP 18292697A JP H10339592 A JPH10339592 A JP H10339592A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐圧強度に富み且つ薄形のプレートヒートパ
イプを提供する。 【構成】 プレートヒートパイプの作動液コンテナを全
て対内圧強度及び耐外圧圧潰強度に優れた細径トンネル
の集合体として構成した。また細径トンネル群は全て毛
細管作用のある細径トンネルとした。プレートヒートパ
イプの肉厚は細管内作動液蒸気が発生する臨界圧力を充
分に上回る圧力に耐える程度の肉厚とした。更に熱輸送
用毛細細径トンネル群は全て平行並列としそれらの受熱
部群、放熱部群は夫々一本の細径トンネルで連結連通せ
しめた。 [効果] 厚さ4mm以下、必要によっては1mm以下
のプレートヒートパイプの製造も可能になり、内圧外圧
何れに対しても100Kg/cm以上の耐圧強度のプ
レートヒートパイプを容易に構成することが可能になっ
た。その熱輸送性能は従来のプレートヒートパイプに劣
らぬものであった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプレートヒートパイプの
構造に関するものであり、特に大きな外圧及び内圧に耐
える薄形のプレートヒートパイプの構造及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図12は従来のプレートヒートパイプ構
造の一例を示す断面説明図である。11はプレート形状
コンテナの熱量授受面、12は作動液がヒートパイプと
して作動する為の作動室、13はコンテナ平面の強度補
強の為の補強支柱、14は作動液還流及び作動液拡散の
為のウイック、15は作動液である。プレートヒートパ
イプは熱量の面間相互の熱量の授受、及び熱量授受面1
1の表面における温度均一化を目的として使用されるか
ら、作動液蒸気は熱量授受面11に対応する作動室の全
面に均等に配分されて凝縮する必要がある。その為に作
動室12はプレート形状に形成されてある。また均等な
熱量授受の必要があるから熱量授受面11には良好な表
面平滑度及び良好な平面度が要求される。コンテナ平面
には作動液の飽和蒸気圧が全面に加わるから総内圧力は
極めて大きなものとなる。その内圧による熱量授受面1
1の変形を防ぐ為に作動室12内部には内圧力に対応し
た多くの数の補強支柱13が設けられてある。適用温度
によっては作動液の飽和蒸気圧は極めて大きくなるから
多くの補強支柱13が設けられてあるにも拘らずコンテ
ナ10の肉厚は比較的大きなものとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近来の半導体技術の進
展は、電気通信機器分野から重電用機器分野に亙る広い
分野において技術革新を齎しつつあり、その中でも特に
大きな変革は機器の小型化と部品実装の高密度化であ
る。これに対応して業界では発熱素子の冷却技術にも大
きな革新が要求されるようになった。その一環としてプ
レートヒートパイプの薄形化及び軽量化は急を要する大
きな課題となっている。その為の解決すべき課題は以下
の通りである。
【0004】(1)プレートヒートパイプの熱量授受面
11の表面積は、熱輸送量の等しい通常の円筒形ヒート
パイプの熱量授受面積に比較して極めて大きく形成され
る。また面に垂直に加わる荷重に対して、平板形状熱量
授受面の強度は円筒形状熱量授受面の強度に比較して耐
外圧強度、耐内圧強度の何れも桁違いに低いことは機械
的強度計算上からも明らかである。これらの点から通常
外径20mmの円筒形ヒートパイプの純銅コンテナ肉厚
が0.8〜1.0mmであるのに対して、200mm×
200mmの面積のプレートヒートパイプの純銅コンテ
ナの肉厚は2.0〜3.0mmである如く厚肉に設計さ
れるのが常である。この肉厚は多数の補強支柱13を配
設した場合の厚さであって、軽量化のためにアルミニウ
ムを適用する場合はプレートヒートパイプの肉厚を薄肉
化することは更に困難となり、業界の近来の強い要望で
あるプレートヒートパイプの薄形軽量化を極めて困難な
ものとしている。
【0005】(2)近来の半導体技術の進歩は半導体発
熱素子の小型化と同時に大容量化を促しつつある。この
ような現状は半導体発熱素子をプレートヒートパイプの
片側の熱量授受面11上に装着し、その発生する熱量を
他の片側の熱量授受面11上に配設した放熱手段により
放熱する場合、半導体発熱素子の放熱面即ちプレートヒ
ートパイプの受熱面積が熱入力量に比較して余りに小さ
いことに起因して、この部分の温度が予測を越えて上昇
し、局部的に作動液の臨界温度を大幅に越える場合があ
る。この場合は作動液蒸気が部分的に二相流体としての
機能を失い、プレートヒートパイプの熱輸送能力が低下
し、熱量授受面11の表面温度が急上昇し、最終的には
プレートヒートパイプの全体温度が作動液の臨界温度を
越える結果となることになる。このような場合のコンテ
ナの内部圧力は40〜60Kg/cmにも達すること
があり、設計値を越えて高圧になることになる。発熱素
子の小型大容量化が益々進む今後のプレートヒートパイ
プは、このような不測の事態の発生に対しても安全性が
確保された設計にする必要がある。従来のプレートヒー
トパイプ構造の場合にはこのように安全率を高めた設計
を採用する場合はコンテナの厚さを実用不可能な程度ま
で厚肉にする必要があり、実施不可能であった。
【0006】(3)薄形プレートヒートパイプには、所
定の曲率で湾曲せしめたり、サーペンタイン曲げ、螺旋
曲げ等を実施して適用する応用例が多い。従来型のプレ
ートヒートパイプは完製品の曲げ加工に依る曲面プレー
トヒートパイプの製作は、座屈が発生することに起因し
て殆ど実施不可能であった。また半製品時点で曲げ加工
を実施して、これを接合してにそのような曲面プレート
ヒートパイプを製作することも考えられるが、製造技術
的に極めて困難で実用化は不可能であった。
【0007】
【課題を解決する為の手段】課題を解決する為の手段と
しての本発明のプレートヒートパイプの基本的な構造に
ついて図1、図2により説明する。図1は作動液の蒸気
の臨界温度を越えて適用することの出来る本発明の耐圧
構造薄形プレートヒートパイプの平面略図であって、図
2はその断面略図である。図において本発明の耐圧構造
薄形プレートヒートパイプの構成要素である細径トンネ
ル及び毛細細径トンネルは図面簡略化のため全て線図で
示してある。その薄形プレートの熱量授受領域4の両端
末に夫々1本の細径トンネル2−1、2−2が内蔵形成
されてあり、この細径トンネルの相当直径はプレートヒ
ートパイプの適用温度が封入作動液の臨界温度を所定の
範囲内で越えて温度上昇しても、プレート平面が変形し
ないことが保証される様プレートヒートパイプの厚さに
対応して細径化された直径である。プレートヒートパイ
プに要求されるその厚さは業界分野により異なるが重電
分野、機械装置応用分野等では5mm以下、電気通信分
野では2mm以下、技術革新速度の大きな情報機器分野
では1.2mm以下前後である。従って軽量化のためア
ルミニウム素材が適用され、適用作動液の臨界温度が4
0Kg/cmの場合は、上記二本の細径トンネル2−
1、2−2の耐圧相当直径は、計算値及び経験値から勘
案して、夫々3mm以下、1.5mm以下、0.8mm
以下となる。この様に細径化された二本の細径トンネル
2−1、2−2は、その相当直径と同等またはそれ以下
に細径化され、且つ毛細管作用を有する毛細細径トンネ
ルの多数が並列化された毛細細径トンネル群3により相
互に連通連結されてあり、この様に構成された細径トン
ネル群構造体をコンテナとして所定の作動液の所定の量
が封入封止されてヒートパイプとして構成されてあり、
このヒートパイプを内蔵するプレートヒートパイプは目
標とする所定の内圧及び外圧に耐えて、目標とする所定
の厚さの薄形に形成することの可能な高熱伝導性金属材
料が選択されて構成されてあることを特徴としている。
通常はこのような金属材料としては各種ステンレス、ま
たは純銅、純アルミニウム、及びそれらの合金の中から
選択される。
【0008】
【作用】上述の如き構成のプレートヒートパイプは以下
の如き各種の作用を発揮する。 (1)極めて耐圧性に優れた薄形プレートヒートパイプ
として構成することが出来る。相当直径夫々3mm以
下、1.5mm以下、0.8mm以下の如く細径化され
たトンネル構造体は0.2〜0.5mm程度の極めて薄
い肉厚を与えただけで高温下でも50〜200Kg/c
の如き高い内圧に耐えるプレートヒートパイプを構
成することが出来る。このことは薄肉管の耐圧力の計算
式P=2t・f/d:P耐圧力、t肉厚、f金属
の許容応力、d内径、から明白である。またこの様な
プレートヒートパイプは同様な高い外圧に耐え得ること
も明白である。このことから比較的強度の弱いアルミニ
ウムを素材とした場合でも夫々5mm以下、2mm以
下、1.2mm以下、の如き薄形の高耐圧プレートヒー
トパイプを形成することが容易である。
【0009】(2)作動液還流細管自己選択方式のルー
プ型細管ヒートパイプ群として活発に作用する。細径ト
ンネル群構造体の受放熱部は毛細細径トンネル群3であ
るから、受熱部で発生した作動液蒸気は放熱部において
凝縮により液化した作動液は表面張力により毛細細径ト
ンネル3内を充填閉塞せしめる。この凝縮作動液は通常
のヒートパイプの如く同一管内で受熱部に自然還流する
ことは不可能である。充填せしめらられた凝縮作動液は
蒸発部(受熱部)で継続して発生する作動液蒸気の蒸気
圧により、細径トンネル2−1、2−3に送入される。
この作動液は細径トンネル2−1、2−3に開口してい
る毛細細径トンネル群3の中で比較的圧力の少ない毛細
細径トンネルを自己選択してその中に吸入されて受熱部
に還流せしめられる。発生作動液蒸気と凝縮作動液の容
積比は極めて大きいので(時に数百倍)、選択される還
流細管の本数は極めて少なく、またその選択された細径
トンネルは継続的とは限らない。むしろ不特定多数の毛
細細径トンネルが交互に凝縮作動液を放出したり吸収し
たりする振動的作動を繰り返すものと考えられる。しか
し基本的な作動原理としては本発明のプレートヒートパ
イプは蒸気発生毛細細径トンネルと凝縮作動液還流毛細
細径トンネルとがループをなして作動すると考えられ
る。
【0010】(3)適用機器の高い信頼性を保証するこ
とが出来る。作動温度が何らかの予期せざる理由により
温度上昇した場合にも対応可能なように、僅かな肉厚の
追加により十分に高い安全率の設計が可能であるから適
用機器の高い信頼性を保証することが出来る。
【0011】(4)蛇行細径トンネルヒートパイプが作
動液振動により熱量を輸送する型のヒートパイプである
のに対して、細径トンネルヒートパイプ群であるにも拘
らず二相流体の相変化による即ち蒸気移動による熱輸送
型のヒートパイプであるから、前者より最大熱輸送量は
低下するが作動の感度が良好で小熱入力量でも良好に作
動する。また蒸気移動による熱輸送であるから前者より
圧力損失が少なく比較的長い距離でも性能低下が少ない
熱輸送が出来る利点がある。
【0012】(5)完成品を折り曲げ加工して適用する
ことが出来る。従来型のプレートヒートパイプは完製品
を折り曲げると座屈の発生によりコンテナ内が変形しヒ
ートパイプとしての機能を失う。本発明のプレートヒー
トパイプは細径トンネルヒートパイプ内蔵型であり、こ
のような細径トンネルは曲率半径が余りに小さくならな
い限り(通常の厚さでは3〜4mmm以下にならない限
り)座屈を発生することが無く、作動液流路が閉鎖され
ることが無い。従ってほぼ自由に折り曲げて適用するこ
とが可能である。
【0013】(6)取り扱い者に危険が全くない。細径
トンネルヒートパイプは高温高圧で適用中の破損時にも
作動液蒸気が噴出するのみで、通常のプレートヒートパ
イプの如く爆発的破損をすることが無いから取り扱い者
に危険が発生することが無い。
【0014】
【実施例】
[第一実施例] 本発明のプレートヒートパイプの基本
構造の場合、熱量輸送時の、または熱量拡散時の熱量移
動は、毛細細径トンネル群3のトンネル軸方向には作動
液蒸気の流れによる高速度の熱移動として発生し、毛細
細径トンネル軸に直交する方向には金属間熱伝導による
比較的低速度の熱移動として発生する。従って熱輸送能
力または熱拡散能力は毛細細径トンネル群3のトンネル
軸方向に向かう能力のほうが他の方向に向かう能力より
良好である。本第一実施例はプレートヒートパイプに全
方位に向かって均等な熱拡散能力もしくは均等な熱輸送
能力を与えるための本発明の応用例である。図3はその
平面図であり一部断面による説明図である。図4はその
側面図であり断面による説明図である。細径トンネルは
全て線図で示してある。プレートヒートパイプに内蔵さ
れる細径トンネル群構造体は二層構造または図示されて
いない所定の部分に設けられてある連通孔で相互に連結
連通せしめられた二層構造であり、二層は隔壁プレート
1−3を介して近接して配接されてあると共に、第一層
細径トンネル2−1、2−2と第二層細径トンネル4−
1、4−2、及び第一層毛細細径トンネル群3−1と第
二層毛細細径トンネル群3−2とは相互に直交して配接
されてあることを特徴としている。図における細径トン
ネルの形成は共に熱伝導性の良好な金属からなる第一層
プレート1−1、第二層プレート1−2の接合側片面に
形成された細幅チャンネル群と、同様に熱伝導性の良好
な金属からなる平板状の隔壁プレート1−3の積層接合
により形成されてあるが、両面に細幅チャンネル群が形
成されてある隔壁プレート1−3を平板状の第一層プレ
ート1−1と第二層プレート1−2とにより挟持せしめ
て積層接合して形成されてあっても良い。このように構
成されたプレートヒートパイプは第一層の毛細細径トン
ネル群3−1のトンネル軸方向に向う優勢な熱輸送能力
または熱拡散能力と、第二層の毛細細径トンネル群3−
2のトンネル軸方向に向う優勢な熱輸送能力または熱拡
散能力とが相互に助け合って、全方位に向かって均一な
熱輸送能力または熱拡散能力を発揮するようになる。
【0015】プレートヒートパイプは二相流体の相変化
による熱輸送装置であり、放熱部において凝縮した作動
液が受熱部に還流する場合に重力の助けを必要とする型
のヒートパイプである。従って通常のプレートヒートパ
イプの場合は保持姿勢による性能の変化は避けることが
出来ない。特に受熱部水位が放熱部より高い所謂トップ
ヒートモードにおいては激しく性能が低下する。これは
放熱部から受熱部に向かう凝縮作動液の還流が重力によ
り妨げられることに起因する。本発明の基本構造のプレ
ートヒートパイプにおいてはコンテナが毛細細径トンネ
ルであるから重力に逆らって凝縮作動液が受熱部に還流
する作用が比較的良好であり、従来型のプレートヒート
パイプに比較して熱量輸送性能の保持姿勢依存性が少な
い特長がある。然し毛細細径トンネルと雖も垂直保持の
トップヒートモードの場合は還流能力は著しく減少す
る。然し本第一実施例においては第一層の毛細細径トン
ネルコンテナ群3−1が垂直保持されてある場合でも、
第二層の毛細細径トンネルコンテナ群3−2は水平姿勢
であり還流効果が妨げられる割合は少ない。即ち本第一
実施例の場合は第一層の毛細細径トンネルコンテナ群3
−1が作動困難な場合でも第二層の毛細細径トンネルコ
ンテナ群3−2は比較的良好に作動する。第二層の毛細
細径トンネルコンテナ群3−2の作動による熱量移動は
第一層の毛細細径トンネルコンテ第群3−1の作動液を
も励起せしめ、これを作動させるのでプレートヒートパ
イプ全体が良好に作動するようになる。このようにして
本第一実施例のプレートヒートパイプはその性能の保持
姿勢依存性が大幅に改善される。
【0016】[第二実施例]第一実施例の如き毛細細径
トンネルコンテナ群が層間で相互に直交する構造の二層
構造の本発明に係るプレートヒートパイプは熱輸送性能
の姿勢依存性が改善される。然しプレートヒートパイプ
の面積が大きく、受熱部と放熱部の間の水位差が大きい
場合、または熱入力が小さい事に起因して受熱部と放熱
部との温度差が小さく、蒸気圧の差異が小さい場合等に
は保持姿勢依存性の改善効果は少ないものとなり、トッ
プヒートモードにおける作動が困難になる場合が多い。
本第二実施例はそのような場合においても性能の保持姿
勢依存性を減少せしめる為の応用実施例である。図5は
その構造を示す一部断面の平面図である。細径トンネル
は全て線図で示してある。内蔵されてある細径トンネル
群構造体は二層構造であり、その第一の層は本発明にか
かる二本の細径トンネル2−1、2−2と毛細細径トン
ネル群3−1とからなる細径トンネル群構造体であり、
第二の層は毛細管作用を有する一条の長尺細径トンネル
からなるループ型蛇行細径トンネル構造体であり、第一
第二両層の主たる細径トンネル群は層間相互に直交して
配接されてあり、且つ第一第二両層の細径トンネル群は
は夫々に熱伝導性の良好な金属からなる第一層プレート
及び第2層プレートの対向する片側の面に形成された細
径チャンネル群で構成されてあり、それらのプレートは
熱伝導性の良好な金属からなる隔壁プレートを介して相
互に近接接合されて構成されてあることを特徴としてい
る。
【0017】毛細管作用を有する一条の長尺細径トンネ
ルからなる第二層プレートのループ型蛇行細径トンネル
ヒートパイプは特許第1967738号のループ型細管
ヒートパイプそのものであり、作動液の細管管軸方向振
動による熱輸送装置である。その大きな特長は細管管軸
方向に向かって熱量を輸送する大きな熱輸送能力とその
性能の保持姿勢無依存性とにある。第一層プレートの、
本発明に係る細径トンネルヒートパイプ群である第一層
プレートヒートパイプの特徴は高感度で細管管軸方向に
向かって熱量を輸送する大きな熱輸送能力とその反面と
して性能の保持姿勢依存性が比較的高い点とにある。従
ってこれらが相互に直交して近接配置された本第二実施
例のプレートヒートパイプは、第一実施例と同様な効果
により、全方位に向かう均等な熱拡散性と熱輸送性を発
揮する。更に第二層プレートの保持姿勢無依存性は如何
なる保持姿勢の場合でも良好に作動し、第一層プレート
が作動困難な場合はその作動液を励起せしめ良好に作動
せしめる。即ち本第二実施例のプレートヒートパイプは
第一実施例と同様に極めて良好な全方位熱拡散性能と全
方位熱輸送能力を発揮すると共に第一実施例より優れた
保持姿勢無依存性を発揮する。またこの実施例の場合も
内蔵されるヒートパイプは全て細径トンネルコンテナで
構成されるから極めて優れた耐内圧強度と耐外圧強度と
を併有することは云うまでもない。
【0018】[第三実施例] 第一実施例及び第二実施
例の薄形プレートヒートパイブは薄形プレートの積層構
造体であり、細径トンネル及び毛細細径トンネル群はそ
の接合面に切削された細幅チャンネルにより形成される
ものである。この構造の場合はチャンネル切削費用及び
薄形プレートの積層費用が高価になり、また製造技術的
に量産化に困難な点があった。本実施例は本発明の薄形
プレートヒートパイプの量産化を容易にする製造方法の
実施例である。
【0019】量産化の基本としては素材及び毛細細径ト
ンネル群をアルミまたは軽金属の連続押出し成型とする
こととした。即ち薄形プレートヒートパイプは並列貫通
する相当直径2mm以下の毛細細径トンネル群を有す
る、押出し成型された多孔扁平管または押出し成型され
た複数の多孔扁平管の並列接合プレートで形成された、
請求項1に記載のプレートヒートパイプとする事とし、
図6〜図9に例示の次の製造工程で実施する事とした。
この製造方法は、押出し多孔扁平管5を所定の長さに切
断する図6に例示の第一工程、その両端末において多孔
扁平管5の外殻5−1のみを残して、2mm〜5mmの
深さに並列毛細細径トンネル群3の間の隔壁5−2を切
削除去し、その部分のみを中空扁平管部5−3として再
加工する図7に例示の第二工程、両端の中空扁平管部の
最深部に、即ち残置されてある毛細細径トンネル群の先
端部に、毛細細径トンネル群と直交し且つ全ての毛細細
径トンネルと連通する相当直径0.5mm〜2mmの細
径トンネル2−1、2−2を残置せしめて、中空扁平管
部の先端から1.5mm〜4.5mmの部分を薄板状に
圧潰し、所定の手段にてこの圧潰部を溶接一体化または
ろう接一体化せしめて溶接封止部5−4を形成し、耐圧
的に気密封止して、この多孔扁平管5の全体を密閉容器
として構成する図8に例示の第三工程、この密閉容器の
所定の部分の外殻に所定の手段にて容器内に貫通する作
動液注入細管6を設ける第四工程、注入細管を介して密
閉容器内を脱気した後所定の作動液の所定量を注入し、
然る後に作動液注入細管を気密に溶接封止する図9に例
示の第五工程の五工程を含む工程。本実施例は上記の工
程により多孔扁平管または多孔扁平管の並列接合プレー
トを薄形プレートヒートパイプとして形成することを特
徴とする請求項1に記載の耐圧構造薄形プレートヒート
パイプの製造方法である。
【0020】このような第三実施例の製造方法は、第一
実施例、第二実施例に比較して製造コストを数分の一に
低減せしめることを可能にした。またこのようにして構
成された薄形プレートヒートパイプは、押出し成型によ
る軟質アルミニウムであるにも拘らず、実測の結果、内
圧及び外圧共に100Kg/cmの加圧にも充分に耐
えることが実証された。また軟質アルミニウムであるか
ら、この長尺テープ状のプレートヒートパイプは可撓性
が極めて良好で、熱輸送性能を保持したまま曲率半径5
mmで180度の曲げ加工をすることも可能であった。
【0021】[第四実施例] 本実施例は第三実施例に
類似の押出し多孔扁平管5を素材とした他の製造方法で
ある。この場合は第三実施例の第二工程が省略される。
その工程は以下の如くである。多孔扁平管5を所定の長
さに切断する第一工程、その両端末において両端末から
2mm〜5mmの長さの部分を圧潰したる後、この部分
をろう接、または溶接にて気密に接合封止し溶接封止部
5−4を形成する第二工程、その両端末から3mm〜6
mmの長さの位置に、多孔扁平管の側縁から、多孔扁平
管内の全ての毛細直管トンネル3に直交し、これらの全
てと相互に連通し且つ多孔扁平管5の端末に平行する相
当直径2mm以下の細径トンネル5−5を削孔したる
後、この細径トンネル5−5の多孔扁平管5の側縁部に
おける開口部をろう接または溶接にて気密に封止して封
止部5−6を形成し、連通する毛細直管トンネル群構造
体の全てを密閉容器として構成する第三工程、この密閉
容器の所定の部分の外殻5−1に所定の手段にて容器内
に貫通する作動液注入細管6を設ける第四工程、注入細
管6を介して密閉容器内を脱気した後所定の作動液の所
定量を注入し、然る後に作動液注入細管6を気密に溶接
封止する第五工程の五工程を含む工程により多孔扁平管
または多孔扁平管の並列接合プレートを薄形プレートヒ
ートパイプとして形成することを特徴とする請求項1に
記載の耐圧構造薄形プレートヒートパイプの製造方法。
【0022】この実施例の製造コストと第一実施例、第
二実施例の製造コストとを比較した場合の製造コスト低
減効果は第三実施例とほぼ同等で、製造コストを数分の
一に低減せしめる。この製造方法は隔壁除去作業を省略
することが出来るから、毛細細径トンネル群の相当直径
が比較的大きく、隔壁除去作業時間が細径トンネル削孔
時間より長い時間を要する場合には本実施例の方が有利
となる。
【0023】
【発明の効果】本発明のプレートヒートパイプは比較的
大型のものであっても厚さ4mm以下に製造することが
可能となり、厚さ1mmの如く従来は想像もつかなかっ
たような薄形のものの製造が可能となった。また従来構
造のプレートヒートパイプの耐圧強度は5Kg/cm
程度であったが本発明のプレートヒートパイプの耐圧強
度は100Kg/cm以上のものも容易に製造するこ
とが可能となった。耐圧強度増加の目的以外の効果とし
て、完成品を自在に曲げ加工を施して使用することが出
来るようになった点は本発明のプレートヒートパイプの
適用範囲の拡大に極めて大きな貢献をする効果となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明耐圧構造薄形プレートヒートパイプの基
本構造を示す平面略図である。
【図2】本発明耐圧構造薄形プレートヒートパイプの基
本構造を示す断面略図である。
【図3】本発明の耐圧構造薄形プレートヒートパイプの
第一実施例を示す平面略図である。
【図4】本発明の耐圧構造薄形プレートヒートパイプの
第一実施例を示す断面略図である。
【図5】本発明の耐圧構造薄形プレートヒートパイプの
第二実施例を示す平面略図である。
【図6】本発明の耐圧構造薄形プレートヒートパイプの
第三実施例の製造方法の第一工程の説明図である。
【図7】本発明の耐圧構造薄形プレートヒートパイプの
第三実施例の製造方法の第二工程の説明図である。
【図8】本発明の耐圧構造薄形プレートヒートパイプの
第三実施例の製造方法の第三工程の説明図である。
【図9】本発明の耐圧構造薄形プレートヒートパイプの
第三実施例の製造方法の第四工程及び第五工程の説明図
である。
【図10】本発明の耐圧構造薄形プレートヒートパイプ
の第四実施例の製造方法の第二工程完了後の状態を示す
一部断面説明図である。
【図11】本発明の耐圧構造薄形プレートヒートパイプ
の第四実施例の製造方法の第五工程完了後の状態を示す
平面説明図である。
【図12】従来構造のプレートヒートパイプの構造を示
す断面説明図である。
【符号の説明】
1 プレートヒートパイプ 1−1 熱量授受面 2−1 (第一層)細径トンネル 2−2 (第一層)細径トンネル 3 毛細細径トンネル群 3−1 第一層毛細細径トンネル群 3−2 第二層毛細細径トンネル群 4 熱量授受領域 4−2 第二層細径トンネル 5 押出多孔扁平管 5−1 外殻 5−2 隔壁 5−3 中空扁平管部 5−4 溶接封止部 6 作動液注入細管 10 プレートヒートパイプコンテナ 11 熱量授受面 12 作動室 13 補強支柱 14 ウイック 15 作動液

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 封入作動液蒸気の臨界温度を越えて適用
    することの出来る耐圧構造薄形プレートヒートパイプで
    あって、その薄形プレートの熱量授受領域の両端末に夫
    々1本の細径トンネルが内蔵形成されてあり、この細径
    トンネルの相当直径はプレートヒートパイプの適用温度
    が封入作動液の臨界温度を所定の範囲内で越えて温度上
    昇しても、プレート平面が変形しないことが保証される
    様プレートヒートパイプの厚さに対応して細径化された
    直径であり、この二本の細径トンネルは、その相当直径
    と同等またはそれ以下に細径化され、且つ毛細管作用を
    有する毛細細径トンネルの多数が並列化されたトンネル
    群により相互に連通連結されてあり、この様に構成され
    た細径トンネル群構造体をコンテナとして所定の作動液
    の所定の量が封入封止されてヒートパイプとして構成さ
    れてあり、このヒートパイプを内蔵するプレートヒート
    パイプは目標とする所定の内圧及び外圧に耐えて目標と
    する所定の厚さの薄形に形成することの可能な高熱伝導
    性金属材料が選択されて構成されてあることを特徴とす
    る耐圧構造薄形プレートヒートパイプ。
  2. 【請求項2】 内蔵される細径トンネル群構造体は二層
    構造または連通孔により相互に連結連通せしめられた二
    層構造であり、二層の層間は隔壁プレートを介して近接
    して配接されてあると共に、各層の細径トンネル及び毛
    細細径トンネル群は層間相互に直交して配接されてある
    ことを特徴とする請求項1に記載の耐圧構造薄形プレー
    トヒートパイプ。
  3. 【請求項3】 内蔵されてある細径トンネル群構造体は
    二層構造であり、その第一の層は本発明にかかる二本の
    細径トンネルと毛細細径トンネル群とからなる細径トン
    ネル群構造体であり、第二の層は毛細管作用を有する一
    条の長尺細径トンネルからなるループ型蛇行細径トンネ
    ル構造体であり、第一第二両層の主たる細径トンネル群
    は層間相互に直交して配接されてあり、且つ第一第二両
    層の細径トンネル群はは夫々に熱伝導性の良好な金属か
    らなる第一層プレート及び第2層プレートの対向する片
    側の面に形成された細径チャンネル群で構成されてあ
    り、それらのプレートは熱伝導性の良好な金属からなる
    隔壁プレートを介して相互に近接接合されて構成されて
    あることを特徴とする請求項1に記載の耐圧構造薄形プ
    レートヒートパイプ。
  4. 【請求項4】 薄形プレートヒートパイプは並列貫通す
    る相当直径2mm以下の毛細細径トンネル群を有する、
    押出し成型された多孔扁平管または押出し成型された複
    数の多孔扁平管の並列接合プレートで形成された、請求
    項1に記載のプレートヒートパイプであり、多孔扁平管
    を所定の長さに切断する第一工程、その両端末において
    多孔扁平管の外殻のみを残して、2mm〜5mmの深さ
    に並列毛細細径トンネル群間の隔壁を切削除去し、その
    部分のみを中空扁平管部として再加工する第二工程、両
    端の中空扁平管部の最深部に、即ち残置されてある毛細
    細径トンネル群の先端部に、毛細細径トンネル群と直交
    し且つ全ての毛細細径トンネルと連通する相当直径0.
    5mm〜2mmの細径トンネルを残置せしめて、中空扁
    平管部の先端から1.5mm〜4.5mmの部分を薄板
    状に圧潰し、所定の手段にてこの圧潰部を溶接一体化ま
    たはろう接一体化せしめて、耐圧的に気密封止して、こ
    の多孔扁平管を密閉容器として構成する第三工程、この
    密閉容器の所定の部分の外殻に所定の手段にて容器内に
    貫通する作動液注入細管を設ける第四工程、注入細管を
    介して密閉容器内を脱気した後所定の作動液の所定量を
    注入し、然る後に作動液注入細管を気密に溶接封止する
    第五工程の五工程を含む工程により多孔扁平管または多
    孔扁平管の並列接合プレートを薄形プレートヒートパイ
    プとして形成することを特徴とする請求項1に記載の耐
    圧構造薄形プレートヒートパイプの製造方法。
  5. 【請求項5】 薄形プレートヒートパイプは並列貫通す
    る相当直径2mm以下の毛細細径トンネル群を有する、
    押出し成型された多孔扁平管または押出し成型された複
    数の多孔扁平管の並列接合プレートで形成された、請求
    項1に記載のプレートヒートパイプであり、多孔扁平管
    を所定の長さに切断する第一工程、その両端末において
    両端末から2mm〜5mmの長さの部分を圧潰したる
    後、この部分をろう接、または溶接にて気密に接合封止
    する第二工程、その両端末から3mm〜6mmの長さの
    位置に、多孔扁平管の側縁から、多孔扁平管内の全ての
    毛細細径トンネルに直交し、これらの全てと相互に連通
    し且つ多孔扁平管の端末に平行する相当直径2mm以下
    の細径トンネルを削孔したる後、この細径トンネルの多
    孔扁平管の側縁部における開口部をろう接または溶接に
    て気密に封止して、連通する毛細細径トンネル群構造体
    の全てを密閉容器として構成する第三工程、この密閉容
    器の所定の部分の外殻に所定の手段にて容器内に貫通す
    る作動液注入細管を設ける第四工程、注入細管を介して
    密閉容器内を脱気した後所定の作動液の所定量を注入
    し、然る後に作動液注入細管を気密に溶接封止する第五
    工程の五工程を含む工程により多孔扁平管または多孔扁
    平管の並列接合プレートを薄形プレートヒートパイプと
    して形成することを特徴とする請求項1に記載の耐圧構
    造薄形プレートヒートパイプの製造方法。
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