JPH10338883A - 黒鉛成形体用ニードルコークスの製造方法 - Google Patents

黒鉛成形体用ニードルコークスの製造方法

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JPH10338883A
JPH10338883A JP9163474A JP16347497A JPH10338883A JP H10338883 A JPH10338883 A JP H10338883A JP 9163474 A JP9163474 A JP 9163474A JP 16347497 A JP16347497 A JP 16347497A JP H10338883 A JPH10338883 A JP H10338883A
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coke
temperature
oxygen
calcined
containing gas
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Kunimasa Takahashi
邦昌 高橋
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CTE及びパッフィングが共に低い良質の黒
鉛電極成形体用ニードルコークスを効率よく製造する方
法を提供すること。 【解決手段】 生コークスを700℃〜900℃で1段
目のか焼を行い、次いで1200℃〜1600℃で2段
目のか焼を行う際に、コークス表面温度が1000℃以
上に達した後にコークス表面に酸素含有量が15容量%
以上の酸素含有ガスを吹き付け、コークス表面を燃焼さ
せ、コークス表面の温度を急速に上昇させることを特徴
とするニードルコークスの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、黒鉛成形体、例え
ば黒鉛電極成形体の原料骨材として用いられるニードル
コークスの製造法に関する。更に、詳しくは、熱膨張係
数(以下CTEと記載する)が低く、パッフィングの低
いニードルコークスの製造法に関する。また、更に詳し
くは、生コークスを2段階か焼法により製造する高品位
のニードルコークスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】黒鉛電極は、ニードルコークスをバイン
ダーピッチを配合、混合して成形し、これを焼成、黒鉛
化して製造される。近年、電力使用量の多い黒鉛化時の
電力費を低減するため、黒鉛化時に大電流を流して、昇
温速度を早め、黒鉛化時間を短縮する方法が採られる。
例えば、多数の炭素化電極を圧着したものに直接通電し
て急速黒鉛化するLWG法(Lengthwise G
raphitization)などがそれである。この
際、ニードルコークスがパッフィングといわれる非可逆
膨張をおこして製品割れを引きおこす。
【0003】一方、黒鉛電極は使用条件が過酷になる傾
向にあり、大電流使用により電極内に発生する温度差に
よる割れや折れが発生することから耐熱衝撃特性の良好
であること、即ちCTEが極めて低いことが要求されて
いる。このような状況の下、より効率良く、歩留まり高
く、黒鉛電極を製造するため、また、過酷な使用条件に
も耐える優れた黒鉛電極を製造するため、パッフィング
及びCTEの低いニードルコークスの製造は不可欠且つ
重要な課題である。
【0004】パッフィングが発生する原因はコークス中
の窒素や硫黄等のヘテロ原子化合物が黒鉛化工程の特定
の温度域で急激にガス化して逸散することに起因する事
は知られている。従って問題を解決するための一つの手
段は窒素化合物や硫黄化合物の少ない出発原料を用いる
ことである。しかし現実にはニードルコークス原料とし
ては、製品量及び価格の面から石油系重質油及び石炭タ
ールのいずれかが選択される。現実には窒素パッフィン
グが相対的に小さな石油系原料の使用量が石炭系原料の
使用量を凌駕している。
【0005】石油系原料では、硫黄化合物の含有量が高
い難点があるが、生成形体を製造する際に鉄微粒子を%
レベル混合しておいて、硫黄化合物が揮散する温度域で
は鉄硫化物として安定化させ、黒鉛化が進んで成形体結
晶に適当なガス抜け孔が形成された時点で鉄硫化物を分
解させ、成形体内圧の上昇を抑制する手法が工業的に利
用されている。
【0006】一方原料に依存するのではなく、か焼コー
クスの構造の制御によってパッフィング及びCTEを改
善する手法も提案されている。パッフィングに関して
は、結晶構造に適切な亀裂割れを形成することでガス抜
け道を確保する手法が提案されている。また、この亀裂
割れは熱衝撃による伸びを亀裂割れ空間の伸縮で吸収す
る効果を有するために、CTEの低減にも同時に効果が
ある。即ち水銀圧入法で表示される特定領域の孔径を有
する亀裂割れはパッフィング及びCTEの改善に有効な
ことが知られている。
【0007】ニードルコークスの製造法として、か焼を
2段で行う2段階か焼方法がパッフィング及びCTE改
善の有効な製造方法として知られている。(特公昭53
−35801号及び特開平5−163491号公報参
照) しかし、これらいずれの方法においても十分なパッフィ
ング及びCTEの低下が得られず、あるいは製造効率の
低下を招き、低廉な製品が得られないという問題を抱え
ているのが実情である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生コークス
を2段階でか焼する2段階か焼法をベースにした低CT
E、低パッフィングの優れた性質を有するニードルコー
クスを安価に製法するニードルコークスの製造法を提供
することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、原料油をディ
レードコーカーを用いて生コークスを得て、得られた生
コークスを先ず700℃〜900℃の温度で1段目のか
焼を行い、次に1200℃〜1600℃の温度で2段目
のか焼を行う際に、コークス温度が1000℃、好まし
くは1200℃以上に達した後にコークス表面に酸素含
有量が15容量%以上、好ましくは17容量%以上の酸
素含有ガスを吹き付け、コークス表面を燃焼させ、コー
クス表面の温度を急速に上昇させることを特徴とする黒
鉛電極成形体用ニードルコークスの製造法を要旨とする
ものである。
【0010】これにより、生成ニードルコークスに半径
0.1〜5μmのミクロポアーを0.06cc/g以
上、好ましくは0.07cc/g以上、更に好ましくは
0.08cc/g以上発現させ、CTE及びパッフィン
グの低い、良質なニードルコークスを得るものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明を工業的に実施する場合、
使用される装置としては、例えばロータリーキルン、ロ
ータリーハース炉など既存のか焼装置が使用され、特定
の機種に限定されるものではない。本発明が開示した2
段階か焼の2段階目における反応機構とその酸素含有ガ
スによる具現化条件を満たせば、いかなるか焼装置に於
いても実施が可能である。
【0012】1段階目のか焼装置と2段階目のか焼装置
が同一形式であってもよく、それぞれが異なっていても
問題はない。本発明の実施に当たっては、コークス出発
原料を問わない。石油系重質油、石炭系重質油及び両者
の任意の混合比率の重質油を出発原料として用いること
ができる。また本発明の実施に当たっては、2段階目の
酸化燃焼反応に供するか焼コークスは予め700℃以
上、好ましくは900℃以上の熱履歴を経て、組織強度
が後に続く酸化燃焼による熱衝撃に耐えられる水準に到
達していることが好ましい実施形態である。従って12
00℃〜1600℃での通常のか焼での熱履歴を経たか
焼コークスも使用できる。
【0013】2段階目のか焼の際の高温のコークスの表
面に酸素含有ガスを吹き付ける具体的な手法は、か焼装
置の種類によって異なるが、原理・原則は同じであり、
1000℃以上、好ましくは1100℃以上、最も好ま
しくは1200℃以上に保持されたか焼コークスの表面
温度を如何に素早く昇温させるかと言う課題を解決でき
ればよい。本発明の目的はコークス表面を可能な限り、
急速に、例えば、雰囲気ガスを含むコークス近傍の昇温
速度が少なくとも100℃/分以上、好ましくは200
℃/分以上、より好ましくは300℃/分以上急速に昇
温させることによって達成される。
【0014】従って、酸素含有ガスをコークス表面に吹
き付ける操作では、コークス表面組成物、か焼コークス
においては実質的には炭素が燃えることでコークス表面
に発生する熱量と、周囲を流れる酸素含有ガスが持ち去
る熱量+表面から内部に流れる熱量+コークス表面から
輻射熱として放散される熱量の差がコークス表面の温度
上昇をもたらすから、大量の熱を持ち去る条件下、例え
ば酸素含有量10%程度の酸素含有ガス、数百℃以上温
度が低い酸素含有ガス等の条件下、酸素含有ガスがコー
クス表面に供給される場合は、所定のミクロポアー発現
効果が得られなくなることは化学工学に通じるものには
容易に推測できる。
【0015】一方、コークス表面からの輻射熱に関して
は、単独の粒子においては放散のみであるが、粒子の集
合体では相互輻射によって加熱を促進することができ
る。従って、本発明の実施に当たってはコークスは酸素
含有ガスの層内拡散を妨げない範囲において適切な充填
層を形成していることが好ましい。酸素含有ガスの吹き
付ける時間、即ち反応時間に関しても、酸素含有ガスの
酸素濃度や供給量、たとえば空気供給量や酸素含有ガス
温度との間で均衡を取る必要がある。コークス粒の表面
燃焼が促進され、粒内部との間で大きな熱歪みを生起さ
せるに必要かつ最小限の組合せ要件を任意に設定する。
通常30秒から20分の範囲、好ましくは1分〜10分
の範囲である。
【0016】粒表面を効率よく昇温できる酸素含有ガス
供給量と酸素含有ガス温度の条件下で供給時間を必要以
上に長くしても、か焼コークス収率が悪化するだけで、
半径0.1〜5μmの細孔量は頭打ちになる。一方空気
供給量が小さい場合はそれなりに供給時間を長くする必
要がある。酸素含有ガスの酸素濃度も、本発明の原理を
満足する範囲内で変化させることができる。しかし、少
なくも15容積%以上の酸素含有量が確保されないと、
供給ガスによる除熱と酸素による燃焼発熱のバランスが
崩れて所期目的は達成できなくなることがある。純酸素
に至る高い酸素濃度も許容されるが、純酸素でなければ
ならないと言う制約ではなく、2段階目のか焼プロセス
に供与できる用役の種類、質などの個々の立地条件に沿
って酸素濃度は適宜選択されるべき事項であって、本発
明の一選択枝に位置づけられる。
【0017】酸化・燃焼の対象となるか焼コークスの粒
及びもしくは塊の大きさに関しての制約は原則としてな
い。塊が大きくても本発明の原理に従えば、内部まで半
径0.1〜5μmの細孔が形成される。従って1段目か
焼及び通常のか焼で得られた粒及びもしくは塊を使用す
ることができる。
【0018】一方例えば0.1mm以下の微細なコーク
ス粒子に関しては、粒表面から内部への熱伝達が短時間
で完了するため、本発明の原理において、半径0.1〜
5μmの細孔量の顕著な増加は期待できない。またかか
る微細な、重量に対する表面積の大きな粒子が酸化・燃
焼することで、粒や塊の特性向上に消費されるべき酸素
量の減少をもたらす。従って、本発明の2段階目のか焼
時には該微粒子に直接酸素含有ガスが接触する機会を減
らす工夫、例えば1段目か焼後にかかる微細な粒子
(粉)は予め篩い分け除去して実施することが好まし
い。
【0019】本発明の原理に従って、半径0.1〜5μ
mの細孔量が増加すれば、か焼コークス中に含有される
窒素化合物及び硫黄化合物の各揮散温度域における発生
ガスはか焼コークス組織に発生した亀裂を通して粒また
は塊の大口径空間に、または直接組織外に排出される構
造が確保される。その結果組織内にパッフィングに至る
ガス圧を発生させる確率は著しく減じる。従って、本発
明の実施に於いては出発原料に含有される窒素化合物及
び硫黄化合物の量を限定する必要がない。即ち出発原料
が硫黄化合物に富む石油系重質物であっても、窒素化合
物に富む石炭系重質物であっても、両者の任意の割合の
混合物でも何ら問題はない。
【0020】本発明の原理に従って、半径0.1〜5μ
mの細孔量が増える条件範囲に於いては、半径0.1μ
m以下の細孔量で表示される窒素パッフィングに起因す
る亀裂が形成されることは、か焼コークスの黒鉛化過程
でのパッフィング絶対量を低減させることにつながるの
で、好ましい現象として許容される。但し半径0.1μ
m以下の細孔として計測される窒素パッフィング孔は、
か焼コークス粒全体の温度が1600℃近くに達したと
き、即ち粒表面温度及び雰囲気ガス温度が1700℃を
大きく上回る時に多く形成される事実に鑑みてか焼装置
の耐火煉瓦の使用限界温度との兼ね合いを考慮して適切
な量に抑制するか焼条件の設定が好ましい。
【0021】本発明の実施態様に於いて、か焼コークス
の真比重を所要数値に設定する温度域と半径0.1〜5
μmの細孔を形成する酸化反応温度域は重複させること
ができる。従って真比重値を所要数値に設定することは
当該操業を熟知する当業者にとっては公知の事項であ
る。また、石油系重質物由来コークス、石炭系重質物由
来コークスまたはその任意の混合比のコークスなどの原
料変化に対しても、従来当業者が通常のか焼操業で蓄積
してきた技術を適用すれば良いのであって、本発明が従
来技術に拘束されるものではない。
【0022】本発明を実施するに当たって、各種か焼装
置において1000℃以上、好ましくは1100℃以
上、更に好ましくは1200℃以上に加熱されたか焼コ
ークスの表面に、表面を急速に昇温する為に、酸素含有
ガスを供給するには、例えば以下に述べる手法を採用す
ることができる。ロータリーハース炉(炉床回転式炉)
やロータリーキルン(回転式窯炉)内に装入されたか焼
コークスは、当業者の操業技術によって異なるが、耐火
煉瓦床の上を所定のコークス床厚みをもって低温側から
高温側へ順次移動しつつか焼され、所定温度域に達す
る。この状況下で酸素含有ガスを供給する方法は以下の
2通りが考えられる。
【0023】1)コークス床を保持する耐火煉瓦の目地
部分または煉瓦自体を製作するときに、所要酸素含有ガ
スを供給するに足る断面積をコークス床下部相当部分に
開口できるように設計された孔を複数設定する。ロータ
リーハース炉(炉床回転式炉)では、か焼温度1000
〜1200℃以上に相当する領域に酸素含有ガスをコー
クス床に吹き出す為に必要な空気圧縮機、空気予熱器、
予熱空気のホルダー、煉瓦床保持機構の貫通孔等からな
る供給装置を設置すればよい。酸素含有ガス吹き出し領
域で1000〜1200℃以上のか焼コークス温度を与
えることは、当該設備の運転に習熟している当業者が容
易に調整することができる。
【0024】酸素含有ガス温度はコークスに接触する領
域で1000℃以上が好ましいが、コークス床の厚み
や、コークス粒子の粒度分布や、当該領域への熱輻射線
の入り方など種々の条件によって最適温度は任意に設定
される。ロータリーキルンにおいては、当該酸化・燃焼
を起こすキルンの胴体部分に巻かれた目地及び/もしく
は耐火煉瓦に対して、ロータリーハースと同様の貫通孔
を設けて酸素含有ガスの供給を行うことができる。
【0025】ロータリーキルンの場合は、キルンの当該
外周部分全周に気密性の高い空気ホルダーを設置し、コ
ークス床相当部分に限定して適宜予熱された酸素含有ガ
スが貫通孔を通してコークス床下部から吹き出すように
する。他のホルダー部分はコークス床を保持しない貫通
孔からキルン内の高温ガスが噴出するのを防ぐ役割を担
わせることができる。
【0026】2)ロータリーハース炉の固定屋根部分に
空気吹き込みノズルを設置し、本発明を実施する事がで
きる。このノズルから1000℃以上に保持されたか焼
コークスに向けて酸素含有ガス流をコークス床の適切な
深さまで浸透することが可能なように設計されたガス流
速を持って供給することができる。また、ロータリーハ
ース炉に使用されるコークス床撹拌翼の近傍または翼に
一体化した形で酸素含有ガス吹き込みノズルを設置する
ことも好ましい実施態様のひとつである。この態様にお
いてはコークス床の撹拌が行われる中での酸化燃焼反応
であるので、表面温度の昇温がより多くの粒子において
均一になされる利点がある。
【0027】ロータリーキルンにおいてはか焼コークス
の出口側から酸素含有ガス供給ノズルを挿入して所定領
域にコークス床の適切な深さまで酸素が供給されるよう
に設計された流速と吹き込み角度で酸素含有ガスを10
00℃以上の物温に設定されたか焼コークス表面に吹き
付ける実施態様を挙げることができる。この場合ノズル
はセラミックスまたは水冷金属から選択することができ
る。ノズル長さは噴出ガスが、キルン内部に充満する燃
焼ガスを巻き込んで酸素濃度を低下する割合を極力小さ
くするためにできるだけ長いことが好ましい。例えばセ
ラミックスではチューブ製造装置の制約の範囲内で可能
な限り長いものが好ましい。一方水冷ノズルに関しては
コークス炉壁補修などに実績のある数m単位のノズルを
利用することもできる。ロータリーキルンの傾斜角や回
転速度及びメインバーナーの形状や燃焼ガス量などの要
素を勘案して適切なノズルを設計することができる。
【0028】か焼コークスの温度が1000℃以上、好
ましくは1100℃以上、最も好ましくは1200℃以
上という条件では、か焼コークス床はキルン出口に近い
位置にあるので、キルン内の燃焼ガスを巻き込まないで
直接酸素含有ガスをか焼コークス床に吹き込む設計にす
ることは当業者にとっては容易なことである。シャフト
炉のように上部から炉径いっぱいに充填されたか焼コー
クスが下降しながらか焼される系での本発明の実施態様
として、1000℃以上のか焼コークス温度域に対応し
たシャフト炉の炉壁円周に複数の水平またはやや上部方
向に向けた酸素含有ガス吹き出し孔を設置して、充填層
の中心部まで酸素含有ガスが到達するように設計された
ガス流を噴出させる方法を挙げることができる。以下に
記す実施例で本発明の効果を更に詳しく説明する。
【0029】
【実施例】以下実施例により更に具体的に本発明を説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、下記実施例
群に限定されるものではない。 実施例1 コールタールと灯油を1:0.4〜0.6の割合で混合
し、260℃の加熱下でキノリン不溶分を静置沈降、分
離し原料を調製した。次いで上記原料とリサイクルオイ
ルを予め450〜550℃程度に加熱しておきこれをコ
ークスドラムに入れ、24時間コークス化して生コーク
スを得た。
【0030】ロータリーキルンで800℃を目安に1段
階目のか焼を行い、VM(揮発性物質)=2%のか焼コ
ークスを得た。2段階目のか焼は以下の仕様の反応装置
で行った。外径120mm、内径105mm、長さ10
00mmの両端面を平滑加工したニッカトー(株)製シ
ャモット質炉心管を、最高使用温度1600℃、全長9
50mmの中央部分で炉心管に接したB型熱電対でサイ
リスタ出力を制御する方式の最大出力15kwの石塚電
機製作所(株)製シリコニット炉に垂直に設置した。
【0031】炉心管下端に片面に粘着テープを貼付した
テフロンシールバンドを張り付け、炉心管径相当部分を
研磨されたシリコニット炉下端で炉に保持された金属フ
ランジの研磨面に自重で押しつけることによってガスシ
ールを行った。押しつけ面の平行はフランジを支えるボ
ルト・ナットの上げ下げによって確保した。金属フラン
ジ中央部に設けたガス供給ラインから炉心管内に最大2
00L/分の空気及び最大50L/分の窒素を別個また
は同時に供給できるようにした。
【0032】炉中央部から50mm上の位置まで炉心管
に20mmφのアルミナ球を充填し、空気及び窒素の予
熱ゾーンとした。必要に応じてガス温度を測定する熱電
対をフランジから所定位置に挿入できるようにした。ま
た、酸化反応中の雰囲気温度を測定するために、炉心管
上部からアルミナ保護管を有するB型熱電対を差し込ん
で対応した。
【0033】シャモット質は通気性があるので、予め炉
心管に内圧がかかる工夫をして内圧と漏れだし量の関係
を求めた。更にフランジ入り口に微圧計を設置して反応
時の圧力を測定した。常用する流量範囲での圧力上昇は
小さく、漏れ出し量は供給量に対して無視して良いこと
を確認した。上記か焼装置に、1段階目か焼を5mm□
の網目のステンレス網を備えた籠にとり、>5mm□の
か焼コークスを取り除き、次いで2mm□の網目の籠で
<2mm□のか焼コークスを取り除いた2〜5mm□の
か焼コークス1kgを精秤して装入した。
【0034】炉心管内にフランジから液体窒素気化ガス
を20L/分の速度で供給して5℃/分の速度で120
0℃まで昇温し、10分保持した。窒素の供給を停止
し、直ちに1130℃に予熱された空気150L/分を
5分40秒間(空気=900N.T.P.−L)供給し
て酸化・燃焼反応を行った。ついで空気の供給を停止
し、直ちに窒素50L/分を5分間供給して、反応管内
部を窒素置換して酸化・燃焼反応を停止した。ついで、
窒素流量を20L/分として一晩炉冷して、100℃以
下に冷却されたか焼コークスを、上部、中央部、下部に
略分割して回収した。回収した再か焼コークスは硬いも
のであり、炭素化収率78.3重量%を得た。分取した
か焼コークスの各約40gを粗粉砕して10〜18メッ
シュを採取して水銀圧入法で細孔分布を測定した。参考
例としてキルンで2段階目か焼した製品の測定値ととも
に表1に結果を示した。
【0035】
【0036】実施例2 実施例1の手法において、外径100mm内径80mm
の内筒を内径105mmの炉心管内に設置し、約600
gの1段目か焼コークスを充填した。その上に約400
gの1段目か焼コークスを充填し、炉心管と内筒の空隙
を通して酸素含有ガスが直接上部に到達できるようにし
た以外は実施例1の反応方法に従って実験を行った。1
段目か焼コークス基準で炭素化収率77.6重量%を得
た。分取したか焼コークスの各約40gを粗粉砕して1
0〜18メッシュを採取して水銀圧入法で細孔分布を測
定し表2の結果を得た。
【0037】
【0038】表1と比較して上部の半径0.1〜5μm
の細孔量が0.075から0.095に増加しているこ
とが判る。一方下部は実施例1に比較して空気量が減少
するので半径0.1〜5μmの細孔量も0.102から
0.080に減少している。しかしこれも実施例1に示
したキルン2段か焼(0.068)に比較して高レベル
である。
【0039】実施例3 実施例1の生コークスをロータリーキルンでか焼したニ
ードルコークスのうち2mm□以下の粒子を取り除いた
試料に変えた他は実施例1の手法で酸化燃焼を行い上
部、中央部、下部に分割して試料を回収し、炭素化収率
78.3重量%を得た。細孔分布を上部及び下部に関し
て測定した。原料である通常か焼品の測定結果とともに
表3に示す。
【0040】
【0041】実施例4,5 実施例1の装置に、実施例1,2で用いた1段目か焼品
の>5mm□篩い分け品約1kgを精秤、装入し、実施
例1の手法で1200℃に昇温した。空気100L/分
で8分酸化を行った。炭素化収率74.7重量%を得
た。上部と中央部・下部の2組に分けて試料を回収し
た。反応を繰り返し、上部2kg(実施例4)、中央部
・下部4kg(実施例5)を得た。細孔分布及び真比重
を測定し表4の結果を得た。
【0042】これらの黒鉛成形体用ニードルコークスを
粉砕し、200メッシュより大きい粉粒を70%、20
0メッシュより小さい粉粒を30%として混合し、この
100部に対してバインダーピッチ(軟化点92℃)を
30%混合し、加熱ねつ合したのちモールド成形し、1
000℃で焼成し1次焼成品を得、切削加工で長さ10
0mm、直径20mmの1次焼成テストピースを採取
し、1700℃〜2100℃での熱間パッフィングの測
定を行った。
【0043】さらに1次焼成品に含浸ピッチを含浸して
600℃で焼成し、切削加工で含浸焼成テストピース
(長さ100mm、直径20mm)を採取し、1700
℃〜2100℃の熱間パッフィング量を測定した。上記
粒配合品100部にバインダーピッチ(軟化点92℃)
を32.5部混合し、加熱ねつ合したのち押し出し成形
し、1000℃で焼成し1次焼成品を得、さらに含浸ピ
ッチ14.6部を含浸したのちに600℃で焼成し、切
削加工でCTE測定用含浸焼成テストピース(長さ11
0mm、直径25mm)を採取し、室温〜400℃の範
囲で含浸焼成炭素化品のCTEを測定した。更に該テス
トピースを2800℃で黒鉛化した後長さ100mm、
直径20mmに切削加工し、室温〜400℃の範囲で含
浸焼成・黒鉛化品のCTEを測定した。得られた結果を
表4及び図1に示した。
【0044】実施例6 実施例1に記載の方法で得た生コークスを粗粉砕し6m
m〜27mmを篩い分けた。窒素気流下ベルトコンベア
ー炉中に1kgずつトレーに充填して搬入し、窒素雰囲
気で850℃で30分保持して揮発分を留去して1段目
か焼品を得た。実施例4,5と同じ手法でか焼コークス
とし、細孔分布、真比重、1次及び含浸焼成品のパッフ
ィング及びCTE等を測定した。得られた結果を表4及
び図1に示した。なお、バインダーピッチは35.0
部、含浸ピッチは14.4部を使用した。
【0045】実施例7 実施例1に示した生コークス調製方法に準じてFCCデ
カントオイル由来のピッチを30%含有する生コークス
を得た。実施例6の手法に準じてか焼コークスを調製
し、細孔分布、真比重、1次及び含浸焼成品のパッフィ
ング及びCTE等を測定した。得られた結果を表4及び
図1に示した。なお、バインダーピッチは36.0部、
含浸ピッチは15.4部を使用した。
【0046】参考例1 実施例1の生コークスをキルンで通常か焼したニードル
コークス、及び実施例1の1段階目か焼品をキルンで2
段階目か焼して得たニードルコークスの実施例4に準じ
て測定した細孔分布、真比重、1次及び含浸焼成品のパ
ッフィング及びCTE等の測定値を表4及び図1〜3に
示した。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、CTE及びパッフィン
グが共に低い優れた性質を有するニードルコークスを効
率よく製造することができ、過酷な条件での使用にも耐
える黒鉛電極を生産性よく製造することを可能とするも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】半径0.1〜5μmの細孔量と1次焼成及び含
浸焼成品の1700℃〜2100℃での熱間パッフィン
グとの関係を示すグラフである。
【図2】半径0.1〜5μmの細孔量と含浸焼成・炭素
化品の室温〜400℃範囲でのCTEとの関係を示すグ
ラフである。
【図3】半径0.1〜5μmの細孔量と含浸焼成・炭素
化黒鉛化品の室温〜400℃範囲でのCTEとの関係を
示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生コークスを700℃〜900℃で1段
    目のか焼を行い、次に1200℃〜1600℃で2段目
    のか焼を行う際に、コークス温度が1000℃以上に達
    した後にコークス表面に酸素含有量が15容量%以上の
    酸素含有ガスを吹き付け、コークス表面を燃焼させ、コ
    ークス表面の温度を急速に上昇させることを特徴とする
    黒鉛成形体用ニードルコークスの製造方法。
  2. 【請求項2】 得られたニードルコークスが半径0.1
    〜5μmの細孔をコークス1g当り0.06cc以上有
    する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 コークスの表面温度を少くとも100℃
    /分以上の温度上昇速度で上昇させる請求項1又は2記
    載の方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006252817A (ja) * 2005-03-08 2006-09-21 Japan Energy Corp 非水電解液二次電池、およびそれに用いる炭素材料
JP2007538219A (ja) * 2004-05-13 2007-12-27 エスゲーエル カーボン アクチエンゲゼルシャフト 炭素還元炉用ライナ
CN112457014A (zh) * 2020-10-21 2021-03-09 大同宇林德石墨新材料股份有限公司 一种超高功率石墨电极接头及其制备工艺

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