JPH10332481A - 高誘電体装置 - Google Patents

高誘電体装置

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JPH10332481A
JPH10332481A JP14741297A JP14741297A JPH10332481A JP H10332481 A JPH10332481 A JP H10332481A JP 14741297 A JP14741297 A JP 14741297A JP 14741297 A JP14741297 A JP 14741297A JP H10332481 A JPH10332481 A JP H10332481A
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JP
Japan
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temperature
high dielectric
capacitor
film
dielectric
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JP14741297A
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English (en)
Inventor
Kazuo Matsuzaki
一夫 松崎
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】小型、軽量、低消費電力および高信頼性で、温
度または赤外線を検知できる高誘電体装置を提供するこ
と。 【解決手段】交流電源3と高誘電体2からなる平行板コ
ンデンサ1と電流計4で高誘電体装置が構成され、変位
電流id の振幅を電流計で測定することで温度を計測す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、温度または赤外
線の変化に応じて、比誘電率が変化し、且つ、比誘電率
−電圧特性曲線においてヒステリシス損失が極めて小さ
く、比誘電率が高い高誘電体を利用した電子装置であっ
て、具体的には高誘電体材料を用いた温度または赤外線
を検知できる高誘電体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図12は従来の温度センサとその測定範
囲を示す図である。温度の測定方法は大別すると接触式
と非接触式とに分類される。接触式温度センサは図12
に示すように極低温から1800℃付近まで各種のセン
サが用意されている(センサの辞典−朝倉書店−参
照)。一方、非接触式温度センサは数百℃以上の測定に
使用され、光温度計、放射温度計、2色温度計などがあ
る。また、測定原理で分類すると、機械式(バイメタル
など)、電気抵抗式、熱電対式(ゼーベック効果利
用)、焦電効果式などがあるが、いずれも温度センサに
ついては小型、軽量、低消費電力および高信頼性の要求
は強い。また、遠隔操作などの要求を考えれば接触式、
非接触式の両用可能なものが望ましい。
【0003】また、測定温度範囲を、室温を中心にせい
ぜい±200℃の範囲で、且つ、センサのシステム化も
意図するならば、上記要求を満たす温度センサとしては
熱電効果を利用したものが望ましい。物質によって吸収
された赤外線(または熱)によってその物質の温度が上
昇し、その結果引き起こされる様々な熱電効果を利用し
て赤外線(または熱)をセンシングすることができる。
利用される熱電効果としては、電気抵抗の変化、起電力
の発生、焦電効果などがある。電気抵抗の変化を利用し
た赤外線(または熱)センサはボロメ−タといわれてお
り、サ−ミスタやPt,Au,Niなどの金属薄膜の電
気抵抗の温度依存性を利用する。赤外線(または熱)の
吸収による熱電対の温接点(熱電対の接点部で温度によ
り熱起電力を発生させる箇所)の温度上昇に基づく熱起
電力を利用することもできる。熱起電力は小さいので多
数の熱電対を直列接続した構造が熱電堆(熱電対を堆
積、つまり数段に重ねたもの)として用いられることが
多い。
【0004】一方、焦電効果は強誘電体に見られ、電圧
を印加しない状態でも、自発分極の温度変化依存性によ
り、温度変化があると表面電荷が生じる現象に基づいて
いる。温度変化ΔTにより、静電容量Cの両端に発生し
た表面電荷ΔQによる電圧ΔV=ΔQ/Cを測定する。
ΔQは自発分極Ps の変化量ΔPS に等しい。焦電効果
は無電圧の状態でも、温度変化があれば現れるため、赤
外線量(入射量のこと)の交流成分を測定できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記のよう
な、機械式は接点の摩耗や精度の点で、また電気抵抗式
は消費電力が大きい点で問題がある。熱電対式は簡便な
方法であるが、これは温接点部の断線や劣化などで信頼
性に問題がある。また、ボロメ−タや熱電堆は低消費電
力や高信頼性の観点から課題があり、センサのシステム
化にも適していない。
【0006】さらに、強誘電体の焦電効果を利用した温
度計は温度変化をつくるために、入射赤外線を機械的な
チョッパを用いて断続させる必要があり、この機械的な
チョッパの信頼性にも課題が残り、また熱平衡状態の温
度を測定するためには基準温度が必要となるなど複雑な
機構が必要となるという問題がある。また表面電荷の変
化量ΔQは外界の影響を直接受けやすく、信頼性の点で
課題がある。
【0007】この発明の目的は、前記の課題を解決し
て、小型、軽量、低消費電力および高信頼性で、温度ま
たは赤外線を検知できる高誘電体装置を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、赤外線の照射を受けて、比誘電率が変化する高誘
電体材料を電極間に狭持して形成されたコンデンサを有
し、コンデンサに照射される赤外線量の変化によりコン
デンサの容量を変化させ、温度または赤外線のいずれか
を検知する構成とする。
【0009】電源と前記コンデンサとを有し、前記コン
デンサの両電極に電圧を印加し、赤外線量の変化により
前記コンデンサに誘起される電荷量を変化させること
で、温度または赤外線のいずれかを検知する構成とす
る。電源とコイルと前記コンデンサとを有し、前記コイ
ルと前記コンデンサとを直列に接続し、赤外線量の変化
により前記コンデンサの容量を変化させて、前記コンデ
ンサと前記コイルで構成される電気回路の共振周波数を
変化させ、温度または赤外線のいずれかを検知する構成
としてもよい。
【0010】赤外線の照射により、比誘電率が変化する
高誘電体材料で、ゲート絶縁膜を形成したMIS構造の
スイッチングデバイスを有し、、温度の変化によりゲー
ト絶縁膜内に誘起される電荷量を変化させることで、ス
イッチングデバイスのしきい値を変化させて、温度また
は赤外線のいずれかを検知する構成とするとよい。前記
の高誘電体材料がPb、La、Zr、Ti、Ta、Ba
およびSnのうち少なくとも一つの元素を含む酸化物で
あるとよい。
【0011】前記の高誘電体装置の中核を構成するコン
デンサについて次に説明する。コンデンサの容量を温度
で変化させるために、コンデンサを形成する誘電体に温
度依存性が大きい高誘電体材料を用いる。高誘電体材料
の比誘電率が温度変化するということは比誘電率が温度
の関数となっているということである。このような高誘
電体材料を誘電体とした、サイズ一定のコンデンサを形
成し、このコンデンサの両端電極に一定の電圧V0 (波
高値が一定の交流電圧のこと)を印加しておくと、その
コンデンサに蓄積される電荷量QはQ=CV0 で表され
る。C=εr S/d(C:コンデンサの容量、εr :高
誘電体材料の比誘電率、S:コンデンサの面積、d:誘
電体の厚さ)であるから、
【0012】
【数1】 コンデンサのサイズ(S、d)及び印加される電圧V0
が一定であり、その値をA(=SV0 /d)とすると、
【0013】
【数2】 Q(T)=Aεr (T) (2) となる。即ち、コンデンサに蓄積される電荷量は温度の
関数として表される。ここで、焦電効果型(強誘電体の
場合に現れる効果)と異なる点は、自発分極による電荷
発生ではなく、外部から印加された一定の電圧V0 で誘
起された電荷発生という点である。
【0014】比誘電率の温度依存性を利用して、コンデ
ンサの容量やMIS構造スイッチングデバイスのしきい
値電圧を変化させ、温度または赤外線を検知する高誘電
体装置とすることができる。その応用例として、温度セ
ンサ、赤外線センサおよび感温スイッチなどがある。
【0015】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の第1実施例の高
誘電体装置である。これは変位電流検出法による温度ま
たは赤外線を検知する高誘電体装置である。交流電源3
と高誘電体2からなる平行板コンデンサ1と電流計4で
高誘電体装置が構成されている。ここで、高誘電体2と
は強誘電体ではなく、従って焦電効果が極めて小さく
(焦電効果なしと見做せる)、電圧を印加することで分
極する比誘電率が高い(100から1000程度)誘電
体のことをいう。
【0016】高誘電体2(高い比誘電率εr をもつ誘電
体)からなる平行板コンデンサ1の両端に交流電源3で
交流電圧V0 (V0 =v0sinωt )を加えた場合、閉回
路に変位電流id が流れる。id は(1)式から、次式
で表される。ただし、Qは電荷量、Sは平行板コンデン
サ1の面積、dは平行板コンデンサの電極間距離、Cは
平行板コンデンサの容量、ωr は角周波数、v0 は電圧
波高値、Cは平行板コンデンサの容量、tは時間、Tは
高誘電体2の温度である。
【0017】
【数3】 (3)式から、変位電流の振幅〔Sv0 ωεr (T)/
d〕を電流計で測定することで、比誘電率の値が判る。
この比誘電率の値から、高誘電体装置は温度を計測でき
るセンサとなる。またセンサ部である平行板コンデンサ
に赤外線を照射することによって赤外線を検知するセン
サやその赤外線量を計測する測定装置として用いること
ができる。
【0018】図2はこの発明の第2実施例の高誘電体装
置である。これはLC共振(直列共振回路)法よる温度
または赤外線を検知する高誘電体装置である。交流電源
3と、高誘電体2からなる平行板コンデンサ1と、コイ
ル5および電流計4とで高誘電体装置が構成されてい
る。ただし、図中の内部抵抗rは平行板コンデンサ1や
コイル5などに内蔵される抵抗である。
【0019】高誘電体2からなる平行板コンデンサ1と
コイル5とが直列接続された回路を、外部の交流電源3
により一定振幅の交流電圧で励振する。励振周波数が回
路固有の共振周波数に近づくと回路に蓄積されるエネル
ギ−が極めて大きくなる。いま、コイル5のインダクタ
ンス値Lを固定した場合でも、平行板コンデンサ1の比
誘電率が赤外線(または熱)で変化すると、回路固有の
共振周波数もそれに伴って変化する。この変化した共振
周波数から赤外線量(または熱や温度)を一義的に求め
ることができる。即ち、この直列共振回路にV0 =v0
exp(jωt)の波高値一定の定電圧の交流電源3を接続
すると、回路のインピ−ダンスZ=jωL+1/jωC
+rを流れる電流I0 =i0 exp(jωt))は、
【0020】
【数4】I0 =│i0 │exp(-jθ)として │i0 │=v0 /r〔1+Q0 2(ω/ω0 −ω0 /ω)2 1/2 θ =tan-10 (ω/ω0 −ω0 /ω) (4) ただし、ω0 -2=LC,Q0 =ω0 L/r=1/ω0
Cで与えられる。共振点でインピ−ダンスは最小、電流
は最大となる。この最大電流点を電流計で検出すること
により、コンデンサの容量Cすなわ高誘電体の比誘電率
εr が求まり、比誘電率εr の温度依存性から温度が求
まる。平行板コンデンサとコイルとを並列接続し、回路
のインピ−ダンスが最大、電流(または電圧)が最大と
なる共振点から求めることも勿論可能である。このよう
に、共振周波数から温度を計測できるセンサとなる。ま
たセンサ部である平行板コンデンサに赤外線を照射する
ことによって赤外線を検知するセンサやその赤外線量を
計測する測定装置として用いることができる。
【0021】図3は図1および図2の高誘電体装置で適
用される平行板コンデンサの要部断面構造である。この
図で断面構造図と共に製造工程の概要も説明する。Si基
板11上に 400nm厚のSiO2膜12を熱酸化で形成した
後、平行板コンデンサ1の一方の電極であるTi膜13及
びPt膜14を連続スパッタ蒸着する(膜厚はそれぞれ 5
0nm ,1μm)。次に、高誘電体であるPZT [Pb(Zr0.5T
0.5)O3] 膜15を 100nmスパッタ蒸着した後、引き続き
平行板コンデンサ1の他方の電極であるPt膜16を 1μ
mスパッタ蒸着する。高誘電体であるPLZT膜15の面積
は1mm 2 程度である。
【0022】図4は図3で製作された高誘電体の比誘電
率と温度の関係を示す図である。高誘電体に5V印加
し、比誘電率の温度特性を温度範囲20℃から200℃
まで測定した。その結果、図で示すように、比誘電率は
温度に対して直線関係にあることが判った。この関係を
利用して、温度を検知することができる。図5は共振周
波数の温度依存性を測定する回路図である。平行板コン
デンサ1とコイル5と交流電源3からなる回路で高誘電
体装置を構成する。高誘電体2からなる平行板コンデン
サ1を恒温槽7にセットし、5Vの交流電圧を印加しな
がら、恒温槽7の温度を上昇させて、共振周波数の変化
を測定する。
【0023】図6は共振周波数の温度依存性を示す図で
ある。恒温槽温度が高くなると共振周波数は直線的に減
少することが判った。このことは共振周波数を温度に変
換して、温度を計測できるセンサとして用いることがで
きる。また、この回路に流れる変位電流を測定すること
で、温度を検知することも可能である。尚、図1、図2
でセンサ部である平行板コンデンサを二次元的に配列し
て赤外線イメ−ジセンサとすることもできる。さらに、
その温度上昇がわずかで感度が低い場合には、赤外線吸
収率の高い膜を、センサ部である平行板コンデンサに被
覆して、感度向上を図ることもできる。
【0024】図7はこの発明の第3実施例の高誘電体装
置のブロック図である。この図はMOS法による温度ま
たは赤外線量を計測する高誘電体装置である。センサ部
21と制御・駆動部23と表示部24から構成され、セ
ンサ部21は高誘電体のゲート酸化膜を有するMOS構
造スイッチングデバイス22(MOSFETなど)で、
制御・駆動部23は制御IC28および駆動IC27
で、そして表示部21はVth−温度変換回路25と温度
ディスプレイ26(例えば、℃で温度表示する)で構成
されている。MOS構造スイッチングデバイス22が一
定のドレイン電流となるように制御・駆動部23でコン
トロ−ルする。その時のしきい値電圧(V th)は表示部
24のVth−温度変換回路25で出力・変換され、温度
が温度ディスプレイ26(液晶ディスプレイ)で表示さ
れる。尚、Vth−温度変換回路25では、予め高誘電率
材料が示す比誘電率の温度特性としきい値電圧の関係が
後述の(6)式で示すような関係式で較正されている。
制御・駆動部23と表示部24が温度の影響をうけない
ように、センサ部21とはAu線などのリ−ド線(長さ
〜5m)で遠隔されており、温度を検知する部分(セン
サ部23)のみが発熱体近傍に設置されるようにする。
【0025】つぎに、MOS構造スイッチングデバイス
22がONするしきい値電圧Vthの温度依存性にいつい
て説明する。MOS構造スイッチングデバイス22のし
きい値電圧Vthは次式で与えられる。
【0026】
【数5】 ここで、ΦMSはゲ−ト電極と半導体との仕事関数の差、
φf は半導体表面ポテンシャル、QSSは界面電荷密度、
B は半導体表面の空乏層領域内の電荷密度、CO はゲ
−ト酸化膜(ここでいうゲート酸化膜は図8のPST 膜3
6を含む)の容量である。MOS構造を物理的に決定し
てやれば、QSSはプロセス的な変動はあるものの、
ΦMS,φf ,QB ,CO は一義的に決まる。従って、プ
ロセス的に管理された状況下ではQSSもある一定の値に
押さえこむことが出来るため、ゲ−ト酸化膜の変わりに
高誘電体の比誘電率εr を用い、MOS構造を物理的決
定すれば、Vthは次式で表される。
【0027】
【数6】 Vth=a−b(εr ) -1 (6) ここで、a,bはMOS構造で決定される定数であるた
め、Vthは比誘電率の値から一義的に決定される。この
ことから、比誘電率が温度の関数であり、Vthの値は比
誘電率の関数であることから、Vthの値から温度や赤外
線量を計測することができる。
【0028】図8は図7の高誘電体装置に適用されるM
OS構造スイッチングデバイスの製造工程を示す。先
ず、p型Si基板31(ド−パント濃度; 2×1016c
m-3)を初期酸化(酸化膜厚〜 1μm)した後、MOS
部形成領域以外のSiO2膜32を残し、MOS部形成領域
を通常のフォトプロセスで開口し、該領域にソ−ス領域
33およびドレイン領域34(n+ ;ド−パント濃度〜
2×1020cm-3)を形成する(同図a)。次に、ゲ−トSi
O2膜35(膜厚〜 1nm)、高誘電体膜であるPST 膜36
(膜厚〜10μm)、Pt膜37(膜厚〜 0.5μm) を連続
して形成する(同図b)。ゲ−トSiO2膜35はドライ酸
素雰囲気中でランプ加熱により急熱急冷の短時間変化
(RTO;Rapid Thermal Oxidation)を行うことにより、1n
m 厚成長させた。加熱条件は 800℃, 7secである。
【0029】つぎに、高誘電体膜であるPST 膜36 [ P
b(Sc0.5Ta0.5)O3; lead scandium tantalate ]の形成方
法について述べる。先ず、scandium acetate[Sc(OAc)3
xH2O] を60℃, 2h 真空中で無水物化処理した後、2-me
thoxyethanolと混合した。次に適当な量の tantalum et
hoxide溶液を加え、加熱、還流して、ST前駆体溶液をつ
くる。そのST前駆体溶液に1当量のH2O を加えて加水分
解し、48時間エ−ジングして 24 時間還流した。同様に
して、anhydrous lead acetate[Pb(OAc)2 3H2O] に2-me
thoxyethanolを混合し、4 時間還流加熱した後、真空蒸
留してPb前駆体溶液つくる。このPb前駆体溶液を透明な
粘性のある液体となるまでその操作を繰り返した後、以
前に準備されたST前駆体溶液と、この Pb 前駆体溶液を
室温で混合攪拌した。このようにしてできたPST 溶液を
前記ウェハ上に塗布、スピンコ−トした後、700 ℃でベ
−クした。この操作を繰り返し、PST 膜36の膜厚が10
μmになるようにした。引き続き、スパッタ法によりPt
膜37を 0.5μm厚形成した(同図b)。次に、通常の
フォトプロセスでゲ−ト部のみにゲ−トSiO2膜/PST 膜
36/Pt膜37が残るようにエッチング加工した。エッ
チャントはPST 膜26/Pt膜37は王水、ゲ−トSiO2
35は希フッ酸であった(同図c)。ゲ−ト酸化膜とし
て直接高誘電体膜を形成せずに、シリコン酸化膜を介在
させたのはゲート酸化膜とSi界面の界面電荷制御のた
めである。この場合、ゲ−トキャパシタはゲートSiO2
35と高誘電体膜であるPST 膜36との直列接続となる
ため、高誘電体膜の誘電率変化に敏感になるように、ゲ
ートSiO2膜35の膜厚は高誘電体膜厚に比べて極端に薄
くする必要がある。そのため、ゲートSiO2膜35の膜厚
は1nm,高誘電体膜であるPST 膜36の膜厚を10μ
mとした。次に炉温度 400℃でSiH4とO2ガスを導入し、
SiO2膜をCVD法で 1μm堆積して、CVD-LTO 膜38を
形成した後、ソ−ス領域33、ドレイン領域34、ゲ−
トのコンタクトホ−ル部を通常のフォトプロセスで開口
し、ソース電極39、ドレイン電極40およびゲート電
極41を、Alをスパッタ蒸着(厚さ 1μm)と、通常の
フォトプロセスにより形成する(同図d)。また最終保
護膜が必要な場合はその後プラズマCVDSiN:H 膜を被
覆させる。尚、ここでは、シリコン表面を直接被覆する
酸化膜のことをゲートSiO2膜35としたが、このゲート
SiO2膜35と前記の高誘電体膜であるPST 膜36とを含
めた酸化膜が真のゲート酸化膜である。つまり、前記の
しきい値電圧(Vth)に影響を及ぼすゲート酸化膜は、
この真のゲート酸化膜のことである。
【0030】尚、この実施例では高誘電体膜は一種類だ
けであるが、異なる種類の高誘電体膜を複数層積層して
も勿論構わない。図9は図8の高誘電体膜の誘電率の温
度依存性性を示す図である。この図からわかるように、
0℃を境にして同じ誘電率を与える温度が2つ(0℃以
下と0℃以上)存在する。そのため、この高誘電体膜を
用いる限り測定すべきものの温度が0℃以下か以上かを
別の手段で検出しておく必要がある。
【0031】図10は図7の表示部で示される温度(セ
ンサ表示温度)と恒温槽温度を示した図である。図7の
センサ部を構成するMOS構造スイッチングデバイス2
2を図示されていない恒温槽にセットし、恒温槽の温度
を−100℃から+100℃まで可変して、温度ディス
プレイ26が示す温度を検証した。一つの恒温槽温度に
対して2つのディスプレイ値(センサ表示温度)がある
のは、前記のように図8の高誘電体膜が図9のような特
性(同じ比誘電率を与える温度は2つ)をもつために起
こる現象である。図10のうち、●印は真の温度、○印
は虚(同じ誘電率を与える別の温度)の温度で、データ
処理により、0℃を境に真の温度が表示されるようにす
ることで、●印だけをとることができる。そうすること
で、恒温槽温度(被測定温度のこと)とセンサ表示温度
とを一致させることができる。
【0032】つぎに、前記のMOS構造スイッチングデ
バイスをスイッチとして利用した場合の例を示す。ただ
し、ここではMOS構造スイッチングデバイスの高誘電
体膜としてPZT を用い、(6)式でa=4V,b=1000V,
Vth=3V となるように設計した。1.064 μmの発振波
長をもつYAGレ−ザをゲ−ト部に照射すると、スイッ
チング動作を示した。
【0033】図11は赤外線照射によるスイッチング動
作波形を示す。上図は横軸が時間で縦軸は赤外線の光量
である。また下図は横軸が時間で縦軸は電流である。Y
AGレーザ光で赤外線を照射して、MOS構造スイッチ
ングデバイス(MOSスイッチのこと)のゲート酸化膜
を構成している高誘電体膜を昇温させる。高誘電体膜が
昇温すると、MOSスイッチのしきい値が低下して、M
OSスイッチに徐々に電流が流れる。MOSスイッチの
加熱・放熱の関係で応答が遅いようだが、ON、OFF
のスイッチング動作をしているのが判る。このことか
ら、スイッチング速度には限界があるが、赤外線を検知
するスイッチとして利用できる。またこのように光を使
ったスイッチのために、遠隔操作という点で利用度が高
いと考えられる。
【0034】また前記のMOS構造スイッチングデバイ
スをスイッチとして利用した場合の別の例を次に示す。
MOS構造スイッチングデバイスの高誘電体膜にPST 膜
を用い、(6)式でa=4V,b=2500V, Vth=3V とな
るように設計した。MOS構造スイッチングデバイスを
ヒ−タのスイッチに用いることにより、70℃近傍でON
−OFFを繰り返すため恒温装置の温度センサ付スイッ
チとして動作できることが判った。
【0035】
【発明の効果】この発明によれば、高誘電体材料を利用
してコンデンサまたはMOS構造スイッチングデバイス
を製作し、このコンデンサまたはMOS構造スイオッチ
ングデバイスを電気回路に組み込むことで、小型、軽
量、低消費電力および高信頼性の温度または赤外線を検
知する高誘電体装置を製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の高誘電体装置の説明図
【図2】この発明の第2実施例の高誘電体装置の説明図
【図3】図1および図2の高誘電体装置で適用される平
行板コンデンサの要部断面構造図
【図4】図3で製作された高誘電体の比誘電率と温度の
関係を示す図
【図5】共振周波数の温度依存性を測定する回路図
【図6】共振周波数の温度依存性を示す図
【図7】この発明の第3実施例の高誘電体装置のブロッ
ク図
【図8】図7の高誘電体装置に適用されるMOS構造ス
イッチングデバイスの製造工程で、(a)ないし(e)
は各工程での素子断面図
【図9】図8の高誘電体膜の誘電率の温度依存性性を示
す図
【図10】図7の表示部で示される温度(センサ表示温
度)と恒温槽温度を示した図
【図11】スイッチング動作波形を示す図
【図12】従来の温度センサとその測定範囲を示す図
【符号の説明】
1 平行板コンデンサ 2 高誘電体 3 交流電源 4 電流計 5 コイル 6 内部抵抗 7 恒温槽 11 Si基板 12 SiO2膜 13 Ti膜 14 Pt膜 15 PZT 膜 16 Pt膜 17 Ptワイヤ 18 Ptワイヤ 21 センサ部 22 MOS構造スイッチングデバイス 23 制御・駆動部 24 表示部 25 Vth−温度変換回路 26 温度ディスプレイ 27 駆動IC 28 制御IC 31 Si基板 32 SiO2膜 33 ソース領域 34 ドレイン領域 35 ゲートSiO2膜 36 PST 膜 37 Pt膜 38 CVD-LTO 膜 39 ソース電極 40 ドレイン電極 41 ゲート電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】赤外線の照射を受けて、比誘電率が変化す
    る高誘電体材料を電極間に狭持して形成されたコンデン
    サを有し、コンデンサに照射される赤外線量の変化によ
    りコンデンサの容量を変化させ、温度または赤外線のい
    ずれかを検知することを特徴とする高誘電体装置。
  2. 【請求項2】電源と前記コンデンサとを有し、前記コン
    デンサの両電極に電圧を印加し、赤外線量の変化により
    コンデンサに誘起される電荷量を変化させることで、温
    度または赤外線のいずれかを検知することを特徴とする
    請求項1記載の高誘電体装置。
  3. 【請求項3】電源とコイルと前記コンデンサとを有し、
    前記コイルと前記コンデンサとを直列に接続し、赤外線
    量の変化により前記コンデンサの容量を変化させて、前
    記コンデンサと前記コイルで構成される電気回路の共振
    周波数を変化させ、温度または赤外線のいずれかを検知
    することを特徴とする請求項1記載の高誘電体装置。
  4. 【請求項4】赤外線の照射を受けて、比誘電率が変化す
    る高誘電体材料で、ゲート絶縁膜を形成したMIS構造
    のスイッチングデバイスを有し、温度の変化によりゲー
    ト絶縁膜内に誘起される電荷量をを変化させることで、
    スイッチングデバイスのしきい値を変化させて、温度ま
    たは赤外線のいずれかを検知することを特徴とする高誘
    電体装置。
  5. 【請求項5】高誘電体材料がPb、La、Zr、Ti、
    Ta、BaおよびSnのうち少なくとも一つの元素を含
    む酸化物であることを特徴とする請求項1ないし4のい
    ずれかに記載の高誘電体装置。
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