JPH10331027A - 再生セルロース繊維及びその製造方法 - Google Patents
再生セルロース繊維及びその製造方法Info
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- JPH10331027A JPH10331027A JP14017397A JP14017397A JPH10331027A JP H10331027 A JPH10331027 A JP H10331027A JP 14017397 A JP14017397 A JP 14017397A JP 14017397 A JP14017397 A JP 14017397A JP H10331027 A JPH10331027 A JP H10331027A
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Abstract
高強力で、かつ染色性に優れるリヨセル繊維を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 リグニン含有量の多いセルロースをN−
メチルモルホリン−N−オキシドと水からなる溶媒に溶
解し、導入角の低いオリフィスの紡糸口金を用い冷却条
件を選択して疑似液晶紡糸を実現することにより、優れ
た染色性と風合を有する再生セルロース繊維を得る。地
球環境に対して負荷が少なく、かつセルロース資源の有
効な利用の道が開ける。
Description
ない再生セルロース繊維に関する。さらに詳しくは、N
−メチルモルフォリン−N−オキシドを溶媒として用い
て、リグニンを大量に含む再生セルロース繊維を製造す
る技術に関するものである。
を溶媒として用いた再生セルロース繊維の製造法は特公
昭54-41691号、特公昭57-11566号、特公昭57-85823号や
特公昭60-28848号などで開示されたように古くより知ら
れた技術であるが、環境負荷の軽いこと、物性に優れる
ことから近年になりさらに注目を集めている。しかしな
がらこれまで開示された技術は、この系で環境保全に貢
献する目的でセルロース原料を検討したものは無く、い
わんや挟雑物として嫌われ精製されてきたリグニンを大
量に含有するセルロース繊維などは論外の技術であっ
た。この溶媒紡糸セルロースの特徴を活かせる高効率の
製造方法に関しての技術開示はない。
への適合性や資源保護性にすぐれた再生セルロース繊維
を提供するものであり、N−メチルモルフォリン−N−
オキシド(NMMO)を溶媒として用い、セルロース資
源を有効に活用し、かつ得られた再生セルロース繊維
(リヨセル)の物性の向上を目指すものである。
モルフォリン−N−オキシドを溶媒として用いた再生セ
ルロースの製糸方法を鋭意検討した結果、セルロース資
源に大量に含まれるリグニンを分別精製することなく原
料セルロースとして用いる事が可能であり、かつ得られ
た再生セルロース繊維が優れた力学特性を保ちながら優
れた染色性を有する再生セルロース繊維となることを見
出した。即ち本発明は、N−メチルモルフォリン−N−
オキシドにセルロースを溶解した紡糸原液を乾湿式紡糸
して得られ、かつリグニンの含有率が全セルロース重量
に対して1重量%以上の再生セルロース繊維であり、さ
らにN−メチルモルフォリン−N−オキシドを溶媒と
し、セルロースを10乃至25重量%溶解した紡糸原液
を乾湿式紡糸して再生セルロース繊維を製造するに際
し、紡糸原液のセルロースの平均重合度が450以下で
あり、そのうち5乃至20%が重合度500以上のセル
ロースであり、かつ紡糸原液中にリグニンを全セルロー
ス重量に対して1重量%以上含有するようにしたことを
特徴とする再生セルロース繊維の製造方法である。
ると同時に優れた力学特性と風合いを持つことから次世
代のセルロース繊維として注目すべきものである。しか
しながらその価格はレーヨンなどに比べ割高で十分市場
に浸透するに至っていない。本発明者らは、リヨセル繊
維を安価に製造する方法につき鋭意検討した結果、リグ
ニンをレーヨンでは考えられないほど多量に含んでも尚
その優れた力学特性と風合いを保つことおよび染色性が
一段と改善される事を見出し本発明に至った。
の利用を考えると、面積当たりのセルロース資源の生産
量が重要となる。これまで再生セルロース系繊維用セル
ロースとしては木材が使用されてきた。昨今の森林破壊
を考えると非木質系のセルロースの利用が望ましい。こ
うした観点からはケナフパルプは資源投入がすくなくて
もセルロースの生産量が高いことから注目すべき原料で
ある。森林 8,000m2で1トンのセルロースが得られるの
に対し、ケナフでは12〜16トンものセルロースが得
られる。これは綿花の単位断面積当たりのセルロース生
産量の30倍に当たり、バイオマスとしてのケナフの利
用は今後の環境資源を考えれば極めて望ましい。これま
でケナフ靭皮をレーヨン等の原料とする試みはなされて
きたが、靭皮に限っての使用であり、リグニンやヘミセ
ルロースの除去が必要であった。このためケナフの高い
セルロースの生産性のメリットが半減する。ところがN
−メチルモルフォリン−N−オキシドは極めて溶解能が
高く、かつレーヨンの場合には考えられないほど高濃度
にリグニンを含有しても高品位な再生セルロース繊維が
製造可能であることを見出した。
特性を担うフィブリルに起因して染料吸尽量が極めて少
ない。しかるに良好な染色性を示す理由は、フィブリル
外へ偏析したヘミセルロールやリグニン等のいわば不純
物の効果であると考えられる。即ち、フィブリルを取り
囲むように偏析したリグニンやヘミセルロースが染料の
染着座席となり、全体として少ない染料吸尽量にも拘わ
らず効果的に染色されるためと考えられる。
パルプで、特に靭皮部と芯部を分離することなく用いる
のが最も好適であるが、その他いかなる一般的セルロー
スを用いても良い。ヘミセルロース成分を比較的多く含
有するパルプ原料、たとえばクラフトパルプなどを混合
し、繊維中に含まれるリグニンの含有率を1重量%以上
になるように調整する事により高品位な再生セルロース
繊維が極めて安価に製造できる。リグニンの含有率を1
重量%未満にするためには精製工程が必要であり、この
精製工程でケナフパルプのセルロース収率が低下してし
まい、省資源にならず、従って安価に製造することがで
きず、また染色性も改善されない。リグニンの含有率が
10重量%を越えて、リグニンが未溶解のまま存在する
場合、紡糸性が阻害される傾向があるので、リグニンの
含有率は1〜10重量%が推奨されるが、リグニンを溶
解させることができればこれに限定されるものではな
い。
るため、高重合度のセルロースに低重合度のセルロース
を混用した原料でももちろん良い。丁度、ケナフの全茎
を用いた場合がこれに相当し、靭皮部分のセルロースが
高重合度のセルロースで、芯部のセルロースが低重合度
のセルロースに相当する。高重合度のセルロースとして
は、一般に重合度 750以上の木材パルプが用いられる。
もちろん高重合度が必要なので他のセルロースであって
も紡糸ドープとしたときに重合度が 500以上であるよう
なセルロースであればよい。従ってリンターや好適に回
収された木綿繊維などであっても良い。
プに調製したときの重合度が 450以下であることが重要
である。こうした原料としては回収されたレーヨン繊維
が好適であるが、このほか回収されたレーヨン繊維、回
収した古紙、回収された古木綿などの再生原料となるセ
ルロースなども用いることができる。こうした低重合度
セルロースが主成分として活用できる本発明の再生セル
ロース繊維は環境や資源保護の観点からも優れたものと
いえる。
業用メタノールで湿潤後、高速粉砕する。粉砕パルプは
乾燥して使用する。パルプ、繊維状物の場合は裁断して
使用する。かくして得られる原料セルロースをN−メチ
ルモルフォリン−N−オキシド/水混合溶媒にシアーミ
キサーを用いて溶解する。溶媒のN−メチルモルフォリ
ン−N−オキシド/水の混合比は 90/10乃至40/60 、セ
ルロース成分は溶液中15乃至25重量%、溶解温度は80乃
至 135℃が好ましい。
−メチルモルフォリン−N−オキシドの分解を防ぐ目的
で、安定剤を添加することは有効である。安定剤として
は過酸化水素、蓚酸、蓚酸塩、没食子酸、メチルジ没食
子酸、グリコシドなどが用いられる。N−メチルモルフ
ォリン−N−オキシドを溶媒として用いたセルロースは
高濃度の溶液が得られかつその粘度が湿式紡糸としては
極めて高いことは、野村らの繊維学会誌, 51, 423 (199
5)掲載の文献などによってもよく知られている。こうし
て得られた褐色で透明な高粘度(溶解温度での零剪断粘
度が5000ポイズ以上)の溶液は薄膜エバポレータで脱泡
および水分の蒸発による溶解性の確保及び濃度調整後、
濾過して紡糸部に供給される。
ギアポンプで計量されスピンパックへ供給される。紡糸
温度は90〜135 ℃が好ましい。90℃未満ではドープ粘度
が高く、実質的に紡糸が困難で、また 135℃越えると安
定剤を用いた系でもセルロースの重合度の低下が大きく
実際的でない。オリフィスは重要でありドープの吐出安
定性を得るためL/D を著しく長くする技術開示(特開平
4-308220号)もあるが、紡糸背圧が高くなり好ましくな
い。好ましい紡糸口金は導入角の低いオリフィスが好適
である。また本発明の繊維は夾雑物を多く含むためフィ
ルトレーションが必要で、スピンパックにサンドを用い
て濾過したり、線引き細金属繊維からなるフィルター等
での濾過が望ましい。特に口金直前の濾過が有効であ
る。
度で紡糸し、かつ凝固を紡糸温度より低い温度で行う、
いわゆるエアーギャップを設け、乾湿式紡糸する技術に
おいて、本発明者らは、疑似液晶への転移には十分な紡
糸延伸倍率が必要であることを見い出した。具体的に
は、紡糸延伸倍率は 3.5倍以上50倍以下が好適である。
またエアーギャップ長は20mm乃至500mm が好ましい。20
mm未満では十分な紡糸延伸倍率を糸切れなく達成するこ
とが難しく、500mm を越えると分子緩和が発生して逆に
疑似液晶紡糸が困難になる。冷却はいわゆるクエンチチ
ャンバーを用いて行う事が好ましく、冷却風の条件は、
温度は10乃至30℃が好適で、風速は 0.2乃至1.0m/秒が
好ましい。
ースを混合した原料を使用することは、資源のリサイク
ルを考える場合極めて重要なことであり、本発明の繊維
にも好適に用いることができる。衣料に用いる繊維の強
度は産業用繊維と異なり繊維の強度がさほど必要とされ
ない。従って衣料用の繊維はむやみに強度が高い必要は
なく、むしろ風合い・耐久性といった性質が重要である
ので、低重合度のセルロースの混入はむしろ好適であ
る。本発明の疑似液晶紡糸によれば、高重合度成分の存
在が衣料に必要な十分な強度を発現する。
ン−N−オキシド水溶液が用いられる。凝固浴のN−メ
チルモルフォリン−N−オキシドの濃度は10重量%以上
50重量%以下が好ましい。10重量%未満ではN−メチル
モルフォリン−N−オキシドの蒸発による回収が不経済
となるし50重量%を越えると十分な凝固フィラメントが
得られない。凝固浴温度は-20℃以上、20℃以下が好ま
しい。20℃を越えると凝固が不完全で繊維性能が低下す
るし、 -20℃より低いと凝固浴の冷却が不経済である。
乾燥工程に送られるが、ネットコンベアなどの捕集装置
で糸条を捕集して処理する事は製造工程の設備投資を低
減させるのに有効である。ネットコンベアへの捕集を用
意にするため特公昭47-29926号などに記載されたダブル
キックバックロールやアスピレータを用いることは有効
である。
する場合はクリンパーを工程中に設けることは有効であ
る。クリンパーはいわゆるスタッフィングボックス型の
クリンパーが好ましいが、ギアークリンパーでも良い。
クリンパーボックス型のクリンパーの場合はネットコン
ベアの捕集装置としても用いることができる。
繊維束は長繊維の場合はワインダーで所定の繊度の糸条
として巻き上げられる。短繊維の場合は繊維束は束ねら
れ直ちにもしくは別途カッターで切断される。カッター
はロータリー式カッターやギロチン式カッターなどが一
般的に用いられる。
学会編「高分子材料試験法2」、p.267 、共立出版(19
65)に記載の銅エチレンジアミン法により測定した。
着率に準じて試験した。
8101-1994 のリグニンに準じて処理し得られた値をリグ
ニン含有率とした。
例に限定されるものではない。 <実施例1>セルロースとしてケナフ全茎を用いたクラ
フトパルプを用いて、セルロースを、N-メチルモルフォ
リン-N- オキシドと水の混合液に 110℃で減圧溶解し
た。得れたドープの組成比率はセルロース18重量%、N-
メチルモルフォリン-N- オキシド73重量%と水9重量
%であった。このドープを用いて紡糸を行った。比較例
としてセルロースとして高α-木材パルプを用いた他は
同じとしたリヨセル繊維を用いた。表1に示すように、
実施例では、リグニン含有率が多いにもかかわらず高品
質の繊維が得られ、比較例のリヨセル繊維に劣らぬ満足
な糸質と比較例に比べ格段に良好な染色性を持つ再生セ
ルロース繊維が得られ、繊維風合いは一段と優れたもの
であった。
ケナフ靭皮からのクラフト処理したパルプを低重合度の
セルロースとしてケナフ芯部からのクラフト処理したパ
ルプを用いてそれぞれの混合比を0/100 から80/20 まで
変更し、全セルロースを、N-メチルモルフォリン-N- オ
キシドと水との混合液に 110℃で減圧溶解した。得られ
た全セルロースは18重量%、N-メチルモルフォリン-N-
オキシドは73重量%と水9重量%であった。紡速を200m
/分とし、300mm のエアーギャップを介して吐出糸条を
凝固浴に導いた。エアーギャップで10℃のクエンチ風を
0.50m/秒の速度でドープフィラメントに直角に吹き付け
糸条の冷却を行った。20重量%の濃度で10℃凝固浴
で凝固させたフィラメントを水洗し捲き取った。得られ
た繊維を乾燥後測定した結果、表2から明らかなよう
に、本発明の繊維は極めて良好な染色性と優れた繊維力
学特性を示した。
合を有する再生セルロース繊維(リヨセル繊維)が極め
て安価に製造でき、省資源、環境適合性に優れた再生セ
ルロース繊維が得られる。
Claims (3)
- 【請求項1】 N−メチルモルフォリン−N−オキシド
にセルロースを溶解した紡糸原液を乾湿式紡糸して得ら
れ、かつリグニンの含有率が全セルロース重量に対して
1重量%以上の再生セルロース繊維。 - 【請求項2】 N−メチルモルフォリン−N−オキシド
を溶媒とし、セルロースを10乃至25重量%溶解した
紡糸原液を乾湿式紡糸して再生セルロース繊維を製造す
るに際し、紡糸原液のセルロースの平均重合度が450
以下であり、そのうち5乃至20重量%が重合度500
以上のセルロースであり、かつ紡糸原液中にリグニンを
全セルロース重量に対して1〜10重量%含有するよう
にしたことを特徴とする請求項1に記載の再生セルロー
ス繊維の製造方法。 - 【請求項3】 乾湿式紡糸の紡糸口金から凝固浴の間で
紡出フィラメントを積極的に気体流を用いて冷却する請
求項2に記載の再生セルロース繊維の製造方法。
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