JPH10323226A - 歯ブラシ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来知られている毛先を針状に加工したフィ
ラメントの歯ブラシは、毛の先端部付近では径が小さい
ため毛が柔らかくなり過ぎていた。また球状先端に加工
したフイラメントの歯ブラシは、毛先の径が大きく、歯
間、歯と歯茎の境界面に毛先が入り込めなかった。この
ため、口腔内の隅々まで隈無く清掃可能な歯ブラシが望
まれていた。 【解決手段】 ブラシ部を有する頭部と、把持部と、該
頭部と該把持部とを連結する頚部とからなる歯ブラシに
おいて、前記ブラシ部の毛束群が、横断面形状が多角形
のフィラメントを植毛した毛束群の部分と、同心円状の
横断面形状となるように芯部となる材質の周囲に鞘部と
なる材質を配した芯鞘フィラメントを植毛した毛束群の
部分からなる歯ブラシ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、歯磨き時に歯と歯
の間や歯と歯茎の境目等の歯垢の溜まりやすい部分の歯
垢を効果的に除去することができ、同時に歯茎のマッサ
ージを効果的に実施可能な歯ブラシを提供することを目
的とする。

【０００２】

【従来の技術】近年の多くの人の一般的な生活の中で、
歯磨きは日常習慣の一部に取り入れられている。この歯
磨きは、齲蝕、歯周病、口臭予防および歯肉のマッサー
ジを目的として行われるもので、これには歯ブラシが最
も広く利用されている。歯ブラシは、歯に付着した歯垢
や歯間の食物残渣をブラシで除去することを主目的とし
ているが、同時に歯肉のマッサージのためにも用いられ
ている。従来の歯ブラシのフィラメントには、円形の断
面形状で、単一の樹脂からなるモノフィラメントが主に
使用されているが、かかるモノフィラメントの先端形状
として、半球状やテーパー状或いは先細状に加工したも
のが知られている。さらにこれらの個々の毛束に一種類
の先端形状あるいは２種類の先端形状のフィラメントを
混合して植毛穴に植毛したものも知られている。

【０００３】さらに例えば、（１）歯の表面、歯間、歯
と歯茎の間、奥歯等に付着した歯垢や食物片を効果的に
取り除くことができるように、歯ブラシの植毛部の毛切
り形状を工夫し、平切り、山切り（実開昭６２ー１０６
５２２）、山形切り（実開平３ー８２０２３）、２段差
切り等としたもの、（２）植毛に使用されるフィラメン
ト素材としては、歯や歯肉を痛めにくく、かつ歯垢を効
果的に取り除くことができるものが好ましいため、一般
にナイロン樹脂が使用されているが、一部にはポリブチ
レンテレフタレート、又は異なる２種の材質を組み合わ
せて使用したもの（実開昭５２ー８１３５５、実開昭５
８−３１８３７）、（３）毛の太さについても、歯ブラ
シの毛の硬さ品質表示の「かため」「ふつう」「やわら
かめ」に適合し、さらに歯垢を効果的に取り除くよう
に、一種の毛の太さ又は、２種の毛の太さを組み合わせ
て使用したもの（実開平１ー１２１４３１）、（４）毛
先の形状として、球形（実開昭６１ー９７９２３）やテ
ーパー状（実開平６ー１５４）のものなど多種多様な工
夫がなされている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】近年、口腔衛生への関
心が高まるにつれて、虫歯や歯周病の原因となる歯垢を
効果的に取り除くため、上記のように多様な歯ブラシが
開発されているが、従来から知られている歯周病の予防
を目的として、歯と歯茎に付着した歯垢を取り除くよう
に、毛先をテーパー状、つまり、毛の先端を針状に加工
した毛先のフィラメントをブラシ台全体に植毛した歯ブ
ラシの場合、歯と歯茎の間に入りやすいフィラメント形
状なのであるが、毛の先端部付近ではフィラメント径が
小さいため毛が柔らかくなり過ぎてしまい、十分に歯垢
を取り除くのに必要な強度を失ってしまい、結局歯周病
予防という歯ブラシの目的に沿わないものとなってい
る。他方、円状又は球状先端に加工したフィラメントを
植毛台に植毛した歯ブラシは、歯茎のマッサージや歯の
平滑面の清掃には適しているものの、歯間や、歯と歯茎
の境界面を清掃するのには毛先の径が大きく、それらの
境界面に毛先が入り込めないため該境界面の歯垢を取り
除くことが困難である。即ち、先端形状が同一の毛束又
は二種類の先端形状の毛束を均一に混在させた従来の歯
ブラシでは、口腔内の隅々まで隈無く清掃することが困
難であった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、これら従来の
問題点を解消し、歯磨き方法や歯磨き技術によらず、従
来の歯ブラシよりも口腔内の隅々、つまり歯面、歯間、
歯と歯肉の間、咬合面に付着した歯垢や食物残渣を容易
に且つ効果的に清掃することができ、また歯肉のマッサ
ージにより適度の刺激を与え、血行を良くすることがで
きる齲蝕や歯周病の予防に効果的な歯ブラシを提供す
る。

【０００６】本願の図面において、図１（ａ）は本発明
の一実施例である歯ブラシの植毛台の平面図、図１
（ｂ）はその側面図を示す。図２は本発明の一実施例で
ある歯ブラシのブラシ部と植毛台の立面図を示す。図３
（ａ）は本発明の一実施例の歯ブラシの平面図、図３
（ｂ）はその側面図を示す。図４（ａ）から（ｄ）は各
種多角形フィラメントが高密度に植毛される様子を示す
断面図の一部である。なお図４（ａ）は三角形フィラメ
ント、(ｂ)は四角形フィラメント、(ｃ)は六角形フィラ
メント、（ｄ）は八角形フィラメントの場合であり、
（ｅ）は従来の円形断面のフィラメントが植毛されてい
る様子を示している。図５（ａ）は六角形フィラメント
の横断面図、（ｂ）は六角形フィラメントの縦断面図を
示す。図６（ａ）は芯鞘フィラメントの横断面図、図６
（ｂ）はその縦断面図を示す。図７は歯垢除去率テスト
の結果をまとめた棒グラフである。図８は、歯垢除去率
評価試験における評価被験歯の部位を示す。図９は図６
の他の円錐形状先端を有する芯鞘構造フィラメントの縦
横断面図であって、根部の一定太さ部分から滑らかに徐
々に細くなる形状の場合である。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明は、断面形状を多角形とし
たフィラメントからなる毛束を、植毛台の外周に沿って
高密度に配置した歯ブラシを提供する。即ち、断面形状
が多角形のフィラメントを用いると、多角形の角ばった
形状を利用して、良好な歯茎のマッサージ効果が得ら
れ、かつ歯の平滑面を効果的に清掃できることが見いだ
された。特にかかる多角形フィラメントを植毛台の外周
に沿って配置しておけば、該フィラメントの側部の角ば
った形状が作用するので、歯ブラシの全フィラメントを
多角形とするまでもなくかかる効果が得られることが見
いだされた。更にこのような多角形フィラメントを用い
ることによりフィラメントを限られた狭いスペースに高
密度に配置することができる。ここに多角形フィラメン
トの断面形状としては、多角形であれば良いが、特に、
三角形、四角形、五角形、六角形、八角形などを使用す
ることができる。特に好ましいのは、フィラメントが角
ばっていて、植毛したときに空隙の生じない三角形、四
角形、五角形、六角形、八角形などの多角形であるが、
いわゆるハニカム形状をとることが出来る六角形は角も
多いのでさらに好ましい。かかる多角形フィラメントの
先端は、円状或いは半球状とすることが好ましい。半球
状とすることにより、更に良好な歯茎のマッサージ効果
を得ることが出来る。

【０００８】本発明における多角形フィラメントは、い
かなる方法により製造してもよく、例えば、デュポン株
式会社から「タイネックス」（商標）ヘキサゴナルフィ
ラメントとして容易に入手することができる。多角形フ
ィラメントの素材は、ナイロン、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート等を使用すること
ができるが、これらに限定されない。多角形フィラメン
トの太さは、特に限定されないが、最大太さで０．１〜
０．５ｍｍ、更には０．１３〜０．３ｍｍであることが
好ましい。多角形フィラメントの先端は、円状即ち半球
状に加工することが好ましい。この加工は、植毛前に実
施しても植毛後に実施してもよい。かかる加工方法とし
ては、毛先の先丸め加工等の方法があるがこれらに特に
限定されない。

【０００９】本発明のもう一つの特徴は、同心円状の横
断面形状となるように芯部となる材質の周囲に鞘部とな
る材質を配した芯鞘構造を有し、ここに芯部と鞘部の材
質が異なる芯鞘フィラメントを植毛したことにある。こ
のような芯鞘フィラメントを用いることで、芯部と鞘部
との物性の違いにより、それぞれ異なる効果を発揮させ
ることができる。即ち、該芯鞘フィラメントの先端部
を、テーパー状或いは円錐状にした場合に、芯部の硬材
質部分が歯間、歯と歯茎の境界面と咬合面を効果的に清
掃し、また鞘部の軟材質が芯部の硬材質の曲がりを抑制
し、さらに歯間、歯と歯茎の境界面と咬合面の凹凸に、
先端部が侵入するのを容易にする。特にかかる芯鞘フィ
ラメントを植毛台の中央部に配置しておけば、歯ブラシ
の全フィラメントを芯鞘フィラメントとするまでもな
く、かかる効果が得られることが見いだされた。ここに
テーパー状或いは円錐状には、図６に示すような一定太
さを有する基部から、段をなして円錐形状部分に移行す
るものと共に、例えば図９に示すように、基部から滑ら
かに段を形成することなく円錐状部分に入る、例えば回
転楕円体形状のものも含まれる。芯鞘フィラメントの素
材は、ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエス
テル等を使用することができるが、これらに限定されな
い。なお鞘部よりも芯部の素材を硬質なものとすること
が好ましい。かかる組み合わせとしては、例えば、芯部
にポリエステル、特にポリブチレンテレフタレート、鞘
部にポリアミド、特にナイロンを使用したフィラメント
がある。本発明における芯鞘フィラメントは、いかなる
方法により製造してもよい。

【００１０】芯鞘フィラメントの先端は、テーパー状、
即ち円錐状に加工することが好ましい。この加工は、植
毛前に実施しても植毛後に実施してもよい。かかる加工
方法としては、毛先の先丸め加工があるがこれらに特に
限定されない。これらフィラメントからなる毛束の植毛
方法は、特に限定されない。本発明の歯ブラシにおける
植毛台、頚部、把持部を形成する素材は特に限定されな
いが、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネー
ト、ポリアセタール、ＡＢＳ（アクリロニトリルーブタ
ジエンースチレン共重合体樹脂）、その他の素材を使用
することができる。

【００１１】本発明者は特に、上記二種類のフィラメン
トを同一植毛台に植毛することにより、両者の効果が相
殺されることなくむしろ相乗的に発揮されるという予想
外の効果が得られることを見いだした。特にその効果を
増大させるためには、前記多角形フィラメントの毛束を
植毛台の外側一列に位置する植毛穴に植毛し、且つ前記
芯鞘フィラメントの毛束群を植毛台の中央部分に植毛す
ることが好ましい。本発明の歯ブラシの、芯鞘フィラメ
ントの毛束群と前記多角形フィラメントの毛束群は、両
者の毛束群が、三列から六列の頭部の幅方向に並ぶ毛束
列からなっていることが好ましく、特に三列から五列か
らなることが好ましい。二列では多角形フィラメントと
芯鞘フィラメントを併用する効果を得ることができな
い。また六列を越えると、植毛が困難となり、頭部の幅
を広げざるを得なくなり好ましくない。該歯ブラシの両
側の外植一列の毛束長は前記外植以外の内植列の一列か
ら三列ないし四列の毛束長より短いことが好ましい。こ
れにより歯間、歯と歯茎の間の歯垢除去を効果的に実施
することができる。さらに、内植の毛束群の植毛は、毛
切りをすることにより切り揃えられてブラシの長さ方向
に連続する六以上の毛切り面を形成することが好まし
い。これにより、歯並びに対応した歯垢除去が可能とな
る。

【００１２】図１を参照しつつ本発明の歯ブラシを説明
すると、この歯ブラシの六つの毛切り面中、最もブラシ
端部側に位置する第一の毛切り面の植毛は、端部側が最
も短く、前記端部において毛切り面が、把持部側に向か
って植毛台に対して１５゜から５０゜、好ましくは２０
゜から３０゜の角度（図１（ｂ）の角α）を持つように
して長くなり、前記端部側から第一列から第三列目の毛
束列部分、好ましくは第三列目から段差を形成すること
なく第一の頂部毛切り水平面となる第二の毛切り面を形
成することが好ましい。前記第二の毛切り面である第一
の頂部毛切り水平面に連続する第三の毛切り面の植毛
は、前記第二の毛切り面と段差を形成することなく、前
記第二の毛切り面の把持部側端辺から植毛台に対して１
５゜から５０゜、好ましくは２０゜から３０゜の角度
（図１（ｂ）の角β）をもって短くなり、前記端部側か
ら第三列と第六列目、好ましくは第四列と第五列目の間
で底部を形成することが好ましい。ここに底部は第三の
毛切り面と第四の毛切り面との交線であっても、第三の
毛切り面と第四の毛切り面の間に存在する植毛台と略平
行の平面または曲面であってもよい。

【００１３】第四、第五、第六の毛切り面は、前記底部
中央線を含む植毛台からの垂直平面を基準として、図１
（ｂ）に示すように、前記第一、第二、第三の毛切り面
と左右対称とすることができるが、これに限定されず、
横長さを伸縮させることができるが、植毛長は、第一と
第六、第二と第五、第三と第四の角毛切り面が対応して
等しく構成することが好ましい。前記頂部毛切り水平面
の高さＥと底部高さＦの比が、Ｅ／Ｆ＝１．０５〜１．
２、そして、前記頂部毛切り水平面の高さＥと前記第一
の毛切り面の最短の高さＧの比が、Ｅ／Ｇ＝１．１〜
１．３の範囲にあることが好ましい。かかる範囲を採用
することにより、高い歯垢除去効果が得られる。前記外
植の毛束群の植毛長は、前記した範囲で特に限定されな
いが、植毛面が植毛台と平行で、且つ植毛の長さは前記
底部の植毛の長さと同等であることが好ましい。第一の
頂部毛切り水平面と第五の毛切り面である第二の頂部毛
切り水平面をなす植毛の長さは相違しても良いが、特に
実質的に等しいことが好ましい。

【００１４】本発明においては、その多角形断面形状に
より高密度に植毛台の外周に沿って植毛した円状先端フ
ィラメントの毛束或いは両外植の各一列の、頭部の幅方
向に並ぶ毛束群が、フィラメントの尖った角の作用によ
り、歯茎のマッサージや歯の平滑面を効果的に清掃する
効果を有し、植毛台の中央部分かつ前記円状先端の毛束
に囲まれるか両外植の一列の頭部の幅方向に並ぶ毛束に
挟まれた、円錐状先端を有する芯鞘フィラメントの毛束
における各々のフィラメントの芯部の硬材質が歯間と、
歯と歯茎の境界面と咬合面とを効果的に清掃し、鞘部の
軟材質は芯部の硬材質の曲がりを押さえ、更に歯間と、
歯と歯茎の境界面と咬合面に先端部が侵入し易くする効
果を発揮する。つまり二種類のフィラメントを使用し、
かつ異なる先端形状の毛束を、各々の機能や効果を有効
に発揮しうる部分に植毛し、且つ歯並びに合わせた毛束
群の毛の切り方をすることで、口腔内の隅々まで容易か
つ効果的に隈無く清掃することができる歯ブラシを提供
することを目的とする。

【００１５】本発明の歯ブラシは耐久性に優れ、その円
状先端を有する六角形フィラメントの毛束は、歯磨き時
に、歯茎のマッサージをしながら、歯の平滑面に付着し
た歯垢を効果的に除去する。一方、前記円状先端を有す
る毛束に囲まれるか両外植の一列の頭部の幅方向に並ぶ
毛束に挟まれた、植毛台の中央部分の円錐状先端を有す
る芯鞘フィラメントの毛束は、無理なく容易に歯間と歯
と歯ぐきの境目に侵入し、歯間と、歯と歯茎の境目と咬
合面に付着した歯垢を歯肉や歯を傷つけることなく効果
的に除去することができる。

【００１６】

【実施例】本発明の実施例を説明すると、図１におい
て、毛束４、５を含む、その断面形状から高密度に植毛
可能な円状先端を有する六角形フィラメントからなる毛
束が、歯ブラシの頭部１の植毛台の外周に沿って複数植
毛されている。また該毛束４、５を含む六角形フィラメ
ントに囲まれた、毛束６を含む芯鞘フィラメントが、ブ
ラシ部の中央部に複数植毛されている。また、前記六角
形フィラメントの毛束の植毛長は、前記ブラシ部の中央
部に植毛した芯鞘構造を有する芯鞘フィラメントの植毛
長を越えない。さらに図１（ｂ）に示すように、本実施
例では、毛束６を含む芯鞘フィラメントの植毛は、毛切
りをすることでブラシの長さ方向に連続する６つの毛切
り面を形成している。そして、前記の毛束を毛切りして
揃えた後、毛先を丸める加工をすることによって、前記
六角形フィラメントの毛束４、５等の毛の先端は円状に
丸まり、前記芯鞘フィラメントの毛束６の毛先の先端は
円錐状、若しくはテーパー形状に加工される。

【００１７】本発明における多角形フィラメントは、ナ
イロンから押出成形法により製造した直径７．８ミル
（０．２ｍｍ）のものを使用した。多角形フィラメント
の毛束長は、本実施例においては均一に、１０ｍｍとし
た。芯鞘フィラメントの芯部の素材はポリエチレンテレ
フタレート、鞘部はポリアミドのもので、直径０．２ｍ
ｍのものを使用した。芯鞘フィラメントの毛切り形状
は、図１（ｂ）に示した形状とした。毛切りの後、多角
形フィラメントの先端を半球状に丸めた。さらに芯鞘フ
ィラメントの先端を、円錐状、即ちテーパー形状に加工
した。

【００１８】歯垢除去率評価試験 試験方法 本発明を実施例に従って作成した図３に示す歯ブラシ
と、比較例として、市販品Ａ（シ゛ョンソン・エント゛・シ゛ョンソン株式
会社「デンタル−Ｈ」（商標）歯ブラシ）、同じく市販
品Ｂ（Ｌ株式会社製「ＤＳ」歯ブラシ）とを用いて歯垢
除去率テストを以下のようにして実施した。被験者は、
臨床的に正常な歯肉を有し、歯肉退縮、歯列不正の認め
られない健康な歯肉を有する者であって、補綴物が装
着、修復物や齲蝕の認められる歯を除外した被験歯を、
口腔内に２０歯以上有している者の中から３０名を選択
した。

【００１９】被験者に対して、研究開始の７日前に被験
歯のスケーリング、歯面研磨を行い、プラーク付着状態
を評価し、これをプラークスコア：０とした。その後、
使用する歯ブラシを指定し、各人にブラッシング方法を
指導した後、研究開始２４時間前より全ての口腔衛生活
動を中止させ、プラーク付着状態を評価した。プラーク
指数評価直後、術者の監視下のもとで指定歯ブラシを使
用し、ブラッシングを行い、ブラッシング終了後、プラ
ーク付着状態を評価した。他の歯ブラシについても順次
同様の試験方法で行ない、毎週１回の間隔で試験を実施
した。なお、被験者のブラッシング方法修得に考慮し
て、各被験者に対して各々異なった順で歯ブラシを指定
し、順次評価した。

【００２０】プラーク付着状態は、Plaque contral rec
ord（O'Lreary 1978、ＰＣＲ) に基いて、染め出し液Ｐ
ＲＯＳＰＥＣ（ＧＣ社製）染色液を用いてプラークの付
着状態を判定した。被験部位は、プラークの分布部位
（隣接面、歯顎部1/3）その他を考慮し、図８に示す歯
とした。即ち、上顎歯中央から左の第二歯と第６歯、右
の第四歯、下顎歯中央から左の第四歯、右の第二歯と第
六歯である。その他、歯肉の為害作用、使いやすさにつ
いてアンケートを行った。ブラッシング法は、スクラビ
ング法に準じ、上下顎唇側歯面６カ所、舌口蓋側面最低
５カ所以上当てるようにし、最低１部位１０回行わせ
た。ブラッシング時間は、一口腔内について５分間とし
た。 試験結果 この結果を、表１と図７に示した。歯冠部、歯頚部及び
全体の評価において、本発明歯ブラシが良好な歯垢除去
効果を有していることが分かる。

【００２１】

【発明の効果】本発明は、植毛台の外周に沿ってフィラ
メントの断面形状から、最密に植毛した円状先端の六角
形フィラメントの毛束、或いは両外植の一列の頭部の幅
方向に並ぶ毛束は、歯茎のマッサージや歯の平滑面を効
果的に清掃する。そして植毛台の中央部分かつ前記円状
先端の毛束に囲まれるか、両外植の一列の頭部の幅方向
に並ぶ毛束に挟まれた円錐状先端の芯鞘フィラメントの
毛束は、各々のフィラメントの芯部の硬材質が、歯間と
歯と歯茎の境目と咬合面を効果的に清掃し、鞘部の軟材
質は芯部の硬材質の曲がりを抑え、更に歯間と歯と歯茎
の境目と咬合面に侵入し易い効果をもたらしている。即
ち、２種類の異なる先端形状の毛束を、各々の機能や効
果を有効に発揮しうる箇所に植毛し、且つ歯並びに合わ
せた毛束群の毛切り方法をすることで、口腔内の隅々ま
で容易かつ効果的に清掃することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の歯ブラシの一実施例の頭部である。

【図２】 本発明の歯ブラシの植毛台及びブラシ部形状
の一実施例を示す。

【図３】 本発明の歯ブラシの一実施例の全体図であ
る。

【図４】 多角形フィラメント断面の各種多角形が高密
度に植毛される様子を示す。

【図５】 六角形断面の多角形フィラメントの縦横断面
図である。

【図６】 円錐形状先端を有する芯鞘構造フィラメント
の縦横断面図である。

【図７】 歯垢除去率試験結果の棒グラフである。

【図８】 歯垢除去率評価試験における評価被験歯の部
位を示す。

【図９】 図６と異なる円錐形状先端を有する芯鞘構造
フィラメントの縦横断面図である。

【符号の説明】

１・・・・・頭部、２・・・・・ハンドル、３・・・・・植毛台、４お
よび５・・・・・多角形フィラメントからなる毛束、６・・・・・
芯鞘フィラメントからなる毛束、７・・・・・端部、α・・・・・
植毛台と第一の毛切り面のなす角、β・・・・・植毛台と第
３の毛切り面のなす角。

【表１】

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 植毛台上に植毛された毛束群から構成さ
   れたブラシ部を有する頭部と、把持部と、該頭部と該把
   持部とを連結する頚部とからなる歯ブラシにおいて、前
   記ブラシ部の毛束群が、横断面形状が多角形のフィラメ
   ントを植毛した毛束群の部分と、同心円状の横断面形状
   となるように芯部となる材質の周囲に鞘部となる材質を
   配した芯鞘フィラメントを植毛した毛束群の部分からな
   る歯ブラシ。
2. 【請求項２】 前記多角形フィラメントの毛束は、主に
   前記植毛台の外側に位置する植毛穴に植毛され、その他
   の部分には前記芯鞘フィラメントの毛束群が植毛されて
   いることを特徴とする請求項１に記載の歯ブラシ。
3. 【請求項３】 前記多角形フィラメントの毛束は、前記
   植毛台の全外周に位置する植毛穴に植毛され、前記芯鞘
   フィラメントの毛束群が、該多角形フィラメントの毛束
   群により囲まれるように配されていることを特徴とする
   請求項１または２に記載の歯ブラシ。
4. 【請求項４】 前記多角形フィラメントの毛束が、三角
   形、四角形、五角形、六角形または八角形であることを
   特徴とする請求項１から３までのいずれか１項に記載の
   歯ブラシ。
5. 【請求項５】 前記多角形フィラメントの毛束が、六角
   形であることを特徴とする請求項４に記載の歯ブラシ。
6. 【請求項６】 前記芯鞘フィラメントの芯部がポリエス
   テル樹脂、鞘部がポリアミド樹脂であることを特徴とす
   る請求項１から５までのいずれか１項に記載の歯ブラ
   シ。
7. 【請求項７】 前記芯鞘フィラメントの毛束の先端は、
   円錐形状を形成し、頂点部分がポリエステル樹脂であ
   り、且つ前記六角形フィラメントの毛束の先端は円状で
   あることを特徴とする請求項１から６までのいずれか１
   項に記載の歯ブラシ。
8. 【請求項８】 前記芯鞘フィラメントの毛束群と前記多
   角形フィラメントの毛束群が、 ａ）前記毛束群が、三列から六列の頭部の幅方向に並ぶ
   毛束列からなり、 ｂ）外植両側の一列の多角形フィラメントからなる毛束
   の植毛長は前記外植以外の内植列の植毛長より短く、 ｃ）前記内植の芯鞘フィラメントからなる毛束群の植毛
   は、ブラシの長さ方向に連続する六以上の毛切り面を形
   成することを特徴とする請求項２および請求項４から７
   までのいずれか１項に記載の歯ブラシ。
9. 【請求項９】 前記芯鞘フィラメントの毛束群と前記多
   角形フィラメントの毛束群は、 ａ）前記毛束群が、三列から五列の頭部の幅方向に並ぶ
   毛束列からなり、 ｂ）両側の外植一列の毛束長は前記外植以外の内植列の
   一列から三列の毛束長より短く、 ｃ）前記内植の毛束群の植毛は、毛切りをすることによ
   り切り揃えられてブラシの長さ方向に連続する六つの毛
   切り面を形成し、 ｄ）前記毛切り面中、最もブラシ端部側に位置する第一
   の毛切り面の植毛は、端部側が最も短く、前記端部にお
   いて毛切り面が、把持部側に向かって植毛台に対して２
   ０゜から３０゜の角度を持つようにして長くなり、前記
   端部側から第３列目の毛束列部分で段差を形成すること
   なく第一の頂部毛切り水平面となる第二の毛切り面を形
   成し、 ｅ）前記第一の頂部毛切り水平面に連続する第三の毛切
   り面の植毛は、前記第二の毛切り面と段差を形成するこ
   となく、前記第二の毛切り面の把持部側端辺から植毛台
   に対して２０゜から３０゜の角度を持つようにして短く
   なり、前記端部側から第四列と第五列目の間で底部を形
   成し、 ｆ）第四、第五、第六の毛切り面は、前記底部中央と植
   毛台を結ぶ垂線を基準として、前記第一、第二、第三の
   毛切り面と左右対称となり、 ｇ）前記頂部毛切り水平面の高さＥと底部高さＦの比
   が、Ｅ／Ｆ＝１．０５〜１．２であり、そして ｈ）前記頂部毛切り水平面の高さＥと前記第一の毛切り
   面の最短の高さＧの比が、Ｅ／Ｇ＝１．１〜１．３であ
   り、また、 ｉ）前記外植の毛束群の先端は植毛面と平行で、且つ植
   毛の長さは前記底部の植毛の長さと同等であることを特
   徴とする請求項１に記載の歯ブラシ。
10. 【請求項１０】 第一の頂部毛切り水平面と第二の頂部
    毛切り水平面をなす植毛の長さが実質的に等しいことを
    特徴とする請求項１から９までのいずれか１項に記載の
    歯ブラシ。