JPH10322086A - 電磁波シールド材料およびその製造方法 - Google Patents

電磁波シールド材料およびその製造方法

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JPH10322086A
JPH10322086A JP14607197A JP14607197A JPH10322086A JP H10322086 A JPH10322086 A JP H10322086A JP 14607197 A JP14607197 A JP 14607197A JP 14607197 A JP14607197 A JP 14607197A JP H10322086 A JPH10322086 A JP H10322086A
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JP
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thin film
polymer
shielding material
protective film
molecular
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JP14607197A
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English (en)
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Masayuki Hida
田 雅 之 飛
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POLYMERTECH KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な機械的性質と電磁波シールド特性を兼
ね備えた電磁波シールド材料を簡便に製造する方法を提
供するものである。 【解決手段】 気液界面重合した導電性高分子薄膜の少
なくとも片面に、高分子保護膜を積層した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話やテレ
ビ、パソコン、家電製品などから発生する電磁波をシー
ルドする電磁波シールド材料およびその製造方法、さら
に詳しくは気液界面重合した導電性高分子薄膜に高分子
保護膜を重合した積層構造からなることを特徴とする電
磁波シールド材料およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話やテレビ、パソコン、家
電製品などから発生する電磁波による様々な障害が問題
となり、この電磁波をシールドする材料が切望されてい
る。
【0003】電磁波シールド材料として、銅、ニッケ
ル、クロム、アルミニウム、ステンレスなどの金属製の
箔体、繊維、メッシュ状の導電性物質を使用するものの
ほか、塗装、メッキ、蒸着などによる表面処理、あるい
は金属繊維や金属充填剤を混練した各種プラスチック材
料を電子機器の筐体などに用いるなどの方法が検討され
ている。
【0004】また、電子伝導型の導電性高分子が、その
構造と組成によって金属レベルの導電性から半導体的性
質、絶縁体的性質を発現し、かつ金属材料に比べて比重
が小さくて加工しやすい利点があるところから、電磁波
シールド材料としても活発に研究開発されている。例え
ば、特開昭60−228544号公報記載の発明は、熱
可塑性高分子フィルム中に電解酸化重合した導電性高分
子を分散した電磁波シールドフィルムとその製造方法で
ある。特開平3−285953号公報記載の発明では有
機溶剤に可溶な特定のポリアニリンからなる加工性に優
れた電磁波シールド材料、特開平6−291487号公
報記載の発明では有機溶剤に可溶なポリピロール誘導体
からなる高強度な電磁波シールド材料が提唱されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
60−228544号公報記載の発明のように、絶縁性
高分子中に電解酸化重合で製造した導電性高分子を分散
させると、導電性高分子薄膜単体の欠点である機械的性
質はマトリックスの熱可塑性高分子の性質で補うことが
可能であるけれども、導電性ならびに電磁波シールド特
性が低下する場合が多い。さらに、電解重合による方法
は電極を必要とするために製法上の制約が否定できな
い。また、特開平3−285953号公報、特開平6−
291487号公報などに記載の発明における溶剤に可
溶な導電性高分子は、電磁波シールド特性が必ずしも十
分でないこと、さらに特定のドーピング処理を必要とし
たり、特定構造のモノマーが高価格であること等の欠点
を有していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決したものであり、気液界面重合した導電性高分子薄
膜の少なくとも片面に、高分子保護膜を積層した良好な
機械的性質と電磁波シールド特性を兼ね備えた電磁波シ
ールド材料、ならびに特定の気液界面重合法と高分子保
護膜により、良好な機械的性質と電磁波シールド特性を
兼ね備えた電磁波シールド材料を簡便に製造する方法を
提供するものである。
【0007】すなわち、本発明は、気液界面重合した導
電性高分子薄膜の少なくとも片面に高分子保護膜を重合
した積層構造からなる電磁波シールド材料、ならびに、
モノマーを含浸した無機化合物あるいは高分子固体をモ
ノマー供給源として気液界面重合した導電性高分子薄膜
の少なくとも片面に、他の高分子前駆体を塗布し、該高
分子前駆体を重合させて高分子保護膜を積層することを
特徴とする電磁波シールド材料の製造方法である。
【0008】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0009】本発明の電磁波シールド材料で使用する導
電性高分子薄膜は公知の気液界面重合法で製造すること
ができる。
【0010】導電性高分子薄膜に用いるモノマーとして
は、気相重合が可能で高分子を得る公知のモノマーが挙
げられる。具体的なモノマーとしては、特に限定するも
のではないが、ピロールおよびピロール置換体、アニリ
ンおよびアニリン置換体、チオフェンおよびチオフェン
置換体、フェニレンジアミンおよびフェニレンジアミン
置換体、フランおよびフラン置換体、インドールおよび
インドール置換体、セレノフェンおよびセレノフェン置
換体、フルオレンおよびフルオレン置換体、アセチレン
およびアセチレン置換体等がある。
【0011】また、導電性高分子は、ドーパントの存在
によって導電性が幅広く変化したり、あるいは、さほど
変化しなかったり、種々の導電性高分子が知られてい
る。本発明では、特にこの導電性の程度を限定するもの
ではない。
【0012】本発明の電磁波シールド材料の製造方法
は、モノマーを含浸した無機化合物あるいは高分子固体
をモノマー供給源として気液界面重合した導電性高分子
薄膜を使用するものであり、この導電性高分子薄膜は本
発明者による特願平8−354669号によって製造す
ることができる。すなわち、本発明で使用する導電性高
分子薄膜を製造する方法は、モノマーを含浸した無機化
合物あるいは高分子固体をモノマー供給源とする気液界
面重合であることを特徴とする。モノマーの種類として
は、後述する含浸方法および気液界面重合の容易さの観
点からは蒸気圧が比較的に高いピロールやピロール置換
体から選択されるモノマーを使用することが好ましい。
【0013】具体的なピロール置換体としては、N−メ
チルピロール、N−エチルピロール等のN−アルキルピ
ロール類、N−フェニルピロール等のN−アリールピロ
ール類、2−ニトロフェニルピロール、3−メチルピロ
ール、3−エチルピロール、3−クロルピロール、3,
4−ジメチルピロール、3,4−ジクロルピロールなど
が使用できる。特に好ましくは、比較的に蒸気圧が高い
N−メチルピロールである。なお、これらから選択され
るモノマーは1種類に限定せず、複数のモノマーを同時
に使用して共重合体を製造することも可能である。
【0014】モノマーを無機化合物あるいは高分子固体
に含浸させる方法については特に限定するものではない
が、モノマーを無機化合物あるいは高分子固体に直接添
加して含浸させる方法、モノマーを気相状態で無機化合
物あるいは高分子固体に含浸させる方法、モノマー中に
無機化合物あるいは高分子固体を浸漬させて含浸させる
方法、無機化合物あるいは高分子固体とモノマーを加熱
溶融して混合する方法などが挙げられる。
【0015】なお、ここで、モノマーの無機化合物ある
いは高分子固体への含浸とは、無機化合物あるいは高分
子固体の表面や内部に、吸着あるいは吸収、収着、膨
潤、溶解する現象を意味する。また、これらの含浸させ
る方法として、モノマー中に後の気液界面重合反応に関
わらない溶剤や溶液を混在させても差し支えない。
【0016】本発明のモノマーを含浸させる無機化合物
については、特に限定するものではないが、シリカゲル
(含水ケイ酸)や無水ケイ酸、コロイダルシリカ、ケイ
酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化
マグネシウム、酸化亜鉛、活性アルミナなどの酸化アル
ミニウム、酸化鉛、クレー、タルク、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、活性炭、硫酸
バリウム、硫酸アルミナ、けいそう土、マイカ、ゼオラ
イト、アスベスト、二硫化モリブデン、軽石粉、ガラス
粉などが挙げられ、これらから選択される少なくとも1
種類の無機化合物が使用できる。使用するモノマーの性
質や含浸する条件によっても左右されるけれども、なか
でも、シリカゲルや酸化マグネシウム、酸化チタン、酸
化アルミニウムなどが好適である。
【0017】上記の無機化合物の形状については、粉末
状、粒状、板状、多孔質状など特に限定するものではな
い。粉末状や多孔質状のものの方が表面積が大きく含浸
しやすいけれども、取り扱い上は粒状の方が容易であ
る。
【0018】本発明のモノマーを含浸させる高分子固体
は、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラ
ストマー、加硫ゴム等の固体状の高分子であり、特に組
成や構造、分子量、機械的性質、電気特性、形状等を限
定するものではない。具体的には、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレンプロピレン共重合体などのエチレ
ンαオレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチ
レン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ
ビニルアセタール、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラ
フルオロエチレン等のフッ素系重合体、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリ
ル、スチレンアクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、
ポリフェニレンエーテルおよび変性PPE樹脂、脂肪族
および芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイ
ミド、ポリメタクリル酸およびそのメチルエステルなど
のポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポ
リカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサル
ホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、
ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、シリ
コーン樹脂、アイオノマー等の熱可塑性樹脂およびその
架橋体、スチレンブタジエンまたはスチレンイソプレン
ブロック共重合体とその水添ポリマーおよびスチレン系
熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラスト
マー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステ
ル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エ
ラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等の熱
可塑性エラストマーおよびその架橋体、天然ゴム、ブタ
ジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエン共重
合ゴム、ニトリルゴム、水添二トリルゴム、クロロプレ
ンゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレ
ン、クロロスルホン化ポリエチレン、ブチルゴムおよび
ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シ
リコーンゴム等の加硫ゴム、エポキシ樹脂、フェノール
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、レーヨン、セルロー
ス、カゼイン、でんぷん等が挙げられる。また、これら
の高分子から選択される複数の高分子からなるポリマー
アロイを使用したり、通常の充填剤や可塑剤などの添加
剤を配合しても差し支えない。
【0019】上記の高分子固体の形状については、粉末
やペレット形状、フィルム状、板状、繊維状、織布状、
不織布状など特に限定するものではないけれども、板状
の発泡体やその発泡体を細かく裁断した形状、ペレット
形状を含む粉粒体形状、布状のものが好適である。なか
でも、モノマーを著しく含浸しやすい観点から、表面積
が大きい発泡体形状の高分子固体、具体的には発泡ポリ
エチレンや発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタンなどの
発泡プラスチック、発泡ゴムおよび布状物が好ましい。
その際の発泡倍率や発泡処方については何ら限定するも
のではなく、さらに複数の高分子固体を選択してもかま
わない。
【0020】本発明の気液界面重合で使用する重合触媒
は特定するものではない。通常の公知の塩化第二鉄、硝
酸第二鉄、臭化第二鉄、過塩素酸第二鉄、塩化第二銅、
塩化モリブデン、塩化ルテニウムなどの金属塩、二酸化
鉛などの金属酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニ
ウムなどのペルオキソ塩、ベンゾキノンなどのキノン
類、塩化ベンゼンジアゾニウムなどのジアゾニウム塩、
フェリシアンカリウム、ヘキサクロロ白金酸などが挙げ
られ、反応後にはこれらの触媒自体がドーパントとして
も機能する。
【0021】気液界面重合時は、上記の重合触媒を水や
エチルアルコールなどの溶剤およびこれらの混合溶剤に
溶解した溶液として使用する。重合触媒の溶解性、目的
とする導電性高分子薄膜および電磁波シールド材料の特
性によって溶剤の種類を選択することができる。塩化第
二鉄や硝酸第二鉄を用いる場合は水溶液が好ましい。
【0022】重合触媒の濃度については、高濃度になる
ほど重合速度が速くなるけれども、触媒の種類と溶剤の
種類によって溶解性が異なるので、実際には個別に決定
すれば良い。
【0023】本発明の気液界面重合による導電性高分子
薄膜の厚みについては特に限定するものではない。膜厚
としては1μm〜1mmの範囲のものを製造することが
できるけれども、薄すぎると膜が破壊しやすくなり、逆
に厚すぎると膜質が不均一になりやすい。好ましい膜厚
は、5μm〜800μm、さらに好ましくは、10μm
〜500μmの範囲である。
【0024】次に本発明の電磁波シールド材料は、気液
界面重合した導電性高分子薄膜の少なくとも片面に高分
子保護膜を重合した積層構造からなることを特徴とす
る。
【0025】さらに、本発明の電磁波シールド材料の製
造方法は、特定の気液界面重合条件で得た導電性高分子
薄膜の少なくとも片面に、他の高分子前駆体を塗布し、
該高分子前駆体を重合させて高分子保護膜を積層するこ
とを特徴とする。
【0026】ここで他の高分子前駆体とは、重合して高
分子保護膜となる前駆体を意味するものであり、特にそ
の構造、組成、ならびに、重合体の機械的性質および電
気的性質などを限定するものではない。具体的には、ポ
リウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、
エポキシ、シリコーン、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リイミドなどの原料となる前駆体である。
【0027】得られる重合体の性質は特定するのもでは
ないけれども、保護膜としての強度と柔軟性があり、通
常の電気絶縁性を示すものであれば良い。ポリウレタン
の場合の前駆体としては、公知のポリエーテル系、ポリ
エステル系、アクリル系などのポリオール類と、芳香族
イソシアネート、脂肪族イソシアネートなどのイソシア
ネート類が用いられる。アダクト型、ビュレット型、ダ
イマー型、トリマー型、ビニル基含有型などの変成タイ
プも含むものである。硬化方法についても、常温あるい
は加熱硬化型、湿気硬化型、紫外線硬化型など限定する
ものではない。ポリアクリレート、ポリメタクリレート
としては、アクリレートモノマーあるいはオリゴマー、
メタクリレートモノマーあるいはオリゴマーを主成分と
する加熱硬化型、湿気硬化型、紫外線硬化型など公知の
ポリアクリレートあるいはポリメタクリレートが使用で
きる。エポキシ、シリコーン、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリイミドについても公知の高分子前駆体を使用し
て重合し、高分子保護膜を形成することができる。エポ
キシアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシウ
レタン、エポキシシリコーン、ポリイミドシリコーンな
ども含まれる。なかでも、ポリウレタン、ポリアクリレ
ート、ポリメタクリレート、エポキシからなる高分子保
護膜を使用すると機械的性質が良好な電磁波シールド材
料が得られる。さらに、これらの高分子に通常の酸化防
止剤、充填剤、可塑剤などを添加しても差し支えない。
【0028】積層する高分子保護膜の膜厚についても特
定するものではないけれども、5μm〜5mmの範囲が
好ましい。膜厚が5μmよりも薄いと機械的強度が維持
できずに保護膜としての機能が不十分である。5mmよ
りも膜厚が厚くなると、原材料価格の増大および製造す
る時間が長くなるので経済的には不利になる。使用する
高分子保護膜の種類、材質によって任意に決定すれば良
いが、好ましくは10μm〜1mm、さらに好ましい膜
厚は20μm〜600μmの範囲である。また、2種類
以上の高分子保護膜を積層してもかまわない。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の電磁波シールド材料の製
造方法は、重合触媒を含む溶液の表面付近に、モノマー
を含浸した無機化合物あるいは高分子固体を配置して、
モノマーを気液界面で重合させて得る導電性高分子薄膜
を使用することを特徴とする。
【0030】重合触媒を含む溶液の表面付近にモノマー
を含浸した無機化合物あるいは高分子固体を配置する方
法については、特に限定するものではない。溶液表面か
ら数cmから数10cm程度の距離を置いても良く、重
合条件とともに目的とする導電性高分子の特性と関連し
て任意に設定することができる。さらに、モノマーを含
浸した無機化合物あるいは高分子固体は、特定の容器に
充填しても良いし、粉粒体状の場合は流動させた状態で
もかまわない。たとえば、重合触媒溶液を入れた容器の
上部に、網かご状物にモノマーを含浸した無機化合物あ
るいは高分子固体を静置すれば、非常に簡便に導電性高
分子薄膜を製造することができる。また、重合が終了し
た際に、残存したモノマーを含浸した無機化合物あるい
は高分子固体は新たな導電性高分子薄膜を得るために再
度使用することが可能である。
【0031】気液界面重合の温度や重合時間について
は、従来の公知資料を参考にして決定することもでき
る。また、反応系は密閉系でも開放系でも差し支えない
し、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気で
も、あるいは減圧下や水蒸気を循環した雰囲気でも差し
支えない。気液界面重合後は、得られた高分子薄膜中の
余剰のモノマーなどを除去するために、溶剤洗浄や真空
乾燥などを施すことが好ましい。さらに、通常は重合触
媒がドーパントとして作用するので必ずしも必要ないけ
れども、気液界面重合後に、所望の特性の導電性高分子
薄膜を得る目的で、ヨウ素などのハロゲン類、フッ化硼
素類、パラトルエンスルホン酸などのスルホン酸類や金
属ハロゲン化物、アルキルアンモニウムなどのドーパン
トを再度付与しても良い。
【0032】ついで、気液界面重合で得た上記の導電性
高分子薄膜の少なくとも片面に、他の高分子前駆体を塗
布し、該高分子前駆体を重合させて高分子保護膜を積層
する。例えば、ポリウレタンの高分子保護膜を形成する
場合は、高分子前駆体すなわちポリオールとイソシアネ
ートの混合物、さらに必要に応じて溶媒を加えた混合物
を導電性高分子薄膜の少なくとも片面に塗布して、重合
反応することによって高分子保護膜を積層することがで
きる。
【0033】導電性高分子薄膜の少なくとも片面に高分
子前駆体を塗布する方法は、気液界面重合した状態のま
まで導電性高分子薄膜の気相側に塗布しても、気液界面
重合した導電性高分子薄膜を取り出してから乾燥、洗浄
した後に片面に塗布してもかまわない。片面に塗布し所
定の加熱処理、紫外線照射などによって高分子前駆体を
硬化反応させてから、必要に応じて反対面にも高分子前
駆体を塗布して同様に硬化反応させれば両面高分子保護
膜を形成することができ、さらに良好な機械的性質と電
磁波シールド特性を兼ね備えた電磁波シールド材料を製
造することができる。スプレー塗布、浸漬塗布などの塗
布方法、片面あるいは両面のいずれかに積層するかにつ
いては、本発明で限定するものではないけれども、導電
性高分子薄膜の両面を高分子保護膜で挟むように覆った
方が後の取り扱い時に電磁波シールド材料中の導電性高
分子薄膜を損傷することが防げて好適である。
【0034】以下、本発明の電磁波シールド材料および
その製造方法の実施例を説明する。
【0035】
【実施例1】粒状のシリカゲル(和光純薬工業株式会社
製、中粒)を、80℃で20時間真空乾燥させたのち、
ステンレス製の編かごに入れた。市販のピロール(和光
純薬工業株式会社製、特級)を、硫酸マグネシウムで一
昼夜脱水し、窒素雰囲気下で減圧蒸留してからビーカー
に入れ、シリカゲルを入れた網かごをビーカーの上部に
配置し、精製したピロールを気相状態で30時間含浸さ
せた。含浸前後の重量変化より、シリカゲルには単位重
量当り27重量%のピロールの含浸が認められた。
【0036】別途、塩化第二鉄(和光純薬工業株式会社
製)30重量%の水溶液をガラス製バットに入れ、上記
のピロールを含浸したシリカゲルをステンレス製の20
0メッシュの網かごに入れ、バット上部に静置して室温
で気液界面重合を開始した。2時間重合後、塩化第二鉄
水溶液の表面に生成したポリピロール薄膜を採取した。
得られたポリピロール薄膜を水とエタノールで洗浄し、
真空乾燥した後の膜厚は50μm、4探針法による体積
抵抗率は0.12Ω・cmであった。このポリピロール
薄膜の片面にポリウレタンの前駆体としてサンコートグ
レーズ V0102クリヤー(長島特殊塗料株式会社
製)、促進剤9995(長島特殊塗料株式会社製)、シ
ンナーZ−7(長島特殊塗料株式会社製)の重量比10
0:5:30の混合物を塗布した。室温で1昼夜乾燥
後、80℃で4時間加熱し重合させた。得られたポリウ
レタン製の高分子保護膜の厚みは120μm、電磁波シ
ールド材料全体の総厚みは170μmであり、柔軟でか
つ十分な機械的性質を有していた。
【0037】得られた電磁波シールド材料の電界シール
ド効果をアドバンテスト法で測定し、その結果を表1に
記した。
【0038】
【実施例2】実施例1と同様に作製したポリピロール薄
膜の片面にポリウレタンの前駆体としてサンコートグレ
ーズ V0102クリヤー(長島特殊塗料株式会社
製)、促進剤9995(長島特殊塗料株式会社製)、シ
ンナーZ−7(長島特殊塗料株式会社製)の重量比10
0:5:30の混合物を塗布した。室温で1昼夜乾燥
後、80℃で4時間加熱し重合させた。さらに、もう片
面を同様に処理して両面をポリウレタンからなる高分子
保護膜で被覆した積層構造とした。得られたポリウレタ
ン製の高分子保護膜の片面の厚みは120μm、電磁波
シールド材料全体の総厚みは290μmであり、実施例
1よりもさらに良好な機械的性質を有していた。
【0039】得られた電磁波シールド材料の電界シール
ド効果を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に記
した。
【0040】
【実施例3】実施例1と同様に作製したポリピロール薄
膜の片面にアクリレート系の紫外線硬化樹脂(株式会社
スリーボンド製 3014B)を塗布した。紫外線を照
射して重合させて膜厚80μmの高分子保護膜を積層し
た。もう片面にも同様の紫外線硬化樹脂からなる高分子
保護膜を形成して機械的性質が良好な電磁波シールド材
料を得た。
【0041】得られた電磁波シールド材料の電界シール
ド効果を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に記
した。
【0042】
【実施例4】塩化第二鉄(和光純薬工業株式会社製)1
0重量%の水溶液をポリプロピレン製バットに入れ、上
部の網状体に実施例1の精製ピロールを含浸したポリエ
ステル製の布を置き、室温に静置して気液界面重合を開
始した。4時間重合後、塩化第二鉄の水溶液表面のポリ
ピロール薄膜を取り出し、水とエタノールで洗浄して真
空乾燥した。得られたポリピロール薄膜の膜厚は40μ
m、4探針法による体積抵抗率は0.15Ω・cmであ
った。
【0043】実施例2と同様に処理して両面を膜厚12
0μmづつのポリウレタンからなる高分子保護膜で被覆
して機械的性質が良好な積層構造の電磁波シールド材料
を得た。
【0044】この電磁波シールド材料の電界シールド効
果を実施例1と同様に測定した結果を表1に記した。
【0045】
【実施例5】実施例4と同様に作製したポリピロール薄
膜の片面に一液性エポキシ樹脂(株式会社スリーボンド
製 2067F)を塗布した。120℃で90分加熱硬
化して膜厚80μmのエポキシ系の高分子保護膜を積層
した。もう片面にも同様のエポキシ樹脂からなる高分子
保護膜を形成して機械的性質が良好な電磁波シールド材
料を得た。
【0046】得られた電磁波シールド材料の電界シール
ド効果を実施例1と同様に測定した結果を表1に記し
た。
【0047】
【表1】
【0048】
【比較例1】塩化第二鉄(和光純薬工業株式会社製)1
0重量%の水溶液をポリプロピレン製バットに入れ、上
部の網状体に実施例1の精製ピロールを含浸したポリエ
ステル製の布を置き、室温に静置して気液界面重合を開
始した。4時間重合後、塩化第二鉄の水溶液表面のポリ
ピロール薄膜を取り出し、水とエタノールで洗浄して真
空乾燥した。得られたポリピロール薄膜の膜厚は40μ
m、4探針法による体積抵抗率は0.15Ω・cmであ
った。しかし、素手で取り扱っていると簡単に裂けてし
まうほど非常に脆い薄膜であり、薄膜単体の状態では電
磁波シールド特性を評価することはできなかった。
【0049】
【発明の効果】以上のように、本発明の電磁波シールド
材料は、気液界面重合した導電性高分子薄膜の少なくと
も片面に高分子保護膜を重合して積層した構造からな
り、比較例のように非常に脆い材料ではなく、良好な機
械的性質と優れた電磁波シールド特性を有している。
【0050】さらに、本発明の電磁波シールド材料の製
造方法によれば、良好な機械的性質と優れた電磁波シー
ルド特性を具備する電磁波シールド材料を簡便な方法で
提供することができる。
【手続補正書】
【提出日】平成9年12月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】すなわち、本発明は、気液界面重合した導
電性高分子薄膜の少なくとも片面に高分子保護膜を重合
してなる電磁波シールド材料、ならびに、モノマーを含
浸した無機化合物あるいは高分子固体をモノマー供給源
とし、気液界面重合し、導電性高分子薄膜の少なくとも
片面に、他の高分子前駆体を塗布し、高分子前駆体を重
合させて高分子保護膜を積層することを特徴とする電磁
波シールド材料の製造方法である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】次に本発明の電磁波シールド材料は、気液
界面重合した導電性高分子薄膜の少なくとも片面に高分
子保護膜を重合してなることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】さらに、本発明の電磁波シールド材料の製
造方法は、特定の気液界面重合条件で得た導電性高分子
薄膜の少なくとも片面に他の高分子前駆体を塗布して
分子前駆体を重合させて高分子保護膜を積層することを
特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】ついで、気液界面重合で得た上記の導電性
高分子薄膜の少なくとも片面に、他の高分子前駆体を塗
して高分子前駆体を重合させて高分子保護膜を積層す
る。例えば、ポリウレタンの高分子保護膜を形成する場
合は、高分子前駆体すなわちポリオールとイソシアネー
トの混合物、さらに必要に応じて硬化促進剤溶媒を加え
た混合物を導電性高分子薄膜の少なくとも片面に塗布し
て、重合反応することによって高分子保護膜を積層する
ことができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】導電性高分子薄膜の少なくとも片面に高分
子前駆体を塗布する方法は、気液界面重合した状態のま
まで導電性高分子薄膜の気相側に塗布しても、気液界面
重合した導電性高分子薄膜を取り出してから乾燥、洗浄
した後に片面に塗布してもかまわない。片面に塗布し所
定の加熱処理、紫外線照射などによって高分子前駆体を
硬化反応させてから、必要に応じて反対面にも高分子前
駆体を塗布して同様に硬化反応させれば両面高分子保
護膜を形成することができ、さらに良好な機械的性質と
電磁波シールド特性を兼ね備えた電磁波シールド材料を
製造することができる。スプレー塗布、浸漬塗布などの
塗布方法、片面あるいは両面のいずれかに積層するかに
ついては、本発明で限定するものではないけれども、導
電性高分子薄膜の両面を高分子保護膜で挟むように覆っ
た方が後の取り扱い時に電磁波シールド材料中の導電性
高分子薄膜を損傷することが防げて好適である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09K 3/00 C09K 3/00 C

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気液界面重合した導電性高分子薄膜の少
    なくとも片面に高分子保護膜を重合してなる電磁波シー
    ルド材料
  2. 【請求項2】 高分子保護膜がポリウレタン、ポリアク
    リレート、ポリメタクリレート、エポキシから選択され
    る請求項1に記載の電磁波シールド材料
  3. 【請求項3】 高分子保護膜の膜厚が5μm〜1mmで
    ある請求項1に記載の電磁波シールド材料
  4. 【請求項4】 モノマーを含浸した無機化合物あるいは
    高分子固体をモノマー供給源とし、気液界面重合し、重
    合した導電性高分子薄膜の少なくとも片面に他の高分子
    前駆体を塗布して高分子前駆体を重合させて高分子保護
    膜を積層することを特徴とする電磁波シールド材料の製
    造方法
  5. 【請求項5】 モノマーがピロールおよびピロール置換
    体から選択され、そして高分子保護膜がポリウレタン、
    ポリアクリレート、ポリメタクリレート、エポキシから
    選択される請求項4に記載の電磁波シールド材料の製造
    方法
  6. 【請求項6】 高分子保護膜の膜厚が5μm〜5mmで
    ある請求項4あるいは5に記載の電磁波シールド材料の
    製造方法
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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