JPH1031982A - 電球および照明装置 - Google Patents

電球および照明装置

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JPH1031982A
JPH1031982A JP18464896A JP18464896A JPH1031982A JP H1031982 A JPH1031982 A JP H1031982A JP 18464896 A JP18464896 A JP 18464896A JP 18464896 A JP18464896 A JP 18464896A JP H1031982 A JPH1031982 A JP H1031982A
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JP
Japan
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bulb
light
film
selective absorption
filament
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JP18464896A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kamata
博士 鎌田
Tsutomu Watanabe
力 渡辺
Yasuo Ito
安雄 伊藤
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Toshiba Lighting and Technology Corp
Original Assignee
Toshiba Lighting and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 照明装置に格別な着色フィルタを設けること
がなく、バルブに施す簡単な構成で照射面に色むらの発
生がない発光特性の向上できる電球およびこの電球を装
着した照明装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 内部にフィラメント5および不活性ガス
を封入するとともに端部に封止部2を形成したガラスバ
ルブ1と、このバルブ1の表面に形成した所定色光を透
過し、それ以外の光を反射する多層光干渉膜6と、上記
封止部2を含むバルブ端部2の表面に形成した上記多層
光干渉膜6透過光と同色光を透過し、それ以外の光を吸
収する耐熱性選択吸収膜7とを備えている電球Lおよび
この電球Lが装着された照明装置8である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はテレビスタジオなど
で使用されるホリゾントライト用あるいは商品展示など
に使用されるスポット用やフラッド用の電球およびこの
電球を装着した照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえばテレビでの室内撮影にあたって
は、テレビ画面でのよりよい再現性をはかるため、照明
を用い人工的に自然光に近い明りを造り出している。こ
のような照明には、筐体内に高効率の管形ハロゲン電球
および反射鏡を備えたホリゾントライトと呼ばれる照明
装置が一スタジオに数十〜数百個並べられて使われてい
る。そして、ホリゾントライトは、装着された管形長尺
のハロゲン電球により照射面に均一な照度が得られると
ともに、より自然の明るさに近付けるため筐体の前面に
赤、緑、青の有機物や色ガラス製の着色フィルタが設け
られ、電球の出力や点滅を制御することによって混色し
て所定の光色が得られるよう構成されている。
【0003】一方、上記ハロゲン電球は、フィラメント
から蒸発したタングステンをバルブ内に封入したハロゲ
ンのハロゲンサイクルを利用して、フィラメントに戻し
バルブの黒化を防ぎ効率を高めるとともに長寿命化を図
ったものである。このハロゲン電球は、ハロゲンサイク
ルを円滑に行うため、ガラスバルブが細径に設計され高
い温度になるよう構成されている。
【0004】このような構成のホリゾントライトは、ハ
ロゲン電球の点灯により、電球からの直射光および反射
鏡からの反射光が着色フィルタに入射し、着色フィルタ
からは所定波長の色光を放射する。そして、この電球の
点灯が継続されると電球から可視光とともに放射される
熱によって着色フィルタの温度が上がり、有機物や色ガ
ラスからなるフィルタの退色がすすみ、各々のホリゾン
トライトが同程度の劣化進行であれば直ちには問題ない
が、劣化の進行に遅速があると照射面に色むらなどが発
生して、テレビの画質が悪くなる現象がある。もちろ
ん、この劣化の甚だしいホリゾントライトの着色フィル
タのみを交換するということが考えられるが、新品の着
色フィルタと交換すると従来から在る退色している着色
フィルタとの色差が大きく、これまた照射面の色むらの
原因となる。
【0005】したがって、このような場合は、着色フィ
ルタに一つでも不具合が生じると、スタジオ全部の着色
フィルタを交換しなければならず、その補修に多大の時
間、労力および費用を要していた。
【0006】そこで、このホリゾントライトにおいて、
所定色発光を筐体前面の着色フィルタによるものではな
く、ハロゲン電球のガラスバルブ表面に多層光干渉膜
(ダイクロイック膜)を形成して行うことを考えた。こ
れは、たとえばバルブの外表面にそれぞれの光学膜厚や
層数を規制して酸化チタン(TiO2 )からなる高屈折
率層と、酸化ケイ素(SiO2 )からなる低屈折率層と
を交互に積層して多層光干渉膜を形成したものである。
そして、フィラメントからの光をバルブを透過させ、多
層干渉膜によって光の干渉を利用して所望の波長域の光
を選択的に透過および反射させ、電球からは主として所
定色光(または波長域光)のみを放射するようにしたも
のである。
【0007】このようにバルブの外表面に形成した金属
酸化物からなる多層光干渉膜は、耐熱性および耐紫外線
性が高くハロゲン電球の点灯温度にも十分に耐え、被膜
に剥離やひび割れなどの発生がなく、長期に亘って光透
過や反射特性の低下が少なく発光特性を維持することが
できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この電球にお
いても照射面に虹状などの不所望な色むらが発生するこ
とがあり、本発明者らはこの原因について種々究明した
ところ、これはバルブの表面に形成した多層光干渉膜に
あることが分かった。
【0009】すなわち、バルブの端部を圧潰して形成し
た封止部は、バルブを加熱しピンチャーなどで押圧して
いることから急激に縮径されたり突出などした外形の変
形が大きい部分であるとともにガラス肉厚の変化も大き
い。また、光干渉膜は、管形バルブの全面がほぼ同一膜
厚であるのが理想的であるが、バルブの中間部に対して
上記のように端部の封止部や閉塞部は外形が大きく変わ
るため、被膜形成時に被膜の塗布液や蒸発物が溜ったり
して、この端部に形成される光干渉膜の膜厚が大きく変
化することがある。この被膜の膜厚さが不均一であると
所定波長の透過や反射が行われず、所望の光学特性が得
られないことは上述した通りである。
【0010】そして、このハロゲン電球は、フィラメン
トからの放射光が光干渉膜を透過して外部に放射される
光が大部分であるが、光干渉膜で反射されバルブ内に戻
る光もある。このバルブ内に戻った光は、バルブの内面
やバルブのガラス肉厚内で反射を繰り返してバルブ端部
に集まるが、ガラス肉厚が変化していたり上記光干渉膜
が厚膜となり易いバルブ端部の封止部や閉塞部から放出
される結果、照射面で色むらなど不所望な色光を生じ均
一な配光色が得られない問題があることが分かった。
【0011】本発明は、上述した事情に鑑みなされたも
ので、照明装置に格別な着色フィルタを設けることがな
く、バルブに施す簡単な構成で照射面に色むらの発生が
ない発光特性の向上できる電球およびこの電球を装着し
た照明装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の電球は、内部にフィラメントおよび不活性ガスを封入
するとともに端部に封止部を形成したガラスバルブと、
このバルブの表面に形成した所定色光を透過し、それ以
外の光を反射する多層光干渉膜と、上記封止部を含むバ
ルブ端部の表面に形成した上記多層光干渉膜透過光と同
色光を透過し、それ以外の光を吸収する耐熱性選択吸収
膜とを具備していることを特徴とする。本発明の電球
は、多層光干渉膜の膜厚や層数などを選ぶことによっ
て、所定色光を放射する着色膜を得ることができる。そ
して、フィラメントからの放射光をバルブ表面に形成し
た着色膜が、所定波長域の光線のみを透過して所定色光
を照射する。また、着色膜やバルブ面で反射された光や
ガラス肉厚変化や膜厚変化により生じた光は、バルブの
内部やバルブのガラス肉厚内で反射を繰り返し端部に至
り、封止部などがあるバルブ端部から放射されるが、端
部には上記着色膜と同じ波長を透過する耐熱性の被膜が
あり、この端部からも着色膜と同波長域のみの光が放出
される結果、電球全体としては同波長域のみの所望の照
射色光を放射でき、照射面には、色むらの発生がない。
【0013】なお、上記多層光干渉膜は透過および反射
のほか若干の吸収を行うものであってもよい。
【0014】本発明の請求項2に記載の電球は、多層光
干渉膜が、高屈折率層および低屈折率層を交互に重層し
て形成したものであることを特徴とする。
【0015】多層光干渉膜で構成した着色膜は、光学的
特性が優れているとともに高温度となるバルブの表面に
直接被膜を形成して剥離やひび割れの発生がない。
【0016】本発明の請求項3に記載の電球は、多層光
干渉膜を構成する高屈折率層が酸化チタン(Ti
2 )、酸化タンタル(Ta2 5 )、酸化ジルコニウ
ム(ZrO2 )、酸化セリウム(CeO2 )、低屈折率
層が酸化ケイ素(SiO2 )から選ばれたもので形成し
てあることを特徴とする。
【0017】多層光干渉膜の形成材料としては、耐熱性
を有する上記の金属酸化物などから選ぶことができ、高
低屈折率の組み合わせは要求される波長域に応じて適宜
選ぶことができる。
【0018】本発明の請求項4に記載の電球は、内部に
フィラメントおよび不活性ガスを封入するとともに端部
に封止部を形成したガラスバルブと、このバルブの表面
に形成した主として赤色光を透過する多層光干渉膜と、
上記封止部を含むバルブ端部の表面に形成した顔料とし
て酸化鉄(Fe2 3 )を含む赤色光透過耐熱性選択吸
収膜とを具備していることを特徴とする。
【0019】上記請求項1に記載と同様な作用を要す
る。また、赤色光を放射する選択吸収膜として、酸化鉄
(Fe2 3 )からなる無機顔料を用いることにより耐
熱性に富み経時退色の少ない被膜を得ることができる。
【0020】本発明の請求項5に記載の電球は、内部に
フィラメントおよび不活性ガスを封入するとともに端部
に封止部を形成したガラスバルブと、このバルブの表面
に形成した主として緑色光を透過する多層光干渉膜と、
上記封止部を含むバルブ端部の表面に形成した顔料とし
てコバルトを含む緑色光透過耐熱性選択吸収膜とを具備
していることを特徴とする。
【0021】上記請求項1に記載と同様な作用を要す
る。また、緑色光を放射する選択吸収膜として、コバル
ト系のたとえばCo−Al−Cr−Oからなる無機顔料
を用いることにより耐熱性に富み経時退色の少ない被膜
を得ることができる。
【0022】本発明の請求項6に記載の電球は、内部に
フィラメントおよび不活性ガスを封入するとともに端部
に封止部を形成したガラスバルブと、このバルブの表面
に形成した主として青色光を透過する多層光干渉膜と、
上記封止部を含むバルブ端部の表面に形成した顔料とし
てコバルトを含む青色光透過耐熱性選択吸収膜とを具備
していることを特徴とする。
【0023】上記請求項1に記載と同様な作用を要す
る。また、青色光を放射する選択吸収膜として、コバル
ト系のたとえばCo−Al−Oからなる無機顔料を用い
ることにより耐熱性に富み経時退色の少ない被膜を得る
ことができる。
【0024】本発明の請求項7に記載の電球は、バルブ
端部の耐熱性選択吸収膜が、バルブ内のフィラメントの
コイルに対応する部位にまでは形成されていないことを
特徴とする。
【0025】選択吸収膜は着色膜より耐熱性の低い材料
が使用されることが多くあり、バルブ端部の封止部寄り
でも、発熱で高い温度となるフィラメントのコイルと対
面する部分から外れた、外部導入線と対応する部位から
封止部にかけて形成してあれば熱的劣化の虞がない。ま
た、この種フィラメントは配光調整のため、発光するコ
イル部以外の部分を金属棒などで短絡しているが、ここ
でいうコイルとは実際高温度なる発光する部位を指すも
のである。
【0026】本発明の請求項8に記載の照明装置は、装
置本体をなす筐体と、この筐体内に設けられた反射鏡お
よびソケットと、このソケットに装着された請求項1な
いし請求項7のいずれか一に記載の電球とを具備してい
ることを特徴とする。
【0027】上記請求項1ないし請求項7に記載の作用
を有する電球が装着されており、多層光干渉膜からなる
着色膜と選択吸収膜との両膜は耐熱性が高く寿命途中に
おいて剥離やひび割れなどの発生がない。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態
を図面を参照して説明する。図1はたとえばテレビスタ
ジオや演劇舞台などでホリゾントライト用として用いら
れる定格100V500Wのハロゲン電球Lの一部を縦
断して示す正面図、図2は図1中の電球L中間部のA−
A線に沿って切断した部分のバルブの表面に形成した多
層光干渉膜からなる着色膜部を拡大して示す横断面図、
図3は図1中の電球Lの端部近傍のB−B線に沿って切
断した部分のバルブの表面に形成した多層光干渉膜から
なる着色膜および耐熱性補光膜部分を拡大して示す横断
面図である。
【0029】図示ハロゲン電球Lは、口金を含む全長が
約118mm(封止部を含むバルブ全長が約104m
m)、外径が約11mmの直管状の石英ガラスやアルミ
ノシリケートガラスなどの硬質ガラスからなるバルブ1
を有し、バルブ1の両端部にはガラスを加熱し、ピンチ
ャーなどで押圧した圧潰封止部2,2がそれぞれ形成し
てある。この封止部2の内部にはモリブデンなどからな
る導入箔3が気密に埋設され、この導入箔3には内部導
入線31および外部導入線32が接続してある。また、
バルブ1内の内部導入線31,31間には、バルブ1の
中心軸に沿ってタングステン線を巻回したコイル状のフ
ィラメント4,4,…がタングステン線やモリブデン線
などの短絡線41,41,…を介して直列的に継線さ
れ、中間部においてリング状のサポート部材42,4
2,…により保持されている。
【0030】また、バルブ1内には二臭化メチレン(C
2 Br2 )などのハロゲン化物およびアルゴン(A
r)を含む窒素(N2 )などの不活性ガスが封入してあ
る。また、5,5は圧潰封止部2の端面に設けられた口
金端子で上記外部導入線32と接続してある。なお、上
記のようにコイル状のフィラメント4,4,…が分断し
てあるのは、バルブ1長さが長い電球Lからの放射光強
度を均一化するためになされているものである。
【0031】そして、この電球Lはたとえば赤色光を放
射するもので、バルブ1の中央部から封止部2までの外
表面部分には着色膜5が、また、バルブ1端部の封止部
2および上記着色膜6の外表面には赤色光を透過し他の
色光を吸収する耐熱性の選択吸収膜7が形成してある。
【0032】この着色膜6は図2にその一部を拡大して
示すように、バルブ1のガラス面に高屈折率層6H,…
を作る金属酸化物たとえば酸化チタン(TiO2 )と低
屈折率層6L,…を作る金属酸化物たとえば酸化ケイ素
(SiO2 )とを交互に繰り返えし30〜50層の所定
層積層した多層光干渉膜からなる。そして、着色膜6は
上記高屈折率層6H,…と低屈折率層6L,…との膜厚
をコントロールすることにより630〜780nmの赤
波長域をよく透過し、この波長域以外の光を反射するよ
う形成してある。この被膜6の形成は、たとえば浸漬法
によって行われ、圧潰封止部2の形成によってバルブ1
が絞られた急激に形状が変化した部分にまで及んでい
る。
【0033】また、バルブ1端部の耐熱性選択吸収膜7
は図2にその一部を拡大して示すように、上記低屈折率
層6Lと同じ酸化ケイ素(SiO2 )に酸化鉄2 (Fe
2 3 )の微粉末からなる無機顔料を混合して形成した
被膜であって、630〜780nmの赤波長域を透過し
他の波長域の光を吸収する。
【0034】そして、このような構成のハロゲン電球L
は、両端の口金端子5,5を通じ給電して点灯すると、
フィラメント4,4,…が発熱して光をバルブ1面方向
へと放射する。このフィラメント4,4,…から放射し
た光の大部分はバルブ1を透過して着色膜6に入射し、
630〜780nmの波長域の光は着色膜6を透過して
外方へ赤色光として放射される。また、630〜780
nm以外の波長域の光の大部分は選択吸収膜7で吸収ま
たは反射されてバルブ1の内方へと戻される。そして、
このバルブ1の内方や選択吸収膜7で反射を繰り返えし
端部の封止部2に至った光線およびバルブ1のガラス肉
厚内で反射を繰り返えし端部の封止部2に至った光線
は、選択吸収膜7によってこれまた630〜780nm
の波長域の赤色光を透過して封止部2から放射される
が、630〜780nm以外の波長域の光の大部分は選
択吸収膜7によって透過が阻止される。
【0035】したがって、このハロゲン電球Lは、バル
ブ1の中央部からはもちろんガラス肉厚や着色膜6厚さ
に変化の大きい端部からも、主として630〜780n
mの波長域の赤色光が放射され、比較的長いバルブ1で
あるのにも拘らず照射面に色むらの発生は見られない。
また、これらの着色膜6および選択吸収膜7は、バルブ
1の表面に直接形成されているが、金属酸化物からなる
ため耐熱性が高く熱的劣化も小さくて、フィラメント5
寿命に至る長期に亘り発光色を変化することなく良好な
発光特性を示す。
【0036】なお、選択吸収膜7は着色膜6より耐熱性
の低い材料が使用されることが多くあり、バルブ1端部
の封止部2寄りでも、発熱で高い温度となるフィラメン
ト4のコイルと対応する部分から外れた、すなわち図1
中のC−C線より外側の外部導入線32と対応する部位
から封止部2にかけて形成してある。
【0037】また、上記ハロゲン電球Lの着色膜6およ
び選択吸収膜7の形成は、浸漬法、CVD法やPVD法
など種々の方法でできるが、ここでは浸漬法によって形
成する場合を説明する。まず、フィラメント4を封装し
たバルブ1内を排気し、ハロゲンを含むアルゴンなどの
不活性ガスを封入したハロゲン電球を用意する。
【0038】一方、テトライソプロチタネートなどの有
機チタン化合物をアセチルアセトン、ポリエチレングリ
コールに反応させたエタノール系の溶剤に溶かしたチタ
ン含有量が約6重量%のチタン溶液と、エチルシリケー
ト重合体などの有機ケイ素化合物を有機溶剤に溶かした
ケイ素含有量が約6重量%のケイ素溶液を用意する。
【0039】まず、上記ハロゲン電球のバルブ1をチタ
ン溶液中に浸漬して徐々に引上げ、バルブ1の外表面に
チタン溶液の塗布液膜を形成する。そして、付着した塗
布液膜を乾燥させてから電気炉などで焼成するか、電球
を過電圧点灯してバルブ1を高温度に上げ焼成して酸化
チタン(TiO2 )層を形成する。
【0040】つぎに、ハロゲン電球のバルブ1をケイ素
溶液中に浸漬して徐々に引上げ、上記酸化チタン(Ti
2 )層の表面上にケイ素溶液の塗布液膜を形成する。
そして、付着した塗布液膜を乾燥させてから電気炉など
で焼成するか、電球を過電圧点灯してバルブ1を高温度
に上げ焼成して酸化ケイ素(SiO2 )層を形成する。
【0041】このように、電球のバルブ1をチタン溶液
中とケイ素溶液中に交互に浸漬、焼成して、所定層数の
多層光干渉膜6を形成する。
【0042】なお、この被膜6の形成に際し、封止部2
など被膜6の形成が不要な部位はポリエチレンやポリプ
ロピレンなどのフィルムで覆っておいて、被膜6形成後
にフィルムを剥がすとか、カバーなどで覆っておいて紫
外線照射して、紫外線非照射部を硝酸液などで剥がすよ
うにしてもよい。
【0043】また、耐熱性選択吸収膜7は、たとえば酸
化ケイ素(SiO2 )と酸化鉄2 (Fe2 3 )の微粉
末を二酸化ケイ素に対し約5〜20重量%混入し酢酸エ
チルなどの有機溶媒中で分散した分散液を用意し、この
分散液中に上記着色膜6の形成が終わっているハロゲン
電球のバルブ1端部の封止部2を浸漬して引上げ、乾
燥、上記と同様に電気炉や点灯により焼成すれば形成で
きて、図1に示すハロゲン電球Lが得られる。
【0044】また、上記ホリゾントライト用のハロゲン
電球Lは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に発光
する三種の電球Lを組み合わせて所望の発光色を得てい
る。そして、緑色(G)発光させる電球Lの場合は、赤
色(R)発光させる電球Lと同様に、バルブ1の外表面
に高屈折率層6H,…を作るたとえば酸化チタン(Ti
2 )と低屈折率層6L,…を作るたとえば酸化ケイ素
(SiO2 )とを交互に繰り返えし所定層厚さで積層し
た多層光干渉膜からなる520〜560nmの波長域の
緑色(G)発光する着色膜6が形成してある。
【0045】また、バルブ1端部の封止部2の近傍の耐
熱性選択吸収膜7は、上記低屈折率層6Lと同じ酸化ケ
イ素(SiO2 )にコバルト系のたとえば緑色複合酸化
物(Co−Al−Cr−Oなど)からなる無機顔料を混
合して形成した被膜であって、520〜560nmの緑
波長域を透過し他の色光を吸収し、上記赤色(R)発光
させる電球Lと同様の作用および効果を奏する。
【0046】また、青色(B)発光させる電球Lの場合
は、上記電球Lと同様に、バルブ1の外表面に高屈折率
層6H,…を作るたとえば酸化チタン(TiO2 )と低
屈折率層6L,…を作るたとえば酸化ケイ素(Si
2 )とを交互に繰り返えし所定層厚さで積層した多層
光干渉膜からなる380〜450nmの波長域の青色
(B)発光する着色膜6が形成してある。
【0047】また、バルブ1端部の封止部2の近傍の耐
熱性選択吸収膜7は、上記低屈折率層6Lと同じ酸化ケ
イ素(SiO2 )にコバルト系のたとえば青色複合酸化
物(Co−Al−Oなど)からなる無機顔料を混合して
形成した被膜であって、380〜450nmの青波長域
を透過し他の色光を吸収し、上記赤色(R)発光させる
電球Lと同様の作用および効果を奏する。
【0048】なお、これら緑色(G)、青色(B)に発
光するハロゲン電球Lの被膜6,7の形成も、耐熱性選
択吸収膜7の顔料材料が異なるが、上記赤色(R)発光
させる電球Lと同様にして行うことができる。
【0049】上記赤色(R)、緑色(G)および青色
(B)を透過する多層光干渉膜(ダイクロイック膜)6
の、被膜6の具体的な構成例を表1に示す。
【0050】この多層光干渉膜6の膜構成は、赤色
(R)が:Ha/2・(La・Ha)7 ・(Lb・H
b)7 ・Lb/2、緑色(G)が:Ha/2・(La・
Ha)9 ・La・Ha/2・Lb/2・(Hb・Lb)
9 ・Hb・Lb/2、青色(B)が:Ha・(Lb・H
b)7 ・Lc・(Hb・Lb)6 ・Hd・Ld/2、
で、光学膜厚は屈折率×実膜厚である。
【0051】また、被膜6を形成する高屈折率層6H,
…の材料は酸化チタン(TiO2 )、低屈折率層6L,
…の材料は酸化ケイ素(SiO2 )である。また、高屈
折率層6H,…の材料を酸化チタン(TiO2 )に変
え、酸化タンタル(Ta2 5)であっても同様膜厚で
対応できた。
【0052】
【表1】 また、図4は上記実施の形態で説明した赤色(R)、緑
色(G)および青色(B)を透過する多層光干渉膜6を
形成した各ハロゲン電球の透過率(%)を示すグラフで
あって、縦軸は透過率(%)、横軸は波長(nm)が対
比してあり、曲線(R)は赤色発光電球、曲線(G)は
緑色発光電球、曲線(B)は青色発光電球の特性であ
る。
【0053】また、図5〜図7はバルブ1の端部に選択
吸収膜7を形成する前後の、エネルギーの相対強度
(%)を示すグラフであって、縦軸はエネルギーの相対
強度(%)、横軸は波長(nm)が対比してあり、図5
は赤色発光電球、図6は緑色発光電球、図7は青色発光
電球で、それぞれ実線は選択吸収膜7を形成する前、点
線は選択吸収膜7を形成した後の特性で、放射強度はピ
ーク値を1としたときの相対比較値である。
【0054】この図5〜図7から明らかなように、選択
吸収膜7を形成した電球Lはそれぞれの波長域での透過
がよく、また、不所望波長域光の吸収がはかれて、照射
面に色むらの発生がない良好な配光が得られる。
【0055】また、図8は本発明の実施の形態を示す照
明装置(照明器具)8である。図において81は器具本
体をなす筐体で、筐体81の内部には反射鏡82および
ソケット83,83(一方は図示してない。)が設けら
れていて、このソケット83,83に上記ハロゲン電球
Lの口金端子5,5(一方は図示してない。)が取付け
られ電球Lの保持と給電がなされる。また、84は筐体
81の開口部を覆う透光性のカバー部材である。
【0056】この照明装置(照明器具)8は、電球Lか
らの放射光が直接あるいは反射鏡82を介しカバー部材
84から放出されるが、耐熱性選択吸収膜7の形成によ
り色むらが抑制された照射面が得られる。また、上記カ
バー部材84は着色などされていないガラス板などから
なる無色透明なもので、経時による退色もなく筐体81
内の収容物を保護する役割をなす。
【0057】また、ホリゾントライトの場合は、赤色発
光電球L、緑色発光電球Lおよび青色発光電球Lが装着
された照明装置(照明器具)8が3基一組として数十組
〜数百組配列され、それぞれ色むらのない配光が長期間
に亘り得られる。また、電球Lのバルブ1の表面に多層
光干渉膜からなる着色膜6と選択吸収膜7とを直接形成
してあるが、両被膜6,7とも耐熱性が高く寿命途中に
おいて剥離やひび割れなどの発生がなく、従来のように
フィルタを交換するなどの補修の手間を要しない。
【0058】なお、本発明は上記の実施の形態に限らな
い。たとえば電球はハロゲン電球に限らず他の種類の電
球にも適用できる。また、バルブの形状は長い管形のも
のに限らず、長さの短いバルブが使われる展示商品の照
明に用いるなどの一端封止形のものであってもよい。
【0059】また、バルブの端部に形成する耐熱性選択
吸収膜の形成材料は多層光干渉膜を形成すると同じチタ
ン溶液中に分散してもよく、また、多層光干渉膜の形成
材料と同じ材料でなく、電球の昇温温度などに応じて他
の耐熱性の適宜の材料を選んでもよい。また、選択吸収
膜の膜厚は多層光干渉膜の透過波長に合わせて調整する
ようにしてもよく、多層光干渉膜では分からない発光色
が一目で分かる被膜であっても差支えない。
【0060】さらに、照明装置(照明器具)としては、
テレビスタジオや舞台照明用のホリゾントラントに限ら
ず、競技場の投光照明用や商品の展示照明用などにも適
用できる。
【0061】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、バルブ表面の
着色膜および端部の選択吸収膜が同色(同波長域)の光
透過をなし、照射面に色むらの発生がなく、耐熱性に優
れた被膜に退色、剥離やひび割れのない電球を提供する
ことができる。
【0062】また、請求項2の発明によれば、多層光干
渉膜で構成した着色膜は、光学的特性が優れているとと
もに高温度となるバルブの表面に直接被膜を形成して剥
離やひび割れの発生がない。
【0063】また、請求項3の発明によれば、膜形成材
料として要求される光学特性に応じ、耐熱性を有する種
々の金属酸化物などから適宜選ぶことができる。
【0064】また、請求項4ないし請求項6の発明によ
れば、選択吸収膜の着色顔料として照射光色特性に応じ
耐熱性に優れた経時退色の少ない材料を提供できる。
【0065】また、請求項7の発明によれば、選択吸収
膜の形成部位を点灯時高温度となるフィラメントのコイ
ルと対応する部分から外すことにより、選択吸収膜の熱
的劣化がないか少なく、長期に亘り所定の発光(発色)
特性を維持できる電球を提供できる。
【0066】さらに、請求項8の発明によれば、上記請
求項1ないし請求項7に記載の効果を有する電球が装着
されており、放射光に色むらの発生がないとともに寿命
中の長期間に亘り退色などの劣化が少ない発光(発色)
特性に優れた照明装置が得られる。また、装置のメンテ
ナンスの面でもフィルタの交換などをする手間および部
材を要しない安価な照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハロゲン電球の実施の形態を示す縦断
面図である。
【図2】図1の電球のA−A線に沿って切断した部分の
バルブの表面に形成した多層光干渉膜からなる着色膜部
を拡大して示す横断面図である。
【図3】図1の電球の端部近傍のB−B線に沿って切断
した部分のバルブの表面に形成した多層光干渉膜からな
る着色膜および選択吸収膜部分を拡大して示す横断面図
である。
【図4】赤色(R)、緑色(G)および青色(B)を透
過する多層光干渉膜を形成した各ハロゲン電球の波長
(nm)と透過率(%)とを対比して示すグラフであ
る。
【図5】赤色(R)発光電球の選択吸収膜を形成する前
後の、波長(nm)とエネルギーの相対強度(%)とを
対比して示すグラフである。
【図6】緑色(G)発光電球の選択吸収膜を形成する前
後の、波長(nm)とエネルギーの相対強度(%)とを
対比して示すグラフである。
【図7】青色(B)発光電球の選択吸収膜を形成する前
後の、波長(nm)とエネルギーの相対強度(%)とを
対比して示すグラフである。
【図8】本発明の照明装置(照明器具)の実施の形態を
示す斜視図である。
【符号の説明】
L:ハロゲン電球 1:ガラスバルブ 2:圧潰封止部 5:フィラメント 6:着色膜(多層光干渉膜) 6H:高屈折率層 6L:低屈折率層 7:耐熱性選択吸収膜 8:照明装置(照明器具) 81:筐体(器具本体) 82:反射鏡 83:ソケット

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部にフィラメントおよび不活性ガスを
    封入するとともに端部に封止部を形成したガラスバルブ
    と;このバルブの表面に形成した所定色光を透過し、そ
    れ以外の光を反射する多層光干渉膜と;上記封止部を含
    むバルブ端部の表面に形成した上記多層光干渉膜透過光
    と同色光を透過し、それ以外の光を吸収する耐熱性選択
    吸収膜と;を具備していることを特徴とする電球。
  2. 【請求項2】 多層光干渉膜が、高屈折率層および低屈
    折率層を交互に重層して形成したものであることを特徴
    とする請求項1に記載の電球。
  3. 【請求項3】 多層光干渉膜は、高屈折率層が酸化チタ
    ン(TiO2 )、酸化タンタル(Ta2 5 )、酸化ジ
    ルコニウム(ZrO2 )、酸化セリウム(CeO2 )、
    低屈折率層が酸化ケイ素(SiO2 )から選ばれたもの
    で形成してあることを特徴とする請求項2に記載の電
    球。
  4. 【請求項4】 内部にフィラメントおよび不活性ガスを
    封入するとともに端部に封止部を形成したガラスバルブ
    と;このバルブの表面に形成した主として赤色光を透過
    する多層光干渉膜と;上記封止部を含むバルブ端部の表
    面に形成した顔料として酸化鉄(Fe2 3 )を含む赤
    色光透過耐熱性選択吸収膜と;を具備していることを特
    徴とする電球。
  5. 【請求項5】 内部にフィラメントおよび不活性ガスを
    封入するとともに端部に封止部を形成したガラスバルブ
    と;このバルブの表面に形成した主として緑色光を透過
    する多層光干渉膜と;上記封止部を含むバルブ端部の表
    面に形成した顔料としてコバルトを含む緑色光透過耐熱
    性選択吸収膜と;を具備していることを特徴とする電
    球。
  6. 【請求項6】 内部にフィラメントおよび不活性ガスを
    封入するとともに端部に封止部を形成したガラスバルブ
    と;このバルブの表面に形成した主として青色光を透過
    する多層光干渉膜と;上記封止部を含むバルブ端部の表
    面に形成した顔料としてコバルトを含む青色光透過耐熱
    性選択吸収膜と;を具備していることを特徴とする電
    球。
  7. 【請求項7】 バルブ端部の耐熱性選択吸収膜が、バル
    ブ内のフィラメントのコイルに対応する部位にまでは形
    成されていないことを特徴とする請求項1および請求項
    4ないし請求項6のいずれか一に記載の電球。
  8. 【請求項8】 装置本体をなす筐体と;この筐体内に設
    けられた反射鏡およびソケットと;このソケットに装着
    された請求項1ないし請求項7のいずれか一に記載の電
    球と;を具備していることを特徴とする照明装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008078065A (ja) * 2006-09-25 2008-04-03 Harison Toshiba Lighting Corp 電球型ヒータ、電球型ヒータ製造方法

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