JPH10319192A - 容器内放射性廃棄物識別方法及び装置 - Google Patents

容器内放射性廃棄物識別方法及び装置

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JPH10319192A
JPH10319192A JP12563797A JP12563797A JPH10319192A JP H10319192 A JPH10319192 A JP H10319192A JP 12563797 A JP12563797 A JP 12563797A JP 12563797 A JP12563797 A JP 12563797A JP H10319192 A JPH10319192 A JP H10319192A
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吉之 米田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射性廃棄物処理ドラム缶に収納された廃棄
物のうちアルミニウムまたは鉛と、他の鉄等の廃棄物と
を無開放で識別し、ドラム缶の開缶、廃棄物の分別等の
作業を減らし作業員の被曝を低減する。 【解決手段】 アルミニウム、鉛、鉄のテストピースに
ついてX線管電圧をパラメータとしてX線透視撮影した
ときのディジタル画像階調値より複数方向からX線透視
して得られた管電圧・階調値関数とを比較し、アルミニ
ウム、鉄、鉛を識別する。 【効果】 放射性廃棄物容器内の識別が容易にできるの
で、取り除きたい物質が大量にあるか否か判定でき、放
射性廃棄物容器をそのまま保管するか、開放し、所定の
物質のみ取り出すか、あるいは放射性廃棄物容器をその
まま溶融処理するか判定が可能となり、放射性廃棄物容
器の開放、内容物の分別作業工数が減り、作業員の被曝
が低減できるという効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子力プラントで発
生する放射性廃棄物の非破壊検査に関し、特にX線によ
る識別方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、原子力プラントで発生する放射性
廃棄物は200リットルのドラム缶等の容器に収納さ
れ、保管されていた。ドラム缶内の放射性廃棄物はその
まま保管される場合と、溶融処理または減容処理後、コ
ンクリ−トで固化され、保管される場合がある。保管ス
ペースを少なくするため、及び保管しやすくするため、
放射性廃棄物をドラム缶ごと溶融処理たとえばプラズマ
溶融処理する場合、作業員がドラム缶を開缶し、ドラム
缶内の放射性廃棄物を取り出し、分別する。とくにアル
ミニウムと鉛は溶融処理に適さないため、溶融処理しな
いで、別途保管する必要がある。これは、アルミニウム
を溶融し、コンクリ−トで固めると、コンクリ−ト内の
水分とアルミニウムが反応し、水素が発生し、溶融炉に
損傷を与える恐れがあるためである。
【0003】一方、鉛を溶融すると有毒ガスが発生し、
公害防止上好ましくない。このため、とくにドラム缶毎
溶融処理をする場合、ドラム缶内にアルミニウムや鉛が
ないことを非破壊で容易に判定できる装置が望まれてい
た。ドラム缶内にアルミニウムや鉛がある場合、作業員
に警報を発すれば、作業員の注意を喚起することができ
る。ドラム缶内にアルミニウムや鉛が混在しなければ、
ドラム缶ごと溶融処理することが可能になり、開缶、分
別作業が減り、作業員の放射線被曝を低減することがで
きる。
【0004】従来の廃棄物の分別処理方法の例として、
特開平6−273588号(固体廃棄物の分別処理方
法)がある。この方法では金属検出装置により廃棄物内
に金属があるか否かを分別し、さらにX線検査装置によ
り金属の形状が非定形なものか定形なものかを分別し、
作業者の被曝低減を図っている。そのほか、特開平7−
209493号(放射性廃棄物の選別装置およびその選
別方法)がある。この装置では、ロ−ラコンベア上に載
置され移動する放射性廃棄物の成分を、捕獲γ線分析装
置と蛍光X線分析装置を組合わせにより求めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、廃棄
物処理ドラム缶に収納された廃棄物のうちアルミニウム
や鉛や他の鉄等を無開放で識別する点について配慮がさ
れていない。もし、廃棄物処理ドラム缶内にあらかじめ
アルミニウムや鉛が収納されていることがわかれば、ア
ルミニウムや鉛の収納量が多ければ、ドラム缶を開缶せ
ずにドラム缶を保管することにより、作業量を減らし、
作業員の被曝を低減できる。もし、ドラム缶内にアルミ
ニウムや鉛がないことがわかれば、ドラム缶ごと溶融で
き、ドラム缶の開缶、廃棄物の分別作業を減らすことが
できる。一方、ドラム缶内容物を識別する方法としては
X線CT法がある。X線CT法では各廃棄物のX線吸収
割合、すなわちX線吸収係数を求め、さらに各廃棄物の
厚さを求めることにより各廃棄物の材質を識別すること
ができる。この方法では、デ−タ収集、画像再構成演
算、表示等のため、装置構成が複雑になり、コストが高
くなる。
【0006】本発明の目的は、放射性廃棄物処理ドラム
缶等の収納容器の開缶、廃棄物の分別作業を減らし、作
業員の放射線被曝を低減できる容器内放射性廃棄物識別
方法及び装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数のテスト
部材につき、材質名、管電圧をパラメータとする複数の
X線透視画像基準階調値又はその関数を求めておき、被
測定対象となる放射性廃棄物収納容器に対して管電圧を
変更してX線を照射して収納廃棄物のX線透視画像階調
値又はその関数を検出し、この検出階調値又はその関数
と上記複数の基準階調値又はその関数とを比較すること
で収納廃棄物の材質及び又は形状及び又は収納状態を識
別するものとした識別方法を開示する。
【0008】更に本発明は、複数のテスト部材につき材
質名、管電圧をパラメータとする複数のX線透視画像基
準階調値関数の係数(以下基準係数と呼ぶ)を求めてお
き、被測定対象となる放射性廃棄物収納容器に対して管
電圧を変更してX線を照射して収納廃棄物のX線透視画
像階調値の関数の係数を検出し、この検出係数と上記複
数の基準係数とを比較することで収納廃棄物の材質及び
又は形状及び又は収納状態を識別するものとした容器内
放射性廃棄物識別方法を開示する。
【0009】更に本発明は、複数のテスト部材につき、
材質名、管電圧をパラメータとする複数のX線透視画像
基準階調値(又はその関数又は関数の係数)を登録した
データテーブルと、放射性廃棄物収納容器の周囲に対向
して設置したX線発生器とX線検出器とより成るX線検
出系と、X線検出器からの透過X線の階調値データを入
力し、該階調値データ(又はこのデータの関数又は関数
の係数)と、上記データテーブルの複数の基準階調値
(又は関数又は関数の係数)とを比較して、収納廃棄物
の材質及び又は形状及び又は収納状態を識別する画像処
理装置と、を含む容器内放射性廃棄物識別装置を開示す
る。
【0010】更に本発明は、複数のテスト部材につき、
材質名、管電圧をパラメータとする複数のX線透視画像
基準階調値(又はその関数又は関数の係数)を登録した
データテーブルと、放射性廃棄物収納容器の周囲に対向
して設置したX線発生器とX線検出器とより成るX線検
出系と、上記収納容器又はX線検出系(又は、この検出
系の中のX線発生器又はX線検出器の一方)の少なくと
もいずれか一方を、回転及び又は並進駆動する駆動手段
と、X線検出器からの透過X線の階調値データを入力
し、該階調値データ(又はこのデータの関数又は関数の
係数)と、上記データテーブルの複数の基準階調値(又
は関数又は関数の係数)とを比較して、収納廃棄物の材
質及び又は形状及び又は収納状態を識別する画像処理装
置と、を含む容器内放射性廃棄物識別装置を開示する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図1〜
図10に従って説明する。図1において1はX線発生
器、2はドラム缶(例えば厚みが、1.2mmのも
の)、3はX線検出器、4はドラム缶2内に収納された
アルミニウムや鉄などの放射性廃棄物、5は画像処理装
置、6はドラム缶並進・回転駆動装置、7は放射性廃棄
物を示す。X線発生器1としてたとえば市販の交流電源
パルス印加式工業用ポ−タブルX線発生器を用いる。X
線検出器3は、ライン状の多チャンネル式一次元検出素
子群3Aと、検出素子群からの検出信号を増幅する前置
増幅器3Bとで構成される。一次元検出器としては、た
とえば市販の蛍光体とフォトダイオ−ドを用いる。この
X線検出器3で得たアナログ信号をA/D変換器により
ディジタル信号に変換し、市販のパ−ソナルコンピュ−
タを用いた画像処理装置5に入力する。
【0012】X線発生器1は、コーン形状のX線1Aを
発生する。このコーン状X線を照射する代わりに、X線
の通過系路にX線の絞り込み用のコリメータを設けてお
き、このコリメータでコーン形状のX線をファン状X線
1Bに変換して照射することも可能である。一次元X線
検出素子群3Aは、ファン状X線に適する。X線発生器
1とX線検出器3とは、互いに対向関係に配置してあ
る。更に、この対向関係を維持したまま両者が回転・並
進できるような駆動手段を設けてもよい。計測のために
は、ドラム缶の全面にわたって計測できるように、ドラ
ム缶並進・回転駆動装置6によってドラム缶の並進又は
回転する必要がある。X線発生器1とX線検出器3との
対向関係を維持したままの並進・回転は、ドラム缶の並
進又は回転を行うことのできる場合には必ずしも必要な
い。ドラム缶が固定されて計測を行う場合に、X線発生
器1とX線検出器3との対向関係を維持したままでの並
進・回転が必要となる。しかし、ドラム缶の並進・回転
と、X線発生器1とX線検出器3との対向関係を維持し
たままでの並進・回転とを組み合わせて計測させること
もできる。計測時間の短縮化を図れる利点を持つ。
【0013】図2は、X線と一次元検出器との対応例を
示す。図2(a)が、コリメータ10で、コーン状X線
1Aをファン状X線1Bに変換し、これを一次元検出素
子群3Aで検出する例を示す。CH1、CH2、…がチャ
ンネル番号を示す。これによって、1回のX線の曝射で
nチャンネル分の計測値を得ることができる。図2
(b)は、コーン状X線1Aを放出したまま一次元検出
素子群3A又は3A1で矢印方向に移動して計測する例
を示す。図2(b)で、検出素子群3Aが、コーンの直
径よりも大きなライン領域までも計測対象とした例、検
出素子群3A1が、コーン直径よりも小さいライン領域
を計測対象とした例である。尚、一次元の他に二次元の
検出領域(M×N個のチャンネル)を持つ二次元X線検
出器の例もありうる。
【0014】図3(a)は、ドラム缶2の上面から見た
計測例、図3(b)はドラム缶2の側面から見た計測例
を示す。図2(b)に示すように、ドラム缶2の長さ方
向(上下方向)を充分カバーできるようなX線検出素子
群3Aを用意しておく。これを上面から見た図が図3
(a)である。即ち、検出素子群3Aの検出領域面積は
(nチャンネル分の検出幅)は小さく、従ってドラム缶
全面にわたって計測を行うには、図3(a)の矢印に示
すように、X線発生器1と検出素子群3Aとを対向させ
たまま所定ピッチ移動を繰り返しながら計測を行う。も
し、検出素子群3Aが図3(b)に示すようなドラム缶
2の長手方向に比して小さい(例えば半分の大きさ)サ
イズでは、図3(a)の如き移動の他に、この長手方向
への移動も必要である。また、図3(a)は、P1→P2
の方向での計測であるが、これに投影角度が直角である
3→P4、又は他の投影角度であるP5→P6方向での計
測も行うやり方もある。更に、こうした複数の投影角度
での複数計測の例もある。以上の図2(a)、(b)、
図3(a)、(b)は発生器1と検出器群3Aとの対向
移動(並進と回転)の例であるが、ドラム缶2の並進と
回転とを行っても同様の計測は可能である。
【0015】テストピ−スをそれぞれ単独にドラム缶の
内部に収納した上でX線管電圧を3段階以上変えてX線
透視撮影する。テストピ−スのX線透視撮影結果よりア
ルミニウム、鉄、鉛の各厚さ毎のX線管電圧と階調値基
準関数を作り、物質・厚さ・管電圧とをパラメータとす
る基準関数テ−ブルを作成する(ステップ101)。実
際の計測対象とするドラム缶にX線を曝射してX線透視
画像を得、これをX線透視画像をメモリに格納する。X
線透視画像は、複数のX線管電圧毎に得たものである
り、それは基準関数算出時の管電圧値と同じである。そ
の中の少なくとも1つの管電圧のX線透視画像をCRT
に表示する。この表示中の画面をみた操作者が、表示中
の画像を複数ブロックに分け、画像の水平方向と垂直方
向の階調値変化を調べ物質の有無、形状、重なりを判定
し、評価点を決める(ステップ102)。各物質の評価
点に対して複数の管電圧に対する各階調値即ち階調値関
数をメモリから読み出し、ステップ101で求めた基準
関数とを比較し、物質を推定する(ステップ103)。
ドラム管2を回転及び上下移動させ(ステップ104、
105)、101〜103の手順を繰り返す。こうした
手順を得ることで材料の重なり合った表示画像のうち不
明な内容物の材質を推定する(ステップ106)。ドラ
ム缶2内にアルミニウムまたは鉛がある場合には警報を
発する(ステップ107)。尚、基準関数は、ドラム缶
にテスト材収納せずに直接にテスト材を計測し、ドラム
缶の厚み分の補正を行うことでも求めることができる。
計算によって求めることもありうる。
【0016】図5に透過線量率が100mR/min
(線源より1m離れた地点)になる吸収体の厚さ、板厚
比(鋼板基準)をX線管電圧変更により求めた結果を示
す。図2は社団法人 日本非破壊検査協会発行の「エッ
クス線作業主任者用テキスト」の74頁の表3.1であ
る。図5によれば、X線管電圧が低い程アルミニウム板
と鋼板と鉛板のX線吸収割合の差が大きくなる。たとえ
ばX線管電圧が100kVのとき、鉄を1.0とすれ
ば、アルミニウム板は13.0、鉛板は0.2となる。X
線管電圧が400kV以上になると、X線に対する質量
吸収係数(cm2/g)はどの物質でも同じとなり、線
吸収係数(1/cm)は各物質の密度の大きさに依存す
る。すなわちX線吸収に係る板厚比は各密度比と同じに
なる。
【0017】図6は、基準関数を効率的に求めるための
テストピース配置例を示す。台11の上に厚みの異なる
テストピース#1〜#7を載置しておく。各テストピー
ス#1〜#7は、鉄8A、アルミニウム9A、鉛10A
のテストピースを積み上げて2段重ねしたものである。
テストピース#1〜#7の厚み(透過方向にかけての厚
みのこと)は、5mm、10mm、15mm、20m
m、25mm、30mm、35mmとした。かかるテス
トピース#1〜#7に対して、各ピース毎又は複数ピー
ス毎にX線を照射しその透過X線をX線検出器3で測定
する。全ピースについてこれを行い、計測値をAD変換
して階調値を得る。測定は、管電圧を3段階以上変更さ
せて行う。この測定した階調値を、鉄、アルミニウム、
鉛の各材料毎、且つ厚み毎、且つ缶電圧毎に得たものが
基準関数である。かかる基準関数例を図7に示す。但
し、図7では、銅(Cu)の材料例も示してある。尚、
基準関数は、テスト材をドラム缶に収納して求めてもよ
いが、ドラム缶に入れずに測定して、ドラム缶の厚みに
よる減衰分をデータとして補正するようにしてもよい。
この補正の時期は、基準関数上で補正してもよく、材料
判定時点で補正してもよい。
【0018】図7で、階調値Dは、ある画素位置の画素
濃淡レベルを示し、例えば、0〜255階調とか、0〜
1023階調で表現する。X線吸収の割合が大きくなれ
ば(例えば、厚みが大きくなれば)、検出すべきX線の
量は少なくなり、階調値は小さく表示画面が暗くなる。
図7を見てわかるように、鉄と銅との識別は、容易でな
いが、アルミニウムと鉄との識別は比較的容易であるこ
とがわかる。そこで、実際のドラム缶内の収納の検査に
際しては、図7と同じように管電圧を変更させて透過X
線をX線検出3で検出し、透視画像を得、透視画像中の
代表的な複数の画素位置で、図7の如き測定関数を求め
る。そして、各測定関数と基準関数とを比較し、同一又
は近い基準関数があれば、その同一又は近い基準関数を
示す材料がその画素位置に存在しているものと判定す
る。
【0019】前記代表的な複数の画素位置が図4で示し
た評価点である。評価点は任意に設定してもよいが、透
視画像をi×jに区分化し、各区分内の一点(例えば中
心位置)を評価点に設定する。ある材料が収納されてい
るか否かの検査目的もあれば、どのような形状や大きさ
のものが収納されているか否かの検査目的もある。こう
した検査目的や要求される検査精度によって評価点を定
める。
【0020】図7の基準関数を利用しての材料の特定
は、透視方向にかけて一種類の材料で、且つ基準関数と
同一厚みのものであることが前提である。異なる材料が
透視方向にかけて重なり合っている際には、1つの材料
毎の基準関数からは、判定しにくい。また厚みが基準関
数と異なる際にも同様に判定しにくい。そこで、厚みに
ついては、できるだけ多くの厚みについて基準関数を作
っておくことが必要である。また、異なる材料が重なり
合っている際には、重なっていない領域での判定結果か
ら重なりを推測するやり方をとればよい。
【0021】基準関数と測定関数とを直接に比較するや
り方以外に、基準関数又はその近似関数を求めておき、
この関数の係数値を比較するやり方がある。特に基準関
数も測定関数も離散的な値である故に、係数値の比較は
実益がある。例えば基準関数を2次式で近似する例を下
記に示す。2次式としたのは、図7の基準関数が2次式
で充分に近似できるからである。
【数1】Y=a02+b0X+c00、b0、c0が係数であり、基準用データ(図7)、
測定データから、それぞれ最小自乗法によって求める。
Yは階調値、Xが管電圧を示す。こうした係数a0
0、c0を基準用としてテーブル化したのが図8であ
る。材質、厚みをパラメータとして図7の基準データか
ら得た係数を示したものである。測定データは、管電圧
を変更して求めたものであり、この測定データについて
数1と同じく、
【数2】Y=aX2+bX+c なる2次曲線上での係数a、b、cを最小自乗法によっ
て求める。この係数a、b、cに近い基準用の係数
0、b0、c0があるか否かを図8のテーブルを参照し
てチェックする。同一又は許容範囲内で近いものがあれ
ば、その時の図8のテーブル上での材質のものがこの画
素位置(評価点)に収納されているものと判定する。係
数a、b、cは、評価点毎に算出し、図8のテーブルの
係数a0、b0、c0との間のチェックも、各評価点毎に
行う。
【0022】評価点の設定では、表示中の透視画像をブ
ロック分割し、各ブロックの中心位置を評価点にするや
り方がある。このやり方によれば、画面全体の均等監
視、均等評価が可能となる。かかる事例を図9に示す。
ある管電圧での透視画像を縦・横について均等サイズに
分割し、25ブロックに分割した例である。透視対象と
なった測定対象は、内部に鉄の板材8、アルミニウムの
板材9を収納したドラム缶である。画像8Aが鉄の板材
8から得た透視画像である。画像9Aがアルミニウムの
板材9から得た透視画像である。この画像以外の画像は
ドラム缶そのものの透視画像である。図9に示す如き透
視画像は管電圧毎に得られる。そこで、各ブロックの中
心位置を評価点に選ぶ。25ブロックであるから、評価
点の数は25点となる。図10(a)〜(e)は図9に
示した透視画像について、1水平方向の中心点上での画
素値(階調値)の移り変わりを示す。(a)が第1の水
平方向行A−A′(b)が第2の水平方向行B−B′、
…、(e)が第5の水平方向行E−E′である。階調値
は、0〜1023をとるものとした。またドラム缶によ
る減衰はないものとした。(a)の第2の水平方向行A
−A′の5個分のブロックの中心位置をP21、P22
…、P25とすると、P21、P25の階調値は1025、P
22の階調値はd1、P23の階調値d2、P24の階調値d3
となる。d1>d3>d2の関係にある。5個の位置P21
〜P25のそれぞれの評価点として、各評価点毎に係数
a、b、cを求め、図8の基準係数a0、b0、c0との
間での同一又は近似するものがあるか否かチェックす
る。
【0023】(1)、位置P21、P25については階調値
が1023(他の管電圧でも階調値が1023となるは
ず)である故に、係数a、b、cを求めることなく、ド
ラム缶による階調値と判断し、X線減衰する材料は、そ
の位置の透視方向から見たドラム缶空間上にはないと判
定する。 (2)、位置P22については、各管電圧について得た階
調値から係数a、b、cを求める。位置P22にはアルミ
ニウム材9の画像9Aがある故に、同一又は近い厚みの
基準データがあるとすれば、図8のテーブル上では同一
又は近い係数a0、b0、c0があるはずであり、該当す
る材料はであると判定する。 (3)、位置P23は、材9と鉄材8とが重なり合った映
像位置であり、図8のテーブル上では同一又は近い係数
0、b0、c0は存在しない。従って、判定不能とな
る。 (4)、位置P24は、鉄材8の画像8Aである故に同一
又は近い厚みの鉄の基準データがあるとすれば、図8の
テーブル上では同一又は近い係数a0、b0、c0がある
はずであり、該当する材料は鉄であると判定する。尚、
(3)での判定不能をなくすためには、異なる材料相互
の重ね合わせの基準データ、係数a0、b0、c0を事前
に求めておけばよい。または、全評価点についての判定
結果から、判定不能の評価点についてはその周囲の判定
結果から重ね合わせがあると推定するやり方をとっても
よい。
【0024】以上は、B−B′の例であるが、他の水平
行についても同様の処理を行い、全25個の評価点につ
いて判定結果を得る。かかる25個の評価点での判定結
果をデータ化したのが図11である。缶、アルミニウ
ム、鉄及び判定不能の3つの結果があるのがわかる。勿
論、判定不能な評価点についても、上述の如く基準デー
タ、係数があれば鉄とアルミニウムとの重ね合わせのも
のであると判定できる。かかる結果を図12に示す。
【0025】図13は、評価点P22、P24、P23の測定
関数(データ)を示す。こうした関数から、係数a、
b、cが、最小自乗法により求めることができることは
明らかであろう。
【0026】図14はX線透視撮影方法を示す。通常ド
ラム缶を回転させてX線透視撮影するがここでは便宜上
ドラム缶を固定させて、X線検出器3を回転させる。ド
ラム缶2の中にはたとえば鉄8、アルミニウム9、鉛1
0が放射性廃棄物7として保管されているものとする。
1を基準角度でのX線透視像、a2をa1の透視画像の
A−A´位置での階調値とする。b1、c1、d1は基準
角度よりそれぞれ45度、90度、135度の場合のX
線透視像を示し、b2、c2、d2はそれぞれA−A´位
置での階調値を示す。この例ではX線撮影方向を変える
ことによりすなわちドラム缶を回転させることにより、
X線透視画像が重なって表示されることがない場合があ
る。鉄等の放射性廃棄物をドラム缶に収納した場合のド
ラム缶の重量は200〜300kg以下であることが多
く、ドラム缶の中には隙間が多い。従ってX線の透視撮
影角度によっては放射性廃棄物が単体で透視でき、材質
の識別が容易にできる。また、材質以外に形状や収納状
態までも併せて識別可能である。
【0027】尚、図5では、FeやCu等の元素そのも
のの材質の例としたが、FeやCuを含む化合物や混合
物をテスト部材として採用できることは容易に理解でき
よう。また、図5の如きデータ、関数、係数は、データ
ベース化しておくことで、容易に比較が可能であること
も理解できよう。また、放射性廃棄物以外に、廃棄しな
い放射性物質や一般的な産業廃棄物などでの収納物識別
にも利用できる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、放
射性廃棄物容器内容物の識別が容易にできるので、取除
きたい物質が大量にあるか否か判定でき、放射性廃棄物
容器ををそのまま保管するか、開放し、所定の物質のみ
取り出すか、あるいは放射性廃棄物容器をそのまま溶融
処理するか判定が可能となり、放射性廃棄物容器の開
放、内容物の分別作業工数が減り、作業員の被曝が低減
できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による放射性廃棄物容器内容物識別系の
一実施の形態を示す図である。
【図2】X線発生器とX線検出器及びX線の形状の一例
を示す図である。
【図3】X線検査例を示す図である。
【図4】画像処理装置5内の処理フローチャート図であ
る。
【図5】材質によるX線吸収の違いを示した図である。
【図6】テストピ−スの配置例図である。
【図7】図1で用いるテストピ−スの基準関数を示した
図である。
【図8】テストピ−スのテ−ブルを示した図である。
【図9】X線透視画像例を示した図である。
【図10】図6の透視画像の一部の階調値関数分布図を
示す。
【図11】判定結果例図である。
【図12】他の判定結果例図である。
【図13】測定曲線例図である。
【図14】X線透視撮影方法を示した図である。
【符号の説明】
1 X線発生器 2 ドラム缶 3 X線検出器 4 テストピ−ス 5 画像処理装置 6 ドラム缶回転駆動装置 7 放射性廃棄物 8 鉄 9 アルミニウム 10 鉛 11 台座

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のテスト部材につき、材質名、管電
    圧をパラメータとする複数のX線透視画像基準階調値又
    はその関数を求めておき、被測定対象となる放射性廃棄
    物収納容器に対して管電圧を変更してX線を照射して収
    納廃棄物のX線透視画像階調値又はその関数を検出し、
    この検出階調値又はその関数と上記複数の基準階調値又
    はその関数とを比較することで収納廃棄物の材質及び又
    は形状及び又は収納状態を識別するものとした識別方
    法。
  2. 【請求項2】 複数のテスト部材につき材質名、管電圧
    をパラメータとする複数のX線透視画像基準階調値関数
    の係数(以下基準係数と呼ぶ)を求めておき、被測定対
    象となる放射性廃棄物収納容器に対して管電圧を変更し
    てX線を照射して収納廃棄物のX線透視画像階調値の関
    数の係数を検出し、この検出係数と上記複数の基準係数
    とを比較することで収納廃棄物の材質及び又は形状及び
    又は収納状態を識別するものとした容器内放射性廃棄物
    識別方法。
  3. 【請求項3】 上記材質名とは、部材の材質名の他に重
    なり合う部材相互の複数材質名を含むものとした請求項
    1又は2の収納物識別方法。
  4. 【請求項4】 上記検出は、収納廃棄物のX線透視画像
    上の特定の複数の評価点で行うものとした請求項1〜3
    のいずれかの収納物識別方法。
  5. 【請求項5】 上記評価点は、収納廃棄物のX線透視画
    像を縦、横規則的にブロック分けした場合での各ブロッ
    ク内の中心点等の1点とする請求項4の収納物識別方
    法。
  6. 【請求項6】 複数のテスト部材につき、材質名、管電
    圧をパラメータとする複数のX線透視画像基準階調値
    (又はその関数又は関数の係数)を登録したデータテー
    ブルと、 放射性廃棄物収納容器の周囲に対向して設置したX線発
    生器とX線検出器とより成るX線検出系と、 X線検出器からの透過X線の階調値データを入力し、該
    階調値データ(又はこのデータの関数又は関数の係数)
    と、上記データテーブルの複数の基準階調値(又は関数
    又は関数の係数)とを比較して、収納廃棄物の材質及び
    又は形状及び又は収納状態を識別する画像処理装置と、 を含む容器内放射性廃棄物識別装置。
  7. 【請求項7】 複数のテスト部材につき、材質名、管電
    圧をパラメータとする複数のX線透視画像基準階調値
    (又はその関数又は関数の係数)を登録したデータテー
    ブルと、 放射性廃棄物収納容器の周囲に対向して設置したX線発
    生器とX線検出器とより成るX線検出系と、 上記収納容器又はX線検出系(又は、この検出系の中の
    X線発生器又はX線検出器の一方)の少なくともいずれ
    か一方を、回転及び又は並進駆動する駆動手段と、 X線検出器からの透過X線の階調値データを入力し、該
    階調値データ(又はこのデータの関数又は関数の係数)
    と、上記データテーブルの複数の基準階調値(又は関数
    又は関数の係数)とを比較して、収納廃棄物の材質及び
    又は形状及び又は収納状態を識別する画像処理装置と、 を含む容器内放射性廃棄物識別装置。
  8. 【請求項8】 上記画像処理装置での比較は、収納物の
    X線透視画像上の特定の複数の評価点で行うものとした
    請求項6又は7の容器内放射性廃棄物識別装置。
  9. 【請求項9】 上記評価点は、収納廃棄物のX線透視画
    像を縦・横規則的にブロック分けした場合での各ブロッ
    ク内の中心点等の1点とする請求項8の容器内放射性廃
    棄物識別装置。
  10. 【請求項10】 上記テスト部材は、鉛又はアルミニウ
    ムを含むものとし、画像処理装置にあっては、放射性廃
    棄物として鉛又はアルミニウムが含まれているか否かを
    識別することとした請求項6〜9のいずれかの容器内放
    射性廃棄物識別装置。
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