JPH10318215A - 流体抵抗の低減方法並びに液体輸送管及び船 - Google Patents

流体抵抗の低減方法並びに液体輸送管及び船

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JPH10318215A
JPH10318215A JP9125833A JP12583397A JPH10318215A JP H10318215 A JPH10318215 A JP H10318215A JP 9125833 A JP9125833 A JP 9125833A JP 12583397 A JP12583397 A JP 12583397A JP H10318215 A JPH10318215 A JP H10318215A
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gas
water
layer
permeable member
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JP9125833A
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English (en)
Inventor
Kenichi Kawashima
憲一 川島
Yutaka Ito
伊藤  豊
Saburo Shoji
三良 庄司
Hiroshi Sasaki
佐々木  洋
Akio Nishikawa
昭夫 西川
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パイプラインや船などの構造体と液体との間
に発生する摩擦抵抗を低減する。 【解決手段】 構造体1の壁に空気透過性部材3と空気
透過性を有し且つ撥水性を有する撥水性部材4を設け、
撥水性部材4を液体に接するようにして、構造体1の壁
側から空気を供給することによって、撥水部材4と液体
との間に定常的に空気層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水や油等を輸送す
るパイプラインの流体抵抗を低減したり、船底と水との
間の流体抵抗を低減するなど、面と流体との間の損失動
力を低減する方法、並びにその方法を適用して損失動力
を低減した液体輸送管及び船体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水や油を輸送するパイプラインに
於いて、管路の流体抵抗を低減する方法としては、管路
の表面を可能な限り平滑にする、ピッチ等のように粘度
が高い流体の管路では予め被輸送物の温度を高めて粘度
を下げた状態としたり、管路の外表面部にヒータを設け
て管路と接する部分のみの被輸送物の粘度を下げる等の
方法があった。
【0003】また、船底と水との流体抵抗を低減させる
方法としては、船底に貝類が付着しないように特殊な塗
料を塗布したり、ホバークラフト等に代表されるよう
に、空気圧で船を水面から浮上させたり、特開平6−8
7487号公報に開示されるように、船底に空気を溜め
るポケットを設け、ここに外部から空気を送り込むこと
によって、船底と水との抵抗を低減させるものがあっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記した表面
を平滑にしたり、被輸送物の温度を上げる方法は、設備
上の限界があったり(特に、管路の表面研削)、エネル
ギーの面での損失が大きい(加熱による粘度低減)と言
った欠点がある。また、特殊な塗料を使用したり、空気
浮上させる方法では、補修費用が嵩んだり、公害問題が
発生したり、大容量の空気供給装置が必要であると言っ
た欠点があった。
【0005】本発明は、これら従来技術の欠点に鑑み、
少ないエネルギーで効果的に流体抵抗を低減する方法を
提供することを目的とするものである。即ち、管路の内
壁あるいは船壁等の壁面とこれに接触する流体との間に
発生する摩擦抵抗を可能な限り小さいエネルギーで最小
限に抑える方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、基本的には管
路の内壁あるいは船底等の壁面を撥水性表面あるいは撥
油性表面とし、その表面と流体との間に薄い気体の層を
形成することによって、両者の間に生ずる摩擦抵抗を低
減するものである。例えば、壁面に1μm以下のサイズ
の凹凸を設け、更に前記凹凸表面に撥水性あるいは撥油
性を呈する表面処理膜を形成し、流体と接触する面とは
反対側から該処理膜を透過するように空気に代表される
気体を供給するようにする。
【0007】その際、流体との接触面を撥水性表面ある
いは撥油性表面としても、その表面上の気体層が消失す
ると摩擦抵抗低減の効果がなくなるため、撥水性表面上
あるいは撥油性表面上に常に空気層が形成されているよ
うにする。そのために、撥水性表面あるいは撥油性表面
を空気透過性とし、その表面全体から流体側に気体を透
過させて供給するようにした。
【0008】なお、本明細書では、「はっ水性のメカニ
ズムとその応用」(「工業材料」1996年7月号、V
ol.44、No.8)に記載されているように、水滴の
接触角で示すと90°を越える表面を「撥水性」表面と
いい、同様に、油滴との接触角が90°以上の表面を
「撥油性」表面という。但し、前記水滴あるいは油滴の
接触角は、夫々の流体と撥水性表面、撥油性表面との間
に形成させる気体層と同一の気体雰囲気で測定した値で
ある。
【0009】すなわち、本発明は、構造体と液体とが相
対的に運動する系の流体抵抗を低減する方法において、
液体と接触する前記構造体の壁部の少なくとも一部を液
体との接触角が90゜以上である表面を備える通気性部
材で構成し、通気性部材の表面全体から気体を透過させ
て通気性部材と流体との間に気体層を形成することを特
徴とする。
【0010】通気性部材は少なくとも表面層にポリテト
ラフルオロエチレンを含んだものとすることができる。
また、通気性部材は、少なくとも表面層にポリテトラフ
ルオロエチレンを含み、孔径が0.2μm以下の細孔を
全面に有するものとすることができる。細孔の孔径を
0.2μm以下とすると、通気性部材は液体を通さず気
体のみを透過させる。通気性部材は、燒結金属層と、そ
の上に形成したポリテトラフルオロエチレンを含む表面
層とを備えるものとしてもよい。
【0011】通気性部材を透過する気体の温度を液体の
温度より高くすると、流体抵抗の低減効果を更に高める
ことができる。また、気体は空気とすることができる。
本発明による流体抵抗の低減方法は、液体輸送管あるい
は船に好適に適用することができる。また、本発明によ
る液体を輸送する液体輸送管は、液体との接触角が90
゜以上である表面を有する通気性部材を少なくとも一部
に備える内壁と、通気性部材の裏面に気体を供給する手
段とを備え、通気性部材の表面全体から気体を透過させ
て通気性部材と流体との間に気体層を形成する機能を有
することを特徴とする。
【0012】本発明による液体輸送管の好適な例では、
外壁を構成する外側環状部材と、液体との接触角が90
゜以上である内面と、気体供給溝が設けられた外面とを
有し、外側環状部材の内側に挿入された多孔性のインナ
ーチューブと、外側環状部材を貫通してインナーチュー
ブの気体供給溝に気体を供給する気体供給口とを備え、
気体供給溝は気体供給口に接続した環状溝と、一端が環
状溝に接続し他端が閉じるとともに相互に交差した複数
のクロス溝とからなり、気体供給管から供給された気体
は環状溝からクロス溝に入り、インナーチューブを厚み
方向に透過して管の内側に供給されることを特徴とす
る。
【0013】前記インナーチューブは焼結金属製とする
ことができる。また、管の内側に供給される気体を管内
を流れる流体の平均温度より高温になるように加熱する
ための加熱手段を設けることができる。また、本発明に
よる船は、水と接触する船底及び/又は側壁の少なくと
も一部を水との接触角が90゜以上である表面を有する
通気性部材で覆い、通気性部材の裏面に気体を供給し、
通気性部材の表面全体から気体を透過させて通気性部材
と水との間に気体層を形成する機能を有することを特徴
とする。
【0014】このとき、通気性部材の裏面の気体流通部
を垂直方向に複数の区画に分割し、各区画に独立して気
体を供給するのが好ましい。また、通気部材の裏面に供
給される気体を水の温度より高温になるように加熱する
ための加熱手段を設けることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。最初に、本発明を液体輸送管に適
用した実施の形態について説明する。図1は発電プラン
ト、化学プラントあるいは上下水道などの流体輸送系の
管路の断面を示したものである。ステンレス管、鋼管、
鋳鉄管、ダクタイル鋳鉄管等の鉄系パイプ、銅管、アル
ミニウム管等の非鉄金属系パイプあるいはポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂系パイ
プなどの管路1の内側に、インナーチューブ2を設けて
ある。図2は、図1の断面の一部(A部)拡大した図で
ある。図2に示されているように、インナーチューブ2
は空気透過層3とその内面側に空気透過性を有し且つ撥
水性を有する撥水層4から構成されている。
【0016】図3は、図2の管路内表面近傍(B部)を
更に拡大した図である。図3に示されているように、空
気透過層3は例えば充填密度が低い焼結金属、金属繊維
を結合剤を介して焼き固めたもの、あるいは有機材料の
繊維を結合剤を介して熱処理することによって固めたも
のであり、空気を容易に透過する性質を有し、かつ、あ
る程度の強度を有する構造材料からなる。
【0017】図3には、充填密度の小さ空気透過層3を
焼結金属で構成した例を示す。図中の大きい丸印5は焼
結金属の粒子である。撥水層4には、最低限、空気透過
性と表面に撥水性が備わっており、PTFE(ポリテト
ラフルオロエチレン)製の濾過用フィルタ6、例えばア
ドバンテック東洋株式会社製のPTFEタイプ・メンブ
ラン・フィルタ(品名型番:T202Aはフィルタ孔径
0.2μm、T010Aは孔径0.1μm)が好適であ
る。このようなフィルム6をエポキシ系接着剤7で空気
透過層3の管内表面側に貼り付けてインナーチューブ2
を得る。
【0018】一方、インナーチューブ2の外表面には、
図2のインナーチューブ2を管路の外面側から見た図
(C矢視図)である図4が示すように、空気を流すため
の空気分散クロス溝8(以下、単にクロス溝と称す
る。)が設けてある。図4は円筒状のチューブを平面に
展開した状態を示している。ここでは、空気透過層3に
焼結金属材料を使用したときに好適な空気供給溝の形状
を示す。
【0019】即ち、空気を均一に管内に供給するにはま
ず、管路の円周方向に沿った空気供給量が均一であるこ
とが要求される。このためにはクロス溝8を可能な限り
緻密に設けるのがよい。ここでは、管の軸線に対して両
方向に45°となるようにクロス溝8を設けてある。ま
た、空気分散溝8のピッチは5mm、溝形状は溝幅2.
5mmの正三角形である。溝形状はここで述べた例に限
定されるものではないが、空気が下流へ行っても円周方
向の圧力分布が生じないようにするためには隣り合った
溝を連通するのが良く、この考え方に従えば、図4に示
すようにクロス溝とするのが好適である。焼結金属でイ
ンナーチューブ2を成形する場合には、クロス溝8は金
型で成形可能であり、溝の形状は任意に成形できるとい
った利点がある。
【0020】図5及び図6に、管1とインナーチューブ
2との寸法関係を示す。図5は、図4と同様にインナー
チューブ2を平面に展開した図である。管路1の内径を
2とすると、クロス溝8を設けた面の幅はπD2であ
る。インナーチューブ2の厚さをTとすると、撥水面側
の幅はπ(D2−2・T)である(図示せず)。管路の
始点部分には通常フランジ13やねじ等の接続機構部が
設けられる。インナーチューブ2の始点側端面9は、管
の端面と略一致するように設けられる。ここから長さL
1のシール部10を設け、その後流には幅L3の空気供給
溝11とクロス溝8が設けてある。空気供給溝11には
管1の外部から空気が供給できる手段12が設けてある
が、その空気供給手段12については後述する。
【0021】このようにして、管1の外部から供給され
た空気を、空気供給溝11からクロス溝8を経て僅かず
つ管内に吹き込むようにしてある。一方、インナーチュ
ーブ2の終端部の構造は、図7に示したように、同部か
ら空気が被輸送流体中あるいは大気中(管路の終端部が
大気開放の場合)に直接放出しないように、クロス溝8
を閉鎖するシール部14を有している。
【0022】このように構成された管路では、以下に述
べるような流体抵抗低減効果がある。直管路を流れる流
体の損失動力WLは一般に、次の〔数1〕で表される
(以下に述べる式は、「水力学および水力機械」工学図
書株式会社(昭和42年3月)を参考にした)。
【0023】
【数1】WL=γQHL/102(kW) ここに、 HL:管路内の損失水頭=f・(L/D)・v2/2g
(m) D:管の内側直径(m) Q:流量(m3/s) L:管の長さ(m) f:管と流体との摩擦係数 g:重力加速度(9.8m/s2) v:被輸送流体の平均流速(m/s) γ:流体の比重量=密度(ρ)×重力加速度(g)(k
g/m3) 輸送装置の設計条件等により、管路の寸法が決定される
と、上記輸送系での損失動力の大きさを決定するのは摩
擦係数のみである。下記〔数2〕で計算されるレイノル
ズ数Reが2300以下は層流域、これ以上を乱流域と
呼び、流れの形態が全く異なる。
【0024】
【数2】Re=v・D/ν ここに、 D:管路の直径(m) v:流速(m/s) ν:流体の動粘性係数(m2/s) 産業用として液体を輸送する管路では、コストの面から
層流域で使用される例はなく、殆どの場合乱流域で使用
される。20℃の水の場合、ν=1.004×10-62
/sである。
【0025】管路の内面と水との間に空気層を設ける場
合、輸送する水の量を減少させないためには、空気層を
可能な限り薄くする必要がある。被輸送流体の流速分布
を一様とし、前記と同様に空気層内の境界層を乱流境界
層とすると、境界層の流速分布は1/7乗則が成り立つ
ので、被輸送流体に作用するFLは下記の〔数3〕で示
される。
【0026】
【数3】FL=τ・π・D・L(kg) ここに、 D:管路の直径(m) L:管路の長さ(m) π:円周率 τ:〔数4〕で示される剪断応力(kg/m2
【0027】
【数4】 ここに、 u:境界層内の速度分布=v(y/δ)1/7(m/s) v:被輸送流体の平均流底(m/s) δ:境界層の厚さ(m) μ:粘性係数(kg・s/m2) したがって、被輸送流体に作用する抵抗を動力に換算す
ると、損失動力WAとなり、下記〔数5〕で与えられ
る。
【0028】
【数5】WA=FL・v/102 =μ・π・D・L・v/(δ・7・102)(kW) ここで、〔数1〕を用いて、例えば直径(D)0.5
m、長さ(L)100mの管路を流量(Q)1m3/s
で20℃の水を輸送する場合の管路の損失動力を計算す
る。管路の表面が滑らかな場合、〔数2〕で計算される
Reが3000以上100000以下のとき、ブラジウ
スの実験式〔数6〕から管路の摩擦係数f0を求めるこ
とができる。しかし、実際には管路の表面は理想的に滑
らかな状態ではないので、補正が必要である。新しい鋳
鉄管の摩擦係数fは管表面の絶対粗さから実験的に求め
られる修正粗さkを用いて、下記の〔数7〕から得られ
る。但し、Dの単位はcmである。
【0029】
【数6】f0=0.316/Re1/4
【0030】
【数7】f=0.0096+5.7(k/D)1/2+(2.
88/Re)1/2 滑らかな鋳鉄管では、修正粗度kは(100〜200)
×10−6である。ここでは、k=150×10-6
し、20℃の水の密度(ρ)を101.8(kg・s2
4)、重力加速度(g)を9.8(m/s2)、動粘性
係数(ν)を1.004×10-6(m2/s)として計算
した。
【0031】先ず、管路内の水の平均流速(v)は、v
=1・(π・D2)/4=5.093(m/s)、レイノズ
ル数(Re)は、Re=v・D/ν=5.093×0.5
/1.004×10-5=2.54×106である。管路の
摩擦係数は実験的に〔数7〕から求められ、f=0.0
2054である。管路の損失水頭(HL)及び管路の損
失動力(WL)は〔数1〕より、 HL=f・(L/D)v2/2・g =0.02054×(100/0.5)×5.0932
(2×9.8) =5.437(m) WL=ρ・g・Q・HL/102=101.8×9.8×1×
5.437/102 =53.2(kW) 一方、前記と同一の条件で、管の内壁面に20℃の空気
の層を設けた場合、空気の層の厚さ(δ)を0.039
μm(0.039×10-6m)、粘性係数(μ)を1.8
44×10-6(kg・s/m2)とすると、損失動力(W
A)は〔数5〕より、 WA=1.844×10-6×3.14×0.5×100×
5.093/(0.039×10-6×7×102)=5
3.0(kW) であり、WLとWAとは略等しい。従って、空気が被輸送
流体に溶解しないとすると、管路の入口部分での空気の
供給量(Qa)は次の〔数8〕で求められる。
【0032】
【数8】 ここに、R=D/2である。
【0033】この空気量を発生させるに必要な空気圧縮
機の断熱圧縮動力(W01)は、Qaと管路入口での水頭
(HL)から計算される空気圧縮機出口圧力Pd(kg
/cm2abs.)等を用いて、次の〔数9〕から計算さ
れる(「機械工学便覧」日本機械学会監修を参照。)
【0034】
【数9】W01=2.22〔κ/(κ−1)〕Ps・V・
〔(Pd/Ps)α−1〕×0.7355(kW) ここに、 Ps:吸込み圧力(kg/cm2abs.) Pd:吐出し圧力(kg/cm2abs.) V:吐出し自由空気量(吐出し空気量Qaを吸込み空気
量に換算した値)=Qa/(Ps/Pd)1/m×60(m
3/min) α:(κ−1)/κ κ:比熱比(空気の場合、ポリトロープ指数mに等し
く、κ=m=1.3) この例の場合、Pd=1.54kg/cm2abs.、P
s=1.0kg/cm2abs.、Qa=0.496×10
-63/sであるから、 V=Qa/(Ps/Pd)1/m×60 =41.56×10-6(Nm3/min) W01=2.991×10-4(kW) であり、損失動力に比較して極く僅かである。しかし、
空気は被輸送流体に溶解したり混合するので、管内壁に
空気層を定常的に形成するためには、管内壁全面から空
気層内の空気の平均流速の空気を供給する必要がある。
仮に100倍の空気量が必要になったとすると、空気圧
縮機の断熱圧縮動力も100倍になるが、それでも損失
動力の0.0042%である。ただし、〔数9〕中のP
dは管路内の被輸送流体の圧力、空気がインナーチュー
ブ2を通過するときの損失圧力、空気を液体側に供給す
るのに必要な差圧Δp、空気圧縮機から空気供給手段ま
での配管系の損失圧力の和である。したがって、空気圧
縮機の動力を低減するには、例えば空気管路の直径を大
きくする、空気供給系に設置する弁には損失圧力の小さ
いものを使用することが重要である。また、インナーチ
ューブの空気流動損失は焼結材料の充填密度が大きくな
るに従って増加するので、構造的な強度を保ち、可能な
限り充填密度が小さいものを使用することが重要であ
る。
【0035】管路の内壁に厚さδの空気層を設けた場合
の被輸送流体の損失動力WL、空気層δを形成するに必
要な空気量Qa、Qaを供給するための空気圧縮機の断熱
圧縮動力WaLを表1に実施例A〜Gとして示す。実施例
A〜Gにおける撥水処理は、液体との接触角が150゜
以上である超撥水処理とした。なお、空気の供給量が増
加すると、被輸送流体の流量が減少する(流量を一定値
に保とうとすると、管路の圧力損失が増加する)が、予
め管路の直径を大きくしておくことによってこの問題は
回避できる。そこで、表1では管路の直径(D)を0.
5m、長さ(L)を100m、被輸送流体の体積流量
(Q)を1m3/s、供給する空気の温度を20℃とし
て計算した。
【0036】
【表1】 この結果、管路の損失動力は空気層の厚さδの逆数に比
例して低下する。また、空気圧縮機の断熱圧縮動力は、
管路の損失動力ほどではないが、δの増加と共に低下す
ることが分かる。また、表1には比較例として、水のみ
を流した場合(δ=0)の管路の損失動力WL1の計算値
を示したが、空気層の厚さδが0.03μmの場合のW
L1は比較例より大きな値を示している。これは計算の仮
定を次のように設定したためである。即ち、被輸送流体
を剛体とし、しかも空気層δ内でのみ速度勾配があると
仮定したので、δが非常に小さい場合には、空気層での
速度勾配が大きくなり、摩擦損失が大きくなった。実際
は、空気層δと被輸送流体の管壁面側に速度境界層が形
成されるので、空気層δが薄くなってもδが0の場合に
比べて損失動力が大きくなることはない。いずれにして
も、δが0.039μm以下では計算上からも損失動力
低減効果は期待できない。
【0037】縮小率1/50のモデル実験から推算した
損失動力の計算値を実測値WL2として表1に併記した。
比較例aに示す空気層を持たず(δ=0)、且つ撥水処
理無しの場合、実測の損失動力WL3は計算値WL1を上回
っている。また、比較例b撥水処理有りでも実測値WL2
が計算WL1を上回っている。実験結果では比較例b(撥
水処理有)が比較例a(処理無し)に比べて僅かに損失
動力が小さい値を示しているが、これはデータのばらつ
きであり、両者に有位差は無い。
【0038】次に、表1に示した実施例A〜Gにおい
て、空気層の厚さδの変化による計算値(WL1)と実測
値(WL2)とを比較すると、何れのδでも実測値
(WL2)の方が大きく、しかも、δが0.1μmより小
さくなると、比較例cの値に近接することが分かる。こ
れは、実験では空気を管路の入口からのみ供給したた
め、流れの下流では空気が水に溶解したり巻き込まれ
て、管路の内壁に空気層が形成されなかったためと考え
られる(これを回避する方法については図9以下で述べ
る)。このことは、供給空気量が少ない(δが小さい)
ほどこの傾向が顕著であることからも裏付けられる。
【0039】一方、各δについて、管表面に撥水処理し
た時の実測値損失動力WL2と処理無しの時の実測値損失
動力WL3を比較すると、撥水処理した場合にはδの増加
即ち、供給空気量の増加に伴って損失動力が低減する。
これに対して、撥水処理無しの場合には、大量に空気を
供給しても損失動力が低減しない。これは管路内表面に
撥水処理を施したことによって生じた現象であり、これ
が本発明の効果である。
【0040】以下に、この現象が生ずる理由を述べる。
連続した空孔を有する空気透過層3を通して空気を水中
に吹き出すと、その層表面に撥水処理層4がある場合に
は、その表面には本来水をはじく性質があるので、空気
は管路の撥水表面と水との間に空気層を形成する。従っ
て、流路損失が低下する。しかし、更に空気が供給さ
れ、空気層がある厚さ以上になると、水の流れに攪乱さ
れて、空気層は管路表面から剥ぎ取られ、気泡となって
水と共に流れ去る。その気泡の一部は再び撥水表面と水
との間に空気層を形成することがあるかも知れないが、
表1でWL2とWL3とを比べれば分かるように、空気層δ
が0.05μmより小さくなるような空気供給量ではそ
の効果は小さい。なお、空気層の厚さが0.05μm以
下になると損失動力低減効果が減少する理由の一つとし
て、空気層厚さが管路の表面粗さに近づくこともあげら
れる。
【0041】これに対して、表面が撥水処理されていな
い場合には、管路表面には水をはじく性質がないため、
管路の壁を透過して表面に供給された空気は管路の表面
で空気層にならず、気泡となって水の中に巻き込まれ
る。この空気は水と共に流れるだけで、管路の表面に空
気層を形成することはない。したがって、供給する空気
量を増加しても損失動力を低減する効果は発生しない。
【0042】以上述べたように、管路の入口部のみから
空気を供給する方法では撥水処理を施しても損失動力W
L2が計算値WL1のように低減しない。これは、前述した
ように空気層がある厚さ以上になると、管路の表面から
剥離し、再度管路の表面で空気層にはなりにくいためで
ある。
【0043】また、撥水処理を施すだけでは損失動力を
低減する能力が維持できないことを図8で示す。実験装
置は、水槽の側面に撥水処理を施した管路Aを脱着可能
なように接続し、管路の出口に流量制御弁とストップバ
ルブを設けると共に、撥水管路出入口部にはこの間の圧
力差を測定するための差圧計を設ける。実験は、先ず管
Aと同一寸法で、撥水処理を施していない管路Bを用い
て、管路端部のバルブを開放して流量を測定し、流量制
御弁の設定値をこの流量にセットする。次に管路Aを設
置し、撥水管路内に水が満たされたことを確認後、スト
ップバルブを開放して流量を前記値一定に保ち、バルブ
を開放してからの時間に対する管路出入口の圧力差を記
録した。なお、水槽の水面の高さが常に一定となるよう
に給水した。水には予め空気をバブリングしたものを用
いたので、空気が飽和状態で溶解していると考えて良
い。
【0044】実験結果は図8に示すように、バルブ開放
からt0の間のみ差圧即ち、管路の損失圧力が小さい
が、t0時間経過後は急激に損失抵抗が増加し、t1時間
後には管路Bとほぼ同じ値になった。これは、通水当初
管路表面に形成されていた空気層が水の流れによって剥
離したためである。また、被輸送流体が凝縮水である場
合を想定して、80℃で1Torr、1時間真空脱気し
た水を用いて同様の実験を行った結果も図8に示した。
それによると、通水直後から損失圧力が増加し始め、約
1分後には撥水処理が無い場合と同じ損失圧力に到達し
た。これは、上記のように空気層が水によって剥離・流
下するのに加えて、空気が水に溶解することによって、
空気層を保つことのできる時間が極端に短縮されるため
である。したがって、凝縮水を輸送する管路では、前記
インナーチューブから供給する空気の量を飽和空気水に
比べて増加する必要がある。このように、被輸送流体の
種類及びその性質によって、システムの一部を変更する
必要が生ずる。
【0045】次に、本発明の改善案について述べる。本
実施例では管路の入口にのみ空気供給溝11を設置し
て、ここから空気を導入した。空気はクロス溝8を流
れ、下流に行くに従って静圧は低下する。一方、被輸送
流体も下流に行くに従って静圧は低下する。この時、流
れの方向の各位置での被輸送流体と空気との差圧が一定
でないと、場所によって供給される空気量に差を生じ、
以下に述べるような障害が発生する懸念がある。空気供
給溝11内の空気の静圧は被輸送流体の静圧より大きく
なるように設定するが、クロス溝8の流路面積が大きい
インナーチューブを使用すると、管路の下流に行っても
空気の静圧が低下しないため、被輸送流体との圧力差が
大きくなって、下流に行くに従って供給される空気量が
多くなる。この結果、供給する空気量が多い割には期待
した損失動力低減効果が得られないという現象が生ず
る。また、この時の空気供給量が圧縮機の能力を越える
と、管路入口で必要な差圧が得られず、管路の下流での
み空気が供給されるといった現象が生ずる。この様な現
象を回避するには、クロス溝8の流路面積を被輸送流体
の静圧に合致するように設計する必要がある。
【0046】以下に、上記空気供給方法の改善案を図9
及び図10を用いて説明する。本実施例では、空気の供
給手段12及び空気供給溝11を管路の流線方向に沿っ
て複数個設置したものである。以下、本実施例を具体的
に説明する。先ず、インナーチューブ2の展開図を図9
に示したが、外周面のクロス溝8が設けられた部分に空
気供給溝、クロス溝部、シール部とを1セットとして、
複数設けてある。同図では、管始点端面のシール部10
(幅L1)の下流側に空気供給溝11a、クロス溝部8
a、シール部10aを長さL2の1セットとし、更にそ
の下流には空気供給溝11b、クロス溝部8b、シール
部10b(図示せず)が同じく長さL2で設けてある。
これらの長さと管の長さLとの関係は、nを正数とし
て、次式で表される。
【0047】L=n・L2+L1 このように構成されたインナーチューブ2を管1の内面
に挿入したものが図10である。同図では空気供給手段
12bを第2番目の空気供給溝11bに合致するように
設置した状態を示している。このように、空気供給手段
12は空気供給溝11a,11b,…に対応して設置し
てある。
【0048】空気が飽和状態で溶解した自然水を対象に
してL2の長さを変えたときの損失動力WL2を図11に
示す。実験は、本実施例に成る管路系を構成し、一端か
ら被輸送流体(この場合は水)を供給する。空気供給溝
11a,11b,…に空気を供給するための空気供給手
段12とは管の軸対称位置に設けた管路壁の貫通穴から
ピトー管(静圧測定器)を挿入して被輸送流体の静圧を
測定する。この静圧をPpa,Ppb…とする。一方、各
々の空気供給溝11a,11b,…には、同溝内の圧力
測定手段と入口に空気流量調節手段(図示せず)を設置
した空気供給手段12a,12b,…とが設けてある。
そして、空気供給溝11a,11b,…内の空気の静圧
(Paa,Pab,…)が夫々Ppa,Ppb…よりΔpだ
け高くなるようにPaa,Pab,…を設定する。空気供
給量を増加するにはΔpを大きくした。
【0049】その結果、空気量が一定の場合、L2が或
る値より小さい領域では損失動力を小さくする効果が顕
著に現れる。これは、前述したように、インナーチュー
ブ2の内面に均一に空気層が形成されていることによ
る。L2がその値を超えると、空気層が形成されない領
域が現れて損失圧力は急激に大きくなり、最終的には本
発明の効果が殆ど無くなる。しかし、空気供給量を増加
する即ち、Δpを増加させると、空気層が形成されない
領域が減少して、損失圧力が低減する。L2を短くして
即ち、空気供給手段12を多数設けて空気量を少なくす
るか、あるいはその反対にL2を長くして空気量を多く
するかは設計上の問題である。目標とする省動力効果や
空気圧縮機動力等を考慮したランニングコスト、加工費
や空気供給手段の価格等のイニシャルコストを勘案して
2を決定すればよい。
【0050】なお、L2の長さは被輸送流体の物質や温
度等によって異なる。一例をあげると、空気が飽和状態
で溶解した自然水例えば、水力発電や海水を利用した冷
却水などの管路の場合にはL2は比較的長くても良い。
しかし、特開平6−159226号公報に開示された液
化天然ガス熱利用システムの飲料水供給ラインのように
凝縮水を輸送する管路の場合には、水に対する空気溶解
量が少ない。この場合には、図8に示したように、管路
外から供給した空気量は水に溶解してしまうので、L2
を短くする必要がある。また、空気を溶解しにくい物質
であっても、流速が速いなど、攪拌や巻き込み等によっ
て管内壁から空気が剥離され易い場合にもL2を短くす
る必要がある。
【0051】次に、空気供給手段12の構造を図12に
示す。空気供給手段はコネクタ14、チューブ15、こ
ま16、キャップ17から構成される。管1には、イン
ナーチューブ2の外周に設けられた空気供給溝11に連
通するように、ねじが切られた穴を設ける。コネクタ1
4には前記穴と同サイズのねじ18と軸中心穴19が設
けてある。穴19のキャップ側には先端からチューブ1
5の内側ガイド20を残して溝21が設けてある。ま
た、コネクタ14にはキャップ17をねじ止めするため
のねじ22が設けてある。キャップ17にはチューブ1
5を貫通する穴23とコネクタ14にねじ止めするため
のねじ22が設けてある。コネクタ14とキャップ17
には、こま16と面で接触するように、夫々切り欠き2
4、25が設けてある。こま16は中央にチューブ15
が隙間を持たずに貫通するような穴を有しており、算盤
玉の形状を呈する。
【0052】これらの部品で空気供給手段12を構成す
るには、先ず管1にコネクタ14をねじ込む。チューブ
15の一端から、キャップ17をねじ22が管1側に向
くように組み込む。次いで、こま16をチューブ15に
差し込む。この状態のチューブ15をコネクタ14のガ
イド20に沿って溝21に挿入する。その後、こま16
をコネクタ14の切り欠き24に当たるように設置し、
最後にキャップ17をねじ22でコネクタ14に固定す
る。チューブ15の他方の端は、直接あるいは管1内か
ら逆流した水を捕集・排水するためのトラップ、ストッ
プ弁あるいは空気供給溝11に供給する空気の圧力を制
御する制御弁あるいは空気供給手段12が複数個ある場
合には分配器を介して、空気圧縮機に接続される。
【0053】次に、インナーチューブ2の撥水層4の他
の実施例を図13を用いて説明する。空気透過層3は図
3の実施例と同様に焼結材料であるが、その表面には更
に微細でサイズが異なる2種類の粉末26、27を混練
して焼成してある。そしてその表面にフッ素系の界面活
性剤を塗布後熱処理することによって焼結金属表面に吸
着させ、撥水層4を形成したものである。撥水層の形成
方法としては、空気透過層の表面にPTFE(ポリテト
ラフルオロエチレン)の粉末を薄く塗って焼成してもよ
い。ただし、この撥水膜は水や低級アルコールなどのよ
うに分子サイズが小さい流体を透過してしまう。従っ
て、供給する空気圧を管内流体の圧力より常に高く、か
つ、空気源を運転停止しないような使用方法が必要であ
る。本実施例では、図3に示した撥水層に比べて、製造
が容易でありしかも、空気透過層3と撥水層4との接着
の必要がないといった利点がある。
【0054】なお、サイズの異なる粉末を使用して撥水
被膜は、例えばフィラーを2種以上分散して得られるフ
ラクタル次元が2.4以上の層と、その層表面に形成さ
れたパーフルオロポリオキシアルキル系化合物又はパー
フルオロポリオキシアルキレン系化合物からなる層とか
らなる撥水塗膜、あるいはフィラーを2種以上分散して
得られるフラクタル次元が2.4以上でありかつ表面倍
増因子の範囲が2.0以上である層と、その層表面に形
成されたパーフルオロポリオキシアルキル系化合物又は
パーフルオロポリオキシアルキレン系化合物からなる層
とからなる撥水塗膜とすることができる。
【0055】以上述べたように、本発明によれば、管路
の損失動力を低減できるといった効果がある。なお、原
油精製プラント等において、ピッチのように非常に高粘
度の物質を輸送する場合には、管路の外周にヒータを設
置して、管の内面と被輸送流体とが接触する部分のみを
加熱して粘度を低下させ、損失動力を低減させる方法が
提案されているが、これと本発明とを組み合わせること
によって更に損失動力を低減させることができる。上記
の実施例では空気のみについて説明してきたが、流体中
に供給する気体の種類は空気に限らず、窒素ガス、炭酸
ガスなどでも良い。
【0056】次に、本発明を船に適用した例について説
明する。図14はスクリュ推進式艇の船底を示す図、図
15はホバークラフトの側面図である。まず、図14に
示した高速艇は、船体28の後方に設置されたスクリュ
ー29で推進力を得るもので、船底には走行安定性を保
つための安定板30と、図示しない操縦室に設けられた
走行舵によって操作される舵31aが設けてある。
【0057】この形の船を少ない動力で高速走行させる
には、走行体と水との摩擦損失低減が必須である。本発
明は、既存の船底を撥水シート31で覆うことによっ
て、前記の目的を達成しようとするものである。即ち、
船体内に、図16に示すような駆動源32とプロペラ3
3とで構成される送風装置を設け、更に送風装置から排
出された空気を船底34に導く風路35を設けて、空気
を船底34と撥水シート31との間に導入する。
【0058】撥水シートは前記図3の撥水層4で説明し
たものを用いることができる。すなわち、撥水シートに
は空気透過性、撥水性、水不透過性が備わっていれば良
いから、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の
濾過用フィルタ例えば、アドバンテック東洋株式会社製
のPTFEタイプ・メンブラン・フィルタ(品質型番:
T020Aはフィルタ孔径0.2μm、T010Aは孔
径0.1μm)などが好適である。
【0059】このシートをファスナー等で船底を覆うよ
うに設置し、送風装置からシート内に空気を送り込む
と、空気がシートを透過してシートの撥水面と水との間
に空気層を形成する。したがって、この状態で走行すれ
ば、前記実施例で述べた管路の損失動力低減と同様に、
水との間の摩擦係数が低減するので、小さな動力でしか
も高速で走行することができる。
【0060】図15に示したホバークラフトは、走行体
の操縦席36の後方にファンダクト37が設けられ、フ
ァンダクトの内部にファン38が設けられている。ファ
ン38は図示しないエンジンによって駆動される。ファ
ンダクト38の後方には舵39が設けられ、操縦席に設
けられた図示しない走行舵によって操作される。走行体
の底部にはスカート40が設けられており、スカート4
0には図示しない通風路によってファンダクトからの排
気が導入され、スカート40の周縁から噴射することに
よって走行体を浮上させるようになっている。また、フ
ァンダクト38から排出された排気によって走行体が前
方へ推進するようになっている。
【0061】このようなホバークラフトは本質的には水
面に浮上して走行するが、多くの場合波頭や水面と船底
が接触する。本発明をホバークラフトに適用すると、こ
のような走行状態において、水と船底との摩擦力を低減
させて、高速走行を維持することができる。すなわち、
船底及びスカート40の水と接触する部分を前記実施例
と同様にシートで覆ったり、船底部を図1から図5に示
したように焼結材料と撥水性フィルムとを組み合わせた
構造とする。そして、船体浮上に使用する空気の一部を
船底(図1の管路部材1に相当する。)と空気透過層3
との間に導き、クロス溝(図4、5参照)を通して船底
全面からほぼ均等に空気を吹き出させる。こうすること
によって、水と船底との間の損失動力を低減できる。
【0062】本実施例のように、軽量であることを要求
される場合には、空気透過層に用いる焼結金属材料にア
ルミニウムを使用したり、繊維状アルミニウムを焼成し
たものや連続気泡の硬質ウレタンフォーム等を使用する
と良い。次に、本発明をタンカーの船体41に適応した
場合の例を図17〜図22を用いて説明する。ここで
は、本発明を満載喫水線より下位の船体部分、即ち両外
板と船底に採用した例を示す。タンカーの船体をある部
分(E−E断面)で切断したときの右舷側壁と船底の一
部分を図18に示す。船体の外板及び船底板42には高
張力鋼等の高強度材料が使用される。その外側に空気流
路となる空隙43を形成するためにスペーサを設けてあ
り、その外側に空気透過性を有し且つ水との界面が撥水
性を有する部材2を設けてある。
【0063】図18を用いて本実施例を詳細に説明す
る。本発明は満載喫水線より下位に採用されており、更
に最小喫水線より下位では常に本発明になる構造が採用
される。最小喫水線から満載喫水線までの間は、喫水線
の高さにほぼ対応するように本発明になる構造が採用し
てある。即ち、満載喫水線より上位の外板には端部部材
48が溶接49等により固定されている。材質は通常の
鋼板である。満載喫水線より下位で最小喫水線より上位
の部分には、この間の長さ(Ld)を整数(N)等分し
た位置(図18の実施例ではN=3)に船体の長さ方向
に延びるスペーサ44a〜44cが設けられている。こ
のスペーサ44には、図19に示すI型鋼を使用する
(以下、このスペーサを仕切スペーサと称する)。
【0064】一方、相隣れる仕切スペーサ間での部材2
の変形並びに仕切スペーサの強度を補うために、各仕切
スペーサの間にはそれぞれ2つの補強スペーサ45a
a,45ab;45ba,45bb;45ca,45c
bが設置してある。この補強スペーサ45はその構造を
図20に示すように、縦板部には複数の穴53を有する
I型鋼であり、横板部には後で延べるように、部材2を
ボルトで固定するためのねじ54が複数個設けてある。
I型鋼の縦板部に穴53を設けたことによって、空隙4
3は仕切スペーサ44によってのみその大きさや流路を
制限されるが、補強スペーサ45は空隙の大きさや流路
を制限しない。
【0065】また、仕切スペーサ44aより上部の空
隙、仕切スペーサ44aと44bとで仕切られた空隙、
仕切スペーサ44bと44cとで仕切られた空隙には夫
々れ空気を供給するための導管46a、46b、46c
が設けられており、各導管の入口には図示しない空気圧
縮機から各空隙へ供給する空気をオン・オフ制御するた
めの制御弁47a、47b、47cが設置されている。
【0066】また、図18には図示しないが、喫水線の
位置を計測するするためのセンサ(水位計)が設置され
ており、実際の喫水線と最小喫水線との水位の差Ldef
が0≦Ldef<Ld/3の場合は全ての制御弁47a〜
47cを「閉」とし、何れの空隙にも空気を供給しな
い。Ld/3≦Ldef<2×Ld/3の場合は制御弁4
7cのみ「開」とする。2×Ld/3≦Ldef<Ldの
場合は制御弁47bと47cを「開」として47aを
「閉」とし、Ldefが満載喫水の場合は全ての制御弁4
7a〜47cを「開」とする。このような制御をするこ
とによって、空隙に供給された空気が無駄に大気に漏れ
出すことによる空気圧縮機の動力損失を回避する。
【0067】最小喫水線以下の側壁及び船底部分には全
て図20に示した補強スペーサ45を用いてあり、この
部分の空隙は全て連通していても良い。しかし、20万
トンを越えるような大型のタンカーでは最小喫水線が1
0メートル近くになることがある。この場合に、船底部
分から部材2を通して空気を船外に吹き出すためには供
給する空気の圧力は1kg/cm2以上の高圧にしなけ
ればならない。一方、喫水線近傍では供給空気の圧力は
大気圧より僅かに高ければ空気を船外に吹き出せるか
ら、1kg/cm2もの空気圧をかけると、空隙43に
供給した空気の殆ど全ては喫水線近傍から船外に吹き出
てしまい、船底からは船外へ空気を吹き出すことができ
ない。
【0068】従って、この様に最小喫水線が10mにも
及ぶ場合には、空隙を高さ方向にM段に仕切って喫水線
に近い位置から遠い位置(船底)に向かって空隙に供給
する空気の圧力を高めていくことが必要である。そのた
めに、各々の空隙に空気を供給する導管入口に空隙内の
圧力を喫水線の高さに応じて制御する機能を有する分配
器61とオン・オフ制御弁47dとを介して空気圧縮機
と接続してある。
【0069】図18では、最小喫水線以下の空隙を2段
(M=2)に分けた場合の例を示している。即ち、船底
と最小喫水線との中間位置(Lm/2の位置)に仕切ス
ペーサ44dを設け、その仕切スペーサ44dとその上
部位置の仕切スペーサ44cとの間の空隙には空気供給
用導管46dが連通している。また、該空隙には複数の
補強スペーサ45を設置することにより補強している。
また、仕切スペーサ44dより下位にあって、図18に
示した側壁とは反対側(左舷)にある仕切スペーサに至
る空隙には補強スペーサ45を用いることによって一つ
の空隙になっており、該空隙にも空気供給用の導管46
eが設置してある。
【0070】図18では船底の空隙に空気を供給する導
管46eの設置位置が右舷側に偏っているが、これは図
面の都合上この位置に記載したものであって、実際には
右舷・左舷の中央位置に設置してある。巨大タンカーで
は船の全長が300mを越えるものがあるが、この様な
場合には空気供給用の導管44eを船底の幅並びに長さ
方向の中央位置に設けると、空気が船首部分に至る間に
圧力が低下し船首部分からは十分な空気を吹き出すこと
ができない、といった現象が生ずる。これを回避するに
は船底の幅方向中央位置であって且つ船の長さ方向に複
数の空気供給用導管を設置するのがよい。この場合に
は、空隙を仕切スペーサで仕切る必要はなく、前記複数
の導管から空隙内の圧力が喫水線の高さに応じた圧力に
なるように空気を供給すればよい。右舷及び左舷からの
空気吹き出しについてもこれと同様のことが生ずる。こ
の場合にも船底で述べたと同様に船の長さ方向に対して
複数の空気供給用導管を設置するのがよい。
【0071】図18の外板の一部(F部)の拡大図を図
21に、更に図21の一部(G部)の拡大図を図22に
示す。まず、図21を用いて空気透過性と撥水性を有す
る部材2、I型鋼、外板の固定方法について述べる。こ
こでは図18に示すように、空気透過性と撥水性を有す
る部材2の上下方向の幅が仕切スペーサ3段分の間隔、
即ちLdに仕上がっている場合について説明する。図2
1に於いて、外板42に仕切スペーサ44c及び補強ス
ペーサ45daを所定の間隔で溶接60等によって固定
する。部材2に予め設けられたボルト穴56にボルト5
5を通し、ワッシャ58と共にねじ54にて補強スペー
サ45daに固定する。部材2に設けたボルト穴ザグリ
57は、走行中の水の抵抗を少なくする目的から、ボル
ト55の頭が空気透過性と撥水性を有する部材2の外表
面から飛び出さないような深さにしてある。
【0072】なお、走行中にボルト穴ザグリ57の内側
あるいはボルト55の頭の走行方向とは反対側に発生す
るキャビテーションによってボルト穴ザグリ部57が大
きくなったりボルトの頭が欠損するなどの現象を回避す
るため、部材2と補強スペーサとを固定した後でボルト
穴ザグリ部57が部材2の外表面と同じ面高さとなるよ
うに、ボルト穴ザグリ部57を樹脂などを用いて埋める
のがよい。
【0073】この様にして、隣り合った2枚の空気透過
性と撥水性を有する部材2を補強スペーサに固定する
と、仕切スペーサのI型鋼の部分で隣り合った2枚の空
気透過性と撥水性を有する部材2が突き合わさった状態
になる。ここで、部材2の上下方向端部には突き合わせ
溶接をし易くするための開先が設けてあり、しかも両部
材2の間は僅かに(10mm程度)隙間があくような長
さにしてある。この様な構造を施した部材2を夫々れ仕
切スペーサに溶接50する。
【0074】次に、図22を用いて、空気透過性と撥水
性を有する部材2の構造を述べる。部材2の構造は図3
で説明したものと同一とすることができる。空気透過層
3は、例えば充填密度が低い焼結金属、金属繊維を結合
剤を介して焼き固めたものであり、空気を容易に透過す
る性質と、ある程度の強度を有する構造材料である。こ
こでは、充填密度の小さい焼結金属の例を示す。図中の
大きい丸印5は焼結金属の粒子である。撥水層4には、
最低限空気透過性と表面に撥水性が備わっており、PT
FE(ポリテトラフルオロエチレン)製の濾過用フィル
タ6例えば、アドバンテック東洋株式会社製のPTFE
タイプ・メンブラン・フィルタ(品名型番:T020A
はフィルタ孔径0.2μm、T010Aは孔径0.1μ
m)が好適である。このようなフィルム6をエポキシ系
接着剤7で空気透過層3の外表面側に貼り付けて部材4
を得る。
【0075】船の喫水線より下位にこのような構成の空
気透過層、撥水層、空気供給手段とを設けた場合の船体
と水との流体抵抗を無次元化して図23に示す。走行中
に船が受ける抵抗は複雑で、風の抵抗、波から受ける抵
抗、造波抵抗、船体表面で発生する渦による抵抗、水と
船体との間に働く抵抗などがある。これらを合計して無
次元化した抵抗を図23中に曲線aで示した。これに対
して、水と船体との間に働く抵抗のみをある仮定の下に
計算すると、曲線bで示すように合計抵抗の約60%と
なる。
【0076】ここで、船体の外壁及び船底に本発明を適
応すると、曲線cより下の部分が低減し、水と船体との
間に働く摩擦抵抗は約70%小さくなる。この結果、従
来の全抵抗aに対する本発明による抵抗の低減率(a−
c)/aは船の速度が20km/hでは48%、40k
m/hでは42%である。従って、本発明によれば摩擦
抵抗を低減できるので、推進機の省力化が図れるのは勿
論、高速化が可能になるといった効果が得られる。ま
た、満載喫水線以下の場合には、その喫水線に応じて制
御弁47a、47b、47cを用いて空隙に送る空気を
制御し、且つ流量制御機能を有する分配器61によって
最小喫水線以下の空隙に供給する空気の圧力を制御する
ことによって、過剰な空気を吹き出すことがないので、
空気圧縮機の消費動力も最適値に制御できる。
【0077】ここではスクリュ推進式艇、ホバークラフ
ト、タンカーに本発明を適応した場合についてのみ説明
したが、内燃機関を動力源する船の応用例としてスポー
ツ用水上バイク、一般的な漁船、客船、玩具用船等ある
いはモータ駆動の玩具用船にも全く同様の構造を適応で
きる。また、湖沼等で使用する遊技用人力船に例えば自
転車用の空気ポンプを搭載して空気供給源とし、船の側
壁及び船底に図3に示すような構造を適用することによ
って本発明を実施できる。
【0078】その一例として、本発明を湖などで使用さ
れる遊覧用二人乗りの足こぎボートへ応用する例を図2
4を用いて説明する。図24は、ボートの駆動系と空気
供給手段のみを示している。ボートの乗員二名が夫々ペ
ダル61aと61bを踏むと、その動力はチェーン8
9、笠歯歯車70a、70bより船外に設置された推進
機(プロペラ)71a、71bに伝えられ、船は前に進
む。一方、ペダル61a、61bには夫々軸受62を介
して揺動ロッド63が取り付けてあり、ボール継ぎ手な
どの節65によりアーム64及びピストン66の往復運
動に変換される。ピストン66が往復運動して空気を吸
入、圧縮するシリンダ67には、船の側壁及び船底に設
置された空気透過性と撥水性とを兼ね備えた部材の内側
に空気を供給するための導管68が接続されている。
【0079】シリンダ67と導管68との接続部には、
図示しないがピストン66が吸入行程即ち同図の手前方
向に移動するときには導管とシリンダとの接続を断ち、
逆にピストンが圧縮行程ではシリンダと導管とを連通す
る弁が設けられている。また、ピストン66の外縁部に
は皮革など筒状に設けられ、ピストン66が吸入行程の
時には空気が前記筒状部材の外周とシリンダ67の内面
との隙間を通ってシリンダ内に供給され、圧縮行程では
前記筒状部材がシリンダ内部から外部への空気の漏れを
回避する。この機構を有する最も一般的な道具として
は、自転車用の空気ポンプ(空気入れ)がある。
【0080】このような機構によって加圧された空気を
図14、図16又は図18に示すような空気透過性と撥
水性とを有する部材2の内側(水とは反対側)に供給
し、この部材2の全面から空気を水側に吹き出すことに
よって、船と水との間の損失動力を低減することができ
る。
【0081】次に、撥水性を更に高める方法について説
明する。サイズの異なる2種類のSiO2フィラーを溶
媒、分散剤と共にエポキシ系バインダーに混合し、ガラ
ス基板に塗布後熱処理し、その上にフッ素系界面活性剤
を塗布して更に熱処理した撥水面を作成する。この撥水
面を用いて、撥水面の温度に対して水滴が超撥水性(こ
こでは、超撥水とは面上で水滴が転がり、その軌跡上に
微小水滴が全く残らない状態をいう)を示す温度を示し
たのが図25である。図中の45度の線より下の領域で
超撥水性を示す。すなわち、撥水面の温度が水滴の温度
より高い場合に良好な超撥水性を示す。
【0082】従って、管路で水を輸送する場合や船で
は、水に向かって供給する空気の温度を水の温度より高
くし、撥水層の温度を水より高温とすれば更に流体抵抗
を低減できる。化学プラントや発電プラントでは冷却水
など廃棄される熱源があるので、空気供給系路に熱交換
器を設けて廃熱を積極的に利用するのがよい。また、船
ではエンジンの廃熱を利用することによって、高温の空
気が得られる。
【0083】なお、ここまで本発明の対象とする流体と
して、主に水について説明してきたが、水以外の液体で
あっても、その流体をはじく性質を有する材質を、本発
明でいうところの撥水部材4に用いることによって損失
動力を低減できるといった効果がある。また、本発明で
述べた液体には微粉末の金属、樹脂、石炭等を水で湿ら
らせたものも含み、これらを管路輸送する場合にも粒子
表面に形成された水と撥水面との間に空気層が形成され
るので、同様の効果がある。
【0084】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によると流体
抵抗を低減できるので、管路などで流体を輸送するのに
要する動力を低減できる。また、本発明を船底に採用す
れば、船の推進に必要な動力を低減したり、推進速度を
大きくしたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による管路輸送ラインの管路の断面図。
【図2】図1の断面のA部の拡大図。
【図3】図2のB部の拡大図。
【図4】インナーチューブの外表面の空気分散クロス溝
の構造を示すインナーチューブの展開図。
【図5】インナーチューブの管路始端部分に当たる部分
の構造を示す図。
【図6】管路、インナーチューブ、空気供給源、空気供
給手段との位置関係を示す図。
【図7】管路終端部分に当たる管路とインナーチューブ
との構造を示す図。
【図8】本発明の効果を説明する図。
【図9】インナーチューブ改善例を示す図。
【図10】図9の改善例を管路に適応した場合の構造を
示す図。
【図11】本発明の改善例を適用する際に好適な構造を
決めるための図。
【図12】空気供給手段の構造を示す図。
【図13】本発明の撥水部材の他の実施例を示す図。
【図14】本発明を適用したスクリュ推進式艇の船底部
分を示す図。
【図15】本発明を適用したホバークラフトの側面図。
【図16】高速艇の船底に空気を送る装置の概略図。
【図17】本発明を適用した船の断面図。
【図18】図17のE−E断面の右舷及び船底の構造を
示す図。
【図19】仕切スペーサの構造を示す図。
【図20】補強スペーサの構造を示す図。
【図21】図18のF部の拡大図。
【図22】図21のG部の拡大図。
【図23】本発明を船に適用した場合の効果を説明する
図。
【図24】本発明を適用した足こぎボートの駆動系の説
明図。
【図25】超撥水性を示す温度領域を示す図。
【符号の説明】
1…管路構造体、2…インナーチューブ、3…空気透過
層、4…撥水層、5…焼結金属粒子、6…撥水膜、7…
接着剤、8…クロス溝、10…シール部、11…空気供
給溝、12…空気供給手段、14…コネクタ、15…チ
ューブ、16…こま、17…キャップ、26,27…粉
末、28…スクリュ推進式艇、29…スクリュー、31
…撥水シート、34…船底、35…風路、40…スカー
ト部、41…船体、43…空隙、44…仕切スペーサ、
45…補強スペーサ、46a〜46e…空気供給導管、
47a〜47d…制御弁、61…分配器、61a,61
b…ペダル、66…ピストン、71a,71b…プロペ
ラ、89…チェーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 洋 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 西川 昭夫 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造体と液体とが相対的に運動する系の
    流体抵抗を低減する方法において、液体と接触する前記
    構造体の壁部の少なくとも一部を液体との接触角が90
    ゜以上である表面を備える通気性部材で構成し、前記通
    気性部材の表面全体から気体を透過させて前記通気性部
    材と流体との間に気体層を形成することを特徴とする流
    体抵抗の低減方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の流体抵抗の低減方法にお
    いて、前記通気性部材は少なくとも表面層にポリテトラ
    フルオロエチレンを含むことを特徴とする流体抵抗の低
    減方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の流体抵抗の低減方法にお
    いて、前記通気性部材は、少なくとも表面層にポリテト
    ラフルオロエチレンを含み、孔径が0.2μm以下の細
    孔を全面に有することを特徴とする流体抵抗の低減方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の流体抵抗の低減方法にお
    いて、前記通気性部材は、燒結金属層と、その上に形成
    したポリテトラフルオロエチレンを含む表面層とを備え
    ることを特徴とする流体抵抗の低減方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の流体
    抵抗の低減方法において、前記通気性部材を透過する気
    体の温度を液体の温度より高くすることを特徴とする流
    体抵抗の低減方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載の流体
    抵抗の低減方法において、前記構造体は液体輸送管であ
    ることを特徴とする流体抵抗の低減方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項記載の流体
    抵抗の低減方法において、前記構造体は船であることを
    特徴とする流体抵抗の低減方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれか1項記載の流体
    抵抗の低減方法において、前記気体は空気であることを
    特徴とする流体抵抗の低減方法。
  9. 【請求項9】 液体を輸送する液体輸送管において、液
    体との接触角が90゜以上である表面を有する通気性部
    材を少なくとも一部に備える内壁と、前記通気性部材の
    裏面に気体を供給する手段とを備え、前記通気性部材の
    表面全体から気体を透過させて前記通気性部材と流体と
    の間に気体層を形成する機能を有することを特徴とする
    液体輸送管。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の液体輸送管において、 外壁を構成する外側環状部材と、 液体との接触角が90゜以上である内面と、気体供給溝
    が設けられた外面とを有し、前記外側環状部材の内側に
    挿入された多孔性のインナーチューブと、 前記外側環状部材を貫通して前記インナーチューブの前
    記気体供給溝に気体を供給する気体供給口とを備え、 前記気体供給溝は前記気体供給口に接続した環状溝と、
    一端が前記環状溝に接続し他端が閉じるとともに相互に
    交差した複数のクロス溝とからなり、 前記気体供給管から供給された気体は前記環状溝から前
    記クロス溝に入り、前記インナーチューブを厚み方向に
    透過して管の内側に供給されることを特徴とする液体輸
    送管。
  11. 【請求項11】 前記インナーチューブは焼結金属製で
    あることを特徴とする請求項10記載の液体輸送管。
  12. 【請求項12】 請求項9、10又は11記載の液体輸
    送管において、管の内側に供給される気体を管内を流れ
    る流体の平均温度より高温になるように加熱するための
    加熱手段を設けたことを特徴とする液体輸送管。
  13. 【請求項13】 水と接触する船底及び/又は側壁の少
    なくとも一部を水との接触角が90゜以上である表面を
    有する通気性部材で覆い、前記通気性部材の裏面に気体
    を供給し、前記通気性部材の表面全体から気体を透過さ
    せて前記通気性部材と水との間に気体層を形成する機能
    を有することを特徴とする船。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の船において、前記通
    気性部材の裏面の気体流通部を垂直方向に複数の区画に
    分割し、各区画に独立して気体を供給することを特徴と
    する船。
  15. 【請求項15】 請求項13又は14記載の船におい
    て、前記通気部材の裏面に供給される気体を水の温度よ
    り高温になるように加熱するための加熱手段を設けたこ
    とを特徴とする船。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010120612A (ja) * 2008-11-21 2010-06-03 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 船体摩擦抵抗低減装置
JP2010155604A (ja) * 2008-12-26 2010-07-15 Pusan National Univ Industry-Univ Corp Foundation 固体表面にマイクロ気泡を発生させる方法
WO2023191096A1 (ja) * 2022-03-31 2023-10-05 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 船体摩擦抵抗低減装置

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