JPH10316096A - 熱気球用のハニカムクッション材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 第１に、墜落事故時の衝撃からゴンドラに積
載された人や物品が保護され、人身事故や損傷事故が回
避され、安全性が向上すると共に、第２に、重量も軽
く、熱気球のゴンドラの性能面への悪影響はほとんど無
く、第３に、しかもこれらが簡単容易に実現される、熱
気球用のハニカムクッション材を提案する。 【解決手段】 この熱気球用のハニカムクッション材
８，９は、人や物品を運搬すべく熱気球１下に吊下げら
れたゴンドラ２について、墜落事故時の衝撃から積載さ
れた人や物品を保護すべく使用される。そして、ハニカ
ムクッション材８，９はハニカムコア１２を用いてな
り、このハニカムコア１２は、セル軸方向Ａを上下方向
に向け、ゴンドラ２の下面７上の床１３との間や、ゴン
ドラ２の下面７下に取り付けられる。もって墜落事故時
の落下，着地に伴う衝撃荷重にて、セル壁１０が座屈す
ることにより、衝撃エネルギーを吸収，緩和，緩衝す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、熱気球用のハニカ
ムクッション材に関する。すなわち、熱気球下のゴンド
ラに積載された人や物品を、墜落事故時の衝撃から保護
する、熱気球用のハニカムクッション材に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】周知のごとく、大型の熱気球下にゴンド
ラを吊下げ、ゴンドラに人や物品を積載して、熱気球を
浮上，飛行，着地させ、もって人や物品を運搬すること
が、従来より行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来例にあっては、次の問題が指摘されていた。すなわ
ち、飛行中に何らかの原因により熱気球が破れたり、熱
気球下にゴンドラを吊下げるロープが切れたりすると、
ゴンドラに積載された人や物品について、人身事故や損
傷事故発生の危険がある。つまり、熱気球やゴンドラの
墜落事故時には、落下，着地に伴う衝撃荷重にて、人身
事故や損傷事故発生の危険が大である。ところが、この
種従来例の熱気球のゴンドラについては、重量増が即性
能に影響することもあり、このような墜落事故に対し何
らの安全対策も講じられていない状況にある。

【０００４】本発明は、このような実情に鑑み、上記従
来例の課題を解決すべくなされたものであって、ハニカ
ムコアをゴンドラの下面上や下面下に取り付けたことに
より、第１に、墜落事故時の衝撃から、積載された人や
物品を保護できると共に、第２に、重量も軽く、第３
に、しかも簡単容易にこれらが実現される、熱気球用の
ハニカムクッション材を提案することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
る本発明の技術的手段は、次のとおりである。すなわ
ち、この熱気球用のハニカムクッション材は、人や物品
を運搬すべく熱気球下に吊下げられるゴンドラについ
て、墜落事故時の衝撃から積載された人や物品を保護す
るものである。そして該ハニカムクッション材は、セル
壁にて区画形成された中空柱状のセルの平面的集合体よ
りなるハニカムコアを用いてなり、該ハニカムコアは、
セル軸方向を上下方向に向け、該ゴンドラの下面上や該
ゴンドラの下面下に取り付けられ、墜落事故時の落下，
着地に伴う衝撃荷重にて該セル壁が座屈することによ
り、衝撃エネルギーを吸収，緩和，緩衝すること、を特
徴とする。

【０００６】この熱気球用のハニカムクッション材は、
このようになっているので、次のようになる。飛行中に
何らかの原因により墜落事故が発生した場合、熱気球と
共にゴンドラは地上に落下，着地する。そして、ゴンド
ラには衝撃荷重が加わるが、その際、セル軸方向を荷重
作用方向に向けたハニカムクッション材のハニカムコア
のセル壁が、その圧縮強度を越える衝撃荷重をうけて、
座屈する。このように、ゴンドラの下面上や下面下に取
り付けられたハニカムクッション材が、まず座屈するこ
とにより、衝撃エネルギーが吸収，緩和，緩衝され、も
って、ゴンドラに積載された人や物品が衝撃から保護さ
れる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下本発明を、図面に示すその発
明の実施の形態に基づいて、詳細に説明する。図１は、
本発明の実施の形態の説明に供し、（１）図は全体の正
面説明図，（２）図はゴンドラの正断面説明図である。
図２はハニカムコアを示し、（１）図は斜視図、（２）
図は正面図、（３）図は座屈後の正面図である。

【０００８】まず図１により、熱気球１やゴンドラ２に
ついて概説する。周知のごとく熱気球１は、下面のみが
開放された柔軟な球形の袋体よりなり、下面下に付設さ
れたバーナー３の燃焼され、発生したヘリウム等の空気
より軽いガスが充填されることにより、膨らんで空気中
に浮上し，飛行する。ゴンドラ２は、このような熱気球
１下にロープ４にて吊下げられており、上面が開放され
た断面四角形や円形の箱状をなし、内部５に人や物品を
積載して運搬する。図中６は、このようなゴンドラ２の
前後，左右の側面を示し、７は下面を示す。熱気球１や
ゴンドラ２は、概略このようになっている。

【０００９】以下、ハニカムクッション材８，９につい
て述べる。ハニカムクッション材８，９は、このように
人や物品を運搬すべく熱気球１下に吊下げられるゴンド
ラ２について、墜落事故時の衝撃から積載された人や物
品を保護すべく、付設されている。そして、このハニカ
ムクッション材８，９は、セル壁１０にて区画形成され
た中空柱状のセル１１の平面的集合体よりなるハニカム
コア１２を用いてなり、このハニカムコア１２は、セル
軸方向Ａを上下方向に向け、ゴンドラ２の下面７と床１
３間やゴンドラ２の下面７下に、取り付けられている。
そして、墜落事故時の落下，着地に伴う衝撃荷重にてセ
ル壁１０が座屈することにより、衝撃エネルギーを吸
収，緩和，緩衝するようになっている。

【００１０】このようなハニカムクッション材８，９に
ついて、さらに詳述する。まずハニカムコア１２は、図
２の（１）図や（２）図に示したように、セル壁１０に
て各々独立空間に区画された、中空柱状の多数のセル１
１の平面的集合体よりなる。セル壁１０そしてセル１１
の断面形状は、例えば図示のように正六角形状のものが
代表的であるが、台形状，三角形状，四角形状，その他
各種形状のものも可能である。このセル壁１０つまりハ
ニカムコア１２の母材としては、ハニカムクッション材
８，９としての用途に鑑み、クラフト紙，アラミド紙，
その他の特殊紙等の紙を始め（図示例ではこのような紙
を使用）、アルミ箔，繊維強化プラスチック（ＦＲＰ）
シート，塩ビシート，その他のプラスチックシート，そ
の他の材質のものが用いられる。ハニカムコア１２は、
重量比強度に優れ、軽量であると共に高い剛性・強度を
備えるのを始め、平面精度，保温性，断熱性，遮音性等
々にも優れる、という特性が知られている。これと共に
ハニカムコア１２は、セル軸方向Ａに圧縮強度を越える
荷重を受けると、図２の（３）図に示したように、セル
壁１０が潰れ，座屈し、セル軸方向Ａの寸法が圧縮・減
少して変位することにより、そのエネルギーを吸収，緩
和，緩衝する、という特性を備えてなる。

【００１１】図１の（２）図に示したように、ハニカム
クッション材８，９には、このようなハニカムコア１２
が用いられている。そして図示例では、ゴンドラ２の下
面７と床１３間にハニカムクッション材８が、又、ゴン
ドラ２の下面７下にハニカムクッション材９が、それぞ
れ取り付けられているが、いずれにしても、そのハニカ
ムコア１２は、中空柱状の空間たるセル１１の軸つまり
セル軸方向Ａを上下方向に向けて、用いられている。

【００１２】まずゴンドラ２の下面７と床１３間のハニ
カムクッション材８を構成するハニカムコア１２は、図
示例では、ゴンドラ２の下面７と床１３間の四隅に取り
付け固定されている。例えば、このハニカムクッション
材８のハニカムコア１２は、ゴンドラ２が内法で一辺が
１ｍの断面四角形をなすとすると、一辺が４０ｃｍの四
角形で厚さが１０２ｍｍ程度よりなり、計４個用いられ
ている。この場合、床１３は、一辺が１ｍの四角形の板
状のクッション材よりなり、例えばカーボン製の繊維強
化プラスチック（ＦＲＰ）板が使用されている。そして
４個のハニカムコア１２が、このような床１３とゴンド
ラ２の下面７間の四隅に、それぞれ上下が接着等により
取り付け固定され、介装されている。次に、ゴンドラ２
の下面７下のハニカムクッション材９を構成するハニカ
ムコア１２は、図示例では、上下両面にそれぞれ例えば
アルミ板製の表面板１４が接着され、もってサンドイッ
チパネルの芯材として用いられており、ゴンドラ２の下
面７全面に、上側の表面板１４を介し接着等により取り
付け固定されている。そして、このハニカムクッション
材９は、このようにハニカムコア１２を芯材としたサン
ドイッチパネルよりなり、例えば、ゴンドラ２が内法で
一辺が１ｍの断面４角形をなすとすると、一辺が１．２
ｍ強の四角形で厚さが１８２ｍｍ程度よりなる。

【００１３】なお図示例では、このようにゴンドラ２の
下面７と床１３間のハニカムクッション材８と、ゴンド
ラ２の下面７下のハニカムクッション材９と、が組み合
わせて併用されているが、本発明はこれに限定されるも
のではない。すなわち、ゴンドラ２の下面７と床１３間
のハニカムクッション材８のみを用いた例や、ゴンドラ
２の下面７下のハニカムクッション材９のみを用いた例
も、考えられる。更に、ゴンドラ２の下面７と床１３間
のハニカムクッション材８については、図示例のように
四隅ではなく全面的に介装，取り付け固定するようにし
てもよい。又、このハニカムクッション材８について
は、図示例のように床１３と共に用いるのではなく、前
述したゴンドラ２の下面７下のハニカムクッション材９
のように、ハニカムコア１２を芯材としたサンドイッチ
パネルとし、ゴンドラ２の下面７上に床１３を用いず、
載置，取り付け固定するようにしてもよい。

【００１４】本発明は、以上説明したように構成されて
いるので、以下のようになる。この熱気球１用のハニカ
ムクッション材８，９は、このようになっている。そし
て熱気球１は、ゴンドラ２に人や物品を積載して浮上，
飛行するが、飛行中に熱気球１が破れたり、熱気球１下
にゴンドラ２を吊下げるロープ４が切れたり、その他何
らかの原因により墜落事故が発生した場合、熱気球１と
共にゴンドラ２は、地上に落下，衝突，着地する。そし
て、落下，衝突，着地に伴い、ゴンドラ２そして積載さ
れた人や物品には、上から下へ向けて衝撃荷重が加わる
ことになるが、その際、セル軸方向Ａをこの荷重作用方
向たる上下方向に向けたハニカムクッション材８，９の
ハニカムコア１２のセル壁１０が、その圧縮強度を越え
る衝撃荷重を受けることにより、潰れ，座屈する（図２
の（３）図を参照）。このように、ゴンドラ２の下面７
と床１３間やゴンドラ２の下面７下に取り付けられてい
たハニカムクッション材８，９のハニカムコア１２が、
まず潰れ，座屈することにより、落下，衝突，着地に伴
う衝撃エネルギーが、吸収，緩和，緩衝される。さてそ
こで、この熱気球１用のハニカムクッション材８，９を
用いると、次の第１，第２，第３のようになる。

【００１５】第１に、熱気球１の飛行中に墜落事故が発
生し、熱気球１がゴンドラ２と共に地上に落下，衝突，
着地した際は、ゴンドラ２に取り付けられたハニカムク
ッション材８，９のハニカムコア１２が座屈することに
より、衝突エネルギーが吸収，緩和，緩衝される。もっ
て、ゴンドラ２に積載された人や物品が、衝撃から保護
される。特に図示例にあっては、ゴンドラ２の下面７上
のハニカムクッション材８と、下面７下のハニカムクッ
ション材９とを、組み合わせて用いたことにより、一段
と効果的に衝撃エネルギーの吸収，緩和，緩衝が実現さ
れる。すなわち、地上への落下，衝突，着地に際して
は、まず、ゴンドラ２の下面７下のハニカムクッション
材９が座屈し、次に、ゴンドラ２の下面７上のハニカム
クッション材８が座屈するようになり、２段階で順次安
定的に座屈が進行し、もって衝撃エネルギーの吸収，緩
和，緩衝が、所期のとおり確実に行われるようになる。
例えば前述した例において、ゴンドラ２のバーナー３を
含む重量が１５０ｋｇで、体重７０ｋｇの人が３名乗り
組み、衝突速度が１５ｍ／ｓで地上に落下，衝突，着地
した場合、人に加わる衝撃は、２ｍの高さから６ｍ／ｓ
の衝突速度で飛び降りた場合の衝撃と同程度まで、緩和
される。

【００１６】第２に、このハニカムクッション材８，９
は、重量比強度に優れるというハニカムコア１２の特性
を生かし、極めて軽量である。例えば前述した寸法例に
よると、ゴンドラ２の下面７上のハニカムクッション材
８に関しては、床１３の重量が３．０ｋｇ、ハニカムコ
ア１２の重量が４個で１．１ｋｇである。又、ゴンドラ
２の下面７下のハニカムクッション材９に関しては、ハ
ニカムコア１２の重量が３．７ｋｇ、両表面板１４と接
着剤の重量の小計が１０ｋｇである。もって、このハニ
カムクッション材８，９の重量は、全体の合計で１７．
８ｋｇ程度に過ぎず、ハニカムクッション材８，９を取
り付けたことによる重量増は、極く僅かである。

【００１７】第３に、しかもこのハニカムクッション材
８，９は、ハニカムコア１２を、床１３や表面板１４と
共にゴンドラ２の下面７付近に取り付けてなり、その構
成は極めて簡単である。

【００１８】

【発明の効果】本発明に係る熱気球用のハニカムクッシ
ョン材は、以上説明したように、ハニカムコアを、ゴン
ドラの下面上や下面下に取り付けてなることにより、次
の効果を発揮する。

【００１９】第１に、墜落事故時の衝撃から、積載され
た人や物品を、確実に保護することができる。すなわ
ち、このハニカムクッション材を用いると、飛行中に熱
気球が破れたり、熱気球下にゴンドラを吊下げるロープ
が切れたり、その他何らかの原因により墜落事故が発生
した場合、落下，着地に伴う衝撃荷重にて、ハニカムコ
アが座屈する。これにより、衝撃エネルギーが吸収，緩
和，緩衝され、もって、ゴンドラに積載された人や物品
が保護され、人身事故や損傷事故が回避され、安全性が
向上する。

【００２０】第２に、重量も軽い。すなわち、このハニ
カムクッション材は、重量比強度に優れるというハニカ
ムコアの特性を生かし極めて軽量であり、重量増が即性
能に影響する熱気球のゴンドラにとって、性能面への悪
影響はほとんど無い。

【００２１】第３に、しかもこれらは、簡単容易に実現
される。すなわち、このハニカムクッション材は、ハニ
カムコアをゴンドラの下面付近に取り付けた簡単な構成
よりなり、上述した第１，第２の点が容易に実現され
る。このように、この種従来例に存した課題がすべて解
決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大な
るものがある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る熱気球用のハニカムクッション材
について、発明の実施の形態の説明に供し、（１）図
は、全体の正面説明図、（２）図は、ゴンドラの正断面
説明図である。

【図２】ハニカムコアを示し、（１）図は斜視図、
（２）図は正面図、（３）図は座屈後の正面図である。

【符号の説明】

１ 熱気球 ２ ゴンドラ ３ バーナー ４ ロープ ５ 内部 ６ 側面 ７ 下面 ８ ハニカムクッション材 ９ ハニカムクッション材 １０ セル壁 １１ セル １２ ハニカムコア １３ 床 １４ 表面板 Ａ セル軸方向

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 人や物品を運搬すべく熱気球下に吊下げ
   られるゴンドラについて、墜落事故時の衝撃から積載さ
   れた人や物品を保護するハニカムクッション材であっ
   て、 該ハニカムクッション材は、セル壁にて区画形成された
   中空柱状のセルの平面的集合体よりなるハニカムコアを
   用いてなり、該ハニカムコアは、セル軸方向を上下方向
   に向け、該ゴンドラの下面上や該ゴンドラの下面下に取
   り付けられ、墜落事故時の落下，着地に伴う衝撃荷重に
   て該セル壁が座屈することにより、衝撃エネルギーを吸
   収，緩和，緩衝すること、を特徴とする熱気球用のハニ
   カムクッション材。