JPH10314886A - 鋳型と鋳型の製造方法および鋳物の製造方法 - Google Patents

鋳型と鋳型の製造方法および鋳物の製造方法

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JPH10314886A
JPH10314886A JP13772497A JP13772497A JPH10314886A JP H10314886 A JPH10314886 A JP H10314886A JP 13772497 A JP13772497 A JP 13772497A JP 13772497 A JP13772497 A JP 13772497A JP H10314886 A JPH10314886 A JP H10314886A
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mold
casting
silicone oil
wax
slurry
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JP13772497A
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English (en)
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Yoshiaki Yamamoto
善章 山本
Hideyuki Masaki
英之 正木
Masaaki Tada
雅昭 多田
Toshio Sekihara
敏生 関原
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Toyota Tsusho Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Tsusho Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面粗さが小さく、強度低下のない鋳型を得
ること、さらにこの鋳型を用いて得られる鋳物の鋳肌面
粗さを充分小さくするとともに、鋳造時に鋳型材料が熱
分解して鋳物にガス欠陥が生じるのを防止することにあ
る。 【解決手段】 ロストワックス法によって鋳型を形成す
るに当たり、ろう型の表面にシリコーンオイル溶液を塗
布し、その周囲に鋳型材料を充填、凝固して鋳型を形成
する。ろう型を溶融、除去することにより、鋳型本体の
少なくとも鋳造時に溶湯と接触する表面に、シリコーン
オイルを主成分とする層からなる被覆層が形成され、こ
れを酸素の存在化で加熱することにより酸化けい素被膜
からなる被覆層が形成されて、鋳型表面を平滑化し、表
面粗さが小さくガス欠陥のない鋳物の製造を可能にす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、指輪等の装飾品、
鋳造による金型等、鋳肌面の良好な鋳物を得るための鋳
型および鋳型の製造方法、さらにこの鋳型を用いた鋳物
の製造方法に関するものであり、より具体的にはロスト
ワックス法による鋳型と鋳型の製造方法および鋳物の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ロストワックス法は、製造しようとする
鋳物形状のろう型を予め作製し、その周囲にスラリー状
の鋳型材料を充填、凝固した後、ろう型を溶融、除去し
て鋳型を得るもので、形状が複雑で立体構造と三次元
的曲面を有する小物および薄肉鋳物の製造に適する、
デザインに対する自由度が大きく、表面構造の再現性に
優れるといった利点を有している。このため、微細形状
を有する装身具や正確な寸法が要求される金型等を製作
する方法として着目されている。
【0003】鋳型材料としては、通常、平均粒子径3.
5μm程度のシリカを基材とし、平均粒子径1μm以下
の石膏を結合材とする石膏系埋没材が用いられる。石膏
鋳型は、寸法精度に優れること、肌面が非常に滑らか
で、収縮やひずみが少なく、熱伝導度が小さい、強度が
大きいといった特徴があり、従来の砂型やセラミック型
に比べてこの用途に適している。
【0004】一方、微細な形状と表面構造を持つ装身具
では、表面粗さが鋳造体の良否を決定する。表面粗さが
大きければ、表面模様が鮮明に表現できず、また後工程
の仕上げ研磨等に要する労力と時間が増加する。例え
ば、鋳肌面粗さが10μmで仕上げ面粗さが0.1μm
であれば、約10μm近くを研磨することになり、貴金
属の損耗による経済的な損失も大きくなる。ここで、表
面粗さを決定づける因子は数多くあるが、主としてろう
型の表面粗さ、埋没材の粒度、鋳型温度、鋳造時の溶湯
圧力等がある。装身具として高い品質を得るためには、
表面粗さが1μmのろう型を用いた場合に、鋳肌面粗さ
が1μmの鋳物を得ることが望ましく、鋳造体が鋳型面
の粗さを写し取るとすれば、鋳型の表面粗さを1μm程
度とすることが要求される。
【0005】しかしながら、石膏系埋没材は、上述した
ように、平均粒子径3.5μm程度のシリカを基材とし
ており、このシリカの粒度分布は1〜40μmと広い
上、粒子径10〜40μmのシリカが、通常、40%も
存在している。しかも、局部的には20μm以上と大き
い部分も存在し、従って、ろう型の表面粗さが1μmで
あっても、鋳型の表面粗さは平均10μmとなり、この
ため、鋳物の鋳肌面粗さは10〜20μmになってしま
うという問題があった。
【0006】ところで、特開平6−133990号公報
には、歯科用石膏型の製作に関し、歯科用の石膏ペース
トを用意するに当たって、シリコーンオイルをノニオン
系界面活性剤を乳化剤として水中に分散させてなる水性
エマルジョンを添加して練和し、得られたペーストを原
型に流し込むことにより、練和時の発生気泡の混入を防
ぎ、表面が平滑な石膏型が得られることが記載されてい
る。用いられる石膏はα型半水石膏で、30〜40重量
%の混水率で水と練和後、シリコーンゴム等よりなる原
型に流し込み、石膏型を造型している。
【0007】上記効果が得られる理由として、上記公報
には、シリコーンオイルの添加によりペーストの流動性
が高められたことが挙げられている。しかしながら、上
記方法では、水性エマルジョン中のシリコーンオイルの
含有量を28重量%としており、かかる多量のシリコー
ンオイルの添加は、通常、15〜20分間で完了する石
膏の凝固時間を著しく遅らせるとともに、凝固後の石膏
の強度を、通常の取り扱い作業が困難なほど低下させ
る。このため、本発明で対象とする装身具等の鋳型の製
造に適用するには、実用上、問題があった。
【0008】また、石膏の主成分である硫酸カルシウム
は、一般に800℃以上で熱分解を起こし、1000℃
以上では亜硫酸ガスを発生する。このため、高融点金属
材料、例えば、鋳鉄を1300℃で鋳造すると、鋳型の
鋳肌面が浸食されて多量の亜硫酸ガスが発生する。そし
て、このガスが鋳造時の溶湯中に巻き込まれて、鋳物に
ピンホール状の欠陥を生じるという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかして、本発明の目
的は、表面粗さが小さく、強度低下のない鋳型を得るこ
と、さらにこの鋳型を用いて得られる鋳物の鋳肌面あら
さを充分小さくするとともに、鋳造時に鋳型材料が熱分
解して鋳物にガス欠陥が生じるのを防止することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の構成における
鋳型は、鋳型本体と、該鋳型本体の少なくとも鋳造時に
溶湯と接触する表面に形成される被覆層とを有してお
り、上記被覆層は、シリコーンオイルを主成分とする層
またはシリコーンオイルを酸素の存在化で加熱すること
により形成される酸化けい素被膜からなる。
【0011】鋳型本体の表面に形成されたシリコーンオ
イルを主成分とする層は、大気中で加熱処理することに
より酸化されて、酸化けい素を生成する。この酸化けい
素は、加熱によって生じた鋳型本体表面の隙間を埋め、
表面を平滑化する効果を有する。従って、シリコーンオ
イルを主成分とする被覆層を有する鋳型を用い、鋳造時
の加熱の過程で、シリコーンオイルを酸化して酸化けい
素被膜を形成させた後、鋳造を行うことで、鋳物の表面
粗さを大きく向上することができる。また、鋳型本体の
強度を低下させることがないので、取り扱いも容易であ
る。予めシリコーンオイルを加熱処理することにより形
成した酸化けい素被膜を被覆層とする鋳型によっても、
同様の効果が得られる。
【0012】また、酸化けい素被膜は、鋳型本体を構成
する材料の温度上昇を遅らせ、熱分解を抑制するので、
熱分解ガスが溶湯に巻き込まれることによる、欠陥の発
生を防止することができる。従って、上記構成の鋳型を
用いることで、表面の平滑な欠陥のない高品質の鋳物を
得ることができる。
【0013】上記構成の鋳型は、製造しようとする鋳物
形状に成形されたろう型の表面に、シリコーンオイル水
溶液またはシリコーンオイルのアルコール溶液を塗布
し、乾燥させる第1工程と、このろう型の周囲に鋳型本
体を構成する埋没材のスラリーを充填し、該スラリーを
凝固させる第2工程と、凝固した鋳型をろうの融点以上
に加熱して上記ろう型を溶融除去し、上記鋳型本体の表
面にシリコーンオイルを主成分とする層を形成する第3
工程とによって製造することができる(請求項2)。
【0014】シリコーンオイルは、水にもワックスにも
濡れ難いため、鋳型本体の表面にシリコーンオイル層を
形成することは通常の方法では難しい。そこで、本発明
では、シリコーンオイルに水を添加して親水性を付与し
た液、または、シリコーンオイルにアルコールを添加し
て親水性と親油性の両性を同時に付与した液を用い、こ
れをろう型に塗布してその表面にシリコーンオイルを主
成分とする層を形成する。その後、鋳型材料のスラリー
を充填し、このスラリーが凝固する過程で、シリコーン
オイルを主成分とする層に密着させ、次いで、ろう型を
溶融除去することで、鋳型本体の表面にシリコーンオイ
ルを主成分とする層が均一に形成された本発明の鋳型が
得られる。
【0015】また、上記第1工程において、上記ろう型
の表面に、予めアルコールを塗布、乾燥させた後、シリ
コーン水溶液またはシリコーンオイルのアルコール溶液
を塗布、乾燥させてもよい。この時、上記ろう型とシリ
コーンオイルを主成分とする層がよりなじみやすくな
り、シリコーンオイルを主成分とする層の形成が容易に
なる。
【0016】あるいは、鋳型本体を構成する埋没材を、
シリコーンオイルを1〜10重量%含有する水溶液を用
いてスラリー状とする第1工程と、得られたスラリー
を、製造しようとする鋳物形状に成形されたろう型の周
囲に充填し、該スラリーを凝固させる第2工程と、凝固
した鋳型をろうの融点以上に加熱して、上記ろう型を溶
融除去し、上記鋳型本体の表面にシリコーンオイルを主
成分とする層を形成する第3工程とによって鋳型を製造
することもできる(請求項3)。
【0017】上記方法では、シリコーンオイルの混合量
を適度な量とすることで、鋳型の強度を保持しつつ、よ
り簡易な方法で鋳型を製造することができる。
【0018】また、上記第3工程によって得られた鋳型
を、さらに第4工程として、酸素の存在化で500℃以
上に加熱することにより上記シリコーンオイルを主成分
とする層を酸化することで、鋳型表面に酸化けい素被膜
を生成することができる。
【0019】上記した、鋳型本体の少なくとも鋳造時に
溶湯と接触する表面に、シリコーンオイルを主成分とす
る層を形成した鋳型を使用して、鋳物を製造する場合に
は、この鋳型を、予め酸素の存在化で500℃以上に加
熱することにより、上記シリコーンオイルを主成分とす
る層を酸化して酸化けい素被膜を生成する。しかる後、
上記鋳型内に溶湯を流し込んで鋳造を行うことで、上記
したのと同様の効果が得られる(請求項4)。
【0020】具体的には、上記鋳型本体を構成する材料
として、シリカを基材とする石膏系埋没材または高温用
埋没材が好適に用いられる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の鋳型は、鋳型本体と、該
鋳型本体の少なくとも鋳造時に溶湯と接触する表面に形
成される被覆層とからなる。上記鋳型本体を構成する埋
没材としては、基材として金属酸化物、例えばシリカを
含有する埋没材が挙げられ、具体的には、シリカを基材
とし半水石膏を結合材とする石膏系埋没材、またはシリ
カを基材とし燐酸塩系溶液を結合材とする高温用埋没材
が好適に使用される。
【0022】上記被覆層は、シリコーンオイルを主成分
とする層(以下、シリコーンオイル層)、または酸化け
い素被膜からなる。シリコーンオイルとしては、具体的
には、ジメチルシロキサンシリコーンオイルのポリエー
テル変性体を主体とするものを用いることができるが、
必ずしもこれに限るものではない。シリコーンオイル層
は、鋳造時に、あるいはこれに先立って加熱処理するこ
とにより酸化され、最終的に酸化けい素被膜を生成す
る。この酸化けい素被膜は、鋳型の表面粗さを小さくす
るとともに、埋没材の熱分解を防止する作用を有する。
【0023】本発明の鋳型は、公知のロストワックス法
を応用して形成することができる。ただし、シリコーン
オイルは、水にもワックスにも濡れ難いため、石膏やろ
う型の表面にシリコーンオイル層を形成することは通常
の方法では難しい。そこで、本発明では、親水性を付
与するためにシリコーンオイルに水を添加、希釈した
液、ないし親水性と親油性の両性を付与するために、シ
リコーンオイルにアルコールを添加、希釈した液を用
い、これら希釈液をろう型に塗布する方法、または、
予め、ろう型表面にアルコールを塗布し、その後、の
処理を行う方法、さらに、シリコーンオイルを添加し
た混和水を用いて鋳型材料を練和処理する方法、により
シリコーンオイル層を形成する。以下、これらの方法に
ついて順次説明する。
【0024】まず、の方法による場合には、第1工程
において、製造しようとする鋳物形状に成形されたろう
型を用意し、その表面に、水で希釈したシリコーンオイ
ル水溶液、またはアルコールで希釈したシリコーンオイ
ルのアルコール溶液を塗布する。具体的には、ろう型を
これら希釈液に浸漬するかあるいはこれら希釈液をろう
型に吹き付け、乾燥させる。ここで、アルコールとして
は、エチルアルコール、プロピレンアルコール等が挙げ
られ、これらを2種以上使用してもよい。
【0025】この場合、シリコーンオイル水溶液は、シ
リコーンオイルを、5〜50重量%の水で希釈すること
によって、アルコール水溶液は、5〜20重量%のアル
コールで希釈することによって調製される。いずれも5
重量%未満ではろう型表面へのシリコーンオイルの濡れ
が悪く、生成される層厚さも不均一になる。一方、水希
釈で50重量%、アルコール希釈で20重量%を越える
と、ろう型表面へのシリコーンオイル厚さが薄くなり、
大気中加熱後の酸化けい素の膜生成量が少なくなって、
その結果、鋳肌の改善やガス欠陥防止の効果が小さくな
る。この際、シリコーンオイル層の粘度が、130〜1
300CS(25℃)の範囲となるようにするのがよ
い。好ましくは、この塗布、乾燥行程を複数回、繰り返
し行い、ろう型表面に、むらなくシリコーンオイルの層
を形成する。
【0026】の方法による場合には、上記第1工程に
先立って、ろう型にアルコールを塗布する。アルコール
としては、エチルアルコール、プロピレンアルコール、
またはこれらの混合溶液等が用いられ、これにろう型を
浸漬、または吹き付け処理した後、乾燥させる。これに
より、後段のシリコーンオイル層の形成が容易になり、
製造される鋳型の表面粗さをより小さくすることができ
る。このアルコールの塗布、乾燥を繰り返し行うことも
できる。
【0027】次いで、第2工程で、このろう型の周囲に
鋳型本体となる、例えば石膏系埋没材のスラリーを充填
する。この際、ろう型の周囲に、通常、金属製リングを
配置して鋳型を補強する。石膏系埋没材のスラリーは、
基材となるシリカと結合材である半水石膏を所定の割合
で配合し、水を添加して混練攪拌することによりスラリ
ー状とする。その後、室温で放置して該スラリーを凝固
させる。この過程でろう型表面のシリコーンオイル層
が、鋳型本体の表面と密着する。
【0028】第3工程では、鋳型内のろう型を、加熱に
より溶融、除去する。具体的には加熱炉内で、十分な酸
素供給量のもとに、150℃前後で数時間加熱し、脱ろ
う、ワックスの回収を行う。その後、さらに、200〜
300℃の間を数時間かけて加熱昇温する。この過程
で、結合材である半水石膏が、急熱急冷によるクラック
の発生、型表面の剥離を発生しにくい無水石膏化する。
その際、シリコーンオイル層は、約500℃未満では、
シリコーンオイルとして安定で、ほとんど分解しないの
で、鋳型本体の表面にシリコーンオイル層よりなる被覆
層が形成されることになる。
【0029】得られた鋳型は、その後、第4工程におい
て、十分な酸素供給量のもとに、500℃以上に加熱昇
温する。500℃以上に加熱されると、シリコーンオイ
ルは酸化されて、酸化けい素を生成し、鋳型本体の表面
に酸化けい素被膜よりなる被覆層が形成されることにな
る。ここで、鋳型本体の表面は、シリカと硫酸カルシウ
ムで構成され、その粗さは300℃加熱で3〜5μm、
800℃加熱では硫酸カルシウムが丸みを帯びて隙間を
生じ、10〜15μmとなっている。酸化けい素は、こ
の表面のシリカと丸みを帯びた棒状の硫酸カルシウムの
隙間を埋め、鋳肌面を数μm以下、通常、1〜3μm程
度に平滑化する作用を有する。
【0030】ここで、シリコーンオイルの酸化による酸
化けい素被膜の生成は、充分な酸素が存在する雰囲気で
は、500℃から硫酸カルシウムの分解温度である12
00℃以下で適宜選択され、500℃では少なくとも1
0〜15時間、1100℃で3〜5時間の加熱により得
られる。加熱時間をこれより長くしてももちろんよい。
逆に、加熱時間がこれより少ないと、酸化けい素は生成
されても、鋳肌面を1μm程度に平滑化するには不十分
となる。
【0031】このように、丸みを帯びた棒状の硫酸カル
シウムの表面に、酸化けい素被膜を形成することで、鋳
造時の溶湯と硫酸カルシウムとが接触することを防止す
る。このため、硫酸カルシウムの温度上昇が抑制され、
硫酸カルシウムの熱分解が遅れ、あるいは熱分解しない
ことになり、熱分解ガスの発生が大幅に抑制される。仮
にガスが発生しても、ガスの発生が遅れることで、それ
までに鋳肌面の鋳物の凝固が終了しており、ガス欠陥の
ない健全な鋳物となる。
【0032】この第4工程は、鋳造工程に先立って行っ
てもよいが、あるいは、鋳造過程で行うこともできる。
鋳造時、鋳型は、通常、鋳造される金属に対応して、例
えば約300〜900℃に加熱されるので、その温度
が、酸化けい素が生成する500℃以上である場合に
は、上記第4工程に引き続いて鋳造を行えば効率的であ
る。
【0033】鋳造は、通常の方法によって行い、上記鋳
型を、鋳造される金属に対応して加熱保持し、加熱溶解
した金属溶湯を注いで、加圧、凝固させればよい。例え
ば、約800℃に加熱した石膏系埋没材による鋳型によ
って、融点950℃の18K金合金の溶湯を、約850
〜900℃に加熱した高温用埋没材による鋳型によっ
て、融点1700℃の白金合金の溶湯を鋳造することが
できる。
【0034】、の方法は、ワックスであるろう型表
面にむらなく均一にシリコーンオイルが塗布できるとと
もに、石膏スラリーの注入、造型工程は従来作業と同じ
で、凝固後の石膏鋳型の強度劣化もなく、鋳型の加熱乾
燥や鋳造等の作業は従来と同じで、作業工程を変更する
ことなく容易に実施できる。
【0035】の方法による場合には、ろう型をシリコ
ーンオイル溶液で処理する代わりに、第1工程におい
て、石膏鋳型を構成する埋没材を、シリコーンオイルを
含有する水溶液で練和する。この時、シリコーンオイル
の添加量は、1〜10重量%が望ましい。1重量%未満
では石膏鋳型の鋳肌面でのシリコーンオイル生成層が薄
く、不均一になる。一方、10重量%を越えると、石膏
スラリーの脱泡工程での泡切れが悪化し、脱ガス不十分
となるとともに、石膏の凝固にも従来の倍以上の時間を
要する。また、凝固後の強度も低く、その後の鋳型の加
熱乾燥、鋳造等の作業に従来以上の配慮が必要となり、
望ましくない。
【0036】第2工程、第3工程は、上記、の方法
と同様である。このの方法では、、石膏スラリーの練
和水をシリコーンオイルを添加した混和水に変わるのみ
でよく、従来とほぼ同じ作業工程で鋳型を形成すること
ができ、より簡易に均一なシリコーンオイル層が形成で
きる。この場合も、鋳造過程においてシリコーンオイル
層を加熱することにより酸化けい素被膜を形成すること
で、表面の平滑な、欠陥のない鋳物を得ることができ
る。あるいは、鋳造に先立ってシリコーンオイル層を加
熱することにより酸化けい素被膜を形成しててももちろ
んよく、同様の効果が得られる。
【0037】本発明が適用できる鋳物としては、貴金属
による宝飾品、装身具等の他、鋳造後の鋳肌面に平滑化
が要求される電気機器、通信機器、自動車用部品、航空
機や金型等、のいずれにも適用できる。
【0038】
【実施例】
(実施例1〜7)基材としてシリカ、結合材として半水
石膏を4:1で混合した石膏系埋没材100重量部に、
15〜25℃の水を40重量部添加し、真空中で混練攪
拌してスラリー状とした。一方、表1に示すように、シ
リコーンオイル水溶液またはシリコーンオイルのアルコ
ール溶液による処理を予め行ったロストワックス模型を
用意し、このロストワックス模型を装着した金属製リン
グ(フラスコ)に、上記スラリーを、気泡を生じないよ
うに流し込んで、約60分間静置、固化させた。ここ
で、実施例2〜4で用いたシリコーンオイル水溶液中の
水の含有量は、いずれも10重量%であった。また、実
施例5、6では、シリコーンオイルにエチルアルコール
とイソプロピレンアルコールを合計で20重量%添加、
混合した溶液を用いた。
【0039】また、石膏系埋没材を、水の代わりに、2
重量%のシリコーンオイルを添加した15〜25℃の混
和水40重量部を添加、混練し、同様の方法で、金属製
リング付き模型を作製した(実施例7)。
【0040】得られた金属製リング付き鋳型を、予熱し
た新鮮な空気を絶えず流入している加熱炉中に装入し、
脱ワックス後、加熱乾燥するため、1〜3℃/分で80
0℃に昇温し、さらに700℃で2時間保持した。次
に、溶解、注湯機構のある加工鋳造機中に、700℃に
加熱保持した鋳型を装着し、直ちに加工鋳造機を密閉、
減圧するとともに、同容器内に加工鋳造機内の高周波炉
で18K相当金合金を加熱溶解し、液相線+100℃で
上記鋳型に注湯した。その後、直ちに容器内を加圧し、
溶湯が凝固するまで持続させた。
【0041】
【表1】
【0042】溶湯の凝固後、これを水中にて急冷し、2
5ヶ/型のリング付き鋳造体を取出した。水洗浄後、鋳
肌面粗さを測定し、さらに研磨を行って鋳造欠陥の検査
を行った。また、石膏型の鋳肌面についても、室温凝固
後と、800℃で加熱保持後の2回、鋳肌面あらさの測
定を行った。これらの結果を表1に示す。また、比較の
ため、シリコーンオイルを用いない従来の方法で金属リ
ング付き鋳型を作製し、同様の条件で鋳造を行った鋳型
および鋳造体についても、同様にして鋳肌面あらさの測
定および鋳造欠陥の検査を行った。結果を表1に併記す
る。
【0043】表1に明らかなように、従来法で得られた
鋳型は、鋳造前の鋳肌面粗さが10〜15μmであり、
この鋳型を用いて作製した鋳造体の鋳肌面粗さも10〜
15μmと粗く、しかも鋳造体25ヶ中、1ヶにガス欠
陥が存在した。これに対して、本発明方法によれば、ろ
う型を水で1:1に希釈したシリコーンオイル液に繰り
返し浸漬した実施例1では、鋳肌面粗さが3〜5μmと
従来法の1/3であった。また、ろう型をアルコールに
浸漬後、シリコーンオイル水溶液に浸漬処理した実施例
2〜4では、鋳肌面粗さが1〜3μmと従来法の1/5
に改善された。
【0044】さらに、ろう型をアルコールに浸漬後、ア
ルコールを20重量%添加したシリコーンオイル液に浸
漬処理した実施例5、6では、鋳肌面粗さが1〜1.5
μmと従来法の1/10の非常に鋳肌の滑らかな鋳物を
得ることができた。また、これら実施例1〜6では、い
ずれも鋳物にガス欠陥の発生が全くなく、品質の良好な
鋳物が得られた。実施例7のシリコーンオイル混和水に
よる鋳物の鋳肌面粗さは4〜6μmと、上記実施例に比
べるとやや粗いものの、従来法の1/2以下の滑らかで
ガス欠陥のない鋳物が得られた。
【0045】図1(a)は、室温凝固後の石膏鋳型の鋳
肌面を示すもので、棒状の硫酸カルシウムが網目状に分
布している様子がわかる。これを、800℃に加熱乾燥
すると、図1(b)のように、硫酸カルシウムが丸みを
帯びた棒状になるとともに、隙間が大きくなる。この隙
間が鋳肌面粗さを大きくする原因となっている。
【0046】シリコーンオイル層を設けた本発明の場合
も、室温凝固後は図1(a)と同様であるが、充分な酸
素の供給のもと、800℃に加熱乾燥すると、図1
(c)のように丸みを帯びた棒状の硫酸カルシウムの上
に、シリコーンオイルの酸化により生成した酸化けい素
の被膜が形成されるとともに、隙間を埋めて、鋳肌面を
平滑化することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は室温凝固後の石膏鋳型の鋳肌面の組織
を示す電子顕微鏡写真(倍率1600倍)、(b)は従
来の石膏鋳型を800℃に加熱乾燥した後の鋳肌面の組
織を示す電子顕微鏡写真(倍率1600倍)、(c)は
本発明の石膏鋳型を800℃に加熱乾燥した後の鋳肌面
の組織を示す電子顕微鏡写真(倍率3000倍)であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 正木 英之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 多田 雅昭 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 関原 敏生 愛知県名古屋市中村区名駅4丁目7番23号 豊田通商株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型本体と、該鋳型本体の少なくとも鋳
    造時に溶湯と接触する表面に形成される被覆層とを有
    し、上記被覆層が、シリコーンオイルを主成分とする層
    またはシリコーンオイルを酸素の存在下で加熱すること
    により形成される酸化けい素被膜からなることを特徴と
    する鋳型。
  2. 【請求項2】 製造しようとする鋳物形状に成形された
    ろう型の表面に、シリコーンオイル水溶液またはシリコ
    ーンオイルのアルコール溶液を塗布し、乾燥させる第1
    工程と、このろう型の周囲に鋳型本体を構成する埋没材
    のスラリーを充填し、該スラリーを凝固させる第2工程
    と、凝固した鋳型をろうの融点以上に加熱して上記ろう
    型を溶融除去し、上記鋳型本体の表面にシリコーンオイ
    ルを主成分とする層を形成する第3工程とからなること
    を特徴とする鋳型の製造方法。
  3. 【請求項3】 鋳型本体を構成する埋没材を、シリコー
    ンオイルを1〜10重量%含有する水溶液を用いてスラ
    リー状とする第1工程と、得られたスラリーを、製造し
    ようとする鋳物形状に成形されたろう型の周囲に充填
    し、該スラリーを凝固させる第2工程と、凝固した鋳型
    をろうの融点以上に加熱して、上記ろう型を溶融除去
    し、上記鋳型本体の表面にシリコーンオイルを主成分と
    する層を形成する第3工程とからなることを特徴とする
    鋳型の製造方法。
  4. 【請求項4】 鋳型本体の少なくとも鋳造時に溶湯と接
    触する表面に、シリコーンオイルを主成分とする層を形
    成した鋳型を使用し、該鋳型を、予め酸素の存在下で5
    00℃以上に加熱することにより上記シリコーンオイル
    を主成分とする層を酸化して酸化けい素被膜を生成し、
    しかる後、上記鋳型内に溶湯を流し込んで鋳造を行うこ
    とを特徴とする鋳物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015112604A (ja) * 2013-12-06 2015-06-22 株式会社ケーヒン 鋳造品及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015112604A (ja) * 2013-12-06 2015-06-22 株式会社ケーヒン 鋳造品及びその製造方法

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